JP2004116434A - Reciprocating variable compression ratio engine - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比機構を備えたレシプロ式の内燃機関、特に、その潤滑機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、レシプロ式内燃機関の圧縮比可変機構として、複リンク式ピストン−クランク機構を用い、そのリンク構成の一部を動かすことによりピストン上死点位置を変化させるようにした機構を種々提案している(例えば特開2002−21592号公報)。これは、ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えたものであって、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御する構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような機構を備えた可変圧縮比機関にあっては、潤滑が必要な箇所として、一般的なクランク主軸、クランクピン、ピストンピンの他に、コントロールシャフト、コントロールピン、アッパピンの3個所がさらに加わるので、高負荷時に、ピストンスカートや各軸受部においてオイル供給が不十分となって潤滑状態が悪化する虞がある。また、過度にオイル循環量を増大すると、低負荷時には、必要オイル量が少ないにもかかわらず過剰なオイル供給が行われ、無駄なオイルポンプ仕事が発生して燃費が悪化する、という問題が生じる。
【0004】
この発明は、上記のような圧縮比可変機構に最適な潤滑機構を備えたレシプロ式可変圧縮比機関を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、請求項1のように、ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えてなり、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御するレシプロ式可変圧縮比機関において、オイル潤滑が行われる部位へのオイル供給量を圧縮比に応じて可変にすることを特徴としている。
【0006】
すなわち、この可変圧縮比機関は、一般に、低負荷時には高圧縮比に、高負荷時には低圧縮比に制御される。そのため、高負荷状態にある低圧縮比時ほど各摺動部の潤滑状態悪化を回避するために各摺動部への十分なオイル供給が必要とされる。他方、低負荷状態にある高圧縮比時ほど各摺動部へのオイル供給は少量しか要求されない。そのため、低圧縮比時に各摺動部へのオイル供給を増加することにより各摺動部の潤滑状態を改善でき、また高圧縮比時に各摺動部へのオイル供給を減少または停止することにより、オイルポンプ仕事を低減して燃費を向上することができる。
【0007】
より具体的には、コントロールシャフトを回転可能に支持するコントロールシャフト主軸受部とコントロールシャフト主軸にオイル通路が構成され、コントロールシャフト主軸受部オイル通路からコントロールシャフト主軸にオイルが供給される。さらにコントロールシャフト主軸オイル通路からコントロールシャフト偏心軸に向かってオイル通路が形成され、コントロールシャフト偏心軸に構成される油孔を通ってコントロールシャフト偏心軸にオイルが供給される。コントロールシャフト回転による圧縮比の切換によって、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置が変化し、コントロールシャフト偏心軸へのオイル供給量を可変にできる。上記構成によって、オイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換える制御を行うことができる(請求項2)。
【0008】
本可変圧縮比機関はコントロールシャフトの回転位置によって圧縮比を可変にする機構を持つため、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置が圧縮比の切換と同時に変化する。そのため、コントロールシャフト主軸受部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路を、それぞれ適切に設けることで、コントロールシャフトを圧縮比に応じてオイル流量を制御する制御機構とすることができ、コントロールシャフトベアリング部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路、コントロールシャフト内部を通って、オイル潤滑が必要なコントロールシャフト偏心軸やその他の各部位へ、流量可変にオイルを供給することができる。そのため、オイル供給制御を行うために別途制御機構を装備することが不要となり、低コストでオイル供給制御を行うことができる。
【0009】
また本発明の可変圧縮比機関においては、オイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を低圧縮比時に増加、高圧縮比時に減少または供給停止する制御を行う(請求項3)。
【0010】
すなわち、可変圧縮比機関は、低負荷時には高圧縮比に、高負荷時には低圧縮比にそれぞれ圧縮比を制御する。そのため、前述したように、高負荷状態にある低圧縮比時ほど十分なオイル供給が必要とされ、低負荷状態にある高圧縮比時にはオイル供給は少量しか要求されない。
【0011】
また、高圧縮比に設定されるのは主に低速低負荷領域においてであり、低速域では油圧が低くなり供給可能なオイル量が制限されるため、荷重が小さいコントロールピンやコントロールシャフト偏心軸におけるオイル供給量を減少したほうが、アッパピン、クランクピン、クランクメインジャーナルなどの相対的に荷重が高くよりオイル供給が必要な部位に優先的にオイルを供給することができる。
低圧縮比に設定するのは高負荷域であり、特に最大出力を発生する高速回転域においては油圧が高くなり供給可能なオイル量も増加するため、コントロールシャフト偏心軸、コントロールシャフト軸受、コントロールピンに対するオイル供給を増加しても他の部位に十分な量のオイルを供給することができる。
【0012】
特に、低圧縮比化と吸気過給によって高出力化を行う可変圧縮比機関においては、低負荷高圧縮比時と高負荷低圧縮比時に必要なオイル量の差が一層大きくなるため、圧縮比に応じてオイル供給量を可変にすることが非常に効果的である。
【0013】
ただし、冷機始動時には、急速に排温を上昇して触媒が活性する温度まで触媒温度を速やかに上昇させるためには、低圧縮比状態においてもオイル供給を行わないようにするほうが良いため、コントロールシャフト角度によるオイル供給制御だけではなく、他のオイル供給量制御手段も併用して圧縮比に応じてオイル供給量、油圧を可変にすることも効果がある。
【0014】
また、コントロールリンク大端部軸受に油孔が構成され、コントロールリンクのロッド部にコントロールリンク大端部軸受油孔と接続されるオイル通路が構成され、コントロールリンクのロッド部オイル通路と接続されるコントロール小端部付近の油孔からコントロールリンク近傍のオイル潤滑が必要な部分に向けてオイルが供給される。コントロールシャフト回転による圧縮比の切換によって、コントロールリンク大端部軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置が変化し、コントロールリンク近傍のオイル潤滑が必要な部分へのオイル供給量を可変にできる。上記構成によってオイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換える制御を行うことができる。オイル供給量の制御は、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置、またはコントロールリンク大端部軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置、のいずれか一方または両方によって行うことができる(請求項4)。
【0015】
すなわち、本可変圧縮比機関はコントロールシャフトの回転位置によって圧縮比を可変にする機構を持つため、コントロールリンク大端部の軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置が圧縮比の切換と同時に変化する。そのため、コントロールリンク大端部軸受部オイル通路と、コントロールシャフト偏心軸オイル通路位置と、をそれぞれ適切に配置することで、コントロールシャフトを圧縮比に応じてオイル流量を制御する制御機構とすることができ、コントロールシャフトベアリング部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路、コントロールシャフト内部、コントロールシャフト偏心軸オイル通路、コントロールリンク大端部に形成したコントロールリンク大端部軸受部貫通孔を一連のオイル通路とすることで、コントロールリンク大端部からオイルを噴射してコントロールピンやその他の各部位に噴射量可変にオイルを供給することができる。
【0016】
また本発明では、コントロールシャフト偏心軸受に設けられた油孔とコントロールリンク小端部軸受部とを接続するオイル通路が、コントロールリンクロッド部に構成され、コントロールピンへのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換えるようにすることができる(請求項5)。
【0017】
