JP2004105975A - 摩擦接合用工具 - Google Patents

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Yutaka Tanaka
田中 裕
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Abstract

【課題】摩擦接合を現場で簡易に行うことを可能にする摩擦接合用工具を提供する。
【解決手段】摩擦撹拌接合用の工具2と、電動モータを有する回転ツールとを備える。工具2は、ピン15が設けられた回転軸10と、回転軸10を回転自在に支持する第1及び第2ハウジング11,12とを備えている。工具2の接触面36をアルミプレート41,42に押し当て、工具2の回転軸10を回転させたまま回転ツールをアルミプレート41,42側に押しつける。回転軸10に設けられたスライド部19がストッパー部20に当接し、ピン15の突出量は一定となる。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦撹拌接合や摩擦圧接接合等の摩擦接合に用いられる摩擦接合用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、摩擦撹拌接合や摩擦圧接接合などのように、接合対象物の接合部分を溶融させずに固相のまま接合する摩擦接合(固相接合)が知られている。例えば、特許文献1には、摩擦撹拌接合技術が開示されている。図6を参照しながら、従来の摩擦撹拌接合の一例を説明する。
【0003】
摩擦撹拌接合に際しては、摩擦撹拌接合用の専用の装置が用いられる。まず、接合対象物としてのプレート101,102を装置の作業台(図示せず)上に置き、両プレート101,102の端面同士を突き合わせる。そして、両プレート101,102を治具(図示せず)等によって固定する。
【0004】
次に、回転工具103が取り付けられた電動モータを起動し、回転工具103を回転させたまま両プレート101,102の突き合わせ部分に押し当てる。これにより、回転工具103の先端のピン104が両プレート101,102の突き合わせ部分に挿入される。すると、当該突き合わせ部分はピン104の摩擦熱によって軟化し、撹拌されて塑性流動を起こす。その後、回転工具103を両プレート101,102の突き合わせ部分の端面に沿って移動させる。これにより、ピン104の進行方向の後側において、塑性流動した接合部分は摩擦熱を失い、冷却固化される。その結果、両プレート101,102は接合部分105において接合される。
【0005】
【特許文献1】
特表平7−505090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、摩擦撹拌接合においては、回転工具103のピン104の挿入量を一定化する必要があり、その挿入量を接合対象物に応じて微妙に調整する必要がある。そこで、従来の摩擦撹拌接合には、NCコントローラ等を備えた据え付け型の大型の接合装置が用いられていた。
【0007】
しかし、据え付け型の接合装置を用いる関係上、予め接合対象物を接合装置の設置場所(例えば工場内)に運搬する必要があり、また、接合後には現場に搬出する必要があった。したがって、運搬コストの分だけ作業コストが増大していた。一方、大型の接合対象物等のように、現場からの搬出が不可能な接合対象物に対しては、現場において接合作業を行わざるを得ない。そのため、接合装置を現場に搬入して組み立てる等の作業が別途必要であった。その結果、作業コストの増大や作業期間の遅延を生じる要因となっていた。
【0008】
また、接合装置の汎用性が低かったため、接合対象物が大型の場合には、それに応じて大型の接合装置が必要となった。
【0009】
なお、上述の課題は、摩擦撹拌接合に限らず、摩擦圧接接合等の他の摩擦接合においても同様である。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、摩擦接合を現場で簡易に行うことを可能にする摩擦接合用工具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る摩擦接合用工具は、接合対象物に押し当てられる接触面と前記接触面に設けられた開口とが形成されたハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に設けられ、軸方向に突出する摩擦撹拌接合用のピンを有する工具部と前記工具部に固定された回転軸とを有し、前記ピンが前記接触面の開口から出没するように前記ハウジングに対して軸方向に移動自在な回転体と、前記回転軸に設けられ、前記回転軸に前記工具部側に向かう方向の荷重が加えられると前記ハウジングに対して前記回転体と共に軸方向に移動するスライド部と、前記ハウジング内における前記スライド部よりも前記ピン側に設けられ、前記スライド部が接触することにより前記スライド部の前記ピン側に向かう移動を規制するストッパー部と、前記ストッパー部の軸方向の位置を調整する調整手段とを備えているものである。
