JP2004124737A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コスト増大を抑制しつつ、NOX吸蔵還元触媒の浄化能力を精度良く判定する。
【解決手段】機関1の排気通路3に、排気切換弁5を介してループ状排気通路4を接続し、排気切換弁5を切り換えることにより、ループ状排気通路4を流れる排気の流れ方向を逆転可能とする。ループ状排気通路上にはNOX吸蔵還元触媒7と、単一のNOXセンサ9を配置する。機関運転中に排気切換弁により排気流れ方向を切り換えることにより、単一のNOXセンサを用いて装置コストの増大を抑制しながら触媒7上流側と下流側の排気中のNOX濃度を検出することが可能となり、触媒の入口と出口のNOX濃度を用いた触媒浄化能力判定を精度良く行うことが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】機関1の排気通路3に、排気切換弁5を介してループ状排気通路4を接続し、排気切換弁5を切り換えることにより、ループ状排気通路4を流れる排気の流れ方向を逆転可能とする。ループ状排気通路上にはNOX吸蔵還元触媒7と、単一のNOXセンサ9を配置する。機関運転中に排気切換弁により排気流れ方向を切り換えることにより、単一のNOXセンサを用いて装置コストの増大を抑制しながら触媒7上流側と下流側の排気中のNOX濃度を検出することが可能となり、触媒の入口と出口のNOX濃度を用いた触媒浄化能力判定を精度良く行うことが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気中のNOX(窒素酸化物)濃度を検出するNOXセンサを用いて、排気浄化触媒の劣化程度の判定を行ったり、NOXの排出量が少なくなるように機関の運転を制御する技術が知られている。
【0003】
NOXセンサのこの種の利用方法の例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
同文献では、排気中のNOXを浄化するNOX浄化触媒の上流側と下流側の排気通路にそれぞれNOXセンサを配置し、これらのセンサの検出結果に基づいてNOX浄化触媒のNOX浄化率を算出し、このNOX浄化率の変化に基づいてNOX浄化触媒の劣化の程度を判定している。
【0005】
すなわち、同文献ではNOX浄化触媒の入口での排気NOX濃度と出口での排気NOX濃度とを測定することにより、触媒に流入する排気中のNOXのうち触媒により浄化されたNOX量(すなわち触媒の浄化能力)を算出し、更にこの浄化能力の低下の程度に基づいて触媒の劣化程度を判定している。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−93647号公報
【特許文献2】
特開2000−73741号公報
【特許文献3】
特開平2−204613号公報
【特許文献4】
特開2000−282958号公報
【特許文献5】
特開2000−104533号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の装置のようにNOXセンサを用いてNOX浄化触媒の上流側(入口側)と下流側(出口側)の排気中のNOX濃度を検出することにより、精度の良い浄化能力の判定と劣化程度判定を行うことができる。しかし、同文献の装置では、触媒入口側排気中のNOX濃度と出口側排気中のNOX濃度との両方を検出するために触媒の上流側(入口側)と下流側(出口側)との両方にNOXセンサを配置している。
ところが、NOXセンサはそれ自体がかなり高価格であるため、触媒入口側と出口側との両方にNOXセンサを配置すると装置価格が大幅に増大する問題が請じる。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、NOXセンサ等の排気センサを用いて触媒の浄化能力や劣化の判定を精度よく行いながら装置価格の増大を最小に抑制することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置した排気浄化触媒と、前記排気浄化触媒内を流れる排気の流れ方向を第1の方向と、該第1の方向とは反対の第2の方向とに切換える切換手段と、排気中の特定成分濃度を検出する排気センサとを備え、該排気センサは前記切換手段により排気流れ方向が前記第1の方向に切り換えられたときは前記触媒に流入する排気と接触するとともに、排気流れ方向が前記第2の方向に切り換えられたときは前記触媒から流出する排気と接触する位置に配置されている内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記排気センサは、前記特定成分として排気中のNOX濃度を検出するNOXセンサである、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0011】
すなわち、請求項1と2の発明では、切換手段により触媒内を流れる排気の流れ方向を切り換えることにより単一のセンサで触媒入口の排気と出口排気との両方の排気中の特定成分濃度を検出することが可能となる。これにより、例えば排気センサとしてNOXセンサを使用した場合も、触媒の入口側排気と出口側排気との両方の特定成分濃度を単一のNOXセンサで検出することが可能となる。従って、この場合にはNOXセンサを用いて精度良く触媒の性能劣化等を判定しながら、NOXセンサの個数を減らし装置価格の上昇を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、更に、前記NOXセンサの出力に基づいて少なくとも前記機関の制御状態を含む機関状態の複数の種類の判定対象を判定する判定手段を備え、該判定手段は前記切換手段により判定対象に応じて定まる方向に前記排気流れ方向を切り換える、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項3に記載の発明では、機関状態の複数種類の判定対象を判定するに際して、判定対象に応じて排気流れ方向を切り換えることにより、触媒入口側と出口側のNOX濃度のうち判定に必要とされるいずれか一方もしくは両方を単一のNOXセンサで検出することが出来る。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記判定手段は、排気流れが前記第1の方向に切換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記機関制御状態を判定する、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項4の発明では排気流れを第1の方向に切り換えた状態でのNOXセンサ出力、つまり触媒入口側でのNOX濃度に基づいて機関制御状態を判定する。触媒入口側でのNOX濃度は機関出口でのNOX濃度に等しい。このため、機関出口でのNOX濃度を検出することにより、機関の燃焼状態(燃焼に関する制御の状態)を判定することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記機関制御状態として、機関のEGRガス量と燃料噴射時期または点火時期のうち少なくとも1つを判定する、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項5の発明では排気中のNOX量に大きな影響があるEGRガス量、燃料噴射時期(ディーゼル機関の場合)、または点火時期(ガソリン機関の場合)が適切に制御されているか否かが、触媒上流側でのNOX濃度に基づいて判定される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記排気浄化触媒は、排気中のNOX成分を浄化するNOX浄化触媒である、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項6の発明では、排気浄化触媒としてNOX浄化触媒が使用される。このように、NOXセンサを用いてNOX浄化触媒の入口側と出口側の排気中のNOX濃度を検出することにより、NOX浄化触媒の状態を判定することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記判定対象は、前記NOX浄化触媒にリッチ空燃比の排気を供給するリッチスパイク操作を開始すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を開始すべきか否かを判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項7の発明ではNOX浄化触媒に短時間リッチ空燃比の排気を供給するリッチスパイク操作が行われる。例えば、NOX浄化触媒としてリーン空燃比の排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持(吸蔵)し、排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等を用いて還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が使用された場合には、触媒に吸蔵したNOXを還元浄化するために、リーン空燃比運転中に短時間機関をリッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行う必要がある。
【0022】
リッチスパイク操作は、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が増大してNOX浄化能力が低下したときに実行する。本発明では判定手段は排気流れを第2の方向に切り換えることにより、NOX浄化触媒下流側の排気中のNOX濃度に基づいてリッチスパイクが必要か否かを判定する。
【0023】
例えば、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が増大してNOX浄化能力が低下すると触媒下流側の排気中のNOX濃度が増大し、上流側の排気NOX濃度に近づくようになる。従って、排気流れを第2の方向に切り換えてNOX浄化触媒下流側の排気中のNOX濃度を検出することによりNOX浄化触媒のNOX浄化能力の低下、すなわちリッチスパイク操作が必要か否かを判定することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、前記NOXセンサは、更に特定成分として排気中の酸素濃度をも検出し、前記判定対象は更に、実行中の前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かを判定する、請求項7に記載の内燃機関排気浄化装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項8の発明ではNOXセンサとして、NOX濃度に加えて排気中の酸素濃度をも検出することができるものが使用される。
リッチスパイク操作実行中は後述するように、NOX吸蔵還元触媒が吸蔵したNOXが還元されている間は触媒下流側排気の空燃比は理論空燃比近傍になり、吸蔵したNOXが全て還元されると下流側排気の空燃比はリッチ空燃比に移行する。従って、排気流れを第2の方向に切り換えるとともに、NOXセンサを用いて触媒下流側の排気酸素濃度を監視し、酸素濃度の変化から排気空燃比を判定することにより、触媒に吸蔵されたNOXの還元浄化が完了した時期、すなわちリッチスパイク操作を終了すべき時期を判断することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、前記判定対象は、前記NOX浄化触媒の劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、前記NOX濃度センサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOX浄化触媒の劣化状態を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項9の発明では排気流れ方向を第1と第2の方向に切り換えて触媒上流側と下流側の排気NOX濃度を検出することにより、触媒に流入する排気中のNOXのうち触媒で浄化されずに下流側に通過するNOX量を知ることができる。これにより、NOX浄化触媒のNOX浄化能力を知ることができるため、NOX浄化触媒の浄化能力の低下に基づいて触媒の劣化度合いを判定することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、前記判定対象は、更に前記NOXセンサの劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、切換前後にそれぞれの流れ方向において前記NOXセンサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOXセンサの劣化程度を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0029】
