JP2004112247A - Ask変調回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の変調度のASK変調を電力損失が殆どない状態で行うことができるとともに、電力増幅を非常に高効率で行うことが出来、且つ小型に構成出来るASK変調回路を提供する。
【解決手段】FET Q1,Q2を並列接続し、FET Q1にはキャリアを直接入力し、FET Q2にはAND回路1aによりキャリアとデータとを論理積した信号を入力する。データが「0」のときにはFET Q1がオンし、データが「1」のときにはFET Q1,Q2がオンすることにより、FET回路からは100%未満のASK変調信号を出力することが出来る。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、小電力の無線通信システム、たとえば、RF−ID(Radio Frequency IDentification system)等への適用が好ましいASK変調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力増幅回路を高効率化するには、増幅部にD級アンプまたはE級アンプを使用するのが一般的であるが、RF−IDに使用される変調回路等、変調度として100%未満の変調度を使用する変調回路では、D級アンプやE級アンプをそのまま使用することができない。
【0003】
そこで、一般には、このような場合A〜C級アンプが使用されてきた。
【0004】
図8は、RF−IDに使用されている従来のASK変調部を含む送信回路の回路図を示している。図9は、同回路内の信号波形図である。変調回路30にはキャリアとデータが入力し、データの値(0または1)に応じてキャリアをASK変調する。この時の変調度は100%ではなく数10%(RF−IDにおいては、好ましくは10〜20%程度)に設定される。すなわち、データが「0」の時にも変調信号が出力される。なお、RF−IDにおいて変調度を10〜20%程度にするのは、ICカード側に対して、電力、クロック、データの3つを同時に送ることが必要であることから、データが「0」の時にもクロックが切れないようにするためである。
【0005】
整合回路31は、変調回路30の出力部と後段のC級アンプ32とのインピーダンス整合を行う。整合回路31の出力は、C級アンプ32でC級増幅されてアンテナ34との整合を図る整合回路33に出力される。ここで、C級アンプ32は、ASK変調回路30の出力である変調信号Aを信号波形を崩すことなくリニアに増幅することが必要であるから、このC級アンプ32をD級、E級等の高効率アンプに置き換えることができない。
【0006】
このように、従来の回路では、ASK変調を行う変調回路とは別にA〜C級アンプが必要であり、このため、効率が悪く出力と同程度若しくはそれ以上の損失が送信部で発生し、放熱板を設ける等の放熱対策が必要であったり小型化が困難である等の問題があった。
【0007】
また、ASK変調回路に電界効果トランジスタ(以下、FET)からなるスイッチング素子(D級又はE級アンプと同等)を用いたASK変調回路として、以下のものが公知である。
【0008】
▲1▼1つのFETで100%ASK変調を行い、この変調信号を電力増幅回路で増幅する。この時、変調度の精度が高くなるように変調回路を工夫している(特許文献1参照)。
【0009】
▲2▼FETを用いたASK変調回路を多段接続してゲインを稼ぎ、ASK100%変調を行う(特許文献2参照)。
【0010】
▲3▼1つのFETを用いてASK100%変調を行う(特許文献3参照)。
【0011】
▲4▼1つのFETを用いてASK100%変調を行う(特許文献4参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−101137号公報(図1参照)
【0013】
【特許文献2】
特開2001−320430号公報(図1〜図4参照)。
【0014】
【特許文献3】
特開2000−316028号公報(図1参照)
【0015】
【特許文献4】
特開平8−191218号公報(図1参照)
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記▲1▼〜▲4▼に示されるような、変調回路にFETを用いた従来のASK変調回路では、いずれも1つのFETによって100%ASK変調を行うものであるため、このFETをスイッチング駆動する限り原理的に100%未満の任意の変調度のASK変調を行うことができなかった。
【0016】
この発明の目的は、任意の変調度のASK変調を電力損失が殆どない状態で行うことができるとともに、電力増幅を非常に高効率で行うことが出来、且つ小型に構成出来るASK変調回路を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ドレインを共通に接続しソースを接地した複数のFETと、前記ドレインの共通接続端子に接続され電源が供給される高周波コイルと、各FETのゲートに対しデータの値に応じてキャリアの入力を制御する入力回路と、を備え、前記複数のFETにより前記キャリアをASK変調することを特徴とする。