【0012】
上記摩擦接合用工具では、接合時における接触面からのピンの突出量が接合対象物に応じた所定量になるように、予め調整手段によってストッパー部の軸方向の位置が調整される。
【0013】
接合に際しては、ハウジングの接触面を接合対象物の接合部分に押し当て、工具の位置決めを行う。そして、回転体を回転させると共に、回転体にピン側に向かう方向の荷重を加える。すると、回転体及びスライド部はピン側に移動し、その結果、ピンは接触面から徐々に突出し、接合対象物の接合部分に徐々に挿入される。ピンの挿入が進むと、やがてスライド部がストッパー部と接触し、回転体全体のピン側への移動が規制される。このことにより、ピンの突出量、すなわちピンの挿入深さが所定量に維持される。
【0014】
そして、当該ピンによって接合部分は撹拌され、固相状態のまま塑性流動を起こす。その後、回転体をピン側と反対の側へ移動させる。その結果、ピンが引き抜かれ、塑性流動部分は冷却固化され、摩擦撹拌接合がなされることになる。
【0015】
このように、上記摩擦接合用工具を用いることにより、ピンの位置決め及び突出量の調整を容易に実行することができ、現場において簡易に摩擦撹拌接合を行うことができる。
【0016】
本発明に係る他の摩擦接合用工具は、接合対象物に押し当てられる接触面と前記接触面に設けられた開口とが形成されたハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に設けられ、軸方向に突出する摩擦圧接接合用の回転盤を有する工具部と前記工具部に固定された回転軸とを有し、前記回転盤が前記接触面の開口から出没するように前記ハウジングに対して軸方向に移動自在な回転体と、前記回転軸に設けられ、前記回転軸に前記工具部に向かう方向の荷重が加えられると前記ハウジングに対して前記回転体と共に軸方向に移動するスライド部と、前記ハウジング内における前記スライド部よりも前記回転盤側に設けられ、前記スライド部が接触することにより前記スライド部の前記回転盤側に向かう移動を規制するストッパー部と、前記ストッパー部の軸方向の位置を調整する調整手段とを備えているものである。
【0017】
上記摩擦接合用工具では、接合時における接触面からの回転盤の突出量が接合対象物に応じた所定量になるように、予め調整手段によってストッパー部の軸方向の位置が調整される。
【0018】
接合に際しては、ハウジングの接触面を接合対象物の接合部分に押し当て、工具の位置決めを行う。そして、回転体を回転させた状態で、回転体に回転盤側に向かう方向の荷重を加える。すると、回転体及びスライド部が回転盤側に移動する。その結果、回転盤は接触面から徐々に突出し、接合対象物の接合部分に摺接する。回転盤は更に接合対象物の接合部分に押し当てられ、接合対象物に対する押圧力が徐々に大きくなる。やがてスライド部がストッパー部と接触し、回転体全体の回転盤側への移動が規制される。このことにより、回転盤の突出量が所定量に維持され、接合対象物に対する押圧力が所定値に維持される。
【0019】
そして、当該回転盤によって接合部分は撹拌され、固相状態のまま塑性流動を起こす。その後、回転盤が引き上げられ、塑性流動部分は冷却固化されて接合されることになる。
【0020】
前記摩擦接合用工具において、前記ハウジングは、前記ストッパー部を有する第1ハウジングと、前記接触面を有し前記第1ハウジングと係合する第2ハウジングとを備え、前記第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方にはねじ穴が形成され、他方には当該ねじ穴と係合するねじ部が形成され、前記ねじ穴内で前記ねじ部を回転させることによって第1ハウジングと第2ハウジングとの軸方向の相対位置が調整され、前記ねじ部及びねじ穴が前記調整手段を構成していてもよい。
【0021】
上記摩擦接合用工具では、第1ハウジングにストッパー部が設けられ、第2ハウジングに接触面が設けられているので、接触面とストッパー部との間の距離、すなわちピン又は回転盤の突出量は、両ハウジングの相対的な位置関係によって定まる。ここで、第1ハウジング及び第2ハウジングはねじ部とねじ穴とにより螺合されているので、両ハウジングの相対的な位置関係は、ねじ部の締め付け量を調整することにより微調整される。したがって、上記摩擦接合用工具によれば、ピン又は回転盤の突出量を微調整することが容易になる。
【0022】
