JP2004115875A - 液体金属濃度操作方法並びに装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質の精製機能を確保し、固体電解質の寿命が長く、長時間連続で精製運転可能なナトリウム精製装置を提供すること。
【解決手段】ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。
【選択図】 図1
【解決手段】ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質を用いた液体金属(例えば、ナトリウム)濃度操作装置(例えば、精製等濃度操作装置)並びに方法に係わり、従来の濃度操作装置(例えば、ナトリウム精製法)に比べ、寿命が長く、長時間連続で濃度操作(精製運転)が可能で、かつ、所望の液体金属濃度(例えば、高純度のナトリウム)が得られる液体金属濃度操作方法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術については、液体金属としてナトリウムを代表例に、化学操作としてはナトリウム中の不純物を除去して不純物濃度を制御する純化操作を例にナトリウム精製方法並びに装置に関して述べる。
【0003】
従来のナトリウム精製方法並びに装置の一公知例として、特公平7−74406号公報の例を図2に示す。図では精製容器内に袋管状の固体電解質管1を設置し、固体電解質管1の外側下部精製容器5に不純物を含むナトリウム2を、固体電解質管1の内側上部精製容器6に不純物を含まないナトリウム3を充填する。下部精製容器5と上部精製容器6との間に直流電源4を印加して固体電解質管1の内外面に電場を与える。不純物を含むナトリウム2は、電場の効果で純粋なナトリウムのみが固体電解質管1を透過し、上部精製容器6には不純物を含まないナトリウム3が蓄積する。この際、ナトリウム中の不純物は固体電解質管1を透過できないので、下部精製容器5に残留し、精製の継続と共に不純物濃度が濃縮される結果となる。
【0004】
下部精製容器5に残留した不純物は、固体電解質管1の表面に付着すると、固体電解質管1の実効表面積が低下することに相当するため、固体電解質管1のナトリウム精製能力を低下させることになる。
【0005】
さらに、不純物を含むナトリウム2中には固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物が存在する場合もある。仮に、固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物が付着すると、固体電解質管1の劣化や破損を引き起こす可能性がある。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−74406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の欠点を補うため、固体電解質を用いてナトリウムを精製する場合に、ナトリウム中の不純物が濃縮される側の固体電解質の精製機能を健全に維持するため、固体電解質表面に不純物が過剰に付着・蓄積することを防止する。ナトリウムの精製を長時間連続運転できるように濃縮される不純物を所望の場所で連続回収する。さらに、固体電解質の寿命を左右する不純物についても固体電解質に悪影響を与えないように回収する。
【0008】
従って、本発明の目的は、固体電解質を用いてナトリウムを精製する場合に、ナトリウム中の不純物が濃縮される側の固体電解質の精製機能を健全に維持し、かつ、固体電解質の寿命が長く、長時間連続で精製運転可能とする高純度のナトリウムが得られる液体金属濃度操作方法並びに装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体金属濃度操作方法並びに装置は、(1)ナトリウムを選択透過できる固体電解質を利用し、(2)不純物を含んだナトリウムの供給駆動源として固体電解質に電場を印加し、ナトリウムイオンを駆動するポンプ作用を利用、(3)固体電解質を透過しない不純物が残留・蓄積した高濃度不純物領域に不純物回収手段を設け、(4)固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域のナトリウム中不純物濃度が常に未飽和状態に維持できるように、ナトリウム精製領域の温度を他の領域に比べ、幾分高めに制御し、さらに、(5)ナトリウム透過流量を固体電解質の通電電流量で微調整し、ナトリウム精製領域のナトリウム中不純物濃度を常に未飽和状態に維持、(6)固体電解質表面に過剰な不純物の付着・蓄積を防止してナトリウム中の不純物を長時間連続で除去できる。
【0010】
さらに、(7)固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより、濃淡電池を形成しえる。
【0011】
本発明によれば、ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。一方、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過することによって、残された不純物濃度の高いナトリウム領域は、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域より低温に維持し、ナトリウム中の不純物濃度を飽和濃度以上にして過飽和分の不純物を固体析出させる。従って、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム領域は未飽和の不純物溶解度状態に維持できる。不純物濃度を未飽和に維持するためには、上記したナトリウム精製領域を高温にするばかりでなく、固体電解質の透過ナトリウム量を制御してナトリウム精製領域の不純物濃度を制御することも可能である。微量の流量制御が必要となるが固体電解質の透過電流を制御することで簡単に高精度の流量制御が実現できる。
【0012】
その結果、不純物は固体電解質表面に付着・蓄積していくことがなく、固体電解質表面を清浄に維持できるため、安定に固体電解質の精製機能が持続できる。不純物を固体回収するため、常に、一定条件で長時間連続のナトリウム純化運転が可能となる。また、不純物による固体電解質への悪影響が防止できるため長寿命のナトリウム純化装置が実現できる。
【0013】
さらに、固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより濃淡電池を形成し、電気エネルギーを取り出せる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、実施例について本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。
【0016】