【0018】
前記入力回路は、データの値に応じて各FETへのキャリアの入力を制御するが、具体的には、データの値に応じてキャリアが入力されるFETを選択する。このとき、データの値にかかわらず、キャリアは必ず1つ以上のFETに入力される。これにより、データの値が「0」であっても、「1」であってもFETの出力側には必ず変調されたキャリア信号が表れるから、FETの出力側に現れる変調キャリア信号のASK変調度は100%未満となる。また、FETはスイッチング動作、すなわち、D級又はE級アンプとして作動するために、A〜C級アンプに比べて電力損失は極めて小さい。そして、各FETには高周波コイルを介して電源を供給することで、各FETを電力増幅回路としても兼用させているため、A〜C級の電力増幅回路を後段に設ける必要がない。
【0019】
これにより、この発明の構成では、ASK変調と電力増幅とを同時に行うことができ、且つRF−ID等に有効な数10%ASK変調を簡単に実現することができる。
【0020】
また、この発明のASK変調回路は、前記複数のFETを各々のオン電流が異なる特性のものとし、前記複数のFETの中でASK変調を行うのに使用するFETの組み合わせを変えながら通信相手先からの応答信号有無を判定することにより、その通信相手先に対して使用するFETの組み合わせを決定する制御部を備えたことを特徴とする。
【0021】
以上の構成では、変調度を可変しながら通信相手先(RF−IDに適用されるICカード等)の応答状態を調べることができる。したがって、その時に使用されている通信相手先からの応答信号有無を判定することによってその通信相手先と確実に通信を行うことのできる最適なASK変調度、すなわち使用するFETの最適な組み合わせを決定することが可能である。その場合の最適なASK変調度は、通信相手先と通信をできた最小と最大のASK変調度の平均値またはその付近の値に設定するのが好ましい。こうすることで、通信状況等の変動が多少あっても、通信相手先と確実に通信を行うことができる。
【0022】
また、通信相手先が変わるたびに上述の操作を行うことにより、通信相手先が変わっても、常にその通信相手先と確実に通信を行うことのできるASK変調度を設定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施形態であるASK変調回路の構成図である。また、図2は同ASK変調回路の信号波形図である。
【0024】
キャリア及びデータは入力回路1に入力する。入力回路1は、データの値に応じて後段の電界効果トランジスタ(以下、FET)にキャリアを入力する。この入力回路1は、キャリアとデータを論理積するAND回路1aを有し、2つの出力端子O(オー)1とO(オー)2とを備えている。出力端子O1はキャリアをそのまま出力し、出力端子O2はAND回路1aでキャリアとデータとを論理積した信号G1を出力する。
【0025】
入力回路1の後段には、FET Q1とFET Q2とが接続されている。FET Q1とFET Q2とは並列に接続され、ドレインが共通接続され、ソースが接地されている。また、前記ドレインの共通接続端子には、電源接続された高周波コイルRFCが接続されている。さらに、前記ドレインの共通接続端子と接地間にはコンデンサC1が接続され、さらにその後段に、整合回路12とアンテナ13とが接続されている。
【0026】
図2に示すように、入力回路1に入力するデータは、「0」か「1」の1ビットデータであり、入力回路1は、このデータの値に応じてFET Q1、Q2のゲートに対するキャリア入力を制御する。すなわち、データの値が「0」の時には、FET Q2のゲートに対してのみ出力端子O1からキャリアを入力し、データの値が「1」の時には、FET Q2のゲートに対して出力端子O1からキャリアを入力するとともに、FET Q1のゲートに対して出力端子O2からキャリアを入力する。したがって、データの値が「0」の時にはFET Q2のみが動作し、データの値が「1」の時にはFET Q1、Q2の両方が動作する。この結果、FET Q1、Q2のドレインの共通接続端子(FET出力端子)には、100%未満のASK変調信号が出力される。
【0027】
なお、ASK変調度は、図2において、(A−B)/(A+B)×100%で表される。そこで、各FET Q1、Q2のオン電流を適当に選択することで(そのオン電流を流すことのできるFETを選択することで)、通信に適したASK変調度を得ることができる。たとえば、RF−IDのASK変調度は10〜15%程度とされているから、この変調度が得られるようにFET Q1、Q2のオン電流を選択する。
【0028】