すなわち、請求項10の発明ではNOX浄化触媒の上流側と下流側の排気中のNOX濃度を単一のNOXセンサで検出することにより、NOXセンサの劣化の程度を判定する。NOX浄化触媒が正常であった場合には、触媒の上流側に較べて下流側では排気中のNOX濃度が大幅に低くなっており、排気流れ方向の切り換え前後でNOXセンサ出力は急激に変化する。従って、NOXセンサで検出した排気流れ方向の切換前後のNOX濃度が大きく変化しないような場合にはNOXセンサの劣化によりセンサ出力に異常が生じていると判定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を模式的に示す図である。
【0031】
図1において、1は内燃機関本体、3は機関1の排気が流れる排気管、31は排気管3を機関1の各気筒の排気ポートに接続する排気マニホルドを、それぞれ示している。
【0032】
図1に4で示すのは、両端が排気通路3に接続されたループ状排気通路である。ループ状排気通路4は、それぞれ一端が排気通路3に接続される通路4aと4bとからなり、ループ状排気通路4のそれぞれの通路4a、4bと排気通路3との接続部には排気の流れ方向を切り換える切換弁5が設けられている。また、本実施形態では通路4a、4bにはNOX吸蔵還元触媒7が配置されており、通路4a、4bとNOX吸蔵還元触媒7とにより排気通路3から出て排気通路3に戻るループ状の連続した排気通路4が構成される。NOX吸蔵還元触媒7は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持し、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比となったときに、吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等の成分を用いて還元浄化するものである。
【0033】
本実施形態では、切換弁5を切り換えることにより、NOX吸蔵還元触媒7を通る排気の流れ方向を逆転させることが可能となっている。すなわち、切換弁5を図1に実線で示した第1の位置に切り換えると、機関1の排気は排気通路3から切換弁5によりループ排気通路4の通路4aに流入し、NOX吸蔵還元触媒7を図1に実線の矢印で示す第1の方向に流れ、通路4bから切換弁5を通って下流側排気通路3aに流入する。
【0034】
また、切換弁5を図1に点線で示した第2の方向に切り換えると、機関1の排気は排気通路3から通路4bに流入し、NOX吸蔵還元触媒7を点線の矢印で示す第2の方向に流れ、通路4aから切換弁5を通って下流側排気通路3aに流入するようになる。
【0035】
本実施形態では、ループ状排気通路4の通路4a、4bのいずれか一方には、後述するNOXセンサ9が配置されている(図1では通路4a上にNOXセンサ9を配置した場合を示す)。NOXセンサ9は排気中のNOX成分濃度に応じた電圧信号を発生するセンサである。上記から判るように、NOXセンサ9は触媒7を通る排気が第1の流れ方向(実線)に切り換えられると、触媒7に流入する排気(触媒上流側排気)と接触し、第2の流れ方向(点線)に切り換えられると、触媒7から流出する排気(触媒下流側排気)と接触するようになる。
【0036】
すなわち、本実施形態では切換弁5を第1の位置と第2の位置との間で切り換えることにより、通路4aに設けた単一のNOXセンサ9でNOX吸蔵還元触媒7の上流側排気と下流側排気との両方の排気中のNOX成分濃度を検出することが可能となっている。
【0037】
図1に30で示すのは、機関1の燃料噴射制御、点火時期制御等の基本制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、中央演算装置(CPU)を双方向性バスで互いに接続した公知の形式のマイクロコンピュータとして構成され、本実施形態では上記基本制御の他に、切換弁5により排気流れ方向を第1と第2の方向に切り換えてNOXセンサ9で検出したNOX成分濃度等により後述する種々の制御操作を行う。
【0038】
これらの制御のため、ECU30の入力ポートには機関1の吸気量、回転数、冷却水温度、等の運転状態を表すパラメータがそれぞれ図示しないセンサから入力されている他、ループ状排気通路4上のNOXセンサ9の出力が入力されている。また、ECU30の出力ポートは燃料噴射弁や点火プラグ(図示せず)に接続されている他、上述の排気切換弁5のアクチュエータ(図示せず)に接続され、切換弁5の動作を制御している。
【0039】
なお、図1の例ではループ状排気通路4を設けて単一の切換弁5により排気流れ方向を切り換えているが、図2に示すように2つの切換弁5a、5bにより触媒7のハウジング内で触媒内の排気流れ方向を切り換えることも可能である。
図2において、71はハウジング、72はハウジング71内に収容されたNOX吸蔵還元触媒7の担体、72aは触媒担体72内に設けられた多数の排気流路(セル)を示している。本実施形態では、セル72aは上流側排気通路3と下流側排気通路3aとに略直角をなす方向に配置されており、各セルの両端はそれぞれハウジング71内に形成されたヘッダー73と75とに接続されている。
【0040】
図2に73a、75aで示すのは、上流側排気通路3とハウジング71内のヘッダー73、75をそれぞれ接続する排気入口通路、73b、75bで示すのはそれぞれヘッダー73、75を下流側排気通路3aに接続する排気出口通路である。また、排気入口通路73a、75aと上流側排気通路3との接続部には排気通路3からの排気を入口通路73a、75aのいずれか一方に導く入口排気切換弁5aが、また排気出口通路73b、75bと下流側排気通路3aとの接続部には出口通路73b、75bのいずれか一方を下流側排気通路に接続する出口側排気切換弁5bが設けられている。
【0041】
また、本実施形態ではNOXセンサ9は排気入口通路73a、75a、排気出口通路73b、75b、ヘッダー73、75のいずれか1つの上に配置される(図2は排気出口通路75b上にNOXセンサ9を配置した場合を示す)。
本実施形態においても、図1の場合と同様に切換弁5a、5bの操作により触媒7上流側と下流側の排気中のNOX成分濃度を単一のNOXセンサ9を用いて検出することができる。
【0042】
すなわち、切換弁5a、5bを図2に実線で示す第1の位置に切り換えると、排気は排気通路3から入口切換弁5aにより排気入口通路75aに導かれ、ヘッダー75から触媒7のセル72aを図2に実線の矢印で示す第1の方向に流れ、ヘッダー73から排気出口通路75bを通って下流側排気通路3aに流れるようになる。
【0043】
また、切換弁5a、5bを図2に点線で示す第2の位置に切り換えると、排気は入口排気通路73aからヘッダー73に流入し、触媒7のセル72aを点線の矢印で示す第2の方向に流れ、ヘッダー75、排気出口通路75bから下流側排気通路3aに流れるようになる。
【0044】
なお切換弁5a、5bが第1の位置(実線)にあるときは排気入口通路73aと出口通路73bは、それぞれ排気通路3と下流側排気通路3aから遮断され、切換弁5a、5bが第2の位置(点線)にあるときは排気入口通路75aと出口通路75bは、それぞれ排気通路3と下流側排気通路3aから遮断される。
【0045】
次に、上記実施形態で使用するNOXセンサ9について説明する。
図3は、NOXセンサの一般的な構造を模式的に示す断面図である。
図3において、NOXセンサ9は、ジルコニア(ZrO2)等の固体電界質331からなり、固体電解質内には、拡散律速部335を介して排気通路に連通する第1反応室340、第1反応室340と拡散律速部337を介して連通する第2反応室350及び、標準気体としての大気が導入される大気室360を備えている。拡散律速部335、337はそれぞれ第1反応室340、第2反応室350への酸素成分の拡散による流入を抑制し、排気通路内の排気と第1反応室、第1反応室と第2反応室との間の酸素濃度差を維持可能とするものである。
【0046】
図3に341で示すのは第1反応室340内に配置された白金電極(陰極)、342で示すのは陰極341と固体電解質331を挟んでセンサ9外部に設けられた同様な白金電極(陽極)である。また、第2反応室350内には同様な白金電極350とNOX検出用のロジウム(Rh)電極353が、大気室360内には参照用の白金電極361が、それぞれ配置されている。図に370で示すのは固体電解質加熱用の電気ヒータである。
【0047】
第1反応室340の電極341と外部電極342、及び第2反応室の電極351と外部電極342とは、それぞれ第1反応室340と第2反応室350内の排気中の酸素を外部に排出する酸素ポンプとして機能する。固体電解質331が一定の温度以上のときに電極341と342、及び電極351と342との間に電圧を印加すると陰極341、351上では排気中の酸素分子がイオン化され、イオン化した酸素分子が固体電解質331内を陽極342に向かって移動して陽極342上で再び酸素分子になる。このため、第1反応室340、第2反応室350内の排気中の酸素が外部に排出される。また、酸素イオンの移動に伴って、電極342と341及び351との間には単位時間に移動した酸素分子の量に比例する電流が流れる。このため、この電流を制御することにより各反応室から排出される酸素量を制御することができる。
【0048】
また、本実施形態では大気室360の電極361と各反応室内の電極341、351との間には酸素電池が形成される。第1と第2反応室内の排気は酸素濃度が大気に較べて低いため、大気室360内の大気と各反応室内の排気との間には酸素の濃度差が生じている。大気室360と各反応室340、350とを隔てる固体電解質の温度がある温度以上になると、外部から電極間に電圧を印加しない状態では酸素濃度差により大気室360内から固体電解質331を通って反応室340、350に酸素が移動するようになる。
【0049】
すなわち、大気室360内の大気中の酸素分子は電極361上でイオン化し、固体電解質331内を移動して酸素濃度の低い反応室340、350の電極341、351上で再び酸素分子になる。このため、電極361と各電極341、351との間には大気の酸素濃度と各反応室内の酸素濃度との差に応じた電圧が発生する。大気の酸素濃度は一定であるため、電極361と各電極341、351との電位差V0、V1(図3)はそれぞれ第1反応室340と第2反応室351内の排気の酸素濃度を表すようになる。
【0050】
本実施形態では、前述したように、各反応室から酸素を外部に排出する酸素ポンプ(電極341と342、電極351と342)が備えられており、それぞれの酸素ポンプの酸素排出速度はそれぞれの電極間のポンプ電流Ip0、Ip1(図3)を調節することにより、各反応室内の排気の酸素濃度(すなわち、電圧V0、V1)が所定の一定値になるように制御される。本実施形態では第1反応室340内の酸素濃度は例えば1ppm程度に、また、第2の反応室350内の酸素濃度は例えば0.01ppm程度になるようにポンプ電流Ip0、Ip1が制御されている。
【0051】
このため、第2反応室350内は極めて酸素濃度の低い還元雰囲気に維持される。一方、排気中のNOX(NO、NO2)は酸素ポンプによっては外部に排出されないため第1、第2反応室中の排気のNOX濃度は外部の排気と同一に維持される。ところが、第2反応室のNOX検出電極353はロジウム(Rh)であるため還元触媒として機能し、還元雰囲気下でNOX(NO、NO2)を還元する。また、大気室360の参照電極361とNOX検出用電極353との間には電圧が印加されているため、NOX検出用電極353上では、NO→(1/2)N2+(1/2)O2、またはNO2→(1/2)N2+O2の反応が生じNOXの還元により酸素が発生するようになる。この酸素は、電極353上でイオン化して大気室360の参照電極361に向かって固体電解質331中を移動し、参照電極361上で酸素分子を形成する。
【0052】
第2反応室350内の酸素濃度は極めて低いため、参照電極361に向かって固体電解質中を流れる酸素イオンはその全量が排気中のNOXの還元により生じたことになる。すなわち、固体電解質中を単位時間あたりに流れる酸素イオンの量は、第2反応室内のNOX濃度(排気通路内の排気のNOX濃度)に応じた量になる。従って、この酸素イオンの移動に伴って発生する電流値(図3、Ip2)を計測することにより排気通路内の排気のNOX濃度を検出することができる。本実施形態のNOXセンサ9は、上記電流値Ip2を電圧信号に変換し、排気中のNOX濃度に応じた電圧信号を出力するものである。
