JP2004108287A - 内燃機関の弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】EGRガスが燃焼室に導入される内燃機関において、排気エミッションと燃焼性との改善を図る。
【解決手段】内燃機関の弁装置は、ボール弁からなる排気弁30a,30bを備える。制御装置により制御された電動モータは、排気弁30a,30bの回転方向を制御することにより、排気弁30a,30bを通して導入されるEGRガスの燃焼室6における導入位置を変更する。内燃機関の暖機運転時には、排気弁30a,30bは排気口11bにおける周壁側11b2で開いて、EGRガスがシリンダ孔Caの周壁Cb寄りの位置で燃焼室6に導入され、暖機後の運転時には、排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側11b1で開いて、EGRガスがシリンダ軸線L3寄りの位置で燃焼室6に導入される。
【選択図】 図9
【解決手段】内燃機関の弁装置は、ボール弁からなる排気弁30a,30bを備える。制御装置により制御された電動モータは、排気弁30a,30bの回転方向を制御することにより、排気弁30a,30bを通して導入されるEGRガスの燃焼室6における導入位置を変更する。内燃機関の暖機運転時には、排気弁30a,30bは排気口11bにおける周壁側11b2で開いて、EGRガスがシリンダ孔Caの周壁Cb寄りの位置で燃焼室6に導入され、暖機後の運転時には、排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側11b1で開いて、EGRガスがシリンダ軸線L3寄りの位置で燃焼室6に導入される。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EGRガスが導入される燃焼空間を有する内燃機関において、排気弁が回転弁からなる弁装置に関し、詳細には、排気弁を通して燃焼空間にEGRガスを導入する弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気ガス中の窒素酸化物を低減して排気エミッションの改善を図るため、またポンピングロスを低減して燃費の改善を図るために、排気ガスをEGRガス(還流排気ガス)として燃焼室に導入する排気還流(EGR)装置を備えた内燃機関は周知である。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された内燃機関では、回転バルブ体からなる吸気バルブ体および排気バルブ体を備える弁装置を利用して燃焼室にEGRガスが導入される。この弁装置において、それぞれの一端部に設けられたタイミングプーリにタイミングベルトを介して伝達されるクランクシャフトの動力により回転駆動される円柱状の吸気バルブ体または排気バルブ体には、回転位置に応じて吸気ポートに連通する第1,第2吸気通路または回転位置に応じて排気ポートに連通する第1,第2排気通路が形成される。そして、排気バルブ体に第1,第2排気通路が形成される場合、第1,第2排気通路は、排気バルブ体の軸線に直交する同一平面内であって、第2排気通路は排気バルブ体の回転方向において第1排気通路の後方に、しかも第1,第2排気通路は、排気ポートに対して同時には連通しない位置に形成される。
【0004】
そして、吸気行程の途中で、第2排気通路は排気ポートおよび燃焼室に連通して、前の排気行程で排気ポートに排出された排気ガスがEGRガスとして第2排気通路を通って燃焼室に還流され、この高温のEGRガスによって燃焼室内に吸入された混合ガスの燃料の霧化が促進される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−297617号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、排気バルブ体は、内燃機関の運転状態とは無関係に、常時同じ回転方向に回転しており、しかもEGRガスを燃焼室に導入するための第2排気通路は、閉弁状態から次第に開度が増加して全開状態になり、その後次第に開度が減少して閉弁状態になるだけであるため、燃焼室におけるEGRガスの導入位置は運転状態に拘わらず同一であり、導入されるEGRガスによる排気エミッションおよび燃焼性の点で改善の余地があった。
【0007】
例えば、燃料の気化状態が不十分な暖機運転状態などのときは、吸入された吸気中の燃料液滴が、燃焼室への流入時の慣性によりシリンダ孔の周壁面に付着する傾向があるため、該周壁面への付着を抑制することが排気エミッションおよび燃焼性の点から好ましく、また暖機後の運転状態などのときは、EGRガスと吸気との混合を促進して、吸気中の燃料の気化を促進することが、排気エミッションおよび燃焼性の点から好ましい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1から請求項3記載の発明は、EGRガスが燃焼空間に導入される内燃機関において、排気エミッションと燃焼性との改善を図ること目的とする。そして、請求項2および請求項3記載の発明は、それぞれ、暖機運転状態および暖機後の運転状態において排気エミッションと燃焼性との改善を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、燃焼空間に吸気口にて開口する吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼空間に排気口にて開口する排気ポートを開閉する回転弁からなる排気弁と、前記吸気弁および前記排気弁を駆動する動弁手段とを備える内燃機関の弁装置において、前記動弁手段は、前記排気弁を回転駆動する回転駆動手段と、該回転駆動手段の動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御する制御手段とを備え、該制御手段により制御された前記回転駆動手段が前記排気弁の回転方向を制御することにより、前記排気弁および前記排気口を通って導入されるEGRガスの前記燃焼空間における導入位置が前記運転状態に応じて変更される内燃機関の弁装置である。
【0010】
これにより、排気弁を異なる回転方向から開弁させることで、運転状態に応じて変化する燃焼空間での燃料の挙動に対応して、排気エミッションおよび燃焼性を改善するうえでより好ましい位置から、EGRガスを燃焼空間に導入して、燃料の気化などを効果的に行うことができる。
【0011】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、制御手段により制御された回転駆動手段が排気弁の回転方向を制御して、排気弁および排気口を通って導入されるEGRガスの燃焼空間における導入位置が運転状態に応じて変更されることにより、排気弁が回転弁であることを利用して、回転方向が制御されるという簡単な構成で、EGRガスの導入による窒素酸化物の低減および燃費の改善が可能となるうえに、燃焼空間でのEGRガスの導入位置が運転状態に応じて変更されて、排気エミッションおよび燃焼性を改善することが可能になる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の弁装置において、前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における周壁側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔の周壁寄りの位置で前記燃焼空間に導入されるものである。
【0013】
これにより、EGRガスがシリンダ孔内で周壁面付近に導入されるので、暖機運転中のために十分に気化されていない燃焼空間内の燃料がシリンダ孔の周壁面に付着することが抑制されるうえ、高温のEGRガスにより燃料の気化が促進されて、HC(炭化水素)の排出が抑制される。
【0014】
この結果、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、運転状態が暖機運転状態であるとき、回転駆動手段が排気弁を排気口における周壁側で開き、EGRガスがシリンダ孔の周壁寄りの位置で、燃焼室とシリンダ孔とからなる燃焼空間に導入されることにより、燃焼空間内の燃料の周壁面への付着が抑制され、さらに燃料の気化が促進されるので、暖機運転中の排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関の弁装置において、前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機後の運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における中心側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔のシリンダ軸線寄りの位置で前記燃焼空間に導入されるものである。
【0016】
これにより、EGRガスは燃焼空間内の中央部付近に導入されるので、高温のEGRガスとの衝突することによる燃料の霧化および気化が、広範囲に渡って促進され、HC(炭化水素)の排出が抑制される。
【0017】
この結果、請求項3記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、運転状態が暖機後の運転状態であるとき、回転駆動手段が排気弁を排気口における中心側で開き、EGRガスがシリンダ孔のシリンダ軸線寄りの位置で、燃焼室とシリンダ孔とからなる燃焼空間に導入されることにより、導入されたEGRガスによる燃料の霧化および気化が広範囲に渡って促進されるので、暖機後の運転状態での排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0018】
なお、この明細書において、中心側とは、排気弁の回転軸線方向で見て、シリンダ軸線に近い側を意味し、周壁側とは、該回転軸線方向で見てシリンダ軸線から中心側よりも遠い側を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1から図14を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明の弁装置が適用される内燃機関Eは、車両の前部に、クランク軸8の回転軸線が左右方向を指向するように搭載される横置きV型4気筒の水冷式4ストローク内燃機関である。内燃機関Eは、4つのシリンダCが2つずつクランク軸8の回転軸線方向A1(以下、軸方向A1という。)に配列されて構成される前後のシリンダ列がV字をなすシリンダブロック1と、各シリンダ列の上端に結合されたシリンダヘッド2と、シリンダブロック1の下端に結合されて、シリンダブロック1の下部と共にクランク軸8を収容するクランク室を形成するロアブロック3と、ロアブロック3の下端に結合されたオイルパン4とを備える。
なお、この実施例において、前後左右は、車両を基準としたものであり、車両の前後左右と一致する。
【0020】
そして、前後のシリンダ列および前後のシリンダヘッド2により、Vバンクを構成する前後のバンクBF,BRが構成される。この実施例において、前後のバンクBF,BRの構造は基本的に同一であるので、以下では、主として、前バンクBFの構造について説明し、後バンクBRで対応する部分には、同一の符号を使用する。
【0021】
各シリンダCにはピストン5が往復動自在に嵌合されるシリンダ孔Caが形成され、シリンダブロック1の上部、すなわち上死点でのピストン5の頂面5aよりもシリンダヘッド2寄りに位置する部分であるヘッド部Chには、シリンダC毎にシリンダ孔Caに連なる燃焼室6が形成される。そして、燃焼室6およびシリンダ孔Ca内での混合気の燃焼により発生する燃焼圧力により駆動されてシリンダ孔Ca内を往復動するピストン5が、コンロッド7を介してクランク軸8を回転駆動する。
【0022】
シリンダC毎に、燃焼室6に開口する1対の吸気口10bをそれぞれ有する1対の分岐ポート10a(図2参照)を備える吸気ポート10、および燃焼室6に開口する1対の排気口11bをそれぞれ有する1対の分岐ポート11a(図2参照)を備える排気ポート11が、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に渡って形成される。そして、シリンダヘッド2には、前記Vバンクの内側に各吸気ポート10の入口に空気を導く通路を形成する吸気管12を備える吸気装置が取り付けられ、前記Vバンクの外側に各排気ポート11の出口からの排気ガスを導く通路を導く排気管13を備える排気装置が取り付けられる。
