JP2004123752A - Mage−a4タンパク質を含む抗腫瘍物質及びその使用 - Google Patents

Mage−a4タンパク質を含む抗腫瘍物質及びその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規な抗癌剤の提供。
【解決手段】 (a)配列番号:1に示すアミノ酸配列、又は(b)配列番号:1に示すアミノ酸配列の部分であって少なくとのアミノ酸番号227〜317のアミノ酸配列を含むもの、或いは(c)前記アミノ酸配列(a)又は(b)において1〜数個のアミノ酸の欠失、付加又は置換により修飾されたアミノ酸配列を有し且つガンキリンとの結合性を維持しているものを有するMAGE-A4関連タンパク質を含んで成る、ガンキリン高発現癌に対する抗癌剤。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、MAGE-A4関連物質を含んで成る抗癌剤に関する。
 肝細胞癌は、東南アジア及び南アフリカにおいて最も共通する悪性の1つである。多くの処理様式が存在するが、再発及び転移率は高く、そして予後は満足のゆくものではない。
 ガンキリン(PSMD10及びp28としても知られている、ガンアンキリン−反復体タンパク質)は、腫瘍遺伝子であり、この発現はすべての研究された肝細胞癌(HCC)において増加している(Nat. Med., 6, 96-99(2000))。ガンキリンは、6種のアンキリン反復体及び38−アミノ酸N−末端延長からなり、そして網膜芽細胞腫瘍抑制タンパク質(pRB)、26SプロテアソームのS6 ATPアーゼサブユニット(PSMCC4, RPT3, TBP7)、及びサイクリン−依存性キナーゼ4(Cdk4)に結合する(Nat. Med., 6, 96-99(2000);J. Biol. Chem. 277, 10893-10902(2002));Biochemistry 41, 3977-3983(2002))。
 ガンキリンの過剰発現は、pRBのリン酸化及び分解の両者をインビボで高め、そしてNIH/3T3細胞を、腫瘍遺伝的性に形質転換する。ガンキリンはCdk4に結合し、そして腫瘍サプレッサーp16TNK4A及びp18INK4Cの阻害機能を妨げる。肝発癌の囓歯モデルにおいては、ガンキリンは、腫瘍進行の初期段階から過剰発現される(Mol. Carcing 30, 138-150(2001))。それらの発見は、ガンキリンがHCCにおける細胞周期制御及び腫瘍形成において主要プレーヤーであることを示唆する。
 MAGE(メラノーマ抗原)遺伝子は、それらが癌患者の血液リンパ球に由来する細胞溶解性Tリンパ球により認識され得る腫瘍抗原をコードするので、初期に同定された(Science 254 1643-1647(1991))。MAGE遺伝子ファミリーは、ヒトにおいては25以上の遺伝子から構成され、そしてMAGE−A、−B及び−C遺伝子を包含するタイプI MAGE, 及びMAGE−A、−B及び−Cゲノムクラスターの外部に存在するそれらの遺伝子を包含するタイプII MAGE遺伝子として分類される(Cancer Res. 61 5544-5551(2001);J. Neurosci. Res.67 705-712(2002))。
 MAGE−Aサブファミリーは、12種の遺伝子(MAGE−A1〜A12)を含んで成り、そして種々のタイプの腫瘍において発現されるが、しかし精巣及び胎盤を除く正常な成人組織においては発現されない。MAGE−A抗原は、それらが厳密に腫瘍特異的であり、そして多くの腫瘍により共有されるので、抗腫瘍免疫治療法のために特に興味あるものである。増加する数のMAGE遺伝子の単離にもかかわらず、正常組織におけるそれらの機能はほとんど未知のままである。
 上記のごとく、ガンキリンは腫瘍遺伝子であるが、ガンキリンの活性を抑制して抗癌効果を発揮する抗癌剤は知られていない。従って、本発明は、ガンキリンに作用し、その活性を抑制することにより抗癌効果を発揮するタイプの抗癌剤を提供しようとするものである。
 本発明者は、酵母ツーハイブリッドスクリーンによりガンキリンに結合する別の相互作用タンパク質としてMAGE−A4を同定した。MAGE−A4のC−末端半分により介在されるガンキリンとの相互作用が、哺乳類細胞において再現された。MAGE−A4に構造的に類似する他のMAGEファミリータンパク質、すなわちMAGE−A1、MAGE−A2及びMAGE−A12はガンキリンに結合しなかったので、MAGE-A4とガンキリンとの相互作用は、MAGE−A4に特異的であった。MAGE−A4は、ガンキリンを過剰発現する細胞においてp53の安定性を高め、そしてインビトロでの足場依存的増殖及び無胸腺マウスにおける腫瘍形成の両者は、MAGE−A4の過剰発現により部分的に抑制された。それらの結果は、MAGE−A4が、ガンキリンに結合し、そしてその腫瘍遺伝子活性を抑制することを示した。
 従って、本発明は、(a)配列番号:1に示すアミノ酸配列、(b)配列番号:1に示すアミノ酸配列の部分であって少なくとのアミノ酸番号227〜317のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列、(c)前記アミノ酸配列(a)又は(b)において1〜数個のアミノ酸の欠失、付加又は置換により修飾されており且つガンキリンとの結合性を維持しているアミノ酸配列、(d)配列番号:2に示す塩基配列を有する核酸と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸にコードされており且つガンキリンとの結合能を維持しているアミノ酸配列、或いは(e)配列番号:1に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸227〜317のアミノ酸配列を含むその部分部分に対して90%以上配列同一性を有し且つガンキリンと結合する能力を有するアミノ酸配列、を有するMAGE-A4関連タンパク質を含んで成る、ガンキリン高発現癌に対する抗癌剤を提供する。
 この抗癌剤は、肝癌に対して特に有効である。この抗癌剤は、予防薬又は治療薬であることが出来る。上記MAGE-A4関連タンパク質は、例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列において、アミノ酸番号1−317、211−317、又は227−317のアミノ酸配列を有する。