図では精製容器7内に袋管状の固体電解質管1を設置し、固体電解質管1の外周側に不純物を含むナトリウム2を供給配管8から供給した。一方、固体電解質管1の内側には不純物のない純粋なナトリウム3を充填した。固体電解質管1の内側電極(陰極)10と外側電極(陽極)11間に直流電源9を用いて直流電圧を印加する。両極の間は、電気絶縁シール21で絶縁した。精製容器7に充填された不純物を含むナトリウム2は、電場の効果でナトリウムのみが固体電解質管1を矢印17の向きに透過し、固体電解質管1の内側に不純物を含まないナトリウム3として蓄積していく。なお、ナトリウムは固体電解質管1内を正イオン状態となって透過する。
【0017】
この際、ナトリウム中の不純物は固体電解質管1を透過できないので、精製容器7に残留し、精製の継続と共に精製容器7中に不純物が蓄積して不純物濃度が高くなる。精製容器7に残留・濃縮される不純物を除去することなく、精製運転を続けるとナトリウム中の不純物濃度が飽和溶解度を超えることになる。このままにしておくと、飽和溶解度以上の不純物は、固体電解質管1の外表面や精製容器7の容器表面,供給配管8等に固体状に析出することになる。仮に、固体電解質管1の表面が固体不純物で覆われれば、固体電解質管の有効表面積が縮小し機能が低下することになる。具体的には、固体電解質管の抵抗値が上がり、ジュール発熱が大きくなると共に、固体電解質管の局所に電流が集中して流れるため、固体電解質管の劣化や破損に繋がる。さらに、固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物(カルシウム等)が固体電解質管1に付着する可能性もあり、この場合には固体電解質管1の劣化や破損を起こす可能性がある。
【0018】
本実施例では、ナトリウム中の不純物濃度が増した精製容器7の下方に不純物を回収する手段を設けた。すなわち、固体電解質管1のナトリウム精製領域13(固体電解質管1の外表面周辺のナトリウム領域)の温度に比べ、固体電解質管1の下方に当たる不純物析出領域14の温度を低く維持した。上記不純物析出領域14を冷却する手段として本実施例では冷却フィン15を設けた。不純物を含むナトリウム2は精製が進むに連れてナトリウム中の不純物濃度が高まるため、やがてはナトリウム中の不純物の溶解濃度を超え、過飽和状態に達する。そこで、不純物析出領域14の温度をナトリウム精製領域13より下げてやれば、ナトリウム精製領域13が飽和状態になる前に、不純物析出領域14で不純物が飽和析出して下部に堆積することになる。なお、ナトリウム精製領域13は固体電解質管1の通電時のジュール発熱によって温度が周囲よりも上がる。
【0019】
本実施例では、固体電解質管1としてベータアルミナの袋管を用いた。また、供給配管8から供給されるナトリウム温度を300℃とし、精製容器7の上部もほぼ、この温度で制御した。実際にナトリウムを精製するナトリウム精製領域
13は固体電解質管1の通電時のジュール発熱によってほぼ、5℃高い305℃程度に維持された。一方、不純物析出領域14は冷却フィン15によって約200℃に制御した。
【0020】
本実施例のナトリウム中不純物は酸化ナトリウム,水酸化ナトリウム,カルシウム,水素化ナトリウム,金属元素等であったが固体電解質管1で良く除去できた。精製時の通電電流は固体電解質管1の単位面積当たりの電流密度で1A/cm2 とした。ナトリウムの精製量は0.8gNa/Ahである。使用した固体電解質管の表面積が約1000cm2 であったので、1時間当たり800gのナトリウムを純化できた。無論、ナトリウム処理量は、この電流密度を増大するか、固体電解質管の表面積を増大することで増大できる。
【0021】
ナトリウムの供給に関しては、固体電解質管1に印加した電場の作用により、供給配管8から精製容器7への不純物を含むナトリウム2の供給が可能となり、不純物を含まないナトリウム3の駆動についても同じく、固体電解質管1に印加した電場の作用により、外部駆動源なしで固体電解質管1内から純化ナトリウム流出配管16を経て流出可能である。すなわち、固体電解質管1に印加された電場がポンプ作用を果たすことになる。
【0022】
固体電解質管への通電電流とナトリウムの流量の関係について詳述しておく。ナトリウム流量Vは下式で表せる。
【0023】
V=MiS/zF
ここで、Mはナトリウムの質量数、Sは固体電解質の表面積、iは固体電解質の単位表面積当たりの電流密度、zは価数、Fはファラデー定数を表す。従って、ナトリウムの流量は透過する電流によって決定されることになる。すなわち、電流を制御することによって、流量制御を精度良く時間的にも安定にかつ、簡便に実施することが可能となる。
【0024】
図3は本発明の第2の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例では、図1と変わって、固体電解質管1内にヒータ19を設置した。ヒータ19を用いて不純物を含まないナトリウム3を加熱し、惹いてはナトリウム精製領域13の温度を積極的に不純物析出領域14より高める。この時、ナトリウム精製領域13の温度は、ヒータ18とヒータ20の出力を調整して精製容器7の上部、供給配管8より幾分高く維持する。さらに、該供給配管8から供給されるナトリウム温度よりもナトリウム精製領域13を幾分高めに設定した。これらの措置によって、ナトリウム精製領域13が周囲のNa温度より高くなり、仮に、注入ナトリウムの不純物濃度が飽和状態であったり、周囲ナトリウムが飽和状態であったりしてもナトリウム精製領域13では常に未飽和状態が成立し、固体電解質管1の表面に不純物が析出することを防止できる。
【0025】
図4は本発明の第3の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。ナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持するため、図3と変わって、精製容器7中に不純物センサ22とナトリウム温度計24を設け、電源回路に流量制御装置23を設けた。不純物センサ22として、本実施例ではナトリウム中に安定化ジルコニアを用いた酸素計を挿入した。不純物センサ22の信号とナトリウム温度計24の信号をもとにナトリウム中の酸素濃度を算出し、飽和濃度と比較して▲1▼飽和濃度より高ければ、ナトリウムの精製を停止し、▲2▼許容設定値(飽和濃度以下)以下であれば、精製処理量を増大(通電量を増加)し、許容設定値以上なら流量を絞った。
【0026】
すなわち、ナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持するため、図3では温度を制御して目的を達成したが、本実施例では処理するナトリウム流量を制御して目的を達成した。結果はナトリウム流量の制御精度により大きく左右されるが、前述したように本実施例では流量制御が高精度で実施できるため、不純物濃度を所望の値に制御することが容易になる。
【0027】
図5は本発明の第4の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図1と変わって、図3で設けた加熱用ヒータ19と図4で設けた不純物センサを用いた流量調節の両方を具備してナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持する信頼性を高めた。
【0028】