【0053】
更に、NOXセンサは電極341と342、或いは340と361とを酸素ポンプとして使用することにより、排気と大気との酸素濃度の差、すなわち排気の酸素濃度を検出することができる。すなわち、図3に示したNOXセンサを用いることにより、排気中のNOX成分濃度だけでなく酸素濃度をも検出することが可能となる。
【0054】
上述したように、図1、図2の実施形態では排気切換弁5(または5a、5b)の切り換え操作を行うことにより単一のNOXセンサ9を用いてNOX浄化触媒7の上流側と下流側の排気のNOX濃度や更には酸素濃度をも検出することが可能となる。
【0055】
このように、NOX浄化触媒7の上流側と下流側の排気中の特定成分濃度を検出可能としたことにより、本実施形態では、例えば以下の制御を行うことが可能となっている。
【0056】
(1)機関のEGR(排気再循環)ガス量、点火時期(火花着火機関)、燃料噴射時期(圧縮着火機関)の最適化。
(2)NOX浄化触媒7のリッチスパイク開始時期の判定。
(3)NOX浄化触媒7のリッチスパイク実行時のリッチスパイク終了時期判定。
(4)NOX浄化触媒7の劣化程度の判定。
(5)NOXセンサ9自体の劣化判定。
以下、それぞれについて説明する。
【0057】
(1)EGRガス量等の制御。
本実施形態では、排気切換弁5(または5a、5b)を第1の位置に切り換えることにより、NOXセンサ9により触媒7上流側の排気中のNOX濃度、すなわち触媒によって浄化される前の機関のNOX排出量を検出することができる。
【0058】
内燃機関では、排気中のNOX量は種々の機関の制御状態に応じて変化する。しかし、一般に排気中のNOX濃度は機関のEGRガス量及び火花点火機関にあっては点火時期、圧縮着火機関にあっては燃料噴射時期により最も大きな影響を受ける。
このため、NOXセンサ9で検出した排気中のNOX濃度が予め定めた基準値以上にならないように機関のEGRガス量や点火時期または燃料噴射時期をフィードバック制御することにより、機関の燃焼状態を最適に維持することが可能となる。
【0059】
この場合、例えばNOXセンサ9で検出した触媒上流側の排気中のNOX濃度が基準値より高い場合には、ECU30は、例えばEGR制御弁(図示せず)の開度を増大することにより、機関燃焼室に供給するEGRガス量を増大して機関の燃焼温度を低下させるとともに、火花点火機関にあっては点火時期を遅角し、圧縮着火機関にあっては、燃料噴射時期を遅角する。これにより、機関のNOX発生量が低下し、NOX排出量が基準値を越えないように機関燃焼状態を最適に維持することが可能となる。
【0060】
(2)NOX浄化触媒のリッチスパイク開始時期の判定
NOX浄化触媒は排気中のHC、CO成分を用いてNOX成分を還元するため、NOX浄化触媒にはNOXの浄化のためにHC、COや還元成分を供給する必要がある。
例えば、本実施形態ではNOX浄化触媒としてリーン空燃比の排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持(吸蔵)し、排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等を用いて還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が使用されるが、NOX吸蔵還元触媒はNOX吸蔵量が増大するにつれてNOX吸蔵能力が低下し、排気中のNOXのうち触媒に吸蔵されずに通過してしまうものの量が増大する。このため、排気性状を良好に維持するためには、例えばリーン空燃比運転が続きNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量がある程度増大した場合には、短時間機関をリッチ空燃比で運転してNOX吸蔵還元触媒にリッチ空燃比のHC、CO成分を多く含む排気を供給してNOX吸蔵還元触媒が吸蔵しているNOXを還元浄化する必要がある。
【0061】
本明細書では、リーン空燃比運転中に機関を短時間リッチ空燃比で運転してNOX吸蔵還元触媒の吸蔵したNOXを還元浄化する上記の操作をリッチスパイクと称している。
リッチスパイクが行われると、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量は低下し、排気中のNOXを吸蔵する能力(すなわち排気浄化能力)が回復する。
上述のように、NOX吸蔵還元触媒ではNOX吸蔵量がある程度増大したときにリッチスパイク操作を開始してNOX浄化能力を回復させる必要がある。ところが、リッチスパイク操作を開始するタイミングが早すぎると、触媒のNOX吸蔵量が少ない状態でリッチスパイク操作を行うことになりリッチスパイク操作の実行頻度が増大するため、燃費の悪化などの問題を生じるおそれがある。
【0062】
また、逆にリッチスパイク操作を開始するタイミングが遅すぎると、NOX吸蔵量の増大によりNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力が低下した状態で機関を運転する時間が長くなり、排気性状が悪化するおそれがある。
従って、リッチスパイク開始タイミングを適切に設定するためにはNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を知る必要があるが、実際にはNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を直接検出することは困難である。
そこで、本実施形態ではNOXセンサ9を用いてNOX吸蔵還元触媒7の下流側排気のNOX濃度を検出することによりリッチスパイク開始タイミングを判定するようにしている。
【0063】
すなわち、前述したようにNOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵量が増大すると、それに応じて触媒に吸蔵されずに下流側に流出するNOX量が増大する。本実施形態では、触媒下流側排気中のNOX濃度が増大して予め定めた判定値に到達したときにNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が許容値を越えて増大したと判断してリッチスパイクを開始するようにする。
【0064】
具体的には、ECU30は機関のリーン空燃比運転中切換弁5(または5a、5b)を第2の位置に切り換えてNOXセンサ9によりNOX吸蔵還元触媒7下流側の排気のNOX濃度を検出する。そして、このNOX濃度が予め定めた判定値以上になった場合にはリッチスパイク操作を行う。
本実施形態によれば、上記によりNOX吸蔵還元触媒7のリッチスパイク操作を開始すべきタイミングを適切に判定することが可能となり、常にNOX吸蔵還元触媒7のNOX浄化能力を適切に維持することができる。
【0065】
(3)NOX浄化触媒7のリッチスパイク実行時のリッチスパイク終了時期判定。
リッチスパイク開始タイミングの判定について上記に説明したが、次に開始後リッチスパイク操作を終了するタイミングの判定について説明する。
リッチスパイク操作は、NOX吸蔵還元触媒7が吸蔵したNOXを還元浄化するために実施するものであるので、吸蔵したNOXの全量が還元浄化するのに充分な時間実行する必要がある。
【0066】
リッチスパイク操作の終了タイミングが早すぎるとNOX吸蔵還元触媒7は吸蔵したNOX量がゼロにならない状態で再度NOXの吸蔵を開始することになり、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力を効率的に利用することができなくなる。一方、リッチスパイク操作の終了タイミングが遅すぎると、触媒に吸蔵したNOXが完全に還元浄化された後も必要のないリッチ空燃比運転が行われることとなり、機関燃費の悪化などの問題が生じる。
本実施形態では、NOXセンサ9の酸素濃度センサとしての機能を利用してリッチスパイク操作の終了時期を正確に判定するようにしている。
【0067】
次に、本実施形態のリッチスパイク終了時期の判定原理について説明する。
排気空燃比がリッチ空燃比になると、排気中の酸素濃度が大幅に低下するとともに、排気中の未燃HC、CO等の濃度が急激に増大する。このリッチ空燃比の排気がNOX吸蔵還元触媒に流入すると、触媒に吸蔵されたNOXは、排気中の未燃HC、CO成分等と反応してN2に還元されるとともに、HC、CO成分はNOXとの反応により酸化されてH2OとCO2とになる。このことは、排気組成を全体として見るとリッチ空燃比の排気にNOX吸蔵還元触媒7から酸素が供給されてHC、CO成分が酸化されたことと同等であり、排気中のHC、CO成分の全量がNOXにより酸化されてH2OとCO2とになった場合には、触媒上流側の空燃比はリッチ空燃比であっても触媒下流側の空燃比は理論空燃比となる。
【0068】
すなわち、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXが排気中のHC、COにより還元されている間は、リッチスパイク操作中であっても触媒下流側の酸素濃度は理論空燃比に対応した値となっている。一方、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXの全量が還元されると、排気中のHC、COは酸化されることなくNOX吸蔵還元触媒を通過するようになるため、触媒下流側の排気酸素濃度は大幅に低下してリッチ空燃比に対応した値となる。従って、リッチスパイク実行中に触媒下流側の排気酸素濃度が理論空燃比相当の値からリッチ空燃比相当の値に急激に低下した場合には、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXの全量が還元浄化されており、リッチスパイクを終了すべきタイミングであると判断することができる。
【0069】
本実施形態では、ECU30はリッチスパイクが開始されると切換弁5(または5a、5b)を引き続き第2の位置に保持するとともに、NOXセンサ9を酸素濃度センサとして用いて触媒下流側排気の酸素濃度を監視する。そして、この酸素濃度が大幅に低下してリッチ空燃比相当の値になったとときにリッチスパイク操作を終了するようにしている。
上述のように、本実施形態によればNOX吸蔵還元触媒のリッチスパイクを終了すべき時期を正確に判定することができるため、機関の燃費の悪化が生じることを防止しつつNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力を常に高く維持することが可能となる。
【0070】
(4)NOX浄化触媒の劣化程度の判定。
次に、NOX浄化触媒の劣化程度の判定について説明する。
本実施形態では、NOX浄化触媒としてNOX吸蔵還元触媒7が使用されている。NOX吸蔵還元触媒はリーン空燃比の排気中のNOXを吸蔵することにより排気中のNOXを除去するが、NOX吸蔵還元触媒が劣化すると吸蔵可能な最大NOX量が低下する。従って、前述のように定期的にリッチスパイク操作を行った場合でも、NOX吸蔵還元触媒が劣化するにつれて実際にNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されるNOXの量は低下して行く。
【0071】
本実施形態では、リーン空燃比運転中にNOX吸蔵還元触媒に実際に吸蔵されたNOXの量を算出し、このNOX吸蔵量に基づいてNOX吸蔵還元触媒7の劣化程度を判定するようにしている。
NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されるNOXの量は、触媒7に流入するNOX量から触媒7に吸蔵されずに下流側に流出するNOX量を差し引いた量に等しい。
一方、単位時間当たりに触媒7に流入するNOX量は排気流量に触媒7上流側の排気のNOX濃度を乗じた量に等しく、触媒7から流出するNOX量は排気流量に触媒7下流側の排気NOX濃度を乗じた量に等しい。従って、触媒7上流側排気中のNOX濃度と下流側排気中のNOX濃度とを検出することにより、NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量を算出することができる。
【0072】
図4は本実施形態におけるNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作を説明するタイミング図である。
本実施形態では、機関がリーン空燃比で定常運転されているときにまず、切換弁5(5a、5b)を第1の位置に切り換えてNOX吸蔵還元触媒7上流側の排気NOX濃度を一定期間測定し、期間内の平均濃度を算出する。また、同様に機関の吸入空気量(すなわち排気流量)を一定期間測定し、期間内の平均排気流量を算出する(図4、区間I)。
【0073】