 MAGE-A4関連タンパク質
 本発明の生来のMAGE-A4タンパク質は配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有する。しかしながら、本発明者が見出したところによれば、MAGE-A4タンパク質の、ガンキリンと結合する領域は当該MAGE-A4タンパク質のC−末端側に存在し、MAGE-A4タンパク質の全長(1位のアミノ酸〜317位のアミノ酸)中、227位のアミノ酸〜317位のアミノ酸の91個のアミノ酸から成る領域が存在すれば十分である。従って本発明のためには、全長のMAGE-A4タンパク質のほか、MAGE-A4タンパク質の部分又は断片であって、227位のアミノ酸〜317位のアミノ酸から成る領域を含むものでも良い。
 また、生理活性タンパク質は、その活性に必須でない領域において、1〜数個のアミノ酸が欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されていても生来の活性を維持しうることが知られている。従って、本発明のためには、上記の全長MAGE-A4タンパク質又はその上記の如き部分又は断片において、1〜数個のアミノ酸が欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されており且生来の活性を維持しているものであっても良い。
 更に、本発明に使用しうるタンパク質としては、配列番号:2に示す、MAGE-A4タンパク質をコードする核酸と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸にコードされており且ガンキリンとの結合能を維持しているタンパク質であっても良い。更に、配列番号:1に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸227〜317のアミノ酸配列を含むMAGE-A4の部分に対して、90%以上、好ましくは95%以上の配列同一性を有し、且つガンキリンと結合する能力を有するものであってもよい。
 本発明においては、上記の種々の類似体を含めて、「MAGE-A4関連タンパク質」と称する。このMAGE-A4関連タンパク質の具体例として、配列番号:1に記載のアミノ酸配列において、アミノ酸番号1−317、211−317、又は227−317のアミノ酸配列を有する。
 抗癌剤
 従って、本発明の抗癌剤は、上記のMAGE-A4関連タンパク質のいずれかを医薬として許容される担体と共に含んで成るものである。
 次に、本発明を、実施例により更に具体的に記載する。
 材料と方法
 酵母ツー−ハイブリッドアッセイ
 完全長のヒトガンキリンcDNAをpAS2-1ベクター(Clontech)中にクローン化し、そして胎盤又はpACT2ベクター(Clontech)におけるU-2−OS cDNAライブラリーによりY190酵母細胞中に同時形質転換した。相互作用するタンパク質を含む酵母クローンを、トリプトファン、ロイシン及びおヒスチジンを欠いている培地上での増殖により同定し、続いてβ−ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。
 前記相互作用は、pAS2−1−ガンキリンによるY190細胞中への同時形質転換、及び25mMの3−アミノトリアゾール(3AT)を含む選択培地上でのそれらの増殖により確かめられた。相互作用の分析のために、ガンキリン及びMAGE−A4の種々の変異体cDNAを、ポリメラーゼ鎖反応により生成し、そしてそれぞれ、pAS2−1又はpACT2ベクター中にクローン化した。MAGE−A1(アミノ酸203〜309、Genbank受託番号NM004988)、MAGE−A2(アミノ酸210〜314、Genbank受託番号NM005361)及びMAGE−A12(アミノ酸210〜314、Genbank受託番号NM010079)のC末端領域に対するcDNAをまた、pACT2にクローン化した。
 プラスミド
 FLAG−標識されたMAGE−A4、HA−標識されたMAGE−A4及びHA−標識されたガンキリンcDNAを、真核発現ベクターpMKit−neo及びpMIK−hygro中にクローン化し、それぞれG418及びヒクロマイシンBによるトランスフェクタントについての選択を可能にした。FLAG−MAGE−A4の条件的発現のために、Nat. Med. 6, 96-99 (2000)に記載のようにしてテトラサイクリン調節されたシステムを使用した。発現ベクターパックにおけるヒト野生型p53は、Dr. S. Ishii, Tsukuba, Japanにより提供された。二シストロン性pIRES−hrGFP−1aベクター(Stratagene)を、GFPと共に用いて、p53又はMAGE−A4を発現した。pMACS4−IRESベクター(Miltenvi biotec) を用いて、切断されたヒトCD4を有するヒトp53を発現した。C74−発現トランスフェクタントを、MACSelect 4システムを用いることによって富化した。
 細胞培養
 すべての細胞は、空気中、5%CO2の湿潤された雰囲気下で、10%ウシ又はウシ胎児血清により補充されたダルベッコ変性イーグル培地において37℃で培養した。トランスフェクションを、リン酸カルシウム方法により行った。p116−Gk#6細胞を、NIH/3T3細胞から生成し、その結果、それらはHA−標識されたヒトガンキリン及びテトラサイクリン活性化因子、すなわちrtTAを構成的に発現した。ドキシサイクリン(Dox)の存在下で、それらはFLAG−標識されたMAGE−A4を発現した。GK−S25細胞は、NIH/3T3細胞から誘導され、そしてガンキリンを構成的に発現した。
 p116-Gk#6細胞におけるアポトーシスを誘発するために、それらをまず、Dox又はビークルに24時間、暴露し、そして次に、アドリアマイシン(CALBIOCHEM)と共にインキュベートした。生存細胞の数を、顕微鏡下で血球計を用いて、トリパンブルー色素排除方法により計数した。インビトロでの増殖の足場依存性を評価するために、5×103個の細胞を、35mmの皿における0.6%アガロースの上部上の0.3%アガロースにプレートした。4週間後、コロニー(20個以上の細胞)の数を、顕微鏡により計数した。
