JP2004125758A - 画像形成装置用部品及びユニットの評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成装置用部品、それを組み合わせて作成したユニット、及びリサイクルで回収した部品やユニットの評価や評価を迅速かつ正確に行なうこと。
【解決手段】画像形成装置用部品及び/又はそれを組み合わせて作成したユニットに外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行ない、少なくともその結果によって画像形成装置用部品および部品を組み合わせて作成したユニットの評価を行なうことを特徴とする画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
【選択図】 図1
【解決手段】画像形成装置用部品及び/又はそれを組み合わせて作成したユニットに外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行ない、少なくともその結果によって画像形成装置用部品および部品を組み合わせて作成したユニットの評価を行なうことを特徴とする画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置用部品、画像形成装置を構成するユニット、あるいは回収した部品やユニット、例えば制振材を内部に挿入した電子写真感光体やその他の画像形成装置用部品、画像形成装置を構成するユニット、の良否の評価を行なう評価方法及び評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置はいくつかの部品を組み合わせて作成する。例えば、円筒状または管状アルミニウム基体の表面にアモルファスシリコンや有機光半導体からなる電子写真感光体層を形成し、これにフランジを取り付けて電子写真感光体とするが、このときフランジは接着材による接着、あるいは基体端部の曲げ加工によって固定する。このとき、固定が不充分であると電子写真装置に組み込んで使用する際、フランジがスリップし、異常画像が発生する。また、これらのフランジには感光体のアースをとるため、導電性のあるバネあるいは導電性のあるブラシを組み込むがこの取り付けが不完全であるとアース不良となり、異常画像が発生する。
また、電子写真装置において電子写真感光体以外にも各種部品をカシメや熱融着、超音波融着で組み立てる際も、カシメ不良、融着不良が発生することがある。
画像形成装置における組み立て不良の問題は電子写真装置以外でもあり、例えば、インクジェット装置に使用するインクカートリッジでは、インクの封入が不充分であるとインク漏れを引き起こす。
【0003】
例えば電子写真感光体を例にとって説明すると、電子写真感光体を電子写真装置に組み込んで使用する際、条件によっては異音が発生することがある。このような異音としては、現在までに二種の異音が知られている。そのひとつはウレタンゴム等で作成したクリーニングブレードで電子写真感光体表面をクリーニングする際、クリーニングブレードを電子写真感光体の摩擦によってビビリが生じ、感光体から異音が発生する現象である。二つ目は、電子写真感光体への帯電を帯電ローラにおいて、DCとACとが重畳した帯電電流によって帯電する場合、使用するAC周波数によって電子写真感光体が共鳴し、異音が発生するものである。
【0004】
これらの対策として、電子写真感光体内部に制振材を挿入し、異音の発生を低減する方法が広く行なわれているが、この挿入状態によっては、制振効果が充分でなく、異音の低減が行なえない場合がある。例えば、電子写真感光体内部にアルミニウム製の棒や肉厚パイプを制振材として挿入し、これを接着剤で固定する場合、接着剤が充分に行き渡らないと制振材と感光体内面の間に隙間ができ、制振効果が充分ではなくなる。制振材としてプラスチックやゴムを使用した場合でも、制振材の感光体内部への密着が不充分であると、制振効果が充分でなくなる問題が発生する。
【0005】
したがって、制振材の感光体への取り付け状態を調べる必要が出てくるが、この良い方法がなかった。
評価方法のひとつとして、電子写真感光体に軽い衝撃を与え、発生した音や振動で評価する方法があったが検出精度が低く実用的ではなかった。すなわち、音や振動を人間が聴覚で評価する場合、評価者の経験や技能により評価結果に差が生じる。また、評価者の健康状態や疲労状態によっても評価水準は変化するので、正確な評価を行なうことは容易ではない。また、このような打音評価では、打撃によって発生した音圧信号の可聴域における最大レベルの周波数、すなわち主成分となる周波数の音圧を評価しているのみであり、主成分以外の弱い周波数の音の変化を検出できない問題がある。また、聴覚による判断では可聴周波数域の最大レベルを評価対象としているため、打音評価の特徴であるパルス状の大きな音と、その後に続く余韻とを正確に区別して評価することができない問題がある。
【0006】
このような部品組み付けの問題は、近年要請されている資源リサイクルにおいても存在する。例えば、先に説明した電子写真感光体のリサイクルにおいて、フランジをリサイクル利用する際、損傷したフランジでは本来の性能を発揮できず異常画像が発生する。
したがって、部品やユニット、及びリサイクルで回収した部品やユニットの評価あるいは検査は重要であるが、従来は良い検査法がなかった。例えば、先に説明した電子写真感光体でのフランジ取り付けでは、外観からは取り付け不良がわかりにくい。同様にアースバネやアースブラシの取り付け状態も評価が困難であった。
【0007】
従来、評価対象物に軽い衝撃を与え、発生した音や振動で評価する方法があったが、検出精度が低く実用的ではなかった。以下にその詳細を説明する。
音や振動を人間が聴覚で評価する場合、評価者の経験や技能により評価結果に差が生じる。また、評価者の健康状態や疲労状態によっても評価水準は変化するので、正確な評価を行なうことは容易ではない。また、このような打音評価では、打撃によって発生した音圧信号の可聴域における最大レベルの周波数、すなわち主成分となる周波数の音圧を評価しているのみであり、主成分以外の弱い周波数の音の変化を検出できない問題がある。また、聴覚による判断では可聴周波数域の最大レベルを評価対象としているため、打音評価の特徴であるパルス状の大きな音と、その後に続く余韻とを正確に区別して評価することができない問題がある。
【0008】
打音評価を人間が行なう場合にはこのような問題があるので、電気的に行なうことが考えられ、その方法としてフーリエ変換を利用することが考えられる。しかし、フーリエ変換では測定した音あるいは振動をその周波数分布として捉えることはできるが、時間的な変化を調べるには有効ではない問題がある。例えば、打撃直後の大きなパルス状音(振動)には出現しないが、その後の余韻にわずかに含まれる弱い音の変化を捉えることは容易ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、すなわち画像形成装置用部品、それを組み合わせて作成したユニット、及びリサイクルで回収した部品やユニットの評価や評価を迅速かつ正確に行なうことを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、具体的には以下のような方法により評価を行なう。
始めに評価対象物に外力を印加して音あるいは振動を発生させ、この音あるいは振動を測定する。測定によって得た信号から必要により測定対象なる周波数成分のみを必要によりフィルタリングする。そして信号のA/D変換を行ないデジタル信号に変換(コンピュータ処理に適した2値化)する。A/D変換を行なう場合は、少なくとも8ビット以上、好ましくは10ビット以上の分解能で行なう。A/D変換速度はシステムの仕様により適時選定すれば良い。このようにしてデジタル化した数百点ないし数万点の2値化データは一旦メモリに蓄えられる。次に、このデータを各種方法で多重解像度解析を行なったり、あるいはウィグナー分布を求め、評価を行なう。即ち各2値化データの一定の集合体間の基準値又は閾値決定、各スペクトル間の比較評価及び選択、そのための各スペクトル強度の所要の各種変調等を行なう。多重解像度解析は周波数領域でスペクトルを分析しながら、同時に変動の時間的推移を解析する方法であり、例えば、「ウェーブレット解析」芦野隆一、山本鎮男著、共立出版刊に説明されている。本発明において多重解像度解析は、各種の方法で行なうことができ、ウェーブレット変換、バンドパスフィルタによる処理、短時間高速フーリエ変換による処理が使用可能である。
【0011】
本発明は、始めに評価対象に外力を与え、打音を発生させる。発生した打音、あるいは振動は、マイクロフォン、あるいは振動センサで測定し、これを増幅器(アンプ)で増幅する。更に必要に応じてフィルタを通して不要な、あるいは解析の障害となる周波数帯域を除去する。そして、A/D変換を行なう。ここで、フィルタ処理はアナログで行なっても良く、デジタルで行なっても良い。