この請求項5の構成では、コントロールシャフト偏心軸受油孔とコントロールリンク小端部軸受部とを接続するオイル通路をコントロールリンクロッド部に構成し、コントロールリンク大端部からコントロールリンク小端部に向かってオイル供給を行うことにより、コントロールシャフト偏心軸を中心に揺動運動を行うコントロールリンクの遠心力を利用してオイルを小端部側に圧送することができ、効率的にコントロールリンク小端部軸受部へのオイル供給を行うことができる。また、コントロールシャフト、コントロールリンク大端部を経由することで、圧縮比変化に応じてオイル供給が可変に行われるため、高負荷低圧縮比時には十分なオイル供給を行い、低負荷高圧縮比時にはオイル供給を減少することができる。その結果、コントロールピンにおける高負荷時の潤滑悪化を回避し、低負荷時のオイルポンプ損失を低減することができるという効果がある。リンク部品のロッド部に大端部側から小端部側まで貫通孔(オイル通路)を形成することは、ロッド部の断面積を低下させ座屈強度を低下させるので、アッパリンクのように最大荷重がロッド部を圧縮する方向に作用する場合には好ましくない。しかしコントロールリンクにおいては、最大荷重が引張方向に作用し座屈の心配が無いため、リンク軽量化を図りつつ、大端部側から小端部側まで貫通孔を設けることが可能である。
【0018】
なおコントロールピンにオイルを供給する方法として、クランクシャフト主軸受、クランクシャフト主軸(ジャーナル部)、クランクピン、ロアリンクのクランクピン軸受、ロアリンク内部、に順次オイル通路を形成してコントロールピン軸受までオイルを供給することも考えられる。しかし、この方法では、圧縮比に応じてオイル供給量を可変にする機構が別途必要になり、またこの方法ではリンク部品の中でも非常に大きい荷重が作用するロアリンクの内部にオイル孔を形成することになるため、ロアリンクの強度が低下することになり好ましくない。また、静止しているコントロールシャフトとは異なりクランクシャフトは回転しているため、クランクシャフト内にオイルを供給するためにはクランクシャフトの遠心力に一旦打ち勝つ必要がある。またクランクシャフト主軸、クランクピン上の油孔が軸受側油孔に対して常に回転しているため、クランクシャフト主軸、クランクピン上の油孔から軸受側油孔に直接オイルを送ることができず、油孔周辺に油溝を形成して該油溝を経由してオイル供給する必要があり効率が悪い。
【0019】
また、本発明では、コントロールリンク小端部にはオイル噴射孔が、コントロールリンクロッド部にはコントロールシャフト偏心軸受油孔とコントロールリンク小端部オイル噴射孔を接続するオイル通路が形成され、コントロールリンク小端部のオイル噴射孔からピストン裏側、ピストンピン、またはシリンダボアへのオイル噴射を圧縮比に応じて切り換えるようにしてもよい(請求項6)。
【0020】
すなわち、高負荷低圧縮比時にはシリンダボア上方およびピストン冠面の温度が高温になりノッキングに至りやすくなるため、シリンダボア上方およびピストン冠面温度をオイル噴射により低下させる必要がある。またピストンピン、ピストンスカートの焼付防止、潤滑悪化防止のためにもオイルジェットを用いてオイルを供給することが効果的である。一方、低負荷高圧縮比時には冷却損失を低減し、またシリンダ壁面油膜温度を高めてオイルの引き摺り抵抗を小さくして、さらにオイルポンプ仕事を低減することにより燃費を向上するために、シリンダ壁面、ピストンに噴射するオイル量を減少する必要がある。そこで、コントロールシャフトの圧縮比に応じてオイル供給量を可変にする機構を用いることで、低圧縮比時には、コントロールリンク小端部付近に形成したオイル噴射孔からピストン、ピストンピン、ピストンスカートにオイルを噴射供給することができる。高圧縮比時には、オイル噴射量を減少するかまたは噴射を停止することで余分なオイル消費を回避することができる。これにより、シリンダブロックにおけるオイルジェットの形成、あるいはアッパリンクやロアリンクにおけるオイル噴射孔の形成が不要となる。ただし、コントロールリンク小端部付近に形成したオイル噴射孔を低圧縮比時のオイル供給手段とし、他の部位に設けたオイル噴射孔もオイル供給手段として併用することもできる。
【0021】
また本発明では、圧縮比に応じたオイル供給量可変制御の手段として、コントロールシャフト主軸受ベアリングの油孔に対するコントロールシャフト主軸の油孔位置を可変にするようにしてもよい。例えば、最低圧縮比時のコントロールシャフト回転位置においてコントロールシャフト主軸の油孔とコントロールシャフト主軸受の油孔がほぼ対向するようにすることで、最大負荷時にコントロールシャフト主軸、コントロールシャフト主軸受間のオイル通路が最短距離、最大断面積になり、オイル供給量を最大にすることができる。高圧縮比になるにつれて、主軸、主軸受間のオイル通路距離が長くなっていき、断面積は小さくなり、オイル供給量は減少していき、最高圧縮比時にはコントロールシャフト主軸、コントロールシャフト主軸受間のオイル通路が最長距離、最小断面積となり、オイル供給量を最少とすることができる。各部の油孔には、オイル通路を拡大してオイル供給量を増加するため、コントロールシャフト主軸側油孔またはコントロールシャフト主軸受の油孔の少なくとも一方に円周方向の油溝を設けることで、コントロールシャフトを回転して圧縮比を可変にしていったときの主軸側油孔とベアリング側油孔の対向期間を長期化することができ、オイル供給できる圧縮比区間を長期化させて高圧縮比時にオイルを供給可能にすることもできる(請求項7)。
【0022】
すなわち、コントロールシャフトは圧縮比切換途中以外の期間はコントロールシャフト主軸受に対して静止しているため、圧縮比に応じてコントロールシャフト主軸受の油孔に対するコントロールシャフト主軸の油孔位置を固定して正確に決めることができる。そのため、圧縮比に応じてオイル流量を正確に制御するための手段として、コントロールシャフトにオイル通路を形成し、コントロールシャフト回転角度によってオイル供給量を可変制御することが有効である。また、コントロールシャフト主軸の油孔とコントロールシャフト主軸受の油孔の位置関係を制御することで、コントロールシャフト内部オイル通路へのオイル供給量を制御できるため、コントロールシャフト偏心軸受を含めそれ以外のコントロールシャフト主軸の油孔より下流のオイル供給先にも、オイルの供給を圧縮比に応じて制御することが可能になる。
【0023】
また請求項7ではコントロールシャフト主軸と主軸受に設けた油孔の位置可変によるオイル供給量制御を行うが、請求項8では圧縮比に応じたオイル供給量可変制御の手段として、コントロールリンク大端部軸受に設けられた油孔に対するコントロールシャフト偏心軸の油孔位置を可変にしている。
【0024】
すなわち、コントロールリンクはコントロールシャフト偏心軸を中心に揺動しているため、圧縮比に応じてコントロールリンク大端部側軸受の油孔に対するコントロールシャフト偏心軸の油孔位置を固定することはできないものの、揺動運動の区間中に軸側油孔と軸受側油孔とのオーバラップ期間は正確に決めることができるため、圧縮比に応じてオイル流量を正確に制御することができる。また、コントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールシャフト偏心軸受の油孔の位置関係を圧縮比に応じて可変にできるため、適切なコントロールリンク揺動位置において、適切なオイル噴射孔をコントロールリンク小端部に形成することによって、オイル供給先へのオイル供給量、供給タイミング、供給方向を最適に設定することが可能になる。
【0025】
また本発明では、クランク角度によって軸受側と軸側のオイル通路の断続が切り換わることを利用することで、低圧縮比時にはコントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受に設けられた油孔とが、コントロールリンクの揺動中心付近で最接近するタイミングで、コントロールリンクが1往復揺動する間に2回オイル供給量または油圧が最大になるように各部の油孔または油溝が形成される。一方、高圧縮比時にはコントロールシャフトが回転してコントロールシャフト偏心軸受油孔の位置が移動し、コントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔とがコントロールリンク揺動の端付近で最接近してコントロールリンクが1往復揺動する間に1回オイル供給が行われるか、またはコントロールシャフト偏心軸受油孔位置がコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔揺動範囲を超えてしまい油孔・油溝が互いに対向せずにオイル供給が行われなくなる(請求項9)。
【0026】
このように低圧縮比時にコントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔とが、コントロールリンクの揺動中心付近で最接近するようにすることで、軸側油孔、軸受側油孔のオーバラップ期間が低圧縮比時に最大になり、低圧縮比時のコントロールリンク小端部へのオイル供給量を最大にすることができる。また、コントロールリンクが1往復揺動する間にコントロールリンク小端部からのオイル噴射量ピークを2度に分けて最大にすることができるため、特定時期、特定方向に必要十分な量のオイルを供給することができる。
【0027】
さらに、請求項9と同様の構成によって、低圧縮比時に、コントロールリンクが1往復揺動する間に、ピストン上死点時期にシリンダボアにオイル供給を行い、かつピストン下死点時期にピストン裏側、ピストンピンにオイル供給を行うようにすることができる(請求項10)。
【0028】
