【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体およびそれを用いる平版印刷版原版に関し、特に、平版印刷版としたときに、ポツ状残膜の発生がなく耐汚れ性に優れ、また耐刷性にも優れる、低純度アルミニウム板を用いた平版印刷版用支持体および、さらにそれを用いる平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷法は水と油が本質的に混じり合わないことを利用した印刷方式であり、これに使用される平版印刷版の印刷版面には、水を受容して油性インキを反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」という。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以下、この領域を「画像部」という。)とが形成される。
【0003】
平版印刷版に用いられる平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)は、その表面が非画像部を担うように使用されるため、親水性および保水性が優れていること、更にはその上に設けられる画像記録層との密着性が優れていること等の相反する種々の性能が要求される。
支持体の親水性が低すぎると、印刷時に非画像部にインキが付着するようになり、ブランケット胴の汚れ、ひいてはいわゆる地汚れが発生する。また、支持体の保水性が低すぎると、印刷時に湿し水を多くしないとシャドー部のつまりが発生する。よって、いわゆる水幅が狭くなる。
【0004】
また、一方で、粗面化処理を施された支持体の表面に深い凹部が存在すると、その部分の画像記録層の厚みが厚くなるため、形状的に現像が抑制される場合がある。そして、現像が抑制された結果、画像記録層が深い凹部の中に残ってしまい、非画像部に局部的な残膜(以下「ポツ状残膜」ともいう。)が発生し、印刷時の非画像部の汚れの原因となってしまうという問題がある。例えば、光熱変換により発生する熱によりアルカリ現像液に対する可溶性が変化するいわゆるサーマルタイプの画像記録層を設けた平版印刷版原版においては、凹部の底部で画像形成反応が不十分となり、ポツ状残膜が発生する。
このようなポツ状残膜は、露光および現像の条件が厳しい場合に発生しやすい。例えば、サーマルタイプの画像記録層を設けた平版印刷版原版において、生産性の向上のために露光時間を短くしたり、レーザの長寿命化のためにレーザ光エネルギーを低くしたりするなど、レーザの露光量を低くする場合である。また、感度の高い高活性な現像液に対して、本来、画像部となるべき部分に画像抜けが発生しやすい画像記録層を用いるために、感度の低い現像液を用いて現像する場合などもある。
【0005】
これらの性能の良好な平版印刷版用支持体を得るためには、アルミニウム板の表面を砂目立て(粗面化処理)して凹凸を付与するのが一般的である。この凹凸については下記に示すように、様々な形状(構造)が提案されている。
例えば、中波と小波の開口径を規定した大波、中波および小波を有する3重構造(特許文献1参照。)、大小の2重構造において小波の径を規定する構造(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)、大小の2重の凹部(ピット)に加えて更に微小な突起を付与する技術(特許文献4参照。)、開口径を規定した2重構造(特許文献5参照。)、表面の滑らかさを示す因子a30を規定した2重構造(特許文献6参照。)、および、複数の電気化学的粗面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)に際して重畳されるピット径の比を規定した構造(特許文献7参照。)等が提案されている。
【0006】
この砂目立てには、ボールグレイニング、ブラシグレイニング、ワイヤーグレイニング、ブラストグレイニング等の機械的粗面化方法、塩酸および/または硝酸を含む電解液中でアルミニウム板を電解エッチングする電解粗面化方法、および、機械的粗面化方法と電解粗面化方法を組み合わせた複合粗面化方法(特許文献8参照。)等が用いられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−300844号公報
【特許文献2】
特開平11−99758号公報
【特許文献3】
特開平11−208138号公報
【特許文献4】
特開平11−167207号公報
【特許文献5】
特許第2023476号明細書
【特許文献6】
特開平8−300843号公報
【特許文献7】
特開平10−35133号公報
【特許文献8】
米国特許第4,476,006号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、深い凹部が形成されやすくポツ状残膜の発生を効果的に抑えることができず、また耐汚れ性と耐刷性とがトレードオフの関係にあり、耐汚れ性と耐刷性との両立もできなかった。
したがって、本発明は、この問題を解決し、平版印刷版としたときに、ポツ状残膜の発生がなく耐汚れ性に優れ、また耐刷性にも優れる平版印刷版用支持体を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記支持体を用いる平版印刷版原版を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム板およびその表面の凹凸構造について鋭意検討を重ねた結果、低純度アルミニウム板を用いることにより、機械的粗面化により大波構造が均一に形成され、かつ、深い凹部の形成が抑えられるため、また、該低純度アルミニウム等の表面に特定の大きさの凹凸を組み合わせることにより、記録層と支持体との密着性が優れるため、平版印刷版としたときに、ポツ状残膜の発生がなく耐汚れ性に優れ、また耐刷性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(4)を提供する。
【0011】
(1)アルミニウム板に機械的粗面化処理を含む粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板のアルミニウム含量が95質量%以上99.50質量%未満であり、
平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.20μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形状を表面に有する平版印刷版用支持体。
【0012】
(2)前記アルミニウム板の引張り強度が160MPa以上である、(1)に記載の平版印刷版用支持体。
【0013】
(3)前記小波構造の開口径に対する深さの比の平均が0.2以上である、(1)または(2)に記載の平版印刷版用支持体。
【0014】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設けた平版印刷版原版。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[平版印刷版用支持体]
本発明に用いられるアルミニウム合金板(以下、単に「アルミニウム板」という。)は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウム含量が95質量%以上99.50質量%未満であり、好ましくは、その引張り強度が160MPa以上である。
なお、本発明において、低純度アルミニウムとは、アルミニウム含量が95質量%以上99.50質量%未満であるアルミニウムをいう。
【0016】
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明で用いるアルミニウム板は、アルミニウムの含有率が、95質量%以上99. 50質量%未満のアルミニウム板である。すなわち、0.50〜5質量%のアルミニウム以外の元素を含有する。これらのアルミニウム合金に含まれる微量元素は、 以下の元素を以下の量含むのが好ましい。ここで、 以下の元素以外の不可避的不純物量は、0.06質量%以下とするのが好ましい。
純度が99.50質量%(以下、「wt%」と表記する場合がある。)以上であると不純物の許容量が少なくなり、コスト削減効果が減少する場合がある。95wt%より低いと不純物を多く含むことで圧延中に割れ等の不具合が発生する場合がある。より好ましいアルミニウムの純度は95〜99wt%で、更に好ましくは95〜97wt%である。
【0017】
アルミニウムの含有率が95質量%以上99. 50質量%未満のアルミニウム合金としては、新地金と呼ばれる純度99.7%以上のアルミニウム塊ではなく、これまで、使用が困難とされていたスクラップアルミニウム材、2次地金、再生地金等のような純度の低いアルミニウム塊を挙げることができる。純度の低いアルミニウム塊を原材料とすることで、平版印刷版用支持体を従来の方法より低コストで製造することができ、また、アルミニウム板の引張り強度を強くでき機械的粗面化処理による深い凹部の形成を効果的に抑えることができる。
【0018】
本発明のアルミニウム板に含まれる元素について説明する。
Feは新地金においても0.1〜0.2wt%前後含有される元素で、アルミニウム中に固溶する量は少なく、殆どが金属間化合物として残存する。機械強度を高める作用があるが、1.0wt%より多いと圧延途中に割れが発生しやすくなり、0.1wt%以下は現実的でない。金属間化合物としては、Al3 Fe、Al6 Fe、AlFeSi系化合物、AlFeSiMn系化合物などが代表的である。
【0019】
Siは新地金においても0.03〜0.1wt%前後含有される元素で、スクラップAlの中にも多く含まれる。アルミニウム中に固溶した状態、または、金属間化合物、または単独の析出物として存在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとして析出することがある。単体Siが過剰の場合、過酷インキ汚れが低下することが知られている。また、電気化学的粗面化性に影響する。金属間化合物としては、AlFeSi系化合物、AlFeSiMn系化合物、Mg2 Siなどが代表的である。
【0020】
Cuは新地金の中には極微量含まれる。またJIS2000系、4000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。比較的アルミニウムに中に固溶しやすい。Cuは、電気化学的粗面化性能に大きく影響する元素である。
【0021】
Mgは新地金の中には極微量含まれる。またJIS2000系、3000系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。特にcan end材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。Mgを添加することで、耐熱軟化性、機械強度を向上できる。比較的アルミニウム中に固溶しやすく、Siと金属間化合物を形成することも知られている。
【0022】
Mnは新地金の中には極微量含まれる。MnはJIS3000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。特にcan body材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。Mnも比較的アルミニウム中に固溶しやすく、Al、Fe、Si等と金属間化合物を形成する。Mnは機械強度を向上させると共に、電気化学的粗面化性に影響する。
【0023】
Znは新地金の中には極微量含まれる。Znは特にJIS7000系のスクラップに多く含まれる元素である。比較的アルミニウム中に固溶しやすい。電気化学的粗面化性に影響する。
【0024】
Crは新地金の中には極微量含まれることがある。また、JIS5000系、6000系、7000系のスクラップに少量含まれることもある。
【0025】
Tiは通常結晶微細化材として0.01〜0.04wt%添加される元素である。主として、Alとの金属間化合物、あるいはTiB2 の形で添加される。JIS5000系、6000系、7000系のスクラップには不純物金属として比較的多めに含まれる。過剰に含まれると、電気化学的粗面化性に影響することがある。
【0026】
Bは結晶微細化材としてTiと共に添加されることがあり、0.04wt%以下であれば含んでもよい。
【0027】
アルミ原材料に含有された元素、あるいはアルミ溶湯に添加された元素は、鋳造工程で凝固する際、一部はアルミ中にとけ込み(固溶)、残りは金属間化合物、あるいは単独の晶出物・析出物として存在する。金属間化合物、あるいは単独の晶出物・析出物として残る割合は、凝固速度の影響を大きく受け、例えば、相ロール式連続鋳造のように急速凝固する場合は大部分が固溶し、DC鋳造の様に凝固速度が遅い場合は、比較的、金属間化合物、あるいは単独の晶出物・析出物として残り易い。
その後、均熱、焼鈍などの熱処理工程や、熱間圧延工程中に、Alに再固溶したり、より安定な金属間化合物に変化したりするが、厚さ0.1〜0.7mm程度の平版印刷版用アルミニウム板になった時点で、その表面や内部には、金属間化合物、あるいは単独の晶出物・析出物として存在することが多い。
【0028】
本発明で用いるアルミニウム板は、その引張り強度が160MPa以上であるのが好ましい。アルミニウム板の引張り強度が、160MPa以上であれば、後述する機械的粗面化処理において、処理条件を厳密に規定しなくても、深いピットの形成が抑制され、平版印刷版としたときにポツ状残膜の発生を抑制でき、耐汚れ性にも優れる。アルミニウム板の引張り強度は、より好ましくは200MPa以上であり、特に好ましくは220MPa以上である。
アルミニウム板の引張り強度は、260MPa以下であるのが好ましく、より好ましくは、240MPa以下である。アルミニウム板の引張り強度が260MPa超であると、機械的粗面化処理により形成される大波構造が浅くなりすぎるため、または、形成されないため、支持体表面の親水性および保水性が劣り、また水幅が狭くなる場合がある。加えて、印刷機に取り付けた場合に版胴へのフィット性が悪くなり印刷物の色ずれや印刷中の版切れにつながる場合がある。
【0029】
引張り強度が160MPa以上のアルミニウム板を得るには、通常上記アルミニウム含量のアルミニウム合金溶湯を用いて以下の方法に従って鋳造することができる。特に、最終圧延工程で圧下率を調整することにより、得られるアルミニウム板の強度を調整できる。また、中間焼鈍と呼ばれる工程を、アルミニウム板の板厚が厚い早期の段階で実施することによっても達成できる。
または、アルミニウムに含有する鉄、マグネシウム等がアルミニウム合金の強度に影響することが知られており、これらの元素含有量を調整してもよい。
【0030】
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
【0031】
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
【0032】
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。
【0033】
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
【0034】
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
【0035】
一方、連続鋳造法としては、双ロール法(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用いる方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用いる場合には、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲で凝固する。連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を有する。連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−201166号、特開平5−156414号、特開平6−262203号、特開平6−122949号、特開平6−210406号、特開平6−26308号の各公報等に記載されている。
【0036】
連続鋳造を行った場合において、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することができ、熱間圧延の工程を省略することができるというメリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
【0037】
これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造について説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼鈍、平面性の改善、スリット等の工程を経て、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条件および冷間圧延条件については、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−220593号、特開平6−210308号、特開平7−54111号、特開平8−92709号の各公報等に記載されている。
【0038】
このようにして製造されるアルミニウム板には、以下に述べる種々の特性が望まれる。
バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
【0039】
アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となることがあるので、表面においてあまり粗大でないことが好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましく、500μm以下であるのが更に好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−218495号、特開平7−39906号、特開平7−124609号の各公報等に記載されている。
【0040】
アルミニウム板の合金成分分布は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の合金成分の不均一な分布に起因して面質不良が発生することがあるので、表面においてあまり不均一でないことが好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−48058号、特開平5−301478号、特開平7−132689号の各公報等に記載されている。
【0041】
アルミニウム板の金属間化合物は、その金属間化合物のサイズや密度が、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理に影響を与える場合がある。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−138687号、特開平4−254545号の各公報等に記載されている。
【0042】
本発明においては、上記に示されるようなアルミニウム板をその最終圧延工程において、積層圧延、転写等により凹凸を付けて用いることもできる。
【0043】
本発明に用いられるアルミニウム板は、連続した帯状のシート材または板材である。即ち、アルミニウムウェブであってもよく、製品として出荷される平版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉状シートであってもよい。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
【0044】
本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mm程度であり、0.15〜0.4mmであるのが好ましく、0.2〜0.3mmであるのがより好ましい。この厚みは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさ、ユーザーの希望等により適宜変更することができる。
【0045】
このようにして、本発明で用いる、アルミニウム含量が95質量%以上99.50質量%未満であり、好ましくは、引張り強度が160MPa以上であるアルミニウム板を得ることができる。
【0046】
一方、上記不純物含量の多いアルミニウム合金溶湯を用いても、引張り強度が160MPa未満のアルミニウム板(調質アルミニウム)を得ることもできる。例えば、所望の厚みに仕上げた後焼鈍を行うことで引張り強度が160MPa以下のアルミニウム板を得ることができる。
上記した方法等により得られる、引張り強度が160MPa未満のアルミニウム板は、機械的粗面化処理において深いピットが形成されやすいため、平版印刷版としたときにポツ状残膜が生成する場合があり好ましくない。
【0047】
なお、アルミニウム板の引張り強度は、JIS Z2201、JIS Z2241に準拠して測定する。
【0048】
このようにして得られるアルミニウム板は、上記した3種類以上の金属元素からなる金属間化合物を含み、表層から2μm以内に存在する該金属間化合物の密度が3000〜35000個/mm2 であるのが好ましい。
【0049】
本発明者らは、これらの金属間化合物(粒子)が、電気化学的粗面化処理により形成されるピットのピッティング基点となり、表層から2μm以内に該金属間化合物を存在させておくと均一な砂目立てが可能となることを見出した。該金属間化合物の密度が、上記範囲内であると、緻密なピットが均一に形成され、耐汚れ性に優れる。
【0050】
金属間化合物の密度(存在率)は、不純物を含む原料や2次地金の添加量を変えることにより制御することができる。また、平版印刷版用支持体の製造条件(表面処理条件)を適宜変更することによっても若干調整することができる。例えば、塩酸を用いた化学エッチングにより、金属間化合物を除去することにより、その密度を低くすることができる。
【0051】
金属間化合物の密度は、SEM(走査型電子顕微鏡)等により、粗面化処理された平版印刷版用支持体の表面を観察し、例えば、5箇所(n=5)について、60μm×50μmの範囲で、金属間化合物をカウントし、1mm2 あたりに換算することにより、容易に算出することができる。
また、金属間化合物の密度は、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、例えば、170μm×170μmの範囲で面分析して金属間化合物をカウントし、1mm2 あたりに換算することによっても、容易に算出することができる。EPMAを用いる場合、金属間化合物の種類を特定することもできる。
【0052】
<表面の砂目形状>
本発明の平版印刷版用支持体は、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.20μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形状を表面に有することを特徴とする。
本発明において、平均波長5〜100μmの大波構造は、ポツ状残膜の発生および印刷性能に関与する。大波構造として深い凹部を形成すると、露光が不十分である場合または現像処理により完全に除去できない場合等に、画像記録層が深い凹部の中に残ってしまい、その結果ポツ状残膜が発生し、印刷時の非画像部の汚れが生じることがある。一方、大波構造として浅い凹部を形成すると、親水性および保水性が悪化し、耐汚れ性等の印刷性能に劣る場合がある。
【0053】
この大波構造は、平版印刷版の非画像部の表面の保水量を増加させる効果を有する。この表面に保持された水が多いほど、非画像部の表面は雰囲気中の汚染の影響を受けにくくなり、印刷途中で版を放置した場合にも汚れにくい非画像部を得ることができる。また、大波構造が形成されていると、印刷時に版面に与えられた湿し水の量を目視で確認することが容易となる。即ち、平版印刷版の検版性が優れたものとなる。大波構造の平均波長が5μm未満であると、中波構造との差がなくなる場合がある。大波構造の平均波長が100μmを超えると、露光現像後、露出された非画像部がぎらついて見えてしまい、検版性を損なう場合がある。大波構造の平均波長は、10〜80μmであるのが好ましい。
【0054】
平均開口径0.5〜5μmの中波構造は、主にアンカー(投錨)効果によって画像記録層を保持し、耐刷力を付与する機能を有する。中波構造のピットの平均開口径が0.5μm未満であると、上層に設けられる画像記録層との密着性が低下し、平版印刷版の耐刷性が低下する場合がある。また、中波構造のピットの平均開口径が5μmを超えると、アンカーの役割を果たすピット境界部分の数が減るため、やはり耐刷性が低下する場合がある。
【0055】
上記中波構造に重畳される平均開口径0.01〜0.20μmの小波構造は、主に耐汚れ性を改良する役割を果たす。中波構造に小波構造を組み合わせることで、印刷時に平版印刷版に湿し水が供給された場合に、その表面に均一に水膜が形成され、非画像部の汚れの発生を抑制することができる。小波構造のピットの平均開口径が0.01μm未満であると、水膜形成に大きな効果が得られない場合がある。また、小波構造のピットの平均開口径が0.20μmを超えると、中波構造が崩れてしまい、上述した中波構造による耐刷性向上の効果が得られない場合がある。
【0056】
この小波構造については、ピットの開口径だけでなく、ピットの深さをも制御することで、更に良好な耐汚れ性を得ることができる。即ち、小波構造の開口径に対する深さの比の平均を0.2以上にすることが好ましい。これにより均一に形成された水膜が表面に確実に保持され、非画像部の表面の耐汚れ性が長く維持される。
【0057】
本発明の平版印刷版用支持体において、表面の中波構造の平均開口径、小波構造の平均開口径および開口径に対する深さの平均、ならびに、大波の平均波長の測定方法は、以下の通りである。
【0058】
(1)中波構造の平均開口径
電子顕微鏡を用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真においてピットの周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出する。大波構造を重畳した構造の場合も同じ方法で測定する。また、測定のバラツキを抑制するために、市販の画像解析ソフトによる等価円直径測定を行うこともできる。この場合、上記電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル化し、ソフトウェアにより二値化した後、等価円直径を求める。
本発明者が測定したところ、目視測定の結果とデジタル処理の結果とは、ほぼ同じ値を示した。大波構造を重畳した構造の場合も同様であった。
【0059】
(2)小波構造の平均開口径
高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波構造のピット(小波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出する。
【0060】
(3)小波構造の開口径に対する深さの比の平均
小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波ピットを少なくとも20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求めて平均値を算出する。
【0061】
(4)大波構造の平均波長
触針式粗さ計で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均山間隔Sm を5回測定し、その平均値を平均波長とする。
【0062】
<表面処理>
本発明の平版印刷版用支持体は、上述したアルミニウム板に表面処理を施すことによって、上述した表面の砂目形状をアルミニウム板の表面に形成させたものである。本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板に機械的粗面化および電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理ならびに陽極酸化処理を施して得られるが、この支持体の製造工程は、特に限定されず、機械的粗面化および電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理ならびに陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。
以下に、上述した表面の砂目形状を形成させるための代表的方法として、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、
が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。
これらの方法により得られる本発明の平版印刷版用支持体は、上述したように、3種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が表面に形成されており、平版印刷版としたときの耐汚れ性および耐刷性のいずれにも優れる。
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
【0063】
<機械的粗面化処理>
本発明者らは、低純度アルミニウムを用い、その引張り強度を所定値以上にすることにより、機械的粗面化処理における条件等を特別に限定しなくても、深いピットの生成を従来よりも抑えることができることを見出し本発明を完成した。したがって、機械的粗面化処理は、一般に用いられる方法、条件を選択することができ、また、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、本発明の粗面化処理の手段として有効である。
【0064】
機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。
また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特願平4−204235号明細書(特開平6−024168号公報)に記載されている方法も適用可能である。
【0065】
また、放電加工、ショットブラスト、レーザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。
また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。
そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。
本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
【0066】
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。
ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。
ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm2 、より好ましくは15,000〜35,000kg/cm2 であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
【0067】
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。
研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。
研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
【0068】
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
【0069】
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで、本発明に特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。
本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1および第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。
この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
【0070】
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
【0071】
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
【0072】
酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。
【0073】
塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸または硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸または硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸または硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
ここで、「主体とする」とは、該水溶液中に主体となる成分が、水溶液に添加した成分全体に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上含まれていることをいう。以下、他の成分においても同様である。
【0074】
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを比較的多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。
温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
【0075】
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図2に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は0.3〜3msecであるのが好ましい。0.3msec未満であると、アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
【0076】
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
【0077】
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図3に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図3において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
【0078】
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
【0079】
(硝酸電解)
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜5μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μmを超えるハニカムピットも生成する。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2 であるのが好ましく、50〜300C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2 であるのが好ましい。
また、高濃度または高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。
【0080】
(塩酸電解)
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.20μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dm2 であるのが好ましく、20〜70C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dm2 であるのが好ましい。
【0081】
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜1000C/dm2 と大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。したがって、この場合、平均開口径0.5〜5μmの中波構造を重畳させられないため、本発明の特徴である表面の砂目形状を作ることができない。
【0082】
上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる第1および第2の電解粗面化処理の間に、アルミニウム板は陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処理が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で陰極電気量が好ましくは3〜80C/dm2 、より好ましくは5〜30C/dm2 で行われる。陰極電気量が3C/dm2 未満であると、スマット付着量が不足する場合があり、また、80C/dm2 を超えると、スマット付着量が過剰となる場合があり、いずれも好ましくない。また、電解液は上記第1および第2の電解粗面化処理で使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
【0084】
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前記アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
【0085】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/m2 であるのが好ましく、1〜5g/m2 であるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m2 未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/m2 であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
【0086】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/m2 であるのが好ましく、5〜15g/m2 であるのがより好ましい。エッチング量が3g/m2 未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解処理において均一なピット形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化する場合がある。一方、エッチング量が20g/m2 を超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