そして、上記平均濃度と排気流量とを算出後、それまでにNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOXを全部還元浄化してNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を一旦ゼロにするためにリッチスパイクを行う(図4、区間II)。また、このときには切換弁5(5a、5b)を第2の位置に切り換えるとともに、NOXセンサ9を酸素濃度センサとして用いてリッチスパイクの終了タイミングを判定する。
そして、NOX吸蔵還元触媒7にリッチスパイク終了後、リッチスパイク開始前と同じリーン空燃比の定常状態で機関を運転し、NOXセンサ9によりNOX吸蔵還元触媒7下流側排気中のNOX濃度を検出する(図4、区間III)。
【0074】
本実施形態では、NOX吸蔵量算出中は定常運転が行われている。このため、区間IIIで触媒7下流側NOX濃度計測中の触媒7上流側の排気流量及びNOX濃度は図4、区間Iで算出した平均排気流量とNOX濃度に等しいと仮定することができる。
従って、区間IIIにおいて単位時間当たりにNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されるNOX量は、(区間Iで計測した上流側平均NOX濃度−区間IIIにおける各時点の下流側NOX濃度)×(区間Iで計測した平均排気流量(吸入空気量))となる。
【0075】
従って、上記単位時間当たりの吸蔵NOX量を区間IIIにわたって積算することにより、区間III内にNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量(図4に斜線で示す面積に対応する量)が算出される。
本実施形態では、計測時間(区間III)は予め定めた一定時間とされる。区間III内にNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量は、NOX吸蔵還元触媒7の現在のNOX吸蔵能力に相当する値となり、NOX吸蔵還元触媒の劣化が進行するほど小さな値になる。
本実施形態では、上記吸蔵NOX量が予め定めた判定値以下になった場合には触媒が劣化したと判定するようにしている。
【0076】
図5は、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の図4とは別の実施形態を示す図4と同様なタイミング図である。
図4の例では、上流側排気のNOX濃度計測と下流側排気のNOX濃度計測との間にリッチスパイク(図4、区間II)が入るため、上流側と下流側との排気NOX濃度計測時の機関運転状態が完全に同一になっていない場合が生じ得る。
図5の例では、この点を考慮して、上流側と下流側との排気NOX濃度計測は、ともにリッチスパイク後の同じリーン空燃比運転サイクル中に行う。
【0077】
本実施形態では通常のリッチスパイク操作(図5、区間I)終了後、直ちに切換弁を第2の位置から第1の位置に切り換えて所定時間の間NOXセンサ9により触媒7上流側の排気NOX濃度を検出し、この期間のNOX濃度を時間平均して上流側の平均NOX濃度を算出する(図5、区間II)。また、同時にこの期間での機関吸入空気量の平均値を算出する。
上流側平均NOX濃度と平均吸入空気量を算出後、切換弁5(5a、5b)は直ちに第2の位置に切り換えられ、NOXセンサ9により触媒下流側の排気NOX濃度の検出を開始する。
【0078】
本実施形態では、図4の例と同様に、区間IIで算出した平均NOX濃度と区間IIIで検出した各時点における下流側NOX濃度との差に基づいて触媒7のNOX吸蔵量を算出する。この場合、区間IIにおける下流側のNOX濃度、はゼロであると仮定する。
【0079】
区間IIは、リッチスパイク(区間I)終了直後の比較的短い時間であり、この期間では下流側に触媒7の劣化が進行していても触媒7に流入する排気中のNOXは、ほぼその全量が触媒7に吸蔵される。このため、区間IIの触媒7下流側の排気NOX濃度をゼロと仮定しても大きな誤差は生じない。
本実施形態においても、NOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵量は、図5の斜線部分面積に対応する量として算出される。
【0080】
上述のように、図5の例では触媒7上流側の排気NOX濃度計測時と下流側排気NOX濃度計測時とで機関運転状態が変化しないため、より正確に触媒7のNOX吸蔵量を算出することができ、NOX吸蔵還元触媒7の正確な劣化判定を行うことができる。
【0081】
(5)NOXセンサの劣化判定
次に本実施形態におけるNOXセンサ9の劣化判定について説明する。
NOXセンサは、劣化により出力に誤差が発生する場合がある。特に、実際のNOXセンサでは、排気ガスを細径の導入孔(ピンホール)を通じてセンサー部に導いているため、このピンホールの詰まりなどにより出力が大きく変化してしまう場合がある。
【0082】
このように、NOXセンサに劣化が生じて検出値に誤差が含まれるようになると、前述の各制御を適切に行うことが出来なくなり、排気性状の悪化や機関燃費の増大が生じる場合がある。本実施形態では、定期的にNOXセンサ9の劣化の有無を判定し、劣化が生じている場合には運転者にその旨を報知して修理を促すことにより、劣化したセンサを用いて制御が継続されることを防止している。
【0083】
本実施形態では、機関がリーン空燃比で定常運転されているときに切換弁を第1の位置から第2の位置、または第2の位置から第1の位置に切り換えて、切り換え前後のNOXセンサ出力の変化に基づいてNOXセンサ9の劣化の有無について判断する。
図6は、機関がリーン空燃比で定常運転されているときに切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えた場合の正常な(劣化を生じていない)NOXセンサの出力の変化を示す図である。
【0084】
図6はリッチスパイク直後にNOXセンサ劣化の有無を判定する場合を示している。前述したように、リッチスパイク操作時にはNOXセンサによりリッチスパイク開始タイミングと終了タイミングとを判定するために、切換弁5(5a、5b)は第2の位置に切り換えられておりNOXセンサ9はNOX吸蔵還元触媒7の下流側排気を検出中である。このため、図6では切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えたときのNOXセンサ9出力の変化を検出することにより、NOXセンサの劣化の有無を判定する。
【0085】
図6に示すように、時点Sで切換弁が第2の位置(下流側)から第1の位置(上流側)に切り換えられた場合、時点S以前ではNOXセンサ9は触媒7下流側の排気のNOX濃度を検出している。リッチスパイク直後はNOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵能力が高いため、触媒下流側の排気NOX濃度はほぼゼロであり、時点S以前ではNOXセンサの出力もこれに対応して低い値V1になっている。
一方、機関がリーン空燃比で定常運転されている場合にはNOX吸蔵還元触媒7上流側の排気のNOX濃度は比較的高いため、時点Sで切換弁5(5a、5b)が第1の位置に切り換えられるとNOXセンサ9の出力は急激に上昇し、最終的に上流側NOX濃度に対応した比較的大きな値V2に収束する。
【0086】
しかし、NOXセンサ9が劣化すると、図6に点線で示すように、時点Sで切換弁を切り換え後のNOXセンサ9の出力上昇速度が低下して最終出力V2′に到達するまでの時間が長くなる。
本実施形態では、切換弁切り換え後のNOXセンサの出力変化速度が大幅に低下した場合にNOXセンサ9が劣化したと判定する。
【0087】
すなわち、ECU30はリッチスパイク操作終了後切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えるとともに、一定時間毎に時刻とともにNOXセンサ9の出力をRAMに記憶する。
そして、NOXセンサ出力が最終到達値に収束した後(すなわち、NOXセンサ出力が変化しなくなったあと)、切り換え後の最終到達出力と切り換え前の出力との差に比例する幅の出力変化に要する時間Tresを算出する。
【0088】
すなわち、図6に示すように、切り換え前のNOXセンサ出力がV1、切り換え後の最終到達出力かV2であった場合、ECU30はV1とV2とから、一定の係数αとβ(1>β>α)とを用いて、VA=V1+(V2−V1)×α、VB=V1+(V2−V1)×β、の計算式により出力値VA、VBを算出する。
【0089】
更に、ECU30はRAMに記憶したNOXセンサ9の出力変化履歴から、センサ出力がVAからVBに変化するのに要した時間Tresを算出し、この時間が予め定めた判定値Tres0より大きくなった場合にはNOXセンサ9が劣化したと判定するようにしている。
【0090】
なお、本実施形態ではリッチスパイク後に切換弁を第2の位置(下流側排気NOX濃度検出)から第1の位置(上流側排気NOX濃度検出)に切り換えることによりNOXセンサの劣化の有無を判定している。これは、リッチスパイク後には触媒下流側排気のNOX濃度は略ゼロになるため、上流側排気NOX濃度と下流側排気NOX濃度の差が大きくなり、NOXセンサ劣化の有無を判定しやすくなるためである。しかし、ある程度触媒の上流側と下流側の排気のNOX濃度が大きければNOXセンサの劣化の有無を判定することはできるため、リッチスパイク後でないときに、まず触媒上流側のNOX濃度を検出し、次に下流側のNOX濃度を検出することによっても全く同様なNOXセンサ劣化判定が可能となる。
【0091】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、単一の排気センサを用いながら触媒上流側と下流側との両方の排気中の特定成分濃度を検出することが可能となるため、装置コストの増大を防止しながら触媒の浄化能力や劣化判定を精度良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の、図1とは別の実施形態の主要部の構成を模式的に示す図である。
【図3】NOXセンサの一般的な構造を模式的に示す断面図である。
【図4】NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の一実施形態を説明するタイミング図である。
【図5】NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の、図4とは別の実施形態を説明するタイミング図である。
【図6】NOXセンサの劣化検出原理を説明する図である。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
3…吸気通路
5、5a、5b…排気切換弁
7…NOX吸蔵還元触媒
9…NOXセンサ
30…電子制御ユニット(ECU)
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気中のNOX(窒素酸化物)濃度を検出するNOXセンサを用いて、排気浄化触媒の劣化程度の判定を行ったり、NOXの排出量が少なくなるように機関の運転を制御する技術が知られている。
【0003】
NOXセンサのこの種の利用方法の例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
同文献では、排気中のNOXを浄化するNOX浄化触媒の上流側と下流側の排気通路にそれぞれNOXセンサを配置し、これらのセンサの検出結果に基づいてNOX浄化触媒のNOX浄化率を算出し、このNOX浄化率の変化に基づいてNOX浄化触媒の劣化の程度を判定している。
【0005】
すなわち、同文献ではNOX浄化触媒の入口での排気NOX濃度と出口での排気NOX濃度とを測定することにより、触媒に流入する排気中のNOXのうち触媒により浄化されたNOX量(すなわち触媒の浄化能力)を算出し、更にこの浄化能力の低下の程度に基づいて触媒の劣化程度を判定している。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−93647号公報
【特許文献2】
特開2000−73741号公報
【特許文献3】
特開平2−204613号公報
【特許文献4】
特開2000−282958号公報
【特許文献5】
特開2000−104533号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の装置のようにNOXセンサを用いてNOX浄化触媒の上流側(入口側)と下流側(出口側)の排気中のNOX濃度を検出することにより、精度の良い浄化能力の判定と劣化程度判定を行うことができる。しかし、同文献の装置では、触媒入口側排気中のNOX濃度と出口側排気中のNOX濃度との両方を検出するために触媒の上流側(入口側)と下流側(出口側)との両方にNOXセンサを配置している。
