JP2004123925A - オレフィンメタセシス触媒系 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない触媒量で優れたオレフィンメタセシス活性を発現し得る触媒系を安価に工業的に有利に提供すること。
【解決手段】(A1)ルテニウム(III)化合物、(B)リン化合物および含窒素複素環式カルベンから成る群より選ばれる中性電子供与性配位子、(C)ノルボルネン誘導体ならびに(D)アルコール類の反応生成物から成るオレフィンメタセシス触媒系。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なオレフィンメタセシス触媒系に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィンメタセシス反応とは、2分子のオレフィンから二重結合の切断、生成を経て新しい2分子のオレフィンが生成する反応であり、多種多様な反応様式が知られている(例えば、非特許文献1参照)。オレフィンメタセシス反応の触媒活性をオレフィンメタセシス活性といい、該触媒活性を有するものをオレフィンメタセシス触媒という。
【0003】
オレフィンメタセシス触媒として、タングステン、モリブデン、レニウムを含む錯体が知られているが、最近では、ルテニウムを含む錯体が注目を集めている(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照)。その理由として、ルテニウム以外の触媒では困難であった官能基を有するオレフィンのメタセシス反応に活性を示すことが挙げられる。しかしながら、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒は、使用量が多い上、調製に多数の工程が必要であり、触媒自体が高価となっている。
【0004】
オレフィンメタセシス触媒の調製工程を短縮した方法として、メタセシス反応系内で調製する方法が知られている。例えば、(1)[RuCl (アレーン)] 、ホスフィンおよびトリメチルシリルジアゾメタンより調製する方法(非特許文献4参照)、(2)式[RuX (アレーン)] で示されるルテニウム化合物、ホスフィン、式RCHX で示されるジハロゲノ化合物および還元剤より調製する方法(式中、X およびX はハロゲン原子を表し、Rはアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基を表す。)(特許文献1参照)、(3)[RuCl (アレーン)] などのルテニウム化合物、ホスフィンおよび1,4−ジアセトキシ−2−ブチンなどのアルキン類より調製する方法(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献5および非特許文献6参照)が報告されている。
【0005】
さらに、オレフィンメタセシス触媒を容易に調製する方法として、(4)シクロプロペン誘導体を用いる方法が報告されている(例えば、非特許文献7参照)。この方法では、例えば、RuCl (トリフェニルホスフィン) および3,3−ジフェニルシクロプロペンの反応から開環メタセシス重合活性を持つ触媒が得られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−192434号公報(第3頁)
【特許文献2】
WO97−40934号公報(第4頁)
【特許文献3】
WO99−10356号公報(第4〜6頁)
【特許文献4】
米国特許第6,156,692号明細書(第2欄)
【非特許文献1】
「化学辞典」、株式会社東京化学同人出版、1994年10月1日、第1418頁
【非特許文献2】
アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc.Chem.Res.)、2001年、第34巻、第18〜20頁
【非特許文献3】
有機合成化学協会誌、2001年、第59巻、第40〜41頁
【非特許文献4】
マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1997年、第30巻、第3127〜3128頁
【非特許文献5】
ヘルベチカ シミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、2001年、第84巻、第3335頁
【非特許文献6】
ジャーナル・オブ・モレキュラー・キャタリシス A:ケミカル(Journal of Molecular Catalysis A:Chemical)、1999年、第145巻、第323頁
【非特許文献7】
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティー(Journal of American Chemical Society)、1992年、第114巻、第3974〜3975頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法(1)および方法(4)では、不安定なジアゾ化合物またはシクロプロペン誘導体を使用しており、工業的に大量にメタセシス触媒を調製することは困難であり、メタセシス反応を工業的な規模で実施することはできない。方法(2)では、ジハロゲノ化合物を亜鉛粉末などの金属で還元することにより遊離カルベンを発生させ、メタセシス触媒を調製しているが、大量の金属塩廃棄物を産出することになり、工業的に実施するには大きな問題がある。方法(3)では、高価なアルキン類を使用している上、アセチレンガスは爆発性を有しており、工業的には使用し難い。このように、従来知られている方法はいずれも工業的に実施するには問題がある。
【0008】
