JP2004122857A - 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 - Google Patents
航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004122857A JP2004122857A JP2002287555A JP2002287555A JP2004122857A JP 2004122857 A JP2004122857 A JP 2004122857A JP 2002287555 A JP2002287555 A JP 2002287555A JP 2002287555 A JP2002287555 A JP 2002287555A JP 2004122857 A JP2004122857 A JP 2004122857A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aircraft
- temperature
- electronic device
- electronic
- cooling medium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)
Abstract
【課題】航空機の航続距離を拡大すること。
【解決手段】電子機器21に接触されて電圧が印加されることにより電子機器21から熱を吸収する熱電変換素子23と、電子機器21と熱電変換素子23とを内部に配置する筐体4と、冷却媒体5を筐体4の内部に導く配管2とを具備している。このとき、熱電変換素子23は、電子機器21より温度が高く、熱電変換素子23と冷却媒体5との温度差は、電子機器21と冷却媒体5との温度差より大きい。このため、電子機器21は、冷却媒体5が直接に接触して冷却するときより、効率よく冷却することができ、冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量を低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離を拡大することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電子機器21に接触されて電圧が印加されることにより電子機器21から熱を吸収する熱電変換素子23と、電子機器21と熱電変換素子23とを内部に配置する筐体4と、冷却媒体5を筐体4の内部に導く配管2とを具備している。このとき、熱電変換素子23は、電子機器21より温度が高く、熱電変換素子23と冷却媒体5との温度差は、電子機器21と冷却媒体5との温度差より大きい。このため、電子機器21は、冷却媒体5が直接に接触して冷却するときより、効率よく冷却することができ、冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量を低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離を拡大することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機搭載電子機器筐体に関し、特に、航空機に搭載される電子機器を冷却するときに利用される航空機搭載電子機器筐体に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機には、多数の電子機器が搭載されている。その電子機器は、航空機の操縦、航法、計器、通信を制御する。電子機器は、発熱し、冷却する必要がある。
【0003】
図6は、公知の航空機搭載電子機器温度調節システムを示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム100は、配管102を介して、環境制御装置(Environmental Control System。以下に、「ECS」と略記される。)103が複数の航空機搭載電子機器筐体(以下に、「LRU」と略記される。)104−1〜104−n(n=2,3,4,…)が接続されている。ECS103は、冷却空気105を生成して、配管102を介してLRU104−1〜104−nの内部に冷却空気105を供給している。LRU103−i(i=1,2,3,…,n)は、電子基板106−iを内部に備えている。電子基板106−iとしては、操縦機器、通信、航法機器、計器が例示される。電子基板106−iは、動作時に発熱し、冷却空気105に接触して冷却される。
【0004】
図7は、LRU104−iを詳細に示している。LRU104−iは、複数の電子基板106−iを内部に備えている。電子基板106−iは、板状に形成され、その1面に複数の電子部品が配置され、表面および裏面にその複数の電子部品を電気的に接続する導線が配線されている。LRU104−iは、複数の電子基板106−iの両面に冷却空気105を接触させて、複数の電子基板106−iを冷却する。
【0005】
ECSは、「航空機用空調システム」に開示されている。ECSは、作動方式により、エアサイクル方式ECSとベーパーサイクル方式ECSとに区分される。エアサイクル方式のECSは、エンジンの抽気圧を利用して冷却タービンにより冷却空気を生成する。このようなエアサイクル方式には、シンプルサイクル、ブートストラップサイクル、シンプルブートストラップサイクル、チルドリサークサイクルに例示される種類がある。ベーパーサイクル方式のECSは、フロンに例示される冷媒を用いて冷却空気を生成する。このようなベーパーサイクル方式のECSは、家庭用冷蔵庫などに適用されている。航空機では、一般に、ジェットエンジンの前段コンプレッサから豊富な圧縮空気が得られるために、エアサイクル方式ECSが主に適用されている。
【0006】
図8は、シンプルサイクルのエアサイクル方式のECSの実施の形態を示している。そのECS103は、ジェットエンジン121とともに設けられている。ジェットエンジン121は、前段にコンプレッサ122を備えている。コンプレッサ122は、ラムエア125を圧縮してブリードエア123を生成する。ECS103は、熱交換器124とファン131とタービン128とを備えている。ブリードエア123は、断熱圧縮されているために、高温高圧である。熱交換器124は、ラムエア125とブリードエア123とを熱交換して、ブリードエア123を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア127を生成する。冷却されたブリードエア127は、高圧であるために、仕事をするエネルギーを有している。タービン128は、冷却されたブリードエア127を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン131は、その動力を用いてラムエア125を熱交換器124に引き込み、熱交換されたラムエア126を機外に排出する。タービン128は、さらに、冷却されたブリードエア127を断熱膨張させて、冷却空気129を生成する。
【0007】
ECS103は、さらに、弁132、弁133を備えている。弁132は、冷却空気129の流量を変化させ、弁133は、ブリードエア123の流量を変化させている。弁132と弁133とは、冷却空気129をブリードエア123と混合して、冷却空気134を生成する。
【0008】
ECS103は、さらに、流量センサ135、温度センサ136および制御装置137を備えている。流量センサ135は、冷却空気134の流量を測定する。温度センサ136は、冷却空気134の温度を測定する。制御装置137は、コンピュータであり、温度センサ136から冷却空気134の温度を収集し、流量センサ135から冷却空気134の流量を収集し、弁132、133の開度を制御して、冷却空気134の流量と温度とが一定になるように調整している。ECS103は、さらに、水分分離器138を備えている。水分分離器138は、冷却空気134から水分を除去して乾燥した冷却空気105を生成する。
【0009】
このような航空機搭載電子機器温度調節システムは、すべての電子基板106−1〜106−nが同時に最大に発熱したときに、そのすべての電子基板106−1〜106−nを冷却することができるように設計されている。
【0010】
航空機は、途中で燃料の補給をしないで航行を続けることができる航続距離ならびに航行時間が大きいことが望まれている。ジェットエンジン121は、ECS103に供給されるブリードエア123の抽気量が大きいときに、エンジン出力が低下して燃費が悪くなり航続距離が小さくなる。航空機搭載電子機器温度調節システムは、航空機の航続距離を拡大するために、ジェットエンジンからブリードエアの抽気量を低減することが望まれている。
【0011】
【非特許文献1】
航空機用空調システム、住友精密工業株式会社
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、航空機の航続距離を拡大する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明の他の課題は、航空機の航行コストを低減する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、航空機に搭載される電子機器を冷却するためのブリードエア抽気量を低減する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、航空機に搭載される電子機器を冷却する冷却媒体を生成するECSを小型化する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、航空機に搭載されてその航空機の航行に必要である電子機器(21)を冷却するときに利用される航空機搭載電子機器筐体である。本発明による航空機搭載電子機器筐体は、電子機器(21)に接触されて電圧が印加されることにより電子機器(21)から熱を吸収する熱電変換素子(23)と、電子機器(21)と熱電変換素子(23)とを内部に配置する筐体(4)と、冷却媒体(5)を筐体(4)の内部に導く配管(2)とを具備している。たとえば、熱電変換素子(23)は、片側が発熱体である電子機器(21)と熱伝導性が良好なように接合され、他の片側が冷却媒体(5)に対して放熱性(熱伝達性)が良好となっている熱ジャンクションを有している。
【0015】
このとき、熱電変換素子(23)に電力を投じることで、発熱体である電子機器(21)から熱電変換素子(23)の冷却媒体側ジャンクションへ強制的に熱を移動させ、熱電変換素子(23)の冷却媒体側ジャンクションの温度を電子機器(21)よりも高くすることが可能である。一般に冷却媒体の熱伝達による放熱量は冷却媒体と放熱体との温度差が高いほど大きいため、本場合、冷却媒体量が少なくても従来と同様の放熱量が確保でき、冷却媒体生成のためのブリードエア抽気量を低減させることが可能である。
