JP2004122326A - 探査ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染源等、探査対象の源を無人で特定できる探査ロボットを提供する。
【解決手段】TOC(探査対象)50が存在する水中(領域内)100を移動可能な探査ロボット10であって、移動手段2と、TOC濃度(探査対象の情報)を取得するセンサ4と、センサの取得した情報に基づいて、TOC発生源(探査対象の源)を推定し、当該源へ向かうよう、移動手段を制御する制御手段6と、センサで取得した情報を、取得位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段8とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】TOC(探査対象)50が存在する水中(領域内)100を移動可能な探査ロボット10であって、移動手段2と、TOC濃度(探査対象の情報)を取得するセンサ4と、センサの取得した情報に基づいて、TOC発生源(探査対象の源)を推定し、当該源へ向かうよう、移動手段を制御する制御手段6と、センサで取得した情報を、取得位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段8とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば海洋や河川等の汚染物質の濃度等の測定に用いる探査ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の悪化、環境破壊等に伴い、海洋の汚染物質等を測定してその動向を把握、分析することが急務となっている。特に、海洋、河川等の測定に当たっては、水中での測定が必要なことから、無人観測が可能な舟型のロボットが用いられる(例えば、特許文献1参照)。このような移動ロボットによれば、センサを定置した定点観測の場合に比べ、海洋等を自由に移動して詳細なデータを取得できる。
【0003】
【特許文献1】
特許第2580520号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ロボットの場合、曳航ケーブルを介して母船が曳航して各種指示をロボットに出す必要があるため、完全な無人観測には至らなかった。また、例えば河川の汚染源(汚染物質の発生点)を見つけたい場合に、無人ロボットが自発的に汚染源を見つけて外部に報告できれば、人が近寄れない地域等の探査が容易になるが、このような技術も報告されていない。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、汚染源等、探査対象の源を無人で特定できる探査ロボットの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の探査ロボットは、探査対象が存在する領域内を移動可能な探査ロボットであって、移動手段と、探査対象の情報を取得するセンサと、該センサの取得した情報に基づいて、前記探査対象の源を推定し、当該源へ向かうよう、前記移動手段を制御する制御手段と、前記センサで取得した情報を、取得位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが自ら移動して汚染源等、探査対象の源を特定し、そのデータを外部コンピュータに送信するので、探査対象の源を無人で特定することができる。
【0007】
請求項2記載の探査ロボットにおいて、前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、時系列的に取得したセンサの情報に基づいて前後進することで、センサの値の最も高い場所、つまり源と考えられる場所に探査ロボットが精度よく近づくことができる。
【0008】
請求項3記載の探査ロボットにおいて、前記領域が海岸線を含む海洋である場合に、前記制御手段は、前記海岸線から所定距離離れ当該海岸線に沿う線上を進むよう前記移動手段を制御し、当該線上で前記探査対象の情報の値が最大値となった位置を起点として、該線と直交する方向で時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、海岸線にある源を特定する場合に、まず、海岸線沿いでセンサの値の最も高いと考えられる場所を特定した後、これと直交する方向でセンサの値の最も高いと考えられる場所を特定するので、これらの場所が交差した位置にある源に探査ロボットが容易に近づくことができる。
【0009】
請求項4記載の探査ロボットにおいて、前記制御手段は、前記移動手段を後進方向に制御する際、前記中間位置まで後進した後、前記中間位置でのセンサの情報の値が前記最新の情報の値と前記直前に取得した情報の値との中間にある場合、前記移動手段を前進方向に制御し、前記中間位置でのセンサの情報の値が前記直前に取得した情報の値より大きい場合、前記移動手段を後進方向に制御し、前記センサの情報の値が最大値となった位置で前記前進又は後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが前記中間位置まで後進した後、前記中間位置でのセンサの情報の値に応じてさらに細かい前後進制御を行うので、センサの値の最も高い場所である源に近づく精度をより一層向上させることができる。
【0010】
請求項5記載の探査ロボットは、前記領域内に第2の領域を含み、前記領域内に比べて前記第2の領域内の探査対象の情報の値が大きい場合に、前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、ロボット本体が所定半径で円運動するよう前記移動手段を制御し、その周上で前記センサの情報の値が増加した位置を起点とし、前記ロボット本体が前記半径で円運動するよう前記移動手段を制御する動作を繰返し、前記起点を、前記領域と前記第2の領域との境界上の点として記録することを特徴とする。
このようにすると、領域と第2の領域との境界で探査対象の情報の値が大きくなるのを円運動の際のセンサで検知し、境界上の点として記録するので、第2の領域の規模等を知ることができる。
【0011】
請求項6記載の探査ロボットは、前記センサが複数設けられ、前記制御手段は、前記複数のセンサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする。