次に、A/D変換によって得たデジタル信号の解析評価に時間−周波数解析すなわち多重解像度解析を行なって本発明が課題とする評価を行なう。この方法は、周波数領域でスペクトルを分析しながら、同時に変動の時間的推移を解析する方法であり、Wigner分布、ウェーブレット変換、短時間フーリエ変換等の手法が知られている。それを以下に説明する。
【0012】
始めに、短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform)は非定常信号の周波数成分の時間変化を捉えるために考え出された方法であり、短時間ごとに信号を切り出し、フーリエ変換したものである。フーリエ変換では精度をよくするためにはサンプル数を少なくする(取り出す時間長を短くする)必要があるが、この場合、周波数に対する精度(周波数分解能)は低下する。短時間フーリエ変換では、切り出し時間窓とフーリエ変換の長さを別個に設定して必要な周波数分解能を保ったまま時間分解能を向上させている。短時間フーリエ変換の結果の例えば絶対二乗値の分布(2値化データ)をスペクトログラム(Spectrogram)化し、このコンピュータ処理に適した2値化データのスペクトログラムに基いて、各スペクトル間の閾値決定、各スペクトル間の比較評価及び選択、そのための各スペクトル強度の所要の各種変調等を行なう。例えば基準値又は閾値が所望のものでないため基準値又は閾値をクリアをクリアしていても実際には不良品になる場合、又は逆に良品なの基準値又は閾値をクリアできない場合には基準値又は閾値を設定し直すことが必要になり、或いは基準値又は閾値が明確でないためコンピュータが誤判断する場合には、明確な基準値又は閾値のためのスペクトル間の差異を強調するような変調を行う。(この2値化データを用いた処理は、以下に説明するウェーブレット変換、ウィグナー分布計算の場合も同様である)。
【0013】
次に、ウェーブレット変換について説明する。関数f(t)のウェーブレット変換は式(1)で表わされる。
【0014】
【数1】
ここで、
W(b,a):ウェーブレット変換
ψ(t):マザーウェーブレット
a:スケールパラメータ
b:トランスレートパラメータ
である。
式(1)は連続関数のウェーブレット変換、すなわち連続ウェーブレット変換である。本発明では、サンプリングを一定間隔に行なって2値値データを得るので、離散系であり、離散ウェーブレット変換を行なう。
離散ウェーブレット変換において、ウェーブレット係数ci,kは
【0015】
【数2】
である。
また、スケーリング係数dj,kは
【0016】
【数3】
である。
式(3)においてφ(t)はスケーリング関数である。
また、式(2)、式(3)においてjはレベルであり、元信号に対する解像度である階層の番号を示す。ウェーブレット係数ci,kは信号の周波と時間分布を示す。また、スケーリング関数dj,kは元信号のj次の解像度の離散化表現である。
離散ウェーブレット変換では、データを式(4)によって計算する。
【0017】
【数4】
式(4)において、係数群p及びqはウェーブレット変換のための変換基底であり、それぞれローパスフィルタ、ハイパスフィルタの機能がある。したがって、(j+1)次のスケーリング係数dj+1,kは、j次のスケーリング係数dj,kより1つ下の解像度表現となり、解析可能な周波数および時間的な解像度がj次の1/2になる。
一方、(j+1)次のウェーブレット係数cj+1,kはj次のスケーリング係数dj,kをハイパスフィルタに通すことにより得られ、スケーリング係数dj+1,kとdj,kの間の周波数成分を表わすことになる。
【0018】
図5はウェーブレット変換の処理フローを示した図であり、元信号(21)(Source Signal)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(22)に示されるH成分(H part)を得る。
また、元信号(21)(Source Signal)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって信号(23)を得る。
このようにして得た信号(23)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(24)に示されるLH成分(LH part)を得る。
また、信号(23)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって信号(25)を得る。このようにして得た信号(25)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(26)に示されるLLH成分(LLH part)を得る。また、信号(25)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(27)に示されるLLL成分(LLL part)を得る。
【0019】
図6は、このようにして多重解像度解析処理を行なった結果を示した図であり、原信号はLLL成分、LLH成分、LH成分、H成分の4成分に分解される。
ウェーブレット変換は直行ウェーブレット変換と非直行ウェーブレット変換に分類することが可能であり、このいずれを用いても良い。直行ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数は実数形のみが用いられることが多い。このウェーブレット関数としては、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(Harr)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、そしてコイフレット(Coiflet)関数等が使用可能である。ここでDaubeciesはドベシィと表記することがある。これらの直行ウェーブレット変換では、演算した絶対値にローパスフィルタなどにより包絡線(エンベロープ)処理を行なえば強度に相当する情報が得られる。
【0020】
非直行ウェーブレット関数には、複素数形ウェーブレットと実数形ウェーブレットを用いるものがある。複素数形ウェーブレット関数としてはガウス形ウェーブレット関数がある。この複素数形ウェーブレット関数を用いた場合、ウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算することにより強度が得られる。実数形ウェーブレット関数としては、メキシカンハット関数、フレンチハット関数等があるが、これを使用して得たウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算しても強度は得られない。しかし、演算した絶対値にローパスフィルタ等で包絡線(エンベロープ)処理を行なうことにより強度に相当する値を得ることが可能である。
【0021】
ウェーブレット変換結果の二乗絶対値はスカログラム(Scalogram)と呼ばれ、スカログラムで示すこともできる。短時間フーリエ変換から求められるスペクトログラムは定周波数バンド分析であるが、ウェーブレット変換によるスペクトログラムは定対数バンド幅分析である。
【0022】
次に、バンドパスフィルタによる処理であるが、これは数種のバンドパスフィルタをあらかじめ用意しておき、信号を順次これらのフィルタに通過させて、信号の多重解像度解析を行なう方法である。バンドパスフィルタによる方法では、信号はデジタル信号である必要はなく、アナログ信号であってもかまわない。アナログ信号のバンドパスフィルタ処理では、処理の高速化が行なえる利点がある。
【0023】
最後に、ウィグナー分布について説明する。時間信号f(t)のウィグナー分布は
【0024】
【数5】
である。
ここで、*は複素共役を示す。ウィグナー(Wigner)分布はウィグナー−ビレ(Wigner−Ville)分布と呼ぶ場合もある。本発明では、信号は位置の関数であるが、時間の関数と読み替えてウィグナー分布の計算を行なうことが可能である。
【0025】
これらのバンドパスフィルタ処理、ウェーブレット変換、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布計算は各種の方法で行なうことが可能である。例えばソフトウェアで行なう場合、mathematicaではウェーブレット変換を行なうパッケージで可能であるWavelet Explore等を併用して計算できる。また、MATLABではウェーブレット変換を行なうパッケージ(Wavelet Tool Box)等を併用して計算できる。また、C言語等でプログラミングしても計算が可能であり、専用の数値演算プロセッサによっても計算が可能である。
【0026】
本発明において、バンドパスフィルタ処理結果、ウェーブレット変換結果、短時間フーリエ変換結果、ウィグナー分布計算結果は別に測定を行なった正常なもの、あるいは、正常ではないものの結果と照合比較することによって、判定を行なうことができる。