【0023】
また、吸気管12には、両分岐ポート10aを通り燃焼室6を指向して液体燃料を供給する燃料供給装置としての燃料噴射弁14が取り付けられる。さらに、シリンダヘッド2に設けられた挿入孔に挿入された点火栓15が、シリンダ軸線L3と交差する位置で、燃焼室6のほぼ中心に臨むようにヘッド部Chに取り付けられる。
【0024】
図2,図3,図8を参照すると、各シリンダCにおいて、吸気ポート10の1対の分岐ポート10aには、弁通路としての吸気弁通路21が形成された回転弁としてのボール弁からなる1対の機関弁である第1,第2吸気弁20a,20bが、そして、排気ポート11の1対の分岐ポート11aには、弁通路としての排気弁通路31が形成された回転弁としてのボール弁からなる1対の機関弁である第1,第2排気弁30a,30bが、それぞれ設けられる。各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bは、それぞれ吸気口10bおよび排気口11bの近傍で各分岐ポート10a,11aの燃焼室6寄りの端部に、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に跨って形成された収容室10c,11cに収容される。
【0025】
ヘッド部Chには、各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bにそれぞれ気密に接触すると共に吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bのそれぞれの回転軸線L1,L2に対して燃焼室6側(以下、燃焼室側という。)の第1弁座40を構成する円環状のシール部材が各収容室10c,11cの燃焼室側の端部で装着される。また、シリンダヘッド2には、各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bと気密に接触すると共に各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bのそれぞれの回転軸線L1,L2に対して燃焼室6とは反対側(以下、反燃焼室側という。)の第2弁座41を構成する円環状のシール部材が、各収容室10c,11cの反燃焼室側の端部で装着される。
【0026】
図4を併せて参照すると、吸気弁通路21および排気弁通路31は、第1,第2弁座40,41により形成される通路面積にほぼ等しい通路面積を有する円柱状の貫通孔から形成され、分岐ポート10aおよび分岐ポート11aの通路面積に対応して、吸気弁通路21の通路面積は排気弁通路31の通路面積よりも大きくされる。同様にして、各吸気弁20a,20bを構成するボール弁の球形部分の径は、排気弁30a,30bを構成するボール弁の球形部分の径より大きい。
【0027】
第1吸気弁20aには、後述する制御装置60により制御される吸気側駆動機構DIに連結されると共に回転軸線L1と同軸の連結軸22が設けられ、第2吸気弁20bは、軸継手42を介して第1吸気弁20aと一体に回転するように連結される。同様に、第1排気弁30aには、制御装置60により制御される排気側駆動機構DEに連結されると共に回転軸線L2と同軸の連結軸32が設けられ、第2排気弁30bは、軸継手42を介して第1排気弁30a,30bと一体に回転するように連結される。
【0028】
軸継手42の構造は、第1,第2排気弁30a,30bについても第1,第2吸気弁20a,20bと同様である。そこで、図3,図4を参照して第1,第2吸気弁20a,20bについて説明すると、各軸継手42は、第1,第2吸気弁20a,20b(第1,第2排気弁30a,30bについても同様である。)の、回転軸線L1,L2の方向A2(以下、回転軸線方向A2という。)で対向する部分に形成された1対の係合溝43aを有する連結部43と、十字形の係合孔44aを有する円環状の連結リング44と、各連結部43と連結リング44とを結合する1対の連結片45とを備える。
【0029】
そして、各連結片45が、係合溝43aおよび係合孔44aに係合することにより、第1吸気弁20aおよび第2吸気弁20bが同期して回転するように連結される。同様に、軸継手42により第1排気弁30aおよび第2排気弁30bが同期して回転するように連結される。
【0030】
それゆえ、前記弁装置は、シリンダC毎の第1,第2吸気弁20a,20bと第1,第2排気弁30a,30bと動弁手段とを備え、該動弁手段は、吸気側駆動機構DI、排気側駆動機構DEおよび後述する駆動制御系を備える。
【0031】
次に、図2,図4,図5を参照して、吸気側駆動機構DIおよび排気側駆動機構DEについて説明する。両駆動機構DI,DEは、基本的に同じ構造を有するので、以下の説明では、主に吸気側駆動機構DIを説明するが、吸気側駆動機構DIとの対応関係を明確にするために、必要に応じて排気側駆動機構DEに関連する事項を括弧内に記すこととし、また排気側駆動機構DEにおいて吸気側駆動機構DIの構成要素に対応する構成要素には同一の符号を使用することとする。
【0032】
図2を参照すると、吸気側駆動機構DIおよび排気側駆動機構DEは、シリンダC毎に、そして各シリンダCの第1,第2吸気弁20a,20b毎および第1,第2排気弁30a,30b毎に別個に設けられる。各吸気側駆動機構DI(各排気側駆動機構DE)は、第1吸気弁20a(第1排気弁30a)と軸継手42を介して第2吸気弁20b(第2排気弁30b)とを回転駆動する回転駆動手段としての電動モータ46と、電動モータ46の回転駆動力を第1吸気弁20a(第1排気弁30a)に伝達する伝達機構47とを備える。軸方向A1でのシリンダヘッド2の両側壁にそれぞれ取り付けられた電動モータ46は、制御装置60により制御されて、正回転方向および逆回転方向に回転することができる回転軸46aを有する。
【0033】
併せて図4,図5を参照すると、軸方向A1でのヘッド部Chおよびシリンダヘッド2の両端部に形成されて、シリンダヘッド2に結合されるシリンダヘッドカバー16(図1参照)で覆われる収納室17(図4参照)に収納される伝達機構47は、第1,第2吸気弁20a,20b(第1,第2排気弁30a,30b)を所定の角度範囲において開弁方向および閉弁方向に回転駆動する回転軸46aと一体に回転するように結合されて前記角度範囲に対応する範囲で回転運動をする駆動アーム48と、連結軸22,32に一体に回転するように結合されると共に駆動アーム48により前記角度範囲で回転駆動される駆動軸49とを備える。駆動アーム48は、回転軸46aに結合される中心部48aと、中心部48aから径方向外方に延びて円弧状の外周部に形成されたギヤ部48bとを有する。駆動軸49(図3も参照)は、連結軸22,32が圧入により一体に結合される管状の軸部49aと、軸部49aの外周に全周に渡って形成されたギヤ部49bとを有する。
【0034】
図5に示されるように、電動モータ46は、各吸気弁20a,20bの回転軸線L1の方向および各排気弁30a,30bの回転軸線L2の方向である回転軸線方向A2から見て、回転軸46aと駆動軸49とがシリンダ軸線L3(図1,図4参照)と直交する方向でオフセットするように配置される。これにより、シリンダ軸線方向A3でシリンダヘッド2が高くなることが抑制されて、内燃機関Eの大型化が抑制される。
【0035】
駆動軸49は、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に挟持されて固定される支持軸50に軸受としての球面軸受51を介して球面支持される。球面軸受51は、支持軸50の円柱状の突出部50aの外周に摺動自在に嵌合される凸状の球面を有する内輪51aと、駆動軸49のギヤ部49b側の端部の内側に圧入されて、内輪51aの球面に面接触する凹状の球面を有する外輪51bとから構成される。
【0036】
それゆえ、各シリンダCで、第1,第2吸気弁20a,20bは、第1吸気弁20aが連結軸22と結合された駆動軸49を介してヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に球面軸受51を介して支持され、さらに両吸気弁20a,20bが第1,第2弁座40,41に支持されることで、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に回転自在に支持される。同様に、各シリンダCで、第1,第2排気弁30a,30bは、第1排気弁30aが連結軸32と結合された駆動軸49を介してヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に球面軸受51を介して支持され、さらに両排気弁30a,30bが第1,第2弁座40,41に支持されることで、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に回転自在に支持される。
【0037】
ここで、収容室10c,11cが形成され、さらに第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bを回転自在に支持するヘッド部Chおよびシリンダヘッド2は、内燃機関Eの機関弁支持部を構成し、この機関弁支持部は、シリンダ孔Caよりもシリンダヘッド2側に位置する。
【0038】
図2,図4,図9を参照すると、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bは、それぞれ、その閉弁時に、電動モータ46の回転駆動による回転方向に応じて、燃焼室側で第1弁座40の全周に接触すると共に、反燃焼室側で第2弁座41の全周に接触して、対応する分岐ポート10a,11aを閉塞する1対の壁部23および1対の壁部33を有する。各吸気弁の1対の壁部23および各排気弁の1対の壁部33は、それぞれ、回転軸線L1,L2に直交する方向で吸気弁通路21および排気弁通路31を挟むようにして互いに対向する位置にある。
【0039】
次に、電動モータ46の駆動制御系は、制御装置60と電流制御部61と各種運転状態検出センサとを備える。図2を参照すると、各電動モータ46は、内燃機関Eの運転状態に応じて、クランク軸8の回転角に対応して所定の開閉時期で吸気ポート10および排気ポート11を開閉すると共に排気還流を行うために、制御手段としての電子的制御装置60(ECU)でその動作が制御されることにより、回転軸46aを正回転方向または逆回転方向に回転させて、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bを開弁方向または閉弁方向に前記角度範囲で回転駆動する。
【0040】
そのため、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bに関して、回転方向としての開弁方向および閉弁方向と、回転速度と、開弁開始時期および開弁終了時期(すなわち全閉時期)とを制御する制御装置60には、内燃機関Eの運転状態を検出するための各種の運転状態検出センサからの検知信号が入力される。制御装置60では、これら検知信号に基づいて、内燃機関Eの運転状態を判別すると共に、運転状態に対応した第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの前述の回転方向や回転速度や開閉時期などに対応する電動モータ46の回転方向、回転速度および回転開始時期・停止時期などが演算されて、電動モータ46の駆動信号が決定され、該駆動信号が各電動モータ46に供給される駆動電流を制御する電流制御部61に出力され、該駆動信号に対応して電流制御部61から出力される電流に応じて各電動モータ46の回転が制御される。
【0041】