図6は本発明の第5の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図1と変わって、固体電解質管1の内表面側、すなわち、不純物のないナトリウム側に補助電極25を設けた。補助電極25は固体電解質管1の内表面に電気的に接触しており、仮に、ナトリウム純化装置の運転開始時点で固体電解質管内に純化されたナトリウムが存在しない場合でも固体電解質管1に電流を流すことを可能としたものである。
【0029】
補助電極25として本実施例ではステンレス製のメッシュ(金網)を用いた。メッシュサイズは350番とした。当然、蒸着やスパッタ等の薄膜を利用することも可能である。なお、材質的にはナトリウムに耐食性があるものを選定する必要がある。
【0030】
図7は本発明の第6の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。これまでの実施例とかわり、複数本の固体電解質管1を精製容器26に挿入した。固体電解質管1が1本であった図1に較べ、一度に多量のナトリウム純化が可能となる。精製容器26や流量制御装置27が1個で済むため、経済性も向上できる。不純物を含むナトリウムは入り口バルブ28から投入される。精製後のナトリウムは出口バルブ29から流出する。不純物は精製容器26の冷却フィン15が設置された下部に蓄積する。
【0031】
図8は本発明の第7の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、本提案の純化装置をナトリウムを用いた化学反応装置と結合したものである。化学反応装置のナトリウム槽30から使用中の不純物を含んだナトリウムを汲み出し、バルブ28を経て精製容器7に供給する。なお、31は化学反応領域を示す。精製容器7内は提案した第1から第6の実施例のどの方法でも良い。本実施例では、化学反応装置としてナトリウム硫黄電池に適用した。
【0032】
図9は本発明の第8の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図8に変わり、多数本の固体電解質管1を用いてナトリウムの純化処理速度を向上させたものである。
【0033】
図10は本発明の第9の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図9に変わり、化学反応装置として高速増殖炉45に適用した例である。高速増殖炉の炉心46の冷却にはナトリウムを用いており、炉心から出たナトリウムが熱交換器55を通過してバルブ28を経て本提案の精製装置に供給される。精製後のナトリムはバルブ29を経て高速増殖炉45へと戻る。
【0034】
図11は本発明の第10の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図10と同じく化学反応装置として、高速増殖炉を用いた場合を示した。ナトリウム純化装置34にバルブを介して高速増殖炉のナトリウム配管を接続した。矢印43は不純物を含んだナトリウムの流入流れを示し、矢印44は不純物を含まない純粋なナトリウムの流出流れを示す。
【0035】
常時は、純化装置32を流通してナトリウムを純化する。ナトリウムの流れは、配管からバルブ35を通り、純化装置32で精製され、バルブ36を通り配管へ達する。純化装置32は、本提案の純化法とは異なり、ナトリウム温度を冷却してナトリウム中の不純物を除去する純化方式を用いたコールドトラップ装置である。この方法は純化速度が速いが、純化できる不純物の種類が限定されることと、単位体積あたりの不純物除去密度が本提案のナトリウム純化装置34に比べ、1/10程度と低い欠点がある。
【0036】
そこで、純化装置32の精製能力が低下すると、バルブ35を閉じて、バルブ41を開けてナトリウムの流れ方向を変え、純化装置33に切り替える。純化装置33を使用してナトリウムの流れは止めることなく精製できるので高速増殖炉は連続運転できる。純化装置33を使用して本流のナトリウムを純化している間に精製能力が低下した純化装置32の再生をする。再生には本提案のナトリウム純化装置34を用いる。精製の方法はすでに上記した通りである。
【0037】
図12は本発明の第11の実施例を示すナトリウムばかりでなく、二種以上の液体金属を精製する方法並びに装置の断面図である。本実施例では、液体金属としてナトリウムとリチウムが共存する系に適用した場合であり、ナトリウムに選択的に透過性のある固体電解質管1ばかりでなく、リチウムイオンに選択的に透過性のある固体電解質47を精製容器26に装着した。従って、ナトリウムとリチウムの共存系に含まれる不純物をそれぞれの固体電解質を用いることによって除去できる。また、除去後の純化されたナトリウムとリチウムはそれぞれ、バルブ29,バルブ48を経て化学反応装置へと戻される。
【0038】
無論必要に応じて純化後のナトリウムとリチウムを単独で取り出すことも可能である。
【0039】
また、上記の例では二種以上の液体金属としてナトリウムとリチウムとしたが、鉛とビスマス等何であってもかまわない。
【0040】
図13は本発明の第12の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図6と変わって、固体電解質管1内のナトリウムを液体ではなく蒸気ナトリウム49として扱ったものである。固体電解質管1内に蒸気移送管50を設け、ナトリウム凝縮容器51内で冷却フィン54を用いてナトリウム蒸気を凝縮した。53は凝縮した液体ナトリウムを示す。
【0041】
本実施例によれば、ナトリウム凝縮容器51の温度を下げることにより固体電解質管1の内外面のナトリウム蒸気に圧力差を生じ、濃淡電池を形成する。すなわち、固体電解質管を境界面として対峙する高温のナトリウムと低温のナトリウムの温度差による熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。
【0042】
以上、固体電解質を主に円筒状の袋管で説明したが、袋管に拘る必要はなく、平板や円盤状等であっても本発明の機能を損ねるものではない。また、装置全体の形状も同様、円筒構造に限定されたものでない。
【0043】
また、本実施例では固体電解質としてベータアルミナを例に説明したがナシコン等ナトリウムを選択的に透過できる固体電解質であれば一向にその効果を損なうものではない。
【0044】
さらに、実施例の最初に記述したように化学操作としては、純化・精製系、媒体としてはナトリウムについて説明したが、例えば、リチウムや水銀,鉛等ナトリウム以外の液体金属とその金属を選択透過できる固体電解質の組み合わせであれば、本提案の方法は精製以外の化学操作に対して、一向にその効果を損なうものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。一方、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過することによって、残された不純物濃度の高いナトリウム領域は、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域より低温に維持し、ナトリウム中の不純物濃度を飽和濃度以上にして過飽和分の不純物を固体析出させる。従って、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム領域は未飽和の不純物溶解度状態に維持できる。不純物濃度を未飽和に維持するためには、上記したナトリウム精製領域を高温にするばかりでなく、固体電解質の透過ナトリウム量を制御してナトリウム精製領域の不純物濃度を制御することも可能である。微量の流量制御が必要となるが固体電解質の透過電流を制御することで簡単に高精度の流量制御が実現できる。