前記摩擦接合用工具は、回転体又はスライド部を工具部側と反対の側へ押しつける押しつけ手段を備えていることが好ましい。
【0023】
回転体及びスライド部は軸方向に一体的に移動するので、回転体又はスライド部を工具部側と反対の側へ押しつけることにより、回転体及びスライド部の双方が工具部側と反対の側へ押しつけられることになる。そのため、上記摩擦接合用工具によれば、回転体に工具部側への荷重を加えない限り、工具部のピン又は回転盤が接触面から突出することはない。そのため、接触面を接合対象物に押し当てた状態では工具部がハウジング内に引き込んでいるため、いったん接触面を接合対象物に押し当ててからピン又は回転盤を接合部分に押し当てることが容易になる。また、回転中のピン又は回転盤に誤って触れるおそれが少なくなり、作業の安全性を向上させることができる。
【0024】
前記摩擦接合用工具は、前記回転軸を回転させる回転駆動手段を備えていてもよい。
【0025】
前記回転駆動手段は、人手で操作する携帯型モータによって構成されていることが好ましい。
【0026】
このことにより、摩擦接合用工具を手動で取り扱うことが容易になる。また、携帯性が向上する。そのため、大型の接合対象物に対して、摩擦撹拌接合又は摩擦圧接接合を容易に適用することができる。
【0027】
前記携帯型モータは、前記回転軸を取り外し自在に構成されていることが好ましい。
【0028】
このことにより、接合対象物に応じて携帯型モータ又は工具部を適宜取り替えることができ、接合作業の柔軟性が高まる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の摩擦接合用工具によれば、ハウジングの接触面を接合対象物に押し当てた状態で回転体を工具部側へ押しつけることにより、工具部のピン又は回転盤を接合対象物に挿入又は摺接させることができる。スライド部及びストッパー部がピン又は回転盤の突出量を所定量に規制するので、接合対象物に対するピンの挿入量又は回転盤の押圧力を容易に一定化することができる。そのため、現場において、簡易な作業により摩擦撹拌接合又は摩擦圧接接合を実行することができる。また、ピン又は回転盤の突出量を調整手段によって容易に調整することができるので、摩擦撹拌接合又は摩擦圧接接合を接合対象物の特性に応じて柔軟に実行することができる。
【0030】
調整手段をねじ部及びねじ穴によって構成することとすれば、工具部のピン又は回転盤の突出量の微調整を容易に行うことができる。
【0031】
回転体又はスライド部を工具部側と反対の側へ押しつける押しつけ手段を備えることとすれば、いったん接触面を接合対象物に押し当ててからピン又は回転盤を接合部分に押し当てることが容易になり、利便性を向上させることができる。また、非接合時にピン又は回転盤がハウジング内に収容されるので、作業の安全性を向上させることができる。
【0032】
回転軸を回転させる回転駆動手段を設けることとすれば、回転駆動手段を別途設ける必要がなくなる。
【0033】
回転駆動手段を手動で操作する携帯型モータによって構成することとすれば、作業の利便性を一層向上させることができる。
【0034】
回転軸を取り外し自在に構成された携帯型モータを用いることとすれば、作業の利便性を更に向上させることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
図1に示すように、摩擦撹拌接合装置1は、摩擦撹拌接合用の工具2と工具2の回転軸10を回転させる回転ツール3とにより構成されている。この接合装置1は、人手で操作される装置であって、携帯性を有しているものである。
【0037】
回転ツール3は、グリップ部5を備えるケーシング7と、ケーシング7内に設けられた電動モータ4と、電動モータ4の回転軸8と工具2の回転軸10とを着脱自在に連結する連結部6とを備えている。連結部6の具体的構成は特に限定されるものではないが、例えば、ねじ9を利用する構成であってもよい。すなわち、回転軸8をねじ穴の設けられた中空円筒形状に形成し、この回転軸8の内部に回転軸10を挿入したうえで上記ねじ穴にねじ9を締結することによって、回転軸8と回転軸10とを固定する構成等を好適に用いることができる。
【0038】
工具2は回転ツール3と着脱自在な工具であり、それ自体を単独で運搬可能な携帯型の工具である。図2に示すように、工具2は、第1ハウジング11と、第2ハウジング12と、第1及び第2ハウジング11,12内に回転自在に支持された回転体14とを備えている。
【0039】
回転体14は、取り付け部23を有する回転軸10と、回転軸10における取り付け部23と反対側の端部に固定された工具部13とを有している。工具部13は、それぞれ円柱形状に形成された大径部21と小径部22とピン15とからなっている。ピン15は、小径部22よりも小径に形成されている。大径部21と小径部22とピン15とは、回転軸10側から順に並んでおり、互いに同軸状に設けられている。
