JP2004121715A - 弾性マット - Google Patents

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Kazuya Matsuura
松浦 一也
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Abstract

【課題】立ち作業者に対し十分な疲労軽減効果を得ることができ、構造が簡素で、利便性にも優れた弾性マットを提供する。
【解決手段】本発明は、厚さ5〜20mmの弾力性を有する平面視矩形状のマット本体10を備える。マット本体10の表面に、複数の突起11が縦横に10〜30mmの配列ピッチで一体に形成される。突起11は、高さが2〜8mm、基端部の外径が8〜25mmに設定される。マット本体10の裏面に、突起11に位置的に対応し、かつ縦方向及び横方向に連続して延びて両端がマット本体10の周縁に開放する縦裏溝12a及び横裏溝12bが形成される。各裏溝12a、12bは、深さが2〜10mm、下端開口部の幅Wlが5〜20mm、上底部の幅Whが3〜12mmに設定される。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば工場や店舗等において、長時間の立ち作業を行う際の足腰の負担軽減用や、歩行ゾーンを識別用等としてと足下に敷設される弾性マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種工場の製造ライン、梱包物流センター、スーパーのレジ作業等、長時間の立ち作業による職場は多く存在しているが、最近では、電気関係の組立工場においても、従来のコンベア方式に代わって、セル方式と称される立ち作業による組立作業が普及しており、立ち作業による労働が広範囲に広がりつつある。
【0003】
このような状況下にあっては、作業者に対し足腰等の疲労軽減等、労働環境の改善が強く望まれている。
【0004】
従来、立ち作業者に対する足腰の負担軽減用に足下に敷設される弾性マットとして、下記特許文献1、2等に開示されたものが周知である。
【0005】
特許文献1は、表面に複数個の突起が設けられ、裏面がフラットに仕上げられた平板状の弾性マットに関するものである。
【0006】
特許文献2は、表面に複数個の突起が設けられるとともに、裏面に突条設置部が複数条が設けられて、裏面側に空洞部が形成されるようにした弾性マットに関するものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−24077号(図1)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−178613号(図1〜図4)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の弾性マットは、マット全域が中実構造であるため、突起の収縮性が悪く、立ち作業者における足裏の圧力を適度に分散させることができず、十分な疲労軽減効果を得ることが困難であるという問題があった。
【0010】
また特許文献2の弾性マットは、裏面側に空洞部が設けられているため、突起の収縮性が良く、足裏の圧力を分散できて、十分な疲労軽減効果を期待できるものの、空洞部形成用の突条設置部を、マット裏面に複雑な形状に多数形成する必要があるため、構造の複雑化を来すとともに、マット成形用の金型加工も複雑となり、コストの増大を来すという問題を抱えている。更にマット周縁部以外には、突条設置部のみが床面等の設置面に設置するだけのものであるため、床面との接触面積が小さくなり、設置時の安定性に劣り、使用中に位置ずれする等の不具合があった。
【0011】
その上更に特許文献2の弾性マットは、突条設置部がマット裏面に複雑な形状に配置されるため、マット裏面に入り込んだゴミが突条設置部に付着した際に、そのゴミを、水洗い等によって洗い落とすことが困難であるとともに、防塵用に撒水等を行った際に、水分がマット裏面の突条設置部に残存することにより、水はけが悪く、利便性に劣るという問題も抱えている。
【0012】
また特許文献1、2の弾性マットを敷設した際には、その敷設箇所に電気配線を施すことができず、この点においても、利便性に劣るという問題もあった。