各種の運転状態検出センサは、ここでは、内燃機関Eの吸入空気量を検出する吸入空気量センサ62と、燃料噴射弁14から供給される燃料量を検出する燃料量センサ63と、各シリンダCでのノッキングの発生を検出するノックセンサ64、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ65と、内燃機関Eの暖機状態を検出するために機関温度を検出する機関温度センサ66、例えば冷却水の温度を検出する冷却水温センサと、クランク軸8の回転速度を検出する回転速度センサ67と、クランク軸8の回転角を検出する回転角度位置センサ68と、内燃機関Eの始動時を検出する始動センサ69、例えばスタータスイッチとから構成される。
【0042】
そして、内燃機関Eにおいては、吸気行程に開弁する第1,第2吸気弁20a,20bを通って、吸気ポート10から燃焼室6とピストン5の頂面5aよりもシリンダヘッド2側のシリンダ孔Caの部分とからなる燃焼空間内に、空気と燃料とが混合した吸気が流入し、圧縮行程で圧縮された吸気が点火栓15により点火されて燃焼し、膨張行程で前記燃焼空間内での燃焼圧により駆動されるピストン5がクランク軸8を回転駆動する。燃焼ガスは、排気行程で開弁する第1,第2排気弁30a,30bを通って、燃焼室6から排気ポート11に流出し、さらに前記排気装置を通って内燃機関Eから排出される。
【0043】
そして、制御装置60は、前記運転状態検出センサからの検知信号に基づいて、内燃機関Eの負荷状態、回転速度および暖機状態などの運転状態を判別し、特定の運転状態において排気還流(EGR)を行い、さらにEGRガス量およびEGRガスの導入時期および導入期間を運転状態に応じて設定する。
【0044】
以下、図6〜図14を参照して、排気還流を行うときの内燃機関の暖機状態に応じた第1,第2吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bの動作を説明する。
図9を参照すると、排気還流を行う運転領域であって、内燃機関Eが冷間始動時を含む暖機運転状態であるとき、各シリンダCにおいて、第1,第2吸気弁20a,20bは、開弁方向R1に回転駆動されて、吸気口10bにおける中心側10b1から開き始め、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転駆動されて、吸気口10bにおける周壁側10b2から閉じ始める。
【0045】
一方、第1,第2排気弁30a,30bは、それぞれ、開弁方向R1に回転駆動されて、排気口11bにおける周壁側11b2から開き始めて、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転駆動されて、排気口11bにおける中心側11b1から閉じ始める。
【0046】
図6を参照すると、排気還流は、排気行程の上死点付近で第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bがいずれも開弁しているバルブオーバラップ期間P(図6には、バルブオーバラップ期間Pにおいて、排気還流が行われないときの第1,第2排気弁30a,30bの開口面積の変化が二点鎖線で示されている。)の一部を含むEGR導入期間に行われる。
【0047】
図6,図7を参照すると、排気行程の終期における図6のクランク角K1では、第1,第2吸気弁20a,20bの開弁直前に、閉弁方向R2に回転しつつある第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける周壁側11b2で部分開度で開いており、排気ガス(説明の便宜上、概略の流れが矢印G2で示されている。)が周壁側11b2から第1,第2排気弁30a,30b通路を通って排気ポート11に流出する。
【0048】
その後、ピストン5が上死点にさらに近づいた図6のクランク角K2では、図8に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁し始める。このとき、第1,第2吸気弁20a,20bの開度が僅かであること、および燃焼室6内の圧力と吸気ポート10内の圧力との関係から、燃焼室6への吸気の流入は殆どない。そして、排気ガスは、さらに小開度になった第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11に流出し続ける。
【0049】
さらに、ピストン5が上死点を過ぎて吸気行程に移行した図6のクランク角K3では、図9に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁方向R1にさらに回転して、吸気口10bにおける中心側10b1から次第に大きく開弁し、ピストン5の下降により圧力が低下した燃焼室6に吸気ポート10から吸気(説明の便宜上、概略の流れが矢印G1で示されている。)が流入し始める。このとき、排気口11bにおける周壁側11b2で、全開時の開度に比べて小さい部分開度である所定のEGR開度で開いている第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11から逆流した排気ガスが、周壁側11b2からEGRガス(還流排気ガス)として燃焼室6に導入される。
【0050】
その後、ピストン5が下降し続けて、燃焼室6の圧力が低下すると、第1,第2吸気弁20a,20bを通って燃焼室6およびシリンダ孔Caに流入する吸気量が増加する。そして、この吸気行程時、排気還流の終了時期(クランク角K4)の直前まで、第1,第2排気弁30a,30bは、制御装置60により制御される電動モータ46により、排気口11bにおける周壁側11b2で前記EGR開度に保持され、その間、排気ポート11からEGRガスが前記燃焼空間、すなわち燃焼室6およびシリンダ孔Caに流入し続ける。その後、ピストン5がさらに下降して、図6のクランク角K4で、図10に示されるように、第1,第2排気弁30a,30bは全閉状態になり、排気ポート11が閉塞されて排気還流が終了する。
【0051】
このように、前記EGR導入期間中には、バルブオーバラップ期間Pの終了時期よりも遅い時期まで、排気ポート11から第1,第2排気弁30a,30bを通じて多量のEGRガスが燃焼室6を含む前記燃焼空間に導入される。そして、燃焼室6におけるEGRガスの導入位置は、回転軸線方向A2(図2参照)から見て、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内において周壁Cb寄り、すなわちシリンダ軸線L3に比べて周壁Cbにより近い位置である。そのため、図9,図10に示されるように、燃焼室6およびシリンダ孔Caにおいて周壁Cbに近接した位置で導入されたEGRガスの主流は、排気弁通路31から、回転軸線方向A2で見て第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに向かう方向の速度成分を有して流入し、シリンダ孔Ca内で第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに沿ってピストン5に向かって流れ、さらにその頂面5aに沿って流れ、第1,第2吸気弁20a,20b側の周壁Cbに向かって流れた後、周壁Cbにより偏向されて、燃焼室6さらには点火栓15に向かって流れる。
【0052】
これにより、暖機運転状態にあるため、十分に気化されない状態で前記燃焼空間中にある燃料液滴が周壁Cbの壁面に付着することが抑制または防止され、また高温のEGRガスにより気化が促進される。そのうえ、周壁Cbおよびピストン5の頂面5aに沿って流れるEGRガスにより、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内の混合気が、シリンダ軸線L3付近に集まり、さらにはシリンダ軸線L3と交差する位置に設けられた点火栓15付近に集まる。
【0053】
また、第1,第2排気弁30a,30bは、バルブオーバラップ期間Pには、排気口11bにおける周壁側11b2で開弁しているため、吸気口10bからの距離が、各排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側10b1で開弁しているときに比べて長くなるので、吸気の吹き抜けが抑制されて、排気ポート11から燃焼室6への排気ガスの流入が阻害されることが少なくなる。
【0054】
暖機が完了して、内燃機関Eが暖機後の運転状態での第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの動作を、図6,図11〜図14を参照して説明する。先ず、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの開弁方向および閉弁方向について説明する。図13を参照すると、各シリンダCにおいて、第1,第2吸気弁20a,20bは、暖機時と同様に、開弁方向R1に回転して吸気口10bにおける中心側10b1から開き始め、閉弁方向R2に回転して吸気口10bにおける周壁側10b2から閉じ始める。一方、第1,第2排気弁30a,30bは、暖機時とは逆に、開弁方向R1に回転して、排気口11bにおける中心側11b1から開き始めて、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転して、排気口11bにおける周壁側11b2から閉じ始める。
【0055】
このとき、第1,第2排気弁30a,30bに関して、暖機運転状態での開弁方向R1および閉弁方向R2から、暖機後の運転状態での開弁方向R1および閉弁方向R2への変更は、次のようにして行われる。制御装置60が暖機運転終了と判定した直後に閉弁方向R2(図9参照)に回転する第1,第2排気弁30a,30bが、次の排気行程のときに開弁方向R1(図9参照)に回転して全開状態になり、閉弁するときに、電動モータ46により開弁方向R1(図9参照)に回転駆動されることで閉弁して、図13に示される暖機運転終了後の開弁方向R1および閉弁方向R2に変更される。
【0056】
そして、排気還流は、暖機運転時と同様にバルブオーバラップ期間Pを含む前記EGR導入期間に行われる。具体的には、排気行程の終期における図6のクランク角K1では、図11に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bの開弁直前に、閉弁方向R2に回転しつつある第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける中心側11b1で部分開度で開いており、排気ガスが中心側11b1から第1,第2排気弁30a,30b通路を通って排気ポート11に流出する。
【0057】
その後、ピストン5が上死点にさらに近づいた図6のクランク角K2では、図12に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁し始めるが、暖機運転時と同様に、燃焼室6内への吸気の流入は殆どない。そして、排気ガスは、さらに小開度になった第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11に流出し続ける。
【0058】
さらに、ピストン5が上死点を過ぎて吸気行程に移行した図6のクランク角K3では、図13に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁方向R1にさらに回転して、ピストン5の下降により圧力が低下した燃焼室6に吸気ポート10から吸気が流入し始める。このとき、排気口11bにおける中心側11b1で前記EGR開度で開いている第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11から逆流した排気ガスが、排気口11bにおける中心側11b1から燃焼室6に導入される。
【0059】
その後、ピストン5が下降し続けて、第1,第2吸気弁20a,20bを通って燃焼室6およびシリンダ孔Ca、すなわち前記燃焼空間に流入する吸気量が増加する。そして、この吸気行程時、暖機運転時と同様に、第1,第2排気弁30a,30bは、排気還流の終了時期(クランク角K3)の直前まで、排気口11bにおける中心側11b1で前記EGR開度に保持され、その間、排気ポート11からEGRガスが前記燃焼空間に流入し続ける。その後、ピストン5がさらに下降して、図6のクランク角K4で、図14に示されるように、第1,第2排気弁30a,30bは全閉状態になり、排気ポート11が閉塞されて排気還流が終了する。
【0060】