【0046】
その結果、不純物は固体電解質表面に付着・蓄積していくことがなく、固体電解質表面を清浄に維持できるため、安定に固体電解質の精製機能が持続できる。不純物を固体回収するため、常に、一定条件で長時間連続のナトリウム純化運転が可能となる。また、不純物による固体電解質への悪影響が防止できるため長寿命のナトリウム純化装置が実現できる。
【0047】
さらに、固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより、濃淡電池を形成し電気エネルギーを取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図2】従来例の構造を示す図。
【図3】本発明の第2の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図5】本発明の第4の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図6】本発明の第5の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図7】本発明の第6の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図8】本発明の第7の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図9】本発明の第8の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図10】本発明の第9の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図11】本発明の第10の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図12】本発明の第11の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図13】本発明の第12の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【符号の説明】
1…固体電解質管(例えばベータアルミナ管)、2…不純物を含むナトリウム、3…不純物を含まないナトリウム、4,9…直流電源、5…下部精製容器、6…上部精製容器、7…精製容器、8…供給配管、10…固体電解質管内側電極(陰極)、11…固体電解質管外側電極(陽極)、12…不純物、13…ナトリウム精製領域、14…不純物析出領域、15…冷却フィン、16…純化ナトリウム流出配管、17…ナトリウムイオンの流れ、18,19,20…加熱ヒータ、21…電気絶縁シール、27…流量制御装置、28,29…バルブ、30…化学反応装置のナトリウム槽、31…化学反応領域、32,33…純化装置(コールドトラップ等)、34…本提案のナトリウム純化装置、45…高速増殖炉、46…炉心、55…熱交換器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質を用いた液体金属(例えば、ナトリウム)濃度操作装置(例えば、精製等濃度操作装置)並びに方法に係わり、従来の濃度操作装置(例えば、ナトリウム精製法)に比べ、寿命が長く、長時間連続で濃度操作(精製運転)が可能で、かつ、所望の液体金属濃度(例えば、高純度のナトリウム)が得られる液体金属濃度操作方法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術については、液体金属としてナトリウムを代表例に、化学操作としてはナトリウム中の不純物を除去して不純物濃度を制御する純化操作を例にナトリウム精製方法並びに装置に関して述べる。
【0003】
従来のナトリウム精製方法並びに装置の一公知例として、特公平7−74406号公報の例を図2に示す。図では精製容器内に袋管状の固体電解質管1を設置し、固体電解質管1の外側下部精製容器5に不純物を含むナトリウム2を、固体電解質管1の内側上部精製容器6に不純物を含まないナトリウム3を充填する。下部精製容器5と上部精製容器6との間に直流電源4を印加して固体電解質管1の内外面に電場を与える。不純物を含むナトリウム2は、電場の効果で純粋なナトリウムのみが固体電解質管1を透過し、上部精製容器6には不純物を含まないナトリウム3が蓄積する。この際、ナトリウム中の不純物は固体電解質管1を透過できないので、下部精製容器5に残留し、精製の継続と共に不純物濃度が濃縮される結果となる。
【0004】
下部精製容器5に残留した不純物は、固体電解質管1の表面に付着すると、固体電解質管1の実効表面積が低下することに相当するため、固体電解質管1のナトリウム精製能力を低下させることになる。
【0005】
さらに、不純物を含むナトリウム2中には固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物が存在する場合もある。仮に、固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物が付着すると、固体電解質管1の劣化や破損を引き起こす可能性がある。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−74406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の欠点を補うため、固体電解質を用いてナトリウムを精製する場合に、ナトリウム中の不純物が濃縮される側の固体電解質の精製機能を健全に維持するため、固体電解質表面に不純物が過剰に付着・蓄積することを防止する。ナトリウムの精製を長時間連続運転できるように濃縮される不純物を所望の場所で連続回収する。さらに、固体電解質の寿命を左右する不純物についても固体電解質に悪影響を与えないように回収する。
【0008】
従って、本発明の目的は、固体電解質を用いてナトリウムを精製する場合に、ナトリウム中の不純物が濃縮される側の固体電解質の精製機能を健全に維持し、かつ、固体電解質の寿命が長く、長時間連続で精製運転可能とする高純度のナトリウムが得られる液体金属濃度操作方法並びに装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体金属濃度操作方法並びに装置は、(1)ナトリウムを選択透過できる固体電解質を利用し、(2)不純物を含んだナトリウムの供給駆動源として固体電解質に電場を印加し、ナトリウムイオンを駆動するポンプ作用を利用、(3)固体電解質を透過しない不純物が残留・蓄積した高濃度不純物領域に不純物回収手段を設け、(4)固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域のナトリウム中不純物濃度が常に未飽和状態に維持できるように、ナトリウム精製領域の温度を他の領域に比べ、幾分高めに制御し、さらに、(5)ナトリウム透過流量を固体電解質の通電電流量で微調整し、ナトリウム精製領域のナトリウム中不純物濃度を常に未飽和状態に維持、(6)固体電解質表面に過剰な不純物の付着・蓄積を防止してナトリウム中の不純物を長時間連続で除去できる。
