JP2004107206A - クリ果実の燻蒸方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境に対して悪影響の少ない燻蒸剤を用いて、臭化メチル燻蒸剤と同等にクリ果実内の害虫を防除することができる燻蒸方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を加温により気化させ、燻蒸装置内を撹拌しながら燻蒸することにより、効果的にクリ果実内の害虫を防除する燻蒸方法を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を加温により気化させ、燻蒸装置内を撹拌しながら燻蒸することにより、効果的にクリ果実内の害虫を防除する燻蒸方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いたクリ果実の燻蒸方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、環境に対して負荷の少ない、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いることにより、例えば、クリシギゾウムシ、クリミガ等のクリ果実の害虫に対して、優れた防除効果を発揮する燻蒸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クリ果実の害虫を防除するためには、主として臭化メチルを有効成分とする燻蒸剤が広く用いられてきた。しかしながら、1990年代に入り、臭化メチルはオゾン層破壊の原因となる化学物質のひとつとして挙げられ、環境保護を推進する必要に迫られている現状において、その使用は徐々に制限されつつある。
【0003】
かかる状況下、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸剤の有効成分として、臭化メチルに替わる物質の開発を行い、その使用方法を緊急に確立することが求められている。
【0004】
一方、米国特許第5,518,692号公報には、土壌中の植物病原体、線虫、細菌を制御するための土壌燻蒸剤の有効成分として、ヨウ化メチルを使用することができることが記載されている(特許文献1及び2参照)。当該公報には、ヨウ化メチルは、臭化メチルと違って、大気圏で迅速に光分解するため、成層圏オゾン層破壊と密接な関係をもたないことが指摘されている(特許文献1及び2参照)。そして、当該公報には、ヨウ化メチル、又はヨウ化メチル及び少なくとも1つの付加燻蒸薬を有効成分とする土壌燻蒸剤を土壌に処理するための土壌燻蒸方法が記載されている(特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、特開2000−212006号公報には、絵画、彫刻、工芸品等の文化財を保護することを目的とする、ヨウ化メチルを含有する燻蒸剤を用いた文化財の燻蒸方法が記載されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記いずれの公報においても、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸方法については何ら記載されていない。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,518,692号公報
【特許文献2】
特表平10−513487号公報
【特許文献3】
特開2000−212006号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸剤の有効成分として、臭化メチルに替わる物質の開発を行い、当該物質を有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ヨウ化メチルを有効成分として含有する燻蒸剤を用いてクリ果実を燻蒸することにより、クリ果実の害虫を効果的に防除できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いることを特徴とするクリ果実の燻蒸方法を提供するものである。本発明にかかる燻蒸方法を使用することによって、クリ果実の害虫に対して、優れた防除効果を発揮することができる。また、本発明のクリ果実の燻蒸方法は、従来使用されてきた、オゾン層の破壊物質である臭化メチルを使用せず、従って、環境保護に寄与することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のクリ果実の燻蒸方法に使用できる燻蒸剤は、ヨウ化メチルを有効成分として含有する燻蒸剤である。この燻蒸剤におけるヨウ化メチルの濃度は、特に限定されず、使用時の薬量に応じて都合のよい濃度を選択することができる。例えば、ヨウ化メチル濃度が99.5重量%のものを用いることができる。
【0011】
