JP2004103396A - ツイスト線及びそのコネクタ接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ツイスト線の端末側において発生する輻射ノイズを低減することができ、また、隣り合うツイスト線を着色せずに識別できコストダウンを図ることができるツイスト線及びそのコネクタ接続構造を提供する。
【解決手段】複数の電線12を撚り合わして形成したツイスト線10の少なくとも一側にコネクタ16と接続するための撚り戻し部14を形成する。撚り戻し部14には、複数の電線12を束ねるための収縮部材15を被着する。収縮部材15を熱収縮チューブとすることも有効である。コネクタ16に接続された複数のツイスト線のそれぞれの撚り戻し部14に、識別用に色の異なる収縮部材15を被着する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の電線12を撚り合わして形成したツイスト線10の少なくとも一側にコネクタ16と接続するための撚り戻し部14を形成する。撚り戻し部14には、複数の電線12を束ねるための収縮部材15を被着する。収縮部材15を熱収縮チューブとすることも有効である。コネクタ16に接続された複数のツイスト線のそれぞれの撚り戻し部14に、識別用に色の異なる収縮部材15を被着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタや回路基板等に接続され、自動車などの車両に搭載される車載機器に電気的信号を伝える通信用のツイスト線及びそのコネクタ接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載機器に電気的信号を伝える電線としては、一対の被覆電線を撚り合わしたツイスト線が広く使用されている。ツイスト線は、一対の被覆電線を平行ないし略平行に並べた平行線に比べて、電磁誘導による電磁的ノイズの影響を受けずらく、通信の信頼性が高いためである。
【0003】
電磁的ノイズは、一方の電線に交流が流れた際に他方の電線に誘導起電力が誘起されることにより発生するノイズである。広帯域の電気的信号は、その周波数が高いため、インピーダンスが大きくなり、電磁的ノイズの影響を受けやすい。
【0004】
図5は、ツイスト線35と平行線36とに流れる信号電流Xの向きと磁力線Yの向きとを示したものである。図示するように、両方の電線35,36には、閉回路を構成するように往きと復りの信号電流Xが流れるようになっている。信号電流Xが往きと復りで一巡しなければ、車載機器に電気的信号を伝送することができないからである。
【0005】
各電線35,36には、1点鎖線で示す磁力線Yが発生する。図5(a)に示すツイスト線35の隣り合うループに発生する磁力線Yは、互いに相殺する方向に作用し、図5(b)に示す平行線36に発生する磁力線Yは、互いに加算する方向に作用する。このため、ツイスト線35では、電磁誘導により生ずる誘導起電力が互いに打ち消し合い、電磁的ノイズの影響を受けずらくなっている。
【0006】
このようなツイスト線を用いたものとしては、図4に示すツイスト線及びそのコネクタ接続構造が知られている(例えば、特許文献1)。このツイスト線30は、コネクタ33に接続されて図示しない車載機器に電気的信号を伝送するものであり、ループ30a,30b,30cの位相をずらしてノイズ遮断効果を維持するようにしたものである。
【0007】
図示するように、多極のコネクタ33には、3組のツイスト線30,31,32が接続されている。各ツイスト線30,31,32は、互いに平行に配索されていて、その端末には端子34が接続されている。ツイスト線30,31,32は、図示しない撚り合わせ治具により所定のピッチPに撚り合わせられている。
【0008】
ツイスト線30,31,32は、端子34をコネクタ33の端子収容室33aに挿入する前に、端末側が撚り戻される。各ツイスト線30,31,32は、撚り戻された端末側の長さL1,L2,L3が1/3ピッチずつ位相がずれるように形成されている。すなわち、端子34から最初の交差部までの長さがツイスト線30,31,32毎に異なる長さに形成されている。撚り戻された端末側は、互いに平行に延びている。
【0009】
このように、撚り戻された端末側の長さL1,L2,L3をツイスト線30,31,32毎に異ならせ、1/3ピッチずつずらすことで、電磁的ノイズの遮断効果が維持されるようになっている。
【0010】
また、ツイスト線を用いた他の従来例としては、下記の特許文献2及び3が開示されている。特許文献2には、静電誘導に対するシールド効果が付与されたツイスト線が示されている。このツイスト線は、1本のアース線と2本の電線とを互いに接触するように撚り合わせたものである。1本のアース線は、接地用の電線である。
【0011】
また、特許文献3には、撚り戻し作業の作業性及び作業効率の向上を図り得るツイスト線の撚り戻し治具及び撚り戻し装置が示されている。この撚り戻し治具は、ツイスト線を挟持するためのスリットを有する挟持部と、挟持部を支持する柄部と、挟持部と柄部との間に位置して挟持部を回転させる回転機構としてのベアリングとを備えたものであり、ツイスト線の撚りを戻す際に、撚り戻し治具とツイスト線との擦れを低減できるようにしたものである。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−184954号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平7−326229号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平8−329751号公報(第2−3頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のツイスト線及びそのコネクタ接続構造では、解決すべき以下の問題点がある。
