JP2004124287A - 古紙配合晒クラフト紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホワイトカーボン等の填料の添加量を少なくしても(又は添加しなくても)、高白色度をもった、しかも印刷適性の良好な古紙配合晒クラフト紙を得ること。
【解決手段】古紙パルプを配合した古紙配合晒クラフト紙において、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあり、表面粗さが2.8μm以下であるようにする。雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプが古紙パルプ処理工程においてディスパーザーによる機械的撹拌処理により脱墨処理されるようにするとよい。該再生パルプのカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲内に調整する。原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数は、抄紙、塗工後の印刷用塗被紙の紙面の夾雑物面積が画像解析装置にて20mm2/m2以下となるように調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】古紙パルプを配合した古紙配合晒クラフト紙において、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあり、表面粗さが2.8μm以下であるようにする。雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプが古紙パルプ処理工程においてディスパーザーによる機械的撹拌処理により脱墨処理されるようにするとよい。該再生パルプのカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲内に調整する。原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数は、抄紙、塗工後の印刷用塗被紙の紙面の夾雑物面積が画像解析装置にて20mm2/m2以下となるように調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、特に、原料となる古紙がホットメルト等の背糊や、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク等を含む雑誌古紙からなるパルプを配合した晒クラフト紙と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
木材資源の保護と経済性の観点から、古紙をパルプ原料として用いることが指向されているが、晒クラフト紙においても同様であり、その古紙パルプの配合率を高める努力がなされている。
【0003】
一方、再生紙の原材料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等の古紙から製造するのが一般的であり、雑誌や書物等の古紙は、再生板紙の原料パルプ(古紙パルプ)とする場合の他ほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク(以下、単にCDともいう。)がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や、再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があることによる。
【0004】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の古紙もさらに広い用途で利用するのが望ましい。
【0005】
又、晒クラフト紙は、特に高白色度を有することが重要であり、そのためには、來雑物の混入度が低く、且つ表面粗さが小さいことが求められる。
【0006】
本願発明で言う夾雑物とは、雑誌の背糊や塗工樹脂、塗工顔料などの塗工剤等を指す。
【0007】
又、本願発明は、上記のように雑誌古紙パルプを配合するにあたり、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプにおける來雑物除去率を向上させることのできる古紙パルプの処理方法を提案することをも他の目的とするものである。
【0008】
なお、この明細書において「雑誌古紙」という場合は、いわゆる「雑誌」のみからなる古紙のほか、新聞紙、チラシ、ピン付き雑誌、背糊付き雑誌、ビニール貼り雑誌、CD入り雑誌などが混在した「無選別古紙」をも含むものとする。
【0009】
なお、新聞、雑誌等からなる古紙パルプを使用して事務用紙(記録用紙)を製造する方法を開示した公知文献としては、たとえば特開2001−279588号公報等があるが、本願発明者の調査した範囲では、雑誌古紙を含む古紙パルプを原料として晒クラフト紙を製造することを目的とし、さらに、そのときの各種条件を規定することを意図した公知文献は発見することはできなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、配合される古紙パルプの一部として雑誌古紙パルプ(全パルプ中、5%以上)を使用し、さらに、紙表面の残インクを光学的画像処理装置を用いて管理することにより、公知の技術では予想できない顕著な効果が得られることを見出したもので、紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲になるようにすることを基本思想とする。
【0011】
残インクの面積は、画像処理装置(株式会社ニレコ製 ル−ゼックス FS)にて測定した。画像処理装置は、印刷物、写真などの色分布を、それぞれ面積や面積率で算出する装置である。
【0012】
それに加えて、本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μm以下であるようにするのが好ましい。
【0013】
雑誌古紙パルプ以外のパルプ材料としては、従来から晒クラフト紙用パルプとして使用されている種々のパルプ、たとえばLBKP、NBKP、等が使用可能である。
