JP2004116729A - 軌道面楕円転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の非真円軸受では、軸受単体において外輪の非真円量(楕円量=長軸径−短軸径)がラジアルすきまに対して十分大きな量であり、短軸径部分では予圧状態となるため、予圧状態となる部分で転動体端面と軌道輪側面が干渉し、組み立てが困難である。
【解決手段】内輪1の軌道面1bを真円形状、外輪2の軌道面2bを楕円形状とし、軸受単体における外輪2の軌道面2bの短軸径S1を転動体3の外接円径Ewよりも大きくする(S1>Ew)。または、内輪1の軌道面1bを楕円形状、外輪2の軌道面2bを真円形状とし、軸受単体における内輪2の軌道面2bの長軸径S2を転動体の内接円径Iwよりも小さくする(S2<Iw)。
【選択図】 図1
【解決手段】内輪1の軌道面1bを真円形状、外輪2の軌道面2bを楕円形状とし、軸受単体における外輪2の軌道面2bの短軸径S1を転動体3の外接円径Ewよりも大きくする(S1>Ew)。または、内輪1の軌道面1bを楕円形状、外輪2の軌道面2bを真円形状とし、軸受単体における内輪2の軌道面2bの長軸径S2を転動体の内接円径Iwよりも小さくする(S2<Iw)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軌道面が楕円形の転がり軸受に関するもので、高速軽荷重で使用されるガスタービンエンジン主軸や減速機、圧縮機などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
図5は、ガスタービンのパワートランスファ機構部の概略図である。図中21は、ガスタービンにおける圧縮機、22はタービンで前記圧縮機21と同一の回転軸23に配設している。これらは、玉軸受24,25で支承されている。圧縮機21には、回転軸23と同軸に、減速装置のクイルシャフト(ガスタービンから出力を取り出す軸)26がスプライン27で結合されている。そのクイルシャフト26は、ハイスピードピニオン28を備えると共に、両端部を一対の円筒ころ軸受29で支承されている。30は減速歯車である。
【0003】
従来、例えばガスタービンのハイスピードピニオンの回転軸を支承する転がり軸受としては、真円転がり軸受(内外軌道輪がいずれも真円形に極めて近い)である円筒ころ軸受が専ら使用されている。しかし、ガスタービンのハイスピードピニオンを支承する転がり軸受の場合は、許容回転数であるdN値は100×104 以上が必要とされると共に、負荷変動も無負荷から全負荷に及び広範囲にわたっている。このような状況で用いる真円円筒ころ軸受では、無負荷時に転動体が軌道面を転がらずに滑る現象に起因して、スキッディング損傷と呼ばれる摩耗が発生するおそれがある。因みに、スキッディング損傷を発生しない一般の真円円筒ころ軸受における許容回転数は、dN値<100×104 とされている(特開2001−304274号公報)。
【0004】
転がり軸受の内輪を高速回転させると、一般に、転動体は外輪に遠心力で押しつけられ、純転がり運動(外輪に対して)を行なうが、内輪側では油膜形成の発達と共に内輪から転動体に与えられる接線力(駆動力)はある限界に達し、ついには滑り始める。さらに、高速度になると転動体の公転滑り、自転滑りは激しくなり、転走面に摩耗を生ずるようになる。このような滑り現象の激しいものをスキッディングと呼んでいる。ジェットエンジンの場合、回転子によるラジアル荷重は、それを支える円筒ころ軸受の負荷容量に比べ、かなり小さく、運転中の回転子支持条件によっては円筒ころ軸受のラジアル荷重は零になる場合もありうる。したがって、スキッディングはジェットエンジンの円筒ころ軸受で起こりやすい(転がり軸受工学編集委員会編『転がり軸受工学』)。
【0005】
スキッディング対策として、軌道輪を楕円形またはおむすび形に歪ませた非真円転がり軸受を用いることが知られている。従来の軌道面楕円軸受は、図6に示すように、軸受単体において楕円である軌道面2aの短軸径S1が転動体の外接円径Ewよりも小さい。あるいは、図7に示すように、軸受単体において楕円である軌道面2aの長軸径S2が転動体の内接円径Iwよりも大きい。非真円量は軸受単体においてラジアルすきまに対して十分大きな量である。したがって、無負荷においても予圧荷重を受けている一部の転動体が駆動力を発生させることにより転動体の公転すべり(スキッディング)が小さく抑えられる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−304274号公報
(段落番号0012、図2)
【非特許文献1】
転がり軸受工学編集委員会編「転がり軸受工学」、株式会社養賢堂、昭和53年1月20日、p.364
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非真円軸受では、軸受単体において外輪の非真円量(楕円量=長軸径−短軸径)がラジアルすきまに対して十分大きな量であり、短軸径部分では予圧状態となる。したがって、軸受を組み立てる際においては予圧状態となる部分で転動体端面と軌道輪側面が干渉し、組み立てが困難である。
【0008】