ところが、NOXセンサはそれ自体がかなり高価格であるため、触媒入口側と出口側との両方にNOXセンサを配置すると装置価格が大幅に増大する問題が請じる。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、NOXセンサ等の排気センサを用いて触媒の浄化能力や劣化の判定を精度よく行いながら装置価格の増大を最小に抑制することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置した排気浄化触媒と、前記排気浄化触媒内を流れる排気の流れ方向を第1の方向と、該第1の方向とは反対の第2の方向とに切換える切換手段と、排気中の特定成分濃度を検出する排気センサとを備え、該排気センサは前記切換手段により排気流れ方向が前記第1の方向に切り換えられたときは前記触媒に流入する排気と接触するとともに、排気流れ方向が前記第2の方向に切り換えられたときは前記触媒から流出する排気と接触する位置に配置されている内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記排気センサは、前記特定成分として排気中のNOX濃度を検出するNOXセンサである、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0011】
すなわち、請求項1と2の発明では、切換手段により触媒内を流れる排気の流れ方向を切り換えることにより単一のセンサで触媒入口の排気と出口排気との両方の排気中の特定成分濃度を検出することが可能となる。これにより、例えば排気センサとしてNOXセンサを使用した場合も、触媒の入口側排気と出口側排気との両方の特定成分濃度を単一のNOXセンサで検出することが可能となる。従って、この場合にはNOXセンサを用いて精度良く触媒の性能劣化等を判定しながら、NOXセンサの個数を減らし装置価格の上昇を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、更に、前記NOXセンサの出力に基づいて少なくとも前記機関の制御状態を含む機関状態の複数の種類の判定対象を判定する判定手段を備え、該判定手段は前記切換手段により判定対象に応じて定まる方向に前記排気流れ方向を切り換える、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項3に記載の発明では、機関状態の複数種類の判定対象を判定するに際して、判定対象に応じて排気流れ方向を切り換えることにより、触媒入口側と出口側のNOX濃度のうち判定に必要とされるいずれか一方もしくは両方を単一のNOXセンサで検出することが出来る。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記判定手段は、排気流れが前記第1の方向に切換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記機関制御状態を判定する、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項4の発明では排気流れを第1の方向に切り換えた状態でのNOXセンサ出力、つまり触媒入口側でのNOX濃度に基づいて機関制御状態を判定する。触媒入口側でのNOX濃度は機関出口でのNOX濃度に等しい。このため、機関出口でのNOX濃度を検出することにより、機関の燃焼状態(燃焼に関する制御の状態)を判定することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記機関制御状態として、機関のEGRガス量と燃料噴射時期または点火時期のうち少なくとも1つを判定する、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項5の発明では排気中のNOX量に大きな影響があるEGRガス量、燃料噴射時期(ディーゼル機関の場合)、または点火時期(ガソリン機関の場合)が適切に制御されているか否かが、触媒上流側でのNOX濃度に基づいて判定される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記排気浄化触媒は、排気中のNOX成分を浄化するNOX浄化触媒である、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項6の発明では、排気浄化触媒としてNOX浄化触媒が使用される。このように、NOXセンサを用いてNOX浄化触媒の入口側と出口側の排気中のNOX濃度を検出することにより、NOX浄化触媒の状態を判定することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記判定対象は、前記NOX浄化触媒にリッチ空燃比の排気を供給するリッチスパイク操作を開始すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を開始すべきか否かを判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項7の発明ではNOX浄化触媒に短時間リッチ空燃比の排気を供給するリッチスパイク操作が行われる。例えば、NOX浄化触媒としてリーン空燃比の排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持(吸蔵)し、排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等を用いて還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が使用された場合には、触媒に吸蔵したNOXを還元浄化するために、リーン空燃比運転中に短時間機関をリッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行う必要がある。
【0022】
リッチスパイク操作は、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が増大してNOX浄化能力が低下したときに実行する。本発明では判定手段は排気流れを第2の方向に切り換えることにより、NOX浄化触媒下流側の排気中のNOX濃度に基づいてリッチスパイクが必要か否かを判定する。
【0023】
例えば、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が増大してNOX浄化能力が低下すると触媒下流側の排気中のNOX濃度が増大し、上流側の排気NOX濃度に近づくようになる。従って、排気流れを第2の方向に切り換えてNOX浄化触媒下流側の排気中のNOX濃度を検出することによりNOX浄化触媒のNOX浄化能力の低下、すなわちリッチスパイク操作が必要か否かを判定することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、前記NOXセンサは、更に特定成分として排気中の酸素濃度をも検出し、前記判定対象は更に、実行中の前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かを判定する、請求項7に記載の内燃機関排気浄化装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項8の発明ではNOXセンサとして、NOX濃度に加えて排気中の酸素濃度をも検出することができるものが使用される。
リッチスパイク操作実行中は後述するように、NOX吸蔵還元触媒が吸蔵したNOXが還元されている間は触媒下流側排気の空燃比は理論空燃比近傍になり、吸蔵したNOXが全て還元されると下流側排気の空燃比はリッチ空燃比に移行する。従って、排気流れを第2の方向に切り換えるとともに、NOXセンサを用いて触媒下流側の排気酸素濃度を監視し、酸素濃度の変化から排気空燃比を判定することにより、触媒に吸蔵されたNOXの還元浄化が完了した時期、すなわちリッチスパイク操作を終了すべき時期を判断することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、前記判定対象は、前記NOX浄化触媒の劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、前記NOX濃度センサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOX浄化触媒の劣化状態を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項9の発明では排気流れ方向を第1と第2の方向に切り換えて触媒上流側と下流側の排気NOX濃度を検出することにより、触媒に流入する排気中のNOXのうち触媒で浄化されずに下流側に通過するNOX量を知ることができる。これにより、NOX浄化触媒のNOX浄化能力を知ることができるため、NOX浄化触媒の浄化能力の低下に基づいて触媒の劣化度合いを判定することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、前記判定対象は、更に前記NOXセンサの劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、切換前後にそれぞれの流れ方向において前記NOXセンサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOXセンサの劣化程度を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0029】
すなわち、請求項10の発明ではNOX浄化触媒の上流側と下流側の排気中のNOX濃度を単一のNOXセンサで検出することにより、NOXセンサの劣化の程度を判定する。NOX浄化触媒が正常であった場合には、触媒の上流側に較べて下流側では排気中のNOX濃度が大幅に低くなっており、排気流れ方向の切り換え前後でNOXセンサ出力は急激に変化する。従って、NOXセンサで検出した排気流れ方向の切換前後のNOX濃度が大きく変化しないような場合にはNOXセンサの劣化によりセンサ出力に異常が生じていると判定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を模式的に示す図である。
【0031】
図1において、1は内燃機関本体、3は機関1の排気が流れる排気管、31は排気管3を機関1の各気筒の排気ポートに接続する排気マニホルドを、それぞれ示している。
【0032】
図1に4で示すのは、両端が排気通路3に接続されたループ状排気通路である。ループ状排気通路4は、それぞれ一端が排気通路3に接続される通路4aと4bとからなり、ループ状排気通路4のそれぞれの通路4a、4bと排気通路3との接続部には排気の流れ方向を切り換える切換弁5が設けられている。また、本実施形態では通路4a、4bにはNOX吸蔵還元触媒7が配置されており、通路4a、4bとNOX吸蔵還元触媒7とにより排気通路3から出て排気通路3に戻るループ状の連続した排気通路4が構成される。NOX吸蔵還元触媒7は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持し、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比となったときに、吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等の成分を用いて還元浄化するものである。
【0033】
本実施形態では、切換弁5を切り換えることにより、NOX吸蔵還元触媒7を通る排気の流れ方向を逆転させることが可能となっている。すなわち、切換弁5を図1に実線で示した第1の位置に切り換えると、機関1の排気は排気通路3から切換弁5によりループ排気通路4の通路4aに流入し、NOX吸蔵還元触媒7を図1に実線の矢印で示す第1の方向に流れ、通路4bから切換弁5を通って下流側排気通路3aに流入する。
【0034】
また、切換弁5を図1に点線で示した第2の方向に切り換えると、機関1の排気は排気通路3から通路4bに流入し、NOX吸蔵還元触媒7を点線の矢印で示す第2の方向に流れ、通路4aから切換弁5を通って下流側排気通路3aに流入するようになる。
【0035】
本実施形態では、ループ状排気通路4の通路4a、4bのいずれか一方には、後述するNOXセンサ9が配置されている(図1では通路4a上にNOXセンサ9を配置した場合を示す)。NOXセンサ9は排気中のNOX成分濃度に応じた電圧信号を発生するセンサである。上記から判るように、NOXセンサ9は触媒7を通る排気が第1の流れ方向(実線)に切り換えられると、触媒7に流入する排気(触媒上流側排気)と接触し、第2の流れ方向(点線)に切り換えられると、触媒7から流出する排気(触媒下流側排気)と接触するようになる。
