JP2004118768A - 特許明細書の作成方法 - Google Patents

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Tadashi Asanuma
浅沼  正
Naoko Hiraizumi
平泉 尚子
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Abstract

【課題】基礎的な知識のみで、新たになされた発明に関する特許明細書を簡単に作成する方法を提供する。
【解決手段】新規な発明の特許請求の範囲より取出した構成要件をシステムに入力する工程1、新規な発明の課題、効果を入力する工程2、入力された構成要件についてデータベースに蓄積された先願の特許請求の範囲を検索する工程3、新規な発明の構成要件と一致する構成要件を最も多く有する特許公報を抽出する工程4、抽出された情報の中から発明の課題、効果に類似性のある特許公報を抽出する工程5、抽出された特許公報の発明の課題、効果を新規な発明の課題、効果に差替える工程6、特許公報の特許請求の範囲を新規な発明の特許請求の範囲に差替える工程7、特許公報の課題を解決するための手段を新規な発明の特許請求の範囲に差替える工程8、説明されていない構成要件について説明を加える工程9からなる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特許明細書の作成方法に関する。詳しくは、構成要件の一致性が最も高く、最新の先願をベースに自動的に特許明細書を作成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許の明細書を作成するに当たって、既に公開された特許公報あるいは過去に作成した明細書の一部を選択し自ら作成する明細書の一部として取り込むことは広く行われている。特に、コンピュータの発達により、利用可能で必要性の高い明細書の部分的な情報を適当に分類してデータを蓄積しておいて利用することが広く行われる。
【0003】
また、明細書を作成する際に、作成中の明細書と同時に明細書作成ガイドを表示することで明細書の作成を支援する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、明細書の作成そのもを支援する方法についても提案されており、例えば、予め保持されたルールに従って明細書の品質をチェックする明細書処理装置(特許文献2参照)、学術論文に基づいて明細書を自動的に作成する方法(特許文献3参照)等が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−306754号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2000−90083号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2002−207720号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1、2に記載の方法は、コンピュータにより明細書の作成を効率的にあるいは正確に行おうとするものであるが、明細書そのものを自動的に作成するものではない。また、特許文献3に記載の方法は明細書を自動的に作成する方法であるが、既に作成した学術論文を基にして作成するものであり、単に論文として完成したものを明細書の書式に合わせて並び替えるものに過ぎない。
【0009】
明細書作成の実務者が行っている明細書を必要な部分に分割し、分類し蓄積する方法は有効であるが、必要な情報を選択する部分はマニュアルであり、技術分野に深い理解があり情報がなくても明細書を完成できる能力を持っている人の明細書作成の作業が部分的に合理化できるにすぎず、明細書を作成しようとする技術分野に深い知識がない人には利用し難いという問題がある。また部分的な利用であり明細書全体の構成については都度検討する必要がある。
【0010】
これらに対し、基礎的な知識のみで新たになされた発明に関する明細書を作成することができると極めて便利である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決して簡便に明細書を作成する方法について鋭意検討し本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明は、完成された明細書のデータを蓄積し、明細書の指定の欄および文章を検索し、必要な文章を抽出できる手段を有し、入力された文章、抽出された文章より明細書を完成する手段を有するシステムに新規な発明の特許請求の範囲より取出した構成要件を入力する工程1、
新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を入力する工程2、
工程1で入力された構成要件についてデータベースに蓄積された先願の特許請求の範囲を検索する工程3、
新規な発明の構成要件と一致する構成要件を最も多く有する特許公報を抽出する工程4、
工程4で抽出された情報の中から、発明が解決しようとする課題、発明の効果の欄に類似性のある特許公報を抽出する工程5、
工程5で抽出された特許公報の発明が解決しようとする課題、発明の効果と新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を比較し、異なる部分があれば異なる部分について、特許公報の記載を新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果に差し替える工程6、
特許公報の特許請求の範囲を新規な発明の特許請求の範囲に差し替える工程7、特許公報の課題を解決するための手段を新規な発明の特許請求の範囲に差し替える工程8、
