JP2004106230A - 多色画像形成材料及び多色画像形成方法 - Google Patents

多色画像形成材料及び多色画像形成方法 Download PDF

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吉成 伸一
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Abstract

【課題】再現可能な色相の範囲が拡張され、特に感度、画質、色相に優れた、大サイズのDDCPが可能な多色画像形成材料及びそれを用いる多色画像形成法を提供すること。
【解決手段】受像層を有する受像シートと、支持体上に少なくとも画像形成層とを有する互いに色の異なる少なくとも5色の色の異なる熱転写シートを用い、各熱転写シートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材料において、少なくとも1色の熱転写シートの画像形成層の色相が、特定の色相であって、L表色系におけるL*0、a*0、b*0を中心として色差(ΔE)≦8であることを特徴とする多色画像形成材料。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を用いて高解像度のフルカラー画像を形成する多色画像形成材料及び多色画像形成方法に関する。特に、本発明はデジタル画像信号からレーザー記録により、印刷分野におけるカラープルーフ(DDCP:ダイレクト・ディジタル・カラープルーフ)、あるいはマスク画像を作製するのに有用な多色画像形成材料及び多色画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
グラフィックアート分野では、カラー原稿からリスフィルムを用いて作製された一組の色分解フィルムを使用して印刷版の焼付けが行われるが、一般に、本印刷(実際の印刷作業)の前に色分解工程での誤りや色補正の必要性等をチェックするために、色分解フィルムからカラープルーフを作製している。カラープルーフには、中間調画像の高再現性を可能とする高解像力の実現や、高い工程安定性等の性能が望まれている。また、実際の印刷物に近似したカラープルーフを得るために、カラープルーフに使用される材料としては、実際の印刷物に使用される材料、例えば基材としては印刷本紙を、色材としては顔料を用いることが好ましい。また、カラープルーフの作製方法としては、現像液を用いない乾式の方法の要望が高い。
【0003】
乾式のカラープルーフ作製法として、最近の印刷前工程(プリプレス分野)における電子化システムの普及に伴い、デジタル信号から直接カラープルーフを作製する記録システムが開発されている。このような電子化システムは、特に高画質のカラープルーフを作製するのが目的であり、一般的には、150線/インチ以上の網点画像を再現する。デジタル信号から高画質のプルーフを記録するためには、デジタル信号により変調可能で、かつ記録光を細く絞り込むことが可能なレーザー光を記録ヘッドとして用いる。このため、レーザー光に対して高い記録感度を示し、かつ、高精細な網点を再現可能にする高解像力を示す画像形成材料の開発が必要となる。
【0004】
レーザー光を利用した転写画像形成方法に用いられる画像形成材料としては、支持体上に、レーザー光を吸収して熱を発生する光熱変換層、及び顔料が熱溶融性のワックス、バインダー等の成分中に分散された画像形成層をこの順に有する熱溶融転写シート(特許文献1)が知られている。これらの画像形成材料を用いる画像形成方法では、光熱変換層のレーザー光照射領域で発生した熱によりその領域に対応する画像形成層が溶融し、転写シート上に積層配置された受像シート上に転写され、受像シート上に転写画像が形成される。
【0005】
また、特許文献2には、支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、非常に薄層(0.03〜0.3μm)の熱剥離層、色材を含む画像形成層がこの順に設けられた熱転写シートが開示されている。この熱転写シートでは、レーザー光を照射されることによって、前記熱剥離層の介在により結合されている画像形成層と光熱変換層との間の結合力が、低減され、熱転写シート上に積層配置した受像シート上に、高精細な画像が形成される。前記熱転写シートを用いた画像形成方法は、所謂「アブレーション」を利用しており、具体的には、レーザー光の照射を受けた領域で、熱剥離層が一部分解し、気化するため、その領域での画像形成層と光熱変換層との間の接合力が弱まり、その領域の画像形成層が上に積層した受像シートに転写される現象を利用している。
【0006】
これらの画像形成方法は、受像シート材料として受像層(接着層)を付設した印刷本紙を用いることができること、色の異なる画像を次々と受像シート上に転写することによって多色画像が容易に得られること等の利点を有し、特にアブレーションを利用する画像形成方法は、高精細な画像が容易に得られるという利点を有し、カラープルーフ(DDCP:ダイレクト・ディジタル・カラープルーフ)、あるいは高精細なマスク画像を作製するのに有用である。
【0007】
DTP環境が進む中、CTP(Computer To Plate)使用先は中間のフィルム出し工程がなくなり、校正刷りやアナログ方式のプル−フからDDCP方式によるプル−フニ−ズが強くなってきているが、近年さらに高品位・高安定性で、印刷一致性に優れた大サイズのDDCPが望まれている。
レーザー熱転写方式は高解像度での印画が可能であり、従来から▲1▼レーザー昇華方式、▲2▼レーザーブレ−ション方式、▲3▼レーザー溶融方式等のシステムがあるが、いずれも記録網点形状がシャ−プでないという問題があった。▲1▼のレーザー昇華方式は色材として染料を用いているため、印刷物近似性が十分ではなく、かつ色材が昇華する方式であるため網点の輪郭がぼやけてしまい、解像度が十分高くないという問題があった。一方、レーザーブレ−ション方式は色材として顔料を用いているため印刷物近似性は良好であるが、色材が飛散する方式であるため昇華方式と同様に網点の輪郭がぼやけてしまい、解像度が十分高くないという問題があった。更に▲3▼のレーザー溶融方式も溶融物が流動するのでクリヤ−な輪郭が出ないという問題があった。
また、従来用いられている熱転写シートは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を用いる、いわゆる、プロセスカラーに限定され、再現可能な色相の範囲が限定されていた。そして、特に感度、画質、色相に優れた、大サイズのDDCPが可能な多色画像形成材料及びそれを用いる多色画像形成法が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−58045号公報
【特許文献2】
特開平6−219052号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、再現可能な色相の範囲が拡張され、特に感度、画質、色相に優れた、大サイズのDDCPが可能な多色画像形成材料及びそれを用いる多色画像形成法を提供することである。更に、本願発明の他の目的は高品位・高安定性で、印刷一致性に優れた大サイズのDDCPを提供できる多色画像形成材料を提供することである。また、本発明は異なる温湿度条件下において、マルチビームであるレーザー光により、高エネルギーでレーザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写濃度の画像を受像シート上に形成し得る、多色画像形成材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)受像層を有する受像シートと、支持体上に少なくとも画像形成層とを有する互いに色の異なる少なくとも5色の色の異なる熱転写シートを用い、各熱転写シートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材料において、少なくとも1色の熱転写シートの画像形成層の色相が、レッド(R)(L*0=53.0、a*0=74.0、b*0=41.0)、ブルー(B)(L*0=21.0、a*0=24.0、b*0=−68.0)、グリーン(G)(L*0=62.0、a*0=−78.0、b*0=31.0)、オレンジ(O)(L*0=70.0、a*0=55.0、b*0=86.0)、ピンク(Pi)(L*0=75.3、a*0=78.4、b*0=−7.4)、パープル(Pu)(L*0=43.2、a*0=72.0、b*0=−41.5)、ブラウン(Br)(L*0=40.4、a*0=21.4、b*0=41.5)、ホワイト(W)(L*0=95.2、a*0=2.4、b*0=−5.4)またはグレー(L*0=65.8、a*0=−0.3、b*0=5.1)を中心として色差(ΔE)≦8であることを特徴とする多色画像形成材料。
(2)画像形成層の光学濃度(OD)が、レッド(R)の場合、1.55±0.2、ブルー(B)の場合、2.35±0.2、グリーン(G)の場合、1.34±0.2、オレンジの場合、1.52±0.2、ピンク(Pi)の場合、0.81±0.2、パープル(Pu)の場合、1.34±0.2、ブラウン(Br)の場合、1.64±0.2、またはグレーの場合、0.45±0.2であることを特徴とする上記(1)記載の多色画像形成材料。
(3)前記熱転写シートは、支持体上に画像形成層とは別に光熱変換層を設けてなることを特徴とする上記(1)または(2)記載の多色画像形成材料。
(4)光熱変換層がポリアミドイミド樹脂バインダー、スルホン酸基を有するシアニン系色素を含有することを特徴とする上記(3)記載記載の多色画像形成材料。
(5)光熱変換層の表面光沢度(JIS−Z8741に規定されるGs(60°))が85以上であることを特徴とする上記(3)または(4)に記載の多色画像形成材料。
(6)19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であり、かつ19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と27℃/70%RHにおける受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載の多色画像形成材料。
(7)光熱変換層のバインダーは、熱分解温度(TGA法で10℃/分の昇温速度で、空気気流中で質量が50%減少する温度)が370℃以上であることを特徴とする上記(3)〜(6)の何れかに記載の多色画像形成材料。
(8)受像層上の画像形成層強度が200g以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れかに記載の多色画像形成材料。
(9)記録面積が515mm以上×728mm以上であり、かつ解像度が2400dpi以上であることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れかに記載の多色画像形成材料。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱転写シートと上記(1)〜(9)のいずれかに記載の受像シートを用い、各熱転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形成方法において、前記レーザー光照射領域の画像形成層を薄膜状態で受像シートに転写させることを特徴とする多色画像形成方法。
【発明の実施の形態】
我々、発明者は高品位・高安定性で、印刷一致性に優れたB2/A2以上更にはB1/A1以上の大サイズのDDCPを提供するために鋭意検討した結果、本紙転写・実網点出力・顔料タイプのB2サイズ以上の画像形成材料および出力機と高品位CMSソフトからなるDDCP用レーザー熱転写記録システムを開発した。我々が開発したレーザー熱転写記録システムの性能の特徴、システム構成及び技術ポイントの概要は次の通りである。性能の特徴は▲1▼ドット形状がシャ−プであるため、印刷物近似性に優れた網点を再現できる。▲2▼色相の印刷物近似性が良好である。▲3▼記録品質は環境温湿度の影響を受けにくく、また繰り返し再現性が良いため、安定したプル−フを作成できる。このような性能の特徴が得られる材料の技術的ポイントは薄膜転写技術を確立したこと、レーザー熱転写システムに要求される材料の真空密着保持性・高解像度記録への追従・耐熱性の改良がポイントである。具体的には▲1▼赤外吸収色素の導入による光熱変換層を薄膜化すること、▲2▼高Tgポリマ−導入による光熱変換層の耐熱性を強化すること、▲3▼耐熱性顔料導入により色相安定化を図ること、▲4▼ワックス、無機顔料等の低分子成分添加により接着力・凝集力をコントロ−ルすること、▲5▼光熱変換層へのマット剤添加により、画質劣化を伴わないで真空密着性を付与すること等が挙げられる。システムの技術的ポイントは▲1▼記録装置の多数枚連続集積のためのエア−搬送、▲2▼熱転写装置の、転写後カ−ル低減のための本紙上挿入、▲3▼システム接続拡張性を持たせた汎用出力ドライバ−の接続等が挙げられる。このように我々が開発したレーザー熱転写記録システムは多様な性能の特徴、システム構成及び技術ポイントによって構成されている。しかしこれらは例示であって、本発明はこれらの手段に限定されるものではない。
【0010】
我々は個々の素材、光熱変換層、画像形成層、受像層などの各塗布層、各熱転写シ−トや受像シ−トなどは個々バラバラに存在するのではなく有機的、総合的に機能するようにすべきであり、更にこれら画像形成材料は記録装置や熱転写装置と組み合わされて最高の性能を発揮するものであるとの考えの基に開発を行った。我々は画像形成材料の各塗布層や構成する素材を十分吟味しそれらの素材の特長を最大限に引き出す塗布層を作り画像形成材料とし、この画像形成材料が最高の性能を発揮するような各種の物理特性の適当な範囲を見出した。その結果、各素材、各塗布層、各シ−トや物理特性との関係を極め、さらには画像形成材料と記録装置や熱転写装置と有機的、総合的に機能させることにより、思いもかけず、高性能な画像形成材料を見出すことが出来た。
【0011】
このような我々が開発したシステムにおける本発明の位置付けは、上記システムに好適な多色画像形成材料を提供するものであり、従来のプロセスカラーでは得られない色相を有する多色画像を提供することができる重要な発明である。
【0012】
本発明の多色画像形成材料は、少なくとも5色の色の異なる熱転写シートを含む。即ち、本発明の多色画像形成材料は、特定の色を呈する画像形成層を有する熱転写シートが少なくとも5種類存在する。そして、その内の少なくとも1色の熱転写シートの画像形成層の色相が、レッド(R)(L*0=53.0、a*0=74.0、b*0=41.0)、ブルー(B)(L*0=21.0、a*0=24.0、b*0=−68.0)、グリーン(G)(L*0=62.0、a*0=−78.0、b*0=31.0)、オレンジ(O)(L*0=70.0、a*0=55.0、b*0=86.0)、ピンク(Pi)(L*0=75.3、a*0=78.4、b*0=−7.4)、パープル(Pu)(L*0=43.2、a*0=72.0、b*0=−41.5)、ブラウン(Br)(L*0=40.4、a*0=21.4、b*0=41.5)、ホワイト(W)(L*0=95.2、a*0=2.4、b*0=−5.4)またはグレー(L*0=65.8、a*0=−0.3、b*0=5.1)を中心として色差(ΔE)≦8である。ここで、L*0、a*0及びb*0は、L表色系の要素L、a及びbの特定の値ある。
また、L、a及びbは、レーザー光により受像層へ熱転写され該ベタ画像を本紙へ転写したベタ画像の色相を濃度計X−rite938により測定して求められる値を意味する。
色差は、ΔE=[(L*0−L*1+(a*0−a*1+(b*0−b*11/2により求められ、本発明では、上記各色相はΔEが8以下となるL*1、a*1及びb*1の集合を意味し、かつそのようになるように画像形成層は調整される。L*1、a*1及びb*1の集合を(L*1,a*1,b*1)と記した場合、(L*1,a*1,b*1)は、(L*0,a*0,b*0)を中心した球乃至その近似形状の内部集合に対応することが好ましい。球とした場合、その半径Rは、(64/3)1/2≒4.6と表わされる。
上記色相を呈する熱転写シートは、多色画像形成材料に少なくとも1種用いられ、同じ色相でも上記色差範囲内で1種以上用いても良いし、異なる色差のものを2種以上用いてもよく、両者を併用してもよい。
【0013】
上記色相を示す画像形成層は、イエロー、マゼンタ、シアンまたはブラックの色用の熱転写シートの単独または組み合わせにより再現できる色相領域(いわゆるプロセスカラーにより再現される色相領域)の範囲外であることが、表現可能な色相の範囲をより拡大できるために好ましい。
プロセスカラーにより再現される色相領域の範囲外の色相を現出させる熱転写シートの画像形成層の色相は、L=48〜58、a=69〜79、b=36〜46、又はL=16〜26、a=19〜29、b=−63〜−73、又はL=57〜67、a=−73〜−83、b=26〜36、又はL=65〜75、a=50〜60、b=81〜91のいずれかであることが好ましい。
本発明で用いることのできる熱転写シートとしては、上記色相以外の色相、例えば、シルバー、ゴールド等任意の色相を呈する画像形成層を有する熱転写シートを用いることができる。
【0014】
本発明は、画像形成層の光学濃度(OD)は、レッド(R)の場合、1.55±0.2、ブルー(B)の場合、2.35±0.2、グリーン(G)の場合、1.34±0.2、オレンジの場合、1.52±0.2、ピンク(Pi)の場合、0.81±0.2、パープル(Pu)の場合、1.34±0.2、ブラウン(Br)の場合、1.64±0.2、またはグレーの場合、0.45±0.2である。
ここで、ODは上記色差を算出するために用いた本紙転写ベタ画像を、同濃度計(X−rite938、X−rite社製)にてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)またはブラック(K)等の各色の色モ−ドにて測定されて得られる反射光学濃度を言う。即ち、本発明に用いる任意の色用の各熱転写シートのODは、レッドフィルター(シアン用フィルター)、ブルーフィルター(イエロー用フィルター)またはグリーンフィルター(マゼンタ用フィルター)を介して測定した場合に最大の値を示すものを意味する。
プロセスカラーのODは、0.5〜3.0が好ましく、0.8〜2.0がより好ましい。
【0015】
本発明の多色画像形成材料に用いる少なくとも1色の熱転写シートの画像形成層の層厚は、1.5μm以下であることが好ましく、0.9μm以下であることが更に好ましい。
また、同層厚の下限は、通常、0.2μm以上である。
【0016】
また、本発明は熱転写シートの画像形成層の光学濃度(OD)と画像形成層の層厚Tの比OD/T(μm単位)を1.6以上とすることが好ましく、1.8以上とすることが更に好ましく、2.50以上とすることが特に好ましい。OD/Tの上限は、特になく大きければ大きいほど好ましいが、現時点では他の特性とのバランスを考慮すると6程度が限界である。
OD/Tは、画像形成層の転写濃度と転写画像の解像度の指標となる。OD/Tを上記範囲とすることにより転写濃度が高くかつ解像度の良好な画像を得ることができる。また、画像形成層をより薄膜とすることにより色再現性を向上させることができる。
【0017】
本発明に用いる熱転写シートは、支持体上に画像形成層とは別に光熱変換層を設けてなることが、色相の変動を抑え、色相の再現性を確保する上で好ましい。光熱変換層を別途設けない場合には、後述のシアニン系色素などの光熱変換物質を画像形成層に添加させることが必要である。尚、上記特定の色相における該色差を満足するように光熱変換物質を選択することが好ましい。そして、該色差範囲であって、安定した色相が得られるような光熱変換物質が好ましい。
【0018】
本発明は、光熱変換層を別途設け、該光熱変換層がポリアミドイミド樹脂バインダー、スルホン酸基を有するシアニン系色素を含有することが好ましい。
スルホン酸基を有するシアニン系色素は、安定性が高く、分解し難いという性質を有する。また、同色素はポリアミドイミドとの親和性が高く、画像形成層への移行が抑制され、受像層への転写前後での色相の変動が抑制されるという効果がある。また、両者を含むと、光熱変換層の塗布液の経時安定性も優れるという利点がある。