このようにすると、複数センサによる値の取得ごとに、値の差に応じて所定の方向へ向かう制御をするだけであるので、制御が簡便になる。
【0012】
請求項7記載の探査ロボットは、前記センサが1個設けられるとともに、前記センサへ連通し前記領域の媒体が流入する複数の流入口と、一の流入口のみを前記センサへ連通させる連通切換手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記各流入口とそれぞれ連通した際に前記センサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする。
このようにすると、センサに連通する複数の流入口による値の取得ごとに、値の差に応じて所定の方向へ向かう制御をするだけであるので、制御が簡便になる。又、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0013】
請求項8記載の探査ロボットは、前記センサで取得した情報の値が規定値を超えた場合、又は該規定値未満となった場合に通知を行う通知手段をさらに備えたことを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが源を特定した場合に規定値を超えたり規定値未満となるので、源を特定した旨や警報を通知することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る探査ロボットの構成を各図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る探査ロボット10を含む全体の構成を示す。この図において、探査ロボット10は、水100中のTOC(全有機物)50の濃度をセンサ4で測定し、TOCの発生源52へ向かって水100中を移動するものである。探査ロボット10は、水100中を移動するための移動手段(モータ、プロペラ、翼等を含む)2と、TOC濃度を取得するセンサ4と、センサの取得した情報に基づいてTOC発生源52を推定し、当該源へ向かうよう、移動手段2を制御する制御手段(CPU)6と、所定のメモリと、TOC濃度をその位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段(無線送信部)8とを備える。センサ4はロボットの先端付近に表出している。又、探査ロボット10の頂部には後述する警報ランプ(通知手段)3が設けられている。
【0016】
探査ロボット10は紡錘形をなし、センサ4は探査ロボット10の頭部中心付近に1つ設置されている。又、探査ロボット10は、プロペラの回転数や翼(水平翼、垂直翼)の角度を変化させて水中を移動するものとする。そして、外部コンピュータは、送信手段8からTOC濃度とその位置とを時系列的に受信し、記録する。この場合、TOC濃度が最大になったときの位置をTOCの発生源52の位置として知ることができる。
【0017】
次に、探査ロボット10が源を特定する場合の実施形態について説明する。
【0018】
《第1の実施形態》
河川の下流から上流へ探査ロボット10が移動し、河縁の源を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。
まず、図2に示すように探査ロボット10は下流から上流へ移動し、時系列的にセンサ4からA、B、C点のTOC濃度をそれぞれ取得する。そして、後述する図3のフローに従って前進、後進を行い、D点、E点の順に移動する。ここで、E点は、探査ロボット10の移動方向Sにおいて最もTOC濃度が高い地点である。従って、E点を起点としてSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させることにより、TOC発生源52へ到達することができる。
【0019】
図3は制御手段による制御フローを示す。この図において、制御手段6は、直前(A点)のTOC濃度より最新(B点)のTOC濃度が高いか否かを判断する(ステップS2)。ここで、B点の方がA点より濃度が高いので、「Yes」となり、制御手段6はステップS6の前進制御を行う。そして、次の地点Cまで進んだ時点で、制御手段6はステップS2の判断に戻る。ここで、C点の方がB点より濃度が低いので、「No」となり、制御手段6はステップS4の後進制御を行う。
【0020】
ステップS4では、C点とB点の間にある中間地点Dまで探査ロボット10が戻る。つまり、C点の方がB点より濃度が低いので、その中間地点に最も濃度の高い点があると予想して、Dまで後退するようになっている。従って、このD点を起点としてSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させ、TOC発生源52を探査してもよい。しかしながら、さらに以下のフローに従うと、S上で最も高濃度の地点をより精度よく求めることができる。
【0021】
つまり、続くステップS8で、制御手段6は、中間点(D点)のTOC濃度が直前(B点)のTOC濃度より高いか否かを判断する。ここで、「Yes」であれば、後退しすぎたもの(高濃度点はもっとC点寄りにある)と予想し、制御手段6は、C−D間の新たな中間地点Fまで前進制御する(ステップS12)。
【0022】
一方、ステップS8で「No」の場合、制御手段は値が収束したか否かを判断する(ステップS10)。この判断については後述する。そして、ステップS10で「No」であれば、さらに後退した地点に高濃度点があると予想し、制御手段6は、B−D間の新たな中間地点Eまで後進制御する(ステップS14)。
【0023】
そして、ステップS12又はS14の後、ステップS8の処理に戻るルーチンが繰り返される。なお、ステップS8に戻った場合、新たな中間点E又はFと、B点との濃度を比較する。このようにしてルーチンを繰り返すと、やがて、現在の点での濃度と、その1つ前の点での濃度の差が閾値以下になるので、これを収束条件としてステップS10の判断を行う。そして、ステップS10で「Yes」であればステップS8〜S14のルーチンを終了し、現在の点が最も高濃度であるとみなしてここを起点にSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させる(ステップS16)。
【0024】