 ウェスターンブロット分析、免疫沈殿及び免疫蛍光染色
 ウェスターンブロット分析及び免疫沈澱を、Nat. Med. 6, 96-99 (2000)に記載のようにして行った。使用される抗体は、マウスモノクローナル抗−HA抗体(12 CA5; Roche Diagnostics)、抗−FLAG抗体(Sigma)、抗−p53抗体(Pharmingen)及びホースラディシュペルオキシダーゼ−接合されたヤギ抗−マウス抗体(DAKO)であった。免疫蛍光染色を、Cell Biology, A Laboratory Handbook,2nd Ed., Academic Press, San Diegoに記載のようにして実質的に行った。COS7細胞を、3%パラホルムアルデヒドに固定し、Triton X-100に透過し、そしてマウスモノクローナル抗−FLAG抗体(Sigma)及びウサギポリクローナル抗−HA抗体(BabCO)と共にインキュベートした。次に、結合された抗体を、FITC−結合された抗−マウス及びTRITC−結合された抗−ウサギIgG(Amersham)と反応せしめ、そして共焦点レーザー顕微鏡(Olympus)下で観察した。
 マウスにおける腫瘍形成アッセイ
 12匹の雌BALB/c Slc-nu/nu無胸腺マウス(生後4週)を、p116−Gk#6細胞(それぞれ、8×106個の細胞)により皮下注射し、そして2つのグループに分けた。6匹は、飲料水によりDox(2mg/ml)を任意に与えられた。腫瘍サイズを、ノギスによりその長さ、幅及び厚さを測定することによって計算した。
 流動細胞計測法
 U-2−OS細胞を、トランスフェクションの48時間後、収穫した。p116−GK#6細胞を、チミジンにより同調培養し、(Cell Biology, A Laboratory Handbook,2nd Ed., Academic Press, San Diego)、Doxの存在又は不在下で24時間、培養し、そして次に収穫した。流動細胞計測法(EPICS XL, Beckman Coulter)を用いることによって、GFPを発現するU-2−OS細胞及びp116−GK#6細胞を、ヨウ化プロピジウムによる染色後、DNA含有について分析した。
 p53分解アッセイ
 60mmの皿におけるp116−GK#6細胞を、ヒトp53又はベクターのみを発現するプラスミド7μgによりトランスフェクトした。24時間後、2群に分け、そしてそれらの半分を、Doxの存在下で培養した。24時間後、シクロヘキシミド(10μg/ml)を、培養物に添加した。細胞を、ウェスターンブロット分析のために、シクロヘキシミドの添加の0, 40, 80及び120分後に収穫した。
 実施例1. ガンキリン−相互作用タンパク質としてのMAGE−A4の同定
 ヒトガンキリンと物理的に相互作用することができるタンパク質について調べるために酵母ツー−ハイブリッドアッセイを行った。ベイトとして完全長のガンキリンを用いて、ヒト胎盤及びU-2−OS細胞cDNAライブラリーにより形質転換された3.5×106個の酵母クローンから18個のクローンを同定した。個々のクローンは、ヒスチジンインヒビタ−3ATを含む培地上で増殖し、そしてβ−ガラクトシダーゼ染色に関して陽性であった(図1-A及びデータは示されていない)。
 救済されたプラスミドのDNA配列決定分析は、それらの2つがMAGE−A4のC末端の107個のアミノ酸をコードしたことを示した。残る16個のクローンが、26SプロテアソームのS6 ATPアーゼサブユニットの異なったC末端配列をコードする。MAGE−A4は、GAL4 DNAの結合ドメインとは単独で相互作用せず(図1-A)、このことは、それがガンキリンと相互作用されることを示す。
 ガンキリンが哺乳類細胞におけるMAGE−A4と相互作用することを確かめるために、COS7細胞を、HA−標識されたヒトガンキリン及びFLAG−標識された完全長のMAGE−A4を発現するプラスミドDNAにより同時トランスフェクトした。細胞溶解物が抗−FLAG抗体により免疫沈殿される場合、HA−ガンキリンがそれらにおいて検出されたが、しかし親FLAGベクター及びHA−ガンキリンにより同時トランスフェクトされた細胞からの沈殿物においては検出されなかった(図1-B、左)。
 相互的には、FLAG−MAGE−A4が、HA−ガンキリン及びFLAG−MAGE−A4により同時トランスフェクトされた細胞からの抗−HA免疫沈殿物において検出された(図1B、右)。さらに、FLAG−MAGE−A4及びHA−ガンキリンを発現する細胞においては、二重免疫蛍光染色は、両タンパク質が細胞質に同時局在化されることを示した(図1-C)。
 以上の結果を、図面により具体的に説明する。図1は、ガンキリン−結合タンパク質としてのMAGE−A4の同定の結果を示す。
 図1-Aは、酵母における相互作用を示す。酵母細胞を、示されるプラスミドにより同時形質転換し、そしてトリプトファン及びロイシンを欠いている培地(SD/-W-L)及びトリプトファン、ロイシン及びヒスチジンを欠き、そして3ATにより補充された培地(SD/-W-L+3HA)上にプレートした。
 図1-Bは、COS7細胞における相互作用を示す。溶解物を、示されるようにHA−標識されたガンキリン、FLAG−標識されたMAGE−A4、FLAGのみ及びHAのみを発現するベクターによる同時トランスフェクションの後に調製した。溶解物、及びFLAG又はHAに対する抗体により免疫沈殿されたそれらを、示される抗体を用いて、ウェスターンブロットにより分析した。矢頭は、特異的バンドの移動度を示す。
 図1-Cは、ガンキリン及びMAGE−A4の同時局在化を示す。HA−ガンキリン及びFLAG−MAGE−A4により同時トランスフェクトされたCOS7細胞を、ウサギ抗−HA及びマウス抗−FLAG抗体と共にインキュベートし、TRITC−結合された抗−ウサギ及びFITC−結合された抗−マウスIgGにより可視化し、そして共焦顕微鏡下で観察した。ガンキリン(赤)及びMAGE−A4(緑)の細胞質同時局在化(黄)を注意すること。
 実施例2. ガンキリンとC−末端MAGE−A4との特異的相互作用
 ガンキリン及びMAGE−A4の相互作用ドメインを特徴づけるために、種々の欠失変異体を製造し、そして酵母ツー−ハイブリッドシステムにおけるそれらの相互作用を分析した。我々は、pRbとガンキリンが相互作用するためには完全長の長さが必要であることを、これまで示している(1)。同様に、ガンキリンの欠失変異体はMAGE−A4と相互作用せず、このことは、すべてのアンキリン反復体及びN−末端延長が結合のために必要であることを示す(図2-A)。