また、有効成分であるヨウ化メチル以外の燻蒸剤中の成分は、有機溶剤、界面活性剤、水、安定剤、噴射剤等、この分野で通常使用されるあらゆる添加剤のなかから必要に応じて選択して、これらを適宜加えることができる。さらに、ヨウ化メチルに加えて、臭化メチル、フッ化スルフリル、メチルイソチオシアネート等の公知の燻蒸剤を混合して使用することもできる。
【0012】
本発明で用いられる燻蒸剤の有効成分としてのヨウ化メチルは、蒸圧での沸点が42℃であり、常温では液体である。従って、液体の燻蒸剤でクリ果実を燻蒸する際には、必要に応じて、当該燻蒸剤を加温して気化させることにより、本発明の燻蒸方法を行うことができる。むろん、加温しなくとも、燻蒸剤の沸点以上の気温を維持した系内に液体の燻蒸剤を放ち、気化させることができる。また、予め噴射剤等を添加して加圧下に燻蒸剤を容器に充填し、当該容器を開孔することにより燻蒸剤を噴出させ、本発明の燻蒸方法を行うこともできる。
【0013】
クリ果実は、採取したものを一定の容器に入れて、燻蒸することができる。容器の大きさ及び材質は特に限定されないが、燻蒸処理の間、燻蒸効果を保つことができる程度に燻蒸剤が外部に流出しないものであることが望ましい。また、クリ果実貯蔵庫などの室内に採取したクリ果実を入れ、当該貯蔵庫全体を燻蒸したり、採取したクリ果実を通気性のよい容器に入れ、容器全体をビニールシート等で覆い、当該シートに覆われた系内を燻蒸したりすることもできる。いずれの場合も、害虫の防除効果をより高めるために、燻蒸容器内、燻蒸室内又は燻蒸系内としての燻蒸装置内の雰囲気を撹拌しながら燻蒸処理を行うことが好ましい。燻蒸時間は、燻蒸処理を行うクリ果実の個数や燻蒸装置の規模に応じて設定することができるが、通常は、1時間〜12時間の範囲から選択される。また、燻蒸時の薬量も、燻蒸処理を行うクリ果実の個数や燻蒸装置の規模に応じて適宜決定することができるが、通常、有効成分としてのヨウ化メチルの含有量は、10mg/L〜100mg/Lの範囲から選択することができる。
【0014】
本発明のクリ果実の燻製方法は、クリ果実の品種を選ばず、広く適用することができる。また、本発明のクリ果実の燻製方法は、クリ果実内外に棲息する種々の害虫に対して有効であり、優れた防除効果を発揮することができる。クリ果実の害虫としては、種々の害虫が挙げられるが、主としてクリシギゾウムシ、クリミガが挙げられる。本発明の燻製方法により、クリ果実に棲息するクリシギゾウムシ、クリミガ等の害虫は、卵であると幼虫であるとを問わず防除することができる。
【0015】
尚、本発明の燻蒸方法に使用される、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤は、クリ果実の害虫防除の目的で用いられるものであるが、燻蒸後もクリ果実に何ら薬害を与えるものではない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0017】
実施例1.クリ果実内のクリシギゾウムシ幼虫に対する殺虫効果
以下の試験では、アリスタ ライフサイエンス株式会社が供給元である、ヨウ化メチル燻蒸剤(液剤、有効成分であるヨウ化メチルを99.5重量%含有)を使用した。当該燻蒸剤は、500g充填用のブリキ缶に、所要量を充填した製剤であった。以下の試験における燻蒸薬量及び処理時間は、有効成分の薬量25mg/Lで燻蒸処理4時間、有効成分の薬量50mg/Lで燻蒸処理2、4、8及び12時間、並びに有効成分の薬量100mg/Lで燻蒸処理4時間であった。また、比較のためのクリ果実には、燻蒸処理を行わなかった。
【0018】
クリ園から、クリ果実(品種:石鎚)を採取し、試験に供するまで約5℃の冷蔵室で保管した。採取後、6日〜9日後に、クリ果実をプラスチック製のかごに入れ、燻蒸処理用のアクリル製容器(容量約120L、縦40cm、横60cm、高さ50cm)内に設置した。同時に、アクリル製容器内には、直径9cm、深さ4cmのガラスシャーレ及び送風機を設置した。
【0019】
燻蒸処理は、専用の開缶器具で、燻蒸剤の入ったブリキ缶の2箇所に通気孔を開け、開孔した缶をアクリル製容器内に設置したガラスシャーレ上に置き、次いで、約70℃の湯30mlを当該シャーレに流し込み、ブリキ缶内の燻蒸剤を加温して揮発させることにより行った。また、燻蒸開始から約2時間半の間は、送風機で当該アクリル製容器内の雰囲気を撹拌した。燻蒸処理終了後は、容器内のガス抜きを行った。
【0020】
ガス抜き後、アクリル製容器からクリ果実を取り出し、別のプラスチック製の容器に入れて室温で放置した。その後、クリ果実から脱出したクリシギゾウムシの幼虫数をカウントした。また、幼虫の脱出終息後に各クリ果実の脱出孔数をカウントした。脱出孔のある果実を被害果とし、被害果率、被害果の平均脱出孔数、最多脱出孔数を求めた。クリ果実の薬害は、燻蒸処理直後に、果実表面の変色を肉眼観察することにより調べた。
【0021】