発明者らの測定では、マイクロフォンはソニー製エレクトレットマイクロフォンを使用し、これをリコー製A/DコンバータでA/D変換してIBM社製パーソナルコンピュータへ取り込んだ。A/D変換の速度は44100Hzであり、分解能は10ビットであった。測定した信号データの処理とその多重解像度解析、ウィグナー分布の計算等は、C言語で作成したソフトウェアで行なった。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、評価対象として感光体を用い、評価方法にウェーブレット変換による多重解像度解析を使用する装置の構成図の例である。
図において、(1)は評価対象であり、これは図示されていない治具によって固定されている。(2)は評価対象に外力を与えるハンマーであり、(3)はそのコントローラ、(4)は評価対象から発生する打撃音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンからの信号を増幅する増幅器(アンプ)、(6)は増幅器から出た電気信号をA/D変換する装置、(7)はウェーブレット変換を行なう機構、(8)は全体をコントロールする機構、(9)は結果を表示する装置である。
この構成図では打撃音を拾う装置としてマイクロフォンを示すが、これは振動センサでも良い。また、図ではマイクロフォンは評価対象から離れた位置に設置しているが、これは評価対象に接触させても良く、あるいは評価対象を保持する治具に取り付けても良い。図では示されていないが、必要に応じA/D変換の前後にフィルタを入れても良い。なお、この図では測定した打撃音を記憶する記録装置(メモリ)は描いていない。この図において、ウェーブレット変換は各種の方法で実行可能であり、ソフトウェアで行なっても良く、あるいは専用のハードウェアで行なっても良い。
【0028】
この装置では評価対象がセットされると、全体をコントロールする機構(8)がハンマー(2)をコントロールする機構(3)に動作を指示するとともに、A/D変換機構とウェーブレット変換機構に動作開始を指示し、打撃音の測定を開始し、一定時間測定を行ない、測定した結果をウェーブレット変換して表示装置(9)に表示する。このとき、別に測定した良い評価対象の評価結果、あるいは不良の評価結果と照合してその結果を表示しても良い。結果の表示装置(9)は各種の表示装置が使用可能であり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ランプ、プリンタ、ブザー等が使用可能である。また、他の装置に電気信号等で送信しても良く、あるいはフレキシブルディスク、ハードディスク等に記録しても良い。
【0029】
実施の形態2
図2は、多重解像度解析の方法として、実施の形態1のウェーブレット変換に替えてバンドパスフィルタによる方法を使用する装置の構成図の例である。
図において、(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(10)はバンドパスフィルタを行なう装置、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。
この構成図の例ではA/D変換した結果をバンドパスフィルタに通すが、これはA/D変換する前のアナログ信号をバンドパスフィルタに通しても良い。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0030】
実施の形態3
図3は、実施の形態1のウェーブレット変換に替えてウィグナー分布を求める方法を使用する装置の構成図の例である。
図において(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(11)はウィグナー分布を計算する装置、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0031】
実施の形態4
図4は、多重解像度解析の方法として、実施の形態1のウェーブレット変換に替えて短時間高速フーリエ変換を使用する装置の構成図の例である。
図において(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(12)は短時間高速フーリエ変換を行なう機構、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0032】
図1〜4では、音をマイクロフォンで拾っているが、これはそれ以外のセンサでも良く、各種振動センサを使用することができる。また、図1〜4において、評価対象物に外力を与える機構はハンマーであるが、これはそれ以外の方法でも良く、球、ワイヤー等でも良い。また、外力の強さは極力一定になるようにするべきである。
図では示されていないが、ハンマーに衝撃力検出センサを取り付け、検出した信号で補正を行なっても良い。外力の発生方法は各種方法が使用可能であり、バネによる方法、電磁石による方法、重力を利用する方法、圧縮エアー等の加圧基体を使用する方法があるが、いずれを用いても良い。当然のことであるが、外力の印加によって評価対象に傷が付かないように留意すべきであり、そのために、外力印加時に評価対象に接触する部分の材質はウレタンゴム等が良く、その形状は相手に傷を与えないような形状になっている必要がある。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の効果を実施例と比較例で説明する。この実施例と比較例において、評価する対象としては、アース板を良好に取り付けたフランジAと、同じアース板を取り付けたフランジであるがアース板の取り付けにガタがあるフランジBを使用し、その差が検出できるかどうかを調べた。
【0034】
実施例1
評価装置として図1に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAの打撃音のウェーブレット変換結果を図7に示す。また、フランジBの打撃音のウェーブレット変換結果を図8に示す。図7と図8では多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0035】
実施例2
評価装置として図1に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAの打撃音のウェーブレット変換結果を更にスカログラム表示した結果を図9に示す。また、フランジBの打撃音のウェーブレット変換結果を更にスカログラム表示した結果を図10に示す。図9と図10では多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0036】
実施例3
評価装置として図2に示す装置を使用してバンドパスフィルタにより多重解像度解析を行なって、フランジAとフランジBを測定した。結果の図示は省略するが、多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0037】
実施例4
評価装置として図3に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAのウィグナー分布を図11に、更にそれを三次元表示した結果を図12に示す。フランジBの評価結果は省略するが、ウィグナー分布に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0038】
実施例5
評価装置として図2に示す装置を使用して短時間高速フーリエ変換により多重解像度解析を行なって、フランジAとフランジBを測定した。結果の図示は省略するが、多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0039】
比較例1
フランジAとフランジBから出た打撃音をフーリエ変換したところ、僅かに差は認められたものの、実施例1〜5のように明確な差は出なかった。フーリエ変換の結果の図は省略する。
【0040】
