JP2004123752A - Mage−a4タンパク質を含む抗腫瘍物質及びその使用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)配列番号:1に示すアミノ酸配列、又は(b)配列番号:1に示すアミノ酸配列の部分であって少なくとのアミノ酸番号227〜317のアミノ酸配列を含むもの、或いは(c)前記アミノ酸配列(a)又は(b)において1〜数個のアミノ酸の欠失、付加又は置換により修飾されたアミノ酸配列を有し且つガンキリンとの結合性を維持しているものを有するMAGE-A4関連タンパク質を含んで成る、ガンキリン高発現癌に対する抗癌剤。
【選択図】 なし
Description
本発明の生来のMAGE-A4タンパク質は配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有する。しかしながら、本発明者が見出したところによれば、MAGE-A4タンパク質の、ガンキリンと結合する領域は当該MAGE-A4タンパク質のC−末端側に存在し、MAGE-A4タンパク質の全長(1位のアミノ酸〜317位のアミノ酸)中、227位のアミノ酸〜317位のアミノ酸の91個のアミノ酸から成る領域が存在すれば十分である。従って本発明のためには、全長のMAGE-A4タンパク質のほか、MAGE-A4タンパク質の部分又は断片であって、227位のアミノ酸〜317位のアミノ酸から成る領域を含むものでも良い。
本発明においては、上記の種々の類似体を含めて、「MAGE-A4関連タンパク質」と称する。このMAGE-A4関連タンパク質の具体例として、配列番号:1に記載のアミノ酸配列において、アミノ酸番号1−317、211−317、又は227−317のアミノ酸配列を有する。
従って、本発明の抗癌剤は、上記のMAGE-A4関連タンパク質のいずれかを医薬として許容される担体と共に含んで成るものである。
材料と方法
酵母ツー−ハイブリッドアッセイ
完全長のヒトガンキリンcDNAをpAS2-1ベクター(Clontech)中にクローン化し、そして胎盤又はpACT2ベクター(Clontech)におけるU-2−OS cDNAライブラリーによりY190酵母細胞中に同時形質転換した。相互作用するタンパク質を含む酵母クローンを、トリプトファン、ロイシン及びおヒスチジンを欠いている培地上での増殖により同定し、続いてβ−ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。
FLAG−標識されたMAGE−A4、HA−標識されたMAGE−A4及びHA−標識されたガンキリンcDNAを、真核発現ベクターpMKit−neo及びpMIK−hygro中にクローン化し、それぞれG418及びヒクロマイシンBによるトランスフェクタントについての選択を可能にした。FLAG−MAGE−A4の条件的発現のために、Nat. Med. 6, 96-99 (2000)に記載のようにしてテトラサイクリン調節されたシステムを使用した。発現ベクターパックにおけるヒト野生型p53は、Dr. S. Ishii, Tsukuba, Japanにより提供された。二シストロン性pIRES−hrGFP−1aベクター(Stratagene)を、GFPと共に用いて、p53又はMAGE−A4を発現した。pMACS4−IRESベクター(Miltenvi biotec) を用いて、切断されたヒトCD4を有するヒトp53を発現した。C74−発現トランスフェクタントを、MACSelect 4システムを用いることによって富化した。
すべての細胞は、空気中、5%CO2の湿潤された雰囲気下で、10%ウシ又はウシ胎児血清により補充されたダルベッコ変性イーグル培地において37℃で培養した。トランスフェクションを、リン酸カルシウム方法により行った。p116−Gk#6細胞を、NIH/3T3細胞から生成し、その結果、それらはHA−標識されたヒトガンキリン及びテトラサイクリン活性化因子、すなわちrtTAを構成的に発現した。ドキシサイクリン(Dox)の存在下で、それらはFLAG−標識されたMAGE−A4を発現した。GK−S25細胞は、NIH/3T3細胞から誘導され、そしてガンキリンを構成的に発現した。
ウェスターンブロット分析及び免疫沈澱を、Nat. Med. 6, 96-99 (2000)に記載のようにして行った。使用される抗体は、マウスモノクローナル抗−HA抗体(12 CA5; Roche Diagnostics)、抗−FLAG抗体(Sigma)、抗−p53抗体(Pharmingen)及びホースラディシュペルオキシダーゼ−接合されたヤギ抗−マウス抗体(DAKO)であった。免疫蛍光染色を、Cell Biology, A Laboratory Handbook,2nd Ed., Academic Press, San Diegoに記載のようにして実質的に行った。COS7細胞を、3%パラホルムアルデヒドに固定し、Triton X-100に透過し、そしてマウスモノクローナル抗−FLAG抗体(Sigma)及びウサギポリクローナル抗−HA抗体(BabCO)と共にインキュベートした。次に、結合された抗体を、FITC−結合された抗−マウス及びTRITC−結合された抗−ウサギIgG(Amersham)と反応せしめ、そして共焦点レーザー顕微鏡(Olympus)下で観察した。