特許公報の発明の実施の形態の欄で説明されていない構成要件について詳細な説明を加える工程9、
からなることを特徴とする特許明細書の作成方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の方法について、各工程を詳細に説明することで説明する。
【0014】
本発明における新規な発明とは、明細書を作成しようとしている新たになされた発明のことである。
【0015】
本発明においては、研究成果に基く新規な発明の特許請求の範囲が決定されていることが前提である。
【0016】
以下に、本発明において用いるシステムについて説明する。本発明においては、 他の発明に関する既に完成された明細書のデータが蓄積されているということが前提であり、このような情報は、特許公報の情報を入手してデータベースを構築することも可能であるが、外部の商用データベースより情報を入手することもできる。そして、必要に応じ優れた明細書のみからなるデータベースに構築し直しても良い。
【0017】
本発明の実施においては、ハードとしては市販のパソコンで充分であるが、大量の既存の明細書を検索するのであれば高速の計算機を用いるのが好ましい。上述のように完成された明細書のデータはパソコン自身あるいは外部に設けたハードディスクあるいは、外部のデータベースにリンクすることでデータを利用することであっても良い。
【0018】
検索するソフトとしては、明細書の指定の欄および文章を検索して、明細書から、単語、文章を切出し、比較して一致するかどうか、さらには類似の程度を確認することが可能な機能を有しているソフトであれば充分である。一方、入力あるいは抽出された情報を明細書の形に完成するには、予め設定された項目ごとに情報を貼り付ければ良いので周知のソフトで十分対応可能である。
【0019】
工程1では、新規な発明の特許請求の範囲から構成要件を文節し、構成要件を上記のような機能を持つシステムに入力する。
【0020】
工程2では、新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を入力する。工程1と工程2はそれぞれ独立に操作できるので順番を定める必要はない。
【0021】
工程3においては、工程1で入力された構成要件について、データベースに収集されている特許請求の範囲を検索する。この工程は、特許請求の範囲について検索機能を有するデータベースであればどんなシステムでも利用可能であり市場に提供されている特許公報の全文検索機能を有するシステムをそのまま、あるいは、国際特許分類、出願人、発明者など予め検索範囲を限定した上で、あるいは更に、優れた明細書として好ましいものを限定した上で、選択された明細書の特許請求の範囲部分を検索してもよい。
【0022】
このような検索を実施するには例えば、ATMS/CO V20(株式会社富士通岡山システムエンジニアリング製)などの特許公報の検索システムが市販されている。
【0023】
検索する際、構成要件については構成要件として必須の単語を組合せることで全文検索をするが、単語の順番などについては、同じ構成要件となることが有り得る組み合わせは可能な限り考慮して検索するのが好ましい。
【0024】
工程4においては、工程3で検索された結果に基き、構成要件について明細書を作成しようとしている新規な発明の特許請求の範囲ともっともよく一致している特許公報群を抽出する。ここですべての構成要件を含む特許請求の範囲を有する明細書があるという結果がでると作業はストップし、抽出された特許公報の明細書とこの新規な発明の特許請求の範囲を比較して、発明に差異があれば特許請求の範囲の修正を行い、構成要件を入力する作業に戻る。この工程で、新規な発明の構成要件と比較した時、該構成要件の内の少なくとも1つ少ない構成要件が一致を示す明細書が抽出される。
【0025】
工程5は、工程4で抽出された特許公報が1件だけの場合には、そのまま工程6に進み、2つ以上存在する場合には、工程5として、発明が解決しようとする課題、および発明の効果の欄が比較される。抽出された件数が少ない場合にはこの工程をマニュアルで実行することもできる。自動的に抽出をするには、発明が解決しようとする課題の欄および発明の効果の欄の一致度を市販の検索ソフトで検索し一致度の高い明細書が選択される。一致度(類似性)で最も高いポイントが得られた明細書を選択することも可能であるが、一致度では数件までに絞り、出願日によって1件に絞り込むなどの工夫は可能である。このような検索ソフト上の変更は周知の技術である。
【0026】
工程6は、工程5で抽出された特許公報を新規な発明の明細書を作成するために修正する第1段階である。まず、抽出された特許公報の発明が解決しようとする課題、発明の効果と明細書を作成しようとしている新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を比較し、異なる部分があれば異なる部分について、特許公報の記載を新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果に差し替える。この時、特許公報の記載が、新規な発明と比較して一致する部分のみであれば、異なる部分を追加すれば良い。
【0027】
工程7では、工程6で一部の差し替えが行われた特許公報の特許請求の範囲を新規な発明の特許請求の範囲に差し替えることが行われる。
【0028】
工程8では、工程7で一部の差し替えが行われた特許公報の課題を解決するための手段を新規な発明の特許請求の範囲に差し替えることが行われる。これによって、新規な発明の課題を解決するための手段が作成されるが、この時、特許請求の範囲が2以上の請求項からなる場合は、その全部を記載する必要はなく、例えば、独立項のみの記載にする等適宜選択すれば良い。また、文章の体裁としては、通常「即ち、本発明は・・・である。」という文言の「・・・」の部分に挿入される形とするのが一般的であり、必要に応じこれらの修正作業をマニュアルで行うことが行われる。