図1に示す回路では、FET出力端子に電源接続された高周波コイルRFCを接続してこのFET Q1、Q2で電力増幅も兼用させている。したがって、所望の電力が得られるように各FETを選択することで電力増幅回路を別途設ける必要がない。通常、図2に示す100%未満のASK変調信号を増幅するには、信号波形を維持する必要性から図8に示すようなリニアな増幅特性を持つ電力増幅回路(C級アンプ32)が必要であるが、本実施形態では、FET Q1、Q2が電力増幅回路を兼用するために上記電力増幅回路が不要である。なお、FET Q1、Q2は増幅特性としてはD級又はE級増幅特性となる。いずれの場合もA〜C級増幅特性のように大きな電力損失は発生しない。図1に示す例では、FET Q2に並列にコンデンサC1を接続しているため、このコンデンサC1によって各FETの増幅特性は、よりE級増幅特性に近いものとなっている。
【0029】
上記のように、図1に示すASK変調回路では、2つのFET Q1、Q2を並列に接続し、各FETのゲートに対しデータの値に応じてキャリアの入力を制御する入力回路1を設けているため、100%未満のASK変調を容易に行え、且つ、各FET Q1、Q2は高効率なD級、E級増幅特性で作動し、さらに電力増幅を兼用するために、別途放熱板等を使用しなくても小型の回路で大きな送信出力を実現することができる。また、各FET Q1、Q2のオン電流を選択することによって、任意のASK変調度を得ることができる。
【0030】
図3は、この発明の他の実施形態を示している。図4は、信号波形図である。
【0031】
この実施形態のASK変調回路では、入力回路1にAND回路1a〜1cを接続したものを使用している。また、データは3ビットデータであって、入力回路1は3ビットのデータの値に応じてAND回路1a〜1cによってキャリアの通過を制御する。ASK変調を行うFET回路は、3つのFET Q1、Q2、Q3を並列接続することによって構成される。入力回路1の各AND回路1a〜1cの出力信号G1〜G3は、それぞれFET Q1、Q2、Q3のゲートに入力される。また、FET Q1〜Q3は、それぞれのオン電流が1:2:4のものが使用される。
【0032】
以上の構成により、回路内の各信号の波形は図4に示すようになる。すなわち、3ビットのデータの値(10進で0〜7)に応じて、キャリアが、FETQ1〜Q3のいずれか1つ以上のFETのゲートに入力し、その結果、FET出力端子には、8段階のレベルのASK変調信号が表れる。
【0033】
このように、各FETのオン電流を変えることによって、FETの個数をnとした時、2段階の変調度を持つASK変調信号を得ることができ、これによりデータの値に応じて複数種類のASK変調度を選択することが可能になる。
【0034】
図5は、この発明の更に他の実施形態を示している。この実施形態のASK変調回路では、入力回路1に入力するデータを1ビットとし、FET回路は、n個のFETを並列接続したものを使用する。
【0035】
前記入力回路1は、図1に示すAND回路1aと、更にこれに加えてセレクタ1e、1fを備えている。セレクタ1eにはキャリアが入力し、セレクタ1fにはAND回路1aの出力が入力する。セレクタ1e、1fの出力はそれぞれn個のFETのゲートに接続されている。
【0036】
制御部14は、上記セレクタ1e、1fのセレクト信号入力端子にセレクト信号を出力する。制御部14からの出力によって、各セレクタ1e、1fがそれぞれ異なったFETを選択する。セレクタ1e、1fは制御部14からの出力に基づいていずれか1つのFETのみを選択し、この選択されたFETのゲートにキャリア又はAND回路1aの出力を導く。
【0037】
以上の構成において、制御部14は、セレクタ1e、1fによって選択するFETを順次切り換えていくことによって、ASK変調を行うのに使用するFETの組み合わせを決定する。すなわち、制御部14は、通信相手先(ICカード等)からの応答信号の有無を見ながらセレクタ1e、1fで選択する2つのFETの組み合わせを切り換えていく。たとえば、制御部14は、ASK変調度が小から大に変化していくようにFETの組み合わせを切り換えていき、通信相手先からの応答信号有りを判定できた最小と最大のASK変調度の平均値若しくはその近傍(付近)の値(平均値又はその前後の任意の値)のASK変調度を得るFETの組み合わせを決定する。なお、平均値若しくはその近傍(付近)の値に代えて、度数分布等をとって、その中央値や最頻値若しくはその付近の値を得るFETの組み合わせを決定するようにしても良い。
【0038】
上記の制御を行うために、制御部14は、図6に示すテーブルTを備えている。このテーブルTは、ASK変調度とFETの組み合わせとの対応を示している。たとえば、ASK変調度M=1%を得るFETの組み合わせは、FET Q1とFET Q2である。
【0039】
図7は、上記中央値付近のASK変調度を得るための手順を示すフローチャートである。
【0040】
通信相手先との通信を開始する手順を実行する時、まず、ステップST1において、変調度Mを1%に設定する。この時、図6のテーブルTよりセレクタ1e、1fによって選択されるFETの組み合わせは、FET Q1,Q2となる。したがって、FET Q1のゲートにはキャリアが直接入力し、FET Q2のゲートにはAND回路1aの出力が入力する。
【0041】