本発明の目的は、少ない触媒量で優れたオレフィンメタセシス活性を発現し得る触媒系を安価に工業的に有利に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高活性なルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、ノルボルネン誘導体をルテニウム化合物、電子供与性配位子、アルコール類と組み合わせることにより、高活性なルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒系が経済的に得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明は、(A1)ルテニウム(III)化合物、(B)リン化合物および含窒素複素環式カルベンから成る群より選ばれる中性電子供与性配位子、(C)ノルボルネン誘導体ならびに(D)アルコール類の反応生成物から成るオレフィンメタセシス触媒系(以下、これを触媒系Aと称することがある)である。
【0011】
また、本発明は、(A2)ルテニウム(II)化合物、(B)リン化合物および含窒素複素環式カルベンから成る中性電子供与性配位子ならびに(C)ノルボルネン誘導体の反応生成物から成るオレフィンメタセシス触媒系(以下、これを触媒系Bと称することがある)である。
【0012】
【発明の実施の形態】
ルテニウム(III)化合物としては、例えば三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウムなどが挙げられる。ルテニウム(II)化合物としては、例えば、式[RuX (アレーン)] で示される化合物が挙げられる。式中、Xはアニオン性リガンドを表す。アニオン性リガンドとしては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基などアルコキシ基;アセチル基、トリフルオロアセチル基などが挙げられる。アレーンリガンドとしては、例えば、トルエン、キシレン、パラシメンなどのアルキルベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロベンゼン、2−クロロトルエン、ハロアルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの置換または無置換の芳香族リガンドが挙げられる。また、ルテニウム化合物として、予めルテニウム(III)化合物またはルテニウム(II)化合物と中性電子供与性配位子を組み合わせた化合物を使用してもよい。かかるルテニウム化合物として、例えば、[RuCl (トリシクロヘキシルホスフィン) ]、[RuCl (パラシメン)(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)]などが挙げられる。
【0013】
中性電子供与性配位子(2電子供与性配位子)として、リン化合物または含窒素複素環式カルベンが使用される。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0014】
リン化合物としては、式PR R R で示される化合物が好ましい。式中、R 、R およびR は同一であるか、または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0015】
上記のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などの炭素数2〜20のアルキニル基が好ましい。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基が好ましく、アラルキル基としては、例えばベンジル基、ナフチルメチル基などの炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。これらの基は、炭素原子上に水素原子以外の原子または置換基もしくは官能基を有していてもよい。水素原子以外の原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。アリール基またはアラルキル基が有する環上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などのアリール基などが挙げられる。官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ケト基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0016】
上記のリン化合物としては、例えばトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。
【0017】
含窒素複素環式カルベンとは、少なくとも1つの窒素原子を含む複素環からなるカルベンまたはN−ヘテロサイクリックカルベンを意味する。含窒素複素環式カルベンは、それが配位子したルテニウム錯体がメタセシス反応を触媒する作用を有する限り、その環構造などに制限を受けるものではない。
【0018】
含窒素複素環式カルベンとして、例えば、下記の式で示される少なくとも1個の窒素原子を含む5〜7員環構造を有するものが挙げられる。環構造には酸素原子や硫黄原子などのヘテロ原子が存在していてもよく、また二重結合が存在していてもよい。
【0019】
【化1】
Figure 2004123925
【0020】
含窒素複素環式カルベンは、それが与える含窒素複素環式カルベン配位ルテニウム錯体がメタセシス反応の触媒作用を有する限り、カルベン性炭素原子以外の環を構成する炭素原子上に水素原子以外の原子または置換基を有していてもよい。水素原子以外の原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。また、含窒素複素環式カルベンは、それが与える含窒素複素環式カルベン配位ルテニウム錯体がメタセシス反応の触媒作用を有する限り、環を構成する窒素原子上に水素原子または置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
【0021】
上記の含窒素複素環式カルベンが有する置換基について具体的に説明する。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などの炭素数2〜20のアルキニル基が好ましい。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基が好ましく、アラルキル基としては、例えばベンジル基、ナフチルメチル基などの炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。