【0013】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、立ち作業者や歩行者等に対し十分な疲労軽減効果を得ることができ、構造が簡素でコストの削減を図ることができる上、設置時の安定性にも優れる一方、水洗い等によって確実に洗浄できて、撒水等に対しても水はけが良く、しかもマット敷設箇所に電気配線を行うことができる等、利便性に優れた弾性マットを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を備えている。なお以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、実施形態の弾性マットの図面を参照して説明する。
【0015】
すなわち図1ないし図3に示すように、本発明の弾性マットは、厚さ5〜20mmの弾力性を有する平面視矩形状のマット本体(10)を備え、前記マット本体(10)の表面に、複数の突起(11)が縦横に10〜30mmのピッチ(P)で整列配置に一体に形成されるとともに、前記突起(11)は、高さが2〜8mm、基端部(マット本体表面部)の外径が8〜25mmに設定され、前記マット本体(10)の裏面に、前記突起(11)に位置的に対応し、かつ両端がマット本体の周縁に開放する複数の裏溝(12a)(12b)が並列配置に形成されるとともに、前記裏溝(12a)(12b)は、深さが2〜10mm、下端開口部の幅(Wl)が5〜20mm、上底部の幅(Wh)が3〜12mmに設定されてなるものを要旨としている。
【0016】
この構成による本発明の弾性マットにおいては、マット本体(10)の表面に特有構成の複数の突起(11)を形成するものであるため、作業者が足で踏み込んだ際に、足裏における足幅方向及び足長さ方向に、2個以上、好ましくは3個以上の突起(11)が接する一方、マット裏面に設けられた裏溝(12a)(12b)によって、各突起(11)が適度に弾性収縮変形するので、作業者に対する足裏の圧力が満遍なく分散されて、作業者における足腰の負担や疲労が確実に軽減される。
【0017】
更に本発明の弾性マットは、表面に突起(11)を形成し、裏面に溝(12a)(12b)を形成するだけのシンプルな形状であるため、マット成形用金型の製作も容易に行うことができ、コストの削減を図ることができる。
【0018】
またマット設置状態において、マット裏面における裏溝(12a)(12b)を除く多くの領域が、床面等の設置面に接触するものであるため、接触面積が大きくなり、安定した設置状態を得ることができ、位置ずれ等の不具合を確実に防止することができる。
【0019】
またマット裏面の裏溝(12a)(12b)は周縁まで達するように連続して形成されるものであるため、例えば防塵用に撒水を行った際に、マット裏面に浸入した水は、裏溝(12a)(12b)を通ってマット外側にスムーズに排出されるとともに、清掃時の水洗い等によって、裏溝内に付着したゴミを確実に洗い落とすことができる。
【0020】
更に裏溝内に電気配線用の電気コードを挿通させることにより、マット敷設領域にからわらず電気配線を施すことができる。
【0021】
このように本発明の弾性マットは、水はけが良く、洗浄も簡単に行える上、電気配線も確実に行うことができるため、使い勝手が良く、優れた利便性を得ることができる。
【0022】
ここで、本発明において、マット本体(10)の平面形状は、正方形に限られず、縦方向又は横方向が長い長方形のものであっても良い。
【0023】
更に縦横のサイズも特に限定されるものではないが、縦横のサイズは、200〜600mm程度に設定するのが良い。すなわちこのサイズが小さ過ぎると、マット敷設範囲が広い場合に、マット本体(10)の敷設数が多くなり、作業効率の低下を来す恐れがある。逆に、マットサイズが大き過ぎると、マット敷設範囲が小さい場合に、マット本体(10)を確実に広げて敷設することが困難になるとともに、マット自体の取扱も困難になる恐れがある。
【0024】
また、マット本体(10)の厚さ(T)は、5〜20mmに設定する必要がある。すなわちこの厚さ(T)が、薄過ぎる場合には、マット本体(10)として良好な弾力性が得られず、十分な疲労軽減効果を得ることが困難になる。逆に厚過ぎる場合には、マット自体の重量が大きくなり、取扱が困難になる。
【0025】
突起(11)の形状は、特に限定されることはないが、足裏に対する圧力分散性を考慮すると、少なくとも突起先端が丸みのある形状に形成されるものが良く、中でも半球形状のものが、より一層好ましい。
【0026】
更に本発明においては、突起(11)の基端部の形状(平面形状)は、円形に限られず、楕円形、長円形、矩形状等の多角形状の他、これらを変形したり組み合わせた形状等に形成されていても良い。
