JP2004125836A - 光重合型平版印刷版及び平版印刷版の製版方法 - Google Patents

光重合型平版印刷版及び平版印刷版の製版方法 Download PDF

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Shigeo Koizumi
小泉 滋夫
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Abstract

【課題】明るい黄色灯下で使用可能で、しかも、350nm〜450nmの短波長光源に対し高感度で、印刷汚れ性にも優れた光重合型平版印刷版及び平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)特定の構造の化合物並びに(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含有する光重合性感光層を有することを特徴とし、500nm未満の短波長の光をカットした黄色灯下で供給、装填し、350〜450nmのレーザー光で画像露光することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度でかつ、保存安定性、汚れ性に優れた、ディジタル信号に基づいた走査露光により製版可能な光重合型平版印刷版と、それからの平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版印刷版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。現像後の画像は感光性樹脂層に添加された顔料や染料により着色、可視化され検版が可能となる。
【0003】
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及し、それに対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介す事無く、直接印刷版を製造するコンピュータ トゥ プレート(CTP)技術が望まれ、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
【0004】
このような走査露光可能な平版印刷版用原版を得る方式の一つとして、親水性支持体上に設けるインク受容性の感光性樹脂層として、感光スピードに優れた光重合性組成物を用いた構成が提案され、既に上市されている。該構成の原版は、現像処理が簡便であり、さらに解像度、着肉性、耐刷性、汚れ性に優れるといった望ましい刷版、印刷性能を有する。
【0005】
上記光重合性組成物は基本的にはエチレン性不飽和化合物、光重合開始系及びバインダー樹脂からなり、画像形成は、光開始系が光吸収し、活性ラジカルを生成、エチレン性不飽和化合物の付加重合を引き起こし、感光層の不溶化を生じるものである。
これらの光開始系からなる光重合型平版印刷版の露光光源としてArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)の様な長波長の可視光源を用いた従来のCTPシステムにおいては、製版行程の生産性をあげるために、さらに高速で書き込む事が望まれているが、感材の高感度化を必要とする上、版材の供給や装填時にはより暗い暗室中で行う必要が有るなどの問題がある。
【0006】
一方、近年、例えば、InGaN系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザーが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザーが構造上、安価に製造出来るため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザーを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下(500nm以下の光をカットした黄色灯下)での作業が可能な感光域が短波な感材が使用できる。
【0007】
従来、比較的感度の高い光開始系として特定の色素とチタノセン化合物を組み合わせた開始系が開示されている。特開平8−272096号公報では、オキサゾロン酸性核を有する色素とチタノセンの組み合わせが、特開平10−101719号公報では、5員ヘテロ環酸性核を有する色素とチタノセンの組み合わせが開示されている。これらは確かに高感度であったが、チタノセン化合物は遷移金属特有のd−d遷移による450nm以上の吸収があるために、黄色灯安全性に問題がある。
また、特公昭61−9621号公報では、オキサゾリジン酸性核を有する色素とトリアジン光開始剤との組み合わせが開示されているが、保存安定性が悪く、製造上問題があった。
ボレートを電子供与型開始剤として用い、クマリン系及びシアニン系増感色素と組み合わせた系、及び更にトリアジン化合物、芳香族オニウム塩、有機過酸化物などの電子受容型開始剤と組み合わせた三元開始系からなる高感度な光重合性組成物が開示されている(例えば、特許文献参照1。)が、感光層が着色され、検版可能な光重合性感光層を用いた場合には、印刷時の汚れ性が劣る問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−138204号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、黄色灯適性、検版性などの作業性に優れた、印刷時に汚れの発生しない、CTPシステムに適合した走査露光用の、また安価な短波半導体レーザーの発振波長に対し高感度な光重合型平版印刷版および平版印刷版の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、印刷時の汚れは版面上の画像に可視性を付与し検版性を向上させるために添加する顔料に特定の構造のものを使用することにより解決されることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)親水性支持体上に、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)下記一般式(I)で表される化合物並びに(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含有する光重合性感光層を有することを特徴とする光重合型平版印刷版。
【0011】
【化3】
Figure 2004125836
【0012】
(式(I)中、Bはホウ素原子を表し、R、R、RおよびRは 互いに同一でも異なってもよく、それぞれ有機基を表す。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、置換または非置換のアルキル基である。Zn+はn価のカチオンを表し、nは1〜6の整数を表す。)
(2)前記光重合性感光層に、350〜450nm域に吸収波長を有する増感色素および電子受容型開始剤を更に含有する(三元開始系)ことを特徴とする前記(1)記載の光重合型平版印刷版。
【0013】
(3)親水性支持体上に、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)上記一般式(I)で表される化合物、及び(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含有する光重合性感光層を有する光重合型平版印刷版を、500nm未満の短波長の光をカットした黄色灯下で供給、装填し、350〜450nmのレーザー光で画像露光することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【0014】
従来の技術において顔料の感光層添加により汚れが発生する原因は明らかでは無いが、顔料の感光層添加により、感光層の現像液溶解性の劣化や、顔料の種類によってはわずかな分光増感作用により、安全光によるかぶりなどが考えられる。しかし、本発明の光重合型平版印刷版において、感光層にアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を添加する場合は、この様な不都合な汚れは生じない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光重合型平版印刷版及び平版印刷版の製版方法について詳細に説明する。
本発明の光重合型平版印刷版の光重合性感光層(以下、感光層ともいう)を形成する感光性組成物(光重合性組成物ともいう)は、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)一般式(I)で表される化合物、(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含んで成る。