上記実施例及び比較例は、画像形成装置用部品が、評価対象としての制振材を内部に挿入した電子写真感光体について説明したが、本発明は、電子写真感光体以外の上記各種部品をカシメや熱融着、超音波融着で組み立てる際も、カシメ不良、融着不良が発生する場合、さらには例えば、電子写真装置以外の画像形成装置、例えば、インクジェット装置に使用するインクカートリッジでは、インクの封入が充分であるか否かに判断、評価にも適用できることは勿論であり、その場合には例えば、図1の評価システムに代えて、ワーク1(評価q対象品1)の代りに制振材を内部に挿入した電子写真感光体(28)を用いる図13のシステムとすることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の請求項1に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、測定対象に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項2に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換なので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項3に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法がウェーブレット変換なので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項4、5に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法がバンドパスフィルタによるものか、或いはウィグナー分布結果によるものであるので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項6に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、簡単確実に設定される基準/又は閾値との比較を行なうので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項7に示す画像形成装置用部品及びユニットの評価方法は、測定対象である電子写真感光体に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な制振材の挿入状況の評価が可能になる。
また、請求項8に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動を振動センサで検出し、検出した信号のウィグナー分布を求め、その結果で部品の評価を行なうので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項9に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号をウェーブレット変換するソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、ウェーブレット変換による評価を行なうことが可能である。
また、請求項10に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号のバンドパスフィルタによる処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、バンドパスフィルタを使用した多重解像度解析による評価が可能になる。
また、請求項11に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号の短時間高速フーリエ変換処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、短時間高速フーリエ変換を使用した多重解像度解析による評価が可能になる。また、請求項12に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号のウィグナー分布を求めるソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、ウィグナー分布による評価が可能になる。
また、請求項13に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象が複数の部品を勘合、あるいはかしめ、あるいは接着によって組み合わせたユニットであっても、打音を多重解像度解析によって評価するので、正確な評価が可能になる。
また、請求項14に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象がリサイクルによって回収した部品であり、その状態が予測不可能な変化や変形を有するものであっても、打音を多重解像度解析によって評価するので、正確な評価が可能になる。
また、請求項15に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、請求項8〜14に示す画像形成装置用部品及びユニットの評価装置において、簡単確実に設定される基準/又は閾値との比較を行なうので、正確な評価が可能になる。
また、請求項16に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、測定対象である電子写真感光体に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な制振材の挿入状況の評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェーブレットにより多重解像度解析を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図2】バンドパスフィルタにより多重解像度解析を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図3】ウィグナー分布を求める装置の一例を示す構成図である。
【図4】短時間高速フーリエ変換を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図5】ウェーブレット変換の処理フローを表わした図である。
【図6】ウェーブレット変換により多重解像度解析を行なった結果を示す図である。
【図7】実施例1で測定したフランジAのウェーブレット変換結果を示す図である。
【図8】実施例1で測定したフランジBのウェーブレット変換結果を示す図である。
【図9】実施例2で測定したフランジAのウェーブレット変換結果のスカログラムを示す図である。
【図10】実施例2で測定したフランジBのウェーブレット変換結果のスカログラムを示す図である。
【図11】実施例4で測定したフランジAのウィグナー分布を示す図である。
【図12】実施例4で測定したフランジAのウィグナー分布の三次元表示の図である。
【図13】ウェーブレットにより多重解像度解析を行なう装置の他の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 評価対象
2 ハンマー
3 コントローラ
4 マイクロフォン
5 増幅器(アンプ)
6 A/D変換装置
7 ウェーブレット変換機構
8 コントロール機構
9 結果表示装置
10 バンドパスフィルタ
11 ウィグナー分布計算機構
12 短時間高速フーリエ変換機構
21 元信号
22 ハイパスフィルタ通過した信号
23 ローパスフィルタを通過した信号
24 ハイパスフィルタ通過した信号
25 ローパスフィルタを通過した信号
26 ハイパスフィルタ通過した信号
27 ローパスフィルタを通過した信号
28 電子写真感光体
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置用部品、画像形成装置を構成するユニット、あるいは回収した部品やユニット、例えば制振材を内部に挿入した電子写真感光体やその他の画像形成装置用部品、画像形成装置を構成するユニット、の良否の評価を行なう評価方法及び評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置はいくつかの部品を組み合わせて作成する。例えば、円筒状または管状アルミニウム基体の表面にアモルファスシリコンや有機光半導体からなる電子写真感光体層を形成し、これにフランジを取り付けて電子写真感光体とするが、このときフランジは接着材による接着、あるいは基体端部の曲げ加工によって固定する。このとき、固定が不充分であると電子写真装置に組み込んで使用する際、フランジがスリップし、異常画像が発生する。また、これらのフランジには感光体のアースをとるため、導電性のあるバネあるいは導電性のあるブラシを組み込むがこの取り付けが不完全であるとアース不良となり、異常画像が発生する。
また、電子写真装置において電子写真感光体以外にも各種部品をカシメや熱融着、超音波融着で組み立てる際も、カシメ不良、融着不良が発生することがある。
画像形成装置における組み立て不良の問題は電子写真装置以外でもあり、例えば、インクジェット装置に使用するインクカートリッジでは、インクの封入が不充分であるとインク漏れを引き起こす。
【0003】
例えば電子写真感光体を例にとって説明すると、電子写真感光体を電子写真装置に組み込んで使用する際、条件によっては異音が発生することがある。このような異音としては、現在までに二種の異音が知られている。そのひとつはウレタンゴム等で作成したクリーニングブレードで電子写真感光体表面をクリーニングする際、クリーニングブレードを電子写真感光体の摩擦によってビビリが生じ、感光体から異音が発生する現象である。二つ目は、電子写真感光体への帯電を帯電ローラにおいて、DCとACとが重畳した帯電電流によって帯電する場合、使用するAC周波数によって電子写真感光体が共鳴し、異音が発生するものである。
【0004】