【0027】
突起(11)の高さ(H)は、2〜8mmに設定する必要がある。すなわち突起高さが低過ぎる場合には、立ち作業者の足裏に対する圧力の分散が不十分となり、十分な疲労軽減効果を得ることが困難になる。逆に高過ぎる場合には、立ち作業者が踏み込んだ際のバランスが悪くなり、良好な踏み心地を得ることが困難になる。
【0028】
更に突起(11)は、その基端部の外径(Di)を8〜25mmに設定する必要がある。すなわちこの外径(Di)が小さ過ぎたり、大き過ぎたりする場合には、マット本体(10)を踏み込んだ際に、足裏の圧力分散性が低下して、十分な疲労軽減効果を得ることが困難になる。
【0029】
また突起(11)の配列形状は、必ずしも格子状に調整する必要はなく、千鳥状に配置しても良い。要は、縦方向及び横方向の配列ピッチがそれぞれ特定のピッチに調整されていれば良い。
【0030】
更に突起(11)の配列ピッチ(P)は、縦横共に、10〜30mmに設定する必要がある。すなわちこのピッチ内に特定することにより、マット本体(10)を踏み込んだ際に、足裏における足幅方向及び足長さ方向のいずれにおいても、2ないし3個以上の突起が接して、足裏の圧力を満遍なく分散できて、血行促進等より、作業者における足腰の負担や疲労が確実に軽減される。換言すれば、配列ピッチ(P)が大き過ぎる場合には、突起(11)の足裏への接触数が少なくなり過ぎて、圧力分散性が低下して、十分な疲労軽減効果を得ることが困難になる。逆にピッチ(P)が小さ過ぎる場合には、突起(11)の足裏への接触数が多くなり過ぎて、十分な疲労軽減効果を得ることが困難になる。
【0031】
また、本発明において、裏溝(12a)(12b)は、マット本体(10)に対し縦方向及び横方向の少なくともいずれか一方向に連続して延びるように形成するのが好ましい。
【0032】
また、本発明においては、裏溝(12a)(12a)の深さ(De)を2〜10mmに設定するのが好ましい。この深さ(De)が浅過ぎる場合には、マット本体(10)を踏み込んだ際に、突起(11)が過度に硬くなって収縮変形し難くなり、足裏の圧力分散性が低下する。逆に、溝深さ(De)が深過ぎる場合には、突起(11)が柔らかくなり過ぎて、足裏の圧力分散性が低下する。
【0033】
更に溝幅(Wl)(Wh)が狭過ぎる場合には、突起(11)が過度に硬くなって収縮変形し難くなり、足裏の圧力分散性が低下するばかりか、敷設時の水はけ性が低下したり、電気配線等を行えない場合がある。逆に、溝幅(Wl)(Wh)が広過ぎる場合には、突起(11)が柔らかくなり過ぎて、足裏の圧力分散性が低下する恐れがある。
【0034】
本発明において、裏溝は縦方向及び横方向の少なくともいずれか一方向に形成されていても良い。この際言うまでもなく、いずれか一方向の裏溝、図面においては縦裏溝(12a)は、そのピッチが、対応する突起(11)の配列ピッチ(P)と等しくなる。
【0035】
なお、本発明において、縦方向及び横方向の双方に裏溝を形成する場合、縦横の両裏溝(12a)(12b)の双方を、突起(11)の配列ピッチ(P)と等しく設定しても良いが、マットの形態安定性や加工性等を考慮すると、いずれか一方のみの裏溝(縦裏溝12a)のピッチを、突起(11)の配列ピッチ(P)と等しくして、他方の裏溝(横裏溝12b)のピッチは、突起(11)の配列ピッチ(P)よりも大きく設定するのが良い。具体的には、他方の裏溝のピッチを、一方の裏溝のピッチに対し、2倍以上、好ましくは3倍以上に設定するのが良い。
【0036】
更に本発明においては、裏溝(12a)(12b)を、マット本体(10)に対し斜め方向に連続して延びるように形成しても良い。
【0037】
一方、本発明においては、前記突起(11)が半球形状に形成され、その半球体の半径(R)に対し、前記突起(11)の配列ピッチが2倍以上に設定されてなる構成を採用するのが好ましい。
【0038】
すなわちこの構成を採用する場合、立ち作業者が踏み込んだ際における突起(11)の足裏への接触数を好適範囲に確実に調整することができる。
【0039】
また本発明において、前記裏溝(12a)(12b)は、下端開口部の幅(Wl)よりも上底部の幅(Wh)が小さく形成されてなる構成を採用するのが好ましい。
【0040】
すなわちこの構成を採用した場合、裏溝(12a)(12b)を断面末広台形状に形成することができ、これにより、マット本体(10)を踏み込んだ際に、突起(11)がバランス良く下方に収縮変形するため、例えば突起(11)が側方に歪に変形する等の不具合を防止でき、足裏の圧力分散性を向上させることができる。