 前記ツー−ハイブリッドスクリーンにより最初に単離されたMAGE−A4クローンは、C末端の107個のアミノ酸(配列211〜317、図2-B)のみを含んだ。残基226までの追加のN末端切断は、ガンキリンとの相互作用を妨げなかった。対照的に、MAGE−A4のC末端からの10個のアミノ酸の切断は、ガンキリンへのその結合を破壊した(図2-B)。
 以上の結果を図2により具体的に説明する。図2は、ガンキリンとC−末端MAGE−A4との特異的相互作用を示す。
 図2-Aは:酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のMAGE−A4と種々のガンキリン欠失変異体との間の相互作用を示す。上部列:完全長のガンキリン。アンキリン反復体の位置はANK1〜ANK6として示される。(+)及び(−)は、それぞれ相互作用の存在及び不在を意味する。
 図2-Bは、酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のガンキリンと種々のMAGE−A4欠失変異体との間の相互作用を示す。上部列:完全長のMAGE−A4。斜線ポックス:MAGE相同ドメイン。そのボックス上の数字は、アミノ酸位置を示し、そしてボックス内部の数字は、個々の変異体の長さを示す。(+)及び(−)は、それぞれ相互作用の存在及び不在を意味する。
 図2-Cは、MAGE−A1、MAGE−A2及びMAGE−A12のそれらのアミノ酸配列に対してのMAGE−A4のC末端アミノ酸配列の比較を示す。MAGE−A4と同一のアミノ酸残基が強調され、そして細胞表面上に提供されるMAGE−A4ペプチドを生ぜしめる領域(9)は、線により示される。
 図2-Dは、酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のガンキリンとCに示される種々のMAGE−Aタンパク質のC末端領域との間の相互作用を示す。酵母細胞を、示されるプラスミドにより同時形質転換し、そしてトリプトファン及びロイシンを欠いている培地(SD/-W-L)及びトリプトファン、ロイシン及びヒスチジンを欠き、そして3ATにより補充された培地(SD/-W-L-H+3AT)上にプレートした。ガンキリンと相互作用したのが、MAGE−A4のみであることに注意すること。
 実施例3. ガンキリン−形質転換された細胞の足場無関係増殖に対するMAGE−A4のインビトロでの効果
 相互作用は、他のMAGEタンパク質のその対応する領域が、MAGE−A4に構造的に非常に類似するが、ガンキリンと相互作用しないので、MAGE−A4に対して特異的であった(図2-C,D)。それらの結果は、HLA−A2分子(Eur. J. Immunol. 29, 3329-3337(1999))により提供されることが知られているデカペプチド(GVYDGREHTV)を含む、MAGE−A4のC末端領域が、ガンキリンと特異的に相互作用することを示す。
 ガンキリンの腫瘍形成活性に対するMAGE−A4の効果:ガンキリン及びMAGE−A4の相互作用の生物学的効果を調べるために、HA−ガンキリンが安定して過剰発現され、そしてFLAG−MAGE−A4発現がDoxの存在により誘発され得る、NIH/3T3−由来のクローン(p116-GK#6)を生成した(図3A)。細胞がDoxの存在下で培養される場合、コロニーの数は、Doxの不在下でのコロニーの数の65%に低められた(図3-B、C)。
 上記の結果を、図3に具体的に示す。図3は、ガンキリン−形質転換された細胞の足場非依存的増殖に対するMAGE−A4のインビトロでの効果を示す。
 図3-Aは、ガンキリンを安定して過剰発現するp116−GK#6細胞におけるドキシサイクリン(Dox)によるFLAG−MAGE−A4の誘発を示す。細胞溶解物を、Doxと共にインキュベートした後、それらの示される時間で調製し、そして示される抗体を用いてウェスターンブロットにより分析した。矢頭は、特異的バンドの移動度を示す。
 図3-B及び図3-Cは、軟質寒天におけるコロニー形成に対する効果を示す。p116−GK#6細胞を、Doxの不在(−)又は存在(+)下で軟質寒天において培養し、写真を撮り(図3-B)、そしてコロニー数を、顕微鏡下で計数した(図3-C)。三重反復試験の平均±s.e.が示されている。
 実施例4. ガンキリン−形質転換された細胞の足場無関係増殖に対するMAGE−A4のインビボでの効果
 細胞培養における足場非依存的という表現型は、動物において腫瘍を形成する細胞の能力と密接に関連している(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 72, 4435-4439)。従って、我々は、無胸腺ヌードマウスにおけるガンキリン−形質転換された細胞の腫瘍形成に対するMAGE−A4の効果を評価した。p116−GK#6細胞による皮下接種の後、動物を2種のグループに分け、1つは、飲料水でのDoxを投与された。Doxの不在下で、すべてのマウスは、p116−GK#6細胞の接種の5週間後、腫瘍を進行せしめた(図4)。対照的に、腫瘍は、Doxを与えられたマウスにおいて、後で出現し、そしてゆっくりと増殖した。Dox単独で、ガンキリンを過剰発現するNIH/3T3細胞による腫瘍形成に対する制御効果を示さず(データは示されていない)、このことは、MAGE−A4がガンキリンの腫瘍形成を抑制することを示唆する。
 上記に結果を、図4により具体的に説明する。図4は、ガンキリン−形質転換された細胞の足場無関係増殖に対するMAGE−A4のインビボでの効果を示す。nu/nuマウスを、ガンキリンを安定して過剰発現するp116-GK#6細胞によりs.c.注射した。次に、それらを2つのグループに分け、1つのグループは、飲料水にドキシサイクリン(Dox)を与えられた。
 図4-Aは、Dox(+)又はビークルのみ(−)を6週間、与えられたマウスの写真である。
 図4-Bは、Dox(黒丸)又はビークルのみ(黒正方形)を与えられたマウスにおける腫瘍体積(平均±s.e.;それぞれn=6)を示す。
 実施例5. 細胞周期進行及びアポトーシスに対するMAGE−A4の効果