【0019】
また、光熱変換層の表面光沢度(JIS−Z8741に規定されるGs(60°))は、85以上であることが好ましく、85以上100未満が更に好ましい。表面光沢度を上記範囲とすることにより、画像形成層の表面性が調整され、受像層との密着性が適正化され、良好な画質が得られる。表面光沢度の制御は、マット剤の種類、添加量を調整すること等が挙げられる。
【0020】
本発明は、画像形成層及び受像層の含水率に差が少ないことが好ましい。特に、19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、かつ19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と27℃/70%RHにおける受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。含水率は上記の環境下におかれている材料と、乾燥された材料間の重量差を測定して求める。
画像形成層及び受像層の含水率を上記のように調整する手段としては、各々の塗布液を有機溶媒系とすること、そこで使われる素材に疎水性のものを使うこと等が挙げられる。
含水率を上記範囲とすることにより、良質な画像が安定して得られる。
【0021】
本発明は、受像層上の画像形成層強度が200g以上であることが好ましい。この画像形成層強度は、ひっかき強度試験器により測定される値である。上記画像形成層強度を満足することにより、安定かつ優れた本紙転写性が得られる。
【0022】
また、本発明は熱転写シートの光熱変換層の光学濃度(ODLH)と光熱変換層の層厚TLHの比ODLH/TLH(μm単位)を4.36以上に制御することが好ましい。ODLH/TLHの上限は、特になく大きければ大きいほど好ましいが、現時点では他の特性とのバランスを考慮すれば10程度が限界である。
本発明は熱転写シートのODLHは、本発明の画像形成材料を記録するに際して、使用するレーザー光のピーク波長における光熱変換層の吸光度を言い、公知の分光光度計を用いて測定を行うことができる。本発明では、(株)島津製作所製UV−分光光度計UV−240を用いた。また、上記ODLHは支持体込みのものから支持体単独の値を差し引いた値とする。
ODLH/TLHは記録時の熱伝導性に関わり、感度および記録の温湿度依存性を大きく左右する指標となる。ODLH/TLHを上記範囲とすることにより記録時の受像シートへの転写感度を高くすると共に記録時の温湿度依存性を小さくすることができる。
即ち、ODLH/TLHを大きくすることにより、転写画像の解像度を好ましくは2400dpi以上、更に好ましくは2600dpi以上の解像度で上記したように大サイズで画像を記録することができる。
また、光熱変換層の層厚は、0.03〜1.0μmであるのが好ましく、0.05〜0.5μmであるのがより好ましい。
【0023】
更に、本発明は各熱転写シートの画像形成層および前記受像シ−トの受像層の水に対する接触角を各々7.0〜120.0°とすることが好ましい。接触角は画像形成層と受像層との相溶性、つまり転写性に関わる指標であり、さらには30.0〜100.0°が好ましい。また、受像層の水に対する接触角は86°以下であることが更に好ましい。接触角を上記範囲とすることにより転写感度を高くすることができ、また記録特性の温湿度依存性を小さくできるという点で好ましい。
また本発明の各層表面の水に対する接触角はコンタクトアングルメ−タ−(Contact Angle Meter)CA−A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定した値である。
【0024】
本発明の特徴は、熱転写シートの物性を上記のように制御したことにより、より記録画像を大画面で形成できることである。多色画像の記録面積は好ましくは515mm以上×728mm以上のサイズであり、更に好ましくは多色画像の記録面積が594以上×841mm以上のサイズである。受像シ−トのサイズは465以上×686mm以上のサイズであることが好ましい。
【0025】
本発明のシステムでは薄膜熱転写方式を発明、採用したことによって高解像度、高画質化を達成した。本発明のシステムでは解像度が2400dpi以上、好ましくは2600dpi以上の転写画像を得ることの出来るシステムである。薄膜熱転写方式とは層厚が0.01〜0.9μの薄膜の画像形成層を部分的に溶融しない状態またはほとんど溶融しない状態で受像シ−トに転写する方式である。即ち記録された部分が薄膜として転写するため、極めて解像度の高い熱転写方式を開発したものである。薄膜熱転写を効率的に行う好ましい方法は、光記録によって光熱変換層内部をド−ム状に変形させ、画像形成層を押し上げ、画像形成層と受像層との密着力を高め、転写しやすくすることである。この変形が大きいと画像形成層を受像層に押しつける力が大きいので転写しやすくなり、一方、変形が小さいと画像形成層を受像層に押しつける力が小さいので十分な転写が出来ない部分が出てくる。そこで薄膜転写に好ましい変形はレーザー顕微鏡(VK8500、キーエンス社製)により観察したもので、この変形の大きさは光熱変換層の記録部の光記録後の増加した断面積(a)と光熱変換層の記録部の光記録前の断面積(b)を加えた値を光熱変換層の記録部の光記録前の断面積(b)で除した値に100を乗じて計算される変形率で評価できる。即ち変形率={(a+b)/(b)}×100である。変形率は110%以上、好ましくは125%以上、更に好ましくは150%以上である。破断伸びを大きくすれば変形率は250%より大きくても良いが、通常は250%程度に押さえることが好ましい。
薄膜転写における画像形成材料の技術ポイントは以下の通りである。
1.高熱応答性と保存性の両立
高画質を達成するためにはサブミクロンオ−ダ−の薄膜の転写が必要であるが所望の濃度を出すためには、高濃度に顔料を分散した層を作る必要があり、熱応答性とは相反する。また、熱応答性は保存性(接着)とも相反する関係にある。これらの相反関係を新規なポリマ−・添加剤の開発により解決した。
2.高い真空密着性の確保
高解像度を追求した薄膜転写では転写界面は平滑な方が好ましいが、それでは十分な真空密着性が得られない。これまでの真空密着性付与の常識にとらわれず、比較的粒径の小さなマット剤を多めに、画像形成層の下の層に入れることで、熱転写シートと受像シート間に適度なギャップを均一に保ち、マット剤による画像の抜けが無く、薄膜転写の特徴を確保したまま、真空密着性を付与させた。
3.耐熱性有機素材の使用
レーザー記録時にレーザー光を熱に変換する光熱変換層は約700℃に、顔料色材を含む画像形成層は約500℃にも達する。光熱変換層の素材として有機溶剤塗布可能な樹脂を開発すると共に、顔料色材として印刷用顔料よりも耐熱性が高く、安全で色相のあった、顔料を開発した。
4.表面清浄性の確保
薄膜転写では熱転写シートと受像シート間のごみは画像欠陥となり、重大な問題である。機器外部からの進入・材料カッテイングでの発生などがあり、材料管理だけでは不十分であり、機器にごみを除去する機構を付ける必要があったが、転写材料表面をクリ−ニングできる適度な粘着性を維持できる素材を見出し、搬送ロ−ラ−材質を変更することにより生産性を低下することなく、ごみの除去を実現した。
【0026】
以下、本発明のシステムの全体について詳述する。
本発明はシャープな網点による前記大サイズ熱転写画像を実現し、かつ本紙転写が出来ることが好ましい。
本発明が開発したシステムの性能の特長の一つはシャ−プなドット形状が得られるということである。このシステムで得られた熱転写画像は2400 dpi以上の解像度で印刷線数に応じた網点画像とすることができる。1つ1つの網点はにじみ・欠けがほとんどなく形状が非常にシャープであるため、ハイライトからシャドーまでの高範囲の網点をクリアーに形成することができる。その結果、イメージセッターやCTPセッターと同じ解像度で高品位な網点出力が可能であり、印刷物近似性の良い網点と階調を再現することができる。
【0027】
また、本発明が開発したシステムの性能の特長の二つ目は繰り返し再現性が良好であるということである。この熱転写画像は、網点形状がシャープであるためレーザービームに対応した網点を忠実に再現でき、また記録特性の環境温湿度依存性が非常に小さいため、幅広い温湿度環境下で色相・濃度とも安定した繰り返し再現性を得ることができる。
更に本発明が開発したシステムの性能の特長の三つ目は色再現が良好であるということである。このシステムで得られた熱転写画像は、印刷インクに使用されている着色顔料を用いて形成されており、また繰り返し再現性が良好なため高精度のCMS(カラーマネージメントシステム)を実現できる。
また、この熱転写画像は、Japanカラー、SWOPカラーなどの色相、即ち、印刷物の色相とほぼ一致させることができ、蛍光灯や白熱灯など光源が変わったときの色の見え方についても印刷物と同様の変化を示すことができる。
【0028】
また、本発明が開発したシステムの性能の特長の四つ目は文字品質が良好であるということである。このシステムで得られた熱転写画像は、ドット形状がシャープなので、微細文字の細線がきれよく再現できる。
次に本発明のシステムの材料技術の特徴について更に詳述する。DDCP用熱転写方式として、▲1▼昇華方式 ▲2▼アブレ−ション方式 ▲3▼熱溶融方式のものがある。▲1▼、▲2▼の方式は色材が昇華もしくは飛散する方式であるため網点の輪郭がぼやけてしまう。一方▲3▼の方式も溶融物が流動するのでクリヤ−な輪郭が出ない。我々は薄膜転写技術を基本に、レーザー熱転写系での新たな問題点をクリヤ−し、さらに高画質のものにするため、下記に述べる技術を盛り込んだ。材料技術の特徴の第1はドット形状のシャ−プ化である。レーザー光を光熱変換層で熱に変換し、隣接する画像形成層に伝え、画像形成層が受像層に接着することにより画像記録を行う。ドット形状をシャ−プにするためにはレーザー光により発生した熱が、面方向に拡散せずに転写界面まで伝えられ、加熱部/非加熱部の境界面で画像形成層がシャープに破断する。このために、熱転写シートにおける光熱変換層の薄膜化と画像形成層の力学特性を制御する。
ドット形状のシャ−プ化の技術1は光熱変換層の薄膜化である。シミュレーションでは、光熱変換層は瞬間的に約700℃に達すると推定され、膜が薄いと変形や破壊がおこりやすい。変形・破壊が起こると光熱変換層が画像形成層とともに受像シートに転写したり、転写像が不均一になるという実害を生じる。一方、所定の温度を得るには膜中に光熱変換物質を高濃度に存在させねばならず、色素の析出や隣接層への移行といった問題も発生する。光熱変換物質としては従来カ−ボンが使用されることが多かったが、本材料ではカ−ボンに比べ使用量が少なくてすむ赤外吸収色素を用いた。バインダ−は高温でも十分な力学強度を持ち、さらに赤外吸収色素の保持性のよい樹脂を導入した。
このように、光熱変換特性の優れた赤外吸収色素及びポリイミドやポリアミドイミド樹脂などの耐熱性バインダーを選定することにより、光熱変換層を約0.5μm以下に薄膜化することが好ましい。
また、光熱変換層において、赤外吸収色素とポリアミドイミド系化合物とを組み合わせることにより、光熱変換層用塗布液の経時安定性が良好となり、経時後の吸光度低下が防止できる、しかも光熱変換層の吸光度が高くなり、感度が向上する。さらに曝光後の色相変動が小さくなり、耐光性が向上する。
【0029】
また、ドット形状のシャ−プ化の技術2は画像形成層の特性の改良である。光熱変換層の変形が起こったり、または画像形成層そのものが高熱により変形すると、受像層に転写した画像形成層はレーザー光の副走査パターンに対応した厚みムラを生じ、そのため画像が不均一になり見かけの転写濃度が低下する。この傾向は画像形成層の厚みが薄いほど顕著である。一方、画像形成層の厚みが厚いとドットのシャープさが損なわれかつ感度も低下する。
この相反する性能を両立させるために、ワックス等の低融点物質を画像形成層に添加することより転写ムラを改良することが好ましい。また、バインダーの代わりに無機微粒子を添加することにより層厚を適正に上げることで、加熱部/非加熱部の界面で画像形成層がシャープに破断するようにし、ドットのシャープさ・感度を保ちつつ転写ムラを改良することができる。
【0030】
また、一般にワックス等の低融点物質は、画像形成層表面に滲み出たり、結晶化する傾向があり、画質や熱転写シートの経時安定性に問題を生じる場合がある。
この問題に対処するためには、画像形成層のポリマーとのSp値差が小さい低融点物質を使用することが好ましく、ポリマーとの相溶性を上げ、低融点物質の画像形成層からの分離を防止することができる。また、構造の異なる数種類の低融点物質を混合することで共融化させ結晶化を防止することも好ましい。その結果、ドット形状がシャープでかつむらの少ない画像が得られる。
また、材料技術の特徴の第2は記録感度に温湿度依存性があるということを見出した点である。一般に、熱転写シートの塗布層が吸湿することで層の力学物性と熱物性が変化し、記録環境の湿度依存性が生じる。
この温湿度依存性を少なくするためは、光熱変換層の色素/バインダー系、および画像形成層のバインダー系を有機溶剤系にすることが好ましい。また、受像層のバインダーとしてポリビニルブチラ―ルを選択すると共にその吸水性を小さくするためにポリマー疎水化技術を導入することが好ましい。ポリマー疎水化技術としては、特開平8−238858号公報に記載のようにヒドロキシル基を疎水基と反応させたり、2つ以上のヒドロキシル基を硬膜剤で架橋するなどが挙げられる。
【0031】
材料技術の特徴の第3は色相の印刷物近似性を改良した点である。サーマルヘッド方式のカラープルーフ(例えば、富士写真フイルム社製FirstProof)での顔料の色マッチング、安定分散技術に加え、レーザー熱転写システムで新たに生ずる下記の問題点をクリヤ−した。即ち色相の印刷物近似性改良の技術1は高耐熱性顔料を使用した点である。通常、レーザー露光による印画時に画像形成層にも約500℃以上の熱がかかり、従来使用していた顔料では熱分解してしまうものがあったが、耐熱性の高い顔料を画像形成層に採用することによりこれを防止することができる。
そして、色相の印刷物近似性改良の技術2は赤外吸収色素の拡散防止である。印画時の高熱により、赤外吸収色素が光熱変換層から画像形成層に移行すると、色相が変化してしまうのを防止するために、前述したように保持力の強い赤外吸収色素/バインダーの組み合わせで光熱変換層を設計することが好ましい。
材料技術の特徴の第4は高感度化である。一般に、高速印画ではエネルギー不足となり特にレーザー副走査の間隔に対応する隙間が発生する。前述したように光熱変換層の色素高濃度化および光熱変換層・画像形成層の薄膜化は、熱の発生/伝達の効率を上げることができる。さらに、加熱時に画像形成層がわずかに流動し隙間を埋める効果と受像層との接着性をあげる目的で、画像形成層へ低融点物質を添加することが好ましい。また、受像層と画像形成層との接着性を上げ、転写した画像の強度を十分持たせるために、受像層のバインダーとして例えば、画像形成層と同じポリビニルブチラールを採用することが好ましい。
【0032】
材料技術の特徴の第5は真空密着性の改良である。受像シートと熱転写シートは、真空密着によりドラム上に保持されることが好ましい。この真空密着は両シートの接着力制御により画像を形成しているため受像シートの受像層面と転写シートの画像形成層面のクリアランスに画像転写挙動が非常に敏感なので重要である。ゴミ等異物のきっかけで材料間のクリアランスが広がってしまうと画像欠陥や画像転写ムラが生じてしまう。
このような画像欠陥や画像転写ムラを防止するには、熱転写シートに均一な凹凸をつけることで、エアーのとおりをよくし均一なクリアランスを得ることが好ましい。
【0033】
真空密着性改良の技術1は熱転写シートとの表面凸凹化である。2色以上の重ね印画でも真空密着性の効果を十分に出せるように、凹凸は熱転写シートにつけた。熱転写シートに凹凸をつける方法としては、一般にエンボス処理等の後処理、塗布層へのマット剤添加があるが、製造工程簡略化、材料の経時安定化のためにマット剤添加が好ましい。マット剤は塗布層厚みより大きいものが必要であり、マット剤を画像形成層に添加するとマット剤の存在する部分の画像が欠落するという問題が発生するので、最適な粒径のマット剤を光熱変換層に添加することが好ましく、これにより画像形成層そのものはほぼ均一な厚みとなり、欠陥のない画像を受像シート上に得ることができる。
【0034】
次に本発明のシステムのシステム化技術の特徴について述べる。システム化技術の特徴1は記録装置の構成である。これまで述べたようなシャープなドットを確実に再現するため、記録装置側も高精度な設計が要求される。従来のレーザー熱転写用記録装置と基本的構成は同様である。この構成はハイパワーの複数のレーザーを備えた記録ヘッドが、ドラム上に固定された熱転写シートと受像シートにレーザーを照射して記録する、いわゆるヒートモードのアウタードラム記録システムである。その中で、以下の態様が好ましい構成である。
記録装置の構成1はごみの混入を避けることである。受像シート及び熱転写シートの供給は、全自動ロール供給とする。少数枚のシート供給では人体から発生するごみの混入が多いので、ロール供給を採用した。
熱転写シートは各色各1ロールずつあるため、ローディングユニットが回転して各色のロールを切り替えるようにしている。各フィルムはローディング中にカッターで所定長に切断された後、ドラムに固定される。記録装置の構成2は記録ドラム上の受像シ−トと熱転写シートとの密着を強くすることである。受像シート及び熱転写シートの記録ドラムへの固定は真空吸着とする。メカ固定では受像シート及び熱転写シート間の密着力を強くできないため、真空吸着を採用した。記録ドラム上には多数の真空吸着孔を形成し、ドラム内部をブロアや減圧ポンプなどにより減圧にすることによりシートがドラムに吸着される。受像シートが吸着されている上から熱転写シートがさらに吸着されるために、熱転写シートのサイズを受像シートより大きくする。最も記録性能に影響の大きい熱転写シートと受像シートの間のエアーは、受像シートの外の熱転写シートだけのエリアから吸引される。
【0035】
記録装置の構成3は排出台上に複数枚安定に集積することである。本装置では、B2サイズ以上の大面積のシートを何枚も排出台上に重ねて集積できるものとする。熱接着性を持つ、既に集積されたフィルムAの受像層の上に次のシートBを排出すると、両者が貼りついてしまうことがある。貼りつくと次のシートがきちんと排出されずにジャムが発生するので問題である。貼りつき防止にはフィルムAとBの接触を防止することが最善である。接触防止策としてはいくつかの方法が知られている。(a)排出台に段差を設けフィルム形状を平坦でなくすことによりフィルム間にすきまをつくる方法、(b)排出口を排出台よりも高い位置にして排出フィルムを上から落とす構造にする方法、(c)エアーを両フィルムの間に噴出して後から排出されるフィルムを浮き上がらせる方法、などがある。このシステムではシートサイズがB2と非常に大きいため、(a)、(b)の方法では構造が非常に大きくなってしまうので、(c)のエアー噴出法を採用した。そのためにエアーを両シートの間に噴出して後から排出されるシートを浮き上がらせる方法を採用するものとする。
本装置の構成例を図2に示す。
以上のような本装置に画像形成材料を適用してフルカラーの画像を形成するシーケンス(以上、本システムの画像形成シーケンスという)を説明する。
1)記録装置1の記録ヘッド2の副走査軸が副走査レール3により、また記録ドラム4の主走査回転軸並びに熱転写シートローディングユニット5が原点に復帰する。
2)受像シートロール6が搬送ローラ7によってほどかれて記録ドラム4上に受像シート先端が記録ドラムに設けられた吸引孔を介して真空吸引されて固定される。
3)記録ドラム4上にスクイーズローラー8が降りてきて、受像シートを抑えつけながら、ドラムの回転により受像シートがさらに規定量搬送されたところで停止しカッター9によって規定長に切断される。
4)更に記録ドラム4が1周して受像シートのローディングが終了する。
5)次に受像シートと同様のシーケンスで、1色目―黒―の熱転写シートKが熱転写シートロール10Kから繰り出され、切断されてローディングされる。