【0087】
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2 であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。
電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
なお、電解粗面化処理の直後にアルカリエッチング処理を行わなくてもよいが、この場合、平版印刷版としたときの耐汚れ性に劣る場合がある。
【0088】
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、メタケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
【0089】
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
【0090】
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
【0091】
<デスマット処理>
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。
デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
【0092】
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
この際、少なくともアルミニウム板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0094】
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
【0095】
また、特開昭54−81133号、特開昭57−47894号、特開昭57−51289号、特開昭57−51290号、特開昭57−54300号、特開昭57−136596号、特開昭58−107498号、特開昭60−200256号、特開昭62−136596号、特開昭63−176494号、特開平4−176897号、特開平4−280997号、特開平6−207299号、特開平5−24377号、特開平5−32083号、特開平5−125597号、特開平5−195291号の各公報等に記載されている方法を使用することもできる。
【0096】
中でも、特開昭54−12853号公報および特開昭48−45303号公報に記載されているように、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であるのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)であるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添加することにより調製することができる。
【0097】
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2 であるのが好ましく、5〜40A/dm2 であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2 の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2 またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2 程度である。
【0098】
陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2 であるのが好ましい。1g/m2 未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2 を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2 であるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2 以下になるように行うのが好ましい。
【0099】
陽極酸化処理に用いられる電解装置としては、特開昭48−26638号、特開昭47−18739号、特公昭58−24517号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
中でも、図4に示す装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図4中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424およびローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、前記ローラ422、424および428により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
【0100】
図4の陽極酸化処理装置410の特徴は、給電槽412と電解処理槽414とを1枚の槽壁432で仕切り、アルミニウム板416を槽間部において山型および逆U字型に搬送したことにある。これによって、槽間部におけるアルミニウム板416の長さを最短にすることができる。よって、陽極酸化処理装置410の全体長を短くできるので、設備費を低減することがあできる。また、アルミニウム板416を山型および逆U字型に搬送することによって、各槽412および414の槽壁にアルミニウム板416を通過させるための開口部を形成する必要がなくなる。よって、各槽412および414内の液面高さを必要レベルに維持するのに要する送液量を抑えることができるので、稼働費を低減することができる。
【0101】
<封孔処理>
本発明においては、必要に応じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことができる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平4−4194号公報、特願平4−33952号明細書(特開平5−202496号公報)、特願平4−33951号明細書(特開平5−179482号公報)等に記載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよい。
【0102】
<親水化処理>
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
【0103】
また、特開昭62−019494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプン、特開昭63−056498号公報に記載されているジアミン化合物、特開昭63−130391号公報に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載されているカルボキシ基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載されているアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載されているフェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載されているチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
【0104】
また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
【0105】
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0106】
アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着するSi量は蛍光X線分析装置により測定することができ、その吸着量は約1.0〜15.0mg/m2 であるのが好ましい。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
【0107】
また、親水性の下塗層の形成による親水化処理は、特開昭59−101651号公報および特開昭60−149491号公報に記載されている条件および手順に従って行うこともできる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2 基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
【0108】
<水洗処理>
上述した各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
【0109】
[平版印刷版原版]
つぎに、本発明の平版印刷版原版について説明する。本発明の平版印刷版原版は、本発明の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる。
【0110】
<下塗層>
本発明の平版印刷版原版においては、上記のようにして得られた本発明の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設ける前に、必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
【0111】
有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0112】
有機下塗層は、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布し乾燥することにより設けられる。上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.005〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることができる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がより良好になる。
【0113】
<画像記録層>
本発明の平版印刷版用支持体には、以下に例示する感光層、感熱層等の画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層は、例えば、コンベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、機上現像可能な無処理タイプが好適に挙げられる。以下、これらの好適な画像記録層について説明する。
【0114】
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光層に好適に用いられる感光性樹脂組成物としては、例えば、o−キノンジアジド化合物と水不溶性かつアルカリ可溶性の高分子化合物(以下、「アルカリ可溶性高分子化合物」という。)とを含有する組成物が挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステルや、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系樹脂が挙げられる。
更に感光性樹脂組成物には、特開平7−92660号公報の[0024]〜[0027]に記載されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や同公報の[0031]に記載されているような塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。
【0115】
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光層に好適に用いられる感光性樹脂組成物としては、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(以下、「結合剤」という。)とを含有する組成物が挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物、p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
好適な結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体、具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体や、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、および、不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
更に感光性樹脂組成物には、特開平7−281425号公報の[0014]〜[0015]に記載されている焼出剤、染料、塗膜の柔軟性や耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物や、塗布性を向上させるための界面活性剤を加えることが好ましい。
上述したコンベンショナルタイプのポジ型もしくはネガ型感光層の下塗層としては、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けるのが好ましい。
【0116】
<フォトポリマータイプ>
フォトポリマータイプの感光層に好適に用いられる光重合型感光性組成物(以下、「光重合性組成物」という。)は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という。)と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。またウレタン系付加重合性化合物も好適である。
【0117】
光重合性組成物に含有される光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]に記載されている開始系が好ましい。
光重合性組成物に含有される高分子結合剤は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される。上記高分子結合剤としては同公報の[0036]〜[0063]に記載されている物が有用である。
光重合性組成物には、同公報の[0079]〜[0088]に記載されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることが好ましい。また、上記感光層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、ポリビニルアルコールおよびその共重合体が挙げられる。
更に、上記の感光層の下塗層として、特開2001−228608号公報の[0131]〜[0165]に記載されているような接着層を設けるのも好ましい。
【0118】
<サーマルポジタイプ>
サーマルポジタイプの感熱層は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。
アルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物を包含し、特に、(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)、(2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R)のような酸性基を有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。とりわけ、赤外線レーザ等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。更に詳しくは特開2001−305722号公報の[0023]〜[0042]に記載されている高分子が好ましく用いられる。
【0119】
光熱変換物質は、露光エネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好ましい。染料としては、具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、例えば、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料が挙げられる。
サーマルポジタイプの感熱層に用いられる組成物には、上記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。詳しくは特開2001−305722号公報の[0053]〜[0059]に記載されている化合物が好ましい。
サーマルポジタイプの感熱層は単層であってもよいし、特開平11−218914号公報に記載されているような2層構造であってもよい。
サーマルポジタイプの感熱層と支持体との間には、下塗層を設けることが好ましい。下塗層に含有される成分としては特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が挙げられる。
【0120】
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの感熱層は、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感熱層である。
このようなサーマルネガタイプの感熱層の一つとして、重合型の層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有する。
重合層においては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
(A)赤外線吸収剤としては、例えば、前述したサーマルポジタイプの感熱層に含有される上記光熱変換物質が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されたものが挙げられ、(B)ラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、好適に用いられるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されたものが挙げられ、(C)ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。(D)バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましく、水または弱アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れており、好適である。(C)ラジカル重合性化合物および(D)バインダーポリマーに関しては同公報の[0036]〜[0060]に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤) を加えることも好ましい。
【0121】
また、重合型のほかに、サーマルネガタイプの感熱層の一つとして、酸架橋型の層(酸架橋層)が好適に挙げられる。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」という。)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、「架橋剤」という。)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性高分子化合物を含有する。赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収剤が配合される。(E)酸発生剤としては、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる化合物が挙げられる。(F)架橋剤としては、(i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、(iii)エポキシ化合物が挙げられる。(G)アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。
【0122】
<無処理タイプ>
無処理タイプの感熱層は、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、、スルホン酸発生ポリマー含有型等のタイプがある。
熱可塑性微粒子ポリマー型は、(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子が(J)親水性高分子マトリックス中に分散され、露光部の熱により疎水性のポリマーが溶融し、互いに融着してポリマーによる疎水性領域、即ち、画像部を形成する。
(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子(以下、「微粒子ポリマー」という。)は、微粒子ポリマー同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散する、親水性表面を有する微粒子ポリマーが好ましい。微粒子ポリマーとしては、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号、同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等のモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物が挙げられる。中でも、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを用いるのが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーは、微粒子を構成するポリマー自体が親水性であるもの、ポリマーの主鎖または側鎖に親水性基を導入して親水性を付与したもの等のポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー、親水性オリゴマーまたは親水性低分子化合物を、微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものを包含する。微粒子ポリマーとしては、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーがより好ましい。上記したような微粒子ポリマーは、(J)親水性高分子マトリックス中に分散させることで、機上現像する場合には機上現像性が良好となり、更に、感熱層自体の皮膜強度も向上する。
【0123】
マイクロカプセル型としては、特開2000−118160号公報に記載されているタイプや、特開2001−277740号公報に記載されているような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好ましく挙げられる。
スルホン酸発生ポリマー含有型に用いられるスルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−もしくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマー等が挙げられる。
無処理タイプの感熱層に親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。また、親水性樹脂を架橋硬化させて、現像処理不要の平版印刷版原版を得ることができる。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するものや、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。親水性樹脂の具体例としては、上記した(J)親水性高分子マトリックスとして用いられる親水性樹脂として列挙したものが挙げられる。
中でも、ゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。
無処理タイプの感熱層には、光熱変換物質を添加することが必要である。光熱変換物質は、波長700nm以上の光を吸収する物質であればよく、上記したサーマルポジタイプに用いられる染料と同様の染料が特に好ましい。
【0124】
<バックコート層>
このようにして、平版印刷版用支持体上に、各種の画像記録層を設けて得られた平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、平版印刷版を重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなるバックコート層を設けることができる。
【0125】
<塗布方法>
上記コンベンショナルタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルタイプ、および無処理タイプの画像記録層形成液を上記平版印刷版用支持体の粗面化面に塗布する方法としては、コーティングロッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、スライドビードコーターを用いる方法等、従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って行うことができる。
【0126】
上記コンベンショナルタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルタイプ、および無処理タイプの画像記録層形成液を塗布後のアルミニウム板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、上記パスロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびローラを加熱し、上記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥するローラドライヤー等がある。
【0127】
[平版印刷版]
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
一般には、像露光を行う。像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム・ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム・カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
上記露光の後、画像記録層がサーマルタイプ、コンベンショナルタイプおよびフォトポリマータイプのいずれかである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。平版印刷版原版に用いられる好ましい現像液は、アルカリ現像液であれば特に限定されないが、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液が好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像することもできる。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法については、特開平11−109637号公報に詳細に記載されており、該公報に記載されている内容を用いることができる。また、平版印刷版原版をアルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像することもできる。
【0128】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(実施例1〜5および比較例1〜29)
1.平版印刷版用支持体の作成
<アルミニウム板>
下記第1表に示す金属成分を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げた。なお、最終圧延において、圧下率を変更してアルミニウム板の強度を調整し、第1表に示すアルミニウム板AL1〜AL7を得た。各アルミニウム板の表層から2μm以内に存在する金属間化合物の密度を以下の方法により求めた。
【0129】
各アルミニウム板について、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、170μm×170μmの範囲で面分析して金属間化合物をカウントし、1mm2 あたりに換算することにより、表層から2μm以内に存在する金属間化合物の密度を求めた。結果を第1表に示す。
【0130】
また、各アルミニウム板について、以下のようにして引張り強度を測定した。結果を第1表に示す。
島津製作所社製オートグラフ(商品名)を用いて、幅25mmの試料を用いて、板圧延方向の引張り強度を測定した。
【0131】
【表1】
【0132】
上記の各アルミニウム板AL1〜AL7に、以下に示す表面処理A〜Eを第2表に示す組み合わせで施し、平版印刷版用支持体を得た。
【0133】
<表面処理A>
表面処理Aは、以下に示す各種処理を連続的に行うことにより行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
【0134】
(a)機械的粗面化処理
図1に示したような装置を使って、研磨剤(パミス、平均粒径30μm)と水との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図1において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は30μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した(ブラシの毛密度は450本/cm2 であった。)。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
【0135】
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0136】
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0137】
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0138】
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0139】
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0140】
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2 であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0141】
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0142】
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
【0143】
(j)陽極酸化処理
図4に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2 であった。
【0144】
<表面処理B>
上記表面処理Aの(h)アルカリエッチング処理において、アルミニウム板の溶解量を、1.0g/m2 とした以外は、表面処理Aと同様の方法により、表面処理した。
【0145】
<表面処理C>
上記表面処理Aの(g)、(h)、(i)を行わなかった以外は、表面処理Aと同様の方法により、表面処理した。
【0146】
<表面処理D>
上記表面処理Aの(a)、(d)、(e)、(f)を行わず、上記表面処理Aの(g)において、アルミニウム板が陽極時の電気量の総和を1200C/dm2 とした以外は、表面処理Aと同様の方法により、表面処理した。
【0147】
<表面処理E>
上記表面処理Aの(a)、(g)、(h)、(i)を行わなかった以外は、表面処理Aと同様の方法により、表面処理した。
【0148】
2.平版印刷版用支持体の表面形状の測定
上記で得られた平版印刷版用支持体の表面の凹部について、下記(1)〜(4)の測定を行った。
結果を第2表に示す。なお、第2表中、「−」は、該当する平均波長または平均開口径の凹部がなかったことを示す。
【0149】
(1)中波構造の平均開口径
SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られたSEM写真においてピットの周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。
【0150】
(2)小波構造の平均開口径
高分解能SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波構造のピット(小波ピット)を50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。
【0151】
(3)小波構造の開口径に対する深さの比の平均
小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において開口径0.3μm以下の小波ピットを20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求めて平均値を算出した。
【0152】
(4)大波構造の平均波長
触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均山間隔Sm を5回測定し、その平均値を平均波長とした。2次元粗さ測定は、以下の条件で行った。
cut off0.8、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm。
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
3.平版印刷版原版の作成
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、下記の画像記録層I〜IIIを設けて平版印刷版原版を得た。
なお、画像記録層I〜IIIを設ける前には、下記のアルカリ金属ケイ酸塩処理による親水化処理および下塗処理の界面処理を行った。
【0156】
上記で得られた平版印刷版用支持体を、温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理槽の中に10秒間浸せきさせることで、アルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後の平版印刷版用支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は10mg/m2 であった。
【0157】
<下塗液組成>
・下記高分子化合物 0.2g
・メタノール 100g
・水 1g
【0158】
【化1】
【0159】
<画像記録層I>
下記組成の感熱層塗布液を調製し、下塗りした平版印刷版用支持体に、この感熱層塗布液を乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.7g/m2 になるよう塗布し、乾燥させて感熱層を形成させ、平版印刷版原版を得た。
【0160】
(感熱層塗布液組成)
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 1.0g
・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製) 0.05g
・メチルエチルケトン 12g
【0161】
【化2】
【0162】
<画像記録層II>
上記下塗りした平版印刷版用支持体上に、バーを用いて下記組成の感光液を塗布し、120℃で40秒間乾燥して感光層を形成させた。乾燥後の感光層の重量は1.0g/m2 であった。
(感光液組成)
【0163】
【化3】
【0164】
このようにして設けた感光層の上に、下記組成のマット液を静電スプレーで吹きつけ塗布し、60℃で5秒間乾燥して表面にマットを付着させ、平版印刷版原版を得た。
液滴の数は50〜100個/mm2 であり、乾燥後のマットの重量は0.05g/m2 、高さは2〜6μm、直径は20〜150μmであった。
(マット液組成)
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸ナトリウム/エチルアクリレート/メチルメタクリレート=15/15/70(モル比) の共重合体(重量平均分子量10万) 20.0g
・タートラジン(水溶性染料) 0. 1g
・純水 79.9g
【0165】
<画像記録層III>
上記下塗りした平版印刷版用支持体上に、まず、バーを用いて下記組成の中間層液を塗布し、80℃で20秒間乾燥することで、中間層を設けた。乾燥後の中間層の塗布重量は0.005g/m2 であった。
(中間層液組成)
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸ナトリウム/エチルアクリレート/メチルアクリレート=20/30/50(モル比)の共重合体(重量平均分子量7万) 1.0g
・メタノール 90.0g
・純粋 9.0g
【0166】
次に、バーを用いて、下記組成の感光液を塗布し、130℃で40秒間乾燥することで、感光層を設けた。乾燥後の中間層の重量は1.5g/m2 であった。
(感光液組成)
・4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸/テトラエチレングリコール=40/10/35/15(モル比)のウレタン樹脂(重量平均分子量10万) 2.5g
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリロニトリル=5/35/40/20(モル比)の共重合体(重量平均分子量8万) 2.5g
・4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物のドデシルベンゼンスルホン酸塩(ジアゾ樹脂) 1.2g
・スチレン/無水マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体(重量平均分子量3万)のn−ヘキシルアルコールによるハーフエステル 0.1g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学社製) 0. 15g
・メガファックF−176PF(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活
性剤) 0. 1g
・リン酸トリクレジル 0.15g
・亜リン酸 0.02g
・りんご酸 0.02g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40g
・メチルエチルケトン 30g
・メタノール 20g
・乳酸メチル 10g
・純水 1.5g
【0167】
このようにして設けた感光層の上に、下記組成のマット液を静電スプレーで吹きつけ塗布し、60℃で5秒間乾燥して表面にマットを付着させ、平版印刷版原版を得た。