次に、制御手段6は、R上を上記図3のフローと同様なフローで移動し、R上で最も高濃度な点を求めることで、TOC発生源52を特定する(ステップS18)。なお、水深が浅い場合はほぼ2次元とみなして方向SとR上を測定することで源を特定できるが、水深が深い場合は、さらに深さ方向について同様なフローで最も高濃度な点を求め、3方向の交点から源を特定する。
【0025】
《第2の実施形態》
海岸線を含む海洋を探査ロボット10が移動し、海岸線の源を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。
まず、図4に示すように、探査ロボット10の制御手段は、海岸線から所定距離離れ海岸線に沿う線T上を進むよう制御し、時系列的にセンサ4からTOC濃度を取得する。そしてT上でTOC濃度が最も高い地点Gを求める。次に、制御手段6は、G点を起点としてTと直交する方向Uへ探査ロボット10を移動させる。U上では、制御手段6は、前記図3のフローと同様な制御を行い、最もTOC濃度が最も高い地点G2を求め、G2点を起点としてUと直交する方向へ探査ロボット10を移動させることにより、TOC発生源52へ到達することができる。
【0026】
《第3の実施形態》
海洋(領域)内に赤潮(第2の領域)が存在し、探査ロボット10が赤潮の領域(境界)を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。なお、この実施形態では、探査ロボット10は海水中のDO(溶存酸素)濃度を測定し、DO濃度は赤潮内の方が海洋中より高いものとする。
まず、図5に示すように、探査ロボット10は海洋100中を所定の方向Vへ移動し、時系列的にセンサ4からH、I点のDO濃度をそれぞれ取得する。ここで、I点の方がH点より濃度が高い場合、制御手段6は赤潮200内に入ったと判断し、後述する図6のフローに従って円運動を行い、I〜P点の順に移動する。ここで、K、M、P点は、DO濃度が急激に変化(増加)する地点であるので、海洋100と赤潮200の境界近傍にあることを示す点となる。探査ロボット10は、上記円運動を繰返し、やがてもとの地点まで戻ると測定を終了し、上記K、M、P・・・点を結ぶ線を赤潮の領域(境界)200Aとして記録する。これにより、赤潮の規模等を知ることができる。
【0027】
図6は制御手段による制御フローを示す。この図において、制御手段6は、直前(H点)のDO濃度の方が最新(I点)のDO濃度より低いか否かを判断する(ステップS20)。ここで、「No」であればさらにV上を前進してステップS20に戻る。一方、この実施形態ではH点の方がI点よりDO濃度が低いので、ステップS20で「Yes」となり、ステップS22へ移行する。
【0028】
ステップS22では、制御手段6は、探査ロボット10が所定半径で円運動するよう制御する。この制御は、ステップS20でDO濃度が増加したI点を起点とし、例えばVを接線とする円上で円運動するものであり、例えば図5の円1上の運動に相当する。そして、探査ロボット10は円1上で時系列的にセンサ4からJ、K点のDO濃度をそれぞれ取得する。
【0029】
次に、制御手段6は、円1上で濃度測定したI、J、K点のうち濃度が急激に増加した点があるか否かを判断する(ステップS24)。ここでは、隣接する2つの地点の濃度差が閾値を超えた場合、濃度が急激に増加したと判断してもよく、又、濃度の絶対値と閾値とを比較してもよい。ステップS24で「No」であれば、赤潮の領域に入っていないと推定し、もとのV方向へ戻り測定を続け、ステップS20の処理へ戻る。
【0030】
一方、この実施形態では、J点からK点へ移動した際に急激に濃度増加するので、ステップS24で「Yes」となり、ステップS26へ移行する。ステップS26では、K点が既に測定した地点の近傍にあるか否かを判断する。これは、前記図5で赤潮の境界200Aを1周した場合に、再度測定することを防止するためのものである。又、例えば既に測定した地点と、K点との距離が閾値未満となった場合に、ステップS26で「Yes」と判定すればよい。
【0031】
ステップS26で「No」の場合、ステップS22〜S26のルーチンを繰り返す。つまり、制御手段6は、K点を起点として上記と同半径の円2上を探査ロボット10が円運動するよう制御する。ここでは、例えばK点で円1と接するような円2を設定すればよい。円2上で探査ロボット10は、L、M点の濃度測定をし、濃度が急激に増加した点Mを起点として上記と同様な円3上を探査ロボット10が円運動し、濃度が急激に増加した点Pを起点として以下同様な制御が繰り返される。このようにして、前記図5の赤潮の境界200Aを1周する濃度測定が終了すると、ステップS26で「Yes」となる。
【0032】
次に、制御手段6は、各起点K、M、P・・・を、赤潮の境界200A上の点としてメモリに記録する(ステップS28)。記録されたデータは、適宜無線送信部8から外部コンピュータに送信され、外部コンピュータ上に各起点を表示させれば、赤潮の境界200Aを知ることができる。なお、水深方向についても図6と同様のフローで境界を求めることができ、これにより赤潮の厚みを知ることができる。
【0033】
以上述べた実施形態は、探査ロボットが1つのセンサの場合であるが、以下の実施形態では、複数のセンサを用いて探査を行う場合について説明する。
【0034】
図7は探査ロボット10Aの構成を示す。この図において、探査ロボット10Aは、表面に2つのセンサ4A、4Bを横方向に離間して設けている。そして、同時間における各センサ4A、4Bの測定値を比較し、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。例えば、TOCの発生源を探査する場合、センサ4AのTOC濃度の方がセンサ4Bより高ければ、センサ4Aの方向へ向かって移動する。移動の度合はTOC濃度の差に応じるようにすればよく、又、探査ロボットの上下方向にも別のセンサを2つ設ければ、縦方向の探査も同時に行える。このように、複数センサの値の差に基づいて探査する場合、前記図3、図6等のフローに比べて制御フローが簡便になるという利点がある。
【0035】