【0014】
一つに、コネクタ33に接続されるツイスト線30,31,32の撚りが戻されると、誘導起電力が互いに加算されてノイズ電圧が増加し、キャパシタンスが大きくなってノイズ電流が増加し、電磁誘導及び静電誘導によるノイズが発生して、車載機器が誤作動するという心配がある。
【0015】
また、コネクタ33に接続されるツイスト線30,31,32が複数あるため、識別のため隣り合うツイスト線30,31,32を着色しなければならず、電線の種類が多くなりコストが高くなるという問題もある。
【0016】
本発明は、上記した点に鑑み、コネクタや回路基板等と接続されるツイスト線の端末側において発生する輻射ノイズを低減することができ、また、隣り合うツイスト線を着色せずに識別できコストダウンを図ることができるツイスト線及びそのコネクタ接続構造を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の電線が撚り合わされて形成されるとともに、少なくとも一側にコネクタと接続するための撚り戻し部が形成されたツイスト線であって、前記撚り戻し部には、複数の電線を束ねるための収縮部材が被着されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、複数の電線が所定のピッチに撚り合わされているから、複数の電線が形成するループに発生する磁力線は、隣り合うループで互いに相殺し合い、電磁誘導による輻射ノイズ及び外来ノイズの影響が著しく減少する。
【0019】
そして、撚り戻し部の複数の電線が収縮部材によって束ねられ、電線間隔が離れてしまうことが防止されるため、伝送路のインピーダンスが小さくなり、これによって輻射ノイズが低減する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のツイスト線において、前記収縮部材が熱収縮チューブであることを特徴とする。
上記構成によれば、熱収縮チューブがヒータ等の熱源により適当な温度に加熱されることで、熱収縮チューブが収縮し、撚り戻し部の各電線が密着した状態に束ねられる。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の複数のツイスト線がコネクタに接続されていて、各ツイスト線の前記撚り戻し部に、識別用に色の異なる前記収縮部材が被着されたことを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、各ツイスト線が収縮部材によって色分けされるため、識別のためにツイスト線に着色をする必要がなくなり、取り扱う電線の種類が減少する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係るツイスト線の一実施形態を示し、図3はツイスト線のコネクタ接続構造の一実施形態を示すものである。先ず、ツイスト線の一実施形態から説明する。
【0024】
図1に示すように、2本の電線12,12が撚り合わされたツイストペア線(ツイスト線)10の一側には、コネクタ16と接続するための撚り戻し部14が形成されている。この撚り戻し部14に熱収縮チューブ(収縮部材)15が被着された構成は、本発明のツイスト線の第1の特徴である。
【0025】
撚り合わされた各電線12は、断面円形の被覆電線であり、芯線部(図示せず)と被覆部12aとからなっている。芯線部の構成材料は、公知の導体材料が使用される。例えば、軟銅線、錫めっき銅線またはニッケルめっき銅線等が使用される。被覆部12aは、低融点(110℃〜200℃)の熱可塑性樹脂材料を構成材料としている。熱可塑性樹脂材料としては、様々な種類のものが公知になっているが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
【0026】
芯線部及び被覆部12aの構成材料は、電線12の使用用途、使用条件を考慮して選択されるものであり、特に限定されるものではない。また、電線12の長さ、被覆部12aの被覆厚さ等についても、限定されるものではなく、任意に選択可能である。
【0027】
撚り戻し部14は、周知の図示しない撚り戻し治具を用い、所定のピッチPで撚り合わされたツイストペア線10を撚った方向と反対方向に撚り戻すことにより形成される。この撚り戻し部14は、コネクタ16に対向して位置するツイストペア線10の端末側部分である。
【0028】
撚り戻し治具は、板状をなし、スリットを有する挟持部と、挟持部に連なる柄部とからなっている。撚り戻し部14を形成する際は、挟持部のスリットにツイストペア線10の端末側を挿入し、撚り戻し治具をツイストペア線10の先端方向に引き抜くように移動させることにより形成される。
【0029】
撚り戻し部14の長さLは、任意であるが少なくとも80mm以上に設定されている。撚り戻し部14の長さLが短いと、図示しない端子とツイストペア線10の接続作業性が悪くなるためである。また、コネクタ16や回路基板(図示せず)等との接続作業性も悪くなるためである。
【0030】