【0014】
また、本願発明の古紙配合晒クラフト紙を製造するにあたっては、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの來雑物除去率を向上させるために、古紙パルプの離解工程、粗選工程、熟成工程、脱墨工程、洗浄工程等からなる古紙パルプ処理工程中において分散機による機械的撹拌処理を行うことが推奨される。本願発明を実施するにあたっては、必要に応じて、かせいソーダ、炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、過酸化水素、亜硫酸ソーダ、硫酸マグネシウム、トリポリ燐酸ソーダ、キレート剤、脱墨剤、捕集剤、発泡剤等の各種添加剤、あるいは各種助剤等を適宜使用することは何ら差支えない。
【0015】
次に、本願発明では、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の量を次のような方法で管理し得るようにしたことを第2の特徴としている。
【0016】
すなわち、この第2の特徴にかかる方法では、下記の「パルプの熱溶融性物質試験規格」で規定した印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の個数が30個未満であるか、又は前記印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の重量が0.05%以下であるように、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の混入量を管理する。
【0017】
「パルプの熱溶融性物質試験規格」
1.装置・器具
1) フラットスクリーン
偏芯カムの軸回転数は690〜700rpm
スクリーンプレートは6カットを使用する(目穴は6/1000インチ=0.15mm)
2) メスシリンダー
3) 恒温乾燥機
4) 電子天秤
5) No.2ろ紙
2.試料採取
1) 試料は試験を完了するのに充分な量を工程より無作為に採取する。
【0018】
3.試験試料の調製方法
1) 採取した試料は容器(たとえば、ポリバケツ)内で濃度1%以下(0.5〜0.7%が望ましい)になるよう稀釈する。
【0019】
2) 稀釈した試験試料の濃度を測定する。
【0020】
3) 熱溶融性物質試験に必要な絶乾試料換算で100gに相当する試験試料を採取する。
【0021】
4.操作
1) スクリーンプレート(以下、プレート)及びスクリーンボックス(以下、ボックス)内を洗浄し、プレートを定位置に取付ける。
【0022】
2) 水道水をボックス上部中央より毎分15±2リットルの流量で注水し、水位が約8cmの深さになるように調整する。サイドボックス内のゲートは高さ2.5cmのものを3枚取付け、排水管コックは全閉とする。
【0023】
3) 電源を入れ、試験試料をボックス中央部より徐々に投入する。投入量はプレート面から15cmを超えないようにする。
【0024】
4) 試験試料を投入したらスクリーニングを開始する。スクリーニング途中、排水管より流れ出る水をメスシリンダーに取り、繊維分の混入を観察する。パルプの混入があれば更にスクリーニングを行なう。パルプ繊維の混入が認められなくなったらスクリーニングを終了する。
【0025】
5) 注水を止めて排水コックを開き、ボックス内の水を排水して電源を切る。
【0026】
6) ボックス側壁に付着している残滓を洗い流す。
【0027】
7) ボックス締付ネジを外して、残滓がこぼれないようにプレートを慎重に外して、容器(たとえば、ポリバケツ)の中に、プレート上に残った残滓を洗い流す。
【0028】
8) 絶乾質量既知のNo.2ろ紙にて、残滓をプフナー漏斗を用いて吸引ろ過する。
【0029】
9) 乾燥機で100℃以上に加温し恒量になるまで乾燥し、No.2ろ紙上の非熱溶融性物質を除き、電子天秤で坪量する。
10) No.2ろ紙上の熱溶融性物質の溶融痕跡を目視で計数する。
【0030】
5.報告
熱溶融性物質の溶融痕跡を目視で計数し、熱溶融性物質の個数を報告する。
【0031】
熱溶融性物質の重量を次式で計算し、質量百分率で少数第二位まで報告する。
【0032】
M=(S’/S)×100
M:熱溶融性物質量(%)
S’:スクリーン残滓熱溶融性物質質量(g)
S:試料採取量(g)
次に、本願発明の古紙配合晒クラフト紙に使用される再生パルプは、原紙用パルプに対する配合前に予め、カチオンを有する凝結剤(たとえば、ポリダドマック)にてカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲内に調整し、抄紙工程におけるウェットエンドの安定化を図ることが推奨される。
【0033】
「カチオン要求量」とは、アニオン物質を持つ総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(炭酸カルシウムやタルクなど)、各種ウェットエンド添加薬品(顔料、サイズ剤、消泡剤など)、樹脂ピッチ、溶出リグニンなどである。
【0034】
アニオン物質にカチオン性の凝結剤を添加し、凝結させたものに、アニオン性(もしくはカチオン性)の凝集剤を添加することで、凝結したアニオン物質が凝集し、フロックを形成する。かかるメカニズムの下で、主に、ピッチをパルプに吸着させ極小な状態で紙料と共に工程を通過するか、系外に排出させることができ、ピッチ濃度の低減を図ることができる。このことで汚れ、欠陥、断紙を減少させることができ、生産性の向上が可能となる。アニオン物質による中和により、歩留の向上が可能となる。アニオン物質が凝集し、フロックを形成すると、濾水状態が良好になる。
【0035】
かかる理由により、濾水状態に関しては、カチオン要求量(またはその量)が低いことが要求される。
【0036】
また、オンラインのカチオン要求量測定装置としては、代表的にPCT15もしくは20(mutek社製)を挙げることができる。このカチオン要求量測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンの間にサンプル液の流れが生じることでコロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定させる装置である。