例えば、ピストン、ピストンピン、シリンダボアへオイル供給を行う場合、2度のオイル噴射量ピークがほぼピストン上死点時期とピストン下死点時期に相当するため、クランク1回転の間にピストン下死点時期にピストン、ピストンピンへオイルを供給し、かつピストン上死点時期にシリンダボアへもオイル供給を行うことができる。
【0029】
また、本発明では、コントロールリンク小端部はコントロールシャフト偏心軸を中心に揺動運動しているため、コントロールリンク小端部は周期的にピストンに最接近する。また、低圧縮比時の方が高圧縮比時よりもコントロールリンク小端部がピストンに最接近する。そこで、低圧縮比時の最もコントロールリンク小端部がピストンに接近するタイミングにコントロールリンク小端部オイル噴射孔からピストンに向かってオイルを最も大量に噴射するように各部の油孔または油溝を形成してもよい(請求項11)。
【0030】
この請求項11の構成では、コントロールリンク小端部がピストンに最接近するタイミングに最もオイル供給が大量に行われるようになっている。このようにすることで、コントロールリンク小端部のオイル噴射孔からピストンのオイルが必要な部位へ向けて、オイル供給を効率よく行うことができ、請求項10のようにピストン、ピストンピン、シリンダボアへ別々にオイル供給することはできないものの、コントロールリンク小端部がピストンに最接近するタイミングに噴射すれば、ピストン位置がちょうどストロークの中間位置にあるため、ピストン、ピストンピン、シリンダボアへ同時に大量のオイルを供給することができる。
【0031】
さらに本発明では、コントロールシャフト、コントロールシャフト主軸受、コントロールシャフト偏心軸受の少なくとも一つに複数の油孔または油溝が形成され、圧縮比に応じてオイル供給通路を切り換えることで、オイルの供給量を圧縮比に応じて切り換えるようにすることもできる。例えば、コントロールシャフト偏心軸に油孔を2つ設けることで、低圧縮比側、高圧縮比側で使用するオイル通路を切り換えることができる(請求項12)。
【0032】
すなわち、一つのオイル通路で全圧縮比範囲でのオイル供給量制御を行おうとすると、圧縮比を可変にするためのコントロールシャフトの回転角度が大きいことから、低圧縮比時に軸側オイル通路と軸受側オイル通路が直通となってオイル流量が最大になるようにオイル通路を設定した場合に、高圧縮比側でもオイル供給を行うためには、油孔に接続した油溝を形成し、該油溝を通してオイル供給を行わなければならない。このように油溝を通してオイル供給を行うとすると、油溝から軸受にオイルが一部流出してしまうため、高圧縮比側で各部位に一定量のオイル供給を行うことは容易ではなくなる。そこで、高圧縮比用および低圧縮比用として、コントロールシャフトに複数のオイル通路を設け、高圧縮比時および低圧縮比時のそれぞれでオイル通路を使い分けることによって、高圧縮比、低圧縮比それぞれにおいて、各部位に安定したオイル供給を行うことが可能になる。
【0033】
また上記コントロールシャフト主軸受にオイルを供給する手段として、上記コントロールシャフトを回転可能に固定する複数のベアリングキャップを一体に連結するベアリングビームまたはラダーフレームを有する構成においては、上記ベアリングビームまたはラダーフレームに、コントロールシャフト主軸受へオイルを供給するためのオイル通路を形成することができる。つまり、ベアリングビームまたはラダーフレームにオイル通路用貫通孔を形成し、このオイル通路用貫通孔に通じるオイル通路を複数のコントロールシャフト用ベアリングキャップに形成することで、各コントロールシャフト主軸受にオイルを供給することができる(請求項13)。
【0034】
このようにベアリングビームまたはラダーフレームにオイル通路用貫通孔を設けることによって、各クランクシャフト用ベアリングキャップからオイル通路を各コントロールシャフト主軸受に延長形成する必要が無くなるため、オイル通路形成の工数が削減され、各クランクシャフト用ベアリングキャップの剛性を高めることができる。また、コントロールシャフトに各コントロールシャフト主軸受に通じる貫通孔を設ける必要が無くなり、コントロールシャフトを小径化することができるため軽量コンパクト化できる。
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、低負荷高圧縮比時にはオイル供給量を減少してオイルポンプ損失を低減し、燃費を向上することができる。また高負荷低圧縮比時にはオイル供給量を増大することで、オイル潤滑が必要な各部位へ十分なオイル供給を行うことができ、焼き付きや潤滑悪化を確実に防ぐことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係るレシプロ式可変圧縮比機関における可変圧縮比機構の構成を示す図である。
【0037】
クランクシャフト1は、複数のジャーナル部11とクランクピン12とを備えており、シリンダブロック21とクランクシャフトベアリングキャップ22との間の主軸受に、ジャーナル部11が回転自在に支持されている。上記クランクピン12は、ジャーナル部11から所定量偏心しており、ここにロアリンク2が回転自在に連結されている。
【0038】
上記ロアリンク2は、左右の2部材に分割可能に構成されているとともに、略中央の連結孔に上記クランクピン12が嵌合している。
【0039】
アッパリンク5は、下端側がアッパピン10を介してロアリンク2の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン4を介してピストン3に回動可能に連結されている。上記ピストン3は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック21のシリンダボア23内を往復動する。
【0040】
コントロールリンク6は、上端側の小端部がコントロールピン9を介してロアリンク2の他端に回動可能に連結され、下端側の大端部が、コントロールシャフト7の偏心軸8に揺動可能に支持されている。上記コントロールシャフト7は、クランクシャフト1と平行に配置されており、上記クランクシャフトベアリングキャップ22と、その下部にさらに取り付けられたコントロールシャフトベアリングキャップ24と、の間に構成された主軸受によって、回転自在に支持されている。上記偏心軸8は、このコントロールシャフト7の回転中心から偏心して形成されている。上記コントロールシャフトベアリングキャップ24は、梯子状のいわゆるベアリングビーム構造をなし、複数個のベアリングキャップが機関前後方向に沿ったビーム部によって一体に連結されている。
【0041】
上記コントロールシャフト7は、図示せぬエンジンコントロールユニットからの制御信号に基づき、電動モータを用いた圧縮比制御アクチュエータ(図示せず)によって、その回動位置が制御される。
【0042】
上記のような複リンク式ピストン−クランク機構を用いた可変圧縮比機構においては、上記コントロールシャフト7が圧縮比制御アクチュエータによって回動されると、偏心軸8の中心位置が変化し、コントロールリンク6の下端の揺動中心位置が上下に変化する。これに伴って、ピストン上死点におけるロアリンク2の姿勢が変化し、ピストン上死点におけるピストン3の位置が高くなったり低くなったりする。これにより、機関圧縮比を変えることが可能となる。この圧縮比制御は、機関運転条件に基づいて行われ、一般に、機関の負荷が高いほど低圧縮比となるように制御される。
【0043】
図2は、上記のようなピストン−クランク機構の潤滑機構の構成を示したもので、シリンダブロック21のメインギャラリ31からバルクヘッド内部を通してクランクシャフト1の主軸受へクランクシャフトベアリングオイル通路32が形成されている。また、コントロールシャフトベアリングキャップ24には、そのビーム部内部を通るようにベアリングビームオイルギャラリ33が形成されており、ここからベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸受部へオイルが供給され、さらに、コントロールシャフト7内部のコントロールシャフト内オイル通路35へオイルが導かれる。コントロールリンク6は、そのロッド部の内部を通るように、コントロールリンクロッド部オイル通路36を有し、該通路36を通して小端部側つまりコントロールピン12側へオイルが供給される。そして、コントロールリンク6の小端部にオイル噴射孔37が形成され、一対の破線矢印で示す角度範囲内に、オイルを噴射するようになっている。このオイル噴射によって、ピストン3、ピストンピン4、シリンダボア23が潤滑される。
【0044】
図3は、上記のベアリングビームオイルギャラリ33からオイル噴射孔37へ至る油路構成を機関側方から見た説明図である。コントロールシャフト7の主軸受、偏心軸8の軸受、コントロールピン9の軸受、には、それぞれベアリングメタル41,42,43が配設されているが、これらのベアリングメタル41,42,43には、必要に応じて、油孔もしくは油溝が適宜に形成されている。前述したように、複数個のコントロールシャフトベアリングキャップ24を連結するビーム部24aの内部にベアリングビームオイルギャラリ33が形成されており、ここから、ベアリングキャップ内オイル通路34が分岐している。そして、コントロールシャフト内オイル通路35を介して、コントロールリンクロッド部オイル通路36に接続され、かつコントロールリンク6小端部のオイル噴射孔37へ至る。なお、図3の左側は、コントロールシャフト内オイル通路35を斜めにドリル加工した例を示し、右側は、軸方向および半径方向にそれぞれドリル加工した例を示す。
【0045】