【0041】
また本発明においては、前記マット本体(10)の周囲四辺に、連結部(15a)(15b)がそれぞれ設けられ、前記マット本体(10)が複数並べて敷設された際に、隣合うマット本体間において、対応し合う連結部同士が雄雌嵌合されることによって着脱自在に連結されるよう構成されてなるものを採用するのが好ましい。
【0042】
すなわち図6に示すように、マット本体(10)を複数並べて敷設して、広い範囲にマット本体(10)を設置する場合、隣合うマット本体間において、雄側連結部(15a)を雌側連結部(15b)に適合状態に嵌め込んで連結することにより、複数のマット本体(10)を互いに連結することができる。従って、敷設スペースの大きさや形状に応じて、複数のマット本体(10)を適宜組み合わせて敷設することにより、所望の大きさや形状のマット敷設領域を確実に形成することができる。
【0043】
例えば縦300mm、横300mmの大きさのマット本体(10)を用いる場合、4枚組によって、600mm×600mmの大きさのマット敷設領域を形成でき、6枚組によって、600mm×900mmの大きさのマット敷設領域を形成でき、8枚組によって、600mm×1200mmの大きさのマット敷設領域を形成でき、9枚組によって、900mm×900mmの大きさのマット敷設領域を形成することができる。
【0044】
また工場内のレイアウト変更等により、マット敷設領域の大きさや形状が変更された場合であっても、あらかじめ敷設していた複数のマット本体(10)を分解して適宜組み合わせることにより的確に対応することができる。
【0045】
なお、連結部(15a)(15b)の形状は、特に限定されるものではなく、雄雌間で互いに着脱自在に連結可能な形状であればどのような形状であっても良い。例えば雄側連結部(15a)としては、鳩の尾形状のもの、雌側連結部(15b)としては、鳩の尾形状に切り欠かれたもの等を好適に採用することができる。
【0046】
また連結部(15a)(15b)の形成数は、特に限定されるものではなく、マット本体(10)の各辺に、1個ずつであっても、2個ずつであっても、3個以上ずつであっても良い。
【0047】
なお言うまでもなく、マット本体(10)は、必ずしも複数枚並列に敷設する必要はなく、1枚だけ敷設したり、複数のマット本体(10)を1枚ごとに間隔をおいて敷設するようにしても良い。
【0048】
図4ないし図6に示すように、本発明においては、前記マット本体(10)における周囲四辺の各辺に沿ってそれぞれ配置可能な縁板(20)(30)を、更に備え、前記縁板(20)(30)の一側辺に連結部(25a)(35b)が設けられるとともに、前記縁板(20)(30)の表面が、一側辺から他側辺にかけて他側辺側が低位となるように傾斜する傾斜面として構成され、前記縁板(20)(30)を前記マット本体(10)の一辺に沿って敷設された際に、前記縁板(20)(30)の連結部(25a)(35b)が、前記マット本体(10)の対応する連結部(15a)(15b)に雄雌嵌合されることによって着脱自在に連結されるよう構成されてなるものを採用するのが良い。
【0049】
すなわちマット敷設状態において、マット本体(10)の外周に、縁板(20)(30)を必要に応じて敷設することにより、マット本体(10)の外周において、縁板上面による傾斜面が形成されるため、作業者がマット本体(10)上に足を踏み入れる際に、足が縁板上面にガイドされることにより、マット本体(10)の外周端面につっかかったり、つまづいたりするような不具合を防止することができる。
【0050】
ここで、本発明において、足のつっかかり等をより確実に防止するために、縁板(20)(30)の一側辺側の厚みを、マット本体(10)の厚さ(T)と同程度に設定し、縁板(20)(30)の他側辺側の厚さを、1〜4mm程度に設定するのが良い。
【0051】
本発明において、前記縁板(20)(30)は、複数設けられて、色相の違いによって複数種に区分けされる一方、敷設される個所に応じて、所望の色相の前記縁板(20)(30)が選択的に配置されるよう構成されてなるものを採用するのが望ましい。
【0052】
例えば縁板(20)(30)として、緑色(青色)、黄色、赤色等の3色を準備しておき、マット敷設現場において、安全な領域周辺には、緑色の縁板(20)(30)を設置し、注意が必要な領域周辺には、黄色の縁板(20)(30)を設置し、危険な領域周辺には、赤色の縁板(20)(30)を設置することにより、作業者等に対し、視覚的に明確な識別管理表示を行うことができる。