このとき、燃焼室6におけるEGRガスの導入位置は、回転軸線方向A2から見て、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内においてシリンダ軸線L3寄り、すなわち周壁Cbに比べてシリンダ軸線L3により近い位置である。そのため、図13,図14に示されるように、燃焼室6およびシリンダ孔Caにおいてシリンダ軸線L3に近接した位置で導入されたEGRガスの主流は、シリンダ軸線L3付近を、回転軸線方向A2で見てシリンダ軸線L3に向かう方向の速度成分を有して流入する。これにより、導入されたEGRガスは、前記燃焼空間に、回転軸線方向A2で見てEGRガスと対向する方向の速度成分を持って流入した吸気と広範囲に渡って衝突し、燃料の霧化および気化が促進される。
【0061】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eが暖機運転状態であるとき、電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける周壁側11b2で開き、EGRガスがシリンダ孔Caの周壁寄りの位置で、燃焼室6に導入されることにより、EGRガスがシリンダ孔Ca内で周壁Cbの壁面付近に導入されて、暖機運転中のために十分に気化されていない前記燃焼空間内の燃料の周壁Cbの壁面への付着が抑制され、さらに高温のEGRガスにより燃料の気化が促進されて、HCの排出が抑制されるので、暖機運転中の排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0062】
そして、第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける周壁側11b2で燃焼室6に導入されたEGRガスの主流は、シリンダ孔Ca内で第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに沿ってピストン5に向かって流れ、さらにその頂面5aに沿って流れ、第1,第2吸気弁20a,20b側の周壁Cbに向かって流れた後、周壁Cbにより偏向されて、燃焼室6さらには点火栓15に向かって流れることにより、燃料液滴の周壁Cbの壁面への付着が抑制され、また気化が促進されるうえ、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内の吸気が点火栓15付近に集まるので、着火され易くなって、この点でも燃焼性が改善される。
【0063】
さらに、第1,第2吸気弁20a,20bが吸気口10bにおける中心側10b1から開き始めることにより、吸気がシリンダ軸線L3寄りの位置で燃焼室6に導入されるので、第1,第2吸気弁20a,20bから流入する吸気中の燃料が周壁Cbの壁面に付着することが、一層抑制される。
【0064】
また、暖機運転状態のときには、第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける中心側11b1から閉じ始めて、バルブオーバラップ期間Pには周壁側11b2で開弁していることにより、吸気口10bからの距離が、各排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側11b1で開弁しているときに比べて長くなるので、吸気の吹き抜けが抑制されて、排気ポート11から燃焼室6への排気ガスの流入が阻害されることが少なくなって、吸気量に対するEGRガス量の割合であるEGR率を大きくすることができる。
【0065】
暖機後の運転状態であるとき、電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける中心側11b1で開き、EGRガスがシリンダ孔Caのシリンダ軸線L3寄りの位置で、燃焼室6に導入されることにより、EGRガスは前記燃焼空間内の中央部付近に導入されて、高温のEGRガスとの衝突することによる燃料の霧化および気化が、広範囲に渡って促進され、HCの排出が抑制されるので、暖機後の運転状態での排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0066】
このように、制御装置60により制御された電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bの回転方向を制御すると共に第1,第2排気弁30a,30bを部分開度である前記EGR開度で開き、第1,第2排気弁30a,30bおよび排気口11bを通って導入されるEGRガスの燃焼室6における導入位置が、内燃機関Eの運転状態である暖機状態に応じて変更されることにより、ボール弁からなる第1,第2排気弁30a,30bが回転弁であることを利用して、回転方向が制御される第1,第2排気弁30a,30bを全開時の開度に比べて小開度である前記EGR開度で開くという簡単な構成で、運転状態に応じて変化する前記燃焼空間での燃料の挙動に対応して、排気エミッションおよび燃焼性を改善するうえでより好ましい位置から、EGRガスを燃焼室6に導入して、燃料の気化などを効果的に行うことができるので、EGRガスの導入による窒素酸化物の低減および燃費の改善が可能となるうえに、排気エミッションおよび燃焼性を改善することが可能になる。
【0067】
このとき、燃焼室6に導入されるEGRガスの主流は、暖機運転時には、回転軸線方向A2で見て排気弁30a,30b側の周壁Cbに向かう方向の速度成分を有して第1,第2排気弁30a,30bから流入し、暖機後の運転時には、回転軸線方向A2で見てシリンダ軸線L3に向かう方向の速度成分を有して第1,第2排気弁30a,30bから流入することにより、内燃機関Eの運転状態である暖機状態に応じてEGRガスの導入方向も変更されて、前記燃焼空間内の燃料の霧化や気化が促進され、排気エミッションおよび燃焼性が改善される。
【0068】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bは、前記実施例では、ボール弁から構成されたが、弁通路が形成された円柱状の弁から構成される回転弁であってもよい。また、吸気弁は、回転弁ではなく、ポペット弁から構成されてもよい。
【0069】
内燃機関Eは、1つのシリンダに対して、1つの吸気弁および1つの排気弁を有するものであってもよく、また1つの吸気弁(または排気弁)および2つの排気弁(または吸気弁)を有するものであってもよい。
【0070】
前記EGR開度および前記EGR終了時期は、前記実施例では、暖機運転状態および暖機後の運転状態で同様であったが、それら両運転状態で、異なるように設定されてもよい。また、前記EGR導入期間は、吸気行程または第1,第2吸気弁20a,20bの開弁時において、バルブオーバラップ期間Pを含まない時期であってもよい。
【0071】
シリンダヘッド2に燃焼室6が形成され、シリンダヘッド2がシリンダ軸線方向A3に二分される第1シリンダヘッド部および第2シリンダヘッド部から構成されて、前記機関弁支持部が第1,第2シリンダヘッド部から構成され、第1,第2シリンダヘッド部に渡って吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bが配置されてもよい。
【0072】
第1吸気弁20aおよび第1排気弁30aは、電動モータ46に伝達機構47を介して連結されたが、伝達機構が設けられることなく、電動モータ46の回転軸と第1吸気弁20aおよび第1排気弁30aの連結軸とが直結されてもよい。また、回転駆動手段は、1つの吸気弁毎および1つの排気弁毎に設けられてもよい。さらに、回転駆動手段は、前記実施例では、電動モータ46であったが、油圧などの液圧駆動される液圧式モータであってもよく、さらに電気モータ以外の電磁気的アクチュエータであってもよい。
【0073】
内燃機関は、V型4気筒内燃機関以外の多気筒内燃機関であってもよく、また単気筒内燃機関であってもよい。内燃機関は、前記実施例では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である弁装置が適用されるV型内燃機関の概略の左側面図である。
【図2】図1の前後のバンクをシリンダ軸線方向で上方から見た概略の平面図および電動モータの駆動制御系の説明図である。
【図3】図1の第1実施例における吸気弁および弁座の斜視図である。
【図4】弁装置の駆動機構については、図5の概ねIVa−IVa線での断面図であり、吸気弁については、図5の概ねIVb−IVb線での断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図1の内燃機関のクランク軸のクランク角度と吸気弁および排気弁の開口面積との関係を説明するためのグラフである。
【図7】図2のVII−VII線での吸気弁および排気弁を中心とした概略の断面図であり、図1の内燃機関が暖機運転状態にあるときの図6のクランク角K1での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図8】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K2での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図9】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K3での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図10】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K4での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図11】図7と同様の断面図であり、図1の内燃機関が暖機後の運転状態にあるときの図6のクランク角K1での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図12】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K2での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図13】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K3での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図14】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K4での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、2…シリンダヘッド、3…ロアブロック、4…オイルパン、5…ピストン、6…燃焼室、7…コンロッド、8…クランク軸、10…吸気ポート、10b…吸気口、中心側…10b1、周壁側…10b2、11…排気ポート、11b…排気口、中心側…11b1、周壁側…11b2、12…吸気管、13…排気管、14…燃料噴射弁、15…点火栓、16…シリンダヘッドカバー、17…収納室、
20a,20b…吸気弁、21…吸気弁通路、22…連結軸、23…壁部、
30a,30b…排気弁、31…排気弁通路、32…連結軸、33…壁部、
40,41…弁座、42…軸継手、43…連結部、44…連結リング、45…連結片、46…電動モータ、47…伝達機構、48…駆動アーム、49…駆動軸、50…支持軸、51…球面軸受、
60…制御装置、61…電流制御部、62〜69…センサ、
E…内燃機関、C…シリンダ、Ca…シリンダ孔、Cb…周壁、BF,BR…バンク、A1〜A3…方向、L1,L2…回転軸線、L3…シリンダ軸線、DI,DE…駆動機構、R1…開弁方向、R2…閉弁方向、P…バルブオーバラップ期間、K1〜K4…クランク角。
【発明の属する技術分野】