【0016】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、内部を電子機器(21)が配置される第1室(8−1〜8−n)と熱電変換素子(23)が配置される第2室(9−1〜9−n)とに隔離する仕切り(7)を更に具備している。配管(2)は、第1室(8−1〜8−n)に冷却媒体(5)を導かないで、第2室(9−1〜9−n)に冷却媒体(5)を導く。このような仕切り(7)を設けることにより、放熱後の冷却媒体(5)は、電子機器(21)に接触しない。この結果、電子機器(21)は、高温の冷却媒体(5)に接触して高温になることが防止される。
【0017】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、さらに、第1室(8−1〜8−n)の温度を測定する温度計(11−1〜11−n)と、その温度に基づいて電圧を制御する制御装置(12)(49)とを具備している。このような制御は、電子機器(21)を冷却する冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量をさらに低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離をさらに拡大することができる。
【0018】
制御装置(49)は、冷却媒体(5)を生成する航空機搭載電子機器温度調節装置(13)に温度を示す制御信号(50)を送信する。航空機搭載電子機器温度調節装置(13)は、その制御信号(50)に基づいて冷却媒体(5)の単位時間当たりの熱量を変化させる。熱量は、冷却媒体(5)の単位時間当たりの流量を変化させ、または、冷却媒体(5)の温度を変化させることにより変化させる。このような変化は、電子機器(21)を冷却する冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量をさらに低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離をさらに拡大することができる。
【0019】
制御装置(12)(49)は、温度が所定の値より小さいときに、熱電変換素子(23)を用いて電子機器(21)を加熱する。このような加熱は、電子機器(21)の冷え過ぎを防止する。
【0020】
本発明による航空機は、本発明による航空機搭載電子機器筐体を具備していることが好ましい。
【0021】
本発明による航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、航空機に搭載され、航空機の航行に必要である電子機器(6−1〜6−n)(86−1〜86−n)を冷却する冷却媒体(85)を生成する装置である。航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、ジェットエンジン(61)から供給されるブリードエア(35)を断熱膨張させて冷却媒体(85)を生成するタービン(68)を備えている。冷却媒体(85)は、ブリードエア(35)と混合されない。航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、冷却空気が低温となり過ぎないように温度を調節するためのブリードエア混合のための配管系統が取り除かれ、軽量化されている。
【0022】
本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜84−n)は、本発明による航空機搭載電子機器温度調節装置(60)により生成される冷却媒体(85)が供給される筐体である。本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜85−n)は、複数電子機器(86−1〜86−n)のうちの一部の電子機器(86−i)を内部に配置する筐体(8−i)と、内部に供給される冷却空気(85)の流量を制御する弁(89−i)と、電子機器(86−i)の温度を測定する温度センサ(87−i)と、その温度に基づいて弁(87−i)を制御する制御装置(88−i)とを備えていることが好ましい。本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜84−n)は、温度が非常に低い冷却媒体(85)を用いて電子機器(86−i)を冷えすぎることなく冷却することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明によるLRUが適用される航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を説明する。その航空機搭載電子機器温度調節システム1は、航空機に搭載され、図1に示されているように、配管2を介してECS3がLRU4に接続されている。ECS3は、冷却空気5を生成し、配管2を介してLRU4の内部に冷却空気5を供給している。LRU4は、航空機搭載電子機器温度調節システム1に複数が設けられている。
【0024】
LRU4は、複数の電子基板6−1〜6−n(n=2,3,4,…)を内部に備えている。電子基板6−i(i=1,2,3,…,n)は、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。冷却空気5は、第1室8−1〜8−nに供給されないで、第2室9−1〜9−nに供給される。電子基板6−iは、その1面が第1室8−iに配置され、その裏面が第2室に配置されている。
【0025】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置12とを備えている。温度計11−iは、電子基板6−iの温度を直接に測定し、または、第1室8−iの温度を測定して電子基板6−iの温度を間接的に測定する。制御装置12は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから電子基板6−1〜6−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。
【0026】
図2は、電子基板6−iを詳細に示している。電子基板6−iは、電子基板本体21、ヒートシンク22および熱電変換素子23が積層されて形成されている。熱電変換素子23は、電子基板本体21とヒートシンク22との間に介設されている。電子基板本体21と熱電変換素子23との間には、絶縁熱伝導性材料24が介設されている。絶縁熱伝導性材料24は、電気が伝導しないで、熱の伝導が良い材料である。絶縁熱伝導性材料24としては、シリコングリスが例示される。
【0027】
電子基板本体21は、絶縁熱伝導性材料24に接合していない面に複数の半導体部品25が設けられている。その半導体部品25は、特徴のある電気伝導が内部で起こる素子であり、その電気伝導により発熱する。半導体部品25としては、CPUが例示される。その半導体部品25は、それぞれ他の半導体部品25と接続される端子を備えている。電子基板本体21は、複数の半導体部品25の端子間を導線により電気的に接続している。このため、半導体部品25により発生した熱は、電子基板本体21と絶縁熱伝導性材料24とを介して熱電変換素子23に伝導する。
【0028】
熱電変換素子23は、P型素子26、N型素子27および2つのジャンクション材料28とを備えている。P型素子26とN型素子27とは、2つのジャンクション材料28の間に挟まれて接合されている。ジャンクション材料28としては、アルミナが例示される。P型素子26とN型素子27とは、さらに、電子基板本体21に近い位置で接合され、ヒートシンク22に近い位置では接合されていない。
【0029】
熱電変換素子23は、ヒートポンプ機能と発電する機能とを有している。熱電変換素子23は、2つのジャンクション28のうちの一方が高温であり他方が低温であるときに、高温側から低温側へ熱が移動する際、その熱を電気に変換することができる。たとえば、熱電変換素子23は、ジャンクション28のうちの一方に熱源が接合され、他方にヒートシンクがに接合されてそのヒートシンクが冷却媒体に接触しているときに、熱源側のジャンクションからヒートシンク側のジャンクションへ熱が移動し、その際に、その熱を電気に変換し熱を吸収することができる。
【0030】
熱電変換素子23は、P型素子26とN型素子27との接合されていない両端に電圧を印加すると、接合部分の温度は、その両端に比較して低下し、両端は、温度が上昇する。さらに、両端に逆の電圧を印加すると、接合部分の温度が上昇する。たとえば、熱電変換素子23は、その電圧を印加しない状態で2つのジャンクションのうちの一方が80℃であり、他方のジャンクション50℃であるときに、電圧を印加することによりその一方を50℃、その他方を80℃とさせることが可能である。すなわち、熱電変換素子23の2つのジャンクション28の一方の熱を他方にジャンクションに強制的に移動させることが可能である。このような電圧の印加は、制御装置12により電子基板6−iの温度に基づいて実行される。
【0031】
ヒートシンク22は、絶縁熱伝導性材料24に接合していない面に複数のフィン29が設けられている。電子基板6−iは、電子基板21が第1室8−iに配置され、電子基板21が配置されている面が第1室8−iに配置され、ヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。なお、電子基板6−iは、ヒートシンク22を備えないで、直接に熱電変換素子23を冷却空気5に接触させて冷却することもできる。
【0032】
ECS3は、従来技術の範疇の一般的なECSである場合、航空機が航行している間は常時に一定の温度の冷却空気5を一定の生成量で生成する。よって、LRU4の第2室9−1〜9−nには、配管2で自然分配される一定温度・流量の冷却空気5が供給される。LRU4は、第1室8−iの温度が高いときに、制御装置12により大きい電圧を熱電変換素子23に印加する。このとき、その電圧は、温度について単純に増加する関数である。このとき、電子基板6−iの熱量が熱電変換素子の作用によりヒートシンク22へ移動される。その結果、電子基板6−iの温度よりもヒートシンク22の温度の方が高温となる。ヒートシンク22の表面から冷却空気5への放熱は、対流熱伝達であり放熱量はヒートシンク22と冷却空気5の温度差に比例する。よって、本実施例の場合、従来のものよりもヒートシンク22と冷却空気5の温度差が大きいため、冷却空気5が同じ流量であっても、放熱量を増加可能である。つまり、電子基板6−iの生成する熱量が同じであれば、冷却空気の流量が少なくても従来と同量の放熱が可能であり、冷却空気生成の元となるブリードエアの低減を図ることが可能である。
【0033】
仕切り7は、冷却空気5が電子基板本体21に直接に接触することを防止する。このため、冷却空気5は、広範な温度範囲をとることができる。たとえば、冷却空気5の流入温度が低温であっても、電子基板本体21は、過度に冷却されることを防止することができる可能である。さらに、電子基板本体21は、熱電変換素子23と熱交換後の高温になった冷却空気5により、加熱されることがない。