燻蒸処理の結果を表1に示した。表1から明らかな通り、無処理区では、被害果率が42.9〜61.1%、100処理果当たりの脱出幼虫数が226.4〜360.0頭であったのに対し、燻蒸処理区では、被害果率は0%、100処理果当たりの脱出幼虫数は0頭であった。すなわち、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤で燻蒸処理を行った全ての試験区で、クリシギゾウムシに対する高い殺虫効果が認められた。また、燻蒸処理を行った全ての試験区で、クリ果実表面の変色は確認されず、何ら薬害を示さなかった。
【0022】
表1
【0023】
【発明の効果】
以上に記載した通り、本発明のヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の燻蒸方法は、従来から使用されてきた臭化メチル燻蒸剤を用いた場合と同等又はそれ以上の優れた防除効果を発揮することができる。また、本発明の燻蒸方法は、環境に対して悪影響の少ない燻蒸剤を用いるため、環境に対する負荷の少ないクリ果実の燻蒸方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いたクリ果実の燻蒸方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、環境に対して負荷の少ない、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いることにより、例えば、クリシギゾウムシ、クリミガ等のクリ果実の害虫に対して、優れた防除効果を発揮する燻蒸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クリ果実の害虫を防除するためには、主として臭化メチルを有効成分とする燻蒸剤が広く用いられてきた。しかしながら、1990年代に入り、臭化メチルはオゾン層破壊の原因となる化学物質のひとつとして挙げられ、環境保護を推進する必要に迫られている現状において、その使用は徐々に制限されつつある。
【0003】
かかる状況下、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸剤の有効成分として、臭化メチルに替わる物質の開発を行い、その使用方法を緊急に確立することが求められている。
【0004】
一方、米国特許第5,518,692号公報には、土壌中の植物病原体、線虫、細菌を制御するための土壌燻蒸剤の有効成分として、ヨウ化メチルを使用することができることが記載されている(特許文献1及び2参照)。当該公報には、ヨウ化メチルは、臭化メチルと違って、大気圏で迅速に光分解するため、成層圏オゾン層破壊と密接な関係をもたないことが指摘されている(特許文献1及び2参照)。そして、当該公報には、ヨウ化メチル、又はヨウ化メチル及び少なくとも1つの付加燻蒸薬を有効成分とする土壌燻蒸剤を土壌に処理するための土壌燻蒸方法が記載されている(特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、特開2000−212006号公報には、絵画、彫刻、工芸品等の文化財を保護することを目的とする、ヨウ化メチルを含有する燻蒸剤を用いた文化財の燻蒸方法が記載されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記いずれの公報においても、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸方法については何ら記載されていない。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,518,692号公報
【特許文献2】
特表平10−513487号公報
【特許文献3】
特開2000−212006号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸剤の有効成分として、臭化メチルに替わる物質の開発を行い、当該物質を有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の害虫を防除するための燻蒸方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ヨウ化メチルを有効成分として含有する燻蒸剤を用いてクリ果実を燻蒸することにより、クリ果実の害虫を効果的に防除できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いることを特徴とするクリ果実の燻蒸方法を提供するものである。本発明にかかる燻蒸方法を使用することによって、クリ果実の害虫に対して、優れた防除効果を発揮することができる。また、本発明のクリ果実の燻蒸方法は、従来使用されてきた、オゾン層の破壊物質である臭化メチルを使用せず、従って、環境保護に寄与することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のクリ果実の燻蒸方法に使用できる燻蒸剤は、ヨウ化メチルを有効成分として含有する燻蒸剤である。この燻蒸剤におけるヨウ化メチルの濃度は、特に限定されず、使用時の薬量に応じて都合のよい濃度を選択することができる。例えば、ヨウ化メチル濃度が99.5重量%のものを用いることができる。