図4は、コントロールリンク6内部の油路構成の例を示したもので、(A)に示す例では、大端部6A側の油孔44が油溝45を備えており、小端部6B側の油孔46との間に、コントロールリンクロッド部オイル通路36が形成されている。また、小端部6B側の油孔46は、該小端部6Bの周方向に延びた油溝47に接続され、該油溝47を介して、オイル噴射孔37に接続されている。
【0046】
図4(B)に示す例も基本的には同様であるが、オイル噴射孔37が、コントロールリンク6の長手方向に対し僅かに傾いて形成されている。
【0047】
また図4(C)に示す例では、大端部6A側の油孔44は、油溝を具備しておらず、また、オイル噴射孔37が、コントロールリンクロッド部オイル通路36から斜めに分岐した形に形成されている。従って、この例では、小端部6Bの油溝47が不要となっている。
【0048】
図5および図6は、本発明の基本的な作用を説明するもので、図5は低負荷高圧縮比時の状態を、図6は高負荷低圧縮比時の状態を、それぞれ示す。図中の線mは、コントロールシャフト7の中心と偏心軸8の中心とを通る線を示し、つまりコントロールシャフト7の回転位置を示している。
【0049】
高負荷時には、ノッキングの回避等のために低圧縮比に制御されるが、コントロールシャフト7は、図6に示すように、線mが略垂直となって偏心軸8が高い位置となる回転位置に保たれる。このとき、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト7内部のコントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との3者が互いに十分な連通状態となり、従って、これらのオイル通路を通して各部に十分なオイル供給がなされる。
そして、このオイルは、最終的にオイル噴射孔37からピストン3下面やピストンピン4さらにはシリンダボア23へ向けて破線矢印で示すように噴射される。
【0050】
一方、低負荷時には、熱効率向上等のために高圧縮比に制御されるが、コントロールシャフト7は、図5に示すように、線mが水平近くに傾いて偏心軸8が低い位置となる回転位置に保たれる。この状態では、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との3者のそれぞれの連通が制限され、オイル供給が少量もしくは0に規制される。このオイル供給量の制限は、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト内オイル通路35との開口位置のずれによって達成することもでき、あるいは、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との開口位置のずれによって達成することもできる。また、図4の(A),(B)に示したような油溝45をオイル通路端部に設けることで、その連通状態を適宜に調整することが可能である。
【0051】
次に、図7〜図10の実施例は、クランクシャフト1の1回転の間にコントロールリンク6が1往復の揺動運動をすることを利用して、その間に、2回オイル噴射を行うようにしたものである。各図は、いずれも左側の(a)が低圧縮比時の状態を、右側の(b)が高圧縮比時の状態を、それぞれ示しており、また図7〜図10は、それぞれ、クランク角が0°、90°、180°、270°のときの各オイル通路の連通状態を示している。また、図中の▲1▼は、ベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸周囲に供給されるオイルの流れ、▲2▼は、コントロールシャフト内オイル通路35を通して偏心軸8の周囲に供給されるオイルの流れ、▲3▼は、コントロールリンクロッド部オイル通路36を通してコントロールリンク6の小端部側へ供給されるオイルの流れ(その一部がピストン3等へ向けて噴射される)、をそれぞれ示す。なお、この実施例では、コントロールシャフト7の主軸の軸受に、周方向に延びる油溝48が形成されている。
【0052】
高圧縮比時(低負荷時)には、前述したように、偏心軸8が比較的低い位置となるように、コントロールシャフト7が回転している。この状態では、各図の(b)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35の一端が上記油溝48に部分的に重なっており、かつ他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端から周方向に大きく離れた位置となる。そのため、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動しても、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とは連通しない。従って、図7〜図10のいずれの状態でも、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は少量、となり、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、微量もしくは無しとなる。
【0053】
一方、低圧縮比時(高負荷時)には、前述したように、偏心軸8が高い位置となるように、コントロールシャフト7が回転している。この状態では、各図の(a)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35の一端が上記油溝48に広く重なっており、かつ他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に接近した位置となる。そして、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動するが、クランク角が90°(図8)および270°(図10)のときに、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とが互いに合致して連通する。従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給、▲3▼の小端部側へのオイル供給、のいずれも多量となる。これに対し、クランク角が0°(図7)および180°(図9)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とが合致せずに、僅かにずれている。従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は多量、となるが、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、微量もしくは無しとなる。つまり、クランクシャフト1が1回転する間に、コントロールリンク6が1往復の揺動運動をし、これに伴って、2回オイル噴射を行うこととなる。ここで、クランク角の90°は、ピストン3の上死点位置にほぼ相当し、クランク角の270°は、ピストン3の下死点位置にほぼ相当する。従って、クランク角の90°の位置では、シリンダボア23へ向けてオイルが噴射され、クランク角の270°の位置では、ピストン3やピストンピン4へ向けてオイルが噴射される。
【0054】
なお、例えばコントロールシャフト内オイル通路35の開口端の位置の変更により、オイル噴射孔37を備えたコントロールリンク6の小端部がピストン3に最接近したときにオイル噴射が行われるようにすることができる。
【0055】
次に、図11および図12は、コントロールシャフト内オイル通路35を2本の通路35A,35Bから構成し、偏心軸8の2箇所に開口するようにした実施例を示している。つまり、オイル通路35Aは、コントロールシャフト7の直径方向に沿うようにコントロールシャフト7に斜めに貫通形成されており、その途中からオイル通路35Bが分岐している。各図は、いずれも左側の(a)が低圧縮比時の状態を、右側の(b)が高圧縮比時の状態を、それぞれ示しており、また図11、図12は、それぞれ、クランク角が0°、90°のときの各オイル通路の連通状態を示している。また、図中の▲1▼は、ベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸周囲に供給されるオイルの流れ、▲2▼は、コントロールシャフト内オイル通路35を通して偏心軸8の周囲に供給されるオイルの流れ、▲3▼は、コントロールリンクロッド部オイル通路36を通してコントロールリンク6の小端部側へ供給されるオイルの流れ(その一部がピストン3等へ向けて噴射される)、をそれぞれ示す。なお、この実施例においても、コントロールシャフト7の主軸の軸受に、周方向に延びる油溝48が形成されている。
【0056】
高圧縮比時(低負荷時)には、各図の(b)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35Aの一端が上記油溝48に部分的に重なっており、かつコントロールシャフト内オイル通路35Bの開口端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に重なっている。但し、このオイル通路35Bは、オイル通路35Aから折れ曲がっているため、通路抵抗は大となり、かつ通路長も長い。従って、図11、図12のいずれの状態でも、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は少量、▲3▼の小端部側へのオイル供給は少量、となる。
【0057】