図8は探査ロボット10Bの構成を示す。この図において、探査ロボット10Bは、ロボット内部にセンサ4Cを1つのみ備える。ロボットの表面には、横方向に離間して流入口7A,7Bが設けられ、ここからセンサ4Cへ連通する水路9A、9Bを経てセンサ4Cへ海水が流入するようになっている。各水路9A、9Bの途中にはバルブ(連通切換手段)5A、5Bがそれぞれ設置され、バルブの開閉により流入口7A,7Bの一方のみをセンサへ連通させるようになっている。なお、探査ロボット10Bのその他の構成については前記した探査ロボット10と同様であるので説明を省略する。
【0036】
この探査ロボット10Bにおいて、制御手段6は、バルブ5A、5Bを速やかに切り換えることにより、異なる位置にある流入口7A,7B付近のTOC濃度をそれぞれセンサ4Cで取得する。そして、探査ロボット10Aの場合と同様に、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。この探査ロボット10Bの場合、探査ロボット10Aと同様の方法で探査が行えるとともに、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0037】
図9は探査ロボット10Cの構成を示す。この図において、探査ロボット10Cは、ロボット内部にセンサ4Dを1つのみ備える。ロボットの表面には、両側面に1つずつ流入口7C,7Eが設けられ、又、先端中央に流入口7Dが設けられている。そして、各流入口7C〜7Eからセンサ4Dへ連通する水路9C〜9Eを経てセンサ4Dへ海水が流入するようになっている。各水路9C〜9Eはセンサ4D付近で1本の水路に集合し、集合部には3方コック(連通切換手段)5Cが設置され、3方コックの位置により流入口7C〜7Eのいずれかのみをセンサへ連通させるようになっている。なお、探査ロボット10Cのその他の構成については前記した探査ロボット10と同様であるので説明を省略する。
【0038】
この探査ロボット10Cにおいて、制御手段6は、3方コック5Cを速やかに切り換えることにより、異なる位置にある流入口7C〜7E付近のTOC濃度をそれぞれセンサ4Dで取得する。そして、探査ロボット10Aの場合と同様に、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。この探査ロボット10Cの場合も、探査ロボット10Aと同様の方法で探査が行えるとともに、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0039】
なお、上記各実施形態において探査ロボットが源を特定した場合、例えばTOC発生源を特定した場合、通常のTOC濃度の閾値(規定値)を超えることになる。従って、センサの測定値が上記規定値を超えた場合に、前記図3の警報ランプ3を点滅させて源を特定した旨を通知するようにしてもよい。通知方法については特に限定されず、ランプの他、スピーカ等からの音声でもよく、又、通知情報を無線通信部8を介して外部コンピュータに送信し、外部コンピュータ上で警報を表示したり鳴動させるようにしてもよい。又、赤潮の探査のためDO濃度を測定する場合、赤潮領域内ではDO濃度が周囲より低下する。従って、かかる場合はセンサの測定値が規定値未満となった場合に警報等の通知を行うようにすればよい。
【0040】
本発明は上記した実施形態に限定されない。例えば、本発明が適用される「領域」は、海洋や河川だけでなく、例えば干潟、土中、大気等も含まれる。又、「探査対象」は、TOC、DOだけでなく、例えばpH、濁度、あるいは金等の鉱物資源でもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、探査ロボットが自ら移動して汚染源等、探査対象の源を特定し、そのデータを外部コンピュータに送信するので、探査対象の源を無人で特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る探査ロボットを含む全体の構成を示す図である。
【図2】河川の下流から上流へ探査ロボットが移動し、河縁の源を特定する場合の探査方法を示す図である。
【図3】図2において制御部が行う処理フローを示す図である。
【図4】海岸線を含む海洋を探査ロボットが移動し、海岸線の源を特定する場合の探査方法を示す図である。
【図5】海洋内に存在する赤潮の領域を探査ロボットが特定する場合の探査方法を示す図である。
【図6】図5において制御部が行う処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態に係る探査ロボットの別の構成を示す上面図である。
【図8】本実施形態に係る探査ロボットのさらに別の構成を示す上面図である。
【図9】本実施形態に係る探査ロボットの他の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
2 移動手段
3 警報ランプ(通知手段)
4、4A〜4D センサ
5A〜5C バルブ、3方コック(連通切換手段)
6 制御手段
7A〜7E 流入口
8 無線送信部(送信手段)
10、10A〜10C 探査ロボット
50 TOC(探査対象)
52 TOC発生源(探査対象の源)
100 水(領域)
200 赤潮(第2の領域)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば海洋や河川等の汚染物質の濃度等の測定に用いる探査ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の悪化、環境破壊等に伴い、海洋の汚染物質等を測定してその動向を把握、分析することが急務となっている。特に、海洋、河川等の測定に当たっては、水中での測定が必要なことから、無人観測が可能な舟型のロボットが用いられる(例えば、特許文献1参照)。このような移動ロボットによれば、センサを定置した定点観測の場合に比べ、海洋等を自由に移動して詳細なデータを取得できる。
【0003】
【特許文献1】