ツイストペア線10に接続される端子には、各種の端子を適用することができ、例えば、タブ状の電気接触部を有する雄型端子や、箱状の電気接触部を有する雌型端子や、板状の電気接触部を有するLA端子などが適用可能である。また、これらの端子の電線接続部は、一対の折り曲げ可能な圧着片を備えたものであってもよく、またY字状のスリットを形成する一対の圧接片を備えたものであってもよい。
【0031】
電気接続部に一対の圧着片を備えたいわゆる圧着端子が選択される場合には、ツイストペア線10は、端子を介してコネクタ16に接続される。他方、電気接続部に一対の圧接片を備えたいわゆる圧接端子が選択される場合には、コネクタ16の他に回路基板などにも接続され得る。
【0032】
また、この実施形態で説明するツイストペア線10は、2本の電線12,12を撚り合わせたものであるが、本発明はこのようなものに限定するものではなく、2本の電線12,12に接地用の第3の電線を撚り合わしたものであってもよい。接地用の第3の電線を撚り合わした場合は、殊に静電誘導による静電的ノイズの影響を減少させ得る効果がある。
【0033】
また、ツイストペア線10の2本の電線12,12のうちの1本を電気的信号を伝送するための信号用とし、他の1本をノイズを逃がすための接地用としてもよい。このようにすれば、高周波数のノイズ電流が外部に逃がされて、ノイズの影響を受けずに電気的信号を車載機器に通電することができ、車載機器の誤作動を防止することができる効果がある。この場合、二組のツイストペア線20,21(図3)をコネクタ16に接続する必要がある。二組のツイストペア線20,21をコネクタ16に接続したものについては、後述する。
【0034】
ツイストペア線10の撚り合わされたピッチPは、ツイストペア線10の長さや太さに応じて任意に設定されている。ツイストペア線10が長い場合はピッチPが小さく設定される。ツイストペア線10が長いものほど、特性インピーダンスが高くなり、輻射ノイズが発生しやすく、また外来ノイズの影響を受けやすいためである。
【0035】
特性インピーダンスは、電気信号が流れる伝送路のキャパシタンスやインダクタンスにより決定され、電気信号の流れを妨げる伝送路に固有の抵抗である。特性インピーダンスが大きくなると、ノイズ電圧が大きくなり、ノイズの影響を受けやすくなり、他方、特性インピーダンスが小さくなると、ノイズ電圧が小さくなり、ノイズの影響を受け難くなる。
【0036】
ツイストペア線10のピッチPが大きくなると、ループ13の面積も大きくなり、殊に静電誘導による静電的ノイズの影響を受けやすくなることが知られている。このため、ピッチPはノイズの性質も考慮に入れて適切な寸法に設定されている。
【0037】
撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ15は、ポリ塩化ビニル等の熱収縮性の合成樹脂材を構成材料とし、筒状に成形されている。熱収縮させるための加熱手段としては、図示しないヒータやガスバーナ、熱風ドライヤーなどが用いられる。
【0038】
収縮部材として熱収縮チューブ15を用いた構成は、本発明のツイストペア線10の第2の特徴である。熱収縮チューブ15を用いたのは、収縮率が50%程度と大きく、撚り戻し部14を構成する2本の電線12,12が密着保持されて、輻射ノイズが確実に減少するからである。
【0039】
熱収縮チューブ15の内側に、ホットメルト接着剤を充填して、電線12と熱収縮チューブ15とを密着した状態に固定してもよい。また、熱収縮チューブ15の内側にシール材を充填した後、ホットメルト接着剤を流し込み固定してもよい。ホットメルト接着剤を充填することで、撚り戻し部14(電線12)と熱収縮チューブ15の固着を確実に行うことができ、熱収縮チューブ15が撚り戻し部14から外れることがより一層確実に防止される。
【0040】
ホットメルト接着剤は、エチレン・酢酸ビニルの共重合体であって、100℃以上に加熱されて用いられる。エチレンの相手成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等が適用される。加熱手段としては、ヒータや熱風ドライヤーなどが用いられる。
【0041】
熱収縮チューブ15を所定温度に加熱すると、円周方向に分子配向された熱収縮チューブ15の内部応力が緩和され、その後に熱収縮チューブ15が一様に収縮し、撚り戻し部14の2本の電線12,12が熱収縮チューブ15によって束ねられ、電線間隔が狭められる。このため、2本の電線間に生ずるインピーダンスが小さくなり、輻射ノイズが減少する。従って、ツイストペア線10の伝送特性が悪化せず、ノイズによる車載機器の誤作動が防止される。
【0042】
図2は、熱収縮チューブ15が被着された本発明のツイストペア線a(ツイストペア線10)と熱収縮チューブ15の被着されていない従来のツイストペア線bの伝送特性を比較したものである。縦軸は伝送特性としての入出力比(dB)を示し、横軸は信号電流の周波数(MHz)を示している。
【0043】
従来のツイストペア線bの伝送特性は、信号電流の周波数が1〜10MHzの低周波数領域において、本発明のツイストペア線aの伝送特性と完全に一致するものの、10〜100MHzの高周波数領域において、本発明のツイストペア線aの伝送特性と相違する。
【0044】
図示するように、従来のツイストペア線bの伝送特性は、高周波数領域において伝送特性が急激に低下することが示されている。乱れた波線は、高周波数のノイズによる影響である。