本発明の目的は、かかる問題点を解消した軌道面楕円転がり軸受を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の軌道面楕円転がり軸受は、内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が真円形状で、外輪の軌道面が楕円形状であり、軸受単体における外輪の軌道面の短軸径が転動体の外接円径よりも大きいことを特徴とするものである。外輪軌道面の短軸径を転動体の外接円径よりも大きくすることにより、組み立て時のころ端面と軌道輪側面の干渉が回避され、組み立てが容易になる。
【0010】
また、本発明の転がり軸受は、内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が楕円形状で、外輪の軌道面が真円形状であり、軸受単体における内輪の軌道面の長軸径が転動体の内接円径よりも小さいことを特徴とするものである。内輪軌道面の長軸径を転動体の内接円径よりも小さくすることにより、組み立て時のころ端面と軌道輪側面の干渉が回避され、組み立てが容易になる。
【0011】
内輪の軌道面を楕円形にしたときは内輪軌道面の長軸径側のすきまが負すきまになるように設定する。外輪の軌道面を楕円形にしたときは外輪軌道面の短軸径側のすきまが負すきまになるように設定する。すきまを負にすることで予圧を付与するのである。軌道面楕円転がり軸受は、軌道輪を楕円形に歪ませたものであるため、無負荷時において正のラジアルすきまにしても、一部の転動体は予圧荷重を受けている。この予圧荷重を受けている転動体を通して、保持器が公転し、その結果無負荷の転動体も回転するので、転動体の公転すべりが小さい。かくして、スキッディング損傷が防止される。このように、軌道面楕円転がり軸受は、軌道面を楕円形にすることによりころを締めつけ、ラジアル予圧をかけてころ駆動力を増し、すべりを小さくするものである。
【0012】
本発明は、ガスタービンエンジン主軸または減速機入力軸に用いられる円筒ころ軸受に適用することができ、高速軽荷重での使用におけるスミアリング損傷(軸受の軌道面、転動面などに生じる微小焼付きの集成によって起こる表面の損傷)を防止するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1に示す実施の形態は、内輪1に両つばの付いたN形円筒ころ軸受であり、内輪1と外輪2と内輪1の軌道面1bと外輪2の軌道面2bとの間に介在する複数の円筒ころ3とで構成されている。保持器は図示を省略してある。内輪1は、その内径面1aと軌道面1bとが共に真円形に形成されている。一方、外輪2は、図1(A)に誇張して図示してあるように、外径面2aは真円形であるが、軌道面2bは楕円形に形成されている。軸受単体において、非真円である軌道面2bの短軸径S1をころ外接円径Ewよりも大きく設定してある。
【0015】
軸受寸法を例示するならば次のとおりである。
外径55mm
内径35mm
ころ径5mm
ころ長さ5mm
ころ数18個
外輪軌道面の楕円量(長軸径S2−短軸径S1)0.080mm
短軸径S1:50.023mm
ころ外接円径Ew:50.000mm
【0016】
図2に示す実施の形態は、外輪2に両つばの付いたNU形円筒ころ軸受であり、内輪1と外輪2と内輪1の軌道面1bと外輪2の軌道面2bとの間に介在する複数の円筒ころ3とで構成されている。保持器は図示を省略してある。外輪2は、その内径面2aと軌道面2bとが共に真円形に形成されている。一方、内輪1は、図2(A)に誇張して図示してあるように、内径面1aは真円形であるが、軌道面1bは楕円形に形成されている。軸受単体において、非真円である軌道面1bの長軸径S2をころ内接円径Iwよりも小さく設定してある。その他は図1の実施の形態と同じである。
【0017】
上記軸受は、ガスタービンや減速機に組み込んだ状態では、次の原因により、広い負荷域で所定の予圧が得られるようにラジアル内部すきまを設定する。予圧を付与された状態とは、換言すれば、軸受のラジアル内部すきまが負すきまとなった状態である。
(1)軸と内輪のはめあい(しまりばめ)によるすきま減少
(2)軸受の高速運転に伴う内外輪温度差によるすきま減少
(3)内輪の遠心力膨張によるすきま減少
【0018】
図1の実施の形態の円筒ころ軸受と比較のための真円円筒ころ軸受をラジアル荷重265N、回転速度20000rpmおよび45000rpmで運転した場合の転動体公転すべり率を測定した。その結果を図4に示す。
【0019】
測定に使用した試験機は一端に支持軸受、他端に試験軸受、中央にラジアル荷重負荷軸受を設けた構造である。潤滑は二箇所(180度対称位置)の給油ノズルよりジェット給油した。
【0020】
滑り率の測定は、内輪回転数と保持器回転数をパルスカウンターにより測定し、保持器の理論回転数に対する比を算出して行なった。測定条件は次のとおりである。
【0021】
表1に20000rpmおよび45000rpmにおける公転滑り率測定結果を示す。なお、公転滑り率は次式により与えられる。
(Ni−Nc)/Ni×100
Ni=0.4444N
【0022】
【表1】
【0023】