特許第2580520号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ロボットの場合、曳航ケーブルを介して母船が曳航して各種指示をロボットに出す必要があるため、完全な無人観測には至らなかった。また、例えば河川の汚染源(汚染物質の発生点)を見つけたい場合に、無人ロボットが自発的に汚染源を見つけて外部に報告できれば、人が近寄れない地域等の探査が容易になるが、このような技術も報告されていない。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、汚染源等、探査対象の源を無人で特定できる探査ロボットの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の探査ロボットは、探査対象が存在する領域内を移動可能な探査ロボットであって、移動手段と、探査対象の情報を取得するセンサと、該センサの取得した情報に基づいて、前記探査対象の源を推定し、当該源へ向かうよう、前記移動手段を制御する制御手段と、前記センサで取得した情報を、取得位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが自ら移動して汚染源等、探査対象の源を特定し、そのデータを外部コンピュータに送信するので、探査対象の源を無人で特定することができる。
【0007】
請求項2記載の探査ロボットにおいて、前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、時系列的に取得したセンサの情報に基づいて前後進することで、センサの値の最も高い場所、つまり源と考えられる場所に探査ロボットが精度よく近づくことができる。
【0008】
請求項3記載の探査ロボットにおいて、前記領域が海岸線を含む海洋である場合に、前記制御手段は、前記海岸線から所定距離離れ当該海岸線に沿う線上を進むよう前記移動手段を制御し、当該線上で前記探査対象の情報の値が最大値となった位置を起点として、該線と直交する方向で時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、海岸線にある源を特定する場合に、まず、海岸線沿いでセンサの値の最も高いと考えられる場所を特定した後、これと直交する方向でセンサの値の最も高いと考えられる場所を特定するので、これらの場所が交差した位置にある源に探査ロボットが容易に近づくことができる。
【0009】
請求項4記載の探査ロボットにおいて、前記制御手段は、前記移動手段を後進方向に制御する際、前記中間位置まで後進した後、前記中間位置でのセンサの情報の値が前記最新の情報の値と前記直前に取得した情報の値との中間にある場合、前記移動手段を前進方向に制御し、前記中間位置でのセンサの情報の値が前記直前に取得した情報の値より大きい場合、前記移動手段を後進方向に制御し、前記センサの情報の値が最大値となった位置で前記前進又は後進方向と直角な方向へ進む制御をすることを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが前記中間位置まで後進した後、前記中間位置でのセンサの情報の値に応じてさらに細かい前後進制御を行うので、センサの値の最も高い場所である源に近づく精度をより一層向上させることができる。
【0010】
請求項5記載の探査ロボットは、前記領域内に第2の領域を含み、前記領域内に比べて前記第2の領域内の探査対象の情報の値が大きい場合に、前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、ロボット本体が所定半径で円運動するよう前記移動手段を制御し、その周上で前記センサの情報の値が増加した位置を起点とし、前記ロボット本体が前記半径で円運動するよう前記移動手段を制御する動作を繰返し、前記起点を、前記領域と前記第2の領域との境界上の点として記録することを特徴とする。
このようにすると、領域と第2の領域との境界で探査対象の情報の値が大きくなるのを円運動の際のセンサで検知し、境界上の点として記録するので、第2の領域の規模等を知ることができる。
【0011】
請求項6記載の探査ロボットは、前記センサが複数設けられ、前記制御手段は、前記複数のセンサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする。
このようにすると、複数センサによる値の取得ごとに、値の差に応じて所定の方向へ向かう制御をするだけであるので、制御が簡便になる。
【0012】
請求項7記載の探査ロボットは、前記センサが1個設けられるとともに、前記センサへ連通し前記領域の媒体が流入する複数の流入口と、一の流入口のみを前記センサへ連通させる連通切換手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記各流入口とそれぞれ連通した際に前記センサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする。
このようにすると、センサに連通する複数の流入口による値の取得ごとに、値の差に応じて所定の方向へ向かう制御をするだけであるので、制御が簡便になる。又、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0013】
請求項8記載の探査ロボットは、前記センサで取得した情報の値が規定値を超えた場合、又は該規定値未満となった場合に通知を行う通知手段をさらに備えたことを特徴とする。
このようにすると、探査ロボットが源を特定した場合に規定値を超えたり規定値未満となるので、源を特定した旨や警報を通知することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る探査ロボットの構成を各図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る探査ロボット10を含む全体の構成を示す。この図において、探査ロボット10は、水100中のTOC(全有機物)50の濃度をセンサ4で測定し、TOCの発生源52へ向かって水100中を移動するものである。探査ロボット10は、水100中を移動するための移動手段(モータ、プロペラ、翼等を含む)2と、TOC濃度を取得するセンサ4と、センサの取得した情報に基づいてTOC発生源52を推定し、当該源へ向かうよう、移動手段2を制御する制御手段(CPU)6と、所定のメモリと、TOC濃度をその位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段(無線送信部)8とを備える。センサ4はロボットの先端付近に表出している。又、探査ロボット10の頂部には後述する警報ランプ(通知手段)3が設けられている。
【0016】
