JP2004100931A - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ねじ軸の軸線方向移動を規制する軸ストッパを、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシングに取り付けることができるリニアアクチュエータを得る。
【解決手段】リニアアクチュエータ10では、ギヤードモータ22によってスクリューシャフト14が軸線廻りに回転してナット16が該軸線に沿って移動する。ナット16がスクリューシャフト14に固定されたブッシュ42に当接して矢印A側への移動を規制されると、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向へ移動しようとするが、該移動はブッシュ42がカラー38に係合して阻止される。カラー38は、スクリューシャフト14の一端部が入り込んだケース本体24と、スクリューシャフト14及びナット16を外側から被覆するシャフトカバーパイプ28との間に挟持されて強固に固定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】リニアアクチュエータ10では、ギヤードモータ22によってスクリューシャフト14が軸線廻りに回転してナット16が該軸線に沿って移動する。ナット16がスクリューシャフト14に固定されたブッシュ42に当接して矢印A側への移動を規制されると、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向へ移動しようとするが、該移動はブッシュ42がカラー38に係合して阻止される。カラー38は、スクリューシャフト14の一端部が入り込んだケース本体24と、スクリューシャフト14及びナット16を外側から被覆するシャフトカバーパイプ28との間に挟持されて強固に固定されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの回転を直線運動に変換し負荷側システムに伝達するリニアアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、福祉の拡充を背景にして需要が高まってきている電動式の介護用ベッド等には、水平なベッドフレームに対してヒンジ結合された背もたれ板を電動で所定角度起こすために、リニアアクチュエータが用いられている。
【0003】
このようなリニアアクチュエータとしては、ねじ軸と該ねじ軸に螺合するナットとを有しねじ軸の回転によってナットを直動させる送りねじ機構と、該送りねじ機構を収容すると共に負荷側システム(介護用ベッドのベッドフレーム等)に固定されるケーシングと、ねじ軸の一端部に減速機構等を介して接続されると共にケーシングに収容または固定された電気モータと、ナットと負荷(介護用ベッドの背もたれ板等)を連結し該ナットの移動によってケーシングに対し伸縮するロッドと、を主要構成要素としたものが知られている。
【0004】
ケーシングとしては、電気モータ等を固定すると共に軸受を介してねじ軸の一端部を回転自在に軸支するケース本体と、該ケース本体に一端部が挿入されて固定されナットの略全移動範囲に亘りねじ軸及びナットの外側を被覆するカバーパイプ(筒状部材)とを有する構成が一般的に用いられる。
【0005】
このリニアアクチュエータでは、ねじ軸の両端部がナットの移動限となっており、ナットのねじ軸からの脱落を阻止するためにねじ軸の両端にはナットストッパが設けられている。また、このリニアアクチュエータでは、ナットがナットストッパに当接して移動が規制されると、ねじ軸が自らの回転によって軸線方向へ移動しようとするため、該ねじ軸の軸線方向の移動を規制する軸ストッパが設けられている。
【0006】
この軸ストッパの1つとして、ケース本体またはパイプに形成した溝に止め輪を嵌入した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成について図7(A)に基づいて説明する。
【0007】
図7(A)に示す構成では、ケース本体200の内側にリング状のスラスト受け部202が突設されており、該スラスト受け部202は、ねじ軸204を挿通させて固定されたリング状のナットストッパ206との間にスラスト軸受208を介在させてねじ軸204の矢印D側の移動を阻止(規制)するようになっている。すなわち、ねじ軸204の矢印D側への移動を規制する軸ストッパは、ケース本体200に一体に形成されたスラスト受け部202である。
【0008】
一方、ナットストッパ206を挟んでスラスト受け部202と反対側には、軸ストッパ210が配置されている。軸ストッパ210は、周方向の一部が切り欠かれたCリング等であり、ケース本体200に固定されたカバーパイプ212の内周に形成された環状溝212Aに嵌入されて軸線方向移動が不能とされている。
【0009】
この状態で軸ストッパ210は、内径側部分がカバーパイプ212内に突出してナットストッパ206と係合可能で、かつねじ軸204に螺合されるナット(図示省略)に干渉しないようになっている。この軸ストッパ210が、ナットがナットストッパ206に当接したときに、ねじ軸204が矢印Dとは反対の矢印E方向への移動を阻止(規制)するようになっている。
【0010】