【0045】
これに対して、本発明のツイストペア線aは、低周波数領域ないし高周波数領域において、伝送特性に乱れが発生せず、周波数が高くなるに従い漸次減少するのみであり、全周波数領域において安定した伝送特性を示している。このため、本発明のツイストペア線aは、殊に、高帯域の電気的信号を伝える信号線として好適する。
【0046】
以上のように、この実施形態によれば、ツイストペア線10の撚り戻し部14には、熱収縮チューブ15が被着されているから、撚り戻し部14の2本の電線12,12が熱収縮チューブ15によって密着状態に束ねられ、2本の電線12,12が離れることが防止されて、インピーダンスの低下により、輻射ノイズが著しく減少する。
【0047】
図3は、本発明に係るツイストペア線のコネクタ接続構造の一実施形態を示すものである。図示するように、コネクタ16には、往路用と復路用の二組のツイストペア線20,21が接続されており、各ツイストペア線20,21の撚り戻し部14には、色の異なる熱収縮チューブ23,24が被着されている。なお、コネクタ16が多極である場合には、4組ないしそれ以上のツイストペア線(図示せず)をコネクタ16に接続することも可能である。
【0048】
二組のツイストペア線20,21は、電気的信号を車載機器側からコネクタ16側に伝送する往路用と、電気的信号をコネクタ16側から車載機器側に伝送する復路用のツイストペア線20,21である。
【0049】
往路用及び復路用の各ツイストペア線20,21は、2本の電線12,12を撚り合わせたツイスト構造を成していて、一方の電線12が電気的信号を伝送する通信用であり、他方の電線12がノイズを逃がすための接地用である。接地用の電線12を通信用の電線12に撚り合わせることで、殊に、高周波数の静電的ノイズに対して強くなっている。
【0050】
二組のツイストペア線20,21の各撚り戻し部14に、色の異なる熱収縮チューブ23,24を被着したことは、ツイストペア線23,24のコネクタ接続構造の特徴である。
【0051】
従来は、熱収縮チューブ23,24に着色をせず、同色の熱収縮チューブ(図示せず)を用いていたため、往路及び復路の区別と、通信用の電線12及び接地用の電線12の区別をするために、4種類の電線12を用意する必要があった。
【0052】
しかし、本発明のように熱収縮チューブ23,24の色を変えるだけの簡単な工夫で、着色された電線12の種類を半減することができ、電線12の取り扱いを容易化することもでき、これによって、ツイストペア線20,21のコストダウンを図ることができるようになっている。
【0053】
多極のコネクタ16に接続されるツイストペア線(図示せず)が四組又はそれ以上ある場合は、各ツイストペア線の熱収縮チューブの色を変えることによるコストダウン効果はより一層大きくなる。
【0054】
以上のように、この実施形態によれば、コネクタ16に接続される各ツイストペア線20,21の撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ23,24の色が変わっているから、識別のためにツイストペア線20,21に着色をする必要がなくなり、取り扱う電線12の種類が減少して、コストダウンが図られる。
【0055】
なお、前記の実施形態から把握できる請求項記載以外の技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
ツイストペア線10,20,21の撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ15が、電線12間の隙間を全部ないし部分的に塞ぐことを特徴する。
上記構成によれば、撚り戻し部14のインピーダンスが低下するから、電磁的及び静電的ノイズの発生をより一層確実に防止することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、撚り戻し部には収縮部材が被着されているから、撚り戻し部の複数の電線が収縮部材によって束ねられ、複数の電線間隔が離れることが防止されて、輻射ノイズが低減する。従って、ツイスト線の伝送特性が低下せず、ノイズによる車載機器の誤作動を防止することができる。
【0057】
また、請求項2記載の発明によれば、熱収縮チューブがヒータ等の熱源により適当な温度に加熱されると、円周方向に分子配向された熱収縮チューブの内部応力が緩和され、その後に熱収縮チューブが収縮して、撚り戻し部の各電線が密着した状態に束ねられる。従って、ツイスト線の端末側の各電線が離れることが防止されて、ツイスト線から輻射されるノイズが確実に減少し、車載機器の誤作動が防止される。
【0058】
また、請求項3記載の発明によれば、各ツイスト線の撚り戻し部に被着される収縮部材の色が変わっているから、識別のためにツイスト線に着色をする必要がなくなる。従って、取り扱う電線の種類が減少し、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るツイストペア線の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す熱収縮チューブの被着されたツイストペア線の伝送特性と、熱収縮チューブの被着されていないツイストペア線の伝送特性とを比較したグラフである。
【図3】本発明に係るツイストペア線のコネクタ接続構造の一実施形態を示す側面図である。