【0010】
さらに、(7)固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより、濃淡電池を形成しえる。
【0011】
本発明によれば、ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。一方、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過することによって、残された不純物濃度の高いナトリウム領域は、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域より低温に維持し、ナトリウム中の不純物濃度を飽和濃度以上にして過飽和分の不純物を固体析出させる。従って、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム領域は未飽和の不純物溶解度状態に維持できる。不純物濃度を未飽和に維持するためには、上記したナトリウム精製領域を高温にするばかりでなく、固体電解質の透過ナトリウム量を制御してナトリウム精製領域の不純物濃度を制御することも可能である。微量の流量制御が必要となるが固体電解質の透過電流を制御することで簡単に高精度の流量制御が実現できる。
【0012】
その結果、不純物は固体電解質表面に付着・蓄積していくことがなく、固体電解質表面を清浄に維持できるため、安定に固体電解質の精製機能が持続できる。不純物を固体回収するため、常に、一定条件で長時間連続のナトリウム純化運転が可能となる。また、不純物による固体電解質への悪影響が防止できるため長寿命のナトリウム純化装置が実現できる。
【0013】
さらに、固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより濃淡電池を形成し、電気エネルギーを取り出せる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、実施例について本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。
【0016】
図では精製容器7内に袋管状の固体電解質管1を設置し、固体電解質管1の外周側に不純物を含むナトリウム2を供給配管8から供給した。一方、固体電解質管1の内側には不純物のない純粋なナトリウム3を充填した。固体電解質管1の内側電極(陰極)10と外側電極(陽極)11間に直流電源9を用いて直流電圧を印加する。両極の間は、電気絶縁シール21で絶縁した。精製容器7に充填された不純物を含むナトリウム2は、電場の効果でナトリウムのみが固体電解質管1を矢印17の向きに透過し、固体電解質管1の内側に不純物を含まないナトリウム3として蓄積していく。なお、ナトリウムは固体電解質管1内を正イオン状態となって透過する。
【0017】
この際、ナトリウム中の不純物は固体電解質管1を透過できないので、精製容器7に残留し、精製の継続と共に精製容器7中に不純物が蓄積して不純物濃度が高くなる。精製容器7に残留・濃縮される不純物を除去することなく、精製運転を続けるとナトリウム中の不純物濃度が飽和溶解度を超えることになる。このままにしておくと、飽和溶解度以上の不純物は、固体電解質管1の外表面や精製容器7の容器表面,供給配管8等に固体状に析出することになる。仮に、固体電解質管1の表面が固体不純物で覆われれば、固体電解質管の有効表面積が縮小し機能が低下することになる。具体的には、固体電解質管の抵抗値が上がり、ジュール発熱が大きくなると共に、固体電解質管の局所に電流が集中して流れるため、固体電解質管の劣化や破損に繋がる。さらに、固体電解質管1に悪影響を及ぼす不純物(カルシウム等)が固体電解質管1に付着する可能性もあり、この場合には固体電解質管1の劣化や破損を起こす可能性がある。
【0018】
本実施例では、ナトリウム中の不純物濃度が増した精製容器7の下方に不純物を回収する手段を設けた。すなわち、固体電解質管1のナトリウム精製領域13(固体電解質管1の外表面周辺のナトリウム領域)の温度に比べ、固体電解質管1の下方に当たる不純物析出領域14の温度を低く維持した。上記不純物析出領域14を冷却する手段として本実施例では冷却フィン15を設けた。不純物を含むナトリウム2は精製が進むに連れてナトリウム中の不純物濃度が高まるため、やがてはナトリウム中の不純物の溶解濃度を超え、過飽和状態に達する。そこで、不純物析出領域14の温度をナトリウム精製領域13より下げてやれば、ナトリウム精製領域13が飽和状態になる前に、不純物析出領域14で不純物が飽和析出して下部に堆積することになる。なお、ナトリウム精製領域13は固体電解質管1の通電時のジュール発熱によって温度が周囲よりも上がる。
【0019】
本実施例では、固体電解質管1としてベータアルミナの袋管を用いた。また、供給配管8から供給されるナトリウム温度を300℃とし、精製容器7の上部もほぼ、この温度で制御した。実際にナトリウムを精製するナトリウム精製領域
13は固体電解質管1の通電時のジュール発熱によってほぼ、5℃高い305℃程度に維持された。一方、不純物析出領域14は冷却フィン15によって約200℃に制御した。
【0020】
本実施例のナトリウム中不純物は酸化ナトリウム,水酸化ナトリウム,カルシウム,水素化ナトリウム,金属元素等であったが固体電解質管1で良く除去できた。精製時の通電電流は固体電解質管1の単位面積当たりの電流密度で1A/cm2 とした。ナトリウムの精製量は0.8gNa/Ahである。使用した固体電解質管の表面積が約1000cm2 であったので、1時間当たり800gのナトリウムを純化できた。無論、ナトリウム処理量は、この電流密度を増大するか、固体電解質管の表面積を増大することで増大できる。
【0021】
ナトリウムの供給に関しては、固体電解質管1に印加した電場の作用により、供給配管8から精製容器7への不純物を含むナトリウム2の供給が可能となり、不純物を含まないナトリウム3の駆動についても同じく、固体電解質管1に印加した電場の作用により、外部駆動源なしで固体電解質管1内から純化ナトリウム流出配管16を経て流出可能である。すなわち、固体電解質管1に印加された電場がポンプ作用を果たすことになる。
【0022】
固体電解質管への通電電流とナトリウムの流量の関係について詳述しておく。ナトリウム流量Vは下式で表せる。
【0023】
V=MiS/zF
ここで、Mはナトリウムの質量数、Sは固体電解質の表面積、iは固体電解質の単位表面積当たりの電流密度、zは価数、Fはファラデー定数を表す。従って、ナトリウムの流量は透過する電流によって決定されることになる。すなわち、電流を制御することによって、流量制御を精度良く時間的にも安定にかつ、簡便に実施することが可能となる。
【0024】