【0037】
なお、上記の製造方法において、 再生パルプにおけるカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲に規定するのは、同カチオン要求量が、 0.03meq/L未満では、調整用のカチオンを有する凝結剤使用量が過剰となりコストアップとなり、0.10meq/L超では電荷調整不足となりマシン前工程薬品(例えば凝集剤)添加量変動要因となる、という理由による。
【0038】
さらに、印刷用塗被紙表面の夾雑物面積が画像解析装置にて5.0mm2/m2をこえると、白紙面のみならず印刷面においても表面外観を損なうので不都合である。このため、本願発明では印刷用塗被紙表面の夾雑物面積が画像解析装置にて5.0mm2/m2以下となるようにするものである。
【0039】
本願発明の実施例で用いる分散機、例えばニーダーもしくはディスパーザーでのパルプ濃度は20〜35%が好適である。20%未満では熱溶融性物質を繊維表面から剥離する力が低く効果的ではなく、逆に35%を超える高濃度では、パルプ繊維間の摩擦熱により熱溶融性物質が細かくなり後工程で除去が困難になるだけでなく、繊維表面に固着するため適当ではない。
【0040】
また、pHに関しても熱溶融性物質や粘着異物を繊維表面から脱落させ得る範囲である必要があり、pH7.0〜11.0が好適である。
【0041】
【発明の効果】
本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、他の古紙パルプよりも古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを5%以上配合し、且つ晒クラフト紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあるようにしたことにより、ホワイトカーボン等の填料の添加量を従来より減少させても(あるいは添加しなくても)、従来と同等以上の白色度をもった晒クラフト紙とすることができる効果がある。
【0042】
また、その場合において、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μm以下であるようにすると、上記の効果が一層増進されるとともに、良好な印刷適性をもつ晒クラフト紙とすることができる。
【0043】
その際、本願発明では、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の量を請求項5又は6に規定するような数値内に管理することにより、上記のような効果を一層確実なものとしている。
【0044】
本願発明は、さらに、上記のように雑誌古紙パルプを使用するにあたって、同雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの処理工程中で分散機による機械的撹拌処理を行うことによって、雑誌古紙を含む古紙パルプを使用する場合であっても、脱墨性の向上が図られ、良好な印刷適性をもつ晒クラフト紙を提供し得る効果がある。
【0045】
また、本願発明によれば、ゴミ・チリ、残インキが多く、カチオン要求量が不安定である雑誌古紙を原料とする再生パルプを印刷用塗被紙の製造に使用するにあたり、予め、カチオンを有する凝結剤にてカチオン要求量を請求項7に記載するような一定範囲に保持することにより、再生パルプ中のゴミ・チリ、残インキ量の変動に合わせて、ウェットパートの変動を起こすことなく、原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数を容易に変更可能とすることができるという効果がある。
【0046】
その結果、雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙を連続製造するにあたり、抄紙操業性の安定化を図ることができ、しかも得られた印刷用塗被紙の表面外観を向上させることができるという効果がある。
【0047】
【実施例】
以下、本願発明のいくつかの好適な実施例(1〜8)を示すとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象としていくつかの比較例(1〜7)を示す。なお、各実施例及び比較例とも使用パルプとしては、NBKP、LBKP等の漂白パルプを適宜配合したバージンパルプ(表1参照)を使用した。
【0048】
各実施例における雑誌古紙パルプ(再生パルプ)の処理方法
図1は、各実施例における雑誌古紙パルプ(再生パルプ)の処理方法を示す概要図であり、同図において、1はパルパー、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワーである。なお、パルパー1は、補助離解機1Aを付設された高濃度パルパーとされている。
【0049】
まず、再生パルプの原料としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書物等が混在した前記のような無選別古紙を、パルパー1に投入する。パルパー1では、雑誌古紙を含む原料を水で希釈、溶解(離解)し、繊維懸濁液にする。この場合、補助離解機は、原料を離解するパルピングゾーンと異物を除去しながら原料をブローするスクリーニングゾーンから成り立っており、パルピングゾーンで原料中の異物細分化が少なく、原形に近い状態またはその後の除塵工程で除去できる大きさを保ったまま原料を離解し、スクリーニングゾーンに送り、ストレーナーによって殆どの異物をこの段階で除去する。この繊維懸濁液は、ポンプ81によって、輸送管51を通してターボセパレータ2に送る。ターボセパレータ2では、繊維懸濁液中に残存するパルパー1において溶解しきれなかった古紙を溶解する。
【0050】