6)次に記録ドラム4が高速回転を始め、副走査レール3上の記録ヘッド2が動き始め、記録開始位置に到達したところで記録画像信号に従って記録ヘッド2により記録レーザーが記録ドラム4上に照射される。記録終了位置で照射を終了し、副走査レール動作、ドラム回転が停止する。副走査レール上の記録ヘッドを原点に戻す。
7)記録ドラム上に受像シートを残したまま、熱転写シートKだけを剥がしとる。そのため、熱転写シートKの先端を爪でひっかけて排出方向に引っ張り出して、廃棄口32から廃棄箱35へ廃棄する。
8)5)〜7)を残りの4色分以上繰り返す。例えば、記録順序は黒の次は、シアン、マゼンタ、イエロー、レッドあるいは更にブルー、オレンジ等の順序である。即ち、2色目―シアン―の熱転写シートCが熱転写シートロール10Cから、3色目―マゼンタ―の熱転写シートMが熱転写シートロール10Mから、4色目―イエロー―の熱転写シートYが熱転写シートロール10Yから、5色目―レッド―の熱転写シートRが熱転写シートロール10R等から順次繰り出される。一般の印刷順序とは逆であるが、これは後の工程の本紙転写によって本紙上の色順序が逆になるからである。尚、上記順番は特に制限されるものではない。
9)上記工程が完了すると、最後に記録済みの受像シートを排出台31まで排出する。ドラムから剥がしとる方法は7)の熱転写シートと同じであるが、熱転写シートと違い廃棄しないので、廃棄口32まで進んだところでスイッチバックによって排出台に戻す。排出台に排出される際には、排出口33の下からエアー34を噴出して複数枚の集積を可能にしている。
【0036】
上記熱転写シートロール及び受像シートロールの供給部位又は搬送部位の何れかの搬送ローラ7に、表面に粘着材料が配設された粘着ローラーを用いることが好ましい。
【0037】
粘着ローラーを設けることにより、熱転写シート及び受像シートの表面をクリーニングすることができる。
【0038】
粘着ローラーの表面に配設される粘着材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレン樹脂(IR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブチルゴム、ポリノルボルネン等が挙げられる。
【0039】
粘着ローラーは熱転写シート及び受像シートの表面と接触することにより、その表面をクリーニングすることができ、接触圧は接触していれば格別限定されない。
【0040】
粘着ローラーに使用する粘着性を有する素材のビッカース硬さHvは50kg/mm(≒490MPa)以下であることが、異物であるゴミを十分に取り除き、画像欠陥を抑制可能であることから好ましい。
【0041】
ビッカース硬さというのは、対面角が136度の正四角錐形のダイヤモンド圧子に静荷重をかけて硬さを測定した硬さであり、ビッカース硬さHvは以下の式で求められる。
【0042】
硬さHv=1.854P/d(kg/mm)≒18.1692P/d(MPa)
ここでP:荷重の大きさ(Kg)、d:くぼみの正方形の対角線長さ(mm)
【0043】
また本発明においては、上記の粘着ローラーに使用する粘着性を有する素材の20℃における弾性率が200kg/cm(≒19.6MPa)以下であることが、上記と同様に異物であるゴミを十分に取り除き、画像欠陥を抑制可能であることから好ましい。
【0044】
システム化技術の特徴2は熱転写装置の構成である。
記録装置で画像を印刷された受像シートを、印刷本紙(「本紙」と呼ぶ)に転写する工程を行うため、熱熱転写装置を使用する。この工程はFirst ProofTMと全く同じである。受像シートと本紙を重ねて熱と圧力をかけると両者が接着し、その後本紙から受像フィルムを引き剥がすと、画像と接着層だけが本紙上に残り、受像シート支持体とクッション層ははがれる。従って実用上は画像が受像シートから本紙に転写されることになる。
First ProofTMでは、アルミニウム製のガイド板の上に本紙と受像シートを重ねてヒートローラの間を通すことによって転写している。アルミニウムガイド板を使用するのは本紙の変形を防ぐためである。しかし、これをB2サイズの本システムに採用すると、B2より大きなアルミニウムガイド板が必要となり、装置の設置スペースが大きくなるという問題が発生する。そこで本システムではアルミニウムガイド板を使用しないで、更に搬送パスが180度回転して挿入側に排出されるような構造を採用したので、設置スペースは非常にコンパクトになった(図3)。しかしアルミニウムガイド板を使用しないために、本紙が変形するという問題が発生した。具体的には排出された本紙と受像シートの対が受像シートを内側にしてカールしてしまい、排出台の上で転がってしまう。この丸まった本紙から受像シートを引き剥がすのは作業として非常に困難である。
そこで、丸まりを防止する方法を考え、本紙と受像シートによる収縮量の差によるバイメタル効果と、熱ローラに巻きつかせる構造によるアイロン効果である。従来のように受像シートを本紙の上に重ねて挿入する場合には、挿入進行方向に対しての受像シートの熱収縮が本紙の熱収縮より大きいために、バイメタル効果によるカールは上が内側となり、アイロン効果の方向と同じなので相乗効果によりカールがひどくなる。ところが受像シートを本紙の下側になるように挿入すれば、バイメタル効果のカールは下向き、アイロン効果のカールは上向きとなるために、カールは相殺され問題なくなった。
【0045】
本紙転写のシーケンスは、以下である(以下、本システムで用いる本紙転写方法という)。この方法に用いる図3に示す熱転写装置41は、記録装置と違い手作業の装置である。
1)まず、本紙42の種類に応じて、ヒートローラ43温度(100〜110℃)と転写時搬送速度をダイヤル(不図示)で設定する。
2)次に挿入台の上に受像シート20を画像を上にして置き、画像上のほこりを除電ブラシ(不図示)で除去する。その上にほこりを除去した本紙42を重ねる。その際、下に置く受像フィルム20より上に置く本紙42のサイズの方が大きいので、受像シート20の位置が見えなくなって位置あわせがやりにくい。この作業性を改善するために挿入台44上に受像シート・本紙それぞれの載置位置を示すマーク45をつけてある。本紙の方が大きい理由は、受像シート20が本紙42からずれてはみ出してヒートローラ43を受像シート20の受像層で汚してしまうことを防止するためである。
3)受像シート・本紙を重ねたまま挿入口に押し込むと、挿入ローラ46が回転して両者をヒートローラ43に向かって送り出す。
4)本紙先端がヒートローラ43の位置まで来たところで、ヒートローラがニップされ転写を開始する。ヒートローラは耐熱のシリコンゴムローラである。ここで圧力と熱が同時にかけられることによって、受像シートと本紙は接着される。ヒートローラ下流には耐熱シートでできたガイド47が設置されていて、受像シート・本紙対は上側ヒートローラとガイド47の間を、熱をかけたまま上方に搬送され、剥離爪48の位置でヒートローラから引き剥がされてガイド板49に沿って排出口50まで導かれる。
5)排出口50から出てきた受像シート・本紙対は接着されたまま、挿入台の上に排出される。後は手作業で本紙42から受像シート20を引き剥がす。
システム化技術の特徴2はシステムの構成である。
以上の装置を、製版システム上に接続することによって、カラープルーフとしての機能を発揮できることになる。システムとしては、ある製版データから出力される印刷物と限りなく近い画質のプリント物が、プルーフから出力される必要がある。そこで、色や網点を印刷物と近づけるためのソフトウェアが必要である。具体的接続例を紹介する。
富士写真フイルム社製CelebraTMという製版システムからの印刷物のプルーフをとる場合、システム接続としては以下のようになる。CelebraにCTP(ComputerTo Plate)システムを接続する。これで出力した印刷版を印刷機にかけることによって最終印刷物が得られる。Celebraにカラープルーフとして上記記録装置である富士写真フイルム社製Luxel FINALPROOF 5600(以下、FINALPROOFとも記す)を接続するが、その間に色や網点を印刷物に近づけるためのプル−フドライブソフトウェアとして富士写真フイルム社製PDシステムTMを接続する。
Celebraでラスターデータに変換されたコントーン(連続調)データは、網点用の2値データに変換されてCTPシステムに出力され、最終的に印刷される。一方同じコントーンデータはPDシステムにも出力される。PDシステムは受け取ったデータを少なくとも4色のテーブルによって前記印刷物に色が一致するように変換する。そして最後に前記印刷物の網点と一致するように網点用の2値データに変換し、FINALPROOFに出力する(図4)。
前記少なくとも4色のテーブルは予め実験的に作成しておき、システム内に保存してある。作成のための実験とは次のようなものである。重要色データを、CTPシステム経由で印刷した画像と、PDシステム経由でFINALPROOFに出力した画像を用意し、その測色値を比較してその差が最小になるようにテーブルを作成する。
【0046】
以上のように、本発明は解像力の高い材料の能力を十分に発揮できるようなシステム構成を実現できた。
次に本発明のシステムに用いる材料である熱転写シートについて説明する。
熱転写シートの画像形成層表面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値が3.0μm以下であり、受像シートの受像層表面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値が3.0μm以下であることが好ましい。このような構成により、上記のクリーニング手段と相俟って画像欠陥を防止でき、搬送ジャムをなくし、更にドットゲイン安定性を向上させることができる。
【0047】
本明細書で、表面粗さRzというのは、JISのRz(最大高さ)に相当する十点平均面粗さのことをいい、粗さの曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したものである。測定には東京精密(株)製の触針式の3次元粗さ計(サーフコム570A−3DF)を用いる。測定方向は縦方向とし、カットオフ値は0.08mm、測定面積は0.6mm×0.4mm、送りピッチは0.005mm、測定スピードは0.12mm/sである。
【0048】
上記の熱転写シートの画像形成層表面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値は1.0μm以下であり、また受像シートの受像層表面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値が1.0μm以下であることが上記の効果をさらに向上させる観点から好ましい。
【0049】
更に、別の態様としては、熱転写シートの画像形成層表面とその裏面層表面の表面粗さ及び又は受像シートの表裏面の表面粗さRzが2〜30μmであることが好ましい。このような構成によって、上記のクリーニング手段と相俟って画像欠陥を防止でき、搬送ジャムをなくし、更にドットゲイン安定性を向上させる。
【0050】
また熱転写シートの画像形成層の光沢度は80〜99であることも好ましい。
【0051】
光沢度は、画像形成層表面の平滑性に大きく依存し、画像形成層層厚の均一性を左右し得る。光沢度が高い方が画像形成層として均一で高精細画像への用途により適しているが、平滑性が高いと搬送時の抵抗はより大きくなり、両者がトレード・オフの関係である。光沢度が80〜99の範囲であると、両者の両立が可能でバランスが取れる。
【0052】
次に、レーザーを用いた薄膜熱転写による多色画像形成の機構の概略を図1を用いて説明する。
熱転写シート10のブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、等の顔料を含む画像形成層16の表面に、受像シート20を積層した画像形成用積層体30を用意する。熱転写シート10は、支持体12と、その上に、光熱変換層14、及び更にその上に、画像形成層16を有し、受像シート20は、支持体22と、その上に、受像層24を有し、熱転写シート10の画像形成層16の表面には、受像層24が接触するように積層される(図1(a))。その積層体30の熱転写シート10の支持体12側から、レーザー光を画像様に時系列的に照射すると、熱転写シート10の光熱変換層14のレーザー光被照射領域が発熱し、画像形成層16との密着力が低下する(図1(b))。その後、受像シート20と熱転写シート10とを剥離すると、画像形成層16のレーザー光被照射領域16’が、受像シート20の受像層24上に転写される(図1(c))。
【0053】
多色画像形成においては、光照射に用いられるレーザー光は、マルチビーム光であることが好ましく、特にマルチビーム2次元配列であることが好ましい。マルチビーム2次元配列とは、レーザー照射によって記録する際に、複数個のレーザービームを使用し、これらのレーザービームのスポット配列が、主走査方向に沿って複数列、副走査方向に沿って複数行からなる2次元平面配列をしていることをいう。
マルチビーム2次元配列であるレーザー光を使用することにより、レーザー記録に要する時間を短縮することができる。
【0054】
使用されるレーザー光は、特に制限なく使用することができ、アルゴンイオンレーザー光、ヘリウムネオンレーザー光、ヘリウムカドミウムレーザー光等のガスレーザー光、YAGレーザー光等の固体レーザー光、半導体レーザー光、色素レーザー光、エキシマレーザー光等の直接的なレーザー光が利用される。あるいは、これらのレーザー光を二次高調波素子を通して、半分の波長に変換した光等も用いることができる。多色画像形成方法においては、出力パワーや変調のし易さ等を考慮すると、半導体レーザー光を用いることが好ましい。多色画像形成方法では、レーザー光は、光熱変換層上でのビーム径が5〜50μm(特に6〜30μm)の範囲となるような条件で照射することが好ましく、また走査速度は1m/秒以上(特に3m/秒以上)とすることが好ましい。
【0055】
また、多色画像形成は、ブラックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚が、イエロー、マゼンタ、及びシアン等の各熱転写シートにおける画像形成層の層厚より大きく、かつ、0.5〜0.7μmであることが好ましい。このようにすることにより、ブラックの熱転写シートをレーザー照射した際に、転写ムラによる濃度の低下を抑えることができる。
前記ブラックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚が0.5μm以上にすることで、高エネルギーで記録した際に、転写ムラがなく画像濃度が維持され、印刷のプルーフとして必要な画像濃度を達成することができる。この傾向は、高湿条件下でより顕著となるため、環境による濃度変化を抑えることができる。一方、前記層厚を0.7μm以下にすることで、レーザー記録時に転写感度が維持でき、小点の付きや、細線も改良される。この傾向は、低湿条件下でより顕著である。また、解像力も良化できる。前記ブラックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚は、より好ましくは0.55〜0.65μmであり、特に好ましくは0.60μmである。
【0056】
更に、前記ブラックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚が、0.5〜0.7μmであり、前記イエロー、マゼンタ、及びシアン等の各熱転写シートにおける画像形成層の層厚が、0.2μm以上0.5μm未満であることが好ましい。
前記イエロー、マゼンタ、及びシアン等の各熱転写シートにおける画像形成層の層厚を0.2μm以上にすることで、レーザー記録時に転写ムラがなく濃度維持が図られ、一方、0.5μm以下にすることで、転写感度や解像力が改良できる。より好ましくは、0.3〜0.45μmである。
【0057】
前記ブラックの熱転写シートにおける画像形成層は、カーボンブラックを含有することが好ましく、該カーボンブラックは、着色力の異なる少なくとも2種類のカーボンブラックからなることが、P/B(ピグメント/バインダー)比を一定の範囲にしつつ、反射濃度を調節することができるため好ましい。
カーボンブラックの着色力は、種々の方法によって表されるが、例えば、特開平10−140033号公報に記載のPVC黒度等が挙げられる。PVC黒度とは、カーボンブラックをPVC樹脂に添加、2本ロールにより分散、シート化し、三菱化学(株)カーボンブラック「#40」、「#45」の黒度を各々1点、10点と基準値を定め、試料の黒度を視感判定により評価したものである。PVC黒度の異なる2種以上のカーボンブラックを、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
【0058】
以下に、具体的なサンプル作製方法を述べる。
<サンプル作製方法>
250ccバンバリーミキサーにてLDPE(低密度ポリエチレン)樹脂に試料カーボンブラックを40質量%配合し、115℃、4分混練りする。
Figure 2004106230
次に、120℃で、2本ロールミルにてカーボンブラック濃度が1質量%になるように希釈する。
【0059】
希釈コンパウンド作製条件
LDPE樹脂             58.3g
ステアリン酸カルシウム         0.2g
カーボンブラック40質量%配合樹脂   1.5g
スリット幅0.3mmでシート化し、このシートをチップに切断、240℃のホットプレート上で65±3μmのフィルムに成形する。
【0060】
多色画像を形成する方法としては、前述したように前記熱転写シートを用いて、同一の受像シート上に多数の画像層(画像が形成された画像形成層)を繰返し重ね合せて多色画像を形成してもよく、複数の受像シートの受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本紙等へ再転写することにより、多色画像を形成してもよい。
後者については、例えば、相互に異なる色相を有する色材を含む画像形成層を有する熱転写シートを用意し、これと、受像シートとを組み合わせた画像形成用積層体を独立に五種以上(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド等)製造する。各々の積層体に、例えば、色分解フィルタを介して、画像に基づくデジタル信号に従うレーザー光照射を行い、それに続いて、熱転写シートと受像シートとを剥離し、各受像シートに各色の色分解画像を独立に形成する。次に、形成された各々の色分解画像を、別に用意した印刷本紙等の実際の支持体、もしくはそれに近似した支持体上に順次積層させることにより、多色の画像を形成することができる。
【0061】
レーザー光照射を用いる熱転写シートは、レーザービームを熱に変換しその熱エネルギーを利用して顔料を含む画像形成層を受像シートに薄膜転写方式により、受像シート上に画像を形成することが好ましいものであるが、それら熱転写シート及び受像シートからなる画像形成材料の開発に用いた技術は、適宜、溶融型転写方式、アブレーションによる転写方式、昇華型転写方式等の熱転写シート及び/又は受像シートの開発に応用し得るものであり、本発明のシステムはこれら方式に用いる画像形成材料も包含し得る。
【0062】
以下に、熱転写シート及び受像シートについて詳述する。
[熱転写シート]
熱転写シートは、支持体上に、少なくとも画像形成層を有し、好ましくは、光熱変換層を有し、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
【0063】
(支持体)