図4は、2軸流2軸式ターボファンエンジンにおける軸受配置の概略を例示したもので、4個の主軸受(4−7)で回転子が支えられており、これらの主軸受に本発明を適用することができる。図中、8はファンコンプレッサ、9は低圧コンプレッサ、10は高圧コンプレッサ、11は高圧タービン、12は低圧タービンである。主軸受4、5は玉軸受、主軸受6、7は円筒ころ軸受である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の軌道面楕円転がり軸受は、軽荷重高速の運転条件においても転動体公転すべり率が抑えられ、スミアリング損傷に対する信頼性が高くなる。そして、軌道面楕円転がり軸受の短軸径がころ外接円径(または内接円径)よりも大きいため、組み立て時にころ端面と軌道輪側面との干渉がなく、組み立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の実施の形態を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図2】(A)は別の実施の形態を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図3】回転速度に対する転動体公転すべり率を示すグラフ図である。
【図4】2軸流2軸式ターボファンエンジンの模式図である。
【図5】ガスタービンの模式図である。
【図6】(A)は従来の技術を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図7】(A)は従来の技術を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a 内径面
1b 軌道面
2 外輪
2a 外径面
2b 軌道面
3 円筒ころ(転動体)
S1 短軸径
S2 長軸径
Ew 転動体外接円径
Iw 転動体内接円径
【発明の属する技術分野】
本発明は軌道面が楕円形の転がり軸受に関するもので、高速軽荷重で使用されるガスタービンエンジン主軸や減速機、圧縮機などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
図5は、ガスタービンのパワートランスファ機構部の概略図である。図中21は、ガスタービンにおける圧縮機、22はタービンで前記圧縮機21と同一の回転軸23に配設している。これらは、玉軸受24,25で支承されている。圧縮機21には、回転軸23と同軸に、減速装置のクイルシャフト(ガスタービンから出力を取り出す軸)26がスプライン27で結合されている。そのクイルシャフト26は、ハイスピードピニオン28を備えると共に、両端部を一対の円筒ころ軸受29で支承されている。30は減速歯車である。
【0003】
従来、例えばガスタービンのハイスピードピニオンの回転軸を支承する転がり軸受としては、真円転がり軸受(内外軌道輪がいずれも真円形に極めて近い)である円筒ころ軸受が専ら使用されている。しかし、ガスタービンのハイスピードピニオンを支承する転がり軸受の場合は、許容回転数であるdN値は100×104 以上が必要とされると共に、負荷変動も無負荷から全負荷に及び広範囲にわたっている。このような状況で用いる真円円筒ころ軸受では、無負荷時に転動体が軌道面を転がらずに滑る現象に起因して、スキッディング損傷と呼ばれる摩耗が発生するおそれがある。因みに、スキッディング損傷を発生しない一般の真円円筒ころ軸受における許容回転数は、dN値<100×104 とされている(特開2001−304274号公報)。
【0004】
転がり軸受の内輪を高速回転させると、一般に、転動体は外輪に遠心力で押しつけられ、純転がり運動(外輪に対して)を行なうが、内輪側では油膜形成の発達と共に内輪から転動体に与えられる接線力(駆動力)はある限界に達し、ついには滑り始める。さらに、高速度になると転動体の公転滑り、自転滑りは激しくなり、転走面に摩耗を生ずるようになる。このような滑り現象の激しいものをスキッディングと呼んでいる。ジェットエンジンの場合、回転子によるラジアル荷重は、それを支える円筒ころ軸受の負荷容量に比べ、かなり小さく、運転中の回転子支持条件によっては円筒ころ軸受のラジアル荷重は零になる場合もありうる。したがって、スキッディングはジェットエンジンの円筒ころ軸受で起こりやすい(転がり軸受工学編集委員会編『転がり軸受工学』)。
【0005】
スキッディング対策として、軌道輪を楕円形またはおむすび形に歪ませた非真円転がり軸受を用いることが知られている。従来の軌道面楕円軸受は、図6に示すように、軸受単体において楕円である軌道面2aの短軸径S1が転動体の外接円径Ewよりも小さい。あるいは、図7に示すように、軸受単体において楕円である軌道面2aの長軸径S2が転動体の内接円径Iwよりも大きい。非真円量は軸受単体においてラジアルすきまに対して十分大きな量である。したがって、無負荷においても予圧荷重を受けている一部の転動体が駆動力を発生させることにより転動体の公転すべり(スキッディング)が小さく抑えられる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−304274号公報
(段落番号0012、図2)
【非特許文献1】
転がり軸受工学編集委員会編「転がり軸受工学」、株式会社養賢堂、昭和53年1月20日、p.364
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非真円軸受では、軸受単体において外輪の非真円量(楕円量=長軸径−短軸径)がラジアルすきまに対して十分大きな量であり、短軸径部分では予圧状態となる。したがって、軸受を組み立てる際においては予圧状態となる部分で転動体端面と軌道輪側面が干渉し、組み立てが困難である。