このようにして古紙を完全に溶解した後、繊維懸濁液は、ポンプ82によって輸送管52を通して高濃度クリーナー3に送る。高濃度クリーナー3では、古紙に付いていたホッチキス等の重い異物を除去する(比重の違いを利用した異物の除去)。重い異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管53を通してスクリーン4に送る。スクリーン4では、比較的大きい異物を除去する(体積の違いを利用した異物の除去)。
【0051】
異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管54を通してプレフローテーター5に送る。プレフローテーター5では、脂肪酸エステル、アルコールエーテル等を基剤とする脱墨剤が添加され、加圧浮上効果によって、繊維に付着しているインクを除去する。
【0052】
インクを除去した後、繊維懸濁液は、ポンプ83によって、輸送管55を通してクリーナー6に送り、さらに、輸送管56を通して、スクリーン7に送る。クリーナー6では比重の違いを利用して微細な異物を除去し、スクリーン7では体積の違いを利用して微細な異物を除去する。
【0053】
微細な異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管57を通して脱水機8に送り脱水する。この脱水により高濃度になった繊維懸濁液は、ポンプ84によって、輸送管58を通して分散機(ディスパーザー)9に送る。ディスパーザー9ではクリーナー6及びスクリーン7で除去することができなかった異物を細かく分解し、インクとともに水中に分散させる。異物及びインクが分散した状態の繊維懸濁液は、輸送管59を通して過酸化水素タワー10に送る。 過酸化水素タワー10では、過酸化水素によって繊維懸濁液中の繊維を漂白する。
【0054】
漂白した繊維懸濁液は、ポンプ85によって輸送管60を通してポストフローテーター11に送る。ポストフローテーター11では、さらに脂肪酸エステル、アルコールエーテル等を基剤とする脱墨剤が添加され、加圧浮上効果によって、ディスパーザー9において分散させた異物及びインクを除去する。
【0055】
このようにして異物及びインクをほぼ完全に除去した後、繊維懸濁液は、輸送管61を通してストックタンク12に送る。ストックタンク12に貯留した繊維懸濁液は、適宜、ポンプ86によって、輸送管62を通して完成脱水機13に送る。完成脱水機13では、繊維懸濁液の濃度が約10質量%になるまで脱水を行い、雑誌古紙パルプを得る。この雑誌古紙パルプは、輸送管63及び64を通して高濃度タワー15に送る。輸送管63と64との間には、高濃度ポンプ14を備えてあり、この高濃度ポンプ14によって、雑誌古紙パルプを高濃度タワー15の上部にポンプアツプするようになっている。高濃度タワー15では、雑誌古紙パルプに二酸化チオ尿素等の漂白剤を添加し、漂白する。漂白した雑誌古紙パルプ(再生パルプ)は、高濃度タワー15にストックしておき、必要に応じポンプ87によって、輸送管65を通してペーパーマシンに送る。
【0056】
このように調成された再生パルプは、ポンプ87によって輸送管65を通して混合タンク16に送られるが、同再生パルプは、この段階で、カチオン要求量が0.03〜0.10meq/Lの範囲内(特に好ましくは、0.05〜0.09meq/Lの範囲内)にあるようにカチオン性凝結剤(ポリダドマック)を添加され、他の適宜の原紙用パルプと配合されて、次の抄紙及び塗工工程へ送られる。
【0057】
この際、原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数は、抄紙紙面の夾雑物面積が、画像解析装置にて20mm2/m2以下の範囲となるように調整される。
【0058】
他の配合パルプとして、LBKPとNBKPを適宜配合した。
【0059】
各実施例及び比較例における抄紙方法
表1に示す各配合紙原料を用い、填料(タルク、炭酸カルシウム)、紙力増強剤、サイズ剤を添加し、ツインワイヤー抄紙機により、pH7.5で抄紙し、坪量52〜54g/m2の晒クラフト紙を得た。
【0060】
【表1】
【0061】
各実施例及び比較例の評価は次の通りである。
〔評価方法及び判定〕
・表面強度:RI印刷テスター(明製作所社製)で赤インキ(商品名:Print Ink〔紙試験SD50紅BT=13〕/TOKA Shikiso Chemical Industry Co.LTD社製)を印刷し、その印刷強度を目視判定した。なお、判定基準は、◎=ピックの発生がなく極めて良好、○=ピックの発生が殆どなく良好、×=ピックが若干発生する。
【0062】
・印刷特性:RI印刷テスター(明製作所社製)で墨インキ(商品名:Graf−G/大日本インキ化学工業株式会社製)を印刷し、使用量は0.5mlで、その印刷面をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)で測定した。
【0063】
実施例1〜8
各実施例とも、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ晒クラフト紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあり、その結果、白色度の高い古紙配合晒クラフトを得ることができた。
【0064】
また、各実施例で使用した雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプは、その古紙パルプ処理工程においてディスパーザーによる機械的撹拌処理が行われており、その結果、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μmの範囲にあって、良好な印刷適性を示すことができた。
【0065】
比較例1〜7
比較例1〜7に示すように、バージンパルプの配合量、新聞古紙パルプ、雑誌古紙パルプの配合量を適宜当てはめ、機械的攪拌処理を一部行う方法で比較例1〜7の結果を得た。
【0066】
その結果、夾雑物面積は規格内であるが、抄紙機ウェットパート変動が大きく、操業性が悪化した。また、カチオン要求量調整のための凝結剤を過剰添加したため製造コストが高く経済性が悪かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例で使用する雑誌古紙含有原料パルプ処理装置の概要図である。