【0034】
図3は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム30は、配管2を介してECS40が複数のLRU4に接続されている。ECS40は、冷却空気5を生成し、配管2を介してLRU4の内部に冷却空気5を供給している。
【0035】
ECS40は、ジェットエンジン31とともに設けられている。ジェットエンジン31に備えられているコンプレッサ32は、ジェットエンジン31が吸い込むラムエア35を圧縮してブリードエア33を生成する。ブリードエア33は、断熱圧縮によりラムエア35より温度が高くなっている。ECS40は、さらに、熱交換器34、ファン41およびタービン38を備えている。熱交換器34は、ラムエア35とブリードエア33とを熱交換して、ブリードエア33を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア37を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン41は、その動力を用いてラムエア36を機外に排出する。タービン38は、ブリードエア37を断熱膨張させてさらに冷却し、冷却空気39を生成する。
【0036】
ECS40は、さらに、弁42、弁43を備えている。弁42は、冷却空気39の流量を変化させ、弁43は、ブリードエア33の流量を変化させている。弁42と弁43とは、冷却空気39をブリードエア33と混合して、冷却空気44を生成する。ECS40は、さらに、流量センサ45と温度センサ46とを備えている。流量センサ45は、冷却空気44の流量を測定する。温度センサ46は、冷却空気44の温度を測定する。
【0037】
ECS40は、さらに、水分分離器48を備えている。水分分離器48は、冷却空気44から水分を除去して乾燥した冷却空気5を生成する。
【0038】
LRU4は、既述の実施の形態におけるLRU4と同様に、複数の電子基板6−1〜6−nを内部に備えている。電子基板6−iは、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。電子基板6−iは、先の実施の形態と同様にして、熱電変換素子23を備え、電子基板本体21が第1室8−iに配置され、その裏面のヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。
【0039】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置49とを備えている。温度計11−iは、第1室8−iの温度を測定する。制御装置49は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから第1室8−1〜8−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。制御装置49は、さらに、電子基板6−1〜6−nの温度を示す制御信号50を出力する。
【0040】
ECS40は、さらに、制御装置47を備えている。制御装置47は、コンピュータであり、温度センサ46から冷却空気44の温度を収集し、流量センサ45から冷却空気44の流量を収集し、制御装置49からLRU4の第1室8−1〜8−nの温度を示す制御信号50をそれぞれ収集する。なお、その制御信号50は、熱電変換素子23に印加される電圧を示すこともできる。
【0041】
従来技術においては、電子基板本体21が高温になりすぎても、また低温になりすぎても電子基板が本来の機能を発揮できない可能性があるため、ECS40が生成する冷却空気5の温度は一定の温度幅になるように調整されていた。また流量も、全ての電子基板本体21の最大発熱量の総和に見合う一定量が生成されていた。しかしながら、ECS40の性能を左右するラムエアの温度範囲はマイナス数十℃域からマッハ航行時の数100℃程度域まで非常に広範に渡っており、高空の亜音速域では、マイナス温度域のラムエアが得られるため、このラムエアを使用して得られる冷却空気39はラムエアよりも低温のものが得られる。しかも弁33を閉じていれば、温度を上昇させることなく、冷却空気39をそのままECS40の出力する冷却空気5とすることが出来る。本実施例における制御装置37の制御方策としては、弁33を常時閉とし、生成される冷却空気39の温度に応じて弁32の開度を調節し、後段のLRUが必要とする冷却容量に見合う量に冷却空気5の流量を制御するものとする。
【0042】
本発明では、仕切り7によって冷却空気5が直接電子基板本体21に触れない構造となっている。また、冷却空気5と電子基板本体21との間には熱電変換素子23が介在しており、熱電変換素子23を能動的に制御することにより、電子基板本体21が過冷却状態とならないように、熱電変換素子23に温度勾配を持たせることが可能となる。よって、本発明では、従来技術では不可能であったマイナス温度域の冷却空気5を使用可能であり、流量が少ない冷却空気で大きな放熱量を獲得することが可能である。よって、ブリードエアの抽気量を大幅に低減可能である。
【0043】
さらに、本実施例では、電子基板本体21とヒートシンク22の温度差が大きく、電子基板本体21からヒートシンク22への熱量が流れるため、熱電変換素子23に電圧を印加するのではなく、熱電変換素子23に発電させるようにすると、熱の一部を熱電変換素子23の発電機能で電気として回収可能であるため、回収した分、機体外部への熱排出の抑制が可能である。また回収した電気はリサイクル可能である。
【0044】
また、寒冷地におけるコールド状態での機体始動時は、電子基板本体21が動作保証温度を下回っている場合がある。本構成によれば、LRU4において、熱電変換素子23に逆電圧を印加して電子基板6−iを加熱し、動作保証温度まで加温して機体を始動することが可能となる。
【0045】
図4は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム70は、配管82を介してECS60が複数のLRU4に接続されている。ECS60は、冷却空気85を生成し、配管82を介してLRU4の内部に冷却空気85を供給している。
【0046】
ESC60は、ジェットエンジン61とともに設けられている。ジェットエンジン61は、前段にコンプレッサ62を備えている。コンプレッサ62は、ジェットエンジン61が吸い込むラムエア65を圧縮してブリードエア63を生成する。ブリードエア63は、断熱圧縮によりラムエア65より温度が高くなっている。ESC60は、熱交換器64、ファン71およびタービン68を備えている。熱交換器64は、ラムエア65とブリードエア63とを熱交換して、ブリードエア63を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア67を生成する。タービン68は、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン71は、その動力を用いてラムエア65を熱交換器64に引き込み、熱交換されたラムエア66を機外に排出する。タービン68は、さらに、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、冷却空気69を生成する。
【0047】
ESC60は、さらに、弁72を備えている。弁72は、開度を変化させて冷却空気69から所定の流量の冷却空気74を生成する。ESC60は、さらに、流量センサ75と温度センサ76とを備えている。流量センサ75は、冷却空気74の流量を測定する。温度センサ76は、冷却空気74の温度を測定する。ESC60は、さらに、水分分離器78を備えている。水分分離器78は、冷却空気74から水分を除去して乾燥した冷却空気85を生成する。
【0048】
LRU4は、既述の実施の形態におけるLRU4と同様に、複数の電子基板6−1〜6−nを内部に備えている。電子基板6−iは、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。電子基板6−iは、先の実施の形態と同様にして、熱電変換素子23を備え、電子基板本体21が第1室8−iに配置され、その裏面のヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。
【0049】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置49とを備えている。温度計11−iは、第1室8−iの温度を測定する。制御装置49は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから第1室8−1〜8−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。制御装置49は、さらに、電子基板6−1〜6−nの温度を示す制御信号50を出力する。
【0050】
ESC60は、さらに、制御装置77を備えている。制御装置77は、コンピュータであり、温度センサ76から冷却空気74の温度を収集し、流量センサ75から冷却空気74の流量を収集し、制御装置49から制御信号50を収集する。
【0051】
このとき、制御装置77は、電子基板6−1〜6−nの温度に基づいてLRU4に供給される冷却空気85の流量(熱量)を算出する。制御装置77は、収集された温度、流量および制御信号50に基づいて弁72の開度を制御して、LRU4に供給される冷却空気85の熱量を調整する。すなわち、ESC60は、冷却空気85の単位時間当たりの流量を変化させ、または、冷却媒体85の温度を変化させて、冷却空気85をLRU84−1〜84−nに供給する。
【0052】
このような航空機搭載電子機器温度調節システム70によれば、ESC60は、必要最小量の冷却空気85を生成することができる。その結果、ESC60は、電子基板86−1〜86−nを冷却するためのブリードエアを低減することができる。
【0053】
制御装置77は、さらに、制御信号50と独立に、収集された温度、流量に基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気85の流量(熱量)を一定に調整することもできる。
【0054】
図5は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム80は、配管82を介してECS60が複数のLRU84−1〜84−nに接続されている。ESC60は、既述の実施の形態における航空機搭載電子機器温度調節システム70に適用されるESC60と同様である。すなわち、ECS60は、冷却空気85を生成し、配管82を介してLRU84−1〜84−nの内部に冷却空気85を供給している。
【0055】