【0011】
また、有効成分であるヨウ化メチル以外の燻蒸剤中の成分は、有機溶剤、界面活性剤、水、安定剤、噴射剤等、この分野で通常使用されるあらゆる添加剤のなかから必要に応じて選択して、これらを適宜加えることができる。さらに、ヨウ化メチルに加えて、臭化メチル、フッ化スルフリル、メチルイソチオシアネート等の公知の燻蒸剤を混合して使用することもできる。
【0012】
本発明で用いられる燻蒸剤の有効成分としてのヨウ化メチルは、蒸圧での沸点が42℃であり、常温では液体である。従って、液体の燻蒸剤でクリ果実を燻蒸する際には、必要に応じて、当該燻蒸剤を加温して気化させることにより、本発明の燻蒸方法を行うことができる。むろん、加温しなくとも、燻蒸剤の沸点以上の気温を維持した系内に液体の燻蒸剤を放ち、気化させることができる。また、予め噴射剤等を添加して加圧下に燻蒸剤を容器に充填し、当該容器を開孔することにより燻蒸剤を噴出させ、本発明の燻蒸方法を行うこともできる。
【0013】
クリ果実は、採取したものを一定の容器に入れて、燻蒸することができる。容器の大きさ及び材質は特に限定されないが、燻蒸処理の間、燻蒸効果を保つことができる程度に燻蒸剤が外部に流出しないものであることが望ましい。また、クリ果実貯蔵庫などの室内に採取したクリ果実を入れ、当該貯蔵庫全体を燻蒸したり、採取したクリ果実を通気性のよい容器に入れ、容器全体をビニールシート等で覆い、当該シートに覆われた系内を燻蒸したりすることもできる。いずれの場合も、害虫の防除効果をより高めるために、燻蒸容器内、燻蒸室内又は燻蒸系内としての燻蒸装置内の雰囲気を撹拌しながら燻蒸処理を行うことが好ましい。燻蒸時間は、燻蒸処理を行うクリ果実の個数や燻蒸装置の規模に応じて設定することができるが、通常は、1時間〜12時間の範囲から選択される。また、燻蒸時の薬量も、燻蒸処理を行うクリ果実の個数や燻蒸装置の規模に応じて適宜決定することができるが、通常、有効成分としてのヨウ化メチルの含有量は、10mg/L〜100mg/Lの範囲から選択することができる。
【0014】
本発明のクリ果実の燻製方法は、クリ果実の品種を選ばず、広く適用することができる。また、本発明のクリ果実の燻製方法は、クリ果実内外に棲息する種々の害虫に対して有効であり、優れた防除効果を発揮することができる。クリ果実の害虫としては、種々の害虫が挙げられるが、主としてクリシギゾウムシ、クリミガが挙げられる。本発明の燻製方法により、クリ果実に棲息するクリシギゾウムシ、クリミガ等の害虫は、卵であると幼虫であるとを問わず防除することができる。
【0015】
尚、本発明の燻蒸方法に使用される、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤は、クリ果実の害虫防除の目的で用いられるものであるが、燻蒸後もクリ果実に何ら薬害を与えるものではない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0017】
実施例1.クリ果実内のクリシギゾウムシ幼虫に対する殺虫効果
以下の試験では、アリスタ ライフサイエンス株式会社が供給元である、ヨウ化メチル燻蒸剤(液剤、有効成分であるヨウ化メチルを99.5重量%含有)を使用した。当該燻蒸剤は、500g充填用のブリキ缶に、所要量を充填した製剤であった。以下の試験における燻蒸薬量及び処理時間は、有効成分の薬量25mg/Lで燻蒸処理4時間、有効成分の薬量50mg/Lで燻蒸処理2、4、8及び12時間、並びに有効成分の薬量100mg/Lで燻蒸処理4時間であった。また、比較のためのクリ果実には、燻蒸処理を行わなかった。
【0018】
クリ園から、クリ果実(品種:石鎚)を採取し、試験に供するまで約5℃の冷蔵室で保管した。採取後、6日〜9日後に、クリ果実をプラスチック製のかごに入れ、燻蒸処理用のアクリル製容器(容量約120L、縦40cm、横60cm、高さ50cm)内に設置した。同時に、アクリル製容器内には、直径9cm、深さ4cmのガラスシャーレ及び送風機を設置した。
【0019】
燻蒸処理は、専用の開缶器具で、燻蒸剤の入ったブリキ缶の2箇所に通気孔を開け、開孔した缶をアクリル製容器内に設置したガラスシャーレ上に置き、次いで、約70℃の湯30mlを当該シャーレに流し込み、ブリキ缶内の燻蒸剤を加温して揮発させることにより行った。また、燻蒸開始から約2時間半の間は、送風機で当該アクリル製容器内の雰囲気を撹拌した。燻蒸処理終了後は、容器内のガス抜きを行った。
【0020】
ガス抜き後、アクリル製容器からクリ果実を取り出し、別のプラスチック製の容器に入れて室温で放置した。その後、クリ果実から脱出したクリシギゾウムシの幼虫数をカウントした。また、幼虫の脱出終息後に各クリ果実の脱出孔数をカウントした。脱出孔のある果実を被害果とし、被害果率、被害果の平均脱出孔数、最多脱出孔数を求めた。クリ果実の薬害は、燻蒸処理直後に、果実表面の変色を肉眼観察することにより調べた。