熱転写シートの支持体の材料には特に限定はなく、各種の支持体材料を目的に応じて用いることができる。支持体は剛性を有し、寸法安定性が良く、画像形成の際の熱に耐えるものが好ましい。支持体材料の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド(芳香族または脂肪族)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン等の合成樹脂材料を挙げることができる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考慮すると好ましい。尚、レーザー記録を利用したカラープルーフの作製に用いる場合には、熱転写シートの支持体はレーザー光を透過させる透明な合成樹脂材料から形成するのが好ましい。支持体の厚みは25〜130μmであることが好ましく、50〜120μmであることが特に好ましい。画像形成層側の支持体の中心線平均表面粗さRa(表面粗さ測定機(Surfcom,東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき測定)は0.1μm未満であることが好ましい。支持体の長手方向のヤング率は200〜1200Kg/mm(≒2〜12GPa)が好ましく、幅方向のヤング率は250〜1600Kg/mm(≒2.5〜16GPa)であることが好ましい。支持体の長手方向のF−5値は、好ましくは5〜50Kg/mm(≒49〜490MPa)、支持体幅方向のF−5値は、好ましくは3〜30Kg/mm (≒29.4〜294MPa)であり、支持体長手方向のF−5値が支持体幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りではない。また、支持体の長手方向および幅方向の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100Kg/mm (≒49〜980MPa)、弾性率は100〜2000Kg/mm(≒0.98〜19.6GPa) が好ましい。
【0064】
熱転写シートの支持体には、その上に設けられる光熱変換層との密着性を向上させるために、表面活性化処理及び/又は一層又は二層以上の下塗層の付設を行ってもよい。表面活性化処理の例としては、グロー放電処理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下塗層の材料としては、支持体と光熱変換層の両表面に高い接着性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に優れたものであることが好ましい。そのような下塗層の材料の例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体の厚さは通常0.01〜2μmである。また、熱転写シートの光熱変換層付設側とは反対側の表面には、必要に応じて、反射防止層や帯電防止層等の各種の機能層の付設、あるいは表面処理を行うこともできる。
(バック層)
本発明の熱転写シートの光熱変換層付設側とは反対側の表面には、バック層を設けることが好ましい。バック層は支持体に隣接する第1のバック層とこの第1のバック層の支持体とは反対側に設けられた第2のバック層との2層で構成されることが好ましい。本発明では、第1のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Aと第2のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Bとの比B/Aは0.3未満であることが好ましい。B/Aが0.3以上であると滑り性及びバック層の粉落ちが悪化する傾向がある。
【0065】
第1のバック層の層厚Cは0.01〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmであることがさらに好ましい。また、第2のバック層の層厚Dは0.01〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmであることがさらに好ましい。これら第1及び第2のバック層の層厚の比C:Dは1:2〜5:1であることが好ましい。
【0066】
第1及び第2のバック層に使用される帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェート等のアニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、導電性樹脂等の化合物が使用できる。
【0067】
また、導電性微粒子を帯電防止剤として用いることもできる。このような導電性微粒子としては、例えば、ZnO、TiO 、SnO 、Al 、In 、MgO、BaO、CoO、CuO、CuO、CaO、SrO、BaO、PbO、PbO 、MnO 、MoO 、SiO 、ZrO 、AgO、Y 、Bi、Ti3 、Sb3 、Sb5 、KTi13、NaCaP18、MgB等の酸化物;CuS、ZnS等の硫化物;SiC、TiC、ZrC、VC、NbC、MoC、WC等の炭化物;Si 、TiN、ZrN、VN、NbN、CrN等の窒化物;TiB 、ZrB、NbB 、TaB 、CrB、MoB、WB、LaB 等の硼化物;TiSi 、ZrSi 、NbSi 、TaSi 、CrSi 、MoSi 、WSi 等の珪化物;BaCO 、CaCO 、SrCO 、BaSO 、CaSO 等の金属塩;SiN −SiC、9Al −2B 等の複合体が挙げられ、これら1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、SnO 、ZnO、Al 、TiO 、In 、MgO、BaO及びMoOが好ましく、SnO 、ZnO、In及びTiO がさらに好ましく、SnO が特に好ましい。
【0068】
なお、本発明の熱転写材料をレーザー熱転写記録方式に用いる場合、バック層に用いる帯電防止剤はレーザー光を透過できるように実質的に透明であることが好ましい。
【0069】
導電性金属酸化物を帯電防止剤として使用する場合には、その粒子径は光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子とバインダーの屈折率の比をパラメータとして使用して決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。一般に平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲であり、0.003〜0.2μmの範囲が好ましい。ここでいう、平均粒子径とは、導電性金属酸化物の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0070】
第1及び第2のバック層には帯電防止剤の他に、界面活性剤、滑り剤及びマット剤等の各種添加剤やバインダーを添加することができる。第1のバック層に含まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に対して10〜1000質量部が好ましく、200〜800質量部がさらに好ましい。また、第2のバック層に含まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に対して0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がさらに好ましい。
【0071】
第1及び第2のバック層の形成に使用されるバインダーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル酸系モノマーの単独重合体及び共重合体、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合物の共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物のような光重合性若しくは熱重合性化合物を重合、架橋させたポリマー、メラミン化合物等を挙げることができる。
【0072】
(光熱変換層)
光熱変換層は、光熱変換物質、バインダー、及び必要に応じてマット剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
光熱変換物質は、照射される光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有する物質である。一般的には、レーザー光を吸収することのできる色素(顔料を含む。以下、同様である。)である。赤外線レーザーにより画像記録を行う場合は、光熱変換物質としては、赤外線吸収色素を用いるのが好ましい。前記色素の例としては、カーボンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン等の可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の顔料、光ディスク等の高密度レーザー記録のレーザー吸収材料として使用される有機染料(インドレニン染料等のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色素、フタロシアニン系染料)、及びジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物色素を挙げることができる。中でも、シアニン系色素は、赤外線領域の光に対して、高い吸光係数を示すので、光熱変換物質として使用すると、光熱変換層を薄層化することができ、その結果、熱転写シートの記録感度をより向上させることができるので好ましい。
光熱変換物質としては、色素以外にも、黒化銀等の粒子状の金属材料等、無機材料を用いることもできる。
【0073】
光熱変換層に含有されるバインダーとしては、支持体上に層を形成し得る強度を少なくとも有し、高い熱伝導率を有する樹脂が好ましい。更に、画像記録の際に、光熱変換物質から生じる熱によっても分解しない、耐熱性を有する樹脂であると、高エネルギーの光照射を行っても、光照射後の光熱変換層の表面の平滑性を維持できるので好ましい。
本発明は、光熱変換層のバインダーは、熱分解温度(TGA法(熱質量分析法)で10℃/分の昇温速度で、空気気流中で質量が50%減少する温度)が370℃以上であることが好ましく、熱分解温度(TGA法で10℃/分の昇温速度で、空気気流中で5%質量減少する温度)が400℃以上の樹脂が更に好ましく、後者の熱分解温度が500℃以上の樹脂が特に好ましい。また、バインダーは、200〜400℃のガラス転移温度を有するのが好ましく、250〜350℃のガラス転移温度を有するのがより好ましい。ガラス転移温度が200℃より低いと、形成される画像にカブリが発生する場合があり、400℃より高いと、樹脂の溶解性が低下し、生産効率が低下する場合がある。
尚、光熱変換層のバインダーの耐熱性(例えば、熱変形温度や熱分解温度)は、光熱変換層上に設けられる他の層に使用される材料と比較して、より高いのが好ましい。
【0074】
具体的には、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル酸系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アラミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、尿素/メラミン樹脂等が挙げられ、単独または組み合わせて用いられる。これらの中でも、ポリアミドイミド樹脂やポリイミド樹脂が好ましい。
【0075】
好ましく用いられるポリアミドイミドは、下記一般式(A)で表されるポリアミドイミドである。
【0076】
【化1】
Figure 2004106230
【0077】
上記一般式(A)中、Rは2価の連結基を表す。2価の連結基の好ましい具体例を下記する。
【0078】
【化2】
Figure 2004106230
【0079】
【化3】
Figure 2004106230
【0080】
なかでも、(6)、(7)、(11)、(14)の連結基が好ましい。
【0081】
これらの二価の連結基は、単独であってもよいし複数個が結合したものであってもよい。
【0082】
一般式(A)で表されるポリアミドイミドの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されポリスチレン換算値として、3000〜50000が好ましく、10000〜25000がより好ましい。
【0083】
また、ポリイミド樹脂は、特に、下記一般式(I)〜(VIII)で表される。
【0084】
【化4】
Figure 2004106230
【0085】
前記一般式(I)及び(II)中、Arは、下記構造式(1)〜(3)で表される芳香族基を示し、nは、10〜100の整数を示す。
【0086】
【化5】
Figure 2004106230
【0087】
【化6】
Figure 2004106230
【0088】
前記一般式(III)及び(IV)中、Arは、下記構造式(4)〜(7)で表される芳香族基を示し、nは、10〜100の整数を示す。
【0089】
【化7】
Figure 2004106230
【0090】
【化8】
Figure 2004106230
【0091】
前記一般式(V)〜(VII)中、n及びmは10〜100の整数を示す。式(VI)において、n:mの比は6:4〜9:1である。
【0092】
尚、樹脂が有機溶媒に可溶であるか否かを判断する目安としては、25℃において、樹脂がN−メチルピロリドン100質量部に対して、10質量部以上溶解することを基準とし、10質量部以上溶解する場合は、光熱変換層用の樹脂として好ましく用いられる。より好ましくは、N−メチルピロリドン100質量部に対して、100質量部以上溶解する樹脂である。
【0093】
また、光熱変換層に含まれるバインダーとしてのポリアミドイミドなどの樹脂の沖津法により算出されるSP(溶解パラメーター)値は、25以上であることが好ましい。光熱変換層に含有される樹脂のSP値を25以上とすることにより、赤外線吸収色素等の光熱変換物質やその分解物が画像形成層に移行する量が低減され、色相が良好で安定した転写画像が得られる。
なお、沖津法については日本接着学会誌vol.29 No.5(1993)に詳しい。
【0094】
上記光熱変換物質は、照射される光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有する物質である。一般的には、レーザー光を吸収することのできる色素(顔料を含む。以下、同様である。)である。赤外線レーザーにより画像記録を行う場合は、光熱変換物質としては、赤外線吸収色素を用いるのが好ましい。前記色素の例としては、カーボンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン等の可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の顔料、光ディスク等の高密度レーザー記録のレーザー吸収材料として使用される有機染料(インドレニン染料等のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色素、フタロシアニン系染料)、及びジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物色素を挙げることができる。中でも、シアニン系色素は、赤外線領域の光に対して、高い吸光係数を示すので、光熱変換物質として使用すると、光熱変換層を薄層化することができ、その結果、熱転写シートの記録感度をより向上させることができるので好ましい。
光熱変換物質としては、色素以外にも、黒化銀等の粒子状の金属材料等、無機材料を用いることもできる。
【0095】
光熱変換物質として、優れた耐熱性を有し、塗布液が経時しても分解することなく吸光度が低下しないことから、下記一般式(B)で表される化合物が極めて好ましく、特に前述したように前記ポリアミドイミド樹脂と組み合わせると有効である。
【0096】
【化9】
Figure 2004106230
【0097】
上記式中、Zによって完成される環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環、ピラジン環、キノキサリン環等を挙げることができる。また、Z上には、更に他の置換基Rを結合させてもよい。このような置換基Rとしては、例えば、アルキル基、アリール基、複素環残基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボン酸基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、シアノ基、ニトロ基等の種々の置換基を挙げることができる。そして、Z上に結合される上記置換基の数(p)は、通常、0又は1〜4程度が好ましい。尚、pが2以上であるとき、複数のRは互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
【0098】
で表される置換基の中でも、ハロゲン原子(例えば、F、Cl等)、シアノ基、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエトキシ基等)、炭素原子数6〜20の置換若しくは非置換のフェノキシ基(例えば、フェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ基等)、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ペンチル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基等)、炭素原子数6〜20の置換若しくは非置換のフェニル基(例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基等)等が好ましい。
【0099】
前記一般式(B)において、Tは、−O−、−S−、−Se−、−N(R)−、−C(R)(R)−、又は−C(R)=C(R)−を表す。この場合、R、R、R、R及びRで表される基としては、置換若しくは非置換の、アルキル基、アリール基及びアルケニル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。R〜R で表される基の炭素原子数は1〜30が好ましく、特に1〜20が好ましい。
【0100】
また、これらR〜Rで表される基が更に置換基を有する場合には、置換基としては、スルホン酸基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミド基、アルキルスルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基、アルキルカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基等が好ましい。
【0101】
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子(例えば、F、Cl等)、シアノ基、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエトキシ基等)、炭素原子数6〜20の置換若しくは非置換のフェノキシ基(例えば、フェノキシ基、3,5−ジ−クロロフェノキシ基、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ基等)、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ペンチル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基等)又は炭素原子数6〜20の置換若しくは非置換のフェニル基(例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基等)が特に好ましい。R〜Rとしては、炭素原子数1〜8の非置換アルキル基が最も好ましく、Tとしては、−C(CH−が特に好ましい。
【0102】
一般式(B)中のLは、5個若しくは7個のメチン基が共役二重結合によって連結されて生じる3価の連結基を表し、置換されていてもよい。即ち、Lは、メチン基が共役二重結合で連結されて生じるペンタメチン基、或いはヘプタメチン基等を表すが、具体的には下記(L−1)〜(L−6)で表される基が好ましい。
【0103】
【化10】
Figure 2004106230
【0104】
上記具体例の中でも、(L−2)、(L−3)、(L−4)、(L−5)及び(L−6)として例示されるトリカルボシアニンを形成する連結基が特に好ましい。上記式(L−1)〜(L−6)において、Yは、水素原子又は1価の基を表す。Yで表される1価の基としては、低級アルキル基(メチル基等)、低級アルコキシ基(メトキシ基等)、置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、モルホリノ基、イミダゾリジン基、エトキシカルボニルピペラジン基等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセトキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基等)、ジアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(Br、Cl、F等)等が好ましい。