これらの対策として、電子写真感光体内部に制振材を挿入し、異音の発生を低減する方法が広く行なわれているが、この挿入状態によっては、制振効果が充分でなく、異音の低減が行なえない場合がある。例えば、電子写真感光体内部にアルミニウム製の棒や肉厚パイプを制振材として挿入し、これを接着剤で固定する場合、接着剤が充分に行き渡らないと制振材と感光体内面の間に隙間ができ、制振効果が充分ではなくなる。制振材としてプラスチックやゴムを使用した場合でも、制振材の感光体内部への密着が不充分であると、制振効果が充分でなくなる問題が発生する。
【0005】
したがって、制振材の感光体への取り付け状態を調べる必要が出てくるが、この良い方法がなかった。
評価方法のひとつとして、電子写真感光体に軽い衝撃を与え、発生した音や振動で評価する方法があったが検出精度が低く実用的ではなかった。すなわち、音や振動を人間が聴覚で評価する場合、評価者の経験や技能により評価結果に差が生じる。また、評価者の健康状態や疲労状態によっても評価水準は変化するので、正確な評価を行なうことは容易ではない。また、このような打音評価では、打撃によって発生した音圧信号の可聴域における最大レベルの周波数、すなわち主成分となる周波数の音圧を評価しているのみであり、主成分以外の弱い周波数の音の変化を検出できない問題がある。また、聴覚による判断では可聴周波数域の最大レベルを評価対象としているため、打音評価の特徴であるパルス状の大きな音と、その後に続く余韻とを正確に区別して評価することができない問題がある。
【0006】
このような部品組み付けの問題は、近年要請されている資源リサイクルにおいても存在する。例えば、先に説明した電子写真感光体のリサイクルにおいて、フランジをリサイクル利用する際、損傷したフランジでは本来の性能を発揮できず異常画像が発生する。
したがって、部品やユニット、及びリサイクルで回収した部品やユニットの評価あるいは検査は重要であるが、従来は良い検査法がなかった。例えば、先に説明した電子写真感光体でのフランジ取り付けでは、外観からは取り付け不良がわかりにくい。同様にアースバネやアースブラシの取り付け状態も評価が困難であった。
【0007】
従来、評価対象物に軽い衝撃を与え、発生した音や振動で評価する方法があったが、検出精度が低く実用的ではなかった。以下にその詳細を説明する。
音や振動を人間が聴覚で評価する場合、評価者の経験や技能により評価結果に差が生じる。また、評価者の健康状態や疲労状態によっても評価水準は変化するので、正確な評価を行なうことは容易ではない。また、このような打音評価では、打撃によって発生した音圧信号の可聴域における最大レベルの周波数、すなわち主成分となる周波数の音圧を評価しているのみであり、主成分以外の弱い周波数の音の変化を検出できない問題がある。また、聴覚による判断では可聴周波数域の最大レベルを評価対象としているため、打音評価の特徴であるパルス状の大きな音と、その後に続く余韻とを正確に区別して評価することができない問題がある。
【0008】
打音評価を人間が行なう場合にはこのような問題があるので、電気的に行なうことが考えられ、その方法としてフーリエ変換を利用することが考えられる。しかし、フーリエ変換では測定した音あるいは振動をその周波数分布として捉えることはできるが、時間的な変化を調べるには有効ではない問題がある。例えば、打撃直後の大きなパルス状音(振動)には出現しないが、その後の余韻にわずかに含まれる弱い音の変化を捉えることは容易ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、すなわち画像形成装置用部品、それを組み合わせて作成したユニット、及びリサイクルで回収した部品やユニットの評価や評価を迅速かつ正確に行なうことを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、具体的には以下のような方法により評価を行なう。
始めに評価対象物に外力を印加して音あるいは振動を発生させ、この音あるいは振動を測定する。測定によって得た信号から必要により測定対象なる周波数成分のみを必要によりフィルタリングする。そして信号のA/D変換を行ないデジタル信号に変換(コンピュータ処理に適した2値化)する。A/D変換を行なう場合は、少なくとも8ビット以上、好ましくは10ビット以上の分解能で行なう。A/D変換速度はシステムの仕様により適時選定すれば良い。このようにしてデジタル化した数百点ないし数万点の2値化データは一旦メモリに蓄えられる。次に、このデータを各種方法で多重解像度解析を行なったり、あるいはウィグナー分布を求め、評価を行なう。即ち各2値化データの一定の集合体間の基準値又は閾値決定、各スペクトル間の比較評価及び選択、そのための各スペクトル強度の所要の各種変調等を行なう。多重解像度解析は周波数領域でスペクトルを分析しながら、同時に変動の時間的推移を解析する方法であり、例えば、「ウェーブレット解析」芦野隆一、山本鎮男著、共立出版刊に説明されている。本発明において多重解像度解析は、各種の方法で行なうことができ、ウェーブレット変換、バンドパスフィルタによる処理、短時間高速フーリエ変換による処理が使用可能である。
【0011】
本発明は、始めに評価対象に外力を与え、打音を発生させる。発生した打音、あるいは振動は、マイクロフォン、あるいは振動センサで測定し、これを増幅器(アンプ)で増幅する。更に必要に応じてフィルタを通して不要な、あるいは解析の障害となる周波数帯域を除去する。そして、A/D変換を行なう。ここで、フィルタ処理はアナログで行なっても良く、デジタルで行なっても良い。
次に、A/D変換によって得たデジタル信号の解析評価に時間−周波数解析すなわち多重解像度解析を行なって本発明が課題とする評価を行なう。この方法は、周波数領域でスペクトルを分析しながら、同時に変動の時間的推移を解析する方法であり、Wigner分布、ウェーブレット変換、短時間フーリエ変換等の手法が知られている。それを以下に説明する。
【0012】
始めに、短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform)は非定常信号の周波数成分の時間変化を捉えるために考え出された方法であり、短時間ごとに信号を切り出し、フーリエ変換したものである。フーリエ変換では精度をよくするためにはサンプル数を少なくする(取り出す時間長を短くする)必要があるが、この場合、周波数に対する精度(周波数分解能)は低下する。短時間フーリエ変換では、切り出し時間窓とフーリエ変換の長さを別個に設定して必要な周波数分解能を保ったまま時間分解能を向上させている。短時間フーリエ変換の結果の例えば絶対二乗値の分布(2値化データ)をスペクトログラム(Spectrogram)化し、このコンピュータ処理に適した2値化データのスペクトログラムに基いて、各スペクトル間の閾値決定、各スペクトル間の比較評価及び選択、そのための各スペクトル強度の所要の各種変調等を行なう。例えば基準値又は閾値が所望のものでないため基準値又は閾値をクリアをクリアしていても実際には不良品になる場合、又は逆に良品なの基準値又は閾値をクリアできない場合には基準値又は閾値を設定し直すことが必要になり、或いは基準値又は閾値が明確でないためコンピュータが誤判断する場合には、明確な基準値又は閾値のためのスペクトル間の差異を強調するような変調を行う。(この2値化データを用いた処理は、以下に説明するウェーブレット変換、ウィグナー分布計算の場合も同様である)。
【0013】
次に、ウェーブレット変換について説明する。関数f(t)のウェーブレット変換は式(1)で表わされる。
【0014】
【数1】
ここで、
W(b,a):ウェーブレット変換
ψ(t):マザーウェーブレット
a:スケールパラメータ
b:トランスレートパラメータ
である。
式(1)は連続関数のウェーブレット変換、すなわち連続ウェーブレット変換である。本発明では、サンプリングを一定間隔に行なって2値値データを得るので、離散系であり、離散ウェーブレット変換を行なう。
離散ウェーブレット変換において、ウェーブレット係数ci,kは
【0015】
【数2】
である。
また、スケーリング係数dj,kは
【0016】
【数3】
である。
式(3)においてφ(t)はスケーリング関数である。
また、式(2)、式(3)においてjはレベルであり、元信号に対する解像度である階層の番号を示す。ウェーブレット係数ci,kは信号の周波と時間分布を示す。また、スケーリング関数dj,kは元信号のj次の解像度の離散化表現である。
離散ウェーブレット変換では、データを式(4)によって計算する。
【0017】
【数4】
式(4)において、係数群p及びqはウェーブレット変換のための変換基底であり、それぞれローパスフィルタ、ハイパスフィルタの機能がある。したがって、(j+1)次のスケーリング係数dj+1,kは、j次のスケーリング係数dj,kより1つ下の解像度表現となり、解析可能な周波数および時間的な解像度がj次の1/2になる。