以下、これらの成分について具体的に説明する。
その中でも、本発明の光重合型平版印刷版の特徴的要素である、(3)一般式(I)で表わされるボレート化合物、(4)有機顔料について始めに説明し、次いで(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー等の順で説明する。
【0016】
[一般式(I)で表されるボレート系化合物]
本発明における特徴的な成分であるボレート系化合物は、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0017】
【化4】
Figure 2004125836
【0018】
式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に有機基を表す。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。Zn+はn価のカチオンを表し、nは1〜6の整数を表す。
【0019】
以下、一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。
、R、RおよびRの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基、ヘテロ環基が挙げられる。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは置換または非置換のアルキル基である。
【0020】
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0021】
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、
【0022】
N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N −ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(allyl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(O alkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oallyl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホ スホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(ar yl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(ar yl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0023】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0024】
上述のアシル基(RCO−)としては、Rが水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
【0025】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0026】
好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、
【0027】
ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基及び以下に示す基等を挙げることができる。
【0028】
【化5】
Figure 2004125836
【0029】
ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0030】
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0031】
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0032】
これらの置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0033】
アルケニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては
【0034】
【化6】
Figure 2004125836
【0035】
等を挙げることができる。
アルキニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0036】
ヘテロ環基とは、ヘテロ環上の水素を1つ除した一価の基及びこの一価の基からさらに水素を1つ除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合してできた一価の基(置換ヘテロ環基)である。好ましいヘテロ環の例としては、
【0037】
【化7】
Figure 2004125836
【0038】
【化8】
Figure 2004125836
【0039】
【化9】
Figure 2004125836
【0040】
等を挙げることができる。
【0041】
次に、RとR、RとRが互いに結合して環を形成する場合の例を示す。RとR、RとRが互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環を挙げることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、前述の置換アルキル基上の置換基をあげることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていても良い。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していても良い。
【0042】
また、Zn+は、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、ジアゾニウム、モノホリニウム、テトラゾリウム、アクリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、オキソスルホニウム、硫黄、酸素、炭素ハロゲニウム、Cu、Ag、Hg、Pd、Fe、Co、Sn、Mo、Cr、Ni、As、Seを表し、より好ましくは第4級アンモニウムである。
【0043】
以下に一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【表1】
Figure 2004125836
【0045】
【表2】
Figure 2004125836
【0046】
【表3】
Figure 2004125836
【0047】
【表4】
Figure 2004125836
【0048】
【表5】
Figure 2004125836
【0049】
【表6】
Figure 2004125836
【0050】
【表7】
Figure 2004125836
【0051】
上記のボレート化合物のうち、m−位にフッ素置換されたフェニル基を少なくとも1つ含む化合物がより好ましい。
【0052】
これらのボレート化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。添加量としては、光重合性感光層の全固形分中、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で添加することができる。添加量が0.1重量%未満であると本発明の効果である高感度が得難く、添加量が多すぎると安定性に問題がでてくる傾向がある。
【0053】
〔有機顔料〕
次に、本発明の光重合性平版印刷版の感光層に含有される、有機顔料について説明する。本発明に用いられる有機顔料はアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料である。これらの有機顔料は現像後の平版印刷版の画像を可視化し、目視による検版やプレートスキャナーによる画像面積計測を可能にする目的で用いられるものであるので、視感度が高く、鮮明な画像を形成出来るものが好ましい。このようなアントラキノン系顔料の具体例としては、ジアミノアントラキノニルレッド(C.I.65300)、ジブロモアンタンスロンオレンジ(C.I.59300)、ジクロロピラントロンオレンジ、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーGCD(C.I.69810)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インダンスレンダークブルーBOA(C.I.59800)、インダンスレンブリリアントグリーンB(C.I.59825)、インダンスレンブリリアントバイオレットRK(C.I.59315)などがあげられる。