図3は本発明の第2の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例では、図1と変わって、固体電解質管1内にヒータ19を設置した。ヒータ19を用いて不純物を含まないナトリウム3を加熱し、惹いてはナトリウム精製領域13の温度を積極的に不純物析出領域14より高める。この時、ナトリウム精製領域13の温度は、ヒータ18とヒータ20の出力を調整して精製容器7の上部、供給配管8より幾分高く維持する。さらに、該供給配管8から供給されるナトリウム温度よりもナトリウム精製領域13を幾分高めに設定した。これらの措置によって、ナトリウム精製領域13が周囲のNa温度より高くなり、仮に、注入ナトリウムの不純物濃度が飽和状態であったり、周囲ナトリウムが飽和状態であったりしてもナトリウム精製領域13では常に未飽和状態が成立し、固体電解質管1の表面に不純物が析出することを防止できる。
【0025】
図4は本発明の第3の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。ナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持するため、図3と変わって、精製容器7中に不純物センサ22とナトリウム温度計24を設け、電源回路に流量制御装置23を設けた。不純物センサ22として、本実施例ではナトリウム中に安定化ジルコニアを用いた酸素計を挿入した。不純物センサ22の信号とナトリウム温度計24の信号をもとにナトリウム中の酸素濃度を算出し、飽和濃度と比較して▲1▼飽和濃度より高ければ、ナトリウムの精製を停止し、▲2▼許容設定値(飽和濃度以下)以下であれば、精製処理量を増大(通電量を増加)し、許容設定値以上なら流量を絞った。
【0026】
すなわち、ナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持するため、図3では温度を制御して目的を達成したが、本実施例では処理するナトリウム流量を制御して目的を達成した。結果はナトリウム流量の制御精度により大きく左右されるが、前述したように本実施例では流量制御が高精度で実施できるため、不純物濃度を所望の値に制御することが容易になる。
【0027】
図5は本発明の第4の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図1と変わって、図3で設けた加熱用ヒータ19と図4で設けた不純物センサを用いた流量調節の両方を具備してナトリウム精製領域13の不純物濃度を未飽和状態に維持する信頼性を高めた。
【0028】
図6は本発明の第5の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図1と変わって、固体電解質管1の内表面側、すなわち、不純物のないナトリウム側に補助電極25を設けた。補助電極25は固体電解質管1の内表面に電気的に接触しており、仮に、ナトリウム純化装置の運転開始時点で固体電解質管内に純化されたナトリウムが存在しない場合でも固体電解質管1に電流を流すことを可能としたものである。
【0029】
補助電極25として本実施例ではステンレス製のメッシュ(金網)を用いた。メッシュサイズは350番とした。当然、蒸着やスパッタ等の薄膜を利用することも可能である。なお、材質的にはナトリウムに耐食性があるものを選定する必要がある。
【0030】
図7は本発明の第6の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。これまでの実施例とかわり、複数本の固体電解質管1を精製容器26に挿入した。固体電解質管1が1本であった図1に較べ、一度に多量のナトリウム純化が可能となる。精製容器26や流量制御装置27が1個で済むため、経済性も向上できる。不純物を含むナトリウムは入り口バルブ28から投入される。精製後のナトリウムは出口バルブ29から流出する。不純物は精製容器26の冷却フィン15が設置された下部に蓄積する。
【0031】
図8は本発明の第7の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、本提案の純化装置をナトリウムを用いた化学反応装置と結合したものである。化学反応装置のナトリウム槽30から使用中の不純物を含んだナトリウムを汲み出し、バルブ28を経て精製容器7に供給する。なお、31は化学反応領域を示す。精製容器7内は提案した第1から第6の実施例のどの方法でも良い。本実施例では、化学反応装置としてナトリウム硫黄電池に適用した。
【0032】
図9は本発明の第8の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図8に変わり、多数本の固体電解質管1を用いてナトリウムの純化処理速度を向上させたものである。
【0033】
図10は本発明の第9の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図9に変わり、化学反応装置として高速増殖炉45に適用した例である。高速増殖炉の炉心46の冷却にはナトリウムを用いており、炉心から出たナトリウムが熱交換器55を通過してバルブ28を経て本提案の精製装置に供給される。精製後のナトリムはバルブ29を経て高速増殖炉45へと戻る。
【0034】
図11は本発明の第10の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。本実施例は、図10と同じく化学反応装置として、高速増殖炉を用いた場合を示した。ナトリウム純化装置34にバルブを介して高速増殖炉のナトリウム配管を接続した。矢印43は不純物を含んだナトリウムの流入流れを示し、矢印44は不純物を含まない純粋なナトリウムの流出流れを示す。
【0035】
常時は、純化装置32を流通してナトリウムを純化する。ナトリウムの流れは、配管からバルブ35を通り、純化装置32で精製され、バルブ36を通り配管へ達する。純化装置32は、本提案の純化法とは異なり、ナトリウム温度を冷却してナトリウム中の不純物を除去する純化方式を用いたコールドトラップ装置である。この方法は純化速度が速いが、純化できる不純物の種類が限定されることと、単位体積あたりの不純物除去密度が本提案のナトリウム純化装置34に比べ、1/10程度と低い欠点がある。
【0036】
そこで、純化装置32の精製能力が低下すると、バルブ35を閉じて、バルブ41を開けてナトリウムの流れ方向を変え、純化装置33に切り替える。純化装置33を使用してナトリウムの流れは止めることなく精製できるので高速増殖炉は連続運転できる。純化装置33を使用して本流のナトリウムを純化している間に精製能力が低下した純化装置32の再生をする。再生には本提案のナトリウム純化装置34を用いる。精製の方法はすでに上記した通りである。
【0037】
図12は本発明の第11の実施例を示すナトリウムばかりでなく、二種以上の液体金属を精製する方法並びに装置の断面図である。本実施例では、液体金属としてナトリウムとリチウムが共存する系に適用した場合であり、ナトリウムに選択的に透過性のある固体電解質管1ばかりでなく、リチウムイオンに選択的に透過性のある固体電解質47を精製容器26に装着した。従って、ナトリウムとリチウムの共存系に含まれる不純物をそれぞれの固体電解質を用いることによって除去できる。また、除去後の純化されたナトリウムとリチウムはそれぞれ、バルブ29,バルブ48を経て化学反応装置へと戻される。