【0036】
すなわち、本実施形態では切換弁5を第1の位置と第2の位置との間で切り換えることにより、通路4aに設けた単一のNOXセンサ9でNOX吸蔵還元触媒7の上流側排気と下流側排気との両方の排気中のNOX成分濃度を検出することが可能となっている。
【0037】
図1に30で示すのは、機関1の燃料噴射制御、点火時期制御等の基本制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、中央演算装置(CPU)を双方向性バスで互いに接続した公知の形式のマイクロコンピュータとして構成され、本実施形態では上記基本制御の他に、切換弁5により排気流れ方向を第1と第2の方向に切り換えてNOXセンサ9で検出したNOX成分濃度等により後述する種々の制御操作を行う。
【0038】
これらの制御のため、ECU30の入力ポートには機関1の吸気量、回転数、冷却水温度、等の運転状態を表すパラメータがそれぞれ図示しないセンサから入力されている他、ループ状排気通路4上のNOXセンサ9の出力が入力されている。また、ECU30の出力ポートは燃料噴射弁や点火プラグ(図示せず)に接続されている他、上述の排気切換弁5のアクチュエータ(図示せず)に接続され、切換弁5の動作を制御している。
【0039】
なお、図1の例ではループ状排気通路4を設けて単一の切換弁5により排気流れ方向を切り換えているが、図2に示すように2つの切換弁5a、5bにより触媒7のハウジング内で触媒内の排気流れ方向を切り換えることも可能である。
図2において、71はハウジング、72はハウジング71内に収容されたNOX吸蔵還元触媒7の担体、72aは触媒担体72内に設けられた多数の排気流路(セル)を示している。本実施形態では、セル72aは上流側排気通路3と下流側排気通路3aとに略直角をなす方向に配置されており、各セルの両端はそれぞれハウジング71内に形成されたヘッダー73と75とに接続されている。
【0040】
図2に73a、75aで示すのは、上流側排気通路3とハウジング71内のヘッダー73、75をそれぞれ接続する排気入口通路、73b、75bで示すのはそれぞれヘッダー73、75を下流側排気通路3aに接続する排気出口通路である。また、排気入口通路73a、75aと上流側排気通路3との接続部には排気通路3からの排気を入口通路73a、75aのいずれか一方に導く入口排気切換弁5aが、また排気出口通路73b、75bと下流側排気通路3aとの接続部には出口通路73b、75bのいずれか一方を下流側排気通路に接続する出口側排気切換弁5bが設けられている。
【0041】
また、本実施形態ではNOXセンサ9は排気入口通路73a、75a、排気出口通路73b、75b、ヘッダー73、75のいずれか1つの上に配置される(図2は排気出口通路75b上にNOXセンサ9を配置した場合を示す)。
本実施形態においても、図1の場合と同様に切換弁5a、5bの操作により触媒7上流側と下流側の排気中のNOX成分濃度を単一のNOXセンサ9を用いて検出することができる。
【0042】
すなわち、切換弁5a、5bを図2に実線で示す第1の位置に切り換えると、排気は排気通路3から入口切換弁5aにより排気入口通路75aに導かれ、ヘッダー75から触媒7のセル72aを図2に実線の矢印で示す第1の方向に流れ、ヘッダー73から排気出口通路75bを通って下流側排気通路3aに流れるようになる。
【0043】
また、切換弁5a、5bを図2に点線で示す第2の位置に切り換えると、排気は入口排気通路73aからヘッダー73に流入し、触媒7のセル72aを点線の矢印で示す第2の方向に流れ、ヘッダー75、排気出口通路75bから下流側排気通路3aに流れるようになる。
【0044】
なお切換弁5a、5bが第1の位置(実線)にあるときは排気入口通路73aと出口通路73bは、それぞれ排気通路3と下流側排気通路3aから遮断され、切換弁5a、5bが第2の位置(点線)にあるときは排気入口通路75aと出口通路75bは、それぞれ排気通路3と下流側排気通路3aから遮断される。
【0045】
次に、上記実施形態で使用するNOXセンサ9について説明する。
図3は、NOXセンサの一般的な構造を模式的に示す断面図である。
図3において、NOXセンサ9は、ジルコニア(ZrO2)等の固体電界質331からなり、固体電解質内には、拡散律速部335を介して排気通路に連通する第1反応室340、第1反応室340と拡散律速部337を介して連通する第2反応室350及び、標準気体としての大気が導入される大気室360を備えている。拡散律速部335、337はそれぞれ第1反応室340、第2反応室350への酸素成分の拡散による流入を抑制し、排気通路内の排気と第1反応室、第1反応室と第2反応室との間の酸素濃度差を維持可能とするものである。
【0046】
図3に341で示すのは第1反応室340内に配置された白金電極(陰極)、342で示すのは陰極341と固体電解質331を挟んでセンサ9外部に設けられた同様な白金電極(陽極)である。また、第2反応室350内には同様な白金電極350とNOX検出用のロジウム(Rh)電極353が、大気室360内には参照用の白金電極361が、それぞれ配置されている。図に370で示すのは固体電解質加熱用の電気ヒータである。
【0047】
第1反応室340の電極341と外部電極342、及び第2反応室の電極351と外部電極342とは、それぞれ第1反応室340と第2反応室350内の排気中の酸素を外部に排出する酸素ポンプとして機能する。固体電解質331が一定の温度以上のときに電極341と342、及び電極351と342との間に電圧を印加すると陰極341、351上では排気中の酸素分子がイオン化され、イオン化した酸素分子が固体電解質331内を陽極342に向かって移動して陽極342上で再び酸素分子になる。このため、第1反応室340、第2反応室350内の排気中の酸素が外部に排出される。また、酸素イオンの移動に伴って、電極342と341及び351との間には単位時間に移動した酸素分子の量に比例する電流が流れる。このため、この電流を制御することにより各反応室から排出される酸素量を制御することができる。
【0048】
また、本実施形態では大気室360の電極361と各反応室内の電極341、351との間には酸素電池が形成される。第1と第2反応室内の排気は酸素濃度が大気に較べて低いため、大気室360内の大気と各反応室内の排気との間には酸素の濃度差が生じている。大気室360と各反応室340、350とを隔てる固体電解質の温度がある温度以上になると、外部から電極間に電圧を印加しない状態では酸素濃度差により大気室360内から固体電解質331を通って反応室340、350に酸素が移動するようになる。
【0049】
すなわち、大気室360内の大気中の酸素分子は電極361上でイオン化し、固体電解質331内を移動して酸素濃度の低い反応室340、350の電極341、351上で再び酸素分子になる。このため、電極361と各電極341、351との間には大気の酸素濃度と各反応室内の酸素濃度との差に応じた電圧が発生する。大気の酸素濃度は一定であるため、電極361と各電極341、351との電位差V0、V1(図3)はそれぞれ第1反応室340と第2反応室351内の排気の酸素濃度を表すようになる。
【0050】
本実施形態では、前述したように、各反応室から酸素を外部に排出する酸素ポンプ(電極341と342、電極351と342)が備えられており、それぞれの酸素ポンプの酸素排出速度はそれぞれの電極間のポンプ電流Ip0、Ip1(図3)を調節することにより、各反応室内の排気の酸素濃度(すなわち、電圧V0、V1)が所定の一定値になるように制御される。本実施形態では第1反応室340内の酸素濃度は例えば1ppm程度に、また、第2の反応室350内の酸素濃度は例えば0.01ppm程度になるようにポンプ電流Ip0、Ip1が制御されている。
【0051】
このため、第2反応室350内は極めて酸素濃度の低い還元雰囲気に維持される。一方、排気中のNOX(NO、NO2)は酸素ポンプによっては外部に排出されないため第1、第2反応室中の排気のNOX濃度は外部の排気と同一に維持される。ところが、第2反応室のNOX検出電極353はロジウム(Rh)であるため還元触媒として機能し、還元雰囲気下でNOX(NO、NO2)を還元する。また、大気室360の参照電極361とNOX検出用電極353との間には電圧が印加されているため、NOX検出用電極353上では、NO→(1/2)N2+(1/2)O2、またはNO2→(1/2)N2+O2の反応が生じNOXの還元により酸素が発生するようになる。この酸素は、電極353上でイオン化して大気室360の参照電極361に向かって固体電解質331中を移動し、参照電極361上で酸素分子を形成する。
【0052】
第2反応室350内の酸素濃度は極めて低いため、参照電極361に向かって固体電解質中を流れる酸素イオンはその全量が排気中のNOXの還元により生じたことになる。すなわち、固体電解質中を単位時間あたりに流れる酸素イオンの量は、第2反応室内のNOX濃度(排気通路内の排気のNOX濃度)に応じた量になる。従って、この酸素イオンの移動に伴って発生する電流値(図3、Ip2)を計測することにより排気通路内の排気のNOX濃度を検出することができる。本実施形態のNOXセンサ9は、上記電流値Ip2を電圧信号に変換し、排気中のNOX濃度に応じた電圧信号を出力するものである。
【0053】
更に、NOXセンサは電極341と342、或いは340と361とを酸素ポンプとして使用することにより、排気と大気との酸素濃度の差、すなわち排気の酸素濃度を検出することができる。すなわち、図3に示したNOXセンサを用いることにより、排気中のNOX成分濃度だけでなく酸素濃度をも検出することが可能となる。
【0054】
上述したように、図1、図2の実施形態では排気切換弁5(または5a、5b)の切り換え操作を行うことにより単一のNOXセンサ9を用いてNOX浄化触媒7の上流側と下流側の排気のNOX濃度や更には酸素濃度をも検出することが可能となる。
【0055】
このように、NOX浄化触媒7の上流側と下流側の排気中の特定成分濃度を検出可能としたことにより、本実施形態では、例えば以下の制御を行うことが可能となっている。
【0056】
(1)機関のEGR(排気再循環)ガス量、点火時期(火花着火機関)、燃料噴射時期(圧縮着火機関)の最適化。
(2)NOX浄化触媒7のリッチスパイク開始時期の判定。
(3)NOX浄化触媒7のリッチスパイク実行時のリッチスパイク終了時期判定。
(4)NOX浄化触媒7の劣化程度の判定。
(5)NOXセンサ9自体の劣化判定。
以下、それぞれについて説明する。
【0057】
(1)EGRガス量等の制御。
本実施形態では、排気切換弁5(または5a、5b)を第1の位置に切り換えることにより、NOXセンサ9により触媒7上流側の排気中のNOX濃度、すなわち触媒によって浄化される前の機関のNOX排出量を検出することができる。
【0058】
内燃機関では、排気中のNOX量は種々の機関の制御状態に応じて変化する。しかし、一般に排気中のNOX濃度は機関のEGRガス量及び火花点火機関にあっては点火時期、圧縮着火機関にあっては燃料噴射時期により最も大きな影響を受ける。
このため、NOXセンサ9で検出した排気中のNOX濃度が予め定めた基準値以上にならないように機関のEGRガス量や点火時期または燃料噴射時期をフィードバック制御することにより、機関の燃焼状態を最適に維持することが可能となる。
【0059】
この場合、例えばNOXセンサ9で検出した触媒上流側の排気中のNOX濃度が基準値より高い場合には、ECU30は、例えばEGR制御弁(図示せず)の開度を増大することにより、機関燃焼室に供給するEGRガス量を増大して機関の燃焼温度を低下させるとともに、火花点火機関にあっては点火時期を遅角し、圧縮着火機関にあっては、燃料噴射時期を遅角する。これにより、機関のNOX発生量が低下し、NOX排出量が基準値を越えないように機関燃焼状態を最適に維持することが可能となる。
【0060】
(2)NOX浄化触媒のリッチスパイク開始時期の判定
NOX浄化触媒は排気中のHC、CO成分を用いてNOX成分を還元するため、NOX浄化触媒にはNOXの浄化のためにHC、COや還元成分を供給する必要がある。