【0040】
回転軸10には、第1円盤16と第2円盤17と軸受18とからなるスライド部19が設けられている。第1円盤16及び第2円盤17の中心部には穴が形成されており、回転軸10はこれらの穴に挿通されている。第1円盤16と第2円盤17とは、軸方向に並設されている。軸受18は、第1円盤16と第2円盤17との間に設けられている。スライド部19は、回転軸10を回転自在に支持するが、自らは回転しないように構成されている。一方、スライド部19は、軸方向に関しては、回転軸10と共に一体的に移動するように構成されている。
【0041】
第1ハウジング11は、第2ハウジング12の内部にはめ込まれている。第1ハウジング11は、図2の上側から順に中径部25と小径部26とを有する略円筒形状に形成されている。
【0042】
中径部25の内部は、図2の上側から下側に向かって内径が3段階にステップ状に減少しており、中径部25の内部には、上から順に第1段差部20及び第2段差部27が形成されている。第1段差部20は、スライド部19の下向きの移動を規制するストッパー部を構成している。
【0043】
第2段差部27とスライド部19との間には、押しつけ手段としてばね28が設けられている。ばね28は、スライド部19を上向きに押しつけている。第1ハウジング11の上端には、軸封部材24が設けられている。これにより、スライド部19は、回転軸10に外部からの荷重が加えられていない状態では、ばね28によって上向きの力が加えられ、軸封部材24と接触している。以下、この状態を収容状態という。
【0044】
第1ハウジング11の中径部25の外周面には、螺旋状のねじ溝からなるねじ部29が形成されている。
【0045】
第2ハウジング12は、図2の上側から順に中径部30と大径部31とを有する略円筒形状に形成されている。
【0046】
中径部30の上側部分には、ねじ穴32が設けられている。すなわち、中径部30の内周面の上側には、第1ハウジング11の中径部25のねじ部29と螺合する螺旋状のねじ溝が設けられている。
【0047】
第1ハウジング11のねじ部29を第2ハウジング12のねじ穴32に対して回転させることにより、両ハウジング11,12の軸方向に関する位置関係が変化する。すなわち、第1ハウジング11を進行方向(図2の下向き方向)に向かって時計回りに回転させると、第2ハウジング12に対する第1ハウジング11の挿入量が増加し、逆に、第1ハウジング11を進行方向に向かって反時計回りに回転させると、第2ハウジング12に対する第1ハウジング11の挿入量が減少する。
【0048】
中径部30の下側部分の内周部には、ばね33の一端を支持する凹部34が形成されている。ばね33は、第1ハウジング11における中径部25及び小径部26の外周側の段差部35と、第2ハウジング12の凹部34との間に設けられている。そして、ばね33は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とに、互いに離反する方向の押しつけ力を付与している。
【0049】
大径部31は、工具部13の大径部21よりも大径に形成されており、工具部13が収容状態にあるときには工具部13を覆っている。大径部31の先端側は、接合対象物に押し当てられる平坦な接触面36を形成しており、接触面36の中央部には、工具部13のピン15を出没させる開口37が形成されている。
【0050】
図1に示すように、第2ハウジング12の外周部には、目盛板38が設けられている。目盛板38の目盛りは、ピン15の許容突出量を指標するものであり、ストッパー部である第1段差部20の軸方向の位置によって一義的に定まる。第1段差部20の位置はねじ部29とねじ穴32との螺合状態によって変化するため、目盛板38の目盛りは、第2ハウジング12に対する第1ハウジング11の回転量によって変化する。後述するように、ピン15の突出量は、目盛板38の目盛りを参照しながら微調整される。
【0051】
次に、摩擦撹拌接合装置1の使用方法について説明する。
【0052】
まず、作業者は、工具2と回転ツール3とを摩擦撹拌接合の現場に携帯する。そして、接合現場において、工具2を回転ツール3に取り付ける。
【0053】
次に、接合対象物の寸法(厚み等)や材料の特性などに応じて、予め工具2のピン15の突出量を設定する。図3に示すように、この設定は、人手により第1ハウジング11を第2ハウジング12に対して回転させることによって行われる。
【0054】
次に、接合作業を開始する。以下では、例として図4に示すように、2枚のアルミプレート41,42を突き合わせ接合する作業を説明する。
【0055】
接合作業においては、最初に、工具2の接触面36をアルミプレート41,42の突き合わせ部分に押し当て、工具2の位置決めを行う。その後、回転ツール3の電源を入力し、電動モータ4を回転させる。そして、回転ツール3を工具2側に押しつける。すると、回転体14がばね28の弾性力に抗してアルミプレート41,42側に押しつけられ、工具部13のピン15はアルミプレート41,42の突き合わせ部分に挿入される。
【0056】
挿入されたピン15は、当該ピン15の回転により、アルミプレート41,42との間に摩擦熱を発生させる。そして、ピン15は、その摩擦熱によってアルミプレート41,42を軟化し、アルミプレート41,42の内部に徐々に挿入されていく。これに伴い、回転体14のスライド部19も、図2に示す下側に徐々に移動していく。そして、接触面36に対するピン15の突出量が所定量になると、スライド部19が第1段差部20に突き当たり、スライド部19の更なる移動が阻止される。その結果、ピン15の突出量は所定の一定量(=許容突出量)に維持されることになる。
【0057】
さらに、ピン15はアルミプレート41,42の軟化部分を撹拌し、塑性流動を起こす。その後、作業者は回転ツール3を引き戻す。すると、ばね28の弾性力の影響も受け、ピン15はアルミプレート41,42から徐々に引き抜かれる。その結果、塑性流動した接合部分43は摩擦熱を失い、冷却固化される。つまり、摩擦撹拌接合がなされる。ピン15を引き抜いた後は、回転ツール3の電源を切り、回転体14の回転を停止させる。
【0058】
以上の動作を、アルミプレート41,42の突き合わせ部分の複数箇所において行う。その結果、図4に示すように、第1アルミプレート41と第2アルミプレート42とは、散点状に接合されることになる。
【0059】
最後に、作業者は回転ツール3から工具2を取り外し、接合作業を終了する。
【0060】
以上のように、本摩擦撹拌接合装置1は、小型かつ軽量であり、携帯性に優れている。そのため、現場に搬送することが容易である。したがって、従来のように、接合対象物を現場から搬送したり、あるいは摩擦撹拌接合用の大型の装置を現場で組み立てること等は不要となる。そのため、運搬コストの低減等により、作業コストの低減を図ることができる。また、作業の迅速化を促進することが可能となる。
【0061】
本摩擦撹拌接合装置1によれば、スライド部19が第1段差部20(ストッパー部)に当接することによってピン15の突出量が一定化されるので、回転ツール3を押しつけるだけでピン15の突出量を容易に一定化することができる。したがって、摩擦撹拌接合を現場において簡易に実行することができる。
【0062】
第1ハウジング11及び第2ハウジング12に、それぞれねじ部29及びねじ穴32を設けることとしたので、第1ハウジング11を第2ハウジング12に対して回転させることにより、ピン15の突出量を容易に調整することができる。したがって、接合対象物の特性に応じてピン15の挿入量を容易に調整することができ、現場において摩擦撹拌接合を柔軟に実行することができる。
【0063】
第1ハウジング11の内部に、回転体14を工具部13と反対側に押しつけるばね28を設けることとしたので、作業者が回転体14を工具部13側に押しつける時以外は、工具部13は自動的に第2ハウジング12内に収容される。したがって、接合対象物に接触面36を押し当ててからピン15を挿入する作業が容易になる。また、接触面36を接合対象物に押し当てない限り、回転するピン15が外部に露出することはない。そのため、回転するピン15に誤って触れるおそれがなく、作業の安全性を向上させることができる。
【0064】
工具2と回転ツール3とが着脱自在に構成されているので、接合対象物に応じて回転ツール3及び工具2を容易に取り替えることができる。
【0065】
−変形例−
上記実施形態では、作業者が力を加えることにより、ピン15の押しつけ力を発生させていた。しかし、回転ツール3にピン15の押しつけ力を発生させる機構を設けるようにしてもよい。また、回転ツール3に、作業者による押しつけ力を増幅させる機構を設けるようにしてもよい。このことにより、作業者の負担が軽減し、作業のより一層の容易化を図ることができる。
【0066】
回転体14を工具部13側と反対の側へ押しつける押しつけ手段は、ばね28に限定されず、他の弾性体であってもよい。また、弾性体のような物理的手段に限らず、電磁コイル等を利用した電気式の押しつけ手段であってもよい。
【0067】
上記実施形態では、工具2は摩擦撹拌接合用の工具であった。しかし、本発明に係る工具は、摩擦圧接接合用の工具であってもよい。例えば、図5に示すように、摩擦圧接接合用の工具として、工具2のピン15の代わりに、接合対象物に摺接される回転盤39を備えた工具を用いてもよい。回転盤39を備えた工具を用いる場合、回転盤39の突出量が一定化されるので、安定した押圧力を得ることができる。