一方、低圧縮比時(高負荷時)には、各図の(a)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35Aの一端が上記油溝48に広く重なっており、かつ該通路35Aの他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に接近した位置となる。そして、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動するが、クランク角が90°(図12)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35Aとコントロールリンクロッド部オイル通路36とが互いに合致して連通する。従って、オイル通路35A内を直線状にオイルが流れるので、通路抵抗は小さく、かつ通路長も最短となる。そのため、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給、▲3▼の小端部側へのオイル供給、のいずれも多量となる。なお、クランク角が270°のときも同様となる。これに対し、クランク角が0°(図11)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35Aとコントロールリンクロッド部オイル通路36とが僅かだけ重なっており、従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は多量、となるが、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、少量となる。これはクランク角が180°のときも同様となる。このように、この実施例では、通路長や通路抵抗が異なる2本のオイル通路35A,35Bを選択的に用いることで、オイル供給量が調整される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る可変圧縮比機関の可変圧縮比機構を示す断面図。
【図2】その潤滑機構の油路構成を示す説明図。
【図3】同じく油路構成を示す機関側方から見た説明図。
【図4】コントロールリンク内部の油路構成の例を示す説明図。
【図5】低負荷高圧縮比時の状態を示す説明図。
【図6】高負荷低圧縮比時の状態を示す説明図。
【図7】クランク角が0°のときのコントロールリンク付近の状態を(a)低負荷時と(b)高負荷時とで対比して示す説明図。
【図8】同じくクランク角が90°のときの説明図。
【図9】同じくクランク角が180°のときの説明図。
【図10】同じくクランク角が270°のときの説明図。
【図11】コントロールシャフト内オイル通路を2本とした実施例のクランク角が0°のときの説明図。
【図12】同じくクランク角が90°のときの説明図。
【符号の説明】
1…クランクシャフト
2…ロアリンク
3…ピストン
5…アッパリンク
6…コントロールリンク
7…コントロールシャフト
8…偏心軸[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a reciprocating internal combustion engine provided with a variable compression ratio mechanism using a multi-link piston-crank mechanism, and more particularly to an improvement in a lubrication mechanism for the internal combustion engine.
[0002]
[Prior art]
The present applicant previously used a double-link piston-crank mechanism as a variable compression ratio mechanism of a reciprocating internal combustion engine, and changed the position of piston top dead center by moving a part of the link configuration. Various mechanisms have been proposed (for example, JP-A-2002-21592). The upper link is connected to the piston via a piston pin, the lower link is swingably connected to the upper link via the upper pin, and is rotatably mounted on the crankpin of the crankshaft. A control link whose portion is swingably connected to the lower link via a control pin, and an eccentric shaft rotatably provided on the cylinder block and swingably supporting the other end of the control link. And a control shaft, wherein the eccentric shaft position of the control shaft is controlled in accordance with the engine operating conditions to variably control the engine compression ratio.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
In a variable compression ratio engine equipped with the above-mentioned mechanism, three places requiring lubrication are a control shaft, a control pin, and an upper pin in addition to a general crank main shaft, a crank pin, and a piston pin. Further, when the load is high, the oil supply to the piston skirt and each bearing portion may be insufficient and the lubrication state may be deteriorated. Also, if the oil circulation amount is excessively increased, at the time of a low load, excessive oil supply is performed in spite of a small amount of required oil, which causes a problem that wasteful oil pump work occurs and fuel efficiency is deteriorated. .
[0004]
An object of the present invention is to provide a reciprocating variable compression ratio engine provided with a lubrication mechanism optimal for the above-described variable compression ratio mechanism.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
According to the present invention, an upper link connected to a piston via a piston pin is swingably connected to the upper link via an upper pin, and is rotatable to a crankpin of a crankshaft. A mounted lower link, a control link one end of which is swingably connected to the lower link via a control pin, and a cylinder block rotatably provided and swinging the other end of the control link. And a control shaft having an eccentric shaft freely supported.In a reciprocating variable compression ratio engine that variably controls an engine compression ratio by controlling an eccentric shaft position of the control shaft according to engine operating conditions. It is characterized in that the amount of oil supplied to a portion where oil lubrication is performed is made variable in accordance with the compression ratio.