【0054】
キノクリドン系顔料の具体例としては、無置換キナクリドン(C.I.73900)、キナクリドンマゼンタ(C.I.73915)、ジクロロキナクリドンマゼンタ(C.I.73915)、ジクロロキナクリドンレッド(C.I.73905)、キナクリドンマルーン(C.I.73900+C.I.73906)などがあげられる。
【0055】
ペリレン系顔料の具体例としては、ペリレンバーミリオン(C.I.71145)、ペリレンレッドBL(C.I.71137)、ペリレンレッドGG(C.I.71155)、ペリレンマルーン(C.I.71130)、ペリレンスカーレット(C.I.71140)、ペリレンブラウン(C.I.71127)、ペリレンバイオレット(C.I.71129)、ペリレンブラック(C.I.71132)、等があげられる。
【0056】
ペリノン系顔料の具体例としてはペリノンオレンジ(C.I.71105)、ペリノンレッド(C.I.71100)等があげられる。
【0057】
本発明においては顔料を構成する着色性化合物は、感光層中において、固体分散されるが、その平均粒子サイズは、0.25nm以下で有ることが好ましい。粒子サイズが大きくなると顔料粒子による光散乱が増大し、解像力の低下を招く。次に顔料の一般的な分散方法について説明する。一般に、これら顔料は合成後、種々の方法で乾燥を経て供給される。通常は水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とするため、乾燥して粉末とさせるには大きな熱エネルギーを与える。そのため、顔料は一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通である。
この様な凝集体を形成している顔料を微粒子に分散するのは容易ではない。そのため顔料をあらかじめ種々の樹脂で処理しておくことが好ましい。これら樹脂として、後述のバインダーポリマーを挙げることができる。処理の方法としては、フラッシング処理やニーダー、エクストルーダー、ビーズミル、ボールミル、2本又は3本ロールミル等による混練方法がある。このうち、フラッシング処理や2本又は3本ロールミル、ビーズミルによる混練法が微粒子化に好適である。
【0058】
フラッシング処理は通常、顔料の水分散液と水と混和しない溶媒に溶解した樹脂溶液を混合し、水媒体中から有機媒体中に顔料を抽出し、顔料を樹脂で処理する方法である。この方法によれば、顔料の乾燥を経ることがないので、顔料の凝集を防ぐことができ、分散が容易となる。2本又は3本ロールミルによる混練では、顔料と樹脂又は樹脂の溶液を混合した後、高いシェア(せん断力)をかけながら、顔料と樹脂を混練することによって、顔料表面に樹脂をコーティングすることによって、顔料を処理する方法である。この過程で凝集していた顔料粒子はより低次の凝集体から一次粒子にまで分散される。ビーズミルは細長いベッセルにデイスクを複数枚取り付けた攪拌軸(回転軸)を挿入し、ベッセル内のビーズを高速で攪拌する。ポンプで送り込まれたミルベース中の凝集した顔料は、高速で動くビーズ相互間やビーズがベッセル内壁シャフトとぶつかる時に生じる強いずり応力により分散させられる。
【0059】
又、あらかじめアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、マレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂等で処理した加工顔料も都合良く用いることができる。上記の種々の樹脂で処理された加工顔料の形態としては、樹脂と顔料が均一に分散している粉末、ペースト状、ペレット状、ペースト状が好ましい。一方、樹脂がゲル化した不均一な塊状のものは好ましくない。
【0060】
微細な粒子サイズ分布を有する顔料分散液を得るには、先ず顔料をフラッシング処理したり、ニーダー、エクストルーダ、ビーズミル、2本または3本ロールミルで結着樹脂と混練する。好ましい混練法としては、顔料と顔料分散剤を含む他の構成成分と混合し湿式分散(一次分散)を行う。得られた分散液を、目的の粒子サイズ分布になるまで、より微細なビーズを用いて再度湿式分散(二次分散)を行う。または、湿式分散した分散液を遠心分離によって分別したり、デカンテーションにより粗大粒子を除去し目的の粒子サイズとサイズ分布を有する粒子を得る。
【0061】
また、顔料の分散性を向上させる目的で従来公知の顔料分散剤や界面活性剤を添加することが出来る。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業製));オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業製)、W001(裕商製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−1068(旭硝子製)等のフッ素系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ株式会社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化製)およびイソネットS−20(三洋化成製)が挙げられる。
【0062】
次に、この様にして得られた顔料分散物の好ましい使用様態について述べる。顔料の平均粒径(平均サイズ)は非常に重要である。平均粒径が大きいと、好ましくない光の散乱を生じ、結果として、本発明の光重合型平版印刷版の感光層の透過率が低下し、光重合に必要な光を感光層の内部にまで与える事ができなくなってしまう。散乱は特に、光源として短波長な光を用いる場合に顕著である。従って、本発明のごとき相対的に短波な光源の使用を目的とした光重合型平版印刷版の場合、顔料の平均粒径はできるだけ小さい事が好ましい。この様な、粒径に依存した散乱による透過率の低下の影響は顕著であって、仮に400nmの透過率が大きくなる様に、顔料着色物質の構造選択を行ない、吸収特性を適切に設定したとしても、粒径が大きいと400nmの透過率は下がってしまい、感光層の実質的な感度の低下を招く。一方、粒径が小さすぎると、分散安定性が不足する傾向があり、感光層中で凝集、沈降等、好ましくない問題を生じる。これらの観点から本発明における顔料としては、390nmから450nmの波長範囲に吸収極大を有しない、平均粒径が0.25μm以下で、かつ0.50nmより大きい粒子の体積分率が10wt%以下である有機顔料である事が好ましい。
【0063】
顔料の、使用量は、感光層成分の重合反応性や、光重合型平版印刷版の現像処理性を著しく低下させない様に上限を設定する。一方、下限は検版性の向上に十分な効果が得られる様に設定する。これらは個々の顔料の光学特性によって異なる。通常は0.001〜5g/mであり、好ましくは0.05〜3g/m、より好ましくは0.1〜2g/mの範囲がよい。
【0064】
さらに顔料の好ましい使用形態として従来公知の様々な技術の適用も可能である。特に、特開平8−101498記載の様に、顔料の分散の際に、主鎖、又は側鎖に脂肪族2重結合を有するポリマーを共存させると、高感度な感光層を得ることができる。
【0065】
〔付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物〕
本発明に使用される付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
【0066】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、へキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0067】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0068】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0069】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。
【0070】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
さらに、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0071】