【0105】
Yで表される基のうち特に好ましいものは水素原子であり、R及びRのうち特に好ましいものは、それぞれ水素原子又は低級アルキル基(メチル基等)である。また、前記(L−4)〜(L−6)において、iは1又は2であり、jは0又は1である。Mは、2価の連結基を表し、好ましくは置換若しくは非置換の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表す。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
一般式(B)の中で、Xで表される陽イオンとしては、例えば、金属イオン(Na、K)、アンモニウムイオン(例えば、HN(Cで表されるイオン等)、ピリジニウムイオン等が挙げられる。
一般式(B)で表される化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0106】
【化11】
Figure 2004106230
【0107】
【化12】
Figure 2004106230
【0108】
【化13】
Figure 2004106230
【0109】
上記一般式(B)で表される化合物は、通常、カルボシアニン色素を合成する場合と同様にして、容易に合成することができる。即ち、ヘテロ環エナミンを、CHO−CH=CH−CH=CH−CH(OCH等のアセタール類あるいはPhN−CH−(CH−CH)−NHPhで表される化合物等と反応させることによって容易に合成することができる。ここでPhはフェニル基を表す。また、これらの化合物の合成方法については、具体的には、特開平5−116450号公報の記載等も参照することができる。
【0110】
光熱変換物質の分解温度が高く分解されにくければ、その分解物の着色によるカブリの故障を防止できるという観点から、光熱変換物質の分解温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。該分解温度が200℃より低いと光熱変換物質の分解により、その分解物の着色がカブリとなり、画質を低下させることがある。
【0111】
本発明においては、上記一般式(B)で表される化合物が光熱変換物質の主成分として含有されることが好ましいが、一般式(B)で表される化合物を用いる効果を損ねない範囲で、更に従来公知の光熱変換物質を含有してもよい。従来公知の光熱変換物質とは、一般的にはレーザ光を吸収することのできる色素(顔料等)であり、このような色素(顔料等)の例としては、カーボンブラックのような黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニンのような可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の顔料、光ディスク等の高密度レーザ記録のレーザ吸収材料として使用される有機染料(本発明に係るインドレニン染料以外のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色素、フタロシアニン系染料)、及びジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物色素が挙げられる。
【0112】
光熱変換層に含有されるマット剤としては、無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。この無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイソウ土、バーライト、ベントナイト、雲母、合成雲母等が挙げられる。有機微粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン−アクリル共重合体樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0113】
マット剤の粒径は、通常、0.3〜30μmであり、好ましくは0.5〜20μmであり、添加量は0.1〜100mg/mが好ましい。
【0114】
光熱変換層には、更に必要に応じて、界面活性剤、増粘剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。
【0115】
光熱変換層は、光熱変換物質とバインダーとを溶解し、これに必要に応じてマット剤及びその他の成分を添加した塗布液を調製し、これを支持体上に塗布し、乾燥することにより設けることができる。ポリイミド樹脂を溶解するための有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジグライム、キシレン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジメチルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、エタノール、メタノール等が挙げられる。塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥方法を利用して行うことができる。乾燥は、通常、300℃以下の温度で行い、200℃以下の温度で行うのが好ましい。支持体として、ポリエチレンテレフタレートを使用する場合は、80〜150℃の温度で乾燥するのが好ましい。
【0116】
光熱変換層におけるバインダーの量が少なすぎると、光熱変換層の凝集力が低下し、形成画像が受像シートに転写される際に、光熱変換層が一緒に転写されやすくなり、画像の混色の原因となる。またポリイミド樹脂が多すぎると、一定の光吸収率を達成するために光熱変換層の層厚が大きくなって、感度低下を招きやすい。光熱変換層における光熱変換物質とバインダーとの固形分質量比は、1:20〜2:1であるのが好ましく、特に、1:10〜2:1であるのがより好ましい。
また、光熱変換層を薄層化すると、前記した様に、熱転写シートを高感度化できるので好ましい。光熱変換層は、0.03〜1.0μmであるのが好ましく、0.05〜0.5μmであるのがより好ましい。また、光熱変換層は、波長808nmの光に対して、0.80〜1.26の光学濃度を有していると、画像形成層の転写感度が向上するので好ましく、前記波長の光に対して0.92〜1.15の光学濃度を有しているとより好ましい。レーザーピーク波長における光学濃度が0.80未満であると、照射された光を熱に変換することが不充分となり、転写感度が低下することがある。一方、1.26を超えると、記録時に光熱変換層の機能に影響を与え、かぶりが発生することがある。
【0117】
(画像形成層)
画像形成層は、受像シートに転写されて画像を形成するための顔料を少なくとも含有し、更に、層を形成するためのバインダー、及び所望により、その他の成分を含有する。また、上記光熱変換層を設けない場合には、上記と同様の光熱変換物質を画像形成層へ用いることができる。
顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、前者は特に塗膜の透明性に優れ、後者は一般に隠蔽性に優れる等の特性を有しているので、用途に応じて、適宜選択すればよい。前記熱転写シートを印刷色校正用に用いる場合には、印刷インキに一般に使用されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)、オレンジ、ピンク(Pi)、パープル(Pu)、ブラウン(Br)、ホワイト(W)、グレー、ゴールド(Go)、シルバー(S)等と一致するか、あるいは色調が近い有機顔料が好適に使用される。またその他にも、金属粉、蛍光顔料等も用いる場合がある。好適に使用される有機顔料の例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。画像形成層に用いられる顔料を、色相別に分けて、以下に列挙するが、これらに限定されるものではない。
【0118】
1)イエロー顔料
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 12(C.I.No.21090)
例)Permanent Yellow(パーマネントイエロー) DHG(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Yellow(リオノールイエロー) 1212B(東洋インキ製造(株)製)、Irgalite Yellow(イルガライトイエロー) LCT(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Symuler Fast Yellow(シムラーファーストイエロー) GTF 219(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 13(C.I.No.21100)
例)Permanent Yellow(パーマネントイエロー) GR(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Yellow(リオノールイエロー) 1313(東洋インキ製造(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 14(C.I.No.21095)
例)Permanent Yellow(パーマネントイエロー) G(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Yellow(リオノールイエロー) 1401−G(東洋インキ製造(株)製)、Seika Fast Yellow(セイカファーストイエロー) 2270(大日精化工業(株)製)、Symuler Fast Yellow(シムラーファーストイエロー) 4400(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 17(C.I.No.21105)
例)Permanent Yellow(パーマネントイエロー) GG02(クラリアントジャパン(株)製)、Symuler Fast Yellow(シムラーファーストイエロー) 8GF(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 155
例)Graphtol Yellow(グラフトールイエロー) 3GP(クラリアントジャパン(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.No.21290)
例)Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) P−HG(クラリアントジャパン(株)製)、PV Fast Yellow(ファーストイエロー) HG(クラリアントジャパン(株)製)
Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 139(C.I.No.56298)
例)Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) M2R 70(クラリアントジャパン(株)製)
【0119】
2)マゼンタ顔料
Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.15850:1)
例)Graphtol Rubine(グラフトールルビン) L6B(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G(東洋インキ製造(株)製)、Irgalite Rubine(イルガライトルビン) 4BL(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリアントカーミン) 6B−229(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Red(ピグメントレッド) 122(C.I.No.73915)
例)Hosterperm Pink(ホスターパームピンク) E(クラリアントジャパン(株)製)、Lionogen Magenta(リオノゲンマゼンタ) 5790(東洋インキ製造(株)製)、Fastogen Super Magenta(ファストゲンスーパーマゼンタ) RH(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Red(ピグメントレッド) 53:1(C.I.No.15585:1)
例)Permanent Lake Red(パーマネントレイクレッド) LCY(クラリアントジャパン(株)製)、Symuler Lake Red(シムラーレイクレッド) C conc(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Red(ピグメントレッド) 48:2(C.I.No.15865:2)
例)Permanent Red(パーマネントレッド) W2T(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Red(リオノールレッド) LX235(東洋インキ製造(株)製)、Symuler Red(シムラーレッド)
3012(大日本インキ化学工業(株)製)Pigment Red(ピグメントレッド) 177(C.I.No.65300)
例)Cromophtal Red(クロモフタルレッド) A2B(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)
【0120】
3)シアン顔料
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15(C.I.No.74160)
例)Lionol Blue(リオノールブルー) 7027(東洋インキ製造(株)製)、Fastogen Blue(ファストゲンブルー) BB(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:1(C.I.No.74160)
例)Hosterperm Blue(ホスターパームブルー) A2R(クラリアントジャパン(株)製)、Fastogen Blue(ファストゲンブルー) 5050(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:2(C.I.No.74160)
例)Hosterperm Blue(ホスターパームブルー) AFL(クラリアントジャパン(株)製)、Irgalite Blue(イルガライトブルー) BSP(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fastogen Blue(ファストゲンブルー) GP(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:3(C.I.No.74160)
例)Hosterperm Blue(ホスターパームブルー) B2G(クラリアントジャパン(株)製)、Lionol Blue(リオノールブルー)FG7330(東洋インキ製造(株)製)、Cromophtal Blue(クロモフタルブルー) 4GNP(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fastogen Blue(ファストゲンブルー) FGF(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No.74160)
例)Hosterperm Blue(ホスターパームブルー) BFL(クラリアントジャパン(株)製)、Cyanine Blue(シアニンブルー)700−10FG(東洋インキ製造(株)製)、Irgalite Blue(イルガライトブルー) GLNF(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fastogen Blue(ファストゲンブルー) FGS(大日本インキ化学工業(株)製)
【0121】
4)ブラック顔料
Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック
C.I.No.77266)
例)三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)、Black Pearls(ブラックパールズ) 430(Cabot Co.(キャボット社)製)
【0122】
5)レッド顔料
Pigment Red(ピグメントレッド) 48:1(C.I.No.15865:1)
例)Lionol Red(リオノールレッド) 2B−FG3300(東洋インキ製造(株)製)、Symuler Red(シムラーレッド) NRY、シムラーレッド 3108(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Red(ピグメントレッド) 48:3(C.I.No.15865:3)
例)Permanent Red(パーマネントレッド) 3RL(クラリアントジャパン(株)製)、Symuler Red(シムラーレッド) 2BS(大日本インキ化学工業(株)製)
【0123】
6)ブルー顔料
Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:6(C.I.No.74160)
例)Lionol Blue(リオノールブルー) ES(東洋インキ製造(株)製)
Pigment Blue(ピグメントブルー) 60(C.I.No.69800)
例)Hosterperm Blue(ホスターパームブルー) RL01(クラリアントジャパン(株)製)、Lionogen Blue(リオノゲンブルー) 6501(東洋インキ製造(株)製)
【0124】
7)グリーン顔料
Pigment Green(ピグメントグリーン) 7(C.I.No.74260)
例)Fastogen Green(ファストゲングリーン) S(大日本インキ化学工業(株)製)
Pigment Green(ピグメントグリーン) 36(C.I.No.74265)
例)Fastogen Green(ファストゲングリーン) MY(大日本インキ化学工業(株)製)
【0125】
8)オレンジ顔料
Pigment Orange(ピグメントオレンジ) 43(C.I.No.71105)
例)Hosterperm Orange(ホスターパームオレンジ) GR(クラリアントジャパン(株)製)
12)ピンク顔料
蛍光染料C.I.No.45160、蛍光染料C.I.No.45005、Pigment Red(ピグメントレッド)57:1の3種の混合
13)パープル顔料
Pigment Violet(ピグメントバイオレット)3、Pigment Violet(ピグメントバイオレット)23、Pigment Violet(ピグメントバイオレット)19
14)ブラウン顔料
Pigment Yellow(ピグメントイエロー)180、Pigment Red(ピグメントレッド)177、Pigment Blue(ピグメントブルー)15:4の3種の混合
15)ホワイト顔料
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化バリウム
16)ゴールド顔料
雲母、アルミニウム粉
18)シルバー顔料
雲母、アルミニウム粉
【0126】
また、本発明で用いることのできる顔料としては、「顔料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、1989」、「COLOUR INDEX、THE  SOCIETY OF DYES & COLOURIST、THIRD  EDITION、1987」などを参照して適宜商品を選択できる。
【0127】
前記顔料の平均粒径としては、0.03〜1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。
前記粒径が0.03μm以上であると、分散コストが上がったり、分散液がゲル化等を起こすこともなく、一方、1μm以下にすると、顔料中に粗大粒子が存在しないので、画像形成層と受像層との密着性が良好であり、また、画像形成層の透明性を改良することもできる。