例えば、本実施形態ではNOX浄化触媒としてリーン空燃比の排気中のNOXを吸着、吸収またはその両方にて選択的に保持(吸蔵)し、排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに吸蔵したNOXを排気中のHC、CO等を用いて還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が使用されるが、NOX吸蔵還元触媒はNOX吸蔵量が増大するにつれてNOX吸蔵能力が低下し、排気中のNOXのうち触媒に吸蔵されずに通過してしまうものの量が増大する。このため、排気性状を良好に維持するためには、例えばリーン空燃比運転が続きNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量がある程度増大した場合には、短時間機関をリッチ空燃比で運転してNOX吸蔵還元触媒にリッチ空燃比のHC、CO成分を多く含む排気を供給してNOX吸蔵還元触媒が吸蔵しているNOXを還元浄化する必要がある。
【0061】
本明細書では、リーン空燃比運転中に機関を短時間リッチ空燃比で運転してNOX吸蔵還元触媒の吸蔵したNOXを還元浄化する上記の操作をリッチスパイクと称している。
リッチスパイクが行われると、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量は低下し、排気中のNOXを吸蔵する能力(すなわち排気浄化能力)が回復する。
上述のように、NOX吸蔵還元触媒ではNOX吸蔵量がある程度増大したときにリッチスパイク操作を開始してNOX浄化能力を回復させる必要がある。ところが、リッチスパイク操作を開始するタイミングが早すぎると、触媒のNOX吸蔵量が少ない状態でリッチスパイク操作を行うことになりリッチスパイク操作の実行頻度が増大するため、燃費の悪化などの問題を生じるおそれがある。
【0062】
また、逆にリッチスパイク操作を開始するタイミングが遅すぎると、NOX吸蔵量の増大によりNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力が低下した状態で機関を運転する時間が長くなり、排気性状が悪化するおそれがある。
従って、リッチスパイク開始タイミングを適切に設定するためにはNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を知る必要があるが、実際にはNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を直接検出することは困難である。
そこで、本実施形態ではNOXセンサ9を用いてNOX吸蔵還元触媒7の下流側排気のNOX濃度を検出することによりリッチスパイク開始タイミングを判定するようにしている。
【0063】
すなわち、前述したようにNOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵量が増大すると、それに応じて触媒に吸蔵されずに下流側に流出するNOX量が増大する。本実施形態では、触媒下流側排気中のNOX濃度が増大して予め定めた判定値に到達したときにNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が許容値を越えて増大したと判断してリッチスパイクを開始するようにする。
【0064】
具体的には、ECU30は機関のリーン空燃比運転中切換弁5(または5a、5b)を第2の位置に切り換えてNOXセンサ9によりNOX吸蔵還元触媒7下流側の排気のNOX濃度を検出する。そして、このNOX濃度が予め定めた判定値以上になった場合にはリッチスパイク操作を行う。
本実施形態によれば、上記によりNOX吸蔵還元触媒7のリッチスパイク操作を開始すべきタイミングを適切に判定することが可能となり、常にNOX吸蔵還元触媒7のNOX浄化能力を適切に維持することができる。
【0065】
(3)NOX浄化触媒7のリッチスパイク実行時のリッチスパイク終了時期判定。
リッチスパイク開始タイミングの判定について上記に説明したが、次に開始後リッチスパイク操作を終了するタイミングの判定について説明する。
リッチスパイク操作は、NOX吸蔵還元触媒7が吸蔵したNOXを還元浄化するために実施するものであるので、吸蔵したNOXの全量が還元浄化するのに充分な時間実行する必要がある。
【0066】
リッチスパイク操作の終了タイミングが早すぎるとNOX吸蔵還元触媒7は吸蔵したNOX量がゼロにならない状態で再度NOXの吸蔵を開始することになり、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力を効率的に利用することができなくなる。一方、リッチスパイク操作の終了タイミングが遅すぎると、触媒に吸蔵したNOXが完全に還元浄化された後も必要のないリッチ空燃比運転が行われることとなり、機関燃費の悪化などの問題が生じる。
本実施形態では、NOXセンサ9の酸素濃度センサとしての機能を利用してリッチスパイク操作の終了時期を正確に判定するようにしている。
【0067】
次に、本実施形態のリッチスパイク終了時期の判定原理について説明する。
排気空燃比がリッチ空燃比になると、排気中の酸素濃度が大幅に低下するとともに、排気中の未燃HC、CO等の濃度が急激に増大する。このリッチ空燃比の排気がNOX吸蔵還元触媒に流入すると、触媒に吸蔵されたNOXは、排気中の未燃HC、CO成分等と反応してN2に還元されるとともに、HC、CO成分はNOXとの反応により酸化されてH2OとCO2とになる。このことは、排気組成を全体として見るとリッチ空燃比の排気にNOX吸蔵還元触媒7から酸素が供給されてHC、CO成分が酸化されたことと同等であり、排気中のHC、CO成分の全量がNOXにより酸化されてH2OとCO2とになった場合には、触媒上流側の空燃比はリッチ空燃比であっても触媒下流側の空燃比は理論空燃比となる。
【0068】
すなわち、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXが排気中のHC、COにより還元されている間は、リッチスパイク操作中であっても触媒下流側の酸素濃度は理論空燃比に対応した値となっている。一方、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXの全量が還元されると、排気中のHC、COは酸化されることなくNOX吸蔵還元触媒を通過するようになるため、触媒下流側の排気酸素濃度は大幅に低下してリッチ空燃比に対応した値となる。従って、リッチスパイク実行中に触媒下流側の排気酸素濃度が理論空燃比相当の値からリッチ空燃比相当の値に急激に低下した場合には、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵したNOXの全量が還元浄化されており、リッチスパイクを終了すべきタイミングであると判断することができる。
【0069】
本実施形態では、ECU30はリッチスパイクが開始されると切換弁5(または5a、5b)を引き続き第2の位置に保持するとともに、NOXセンサ9を酸素濃度センサとして用いて触媒下流側排気の酸素濃度を監視する。そして、この酸素濃度が大幅に低下してリッチ空燃比相当の値になったとときにリッチスパイク操作を終了するようにしている。
上述のように、本実施形態によればNOX吸蔵還元触媒のリッチスパイクを終了すべき時期を正確に判定することができるため、機関の燃費の悪化が生じることを防止しつつNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化能力を常に高く維持することが可能となる。
【0070】
(4)NOX浄化触媒の劣化程度の判定。
次に、NOX浄化触媒の劣化程度の判定について説明する。
本実施形態では、NOX浄化触媒としてNOX吸蔵還元触媒7が使用されている。NOX吸蔵還元触媒はリーン空燃比の排気中のNOXを吸蔵することにより排気中のNOXを除去するが、NOX吸蔵還元触媒が劣化すると吸蔵可能な最大NOX量が低下する。従って、前述のように定期的にリッチスパイク操作を行った場合でも、NOX吸蔵還元触媒が劣化するにつれて実際にNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されるNOXの量は低下して行く。
【0071】
本実施形態では、リーン空燃比運転中にNOX吸蔵還元触媒に実際に吸蔵されたNOXの量を算出し、このNOX吸蔵量に基づいてNOX吸蔵還元触媒7の劣化程度を判定するようにしている。
NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されるNOXの量は、触媒7に流入するNOX量から触媒7に吸蔵されずに下流側に流出するNOX量を差し引いた量に等しい。
一方、単位時間当たりに触媒7に流入するNOX量は排気流量に触媒7上流側の排気のNOX濃度を乗じた量に等しく、触媒7から流出するNOX量は排気流量に触媒7下流側の排気NOX濃度を乗じた量に等しい。従って、触媒7上流側排気中のNOX濃度と下流側排気中のNOX濃度とを検出することにより、NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量を算出することができる。
【0072】
図4は本実施形態におけるNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作を説明するタイミング図である。
本実施形態では、機関がリーン空燃比で定常運転されているときにまず、切換弁5(5a、5b)を第1の位置に切り換えてNOX吸蔵還元触媒7上流側の排気NOX濃度を一定期間測定し、期間内の平均濃度を算出する。また、同様に機関の吸入空気量(すなわち排気流量)を一定期間測定し、期間内の平均排気流量を算出する(図4、区間I)。
【0073】
そして、上記平均濃度と排気流量とを算出後、それまでにNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOXを全部還元浄化してNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量を一旦ゼロにするためにリッチスパイクを行う(図4、区間II)。また、このときには切換弁5(5a、5b)を第2の位置に切り換えるとともに、NOXセンサ9を酸素濃度センサとして用いてリッチスパイクの終了タイミングを判定する。
そして、NOX吸蔵還元触媒7にリッチスパイク終了後、リッチスパイク開始前と同じリーン空燃比の定常状態で機関を運転し、NOXセンサ9によりNOX吸蔵還元触媒7下流側排気中のNOX濃度を検出する(図4、区間III)。
【0074】
本実施形態では、NOX吸蔵量算出中は定常運転が行われている。このため、区間IIIで触媒7下流側NOX濃度計測中の触媒7上流側の排気流量及びNOX濃度は図4、区間Iで算出した平均排気流量とNOX濃度に等しいと仮定することができる。
従って、区間IIIにおいて単位時間当たりにNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されるNOX量は、(区間Iで計測した上流側平均NOX濃度−区間IIIにおける各時点の下流側NOX濃度)×(区間Iで計測した平均排気流量(吸入空気量))となる。
【0075】
従って、上記単位時間当たりの吸蔵NOX量を区間IIIにわたって積算することにより、区間III内にNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量(図4に斜線で示す面積に対応する量)が算出される。
本実施形態では、計測時間(区間III)は予め定めた一定時間とされる。区間III内にNOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたNOX量は、NOX吸蔵還元触媒7の現在のNOX吸蔵能力に相当する値となり、NOX吸蔵還元触媒の劣化が進行するほど小さな値になる。
本実施形態では、上記吸蔵NOX量が予め定めた判定値以下になった場合には触媒が劣化したと判定するようにしている。
【0076】
図5は、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の図4とは別の実施形態を示す図4と同様なタイミング図である。
図4の例では、上流側排気のNOX濃度計測と下流側排気のNOX濃度計測との間にリッチスパイク(図4、区間II)が入るため、上流側と下流側との排気NOX濃度計測時の機関運転状態が完全に同一になっていない場合が生じ得る。
図5の例では、この点を考慮して、上流側と下流側との排気NOX濃度計測は、ともにリッチスパイク後の同じリーン空燃比運転サイクル中に行う。
【0077】
本実施形態では通常のリッチスパイク操作(図5、区間I)終了後、直ちに切換弁を第2の位置から第1の位置に切り換えて所定時間の間NOXセンサ9により触媒7上流側の排気NOX濃度を検出し、この期間のNOX濃度を時間平均して上流側の平均NOX濃度を算出する(図5、区間II)。また、同時にこの期間での機関吸入空気量の平均値を算出する。
上流側平均NOX濃度と平均吸入空気量を算出後、切換弁5(5a、5b)は直ちに第2の位置に切り換えられ、NOXセンサ9により触媒下流側の排気NOX濃度の検出を開始する。