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加した1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0072】
CH=C(R)COOCHCH(R′)OH (A)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCHを示す。)
【0073】
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
【0074】
また、これらの使用量は、光重合性組成物の全成分に対して5〜50重量%(以下%と略称する。)、好ましくは10〜40%である。50%より多い場合には塗膜形成不良(べとつき)となり、また、5%より少ない場合には硬化不良となるため好ましくない。
【0075】
〔バインダーポリマー〕
本発明の光重合型平版印刷版の感光層はさらにバインダーポリマーを含有する。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、感光層の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0076】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0077】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0078】
また、特開平11−171907記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0079】
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85重量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0080】
好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり好ましい分子量は3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0分子量が1万から30万の範囲である。
【0081】
また本発明の光重合型平版印刷版の感光層には、500nm以上の光に感光せず350〜450nmに露光波長を有する短波長レーザーに対応する増感色素および電子受容型開始剤を更に含有することが好ましい。
以下に本発明の好ましい態様で使用される、電子受容型開始剤について説明する。
〔電子受容型開始剤〕
本発明に用いられる電子受容型開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム類、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシム化合物、(g)アジニウム化合物、(h)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
【0082】
本発明に用いられる電子受容型開始剤の一例である(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J. F. RABEK (1993)、p.77〜117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物、例えば
【0083】
【化10】
Figure 2004125836
【0084】
【化11】
Figure 2004125836
【0085】
【化12】
Figure 2004125836
【0086】
等が挙げられる。
より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、
【0087】
【化13】
Figure 2004125836
【0088】
特公昭47−22326号記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、
【0089】
【化14】
Figure 2004125836
【0090】
特公昭47−23664号記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、
【0091】
【化15】
Figure 2004125836
【0092】
特公昭60−26403号、特開昭62−81345号記載のベンゾインエーテル類、例えば、
【0093】
【化16】
Figure 2004125836
【0094】
特公平1−34242号、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、
【0095】
【化17】
Figure 2004125836
【0096】
特開平2−211452号記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、
【0097】
【化18】
Figure 2004125836
【0098】
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、
【0099】
【化19】
Figure 2004125836
【0100】
特公平2−9597号記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、
【0101】
【化20】
Figure 2004125836
【0102】
特公平2−9596号記載のアシルホスフィン、例えば、
【0103】
【化21】
Figure 2004125836
【0104】
特公昭63−61950号記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号記載のクマリン類等を挙げることができる。
【0105】
また、電子受容型開始剤の別の例である(b)芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VIおよびVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩の例としては、特公昭52−14277号、特公昭52−14278号、特公昭52−14279号に示されている化合物を挙げることができる。
具体的には、
【0106】
【化22】
Figure 2004125836
【0107】
【化23】
Figure 2004125836
【0108】
等を挙げることが出来る。
【0109】
本発明に使用される電子受容型開始剤の他の例である(c)「有機過酸化物」としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3′4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0110】
これらの中で、3,3′4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0111】
本発明で使用される電子受容型開始剤としての(d)チオ化合物は、下記一般式〔VI〕で示される化合物が好ましい。
【0112】
【化24】
Figure 2004125836
【0113】
(式〔VI〕中、R29はアルキル基、アリール基または置換アリール基を示し、R30は水素原子またはアルキル基を示す。また、R29とR30は互いに結合して、酸素、硫黄および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
【0114】
上記一般式〔VI〕におけるR29のアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。またR30のアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。
【0115】
30は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式〔VI〕で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
【0116】
【表8】
Figure 2004125836
【0117】
本発明に使用される電子受容型開始剤の他の例である(e)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0118】
本発明で使用される電子受容開始剤の他の例である(f)ケトオキシムエステルとしては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0119】