液滴の数は50〜150個/mm2 であり、乾燥後のマットの重量は0.10g/m2 、高さは2〜6μm、直径は20〜150μmであった。
(マット液組成)
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸ナトリウム/エチルアクリレート/メチルメタクリレート=15/15/70(モル比) の共重合体(重量平均分子量10万) 20.0g
・タートラジン(水溶性染料) 0. 1g
・純水 79.9g
【0168】
4.露光および現像処理
上記で得られた、画像記録層I〜IIIを設けた各平版印刷版原版に、該画像記録層に応じて下記の方法で画像露光および現像処理を行い、平版印刷版を得た。
【0169】
<画像記録層Iを設けた平版印刷版原版>
画像記録層Iを設けた平版印刷版原版を出力500mW、波長830nmビーム径17μm(1/e2 )の半導体レーザーを装備したCREO社製TrenndSetter3244を用いて主走査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/cm2 で像様露光した。なお、後述するポツ状残膜の発生の有無を評価するのために、版面エネルギー量を20〜140mJ/cm2 まで20mJ/cm2 おきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
その後、非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2 Oよりなるカリウム塩5.0質量%およびオルフィンAK−02(日信化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1Lに下記化合物aを添加したアルカリ現像液を用いて現像処理を行った。現像処理は、上記アルカリ現像液を満たした自動現像機PS900NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現像温度25℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了した後、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))等で処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。なお、化合物aの代わりに、下記化合物bまたはcを同じ添加量で添加したアルカリ現像液を用いた場合であっても、同様に現像処理を行うことができた。
<化合物a〜c>
化合物a:C12H25N(CH2 CH2 COONa)2
化合物b:C12H25O(CH2 CH2 O)7 H
化合物c:(C6 H13)2 CHO(CH2 CH2 O)20H
【0170】
<画像記録層IIを設けた平版印刷版原版>
上記画像記録層IIを設けた平版印刷版原版の上に網点ネガフィルムを重ね、米国ヌアーク社製プリンタFT26V2UPNS(光源;2KWメタルハライドランプ)で200カウント露光した。なお、後述するポツ状残膜の発生の有無を評価するのために、カウント数を100〜200カウントまで10カウントおきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
その後、富士写真フイルム(株)製自動現像機900NPを用いて現像処理およびガム液の塗布を行った。その際現像液としては下記組成の現像液を、ガム液としては下記組成のガム液を用いた。現像液の温度は30℃にし、現像液への浸透時間が12秒になるように搬送速度を調整した。
【0171】
(現像液組成)
・[SiO2 ]/[K2 O]のモル比が1. 2で、SiO2 濃度が2. 1質量%のケイ酸カリウム水溶液 999g
・エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩 1g
(ガム液組成)
・アラビアガム 5. 0g
・白色デキストリン 30g
・エチレングリコール 10g
・リン酸 3g
・水 952g
【0172】
<画像記録層IIIを設けた平版印刷版原版>
上記画像記録層IIを設けた平版印刷版原版の上に網点ネガフィルムを重ね、米国ヌアーク社製プリンタFT26V2UPNS(光源;2KWメタルハライドランプ)で200カウント露光した。なお、後述するポツ状残膜の発生の有無を評価するのために、カウント数を100〜200カウントまで10カウントおきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
その後、富士写真フイルム(株)製自動現像機900Nを用いて現像処理およびガム液の塗布を行った。その際現像液現像補充液としてはDN−6(富士写真フイルム(株)製現像液)、ガム液としては、FN−2(富士写真フイルム(株)製ガム液)をそれぞれ用いた。
第1現像液の温度は30℃にし、第1現像液への浸透時間が12秒になるように搬送速度を調整した。
【0173】
5.平版印刷版の評価
上記で得られた平版印刷版のポツ状残膜の発生の有無、耐汚れ性および耐刷性を下記の方法で評価した。それぞれの結果を第3表に示す。
なお、下記評価方法は、各平版印刷版用支持体に上記3種類の画像記録層I〜IIIを設けた各平版印刷版原版を露光現像した平版印刷版3種類で行った。各実施例および比較例における評価は、それら3種類の平版印刷版の平均値を示した。
【0174】
(1)ポツ状残膜の発生の有無
各版面エネルギー量または各カウント数で露光したサンプルの現像後の非画像部を光学顕微鏡で倍率100倍で観察し、1mm四方の面積におけるポツの有無を調べた。ポツが観察されないサンプルの版面エネルギー量またはカウント数の最小値により、ポツ状残膜の発生の有無を評価した。版面エネルギー量またはカウント数が小さい方から順に、数値で10〜1の10段階で表した。
該数値が大きい方ほどポツ状残膜が発生しにくいことを意味している。
【0175】
(2)耐汚れ性
耐汚れ性については、ブランケット汚れについて評価した。
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
ブランケットの汚れが少ない方から順に、数値で10〜1の10段階で表した。数字が大きいほど耐汚れ性に優れることを意味している。
【0176】
(3)耐刷性
小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。
耐刷性は、比較例1の平版印刷版用支持体に上記3種類の画像記録層を設けた平版印刷版の印刷枚数の平均枚数を100としたときの、各実施例および比較例の平均印刷枚数を相対値で表した。
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
第2表および第3表から明らかなように、低純度アルミニウム板を用い、特定の凹凸構造を持つ平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けた平版印刷版原版は、ポツ状残膜の発生がなく耐汚れ性に優れ、また耐刷性にも優れる(実施例1〜5)。
特に、引張り強度が160MPa以上の低純度アルミニウム板を用いた平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けた平版印刷版原版は、ポツ状残膜の発生をより効果的に抑えることができ、耐汚れ性および耐刷性にも優れる(実施例1〜4)。
また、小波構造の開口径に対する深さの比の平均が0.2以上であると、耐刷性が特に向上する。
【0180】
【発明の効果】
以上に説明したように、低純度アルミニウム板、好ましくはその引張り強度が特定範囲の低純度アルミニウム板に表面処理等して得られる、特定波長の大波構造および特定開口径の中波、小波構造とを重畳した構造の砂目形状を表面に有する本発明の平版印刷版用支持体を用いれば、ポツ状残膜の発生を効果的に抑えることができ、また従来トレードオフの関係から脱しえなかった耐汚れ性と耐刷性との両立もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の作成における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
【図2】本発明の平版印刷版用支持体の作成における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の平版印刷版用支持体の作成における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【図4】本発明の平版印刷版用支持体の作成における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a lithographic printing plate support and a lithographic printing plate precursor using the lithographic printing plate, and in particular, when used as a lithographic printing plate, there is no generation of a pot-like residual film and excellent stain resistance and printing durability. The present invention relates to an excellent lithographic printing plate support using a low-purity aluminum plate, and further to a lithographic printing plate precursor using the same.
[0002]
[Prior art]
The lithographic printing method is a printing method that utilizes the fact that water and oil are not essentially mixed. The printing plate surface of the lithographic printing plate used for this is a region that accepts water and repels oil-based ink (hereinafter referred to as “removal”). This region is referred to as a “non-image portion”) and a region that repels water and receives oil-based ink (hereinafter, this region is referred to as “image portion”).
[0003]
An aluminum support for a lithographic printing plate used for a lithographic printing plate (hereinafter simply referred to as a “support for a lithographic printing plate”) is used so that its surface bears a non-image portion, and therefore has hydrophilicity and water retention. Are required to have various performances which are contradictory to each other, for example, excellent adhesion, and excellent adhesion to an image recording layer provided thereon.
If the hydrophilicity of the support is too low, ink will adhere to the non-image area during printing, and the blanket cylinder will be soiled, and so-called background soiling will occur. On the other hand, if the water holding capacity of the support is too low, the shadow portion is clogged unless dampening water is increased during printing. Therefore, the so-called water width is narrowed.
[0004]
On the other hand, if a deep concave portion exists on the surface of the support subjected to the roughening treatment, the thickness of the image recording layer at that portion becomes thick, so that development may be suppressed in shape. As a result of the development being suppressed, the image recording layer remains in the deep concave portion, and a local residual film (hereinafter also referred to as “spot-like residual film”) is generated in the non-image area. There is a problem that the non-image area is stained. For example, in a lithographic printing plate precursor provided with a so-called thermal type image recording layer in which the solubility in an alkali developer changes due to heat generated by photothermal conversion, the image formation reaction is insufficient at the bottom of the concave portion, and a pot-like residual film Will occur.
Such a pot-like residual film is likely to occur when the conditions of exposure and development are severe. For example, in a planographic printing plate precursor provided with a thermal type image recording layer, the exposure time is shortened to improve productivity, or the laser beam energy is lowered to extend the life of the laser. This is a case where the exposure amount is reduced. In addition, in order to use an image recording layer that tends to cause image omission in a portion that should originally be an image portion with a highly active developer with high sensitivity, there is a case where development is performed using a developer with low sensitivity. is there.
[0005]
In order to obtain a lithographic printing plate support having good performance, it is common to make the surface of an aluminum plate grained (roughening treatment) to give irregularities. As for the unevenness, various shapes (structures) have been proposed as shown below.
For example, a triple structure (see Patent Document 1) having a large wave, a medium wave and a small wave defining the opening diameters of the medium wave and the small wave (see Patent Document 1), and a structure defining the diameter of the small wave in a large and small double structure (for example, Patent Document 2) , See Patent Document 3), a technique for providing fine protrusions in addition to large and small double recesses (pits) (see Patent Document 4), and a double structure that defines an opening diameter (see Patent Document 5). ), A double structure (see Patent Document 6) defining a factor a30 indicating the smoothness of the surface, and a plurality of electrochemical roughening treatments (hereinafter also referred to as “electrolytic roughening treatment”). A structure (see Patent Document 7) that defines the ratio of pit diameters to be formed has been proposed.
[0006]
This graining includes mechanical graining methods such as ball graining, brush graining, wire graining, and blast graining, and an electrolytic grained surface for electrolytic etching of an aluminum plate in an electrolyte containing hydrochloric acid and / or nitric acid. And a composite roughening method (see Patent Document 8) in which a mechanical roughening method and an electrolytic roughening method are combined.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-8-300844
[Patent Document 2]
JP 11-99758 A
[Patent Document 3]
Japanese Patent Laid-Open No. 11-208138
[Patent Document 4]
JP 11-167207 A
[Patent Document 5]
Japanese Patent No. 2023476
[Patent Document 6]
JP-A-8-300843
[Patent Document 7]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-35133
[Patent Document 8]
US Pat. No. 4,476,006
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-mentioned prior art, deep recesses are easily formed, and the occurrence of a pot-like residual film cannot be effectively suppressed, and the stain resistance and the printing durability are in a trade-off relationship. And printing durability were not compatible.
Therefore, the present invention solves this problem and provides a support for a lithographic printing plate that is free from the occurrence of a pot-like residual film and has excellent stain resistance and printing durability when used as a lithographic printing plate. For the purpose.
Another object of the present invention is to provide a lithographic printing plate precursor using the above support.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies on the aluminum plate used for the support for lithographic printing plates and the uneven structure of the surface, the inventor has obtained a uniform large wave structure by mechanical roughening by using a low-purity aluminum plate. Since it is formed and the formation of deep recesses is suppressed, and because the adhesion between the recording layer and the support is excellent by combining irregularities of a specific size on the surface of the low-purity aluminum or the like, lithographic printing As a plate, it was found that there was no occurrence of a pot-like residual film, excellent stain resistance, and excellent printing durability, and the present invention was completed.
[0010]
That is, this invention is made | formed based on the said knowledge, and provides the following (1)-(4).
[0011]
(1) A lithographic printing plate support obtained by subjecting an aluminum plate to a roughening treatment including a mechanical roughening treatment and an anodizing treatment,
The aluminum content of the aluminum plate is 95% by mass or more and less than 99.50% by mass,
Lithographic printing having a grained shape on the surface with a large wave structure with an average wavelength of 5 to 100 μm, a medium wave structure with an average opening diameter of 0.5 to 5 μm, and a small wave structure with an average opening diameter of 0.01 to 0.20 μm superimposed on each other Plate support.
[0012]
(2) The lithographic printing plate support according to (1), wherein the aluminum plate has a tensile strength of 160 MPa or more.
[0013]
(3) The lithographic printing plate support according to (1) or (2), wherein the average ratio of the depth to the opening diameter of the small wave structure is 0.2 or more.
[0014]
(4) A lithographic printing plate precursor in which an image recording layer is provided on the lithographic printing plate support according to any one of (1) to (3).
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[Support for lithographic printing plate]
The aluminum alloy plate (hereinafter simply referred to as “aluminum plate”) used in the present invention is a metal whose main component is dimensionally stable aluminum, and the aluminum content is 95% by mass or more and less than 99.50% by mass. Preferably, the tensile strength is 160 MPa or more.
In the present invention, low purity aluminum refers to aluminum having an aluminum content of 95% by mass or more and less than 99.50% by mass.
[0016]
<Aluminum plate (rolled aluminum)>
The aluminum plate used in the present invention has an aluminum content of 95% by mass or more. An aluminum plate of less than 50% by mass. That is, it contains 0.50 to 5% by mass of elements other than aluminum. The trace elements contained in these aluminum alloys preferably contain the following elements in the following amounts. Here, the amount of inevitable impurities other than the following elements is preferably 0.06% by mass or less.
If the purity is 99.50% by mass (hereinafter sometimes referred to as “wt%”) or more, the allowable amount of impurities decreases, and the cost reduction effect may decrease. If the content is lower than 95 wt%, defects such as cracks may occur during rolling due to containing a large amount of impurities. More preferably, the purity of aluminum is 95 to 99 wt%, more preferably 95 to 97 wt%.
[0017]
The aluminum content is 95% by mass or more. As an aluminum alloy of less than 50% by mass, it is not an aluminum lump with a purity of 99.7% or more called a new bullion, such as scrap aluminum, secondary bullion, recycled bullion, etc. An aluminum lump having such a low purity can be mentioned. By using a low-purity aluminum lump as a raw material, a lithographic printing plate support can be produced at a lower cost than the conventional method, and the tensile strength of the aluminum plate can be increased, resulting in deep mechanical roughening treatment. The formation of the recess can be effectively suppressed.
[0018]
The elements contained in the aluminum plate of the present invention will be described.
Fe is an element contained in the new metal in the range of about 0.1 to 0.2 wt%, and the amount dissolved in aluminum is small, and most remains as an intermetallic compound. Although there exists an effect | action which raises mechanical strength, when more than 1.0 wt%, it will become easy to generate | occur | produce a crack in the middle of rolling, and 0.1 wt% or less is not realistic. As an intermetallic compound, Al3Fe, Al6Typical examples include Fe, AlFeSi-based compounds, and AlFeSiMn-based compounds.
[0019]
Si is an element contained in a new metal in the range of about 0.03 to 0.1 wt%, and is also contained in a large amount in scrap Al. It exists as a solid solution in aluminum, as an intermetallic compound, or as a single precipitate. In addition, when heated in the process of producing a lithographic printing plate support, the dissolved Si may precipitate as elemental Si. It is known that when the amount of simple Si is excessive, severe ink stains are reduced. Also, it affects the electrochemical roughening property. Examples of intermetallic compounds include AlFeSi compounds, AlFeSiMn compounds, Mg2Si and the like are typical.
[0020]
Cu is contained in trace amounts in the new metal. Moreover, it is an element contained abundantly in scrap of JIS2000 series and 4000 series materials. It is relatively easy to dissolve in aluminum. Cu is an element that greatly affects the electrochemical roughening performance.
[0021]
Mg is contained in trace amounts in new bullion. Moreover, it is an element contained in many scraps of JIS2000, 3000, 5000, and 7000 materials. In particular, it is one of the main impurity metals contained in scrap material because it is contained in a large amount in can end material. Heat resistance softening property and mechanical strength can be improved by adding Mg. It is also known that it is relatively easily dissolved in aluminum and forms an intermetallic compound with Si.
[0022]
Mn is contained in trace amounts in new bullion. Mn is an element contained in a large amount in scrap of JIS 3000 series materials. In particular, it is one of the main impurity metals contained in scrap materials because it is contained in a large amount in can body materials. Mn is also relatively easily dissolved in aluminum, and forms an intermetallic compound with Al, Fe, Si and the like. Mn improves the mechanical strength and affects the electrochemical roughening property.
[0023]
Zn is contained in trace amounts in the new bullion. Zn is an element that is particularly abundant in JIS7000 series scrap. It is relatively easy to dissolve in aluminum. Affects electrochemical roughening.
[0024]
Cr may be contained in a very small amount in new bullion. Moreover, it may be contained in a small amount in JIS 5000 series, 6000 series, and 7000 series scraps.
[0025]
Ti is an element usually added in an amount of 0.01 to 0.04 wt% as a crystal refining material. Mainly intermetallic compound with Al or TiB2Added in the form of JIS 5000 series, 6000 series, and 7000 series scraps contain relatively large amounts of impurity metals. If it is contained in excess, it may affect the electrochemical surface roughness.
[0026]
B may be added together with Ti as a crystal refining material, and may be included as long as it is 0.04 wt% or less.