【0029】
工程9では、工程8で一部の差し替えが行われた特許公報の発明の実施の形態の欄の構成要件の説明の部分に、明細書を作成しようとしている新規な発明の特許請求の範囲のみが有している構成要件についての説明を追加する。この追加は、記入場所をソフトで指示しそこにマニュアルで追記する形で行うのが一般的である。また、必要に応じ構成要件の組み合わせについての説明を追記する。この場合、基の特許公報に新規な発明の特許請求の範囲が有さない構成要件についての記載があれば、また、基の特許公報に構成要件の組み合わせについての記載があればこれらを削除する必要があることは言うまでもない。従って、明細書を作成しようとしている新規な発明と一致する構成要件についてシステムの画面の表示を変更する等して変更個所を浮き出させるなどのソフト上の工夫をするのも周知技術である。
【0030】
なお、ここで、修正された構成要件の説明の内容を検討し、必要に応じ、新規な発明の特許請求の範囲、および新規な発明の実施例があれば実施例から妥当と考えられる説明に修正する作業をマニュアルで行うことが行われる。
【0031】
実施例、比較例の記載は、発明の内容により必要な場合と必要でない場合がある。従って、必要に応じて、以下に示す工程10、工程11が追加される。この時、実施例の記載のみ必要で比較例の記載が必要なければ工程10のみ追加すれば良い。なお、実施例、比較例の記載が必要でない場合で、明細書作成の基となっている特許公報に実施例、比較例の記載がある場合は、この記載を削除する。
【0032】
工程10では、実施例の差し替えが行われる。これは、上記工程9で修正された特許公報の実施例を、新規な発明の特許請求の範囲に対応して予め作成された実施例に差し替えることで行われる。
【0033】
工程11では、最も近い技術である、明細書作成の基となった特許公報の発明に基いてなされた実験例を新規な発明の比較例として作成し、上記工程9で修正された特許公報の比較例を、作成された新規な発明の比較例に差し替えることが行われる。ここでは当然のことながら、特許公報の構成要件の条件から、新規な発明の実施例と比較できる条件を選択してなされた実験の結果を基にして修正された特許公報の実施例が、新規な発明の比較例として選択される。
【0034】
工程6〜11は、それぞれ独立に操作できるので順番は定める必要はないが、明細書作成の流れから考えれば、この順番で行うのがわかりやすい。
【0035】
なお、発明の名称、発明の属する技術分野、従来の技術、必要に応じ、図面の簡単な説明については、以下に示すような要領でマニュアルで作成するが、操作の順番は、上記の工程6〜11の操作も含めて特に定める必要はない。
【0036】
発明の名称は、新規な発明の技術内容を簡明に表すものとし、通常は特許請求の範囲の独立項の最後の部分を選べば良い。発明の属する技術分野は、新規な発明の技術内容から考えて作成すればよく、通常は上述の発明の名称を「本発明は、・・・に関する。」という文言の「・・・」の部分に挿入すれば良く、必要に応じて詳しい説明を追加する。従来の技術は、明細書作成の基となっている特許公報の発明が最も近い技術であり、この技術の概要を新規な発明と比較して説明する。図面の簡単な説明は、図面がある場合に図面の数に応じて、図1、図2等として説明し、図面中で用いた符号について、符号の説明として説明を入れれば良い。
【0037】
以上の工程を実施することによって、新たになされた発明に関する明細書が完成するが、必要に応じ、各欄の文章の体裁を整える等の修正がマニュアルで行われる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の方法を実施することによって技術者が簡単に特許明細書を作成することが可能であり工業的に極めて価値がある。

Claims (2)

  1. 完成された明細書のデータを蓄積し、明細書の指定の欄および文章を検索し、必要な文章を抽出できる手段を有し、入力された文章、抽出された文章より明細書を完成する手段を有するシステムに新規な発明の特許請求の範囲より取出した構成要件を入力する工程1、
    新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を入力する工程2、
    工程1で入力された構成要件についてデータベースに蓄積された先願の特許請求の範囲を検索する工程3、
    新規な発明の構成要件と一致する構成要件を最も多く有する特許公報を抽出する工程4、
    工程4で抽出された情報の中から、発明が解決しようとする課題、発明の効果の欄に類似性のある特許公報を抽出する工程5、
    工程5で抽出された特許公報の発明が解決しようとする課題、発明の効果と新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果を比較し、異なる部分があれば異なる部分について、特許公報の記載を新規な発明が解決しようとする課題、新規な発明の効果に差し替える工程6、
    特許公報の特許請求の範囲を新規な発明の特許請求の範囲に差し替える工程7、特許公報の課題を解決するための手段を新規な発明の特許請求の範囲に差し替える工程8、
    特許公報の発明の実施の形態の欄で説明されていない構成要件について詳細な説明を加える工程9、
    からなることを特徴とする特許明細書の作成方法。
  2. 特許公報の実施例を新規な発明の実施例に差し替える工程10、
    工程5で抽出された特許公報の発明に相当する新規な発明の比較例を作成し、特許公報の比較例を該新規な発明の比較例に差し替える工程11、
    を含有する請求項1に記載の特許明細書の作成方法。
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