本発明の電子受容型開始剤の他の例である(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0120】
電子受容型開始剤の他の例である(h)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
【0121】
電子受容型開始剤の一例である(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、下記一般式〔VII〕から〔XIII〕で表される化合物を挙げることができる。
【0122】
【化25】一般式[VII]
Figure 2004125836
【0123】
(式〔VII〕中、Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX、−NH、−NHR32−NR32または−OR32を表す。ここでR32はアルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。R31は−CX、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基または置換アルケニル基を表す。)
【0124】
【化26】一般式[VIII]
Figure 2004125836
【0125】
(式〔VIII〕中、R33は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0126】
【化27】一般式[IX]
Figure 2004125836
【0127】
(式〔IX〕中、R34は、アリール基又は置換アリール基であり、R35
【0128】
【化28】
Figure 2004125836
【0129】
又はハロゲンであり、Zは−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO−であり、R36、R37はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R38は一般式〔VII〕中のR32と同じであり、Xはハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
【0130】
【化29】一般式[X]
Figure 2004125836
【0131】
(式〔X〕中、R39は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R40は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
【0132】
【化30】一般式[XI]
Figure 2004125836
【0133】
(式〔XI〕中、Lは水素原子又は式:CO−(R41(CX の置換基であり、Qはイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、Mは置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R42はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R41は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)
で表される、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
【0134】
【化31】一般式〔XII〕
Figure 2004125836
【0135】
(式〔XII〕中、Xはハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R43は水素原子又はCH3−t 基であり、R44はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)
で表される、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
【0136】
【化32】一般式〔XIII〕
Figure 2004125836
【0137】
(式〔XIII〕中、Xはハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R45は水素原子又はCH3−v 基であり、R46はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
で表される、2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
【0138】
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。
【0139】
その他、英国特許1,388,492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3,337,024号明細書記載の化合物、たとえば、
【0140】
【化33】
Figure 2004125836
【0141】
等やその他
【0142】
【化34】
Figure 2004125836
【0143】
等を挙げることができる。また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem. 29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。
さらに特開昭62−58241号記載の化合物、たとえば、
【0144】
【化35】
Figure 2004125836
【0145】
等を挙げることができる。更に特開平5−281728号記載の化合物、例えば、
【0146】
【化36】
Figure 2004125836
【0147】
等を挙げることができる。あるいはさらにM. P. Hutt、E. F. ElslagerおよびL.M. Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群
【0148】
【化37】
Figure 2004125836
【0149】
【化38】
Figure 2004125836
【0150】
【化39】
Figure 2004125836
【0151】あるいは、ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、例えば、4−(4−メトキシ−スチリル)−6−(3,3,3−トリクロルプロペニル)−2−ピロンおよび4−(3,4,5−トリメトキシ−スチリル)−6−トリクロルメチル−2−ピロン、あるいはドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、例えば、
【0152】
【表9】
Figure 2004125836
【0153】
あるいはドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、
【0154】
【化40】
Figure 2004125836
【0155】
あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群例えば、
【0156】
【化41】
Figure 2004125836
【0157】
を挙げることができる。
【0158】
これら電子受容型開始剤の使用法に関しては、感材の性能設計により適宜任意に設定できる。電子受容型開始剤の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、感光層成分100重量部に対し、0.5〜80重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。
【0159】
〔増感色素〕
本発明における好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)。
【0160】
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
【0161】
【化42】
Figure 2004125836
【0162】
(式(XIV)中、Aは硫黄原子またはNR50を表し、R50はアルキル基またはアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子または硫黄原子を表す。)
【0163】
以下に一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
【0164】
【化43】
Figure 2004125836
【0165】
【化44】