【符号の説明】
1はパルパー、1Aは補助離解機、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワー、16は混合タンク、51〜65は輸送管、81〜87はポンプ。
【発明の属する技術分野】
本願発明は、特に、原料となる古紙がホットメルト等の背糊や、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク等を含む雑誌古紙からなるパルプを配合した晒クラフト紙と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
木材資源の保護と経済性の観点から、古紙をパルプ原料として用いることが指向されているが、晒クラフト紙においても同様であり、その古紙パルプの配合率を高める努力がなされている。
【0003】
一方、再生紙の原材料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等の古紙から製造するのが一般的であり、雑誌や書物等の古紙は、再生板紙の原料パルプ(古紙パルプ)とする場合の他ほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク(以下、単にCDともいう。)がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や、再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があることによる。
【0004】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の古紙もさらに広い用途で利用するのが望ましい。
【0005】
又、晒クラフト紙は、特に高白色度を有することが重要であり、そのためには、來雑物の混入度が低く、且つ表面粗さが小さいことが求められる。
【0006】
本願発明で言う夾雑物とは、雑誌の背糊や塗工樹脂、塗工顔料などの塗工剤等を指す。
【0007】
又、本願発明は、上記のように雑誌古紙パルプを配合するにあたり、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプにおける來雑物除去率を向上させることのできる古紙パルプの処理方法を提案することをも他の目的とするものである。
【0008】
なお、この明細書において「雑誌古紙」という場合は、いわゆる「雑誌」のみからなる古紙のほか、新聞紙、チラシ、ピン付き雑誌、背糊付き雑誌、ビニール貼り雑誌、CD入り雑誌などが混在した「無選別古紙」をも含むものとする。
【0009】
なお、新聞、雑誌等からなる古紙パルプを使用して事務用紙(記録用紙)を製造する方法を開示した公知文献としては、たとえば特開2001−279588号公報等があるが、本願発明者の調査した範囲では、雑誌古紙を含む古紙パルプを原料として晒クラフト紙を製造することを目的とし、さらに、そのときの各種条件を規定することを意図した公知文献は発見することはできなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、配合される古紙パルプの一部として雑誌古紙パルプ(全パルプ中、5%以上)を使用し、さらに、紙表面の残インクを光学的画像処理装置を用いて管理することにより、公知の技術では予想できない顕著な効果が得られることを見出したもので、紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲になるようにすることを基本思想とする。
【0011】
残インクの面積は、画像処理装置(株式会社ニレコ製 ル−ゼックス FS)にて測定した。画像処理装置は、印刷物、写真などの色分布を、それぞれ面積や面積率で算出する装置である。
【0012】
それに加えて、本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μm以下であるようにするのが好ましい。
【0013】
雑誌古紙パルプ以外のパルプ材料としては、従来から晒クラフト紙用パルプとして使用されている種々のパルプ、たとえばLBKP、NBKP、等が使用可能である。
【0014】
また、本願発明の古紙配合晒クラフト紙を製造するにあたっては、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの來雑物除去率を向上させるために、古紙パルプの離解工程、粗選工程、熟成工程、脱墨工程、洗浄工程等からなる古紙パルプ処理工程中において分散機による機械的撹拌処理を行うことが推奨される。本願発明を実施するにあたっては、必要に応じて、かせいソーダ、炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、過酸化水素、亜硫酸ソーダ、硫酸マグネシウム、トリポリ燐酸ソーダ、キレート剤、脱墨剤、捕集剤、発泡剤等の各種添加剤、あるいは各種助剤等を適宜使用することは何ら差支えない。
【0015】
次に、本願発明では、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の量を次のような方法で管理し得るようにしたことを第2の特徴としている。
【0016】
すなわち、この第2の特徴にかかる方法では、下記の「パルプの熱溶融性物質試験規格」で規定した印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の個数が30個未満であるか、又は前記印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の重量が0.05%以下であるように、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の混入量を管理する。
【0017】
「パルプの熱溶融性物質試験規格」
1.装置・器具
1) フラットスクリーン
偏芯カムの軸回転数は690〜700rpm
スクリーンプレートは6カットを使用する(目穴は6/1000インチ=0.15mm)
2) メスシリンダー
3) 恒温乾燥機
4) 電子天秤
5) No.2ろ紙