ESC60は、ジェットエンジン61とともに設けられている。ジェットエンジン61は、前段にコンプレッサ62を備えている。コンプレッサ62は、ジェットエンジン61が吸い込むラムエア65を圧縮してブリードエア63を生成する。ブリードエア63は、断熱圧縮によりラムエア65より温度が高くなっている。ESC60は、熱交換器64、ファン71およびタービン68を備えている。熱交換器64は、ラムエア65とブリードエア63とを熱交換して、ブリードエア63を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア67を生成する。タービン68は、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン71は、その動力を用いてラムエア65を熱交換器64に引き込み、熱交換されたラムエア66を機外に排出する。タービン68は、さらに、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、冷却空気69を生成する。
【0056】
ESC60は、さらに、弁72を備えている。弁72は、開度を変化させて冷却空気69から所定の流量の冷却空気74を生成する。ESC60は、さらに、流量センサ75と温度センサ76とを備えている。流量センサ75は、冷却空気74の流量を測定する。温度センサ76は、冷却空気74の温度を測定する。ESC60は、さらに、水分分離器78を備えている。水分分離器78は、冷却空気74から水分を除去して乾燥した冷却空気85を生成する。
【0057】
LRU84−iは、単数または複数の電子基板86−iを内部に備えている。LRU84−iは、さらに、温度センサ87−i、制御装置88−iおよび弁89−iを備えている。温度センサ87−iは、電子基板86−iの温度を直接に測定し、または、LRU84−iの内部の温度を測定して電子基板86−iの温度を間接的に測定する。弁89−iは、冷却空気85の流路の断面積(開度)を変更し、LRU84−iの内部に供給される冷却空気85の流量を制御する。
【0058】
制御装置88−iは、温度センサ87−iから電子基板86−iの温度を収集し、その温度に基づいて弁89−iの開度を制御する。すなわち、制御装置88−iは、電子基板86−iの温度が大きいときに弁89−iの開度を大きくし、その温度が小さいときに弁89−iの開度を小さくする。制御装置88−iは、さらに、その温度が十分に小さいときに弁89−iを閉じる。
【0059】
ESC60は、さらに、制御装置77を備えている。制御装置77は、コンピュータであり、温度センサ76から冷却空気74の温度を収集し、流量センサ75から冷却空気74の流量を収集し、制御装置88−1〜88−nからLRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の流量を示す制御信号83−1〜83−nをそれぞれ収集する。なお、制御信号83−1〜83−nは、LRU84−1〜84−nの内部の温度または弁89−1〜89−nの開度を示す信号に置換することもできる。
【0060】
このとき、制御装置77は、LRU84−1〜84−nの内部の温度または弁89−1〜89−nの開度に基づいてLRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の流量を算出する。制御装置77は、収集された温度、流量および制御信号83−1〜83−nに基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気74の温度が一定になるように調整し、LRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の生成量を調整する。
【0061】
すなわち、LRU84−iは、内部の温度が高いときに多くの冷却空気85を内部に導入して、電子基板86−iを適当な温度範囲に維持する。ESC60は、LRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85を必要量だけ可変的に生成する。
【0062】
このような航空機搭載電子機器温度調節システム70によれば、ESC60は、必要最小量の冷却空気85を生成することができる。その結果、ESC60は、電子基板86−1〜86−nを冷却するためのブリードエアを低減することができる。
【0063】
制御装置77は、さらに、制御信号83−1〜83−nと独立に、収集された温度、流量に基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気85の流量を一定に調整することもできる。
【0064】
【発明の効果】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、航空機の航続距離を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による航空機搭載電子機器筐体が適用される航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図2】図2は、電子基板の実施の他の形態を示す断面図である。
【図3】図3は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示す回路ブロック図である。
【図4】図4は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示す回路ブロック図である。
【図5】図5は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示す回路ブロック図である。
【図6】図6は、公知の航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図7】図7は、公知のLRUの実施の形態を示す断面図である。
【図8】図8は、公知のECSの実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 :航空機搭載電子機器温度調節システム
2 :配管
3 :ECS
4 :LRU
5 :冷却空気
6−1〜6−n:電子基板
7 :仕切り
8−1〜8−n:第1室
9−1〜9−n:第2室
11−1〜11−n:温度計
12:制御装置
21:電子基板本体
22:ヒートシンク
23:熱電変換素子
24:絶縁熱電導性材料
25:半導体部品
26:P型素子
27:N型素子
28:ジャンクション材料
29:フィン
30:航空機搭載電子機器温度調節システム
40:ECS
31:ジェットエンジン
32:コンプレッサ
33:ブリードエア
34:熱交換器
35:ラムエア
36:熱交換されたラムエア
37:冷却されたブリードエア
38:タービン
39:冷却空気
41:ファン
42:弁
43:弁
44:冷却空気
45:流量センサ
46:温度センサ
47:制御装置
48:水分分離器
49:制御装置
50:制御信号
70:航空機搭載電子機器温度調節システム
60:ECS
61:ジェットエンジン
62:コンプレッサ
63:ブリードエア
64:熱交換器
65:ラムエア
66:熱交換されたラムエア
67:冷却されたブリードエア
68:タービン
69:冷却空気
71:ファン
72:弁
74:冷却空気
75:流量センサ
76:温度センサ
77:制御装置
78:水分分離器
80:航空機搭載電子機器温度調節システム
82:配管
83−1〜83−n:制御信号
84−1〜84−n:LRU
85:冷却空気
86−1〜86−n:電子基板
87−1〜87−n:温度センサ
88−1〜88−n:制御装置
89−1〜89−n:弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機搭載電子機器筐体に関し、特に、航空機に搭載される電子機器を冷却するときに利用される航空機搭載電子機器筐体に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機には、多数の電子機器が搭載されている。その電子機器は、航空機の操縦、航法、計器、通信を制御する。電子機器は、発熱し、冷却する必要がある。
【0003】
図6は、公知の航空機搭載電子機器温度調節システムを示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム100は、配管102を介して、環境制御装置(Environmental Control System。以下に、「ECS」と略記される。)103が複数の航空機搭載電子機器筐体(以下に、「LRU」と略記される。)104−1〜104−n(n=2,3,4,…)が接続されている。ECS103は、冷却空気105を生成して、配管102を介してLRU104−1〜104−nの内部に冷却空気105を供給している。LRU103−i(i=1,2,3,…,n)は、電子基板106−iを内部に備えている。電子基板106−iとしては、操縦機器、通信、航法機器、計器が例示される。電子基板106−iは、動作時に発熱し、冷却空気105に接触して冷却される。
【0004】
図7は、LRU104−iを詳細に示している。LRU104−iは、複数の電子基板106−iを内部に備えている。電子基板106−iは、板状に形成され、その1面に複数の電子部品が配置され、表面および裏面にその複数の電子部品を電気的に接続する導線が配線されている。LRU104−iは、複数の電子基板106−iの両面に冷却空気105を接触させて、複数の電子基板106−iを冷却する。
【0005】
ECSは、「航空機用空調システム」に開示されている。ECSは、作動方式により、エアサイクル方式ECSとベーパーサイクル方式ECSとに区分される。エアサイクル方式のECSは、エンジンの抽気圧を利用して冷却タービンにより冷却空気を生成する。このようなエアサイクル方式には、シンプルサイクル、ブートストラップサイクル、シンプルブートストラップサイクル、チルドリサークサイクルに例示される種類がある。ベーパーサイクル方式のECSは、フロンに例示される冷媒を用いて冷却空気を生成する。このようなベーパーサイクル方式のECSは、家庭用冷蔵庫などに適用されている。航空機では、一般に、ジェットエンジンの前段コンプレッサから豊富な圧縮空気が得られるために、エアサイクル方式ECSが主に適用されている。
【0006】
図8は、シンプルサイクルのエアサイクル方式のECSの実施の形態を示している。そのECS103は、ジェットエンジン121とともに設けられている。ジェットエンジン121は、前段にコンプレッサ122を備えている。コンプレッサ122は、ラムエア125を圧縮してブリードエア123を生成する。ECS103は、熱交換器124とファン131とタービン128とを備えている。ブリードエア123は、断熱圧縮されているために、高温高圧である。熱交換器124は、ラムエア125とブリードエア123とを熱交換して、ブリードエア123を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア127を生成する。冷却されたブリードエア127は、高圧であるために、仕事をするエネルギーを有している。タービン128は、冷却されたブリードエア127を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン131は、その動力を用いてラムエア125を熱交換器124に引き込み、熱交換されたラムエア126を機外に排出する。タービン128は、さらに、冷却されたブリードエア127を断熱膨張させて、冷却空気129を生成する。