Figure 2004125836
【0166】
(式(XV)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
【0167】
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
【0168】
【化45】
Figure 2004125836
【0169】
【化46】
Figure 2004125836
【0170】
(式(XVI)中、Aは硫黄原子またはNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。)
【0171】
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
【0172】
【化47】
Figure 2004125836
【0173】
【化48】
Figure 2004125836
【0174】
(式(XVII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−または−NR62−または−NR63−を表し、R63、R64はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同してして色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。)
【0175】
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
【0176】
【化49】
Figure 2004125836
【0177】
【化50】
Figure 2004125836
【0178】
(式(XVIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
【0179】
一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0180】
【化51】
Figure 2004125836
【0181】
上記の増感色素に関しては、本発明の光重合型平版印刷版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させる事で、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
【0182】
さらに、本発明の光重合型平版印刷版の感光層の好ましい使用様態である、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、該感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、該感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する事ができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
【0183】
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計に合わせて適宜設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層への相溶性を高める事ができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。
【0184】
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。また、吸光度が3以上の様な高い領域では、上記感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。比較的薄い膜厚での使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。これは、通常、感光層成分100重量部に対し、0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部の範囲である。
【0185】
〔その他の成分〕
本発明の光重合型平版印刷版の感光層に用いられる感光性組成物には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
【0186】
(重合禁止剤)
本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。
【0187】
(その他の添加剤)
さらに、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0188】
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計重量に対し10重量%以下添加することができる。
【0189】
また、膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
【0190】
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事が可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
【0191】
本発明の光重合型平版印刷版を製造するために、上記感光性組成物を支持体上に塗布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、
【0192】
3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0193】
前記感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/mである。
【0194】
「支持体」
本発明の光重合型平版印刷版を得るには上記感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける。親水性の支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
【0195】
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板があげられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度に優れた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0196】
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0197】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
【0198】
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
【0199】
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0200】
また、米国特許第3658662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0201】
また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
【0202】
さらに特開平7−159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0203】
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。この様な表面層としては例えばUS3055295や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744記載の親水性膨潤層、特表平8−507727記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げる事ができる。
【0204】
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性感光層の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
【0205】
「保護層」
本発明の光重合型平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、光重合性感光層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素、や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
【0206】
この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
【0207】
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、 PVA−110、 PVA−117、 PVA−117H、 PVA−120、 PVA−124、 PVA−124H、 PVA−CS、 PVA−CST、 PVA−HC、 PVA−203、 PVA−204、 PVA−205、 PVA−210、 PVA−217、 PVA−220、 PVA−224、 PVA−217EE、 PVA−217E、 PVA−220E、 PVA−224E、 PVA−405、 PVA−420、 PVA−613、L−8等があげられる。
【0208】
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
【0209】
これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292,501号、米国特許第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0210】
本発明の光重合型平版印刷版から平版印刷版を製造する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。この際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0211】
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3,375,171号および同第3,615,480号に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
【0212】
その他、本発明の光重合型平版印刷版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
【0213】
本発明の光重合型平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いる事ができる。望ましい、光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。また、本発明の光重合型平版印刷版の感光層としては、高い水溶性のものを使用する事で、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、この様な構成の光重合型平版印刷版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行う事もできる。
【0214】
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、
【0215】
半導体レーザー系として、KNbOリング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)
その他、パルスレーザーとしてNレーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)
【0216】
特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー380〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
【0217】
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
【0218】
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置
【0219】
また、本発明の光重合型平版印刷版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
【0220】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0221】
本発明におけるボレート化合物(I−1)〜(I−86)は、特開平11−316458号公報記載の方法に従い合成した。
【0222】
〔実施例1〜21及び比較例1〜5〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10重量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20重量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で300クーロン/dmの陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1重量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dmにおいて、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/mになるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
【0223】
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/mのバックコート層を設けた支持体を作成した。この支持体を支持体(1)とする。
【0224】
(ゾル−ゲル反応液)
テトラエチルシリケート                50重量部
水                          20重量部
メタノール                       15重量部
リン酸                      0.05重量部
【0225】
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
【0226】
ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量2000)  4重量部
ジメチルフタレート                                   5重量部
フッ素系界面活性剤                  0.7重量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製,メタノール30重量%)50重量部
メタノール                      800重量部
【0227】
(支持体(2))
上記支持体(1)に下記のゾル液を塗布・乾燥した。
【0228】
(ゾル液)
下記の手順により変性ポリシロキサン液状組成物(ゾル液)を調製した。
ビーカーに下記組成物を秤量し、25℃で20分間攪拌した。
【0229】
Si(OC                      38g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン       13g
85%リン酸水溶液                                   12g
イオン交換水                       15g
メタノール                       100g
【0230】
上記組成の溶液を三口フラスコに移し、還流冷却器を取り付けた三口フラスコを室温のオイルバスに浸した。三口フラスコの内容物をマグネティックスターラーで攪拌しながら、30分間で50℃まで上昇させた。浴温を50℃に保ったまま、更に1時間反応させ液組成物(ゾル液)を得た。得られたゾル液をメタノール/エチレングリコール=20/1(重量比)で0.5重量%になるように希釈してホイラー塗布し、100℃で1分乾燥させた。その時の塗布量は4mg/mであった。この塗布量もケイ光X線分析法によりSi元素量を求め、それを塗布量とした。
【0231】
(支持体(3))
上記支持体(1)に下記のポリマー(U−1)の溶液を、乾燥塗布量2mg/mとなるよう、下塗りし100℃で40秒間乾燥した。この支持体を支持体(3)とする。
【0232】
〔下塗り液〕
ポリマー(U−1)                          0.3g
純水                           60.0g
メタノール                        939.7g
【0233】
ポリマー(U−1)の構造式
【化52】
Figure 2004125836
【0234】
[顔料分散物の製造例]
下記組成からなる顔料分散液を調合し攪拌して粗分散液を得た。
【0235】
(顔料分散液)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート   7.5重量部
シクロヘキサノン                  17.5重量部
メトキシプロパノール                40.0重量部
アリルメタクリロール/メタクリル酸共重合体      10.0重量部
(下記構造)
C.I.69800(インダンスロンブルー:アントラキノン系顔料)15.0重量部
【0236】
【化53】
Figure 2004125836
【0237】
得られた粗分散液を0.8mmφのガラスビーズを充填したサンドミルで、周速15m/秒で分散して顔料分散物を得た。その他の顔料分散物も上記の処方でC.I.69800顔料に置き換えて顔料分散物を得た。
【0238】
(光重合性感光性組成物P−1)
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1)       1.5 重量部
高分子バインダー(B1)                            1.6 重量部
増感剤            (表−10に記載)           0.15重量部
一般式(I)のボレート化合物(表−10に記載)   0.2  重量部
電子受容型開始剤       (表−10に記載)           0.2 重量部
顔料分散物      (表−10に記載)       1.7 重量部
増感助剤(G1)                  0.6 重量部
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF176PF
(大日本インキ化学工業(株)製)           0.03重量部
熱重合禁止剤N−ニトロソフェニルヒドロキシル        0.01重量部
メチルエチルケトン                      9.0 重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート  7.5 重量部
トルエン                      11.0 重量部
【0239】
尚、この光重合性感光性組成物P−1で使用した、エチレン性不飽和結合含有化合物(A1)、高分子バインダー(B1)、増感助剤(G1)は、下記一般式の化合物であった。
【0240】
【化54】
Figure 2004125836
【0241】
〔光重合性感光性組成物P−2〕
光重合性感光性組成物P−1のエチレン性不飽和結合含有化合物を、A1から下記A2に、高分子バインダーを、B1から下記B2に変更した以外は光重合性感光性組成物P−1と同様に調製した。
【0242】
【化55】
Figure 2004125836
【0243】
上記処理された支持体(1)及び(2)の上に、光重合性感光性組成物P−1〜P−2のいずれかを、乾燥塗布重量が1.5g/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
次いで、この感光層上に下記の保護層用の各成分を含有する6重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/mとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥させ、光重合型平版印刷版を得た。
【0244】
Figure 2004125836
【0245】
表−10の電子受容型開始剤(1)と比較例−5に用いたチタノセン開始剤と増感色素(S−1)の構造を下記に示す。
【0246】
【化56】
Figure 2004125836
【0247】
【化57】
Figure 2004125836
【0248】
〔画像形成〕
上記実施例1〜21及び比較例1〜5で得られた光重合性平版印刷版を、475nmより長波長の光をカットしたセーフライト(EncapSulite International社製V−50)200lxの照度下で、InGaN半導体レーザーセッター(富士写真フィルム(株)社製プレートセッターLuxel Vx−9600)に装填し、2400dpiにて175線/インチの条件で、ベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻み)を走査露光した後、下記現像液及びフィニッシングガム液FP−2W(富士写真フイルム製)を仕込んだ自動現像機)で標準処理を行った。プレヒートの条件は版面到達温度が100℃、現像液温度は30℃、現像液への浸漬時間は約15秒であった。
現像液は下記組成よりなり、pHは25℃で11.95、伝導度は5mS/cmであった。
【0249】
(現像液1の組成)
DV−2(富士写真フィルム(株)製現像液)        200g
水                            800g
【0250】
〔評価〕
上記各実施例及び比較例で得られた版材について、感度及び印刷での非画像部の汚れについて評価した。
【0251】
感度は、ベタ画像形成部分に富士写真フィルム製グレースケール”PSステップガイド”を貼り付け、この上からレーザー走査露光を実施し、現像処理後のグレースケール段数から画像形成に必要な最小の版面エネルギー量(単位:mJ/cm)、いわゆるクリア感度を求め、感度とした。
印刷評価は製版後の印刷版を三菱重工業(株)製三菱ダイヤ枚葉印刷機に取り付け、湿し水は富士写真フィルム(株)製IF102を用いた。インキは大日本インキ化学工業(株)製GEOS−G紅を用いて印刷した。汚れの評価は、非画像部の全く地汚れが見られない、良好な印刷の場合を○、うっすら地汚れが確認される場合を×、非画像部に明らかにインキ汚れが確認される場合を××として評価した。
感度と印刷汚れの評価結果も合わせて表−10に記載した。
【0252】
【表10】
Figure 2004125836
【0253】
表−10から明らかなように、本発明に係る各実施例の光重合性平版印刷版は、それぞれいずれも満足すべき結果を得たが、各比較例の光重合性平版印刷版は、感度または汚れ性の何れかにおいて不満足なものであった。
【0254】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、350nmから450nmに露光光源波長を有する短波長セッターに対し高感度で、かつ明るい黄色灯下で取り扱いが可能であり、印刷時の汚れ性に優れた光重合型平版印刷版を提供することができる。

Claims (3)

  1. 親水性支持体上に、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)下記一般式(I)で表される化合物並びに(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含有する光重合性感光層を有することを特徴とする光重合型平版印刷版。
    Figure 2004125836
    (式(I)中、Bはホウ素原子を表し、R、R、RおよびRは 互いに同一でも異なってもよく、それぞれ有機基を表す。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、置換または非置換のアルキル基である。Zn+はn価のカチオンを表し、nは1〜6の整数を表す。)
  2. 前記光重合性感光層に、350〜450nm域に吸収波長を有する増感色素および電子受容型開始剤を更に含有する(三元開始系)ことを特徴とする請求項1記載の光重合型平版印刷版。
  3. 親水性支持体上に、(1)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(2)バインダーポリマー、(3)下記一般式(I)で表される化合物並びに(4)アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料から選択された少なくとも1種の有機顔料を含有する光重合性感光層を有する光重合型平版印刷版を、500nm未満の短波長の光をカットした黄色灯下で供給、装填し、350〜450nmのレーザー光で画像露光することを特徴とする光重合型平版印刷版の製版方法。
    Figure 2004125836
    (式(I)中、Bはホウ素原子を表し、R、R、RおよびRは 互いに同一でも異なってもよく、それぞれ有機基を表す。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、置換または非置換のアルキル基である。Zn+はn価のカチオンを表し、nは1〜6の整数を表す。)
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