【0021】
燻蒸処理の結果を表1に示した。表1から明らかな通り、無処理区では、被害果率が42.9〜61.1%、100処理果当たりの脱出幼虫数が226.4〜360.0頭であったのに対し、燻蒸処理区では、被害果率は0%、100処理果当たりの脱出幼虫数は0頭であった。すなわち、ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤で燻蒸処理を行った全ての試験区で、クリシギゾウムシに対する高い殺虫効果が認められた。また、燻蒸処理を行った全ての試験区で、クリ果実表面の変色は確認されず、何ら薬害を示さなかった。
【0022】
表1
【0023】
【発明の効果】
以上に記載した通り、本発明のヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いた、クリ果実の燻蒸方法は、従来から使用されてきた臭化メチル燻蒸剤を用いた場合と同等又はそれ以上の優れた防除効果を発揮することができる。また、本発明の燻蒸方法は、環境に対して悪影響の少ない燻蒸剤を用いるため、環境に対する負荷の少ないクリ果実の燻蒸方法を提供することができる。
Claims (5)
- ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いることを特徴とするクリ果実の燻蒸方法。
- ヨウ化メチルを有効成分とする燻蒸剤を用いて、クリ果実の害虫を防除することを特徴とするクリ果実の燻蒸方法。
- 前記クリ果実の害虫が、クリシギゾウムシである請求項2記載の方法。
- 前記燻蒸剤を加温により気化させる請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 燻蒸装置内を撹拌しながら行う請求項1から4のいずれかに記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002267685A JP2004107206A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | クリ果実の燻蒸方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002267685A JP2004107206A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | クリ果実の燻蒸方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004107206A true JP2004107206A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32266115
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002267685A Pending JP2004107206A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | クリ果実の燻蒸方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004107206A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007245391A (ja) * | 2006-03-14 | 2007-09-27 | Sanko Kagaku Kogyo Kk | 木材の燻蒸方法 |
JP2009284901A (ja) * | 2008-05-01 | 2009-12-10 | Iwami Ginzan Nogyo Kyodo Kumiai | 栗の殺虫及び保存方法 |
JP2014503203A (ja) * | 2010-12-14 | 2014-02-13 | 天津科技大学 | 栗の褐色化防止加工方法 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002267685A patent/JP2004107206A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4730150B2 (ja) * | 2006-03-14 | 2011-07-20 | 三光化学工業株式会社 | 木材の燻蒸方法 |
JP2009284901A (ja) * | 2008-05-01 | 2009-12-10 | Iwami Ginzan Nogyo Kyodo Kumiai | 栗の殺虫及び保存方法 |
JP2014503203A (ja) * | 2010-12-14 | 2014-02-13 | 天津科技大学 | 栗の褐色化防止加工方法 |
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091020 |