【0038】
無論必要に応じて純化後のナトリウムとリチウムを単独で取り出すことも可能である。
【0039】
また、上記の例では二種以上の液体金属としてナトリウムとリチウムとしたが、鉛とビスマス等何であってもかまわない。
【0040】
図13は本発明の第12の実施例を示すナトリウム精製方法並びに装置の断面図である。図6と変わって、固体電解質管1内のナトリウムを液体ではなく蒸気ナトリウム49として扱ったものである。固体電解質管1内に蒸気移送管50を設け、ナトリウム凝縮容器51内で冷却フィン54を用いてナトリウム蒸気を凝縮した。53は凝縮した液体ナトリウムを示す。
【0041】
本実施例によれば、ナトリウム凝縮容器51の温度を下げることにより固体電解質管1の内外面のナトリウム蒸気に圧力差を生じ、濃淡電池を形成する。すなわち、固体電解質管を境界面として対峙する高温のナトリウムと低温のナトリウムの温度差による熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。
【0042】
以上、固体電解質を主に円筒状の袋管で説明したが、袋管に拘る必要はなく、平板や円盤状等であっても本発明の機能を損ねるものではない。また、装置全体の形状も同様、円筒構造に限定されたものでない。
【0043】
また、本実施例では固体電解質としてベータアルミナを例に説明したがナシコン等ナトリウムを選択的に透過できる固体電解質であれば一向にその効果を損なうものではない。
【0044】
さらに、実施例の最初に記述したように化学操作としては、純化・精製系、媒体としてはナトリウムについて説明したが、例えば、リチウムや水銀,鉛等ナトリウム以外の液体金属とその金属を選択透過できる固体電解質の組み合わせであれば、本提案の方法は精製以外の化学操作に対して、一向にその効果を損なうものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ナトリウムのみを透過できる固体電解質を用い、固体電解質に電場を印加してポンプ作用を発生させ、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過して精製される。一方、純粋なナトリウムのみが固体電解質を透過することによって、残された不純物濃度の高いナトリウム領域は、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム精製領域より低温に維持し、ナトリウム中の不純物濃度を飽和濃度以上にして過飽和分の不純物を固体析出させる。従って、ナトリウムが透過する固体電解質表面近傍のナトリウム領域は未飽和の不純物溶解度状態に維持できる。不純物濃度を未飽和に維持するためには、上記したナトリウム精製領域を高温にするばかりでなく、固体電解質の透過ナトリウム量を制御してナトリウム精製領域の不純物濃度を制御することも可能である。微量の流量制御が必要となるが固体電解質の透過電流を制御することで簡単に高精度の流量制御が実現できる。
【0046】
その結果、不純物は固体電解質表面に付着・蓄積していくことがなく、固体電解質表面を清浄に維持できるため、安定に固体電解質の精製機能が持続できる。不純物を固体回収するため、常に、一定条件で長時間連続のナトリウム純化運転が可能となる。また、不純物による固体電解質への悪影響が防止できるため長寿命のナトリウム純化装置が実現できる。
【0047】
さらに、固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持することにより、濃淡電池を形成し電気エネルギーを取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図2】従来例の構造を示す図。
【図3】本発明の第2の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図5】本発明の第4の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図6】本発明の第5の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図7】本発明の第6の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図8】本発明の第7の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図9】本発明の第8の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図10】本発明の第9の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図11】本発明の第10の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図12】本発明の第11の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【図13】本発明の第12の実施例を示すナトリウム純化装置の断面図。
【符号の説明】
1…固体電解質管(例えばベータアルミナ管)、2…不純物を含むナトリウム、3…不純物を含まないナトリウム、4,9…直流電源、5…下部精製容器、6…上部精製容器、7…精製容器、8…供給配管、10…固体電解質管内側電極(陰極)、11…固体電解質管外側電極(陽極)、12…不純物、13…ナトリウム精製領域、14…不純物析出領域、15…冷却フィン、16…純化ナトリウム流出配管、17…ナトリウムイオンの流れ、18,19,20…加熱ヒータ、21…電気絶縁シール、27…流量制御装置、28,29…バルブ、30…化学反応装置のナトリウム槽、31…化学反応領域、32,33…純化装置(コールドトラップ等)、34…本提案のナトリウム純化装置、45…高速増殖炉、46…炉心、55…熱交換器。
Claims (20)