【0008】
本発明の目的は、かかる問題点を解消した軌道面楕円転がり軸受を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の軌道面楕円転がり軸受は、内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が真円形状で、外輪の軌道面が楕円形状であり、軸受単体における外輪の軌道面の短軸径が転動体の外接円径よりも大きいことを特徴とするものである。外輪軌道面の短軸径を転動体の外接円径よりも大きくすることにより、組み立て時のころ端面と軌道輪側面の干渉が回避され、組み立てが容易になる。
【0010】
また、本発明の転がり軸受は、内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が楕円形状で、外輪の軌道面が真円形状であり、軸受単体における内輪の軌道面の長軸径が転動体の内接円径よりも小さいことを特徴とするものである。内輪軌道面の長軸径を転動体の内接円径よりも小さくすることにより、組み立て時のころ端面と軌道輪側面の干渉が回避され、組み立てが容易になる。
【0011】
内輪の軌道面を楕円形にしたときは内輪軌道面の長軸径側のすきまが負すきまになるように設定する。外輪の軌道面を楕円形にしたときは外輪軌道面の短軸径側のすきまが負すきまになるように設定する。すきまを負にすることで予圧を付与するのである。軌道面楕円転がり軸受は、軌道輪を楕円形に歪ませたものであるため、無負荷時において正のラジアルすきまにしても、一部の転動体は予圧荷重を受けている。この予圧荷重を受けている転動体を通して、保持器が公転し、その結果無負荷の転動体も回転するので、転動体の公転すべりが小さい。かくして、スキッディング損傷が防止される。このように、軌道面楕円転がり軸受は、軌道面を楕円形にすることによりころを締めつけ、ラジアル予圧をかけてころ駆動力を増し、すべりを小さくするものである。
【0012】
本発明は、ガスタービンエンジン主軸または減速機入力軸に用いられる円筒ころ軸受に適用することができ、高速軽荷重での使用におけるスミアリング損傷(軸受の軌道面、転動面などに生じる微小焼付きの集成によって起こる表面の損傷)を防止するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1に示す実施の形態は、内輪1に両つばの付いたN形円筒ころ軸受であり、内輪1と外輪2と内輪1の軌道面1bと外輪2の軌道面2bとの間に介在する複数の円筒ころ3とで構成されている。保持器は図示を省略してある。内輪1は、その内径面1aと軌道面1bとが共に真円形に形成されている。一方、外輪2は、図1(A)に誇張して図示してあるように、外径面2aは真円形であるが、軌道面2bは楕円形に形成されている。軸受単体において、非真円である軌道面2bの短軸径S1をころ外接円径Ewよりも大きく設定してある。
【0015】
軸受寸法を例示するならば次のとおりである。
外径55mm
内径35mm
ころ径5mm
ころ長さ5mm
ころ数18個
外輪軌道面の楕円量(長軸径S2−短軸径S1)0.080mm
短軸径S1:50.023mm
ころ外接円径Ew:50.000mm
【0016】
図2に示す実施の形態は、外輪2に両つばの付いたNU形円筒ころ軸受であり、内輪1と外輪2と内輪1の軌道面1bと外輪2の軌道面2bとの間に介在する複数の円筒ころ3とで構成されている。保持器は図示を省略してある。外輪2は、その内径面2aと軌道面2bとが共に真円形に形成されている。一方、内輪1は、図2(A)に誇張して図示してあるように、内径面1aは真円形であるが、軌道面1bは楕円形に形成されている。軸受単体において、非真円である軌道面1bの長軸径S2をころ内接円径Iwよりも小さく設定してある。その他は図1の実施の形態と同じである。
【0017】
上記軸受は、ガスタービンや減速機に組み込んだ状態では、次の原因により、広い負荷域で所定の予圧が得られるようにラジアル内部すきまを設定する。予圧を付与された状態とは、換言すれば、軸受のラジアル内部すきまが負すきまとなった状態である。
(1)軸と内輪のはめあい(しまりばめ)によるすきま減少
(2)軸受の高速運転に伴う内外輪温度差によるすきま減少
(3)内輪の遠心力膨張によるすきま減少
【0018】
図1の実施の形態の円筒ころ軸受と比較のための真円円筒ころ軸受をラジアル荷重265N、回転速度20000rpmおよび45000rpmで運転した場合の転動体公転すべり率を測定した。その結果を図4に示す。
【0019】
測定に使用した試験機は一端に支持軸受、他端に試験軸受、中央にラジアル荷重負荷軸受を設けた構造である。潤滑は二箇所(180度対称位置)の給油ノズルよりジェット給油した。
【0020】
滑り率の測定は、内輪回転数と保持器回転数をパルスカウンターにより測定し、保持器の理論回転数に対する比を算出して行なった。測定条件は次のとおりである。
【0021】
表1に20000rpmおよび45000rpmにおける公転滑り率測定結果を示す。なお、公転滑り率は次式により与えられる。
(Ni−Nc)/Ni×100
Ni=0.4444N
【0022】
【表1】