【0078】
本実施形態では、図4の例と同様に、区間IIで算出した平均NOX濃度と区間IIIで検出した各時点における下流側NOX濃度との差に基づいて触媒7のNOX吸蔵量を算出する。この場合、区間IIにおける下流側のNOX濃度、はゼロであると仮定する。
【0079】
区間IIは、リッチスパイク(区間I)終了直後の比較的短い時間であり、この期間では下流側に触媒7の劣化が進行していても触媒7に流入する排気中のNOXは、ほぼその全量が触媒7に吸蔵される。このため、区間IIの触媒7下流側の排気NOX濃度をゼロと仮定しても大きな誤差は生じない。
本実施形態においても、NOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵量は、図5の斜線部分面積に対応する量として算出される。
【0080】
上述のように、図5の例では触媒7上流側の排気NOX濃度計測時と下流側排気NOX濃度計測時とで機関運転状態が変化しないため、より正確に触媒7のNOX吸蔵量を算出することができ、NOX吸蔵還元触媒7の正確な劣化判定を行うことができる。
【0081】
(5)NOXセンサの劣化判定
次に本実施形態におけるNOXセンサ9の劣化判定について説明する。
NOXセンサは、劣化により出力に誤差が発生する場合がある。特に、実際のNOXセンサでは、排気ガスを細径の導入孔(ピンホール)を通じてセンサー部に導いているため、このピンホールの詰まりなどにより出力が大きく変化してしまう場合がある。
【0082】
このように、NOXセンサに劣化が生じて検出値に誤差が含まれるようになると、前述の各制御を適切に行うことが出来なくなり、排気性状の悪化や機関燃費の増大が生じる場合がある。本実施形態では、定期的にNOXセンサ9の劣化の有無を判定し、劣化が生じている場合には運転者にその旨を報知して修理を促すことにより、劣化したセンサを用いて制御が継続されることを防止している。
【0083】
本実施形態では、機関がリーン空燃比で定常運転されているときに切換弁を第1の位置から第2の位置、または第2の位置から第1の位置に切り換えて、切り換え前後のNOXセンサ出力の変化に基づいてNOXセンサ9の劣化の有無について判断する。
図6は、機関がリーン空燃比で定常運転されているときに切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えた場合の正常な(劣化を生じていない)NOXセンサの出力の変化を示す図である。
【0084】
図6はリッチスパイク直後にNOXセンサ劣化の有無を判定する場合を示している。前述したように、リッチスパイク操作時にはNOXセンサによりリッチスパイク開始タイミングと終了タイミングとを判定するために、切換弁5(5a、5b)は第2の位置に切り換えられておりNOXセンサ9はNOX吸蔵還元触媒7の下流側排気を検出中である。このため、図6では切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えたときのNOXセンサ9出力の変化を検出することにより、NOXセンサの劣化の有無を判定する。
【0085】
図6に示すように、時点Sで切換弁が第2の位置(下流側)から第1の位置(上流側)に切り換えられた場合、時点S以前ではNOXセンサ9は触媒7下流側の排気のNOX濃度を検出している。リッチスパイク直後はNOX吸蔵還元触媒7のNOX吸蔵能力が高いため、触媒下流側の排気NOX濃度はほぼゼロであり、時点S以前ではNOXセンサの出力もこれに対応して低い値V1になっている。
一方、機関がリーン空燃比で定常運転されている場合にはNOX吸蔵還元触媒7上流側の排気のNOX濃度は比較的高いため、時点Sで切換弁5(5a、5b)が第1の位置に切り換えられるとNOXセンサ9の出力は急激に上昇し、最終的に上流側NOX濃度に対応した比較的大きな値V2に収束する。
【0086】
しかし、NOXセンサ9が劣化すると、図6に点線で示すように、時点Sで切換弁を切り換え後のNOXセンサ9の出力上昇速度が低下して最終出力V2′に到達するまでの時間が長くなる。
本実施形態では、切換弁切り換え後のNOXセンサの出力変化速度が大幅に低下した場合にNOXセンサ9が劣化したと判定する。
【0087】
すなわち、ECU30はリッチスパイク操作終了後切換弁5(5a、5b)を第2の位置から第1の位置に切り換えるとともに、一定時間毎に時刻とともにNOXセンサ9の出力をRAMに記憶する。
そして、NOXセンサ出力が最終到達値に収束した後(すなわち、NOXセンサ出力が変化しなくなったあと)、切り換え後の最終到達出力と切り換え前の出力との差に比例する幅の出力変化に要する時間Tresを算出する。
【0088】
すなわち、図6に示すように、切り換え前のNOXセンサ出力がV1、切り換え後の最終到達出力かV2であった場合、ECU30はV1とV2とから、一定の係数αとβ(1>β>α)とを用いて、VA=V1+(V2−V1)×α、VB=V1+(V2−V1)×β、の計算式により出力値VA、VBを算出する。
【0089】
更に、ECU30はRAMに記憶したNOXセンサ9の出力変化履歴から、センサ出力がVAからVBに変化するのに要した時間Tresを算出し、この時間が予め定めた判定値Tres0より大きくなった場合にはNOXセンサ9が劣化したと判定するようにしている。
【0090】
なお、本実施形態ではリッチスパイク後に切換弁を第2の位置(下流側排気NOX濃度検出)から第1の位置(上流側排気NOX濃度検出)に切り換えることによりNOXセンサの劣化の有無を判定している。これは、リッチスパイク後には触媒下流側排気のNOX濃度は略ゼロになるため、上流側排気NOX濃度と下流側排気NOX濃度の差が大きくなり、NOXセンサ劣化の有無を判定しやすくなるためである。しかし、ある程度触媒の上流側と下流側の排気のNOX濃度が大きければNOXセンサの劣化の有無を判定することはできるため、リッチスパイク後でないときに、まず触媒上流側のNOX濃度を検出し、次に下流側のNOX濃度を検出することによっても全く同様なNOXセンサ劣化判定が可能となる。
【0091】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、単一の排気センサを用いながら触媒上流側と下流側との両方の排気中の特定成分濃度を検出することが可能となるため、装置コストの増大を防止しながら触媒の浄化能力や劣化判定を精度良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の、図1とは別の実施形態の主要部の構成を模式的に示す図である。
【図3】NOXセンサの一般的な構造を模式的に示す断面図である。
【図4】NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の一実施形態を説明するタイミング図である。
【図5】NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量算出操作の、図4とは別の実施形態を説明するタイミング図である。
【図6】NOXセンサの劣化検出原理を説明する図である。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
3…吸気通路
5、5a、5b…排気切換弁
7…NOX吸蔵還元触媒
9…NOXセンサ
30…電子制御ユニット(ECU)
Claims (10)
- 内燃機関の排気通路に配置した排気浄化触媒と、
前記排気浄化触媒内を流れる排気の流れ方向を第1の方向と、該第1の方向とは反対の第2の方向とに切換える切換手段と、
排気中の特定成分濃度を検出する排気センサとを備え、
該排気センサは前記切換手段により排気流れ方向が前記第1の方向に切り換えられたときは前記触媒に流入する排気と接触するとともに、排気流れ方向が前記第2の方向に切り換えられたときは前記触媒から流出する排気と接触する位置に配置されている内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気センサは、前記特定成分として排気中のNOX濃度を検出するNOXセンサである、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 更に、前記NOXセンサの出力に基づいて少なくとも前記機関の制御状態を含む機関状態の複数の種類の判定対象を判定する判定手段を備え、該判定手段は前記切換手段により判定対象に応じて定まる方向に前記排気流れ方向を切り換える、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記判定手段は、排気流れが前記第1の方向に切換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記機関制御状態を判定する、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記判定手段は、前記機関制御状態として、機関のEGRガス量と燃料噴射時期または点火時期のうち少なくとも1つを判定する、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気浄化触媒は、排気中のNOX成分を浄化するNOX浄化触媒である、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記判定対象は、前記NOX浄化触媒にリッチ空燃比の排気を供給するリッチスパイク操作を開始すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を開始すべきか否かを判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOXセンサは、更に特定成分として排気中の酸素濃度をも検出し、前記判定対象は更に、実行中の前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かの判定を含み、前記判定手段は、排気流れが前記第2の方向に切り換えられた状態での前記NOXセンサ出力に基づいて前記リッチスパイク操作を終了すべきか否かを判定する、請求項7に記載の内燃機関排気浄化装置。
- 前記判定対象は、前記NOX浄化触媒の劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、それぞれの流れ方向において前記NOX濃度センサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOX浄化触媒の劣化状態を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記判定対象は、更に前記NOXセンサの劣化の程度を含み、前記判定手段は、前記切換手段を用いて排気流れ方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り換えて、切換前後にそれぞれの流れ方向において前記NOXセンサで検出した排気中のNOX濃度に基づいて前記NOXセンサの劣化程度を判定する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002286638A JP2004124737A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004124737A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010134167A1 (ja) * | 2009-05-19 | 2010-11-25 | トヨタ自動車株式会社 | NOxセンサの異常診断装置 |
KR101610111B1 (ko) * | 2014-08-07 | 2016-04-08 | (주)가온테크 | 선박용 질소산화물 측정을 위한 센서가 구비된 가변 샘플링 시스템 |
KR101610113B1 (ko) * | 2014-08-07 | 2016-04-20 | (주)가온테크 | Gps 수신기를 포함하는 선박용 질소산화물 측정 시스템 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002286638A patent/JP2004124737A/ja not_active Withdrawn
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WO2010134167A1 (ja) * | 2009-05-19 | 2010-11-25 | トヨタ自動車株式会社 | NOxセンサの異常診断装置 |
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