【0128】
画像形成層のバインダーとしては、軟化点が40〜150℃の非晶質有機高分子重合体が好ましい。前記非晶質有機高分子重合体としては、例えば、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独あるいは他の単量体等との共重合体を用いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用いることもできる。
【0129】
画像形成層は、顔料を30〜70質量%含有しているのが好ましく、30〜50質量%含有しているのがより好ましい。また、画像形成層は、樹脂を70〜30質量%含有しているのが好ましく、70〜40質量%含有しているのがより好ましい。
【0130】
前記画像形成層は、以下の▲1▼〜▲3▼の成分を前記その他の成分として含有することができる。
▲1▼ワックス類
ワックス類としては、鉱物系のワックス類、天然ワックス類、合成ワックス類等が挙げられる。前記鉱物系のワックスの例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エステルワックス、酸化ワックス等の石油ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。なかでも、パラフィンワックスが好ましい。該パラフィンワックスは、石油から分離されるものであり、その融点によって各種のものが市販されている。
前記天然ワックスの例としては、カルナバロウ、木ロウ、オウリキュリーロウ、エスパルロウ等の植物ロウ、密ロウ、昆虫ロウ、セラックロウ、鯨ロウ等の動物ロウが挙げられる。
【0131】
前記合成ワックスは、一般に滑剤として用いられ、通常は高級脂肪酸系の化合物からなる。このような合成ワックスの例としては、下記のものが挙げられる。
1)脂肪酸系ワックス
下記一般式で表される直鎖の飽和脂肪酸:
CH(CHCOOH
前記式中、nは6〜28の整数を示す。具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
また、上記脂肪酸等の金属塩(例えば、K、Ca、Zn、Mgなど)が挙げられる。
2)脂肪酸エステル系ワックス
前記脂肪酸のエステルの具体例としては、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ラウリル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ヘキシル、ミリスチン酸ベヘニル等が挙げられる。
3)脂肪酸アミド系ワックス
前記脂肪酸のアミドの具体例としては、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド等が挙げられる。
4)脂肪族アルコール系ワックス
下記一般式で表される直鎖飽和脂肪族アルコール:
CH(CHOH
前記式中、nは6〜28の整数を表す。具体例としては、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0132】
前記1)〜4)の合成ワックスのなかでも、特にステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド等の高級脂肪酸アミドが好適である。尚、前記ワックス系化合物は、所望により単独もしくは適宜組み合わせて使用することができる。
【0133】
▲2▼可塑剤
前記可塑剤としては、エステル化合物が好ましく、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸トリエステル類、ポリエチレングリコールエステル等のポリオールポリエステル類、エポキシ脂肪酸エステル等のエポキシ化合物等、公知の可塑剤が挙げられる。これらの中でもビニルモノマーのエステル、特に、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが、添加による転写感度の向上や転写ムラの改良効果、及び破断伸びの調節効果が大きい点で好ましい。
【0134】
前記アクリル酸又はメタクリル酸のエステル化合物としては、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトール−ポリアクリレート等が挙げられる。
【0135】
また、前記可塑剤は高分子であってもよく、なかでもポリエステルは、添加効果が大きい点、及び保存条件下で拡散し難い点等で好ましい。該ポリエステルとしては、例えば、セバシン酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル等が挙げられる。
尚、画像形成層中に含有させる前記添加剤は、これらに限定されるものではない。また、可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0136】
画像形成層中の前記添加剤の含有量が多すぎると、転写画像の解像度が低下したり、画像形成層自身の膜強度が低下したり、光熱変換層と画像形成層との密着力の低下による未露光部の受像シートへの転写が起きる場合がある。上記観点から、前記ワックス類の含有量としては、画像形成層中の全固形分の0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。また、前記可塑剤の含有量としては、画像形成層中の全固形分の0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0137】
▲3▼その他
画像形成層は、更に、上記の成分の他に、界面活性剤、無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲル等)、オイル類(アマニ油、鉱油等)、増粘剤、帯電防止剤等を含有してもよい。黒色の画像を得る場合を除き、画像記録に用いる光源の波長を吸収する物質を含有することで、転写に必要なエネルギーを少なくできる。光源の波長を吸収する物質としては、顔料、染料のいずれでも構わないが、カラー画像を得る場合には、画像記録に半導体レーザー等の赤外線の光源を使用して、可視部に吸収の少ない、光源の波長の吸収の大きな染料を使用することが、色再現上好ましい。近赤外線染料の例としては、特開平3−103476号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0138】
画像形成層は、顔料と前記バインダー等とを溶解又は分散した塗布液を調製し、これを光熱変換層上(光熱変換層上に下記感熱剥離層が設けられている場合は、該層上)に塗布し、乾燥することにより設けることができる。塗布液の調製に使用される溶媒としては、n−プロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)、メタノール、水等が挙げられる。塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥方法を利用して行うことができる。
【0139】
前記熱転写シートの光熱変換層の上には、光熱変換層で発生した熱の作用により気体を発生するか、付着水等を放出し、これにより光熱変換層と画像形成層との間の接合強度を弱める感熱材料を含む感熱剥離層を設けることができる。そのような感熱材料としては、それ自身が熱により分解若しくは変質して気体を発生する化合物(ポリマー又は低分子化合物)、水分等の易気化性気体を相当量吸収若しくは吸着している化合物(ポリマー又は低分子化合物)等を用いることができる。これらは併用してもよい。
【0140】
熱により分解若しくは変質して気体を発生するポリマーの例としては、ニトロセルロースのような自己酸化性ポリマー、塩素化ポリオレフィン、塩素化ゴム、ポリ塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのようなハロゲン含有ポリマー、水分等の揮発性化合物が吸着されているポリイソブチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、水分等の揮発性化合物が吸着されているエチルセルロース等のセルロースエステル、水分等の揮発性化合物が吸着されているゼラチン等の天然高分子化合物等を挙げることができる。熱により分解若しくは変質して気体を発生する低分子化合物の例としては、ジアゾ化合物やアジド化のような発熱分解して気体を発生する化合物を挙げることができる。
尚、上記のような、熱による感熱材料の分解や変質等は280℃以下で発生することが好ましく、特に230℃以下で発生することが好ましい。
【0141】
感熱剥離層の感熱材料として低分子化合物を用いる場合には、バインダーと組み合わせることが望ましい。バインダーとしては、上記のそれ自身が熱により分解若しくは変質して気体を発生するポリマーを用いることもできるが、そのような性質を持たない通常のバインダーを使用することもできる。感熱性の低分子化合物とバインダーとを併用する場合には、前者と後者の質量比は0.02:1〜3:1であることが好ましく、0.05:1〜2:1であることが更に好ましい。感熱剥離層は、光熱変換層を、そのほぼ全面にわたって被覆していることが望ましく、その厚さは一般に0.03〜1μmであり、0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0142】
支持体の上に、光熱変換層、感熱剥離層、画像形成層がこの順に積層された構成の熱転写シートの場合には、感熱剥離層は、光熱変換層から伝えられる熱により分解、変質し、気体を発生する。そして、この分解あるいは気体発生により、感熱剥離層が一部消失するか、あるいは感熱剥離層内で凝集破壊が発生し、光熱変換層と画像形成層との間の結合力が低下する。このため、感熱剥離層の挙動によっては、その一部が画像形成層に付着して、最終的に形成される画像の表面に現われ、画像の混色の原因となることがある。従って、そのような感熱剥離層の転写が発生しても、形成された画像に目視的な混色が現われないように、感熱剥離層はほとんど着色していないこと、即ち、可視光に対して高い透過性を示すことが望ましい。具体的には、感熱剥離層の光吸収率が、可視光に対し、50%以下、好ましくは10%以下である。
尚、前記熱転写シートには、独立した感熱剥離層を設ける代わりに、前記の感熱材料を光熱変換層塗布液に添加して光熱変換層を形成し、光熱変換層と感熱剥離層とを兼ねるような構成とすることもできる。
【0143】
熱転写シートの画像形成層が塗設されている側の最表層の静摩擦係数を0.35以下、好ましくは0.20以下にすることは好ましい。最表層の静摩擦係数を0.35以下とすることで熱転写シートを搬送する際のロール汚れをなくし、形成される画像を高画質化し得る。静摩擦係数の測定法は特願2000−85759の段落(0011)に記載の方法に従う。
画像形成層表面のスムースター値が23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ましく、かつRaが0.05〜0.4μmであることが好ましく、このことにより接触面に受像層と画像形成層とが接触し得ない多数のミクロな空隙を少なく出来、転写、更には画質の点で好ましい。前記Ra値は、表面粗さ測定機(Surfcom,東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき測定することができる。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上であることが好ましい。米国連邦政府試験基準4046により熱転写シートに帯電させた後、熱転写シートを接地後1秒後の画像形成層の帯電電位が−100〜100Vであることが好ましい。画像形成層の表面抵抗が23℃、55%RHで10Ω以下であることが好ましい。
【0144】
次に前記熱転写シートと組み合わされて使用され得る受像シートについて説明する。
[受像シート]
(層構成)
受像シートは、通常、支持体と、その上に、1以上の受像層が設けられ、所望により、支持体と受像層との間にクッション層、剥離層、及び中間層のいずれか1層又は2層以上を設けた構成である。また、支持体の受像層とは反対側の面に、バック層を有すると、搬送性の点で好ましい。
【0145】
(支持体)
支持体としては、プラスチックシート、金属シート、ガラスシート、樹脂コート紙、紙、及び各種複合体等のような通常のシート状の基材が挙げられる。プラスチックシートの例としては、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリカーボネートシート、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニリデンシート、ポリスチレンシート、スチレン−アクリロニトリルシート、ポリエステルシート等を挙げることができる。また、紙としては印刷本紙、コート紙等を用いることができる。
【0146】
支持体が、微小な空隙(ボイド)を有すると、画質を向上させることができるので好ましい。このような支持体は、例えば、熱可塑性樹脂と、無機顔料や前記熱可塑性樹脂と非相溶性の高分子等からなる填料とを混合した混合溶融物を、溶融押出機によって単層又は多層のフィルムとし、更に1ないし2軸に延伸することにより作製することができる。この場合、樹脂及び填料の選定、混合比率、延伸条件等によって空隙率が決定される。
【0147】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、及びポリエチレンテレフタレート樹脂が、結晶性が良く、延伸性が良く、ボイドの形成も容易であるので好ましい。前記ポリオレフィン樹脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とし、それに適宜少量の他の熱可塑性樹脂を併用することが好ましい。前記填料として用いられる無機顔料としては、平均粒径が1〜20μmのものが好ましく、炭酸カルシウム、クレー、けいそう土、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ等を用いることができる。また、填料として用いられる非相溶性の樹脂としては、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いる場合は、ポリエチレンテレフタレートを填料として組み合わせるのが好ましい。微小な空隙(ボイド)を有する支持体の詳細は特願平11−290570に記載されている。
尚、支持体における、無機顔料等の填料の含有率は、体積で2〜30%程度が一般的である。
【0148】
受像シートの支持体の厚さは、通常10〜400μmであり、25〜200μmであるのが好ましい。また、支持体の表面は、受像層(あるいはクッション層)との密着性、又は熱転写シートの画像形成層との密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロー放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0149】
(受像層)
受像シートの表面には、画像形成層を転写し、これを固定するために、支持体上に、受像層を1以上設けることが好ましい。受像層は有機重合体バインダーを主体として形成される層であるのが好ましい。前記バインダーは、熱可塑性樹脂であることが好ましく、その例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの単独重合体及びその共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のようなビニル系モノマーの単独重合体及びその共重合体、ポリエステル、ポリアミド等のような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系ポリマーを挙げることができる。受像層のバインダーは、画像形成層との間の適度な接着力を得るために、ガラス転移温度(Tg)が90℃より低いポリマーであることが好ましい。このために、受像層に可塑剤を添加することも可能である。また、バインダーポリマーは、シート間のブロッキングを防ぐために、そのTgが30℃以上であることが好ましい。受像層のバインダーポリマーとしては、レーザー記録時の画像形成層との密着性を向上させ、感度や画像強度を向上させる点で、画像形成層のバインダーポリマーと同一、若しくは類似のポリマーを用いることが特に好ましい。
【0150】
受像層表面のスムースター値が23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ましく、かつRaが0.05〜0.4μmであることが好ましく、このことにより接触面に受像層と画像形成層とが接触し得ない多数のミクロな空隙を少なく出来、転写、更には画質の点で好ましい。前記Ra値は、表面粗さ測定機(Surfcom,東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき測定することができる。米国連邦政府試験基準4046により受像シートに帯電させた後、受像シートを接地後1秒後の受像層の帯電電位が−100〜100Vであることが好ましい。受像層の表面抵抗が23℃、55%RHで10Ω以下であることが好ましい。受像層表面の静止摩擦係数が0.2以下であることが好ましい。受像層表面の表面エネルギーが23〜35mg/mであることが好ましい。
【0151】
受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本紙等へ再転写する場合には、受像層の少なくとも一層を光硬化性材料から形成することも好ましい。このような光硬化性材料の組成としては、例えば、a)付加重合によって光重合体を形成しうる多官能ビニル又はビニリデン化合物の少なくとも一種からなる光重合性モノマー、b)有機ポリマー、c)光重合開始剤、及び必要に応じて熱重合禁止剤等の添加剤からなる組み合わせを挙げることができる。上記の多官能ビニルモノマーとしては、ポリオールの不飽和エステル、特にアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル(例えば、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)が用いられる。
【0152】
前記有機ポリマーとしては前記受像層形成用ポリマーが挙げられる。また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の通常の光ラジカル重合開始剤が、層中の0.1〜20質量%の割合で用いられる。
【0153】
受像層の厚みは0.3〜7μm、好ましくは0.7〜4μmである。0.3μm以上の場合、印刷本紙への再転写の際に膜強度が確保できる。4μm以下にすることで、本紙再転写後の画像の光沢が抑えられ、印刷物への近似性が改良される。
【0154】
(その他の層)
支持体と受像層との間に、クッション層を設けてもよい。クッション層を設けると、レーザー熱転写時に画像形成層と、受像層の密着性を向上させ、画質を向上させることができる。また、記録時、熱転写シートと受像シートの間に異物が混入しても、クッション層の変形作用により、受像層と画像形成層の空隙が小さくなり、結果として白ヌケ等の画像欠陥サイズを小さくすることもできる。更に、画像を転写形成した後、これを別に用意した印刷本紙等に転写する場合、紙凹凸表面に応じて受像表面が変形するため、受像層の転写性を向上することができ、また被転写物の光沢を低下させることによって、印刷物との近似性も向上させることができる。
【0155】
クッション層は、受像層に応力が加えられた際に変形し易い構成であり、前記効果を達成するには、低弾性率を有する材料、ゴム弾性を有する材料あるいは加熱により容易に軟化する熱可塑性樹脂からなるのが好ましい。クッション層の弾性率としては、室温で好ましくは0.5MPa〜1.0GPa、特に好ましくは1MPa〜0.5GPa、より好ましくは10〜100MPaである。また、ゴミ等の異物をめり込ませるためには、JIS K2530で定められた針入度(25℃、100g、5秒)が10以上であることが好ましい。また、クッション層のガラス転移温度は80℃以下、好ましくは25℃以下、軟化点は50〜200℃が好ましい。これらの物性、例えば、Tgを調節するために可塑剤をバインダー中に添加することも好適に行うことができる。