ステップST2においては、上記の1%ASK変調度において通信相手先と通信が可能であるかどうかの判定を行う。上記FET Q1,Q2によってデータの値に応じてキャリアがASK変調され通信相手先に送信されるが、この時、通信相手先がその時のASK変調度で信号の受信・復調が可能であればこの回路に対して応答することができる。そこで、制御部14は、アンテナに接続されている受信回路(図5参照)15において受信した信号中に応答信号有りを判定することができれば、その1%ASK変調度において通信相手先と通信が可能であると判断して、ステップST4に進む。上記ステップST2において通信がNGの時には、ASK変調度Mを1%→2%とする(ステップST3)。すなわち、ASK変調度が2%となるFETの組み合わせをテーブルTから抽出し、その組み合わせのFET(Q1,Q3)をセレクタ1e、1fによって選択する。このようにして、通信相手先(ICカード)と通信が可能となったときのASK変調度を求め、ステップST4において、このときのASK変調度を最小ASK変調度Mminとして記憶する。
【0042】
続いてステップST5〜ST7において、ASK変調度を更に1%づつ増加していき、通信相手先と通信可能である最大ASK変調度Mmaxを求めて記憶する。
【0043】
上記のようにして求めた最小ASK変調度Mminと最大ASK変調度Mmaxを足して2で除してASK変調度の平均値を求め、これをその時の通信相手先に対する最適ASK変調度として設定する。すなわちその最適ASK変調度が得られるFETの組み合わせを決定する。通信を行うFETが決定されると、以下、当該通信相手先(ICカード)と通常の通信を行う。なお、通信可能なASK変調度の度数分布を取り、その中央値や最頻値又はその付近の値を最適ASK変調度として設定することも可能である。
【0044】
上記図7に示す手順は、通信相手先が接近してきた時に一度行う。したがって、接近してきた通信相手先の特性が異なるものであっても、常に最適なASK変調度を自動的に設定することができる。
【0045】
なお、図5に示す実施形態では、セレクタ1e、1fによって選択されるFETは2つであるが、図3に示すように、3つ以上のFETを選択してASK変調度を変えるようにしていってもよい。この場合は、テーブルTに設定されるFETの組み合わせが2つ又は3つ以上となる。かかる構成では、図5に示す構成に比べて、使用するFETの総数が少なくなる利点がある。
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、高効率のD級、E級増幅特性を示すFETにより100%未満のASK変調度を容易に設定することが出来、また、変調と電力増幅を同時に行うために、従来の回路に比べて放熱対策が容易であり、小型化、低電力化が可能である。
【0047】
また、通信相手先に対して最適なASK変調度を自動的に設定することができるために、前もって想定していない特性の通信相手先であっても、その通信相手先に最適なASK変調度で安定したデータ通信を行うことができる。特に、通信相手先が小型のICカードでは、アンテナコイルの状態やICのばらつき等によって最適な変調度が個々に異なっているが、この発明ではこのような特性の相違を実質的にキャンセルした状態で通信を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態であるASK変調回路の構成図
【図2】上記ASK変調回路の信号波形図
【図3】この発明の第2の実施形態のASK変調回路の構成図
【図4】上記ASK変調回路の信号波形図
【図5】この発明の第3の実施形態のASK変調回路の構成図
【図6】制御部に設けられるテーブル構成例を示す図
【図7】制御部の通信開始時の動作を示すフローチャート
【図8】従来のASK変調部を含む送信回路の構成図
【図9】上記従来の回路の信号波形図
【符号の説明】
1−入力回路
RFC−高周波コイル
Q1,Q2−FET

Claims (3)

  1. ドレインを共通に接続しソースを接地した複数の電界効果トランジスタと、前記ドレインの共通接続端子に接続され電源が供給される高周波コイルと、各電界効果トランジスタのゲートに対しデータの値に応じてキャリアの入力を制御する入力回路と、を備え、前記複数の電界効果トランジスタにより前記キャリアをASK変調するASK変調回路。
  2. 前記複数の電界効果トランジスタを各々のオン電流が異なる特性のものとし、前記複数の電界効果トランジスタの中でASK変調を行うのに使用する電界効果トランジスタの組み合わせを変えながら通信相手先からの応答信号有無を判定することにより、その通信相手先に対して使用する電界効果トランジスタの組み合わせを決定する制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のASK変調回路。
  3. 前記制御部は、通信相手先からの応答信号有りを判定出来た最小と最大のASK変調度の平均値若しくはその付近のASK変調度を得る電界効果トランジスタの組み合わせを決定することを特徴とする請求項2記載のASK変調回路。
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