【0007】
ECS103は、さらに、弁132、弁133を備えている。弁132は、冷却空気129の流量を変化させ、弁133は、ブリードエア123の流量を変化させている。弁132と弁133とは、冷却空気129をブリードエア123と混合して、冷却空気134を生成する。
【0008】
ECS103は、さらに、流量センサ135、温度センサ136および制御装置137を備えている。流量センサ135は、冷却空気134の流量を測定する。温度センサ136は、冷却空気134の温度を測定する。制御装置137は、コンピュータであり、温度センサ136から冷却空気134の温度を収集し、流量センサ135から冷却空気134の流量を収集し、弁132、133の開度を制御して、冷却空気134の流量と温度とが一定になるように調整している。ECS103は、さらに、水分分離器138を備えている。水分分離器138は、冷却空気134から水分を除去して乾燥した冷却空気105を生成する。
【0009】
このような航空機搭載電子機器温度調節システムは、すべての電子基板106−1〜106−nが同時に最大に発熱したときに、そのすべての電子基板106−1〜106−nを冷却することができるように設計されている。
【0010】
航空機は、途中で燃料の補給をしないで航行を続けることができる航続距離ならびに航行時間が大きいことが望まれている。ジェットエンジン121は、ECS103に供給されるブリードエア123の抽気量が大きいときに、エンジン出力が低下して燃費が悪くなり航続距離が小さくなる。航空機搭載電子機器温度調節システムは、航空機の航続距離を拡大するために、ジェットエンジンからブリードエアの抽気量を低減することが望まれている。
【0011】
【非特許文献1】
航空機用空調システム、住友精密工業株式会社
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、航空機の航続距離を拡大する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明の他の課題は、航空機の航行コストを低減する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、航空機に搭載される電子機器を冷却するためのブリードエア抽気量を低減する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、航空機に搭載される電子機器を冷却する冷却媒体を生成するECSを小型化する航空機搭載電子機器筐体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、航空機に搭載されてその航空機の航行に必要である電子機器(21)を冷却するときに利用される航空機搭載電子機器筐体である。本発明による航空機搭載電子機器筐体は、電子機器(21)に接触されて電圧が印加されることにより電子機器(21)から熱を吸収する熱電変換素子(23)と、電子機器(21)と熱電変換素子(23)とを内部に配置する筐体(4)と、冷却媒体(5)を筐体(4)の内部に導く配管(2)とを具備している。たとえば、熱電変換素子(23)は、片側が発熱体である電子機器(21)と熱伝導性が良好なように接合され、他の片側が冷却媒体(5)に対して放熱性(熱伝達性)が良好となっている熱ジャンクションを有している。
【0015】
このとき、熱電変換素子(23)に電力を投じることで、発熱体である電子機器(21)から熱電変換素子(23)の冷却媒体側ジャンクションへ強制的に熱を移動させ、熱電変換素子(23)の冷却媒体側ジャンクションの温度を電子機器(21)よりも高くすることが可能である。一般に冷却媒体の熱伝達による放熱量は冷却媒体と放熱体との温度差が高いほど大きいため、本場合、冷却媒体量が少なくても従来と同様の放熱量が確保でき、冷却媒体生成のためのブリードエア抽気量を低減させることが可能である。
【0016】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、内部を電子機器(21)が配置される第1室(8−1〜8−n)と熱電変換素子(23)が配置される第2室(9−1〜9−n)とに隔離する仕切り(7)を更に具備している。配管(2)は、第1室(8−1〜8−n)に冷却媒体(5)を導かないで、第2室(9−1〜9−n)に冷却媒体(5)を導く。このような仕切り(7)を設けることにより、放熱後の冷却媒体(5)は、電子機器(21)に接触しない。この結果、電子機器(21)は、高温の冷却媒体(5)に接触して高温になることが防止される。
【0017】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、さらに、第1室(8−1〜8−n)の温度を測定する温度計(11−1〜11−n)と、その温度に基づいて電圧を制御する制御装置(12)(49)とを具備している。このような制御は、電子機器(21)を冷却する冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量をさらに低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離をさらに拡大することができる。
【0018】
制御装置(49)は、冷却媒体(5)を生成する航空機搭載電子機器温度調節装置(13)に温度を示す制御信号(50)を送信する。航空機搭載電子機器温度調節装置(13)は、その制御信号(50)に基づいて冷却媒体(5)の単位時間当たりの熱量を変化させる。熱量は、冷却媒体(5)の単位時間当たりの流量を変化させ、または、冷却媒体(5)の温度を変化させることにより変化させる。このような変化は、電子機器(21)を冷却する冷却媒体5を生成するためのブリードエアの抽気量をさらに低減してジェットエンジンの出力損失を低減し、航空機の航続距離をさらに拡大することができる。
【0019】
制御装置(12)(49)は、温度が所定の値より小さいときに、熱電変換素子(23)を用いて電子機器(21)を加熱する。このような加熱は、電子機器(21)の冷え過ぎを防止する。
【0020】
本発明による航空機は、本発明による航空機搭載電子機器筐体を具備していることが好ましい。
【0021】
本発明による航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、航空機に搭載され、航空機の航行に必要である電子機器(6−1〜6−n)(86−1〜86−n)を冷却する冷却媒体(85)を生成する装置である。航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、ジェットエンジン(61)から供給されるブリードエア(35)を断熱膨張させて冷却媒体(85)を生成するタービン(68)を備えている。冷却媒体(85)は、ブリードエア(35)と混合されない。航空機搭載電子機器温度調節装置(60)は、冷却空気が低温となり過ぎないように温度を調節するためのブリードエア混合のための配管系統が取り除かれ、軽量化されている。
【0022】
本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜84−n)は、本発明による航空機搭載電子機器温度調節装置(60)により生成される冷却媒体(85)が供給される筐体である。本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜85−n)は、複数電子機器(86−1〜86−n)のうちの一部の電子機器(86−i)を内部に配置する筐体(8−i)と、内部に供給される冷却空気(85)の流量を制御する弁(89−i)と、電子機器(86−i)の温度を測定する温度センサ(87−i)と、その温度に基づいて弁(87−i)を制御する制御装置(88−i)とを備えていることが好ましい。本発明による航空機搭載電子機器筐体(84−1〜84−n)は、温度が非常に低い冷却媒体(85)を用いて電子機器(86−i)を冷えすぎることなく冷却することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明によるLRUが適用される航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を説明する。その航空機搭載電子機器温度調節システム1は、航空機に搭載され、図1に示されているように、配管2を介してECS3がLRU4に接続されている。ECS3は、冷却空気5を生成し、配管2を介してLRU4の内部に冷却空気5を供給している。LRU4は、航空機搭載電子機器温度調節システム1に複数が設けられている。
【0024】
LRU4は、複数の電子基板6−1〜6−n(n=2,3,4,…)を内部に備えている。電子基板6−i(i=1,2,3,…,n)は、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。冷却空気5は、第1室8−1〜8−nに供給されないで、第2室9−1〜9−nに供給される。電子基板6−iは、その1面が第1室8−iに配置され、その裏面が第2室に配置されている。
【0025】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置12とを備えている。温度計11−iは、電子基板6−iの温度を直接に測定し、または、第1室8−iの温度を測定して電子基板6−iの温度を間接的に測定する。制御装置12は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから電子基板6−1〜6−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。
【0026】
図2は、電子基板6−iを詳細に示している。電子基板6−iは、電子基板本体21、ヒートシンク22および熱電変換素子23が積層されて形成されている。熱電変換素子23は、電子基板本体21とヒートシンク22との間に介設されている。電子基板本体21と熱電変換素子23との間には、絶縁熱伝導性材料24が介設されている。絶縁熱伝導性材料24は、電気が伝導しないで、熱の伝導が良い材料である。絶縁熱伝導性材料24としては、シリコングリスが例示される。
【0027】
電子基板本体21は、絶縁熱伝導性材料24に接合していない面に複数の半導体部品25が設けられている。その半導体部品25は、特徴のある電気伝導が内部で起こる素子であり、その電気伝導により発熱する。半導体部品25としては、CPUが例示される。その半導体部品25は、それぞれ他の半導体部品25と接続される端子を備えている。電子基板本体21は、複数の半導体部品25の端子間を導線により電気的に接続している。このため、半導体部品25により発生した熱は、電子基板本体21と絶縁熱伝導性材料24とを介して熱電変換素子23に伝導する。