探査ロボット10は紡錘形をなし、センサ4は探査ロボット10の頭部中心付近に1つ設置されている。又、探査ロボット10は、プロペラの回転数や翼(水平翼、垂直翼)の角度を変化させて水中を移動するものとする。そして、外部コンピュータは、送信手段8からTOC濃度とその位置とを時系列的に受信し、記録する。この場合、TOC濃度が最大になったときの位置をTOCの発生源52の位置として知ることができる。
【0017】
次に、探査ロボット10が源を特定する場合の実施形態について説明する。
【0018】
《第1の実施形態》
河川の下流から上流へ探査ロボット10が移動し、河縁の源を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。
まず、図2に示すように探査ロボット10は下流から上流へ移動し、時系列的にセンサ4からA、B、C点のTOC濃度をそれぞれ取得する。そして、後述する図3のフローに従って前進、後進を行い、D点、E点の順に移動する。ここで、E点は、探査ロボット10の移動方向Sにおいて最もTOC濃度が高い地点である。従って、E点を起点としてSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させることにより、TOC発生源52へ到達することができる。
【0019】
図3は制御手段による制御フローを示す。この図において、制御手段6は、直前(A点)のTOC濃度より最新(B点)のTOC濃度が高いか否かを判断する(ステップS2)。ここで、B点の方がA点より濃度が高いので、「Yes」となり、制御手段6はステップS6の前進制御を行う。そして、次の地点Cまで進んだ時点で、制御手段6はステップS2の判断に戻る。ここで、C点の方がB点より濃度が低いので、「No」となり、制御手段6はステップS4の後進制御を行う。
【0020】
ステップS4では、C点とB点の間にある中間地点Dまで探査ロボット10が戻る。つまり、C点の方がB点より濃度が低いので、その中間地点に最も濃度の高い点があると予想して、Dまで後退するようになっている。従って、このD点を起点としてSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させ、TOC発生源52を探査してもよい。しかしながら、さらに以下のフローに従うと、S上で最も高濃度の地点をより精度よく求めることができる。
【0021】
つまり、続くステップS8で、制御手段6は、中間点(D点)のTOC濃度が直前(B点)のTOC濃度より高いか否かを判断する。ここで、「Yes」であれば、後退しすぎたもの(高濃度点はもっとC点寄りにある)と予想し、制御手段6は、C−D間の新たな中間地点Fまで前進制御する(ステップS12)。
【0022】
一方、ステップS8で「No」の場合、制御手段は値が収束したか否かを判断する(ステップS10)。この判断については後述する。そして、ステップS10で「No」であれば、さらに後退した地点に高濃度点があると予想し、制御手段6は、B−D間の新たな中間地点Eまで後進制御する(ステップS14)。
【0023】
そして、ステップS12又はS14の後、ステップS8の処理に戻るルーチンが繰り返される。なお、ステップS8に戻った場合、新たな中間点E又はFと、B点との濃度を比較する。このようにしてルーチンを繰り返すと、やがて、現在の点での濃度と、その1つ前の点での濃度の差が閾値以下になるので、これを収束条件としてステップS10の判断を行う。そして、ステップS10で「Yes」であればステップS8〜S14のルーチンを終了し、現在の点が最も高濃度であるとみなしてここを起点にSと直交する方向Rへ探査ロボット10を移動させる(ステップS16)。
【0024】
次に、制御手段6は、R上を上記図3のフローと同様なフローで移動し、R上で最も高濃度な点を求めることで、TOC発生源52を特定する(ステップS18)。なお、水深が浅い場合はほぼ2次元とみなして方向SとR上を測定することで源を特定できるが、水深が深い場合は、さらに深さ方向について同様なフローで最も高濃度な点を求め、3方向の交点から源を特定する。
【0025】
《第2の実施形態》
海岸線を含む海洋を探査ロボット10が移動し、海岸線の源を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。
まず、図4に示すように、探査ロボット10の制御手段は、海岸線から所定距離離れ海岸線に沿う線T上を進むよう制御し、時系列的にセンサ4からTOC濃度を取得する。そしてT上でTOC濃度が最も高い地点Gを求める。次に、制御手段6は、G点を起点としてTと直交する方向Uへ探査ロボット10を移動させる。U上では、制御手段6は、前記図3のフローと同様な制御を行い、最もTOC濃度が最も高い地点G2を求め、G2点を起点としてUと直交する方向へ探査ロボット10を移動させることにより、TOC発生源52へ到達することができる。
【0026】
《第3の実施形態》
海洋(領域)内に赤潮(第2の領域)が存在し、探査ロボット10が赤潮の領域(境界)を特定する場合等に好適に用いられる実施形態である。なお、この実施形態では、探査ロボット10は海水中のDO(溶存酸素)濃度を測定し、DO濃度は赤潮内の方が海洋中より高いものとする。
まず、図5に示すように、探査ロボット10は海洋100中を所定の方向Vへ移動し、時系列的にセンサ4からH、I点のDO濃度をそれぞれ取得する。ここで、I点の方がH点より濃度が高い場合、制御手段6は赤潮200内に入ったと判断し、後述する図6のフローに従って円運動を行い、I〜P点の順に移動する。ここで、K、M、P点は、DO濃度が急激に変化(増加)する地点であるので、海洋100と赤潮200の境界近傍にあることを示す点となる。探査ロボット10は、上記円運動を繰返し、やがてもとの地点まで戻ると測定を終了し、上記K、M、P・・・点を結ぶ線を赤潮の領域(境界)200Aとして記録する。これにより、赤潮の規模等を知ることができる。
【0027】
図6は制御手段による制御フローを示す。この図において、制御手段6は、直前(H点)のDO濃度の方が最新(I点)のDO濃度より低いか否かを判断する(ステップS20)。ここで、「No」であればさらにV上を前進してステップS20に戻る。一方、この実施形態ではH点の方がI点よりDO濃度が低いので、ステップS20で「Yes」となり、ステップS22へ移行する。
【0028】