【0053】
また本発明の弾性マットを歩行領域にも敷設するような場合には、上記色つきの縁板(20)(30)を適宜使い分けることにより、縁板(20)(30)を歩行領域表示マークとしても利用することができる。
【0054】
なお、縁板(20)(30)の連結部(25a)(35b)の構成は、特に限定されるものではないが、例えば上記マット本体(10)の連結部(15a)(15b)と同様、鳩の尾状及び鳩の尾切欠状のものを好適に採用することができる。
【0055】
本発明において、前記マット本体(10)は、加硫成形後のゴム硬度(JIS−A)が45〜65の合成ゴムにより構成されてなるものを採用するのが好ましい。
【0056】
すなわち、この範囲を逸脱するようなマット本体(10)では、硬過ぎたり、柔らか過ぎたりするので、立ち作業者の足裏に対する圧力分散性が低下する恐れがある。
【0057】
なお、本発明においては、マット本体(10)の素材は、特に限定されるものではなく、例えば再生ゴム等を用いることもできる。
【0058】
また本発明のマットを、電気関連の工場等に用いる場合等においては、ゴム組成物(成形材料)に、カーボンブラックや金属繊維等を適宜配合して、静電気の滞留を防止するようにしても良い。
【0059】
また本発明において、縁板(20)(30)の素材は、特に限定されるものではないが、生産性等を考慮して、上記マット本体と同様の素材からなるものを好適に用いることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6はこの発明の実施形態である弾性マットを示す図である。これらの図に示すように、この弾性マットは、複数のマット本体(10)と、複数の縁板(20)(30)とを基本的な構成要素として備えている。
【0061】
マット本体(10)は、縦300mm、横300mmの平面視正方形の形状を有しており、厚み(T)が10mmに設定されている。
【0062】
マット本体(10)の表面には、半球形状の複数の突起(11)が一体に形成されている。この突起(11)は、高さ(マット本体表面からの高さH)が4mmに設定されている。更に突起(11)を構成する半球体の半径(R)は、7.5mmに設定されており、突起(11)における基端部(マット本体表面部)の外径(Di)が13.3mm程度に設定されている。
【0063】
更に突起(11)は、縦横に整列するように格子状に配置されており、縦方向及び横方向の配列ピッチ(P)は、共に20mmに設定され、これにより突起(11)は、マット本体(10)上において縦横にぞれぞれ15列に配置されている。
【0064】
一方、マット本体(10)の裏面には、縦方向に連続して延びる縦裏溝(12a)と、横方向に連続して延びる横裏溝(12b)とが形成されている。
【0065】
縦裏溝(12a)は、図2(図1)の紙面に向かって左右両側縁部に沿って配置される両側縁部の突起(11)を除く、中間部の突起(11)に位置的に対応して、上下方向に連続して延びるように形成されるとともに、溝両端がそれぞれマット本体(10)の端縁において開放されている。
【0066】
横裏溝(12b)は、図2の紙面に向かって上下両側から2列目の突起(11)と、上下方向中央部の突起(11)とにそれぞれ位置的に対応して、左右方向に連続して延びるように形成されるとともに、溝両端がそれぞれマット(10)の端縁において開放されている。
【0067】
本実施形態において、各裏溝(12a)(12b)は、深さ(De)が5mmに設定される。更に各裏溝(12a)(12b)は、その下端開口部の幅(Wl)が10mmに設定されるとともに、上底部の幅(Wh)が6mmに設定されて、断面末広台形状に形成されている。
【0068】
図1及び図2に示すように、マット本体(10)の周囲四辺のうち、対向する2辺には、側方突出状に鳩の尾状の雄側連結部(15a)が2つずつ一体に形成されるとともに、残りの2辺には、雄側連結部(15a)を適合自在な鳩の尾切欠状の雌側連結部(15b)が2つずつ形成されている。
【0069】
本実施形態において、マット本体(10)は、ニトリルゴム(NBR)を主成分とする未加硫ゴム組成物を所定の金型を用いて圧縮加硫成形することによって得られるものである。
【0070】
一方、図4及び図5に示すように、縁板(20)(30)は、雄側と雌側との形状的に2種類のものが用いられる。