[0006]
That is, this variable compression ratio engine is generally controlled to a high compression ratio at a low load, and to a low compression ratio at a high load. For this reason, a sufficient oil supply to each sliding portion is required in order to avoid deterioration of the lubrication state of each sliding portion at a low compression ratio in a high load state. On the other hand, as the load is higher and the compression ratio is higher, a smaller amount of oil is required to be supplied to each sliding portion. Therefore, the lubrication state of each sliding part can be improved by increasing the oil supply to each sliding part at a low compression ratio, and by reducing or stopping the oil supply to each sliding part at a high compression ratio. In addition, the oil pump work can be reduced to improve fuel efficiency.
[0007]
More specifically, an oil passage is formed between the control shaft main bearing and the control shaft main shaft that rotatably supports the control shaft, and oil is supplied from the control shaft main bearing oil passage to the control shaft main shaft. Further, an oil passage is formed from the control shaft main shaft oil passage toward the control shaft eccentric shaft, and oil is supplied to the control shaft eccentric shaft through an oil hole formed in the control shaft eccentric shaft. By switching the compression ratio by the rotation of the control shaft, the position of the control shaft main shaft oil passage with respect to the control shaft main bearing oil passage is changed, and the amount of oil supply to the control shaft eccentric shaft can be varied. According to the above configuration, it is possible to perform control for switching the supply amount of oil to a portion where oil lubrication is performed in accordance with the compression ratio.
[0008]
Since the variable compression ratio engine has a mechanism that varies the compression ratio depending on the rotational position of the control shaft, the position of the control shaft main shaft oil passage with respect to the control shaft main bearing oil passage changes simultaneously with the switching of the compression ratio. Therefore, by appropriately providing the control shaft main bearing oil passage and the control shaft main shaft oil passage, the control shaft can be a control mechanism for controlling the oil flow according to the compression ratio. Through the passage, the control shaft main shaft oil passage, and the inside of the control shaft, the oil can be supplied at a variable flow rate to the control shaft eccentric shaft and other parts requiring oil lubrication. Therefore, it is not necessary to provide a separate control mechanism for performing the oil supply control, and the oil supply control can be performed at low cost.
[0009]
Further, in the variable compression ratio engine of the present invention, control is performed such that the supply amount of oil to the portion where oil lubrication is performed is increased at a low compression ratio, reduced or stopped at a high compression ratio.
[0010]
That is, the variable compression ratio engine controls the compression ratio to a high compression ratio at a low load and to a low compression ratio at a high load. Therefore, as described above, a sufficient oil supply is required at a low compression ratio in a high load state, and a small amount of oil supply is required at a high compression ratio in a low load state.
[0011]
The high compression ratio is set mainly in the low-speed low-load range, and in the low-speed range, the hydraulic pressure decreases and the amount of oil that can be supplied is limited. When the oil supply amount is reduced, oil can be preferentially supplied to a portion where the load is relatively high, such as the upper pin, the crankpin, and the crank main journal, which requires more oil supply.
The low compression ratio is set in the high-load range, especially in the high-speed rotation range where the maximum output is generated, because the hydraulic pressure increases and the amount of oil that can be supplied increases, so the control shaft eccentric shaft, control shaft bearing, control pin Can supply a sufficient amount of oil to other parts even if the supply of oil to the oil is increased.
[0012]
In particular, in a variable compression ratio engine that achieves high output by reducing the compression ratio and supercharging the intake air, the difference between the amount of oil required at a low load high compression ratio and a high load low compression ratio is further increased. It is very effective to vary the oil supply amount according to the conditions.
[0013]
However, at the time of cold start, in order to quickly raise the exhaust temperature and quickly raise the catalyst temperature to the temperature at which the catalyst is activated, it is better not to supply oil even at a low compression ratio state. In addition to the oil supply control based on the shaft angle, it is also effective to vary the oil supply amount and oil pressure according to the compression ratio by using other oil supply amount control means.
[0014]
The control link large end bearing has an oil hole, the control link rod has an oil passage connected to the control link large end bearing oil hole, and is connected to the control link rod oil passage. Oil is supplied from an oil hole near the small control end to a portion near the control link that requires oil lubrication. By changing the compression ratio by rotating the control shaft, the position of the control shaft eccentric shaft oil passage with respect to the control link large end bearing oil passage changes, and the oil supply amount to the oil near the control link that requires oil lubrication is variable. it can. According to the above configuration, it is possible to perform control for switching the supply amount of oil to a portion where oil lubrication is performed in accordance with the compression ratio. The oil supply amount is controlled by one or both of the position of the control shaft main shaft oil passage with respect to the control shaft main bearing oil passage and the position of the control shaft eccentric shaft oil passage with respect to the control link large end bearing oil passage. (Claim 4).
[0015]
That is, since the variable compression ratio engine has a mechanism that varies the compression ratio depending on the rotational position of the control shaft, the position of the control shaft eccentric shaft oil passage with respect to the bearing oil passage at the large end of the control link changes the compression ratio. Change at the same time. Therefore, by appropriately arranging the control link large end bearing oil passage and the control shaft eccentric shaft oil passage position, the control shaft can be a control mechanism that controls the oil flow according to the compression ratio. The control shaft bearing oil passage, the control shaft main shaft oil passage, the control shaft inside, the control shaft eccentric shaft oil passage, and the control link large end bearing through hole formed in the control link large end are a series of oil passages. Thus, the oil can be supplied from the large end of the control link to the control pin and other parts with variable injection amount.
[0016]
Further, in the present invention, an oil passage connecting the oil hole provided in the control shaft eccentric bearing and the control link small end bearing portion is formed in the control link rod portion, and the oil supply amount to the control pin is reduced by the compression ratio. Can be switched in accordance with the condition (claim 5).
[0017]
In this configuration, an oil passage connecting the control shaft eccentric bearing oil hole and the control link small end bearing is formed in the control link rod, and extends from the control link large end to the control link small end. By supplying oil to the control link, the centrifugal force of the control link, which oscillates around the control shaft eccentric shaft, can be used to pump oil to the small end using the control link. Oil can be supplied to the bearing portion. In addition, by passing the control shaft and control link large end, the oil supply is variably performed according to the change in compression ratio, so sufficient oil supply is performed at high load and low compression ratio, and at low load and high compression ratio Oil supply can be reduced. As a result, there is an effect that it is possible to avoid deterioration of lubrication of the control pin at a high load and to reduce oil pump loss at a low load. Forming a through-hole (oil passage) from the large end to the small end in the rod part of the link part reduces the cross-sectional area of the rod part and reduces the buckling strength. This is not preferable when the load acts in the direction of compressing the rod portion. However, in the control link, since the maximum load acts in the tensile direction and there is no fear of buckling, it is possible to provide a through hole from the large end side to the small end side while reducing the link weight.