[0027]
Elements contained in aluminum raw materials or elements added to molten aluminum melt into the aluminum (solid solution) when solidified in the casting process, and the rest are intermetallic compounds or single crystallized products -Present as a precipitate. The proportion remaining as an intermetallic compound or as a single crystallized product / precipitate is greatly affected by the solidification rate. For example, when solidifying rapidly as in the case of a phase roll type continuous casting, most of the solid solution is formed, and DC casting. When the solidification rate is slow as in the above, it is relatively easy to remain as an intermetallic compound or a single crystallized product / precipitate.
Then, during heat treatment processes such as soaking, annealing, etc., and during hot rolling, it is re-dissolved in Al or changed to a more stable intermetallic compound, but the thickness is about 0.1 to 0.7 mm When an aluminum plate for a lithographic printing plate is obtained, it is often present as an intermetallic compound or as a single crystallized product / precipitate on the surface and inside thereof.
[0028]
The aluminum plate used in the present invention preferably has a tensile strength of 160 MPa or more. If the tensile strength of the aluminum plate is 160 MPa or more, the formation of deep pits can be suppressed even when the processing conditions are not strictly defined in the mechanical surface roughening treatment described later, and the surface is not suitable for a lithographic printing plate. The generation of residual film can be suppressed and the stain resistance is excellent. The tensile strength of the aluminum plate is more preferably 200 MPa or more, and particularly preferably 220 MPa or more.
The tensile strength of the aluminum plate is preferably 260 MPa or less, and more preferably 240 MPa or less. If the tensile strength of the aluminum plate exceeds 260 MPa, the large wave structure formed by the mechanical surface roughening treatment becomes too shallow or not formed, so that the hydrophilicity and water retention of the support surface are poor, and water The width may be narrowed. In addition, when attached to a printing press, the fit to the plate cylinder is poor, which may lead to color misregistration of the printed matter and plate breakage during printing.
[0029]
In order to obtain an aluminum plate having a tensile strength of 160 MPa or more, it can be usually cast according to the following method using a molten aluminum alloy having the above aluminum content. In particular, the strength of the obtained aluminum plate can be adjusted by adjusting the rolling reduction in the final rolling step. It can also be achieved by carrying out a process called intermediate annealing at an early stage where the thickness of the aluminum plate is thick.
Alternatively, it is known that iron, magnesium, and the like contained in aluminum affect the strength of the aluminum alloy, and the content of these elements may be adjusted.
[0030]
In order to use an aluminum alloy as a plate material, for example, the following method can be employed. First, a molten aluminum alloy adjusted to a predetermined alloy component content is subjected to a cleaning process and cast according to a conventional method. In the cleaning process, in order to remove unnecessary gas such as hydrogen in the molten metal, flux treatment, degassing process using argon gas, chlorine gas, etc., so-called rigid media filter such as ceramic tube filter, ceramic foam filter, A filtering process using a filter that uses alumina flakes, alumina balls or the like as a filter medium, a glass cloth filter, or a combination of a degassing process and a filtering process is performed.
[0031]
These cleaning treatments are preferably performed in order to prevent defects caused by foreign matters such as non-metallic inclusions and oxides in the molten metal and defects caused by gas dissolved in the molten metal. Regarding filtering of the molten metal, JP-A-6-57432, JP-A-3-162530, JP-A-5-140659, JP-A-4-231425, JP-A-4-276031, JP-A-5-311261, JP-A-5-311261 6-136466 and the like. Further, the degassing of the molten metal is described in JP-A-5-51659, Japanese Utility Model Laid-Open No. 5-49148, and the like. The applicant of the present application has also proposed a technique relating to degassing of molten metal in Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-40017.
[0032]
Next, casting is performed using the molten metal that has been subjected to the cleaning treatment as described above. Regarding the casting method, there are a method using a solid mold typified by a DC casting method and a method using a driving mold typified by a continuous casting method.
In DC casting, solidification occurs at a cooling rate of 0.5 to 30 ° C./second. When the temperature is less than 1 ° C., many coarse intermetallic compounds may be formed. When DC casting is performed, an ingot having a thickness of 300 to 800 mm can be manufactured. The ingot is chamfered as necessary according to a conventional method, and usually 1 to 30 mm, preferably 1 to 10 mm, of the surface layer is cut. Before and after that, soaking treatment is performed as necessary. When performing a soaking treatment, heat treatment is performed at 450 to 620 ° C. for 1 to 48 hours so that the intermetallic compound does not become coarse. If the heat treatment is shorter than 1 hour, the effect of soaking may be insufficient.
[0033]
Then, hot rolling and cold rolling are performed to obtain a rolled aluminum plate. An appropriate starting temperature for hot rolling is 350 to 500 ° C. An intermediate annealing treatment may be performed before or after hot rolling or in the middle thereof. The conditions for the intermediate annealing treatment are heating at 280 to 600 ° C. for 2 to 20 hours, preferably 350 to 500 ° C. for 2 to 10 hours using a batch annealing furnace, or 400 to 600 ° C. using a continuous annealing furnace. Heating is performed for 6 minutes or less, preferably 450 to 550 ° C. for 2 minutes or less. The crystal structure can be made finer by heating at a heating rate of 10 to 200 ° C./second using a continuous annealing furnace.
[0034]
The flatness of the aluminum plate finished to a predetermined thickness, for example, 0.1 to 0.5 mm by the above steps may be further improved by a correction device such as a roller leveler or a tension leveler. The flatness may be improved after the aluminum plate is cut into a sheet shape, but in order to improve the productivity, it is preferably performed in a continuous coil state. Further, a slitter line may be used for processing into a predetermined plate width. Moreover, in order to prevent generation | occurrence | production of the damage | wound by friction between aluminum plates, you may provide a thin oil film on the surface of an aluminum plate. As the oil film, a volatile or non-volatile film is appropriately used as necessary.
[0035]
On the other hand, as the continuous casting method, a twin roll method (hunter method), a method using a cooling roll typified by the 3C method, a double belt method (Hazley method), a cooling belt or a cooling block typified by Al-Swiss Caster II type The method using is industrially performed. When the continuous casting method is used, it solidifies at a cooling rate of 100 to 1000 ° C./second. Since the continuous casting method generally has a higher cooling rate than the DC casting method, it has a feature that the solid solubility of the alloy component in the aluminum matrix can be increased. Regarding the continuous casting method, the techniques proposed by the applicant of the present application are disclosed in JP-A-3-79798, JP-A-5-201166, JP-A-5-156414, JP-A-6-262203, and JP-A-6-122949. JP-A-6-210406 and JP-A-6-26308.
[0036]
When continuous casting is performed, for example, if a method using a cooling roll such as a Hunter method is used, a cast plate having a thickness of 1 to 10 mm can be directly cast continuously, and the hot rolling step is omitted. The advantage of being able to In addition, when a method using a cooling belt such as the Husley method is used, a cast plate having a thickness of 10 to 50 mm can be cast. Generally, a hot rolling roll is arranged immediately after casting and continuously rolled. Thus, a continuous cast and rolled plate having a thickness of 1 to 10 mm is obtained.
[0037]
These continuous cast and rolled plates are subjected to processes such as cold rolling, intermediate annealing, improvement of flatness, slits, and the like in the same manner as described for DC casting. Finished to a thickness of 5 mm. Regarding the intermediate annealing condition and the cold rolling condition when using the continuous casting method, the techniques proposed by the applicant of the present application are disclosed in JP-A-6-220593, JP-A-6-210308, JP-A-7-54111, It is described in JP-A-8-92709.
[0038]
Various characteristics described below are desired for the aluminum plate thus manufactured.
In order to obtain a certain level of waist strength even when performing a burning treatment, the 0.2% yield strength after heat treatment at 270 ° C. for 3 to 10 minutes is preferably 80 MPa or more, and is 100 MPa or more. Is more preferable. In particular, when the waist strength is required for an aluminum plate, an aluminum material added with Mg or Mn can be used, but if the waist is strengthened, the ease of fitting to the plate cylinder of a printing press becomes inferior. Depending on the application, the material and the amount of trace components added are appropriately selected. With regard to these, techniques proposed by the applicant of the present application are described in Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 7-126820 and 62-140894.
[0039]
The crystal structure of the aluminum plate may cause poor surface quality when the surface of the aluminum plate is subjected to chemical or electrochemical surface roughening. It is preferably not too coarse. The crystal structure on the surface of the aluminum plate preferably has a width of 200 μm or less, more preferably 100 μm or less, still more preferably 50 μm or less, and the length of the crystal structure is 5000 μm or less. Is preferably 1000 μm or less, and more preferably 500 μm or less. With regard to these, techniques proposed by the applicant of the present application are described in Japanese Patent Laid-Open Nos. 6-218495, 7-39906, and 7-124609.
[0040]
The alloy component distribution of the aluminum plate, when chemical surface roughening treatment or electrochemical surface roughening treatment is performed, poor surface quality occurs due to non-uniform distribution of the alloy component on the surface of the aluminum plate. Therefore, it is preferable that the surface is not very uneven. With regard to these, the techniques proposed by the applicant of the present application are described in Japanese Patent Laid-Open Nos. 6-48058, 5-301478, and 7-132689.
[0041]
In the intermetallic compound of the aluminum plate, the size and density of the intermetallic compound may affect the chemical roughening treatment or the electrochemical roughening treatment. With regard to these, techniques proposed by the applicant of the present application are described in Japanese Patent Laid-Open Nos. 7-138687 and 4-254545.
[0042]
In the present invention, an aluminum plate as shown above can be used with unevenness by lamination rolling, transfer or the like in the final rolling step.
[0043]
The aluminum plate used in the present invention is a continuous belt-like sheet material or plate material. That is, it may be an aluminum web or a sheet-like sheet cut to a size corresponding to a planographic printing plate precursor shipped as a product.
Since scratches on the surface of the aluminum plate may become defects when processed into a lithographic printing plate support, it is possible to generate scratches at the stage prior to the surface treatment process for making a lithographic printing plate support It is necessary to suppress as much as possible. For that purpose, it is preferable that the package has a stable form and is not easily damaged during transportation.
In the case of an aluminum web, for example, the packing form of aluminum is, for example, laying a hardboard and felt on an iron pallet, applying cardboard donut plates to both ends of the product, wrapping the whole with a polytube, and inserting a wooden donut into the inner diameter of the coil Then, a felt is applied to the outer periphery of the coil, the band is squeezed with a band, and the display is performed on the outer periphery. Moreover, a polyethylene film can be used as the packaging material, and a needle felt or a hard board can be used as the cushioning material. There are various other forms, but the present invention is not limited to this method as long as it is stable and can be transported without being damaged.
[0044]
The thickness of the aluminum plate used in the present invention is about 0.1 to 0.6 mm, preferably 0.15 to 0.4 mm, and more preferably 0.2 to 0.3 mm. This thickness can be appropriately changed according to the size of the printing press, the size of the printing plate, the user's desires, and the like.
[0045]
In this manner, an aluminum plate having an aluminum content of 95% by mass or more and less than 99.50% by mass and preferably a tensile strength of 160 MPa or more can be obtained.
[0046]
On the other hand, an aluminum plate (tempered aluminum) having a tensile strength of less than 160 MPa can be obtained even when the molten aluminum alloy having a high impurity content is used. For example, an aluminum plate having a tensile strength of 160 MPa or less can be obtained by annealing after finishing to a desired thickness.
An aluminum plate having a tensile strength of less than 160 MPa obtained by the above-described method or the like is prone to forming deep pits in the mechanical surface roughening treatment. It is not preferable.
[0047]
The tensile strength of the aluminum plate is measured according to JIS Z2201 and JIS Z2241.
[0048]
The aluminum plate thus obtained contains an intermetallic compound composed of three or more kinds of metal elements as described above, and the density of the intermetallic compound existing within 2 μm from the surface layer is 3000 to 35000 pieces / mm.2Is preferred.
[0049]
The present inventors have found that these intermetallic compounds (particles) serve as pitting base points for pits formed by the electrochemical surface roughening treatment, and the intermetallic compounds are uniformly present within 2 μm from the surface layer. I found that it was possible to make a fine grain. When the density of the intermetallic compound is within the above range, dense pits are uniformly formed and the stain resistance is excellent.
[0050]
The density (abundance) of the intermetallic compound can be controlled by changing the amount of the raw material containing impurities or the amount of secondary metal added. It can also be adjusted slightly by appropriately changing the production conditions (surface treatment conditions) of the lithographic printing plate support. For example, the density can be lowered by removing the intermetallic compound by chemical etching using hydrochloric acid.
[0051]
The density of the intermetallic compound is 60 μm × 50 μm at 5 locations (n = 5), for example, by observing the surface of the roughened lithographic printing plate support with an SEM (scanning electron microscope) or the like. In range, count intermetallic compounds, 1mm2It can be easily calculated by converting to a per unit.
In addition, the density of the intermetallic compound is measured by using an EPMA (Electron Probe Microanalyzer), for example, in a range of 170 μm × 170 μm to count the intermetallic compound,2It can also be easily calculated by converting to a hit. When using EPMA, the kind of intermetallic compound can also be specified.
[0052]
<Surface grain shape>
The lithographic printing plate support of the present invention has a large wave structure with an average wavelength of 5 to 100 μm, a medium wave structure with an average opening diameter of 0.5 to 5 μm, and a small wave structure with an average opening diameter of 0.01 to 0.20 μm. It has a grain shape of structure on its surface.
In the present invention, the large wave structure having an average wavelength of 5 to 100 μm is involved in the generation of a pot-like residual film and the printing performance. If a deep concave portion is formed as a large wave structure, the image recording layer remains in the deep concave portion when exposure is insufficient or when it cannot be completely removed by development processing, resulting in a pop-like residual film. In some cases, the non-image area may become dirty during printing. On the other hand, when a shallow concave portion is formed as a large wave structure, hydrophilicity and water retention are deteriorated, and printing performance such as stain resistance may be inferior.
[0053]
This large wave structure has the effect of increasing the amount of water retained on the surface of the non-image part of the lithographic printing plate. The more water is retained on the surface, the less the surface of the non-image area is affected by contamination in the atmosphere, and a non-image area that is less likely to get dirty even when the plate is left in the middle of printing can be obtained. Further, when the large wave structure is formed, it becomes easy to visually confirm the amount of dampening water given to the printing plate during printing. That is, the plate inspection property of the planographic printing plate is excellent. If the average wavelength of the large wave structure is less than 5 μm, there may be no difference from the medium wave structure. If the average wavelength of the large wave structure exceeds 100 μm, the exposed non-image area may appear glaring after exposure and development, which may impair plate inspection. The average wavelength of the large wave structure is preferably 10 to 80 μm.
[0054]
The medium wave structure having an average opening diameter of 0.5 to 5 μm has a function of holding the image recording layer mainly by an anchor (throwing) effect and imparting printing durability. When the average opening diameter of the pits having a medium wave structure is less than 0.5 μm, the adhesiveness with the image recording layer provided on the upper layer is lowered, and the printing durability of the lithographic printing plate may be lowered. Further, when the average opening diameter of the pits having the medium wave structure exceeds 5 μm, the number of pit boundary portions serving as anchors is reduced, so that the printing durability may also be lowered.
[0055]
The small wave structure with an average opening diameter of 0.01 to 0.20 μm superimposed on the medium wave structure mainly serves to improve the stain resistance. By combining the medium wave structure with the small wave structure, when dampening water is supplied to the lithographic printing plate during printing, a water film is uniformly formed on the surface of the lithographic printing plate, thereby suppressing the occurrence of stains on the non-image area. it can. When the average opening diameter of the pits having the small wave structure is less than 0.01 μm, a large effect may not be obtained in forming a water film. On the other hand, when the average opening diameter of the pits having the small wave structure exceeds 0.20 μm, the medium wave structure is destroyed, and the effect of improving the printing durability by the medium wave structure may not be obtained.
[0056]
With this small wave structure, not only the opening diameter of the pit but also the depth of the pit can be controlled to obtain even better stain resistance. That is, it is preferable that the average of the ratio of the depth to the opening diameter of the small wave structure is 0.2 or more. As a result, the uniformly formed water film is reliably held on the surface, and the stain resistance of the surface of the non-image part is maintained for a long time.
[0057]
In the lithographic printing plate support of the present invention, the average opening diameter of the medium wave structure on the surface, the average opening diameter of the small wave structure, the average of the depth relative to the opening diameter, and the measurement method of the average wavelength of the large wave are as follows. It is.
[0058]
(1) Average opening diameter of medium wave structure
The surface of the support was photographed at a magnification of 2000 times from directly above using an electron microscope, and in the obtained electron micrograph, at least 50 pits (medium wave pits) having a medium wave structure in which the periphery of the pits are connected in a ring shape. Extract, read the diameter and use it as the opening diameter, and calculate the average opening diameter. The same method is used for a structure with a large wave structure superimposed. In addition, in order to suppress variation in measurement, it is possible to perform equivalent circle diameter measurement using commercially available image analysis software. In this case, the electron micrograph is captured by a scanner, digitized, and binarized by software, and then an equivalent circle diameter is obtained.
As a result of measurement by the present inventor, the result of visual measurement and the result of digital processing showed almost the same value. The same applies to the structure in which the large wave structure is superimposed.
[0059]
(2) Average aperture diameter of small wave structure
Using a high-resolution scanning electron microscope (SEM), the surface of the support was photographed from directly above at a magnification of 50000 times, and at least 50 small-wave structure pits (small-wave pits) were extracted from the obtained SEM photograph. Is read as the opening diameter, and the average opening diameter is calculated.
[0060]
(3) Average ratio of depth to aperture diameter of small wave structure
The average ratio of the depth to the aperture diameter of the wavelet structure is obtained by photographing the fracture surface of the support at a magnification of 50000 times using a high-resolution SEM, extracting at least 20 wavelet pits from the obtained SEM photograph, And the depth are read to find the ratio and the average value is calculated.
[0061]
(4) Average wavelength of large wave structure
Two-dimensional roughness measurement is performed with a stylus type roughness meter, and the average peak interval S defined in ISO 4287 is measured.mIs measured five times, and the average value is taken as the average wavelength.
[0062]
<Surface treatment>
The lithographic printing plate support of the present invention is one in which the above-described surface grain shape is formed on the surface of the aluminum plate by subjecting the above-described aluminum plate to surface treatment. The lithographic printing plate support of the present invention is obtained by subjecting an aluminum plate to roughening treatment including mechanical roughening and electrochemical roughening treatment and anodizing treatment. Is not particularly limited, and may include various steps other than the roughening treatment including mechanical roughening and electrochemical roughening treatment and anodizing treatment.
In the following, as a representative method for forming the above-described surface grain shape,
A method of sequentially performing mechanical surface roughening treatment, alkali etching treatment, desmutting treatment with an acid and electrochemical surface roughening treatment using an electrolytic solution on an aluminum plate,
A method of performing mechanical surface roughening treatment, alkali etching treatment, desmutting treatment with acid and electrochemical surface roughening treatment using different electrolytes a plurality of times on an aluminum plate,
However, the present invention is not limited to these. In these methods, after the electrochemical roughening treatment, an alkali etching treatment and an acid desmutting treatment may be further performed.
As described above, the support for a lithographic printing plate of the present invention obtained by these methods has a structure in which three or more kinds of irregularities with different periods are superimposed on the surface. Excellent in both stain resistance and printing durability.