ステップS22では、制御手段6は、探査ロボット10が所定半径で円運動するよう制御する。この制御は、ステップS20でDO濃度が増加したI点を起点とし、例えばVを接線とする円上で円運動するものであり、例えば図5の円1上の運動に相当する。そして、探査ロボット10は円1上で時系列的にセンサ4からJ、K点のDO濃度をそれぞれ取得する。
【0029】
次に、制御手段6は、円1上で濃度測定したI、J、K点のうち濃度が急激に増加した点があるか否かを判断する(ステップS24)。ここでは、隣接する2つの地点の濃度差が閾値を超えた場合、濃度が急激に増加したと判断してもよく、又、濃度の絶対値と閾値とを比較してもよい。ステップS24で「No」であれば、赤潮の領域に入っていないと推定し、もとのV方向へ戻り測定を続け、ステップS20の処理へ戻る。
【0030】
一方、この実施形態では、J点からK点へ移動した際に急激に濃度増加するので、ステップS24で「Yes」となり、ステップS26へ移行する。ステップS26では、K点が既に測定した地点の近傍にあるか否かを判断する。これは、前記図5で赤潮の境界200Aを1周した場合に、再度測定することを防止するためのものである。又、例えば既に測定した地点と、K点との距離が閾値未満となった場合に、ステップS26で「Yes」と判定すればよい。
【0031】
ステップS26で「No」の場合、ステップS22〜S26のルーチンを繰り返す。つまり、制御手段6は、K点を起点として上記と同半径の円2上を探査ロボット10が円運動するよう制御する。ここでは、例えばK点で円1と接するような円2を設定すればよい。円2上で探査ロボット10は、L、M点の濃度測定をし、濃度が急激に増加した点Mを起点として上記と同様な円3上を探査ロボット10が円運動し、濃度が急激に増加した点Pを起点として以下同様な制御が繰り返される。このようにして、前記図5の赤潮の境界200Aを1周する濃度測定が終了すると、ステップS26で「Yes」となる。
【0032】
次に、制御手段6は、各起点K、M、P・・・を、赤潮の境界200A上の点としてメモリに記録する(ステップS28)。記録されたデータは、適宜無線送信部8から外部コンピュータに送信され、外部コンピュータ上に各起点を表示させれば、赤潮の境界200Aを知ることができる。なお、水深方向についても図6と同様のフローで境界を求めることができ、これにより赤潮の厚みを知ることができる。
【0033】
以上述べた実施形態は、探査ロボットが1つのセンサの場合であるが、以下の実施形態では、複数のセンサを用いて探査を行う場合について説明する。
【0034】
図7は探査ロボット10Aの構成を示す。この図において、探査ロボット10Aは、表面に2つのセンサ4A、4Bを横方向に離間して設けている。そして、同時間における各センサ4A、4Bの測定値を比較し、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。例えば、TOCの発生源を探査する場合、センサ4AのTOC濃度の方がセンサ4Bより高ければ、センサ4Aの方向へ向かって移動する。移動の度合はTOC濃度の差に応じるようにすればよく、又、探査ロボットの上下方向にも別のセンサを2つ設ければ、縦方向の探査も同時に行える。このように、複数センサの値の差に基づいて探査する場合、前記図3、図6等のフローに比べて制御フローが簡便になるという利点がある。
【0035】
図8は探査ロボット10Bの構成を示す。この図において、探査ロボット10Bは、ロボット内部にセンサ4Cを1つのみ備える。ロボットの表面には、横方向に離間して流入口7A,7Bが設けられ、ここからセンサ4Cへ連通する水路9A、9Bを経てセンサ4Cへ海水が流入するようになっている。各水路9A、9Bの途中にはバルブ(連通切換手段)5A、5Bがそれぞれ設置され、バルブの開閉により流入口7A,7Bの一方のみをセンサへ連通させるようになっている。なお、探査ロボット10Bのその他の構成については前記した探査ロボット10と同様であるので説明を省略する。
【0036】
この探査ロボット10Bにおいて、制御手段6は、バルブ5A、5Bを速やかに切り換えることにより、異なる位置にある流入口7A,7B付近のTOC濃度をそれぞれセンサ4Cで取得する。そして、探査ロボット10Aの場合と同様に、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。この探査ロボット10Bの場合、探査ロボット10Aと同様の方法で探査が行えるとともに、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0037】
図9は探査ロボット10Cの構成を示す。この図において、探査ロボット10Cは、ロボット内部にセンサ4Dを1つのみ備える。ロボットの表面には、両側面に1つずつ流入口7C,7Eが設けられ、又、先端中央に流入口7Dが設けられている。そして、各流入口7C〜7Eからセンサ4Dへ連通する水路9C〜9Eを経てセンサ4Dへ海水が流入するようになっている。各水路9C〜9Eはセンサ4D付近で1本の水路に集合し、集合部には3方コック(連通切換手段)5Cが設置され、3方コックの位置により流入口7C〜7Eのいずれかのみをセンサへ連通させるようになっている。なお、探査ロボット10Cのその他の構成については前記した探査ロボット10と同様であるので説明を省略する。
【0038】
この探査ロボット10Cにおいて、制御手段6は、3方コック5Cを速やかに切り換えることにより、異なる位置にある流入口7C〜7E付近のTOC濃度をそれぞれセンサ4Dで取得する。そして、探査ロボット10Aの場合と同様に、測定値の差に応じて横方向へ移動するようになっている。この探査ロボット10Cの場合も、探査ロボット10Aと同様の方法で探査が行えるとともに、センサの個数は1個で済むので、センサのコストを低減できる。
【0039】
なお、上記各実施形態において探査ロボットが源を特定した場合、例えばTOC発生源を特定した場合、通常のTOC濃度の閾値(規定値)を超えることになる。従って、センサの測定値が上記規定値を超えた場合に、前記図3の警報ランプ3を点滅させて源を特定した旨を通知するようにしてもよい。通知方法については特に限定されず、ランプの他、スピーカ等からの音声でもよく、又、通知情報を無線通信部8を介して外部コンピュータに送信し、外部コンピュータ上で警報を表示したり鳴動させるようにしてもよい。又、赤潮の探査のためDO濃度を測定する場合、赤潮領域内ではDO濃度が周囲より低下する。従って、かかる場合はセンサの測定値が規定値未満となった場合に警報等の通知を行うようにすればよい。