【0156】
クッション層のバインダーとして用いられる具体的な材料としては、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム等のゴム類の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、可塑剤入り塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
尚、クッション層の厚みは使用する樹脂その他の条件により異なるが、通常3〜100μm、好ましくは10〜52μmである。
【0157】
受像層とクッション層はレーザー記録の段階までは接着している必要があるが、画像を印刷本紙に転写するために、剥離可能に設けられていることが好ましい。剥離を容易にするためには、クッション層と受像層の間に剥離層を厚み0.1〜2μm程度で設けることも好ましい。層厚が大きすぎるとクッション層の性能が現われ難くなるため、剥離層の種類により調整することが必要である。
剥離層のバインダーとしては、具体的にポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリパラバン酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、エチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン,アクリロニトリルスチレン等のスチレン類及びこれら樹脂を架橋したもの、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アラミド等のTgが65℃以上の熱硬化性樹脂及びそれら樹脂の硬化物が挙げられる。硬化剤としてはイソシアナート、メラミン等の一般的硬化剤を使用することができる。
【0158】
上記物性に合わせて剥離層のバインダーを選ぶとポリカーボネート、アセタール、エチルセルロースが保存性の点で好ましく、更に受像層にアクリル系樹脂を用いるとレーザー熱転写後の画像を再転写する際に剥離性良好となり特に好ましい。
又、別に、冷却時に受像層との接着性が極めて低くなる層を剥離層として利用することができる。具体的には、ワックス類、バインダー等の熱溶融性化合物や熱可塑性樹脂を主成分とする層とすることができる。
熱溶融性化合物としては、特開昭63−193886号に記載の物質等がある。特にマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重合体、セルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0159】
このような剥離層には添加剤として、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、アミド類、高級アミン等を必要に応じて加えることができる。
剥離層の別の構成は、加熱時に溶融又は軟化することによって、それ自体が凝集破壊することで剥離性を持つ層である。このような剥離層には過冷却物質を含有させることが好ましい。
過冷却物質としては、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオキシエチレン、ベンゾトリアゾール、トリベンジルアミン、バニリン等が挙げられる。
更に、別の構成の剥離性層では、受像層との接着性を低下させるような化合物を含ませる。このような化合物としては、シリコーンオイルなどのシリコーン系樹脂;テフロン、弗素含有アクリル樹脂等の弗素系樹脂;ポリシロキサン樹脂;ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系樹脂;ポリエチレンワックス、アミドワックス等の固形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等を挙げることができる。
剥離層の形成方法としては、前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したものをブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、等の塗布法、ホットメルトによる押出しラミネーション法などが適用でき、クッション層上に塗布し形成することができる。又は、仮ベース上に前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したものを、上記の方法で塗布したものとクッション層とを貼り合わせた後に仮ベースを剥離して形成する方法がある。
【0160】
前記熱転写シートと組み合わされる受像シートは、受像層がクッション層を兼ねた構成であってもよく、その場合は、受像シートは、支持体/クッション性受像層、あるいは支持体/下塗り層/クッション性受像層の構成であってもよい。この場合も、印刷本紙への再転写が可能なようにクッション性受像層が剥離可能に設けられていることが好ましい。この場合、印刷本紙へ再転写後の画像は光沢に優れた画像となる。
尚、クッション性受像層の厚みは5〜100μm、好ましくは10〜40μmである。
【0161】
また、受像シートには、支持体の受像層が設けられている面とは反対側の面に、バック層を設けると、受像シートの搬送性が良化するので好ましい。前記バック層には、界面活性剤や酸化錫微粒子等による帯電防止剤、酸化珪素、PMMA粒子等によるマット剤を添加すると、記録装置内での搬送性を良化させる点で好ましい。
前記添加剤はバック層のみならず、必要によって受像層その他の層に添加することもできる。添加剤の種類についてはその目的により一概には規定できないが、例えば、マット剤の場合、平均粒径0.5〜10μmの粒子を層中、0.5〜80%程度添加することができる。帯電防止剤としては、層の表面抵抗が23℃、50%RHの条件で1012Ω以下、より好ましくは10Ω以下となるように、各種界面活性剤、導電剤の中から適宜選択して用いることができる。
【0162】
バック層に用いられるバインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エステル類、弗化ポリウレタン、ポリエーテルスルホンなど汎用ポリマーを使用することができる。
バック層のバインダーとして架橋可能な水溶性バインダーを用い、架橋させることは、マット剤の粉落ち防止やバック層の耐傷性の向上に効果がある。又、保存時のブロッキングにも効果が大きい。
この架橋手段は、用いる架橋剤の特性に応じて、熱、活性光線、圧力の何れか一つ又は組み合わせなどを特に限定なく採ることができる。場合によっては、支持体への接着性を付与するため、支持体のバック層を設ける側に任意の接着層を設けてもよい。
【0163】
バック層に好ましく添加されるマット剤としては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機系マット剤としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子などが挙げられる。
バック層は0.5〜5g/m程度の付量で設けられることが好ましい。0.5g/m未満では塗布性が不安定で、マット剤の粉落ち等の問題が生じ易い。又、5g/mを大きく超えて塗布されると好適なマット剤の粒径が非常に大きくなり、保存時にバック層による受像層面のエンボス化が生じ、特に薄膜の画像形成層を転写する熱転写では記録画像の抜けやムラが生じ易くなる。
マット剤は、その数平均粒径が、バック層のバインダーのみの層厚よりも2.5〜20μm大きいものが好ましい。マット剤の中でも、8μm以上の粒径の粒子が5mg/m以上が必要で、好ましくは6〜600mg/mである。これによって特に異物故障が改善される。又、粒径分布の標準偏差を数平均粒径で割った値σ/rn(=粒径分布の変動係数)が0.3以下となるような、粒径分布の狭いものを用いることで、異常に大きい粒径を有する粒子により発生する欠陥を改善できる上、より少ない添加量で所望の性能が得られる。この変動係数は0.15以下であることが更に好ましい。
【0164】
バック層には、搬送ロールとの摩擦帯電による異物の付着を防止するため、帯電防止剤を添加することが好ましい。帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子の他、「11290の化学商品」化学工業日報社、875〜876頁等に記載の化合物などが広く用いられる。
バック層に併用できる帯電防止剤としては、上記の物質の中でも、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫などの金属酸化物、有機半導体などの導電性微粒子が好ましく用いられる。特に、導電性微粒子を用いることは、帯電防止剤のバック層からの解離がなく、環境によらず安定した帯電防止効果が得られるために好ましい。
又、バック層には、塗布性や離型性を付与するために、各種活性剤、シリコーンオイル、弗素系樹脂等の離型剤などを添加することも可能である。
バック層のTMA(Thermomechanical Analysis)により測定した軟化点は、クッション層及び受像層の軟化点より70℃以下である場合に特に好ましい。
【0165】
TMA軟化点は、測定対象物を一定の昇温速度で、一定の荷重を掛けながら昇温し、対象物の位相を観測することにより求める。本発明においては、測定対象物の位相が変化し始める温度を以てTMA軟化点と定義する。TMAによる軟化点の測定は、理学電気社製Thermoflexなどの装置を用いて行うことができる。
【0166】
前記熱転写シートと前記受像シートは、熱転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを重ね合わせた積層体として、画像形成に利用され得る。
熱転写シートと受像シートとの積層体は、各種の方法によって形成することができる。例えば、熱転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを重ねて、加圧加熱ローラに通すことによって容易に得ることができる。この場合の加熱温度は160℃以下、もしくは130℃以下が好ましい。
【0167】
積層体を得る別の方法として、前述した真空密着法も好適に用いられる。真空密着法は、真空引き用のサクション孔が設けられたドラムの上に、先ず受像シートを巻き付け、次いでその受像シートよりややサイズの大きな熱転写シートを、スクイーズローラーで空気を均一に押し出しながら受像シートに真空密着させる方法である。また別の方法としては、金属ドラムの上に受像シートを引っ張りつつ機械的に貼り付け、更にその上に熱転写シートを同様に機械的に引っ張りつつ貼り付け、密着させる方法もある。これらの方法の中で、ヒートローラー等の温度制御が不要で、迅速・均一に積層しやすい点で、真空密着法が特に好ましい。
【0168】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、文中で特に断りのない限り「部」は「質量部」を意味する。
Figure 2004106230
[バック第1層の形成]
厚さ75μmの2軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(両面のRaは0.01μm)の一方の面(裏面)にコロナ処理を施し、バック第1層塗布液を乾燥層厚みが0.03μmになるよう塗布した後180℃で30秒間乾燥して、バック第1層を形成した。支持体の長手方向のヤング率は450Kg/mm(≒4.4GPa)で、幅方向のヤング率は500Kg/mm(≒4.9GPa)である。支持体の長手方向のF−5値は、10Kg/mm (≒98MPa)、支持体幅方向のF−5値は、13Kg/mm(≒127.4MPa)であり、支持体の100℃、30分での熱収縮率は長手方向が0.3%で、幅方向が0.1%である。破断強度は長手方向が20Kg/mm(≒196MPa)で、幅方向が25Kg/mm(≒245MPa)、弾性率は400Kg/mm(≒3.9GPa)である。
Figure 2004106230
[バック第2層の形成]
バック第1層の上にバック第2層塗布液を乾燥層厚が0.03μmになるよう塗布した後170℃で30秒間乾燥して、バック第2層を形成した。
【0169】
[光熱変換層の形成]
[光熱変換層用塗布液の調製]
下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光熱変換層用塗布液を調製した。
[光熱変換層用塗布液組成]
・赤外線吸収色素                       7.6部
(一般式(B)で表される化合物(I―17))
【0170】
・ポリアミドイミド                     29.3部
(一般式(A)において、Rが前記(6)である化合物)
・エクソンナフサ                       5.8部
・N−メチルピロリドン(NMP)                    1500部
・メチルエチルケトン                     360部
・界面活性剤                         0.5部
(「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性剤)
・下記組成のマット剤分散物                 14.1部
マット剤分散物の調製
平均粒径1.5μmの真球シリカ微粒子(日本触媒(株)製シーホスターKE−P150)10部、分散剤ポリマー(アクリル酸エステルスチレン共重合体ポリマー。ジョンソンポリマー(株)製ジュンクリル611)2部、メチルエチルケトン16部及びNメチルピロリドン64部を混合し、これと直径2mmのガラスビーズ30部を容量200mlのポリエチレン製容器にいれてペイントシェーカー(東洋精機製)で2時間分散してシリカ微粒子の分散物を得た。
【0171】
[支持体表面への光熱変換層の形成]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層を形成した。得られた光熱変換層の波長808nmにおける光学濃度を(株)島津製作所製UV−分光光度計UV−240で測定したところ、OD=0.93であった。層厚は、走査型電子顕微鏡により光熱変換層の断面を観察したところ、平均で0.3μmであった。また、光熱変換層の表面光沢度(JIS−Z8741に規定されるGs(60°))は、90であった。
【0172】
[画像形成層の形成]
[レッド画像形成層用塗布液の調製]
下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるように調製し、サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母液を得た。
Figure 2004106230
得られた顔料分散液1、2の粒子を、レーザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平均粒径はそれぞれ192nm、193nmであった。
【0173】
次に、下記の成分をスターラーで攪拌しながら混合して、レッド画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
【0174】
[光熱変換層表面へのレッド画像形成層の形成]
前記光熱変換層の表面に、上記レッド画像形成層用塗布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層の上にレッド画像形成層を形成した。以上の工程により、支持体上に、光熱変換層及びレッド画像形成層が、この順で設けられた熱転写シートRを作製した。
熱転写シートRのレッド画像形成層の層厚を測定したところ、平均で0.71μmであった。
【0175】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
【0176】
−熱転写シートYの作製−
上記熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のイエロー画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートYを作製した。得られた熱転写シートYの画像形成層の層厚は、0.42μmであった。
Figure 2004106230
【0177】
Figure 2004106230
【0178】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
【0179】
−熱転写シートMの作製−
上記熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のマゼンタ画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートMを作製した。得られた熱転写シートMの画像形成層の層厚は、0.38μmであった。
Figure 2004106230
【0180】
Figure 2004106230
【0181】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
【0182】
−熱転写シートCの作製−
上記熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のシアン画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートCを作製した。得られた熱転写シートCの画像形成層の層厚は、0.45μmであった。
Figure 2004106230
【0183】
Figure 2004106230
【0184】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
【0185】
−熱転写シートKの作製−
上記熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のブラック画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートKを作製した。得られた熱転写シートKの画像形成層の層厚は、0.60μmであった。
[ブラック画像形成層用塗布液の調製]
下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるように調製し、サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母液を得た。
Figure 2004106230
【0186】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しながら混合して、ブラック画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
得られたブラック画像形成層用塗布液中の粒子を、レーザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の割合は、0.5%であった。
【0187】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
【0188】
−受像シートの作製−
下記の組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
【0190】
小幅塗布機を用いて、白色PET支持体(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、厚み130μm)上に、上記のクッション層形成用塗布液を塗布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布し、乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20μm、受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節した。白色PET支持体はボイド含有ポリエチレンテレフタレート層(厚み:116μm、空隙率:20%)とその両面に設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフタレート層(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)との積層体(総厚み:130μm、比重:0.8)からなるボイド含有プラスチック支持体である。作製した材料は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下記のレーザー光による画像記録に用いた。