Hereinafter, each step of the surface treatment will be described in detail.
[0063]
<Mechanical roughening>
The present inventors use low-purity aluminum and increase the tensile strength to a predetermined value or more, thereby making it possible to generate deep pits more than before without specially limiting the conditions in the mechanical surface roughening treatment. The present invention has been completed. Therefore, in the mechanical surface roughening treatment, generally used methods and conditions can be selected, and the surface having irregularities with an average wavelength of 5 to 100 μm is cheaper than the electrochemical surface roughening treatment. Therefore, it is effective as a roughening treatment means of the present invention.
[0064]
Examples of the mechanical surface roughening treatment include, for example, a wire brush grain method in which the aluminum surface is scratched with a metal wire, a ball grain method in which the aluminum surface is grained with a polishing ball and an abrasive, JP-A-6-135175, and Japanese Patent Publication A brush grain method in which the surface is grained with a nylon brush and an abrasive described in Japanese Patent No. 50-40047 can be used.
A transfer method in which the uneven surface is pressed against the aluminum plate can also be used. That is, in addition to the methods described in JP-A-55-74898, JP-A-60-36195, and JP-A-60-20396, transfer is performed several times. The method described in Japanese Patent Application No. -55871 and Japanese Patent Application No. 4-204235 (Japanese Patent Laid-Open No. 6-024168) characterized in that the surface is elastic is also applicable.
[0065]
In addition, by using electric discharge machining, shot blasting, laser, plasma etching, etc., a method of repeatedly transferring using a transfer roll etched with fine irregularities, and an uneven surface coated with fine particles on an aluminum plate It is also possible to use a method in which an uneven pattern corresponding to the average diameter of the fine particles is repeatedly transferred to the aluminum plate a plurality of times by contacting the surface and applying a pressure a plurality of times from above. As a method for imparting fine irregularities to the transfer roll, known methods described in JP-A-3-8635, JP-A-3-66404, JP-A-63-65017, etc. may be used. it can. Further, a fine groove may be cut in two directions using a die, a cutting tool, a laser, or the like on the roll surface, and a square unevenness may be formed on the surface. The roll surface may be subjected to a known etching process or the like so that the formed square irregularities are rounded.
Further, in order to increase the surface hardness, quenching, hard chrome plating, or the like may be performed.
In addition, as the mechanical surface roughening treatment, methods described in JP-A Nos. 61-162351 and 63-104889 can be used.
In the present invention, the above-described methods can be used in combination in consideration of productivity and the like. These mechanical surface roughening treatments are preferably performed before the electrochemical surface roughening treatment.
[0066]
Hereinafter, the brush grain method used suitably as a mechanical roughening process is demonstrated.
The brush grain method generally uses a roller-shaped brush in which a large number of brush hairs such as synthetic resin hair made of synthetic resin such as nylon (trade name), propylene, and vinyl chloride resin are implanted on the surface of a cylindrical body. This is performed by rubbing one or both of the surfaces of the aluminum plate while spraying a slurry liquid containing an abrasive on a rotating roller brush. Instead of the roller brush and the slurry liquid, a polishing roller which is a roller having a polishing layer on the surface can be used.
When using a roller brush, the flexural modulus is preferably 10,000 to 40,000 kg / cm.2, More preferably 15,000-35,000 kg / cm2In addition, brush hair having a bristle waist strength of preferably 500 g or less, more preferably 400 g or less is used. The diameter of the brush bristles is generally 0.2 to 0.9 mm. The length of the brush bristles can be appropriately determined according to the outer diameter of the roller brush and the diameter of the body, but is generally 10 to 100 mm.
[0067]
A well-known thing can be used for an abrasive | polishing agent. For example, abrasives such as pumicestone, silica sand, aluminum hydroxide, alumina powder, silicon carbide, silicon nitride, volcanic ash, carborundum, and gold sand; a mixture thereof can be used. Of these, pumiston and silica sand are preferable. In particular, silica sand is preferable in terms of excellent roughening efficiency because it is harder and less likely to break than Pamiston.
The average particle diameter of the abrasive is preferably 3 to 50 μm, and more preferably 6 to 45 μm in terms of excellent surface roughening efficiency and a narrow graining pitch.
For example, the abrasive is suspended in water and used as a slurry. In addition to the abrasive, the slurry liquid may contain a thickener, a dispersant (for example, a surfactant), a preservative, and the like. The specific gravity of the slurry liquid is preferably 0.5-2.
[0068]
As an apparatus suitable for the mechanical surface roughening treatment, for example, an apparatus described in Japanese Patent Publication No. 50-40047 can be given.
[0069]
<Electrochemical roughening treatment>
In the electrochemical surface roughening treatment, an electrolytic solution used for the electrochemical surface roughening treatment using a normal alternating current can be used. Among them, the concavo-convex structure characteristic of the present invention can be formed on the surface by using an electrolytic solution mainly composed of hydrochloric acid or nitric acid.
As the electrolytic surface roughening treatment in the present invention, it is preferable to perform the first and second electrolytic treatments with an alternating waveform current in an acidic solution before and after the cathodic electrolytic treatment. By cathodic electrolysis, hydrogen gas is generated on the surface of the aluminum plate and smut is generated to make the surface state uniform, and it is possible to obtain a uniform electrolytic surface during the subsequent electrolysis with an alternating waveform current. .
This electrolytic surface roughening treatment can be performed according to, for example, an electrochemical grain method (electrolytic grain method) described in Japanese Patent Publication No. 48-28123 and British Patent No. 896,563. This electrolytic grain method uses a sinusoidal alternating current, but it may be performed using a special waveform as described in JP-A-52-58602. Further, the waveform described in JP-A-3-79799 can also be used. JP-A-55-158298, JP-A-56-28898, JP-A-52-58602, JP-A-52-152302, JP-A-54-85802, JP-A-60-190392, JP-A-58-120531, JP-A-63-176187, JP-A-1-5889, JP-A-1-280590, JP-A-1-118489, JP-A-1-148592, and JP-A-1-17896. JP-A-1-188315, JP-A-1-1549797, JP-A-2-235794, JP-A-3-260100, JP-A-3-253600, JP-A-4-72079, JP-A-4-72098, The methods described in JP-A-3-267400 and JP-A-1-141094 can also be applied. In addition to the above, it is also possible to perform electrolysis using an alternating current having a special frequency that has been proposed as a method of manufacturing an electrolytic capacitor. For example, it is described in US Pat. Nos. 4,276,129 and 4,676,879.
[0070]
Various electrolyzers and power sources have been proposed. U.S. Pat. No. 4,023,637, JP-A-56-123400, JP-A-57-59770, JP-A-53-12738, JP-A-53. -32821, JP-A 53-32822, JP-A 53-32823, JP-A 55-122896, JP-A 55-13284, JP-A 62-127500, JP-A-1-52100 JP-A-1-52098, JP-A-60-67700, JP-A-1-230800, JP-A-3-257199 and the like can be used. Also, JP-A-52-58602, JP-A-52-152302, JP-A-53-12738, JP-A-53-12739, JP-A-53-32821, JP-A-53-32822, JP 53-32833, JP 53-32824, JP 53-32825, JP 54-85802, JP 55-122896, JP 55-13284, JP 48-28123, JP-B-51-7081, JP-A-52-133638, JP-A-52-133840, JP-A-52-133844, JP-A-52-133845, JP-A-53-149135 And those described in JP-A No. 54-146234 and the like can also be used.
[0071]
As an acidic solution which is an electrolytic solution, in addition to nitric acid and hydrochloric acid, U.S. Pat. Nos. 4,671,859, 4,661,219, 4,618,405, 4,600, 482, 4,566,960, 4,566,958, 4,566,959, 4,416,972, 4,374,710, The electrolyte solution described in each specification of 4,336,113 and 4,184,932 can also be used.
[0072]
The concentration of the acidic solution is preferably 0.5 to 2.5% by mass, but it is particularly preferably 0.7 to 2.0% by mass in consideration of use in the smut removal treatment. Moreover, it is preferable that liquid temperature is 20-80 degreeC, and it is more preferable that it is 30-60 degreeC.
[0073]
An aqueous solution mainly composed of hydrochloric acid or nitric acid is an aqueous solution of hydrochloric acid or nitric acid having a concentration of 1 to 100 g / L, such as nitric acid compounds having nitrate ions such as aluminum nitrate, sodium nitrate, ammonium nitrate, aluminum chloride, sodium chloride, ammonium chloride, At least one of the hydrochloric acid compounds having hydrochloric acid ions can be used by adding in a range from 1 g / L to saturation. Moreover, the metal contained in aluminum alloys, such as iron, copper, manganese, nickel, titanium, magnesium, a silica, may melt | dissolve in the aqueous solution which has hydrochloric acid or nitric acid as a main component. Preferably, a solution obtained by adding aluminum chloride, aluminum nitrate or the like to an aqueous solution of hydrochloric acid or nitric acid having a concentration of 0.5 to 2% by mass so that aluminum ions are 3 to 50 g / L is preferably used.
Here, “mainly” means that the main component in the aqueous solution is contained in an amount of 30% by mass or more, preferably 50% by mass or more based on the total components added to the aqueous solution. Hereinafter, the same applies to other components.
[0074]
Further, by adding and using a compound capable of forming a complex with Cu, uniform graining is possible even for an aluminum plate containing a relatively large amount of Cu. Examples of the compound capable of forming a complex with Cu include ammonia; hydrogen atom of ammonia such as methylamine, ethylamine, dimethylamine, diethylamine, trimethylamine, cyclohexylamine, triethanolamine, triisopropanolamine, EDTA (ethylenediaminetetraacetic acid). And amines obtained by substituting with a hydrocarbon group (aliphatic, aromatic, etc.); metal carbonates such as sodium carbonate, potassium carbonate, potassium hydrogen carbonate and the like. In addition, ammonium salts such as ammonium nitrate, ammonium chloride, ammonium sulfate, ammonium phosphate, and ammonium carbonate are also included.
The temperature is preferably 10-60 ° C, more preferably 20-50 ° C.
[0075]
The AC power supply wave used for the electrochemical surface roughening treatment is not particularly limited, and a sine wave, a rectangular wave, a trapezoidal wave, a triangular wave or the like is used, but a rectangular wave or a trapezoidal wave is preferable, and a trapezoidal wave is particularly preferable. A trapezoidal wave means what was shown in FIG. In this trapezoidal wave, the time (TP) until the current reaches a peak from zero is preferably 0.3 to 3 msec. If it is less than 0.3 msec, processing irregularities such as chatter marks that occur perpendicular to the traveling direction of the aluminum plate tend to occur. When TP exceeds 3 msec, especially when a nitric acid electrolyte is used, it is easily affected by trace components in the electrolyte typified by ammonium ions and the like that spontaneously increase by electrolytic treatment, and uniform graining is performed. It becomes hard to be broken. As a result, the stain resistance tends to decrease when a lithographic printing plate is obtained.
[0076]
A trapezoidal wave alternating current duty ratio of 1: 2 to 2: 1 can be used. However, as described in Japanese Patent Laid-Open No. 5-195300, in an indirect power feeding method in which no conductor roll is used for aluminum. A duty ratio of 1: 1 is preferable. A trapezoidal AC frequency of 0.1 to 120 Hz can be used, but 50 to 70 Hz is preferable in terms of equipment. When the frequency is lower than 50 Hz, the carbon electrode of the main electrode is easily dissolved, and when the frequency is higher than 70 Hz, it is easily affected by an inductance component on the power supply circuit, and the power supply cost is increased.
[0077]
One or more AC power supplies can be connected to the electrolytic cell. As shown in FIG. 3, the current ratio between the AC anode and cathode applied to the aluminum plate facing the main electrode is controlled to achieve uniform graining and to dissolve the carbon of the main electrode. In addition, it is preferable to install an auxiliary anode and divert part of the alternating current. In FIG. 3, 11 is an aluminum plate, 12 is a radial drum roller, 13a and 13b are main poles, 14 is an electrolytic treatment liquid, 15 is an electrolytic solution supply port, and 16 is a slit. , 17 is an electrolyte passage, 18 is an auxiliary anode, 19a and 19b are thyristors, 20 is an AC power source, 40 is a main electrolytic cell, and 50 is an auxiliary anode cell. An anodic reaction that acts on the aluminum plate facing the main electrode by diverting a part of the current value as a direct current to an auxiliary anode provided in a tank separate from the two main electrodes via a rectifier or switching element It is possible to control the ratio between the current value for the current and the current value for the cathode reaction. On the aluminum plate facing the main electrode, the ratio of the amount of electricity involved in the anodic reaction and the cathodic reaction (the amount of electricity at the time of cathode / the amount of electricity at the time of anode) is preferably 0.3 to 0.95.
[0078]
As the electrolytic cell, electrolytic cells used for known surface treatments such as a vertical type, a flat type, and a radial type can be used, but a radial type electrolytic cell as described in JP-A-5-195300 is particularly preferable. . The electrolytic solution passing through the electrolytic cell may be parallel to the traveling direction of the aluminum web or may be a counter.
[0079]
(Nitric acid electrolysis)
Pits having an average opening diameter of 0.5 to 5 μm can be formed by electrochemical surface roughening using an electrolytic solution mainly composed of nitric acid. However, when the amount of electricity is relatively large, the electrolytic reaction is concentrated, and honeycomb pits exceeding 5 μm are also generated.
In order to obtain such a grain, the total amount of electricity involved in the anode reaction of the aluminum plate at the time when the electrolytic reaction is completed is 1 to 1000 C / dm.2Is preferably 50 to 300 C / dm.2It is more preferable that The current density at this time is 20 to 100 A / dm.2Is preferred.
Further, when a high concentration or high temperature nitric acid electrolytic solution is used, a small wave structure having an average opening diameter of 0.2 μm or less can be formed.
[0080]
(Hydrochloric acid electrolysis)
Since hydrochloric acid has a strong aluminum dissolving power, it is possible to form fine irregularities on the surface with only slight electrolysis. The fine irregularities have an average opening diameter of 0.01 to 0.20 μm and are uniformly generated on the entire surface of the aluminum plate. In order to obtain such a grain, the total amount of electricity involved in the anode reaction of the aluminum plate at the time when the electrolytic reaction is completed is 1 to 100 C / dm.2It is preferable that it is 20-70 C / dm.2It is more preferable that The current density at this time is 20 to 50 A / dm.2Is preferred.
[0081]
In such an electrochemical surface roughening treatment with an electrolyte mainly composed of hydrochloric acid, the total amount of electricity involved in the anode reaction is set to 400 to 1000 C / dm.2It is possible to simultaneously form a large crater-like undulation by increasing the crater shape, but in this case, an average opening diameter of 0.01 to 0.4 μm is superimposed on the crater-like undulation having an average opening diameter of 10 to 30 μm. Fine irregularities are generated on the entire surface. Therefore, in this case, since the medium wave structure with an average opening diameter of 0.5 to 5 μm cannot be superimposed, the grain shape of the surface that is a feature of the present invention cannot be made.
[0082]
The aluminum plate is preferably subjected to cathodic electrolysis treatment during the first and second electrolytic surface-roughening treatments performed in the electrolytic solution such as nitric acid and hydrochloric acid. By this cathodic electrolysis treatment, smut is generated on the surface of the aluminum plate, and hydrogen gas is generated to enable more uniform electrolytic surface roughening treatment. The cathodic electrolysis is preferably performed in an acidic solution with a cathode electric quantity of 3 to 80 C / dm.2, More preferably 5-30 C / dm2Done in Cathode electricity is 3 C / dm2If it is less than 80, the smut adhesion amount may be insufficient, and 80 C / dm.2If it exceeds 1, the amount of smut adhesion may become excessive, which is not preferable. Further, the electrolytic solution may be the same as or different from the solution used in the first and second electrolytic surface roughening processes.
[0083]
<Alkaline etching treatment>
The alkali etching treatment is a treatment for dissolving the surface layer by bringing the aluminum plate into contact with an alkali solution.
[0084]
Alkaline etching performed before the electrolytic surface roughening treatment removes rolling oil, dirt, natural oxide film, etc. on the surface of the aluminum plate (rolled aluminum) if mechanical surface roughening treatment is not performed. If the surface of the unevenness generated by the mechanical surface roughening treatment is dissolved, the surface with sharp undulations is smoothed. It is done for the purpose of changing.
[0085]
When the mechanical surface roughening treatment is not performed before the alkali etching treatment, the etching amount is 0.1 to 10 g / m.21 to 5 g / m is preferable.2It is more preferable that Etching amount is 0.1g / m2If it is less than that, rolling oil, dirt, natural oxide film, etc. on the surface may remain, so that uniform pits cannot be generated in the subsequent electrolytic surface roughening treatment, and unevenness may occur. On the other hand, the etching amount is 1 to 10 g / m.2If it is, removal of rolling oil, dirt, natural oxide film, etc. on the surface is sufficiently performed. An etching amount exceeding the above range is economically disadvantageous.
[0086]
When mechanical roughening treatment is performed before the alkali etching treatment, the etching amount is 3 to 20 g / m.2Is preferably 5 to 15 g / m.2It is more preferable that Etching amount is 3g / m2If it is less than 1, the unevenness formed by mechanical surface roughening or the like may not be smoothed, and uniform pit formation may not be possible in the subsequent electrolytic treatment. In addition, the stain may deteriorate during printing. On the other hand, the etching amount is 20 g / m.2Exceeding may cause the concavo-convex structure to disappear.
[0087]
The alkali etching treatment performed immediately after the electrolytic surface roughening treatment is performed for the purpose of dissolving the smut generated in the acidic electrolytic solution and dissolving the edge portion of the pit formed by the electrolytic surface roughening treatment. .
Since the pits formed by the electrolytic surface roughening treatment are different depending on the type of the electrolytic solution, the optimum etching amount is also different, but the etching amount of the alkali etching treatment performed after the electrolytic surface roughening treatment is 0.1 to 5 g / m.2Is preferred. When a nitric acid electrolyte is used, the etching amount needs to be set larger than when a hydrochloric acid electrolyte is used.
When the electrolytic surface roughening treatment is performed a plurality of times, an alkali etching treatment can be performed as necessary after each treatment.
In addition, although it is not necessary to perform an alkali etching process immediately after an electrolytic surface roughening process, in this case, it may be inferior to stain resistance when using a lithographic printing plate.
[0088]
Examples of the alkali used in the alkaline solution include caustic alkali and alkali metal salts. Specifically, examples of caustic alkali include caustic soda and caustic potash. Examples of the alkali metal salt include alkali metal silicates such as sodium metasilicate, sodium silicate, potassium metasilicate, and potassium silicate; alkali metal carbonates such as sodium carbonate and potassium carbonate; sodium aluminate and alumina. Alkali metal aluminates such as potassium acid; alkali metal aldones such as sodium gluconate and potassium gluconate; dibasic sodium phosphate, dibasic potassium phosphate, tribasic sodium phosphate, tertiary potassium phosphate, etc. An alkali metal hydrogen phosphate is mentioned. Among these, a caustic alkali solution and a solution containing both a caustic alkali and an alkali metal aluminate are preferable from the viewpoint of high etching rate and low cost. In particular, an aqueous solution of caustic soda is preferable.