【0040】
本発明は上記した実施形態に限定されない。例えば、本発明が適用される「領域」は、海洋や河川だけでなく、例えば干潟、土中、大気等も含まれる。又、「探査対象」は、TOC、DOだけでなく、例えばpH、濁度、あるいは金等の鉱物資源でもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、探査ロボットが自ら移動して汚染源等、探査対象の源を特定し、そのデータを外部コンピュータに送信するので、探査対象の源を無人で特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る探査ロボットを含む全体の構成を示す図である。
【図2】河川の下流から上流へ探査ロボットが移動し、河縁の源を特定する場合の探査方法を示す図である。
【図3】図2において制御部が行う処理フローを示す図である。
【図4】海岸線を含む海洋を探査ロボットが移動し、海岸線の源を特定する場合の探査方法を示す図である。
【図5】海洋内に存在する赤潮の領域を探査ロボットが特定する場合の探査方法を示す図である。
【図6】図5において制御部が行う処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態に係る探査ロボットの別の構成を示す上面図である。
【図8】本実施形態に係る探査ロボットのさらに別の構成を示す上面図である。
【図9】本実施形態に係る探査ロボットの他の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
2 移動手段
3 警報ランプ(通知手段)
4、4A〜4D センサ
5A〜5C バルブ、3方コック(連通切換手段)
6 制御手段
7A〜7E 流入口
8 無線送信部(送信手段)
10、10A〜10C 探査ロボット
50 TOC(探査対象)
52 TOC発生源(探査対象の源)
100 水(領域)
200 赤潮(第2の領域)
Claims (8)
- 探査対象が存在する領域内を移動可能な探査ロボットであって、
移動手段と、
探査対象の情報を取得するセンサと、
該センサの取得した情報に基づいて、前記探査対象の源を推定し、当該源へ向かうよう、前記移動手段を制御する制御手段と、
前記センサで取得した情報を、取得位置と対応して外部コンピュータに送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする探査ロボット。 - 前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、
直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をする
ことを特徴とする請求項1に記載の探査ロボット。 - 前記領域が海岸線を含む海洋である場合に、
前記制御手段は、前記海岸線から所定距離離れ当該海岸線に沿う線上を進むよう前記移動手段を制御し、当該線上で前記探査対象の情報の値が最大値となった位置を起点として、該線と直交する方向で時系列的に前記センサの情報を取得し、
直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、前記移動手段を前進方向に制御し、
直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が小さければ、当該直前の位置と最新の位置との中間位置まで後進するよう前記移動手段を後進方向に制御した後、該後進方向と直角な方向へ進む制御をする
ことを特徴とする請求項1に記載の探査ロボット。 - 前記制御手段は、前記移動手段を後進方向に制御する際、前記中間位置まで後進した後、
前記中間位置でのセンサの情報の値が前記最新の情報の値と前記直前に取得した情報の値との中間にある場合、前記移動手段を前進方向に制御し、
前記中間位置でのセンサの情報の値が前記直前に取得した情報の値より大きい場合、前記移動手段を後進方向に制御し、
前記センサの情報の値が最大値となった位置で前記前進又は後進方向と直角な方向へ進む制御をする
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の探査ロボット。 - 前記領域内に第2の領域を含み、前記領域内に比べて前記第2の領域内の探査対象の情報の値が大きい場合に、
前記制御手段は、時系列的に前記センサの情報を取得し、
直前に取得した情報の値より最新の情報の値の方が大きければ、ロボット本体が所定半径で円運動するよう前記移動手段を制御し、
その周上で前記センサの情報の値が増加した位置を起点とし、前記ロボット本体が前記半径で円運動するよう前記移動手段を制御する動作を繰返し、
前記起点を、前記領域と前記第2の領域との境界上の点として記録することを特徴とする請求項1に記載の探査ロボット。 - 前記センサが複数設けられ、
前記制御手段は、前記複数のセンサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の探査ロボット。 - 前記センサが1個設けられるとともに、
前記センサへ連通し前記領域の媒体が流入する複数の流入口と、
一の流入口のみを前記センサへ連通させる連通切換手段と
をさらに備え、
前記制御手段は、前記各流入口とそれぞれ連通した際に前記センサがそれぞれ取得した情報の値の差に応じた所定の方向へ向かうよう、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の探査ロボット。 - 前記センサで取得した情報の値が規定値を超えた場合、又は該規定値未満となった場合に通知を行う通知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の探査ロボット。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041215 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060801 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070123 |