 GFPと共に、p53、又はMAGE−A4の発現、又は対照の発現を指図する二シストロン性ベクターによりU-2−OS細胞をトランスフェクトし、そして流動細胞計測法により、DNA含有について、GFPを発現する細胞を分析した。図5-Aに示されるように、p53は同調培養されていないトランスフェクトされたU-2−OS細胞の38%においてアポトーシス(sub-G1)を誘発した。対照的に、MAGE−A4はアポトーシスを誘発せず、そして細胞周期に対する効果は観察されなかった。
 細胞周期に対するMAGE−A4の効果をさらに試験するために、我々はガンキリンを過剰発現する、同調培養されたp116-GK#6細胞を分析した。細胞周期の進行は、MAGE−A4の発現により影響されなかった(図5-B)。それらの細胞の増殖速度はいずれも影響されなかった。(データは示されていない)。それらの結果は、MAGE−A4が細胞周期に影響を与えも、又はアポトーシスを単独で誘発もしないことを示す。
 NIH/3T3細胞がアドリアマイシンにより処理される場合、p53のレベルは高められ、そしてアポトーシスが誘発された(データは示されない)。アドリアマイシンはまた、p116−GK#6細胞においてアポトーシスを誘発した(図5-C)。Doxの存在下で、生存する細胞の割合は、53%から29%に低下した。従って、MAGE−A4は、p53−依存性アドリアマイシン−誘発性アポトーシスに対するガンキリン−過剰発現細胞の感受性を高めた。
 上記の結果を図5により更に具体的に説明する。図5は、細胞周期進行及びアポトーシスに対するMAGE−A4の効果を示す。
 図5-Aは、GFPを発現し、及び何も発現しない(模擬)、ヒトp53又はMAGE−A4を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトされたU-2−OS細胞におけるDNA含有物の流動細胞計測分析を示す。GFPを発現する細胞のみを分析した。
 図5-Bは、ガンキリンを安定して過剰発現するp116−GK#6細胞におけるDNA含有物の流動細胞計測分析の結果を示す。細胞をチミジンにより細胞周期を同調させ、次にMAGE−A4を誘発するために、ドキシサイクリン(Dox)の存在(+)又は不在(−)下で24時間、培養し、そして分析した。
 図5-Cは、Doxの存在(黒丸)又は不在(黒正方形)下でのアドリアマイシン−誘発されたアポトーシスに対するp116-GK#6細胞の感受性を示す。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。
 実施例6. MAGE−A4発現によるp53の高められた安定性
 MAGE−A4発現によるp53の高められた安定性:足場の剥奪はp53の活性化に連結され(1)、そしてMAGE−A4は細胞の足場依存性に影響を及ぼしたので、p53のレベルに対するMAGE−A4の効果を調べた。ガンキリンを安定して過剰発現するマウスNIH/3T3由来の細胞を、ヒトp53, GFP, 及びFLAG−MAGE−A4又はFLAGのいずれかを発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。MAGE−A4発現は、p53のレベルを高めた(図6-A)。
 次に、MAGE−A4が誘発的に発現されるp116−GK#6細胞における外因性p53の安定性を試験した(図3-A)。p53は、MAGE−A4のレベルが高められる場合、安定化された(図6-B)。実質的に類似する結果が、DNA損傷剤によるその誘発の後、内因性p53に関して得られた(データは示されていない)。興味あることには、p53に対するMAGE−A4のそれらの効果は、ガンキリンを過剰発現しなかった細胞において観察されなかった(データは示されていない)。
 P53のレベルの上昇がガンキリンを過剰発現する細胞の足場依存性に影響を及ぼすことを確かめるために、我々は、p53によりp116-GD#6細胞をトランスフェクトし、そして軟寒天におけるそれらのコロニー形成を評価した。我々は、トランスフェクトを富化するために二シストロン性ベクターを使用した。図6-Cに示されるように、p53の高められた発現は、コロニー数を約14%に低めた。一緒に考慮すると、それらの結果は、MAGE−A4がガンキリンに直接的に結合し、そしてp53を安定化することによって、その腫瘍形成性を少なくとも部分的に抑制することを示唆する。
 上記の結果を図6により更に具体的に説明する。図6は、p53の安定性に対するMAGE−A4の効果を示す。
 図6-Aは、外因性p53のレベルに対する効果を示す。ガンキリンを安定して過剰発現するマウスGK-S25細胞を、示されるようなプラスミドによりトランスフェクトし、そして48時間後、抗−FLAG、抗−ヒトp53及び抗−GFP抗体を用いて、ウェスターンブロットにより分析した。矢頭は、特異的バンドの移動度を示す。
 図6-Bは、ガンキリンを安定して過剰発現し、そしてMAGE−A4を誘発的に発現するp116−GK#6細胞におけるp53の安定性を示す。p116−GK#6細胞を、ヒトp53によりトランスフェクトし、そしてドキシサイクリン(Dox)の存在(+、黒丸)又は不在(−、黒正方形)下で24時間、培養した。次に、シクロヘキシミドを前記培養物に添加し、そして示される時間の後、ウェスターンブロット分析を、抗−ヒトp53抗体を用いて行った(B, 上部パネル)。バンド強度の定量化(B、下部パネル)。
 図6-Cは、軟寒天におけるコロニー形成に対するp53の抑制効果を示す。p116−GK#6を、CD4及びp53を発現するか、又は何も発現しない(模擬)、二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。CD4−発現細胞を富化し、そしてコロニー形成について分析した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。
 実施例7. C末端MAGE−A4のプロ−アポトーシス活性