[0089]
Although the density | concentration of an alkaline solution can be determined according to the etching amount, it is preferable that it is 1-50 mass%, and it is more preferable that it is 10-35 mass%. When aluminum ions are dissolved in the alkaline solution, the concentration of aluminum ions is preferably 0.01 to 10% by mass, and more preferably 3 to 8% by mass. The temperature of the alkaline solution is preferably 20 to 90 ° C. The treatment time is preferably 1 to 120 seconds.
[0090]
Examples of the method of bringing the aluminum plate into contact with the alkaline solution include, for example, a method in which the aluminum plate is passed through a tank containing the alkaline solution, a method in which the aluminum plate is immersed in a tank containing the alkaline solution, The method of spraying on the surface of a board is mentioned.
[0091]
<Desmut treatment>
After the electrolytic surface roughening treatment or the alkali etching treatment, pickling (desmut treatment) is performed to remove dirt (smut) remaining on the surface. Examples of the acid used include nitric acid, sulfuric acid, phosphoric acid, chromic acid, hydrofluoric acid, and borohydrofluoric acid.
The desmutting treatment is performed, for example, by bringing the aluminum plate into contact with an acidic solution having a concentration of 0.5 to 30% by mass (containing 0.01 to 5% by mass of aluminum ions) such as hydrochloric acid, nitric acid, and sulfuric acid. . Examples of the method of bringing the aluminum plate into contact with the acidic solution include, for example, a method of passing the aluminum plate through a bath containing the acidic solution, a method of immersing the aluminum plate in a bath containing the acidic solution, and an acidic solution containing aluminum. The method of spraying on the surface of a board is mentioned.
In the desmutting treatment, the acidic solution is mainly composed of an aqueous solution mainly composed of nitric acid or an aqueous solution mainly composed of hydrochloric acid discharged in the above-described electrolytic surface-roughening treatment, or sulfuric acid discharged in an anodic oxidation process described later. It is possible to use a waste solution of an aqueous solution.
It is preferable that the liquid temperature of a desmut process is 25-90 degreeC. Moreover, it is preferable that processing time is 1-180 second. Aluminum and aluminum alloy components may be dissolved in the acidic solution used for the desmut treatment.
[0092]
<Anodizing treatment>
The aluminum plate treated as described above is further subjected to anodizing treatment. The anodizing treatment can be performed by a method conventionally used in this field. In this case, for example, in a solution having a sulfuric acid concentration of 50 to 300 g / L and an aluminum concentration of 5% by mass or less, an anodized film can be formed by energizing an aluminum plate as an anode. As a solution used for the anodizing treatment, sulfuric acid, phosphoric acid, chromic acid, oxalic acid, sulfamic acid, benzenesulfonic acid, amidosulfonic acid and the like can be used alone or in combination of two or more.
[0093]
Under the present circumstances, the component normally contained at least in an aluminum plate, an electrode, tap water, groundwater, etc. may be contained in electrolyte solution. Furthermore, the 2nd, 3rd component may be added. Examples of the second and third components herein include metal ions such as Na, K, Mg, Li, Ca, Ti, Al, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, and Zn; Cations such as ammonium ion; anions such as nitrate ion, carbonate ion, chloride ion, phosphate ion, fluoride ion, sulfite ion, titanate ion, silicate ion, borate ion, etc., 0 to 10000 ppm It may be contained at a concentration of about.
[0094]
The conditions for anodizing treatment vary depending on the electrolyte used, and thus cannot be determined unconditionally. In general, however, the electrolyte concentration is 1 to 80% by mass, the solution temperature is 5 to 70 ° C., and the current density is 0.5. ~ 60A / dm2It is appropriate that the voltage is 1 to 100 V and the electrolysis time is 15 seconds to 50 minutes.
[0095]
Further, JP-A-54-81133, JP-A-57-47894, JP-A-57-51289, JP-A-57-51290, JP-A-57-54300, JP-A-57-136596, JP-A-58-107498, JP-A-60-200366, JP-A-62-136696, JP-A-63-176494, JP-A-4-17697, JP-A-4-280997, JP-A-6-280997 The methods described in JP-A-207299, JP-A-5-24377, JP-A-5-32083, JP-A-5-125597, JP-A-5-195291 and the like can also be used.
[0096]
Of these, as described in JP-A-54-12853 and JP-A-48-45303, it is preferable to use a sulfuric acid solution as the electrolytic solution. The sulfuric acid concentration in the electrolytic solution is preferably 10 to 300 g / L (1 to 30% by mass), and the aluminum ion concentration is 1 to 25 g / L (0.1 to 2.5% by mass). It is preferable that it is 2 to 10 g / L (0.2 to 1% by mass). Such an electrolytic solution can be prepared, for example, by adding aluminum sulfate or the like to dilute sulfuric acid having a sulfuric acid concentration of 50 to 200 g / L.
[0097]
When anodizing is performed in an electrolytic solution containing sulfuric acid, direct current may be applied between the aluminum plate and the counter electrode, or alternating current may be applied.
When direct current is applied to the aluminum plate, the current density is 1 to 60 A / dm.2Is preferably 5 to 40 A / dm.2It is more preferable that
In the case of continuously performing anodizing treatment, 5-10 A / m at the beginning of the anodizing treatment so that current is concentrated on a part of the aluminum plate and so-called “burn” does not occur.230 to 50 A / dm as the anodizing process proceeds at a low current density of2Alternatively, it is preferable to increase the current density further.
When the anodizing treatment is continuously performed, it is preferable that the anodizing process is performed by a liquid power feeding method in which power is supplied to the aluminum plate through an electrolytic solution.
By performing anodizing treatment under such conditions, a porous film having many pores called micropores can be obtained. Usually, the average pore diameter is about 5 to 50 nm, and the average pore density is 300. ~ 800 / μm2Degree.
[0098]
The amount of anodized film is 1-5g / m2Is preferred. 1g / m2If it is less than 5%, the plate is likely to be damaged, while 5 g / m.2Exceeding this requires a large amount of power for production, which is economically disadvantageous. The amount of anodized film is 1.5-4 g / m2It is more preferable that Further, the difference in the amount of the anodized film between the center portion of the aluminum plate and the vicinity of the edge portion is 1 g / m.2It is preferable to carry out as follows.
[0099]
As the electrolysis apparatus used for the anodizing treatment, those described in JP-A-48-26638, JP-A-47-18739, JP-B-58-24517, and the like can be used.
Among these, the apparatus shown in FIG. 4 is preferably used. FIG. 4 is a schematic view showing an example of an apparatus for anodizing the surface of an aluminum plate. In the anodizing apparatus 410, the aluminum plate 416 is transported as indicated by arrows in FIG. In the power supply tank 412 in which the electrolytic solution 418 is stored, the aluminum plate 416 is charged to (+) by the power supply electrode 420. The aluminum plate 416 is conveyed upward by the roller 422 in the power supply tank 412, changed in direction downward by the nip roller 424, and then conveyed toward the electrolytic treatment tank 414 in which the electrolytic solution 426 is stored. The direction is changed horizontally. Next, the aluminum plate 416 is charged to (−) by the electrolytic electrode 430 to form an anodized film on the surface thereof, and the aluminum plate 416 exiting the electrolytic treatment tank 414 is conveyed to a subsequent process. In the anodizing apparatus 410, the roller 422, the nip roller 424, and the roller 428 constitute a direction changing means, and the aluminum plate 416 is disposed between the power supply tank 412 and the electrolytic treatment tank 414 in the inter-tank section. By 428, it is conveyed into a mountain shape and an inverted U shape. The feeding electrode 420 and the electrolytic electrode 430 are connected to a DC power source 434.
[0100]
A feature of the anodizing apparatus 410 in FIG. 4 is that the feeding tank 412 and the electrolytic treatment tank 414 are partitioned by a single tank wall 432, and the aluminum plate 416 is conveyed in a mountain shape and an inverted U shape between the tanks. It is in. As a result, the length of the aluminum plate 416 in the inter-tank portion can be minimized. Therefore, the overall length of the anodizing apparatus 410 can be shortened, so that the equipment cost can be reduced. In addition, by conveying the aluminum plate 416 in a mountain shape and an inverted U shape, it is not necessary to form an opening for allowing the aluminum plate 416 to pass through the tank walls of the tanks 412 and 414. Therefore, since the liquid feeding amount required to maintain the liquid level height in each tank 412 and 414 at a required level can be suppressed, the operating cost can be reduced.
[0101]
<Sealing treatment>
In this invention, you may perform the sealing process which seals the micropore which exists in an anodic oxide film as needed. The sealing treatment can be performed according to a known method such as boiling water treatment, hot water treatment, steam treatment, sodium silicate treatment, nitrite treatment, ammonium acetate treatment and the like. For example, Japanese Patent Publication No. 56-12518, Japanese Patent Application Laid-Open No. 4-4194, Japanese Patent Application No. 4-33952 (Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-202496), Japanese Patent Application No. 4-33951 (Japanese Patent Application Laid-Open No. -179482) etc. may be used for sealing treatment.
[0102]
<Hydrophilic treatment>
A hydrophilization treatment may be performed after the anodizing treatment or the sealing treatment. Examples of the hydrophilization treatment include treatment with potassium fluorinated zirconate described in US Pat. No. 2,946,638 and phosphomolybdate described in US Pat. No. 3,201,247. Treatment, alkyl titanate treatment described in British Patent 1,108,559, polyacrylic acid treatment described in German Patent 1,091,433, German Patent 1,134, No. 093 and British Patent No. 1,230,447, polyvinyl phosphonic acid treatment, Japanese Patent Publication No. 44-6409, phosphonic acid treatment, US Pat. No. 3,307,951 Phytic acid treatment described in the specification of JP, No. 58-16893 and JP-A No. 58-18291 Treatment with a salt of a molecular compound and a divalent metal, as described in US Pat. No. 3,860,426, hydrophilic cellulose (eg, zinc acetate) containing a water-soluble metal salt (eg, zinc acetate) Carboxymethyl cellulose) is provided with a subbing layer, and a water-soluble polymer having a sulfo group described in JP-A-59-101651.
[0103]
Further, phosphates described in JP-A No. 62-019494, water-soluble epoxy compounds described in JP-A No. 62-033692, and JP-A No. 62-097892 Phosphate-modified starch, diamine compounds described in JP-A-63-056498, amino acid inorganic or organic acids described in JP-A-63-130391, JP-A-63-145092 Organic phosphonic acids containing carboxy group or hydroxy group, compounds having amino group and phosphonic acid group described in JP-A-63-165183, and JP-A-2-316290 Specific carboxylic acid derivatives, phosphate esters described in JP-A-3-215095, JP-A-3-261592 Compounds having one amino group and one oxygen acid group of phosphorus described in the publication, phosphoric esters described in JP-A-3-215095, and JP-A-5-246171 Aliphatic or aromatic phosphonic acids such as phenylphosphonic acid, compounds containing S atoms such as thiosalicylic acid described in JP-A-1-307745, and phosphorus described in JP-A-4-282737 Examples of the treatment include undercoating using a compound having a group of oxygen acids.
Further, coloring with an acid dye described in JP-A-60-64352 can also be performed.
[0104]
Hydrophilicity can also be achieved by soaking in an aqueous solution of an alkali metal silicate such as sodium silicate or potassium silicate, or by applying a hydrophilic vinyl polymer or hydrophilic compound to form a hydrophilic primer layer. It is preferable to carry out the treatment.
[0105]
Hydrophilization treatment with an aqueous solution of an alkali metal silicate such as sodium silicate and potassium silicate is described in US Pat. No. 2,714,066 and US Pat. No. 3,181,461. It can be performed according to methods and procedures.
Examples of the alkali metal silicate include sodium silicate, potassium silicate, and lithium silicate. The aqueous solution of alkali metal silicate may contain an appropriate amount of sodium hydroxide, potassium hydroxide, lithium hydroxide or the like.
The aqueous solution of alkali metal silicate may contain an alkaline earth metal salt or a Group 4 (Group IVA) metal salt. Examples of the alkaline earth metal salt include nitrates such as calcium nitrate, strontium nitrate, magnesium nitrate, and barium nitrate; sulfates; hydrochlorides; phosphates; acetates; oxalates; Examples of the Group 4 (Group IVA) metal salt include titanium tetrachloride, titanium trichloride, potassium fluoride titanium, potassium oxalate, titanium sulfate, titanium tetraiodide, zirconium chloride, zirconium dioxide, zirconium oxychloride. And zirconium tetrachloride. These alkaline earth metal salts and Group 4 (Group IVA) metal salts are used alone or in combination of two or more.
[0106]
The amount of Si adsorbed by the alkali metal silicate treatment can be measured with a fluorescent X-ray analyzer, and the amount of adsorption is about 1.0 to 15.0 mg / m.2Is preferred.
By this alkali metal silicate treatment, the effect of improving the dissolution resistance to the alkaline developer on the surface of the lithographic printing plate support is obtained, the dissolution of the aluminum component into the developer is suppressed, and the developer fatigue It is possible to reduce the occurrence of development residue due to the above.
[0107]
The hydrophilization treatment by forming a hydrophilic undercoat layer can also be performed according to the conditions and procedures described in JP-A Nos. 59-101651 and 60-149491.
Examples of the hydrophilic vinyl polymer used in this method include polyvinyl sulfonic acid, sulfo group-containing vinyl polymerizable compounds such as p-styrene sulfonic acid having a sulfo group, and ordinary vinyl polymerization such as (meth) acrylic acid alkyl ester. And a copolymer with a functional compound. Moreover, as a hydrophilic compound used for this method, for example, —NH2And a compound having at least one selected from the group consisting of a group, a —COOH group and a sulfo group.
[0108]
<Washing treatment>
It is preferable to perform water washing after the completion of the above-described processes. For washing, pure water, well water, tap water, or the like can be used. A nip device may be used to prevent the processing liquid from being brought into the next process.
[0109]
[Lithographic printing plate precursor]
Next, the planographic printing plate precursor of the present invention will be described. The lithographic printing plate precursor according to the invention comprises an image recording layer provided on the lithographic printing plate support according to the invention.
[0110]
<Undercoat layer>
In the lithographic printing plate precursor according to the present invention, before providing an image recording layer on the lithographic printing plate support of the present invention obtained as described above, if necessary, for example, zinc borate or the like. An inorganic undercoat layer such as a water-soluble metal salt or an organic undercoat layer may be provided.
[0111]
Examples of the organic compound used in the organic undercoat layer include carboxymethyl cellulose; dextrin; gum arabic; polymers and copolymers having a sulfonic acid group in the side chain; polyacrylic acid; amino such as 2-aminoethylphosphonic acid Phosphonic acids having a group; phenylphosphonic acid, naphthylphosphonic acid, alkylphosphonic acid, glycerophosphonic acid, methylenediphosphonic acid, ethylenediphosphonic acid, etc., which may have a substituent; Organic phosphoric acid such as phenylphosphonic acid, naphthylphosphoric acid, alkylphosphoric acid, glycerophosphoric acid which may be substituted; phenylphosphinic acid, naphthylphosphinic acid, alkylphosphinic acid, glycerophosphinic acid, etc. which may have a substituent Organic phosphinic acids; amino acids such as glycine and β-alanine Amine hydrochloride having hydroxy group such as triethanolamine hydrochloride; and the yellow dye. These may be used alone or in combination of two or more.
[0112]
The organic undercoat layer is provided by applying a solution obtained by dissolving the above organic compound in water or an organic solvent such as methanol, ethanol, methyl ethyl ketone, or a mixed solvent thereof on an aluminum plate and drying it. The concentration of the solution in which the organic compound is dissolved is preferably 0.005 to 10% by mass. The coating method is not particularly limited, and any method such as bar coater coating, spin coating, spray coating, curtain coating and the like can be used.
The coating amount of the organic undercoat layer after drying is 2 to 200 mg / m2Is preferably 5 to 100 mg / m2It is more preferable that When it is in the above range, the printing durability becomes better.
[0113]
<Image recording layer>
The lithographic printing plate support of the present invention can be provided with an image recording layer such as a photosensitive layer and a heat-sensitive layer exemplified below to form the lithographic printing plate precursor of the present invention. Suitable examples of the image recording layer include a conventional positive type, a conventional negative type, a photopolymer type, a thermal positive type, a thermal negative type, and an unprocessable type that can be developed on the machine. Hereinafter, these suitable image recording layers will be described.
[0114]
<Conventional positive type>
Examples of the photosensitive resin composition suitably used for the conventional positive type photosensitive layer include an o-quinonediazide compound and a water-insoluble and alkali-soluble polymer compound (hereinafter referred to as “alkali-soluble polymer compound”). The composition to contain is mentioned.
Examples of o-quinonediazide compounds include esters of 1,2-naphthoquinone-2-diazide-5-sulfonyl chloride and phenol-formaldehyde resin or cresol-formaldehyde resin, and US Pat. No. 3,635,709. Examples include esters of 1,2-naphthoquinone-2-diazide-5-sulfonyl chloride and pyrogallol / acetone resin as described.
Examples of the alkali-soluble polymer compound include phenol / formaldehyde resin, cresol / formaldehyde resin, phenol / cresol / formaldehyde co-condensation resin, polyhydroxystyrene, N- (4-hydroxyphenyl) methacrylamide copolymer, Carboxy group-containing polymers described in JP-A-7-36184, acrylic resins containing phenolic hydroxy groups as described in JP-A-51-34711, and JP-A-2-866. Examples thereof include acrylic resins having sulfonamide groups and urethane resins.
Further, in the photosensitive resin composition, compounds such as a sensitivity adjusting agent, a baking agent, and a dye described in [0024] to [0027] of JP-A-7-92660 and [0031] of the same publication. It is preferable to add a surfactant for improving the coating property.
[0115]
<Conventional negative type>
Examples of the photosensitive resin composition suitably used for the conventional negative type photosensitive layer include a composition containing a diazo resin and an alkali-soluble or swellable polymer compound (hereinafter referred to as “binder”).
Examples of the diazo resin include a condensate of an aromatic diazonium salt and an active carbonyl group-containing compound such as formaldehyde, a condensate of p-diazophenylamines and formaldehyde, and a hexafluorophosphate or a tetrafluoroborate. Organic solvent-soluble diazo resin inorganic salts which are reaction products of In particular, a high molecular weight diazo compound containing 20 mol% or more of a hexamer described in JP-A-59-78340 is preferable.
Suitable binders include, for example, a copolymer containing acrylic acid, methacrylic acid, crotonic acid or maleic acid as an essential component, specifically 2 as described in JP-A-50-118802. -Multi-component copolymers of monomers such as hydroxyethyl (meth) acrylate, (meth) acrylonitrile, (meth) acrylic acid, alkyl acrylates as described in JP-A-56-4144, (meth) acrylonitrile And multi-component copolymers composed of unsaturated carboxylic acids.
Furthermore, plastics for imparting flexibility and abrasion resistance to the photosensitive resin composition described in JP-A-7-281425, [0014] to [0015]. It is preferable to add a compound such as an agent and a development accelerator and a surfactant for improving the coating property.
As an undercoat layer of the conventional positive or negative photosensitive layer, a polymer having a component having an acid group and a component having an onium group as described in JP-A-2000-105462. An intermediate layer containing the compound is preferably provided.