2.試料採取
1) 試料は試験を完了するのに充分な量を工程より無作為に採取する。
【0018】
3.試験試料の調製方法
1) 採取した試料は容器(たとえば、ポリバケツ)内で濃度1%以下(0.5〜0.7%が望ましい)になるよう稀釈する。
【0019】
2) 稀釈した試験試料の濃度を測定する。
【0020】
3) 熱溶融性物質試験に必要な絶乾試料換算で100gに相当する試験試料を採取する。
【0021】
4.操作
1) スクリーンプレート(以下、プレート)及びスクリーンボックス(以下、ボックス)内を洗浄し、プレートを定位置に取付ける。
【0022】
2) 水道水をボックス上部中央より毎分15±2リットルの流量で注水し、水位が約8cmの深さになるように調整する。サイドボックス内のゲートは高さ2.5cmのものを3枚取付け、排水管コックは全閉とする。
【0023】
3) 電源を入れ、試験試料をボックス中央部より徐々に投入する。投入量はプレート面から15cmを超えないようにする。
【0024】
4) 試験試料を投入したらスクリーニングを開始する。スクリーニング途中、排水管より流れ出る水をメスシリンダーに取り、繊維分の混入を観察する。パルプの混入があれば更にスクリーニングを行なう。パルプ繊維の混入が認められなくなったらスクリーニングを終了する。
【0025】
5) 注水を止めて排水コックを開き、ボックス内の水を排水して電源を切る。
【0026】
6) ボックス側壁に付着している残滓を洗い流す。
【0027】
7) ボックス締付ネジを外して、残滓がこぼれないようにプレートを慎重に外して、容器(たとえば、ポリバケツ)の中に、プレート上に残った残滓を洗い流す。
【0028】
8) 絶乾質量既知のNo.2ろ紙にて、残滓をプフナー漏斗を用いて吸引ろ過する。
【0029】
9) 乾燥機で100℃以上に加温し恒量になるまで乾燥し、No.2ろ紙上の非熱溶融性物質を除き、電子天秤で坪量する。
10) No.2ろ紙上の熱溶融性物質の溶融痕跡を目視で計数する。
【0030】
5.報告
熱溶融性物質の溶融痕跡を目視で計数し、熱溶融性物質の個数を報告する。
【0031】
熱溶融性物質の重量を次式で計算し、質量百分率で少数第二位まで報告する。
【0032】
M=(S’/S)×100
M:熱溶融性物質量(%)
S’:スクリーン残滓熱溶融性物質質量(g)
S:試料採取量(g)
次に、本願発明の古紙配合晒クラフト紙に使用される再生パルプは、原紙用パルプに対する配合前に予め、カチオンを有する凝結剤(たとえば、ポリダドマック)にてカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲内に調整し、抄紙工程におけるウェットエンドの安定化を図ることが推奨される。
【0033】
「カチオン要求量」とは、アニオン物質を持つ総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(炭酸カルシウムやタルクなど)、各種ウェットエンド添加薬品(顔料、サイズ剤、消泡剤など)、樹脂ピッチ、溶出リグニンなどである。
【0034】
アニオン物質にカチオン性の凝結剤を添加し、凝結させたものに、アニオン性(もしくはカチオン性)の凝集剤を添加することで、凝結したアニオン物質が凝集し、フロックを形成する。かかるメカニズムの下で、主に、ピッチをパルプに吸着させ極小な状態で紙料と共に工程を通過するか、系外に排出させることができ、ピッチ濃度の低減を図ることができる。このことで汚れ、欠陥、断紙を減少させることができ、生産性の向上が可能となる。アニオン物質による中和により、歩留の向上が可能となる。アニオン物質が凝集し、フロックを形成すると、濾水状態が良好になる。
【0035】
かかる理由により、濾水状態に関しては、カチオン要求量(またはその量)が低いことが要求される。
【0036】
また、オンラインのカチオン要求量測定装置としては、代表的にPCT15もしくは20(mutek社製)を挙げることができる。このカチオン要求量測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンの間にサンプル液の流れが生じることでコロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定させる装置である。
【0037】
なお、上記の製造方法において、 再生パルプにおけるカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲に規定するのは、同カチオン要求量が、 0.03meq/L未満では、調整用のカチオンを有する凝結剤使用量が過剰となりコストアップとなり、0.10meq/L超では電荷調整不足となりマシン前工程薬品(例えば凝集剤)添加量変動要因となる、という理由による。
【0038】
さらに、印刷用塗被紙表面の夾雑物面積が画像解析装置にて5.0mm2/m2をこえると、白紙面のみならず印刷面においても表面外観を損なうので不都合である。このため、本願発明では印刷用塗被紙表面の夾雑物面積が画像解析装置にて5.0mm2/m2以下となるようにするものである。
【0039】
本願発明の実施例で用いる分散機、例えばニーダーもしくはディスパーザーでのパルプ濃度は20〜35%が好適である。20%未満では熱溶融性物質を繊維表面から剥離する力が低く効果的ではなく、逆に35%を超える高濃度では、パルプ繊維間の摩擦熱により熱溶融性物質が細かくなり後工程で除去が困難になるだけでなく、繊維表面に固着するため適当ではない。
【0040】
また、pHに関しても熱溶融性物質や粘着異物を繊維表面から脱落させ得る範囲である必要があり、pH7.0〜11.0が好適である。
【0041】
【発明の効果】
本願発明の古紙配合晒クラフト紙は、他の古紙パルプよりも古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを5%以上配合し、且つ晒クラフト紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあるようにしたことにより、ホワイトカーボン等の填料の添加量を従来より減少させても(あるいは添加しなくても)、従来と同等以上の白色度をもった晒クラフト紙とすることができる効果がある。