【0071】
雄側縁板(20)は、マット本体(10)の周囲四辺のいずれにも対応する長さを有しており、一側辺には、マット本体(10)の雌側連結部(15b)に対応し、かつその連結部(15b)に適合自在な鳩の尾状の雄側連結部(25a)が一体に形成されている。
【0072】
雌側縁板(30)は、上記と同様、マット本体(10)の周囲四辺のいずれにも対応する長さを有しており、一側辺には、マット本体(10)の雄側連結部(15a)に対し、かつその連結部(15a)に適合自在な鳩の尾切欠状の雌側連結部(35b)が形成されている。
【0073】
更に両縁板(20)(30)は、一側辺側の厚さが10mmに設定されてマット本体(10)と同じ厚さに設定されるとともに、他側辺側の厚さが2mmと薄く設定されている。これにより、両縁板(20)(30)は、その表面において、一側辺側が高位、他側辺側が低位となるように、一側辺側から他側辺側にかけて下向の勾配を有する傾斜面として構成されている。
【0074】
本実施形態において、両縁板(20)(30)は、上記マット本体(10)と同じ素材を用いて、同様に製作されるものである。
【0075】
以上の構成の弾性マットを使用する場合には、例えば図6に示すように、立ち作業を行う場所に、複数のマット本体(10)を並べて敷設する。この際、隣合うマット本体(10)間において、雄側連結部(15a)を雌側連結部(15b)に適合状態に嵌め込んで連結する。
【0076】
更に外側に配置されるマット本体(10)の外側縁部に、必要に応じて、縁板(20)(30)を組み付ける。この際、マット本体(10)の外側縁部に雄側連結部(15a)が配置されている場合には、そのマット縁部に沿って雌側縁板(30)を配置して、マット本体(10)の雄側連結部(15a)に雌側縁板(30)の雌側連結部(35b)を適合状態に嵌合して連結するとともに、マット本体(10)の外側縁部に雌側連結部(15b)が配置されている場合には、そのマット縁部に沿って雄側縁板(20)を配置して、マット本体(10)の雌側連結部(15b)に雄側縁板(20)の雄側連結部(25a)を適合状態に嵌合して連結するものである。
【0077】
以上のように、本実施形態の弾性マットによれば、作業者が足で踏み込んだ際に、各突起(11)が適度に弾性収縮変形しつつ、作業者の足裏における圧力を満遍なく分散させることができるため、作業者における足腰の負担や疲労が確実に軽減される。
【0078】
更に本実施形態の弾性マットは、表面に突起(11)を形成し、裏面に溝(12a)(12b)を形成するだけのシンプルな形状であるため、マット成形用金型の製作も容易に行うことができ、コストの削減を図ることができる。
【0079】
またマット設置状態において、マット裏面における裏溝(12a)(12b)部分のみを除いた多くの領域が、床面等の設置面に接触するものであるため、接触面積が広くなり、安定した設置状態を得ることができ、位置ずれ等の不具合を確実に防止することができる。
【0080】
またマット裏面の裏溝(12a)(12b)は周縁まで達するように連続して形成されるものであるため、例えば防塵用に撒水を行った際に、マット裏面に浸入した水は、裏溝(12a)(12b)を通ってマット外側にスムーズに排出されるとともに、清掃時の水洗い等によって、裏溝内に付着したゴミを確実に洗い落とすことができる。
【0081】
更に裏溝内に電気配線用の電気コードを挿通させることにより、マット敷設領域にからわらず電気配線を施すことができる。
【0082】
また上記実施形態では、裏溝(12a)(12b)をマット本体(10)の外周縁部に沿って形成するものではないため、具体的には、縦裏溝(12a)を左右両側縁部に形成せず、横裏溝(12b)を上下両縁部に形成するものではないため、マット本体(10)の外周縁部に適度な剛性が付与され、十分な形態安定性を得ることができ、設置時等にマット全域を床面にバランス良く安定した状態に設置することができるとともに、搬送時や敷設施工時のマット取扱作業を容易に行うことができる。
【0083】
また本実施形態において、マット本体(10)及び縁板(20)(30)を構成するニトリルゴムの成形品は、例えばポリ塩化ビニル樹脂等の成形品と比較して耐油性や耐熱性に優れており、機械工場現場等における加工油、潤滑油、高温の金属切り子、溶接スパーク等の付着に対し、十分な耐久性を有している。従って、本実施形態のマットは、工場等の立ち作業用マットや歩行ゾーン用マット等として好適に用いることができる。
【0084】
更に、ニトリルゴムの成形品は、ポリ塩化ビニル樹脂やポリウレタン樹脂の成形品とは異なり、大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して抗菌性能を有しているため、ニトリルゴムからなる本実施形態のマットは、機械関連や電気関連の工場以外にも、食品関連の工場、飲食店の厨房、病院(受付や手術室等)、スーパーのレジ作業用等にも好適に用いることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、この発明の弾性マットによれば、立ち作業者や歩行者等に対し十分な疲労軽減効果を得ることができ、構造が簡素でコストの削減を図ることができる上、設置時の安定性にも優れる一方、撒水等に対する水はけが良く、水洗い等によって確実に洗浄できて、しかもマット敷設箇所に電気配線を行うことができる等、利便性に優れているという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である弾性マットのマット本体を示す図であって、同図(a)はマット本体の平面図、同図(b)は側面断面図、同図(c)は正面断面図である。
【図2】実施形態のマット本体を示す裏面図である。
【図3】実施形態のマット本体における突起形成部周辺を拡大して示す断面図である。
【図4】実施形態の弾性マットに適用された雄側縁板を示す図であって、同図(a)は端面図、同図(b)は平面図である。
【図5】実施形態の弾性マットに適用された雌側縁板を示す図であって、同図(a)は端面図、同図(b)は平面図である。
【図6】実施形態の弾性マットを組み合わせた状態で示す平面図である。
【符号の説明】
10…マット本体
11…突起
12a…縦裏溝
12b…横裏溝
15a…雄側連結部
15b…雌側連結部
20…雄側縁板
25a…雄側連結部
30…雌側縁板
35b…雌側連結部
De…溝深さ
Di…突起外径
H…突起高さ
P…配列ピッチ
R…球体半径
T…マット厚さ
Wh…溝上底幅
Wl…溝開口幅

Claims (7)

  1. 厚さ5〜20mmの弾力性を有する平面視矩形状のマット本体を備え、
    前記マット本体の表面に、複数の突起が縦横に10〜30mmの配列ピッチで一体に形成されるとともに、
    前記突起は、高さが2〜8mm、基端部の外径が8〜25mmに設定され、
    前記マット本体の裏面に、前記突起に位置的に対応し、かつ両端がマット本体の周縁に開放する複数の裏溝が並列配置に形成されるとともに、
    前記裏溝は、深さが2〜10mm、下端開口部の幅が5〜20mm、上底部の幅が3〜12mmに設定されてなることを特徴とする弾性マット。
  2. 前記突起が半球形状に形成され、その半球体の半径に対し、前記突起の配列ピッチが2倍以上に設定されてなる請求項1記載の弾性マット。
  3. 前記裏溝は、下端開口部の幅よりも上底部の幅が小さく形成されてなる請求項1又は2記載の弾性マット。
  4. 前記マット本体の周囲四辺に、連結部がそれぞれ設けられ、前記マット本体が複数並べて敷設された際に、隣合うマット本体間において、対応し合う連結部同士が雄雌嵌合されることによって着脱自在に連結されるよう構成されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性マット。
  5. 前記マット本体における周囲四辺の各辺に沿ってそれぞれ配置可能な縁板を、更に備え、
    前記縁板の一側辺に連結部が設けられるとともに、前記縁板の表面が、一側辺から他側辺にかけて他側辺側が低位となるように傾斜する傾斜面として構成され、
    前記縁板を前記マット本体の一辺に沿って敷設された際に、前記縁板の連結部が、前記マット本体の対応する連結部に雄雌嵌合されることによって着脱自在に連結されるよう構成されてなる請求項4記載の弾性マット。
  6. 前記縁板は、複数設けられて、色相の違いによって複数種に区分けされる一方、
    敷設される個所に応じて、所望の色相の前記縁板が選択的に配置されるよう構成されてなる請求項5記載の弾性マット。
  7. 前記マット本体は、加硫成形後のゴム硬度(JIS−A)が45〜65の合成ゴムにより構成されてなる請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性マット。
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