【0028】
熱電変換素子23は、P型素子26、N型素子27および2つのジャンクション材料28とを備えている。P型素子26とN型素子27とは、2つのジャンクション材料28の間に挟まれて接合されている。ジャンクション材料28としては、アルミナが例示される。P型素子26とN型素子27とは、さらに、電子基板本体21に近い位置で接合され、ヒートシンク22に近い位置では接合されていない。
【0029】
熱電変換素子23は、ヒートポンプ機能と発電する機能とを有している。熱電変換素子23は、2つのジャンクション28のうちの一方が高温であり他方が低温であるときに、高温側から低温側へ熱が移動する際、その熱を電気に変換することができる。たとえば、熱電変換素子23は、ジャンクション28のうちの一方に熱源が接合され、他方にヒートシンクがに接合されてそのヒートシンクが冷却媒体に接触しているときに、熱源側のジャンクションからヒートシンク側のジャンクションへ熱が移動し、その際に、その熱を電気に変換し熱を吸収することができる。
【0030】
熱電変換素子23は、P型素子26とN型素子27との接合されていない両端に電圧を印加すると、接合部分の温度は、その両端に比較して低下し、両端は、温度が上昇する。さらに、両端に逆の電圧を印加すると、接合部分の温度が上昇する。たとえば、熱電変換素子23は、その電圧を印加しない状態で2つのジャンクションのうちの一方が80℃であり、他方のジャンクション50℃であるときに、電圧を印加することによりその一方を50℃、その他方を80℃とさせることが可能である。すなわち、熱電変換素子23の2つのジャンクション28の一方の熱を他方にジャンクションに強制的に移動させることが可能である。このような電圧の印加は、制御装置12により電子基板6−iの温度に基づいて実行される。
【0031】
ヒートシンク22は、絶縁熱伝導性材料24に接合していない面に複数のフィン29が設けられている。電子基板6−iは、電子基板21が第1室8−iに配置され、電子基板21が配置されている面が第1室8−iに配置され、ヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。なお、電子基板6−iは、ヒートシンク22を備えないで、直接に熱電変換素子23を冷却空気5に接触させて冷却することもできる。
【0032】
ECS3は、従来技術の範疇の一般的なECSである場合、航空機が航行している間は常時に一定の温度の冷却空気5を一定の生成量で生成する。よって、LRU4の第2室9−1〜9−nには、配管2で自然分配される一定温度・流量の冷却空気5が供給される。LRU4は、第1室8−iの温度が高いときに、制御装置12により大きい電圧を熱電変換素子23に印加する。このとき、その電圧は、温度について単純に増加する関数である。このとき、電子基板6−iの熱量が熱電変換素子の作用によりヒートシンク22へ移動される。その結果、電子基板6−iの温度よりもヒートシンク22の温度の方が高温となる。ヒートシンク22の表面から冷却空気5への放熱は、対流熱伝達であり放熱量はヒートシンク22と冷却空気5の温度差に比例する。よって、本実施例の場合、従来のものよりもヒートシンク22と冷却空気5の温度差が大きいため、冷却空気5が同じ流量であっても、放熱量を増加可能である。つまり、電子基板6−iの生成する熱量が同じであれば、冷却空気の流量が少なくても従来と同量の放熱が可能であり、冷却空気生成の元となるブリードエアの低減を図ることが可能である。
【0033】
仕切り7は、冷却空気5が電子基板本体21に直接に接触することを防止する。このため、冷却空気5は、広範な温度範囲をとることができる。たとえば、冷却空気5の流入温度が低温であっても、電子基板本体21は、過度に冷却されることを防止することができる可能である。さらに、電子基板本体21は、熱電変換素子23と熱交換後の高温になった冷却空気5により、加熱されることがない。
【0034】
図3は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム30は、配管2を介してECS40が複数のLRU4に接続されている。ECS40は、冷却空気5を生成し、配管2を介してLRU4の内部に冷却空気5を供給している。
【0035】
ECS40は、ジェットエンジン31とともに設けられている。ジェットエンジン31に備えられているコンプレッサ32は、ジェットエンジン31が吸い込むラムエア35を圧縮してブリードエア33を生成する。ブリードエア33は、断熱圧縮によりラムエア35より温度が高くなっている。ECS40は、さらに、熱交換器34、ファン41およびタービン38を備えている。熱交換器34は、ラムエア35とブリードエア33とを熱交換して、ブリードエア33を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア37を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン41は、その動力を用いてラムエア36を機外に排出する。タービン38は、ブリードエア37を断熱膨張させてさらに冷却し、冷却空気39を生成する。
【0036】
ECS40は、さらに、弁42、弁43を備えている。弁42は、冷却空気39の流量を変化させ、弁43は、ブリードエア33の流量を変化させている。弁42と弁43とは、冷却空気39をブリードエア33と混合して、冷却空気44を生成する。ECS40は、さらに、流量センサ45と温度センサ46とを備えている。流量センサ45は、冷却空気44の流量を測定する。温度センサ46は、冷却空気44の温度を測定する。
【0037】
ECS40は、さらに、水分分離器48を備えている。水分分離器48は、冷却空気44から水分を除去して乾燥した冷却空気5を生成する。
【0038】
LRU4は、既述の実施の形態におけるLRU4と同様に、複数の電子基板6−1〜6−nを内部に備えている。電子基板6−iは、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。電子基板6−iは、先の実施の形態と同様にして、熱電変換素子23を備え、電子基板本体21が第1室8−iに配置され、その裏面のヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。
【0039】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置49とを備えている。温度計11−iは、第1室8−iの温度を測定する。制御装置49は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから第1室8−1〜8−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。制御装置49は、さらに、電子基板6−1〜6−nの温度を示す制御信号50を出力する。
【0040】
ECS40は、さらに、制御装置47を備えている。制御装置47は、コンピュータであり、温度センサ46から冷却空気44の温度を収集し、流量センサ45から冷却空気44の流量を収集し、制御装置49からLRU4の第1室8−1〜8−nの温度を示す制御信号50をそれぞれ収集する。なお、その制御信号50は、熱電変換素子23に印加される電圧を示すこともできる。
【0041】
従来技術においては、電子基板本体21が高温になりすぎても、また低温になりすぎても電子基板が本来の機能を発揮できない可能性があるため、ECS40が生成する冷却空気5の温度は一定の温度幅になるように調整されていた。また流量も、全ての電子基板本体21の最大発熱量の総和に見合う一定量が生成されていた。しかしながら、ECS40の性能を左右するラムエアの温度範囲はマイナス数十℃域からマッハ航行時の数100℃程度域まで非常に広範に渡っており、高空の亜音速域では、マイナス温度域のラムエアが得られるため、このラムエアを使用して得られる冷却空気39はラムエアよりも低温のものが得られる。しかも弁33を閉じていれば、温度を上昇させることなく、冷却空気39をそのままECS40の出力する冷却空気5とすることが出来る。本実施例における制御装置37の制御方策としては、弁33を常時閉とし、生成される冷却空気39の温度に応じて弁32の開度を調節し、後段のLRUが必要とする冷却容量に見合う量に冷却空気5の流量を制御するものとする。
【0042】
本発明では、仕切り7によって冷却空気5が直接電子基板本体21に触れない構造となっている。また、冷却空気5と電子基板本体21との間には熱電変換素子23が介在しており、熱電変換素子23を能動的に制御することにより、電子基板本体21が過冷却状態とならないように、熱電変換素子23に温度勾配を持たせることが可能となる。よって、本発明では、従来技術では不可能であったマイナス温度域の冷却空気5を使用可能であり、流量が少ない冷却空気で大きな放熱量を獲得することが可能である。よって、ブリードエアの抽気量を大幅に低減可能である。
【0043】
さらに、本実施例では、電子基板本体21とヒートシンク22の温度差が大きく、電子基板本体21からヒートシンク22への熱量が流れるため、熱電変換素子23に電圧を印加するのではなく、熱電変換素子23に発電させるようにすると、熱の一部を熱電変換素子23の発電機能で電気として回収可能であるため、回収した分、機体外部への熱排出の抑制が可能である。また回収した電気はリサイクル可能である。
【0044】
また、寒冷地におけるコールド状態での機体始動時は、電子基板本体21が動作保証温度を下回っている場合がある。本構成によれば、LRU4において、熱電変換素子23に逆電圧を印加して電子基板6−iを加熱し、動作保証温度まで加温して機体を始動することが可能となる。
【0045】
図4は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム70は、配管82を介してECS60が複数のLRU4に接続されている。ECS60は、冷却空気85を生成し、配管82を介してLRU4の内部に冷却空気85を供給している。
【0046】
ESC60は、ジェットエンジン61とともに設けられている。ジェットエンジン61は、前段にコンプレッサ62を備えている。コンプレッサ62は、ジェットエンジン61が吸い込むラムエア65を圧縮してブリードエア63を生成する。ブリードエア63は、断熱圧縮によりラムエア65より温度が高くなっている。ESC60は、熱交換器64、ファン71およびタービン68を備えている。熱交換器64は、ラムエア65とブリードエア63とを熱交換して、ブリードエア63を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア67を生成する。タービン68は、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン71は、その動力を用いてラムエア65を熱交換器64に引き込み、熱交換されたラムエア66を機外に排出する。タービン68は、さらに、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、冷却空気69を生成する。