【図4】ツイストペア線及びそのコネクタ接続構造の従来の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に示すツイストペア線の磁力線の向きと平行線の磁力線の向きを比較した図である。
【符号の説明】
10,20,21 ツイストペア線(ツイスト線)
12 電線
14 撚り戻し部
15,23,24 熱収縮チューブ(収縮部材)
16 コネクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタや回路基板等に接続され、自動車などの車両に搭載される車載機器に電気的信号を伝える通信用のツイスト線及びそのコネクタ接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載機器に電気的信号を伝える電線としては、一対の被覆電線を撚り合わしたツイスト線が広く使用されている。ツイスト線は、一対の被覆電線を平行ないし略平行に並べた平行線に比べて、電磁誘導による電磁的ノイズの影響を受けずらく、通信の信頼性が高いためである。
【0003】
電磁的ノイズは、一方の電線に交流が流れた際に他方の電線に誘導起電力が誘起されることにより発生するノイズである。広帯域の電気的信号は、その周波数が高いため、インピーダンスが大きくなり、電磁的ノイズの影響を受けやすい。
【0004】
図5は、ツイスト線35と平行線36とに流れる信号電流Xの向きと磁力線Yの向きとを示したものである。図示するように、両方の電線35,36には、閉回路を構成するように往きと復りの信号電流Xが流れるようになっている。信号電流Xが往きと復りで一巡しなければ、車載機器に電気的信号を伝送することができないからである。
【0005】
各電線35,36には、1点鎖線で示す磁力線Yが発生する。図5(a)に示すツイスト線35の隣り合うループに発生する磁力線Yは、互いに相殺する方向に作用し、図5(b)に示す平行線36に発生する磁力線Yは、互いに加算する方向に作用する。このため、ツイスト線35では、電磁誘導により生ずる誘導起電力が互いに打ち消し合い、電磁的ノイズの影響を受けずらくなっている。
【0006】
このようなツイスト線を用いたものとしては、図4に示すツイスト線及びそのコネクタ接続構造が知られている(例えば、特許文献1)。このツイスト線30は、コネクタ33に接続されて図示しない車載機器に電気的信号を伝送するものであり、ループ30a,30b,30cの位相をずらしてノイズ遮断効果を維持するようにしたものである。
【0007】
図示するように、多極のコネクタ33には、3組のツイスト線30,31,32が接続されている。各ツイスト線30,31,32は、互いに平行に配索されていて、その端末には端子34が接続されている。ツイスト線30,31,32は、図示しない撚り合わせ治具により所定のピッチPに撚り合わせられている。
【0008】
ツイスト線30,31,32は、端子34をコネクタ33の端子収容室33aに挿入する前に、端末側が撚り戻される。各ツイスト線30,31,32は、撚り戻された端末側の長さL1,L2,L3が1/3ピッチずつ位相がずれるように形成されている。すなわち、端子34から最初の交差部までの長さがツイスト線30,31,32毎に異なる長さに形成されている。撚り戻された端末側は、互いに平行に延びている。
【0009】
このように、撚り戻された端末側の長さL1,L2,L3をツイスト線30,31,32毎に異ならせ、1/3ピッチずつずらすことで、電磁的ノイズの遮断効果が維持されるようになっている。
【0010】
また、ツイスト線を用いた他の従来例としては、下記の特許文献2及び3が開示されている。特許文献2には、静電誘導に対するシールド効果が付与されたツイスト線が示されている。このツイスト線は、1本のアース線と2本の電線とを互いに接触するように撚り合わせたものである。1本のアース線は、接地用の電線である。
【0011】
また、特許文献3には、撚り戻し作業の作業性及び作業効率の向上を図り得るツイスト線の撚り戻し治具及び撚り戻し装置が示されている。この撚り戻し治具は、ツイスト線を挟持するためのスリットを有する挟持部と、挟持部を支持する柄部と、挟持部と柄部との間に位置して挟持部を回転させる回転機構としてのベアリングとを備えたものであり、ツイスト線の撚りを戻す際に、撚り戻し治具とツイスト線との擦れを低減できるようにしたものである。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−184954号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平7−326229号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平8−329751号公報(第2−3頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のツイスト線及びそのコネクタ接続構造では、解決すべき以下の問題点がある。
【0014】
一つに、コネクタ33に接続されるツイスト線30,31,32の撚りが戻されると、誘導起電力が互いに加算されてノイズ電圧が増加し、キャパシタンスが大きくなってノイズ電流が増加し、電磁誘導及び静電誘導によるノイズが発生して、車載機器が誤作動するという心配がある。
【0015】
また、コネクタ33に接続されるツイスト線30,31,32が複数あるため、識別のため隣り合うツイスト線30,31,32を着色しなければならず、電線の種類が多くなりコストが高くなるという問題もある。