一方、(j+1)次のウェーブレット係数cj+1,kはj次のスケーリング係数dj,kをハイパスフィルタに通すことにより得られ、スケーリング係数dj+1,kとdj,kの間の周波数成分を表わすことになる。
【0018】
図5はウェーブレット変換の処理フローを示した図であり、元信号(21)(Source Signal)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(22)に示されるH成分(H part)を得る。
また、元信号(21)(Source Signal)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって信号(23)を得る。
このようにして得た信号(23)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(24)に示されるLH成分(LH part)を得る。
また、信号(23)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって信号(25)を得る。このようにして得た信号(25)をハイパスフィルタ(HPF)に通し、さらにをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(26)に示されるLLH成分(LLH part)を得る。また、信号(25)をローパスフィルタ(LPF)に通し、さらにデータをひとつ置きに間引く処理(SS)を行なって、信号(27)に示されるLLL成分(LLL part)を得る。
【0019】
図6は、このようにして多重解像度解析処理を行なった結果を示した図であり、原信号はLLL成分、LLH成分、LH成分、H成分の4成分に分解される。
ウェーブレット変換は直行ウェーブレット変換と非直行ウェーブレット変換に分類することが可能であり、このいずれを用いても良い。直行ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数は実数形のみが用いられることが多い。このウェーブレット関数としては、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(Harr)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、そしてコイフレット(Coiflet)関数等が使用可能である。ここでDaubeciesはドベシィと表記することがある。これらの直行ウェーブレット変換では、演算した絶対値にローパスフィルタなどにより包絡線(エンベロープ)処理を行なえば強度に相当する情報が得られる。
【0020】
非直行ウェーブレット関数には、複素数形ウェーブレットと実数形ウェーブレットを用いるものがある。複素数形ウェーブレット関数としてはガウス形ウェーブレット関数がある。この複素数形ウェーブレット関数を用いた場合、ウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算することにより強度が得られる。実数形ウェーブレット関数としては、メキシカンハット関数、フレンチハット関数等があるが、これを使用して得たウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算しても強度は得られない。しかし、演算した絶対値にローパスフィルタ等で包絡線(エンベロープ)処理を行なうことにより強度に相当する値を得ることが可能である。
【0021】
ウェーブレット変換結果の二乗絶対値はスカログラム(Scalogram)と呼ばれ、スカログラムで示すこともできる。短時間フーリエ変換から求められるスペクトログラムは定周波数バンド分析であるが、ウェーブレット変換によるスペクトログラムは定対数バンド幅分析である。
【0022】
次に、バンドパスフィルタによる処理であるが、これは数種のバンドパスフィルタをあらかじめ用意しておき、信号を順次これらのフィルタに通過させて、信号の多重解像度解析を行なう方法である。バンドパスフィルタによる方法では、信号はデジタル信号である必要はなく、アナログ信号であってもかまわない。アナログ信号のバンドパスフィルタ処理では、処理の高速化が行なえる利点がある。
【0023】
最後に、ウィグナー分布について説明する。時間信号f(t)のウィグナー分布は
【0024】
【数5】
である。
ここで、*は複素共役を示す。ウィグナー(Wigner)分布はウィグナー−ビレ(Wigner−Ville)分布と呼ぶ場合もある。本発明では、信号は位置の関数であるが、時間の関数と読み替えてウィグナー分布の計算を行なうことが可能である。
【0025】
これらのバンドパスフィルタ処理、ウェーブレット変換、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布計算は各種の方法で行なうことが可能である。例えばソフトウェアで行なう場合、mathematicaではウェーブレット変換を行なうパッケージで可能であるWavelet Explore等を併用して計算できる。また、MATLABではウェーブレット変換を行なうパッケージ(Wavelet Tool Box)等を併用して計算できる。また、C言語等でプログラミングしても計算が可能であり、専用の数値演算プロセッサによっても計算が可能である。
【0026】
本発明において、バンドパスフィルタ処理結果、ウェーブレット変換結果、短時間フーリエ変換結果、ウィグナー分布計算結果は別に測定を行なった正常なもの、あるいは、正常ではないものの結果と照合比較することによって、判定を行なうことができる。
発明者らの測定では、マイクロフォンはソニー製エレクトレットマイクロフォンを使用し、これをリコー製A/DコンバータでA/D変換してIBM社製パーソナルコンピュータへ取り込んだ。A/D変換の速度は44100Hzであり、分解能は10ビットであった。測定した信号データの処理とその多重解像度解析、ウィグナー分布の計算等は、C言語で作成したソフトウェアで行なった。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、評価対象として感光体を用い、評価方法にウェーブレット変換による多重解像度解析を使用する装置の構成図の例である。
図において、(1)は評価対象であり、これは図示されていない治具によって固定されている。(2)は評価対象に外力を与えるハンマーであり、(3)はそのコントローラ、(4)は評価対象から発生する打撃音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンからの信号を増幅する増幅器(アンプ)、(6)は増幅器から出た電気信号をA/D変換する装置、(7)はウェーブレット変換を行なう機構、(8)は全体をコントロールする機構、(9)は結果を表示する装置である。
この構成図では打撃音を拾う装置としてマイクロフォンを示すが、これは振動センサでも良い。また、図ではマイクロフォンは評価対象から離れた位置に設置しているが、これは評価対象に接触させても良く、あるいは評価対象を保持する治具に取り付けても良い。図では示されていないが、必要に応じA/D変換の前後にフィルタを入れても良い。なお、この図では測定した打撃音を記憶する記録装置(メモリ)は描いていない。この図において、ウェーブレット変換は各種の方法で実行可能であり、ソフトウェアで行なっても良く、あるいは専用のハードウェアで行なっても良い。
【0028】
この装置では評価対象がセットされると、全体をコントロールする機構(8)がハンマー(2)をコントロールする機構(3)に動作を指示するとともに、A/D変換機構とウェーブレット変換機構に動作開始を指示し、打撃音の測定を開始し、一定時間測定を行ない、測定した結果をウェーブレット変換して表示装置(9)に表示する。このとき、別に測定した良い評価対象の評価結果、あるいは不良の評価結果と照合してその結果を表示しても良い。結果の表示装置(9)は各種の表示装置が使用可能であり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ランプ、プリンタ、ブザー等が使用可能である。また、他の装置に電気信号等で送信しても良く、あるいはフレキシブルディスク、ハードディスク等に記録しても良い。
【0029】
実施の形態2
図2は、多重解像度解析の方法として、実施の形態1のウェーブレット変換に替えてバンドパスフィルタによる方法を使用する装置の構成図の例である。
図において、(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(10)はバンドパスフィルタを行なう装置、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。
この構成図の例ではA/D変換した結果をバンドパスフィルタに通すが、これはA/D変換する前のアナログ信号をバンドパスフィルタに通しても良い。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0030】