【0047】
ESC60は、さらに、弁72を備えている。弁72は、開度を変化させて冷却空気69から所定の流量の冷却空気74を生成する。ESC60は、さらに、流量センサ75と温度センサ76とを備えている。流量センサ75は、冷却空気74の流量を測定する。温度センサ76は、冷却空気74の温度を測定する。ESC60は、さらに、水分分離器78を備えている。水分分離器78は、冷却空気74から水分を除去して乾燥した冷却空気85を生成する。
【0048】
LRU4は、既述の実施の形態におけるLRU4と同様に、複数の電子基板6−1〜6−nを内部に備えている。電子基板6−iは、板状に形成されている。LRU4は、複数の仕切り7を備えている。仕切り7は、LRU4の内部を第1室8−1〜8−nと第2室9−1〜9−nとに隔離している。電子基板6−iは、先の実施の形態と同様にして、熱電変換素子23を備え、電子基板本体21が第1室8−iに配置され、その裏面のヒートシンク22が第2室9−iに配置されている。
【0049】
LRU4は、さらに、温度計11−1〜11−nと制御装置49とを備えている。温度計11−iは、第1室8−iの温度を測定する。制御装置49は、コンピュータであり、温度計11−1〜11−nから第1室8−1〜8−nの温度を収集して、電子基板6−1〜6−nの冷却の程度を監視している。制御装置49は、さらに、電子基板6−1〜6−nの温度を示す制御信号50を出力する。
【0050】
ESC60は、さらに、制御装置77を備えている。制御装置77は、コンピュータであり、温度センサ76から冷却空気74の温度を収集し、流量センサ75から冷却空気74の流量を収集し、制御装置49から制御信号50を収集する。
【0051】
このとき、制御装置77は、電子基板6−1〜6−nの温度に基づいてLRU4に供給される冷却空気85の流量(熱量)を算出する。制御装置77は、収集された温度、流量および制御信号50に基づいて弁72の開度を制御して、LRU4に供給される冷却空気85の熱量を調整する。すなわち、ESC60は、冷却空気85の単位時間当たりの流量を変化させ、または、冷却媒体85の温度を変化させて、冷却空気85をLRU84−1〜84−nに供給する。
【0052】
このような航空機搭載電子機器温度調節システム70によれば、ESC60は、必要最小量の冷却空気85を生成することができる。その結果、ESC60は、電子基板86−1〜86−nを冷却するためのブリードエアを低減することができる。
【0053】
制御装置77は、さらに、制御信号50と独立に、収集された温度、流量に基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気85の流量(熱量)を一定に調整することもできる。
【0054】
図5は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示している。その航空機搭載電子機器温度調節システム80は、配管82を介してECS60が複数のLRU84−1〜84−nに接続されている。ESC60は、既述の実施の形態における航空機搭載電子機器温度調節システム70に適用されるESC60と同様である。すなわち、ECS60は、冷却空気85を生成し、配管82を介してLRU84−1〜84−nの内部に冷却空気85を供給している。
【0055】
ESC60は、ジェットエンジン61とともに設けられている。ジェットエンジン61は、前段にコンプレッサ62を備えている。コンプレッサ62は、ジェットエンジン61が吸い込むラムエア65を圧縮してブリードエア63を生成する。ブリードエア63は、断熱圧縮によりラムエア65より温度が高くなっている。ESC60は、熱交換器64、ファン71およびタービン68を備えている。熱交換器64は、ラムエア65とブリードエア63とを熱交換して、ブリードエア63を冷却して、高圧の冷却されたブリードエア67を生成する。タービン68は、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、動力を生成する。ファン71は、その動力を用いてラムエア65を熱交換器64に引き込み、熱交換されたラムエア66を機外に排出する。タービン68は、さらに、冷却されたブリードエア67を断熱膨張させて、冷却空気69を生成する。
【0056】
ESC60は、さらに、弁72を備えている。弁72は、開度を変化させて冷却空気69から所定の流量の冷却空気74を生成する。ESC60は、さらに、流量センサ75と温度センサ76とを備えている。流量センサ75は、冷却空気74の流量を測定する。温度センサ76は、冷却空気74の温度を測定する。ESC60は、さらに、水分分離器78を備えている。水分分離器78は、冷却空気74から水分を除去して乾燥した冷却空気85を生成する。
【0057】
LRU84−iは、単数または複数の電子基板86−iを内部に備えている。LRU84−iは、さらに、温度センサ87−i、制御装置88−iおよび弁89−iを備えている。温度センサ87−iは、電子基板86−iの温度を直接に測定し、または、LRU84−iの内部の温度を測定して電子基板86−iの温度を間接的に測定する。弁89−iは、冷却空気85の流路の断面積(開度)を変更し、LRU84−iの内部に供給される冷却空気85の流量を制御する。
【0058】
制御装置88−iは、温度センサ87−iから電子基板86−iの温度を収集し、その温度に基づいて弁89−iの開度を制御する。すなわち、制御装置88−iは、電子基板86−iの温度が大きいときに弁89−iの開度を大きくし、その温度が小さいときに弁89−iの開度を小さくする。制御装置88−iは、さらに、その温度が十分に小さいときに弁89−iを閉じる。
【0059】
ESC60は、さらに、制御装置77を備えている。制御装置77は、コンピュータであり、温度センサ76から冷却空気74の温度を収集し、流量センサ75から冷却空気74の流量を収集し、制御装置88−1〜88−nからLRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の流量を示す制御信号83−1〜83−nをそれぞれ収集する。なお、制御信号83−1〜83−nは、LRU84−1〜84−nの内部の温度または弁89−1〜89−nの開度を示す信号に置換することもできる。
【0060】
このとき、制御装置77は、LRU84−1〜84−nの内部の温度または弁89−1〜89−nの開度に基づいてLRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の流量を算出する。制御装置77は、収集された温度、流量および制御信号83−1〜83−nに基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気74の温度が一定になるように調整し、LRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85の生成量を調整する。
【0061】
すなわち、LRU84−iは、内部の温度が高いときに多くの冷却空気85を内部に導入して、電子基板86−iを適当な温度範囲に維持する。ESC60は、LRU84−1〜84−nに供給される冷却空気85を必要量だけ可変的に生成する。
【0062】
このような航空機搭載電子機器温度調節システム70によれば、ESC60は、必要最小量の冷却空気85を生成することができる。その結果、ESC60は、電子基板86−1〜86−nを冷却するためのブリードエアを低減することができる。
【0063】
制御装置77は、さらに、制御信号83−1〜83−nと独立に、収集された温度、流量に基づいて弁72の開度を制御して、冷却空気85の流量を一定に調整することもできる。
【0064】
【発明の効果】
本発明による航空機搭載電子機器筐体は、航空機の航続距離を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による航空機搭載電子機器筐体が適用される航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図2】図2は、電子基板の実施の他の形態を示す断面図である。
【図3】図3は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示す回路ブロック図である。
【図4】図4は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の他の形態を示す回路ブロック図である。
【図5】図5は、航空機搭載電子機器温度調節システムの実施のさらに他の形態を示す回路ブロック図である。
【図6】図6は、公知の航空機搭載電子機器温度調節システムの実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図7】図7は、公知のLRUの実施の形態を示す断面図である。
【図8】図8は、公知のECSの実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 :航空機搭載電子機器温度調節システム
2 :配管
3 :ECS
4 :LRU
5 :冷却空気
6−1〜6−n:電子基板
7 :仕切り
8−1〜8−n:第1室
9−1〜9−n:第2室
11−1〜11−n:温度計
12:制御装置
21:電子基板本体
22:ヒートシンク
23:熱電変換素子
24:絶縁熱電導性材料
25:半導体部品
26:P型素子
27:N型素子
28:ジャンクション材料
29:フィン
30:航空機搭載電子機器温度調節システム
40:ECS
31:ジェットエンジン
32:コンプレッサ
33:ブリードエア
34:熱交換器
35:ラムエア
36:熱交換されたラムエア
37:冷却されたブリードエア
38:タービン
39:冷却空気
41:ファン
42:弁
43:弁
44:冷却空気
45:流量センサ
46:温度センサ
47:制御装置
48:水分分離器
49:制御装置
50:制御信号
70:航空機搭載電子機器温度調節システム
60:ECS
61:ジェットエンジン
62:コンプレッサ
63:ブリードエア
64:熱交換器
65:ラムエア
66:熱交換されたラムエア
67:冷却されたブリードエア
68:タービン
69:冷却空気
71:ファン
72:弁
74:冷却空気
75:流量センサ
76:温度センサ
77:制御装置
78:水分分離器
80:航空機搭載電子機器温度調節システム
82:配管
83−1〜83−n:制御信号
84−1〜84−n:LRU
85:冷却空気
86−1〜86−n:電子基板