[0018]
As a method of supplying oil to the control pin, an oil passage is sequentially formed in the crankshaft main bearing, the crankshaft main shaft (journal part), the crankpin, the lower link crankpin bearing, and the inside of the lower link to the control pin bearing. Supplying oil is also conceivable. However, in this method, a mechanism for varying the oil supply amount in accordance with the compression ratio is separately required, and in this method, an oil hole is formed inside the lower link on which a very large load is applied among the link parts. Therefore, the strength of the lower link decreases, which is not preferable. Also, since the crankshaft is rotating unlike the stationary control shaft, it is necessary to once overcome the centrifugal force of the crankshaft to supply oil into the crankshaft. Also, since the oil holes on the crankshaft main shaft and crankpin are always rotating with respect to the bearing-side oil holes, it is not possible to send oil directly from the oil holes on the crankshaft main shaft and crankpin to the bearing-side oil holes. It is necessary to form an oil groove around the oil hole and supply oil via the oil groove, which is inefficient.
[0019]
In the present invention, the control link small end has an oil injection hole, and the control link rod has an oil passage connecting the control shaft eccentric bearing oil hole and the control link small end oil injection hole. Oil injection from the oil injection hole at the small end to the piston back side, the piston pin, or the cylinder bore may be switched according to the compression ratio.
[0020]
That is, when the load is high and the compression ratio is high, the temperature of the upper part of the cylinder bore and the surface of the piston crown become high and knocking is likely to occur. Therefore, it is necessary to lower the temperature of the upper part of the cylinder bore and the piston crown surface by oil injection. It is also effective to supply oil using an oil jet to prevent seizure of the piston pin and piston skirt and prevent deterioration of lubrication. On the other hand, in order to reduce the cooling loss at low load and high compression ratio, increase the oil film temperature of the cylinder wall surface to reduce the drag resistance of the oil, and further improve the fuel efficiency by reducing the oil pump work, It is necessary to reduce the amount of oil injected into the piston. Therefore, by using a mechanism that varies the oil supply amount according to the compression ratio of the control shaft, at low compression ratios, oil is injected from the oil injection holes formed near the small end of the control link to the piston, piston pin, and piston skirt. Can be injected and supplied. When the compression ratio is high, excess oil consumption can be avoided by reducing the oil injection amount or stopping the injection. Accordingly, it is not necessary to form an oil jet in the cylinder block or to form an oil injection hole in the upper link or the lower link. However, the oil injection holes formed near the small end of the control link can be used as oil supply means at the time of a low compression ratio, and the oil injection holes provided in other parts can be used in combination as oil supply means.
[0021]
Further, in the present invention, as a means for controlling the oil supply amount variable according to the compression ratio, the oil hole position of the control shaft main shaft with respect to the oil hole of the control shaft main bearing bearing may be made variable. For example, by making the oil hole of the control shaft main shaft and the oil hole of the control shaft main bearing almost oppose at the control shaft rotation position at the lowest compression ratio, the oil between the control shaft main shaft and the control shaft main bearing at the maximum load The passage has the shortest distance and the largest sectional area, and the oil supply amount can be maximized. As the compression ratio increases, the oil passage distance between the main shaft and the main bearings increases, the cross-sectional area decreases, the oil supply decreases, and at the maximum compression ratio, the distance between the control shaft main shaft and the control shaft main bearings increases. Oil passage has the longest distance and the smallest sectional area, and the oil supply amount can be minimized. In order to increase the oil supply amount by expanding the oil passage in the oil hole of each part, by providing a circumferential oil groove on at least one of the control shaft main shaft side oil hole or the oil hole of the control shaft main bearing, When the control shaft is rotated to change the compression ratio, the opposing period between the main shaft side oil hole and the bearing side oil hole can be extended, and the compression ratio section where oil can be supplied is extended to increase the compression ratio. At times, oil can be supplied (claim 7).
[0022]
That is, since the control shaft is stationary with respect to the control shaft main bearing during periods other than during the compression ratio switching, the oil hole position of the control shaft main shaft with respect to the oil hole of the control shaft main bearing is fixed according to the compression ratio. Can be determined exactly. Therefore, as a means for accurately controlling the oil flow rate according to the compression ratio, it is effective to form an oil passage in the control shaft and variably control the oil supply amount according to the control shaft rotation angle. Also, by controlling the positional relationship between the oil hole in the control shaft main shaft and the oil hole in the control shaft main bearing, the amount of oil supplied to the oil passage inside the control shaft can be controlled. The oil supply to the oil supply destination downstream from the oil hole in the shaft main shaft can be controlled according to the compression ratio.
[0023]
According to a seventh aspect of the present invention, the oil supply amount is controlled by varying the positions of oil holes provided in the control shaft main shaft and the main bearing. The position of the oil hole of the eccentric shaft of the control shaft with respect to the oil hole provided in the outer bearing is made variable.
[0024]
That is, since the control link swings around the control shaft eccentric shaft, the oil hole position of the control shaft eccentric shaft with respect to the oil hole of the control link large end bearing cannot be fixed according to the compression ratio. Since the overlap period between the shaft-side oil hole and the bearing-side oil hole can be accurately determined during the swinging motion, the oil flow rate can be accurately controlled according to the compression ratio. In addition, since the positional relationship between the oil hole of the control shaft eccentric shaft and the oil hole of the control shaft eccentric bearing can be changed according to the compression ratio, the appropriate oil injection hole can be set at the appropriate control link swing position and the control link small end. By forming it in the portion, it becomes possible to optimally set the oil supply amount, supply timing, and supply direction to the oil supply destination.
[0025]
Also, in the present invention, by utilizing the switching of the oil passage between the bearing side and the shaft side depending on the crank angle, the oil hole of the control shaft eccentric shaft and the control shaft eccentric bearing of the control link are provided at a low compression ratio. The oil hole or oil groove of each part is set so that the oil supply amount or oil pressure is maximized twice while the control link makes one reciprocating swing at the timing when the oil hole comes closest in the vicinity of the swing center of the control link. Is formed. On the other hand, when the compression ratio is high, the control shaft rotates and the position of the control shaft eccentric bearing oil hole moves, and the oil hole of the control shaft eccentric shaft and the control shaft eccentric bearing oil hole of the control link near the end of the control link swing. Oil is supplied once while the control link reciprocates one time by the closest approach, or the position of the control shaft eccentric bearing oil hole exceeds the control shaft eccentric bearing oil hole swing range of the control link. The oil supply is not performed because the holes and the oil grooves do not face each other (claim 9).
[0026]
In this way, by making the oil hole of the control shaft eccentric shaft and the control shaft eccentric bearing oil hole of the control link closest at the low compression ratio near the swing center of the control link, the shaft side oil hole, bearing The overlap period of the side oil holes becomes maximum when the compression ratio is low, and the amount of oil supply to the control link small end portion when the compression ratio is low can be maximized. Also, while the control link swings one reciprocation, the oil injection amount peak from the small end of the control link can be divided into two peaks to maximize the amount, so that a sufficient amount of oil can be supplied at a specific time and in a specific direction. Can be supplied.
[0027]
Further, according to the same configuration as that of the ninth aspect, at the time of the low compression ratio, oil is supplied to the cylinder bore at the piston top dead center while the control link makes one reciprocating swing, and the piston back side at the piston bottom dead center, Oil can be supplied to the piston pin (claim 10).
[0028]
For example, when oil is supplied to a piston, a piston pin, and a cylinder bore, the oil injection amount peak twice corresponds to the piston top dead center timing and the piston bottom dead center timing. Oil can be supplied to the piston and the piston pin at the same time, and can also be supplied to the cylinder bore at the top dead center of the piston.