【0042】
また、その場合において、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μm以下であるようにすると、上記の効果が一層増進されるとともに、良好な印刷適性をもつ晒クラフト紙とすることができる。
【0043】
その際、本願発明では、印刷用塗被紙中の熱溶融性物質の量を請求項5又は6に規定するような数値内に管理することにより、上記のような効果を一層確実なものとしている。
【0044】
本願発明は、さらに、上記のように雑誌古紙パルプを使用するにあたって、同雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの処理工程中で分散機による機械的撹拌処理を行うことによって、雑誌古紙を含む古紙パルプを使用する場合であっても、脱墨性の向上が図られ、良好な印刷適性をもつ晒クラフト紙を提供し得る効果がある。
【0045】
また、本願発明によれば、ゴミ・チリ、残インキが多く、カチオン要求量が不安定である雑誌古紙を原料とする再生パルプを印刷用塗被紙の製造に使用するにあたり、予め、カチオンを有する凝結剤にてカチオン要求量を請求項7に記載するような一定範囲に保持することにより、再生パルプ中のゴミ・チリ、残インキ量の変動に合わせて、ウェットパートの変動を起こすことなく、原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数を容易に変更可能とすることができるという効果がある。
【0046】
その結果、雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙を連続製造するにあたり、抄紙操業性の安定化を図ることができ、しかも得られた印刷用塗被紙の表面外観を向上させることができるという効果がある。
【0047】
【実施例】
以下、本願発明のいくつかの好適な実施例(1〜8)を示すとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象としていくつかの比較例(1〜7)を示す。なお、各実施例及び比較例とも使用パルプとしては、NBKP、LBKP等の漂白パルプを適宜配合したバージンパルプ(表1参照)を使用した。
【0048】
各実施例における雑誌古紙パルプ(再生パルプ)の処理方法
図1は、各実施例における雑誌古紙パルプ(再生パルプ)の処理方法を示す概要図であり、同図において、1はパルパー、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワーである。なお、パルパー1は、補助離解機1Aを付設された高濃度パルパーとされている。
【0049】
まず、再生パルプの原料としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書物等が混在した前記のような無選別古紙を、パルパー1に投入する。パルパー1では、雑誌古紙を含む原料を水で希釈、溶解(離解)し、繊維懸濁液にする。この場合、補助離解機は、原料を離解するパルピングゾーンと異物を除去しながら原料をブローするスクリーニングゾーンから成り立っており、パルピングゾーンで原料中の異物細分化が少なく、原形に近い状態またはその後の除塵工程で除去できる大きさを保ったまま原料を離解し、スクリーニングゾーンに送り、ストレーナーによって殆どの異物をこの段階で除去する。この繊維懸濁液は、ポンプ81によって、輸送管51を通してターボセパレータ2に送る。ターボセパレータ2では、繊維懸濁液中に残存するパルパー1において溶解しきれなかった古紙を溶解する。
【0050】
このようにして古紙を完全に溶解した後、繊維懸濁液は、ポンプ82によって輸送管52を通して高濃度クリーナー3に送る。高濃度クリーナー3では、古紙に付いていたホッチキス等の重い異物を除去する(比重の違いを利用した異物の除去)。重い異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管53を通してスクリーン4に送る。スクリーン4では、比較的大きい異物を除去する(体積の違いを利用した異物の除去)。
【0051】
異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管54を通してプレフローテーター5に送る。プレフローテーター5では、脂肪酸エステル、アルコールエーテル等を基剤とする脱墨剤が添加され、加圧浮上効果によって、繊維に付着しているインクを除去する。
【0052】
インクを除去した後、繊維懸濁液は、ポンプ83によって、輸送管55を通してクリーナー6に送り、さらに、輸送管56を通して、スクリーン7に送る。クリーナー6では比重の違いを利用して微細な異物を除去し、スクリーン7では体積の違いを利用して微細な異物を除去する。
【0053】
微細な異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管57を通して脱水機8に送り脱水する。この脱水により高濃度になった繊維懸濁液は、ポンプ84によって、輸送管58を通して分散機(ディスパーザー)9に送る。ディスパーザー9ではクリーナー6及びスクリーン7で除去することができなかった異物を細かく分解し、インクとともに水中に分散させる。異物及びインクが分散した状態の繊維懸濁液は、輸送管59を通して過酸化水素タワー10に送る。 過酸化水素タワー10では、過酸化水素によって繊維懸濁液中の繊維を漂白する。
【0054】
漂白した繊維懸濁液は、ポンプ85によって輸送管60を通してポストフローテーター11に送る。ポストフローテーター11では、さらに脂肪酸エステル、アルコールエーテル等を基剤とする脱墨剤が添加され、加圧浮上効果によって、ディスパーザー9において分散させた異物及びインクを除去する。
【0055】