[0116]
<Photopolymer type>
A photopolymerization type photosensitive composition (hereinafter referred to as “photopolymerizable composition”) suitably used for a photopolymer type photosensitive layer is an addition-polymerizable ethylenically unsaturated bond-containing compound (hereinafter simply referred to as “ethylene”). ), A photopolymerization initiator, and a polymer binder as essential components, and if necessary, various compounds such as a colorant, a plasticizer, and a thermal polymerization inhibitor. Containing.
The ethylenically unsaturated bond-containing compound contained in the photopolymerizable composition is such that, when the photopolymerizable composition is irradiated with actinic rays, it undergoes addition polymerization by the action of the photopolymerization initiator, crosslinks and cures. It is a compound having an ethylenically unsaturated bond. The ethylenically unsaturated bond-containing compound can be arbitrarily selected from compounds having at least one terminal ethylenically unsaturated bond, preferably two or more, such as monomers, prepolymers (ie, dimers). Trimers and oligomers), mixtures thereof, and copolymers thereof. Examples of monomers include esters of unsaturated carboxylic acids (eg, acrylic acid, methacrylic acid, itaconic acid, crotonic acid, isocrotonic acid, maleic acid) and aliphatic polyhydric alcohol compounds, unsaturated carboxylic acids and aliphatic polyhydric compounds. And amides with a polyvalent amine compound. Urethane addition polymerizable compounds are also suitable.
[0117]
As the photopolymerization initiator contained in the photopolymerizable composition, various photopolymerization initiators or a combination system (photoinitiation system) of two or more photopolymerization initiators are appropriately selected depending on the wavelength of the light source used. For example, an initiation system described in JP-A-2001-22079, [0021] to [0023] is preferable.
The polymer binder contained in the photopolymerizable composition not only functions as a film-forming agent for the photopolymerizable composition, but also needs to dissolve the photosensitive layer in an alkali developer. An organic high molecular weight polymer that is swellable is used. As the polymer binder, those described in [0036] to [0063] of the same publication are useful.
It is preferable to add the additive (for example, surfactant for improving applicability | paintability) described in [0079]-[0088] of the same gazette to the photopolymerizable composition. Further, it is preferable to provide an oxygen-blocking protective layer on the photosensitive layer in order to prevent the oxygen polymerization inhibiting action. Examples of the polymer contained in the oxygen barrier protective layer include polyvinyl alcohol and copolymers thereof.
Furthermore, it is also preferable to provide an adhesive layer as described in [0131] to [0165] of JP-A-2001-228608 as the undercoat layer of the photosensitive layer.
[0118]
<Thermal positive type>
The thermal positive type heat-sensitive layer contains an alkali-soluble polymer compound and a photothermal conversion substance.
Alkali-soluble polymer compounds include homopolymers containing acidic groups in the polymer, copolymers thereof, and mixtures thereof, in particular, (1) phenolic hydroxy groups (—Ar—OH), (2) Sulfonamide group (—SO2Those having an acidic group such as NH-R) are preferred from the viewpoint of solubility in an alkali developer. In particular, it is preferable to have a phenolic hydroxy group from the viewpoint of excellent image formability upon exposure with an infrared laser or the like. For example, phenol formaldehyde resin, m-cresol formaldehyde resin, p-cresol formaldehyde resin, m- / p-mixed cresol formaldehyde resin, phenol / cresol (any of m-, p- and m- / p-mixed) may be mixed Preferred are novolak resins such as formaldehyde resin; pyrogallol acetone resin. More specifically, the polymers described in [0023] to [0042] of JP-A No. 2001-305722 are preferably used.
[0119]
The photothermal conversion substance converts exposure energy into heat and can efficiently cancel the interaction of the exposed area of the heat sensitive layer. From the viewpoint of recording sensitivity, a pigment or dye having a light absorption region in the infrared region with a wavelength of 700 to 1200 nm is preferable. Specific examples of the dye include azo dyes, metal complex azo dyes, pyrazolone azo dyes, naphthoquinone dyes, anthraquinone dyes, phthalocyanine dyes, carbonium dyes, quinoneimine dyes, methine dyes, cyanine dyes, squarylium dyes, pyrylium salts, metal thiolates. Complex (for example, nickel thiolate complex) etc. are mentioned. Among these, cyanine dyes are preferable, and examples thereof include cyanine dyes represented by general formula (I) in JP-A No. 2001-305722.
In the composition used for the thermal positive type heat-sensitive layer, the same sensitivity control agent, bake-out agent, dye, etc. as those described in the conventional positive type, and a surfactant for improving coating properties are added. It is preferable to add. Specifically, the compounds described in [0053] to [0059] of JP-A No. 2001-305722 are preferable.
The thermal positive type heat-sensitive layer may be a single layer or may have a two-layer structure as described in JP-A-11-218914.
An undercoat layer is preferably provided between the thermal positive type heat-sensitive layer and the support. Examples of components contained in the undercoat layer include various organic compounds described in JP-A-2001-305722, [0068].
[0120]
<Thermal negative type>
The thermal negative-type heat-sensitive layer is a negative-type heat-sensitive layer in which the infrared laser irradiation part is cured to form an image part.
A preferred example of such a thermal negative type heat-sensitive layer is a polymerization type layer (polymerization layer). The polymerization layer comprises (A) an infrared absorber, (B) a radical generator (radical polymerization initiator), a curing reaction caused by the generated radical (C) a radical polymerizable compound, and (D) a binder. Containing polymer.
In the polymerization layer, the infrared rays absorbed by the infrared absorber are converted into heat, and the generated heat decomposes radical polymerization initiators such as onium salts to generate radicals. The radically polymerizable compound is selected from compounds having a terminal ethylenically unsaturated bond, and a polymerization reaction is caused in a chain by the generated radicals and is cured.
Examples of (A) infrared absorbers include the above-described photothermal conversion substances contained in the above-described thermal positive type heat-sensitive layer. In particular, specific examples of cyanine dyes are disclosed in JP-A No. 2001-133969. To [0019], and (B) radical generators include onium salts. Specific examples of onium salts that can be suitably used include those described in JP-A-2001-133969. The compounds described in [0030] to [0033] are mentioned, and the (C) radical polymerizable compound is selected from compounds having at least one terminal ethylenically unsaturated bond, preferably two or more. (D) It is preferable to use a linear organic polymer as the binder polymer, and a linear organic polymer that is soluble or swellable in water or weak alkaline water is selected. Of these, a (meth) acrylic resin having a benzyl group or an allyl group and a carboxy group in the side chain is particularly preferable because of its excellent balance of film strength, sensitivity, and developability. Regarding (C) the radical polymerizable compound and (D) the binder polymer, those described in detail in [0036] to [0060] of the same publication can be used. As other additives, it is also preferable to add the additives described in [0061] to [0068] of the same publication (for example, a surfactant for improving coatability).
[0121]
In addition to the polymerization type, an acid cross-linked layer (acid cross-linked layer) is preferably used as one of the thermal negative type heat-sensitive layers. The acid cross-linking layer includes (E) a compound that generates an acid by light or heat (hereinafter referred to as “acid generator”) and (F) a compound that cross-links by the generated acid (hereinafter referred to as “cross-linking agent”). And (G) an alkali-soluble polymer compound that can react with a crosslinking agent in the presence of an acid. In order to efficiently use the energy of the infrared laser, (A) an infrared absorber is blended in the acid crosslinking layer. Examples of the acid generator (E) include compounds capable of generating an acid upon thermal decomposition, such as a photoinitiator for photopolymerization, a photochromic agent for dyes, and an acid generator used for a microresist. . (F) As the crosslinking agent, (i) an aromatic compound substituted with a hydroxymethyl group or an alkoxymethyl group, (ii) a compound having an N-hydroxymethyl group, an N-alkoxymethyl group or an N-acyloxymethyl group, (Iii) An epoxy compound is mentioned. (G) Examples of the alkali-soluble polymer compound include novolak resins and polymers having a hydroxyaryl group in the side chain.
[0122]
<Non-treatment type>
Non-treatment type heat-sensitive layers include thermoplastic fine particle polymer type, microcapsule type, and sulfonic acid-generating polymer-containing type.
In the thermoplastic fine particle polymer type, (H) hydrophobic hot-melt resin fine particles are dispersed in (J) a hydrophilic polymer matrix, and the hydrophobic polymer is melted by the heat of the exposed area and fused to each other. To form a hydrophobic region, that is, an image portion.
(H) Hydrophobic heat-meltable resin fine particles (hereinafter referred to as “fine-particle polymer”) are preferably those in which fine-particle polymers are melted and coalesced by heat, have a hydrophilic surface, and are used as hydrophilic components such as dampening water. Dispersed particulate polymers having a hydrophilic surface are preferred. As the fine particle polymer, Research Disclosure No. 33303 (January 1992), JP-A-9-123387, JP-A-9-131850, JP-A-9-171249, JP-A-9-171250, and European Patent Application Publication No. 931,647. Preferred examples thereof include thermoplastic fine particle polymers. Specific examples include homopolymers or copolymers of monomers such as ethylene, styrene, vinyl chloride, methyl acrylate, ethyl acrylate, methyl methacrylate, ethyl methacrylate, vinylidene chloride, acrylonitrile, vinyl carbazole, or mixtures thereof. . Of these, polystyrene and polymethyl methacrylate are preferably used. The fine particle polymer having a hydrophilic surface is such that the polymer itself constituting the fine particle is hydrophilic, or the polymer itself is hydrophilic, such as those obtained by introducing a hydrophilic group into the main chain or side chain of the polymer. A hydrophilic polymer such as polyvinyl alcohol or polyethylene glycol, a hydrophilic oligomer or a hydrophilic low molecular weight compound is adsorbed on the surface of the fine particle polymer to make the surface hydrophilic. As the fine particle polymer, a fine particle polymer having a thermally reactive functional group is more preferable. When the fine particle polymer as described above is dispersed in the (J) hydrophilic polymer matrix, the on-press development property is improved when the on-press development is performed, and the film strength of the thermosensitive layer itself is also improved.
[0123]
Examples of the microcapsule type include a type described in JP-A No. 2000-118160 and a microcapsule type containing a compound having a thermally reactive functional group as described in JP-A No. 2001-277740. Preferably mentioned.
Examples of the sulfonic acid generating polymer used in the sulfonic acid generating polymer-containing type include, for example, a sulfonic acid ester group, a disulfone group, or a sec- or tert-sulfonamide group described in JP-A-10-282672 as a side chain. The polymer etc. which have are mentioned.
By including a hydrophilic resin in the untreated type heat-sensitive layer, not only the on-press developability is improved, but also the film strength of the heat-sensitive layer itself is improved. In addition, a lithographic printing plate precursor that does not require development processing can be obtained by crosslinking and curing the hydrophilic resin. Examples of the hydrophilic resin include those having a hydrophilic group such as hydroxy group, carboxy group, hydroxyethyl group, hydroxypropyl group, amino group, aminoethyl group, aminopropyl group, carboxymethyl group, and hydrophilic sol-gel conversion. A system binder resin is preferred. Specific examples of the hydrophilic resin include those listed as the hydrophilic resin used as the above-mentioned (J) hydrophilic polymer matrix.
Among these, a sol-gel conversion binder resin is preferable.
It is necessary to add a photothermal conversion substance to the untreated type heat-sensitive layer. The photothermal conversion substance may be any substance that absorbs light having a wavelength of 700 nm or more, and a dye similar to the dye used for the above-described thermal positive type is particularly preferable.
[0124]
<Back coat layer>
Thus, the image recording layer in the case where the lithographic printing plate is overlaid on the back surface of the lithographic printing plate precursor obtained by providing various image recording layers on the lithographic printing plate support, if necessary. In order to prevent scratching, a backcoat layer made of an organic polymer compound can be provided.
[0125]
<Application method>
As a method of applying the conventional type, photopolymer type, thermal type, and non-processing type image recording layer forming liquid to the roughened surface of the lithographic printing plate support, a method using a coating rod, an extrusion type Conventionally known methods such as a method using a coater and a method using a slide bead coater can be used, and can be performed according to known conditions.
[0126]
As an apparatus for drying the aluminum plate after applying the conventional type, photopolymer type, thermal type, and non-processing type image recording layer forming liquid, a pass roll is provided in the drying apparatus described in JP-A-6-63487. An arch dryer that is dried while being conveyed by the pass roll, an air dryer that supplies air from above and below by a nozzle, and dries while floating the web, a radiant heat dryer that is dried by radiant heat from a medium heated to a high temperature, In addition, there is a roller dryer that heats the roller and dries by conduction heat transfer by contact with the roller.
[0127]
[Lithographic printing plate]
The lithographic printing plate precursor according to the invention is made into a lithographic printing plate by various processing methods according to the image recording layer.
In general, image exposure is performed. Examples of the actinic ray light source used for image exposure include a mercury lamp, a metal halide lamp, a xenon lamp, and a chemical lamp. Examples of the laser beam include a helium-neon laser (He-Ne laser), an argon laser, a krypton laser, a helium-cadmium laser, a KrF excimer laser, a semiconductor laser, a YAG laser, and a YAG-SHG laser.
After the exposure, when the image recording layer is any one of a thermal type, a conventional type, and a photopolymer type, it is preferable to develop with a developer and obtain a lithographic printing plate after the exposure. The preferred developer used for the lithographic printing plate precursor is not particularly limited as long as it is an alkaline developer, but an alkaline aqueous solution substantially not containing an organic solvent is preferred. Moreover, it can also develop using the developing solution which does not contain alkali metal silicate substantially. About the method of developing using the developing solution which does not contain alkali metal silicate substantially, it describes in Unexamined-Japanese-Patent No. 11-109637 in detail, The content described in this gazette can be used. . Moreover, the lithographic printing plate precursor can be developed using a developer containing an alkali metal silicate.
[0128]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be specifically described below with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
(Examples 1-5 and Comparative Examples 1-29)
1. Making a support for planographic printing plates
<Aluminum plate>
The metal components shown in Table 1 below are contained, and the balance is prepared by using Al and an inevitable impurity aluminum alloy, and after performing the molten metal treatment and filtration, an ingot having a thickness of 500 mm and a width of 1200 mm is converted into DC. Made by casting. After the surface was shaved with a chamfering machine with an average thickness of 10 mm, it was kept soaked at 550 ° C. for about 5 hours, and when the temperature dropped to 400 ° C., rolling with a thickness of 2.7 mm using a hot rolling mill A board was used. Further, after heat treatment was performed at 500 ° C. using a continuous annealing machine, the thickness was finished to 0.24 mm by cold rolling. In the final rolling, the aluminum plate AL1 to AL7 shown in Table 1 was obtained by changing the rolling reduction to adjust the strength of the aluminum plate. The density of intermetallic compounds existing within 2 μm from the surface layer of each aluminum plate was determined by the following method.
[0129]
Each aluminum plate was subjected to surface analysis in the range of 170 μm × 170 μm using EPMA (Electron Probe Microanalyzer) to count intermetallic compounds, and 1 mm2The density of the intermetallic compound existing within 2 μm from the surface layer was determined by converting to the per unit. The results are shown in Table 1.
[0130]
Moreover, about each aluminum plate, the tensile strength was measured as follows. The results are shown in Table 1.
Using an autograph (trade name) manufactured by Shimadzu Corporation, a tensile strength in the plate rolling direction was measured using a sample having a width of 25 mm.
[0131]
[Table 1]
[0132]
Surface treatments A to E shown below were applied to the aluminum plates AL1 to AL7 in the combinations shown in Table 2 to obtain a lithographic printing plate support.
[0133]
<Surface treatment A>
Surface treatment A was performed by continuously performing the various treatments shown below. In addition, after each process and water washing, the liquid was drained with the nip roller.
[0134]
(A) Mechanical roughening treatment
Using an apparatus as shown in FIG. 1, while rotating a suspension (specific gravity 1.12) of a polishing agent (pumice, average particle size 30 μm) and water as a polishing slurry liquid on the surface of the aluminum plate, rotation The surface was mechanically roughened with a roller nylon brush. In FIG. 1, 1 is an aluminum plate, 2 and 4 are roller brushes, 3 is a polishing slurry, and 5, 6, 7 and 8 are support rollers. The average particle size of the abrasive was 30 μm. The material of the nylon brush was 6 · 10 nylon, the hair length was 50 mm, and the hair diameter was 0.48 mm. Nylon brush was planted so as to be dense by making a hole in a stainless steel cylinder of φ300 mm (the brush hair density was 450 / cm2Met. ). Three rotating brushes were used. The distance between the two support rollers (φ200 mm) at the bottom of the brush was 300 mm. The brush roller was pressed until the load of the drive motor for rotating the brush became 7 kW plus with respect to the load before the brush roller was pressed against the aluminum plate. The rotating direction of the brush was the same as the moving direction of the aluminum plate. The rotation speed of the brush was 200 rpm.
[0135]
(B) Alkali etching treatment
The aluminum plate obtained above was subjected to an etching process by spraying using an aqueous solution having a caustic soda concentration of 2.6 mass%, an aluminum ion concentration of 6.5 mass%, and a temperature of 70 ° C.2Dissolved. Then, water washing by spraying was performed.
[0136]
(C) Desmut treatment
A desmut treatment was performed by spraying with a 1% by weight aqueous solution of nitric acid at a temperature of 30 ° C. (containing 0.5% by weight of aluminum ions), and then washed with water by spraying. The nitric acid aqueous solution used for the desmut treatment was a waste liquid from a process of performing an electrochemical surface roughening treatment using alternating current in a nitric acid aqueous solution.
[0137]
(D) Electrochemical roughening treatment
An electrochemical surface roughening treatment was continuously performed using an alternating voltage of 60 Hz. The electrolytic solution at this time was a 10.5 g / L aqueous solution of nitric acid (containing 5 g / L of aluminum ions and 0.007% by mass of ammonium ions) at a liquid temperature of 50 ° C. The AC power supply waveform is the waveform shown in FIG. 2, the time TP until the current value reaches the peak from zero is 0.8 msec, the duty ratio is 1: 1, a trapezoidal rectangular wave AC is used with the carbon electrode as the counter electrode An electrochemical roughening treatment was performed. Ferrite was used for the auxiliary anode. The electrolytic cell shown in FIG. 3 was used.
The current density is 30 A / dm at the peak current value.2The amount of electricity is 220 C / dm in terms of the total amount of electricity when the aluminum plate is the anode.2Met. 5% of the current flowing from the power source was shunted to the auxiliary anode.
Then, water washing by spraying was performed.
[0138]
(E) Alkali etching treatment
The aluminum plate was etched by spraying at 32 ° C. using an aqueous solution having a caustic soda concentration of 26 mass% and an aluminum ion concentration of 6.5 mass%, and the aluminum plate was 0.25 g / m.2Dissolve and remove the smut component mainly composed of aluminum hydroxide that was generated when the electrochemical roughening treatment was performed using the alternating current of the previous stage, and the edge portion of the generated pit was dissolved Made smooth. Then, water washing by spraying was performed.