【0022】
含窒素複素環式カルベンの代表例として、1,3−ジメチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジエチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジエチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジブチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジブチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−o−トリルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−o−トリルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−m−トリルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−m−トリルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−p−トリルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−p−トリルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−o−メトキシフェニルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−o−メトキシフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ−p−メトキシフェニルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ−p−メトキシフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデンなどが挙げられる。
【0023】
ノルボルネン誘導体はメタセシス活性を示すカルベン錯体を発生させるために用いられる。ノルボルネン誘導体としては、例えば、下記の式で示される化合物が挙げられる。
【0024】
【化2】
Figure 2004123925
【0025】
上記の式中、R11、R21、R31およびR41はそれぞれ同一または異なっていてもよく、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などの炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基などの炭素数7〜20のアラルキル基を表す。これらの基は、炭素原子上に水素原子以外の原子または置換基もしくは官能基を有していてもよい。水素原子以外の原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
アリール基またはアラルキル基が有する環上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基などのアラルキル基などが挙げられる。官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ケト基、カルボキシル基などが挙げられる。R11とR21およびR31とR41はそれぞれそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成してもよい。環としては、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環などが挙げられ、環を形成する炭素原子上に水素原子以外の原子または置換基もしくは官能基を有していてもよい。水素原子以外の原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などのアリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基などのアラルキル基などが挙げられる。官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ケト基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0026】
11およびX21はそれぞれ−O−、−S−、式−NR51−で示される基、式−(CR61  )n−で示される基を表す。ここで、R51およびR61は前記のR と同じ定義を有し、nは1〜3の整数を表す。
【0027】
ノルボルネン誘導体の代表例として、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−二カルボン酸無水物、7−オキサノルボルネンなどが挙げられる。
【0028】
アルコール類は、式R OHで示される。式中、R はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表す。上記のノルボルネン誘導体が分子中にヒドロキシル基を有する場合には、必ずしもアルコール類を使用する必要はない。
【0029】
上記のR が表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などの炭素数2〜20のアルキニル基が好ましい。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などの炭素数6〜20のアリール基が好ましく、アラルキル基としては、例えばベンジル基、ナフチルメチル基などの炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。これらの基は炭素原子上に水素原子以外の原子または置換基もしくは官能基を有していてもよい。水素原子以外の原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。アリール基またはアラルキル基が有する環上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、インデニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、テトラセニル基などのアリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基などのアラルキル基などが挙げられる。官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ケト基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0030】
アルコール類の代表例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、フェノール、2−メチルフェノール、2−クロロフェノールなどが挙げられる。
【0031】
ルテニウム(III)化合物を用いる場合には、ルテニウム(III)化合物が中性電子供与性配位子、ノルボルネン誘導体およびアルコール類と反応してルテニウム原子を含む金属カルベン錯体を形成し、オレフィンメタセシス活性を発現する。
【0032】
また、ルテニウム(II)化合物を用いる場合には、ルテニウム(II)化合物が中性電子供与性配位子およびノルボルネン誘導体と反応してルテニウム原子を含む金属カルベン錯体を形成し、オレフィンメタセシス活性を発現する。
【0033】
本発明の触媒系を用いることにより、例えば、閉環メタセシス反応、非環状オレフィンのメタセシス反応、環状オレフィンと非環状オレフィンの交差メタセシス反応、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応、非環状ジエンのメタセシス重合反応、オレフィン結合を有するポリマーのメタセシス変性反応などの多様なオレフィンメタセシス反応を行うことができる。本発明の触媒系は、原料となるオレフィンまたはオレフィン結合を有するポリマーが官能基を有する場合にもメタセシス触媒として有効に作用する。
【0034】
閉環メタセシス反応は、例えば、分子内の二つのオレフィンがメタセシス反応を起こして新たな環構造を形成する反応である。原料オレフィンとして、例えば1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン、3−アセトキシ−1,7−オクタジエン、3−メトキシ−1,7−オクタジエン、3−メトキシカルボニルアミノ−1,7−オクタジエンなどが挙げられる。
【0035】
メタセシス反応に付される非環状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−3−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、オクテン混合物などの鎖状または分岐状のオレフィン;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、3−ペンテン酸メチル、4−ペンテン酸メチル、アクリロニトリル、3−ペンテノニトリル、4−ペンテノニトリル、アリルアルコール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、プレノール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、ゲラニオール、リナノール、7−オクテン−1−オール、2,7−オクタジエノール、1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、1−メトキシカルボニルアミノ−2,7−オクタジエン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンなどの官能基を有するオレフィンを挙げることができる。これらのオレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0036】
交差メタセシス反応において、前記の非環状オレフィンが使用され、各種の環状オレフィンが使用される。環状オレフィンとしては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、ノルボルネン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,4,8−シクロオクタトリエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンなどのオレフィン;4−ヒドロキシメチルシクロヘキセン、5−ヒドロキシメチルシクロオクテン、ヒドロキシメチルトリシクロデセン、3−シクロヘキセンカルボン酸メチル、4−シクロオクテンカルボン酸メチルなど官能基を有する環状オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンおよび非環状オレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0037】
環状オレフィンの開環メタセシス重合反応は、環状オレフィンが開環しながらメタセシス反応を起こして重合する反応であり、オレフィン結合を有するポリマーが得られる。開環メタセシス重合反応を起こす環状オレフィンとして、例えばノルボルネン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、1−ヒドロキシメチル−5−ノルボルネン、1−アセトキシメチル−5−ノルボルネン、1−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン、1−シアノ−5−ノルボルネン、1−メチル−1−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチルシクロオクテン、5−ヒドロキシシクロオクテン、ヒドロキシトリシクロデセン、アセトキシトリシクロデセン、ヒドロキシメチルトリシクロデセンなどを挙げることができる。これらの環状オレフィンは、目的に応じて、単独または2種類以上の混合物で使用される。
【0038】
非環状ジエンのメタセシス重合反応は、分子内の2つのオレフィン結合部位でメタセシス反応を起こして重合する反応であり、オレフィン結合を有するポリマーが得られる。メタセシス重合反応に付される非環状ジエンとしては、例えばパラ−ジアリルベンゼン、ヒドロキノンジアリルエーテルなどを挙げることができる。
【0039】
オレフィン結合を有するポリマーのメタセシス変性反応は、オレフィン結合部位でメタセシス反応させることにより、ポリマーを変性する反応であり、生成物もオレフィン結合を有するポリマーである。オレフィン結合を有するポリマー同士を反応させてもよく、またオレフィン結合を有するポリマーとオレフィンとを反応させてもよい。オレフィン結合を有するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとイソプレンの共重合体、スチレンとブタジエンおよびイソプレンとの共重合体、スチレンとシクロヘキサジエンとの共重合体、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、ブタジエンとメタクリル酸メチルとの共重合体、ブタジエンと酢酸ビニルとの共重合体などのブタジエン、イソプレン、シクロヘキサンジエンなどの共役ジエン化合物を少なくとも一成分とするポリマー;ポリノルボルネン、ポリシクロペンテン、ポリシクロオクテンなどの環状オレフィンの開環メタセシス重合により製造されるポリマーを挙げることができる。オレフィンとしては、前記の各種オレフィンが使用される。これらのオレフィン結合を有するポリマーおよびオレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0040】
本発明のオレフィンメタセシス触媒系において、ルテニウム(III)化合物またはルテニウム(II)化合物(以下、これらをルテニウム化合物と総称する)の使用量は、原料オレフィンに対して0.000001〜0.1当量の範囲であるのが好ましく、0.00001〜0.01当量の範囲であるのがより好ましい。中性電子供与性配位子の使用量は、ルテニウム化合物に対して0.1〜100当量の範囲であるのが好ましく、1〜10当量の範囲であるのがより好ましい。ノルボルネン誘導体の使用量は、ルテニウム化合物に対して0.1〜1000当量の範囲であるのが好ましく、1〜100当量の範囲であるのがより好ましい。アルコール類の使用量は、ルテニウム化合物に対して1当量以上であれば特に限定されない。
【0041】
本発明の触媒系Aを用いるオレフィンメタセシス反応は、ルテニウム(III)化合物にアルコール類、中性電子供与性配位子を順次加え、得られる混合物にノルボルネン誘導体を加えて触媒活性種を形成した後、原料オレフィンを加えて行う。反応はバッチ式または連続式のいずれでも行うことができる。また、生成物オレフィンが揮発性の場合には、その一部または全部を蒸留などにより反応系外へ除去しながら反応を行うことが好ましい。
【0042】
本発明の触媒系Bを用いるオレフィンメタセシス反応は、ルテニウム(II)化合物と中性電子供与性配位子を、必要に応じて溶媒や原料オレフィン中で混合し、得られる混合物にノルボルネン誘導体を加えて触媒活性種を形成した後、原料オレフィンを加えて行う。反応はバッチ式または連続式のいずれでも行うことができる。また、生成物オレフィンが揮発性の場合にはその一部または全部を蒸留などにより反応系外へ除去しながら反応を行うことが好ましい。
【0043】
本発明の触媒系を用いるオレフィンメタセシス反応は、溶媒の存在下または不存在下に行われる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル類;メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素溶媒類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄溶媒類が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に制限はないが、使用量が多い場合には経済的に不利になる。
【0044】
反応温度は0〜120℃の範囲であるのが好ましく、40〜100℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が低い場合には反応時間が長くなり、高い場合には副生物が増え、また触媒活性が低下する傾向にある。反応圧力は特に制限はなく、通常、反応温度に応じて生じる圧力下で反応は行われる。
【0045】
反応終了後、得られた反応混合物からの生成物オレフィンまたはオレフィン結合を有するポリマーの分離は通常の方法で行うことができる。例えば、溶媒を蒸留分離した後、必要に応じて、その残査を蒸留、再結晶、再沈殿またはカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的生成物を得る。これらの分離方法は単独で行っても組み合わせて行ってもよい。上記の精製操作に加えて、必要に応じて、触媒の分離操作を行う。触媒の分離方法としては、薄膜蒸発法、水溶性の配位性化合物で水層へ抽出分離する方法、配位性化合物または各種吸着剤で吸着分離する方法などが採用される。これらの方法は単独で行っても組み合わせて行ってもよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0047】
実施例1
(中性電子供与性配位子としてリン化合物を用いた閉環メタセシス反応の例)アルゴン雰囲気下、25℃で、ベンジルアルコール1mLに三塩化ルテニウム0.8mg(4.0マイクロモル)を加え、80°Cで30分撹拌した。得られた溶液に、トリシクロヘキシルホスフィン(以下、これをPCy3と略称する)2.2mg(8.0マイクロモル)、2−ノルボルネン7.5mg(80マイクロモル)、内標準としてデカンを0.2g加えて30分撹拌し、触媒溶液を調製した。次いで、触媒溶液に3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン2.52g(20ミリモル)を加え、80°Cで1時間攪拌した後、反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンのTONは520、選択率は83%であった。
【0048】
実施例2
実施例1において、ベンジルアルコールの代わりに4−クロロベンジルアルコールを用いた以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
実施例1において、PCy3を用いなかった以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
実施例1において、2−ノルボルネンを用いなかった以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
比較例3
実施例1において、2−ノルボルネンの代わりに1,4−ジアセトキシ−2−ブチンを用いた以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 2004123925
【0053】
実施例3
(中性電子供与性配位子として含窒素複素環式カルベンを用いた閉環メタセシス反応の例)
アルゴン雰囲気下、25℃で、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロリド1.3mg(4.0マイクロモル)を1,4−ジオキサン3mLに懸濁させ、得られた懸濁液にカリウムt−ブトキシド0.5mg(4.1マイクロモル)を加えて30分撹拌した。得られた溶液に、[RuCl (パラシメン)] 1.2mg(2.0マイクロモル)、2−ノルボルネン7.5mg(80マイクロモル)、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン2.52g(20ミリモル)、内標準としてのデカン0.2gをこの順に加え、80°Cで1時間撹拌した。反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンのTONは1600、選択率は81%であった。
【0054】
比較例4
実施例3において、2−ノルボルネンの代わりにt−ブチルアセチレンを用いた以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
比較例5
実施例3において、2−ノルボルネンの代わりにトリメチルシリルアセチレンを用いた以外は同様の反応および操作を行った。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 2004123925
【0057】
実施例4
(開環メタセシス重合の例)
アルゴン雰囲気下、25℃で、ベンジルアルコール1mLに三塩化ルテニウム0.8mg(4.0マイクロモル)を加え、80°Cで30分撹拌した。得られた溶液に、PCy3の2.2mg(8.0マイクロモル)、2−ノルボルネン7.5mg(80マイクロモル)、内標準としてデカンを0.2g加え、30分撹拌して触媒溶液を調製した。次いで、触媒溶液にシクロオクテン2.20g(20ミリモル)を加え、80°Cで1時間攪拌した後、反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロオクテンのTONは2000であった。
反応後の溶液にメタノール(10mL)を添加してポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄後(10mL×2)、減圧乾燥することにより、0.84g(7.6ミリモル)のポリ(シクロオクテン)が得られた。収率から計算される選択率は95%であった。
【0058】
比較例6
実施例4において、2−ノルボルネンの代わりにt−ブチルアセチレンを用いた以外は同様の反応および操作を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、TONは1700、収率から計算される選択率は93%であった。
【0059】
実施例5
(非環式オレフィンメタセシスの例)
アルゴン雰囲気下、25℃で、ベンジルアルコール1mLに三塩化ルテニウム0.8mg(4.0マイクロモル)を加え、80°Cで30分撹拌した。得られた溶液に、PCy3の2.2mg(8.0マイクロモル)、2−ノルボルネン7.5mg(80マイクロモル)、内標準としてデカンを0.2g加え、30分撹拌して触媒溶液を調製した。次いで、触媒溶液に7−オクテン−1−オール2.52g(20ミリモル)を加え、80°Cで1時間攪拌した後、反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、7−オクテン−1−オールのTONは300であった。溶液を減圧乾固した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=3:1)により7−テトラデセン−1,14−ジオールを単離した結果、選択率は82%であった。
【0060】
比較例7
実施例5において、2−ノルボルネンの代わりにt−ブチルアセチレンを用いた以外は同様の反応および操作を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、TONは200、収率から計算される選択率は78%であった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、少ない触媒量で優れたオレフィンメタセシス活性を発現し得る触媒系が安価に工業的に有利に提供される。

Claims (2)

  1. (A1)ルテニウム(III)化合物、(B)リン化合物および含窒素複素環式カルベンから成る群より選ばれる中性電子供与性配位子、(C)ノルボルネン誘導体ならびに(D)アルコール類の反応生成物から成るオレフィンメタセシス触媒系。
  2. (A2)ルテニウム(II)化合物、(B)リン化合物および含窒素複素環式カルベンから成る中性電子供与性配位子ならびに(C)ノルボルネン誘導体の反応生成物から成るオレフィンメタセシス触媒系。
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