- 固体電解質を介して片側に不純物を含む液体金属領域、もう一方の側に該液体金属を含む領域からなる系において、前記固体電解質を選択的に透過できる液体金属中の少なくとも一元素イオンを透過させる手段と、液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段を有することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 固体電解質を介して片側に不純物を含む液体金属領域、もう一方の側に該液体金属を含む領域からなる系において、前記固体電解質を選択的に透過できる液体金属中の少なくとも一元素イオンを透過させる手段と、液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段、及び少なくとも固体電解質透過後の液体金属領域を透過前の液体金属領域より低い蒸気圧状態に維持する手段を有することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段として、固体電解質近傍を除き、上記以外の不純物を含む液体金属領域の温度を少なくとも一箇所以上、不純物の飽和温度以下に制御することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段として、固体電解質透過する液体金属流量を通電電流量で制御して常に固体電解質近傍の不純物濃度が飽和溶解度以下に維持することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段として、不純物を含む液体金属領域に該不純物の濃度を検出する手段を設け、その濃度信号に基づき、固体電解質を透過する液体金属流量を通電電流量で制御し、かつ、または、固体電解質近傍を除き、該濃度信号に基づき上記以外の不純物を含む液体金属領域の温度を少なくとも一箇所以上、不純物の飽和温度以下に制御し、常に固体電解質近傍の不純物濃度が飽和溶解度以下に維持することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の固体電解質を選択的に透過できる液体金属中の少なくとも一元素イオンを透過させる手段として、前記固体電解質の両面に電場を掛けることを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の固体電解質を選択的に透過できる液体金属中の少なくとも一元素イオンを透過させる手段として、前記固体電解質の両面に透過元素の濃度差を与えることを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の固体電解質を選択的に透過できる液体金属中の少なくとも一元素イオンを透過させる手段として、前記固体電解質の両面に温度差を与えることを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段として、不純物を含む液体金属領域に該不純物の濃度を検出する手段を設け、その濃度信号に基づき、固体電解質を透過する液体金属流量を通電電流量で制御し、かつ、または、固体電解質近傍を除き、前記濃度信号に基づき上記以外の不純物を含む液体金属領域の温度を少なくとも一箇所以上、不純物の飽和温度以下に制御し、固体電解質近傍の不純物濃度が飽和溶解度以下に維持する手段を有することを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項9記載の液体金属中の不純物濃度を飽和溶解度以下に維持する手段として、不純物を含む液体金属領域に該不純物の濃度を検出する手段を設け、その濃度信号に基づき、固体電解質を透過する液体金属流量を通電電流量で制御し、かつ、または、固体電解質近傍を除き、前記濃度信号に基づき上記以外の不純物を含む液体金属領域の温度を少なくとも一箇所以上、不純物の飽和温度以下に制御し、常に固体電解質近傍の不純物濃度が飽和溶解度以下に維持する手段として冷却フィンを用いるかヒータを用いることを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項9記載の固体電解質の透過通電電流取り出し電極を、前記固体電解質の表面に設けたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項9記載の液体金属濃度操作装置において、前記固体電解質と濃度操作容器の接合を熱圧接合したことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項9記載の液体金属濃度操作装置において、前記固体電解質としてベータアルミナを用いたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項9記載の液体金属濃度操作装置において、複数本の固体電解質を一つの容器に挿入したことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1又は2記載の液体金属濃度操作装置を化学反応装置に適合し、該化学反応装置と結合して不純物を含んだ液体金属を汲み出し、固体電解質で不純物を除去して純化した液体金属を化学反応装置に循環して、化学操作を連続運転可能にしたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 二種以上の液体金属を含む溶液中に二種以上の固体電解質を挿入して固体電解質に電場を掛け、それぞれの固体電解質を透過した物質を分離し液体金属濃度を操作することを特徴とする液体金属濃度操作方法。
- 請求項16記載の液体金属濃度操作方法を化学反応装置に適合し、該化学反応装置と結合して不純物を含んだ液体金属を汲み出し、二種以上の固体電解質を用いて不純物を除いた各透過元素を透過して分離して必要に応じて化学反応装置に循環させ、化学操作を連続運転可能にしたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1から15のいずれかに記載の液体金属濃度操作装置をナトリウム硫黄電池に接続したことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1から15のいずれかに記載の液体金属濃度操作装置を高速増殖炉のナトリウム配管に設けたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
- 請求項1から15のいずれかに記載の液体金属濃度操作装置を高速増殖炉のナトリウム配管に設けたコールドトラップを主とするナトリウム純化装置と接続し、ナトリウムの再生をして高速増殖炉の長期連続運転を可能としたことを特徴とする液体金属濃度操作装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002282142A JP2004115875A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 液体金属濃度操作方法並びに装置 |
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JP2004115875A true JP2004115875A (ja) | 2004-04-15 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015034765A (ja) * | 2013-08-09 | 2015-02-19 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 | ナノ粒子分散液体アルカリ金属の濃度制御方法およびそのシステム |
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2002
- 2002-09-27 JP JP2002282142A patent/JP2004115875A/ja active Pending
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