【0016】
本発明は、上記した点に鑑み、コネクタや回路基板等と接続されるツイスト線の端末側において発生する輻射ノイズを低減することができ、また、隣り合うツイスト線を着色せずに識別できコストダウンを図ることができるツイスト線及びそのコネクタ接続構造を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の電線が撚り合わされて形成されるとともに、少なくとも一側にコネクタと接続するための撚り戻し部が形成されたツイスト線であって、前記撚り戻し部には、複数の電線を束ねるための収縮部材が被着されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、複数の電線が所定のピッチに撚り合わされているから、複数の電線が形成するループに発生する磁力線は、隣り合うループで互いに相殺し合い、電磁誘導による輻射ノイズ及び外来ノイズの影響が著しく減少する。
【0019】
そして、撚り戻し部の複数の電線が収縮部材によって束ねられ、電線間隔が離れてしまうことが防止されるため、伝送路のインピーダンスが小さくなり、これによって輻射ノイズが低減する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のツイスト線において、前記収縮部材が熱収縮チューブであることを特徴とする。
上記構成によれば、熱収縮チューブがヒータ等の熱源により適当な温度に加熱されることで、熱収縮チューブが収縮し、撚り戻し部の各電線が密着した状態に束ねられる。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の複数のツイスト線がコネクタに接続されていて、各ツイスト線の前記撚り戻し部に、識別用に色の異なる前記収縮部材が被着されたことを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、各ツイスト線が収縮部材によって色分けされるため、識別のためにツイスト線に着色をする必要がなくなり、取り扱う電線の種類が減少する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係るツイスト線の一実施形態を示し、図3はツイスト線のコネクタ接続構造の一実施形態を示すものである。先ず、ツイスト線の一実施形態から説明する。
【0024】
図1に示すように、2本の電線12,12が撚り合わされたツイストペア線(ツイスト線)10の一側には、コネクタ16と接続するための撚り戻し部14が形成されている。この撚り戻し部14に熱収縮チューブ(収縮部材)15が被着された構成は、本発明のツイスト線の第1の特徴である。
【0025】
撚り合わされた各電線12は、断面円形の被覆電線であり、芯線部(図示せず)と被覆部12aとからなっている。芯線部の構成材料は、公知の導体材料が使用される。例えば、軟銅線、錫めっき銅線またはニッケルめっき銅線等が使用される。被覆部12aは、低融点(110℃〜200℃)の熱可塑性樹脂材料を構成材料としている。熱可塑性樹脂材料としては、様々な種類のものが公知になっているが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
【0026】
芯線部及び被覆部12aの構成材料は、電線12の使用用途、使用条件を考慮して選択されるものであり、特に限定されるものではない。また、電線12の長さ、被覆部12aの被覆厚さ等についても、限定されるものではなく、任意に選択可能である。
【0027】
撚り戻し部14は、周知の図示しない撚り戻し治具を用い、所定のピッチPで撚り合わされたツイストペア線10を撚った方向と反対方向に撚り戻すことにより形成される。この撚り戻し部14は、コネクタ16に対向して位置するツイストペア線10の端末側部分である。
【0028】
撚り戻し治具は、板状をなし、スリットを有する挟持部と、挟持部に連なる柄部とからなっている。撚り戻し部14を形成する際は、挟持部のスリットにツイストペア線10の端末側を挿入し、撚り戻し治具をツイストペア線10の先端方向に引き抜くように移動させることにより形成される。
【0029】
撚り戻し部14の長さLは、任意であるが少なくとも80mm以上に設定されている。撚り戻し部14の長さLが短いと、図示しない端子とツイストペア線10の接続作業性が悪くなるためである。また、コネクタ16や回路基板(図示せず)等との接続作業性も悪くなるためである。
【0030】
ツイストペア線10に接続される端子には、各種の端子を適用することができ、例えば、タブ状の電気接触部を有する雄型端子や、箱状の電気接触部を有する雌型端子や、板状の電気接触部を有するLA端子などが適用可能である。また、これらの端子の電線接続部は、一対の折り曲げ可能な圧着片を備えたものであってもよく、またY字状のスリットを形成する一対の圧接片を備えたものであってもよい。
【0031】
電気接続部に一対の圧着片を備えたいわゆる圧着端子が選択される場合には、ツイストペア線10は、端子を介してコネクタ16に接続される。他方、電気接続部に一対の圧接片を備えたいわゆる圧接端子が選択される場合には、コネクタ16の他に回路基板などにも接続され得る。
【0032】
また、この実施形態で説明するツイストペア線10は、2本の電線12,12を撚り合わせたものであるが、本発明はこのようなものに限定するものではなく、2本の電線12,12に接地用の第3の電線を撚り合わしたものであってもよい。接地用の第3の電線を撚り合わした場合は、殊に静電誘導による静電的ノイズの影響を減少させ得る効果がある。