87−1〜87−n:温度センサ
88−1〜88−n:制御装置
89−1〜89−n:弁
Claims (8)
- 航空機に搭載され、前記航空機の航行に必要である電子機器を冷却するときに利用される航空機搭載電子機器筐体であり、
前記電子機器に接触され、電圧が印加されることにより前記電子機器から熱を吸収する熱電変換素子と、
前記電子機器と前記熱電変換素子とを内部に配置する筐体と、
冷却媒体を前記筐体の内部に導く配管
とを具備する航空機搭載電子機器筐体。 - 請求項1において、
前記電子機器の温度を測定する温度計と、
前記温度に基づいて前記電圧を制御する制御装置
とを具備する航空機搭載電子機器筐体。 - 請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
前記内部を前記電子機器が配置される第1室と前記熱電変換素子が配置される第2室とに隔離する仕切りを更に具備し、
前記配管は、前記第1室に前記冷却媒体を導かないで、前記第2室に前記冷却媒体を導く
航空機搭載電子機器筐体。 - 請求項2または請求項3のいずれかにおいて、
前記制御装置は、前記温度が所定の値より小さいときに、前記熱電変換素子を用いて前記電子機器を加熱する
航空機搭載電子機器筐体。 - 請求項2〜請求項4のいずれかにおいて、
前記制御装置は、前記冷却媒体を生成する航空機搭載電子機器温度調節装置に前記温度を示す制御信号を送信し、
前記航空機搭載電子機器温度調節装置は、前記制御信号に基づいて前記冷却媒体の単位時間当たりの熱量を変化させる
航空機搭載電子機器筐体。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の航空機搭載電子機器筐体
を具備する航空機。 - 航空機に搭載され、前記航空機の航行に必要である電子機器を冷却する冷却媒体を生成する航空機搭載電子機器温度調節装置であり、
ジェットエンジンから供給されるブリードエアを断熱膨張させて前記冷却媒体を生成するタービンを具備し、
前記冷却媒体は、前記ブリードエアと混合されない
航空機搭載電子機器温度調節装置。 - 請求項7に記載される航空機搭載電子機器温度調節装置により生成される前記冷却媒体が供給される航空機搭載電子機器筐体であり、
前記複数電子機器のうちの一部の電子機器を内部に配置する筐体と、
前記内部に供給される冷却空気の流量を制御する弁と、
前記電子機器の温度を測定する温度センサと、
前記温度に基づいて前記弁を制御する制御装置
とを具備する航空機搭載電子機器筐体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002287555A JP2004122857A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002287555A JP2004122857A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004122857A true JP2004122857A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32280288
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002287555A Withdrawn JP2004122857A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004122857A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006009798A (ja) * | 2004-06-21 | 2006-01-12 | Boeing Co:The | 流量制御装置、エンジンシステム、および流量制御方法 |
JP2010003932A (ja) * | 2008-06-20 | 2010-01-07 | Mitsubishi Electric Corp | 電子機器、及びヒートシンク |
JP2016509148A (ja) * | 2012-11-13 | 2016-03-24 | ミクロチユルボ | 航空機ターボ機械コンピュータ |
KR20210089322A (ko) * | 2020-01-08 | 2021-07-16 | 엘아이지넥스원 주식회사 | 열전소자를 이용한 레이더 송수신시스템의 열제어장치 |
CN114816005A (zh) * | 2021-01-19 | 2022-07-29 | 深圳市万普拉斯科技有限公司 | 终端控制方法、装置、计算机设备和存储介质 |
CN118338638A (zh) * | 2024-06-14 | 2024-07-12 | 苏州一目万相科技有限公司 | 球管及其控制方法和控制装置以及可读存储介质 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002287555A patent/JP2004122857A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006009798A (ja) * | 2004-06-21 | 2006-01-12 | Boeing Co:The | 流量制御装置、エンジンシステム、および流量制御方法 |
JP2010003932A (ja) * | 2008-06-20 | 2010-01-07 | Mitsubishi Electric Corp | 電子機器、及びヒートシンク |
JP2016509148A (ja) * | 2012-11-13 | 2016-03-24 | ミクロチユルボ | 航空機ターボ機械コンピュータ |
KR20210089322A (ko) * | 2020-01-08 | 2021-07-16 | 엘아이지넥스원 주식회사 | 열전소자를 이용한 레이더 송수신시스템의 열제어장치 |
KR102303647B1 (ko) * | 2020-01-08 | 2021-09-17 | 엘아이지넥스원 주식회사 | 열전소자를 이용한 레이더 송수신시스템의 열제어장치 |
CN114816005A (zh) * | 2021-01-19 | 2022-07-29 | 深圳市万普拉斯科技有限公司 | 终端控制方法、装置、计算机设备和存储介质 |
CN118338638A (zh) * | 2024-06-14 | 2024-07-12 | 苏州一目万相科技有限公司 | 球管及其控制方法和控制装置以及可读存储介质 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Cai et al. | Performance analysis and assessment of thermoelectric micro cooler for electronic devices | |
Zilio et al. | Active and passive cooling technologies for thermal management of avionics in helicopters: Loop heat pipes and mini-Vapor Cycle System | |
Elarusi et al. | Optimal design of a thermoelectric cooling/heating system for car seat climate control (CSCC) | |
US20100071881A1 (en) | Cooling system for aircraft electric or electronic devices | |
Remeli et al. | Experimental study of a mini cooler by using Peltier thermoelectric cell | |
KR20120021301A (ko) | 발열 대 흡열 피드백에 의한 에너지 전환 시스템 및 방법 | |
CN211236711U (zh) | 一种自动恒温温控箱 | |
CN110062565A (zh) | 基于热电制冷技术的均热板加固服务器高效散热装置及方法 | |
CN104302157A (zh) | 带蓄冷功能的机载电子模块冷却装置及运行方法 | |
CN110558647A (zh) | 可穿戴空调 | |
JPH0524587A (ja) | 航空機に搭載した電子装置の熱調節法と熱調節システム | |
JP2004122857A (ja) | 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 | |
Elarusi et al. | Analysis and experimental investigation of optimum design of thermoelectric cooling/heating system for Car Seat Climate Control (CSCC) | |
CN107525988A (zh) | 一种通用微波组件老炼试验设备 | |
EP0076077A2 (en) | Improvements in or relating to heat exchangers | |
CN205319145U (zh) | 一种激光器精密温控装置 | |
CN210672163U (zh) | 可穿戴空调 | |
Singh et al. | Air conditioner using Peltier module | |
KR102159541B1 (ko) | 열전소자를 활용한 전자식 공조장치 및 그에 의한 공조방법 | |
JP2004074888A (ja) | 航空機搭載電子機器筐体及び航空機搭載電子機器温度調節装置 | |
Gull et al. | Experimental and Numerical Investigation of Thermoelectric Cooling Module | |
Danca et al. | A possibility of harnessing the heat discarded into the environment using thermoelectric generators. | |
CN220793314U (zh) | 便携式空调 | |
Kachhia et al. | Thermoelectric Peltier Cooling with Temperature Controller | |
Harun et al. | Performance Analysis of Liquid-Cooled Panel System for Air Conditioner Using Peltier Effect |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |