JP2004120194A - 通信制御方法及び通信制御プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】パケット経路を考慮して移動ノードと通信ホストとの間で、効率的かつ、信頼性の高い通信を行なうことができる通信制御方法及び通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】通信ホスト30からのデータを受信した代理ホームエージェント22は、ホームエージェント20から移動ノード10の気付アドレスを取得する。そして、気付アドレスに基づいて、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいるかどうかを確認する。移動ノード10が管理エリア外にいる場合、代理ホームエージェント22はデータをホームエージェント20に送信する。そして、ホームエージェント20が移動ノード10にデータ送信を行なう。一方、管理エリア内の場合には、移動ノード10の気付アドレスをバインディングデータベースに登録し、ホームエージェント20を介さずに移動ノード10にデータ送信を行なう。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LANやPHSといった通信端末が、IP(Internet  Protocol)を利用したIPネットワークを介してデータ通信を行なう通信処理方法および通信処理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
IPネットワークはサブネットなどの階層構造になっており、各端末は各ネットワークに所属するため、他のネットワ−クに移動した場合には通信ができなくなる。このため、IPネットワークにおいて、異なるネットワーク間を端末が移動した場合にも通信を継続させるための方式として、IETF(Internet Engineering Task  Force)からモバイルIP(RFC3220)が提案されている。
【0003】
モバイルIPでは、本来の端末のIPアドレスであるホームアドレスと、移動先ネットワークに接続するための一時的に与えられた気付アドレス(CoA: Care−of−Address)を用いる。そして、端末は第三者に対しては本来の自分のホームアドレスを用い、移動先ネットワークにおいては訪問先ネットワークに属する気付アドレスを用いる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
以下に、ネットワーク間を移動する移動ノード(Mobile  Node:MN)、通信ホスト(Correspondent Host:CH)、ホームエージェント(Home Agent:HA)の基本的な動作を以下に説明する。ここで、移動ノードはネットワーク間を移動する端末であり、相手先の通信ホストは移動ノードの通信相手となる。
【0005】
また、移動ノードが本来所属しているホームネットワークでは、ホームエージェントが移動ノードの通信を管理する。また、移動ノードが一時的に訪問している移動先ネットワークでは、外部エージェント(Foreign  Agent:FA)が移動ノードの通信を管理する。そして、各ネットワークはインターネットを介して中継される。
【0006】
ホームエージェントは、移動ノードが現在どのネットワークを訪問しているかを示す位置情報と、その移動先ネットワークを管理する外部エージェントの情報を保持し、移動ノード宛のIPパケットを受信できるように自らのネットワークインタフェースを設定する。なお、ホームネットワークでの移動ノードのインターネット接続はホームアドレスにより通常のインターネットアクセスと同じ手順で行われる。
【0007】
移動ノードが他のネットワークに移ると、移動ノードは移動先ネットワークでの気付アドレスを取得し、ホームエージェントに対して取得した気付アドレスを通知する。
【0008】
インターネットを介して移動ノードと通信を行なっている通信ホストは、移動ノードのホームアドレスに対してIPパケットを送信する。このIPパケットを受信したホームエージェントは、移動ノードの気付アドレスに対して、カプセリング、トンネリングによるIPパケットの転送を行なう。これにより、ホームエージェントを介して移動ノードと通信ホストとの通信中継が行なわれ、通信ホストは移動ノードがネットワークを移動していることを意識せずに通信することが可能になる。
【0009】
【非特許文献1】
ジェームズ・D・ソロモン著,「詳解Mobile IP」ピアソン・エデュケーション,1998年7月27日,P.74
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなモバイルIPでは、通信ホストが送信したIPパケットは一旦ホームエージェントに届けられ、次に移動ノードに転送される。従って、移動ノードと通信ホストとが近接した位置にあり、ホームエージェントが遠隔地にある場合には、ホームエージェントが関与する部分についてパケット経路の無駄を生じる場合がある。
【0011】
また、パケット経路を最適化するためには、信頼できる通信ホストに対して移動ノードの気付アドレスを通知し、通信ホストから直接移動ノードにIPパケットを送信させることも可能である(キャッシュバインディング)。このキャッシュバインディングを用いることにより、遠隔地のホームエージェントを経由することなく、効率的に移動ノードと通信ホストとが通信できる。
【0012】
しかし、通常、通信ホストは不特定多数の端末であるため、信頼性が低い場合がある。従って、信頼性の低い通信ホストに対してキャッシュバインディングを行なうと、気付アドレスが通信ホストに知られ、不都合を生じる場合がある。例えば、気付アドレスは移動ノードが接続されている移動先ネットワ−クにより決められるので、気付アドレスにより移動アドレスが接続されているネットワークが特定されてしまう問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、パケット経路を考慮して移動ノードと通信ホストとの間で、効率的かつ信頼性の高い通信を行なうことができる通信制御方法及び通信制御プログラムを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動ノードが属する第1のネットワークにおいて、移動ノードの現在アドレスを管理する第1のエージェントと、第2のネットワークに設けられ、アドレス記憶手段を有する第2のエージェントとを用いて、前記移動ノードと通信ホストとの通信を制御する方法であって、前記第2のエージェントが、前記通信ホストから前記移動ノードに対する通信データを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する段階と、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記移動ノードに前記通信データを送信する段階とを有することを要旨とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信制御方法において、前記通信制御方法は、前記第2のエージェントが、前記移動ノードに送信した通信データに関して到達不能メッセージを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、この現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段を更新し、前記移動ノードに前記通信データを送信する段階をさらに有することを要旨とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の通信制御方法において、前記通信制御方法は、前記第2のエージェントが、前記現在アドレスが所定範囲にない場合には、前記通信データを前記第1のエージェントに送信する段階をさらに有することを要旨とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信制御方法において、前記通信制御方法は、前記第2のエージェントが、前記現在アドレスを取得してから所定時間が経過した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、前記現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段の更新処理を実行する段階をさらに有することを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の通信制御方法において、前記アドレス記憶手段の更新処理は、前記現在アドレスが前記所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記現在アドレスが前記所定範囲にない場合には、前記アドレス記憶手段に記録された前記現在アドレスを削除することを要旨とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信制御方法において、前記所定範囲は、前記第2のエージェントの位置が前記第2のエージェントより近接する範囲であることを要旨とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信制御方法において、前記所定範囲は、前記第2のネットワークの範囲であることを要旨とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、移動ノードが属する第1のネットワークにおいて、移動ノードの現在アドレスを管理する第1のエージェントと、第2のネットワークに設けられ、アドレス記憶手段を有する第2のエージェントとを用いて、前記移動ノードと通信ホストとの通信を制御するプログラムであって、前記第2のエージェントを、前記通信ホストから前記移動ノードに対する通信データを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する手段と、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記移動ノードに前記通信データを送信する手段として機能させることを要旨とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の通信制御プログラムにおいて、前記通信制御プログラムは、前記第2のエージェントを、前記移動ノードに送信した通信データに関して到達不能メッセージを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、この現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段を更新し、前記移動ノードに前記通信データを送信する手段としてさらに機能させることを要旨とする。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の通信制御プログラムにおいて、前記通信制御プログラムは、前記第2のエージェントを、前記現在アドレスが所定範囲にない場合には、前記通信データを前記第1のエージェントに送信する手段としてさらに機能させることを要旨とする。
【0024】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか1項に記載の通信制御プログラムにおいて、前記通信制御プログラムは、前記第2のエージェントを、前記現在アドレスを取得してから所定時間が経過した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、前記現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段の更新処理を実行する手段としてさらに機能させることを要旨とする。
【0025】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の通信制御プログラムにおいて、前記アドレス記憶手段の更新処理は、前記現在アドレスが前記所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記現在アドレスが前記所定範囲にない場合には、前記アドレス記憶手段に記録された前記現在アドレスを削除することを要旨とする。
【0026】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか1項に記載の通信制御プログラムにおいて、前記所定範囲は、前記第2のエージェントの位置が前記第2のエージェントより近接する範囲であることを要旨とする。
【0027】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか1項に記載の通信制御プログラムにおいて、前記所定範囲は、前記第2のネットワークの範囲であることを要旨とする。
【0028】
(作用)
請求項1又は8に記載の発明によれば、移動ノードが属する第1のネットワークにおいて、移動ノードの現在アドレスを管理する第1のエージェントとは別に、第2のネットワークに、アドレス記憶手段を有する第2のエージェントを設ける。そして、前記第2のエージェントが、前記移動ノードに対する前記通信ホストからの通信データを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する。さらに、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、前記第2のエージェントは、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記移動ノードに前記通信データを送信する。このため、移動ノードと通信ホストとの通信は、第2のエージェントを介して行なわれる。従って、移動ノードの現在位置に応じて、第1のエージェントを介するよりも効率的に通信を行なうことができる。また、通信ホストの信頼性は様々であるが、第2のエージェントとして信頼できるエージェントを用いることにより、通信のセキュリティを高めることができる。
【0029】
請求項2又は9に記載の発明によれば、第2のエージェントが、前記移動ノードに送信した通信データに関して到達不能メッセージを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する。そして、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、この現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段を更新し、前記移動ノードに前記通信データを送信する。このため、移動ノードが移動して、新しい現在アドレスを取得した場合にも、所定範囲内にある限り第2のエージェントを介して、効率的に通信を行なうことができる。
【0030】
請求項3又は10に記載の発明によれば、現在アドレスが所定範囲にない場合には、第2のエージェントは前記通信データを前記第1のエージェントに送信する。このため、移動ノードの現在位置に応じて第1のエージェントを介して通信を行なうことができる。例えば、第1のエージェントをホームエージェントとした場合、通常のモバイルIPを用いて通信を行なうことができる。
【0031】
請求項4又は11に記載の発明によれば、前記現在アドレスを取得してから所定時間が経過した場合には、前記第2のエージェントは前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する。そして、前記現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段の更新処理を実行する。時間が経過すれば、移動ノードが移動している可能性がある。この場合にも効率的に通信を行なうことができる。
【0032】
請求項5又は12に記載の発明によれば、前記アドレス記憶手段の更新処理は、前記現在アドレスが前記所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録する。これにより、新たに登録された現在アドレスを用いて通信を行なうことができる。また、前記現在アドレスが前記所定範囲にない場合には、前記アドレス記憶手段に記録された前記現在アドレスを削除する。このため、不要な現在アドレスはアドレス記憶手段から削除され、アドレス記憶手段の記憶容量を効率的に利用できる。
【0033】
請求項6また13に記載の発明によれば、前記所定範囲は、前記第2のエージェントの位置が前記第2のエージェントより近接する範囲である。これにより、第1のエージェントを介して通信を行なう場合より通信経路を短縮化できる。
【0034】
請求項7又は14に記載の発明によれば、前記所定範囲は、前記第2のネットワークの範囲である。このため、第2のネットワーク上に移動ノードがある限り、効率的に通信を行なうことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる通信システムのネットワーク構成を示す図である。本実施形態では、図1に示す移動ノード10(Mobile  Node:MN)が通信を行なう場合の手順を説明する。この移動ノード10は、IP(Internet Protocol )による通信機能を備えた移動可能な通信端末である。なお、以下の実施形態は、IPv4(Internet Protocol Version 4 )のみならずIPv6(Internet Protocol Version 6 )以降においても適用可能である。
【0036】
この移動ノード10は本来、第1のネットワークとしてのホームネットワークN1に所属している。ここでは、この移動ノード10のホームアドレスは[20.3.3.3]とする。そして、移動ノード10はこのホームネットワークN1に存在する第1のエージェントとしてのホームエージェント20(Home Agent:HA)により管理されている。ここでは、ホームエージェント20は、IPアドレス[20.3.3.4]で米国に設置されている場合を想定する。
【0037】
本実施形態では、移動ノード10は、第2のネットワークとしての移動先ネットワークN2を訪問し、アクセスルータ40を介して移動先ネットワークN2に接続されている場合を想定する。そして、移動ノード10の通信相手となる通信ホスト30(Correspond  Host:CH)も、この移動ノード10に近接した位置にある場合を想定する。ここでは、通信ホスト30はアクセスルータ41を介して移動先ネットワークN2に接続されているとする。ここでは、この通信ホスト30はIPアドレス[10.1.1.1]とする。
【0038】
また、この移動先ネットワークN2には、第2のエージェントとしての代理ホームエージェント22(HA proxy)が設けられている。この代理ホームエージェント22は特定の地域内に一つ以上設置される。例えば、日本にアクセスポイントを持つインターネットサービスプロバイダ(ISP)がIPアドレス[10.4.4.4]に代理ホームエージェント22を設置している場合を想定する。この代理ホームエージェント22は通信が予想される移動ノードのホームエージェント20と予め情報開示の取り決めを定めておく。この代理ホームエージェント22には特定の管理エリアが割り当てられており、この管理エリアの範囲を定めるための管理対象データを保持する。
【0039】
この代理ホームエージェント22は、移動先ネットワークN2においてホームエージェント20の代理処理を行なう。このため代理ホームエージェント22は、通信処理を行なうための処理手順(現在アドレスを取得する段階や、移動ノードに通信データを送信する段階、通信データを第1のエージェントに送信する段階、アドレス記憶手段の更新処理を実行する段階等)のための通信制御プログラムを実行する。これにより、代理ホームエージェント22は、現在アドレスを取得する手段や移動ノードに通信データを送信する手段、通信データを第1のエージェントに送信する手段、アドレス記憶手段の更新処理を実行する手段等の各手段として機能する。さらに、代理ホームエージェント22は、アドレス記憶手段としてのバイディングデータベースを保持する。このバイディングデータベースには、移動ノード10のホームアドレスと、現在アドレスとしての気付アドレスとが相互に関連づけられて登録される。
【0040】
次に、本実施形態の通信処理手順について具体的に説明する。ここでは、初期登録段階(図2)、通信継続段階(図3)および更新段階(図4)の処理に分けて説明する。本実施形態では、通信ホスト30の信頼性が低いため、ホームエージェント20が通信ホスト30に対するキャッシュバインディングを拒否している場合を想定する。
【0041】
(初期登録段階)
図1に示すように、移動ノード10が移動先ネットワークN2に接続された場合、移動先ネットワークN2で管理される気付アドレスの要求を行なう(S1−1)。この要求は、移動先ネットワークN2の外部エージェント(FA)あるいはDHCPサーバに対して行なわれる。このDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol )は、ネットワークパラメータの自動設定を行なうためのプロトコルである。移動ノード10が移動先ネットワークN2において起動された場合、動的にIPアドレスを割り当て、デフォルト経路のようなネットワークパラメータの通知を行なう。また、DHCPサーバは通信終了時には割り当てたIPアドレスを回収する。これにより、移動ノード10は、種々のパラメータの設定を気にせず移動先ネットワークN2において通信を行なうことができる。
【0042】
この結果、移動ノード10は気付アドレスを取得する(S1−2)。本実施形態では、移動ノード10は気付アドレスとして[10.2.2.2]を取得する場合を想定する。
【0043】
次に、移動ノード10はホームエージェント20に取得した気付アドレスを通知する(S1−3)。この気付アドレスには移動先ネットワークN2の位置情報が含まれる。移動ノード10からは気付アドレスの通知を受けたホームエージェント20は、移動ノード10より通知された気付アドレスを移動ノード10の位置情報として登録する(S1−4)。
【0044】
その後、通信相手先である通信ホスト30が移動ノード10に対する通信データとしてのIPパケットのデータ送信を行なう場合を想定する(S1−5)。この場合、通信ホスト30は移動ノード10に対して送信元アドレス[10.1.1.1]、宛先アドレス[20.3.3.3]のIPパケットに、経路制御ヘッダを付加して送信する。通信ホスト30にIP接続されている移動先ネットワークN2は、経路制御ヘッダに基づいて、一旦、IPパケットを代理ホームエージェント22に転送する。
【0045】
アクセスルータ41を介して通信ホスト30からのデータ(IPパケット)を受信した代理ホームエージェント22は、宛先アドレスに基づきホームエージェント20に対して移動ノード10の気付アドレスの要求を行なう(S1−6)。この要求に応じて、ホームエージェント20は、代理ホームエージェント22に移動ノード10の気付アドレスを通知する(S1−7)。
【0046】
移動ノード10の気付アドレスを受信した代理ホームエージェント22は、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいるかどうかを確認する(S1−8)。この確認は気付アドレスに含まれる位置情報に基づいて行なわれる。本実施形態では、代理ホームエージェント22の管理エリアは移動先ネットワークN2の範囲とする。移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア外にいる場合(ステップ(S1−8)において「No」の場合)、代理ホームエージェント22は通信ホスト30から受信したデータ(IPパケット)をホームエージェント20に送信する(S1−9)。そして、ホームエージェント20は気付アドレスを用いて、移動ノード10にデータ送信を行なう(S1−10)。以降、通常のモバイルIPのプロトコルに従って、ホームエージェント20が気付アドレスを用いて移動ノード10に対してデータ送信を行なう。
【0047】
一方、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいる場合(ステップ(S1−8)において「Yes」の場合)、移動ノード10の気付アドレスを代理ホームエージェント22自身のバインディングデータベースに登録する(S1−11)。そして、代理ホームエージェント22は移動先ネットワークN2、アクセスルータ40を介して移動ノード10にデータ送信を行なう(S1−12)。具体的には、代理ホームエージェント22は通信ホスト30からのIPパケットを送信元アドレス[20.3.3.4]、宛先アドレス[10.2.2.2]のIPパケットでカブセリングしたカプセル化パケットを生成し、移動ノード10の気付アドレスに転送する。すなわち、このデータ送信はホームエージェント20を介さずに行なわれる。
【0048】
移動ノード10は受信したカプセル化パケットのカプセル開放を行ない、カプセル中のIPパケットを取り出す。以上により、このIPパケットに関して、通信ホスト30から移動ノード10に対する送信処理を終了する。
【0049】
(通信継続段階)
次に、通信相手先である通信ホスト30が移動ノード10に対する新たなIPパケットのデータ送信を行なう場合を想定する(S2−1)。この場合、バインディングデータベースには移動ノード10の気付アドレスが登録されているので、代理ホームエージェント22は登録されている気付アドレスを用いて移動ノード10にデータ送信を行なう(S2−2)。送信したデータがデータ(IPパケット)が無事に移動ノード10に対して到達した場合(ステップ(S2−3)において「No」の場合)には、代理ホームエージェント22はこのIPパケットに関しての送信処理を終了する。
【0050】
一方、送信したデータ(IPパケット)が移動ノード10に到達しなかった場合、代理ホームエージェント22にはICMP(Internet Control Message Protocol )において「宛先到達不能(Host Unreachable)」メッセージが通知される。この場合(ステップ(S2−3)において「No」の場合)には、代理ホームエージェント22はホームエージェント20に対して移動ノード10の気付アドレスの要求を行なう(S2−4)。この要求に応じて、ホームエージェント20は代理ホームエージェント22に移動ノード10の最新の気付アドレスを通知する(S2−5)。
【0051】
移動ノード10の気付アドレスを受信した代理ホームエージェント22は、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内に残っているかどうかを確認する(S2−6)。この確認は受信した最新の気付アドレスに含まれる位置情報に基づいて行なわれる。代理ホームエージェント22の管理エリア外に移動している場合(ステップ(S2−6)において「No」の場合)、代理ホームエージェント22は通信ホスト30から受信したデータ(IPパケット)をホームエージェント20に送信する(S2−7)。そして、ホームエージェント20は気付アドレスを用いて、移動ノード10にデータ送信を行なう(S2−8)。以降、通常のモバイルIPのプロトコルに従って、ホームエージェント20が気付アドレスを用いて移動ノード10に対してデータ送信を行なう。
【0052】
一方、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいる場合(ステップ(S2−6)において「Yes」の場合)、代理ホームエージェント22は新しい移動ノード10の気付アドレスをバインディングデータベースに登録する(S2−9)。そして、代理ホームエージェント22はこの気付アドレスを用いて移動ノード10にデータ送信を行なう(S2−10)。以上により、このIPパケットに関して、通信ホスト30から移動ノード10に対する送信処理を終了する。
【0053】
(更新段階)
次に、代理ホームエージェント22が気付アドレスの更新を行なう段階の処理を説明する。代理ホームエージェント22は、最後にホームエージェント20に気付アドレスを要求又は取得してからの経過時間を測定する(S3−1)。そして、所定時間を経過した場合(ステップ(S3−1)において「Yes」の場合)には、代理ホームエージェント22はホームエージェント20に対して移動ノード10の気付アドレスの要求を行なう(S3−2)。この要求に応じて、ホームエージェント20は、代理ホームエージェント22に対して、移動ノード10の気付アドレスを通知する(S3−3)。
【0054】
移動ノード10の気付アドレスを受信した代理ホームエージェント22は、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいるかどうかを確認する(S3−4)。この確認は受信した気付アドレスに含まれる位置情報に基づいて行なわれる。代理ホームエージェント22の管理エリア外に移動してしまっている場合(ステップ(S3−4)において「No」の場合)、代理ホームエージェント22はバインディングデータベースに登録された移動ノード10の気付アドレスを消去する(S3−5)。
【0055】
一方、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいる場合(ステップ(S3−4)において「Yes」の場合)、代理ホームエージェント22は受信した移動ノード10の気付アドレスをバインディングデータベースに登録する(S3−6)。そして、代理ホームエージェント22は、この処理を移動ノード10と通信ホスト30との間のセッションが終了するまで継続する(S3−7)。以上により、通信ホスト30と移動ノード10との間に対する通信処理を終了する。
【0056】
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
・ 上記実施形態では、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内にいる場合、移動ノード10の気付アドレスを代理ホームエージェント22自身のバインディングデータベースに登録する。そして、代理ホームエージェント22は移動先ネットワークN2、アクセスルータ40を介して移動ノード10にデータ送信を行なう。これにより、代理ホームエージェント22の管理エリアとして、代理ホームエージェント22に近接した範囲(ここでは、第2のネットワーク)に設定しておけば、遠隔地のホームエージェント20を経由することなく通信を行なうことができる。従って、パケット経路の短縮化を考慮して効率的に通信を行なうことができる。
【0057】
特に、このようなパケット経路の短縮化を、通信ホスト30に対して気付アドレスを通知するキャッシュバインディングを行なうことなく実現できる。従って、通信ホスト30の信頼性が不明である場合にも、より高いセキュリティで通信を行なうことができる。
【0058】
また、代理ホームエージェント22から受信するカプセル化パケットを移動ノード10から見た場合、ホームエージェント20からカブセリングにより転送されたパケットと同じに見える。従って、移動ノード10は代理ホームエージェント22の存在を意識することなく通信処理を行なうことができる。
【0059】
・ 上記実施形態では、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア外にいる場合、代理ホームエージェント22は通信ホスト30から受信したデータをホームエージェント20に送信する。そして、ホームエージェント20は気付アドレスを用いて移動ノード10にデータ送信を行なう。これにより、通常のモバイルIPのプロトコルを用いて、通信ホスト30と移動ノード10とは通信を行なうことができる。
【0060】
・ 上記実施形態では、送信したデータ(IPパケット)が移動ノード10に到達せず、代理ホームエージェント22が「宛先到達不能」メッセージを受信した場合、代理ホームエージェント22はホームエージェント20に対して移動ノード10の気付アドレスの要求を行なう。そして、代理ホームエージェント22はホームエージェント20から受け取った最新の気付アドレスを用いて通信を行なう。これにより、移動ノード10が移動した場合にも確実に通信を行なうことができる。
【0061】
さらに、この場合も気付アドレスを受信した代理ホームエージェント22は、移動ノード10が代理ホームエージェント22の管理エリア内に残っているかどうかを確認する。このため、パケット経路の短縮化を考慮した効率的な通信を行なうことができる。
【0062】
・ 上記実施形態では、最後にホームエージェント20に気付アドレスを要求してから所定時間を経過した場合、代理ホームエージェント22はホームエージェント20に対して移動ノード10の気付アドレスの要求を行なう。そして、代理ホームエージェント22はホームエージェント20から受け取った最新の気付アドレスをバインディングデータベースに登録する。所定時間が経過した場合、移動ノード10は移動している可能性があるが、これにより最新の気付アドレスに基づいて効率的に通信を行なうことができる。
【0063】
・ 上記実施形態では、更新段階の処理において、代理ホームエージェント22の管理エリア外に移動してしまっている場合、代理ホームエージェント22はバインディングデータベースに登録された移動ノード10の気付アドレスを消去する。これにより、不必要な気付アドレスに関するデータを削除し、バインディングデータベースを効率的に管理することができる。
【0064】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、移動先ネットワークN2上に設けた代理ホームエージェント22が、初期登録段階、通信継続段階及び更新段階の各段階の処理を行なう。移動ノード10に近い代理ホームエージェント22がホームエージェント20の処理を部分的にも代理処理することにより、パケット経路の短縮化を図ることができる。従って、初期登録段階の処理のみ、初期登録段階及び通信継続段階の処理の組み合わせ、初期登録段階及び更新段階の処理の組み合わせ等を用いてもよい。
【0065】
・ 上記実施形態では、移動先ネットワークN2上に、アクセスルータ(40、41)とは別に代理ホームエージェント22が設ける。これに代えてアクセスルータ(40、41)内に代理ホームエージェント22を設けてもよい。
【0066】
・ 上記実施形態では、代理ホームエージェント22の管理エリアは移動先ネットワークN2の範囲とする。これに代えて、複数のネットワークやネットワークの一部を管理エリアとしてもよい。この場合には、代理ホームエージェント22に管理エリアの範囲を定めるためのデータを保持させる。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、パケット経路を考慮して移動ノードと通信ホストとの間で、効率的かつ信頼性の高い通信を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるネットワーク構成の概略図。
【図2】本実施形態の処理手順の説明図。
【図3】本実施形態の処理手順の説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【符号の説明】
10…移動ノード、20…第1のエージェントとしてのホームエージェント、22…第2のエージェントとしての代理ホームエージェント、30…通信ホスト、N1…第1のネットワークとしてのホームネットワーク、N2…第2のネットワークとしての移動先ネットワーク。

Claims (14)

  1. 移動ノードが属する第1のネットワークにおいて、移動ノードの現在アドレスを管理する第1のエージェントと、
    第2のネットワークに設けられ、アドレス記憶手段を有する第2のエージェントとを用いて、前記移動ノードと通信ホストとの通信を制御する方法であって、
    前記第2のエージェントが、
    前記通信ホストから前記移動ノードに対する通信データを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する段階と、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記移動ノードに前記通信データを送信する段階と
    を有することを特徴とする通信制御方法。
  2. 前記通信制御方法は、
    前記第2のエージェントが、
    前記移動ノードに送信した通信データに関して到達不能メッセージを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、
    前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、この現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段を更新し、前記移動ノードに前記通信データを送信する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
  3. 前記通信制御方法は、
    前記第2のエージェントが、
    前記現在アドレスが所定範囲にない場合には、前記通信データを前記第1のエージェントに送信する段階をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信制御方法。
  4. 前記通信制御方法は、
    前記第2のエージェントが、
    前記現在アドレスを取得してから所定時間が経過した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、
    前記現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段の更新処理を実行する段階をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信制御方法。
  5. 前記アドレス記憶手段の更新処理は、
    前記現在アドレスが前記所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、
    前記現在アドレスが前記所定範囲にない場合には、前記アドレス記憶手段に記録された前記現在アドレスを削除することを特徴とする請求項4に記載の通信制御方法。
  6. 前記所定範囲は、前記第2のエージェントの位置が前記第2のエージェントより近接する範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信制御方法。
  7. 前記所定範囲は、前記第2のネットワークの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信制御方法。
  8. 移動ノードが属する第1のネットワークにおいて、移動ノードの現在アドレスを管理する第1のエージェントと、
    第2のネットワークに設けられ、アドレス記憶手段を有する第2のエージェントとを用いて、前記移動ノードと通信ホストとの通信を制御するプログラムであって、
    前記第2のエージェントを、
    前記通信ホストから前記移動ノードに対する通信データを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得する手段と、前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、前記移動ノードに前記通信データを送信する手段
    として機能させることを特徴とする通信制御プログラム。
  9. 前記通信制御プログラムは、
    前記第2のエージェントを、
    前記移動ノードに送信した通信データに関して到達不能メッセージを受信した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、
    前記現在アドレスが所定範囲にある場合には、この現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段を更新し、前記移動ノードに前記通信データを送信する手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項8に記載の通信制御プログラム。
  10. 前記通信制御プログラムは、
    前記第2のエージェントを、
    前記現在アドレスが所定範囲にない場合には、前記通信データを前記第1のエージェントに送信する手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項8又は9に記載の通信制御プログラム。
  11. 前記通信制御プログラムは、
    前記第2のエージェントを、
    前記現在アドレスを取得してから所定時間が経過した場合には、前記第1のエージェントから前記移動ノードの現在アドレスを取得し、
    前記現在アドレスに基づいて前記アドレス記憶手段の更新処理を実行する手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の通信制御プログラム。
  12. 前記アドレス記憶手段の更新処理は、
    前記現在アドレスが前記所定範囲にある場合には、前記現在アドレスを前記アドレス記憶手段に登録し、
    前記現在アドレスが前記所定範囲にない場合には、前記アドレス記憶手段に記録された前記現在アドレスを削除することを特徴とする請求項11に記載の通信制御プログラム。
  13. 前記所定範囲は、前記第2のエージェントの位置が前記第2のエージェントより近接する範囲であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の通信制御プログラム。
  14. 前記所定範囲は、前記第2のネットワークの範囲であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の通信制御プログラム。
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