【0068】
上記実施形態は、工具2と回転ツール3とが着脱自在であったが、工具と回転ツールとは一体化されていてもよい。
【0069】
回転ツール3は、回転駆動手段として、携帯型の電動モータ4を備えたものであった。しかし、回転駆動手段は電動モータに限定されず、エアモータ等の他の駆動手段であってもよい。
【0070】
本発明に係る接合対象物は、アルミプレートに限定されず、他の金属材料であってもよい。また、接合態様は、突き合わせ接合に限らず、重ね合わせ接合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦撹拌接合装置の側面図である。
【図2】摩擦撹拌接合用の工具の断面図である。
【図3】ピンの突出量の調整方法を説明する図である。
【図4】摩擦撹拌接合がなされたアルミプレートの斜視図である。
【図5】摩擦圧接接合用の工具の断面図である。
【図6】従来の摩擦撹拌接合を説明するための図であり、プレートの斜視図である。
【符号の説明】
1     摩擦撹拌接合装置
2     工具
3     回転ツール
4     電動モータ(回転駆動手段,携帯型モータ)
10    回転軸
11    第1ハウジング
12    第2ハウジング
13    工具部
14    回転体
15    ピン
19    スライド部
20    第1段差部(ストッパー部)
28    ばね(押しつけ手段)
29    ねじ部
32    ねじ穴
36    接触面
37    開口
41,42 プレート(接合対象物)
43    接合部分

Claims (7)

  1. 接合対象物に押し当てられる接触面と前記接触面に設けられた開口とが形成されたハウジングと、
    前記ハウジング内に回転自在に設けられ、軸方向に突出する摩擦撹拌接合用のピンを有する工具部と前記工具部に固定された回転軸とを有し、前記ピンが前記接触面の開口から出没するように前記ハウジングに対して軸方向に移動自在な回転体と、
    前記回転軸に設けられ、前記回転軸に前記工具部側に向かう方向の荷重が加えられると前記ハウジングに対して前記回転体と共に軸方向に移動するスライド部と、
    前記ハウジング内における前記スライド部よりも前記ピン側に設けられ、前記スライド部が接触することにより前記スライド部の前記ピン側に向かう移動を規制するストッパー部と、
    前記ストッパー部の軸方向の位置を調整する調整手段と、
    を備えている摩擦接合用工具。
  2. 接合対象物に押し当てられる接触面と前記接触面に設けられた開口とが形成されたハウジングと、
    前記ハウジング内に回転自在に設けられ、軸方向に突出する摩擦圧接接合用の回転盤を有する工具部と前記工具部に固定された回転軸とを有し、前記回転盤が前記接触面の開口から出没するように前記ハウジングに対して軸方向に移動自在な回転体と、
    前記回転軸に設けられ、前記回転軸に前記工具部に向かう方向の荷重が加えられると前記ハウジングに対して前記回転体と共に軸方向に移動するスライド部と、
    前記ハウジング内における前記スライド部よりも前記回転盤側に設けられ、前記スライド部が接触することにより前記スライド部の前記回転盤側に向かう移動を規制するストッパー部と、
    前記ストッパー部の軸方向の位置を調整する調整手段と、
    を備えている摩擦接合用工具。
  3. 前記ハウジングは、前記ストッパー部を有する第1ハウジングと、前記接触面を有し前記第1ハウジングと係合する第2ハウジングとを備え、
    前記第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方にはねじ穴が形成され、他方には当該ねじ穴と係合するねじ部が形成され、
    前記ねじ穴内で前記ねじ部を回転させることによって第1ハウジングと第2ハウジングとの軸方向の相対位置が調整され、
    前記ねじ部及びねじ穴が前記調整手段を構成している請求項1又は2記載の摩擦接合用工具。
  4. 前記回転体又はスライド部を工具部側と反対の側へ押しつける押しつけ手段を備えている請求項1〜3のいずれか一つに記載の摩擦接合用工具。
  5. 前記回転軸を回転させる回転駆動手段を備えている請求項1〜4のいずれか一つに記載の摩擦接合用工具。
  6. 前記回転駆動手段は、人手で操作する携帯型モータからなる請求項5記載の摩擦接合用工具。
  7. 前記携帯型モータは、前記回転軸を取り外し自在に構成されている請求項6記載の摩擦接合用工具。
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