 図7に、C末端MAGE−A4のプロ−アポトーシス活性を示す。図7-Aは、ヨウ化プロピジウム(P1)−陽性細胞数に対する効果を示す。U−2 OS骨肉種細胞を、GFPとともにMAGE−A4の完全長、N−末端又はC−末端、又はp53又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。示される時間で、細胞をPIにより染色し、そして流動細胞計測法により分析した。値は、GFP−陽性細胞に対するPI−陽性細胞の%を表す。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 図7-B及び図7-Cは、細胞DNA含有に対する効果をしめす。U−2 OS細胞を図7-Aにおけるようにして処理し、そしてGFPを発現する細胞を、トランスフェクションの後、48時間(図7-B)又は示される時間(図7-C)で、流動細胞計測法により分析した。GFP−陽性細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を示す。
 図7-Dは、細胞DNA含有に対するMAGE−Aファミリーメンバーの効果を示す。U−2 OS細胞を、GFP又はのみ(模擬)と共に、MAGE−A1(A1)、MAGE−A2(A2)、MAGE−A4(A4)、又はMAGE−A12(A12)のC末端を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトし、そして(図7-B)におけるようにして分析した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 図7-E及び図7-Fは、TUNELアッセイの結果を示す。HuH−7細胞を、GFP及びC−末端のMAGE−A4(C−末端)又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトし、そしてTUNELアッセイにより分析した。DNAをDAPIにより染色した。細胞を、共焦点顕微鏡下で観察し(図7-E)、そしてGFP−陽性細胞におけるTUNEL−陽性細胞の%を、流動細胞計測法により決定した(図7-F)。バー、10μm。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。**、P<0.01対模擬対照。
 実施例8. MAGE−A4欠失変異体のプロ−アポトーシス活性
 図8は、MAGE−A4欠失変異体のプロ−アポトーシス活性を示す。図8-Aは、MAGE−A4欠失変異体を表示する:MAGE-A4ΔC1 (ΔC1), MAGE-A4ΔN1 (ΔN1), MAGE-A4ΔN2 (ΔN2), MAGE-A4ΔN3 (ΔN3), MAGE-A4ΔN1ΔC2 (ΔN1ΔC2), MAGE-A4ΔN1ΔC3 (ΔN1ΔC3), 及びMAGE-A4ΔN3ΔC3 (ΔN3ΔC3)。上部列:完全長のMAGE−A4。 黒のボックス:FLAG標識。ボックスの上部上の数字は、アミノ酸位置を示し、そしてボックス内の数字は個々のタンパク質、a.a., アミノ酸の長さを示す。(+)及び(−)は、それぞれ、ガンキリンに結合する能力の存在又は不在を示す(J. Biol. Chem. 278:10668-10674参照)。N.D.:決定されていない。
 図8-Bは、アポトーシスの誘発を示す。U-2 OS細胞を、GFPとともに示されるタンパク質を又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。GFPを発現する細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を、流動細胞計測法により決定した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 実施例9. MAGE−A4ΔN1により誘発されたカスパーゼ−依存性アポトーシス
 図9は、MAGE−A4ΔN1により誘発されたカスパーゼ−依存性アポトーシスを示す。
 図9-Aは、Z−VAD−FMKの効果を示す。U−2 OS細胞を、GFP及びMAGE−A4ΔN1(ΔN1)、又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。細胞を示されるようにZ−VAD−FMKの存在又は不在下で培養した。トランスフェクションの48時間後、GFP−発現細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を、流動細胞計測法により決定した。結果は、平均±s.e.である。*、P<0.05模擬対照。
 図9-Bは、カスパーゼ活性の誘発を示す。U−2 OS細胞を、MAGE−A4ΔN1(ΔN1)、p53を発現するか、又は何も発現しない(模擬)、プラスミドによりトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、サイドゾル抽出物におけるカスパーゼ−8−及びカスパーゼ−9−様活性をアッセイした。その活性は、模擬対照の活性に対して相対的に示される。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 図9-Cは、p53の発現を示す。U−2 OS細胞を、示されるタンパク質を発現するプラスミドによりトランスフェクトした。ルシフェラーゼを発現するプラスミドを、トランスフェクト効率を制御するために同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、p53、ルシフェラーゼ及びβ−アクチンの発現を、ウェスターンブロットにより分析した。
 図9-Dは、アポトーシスのp53−アップレギュレーション及び誘発を示す。U−2 OS細胞を、示されるように(5μgのDNA/60mmの皿)、MAGE−A4ΔN1(ΔN1)、p53又はベクターのみ(ベクター)を発現するプラスミドによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、p53の発現を、ウェスターンブロットにより分析し(上部パネル)、そしてGFP−発現細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を、流動細胞計測法により決定した(下部パネル)。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。
 図9-Eは、p53−欠陥細胞におけるMAGE−A4ΔN1の効果を示す。変異体p53を含むHuH−7細胞及びPLC/PRF/5細胞、及びP53を欠失するH1299細胞を、図8-Bにおけるように、GFP又はGFPのみ(模擬)と共に、MAGE−A4、その変異体、又はp53を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、GFP発現細胞におけるサブーG1 DNA含有の細胞の%を、流動細胞計測法により決定した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 図9-Fは、p53−無関係プロ−アポトーシス活性に対するカスパーゼ−インヒビターの効果を示す。H1299細胞を、MAGE−A4ΔN1及びGFP又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。細胞を、示されるように、Z−VAD−FMKの存在又は不在下で培養した。トランスフェクションの48時間後、GFP発現細胞におけるサブ−G1 DNA含有の細胞の%を、活動細胞計測法により決定した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05対模擬対照。
 図9-Gは、p53−ヌル細胞において誘発されたカスパーゼ活性を示す。H1299細胞を、MAGE−A4ΔN1又はベクターのみ(模擬)を発現するプラスミドによりトランスフェクトした。トランスフェクションの18時間後、サイドゾル抽出物を、カスパーゼ−8−及びカスパーゼ−9−様活性について分析した。活性は、模擬対照の活性に対する相対的に示される。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*P<0.05模擬対照。
 実施例10. MAGE−A4ΔN1により誘発されたカスパーゼ−依存性アポトーシス
 図10は、ミトコンドリアアポトーシス経路に対するMAGE−A4ΔN1の効果を示す。図10-Aは、ミトコンドリア膜電位に対する効果を示す。H1299細胞を、MAGE−A4ΔN1及びGFP(ΔN1)又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をMitoTracker Red CMXResにより染色した。GFP陽性細胞における赤色蛍光の強度を、流動細胞計測法により分析した。
 図10-Bは、チトクロームC開放に対する効果を示す。H1299細胞を(図10-A)におけるようにしてトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後、細胞を固定し、そしてモノクローナル抗−チトクロームc抗体(α−Cyt−C)、続いてTRITC−接合された抗−マウス第2抗体により染色した。核をDAPIにより染色した。細胞を共焦顕微鏡下で観察した。矢頭は、GFPを発現する細胞を示す。
 図10-Cは、Bcl−2ファミリーメンバーの発現に対する効果を示す。U−2 OS細胞を、MAGE−A4ΔN1(ΔN1)又はベクターのみ(模擬)を発現するプラスミドによりトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、全細胞溶解物におけるBad, Bid, BAG−1、Bcl0−2、Bcl−xL、Beclin及びβ−アクチンの発現を、ウェスターンブロットにより分析した。
 実施例11. インビトロ及びインビボでのTat−MAGE−A4ΔN1タンパク質の抗−腫瘍形成活性
 図11は、インビトロ及びインビボでのTat−MAGE−A4ΔN1タンパク質の抗−腫瘍形成活性を示す。図11-Aの上部は、Tat融合タンパク質を表示する。MAGE−A4、MAGE−A4ΔC1及びMAGE−A4ΔN1をそれぞれ、示されるようにHIV Tatドメイン(黒ボックス)及び6xHis標識(斜線ボックス)に融合した。ボックスの上部上の数字はアミノ酸位置を示す。クーマシーブルーによる染色後のSDS/PAGEにおける予測される移動度を示す精製されたタンパク質。サイズマーカーの移動度は左側に示される。
 図11-Bは、融合タンパク質の細胞質及び核トランスダクションを示す。ガンキリンを安定して過剰発現するGK−S25細胞を、示される時間、500nMのTat−MAGE−A4と共にインキュベートした。核(N)及び細胞質(C)抽出物、及び全細胞溶解物(W)を、His、SC35及びα−チューブリンに対する抗体を用いて、ウェスターンブロットにより分析した。矢頭はTat−MAGE−A4バンドを示す。*、非特異的バンド。
 図11-Cは、外因性p53発現レベルに対する効果を示す。GK−S25細胞を、ヒトp53を発現するプラスミドによりトランスフェクトした。12時間後、500nMのTat−MAGE−A4、Tat−MAGE−A4ΔN1, Tat−MAGE−A4ΔC1又は対照BSAを、培養培地に添加した。トランスフェクションの36時間後、細胞溶解物を、ヒトp53及びマウスβ−アクチンに対する抗体を用いて、ウェスターンブロットにより分析した。
 図11-Dは、細胞増殖に対する効果を示す。HuH−7細胞を、300nMのTat−MAGE−A4(±)、300nMのTat−MAGE−A4ΔC1、60nMのTat−MAGE−A4ΔN1、300nMのTat−MAGE−A4ΔN1又は300nMの対照BSAの存在下で培養し、そして細胞数を、示される時間で決定した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。*、P<0.05−対−対照グループ。
 図11-Eは、軟質寒天におけるコロニー形成に対するTat融合タンパク質の効果を示す。GK−S25細胞を、300nMのTat融合タンパク質により処理し、そして示されうような軟質寒天にプレートした。4週間後、コロニーの数を顕微鏡下で計数した。結果は、三重反復試験の平均±s.e.である。* P<0.05−対−対照グループ。** P<0.01−対−対照グループ。
 図11-Fは、腫瘍形成に対する効果を示す。ヌードマウスを、GK−S25細胞及び5μgのTat−MAGE−A4ΔN1又は対照BSAによりs.e.注射した。上部パネル、接種の5週間後のマウスの写真。下部パネル、Tat−MAGE−A4ΔN1又は対照BSAにより処理されたマウスにおける腫瘍体積(それぞれ、平均±s.e., n=6)。* P<0.05−対−対照グループ。
図1-Aは、ガンキリン−結合タンパク質としてのMAGE−A4の同定の結果を示し、酵母におけるそれらの相互作用を示す。 図1-Bは、ガンキリン−結合タンパク質としてのMAGE−A4の同定の結果を示し、COS7細胞におけるそれらの相互作用を示す。 図1-Cは、ガンキリン及びMAGE−A4の同時局在化を示す。 図2-Aは、酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のMAGE−A4と種々のガンキリン欠失変異体との間の相互作用を示す。 図2-Bは、酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のガンキリンと種々のMAGE−A4欠失変異体との間の相互作用を示す。 図2-Cは、MAGE−A1、MAGE−A2及びMAGE−A12のそれらのアミノ酸配列に対してのMAGE−A4のC末端アミノ酸配列の比較を示す。 図2-Dは、酵母ツー−ハイブリッドアッセイにより分析された、完全長のガンキリンとCに示される種々のMAGE−Aタンパク質のC末端領域との間の相互作用を示す。 図3-Aは、ガンキリンを安定して過剰発現するp116−GK#6細胞におけるドキシサイクリン(Dox)によるFLAG−MAGE−A4の誘発を示す。 図3-Bは、軟質寒天におけるコロニー形成に対する効果を示す。 図3-Cは、軟質寒天におけるコロニー形成に対する効果を示す。 図4-Aは、Dox(+)又はビークルのみ(−)を6週間、与えられたマウスの写真である。 図4-Bは、Dox(黒丸)又はビークルのみ(黒正方形)を与えられたマウスにおける腫瘍体積(平均±s.e.;それぞれn=6)を示す。 図5-Aは、GFPとともにヒトMAGE-A4又はp53又はGFPのみ(模擬)を発現する二シストロン性ベクターによりトランスフェクトされたU-2−OS細胞におけるDNA含有物の流動細胞計測分析を示す。 図5-Bは、ガンキリンを安定して過剰発現するp116−GK#6細胞におけるDNA含有物の流動細胞計測分析の結果を示す。 図5-Cは、Doxの存在(黒丸)又は不在(黒正方形)下でのアドリアマイシン−誘発されたアポトーシスに対するp116-GK#6細胞の感受性。 図6-Aは、p53の安定性に対するMAGE−A4の効果を示し、外因性p53のレベルに対する効果を示す。 図6-Bは、ガンキリンを安定して過剰発現し、そしてMAGE−A4を誘発的に発現するp116−GK#6細胞におけるp53の安定性を示す。 図6-Cは、軟質寒天におけるコロニー形成に対するp53の抑制効果を示す。 図7-Aは、ヨウ化プロピジウム(P1)−陽性細胞数に対する、C末端MAGE−A4の効果を示す。 図7-Bは、細胞DNA含有に対する、C末端MAGE−A4の効果をしめす。 図7-Cは、細胞DNA含有に対する、C末端MAGE−A4の効果をしめす。 図7-Dは、細胞DNA含有に対するMAGE−Aファミリーメンバーの効果を示す。 図7-Eは、TUNELアッセイの結果を示す。 図7-Fは、TUNELアッセイの結果を示す。 図8-Aは、MAGE−A4欠失変異体を表示する。 図8-BはMAGE−A4欠失変異体によるアポトーシスの誘発を示す。 MAGE−A4ΔN1により誘発されたカスパーゼ−依存性アポトーシスを示し、Z−VAD−FMKの効果を示す。 図9-Bは、MAGE−A4ΔN1によるカスパーゼ活性の誘発を示す。 図9-Cは、MAGE−A4欠失変異体によるp53の発現を示す。 図9-Dは、アポトーシスのp53−アップレギュレーション及び誘発を示す。 図9-Eは、p53−欠陥細胞におけるMAGE−A4ΔN1の効果を示す。 図9-Fは、p53−無関係プロ−アポトーシス活性に対するカスパーゼ−インヒビターの効果を示す。 図9-Gは、p53−ヌル細胞において誘発されたカスパーゼ活性を示す。 図10-Aは、ミトコンドリア膜電位に対する、MAGE−A4ΔN1の効果を示す。 図10-Bは、チトクロームC開放に対するMAGE−A4ΔN1効果を示す。 図10-Cは、Bcl−2ファミリーメンバーの発現に対するMAGE−A4ΔN1効果を示す。 図11-Aは、Tat融合タンパク質「Tat−MAGE−A4ΔN1」を表示する。 図11-Bは、Tat融合タンパク質Tat−MAGE−A4ΔN1の細胞質及び核トランスダクションを示す。 図11-Cは、外因性p53発現レベルに対するTat融合タンパク質Tat−MAGE−A4ΔN1の効果を示す。 図11-Dは、細胞増殖に対するTat融合タンパク質Tat−MAGE−A4ΔN1の効果を示す。 図11-Eは、軟質寒天におけるコロニー形成に対するTat融合タンパク質Tat−MAGE−A4ΔN1の効果を示す。 図11-Fは、腫瘍形成に対するTat融合タンパク質Tat−MAGE−A4ΔN1の効果を示す。

Claims (4)

  1.  (a)配列番号:1に示すアミノ酸配列、(b)配列番号:1に示すアミノ酸配列の部分であって少なくとのアミノ酸番号227〜317のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列、(c)前記アミノ酸配列(a)又は(b)において1〜数個のアミノ酸の欠失、付加又は置換により修飾されており且つガンキリンとの結合性を維持しているアミノ酸配列、(d)配列番号:2に示す塩基配列を有する核酸と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸にコードされており且ガンキリンとの結合能を維持しているアミノ酸配列、或いは(e)配列番号:1に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸227〜317のアミノ酸配列を含むその部分部分に対して90%以上配列同一性を有し且つガンキリンと結合する能力を有するアミノ酸配列、を有するMAGE-A4関連タンパク質を含んで成る、ガンキリン高発現癌に対する抗癌剤。
  2.  前記ガンキリン高発現癌が肝癌である請求項1に記載の抗癌剤。
  3.  前記抗癌剤が予防薬又は治療薬である、請求項1又は2に記載の抗癌剤。
  4.  前記MAGE-A4関連タンパク質が、配列番号:1において、アミノ酸番号1−317、211−317、又は229−317のアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗癌剤。
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