本発明は、EGRガスが導入される燃焼空間を有する内燃機関において、排気弁が回転弁からなる弁装置に関し、詳細には、排気弁を通して燃焼空間にEGRガスを導入する弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気ガス中の窒素酸化物を低減して排気エミッションの改善を図るため、またポンピングロスを低減して燃費の改善を図るために、排気ガスをEGRガス(還流排気ガス)として燃焼室に導入する排気還流(EGR)装置を備えた内燃機関は周知である。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された内燃機関では、回転バルブ体からなる吸気バルブ体および排気バルブ体を備える弁装置を利用して燃焼室にEGRガスが導入される。この弁装置において、それぞれの一端部に設けられたタイミングプーリにタイミングベルトを介して伝達されるクランクシャフトの動力により回転駆動される円柱状の吸気バルブ体または排気バルブ体には、回転位置に応じて吸気ポートに連通する第1,第2吸気通路または回転位置に応じて排気ポートに連通する第1,第2排気通路が形成される。そして、排気バルブ体に第1,第2排気通路が形成される場合、第1,第2排気通路は、排気バルブ体の軸線に直交する同一平面内であって、第2排気通路は排気バルブ体の回転方向において第1排気通路の後方に、しかも第1,第2排気通路は、排気ポートに対して同時には連通しない位置に形成される。
【0004】
そして、吸気行程の途中で、第2排気通路は排気ポートおよび燃焼室に連通して、前の排気行程で排気ポートに排出された排気ガスがEGRガスとして第2排気通路を通って燃焼室に還流され、この高温のEGRガスによって燃焼室内に吸入された混合ガスの燃料の霧化が促進される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−297617号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、排気バルブ体は、内燃機関の運転状態とは無関係に、常時同じ回転方向に回転しており、しかもEGRガスを燃焼室に導入するための第2排気通路は、閉弁状態から次第に開度が増加して全開状態になり、その後次第に開度が減少して閉弁状態になるだけであるため、燃焼室におけるEGRガスの導入位置は運転状態に拘わらず同一であり、導入されるEGRガスによる排気エミッションおよび燃焼性の点で改善の余地があった。
【0007】
例えば、燃料の気化状態が不十分な暖機運転状態などのときは、吸入された吸気中の燃料液滴が、燃焼室への流入時の慣性によりシリンダ孔の周壁面に付着する傾向があるため、該周壁面への付着を抑制することが排気エミッションおよび燃焼性の点から好ましく、また暖機後の運転状態などのときは、EGRガスと吸気との混合を促進して、吸気中の燃料の気化を促進することが、排気エミッションおよび燃焼性の点から好ましい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1から請求項3記載の発明は、EGRガスが燃焼空間に導入される内燃機関において、排気エミッションと燃焼性との改善を図ること目的とする。そして、請求項2および請求項3記載の発明は、それぞれ、暖機運転状態および暖機後の運転状態において排気エミッションと燃焼性との改善を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、燃焼空間に吸気口にて開口する吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼空間に排気口にて開口する排気ポートを開閉する回転弁からなる排気弁と、前記吸気弁および前記排気弁を駆動する動弁手段とを備える内燃機関の弁装置において、前記動弁手段は、前記排気弁を回転駆動する回転駆動手段と、該回転駆動手段の動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御する制御手段とを備え、該制御手段により制御された前記回転駆動手段が前記排気弁の回転方向を制御することにより、前記排気弁および前記排気口を通って導入されるEGRガスの前記燃焼空間における導入位置が前記運転状態に応じて変更される内燃機関の弁装置である。
【0010】
これにより、排気弁を異なる回転方向から開弁させることで、運転状態に応じて変化する燃焼空間での燃料の挙動に対応して、排気エミッションおよび燃焼性を改善するうえでより好ましい位置から、EGRガスを燃焼空間に導入して、燃料の気化などを効果的に行うことができる。
【0011】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、制御手段により制御された回転駆動手段が排気弁の回転方向を制御して、排気弁および排気口を通って導入されるEGRガスの燃焼空間における導入位置が運転状態に応じて変更されることにより、排気弁が回転弁であることを利用して、回転方向が制御されるという簡単な構成で、EGRガスの導入による窒素酸化物の低減および燃費の改善が可能となるうえに、燃焼空間でのEGRガスの導入位置が運転状態に応じて変更されて、排気エミッションおよび燃焼性を改善することが可能になる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の弁装置において、前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における周壁側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔の周壁寄りの位置で前記燃焼空間に導入されるものである。
【0013】
これにより、EGRガスがシリンダ孔内で周壁面付近に導入されるので、暖機運転中のために十分に気化されていない燃焼空間内の燃料がシリンダ孔の周壁面に付着することが抑制されるうえ、高温のEGRガスにより燃料の気化が促進されて、HC(炭化水素)の排出が抑制される。
【0014】
この結果、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、運転状態が暖機運転状態であるとき、回転駆動手段が排気弁を排気口における周壁側で開き、EGRガスがシリンダ孔の周壁寄りの位置で、燃焼室とシリンダ孔とからなる燃焼空間に導入されることにより、燃焼空間内の燃料の周壁面への付着が抑制され、さらに燃料の気化が促進されるので、暖機運転中の排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関の弁装置において、前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機後の運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における中心側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔のシリンダ軸線寄りの位置で前記燃焼空間に導入されるものである。
【0016】
これにより、EGRガスは燃焼空間内の中央部付近に導入されるので、高温のEGRガスとの衝突することによる燃料の霧化および気化が、広範囲に渡って促進され、HC(炭化水素)の排出が抑制される。
【0017】
この結果、請求項3記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、運転状態が暖機後の運転状態であるとき、回転駆動手段が排気弁を排気口における中心側で開き、EGRガスがシリンダ孔のシリンダ軸線寄りの位置で、燃焼室とシリンダ孔とからなる燃焼空間に導入されることにより、導入されたEGRガスによる燃料の霧化および気化が広範囲に渡って促進されるので、暖機後の運転状態での排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0018】
なお、この明細書において、中心側とは、排気弁の回転軸線方向で見て、シリンダ軸線に近い側を意味し、周壁側とは、該回転軸線方向で見てシリンダ軸線から中心側よりも遠い側を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1から図14を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明の弁装置が適用される内燃機関Eは、車両の前部に、クランク軸8の回転軸線が左右方向を指向するように搭載される横置きV型4気筒の水冷式4ストローク内燃機関である。内燃機関Eは、4つのシリンダCが2つずつクランク軸8の回転軸線方向A1(以下、軸方向A1という。)に配列されて構成される前後のシリンダ列がV字をなすシリンダブロック1と、各シリンダ列の上端に結合されたシリンダヘッド2と、シリンダブロック1の下端に結合されて、シリンダブロック1の下部と共にクランク軸8を収容するクランク室を形成するロアブロック3と、ロアブロック3の下端に結合されたオイルパン4とを備える。
なお、この実施例において、前後左右は、車両を基準としたものであり、車両の前後左右と一致する。
【0020】
そして、前後のシリンダ列および前後のシリンダヘッド2により、Vバンクを構成する前後のバンクBF,BRが構成される。この実施例において、前後のバンクBF,BRの構造は基本的に同一であるので、以下では、主として、前バンクBFの構造について説明し、後バンクBRで対応する部分には、同一の符号を使用する。
【0021】
各シリンダCにはピストン5が往復動自在に嵌合されるシリンダ孔Caが形成され、シリンダブロック1の上部、すなわち上死点でのピストン5の頂面5aよりもシリンダヘッド2寄りに位置する部分であるヘッド部Chには、シリンダC毎にシリンダ孔Caに連なる燃焼室6が形成される。そして、燃焼室6およびシリンダ孔Ca内での混合気の燃焼により発生する燃焼圧力により駆動されてシリンダ孔Ca内を往復動するピストン5が、コンロッド7を介してクランク軸8を回転駆動する。
【0022】
シリンダC毎に、燃焼室6に開口する1対の吸気口10bをそれぞれ有する1対の分岐ポート10a(図2参照)を備える吸気ポート10、および燃焼室6に開口する1対の排気口11bをそれぞれ有する1対の分岐ポート11a(図2参照)を備える排気ポート11が、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に渡って形成される。そして、シリンダヘッド2には、前記Vバンクの内側に各吸気ポート10の入口に空気を導く通路を形成する吸気管12を備える吸気装置が取り付けられ、前記Vバンクの外側に各排気ポート11の出口からの排気ガスを導く通路を導く排気管13を備える排気装置が取り付けられる。
【0023】
また、吸気管12には、両分岐ポート10aを通り燃焼室6を指向して液体燃料を供給する燃料供給装置としての燃料噴射弁14が取り付けられる。さらに、シリンダヘッド2に設けられた挿入孔に挿入された点火栓15が、シリンダ軸線L3と交差する位置で、燃焼室6のほぼ中心に臨むようにヘッド部Chに取り付けられる。
【0024】
図2,図3,図8を参照すると、各シリンダCにおいて、吸気ポート10の1対の分岐ポート10aには、弁通路としての吸気弁通路21が形成された回転弁としてのボール弁からなる1対の機関弁である第1,第2吸気弁20a,20bが、そして、排気ポート11の1対の分岐ポート11aには、弁通路としての排気弁通路31が形成された回転弁としてのボール弁からなる1対の機関弁である第1,第2排気弁30a,30bが、それぞれ設けられる。各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bは、それぞれ吸気口10bおよび排気口11bの近傍で各分岐ポート10a,11aの燃焼室6寄りの端部に、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に跨って形成された収容室10c,11cに収容される。
【0025】
ヘッド部Chには、各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bにそれぞれ気密に接触すると共に吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bのそれぞれの回転軸線L1,L2に対して燃焼室6側(以下、燃焼室側という。)の第1弁座40を構成する円環状のシール部材が各収容室10c,11cの燃焼室側の端部で装着される。また、シリンダヘッド2には、各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bと気密に接触すると共に各吸気弁20a,20bおよび各排気弁30a,30bのそれぞれの回転軸線L1,L2に対して燃焼室6とは反対側(以下、反燃焼室側という。)の第2弁座41を構成する円環状のシール部材が、各収容室10c,11cの反燃焼室側の端部で装着される。