【0033】
また、ツイストペア線10の2本の電線12,12のうちの1本を電気的信号を伝送するための信号用とし、他の1本をノイズを逃がすための接地用としてもよい。このようにすれば、高周波数のノイズ電流が外部に逃がされて、ノイズの影響を受けずに電気的信号を車載機器に通電することができ、車載機器の誤作動を防止することができる効果がある。この場合、二組のツイストペア線20,21(図3)をコネクタ16に接続する必要がある。二組のツイストペア線20,21をコネクタ16に接続したものについては、後述する。
【0034】
ツイストペア線10の撚り合わされたピッチPは、ツイストペア線10の長さや太さに応じて任意に設定されている。ツイストペア線10が長い場合はピッチPが小さく設定される。ツイストペア線10が長いものほど、特性インピーダンスが高くなり、輻射ノイズが発生しやすく、また外来ノイズの影響を受けやすいためである。
【0035】
特性インピーダンスは、電気信号が流れる伝送路のキャパシタンスやインダクタンスにより決定され、電気信号の流れを妨げる伝送路に固有の抵抗である。特性インピーダンスが大きくなると、ノイズ電圧が大きくなり、ノイズの影響を受けやすくなり、他方、特性インピーダンスが小さくなると、ノイズ電圧が小さくなり、ノイズの影響を受け難くなる。
【0036】
ツイストペア線10のピッチPが大きくなると、ループ13の面積も大きくなり、殊に静電誘導による静電的ノイズの影響を受けやすくなることが知られている。このため、ピッチPはノイズの性質も考慮に入れて適切な寸法に設定されている。
【0037】
撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ15は、ポリ塩化ビニル等の熱収縮性の合成樹脂材を構成材料とし、筒状に成形されている。熱収縮させるための加熱手段としては、図示しないヒータやガスバーナ、熱風ドライヤーなどが用いられる。
【0038】
収縮部材として熱収縮チューブ15を用いた構成は、本発明のツイストペア線10の第2の特徴である。熱収縮チューブ15を用いたのは、収縮率が50%程度と大きく、撚り戻し部14を構成する2本の電線12,12が密着保持されて、輻射ノイズが確実に減少するからである。
【0039】
熱収縮チューブ15の内側に、ホットメルト接着剤を充填して、電線12と熱収縮チューブ15とを密着した状態に固定してもよい。また、熱収縮チューブ15の内側にシール材を充填した後、ホットメルト接着剤を流し込み固定してもよい。ホットメルト接着剤を充填することで、撚り戻し部14(電線12)と熱収縮チューブ15の固着を確実に行うことができ、熱収縮チューブ15が撚り戻し部14から外れることがより一層確実に防止される。
【0040】
ホットメルト接着剤は、エチレン・酢酸ビニルの共重合体であって、100℃以上に加熱されて用いられる。エチレンの相手成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等が適用される。加熱手段としては、ヒータや熱風ドライヤーなどが用いられる。
【0041】
熱収縮チューブ15を所定温度に加熱すると、円周方向に分子配向された熱収縮チューブ15の内部応力が緩和され、その後に熱収縮チューブ15が一様に収縮し、撚り戻し部14の2本の電線12,12が熱収縮チューブ15によって束ねられ、電線間隔が狭められる。このため、2本の電線間に生ずるインピーダンスが小さくなり、輻射ノイズが減少する。従って、ツイストペア線10の伝送特性が悪化せず、ノイズによる車載機器の誤作動が防止される。
【0042】
図2は、熱収縮チューブ15が被着された本発明のツイストペア線a(ツイストペア線10)と熱収縮チューブ15の被着されていない従来のツイストペア線bの伝送特性を比較したものである。縦軸は伝送特性としての入出力比(dB)を示し、横軸は信号電流の周波数(MHz)を示している。
【0043】
従来のツイストペア線bの伝送特性は、信号電流の周波数が1〜10MHzの低周波数領域において、本発明のツイストペア線aの伝送特性と完全に一致するものの、10〜100MHzの高周波数領域において、本発明のツイストペア線aの伝送特性と相違する。
【0044】
図示するように、従来のツイストペア線bの伝送特性は、高周波数領域において伝送特性が急激に低下することが示されている。乱れた波線は、高周波数のノイズによる影響である。
【0045】
これに対して、本発明のツイストペア線aは、低周波数領域ないし高周波数領域において、伝送特性に乱れが発生せず、周波数が高くなるに従い漸次減少するのみであり、全周波数領域において安定した伝送特性を示している。このため、本発明のツイストペア線aは、殊に、高帯域の電気的信号を伝える信号線として好適する。
【0046】
以上のように、この実施形態によれば、ツイストペア線10の撚り戻し部14には、熱収縮チューブ15が被着されているから、撚り戻し部14の2本の電線12,12が熱収縮チューブ15によって密着状態に束ねられ、2本の電線12,12が離れることが防止されて、インピーダンスの低下により、輻射ノイズが著しく減少する。
【0047】
図3は、本発明に係るツイストペア線のコネクタ接続構造の一実施形態を示すものである。図示するように、コネクタ16には、往路用と復路用の二組のツイストペア線20,21が接続されており、各ツイストペア線20,21の撚り戻し部14には、色の異なる熱収縮チューブ23,24が被着されている。なお、コネクタ16が多極である場合には、4組ないしそれ以上のツイストペア線(図示せず)をコネクタ16に接続することも可能である。