このようにして異物及びインクをほぼ完全に除去した後、繊維懸濁液は、輸送管61を通してストックタンク12に送る。ストックタンク12に貯留した繊維懸濁液は、適宜、ポンプ86によって、輸送管62を通して完成脱水機13に送る。完成脱水機13では、繊維懸濁液の濃度が約10質量%になるまで脱水を行い、雑誌古紙パルプを得る。この雑誌古紙パルプは、輸送管63及び64を通して高濃度タワー15に送る。輸送管63と64との間には、高濃度ポンプ14を備えてあり、この高濃度ポンプ14によって、雑誌古紙パルプを高濃度タワー15の上部にポンプアツプするようになっている。高濃度タワー15では、雑誌古紙パルプに二酸化チオ尿素等の漂白剤を添加し、漂白する。漂白した雑誌古紙パルプ(再生パルプ)は、高濃度タワー15にストックしておき、必要に応じポンプ87によって、輸送管65を通してペーパーマシンに送る。
【0056】
このように調成された再生パルプは、ポンプ87によって輸送管65を通して混合タンク16に送られるが、同再生パルプは、この段階で、カチオン要求量が0.03〜0.10meq/Lの範囲内(特に好ましくは、0.05〜0.09meq/Lの範囲内)にあるようにカチオン性凝結剤(ポリダドマック)を添加され、他の適宜の原紙用パルプと配合されて、次の抄紙及び塗工工程へ送られる。
【0057】
この際、原紙用パルプに対する再生パルプの配合部数は、抄紙紙面の夾雑物面積が、画像解析装置にて20mm2/m2以下の範囲となるように調整される。
【0058】
他の配合パルプとして、LBKPとNBKPを適宜配合した。
【0059】
各実施例及び比較例における抄紙方法
表1に示す各配合紙原料を用い、填料(タルク、炭酸カルシウム)、紙力増強剤、サイズ剤を添加し、ツインワイヤー抄紙機により、pH7.5で抄紙し、坪量52〜54g/m2の晒クラフト紙を得た。
【0060】
【表1】
【0061】
各実施例及び比較例の評価は次の通りである。
〔評価方法及び判定〕
・表面強度:RI印刷テスター(明製作所社製)で赤インキ(商品名:Print Ink〔紙試験SD50紅BT=13〕/TOKA Shikiso Chemical Industry Co.LTD社製)を印刷し、その印刷強度を目視判定した。なお、判定基準は、◎=ピックの発生がなく極めて良好、○=ピックの発生が殆どなく良好、×=ピックが若干発生する。
【0062】
・印刷特性:RI印刷テスター(明製作所社製)で墨インキ(商品名:Graf−G/大日本インキ化学工業株式会社製)を印刷し、使用量は0.5mlで、その印刷面をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)で測定した。
【0063】
実施例1〜8
各実施例とも、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ晒クラフト紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあり、その結果、白色度の高い古紙配合晒クラフトを得ることができた。
【0064】
また、各実施例で使用した雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプは、その古紙パルプ処理工程においてディスパーザーによる機械的撹拌処理が行われており、その結果、JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μmの範囲にあって、良好な印刷適性を示すことができた。
【0065】
比較例1〜7
比較例1〜7に示すように、バージンパルプの配合量、新聞古紙パルプ、雑誌古紙パルプの配合量を適宜当てはめ、機械的攪拌処理を一部行う方法で比較例1〜7の結果を得た。
【0066】
その結果、夾雑物面積は規格内であるが、抄紙機ウェットパート変動が大きく、操業性が悪化した。また、カチオン要求量調整のための凝結剤を過剰添加したため製造コストが高く経済性が悪かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例で使用する雑誌古紙含有原料パルプ処理装置の概要図である。
【符号の説明】
1はパルパー、1Aは補助離解機、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワー、16は混合タンク、51〜65は輸送管、81〜87はポンプ。
Claims (7)
- 古紙パルプを配合した古紙配合晒クラフト紙であって、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ紙表面の残インク面積が20mm2/m2以下の範囲にあることを特徴とする古紙配合晒クラフト紙。
- JIS−B 0651に規定される触針式表面粗さ測定器で測定したJIS−B 0601に規定される表面粗さが2.8μm以下であることを特徴とする請求項1記載の古紙配合晒クラフト紙。
- 古紙を配合した晒クラフト紙の製造方法であって、雑誌古紙パルプを5%以上含有し、且つ雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプが古紙パルプ処理工程において分散機にて機械的撹拌処理されることを特徴とする古紙配合晒クラフト紙の製造方法。
- 古紙を配合した晒クラフト紙の製造方法であって、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプが古紙パルプ処理工程において分散機にて機械的撹拌処理されることを特徴とする請求項1又は2記載の古紙配合晒クラフト紙の製造方法。
- 明細書中に記載した「パルプの熱溶融性物質試験規格」で規定した雑誌古紙中の熱溶融性物質の個数が30個未満であることを特徴とする請求項3又は4記載の雑誌古紙を配合した古紙配合晒クラフト紙の製造方法。
- 請求項5に記載の「パルプの熱溶融性物質試験規格」で規定した熱溶融性物質量が0.05%以下であることを特徴とする請求項3,4又は5記載の雑誌古紙を配合した古紙配合晒クラフト紙の製造方法。
- 原紙用パルプに対する再生パルプの配合前に予め、該再生パルプのカチオン要求量を0.03〜0.10meq/Lの範囲内に調整することを特徴とする請求項3,4,5又は6記載の雑誌古紙を配合した古紙配合晒クラフト紙の製造方法。
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