【0026】
図4を併せて参照すると、吸気弁通路21および排気弁通路31は、第1,第2弁座40,41により形成される通路面積にほぼ等しい通路面積を有する円柱状の貫通孔から形成され、分岐ポート10aおよび分岐ポート11aの通路面積に対応して、吸気弁通路21の通路面積は排気弁通路31の通路面積よりも大きくされる。同様にして、各吸気弁20a,20bを構成するボール弁の球形部分の径は、排気弁30a,30bを構成するボール弁の球形部分の径より大きい。
【0027】
第1吸気弁20aには、後述する制御装置60により制御される吸気側駆動機構DIに連結されると共に回転軸線L1と同軸の連結軸22が設けられ、第2吸気弁20bは、軸継手42を介して第1吸気弁20aと一体に回転するように連結される。同様に、第1排気弁30aには、制御装置60により制御される排気側駆動機構DEに連結されると共に回転軸線L2と同軸の連結軸32が設けられ、第2排気弁30bは、軸継手42を介して第1排気弁30a,30bと一体に回転するように連結される。
【0028】
軸継手42の構造は、第1,第2排気弁30a,30bについても第1,第2吸気弁20a,20bと同様である。そこで、図3,図4を参照して第1,第2吸気弁20a,20bについて説明すると、各軸継手42は、第1,第2吸気弁20a,20b(第1,第2排気弁30a,30bについても同様である。)の、回転軸線L1,L2の方向A2(以下、回転軸線方向A2という。)で対向する部分に形成された1対の係合溝43aを有する連結部43と、十字形の係合孔44aを有する円環状の連結リング44と、各連結部43と連結リング44とを結合する1対の連結片45とを備える。
【0029】
そして、各連結片45が、係合溝43aおよび係合孔44aに係合することにより、第1吸気弁20aおよび第2吸気弁20bが同期して回転するように連結される。同様に、軸継手42により第1排気弁30aおよび第2排気弁30bが同期して回転するように連結される。
【0030】
それゆえ、前記弁装置は、シリンダC毎の第1,第2吸気弁20a,20bと第1,第2排気弁30a,30bと動弁手段とを備え、該動弁手段は、吸気側駆動機構DI、排気側駆動機構DEおよび後述する駆動制御系を備える。
【0031】
次に、図2,図4,図5を参照して、吸気側駆動機構DIおよび排気側駆動機構DEについて説明する。両駆動機構DI,DEは、基本的に同じ構造を有するので、以下の説明では、主に吸気側駆動機構DIを説明するが、吸気側駆動機構DIとの対応関係を明確にするために、必要に応じて排気側駆動機構DEに関連する事項を括弧内に記すこととし、また排気側駆動機構DEにおいて吸気側駆動機構DIの構成要素に対応する構成要素には同一の符号を使用することとする。
【0032】
図2を参照すると、吸気側駆動機構DIおよび排気側駆動機構DEは、シリンダC毎に、そして各シリンダCの第1,第2吸気弁20a,20b毎および第1,第2排気弁30a,30b毎に別個に設けられる。各吸気側駆動機構DI(各排気側駆動機構DE)は、第1吸気弁20a(第1排気弁30a)と軸継手42を介して第2吸気弁20b(第2排気弁30b)とを回転駆動する回転駆動手段としての電動モータ46と、電動モータ46の回転駆動力を第1吸気弁20a(第1排気弁30a)に伝達する伝達機構47とを備える。軸方向A1でのシリンダヘッド2の両側壁にそれぞれ取り付けられた電動モータ46は、制御装置60により制御されて、正回転方向および逆回転方向に回転することができる回転軸46aを有する。
【0033】
併せて図4,図5を参照すると、軸方向A1でのヘッド部Chおよびシリンダヘッド2の両端部に形成されて、シリンダヘッド2に結合されるシリンダヘッドカバー16(図1参照)で覆われる収納室17(図4参照)に収納される伝達機構47は、第1,第2吸気弁20a,20b(第1,第2排気弁30a,30b)を所定の角度範囲において開弁方向および閉弁方向に回転駆動する回転軸46aと一体に回転するように結合されて前記角度範囲に対応する範囲で回転運動をする駆動アーム48と、連結軸22,32に一体に回転するように結合されると共に駆動アーム48により前記角度範囲で回転駆動される駆動軸49とを備える。駆動アーム48は、回転軸46aに結合される中心部48aと、中心部48aから径方向外方に延びて円弧状の外周部に形成されたギヤ部48bとを有する。駆動軸49(図3も参照)は、連結軸22,32が圧入により一体に結合される管状の軸部49aと、軸部49aの外周に全周に渡って形成されたギヤ部49bとを有する。
【0034】
図5に示されるように、電動モータ46は、各吸気弁20a,20bの回転軸線L1の方向および各排気弁30a,30bの回転軸線L2の方向である回転軸線方向A2から見て、回転軸46aと駆動軸49とがシリンダ軸線L3(図1,図4参照)と直交する方向でオフセットするように配置される。これにより、シリンダ軸線方向A3でシリンダヘッド2が高くなることが抑制されて、内燃機関Eの大型化が抑制される。
【0035】
駆動軸49は、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に挟持されて固定される支持軸50に軸受としての球面軸受51を介して球面支持される。球面軸受51は、支持軸50の円柱状の突出部50aの外周に摺動自在に嵌合される凸状の球面を有する内輪51aと、駆動軸49のギヤ部49b側の端部の内側に圧入されて、内輪51aの球面に面接触する凹状の球面を有する外輪51bとから構成される。
【0036】
それゆえ、各シリンダCで、第1,第2吸気弁20a,20bは、第1吸気弁20aが連結軸22と結合された駆動軸49を介してヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に球面軸受51を介して支持され、さらに両吸気弁20a,20bが第1,第2弁座40,41に支持されることで、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に回転自在に支持される。同様に、各シリンダCで、第1,第2排気弁30a,30bは、第1排気弁30aが連結軸32と結合された駆動軸49を介してヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に球面軸受51を介して支持され、さらに両排気弁30a,30bが第1,第2弁座40,41に支持されることで、ヘッド部Chおよびシリンダヘッド2に回転自在に支持される。
【0037】
ここで、収容室10c,11cが形成され、さらに第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bを回転自在に支持するヘッド部Chおよびシリンダヘッド2は、内燃機関Eの機関弁支持部を構成し、この機関弁支持部は、シリンダ孔Caよりもシリンダヘッド2側に位置する。
【0038】
図2,図4,図9を参照すると、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bは、それぞれ、その閉弁時に、電動モータ46の回転駆動による回転方向に応じて、燃焼室側で第1弁座40の全周に接触すると共に、反燃焼室側で第2弁座41の全周に接触して、対応する分岐ポート10a,11aを閉塞する1対の壁部23および1対の壁部33を有する。各吸気弁の1対の壁部23および各排気弁の1対の壁部33は、それぞれ、回転軸線L1,L2に直交する方向で吸気弁通路21および排気弁通路31を挟むようにして互いに対向する位置にある。
【0039】
次に、電動モータ46の駆動制御系は、制御装置60と電流制御部61と各種運転状態検出センサとを備える。図2を参照すると、各電動モータ46は、内燃機関Eの運転状態に応じて、クランク軸8の回転角に対応して所定の開閉時期で吸気ポート10および排気ポート11を開閉すると共に排気還流を行うために、制御手段としての電子的制御装置60(ECU)でその動作が制御されることにより、回転軸46aを正回転方向または逆回転方向に回転させて、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bを開弁方向または閉弁方向に前記角度範囲で回転駆動する。
【0040】
そのため、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bに関して、回転方向としての開弁方向および閉弁方向と、回転速度と、開弁開始時期および開弁終了時期(すなわち全閉時期)とを制御する制御装置60には、内燃機関Eの運転状態を検出するための各種の運転状態検出センサからの検知信号が入力される。制御装置60では、これら検知信号に基づいて、内燃機関Eの運転状態を判別すると共に、運転状態に対応した第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの前述の回転方向や回転速度や開閉時期などに対応する電動モータ46の回転方向、回転速度および回転開始時期・停止時期などが演算されて、電動モータ46の駆動信号が決定され、該駆動信号が各電動モータ46に供給される駆動電流を制御する電流制御部61に出力され、該駆動信号に対応して電流制御部61から出力される電流に応じて各電動モータ46の回転が制御される。
【0041】
各種の運転状態検出センサは、ここでは、内燃機関Eの吸入空気量を検出する吸入空気量センサ62と、燃料噴射弁14から供給される燃料量を検出する燃料量センサ63と、各シリンダCでのノッキングの発生を検出するノックセンサ64、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ65と、内燃機関Eの暖機状態を検出するために機関温度を検出する機関温度センサ66、例えば冷却水の温度を検出する冷却水温センサと、クランク軸8の回転速度を検出する回転速度センサ67と、クランク軸8の回転角を検出する回転角度位置センサ68と、内燃機関Eの始動時を検出する始動センサ69、例えばスタータスイッチとから構成される。
【0042】
そして、内燃機関Eにおいては、吸気行程に開弁する第1,第2吸気弁20a,20bを通って、吸気ポート10から燃焼室6とピストン5の頂面5aよりもシリンダヘッド2側のシリンダ孔Caの部分とからなる燃焼空間内に、空気と燃料とが混合した吸気が流入し、圧縮行程で圧縮された吸気が点火栓15により点火されて燃焼し、膨張行程で前記燃焼空間内での燃焼圧により駆動されるピストン5がクランク軸8を回転駆動する。燃焼ガスは、排気行程で開弁する第1,第2排気弁30a,30bを通って、燃焼室6から排気ポート11に流出し、さらに前記排気装置を通って内燃機関Eから排出される。
【0043】
そして、制御装置60は、前記運転状態検出センサからの検知信号に基づいて、内燃機関Eの負荷状態、回転速度および暖機状態などの運転状態を判別し、特定の運転状態において排気還流(EGR)を行い、さらにEGRガス量およびEGRガスの導入時期および導入期間を運転状態に応じて設定する。
【0044】
以下、図6〜図14を参照して、排気還流を行うときの内燃機関の暖機状態に応じた第1,第2吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bの動作を説明する。
図9を参照すると、排気還流を行う運転領域であって、内燃機関Eが冷間始動時を含む暖機運転状態であるとき、各シリンダCにおいて、第1,第2吸気弁20a,20bは、開弁方向R1に回転駆動されて、吸気口10bにおける中心側10b1から開き始め、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転駆動されて、吸気口10bにおける周壁側10b2から閉じ始める。
【0045】
一方、第1,第2排気弁30a,30bは、それぞれ、開弁方向R1に回転駆動されて、排気口11bにおける周壁側11b2から開き始めて、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転駆動されて、排気口11bにおける中心側11b1から閉じ始める。
【0046】