実施の形態3
図3は、実施の形態1のウェーブレット変換に替えてウィグナー分布を求める方法を使用する装置の構成図の例である。
図において(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(11)はウィグナー分布を計算する装置、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0031】
実施の形態4
図4は、多重解像度解析の方法として、実施の形態1のウェーブレット変換に替えて短時間高速フーリエ変換を使用する装置の構成図の例である。
図において(1)は評価対象物、(2)は評価対象物に外力を与えるハンマー、(3)はそのコントローラ、(4)は発生した音を拾うマイクロフォン、(5)はマイクロフォンから信号を増幅する増幅器、(6)はA/Dコンバータ、(12)は短時間高速フーリエ変換を行なう機構、(8)はそれらをコントロールする装置、(9)は結果を示す装置である。この実施の形態も実施の形態1と同様に動作する。
【0032】
図1〜4では、音をマイクロフォンで拾っているが、これはそれ以外のセンサでも良く、各種振動センサを使用することができる。また、図1〜4において、評価対象物に外力を与える機構はハンマーであるが、これはそれ以外の方法でも良く、球、ワイヤー等でも良い。また、外力の強さは極力一定になるようにするべきである。
図では示されていないが、ハンマーに衝撃力検出センサを取り付け、検出した信号で補正を行なっても良い。外力の発生方法は各種方法が使用可能であり、バネによる方法、電磁石による方法、重力を利用する方法、圧縮エアー等の加圧基体を使用する方法があるが、いずれを用いても良い。当然のことであるが、外力の印加によって評価対象に傷が付かないように留意すべきであり、そのために、外力印加時に評価対象に接触する部分の材質はウレタンゴム等が良く、その形状は相手に傷を与えないような形状になっている必要がある。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の効果を実施例と比較例で説明する。この実施例と比較例において、評価する対象としては、アース板を良好に取り付けたフランジAと、同じアース板を取り付けたフランジであるがアース板の取り付けにガタがあるフランジBを使用し、その差が検出できるかどうかを調べた。
【0034】
実施例1
評価装置として図1に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAの打撃音のウェーブレット変換結果を図7に示す。また、フランジBの打撃音のウェーブレット変換結果を図8に示す。図7と図8では多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0035】
実施例2
評価装置として図1に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAの打撃音のウェーブレット変換結果を更にスカログラム表示した結果を図9に示す。また、フランジBの打撃音のウェーブレット変換結果を更にスカログラム表示した結果を図10に示す。図9と図10では多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0036】
実施例3
評価装置として図2に示す装置を使用してバンドパスフィルタにより多重解像度解析を行なって、フランジAとフランジBを測定した。結果の図示は省略するが、多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0037】
実施例4
評価装置として図3に示す装置を使用してフランジAとフランジBを測定した。フランジAのウィグナー分布を図11に、更にそれを三次元表示した結果を図12に示す。フランジBの評価結果は省略するが、ウィグナー分布に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0038】
実施例5
評価装置として図2に示す装置を使用して短時間高速フーリエ変換により多重解像度解析を行なって、フランジAとフランジBを測定した。結果の図示は省略するが、多重解像度解析結果に明確な差があり、フランジAとフランジBの差を検出できた。
【0039】
比較例1
フランジAとフランジBから出た打撃音をフーリエ変換したところ、僅かに差は認められたものの、実施例1〜5のように明確な差は出なかった。フーリエ変換の結果の図は省略する。
【0040】
上記実施例及び比較例は、画像形成装置用部品が、評価対象としての制振材を内部に挿入した電子写真感光体について説明したが、本発明は、電子写真感光体以外の上記各種部品をカシメや熱融着、超音波融着で組み立てる際も、カシメ不良、融着不良が発生する場合、さらには例えば、電子写真装置以外の画像形成装置、例えば、インクジェット装置に使用するインクカートリッジでは、インクの封入が充分であるか否かに判断、評価にも適用できることは勿論であり、その場合には例えば、図1の評価システムに代えて、ワーク1(評価q対象品1)の代りに制振材を内部に挿入した電子写真感光体(28)を用いる図13のシステムとすることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の請求項1に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、測定対象に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項2に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換なので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項3に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法がウェーブレット変換なので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項4、5に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、多重解像度解析の方法がバンドパスフィルタによるものか、或いはウィグナー分布結果によるものであるので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項6に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価方法は、簡単確実に設定される基準/又は閾値との比較を行なうので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項7に示す画像形成装置用部品及びユニットの評価方法は、測定対象である電子写真感光体に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な制振材の挿入状況の評価が可能になる。
また、請求項8に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動を振動センサで検出し、検出した信号のウィグナー分布を求め、その結果で部品の評価を行なうので、迅速で正確な評価が可能になる。
また、請求項9に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号をウェーブレット変換するソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、ウェーブレット変換による評価を行なうことが可能である。
また、請求項10に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号のバンドパスフィルタによる処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、バンドパスフィルタを使用した多重解像度解析による評価が可能になる。
また、請求項11に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号の短時間高速フーリエ変換処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、短時間高速フーリエ変換を使用した多重解像度解析による評価が可能になる。また、請求項12に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象を保持する機構と、評価対象に一定範囲の外力を加える機構と、評価対象から発生する打音を測定する機構と、さらに、打音の電気信号のウィグナー分布を求めるソフトウェアあるいはハードウェアを備えているので、ウィグナー分布による評価が可能になる。