12匹の雌BALB/c Slc-nu/nu無胸腺マウス(生後4週)を、p116−Gk#6細胞(それぞれ、8×106個の細胞)により皮下注射し、そして2つのグループに分けた。6匹は、飲料水によりDox(2mg/ml)を任意に与えられた。腫瘍サイズを、ノギスによりその長さ、幅及び厚さを測定することによって計算した。
U-2−OS細胞を、トランスフェクションの48時間後、収穫した。p116−GK#6細胞を、チミジンにより同調培養し、(Cell Biology, A Laboratory Handbook,2nd Ed., Academic Press, San Diego)、Doxの存在又は不在下で24時間、培養し、そして次に収穫した。流動細胞計測法(EPICS XL, Beckman Coulter)を用いることによって、GFPを発現するU-2−OS細胞及びp116−GK#6細胞を、ヨウ化プロピジウムによる染色後、DNA含有について分析した。
60mmの皿におけるp116−GK#6細胞を、ヒトp53又はベクターのみを発現するプラスミド7μgによりトランスフェクトした。24時間後、2群に分け、そしてそれらの半分を、Doxの存在下で培養した。24時間後、シクロヘキシミド(10μg/ml)を、培養物に添加した。細胞を、ウェスターンブロット分析のために、シクロヘキシミドの添加の0, 40, 80及び120分後に収穫した。
ヒトガンキリンと物理的に相互作用することができるタンパク質について調べるために酵母ツー−ハイブリッドアッセイを行った。ベイトとして完全長のガンキリンを用いて、ヒト胎盤及びU-2−OS細胞cDNAライブラリーにより形質転換された3.5×106個の酵母クローンから18個のクローンを同定した。個々のクローンは、ヒスチジンインヒビタ−3ATを含む培地上で増殖し、そしてβ−ガラクトシダーゼ染色に関して陽性であった(図1-A及びデータは示されていない)。
図1-Aは、酵母における相互作用を示す。酵母細胞を、示されるプラスミドにより同時形質転換し、そしてトリプトファン及びロイシンを欠いている培地(SD/-W-L)及びトリプトファン、ロイシン及びヒスチジンを欠き、そして3ATにより補充された培地(SD/-W-L+3HA)上にプレートした。
ガンキリン及びMAGE−A4の相互作用ドメインを特徴づけるために、種々の欠失変異体を製造し、そして酵母ツー−ハイブリッドシステムにおけるそれらの相互作用を分析した。我々は、pRbとガンキリンが相互作用するためには完全長の長さが必要であることを、これまで示している(1)。同様に、ガンキリンの欠失変異体はMAGE−A4と相互作用せず、このことは、すべてのアンキリン反復体及びN−末端延長が結合のために必要であることを示す(図2-A)。
以上の結果を図2により具体的に説明する。図2は、ガンキリンとC−末端MAGE−A4との特異的相互作用を示す。
相互作用は、他のMAGEタンパク質のその対応する領域が、MAGE−A4に構造的に非常に類似するが、ガンキリンと相互作用しないので、MAGE−A4に対して特異的であった(図2-C,D)。それらの結果は、HLA−A2分子(Eur. J. Immunol. 29, 3329-3337(1999))により提供されることが知られているデカペプチド(GVYDGREHTV)を含む、MAGE−A4のC末端領域が、ガンキリンと特異的に相互作用することを示す。
図3-Aは、ガンキリンを安定して過剰発現するp116−GK#6細胞におけるドキシサイクリン(Dox)によるFLAG−MAGE−A4の誘発を示す。細胞溶解物を、Doxと共にインキュベートした後、それらの示される時間で調製し、そして示される抗体を用いてウェスターンブロットにより分析した。矢頭は、特異的バンドの移動度を示す。
図3-B及び図3-Cは、軟質寒天におけるコロニー形成に対する効果を示す。p116−GK#6細胞を、Doxの不在(−)又は存在(+)下で軟質寒天において培養し、写真を撮り(図3-B)、そしてコロニー数を、顕微鏡下で計数した(図3-C)。三重反復試験の平均±s.e.が示されている。
細胞培養における足場非依存的という表現型は、動物において腫瘍を形成する細胞の能力と密接に関連している(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 72, 4435-4439)。従って、我々は、無胸腺ヌードマウスにおけるガンキリン−形質転換された細胞の腫瘍形成に対するMAGE−A4の効果を評価した。p116−GK#6細胞による皮下接種の後、動物を2種のグループに分け、1つは、飲料水でのDoxを投与された。Doxの不在下で、すべてのマウスは、p116−GK#6細胞の接種の5週間後、腫瘍を進行せしめた(図4)。対照的に、腫瘍は、Doxを与えられたマウスにおいて、後で出現し、そしてゆっくりと増殖した。Dox単独で、ガンキリンを過剰発現するNIH/3T3細胞による腫瘍形成に対する制御効果を示さず(データは示されていない)、このことは、MAGE−A4がガンキリンの腫瘍形成を抑制することを示唆する。
図4-Aは、Dox(+)又はビークルのみ(−)を6週間、与えられたマウスの写真である。
図4-Bは、Dox(黒丸)又はビークルのみ(黒正方形)を与えられたマウスにおける腫瘍体積(平均±s.e.;それぞれn=6)を示す。
GFPと共に、p53、又はMAGE−A4の発現、又は対照の発現を指図する二シストロン性ベクターによりU-2−OS細胞をトランスフェクトし、そして流動細胞計測法により、DNA含有について、GFPを発現する細胞を分析した。図5-Aに示されるように、p53は同調培養されていないトランスフェクトされたU-2−OS細胞の38%においてアポトーシス(sub-G1)を誘発した。対照的に、MAGE−A4はアポトーシスを誘発せず、そして細胞周期に対する効果は観察されなかった。
図5-Aは、GFPを発現し、及び何も発現しない(模擬)、ヒトp53又はMAGE−A4を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトされたU-2−OS細胞におけるDNA含有物の流動細胞計測分析を示す。GFPを発現する細胞のみを分析した。
図5-Cは、Doxの存在(黒丸)又は不在(黒正方形)下でのアドリアマイシン−誘発されたアポトーシスに対するp116-GK#6細胞の感受性を示す。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。
MAGE−A4発現によるp53の高められた安定性:足場の剥奪はp53の活性化に連結され(1)、そしてMAGE−A4は細胞の足場依存性に影響を及ぼしたので、p53のレベルに対するMAGE−A4の効果を調べた。ガンキリンを安定して過剰発現するマウスNIH/3T3由来の細胞を、ヒトp53, GFP, 及びFLAG−MAGE−A4又はFLAGのいずれかを発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。MAGE−A4発現は、p53のレベルを高めた(図6-A)。
図6-Aは、外因性p53のレベルに対する効果を示す。ガンキリンを安定して過剰発現するマウスGK-S25細胞を、示されるようなプラスミドによりトランスフェクトし、そして48時間後、抗−FLAG、抗−ヒトp53及び抗−GFP抗体を用いて、ウェスターンブロットにより分析した。矢頭は、特異的バンドの移動度を示す。
図7に、C末端MAGE−A4のプロ−アポトーシス活性を示す。図7-Aは、ヨウ化プロピジウム(P1)−陽性細胞数に対する効果を示す。U−2 OS骨肉種細胞を、GFPとともにMAGE−A4の完全長、N−末端又はC−末端、又はp53又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。示される時間で、細胞をPIにより染色し、そして流動細胞計測法により分析した。値は、GFP−陽性細胞に対するPI−陽性細胞の%を表す。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
図7-Dは、細胞DNA含有に対するMAGE−Aファミリーメンバーの効果を示す。U−2 OS細胞を、GFP又はのみ(模擬)と共に、MAGE−A1(A1)、MAGE−A2(A2)、MAGE−A4(A4)、又はMAGE−A12(A12)のC末端を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトし、そして(図7-B)におけるようにして分析した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
図8は、MAGE−A4欠失変異体のプロ−アポトーシス活性を示す。図8-Aは、MAGE−A4欠失変異体を表示する:MAGE-A4ΔC1 (ΔC1), MAGE-A4ΔN1 (ΔN1), MAGE-A4ΔN2 (ΔN2), MAGE-A4ΔN3 (ΔN3), MAGE-A4ΔN1ΔC2 (ΔN1ΔC2), MAGE-A4ΔN1ΔC3 (ΔN1ΔC3), 及びMAGE-A4ΔN3ΔC3 (ΔN3ΔC3)。上部列:完全長のMAGE−A4。 黒のボックス:FLAG標識。ボックスの上部上の数字は、アミノ酸位置を示し、そしてボックス内の数字は個々のタンパク質、a.a., アミノ酸の長さを示す。(+)及び(−)は、それぞれ、ガンキリンに結合する能力の存在又は不在を示す(J. Biol. Chem. 278:10668-10674参照)。N.D.:決定されていない。
図9は、MAGE−A4ΔN1により誘発されたカスパーゼ−依存性アポトーシスを示す。
図9-Aは、Z−VAD−FMKの効果を示す。U−2 OS細胞を、GFP及びMAGE−A4ΔN1(ΔN1)、又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。細胞を示されるようにZ−VAD−FMKの存在又は不在下で培養した。トランスフェクションの48時間後、GFP−発現細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を、流動細胞計測法により決定した。結果は、平均±s.e.である。*、P<0.05模擬対照。
図10は、ミトコンドリアアポトーシス経路に対するMAGE−A4ΔN1の効果を示す。図10-Aは、ミトコンドリア膜電位に対する効果を示す。H1299細胞を、MAGE−A4ΔN1及びGFP(ΔN1)又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をMitoTracker Red CMXResにより染色した。GFP陽性細胞における赤色蛍光の強度を、流動細胞計測法により分析した。
図11は、インビトロ及びインビボでのTat−MAGE−A4ΔN1タンパク質の抗−腫瘍形成活性を示す。図11-Aの上部は、Tat融合タンパク質を表示する。MAGE−A4、MAGE−A4ΔC1及びMAGE−A4ΔN1をそれぞれ、示されるようにHIV Tatドメイン(黒ボックス)及び6xHis標識(斜線ボックス)に融合した。ボックスの上部上の数字はアミノ酸位置を示す。クーマシーブルーによる染色後のSDS/PAGEにおける予測される移動度を示す精製されたタンパク質。サイズマーカーの移動度は左側に示される。
図11-Fは、腫瘍形成に対する効果を示す。ヌードマウスを、GK−S25細胞及び5μgのTat−MAGE−A4ΔN1又は対照BSAによりs.e.注射した。上部パネル、接種の5週間後のマウスの写真。下部パネル、Tat−MAGE−A4ΔN1又は対照BSAにより処理されたマウスにおける腫瘍体積(それぞれ、平均±s.e., n=6)。* P<0.05−対−対照グループ。
Claims (4)
- (a)配列番号:1に示すアミノ酸配列、(b)配列番号:1に示すアミノ酸配列の部分であって少なくとのアミノ酸番号227〜317のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列、(c)前記アミノ酸配列(a)又は(b)において1〜数個のアミノ酸の欠失、付加又は置換により修飾されており且つガンキリンとの結合性を維持しているアミノ酸配列、(d)配列番号:2に示す塩基配列を有する核酸と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸にコードされており且ガンキリンとの結合能を維持しているアミノ酸配列、或いは(e)配列番号:1に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸227〜317のアミノ酸配列を含むその部分部分に対して90%以上配列同一性を有し且つガンキリンと結合する能力を有するアミノ酸配列、を有するMAGE-A4関連タンパク質を含んで成る、ガンキリン高発現癌に対する抗癌剤。
- 前記ガンキリン高発現癌が肝癌である請求項1に記載の抗癌剤。
- 前記抗癌剤が予防薬又は治療薬である、請求項1又は2に記載の抗癌剤。
- 前記MAGE-A4関連タンパク質が、配列番号:1において、アミノ酸番号1−317、211−317、又は229−317のアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗癌剤。
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Cited By (1)
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WO2008053579A1 (fr) | 2006-10-30 | 2008-05-08 | National University Corporation Hokkaido University | Polypeptide antigénique utilisable en tant qu'agent thérapeutique pour un néoplasme malin |
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2003
- 2003-10-02 JP JP2003344979A patent/JP2004123752A/ja active Pending
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