図6を参照すると、排気還流は、排気行程の上死点付近で第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bがいずれも開弁しているバルブオーバラップ期間P(図6には、バルブオーバラップ期間Pにおいて、排気還流が行われないときの第1,第2排気弁30a,30bの開口面積の変化が二点鎖線で示されている。)の一部を含むEGR導入期間に行われる。
【0047】
図6,図7を参照すると、排気行程の終期における図6のクランク角K1では、第1,第2吸気弁20a,20bの開弁直前に、閉弁方向R2に回転しつつある第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける周壁側11b2で部分開度で開いており、排気ガス(説明の便宜上、概略の流れが矢印G2で示されている。)が周壁側11b2から第1,第2排気弁30a,30b通路を通って排気ポート11に流出する。
【0048】
その後、ピストン5が上死点にさらに近づいた図6のクランク角K2では、図8に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁し始める。このとき、第1,第2吸気弁20a,20bの開度が僅かであること、および燃焼室6内の圧力と吸気ポート10内の圧力との関係から、燃焼室6への吸気の流入は殆どない。そして、排気ガスは、さらに小開度になった第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11に流出し続ける。
【0049】
さらに、ピストン5が上死点を過ぎて吸気行程に移行した図6のクランク角K3では、図9に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁方向R1にさらに回転して、吸気口10bにおける中心側10b1から次第に大きく開弁し、ピストン5の下降により圧力が低下した燃焼室6に吸気ポート10から吸気(説明の便宜上、概略の流れが矢印G1で示されている。)が流入し始める。このとき、排気口11bにおける周壁側11b2で、全開時の開度に比べて小さい部分開度である所定のEGR開度で開いている第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11から逆流した排気ガスが、周壁側11b2からEGRガス(還流排気ガス)として燃焼室6に導入される。
【0050】
その後、ピストン5が下降し続けて、燃焼室6の圧力が低下すると、第1,第2吸気弁20a,20bを通って燃焼室6およびシリンダ孔Caに流入する吸気量が増加する。そして、この吸気行程時、排気還流の終了時期(クランク角K4)の直前まで、第1,第2排気弁30a,30bは、制御装置60により制御される電動モータ46により、排気口11bにおける周壁側11b2で前記EGR開度に保持され、その間、排気ポート11からEGRガスが前記燃焼空間、すなわち燃焼室6およびシリンダ孔Caに流入し続ける。その後、ピストン5がさらに下降して、図6のクランク角K4で、図10に示されるように、第1,第2排気弁30a,30bは全閉状態になり、排気ポート11が閉塞されて排気還流が終了する。
【0051】
このように、前記EGR導入期間中には、バルブオーバラップ期間Pの終了時期よりも遅い時期まで、排気ポート11から第1,第2排気弁30a,30bを通じて多量のEGRガスが燃焼室6を含む前記燃焼空間に導入される。そして、燃焼室6におけるEGRガスの導入位置は、回転軸線方向A2(図2参照)から見て、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内において周壁Cb寄り、すなわちシリンダ軸線L3に比べて周壁Cbにより近い位置である。そのため、図9,図10に示されるように、燃焼室6およびシリンダ孔Caにおいて周壁Cbに近接した位置で導入されたEGRガスの主流は、排気弁通路31から、回転軸線方向A2で見て第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに向かう方向の速度成分を有して流入し、シリンダ孔Ca内で第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに沿ってピストン5に向かって流れ、さらにその頂面5aに沿って流れ、第1,第2吸気弁20a,20b側の周壁Cbに向かって流れた後、周壁Cbにより偏向されて、燃焼室6さらには点火栓15に向かって流れる。
【0052】
これにより、暖機運転状態にあるため、十分に気化されない状態で前記燃焼空間中にある燃料液滴が周壁Cbの壁面に付着することが抑制または防止され、また高温のEGRガスにより気化が促進される。そのうえ、周壁Cbおよびピストン5の頂面5aに沿って流れるEGRガスにより、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内の混合気が、シリンダ軸線L3付近に集まり、さらにはシリンダ軸線L3と交差する位置に設けられた点火栓15付近に集まる。
【0053】
また、第1,第2排気弁30a,30bは、バルブオーバラップ期間Pには、排気口11bにおける周壁側11b2で開弁しているため、吸気口10bからの距離が、各排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側10b1で開弁しているときに比べて長くなるので、吸気の吹き抜けが抑制されて、排気ポート11から燃焼室6への排気ガスの流入が阻害されることが少なくなる。
【0054】
暖機が完了して、内燃機関Eが暖機後の運転状態での第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの動作を、図6,図11〜図14を参照して説明する。先ず、第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bの開弁方向および閉弁方向について説明する。図13を参照すると、各シリンダCにおいて、第1,第2吸気弁20a,20bは、暖機時と同様に、開弁方向R1に回転して吸気口10bにおける中心側10b1から開き始め、閉弁方向R2に回転して吸気口10bにおける周壁側10b2から閉じ始める。一方、第1,第2排気弁30a,30bは、暖機時とは逆に、開弁方向R1に回転して、排気口11bにおける中心側11b1から開き始めて、開弁方向R1とは逆方向の閉弁方向R2に回転して、排気口11bにおける周壁側11b2から閉じ始める。
【0055】
このとき、第1,第2排気弁30a,30bに関して、暖機運転状態での開弁方向R1および閉弁方向R2から、暖機後の運転状態での開弁方向R1および閉弁方向R2への変更は、次のようにして行われる。制御装置60が暖機運転終了と判定した直後に閉弁方向R2(図9参照)に回転する第1,第2排気弁30a,30bが、次の排気行程のときに開弁方向R1(図9参照)に回転して全開状態になり、閉弁するときに、電動モータ46により開弁方向R1(図9参照)に回転駆動されることで閉弁して、図13に示される暖機運転終了後の開弁方向R1および閉弁方向R2に変更される。
【0056】
そして、排気還流は、暖機運転時と同様にバルブオーバラップ期間Pを含む前記EGR導入期間に行われる。具体的には、排気行程の終期における図6のクランク角K1では、図11に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bの開弁直前に、閉弁方向R2に回転しつつある第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける中心側11b1で部分開度で開いており、排気ガスが中心側11b1から第1,第2排気弁30a,30b通路を通って排気ポート11に流出する。
【0057】
その後、ピストン5が上死点にさらに近づいた図6のクランク角K2では、図12に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁し始めるが、暖機運転時と同様に、燃焼室6内への吸気の流入は殆どない。そして、排気ガスは、さらに小開度になった第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11に流出し続ける。
【0058】
さらに、ピストン5が上死点を過ぎて吸気行程に移行した図6のクランク角K3では、図13に示されるように、第1,第2吸気弁20a,20bが開弁方向R1にさらに回転して、ピストン5の下降により圧力が低下した燃焼室6に吸気ポート10から吸気が流入し始める。このとき、排気口11bにおける中心側11b1で前記EGR開度で開いている第1,第2排気弁30a,30bを通って排気ポート11から逆流した排気ガスが、排気口11bにおける中心側11b1から燃焼室6に導入される。
【0059】
その後、ピストン5が下降し続けて、第1,第2吸気弁20a,20bを通って燃焼室6およびシリンダ孔Ca、すなわち前記燃焼空間に流入する吸気量が増加する。そして、この吸気行程時、暖機運転時と同様に、第1,第2排気弁30a,30bは、排気還流の終了時期(クランク角K3)の直前まで、排気口11bにおける中心側11b1で前記EGR開度に保持され、その間、排気ポート11からEGRガスが前記燃焼空間に流入し続ける。その後、ピストン5がさらに下降して、図6のクランク角K4で、図14に示されるように、第1,第2排気弁30a,30bは全閉状態になり、排気ポート11が閉塞されて排気還流が終了する。
【0060】
このとき、燃焼室6におけるEGRガスの導入位置は、回転軸線方向A2から見て、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内においてシリンダ軸線L3寄り、すなわち周壁Cbに比べてシリンダ軸線L3により近い位置である。そのため、図13,図14に示されるように、燃焼室6およびシリンダ孔Caにおいてシリンダ軸線L3に近接した位置で導入されたEGRガスの主流は、シリンダ軸線L3付近を、回転軸線方向A2で見てシリンダ軸線L3に向かう方向の速度成分を有して流入する。これにより、導入されたEGRガスは、前記燃焼空間に、回転軸線方向A2で見てEGRガスと対向する方向の速度成分を持って流入した吸気と広範囲に渡って衝突し、燃料の霧化および気化が促進される。
【0061】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eが暖機運転状態であるとき、電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける周壁側11b2で開き、EGRガスがシリンダ孔Caの周壁寄りの位置で、燃焼室6に導入されることにより、EGRガスがシリンダ孔Ca内で周壁Cbの壁面付近に導入されて、暖機運転中のために十分に気化されていない前記燃焼空間内の燃料の周壁Cbの壁面への付着が抑制され、さらに高温のEGRガスにより燃料の気化が促進されて、HCの排出が抑制されるので、暖機運転中の排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0062】
そして、第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける周壁側11b2で燃焼室6に導入されたEGRガスの主流は、シリンダ孔Ca内で第1,第2排気弁30a,30b側の周壁Cbに沿ってピストン5に向かって流れ、さらにその頂面5aに沿って流れ、第1,第2吸気弁20a,20b側の周壁Cbに向かって流れた後、周壁Cbにより偏向されて、燃焼室6さらには点火栓15に向かって流れることにより、燃料液滴の周壁Cbの壁面への付着が抑制され、また気化が促進されるうえ、燃焼室6内およびシリンダ孔Ca内の吸気が点火栓15付近に集まるので、着火され易くなって、この点でも燃焼性が改善される。
【0063】
さらに、第1,第2吸気弁20a,20bが吸気口10bにおける中心側10b1から開き始めることにより、吸気がシリンダ軸線L3寄りの位置で燃焼室6に導入されるので、第1,第2吸気弁20a,20bから流入する吸気中の燃料が周壁Cbの壁面に付着することが、一層抑制される。
【0064】