また、請求項13に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象が複数の部品を勘合、あるいはかしめ、あるいは接着によって組み合わせたユニットであっても、打音を多重解像度解析によって評価するので、正確な評価が可能になる。
また、請求項14に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、評価対象がリサイクルによって回収した部品であり、その状態が予測不可能な変化や変形を有するものであっても、打音を多重解像度解析によって評価するので、正確な評価が可能になる。
また、請求項15に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、請求項8〜14に示す画像形成装置用部品及びユニットの評価装置において、簡単確実に設定される基準/又は閾値との比較を行なうので、正確な評価が可能になる。
また、請求項16に示す画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置は、測定対象である電子写真感光体に外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行なって評価するので、人間が聴覚で判定する方法やフーリエ変換によって評価する方法に比べ、短時間の打音であっても、その時間内における周波数分布を把握でき、したがって、迅速で正確な制振材の挿入状況の評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェーブレットにより多重解像度解析を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図2】バンドパスフィルタにより多重解像度解析を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図3】ウィグナー分布を求める装置の一例を示す構成図である。
【図4】短時間高速フーリエ変換を行なう装置の一例を示す構成図である。
【図5】ウェーブレット変換の処理フローを表わした図である。
【図6】ウェーブレット変換により多重解像度解析を行なった結果を示す図である。
【図7】実施例1で測定したフランジAのウェーブレット変換結果を示す図である。
【図8】実施例1で測定したフランジBのウェーブレット変換結果を示す図である。
【図9】実施例2で測定したフランジAのウェーブレット変換結果のスカログラムを示す図である。
【図10】実施例2で測定したフランジBのウェーブレット変換結果のスカログラムを示す図である。
【図11】実施例4で測定したフランジAのウィグナー分布を示す図である。
【図12】実施例4で測定したフランジAのウィグナー分布の三次元表示の図である。
【図13】ウェーブレットにより多重解像度解析を行なう装置の他の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 評価対象
2 ハンマー
3 コントローラ
4 マイクロフォン
5 増幅器(アンプ)
6 A/D変換装置
7 ウェーブレット変換機構
8 コントロール機構
9 結果表示装置
10 バンドパスフィルタ
11 ウィグナー分布計算機構
12 短時間高速フーリエ変換機構
21 元信号
22 ハイパスフィルタ通過した信号
23 ローパスフィルタを通過した信号
24 ハイパスフィルタ通過した信号
25 ローパスフィルタを通過した信号
26 ハイパスフィルタ通過した信号
27 ローパスフィルタを通過した信号
28 電子写真感光体
Claims (16)
- 画像形成装置用部品及び/又はそれを組み合わせて作成したユニットに外力を加えて打音を発生させ、発生した振動をマイクロフォンあるいは振動センサで検出し、検出した信号の多重解像度解析を行ない、少なくともその結果によって画像形成装置用部品および部品を組み合わせて作成したユニットの評価を行なうことを特徴とする画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 前記多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 前記多重解像度解析の方法がウェーブレット変換であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 前記多重解像度解析の方法がバンドパスフィルタによるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 画像形成装置用部品及びユニットに外力を加えて打音を発生させ、発生した振動を振動センサで検出し、検出した信号のウィグナー分布を求め、その結果で部品の評価を行なうことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 基準又は閾値との比較を行なうことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価方法。
- 画像形成装置用部品が、前記評価対象が制振材を内部に挿入した電子写真感光体であることを特徴とする請求項1至6のいずれかに記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価装置。
- 評価対象としての画像形成装置用部品、及び/又はそれを組み合わせて作成したユニットを保持する手段と、評価対象に一定範囲の外力を加える手段と、評価対象から発生する打音を測定する手段と、測定された打音信号を2値化及び又は変調する手段と、2値化データを比較評価する手段と、比較評価を標示する手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記測定された打音信号を2値化及び又は変調する手段が、打音の電気信号をウェーブレット変換するソフトウェアあるいはハードウェアであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記測定された打音信号を2値化及び又は変調する手段が、電気信号のろ過回路による処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記測定された打音信号を2値化及び又は変調する手段が、打音信号の短時間高速フーリエ変換処理を行なうソフトウェアあるいはハードウェアであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記測定された打音信号を2値化及び又は変調する手段が、打音の電気信号のウィグナー分布を求めるソフトウェアあるいはハードウェアであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記評価対象が複数の部品を勘合、あるいはかしめ、あるいは接着によって組み合わせたユニットであることを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 前記評価対象がリサイクルによって回収した部品であることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の画像形成装置用部品及びユニットの評価装置。
- 前記評価対象が制振材を内部に挿入した電子写真感光体であることを特徴とする請求項8乃至14のいずれかに記載の画像形成装置用部品及び/又はユニットの評価装置。
- 請求項7又は15に記載の電子写真感光体を使用したことを特徴とする電子写真装置又は電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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JP2002294308A JP2004125758A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 画像形成装置用部品及びユニットの評価方法 |
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JP2012530925A (ja) * | 2009-06-25 | 2012-12-06 | エレクトリスィテ ド フランス | 電気化学デバイスの欠陥の検出 |
JP2013086925A (ja) * | 2011-10-18 | 2013-05-13 | Canon Inc | 記録材判別装置及び画像形成装置 |
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2002
- 2002-10-07 JP JP2002294308A patent/JP2004125758A/ja active Pending
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