【0048】
二組のツイストペア線20,21は、電気的信号を車載機器側からコネクタ16側に伝送する往路用と、電気的信号をコネクタ16側から車載機器側に伝送する復路用のツイストペア線20,21である。
【0049】
往路用及び復路用の各ツイストペア線20,21は、2本の電線12,12を撚り合わせたツイスト構造を成していて、一方の電線12が電気的信号を伝送する通信用であり、他方の電線12がノイズを逃がすための接地用である。接地用の電線12を通信用の電線12に撚り合わせることで、殊に、高周波数の静電的ノイズに対して強くなっている。
【0050】
二組のツイストペア線20,21の各撚り戻し部14に、色の異なる熱収縮チューブ23,24を被着したことは、ツイストペア線23,24のコネクタ接続構造の特徴である。
【0051】
従来は、熱収縮チューブ23,24に着色をせず、同色の熱収縮チューブ(図示せず)を用いていたため、往路及び復路の区別と、通信用の電線12及び接地用の電線12の区別をするために、4種類の電線12を用意する必要があった。
【0052】
しかし、本発明のように熱収縮チューブ23,24の色を変えるだけの簡単な工夫で、着色された電線12の種類を半減することができ、電線12の取り扱いを容易化することもでき、これによって、ツイストペア線20,21のコストダウンを図ることができるようになっている。
【0053】
多極のコネクタ16に接続されるツイストペア線(図示せず)が四組又はそれ以上ある場合は、各ツイストペア線の熱収縮チューブの色を変えることによるコストダウン効果はより一層大きくなる。
【0054】
以上のように、この実施形態によれば、コネクタ16に接続される各ツイストペア線20,21の撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ23,24の色が変わっているから、識別のためにツイストペア線20,21に着色をする必要がなくなり、取り扱う電線12の種類が減少して、コストダウンが図られる。
【0055】
なお、前記の実施形態から把握できる請求項記載以外の技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
ツイストペア線10,20,21の撚り戻し部14に被着される熱収縮チューブ15が、電線12間の隙間を全部ないし部分的に塞ぐことを特徴する。
上記構成によれば、撚り戻し部14のインピーダンスが低下するから、電磁的及び静電的ノイズの発生をより一層確実に防止することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、撚り戻し部には収縮部材が被着されているから、撚り戻し部の複数の電線が収縮部材によって束ねられ、複数の電線間隔が離れることが防止されて、輻射ノイズが低減する。従って、ツイスト線の伝送特性が低下せず、ノイズによる車載機器の誤作動を防止することができる。
【0057】
また、請求項2記載の発明によれば、熱収縮チューブがヒータ等の熱源により適当な温度に加熱されると、円周方向に分子配向された熱収縮チューブの内部応力が緩和され、その後に熱収縮チューブが収縮して、撚り戻し部の各電線が密着した状態に束ねられる。従って、ツイスト線の端末側の各電線が離れることが防止されて、ツイスト線から輻射されるノイズが確実に減少し、車載機器の誤作動が防止される。
【0058】
また、請求項3記載の発明によれば、各ツイスト線の撚り戻し部に被着される収縮部材の色が変わっているから、識別のためにツイスト線に着色をする必要がなくなる。従って、取り扱う電線の種類が減少し、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るツイストペア線の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す熱収縮チューブの被着されたツイストペア線の伝送特性と、熱収縮チューブの被着されていないツイストペア線の伝送特性とを比較したグラフである。
【図3】本発明に係るツイストペア線のコネクタ接続構造の一実施形態を示す側面図である。
【図4】ツイストペア線及びそのコネクタ接続構造の従来の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に示すツイストペア線の磁力線の向きと平行線の磁力線の向きを比較した図である。
【符号の説明】
10,20,21 ツイストペア線(ツイスト線)
12 電線
14 撚り戻し部
15,23,24 熱収縮チューブ(収縮部材)
16 コネクタ
Claims (3)
- 複数の電線が撚り合わされて形成されるとともに、少なくとも一側にコネクタと接続するための撚り戻し部が形成されたツイスト線であって、前記撚り戻し部には、複数の電線を束ねるための収縮部材が被着されたことを特徴とするツイスト線。
- 前記収縮部材が熱収縮チューブであることを特徴とする請求項1記載のツイスト線。
- 請求項1又は2記載の複数のツイスト線がコネクタに接続されていて、各ツイスト線の前記撚り戻し部に、識別用に色の異なる前記収縮部材が被着されたことを特徴とするツイスト線のコネクタ接続構造。
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