【0023】
図4は、2軸流2軸式ターボファンエンジンにおける軸受配置の概略を例示したもので、4個の主軸受(4−7)で回転子が支えられており、これらの主軸受に本発明を適用することができる。図中、8はファンコンプレッサ、9は低圧コンプレッサ、10は高圧コンプレッサ、11は高圧タービン、12は低圧タービンである。主軸受4、5は玉軸受、主軸受6、7は円筒ころ軸受である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の軌道面楕円転がり軸受は、軽荷重高速の運転条件においても転動体公転すべり率が抑えられ、スミアリング損傷に対する信頼性が高くなる。そして、軌道面楕円転がり軸受の短軸径がころ外接円径(または内接円径)よりも大きいため、組み立て時にころ端面と軌道輪側面との干渉がなく、組み立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の実施の形態を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図2】(A)は別の実施の形態を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図3】回転速度に対する転動体公転すべり率を示すグラフ図である。
【図4】2軸流2軸式ターボファンエンジンの模式図である。
【図5】ガスタービンの模式図である。
【図6】(A)は従来の技術を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【図7】(A)は従来の技術を示す軌道面楕円転がり軸受の正面図である。
(B)は断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a 内径面
1b 軌道面
2 外輪
2a 外径面
2b 軌道面
3 円筒ころ(転動体)
S1 短軸径
S2 長軸径
Ew 転動体外接円径
Iw 転動体内接円径
Claims (4)
- 内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が真円形状で、外輪の軌道面が楕円形状であり、軸受単体における外輪の軌道面の短軸径が転動体の外接円径よりも大きいことを特徴とする転がり軸受。
- 使用時に外輪軌道面の短軸径側のすきまが負すきまになることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 内輪と外輪と転動体とからなる転がり軸受において、内輪の軌道面が楕円形状で、外輪の軌道面が真円形状であり、軸受単体における内輪の軌道面の長軸径が転動体の内接円径よりも小さいことを特徴とする転がり軸受。
- 使用時に内輪軌道面の長軸径側が負すきまになることを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002283858A JP2004116729A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 軌道面楕円転がり軸受 |
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JP2004116729A true JP2004116729A (ja) | 2004-04-15 |
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ID=32277605
Family Applications (1)
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JP2002283858A Withdrawn JP2004116729A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 軌道面楕円転がり軸受 |
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JP (1) | JP2004116729A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7563031B2 (en) | 2005-05-13 | 2009-07-21 | Ntn Corporation | Rolling bearing |
WO2013110575A1 (de) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | Zf Lenksysteme Gmbh | Servogetriebe für eine hilfskraftlenkung |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002283858A patent/JP2004116729A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7563031B2 (en) | 2005-05-13 | 2009-07-21 | Ntn Corporation | Rolling bearing |
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