また、暖機運転状態のときには、第1,第2排気弁30a,30bは、排気口11bにおける中心側11b1から閉じ始めて、バルブオーバラップ期間Pには周壁側11b2で開弁していることにより、吸気口10bからの距離が、各排気弁30a,30bが排気口11bにおける中心側11b1で開弁しているときに比べて長くなるので、吸気の吹き抜けが抑制されて、排気ポート11から燃焼室6への排気ガスの流入が阻害されることが少なくなって、吸気量に対するEGRガス量の割合であるEGR率を大きくすることができる。
【0065】
暖機後の運転状態であるとき、電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bを排気口11bにおける中心側11b1で開き、EGRガスがシリンダ孔Caのシリンダ軸線L3寄りの位置で、燃焼室6に導入されることにより、EGRガスは前記燃焼空間内の中央部付近に導入されて、高温のEGRガスとの衝突することによる燃料の霧化および気化が、広範囲に渡って促進され、HCの排出が抑制されるので、暖機後の運転状態での排気エミッションおよび燃焼性を改善することができる。
【0066】
このように、制御装置60により制御された電動モータ46が第1,第2排気弁30a,30bの回転方向を制御すると共に第1,第2排気弁30a,30bを部分開度である前記EGR開度で開き、第1,第2排気弁30a,30bおよび排気口11bを通って導入されるEGRガスの燃焼室6における導入位置が、内燃機関Eの運転状態である暖機状態に応じて変更されることにより、ボール弁からなる第1,第2排気弁30a,30bが回転弁であることを利用して、回転方向が制御される第1,第2排気弁30a,30bを全開時の開度に比べて小開度である前記EGR開度で開くという簡単な構成で、運転状態に応じて変化する前記燃焼空間での燃料の挙動に対応して、排気エミッションおよび燃焼性を改善するうえでより好ましい位置から、EGRガスを燃焼室6に導入して、燃料の気化などを効果的に行うことができるので、EGRガスの導入による窒素酸化物の低減および燃費の改善が可能となるうえに、排気エミッションおよび燃焼性を改善することが可能になる。
【0067】
このとき、燃焼室6に導入されるEGRガスの主流は、暖機運転時には、回転軸線方向A2で見て排気弁30a,30b側の周壁Cbに向かう方向の速度成分を有して第1,第2排気弁30a,30bから流入し、暖機後の運転時には、回転軸線方向A2で見てシリンダ軸線L3に向かう方向の速度成分を有して第1,第2排気弁30a,30bから流入することにより、内燃機関Eの運転状態である暖機状態に応じてEGRガスの導入方向も変更されて、前記燃焼空間内の燃料の霧化や気化が促進され、排気エミッションおよび燃焼性が改善される。
【0068】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第1,第2吸気弁20a,20bおよび第1,第2排気弁30a,30bは、前記実施例では、ボール弁から構成されたが、弁通路が形成された円柱状の弁から構成される回転弁であってもよい。また、吸気弁は、回転弁ではなく、ポペット弁から構成されてもよい。
【0069】
内燃機関Eは、1つのシリンダに対して、1つの吸気弁および1つの排気弁を有するものであってもよく、また1つの吸気弁(または排気弁)および2つの排気弁(または吸気弁)を有するものであってもよい。
【0070】
前記EGR開度および前記EGR終了時期は、前記実施例では、暖機運転状態および暖機後の運転状態で同様であったが、それら両運転状態で、異なるように設定されてもよい。また、前記EGR導入期間は、吸気行程または第1,第2吸気弁20a,20bの開弁時において、バルブオーバラップ期間Pを含まない時期であってもよい。
【0071】
シリンダヘッド2に燃焼室6が形成され、シリンダヘッド2がシリンダ軸線方向A3に二分される第1シリンダヘッド部および第2シリンダヘッド部から構成されて、前記機関弁支持部が第1,第2シリンダヘッド部から構成され、第1,第2シリンダヘッド部に渡って吸気弁20a,20bおよび排気弁30a,30bが配置されてもよい。
【0072】
第1吸気弁20aおよび第1排気弁30aは、電動モータ46に伝達機構47を介して連結されたが、伝達機構が設けられることなく、電動モータ46の回転軸と第1吸気弁20aおよび第1排気弁30aの連結軸とが直結されてもよい。また、回転駆動手段は、1つの吸気弁毎および1つの排気弁毎に設けられてもよい。さらに、回転駆動手段は、前記実施例では、電動モータ46であったが、油圧などの液圧駆動される液圧式モータであってもよく、さらに電気モータ以外の電磁気的アクチュエータであってもよい。
【0073】
内燃機関は、V型4気筒内燃機関以外の多気筒内燃機関であってもよく、また単気筒内燃機関であってもよい。内燃機関は、前記実施例では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である弁装置が適用されるV型内燃機関の概略の左側面図である。
【図2】図1の前後のバンクをシリンダ軸線方向で上方から見た概略の平面図および電動モータの駆動制御系の説明図である。
【図3】図1の第1実施例における吸気弁および弁座の斜視図である。
【図4】弁装置の駆動機構については、図5の概ねIVa−IVa線での断面図であり、吸気弁については、図5の概ねIVb−IVb線での断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図1の内燃機関のクランク軸のクランク角度と吸気弁および排気弁の開口面積との関係を説明するためのグラフである。
【図7】図2のVII−VII線での吸気弁および排気弁を中心とした概略の断面図であり、図1の内燃機関が暖機運転状態にあるときの図6のクランク角K1での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図8】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K2での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図9】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K3での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図10】図7と同様の断面図であり、図6のクランク角K4での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図11】図7と同様の断面図であり、図1の内燃機関が暖機後の運転状態にあるときの図6のクランク角K1での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図12】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K2での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図13】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K3での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【図14】図11と同様の断面図であり、図6のクランク角K4での吸気弁および排気弁の開閉状態を示すものである。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、2…シリンダヘッド、3…ロアブロック、4…オイルパン、5…ピストン、6…燃焼室、7…コンロッド、8…クランク軸、10…吸気ポート、10b…吸気口、中心側…10b1、周壁側…10b2、11…排気ポート、11b…排気口、中心側…11b1、周壁側…11b2、12…吸気管、13…排気管、14…燃料噴射弁、15…点火栓、16…シリンダヘッドカバー、17…収納室、
20a,20b…吸気弁、21…吸気弁通路、22…連結軸、23…壁部、
30a,30b…排気弁、31…排気弁通路、32…連結軸、33…壁部、
40,41…弁座、42…軸継手、43…連結部、44…連結リング、45…連結片、46…電動モータ、47…伝達機構、48…駆動アーム、49…駆動軸、50…支持軸、51…球面軸受、
60…制御装置、61…電流制御部、62〜69…センサ、
E…内燃機関、C…シリンダ、Ca…シリンダ孔、Cb…周壁、BF,BR…バンク、A1〜A3…方向、L1,L2…回転軸線、L3…シリンダ軸線、DI,DE…駆動機構、R1…開弁方向、R2…閉弁方向、P…バルブオーバラップ期間、K1〜K4…クランク角。
Claims (3)
- 燃焼空間に吸気口にて開口する吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記燃焼空間に排気口にて開口する排気ポートを開閉する回転弁からなる排気弁と、前記吸気弁および前記排気弁を駆動する動弁手段とを備える内燃機関の弁装置において、
前記動弁手段は、前記排気弁を回転駆動する回転駆動手段と、該回転駆動手段の動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御する制御手段とを備え、該制御手段により制御された前記回転駆動手段が前記排気弁の回転方向を制御することにより、前記排気弁および前記排気口を通って導入されるEGRガスの前記燃焼空間における導入位置が前記運転状態に応じて変更されることを特徴とする内燃機関の弁装置。 - 前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における周壁側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔の周壁寄りの位置で前記燃焼空間に導入されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の弁装置。
- 前記燃焼空間は、燃焼室とピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダ孔とからなり、前記制御手段により制御される前記回転駆動手段が、前記運転状態が暖機後の運転状態であるとき、前記排気弁を前記排気口における中心側で開くことにより、EGRガスが前記シリンダ孔のシリンダ軸線寄りの位置で前記燃焼空間に導入されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の弁装置。
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JP2002273267A JP2004108287A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 内燃機関の弁装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008080927A1 (en) * | 2006-12-28 | 2008-07-10 | Perkins Engines Company Limited | Method for providing a mixture of air and exhaust |
JP2015528082A (ja) * | 2012-08-03 | 2015-09-24 | スネクマ | 球栓を有する吸気/排気弁を含む航空タービンエンジン用の定容燃焼(cvc)室 |
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2002
- 2002-09-19 JP JP2002273267A patent/JP2004108287A/ja active Pending
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US7591240B2 (en) | 2006-12-28 | 2009-09-22 | Perkins Engines Company Limited | Method for providing a mixture of air and exhaust |
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