[0139]
(F) Desmut treatment
The desmutting treatment was performed by spraying with a 15% by weight aqueous solution of sulfuric acid at a temperature of 30 ° C. (containing 4.5% by weight of aluminum ions), and then washed with water by spraying. The nitric acid aqueous solution used for the desmut treatment was a waste liquid from a process of performing an electrochemical surface roughening treatment using alternating current in a nitric acid aqueous solution.
[0140]
(G) Electrochemical roughening treatment
An electrochemical surface roughening treatment was continuously performed using an alternating voltage of 60 Hz. The electrolytic solution at this time was a hydrochloric acid 7.5 g / L aqueous solution (containing 5 g / L of aluminum ions) at a temperature of 35 ° C. The AC power supply waveform is the waveform shown in FIG. 2, the time TP until the current value reaches the peak from zero is 0.8 msec, the duty ratio is 1: 1, a trapezoidal rectangular wave AC is used with the carbon electrode as the counter electrode An electrochemical roughening treatment was performed. Ferrite was used for the auxiliary anode. The electrolytic cell shown in FIG. 3 was used.
The current density is 25 A / dm at the peak current value.2The amount of electricity is 50 C / dm as the total amount of electricity when the aluminum plate is the anode.2Met.
Then, water washing by spraying was performed.
[0141]
(H) Alkali etching treatment
The aluminum plate was etched by spraying at 32 ° C. using an aqueous solution having a caustic soda concentration of 26 mass% and an aluminum ion concentration of 6.5 mass%, and the aluminum plate was 0.10 g / m.2Dissolve and remove the smut component mainly composed of aluminum hydroxide that was generated when the electrochemical roughening treatment was performed using the alternating current of the previous stage, and the edge portion of the generated pit was dissolved Made smooth. Then, water washing by spraying was performed.
[0142]
(I) Desmut treatment
The desmutting treatment was performed by spraying with a 25% by weight aqueous solution of sulfuric acid having a temperature of 60 ° C. (containing 0.5% by weight of aluminum ions), and then washing with water by spraying.
[0143]
(J) Anodizing treatment
Anodization was performed using the anodizing apparatus having the structure shown in FIG. Sulfuric acid was used as the electrolytic solution supplied to the first and second electrolysis units. All electrolytes had a sulfuric acid concentration of 170 g / L (containing 0.5 mass% of aluminum ions) and a temperature of 38 ° C. Then, water washing by spraying was performed. The final oxide film amount is 2.7 g / m2Met.
[0144]
<Surface treatment B>
In the (h) alkali etching treatment of the surface treatment A, the dissolution amount of the aluminum plate is 1.0 g / m.2A surface treatment was performed in the same manner as in the surface treatment A except that.
[0145]
<Surface treatment C>
Surface treatment was performed in the same manner as surface treatment A, except that (g), (h), and (i) of surface treatment A were not performed.
[0146]
<Surface treatment D>
The surface treatment A (a), (d), (e), (f) is not performed. In the surface treatment A (g), the total amount of electricity when the aluminum plate is an anode is 1200 C / dm.2A surface treatment was performed in the same manner as in the surface treatment A except that.
[0147]
<Surface treatment E>
Surface treatment was performed in the same manner as surface treatment A except that (a), (g), (h), and (i) of surface treatment A were not performed.
[0148]
2. Measurement of surface shape of lithographic printing plate support
The following measurements (1) to (4) were performed on the concave portions on the surface of the lithographic printing plate support obtained above.
The results are shown in Table 2. In Table 2, "-" indicates that there was no recess having the corresponding average wavelength or average aperture diameter.
[0149]
(1) Average opening diameter of medium wave structure
Using the SEM, the surface of the support was photographed at a magnification of 2000 times from directly above, and 50 pits (medium pits) having a medium wave structure in which the periphery of the pit was connected in a ring shape were extracted from the obtained SEM photograph. The diameter was read and used as the opening diameter, and the average opening diameter was calculated.
[0150]
(2) Average aperture diameter of small wave structure
The surface of the support was photographed at a magnification of 50000 times from directly above using a high-resolution SEM, 50 small-wave structure pits (small-wave pits) were extracted from the obtained SEM photograph, and the diameter was read as the opening diameter. The average opening diameter was calculated.
[0151]
(3) Average ratio of depth to aperture diameter of small wave structure
The average ratio of the depth to the aperture diameter of the small wave structure was obtained by photographing the fracture surface of the support at a magnification of 50000 times using a high-resolution SEM, and in the obtained SEM photograph, 20 small-wave pits having an aperture diameter of 0.3 μm or less. Each sample was extracted, the aperture diameter and depth were read, the ratio was determined, and the average value was calculated.
[0152]
(4) Average wavelength of large wave structure
Two-dimensional roughness measurement is performed with a stylus type roughness meter (SUFCOM 575, manufactured by Tokyo Seimitsu Co., Ltd.), and the average mountain interval S defined in ISO 4287 is measured.mWas measured five times, and the average value was defined as the average wavelength. Two-dimensional roughness measurement was performed under the following conditions.
Cut off 0.8, tilt correction FLAT-ML, measurement length 3 mm, longitudinal magnification 10000 times, scanning speed 0.3 mm / sec, stylus tip diameter 2 μm.
[0153]
[Table 2]
[0154]
[Table 3]
[0155]
3. Creating a lithographic printing plate precursor
Each of the lithographic printing plate supports obtained above was provided with the following image recording layers I to III to obtain a lithographic printing plate precursor.
In addition, before providing the image recording layers I to III, the following hydrophilic treatment by an alkali metal silicate treatment and an interface treatment of an undercoat treatment were performed.
[0156]
The lithographic printing plate support obtained above is immersed in a treatment tank of a 1% by weight aqueous solution of sodium silicate No. 3 at a temperature of 30 ° C. for 10 seconds, whereby an alkali metal silicate treatment (silicate treatment). Went. Then, the water washing by the spray using well water was performed.
On the lithographic printing plate support after the alkali metal silicate treatment obtained as described above, an undercoat solution having the following composition was applied and dried at 80 ° C. for 15 seconds to form a coating film. The coating amount of the coating after drying is 10 mg / m2Met.
[0157]
<Undercoat liquid composition>
・ The following polymer compound 0.2g
・ Methanol 100g
・ Water 1g
[0158]
[Chemical 1]
[0159]
<Image recording layer I>
A heat-sensitive layer coating solution having the following composition was prepared, and the coating amount (heat-sensitive layer coating amount) after drying the heat-sensitive layer coating solution on a lithographic printing plate support that was undercoated was 1.7 g / m.2And dried to form a heat-sensitive layer to obtain a lithographic printing plate precursor.
[0160]
(Thermosensitive layer coating solution composition)
・ Novolak resin (m-cresol / p-cresol = 60/40, weight average molecular weight 7,000, containing 0.5% by mass of unreacted cresol) 1.0 g
・ Cyanine dye A represented by the following structural formula 0.1 g
・ Tetrahydrophthalic anhydride 0.05g
・ P-Toluenesulfonic acid 0.002g
-Ethyl violet counter ion with 6-hydroxy-β-naphthalenesulfonic acid 0.02g
-Fluorosurfactant (Megafac F-177, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) 0.05g
・ Methyl ethyl ketone 12g
[0161]
[Chemical 2]
[0162]
<Image recording layer II>
On the undercoated lithographic printing plate support, a photosensitive solution having the following composition was applied using a bar and dried at 120 ° C. for 40 seconds to form a photosensitive layer. The weight of the photosensitive layer after drying is 1.0 g / m.2Met.
(Photosensitive solution composition)
[0163]
[Chemical 3]
[0164]
On the photosensitive layer thus provided, a mat solution having the following composition was sprayed and applied by electrostatic spraying, dried at 60 ° C. for 5 seconds to adhere the mat to the surface, and a lithographic printing plate precursor was obtained.
The number of droplets is 50-100 / mm2The mat weight after drying is 0.05 g / m.2The height was 2 to 6 μm and the diameter was 20 to 150 μm.
(Matte liquid composition)
-Sodium 2-acrylamido-2-methylpropanoate / ethyl acrylate / methyl methacrylate = 15/15/70 (molar ratio) copolymer (weight average molecular weight 100,000) 20.0 g
・ Tartrazine (water-soluble dye) 0. 1g
・ Pure water 79.9g
[0165]
<Image recording layer III>
On the undercoated lithographic printing plate support, first, an intermediate layer solution having the following composition was applied using a bar and dried at 80 ° C. for 20 seconds to provide an intermediate layer. The coating weight of the intermediate layer after drying is 0.005 g / m2Met.
(Interlayer liquid composition)
・ Copolymer of sodium 2-acrylamido-2-methylpropanoate / ethyl acrylate / methyl acrylate = 20/30/50 (molar ratio) (weight average molecular weight 70,000) 1.0 g
・ Methanol 90.0g
・ Pure 9.0g
[0166]
Next, a photosensitive solution having the following composition was applied using a bar and dried at 130 ° C. for 40 seconds to provide a photosensitive layer. The weight of the intermediate layer after drying is 1.5 g / m2Met.
(Photosensitive solution composition)
・ 4,4′-diphenylmethane diisocyanate / hexamethylene diisocyanate / 2,2-bis (hydroxymethyl) propionic acid / tetraethylene glycol = 40/10/35/15 (molar ratio) urethane resin (weight average molecular weight 100,000) 2.5g
-Copolymer of methacrylic acid / methyl methacrylate / 2-hydroxyethyl methacrylate / acrylonitrile = 5/35/40/20 (molar ratio) (weight average molecular weight 80,000) 2.5 g
・ Dodecylbenzenesulfonate (diazo resin), a condensate of 4-diazodiphenylamine and formaldehyde, 1.2 g
・ Styrene / maleic anhydride = 50/50 (molar ratio) copolymer (weight average molecular weight 30,000) half ester of n-hexyl alcohol 0.1 g
・ Victoria Pure Blue BOH (Hodogaya Chemical Co., Ltd.) 15g
・ Megafac F-176PF (Dainippon Ink & Chemicals, Inc. fluorine-based surface active
Sex agent) 0. 1g
・ Tricresyl phosphate 0.15 g
・ Phosphorous acid 0.02g
・ Malic acid 0.02g
・ Propylene glycol monomethyl ether 40g
・ Methyl ethyl ketone 30g
・ Methanol 20g
・ Methyl lactate 10g
・ Pure water 1.5g
[0167]
On the photosensitive layer thus provided, a mat solution having the following composition was sprayed and applied by electrostatic spraying, dried at 60 ° C. for 5 seconds to adhere the mat to the surface, and a lithographic printing plate precursor was obtained.
The number of droplets is 50 to 150 / mm2The mat weight after drying is 0.10 g / m.2The height was 2 to 6 μm and the diameter was 20 to 150 μm.
(Matte liquid composition)
-Sodium 2-acrylamido-2-methylpropanoate / ethyl acrylate / methyl methacrylate = 15/15/70 (molar ratio) copolymer (weight average molecular weight 100,000) 20.0 g
・ Tartrazine (water-soluble dye) 0. 1g
・ Pure water 79.9g
[0168]
4). Exposure and development processing
Each lithographic printing plate precursor provided with the image recording layers I to III obtained above was subjected to image exposure and development treatment according to the following method in accordance with the image recording layer to obtain a lithographic printing plate.
[0169]
<Lithographic printing plate precursor provided with image recording layer I>
A lithographic printing plate precursor provided with the image recording layer I has an output of 500 mW, a wavelength of 830 nm, a beam diameter of 17 μm (1 / e2) Using a TrendSetter 3244 manufactured by CREO equipped with a semiconductor laser, a main scanning speed of 5 m / sec, and a plate surface energy amount of 140 mJ / cm.2And imagewise exposure. In addition, in order to evaluate the presence or absence of the generation of a pot-like residual film described later, the plate surface energy amount is 20 to 140 mJ / cm.2Up to 20 mJ / cm2Samples subjected to exposure at different intervals were prepared.
Thereafter, D-sorbite / potassium oxide K, which is a combination of a non-reducing sugar and a base2Development processing was performed using an alkaline developer in which the following compound a was added to 1 L of an aqueous solution containing 5.0% by mass of a potassium salt of O and 0.015% by mass of Olphine AK-02 (manufactured by Nissin Chemical). . The development process was carried out using an automatic processor PS900NP (Fuji Photo Film Co., Ltd.) filled with the above alkaline developer under the conditions of a development temperature of 25 ° C. and 12 seconds. After completion of the development treatment, a lithographic printing plate in which plate making was completed was obtained through a water washing step and treatment with a gum (GU-7 (1: 1)). In addition, even if it was a case where the alkaline developing solution which added the following compound b or c by the same addition amount instead of the compound a was used, it was able to develop similarly.
<Compounds a to c>
Compound a: C12H25N (CH2CH2COONa)2
Compound b: C12H25O (CH2CH2O)7H
Compound c: (C6H13)2CHO (CH2CH2O)20H
[0170]
<Lithographic printing plate precursor provided with image recording layer II>
A halftone dot negative film was superimposed on the lithographic printing plate precursor provided with the image recording layer II, and exposed for 200 counts with a printer FT26V2UPNS (light source; 2 KW metal halide lamp) manufactured by Nuark, USA. In addition, in order to evaluate the presence or absence of the occurrence of a pot-like residual film, which will be described later, a sample was prepared by changing the count number from 100 to 200 counts every 10 counts.
Thereafter, development processing and application of a gum solution were performed using an automatic developing machine 900NP manufactured by Fuji Photo Film Co., Ltd. At that time, a developing solution having the following composition was used as the developing solution, and a gum solution having the following composition was used as the gum solution. The temperature of the developer was 30 ° C., and the conveyance speed was adjusted so that the penetration time into the developer was 12 seconds.
[0171]
(Developer composition)
・ [SiO2] / [K2The molar ratio of O] is 1. 2 、 SiO2Concentration is 2. 1 mass% potassium silicate aqueous solution 999 g
-Disodium salt of ethylenediaminetetraacetic acid 1g
(Gum solution composition)
-Arabic gum 5. 0g
・ White dextrin 30g
・ Ethylene glycol 10g
・ Phosphoric acid 3g
・ Water 952g
[0172]
<Lithographic printing plate precursor provided with image recording layer III>
A halftone dot negative film was superimposed on the lithographic printing plate precursor provided with the image recording layer II, and exposed for 200 counts with a printer FT26V2UPNS (light source; 2 KW metal halide lamp) manufactured by Nuark, USA. In addition, in order to evaluate the presence or absence of the occurrence of a pot-like residual film, which will be described later, a sample was prepared by changing the count number from 100 to 200 counts every 10 counts.
Thereafter, development processing and application of a gum solution were performed using an automatic developing machine 900N manufactured by Fuji Photo Film Co., Ltd. At that time, DN-6 (Fuji Photo Film Co., Ltd. developer) was used as the developer development replenisher, and FN-2 (Fuji Photo Film Co., Ltd. gum solution) was used as the gum solution.
The temperature of the first developer was 30 ° C., and the conveyance speed was adjusted so that the penetration time into the first developer was 12 seconds.
[0173]
5). Evaluation of planographic printing plates
The lithographic printing plate obtained above was evaluated for the presence or absence of a pot-like residual film, stain resistance and printing durability by the following methods. The respective results are shown in Table 3.
In addition, the following evaluation method was performed with three types of lithographic printing plates obtained by exposing and developing each lithographic printing plate precursor provided with the above three types of image recording layers I to III on each lithographic printing plate support. The evaluation in each example and comparative example showed the average value of these three types of lithographic printing plates.
[0174]
(1) Presence of pot-like residual film
The non-image part after development of the sample exposed with each plate surface energy amount or each count number was observed with an optical microscope at a magnification of 100 times, and the presence or absence of a pot in an area of 1 mm square was examined. The presence or absence of a pot-like residual film was evaluated based on the plate surface energy amount or the minimum count number of samples in which no spots were observed. The numerical values are expressed in 10 levels from 10 to 1, in order from the smaller plate surface energy amount or count.
It means that the larger the numerical value, the harder the formation of a pot-like residual film.
[0175]
(2) Dirt resistance
As for stain resistance, blanket stains were evaluated.
Using a Mitsubishi diamond type F2 printing machine (manufactured by Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.), printing was performed using DIC-GEOS (s) red ink, and the blanket stain after printing 10,000 sheets was visually evaluated.
The numerical value was expressed in 10 levels from 10 to 1, in order from the least dirty blanket. The larger the number, the better the stain resistance.
[0176]
(3) Printing durability
Printing with Komori Corporation Lithron printing machine using DIC-GEOS (N) black ink manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc., when it is visually recognized that the density of the solid image has started to fade Printing durability was evaluated by the number of sheets.
The printing durability is the average of each Example and Comparative Example when the average number of printed lithographic printing plates in which the above three types of image recording layers are provided on the lithographic printing plate support of Comparative Example 1 is 100. The number of printed sheets was expressed as a relative value.
[0177]
[Table 4]
[0178]
[Table 5]
[0179]
As is apparent from Tables 2 and 3, a lithographic printing plate precursor using a low-purity aluminum plate and having an image recording layer provided on a lithographic printing plate support having a specific concavo-convex structure is a pot-like residual film. No occurrence of smudges and excellent stain resistance and printing durability (Examples 1 to 5).
In particular, a lithographic printing plate precursor provided with an image recording layer on a lithographic printing plate support using a low-purity aluminum plate having a tensile strength of 160 MPa or more can more effectively suppress the occurrence of a pot-like residual film. Moreover, it is excellent also in stain resistance and printing durability (Examples 1-4).
Further, when the average of the ratio of the depth to the opening diameter of the small wave structure is 0.2 or more, the printing durability is particularly improved.
[0180]
【The invention's effect】
As described above, a low-purity aluminum plate, preferably a high-wave structure with a specific wavelength and a medium-wave, small-wave structure with a specific opening diameter obtained by surface treatment or the like on a low-purity aluminum plate having a tensile strength in a specific range The use of the lithographic printing plate support of the present invention having a grained shape with a superposed structure on its surface can effectively suppress the occurrence of a pot-like residual film and cannot be removed from the conventional trade-off relationship. Both stain resistance and printing durability can be achieved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side view showing a concept of a brush graining process used in a mechanical surface roughening process in producing a lithographic printing plate support of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing an example of an alternating waveform current waveform diagram used for electrochemical surface roughening treatment in producing a lithographic printing plate support of the present invention.
FIG. 3 is a side view showing an example of a radial type cell in an electrochemical surface roughening treatment using alternating current in producing a lithographic printing plate support of the present invention.
FIG. 4 is a schematic view of an anodizing apparatus used for anodizing treatment in the production of a lithographic printing plate support of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 Aluminum plate
2, 4 Roller brush
3 Polishing slurry liquid
5, 6, 7, 8 Support rollers
11 Aluminum plate
12 Radial drum roller
13a, 13b main pole
14 Electrolytic treatment liquid
15 Electrolyte supply port
16 slits
17 Electrolyte passage
18 Auxiliary anode
19a, 19b Thyristor
20 AC power supply
40 Main electrolytic cell
50 Auxiliary anode tank
410 Anodizing equipment
412 Feed tank
414 Electrolytic treatment tank
416 Aluminum plate
418, 426 electrolyte
420 Power supply electrode
422, 428 rollers
424 Nip roller
430 Electrolytic electrode
432 tank wall
434 DC power supply