得られた受像層の物性は以下のようであった。
表面粗さRaが0.4〜0.01μmが好ましく、具体的には0.02μmであった。受像層の表面のうねりが2μm以下が好ましく、具体的には1.2μmであった。
受像層の表面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には0.8mmHg(≒0.11kPa)であった。
受像層表面の静止摩擦係数は0.8以下が好ましく、具体的には0.37であった。
受像層表面の表面エネルギーは29mJ/mであった。水の接触角は85°であった。
以上の通りの熱転写シートR、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0191】
(実施例2)
−熱転写シートB(ブルー)の作製−
上記実施例1の熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のブルー画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートBを作製した。得られた熱転写シートBの画像形成層の層厚は、0.95μmであった。
Figure 2004106230
得られた顔料分散液3の粒子を、レーザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平均粒径は242nmであった。
【0192】
次に、下記の成分をスターラーで攪拌しながら混合して、ブルー画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
【0193】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートB、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0194】
(実施例3)
−熱転写シートG(グリーン)の作製−
上記実施例1の熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のグリーン画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートGを作製した。得られた熱転写シートGの画像形成層の層厚は、0.70μmであった。
Figure 2004106230
得られた顔料分散液4、5の粒子を、レーザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平均粒径はそれぞれ161nm、330nmであった。
【0195】
次に、下記の成分をスターラーで攪拌しながら混合して、グリーン画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートG、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0196】
(実施例4)
−熱転写シートO(オレンジ)の作製−
上記実施例1の熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のオレンジ画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートOを作製した。得られた熱転写シートOの画像形成層の層厚は、0.55μmであった。
Figure 2004106230
得られた顔料分散液6、7の粒子を、レーザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平均粒径はそれぞれ261nm、330nmであった。
【0197】
次に、下記の成分をスターラーで攪拌しながら混合して、オレンジ画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2004106230
【0198】
得られた画像形成層の物性は以下のようであった。
画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g以上が好ましく、具体的には200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートO、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0199】
(実施例5)
−熱転写シートPi(ピンク)の作製−
上記実施例4の熱転写シートOの作製において、オレンジ顔料を、
・蛍光塗料(C.I.No.45160)
・蛍光塗料(C.I.No.45005)
・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.15850:1)(「Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G」、東洋インキ製造(株)製)
を混合したものに変更した以外は、熱転写シートOと同様にして、熱転写シートPiを作製した。また、得られた画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートPi、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0200】
(実施例6)
−熱転写シートBr(ブラウン)の作製−
上記実施例4の熱転写シートOの作製において、オレンジ顔料を、
・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.No.21290)(「PV Fast Yellow(ファーストイエロー) HG」、クラリアントジャパン(株)製)
・Pigment Red(ピグメントレッド) 177(C.I.No.65300)(「Cromophtal Red(クロモフタルレッド) A2B」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)
・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No.74160)(「Cyanine Blue(シアニンブルー) 700−10FG」、東洋インキ製造(株)製)
を上から35:18:7の比率で混合したものに変更した以外は、熱転写シートOと同様にして、熱転写シートBrを作製した。また、得られた画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートBr、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0201】
(実施例7)
−熱転写シートPu(パープル)の作製−
上記実施例4の熱転写シートOの作製において、オレンジ顔料を、Pigment Violet(ピグメントバイオレット) 23(C.I.No.51319)(「Fastogen Super Violet(ファストゲンスーパーバイオレット) RNS」、大日本インキ化学工業(株)製)に変更した以外は、熱転写シートOと同様にして、熱転写シートPuを作製した。また、得られた画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートPu、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
【0202】
(実施例8)
−熱転写シート(グレー)の作製−
上記実施例4の熱転写シートOの作製において、オレンジ顔料を、
・Pigment Blue(ピグメントブルー)60(C.I.No.69800)(「リオノーゲンブルー 6505」、(東洋インキ化学(株)製)
・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラックC.I.No.77266)(「三菱カーボンブラック MA100」、(三菱化学(株)製)
を上から1:2の比率で混合したものに変更した以外は、熱転写シートOと同様にして、熱転写シートGrを作製した。また、得られた画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で200g以上であった。
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シート(グレー)、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
(実施例9)
−熱転写シートW(ホワイト)の作製−
上記実施例1の熱転写シートRの作製において、レッド画像形成層用塗布液の代わりに、下記組成のホワイト画像形成層用塗布液を用いた以外は、熱転写シートRの作製と同様にして、熱転写シートWを作製した。
Figure 2004106230
【0203】
熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートは、実施例1と同じである。
以上の通りの熱転写シートW、Y、M、CおよびK並びに受像シートからなる多色画像形成材料を得た。
(比較例1)
実施例1の熱転写シートY、熱転写シートM、熱転写シートC及び熱転写シートK並びに受像シートからなる多色画像形成材料である。
【0204】
上記得られた多色画像形成材料を用いて以下のようにして、その性能を評価した。
(実施例1)
−転写画像の形成−
画像形成システムは、図4記載のシステムで記録装置としてLuxel FINALPROOF5600を用い、本システムの画像形成シーケンス及び本システムで用いる本紙転写方法により本紙への転写画像を得た。
直径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリアに1個の面密度)が開けられている直径38cmの回転ドラムに、上記で作製した受像シート(56cm×79cm)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、61cm×84cmに切断した前記熱転写シートRを前記受像シートから均等にはみ出すように重ね、スクイーズローラーでスクイーズさせつつ、セクション孔に空気が吸引されるように密着、積層させた。セクション孔が塞がれた状態での減圧度は、1気圧に対して−150mmHg(≒81.13kPa)であった。前記ドラムを回転させ、ドラム上での積層体の表面に、外側から波長808nmの半導体レーザー光を、光熱変換層の表面で7μmのスポットになるように集光し、回転ドラムの回転方向(主走査方向)に対して、直角方向に移動させながら(副走査)、積層体へレーザーによりベタ画像の記録を行った。レーザー照射条件は、以下の通りである。また、本実施例で使用したレーザービームは、主走査方向に5列、副走査方向に3列の平行四辺形からなるマルチビーム2次元配列からなるレーザービームを使用した。
レーザーパワー      110mW
ドラム回転数       500rpm
副走査ピッチ      6.35μm
環境温湿度   20℃40%, 23℃50%, 26℃65%の3条件
露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的には380mmのものを用いた。
なお、画像サイズは515mm×728mm、解像度は2600dpiである。
前記レーザー記録が終了した積層体を、ドラムから取り外し、熱転写シートBを受像シートから手で引き剥がし、さらに受像シート上の画像を下記熱転写装置により本紙(リフレクションII stora社製)上に転写しベタ画像を得た。
熱転写装置は、挿入台の材質のポリエチレンテレフタレートに対する動摩擦係数が0.1〜0.7、搬送速度が15〜50mm/secである転写装置を用いた。また、熱転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ−ス硬度は10ないし100が好ましく、具体的にはビッカ−ス硬度が70のものを用いた。
また、熱転写シートR、C、M、Y及びKを順次用いて像様にレーザー光を画像形成層上に照射し、照射領域を受像シート上に順次転写、積層し、所定の多色画像を受像シート上に形成し、上記と同様にして本紙上に多色画像を転写した。又、熱転写シートRはベタ部が文字部に使う様にした。転写された4色の画像を、記録紙に更に転写し、多色の画像を形成したところ、異なる温湿度条件下において、マルチビーム2次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレーザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写濃度を有する多色画像を形成することができた。
【0205】
(実施例2〜9、比較例1)
実施例1において、熱転写シートR等に代えて実施例2〜9の熱転写シートを用いて受像シート上に画像形成層を転写し、上記と同様にして各色画像を本紙上に得た。
また、比較例1では各熱転写シートC、M、Y及びKを順次用いて像様にレーザー光を画像形成層上に照射し、照射領域を受像シート上に順次転写、積層し、所定の多色画像を受像シート上に形成し、上記と同様にして本紙上に多色画像を転写した。
【0206】
得られたベタ画像及び多色画像について以下により評価した。
本紙に転写された各色ベタ画像については、光学濃度ODの最大値を与えるフィルターにて当該ODを濃度計X−rite938(X−rite社製)にて測定した。
【0207】
また、形成した多色画像の画質を以下により評価した。
○:シャドーからハイライト部の網点がきれいに転写されている。
△:網点に欠け、トビ、バリなどがある。
×:網点が転写されない。
【0208】
また、プロセスカラー以外に熱転写シートについては、当該ベタ画像の色相を上記濃度計X−rite938により、前述したL*1、a*1、b*1値を測定し、目標色相L、a、bとの色差を求めた。結果を表1に示した。
尚、熱転写シートについては画像形成層の層厚(Tμm)、OD、OD/Tを記した。また、受像層上に転写された画像形成層の強度を前記方法により求めた。
【0209】
【表1】
Figure 2004106230
【0210】
本発明の実施例1〜9はプロセスカラー以外の色相が目標色相に近く、かつ実施例1〜8で得られた多色画像の転写画像は比較例1に比べて見映え(文字色等のパンチ力)がある。実施例9においては、熱転写シートY、M、C及びKを記録後に5色目としてホワイトを記録した画像を透明支持体へ転写したところ、画像の見映えよく視認できた。
【発明の効果】
本発明の多色画像形成材料は、プロセスカラーにおける色再現域以外のホワイト色などの色相を表現することができるので、従来では提供できなかった色相が表現できるので、再現可能な色相の範囲が拡張され、所望のデザインの幅が拡大するという効果があると共に優れた感度を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザーを用いた薄膜熱転写による多色画像形成の機構の概略を説明する図である。
【図2】レーザー熱転写用記録装置の構成例を示す図である。
【図3】熱転写装置の構成例を示す図である。
【図4】レーザー熱転写用記録装置FINALPROOFを用いたシステムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 記録装置
2 記録ヘッド
3 副走査レール
4 記録ドラム
5 熱転写シートローディングユニット
6 受像シートロール
7 搬送ローラ
8 スクイーズローラー
9 カッター
10 熱転写シート
10K、10C、10M、10Y、10R 熱転写シートロール
12 支持体
14 光熱変換層
16 画像形成層
20 受像シート
22 受像シート用支持体
24 受像層
30 積層体
31 排出台
32 廃棄口
33 排出口
34 エアー
35 廃棄箱
42 本紙
43 ヒートローラ
44 挿入台
45 載置位置を示すマーク
46 挿入ローラ
47 耐熱シートでできたガイド
48 剥離爪
49 ガイド板
50 排出口

Claims (10)

  1. 受像層を有する受像シートと、支持体上に少なくとも画像形成層とを有する互いに色の異なる少なくとも5色の色の異なる熱転写シートを用い、各熱転写シートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材料において、少なくとも1色の熱転写シートの画像形成層の色相が、レッド(R)(L*0=53.0、a*0=74.0、b*0=41.0)、ブルー(B)(L*0=21.0、a*0=24.0、b*0=−68.0)、グリーン(G)(L*0=62.0、a*0=−78.0、b*0=31.0)、オレンジ(O)(L*0=70.0、a*0=55.0、b*0=86.0)、ピンク(Pi)(L*0=75.3、a*0=78.4、b*0=−7.4)、パープル(Pu)(L*0=43.2、a*0=72.0、b*0=−41.5)、ブラウン(Br)(L*0=40.4、a*0=21.4、b*0=41.5)、ホワイト(W)(L*0=95.2、a*0=2.4、b*0=−5.4)またはグレー(L*0=65.8、a*0=−0.3、b*0=5.1)を中心として色差(ΔE)≦8であることを特徴とする多色画像形成材料。
  2. 画像形成層の光学濃度(OD)が、レッド(R)の場合、1.55±0.2、ブルー(B)の場合、2.35±0.2、グリーン(G)の場合、1.34±0.2、オレンジの場合、1.52±0.2、ピンク(Pi)の場合、0.81±0.2、パープル(Pu)の場合、1.34±0.2、ブラウン(Br)の場合、1.64±0.2、またはグレーの場合、0.45±0.2であることを特徴とする請求項1記載の多色画像形成材料。
  3. 前記熱転写シートは、支持体上に画像形成層とは別に光熱変換層を設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の多色画像形成材料。
  4. 光熱変換層がポリアミドイミド樹脂バインダー、スルホン酸基を有するシアニン系色素を含有することを特徴とする請求項3記載の多色画像形成材料。
  5. 光熱変換層の表面光沢度(JIS−Z8741に規定されるGs(60°))が85以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の多色画像形成材料。
  6. 19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であり、かつ19℃/30%RHにおける画像形成層の含水率と27℃/70%RHにおける受像層における含水率の差の絶対値が1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の多色画像形成材料。
  7. 光熱変換層のバインダーは、熱分解温度(TGA法で10℃/分の昇温速度で、空気気流中で質量が50%減少する温度)が370℃以上であることを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の多色画像形成材料。
  8. 受像層上の画像形成層強度が200g以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の多色画像形成材料。
  9. 記録面積が515mm以上×728mm以上であり、かつ解像度が2400dpi以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の多色画像形成材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の熱転写シートと請求項1〜9のいずれかに記載の受像シートを用い、各熱転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形成方法において、前記レーザー光照射領域の画像形成層を薄膜状態で受像シートに転写させることを特徴とする多色画像形成方法。
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