[0029]
Further, in the present invention, since the control link small end swings about the control shaft eccentric shaft, the control link small end periodically comes closest to the piston. In addition, the control link small end is closest to the piston when the compression ratio is low than when the compression ratio is high. Therefore, at the timing when the control link small end approaches the piston at the lowest compression ratio, the oil hole or oil groove of each part is so set that the largest amount of oil is injected from the control link small end oil injection hole toward the piston. It may be formed (claim 11).
[0030]
In the configuration of the eleventh aspect, oil is supplied in the largest amount at the timing when the small end of the control link comes closest to the piston. By doing so, the oil can be efficiently supplied from the oil injection hole at the small end of the control link to the area where the oil of the piston is required, and the piston, the piston pin, and the cylinder bore are provided as claimed in
[0031]
Further, in the present invention, a plurality of oil holes or oil grooves are formed in at least one of the control shaft, the control shaft main bearing, and the control shaft eccentric bearing, and the oil supply amount is switched by switching an oil supply passage according to a compression ratio. Can be switched according to the compression ratio. For example, by providing two oil holes on the eccentric shaft of the control shaft, it is possible to switch the oil passage used on the low compression ratio side and the high compression ratio side (claim 12).
[0032]
That is, if one oil passage attempts to control the oil supply amount in the entire compression ratio range, the rotation angle of the control shaft for changing the compression ratio is large, so that the shaft-side oil passage and the bearing at low compression ratio are used. When the oil passage is set so that the oil flow is maximized by direct communication with the oil passage on the side, in order to supply oil even on the high compression ratio side, an oil groove connected to an oil hole is formed. Oil supply must be provided through the groove. If oil is supplied through the oil groove in this manner, part of the oil flows out from the oil groove to the bearing, so that it is not easy to supply a fixed amount of oil to each part on the high compression ratio side. Therefore, a plurality of oil passages are provided in the control shaft for the high compression ratio and for the low compression ratio, and the oil passages are selectively used for the high compression ratio and the low compression ratio. In this case, stable oil supply to each part can be performed.
[0033]
As a means for supplying oil to the control shaft main bearing, in a configuration having a bearing beam or a ladder frame integrally connecting a plurality of bearing caps for rotatably fixing the control shaft, Thus, an oil passage for supplying oil to the control shaft main bearing can be formed. In other words, oil is supplied to each control shaft main bearing by forming an oil passage through hole in the bearing beam or ladder frame and forming oil passages leading to these oil passage through holes in multiple control shaft bearing caps. (Claim 13).
[0034]
By providing the through holes for the oil passages in the bearing beam or ladder frame in this way, it is not necessary to extend the oil passages from the bearing caps for each crankshaft to the main bearings of each control shaft, thus reducing the man-hours for forming the oil passages As a result, the rigidity of each crankshaft bearing cap can be increased. Further, it is not necessary to provide a through-hole that communicates with each control shaft main bearing in the control shaft, and the diameter of the control shaft can be reduced, so that the control shaft can be reduced in weight and size.
[0035]
【The invention's effect】
According to the present invention, at the time of a low load and a high compression ratio, the oil supply amount is reduced, the oil pump loss is reduced, and the fuel efficiency can be improved. In addition, when the load is high and the compression ratio is high, by increasing the oil supply amount, it is possible to supply sufficient oil to each part requiring oil lubrication, and it is possible to reliably prevent seizure and deterioration of lubrication.
[0036]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 is a diagram showing a configuration of a variable compression ratio mechanism in a reciprocating variable compression ratio engine according to the present invention.
[0037]
The
[0038]
The
[0039]
The lower end of the
[0040]
The
[0041]
The rotational position of the
[0042]
In the variable compression ratio mechanism using the multi-link type piston-crank mechanism as described above, when the
[0043]
FIG. 2 shows the configuration of the lubrication mechanism of the piston-crank mechanism as described above. A crankshaft bearing
[0044]
FIG. 3 is an explanatory view of the configuration of the oil passage from the bearing
[0045]
FIG. 4 shows an example of the oil passage configuration inside the
[0046]
The example shown in FIG. 4B is basically the same, but the
[0047]
In the example shown in FIG. 4C, the
[0048]
5 and 6 illustrate the basic operation of the present invention. FIG. 5 shows a state at a low load and high compression ratio, and FIG. 6 shows a state at a high load and low compression ratio. A line m in the figure indicates a line passing through the center of the
[0049]
At a high load, the compression ratio is controlled to a low compression ratio in order to avoid knocking or the like. However, as shown in FIG. 6, the
Then, the oil is finally injected from the
[0050]
On the other hand, when the load is low, the compression ratio is controlled to a high compression ratio in order to improve the thermal efficiency and the like. However, as shown in FIG. 5, the
[0051]
Next, the embodiment of FIGS. 7 to 10 utilizes the fact that the
[0052]
At a high compression ratio (low load), the
[0053]
On the other hand, when the compression ratio is low (when the load is high), as described above, the
[0054]
In addition, for example, by changing the position of the open end of the
[0055]
Next, FIG. 11 and FIG. 12 show an embodiment in which the
[0056]
When the compression ratio is high (low load), one end of the
[0057]
On the other hand, when the compression ratio is low (when the load is high), one end of the
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view showing a variable compression ratio mechanism of a variable compression ratio engine according to the present invention.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing an oil passage configuration of the lubrication mechanism.
FIG. 3 is an explanatory diagram showing an oil passage configuration as viewed from an engine side.
FIG. 4 is an explanatory diagram showing an example of an oil passage configuration inside a control link.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing a state at a low load and a high compression ratio.
FIG. 6 is an explanatory diagram showing a state at the time of a high load and a low compression ratio.
FIGS. 7A and 7B are explanatory diagrams showing a state near the control link when the crank angle is 0 ° in comparison with (a) at a low load and (b) at a high load.
FIG. 8 is an explanatory view when the crank angle is 90 °.
FIG. 9 is an explanatory diagram when the crank angle is 180 °.
FIG. 10 is an explanatory diagram when the crank angle is 270 °.
FIG. 11 is an explanatory diagram when the crank angle is 0 ° in an embodiment in which there are two oil passages in the control shaft.
FIG. 12 is an explanatory view when the crank angle is 90 °.
[Explanation of symbols]
1 .... Crankshaft
2. Lower link
3. Piston
5… Upper link
6. Control link
7 ... Control shaft
8 ... Eccentric shaft
Claims (13)
オイル潤滑が行われる部位へのオイル供給量を圧縮比に応じて可変にすることを特徴とするレシプロ式可変圧縮比機関。An upper link connected to the piston via a piston pin, a lower link pivotally connected to the upper link via the upper pin, and rotatably mounted on the crankpin of the crankshaft; A control link that is swingably connected to the lower link via a control pin, and a control shaft that is rotatably provided on the cylinder block and has an eccentric shaft that swingably supports the other end of the control link. And a reciprocating variable compression ratio engine that variably controls an engine compression ratio by controlling an eccentric shaft position of the control shaft according to engine operating conditions.
A reciprocating variable compression ratio engine characterized in that an amount of oil supplied to a portion where oil lubrication is performed is made variable in accordance with a compression ratio.
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