また、軸ストッパの別の構成を図7(B)に基づいて説明する。なお、図7(A)と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。この構成では、リング状の軸ストッパ214がビス止めによってケース本体200の端面に固定されている。この軸ストッパ214が、ナットがナットストッパ206に当接したときに、ねじ軸204が矢印Dとは反対の矢印E方向への移動を阻止(規制)するようになっている。
【0011】
軸ストッパのさらに別の構成として、ねじ軸の一端側に設けられたワンウェイクラッチの軸線方向移動を規制するものであるが、上記軸ストッパ210、214に対応する軸ストッパを、スラスト受け部202に対応する軸ストッパと共にケース本体に一体に形成した構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。この構成では、図示は省略するが、ケース本体を左右一対のハーフシェルを最中合わせに接合して構成することで、ねじ軸の軸線方向一方側の移動を規制する軸ストッパと、他方側の移動を規制する軸ストッパとを共にケース本体に一体に形成している。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−332454号公報
【特許文献2】
特開平11−247960号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7(A)に示す軸ストッパを有する従来のリニアアクチュエータでは、Cリング等である軸ストッパ210を変形させつつカバーパイプ212の環状溝212Aに嵌入させる必要があり、軸ストッパ210の組み付け作業が煩雑で組付性が悪いという問題があった。
【0014】
また、図7(B)に示す軸ストッパを有する従来のリニアアクチュエータでは、軸ストッパ214がビス止めによってケース本体に固定されているため、該軸ストッパ214の取付強度が弱いという問題があった。特に、介護用ベッドに適用されるリニアアクチュエータは、その推力が大きいため、上記強度不足の問題が一層顕著となる。
【0015】
さらに、ねじ軸の軸線方向両側への移動を規制する軸ストッパをそれぞれケース本体に一体に形成した従来のリニアアクチュエータでは、一対のハーフシェルを最中合わせに接合してケース本体を構成するため、該ケース本体の強度が不足するという問題があった。
【0016】
本発明は、上記事実を考慮して、ねじ軸の軸線方向移動を規制する軸ストッパを、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシングに取り付けることができるリニアアクチュエータを得ることが目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るリニアアクチュエータは、電気モータに接続され、該電気モータの作動によって軸線廻りに回転するねじ軸と、前記ねじ軸に螺合し、該ねじ軸の回転によって該ねじ軸の軸線方向に移動するナットと、前記ねじ軸の軸線方向一端部を収容し、該ねじ軸を該一端側への移動を阻止しつつ回転自在に軸支するケース本体と、前記ケース本体に固定され、前記ねじ軸及び前記ナットを該ナットの外側を被覆する筒状部材と、前記ねじ軸における前記ケース本体内に位置する部分の径方向外側に設けられ、該ねじ軸の前記一端側への前記ナットの移動を規制するナットストッパと、前記ケース本体と前記筒状部材との間に挟持されて前記ナットストッパに係合可能に配置され、該ナットストッパに前記ナットが当接したときに該ナットストッパに係合して前記ねじ軸の軸線方向他端側への移動を阻止する軸ストッパと、を備えている。
【0018】
請求項1記載のリニアアクチュエータでは、電気モータが作動してねじ軸が軸線廻りに回転すると、ねじ軸に螺合しているナットが該ねじ軸の軸線方向に移動する。すなわち、このナットを負荷に連結しておけば、負荷を直線移動させることができる。
【0019】
ねじ軸におけるケース本体内に位置する部分に設けられたナットストッパにナットが当接すると、ナットのそれ以上のねじ軸一端側への移動が規制される。このとき、ナットの移動が規制されることでねじ軸が他端側へ移動しようとするが、この移動は、ナットストッパが軸ストッパに係合することで阻止される。すなわち、軸ストッパは、ナットストッパのナットが当接する側に設けられている。
【0020】
一方、ナットがねじ軸の他端側の移動限に達して該ねじ軸が一端側に移動しようとする場合には、この移動は、ねじ軸を一端側への移動を阻止しつつ回転自在に軸支するケース本体によって阻止される。
【0021】
ここで、軸ストッパがケース本体と筒状部材との間に挟持されているため、該軸ストッパは、単にケース本体と筒状部材との間に位置した状態で該ケース本体と筒状部材とを固定する簡単な構造で、ケース本体(筒状部材)に対し強固に固定される。
【0022】
このように、請求項1記載のリニアアクチュエータでは、ねじ軸の軸線方向移動を規制する軸ストッパを、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシングに取り付けることができる。
【0023】
請求項2記載の発明に係るリニアアクチュエータは、請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、前記筒状部材を前記ケース本体にねじ込んで固定すると共に、該筒状部材の軸線方向端面と該ケース本体内に形成された段部との間に前記軸ストッパを挟持する、ことを特徴としている。
【0024】
請求項2記載のリニアアクチュエータでは、筒状部材の外周とケース本体の内周とが互いに対応する円形とされており、筒状部材がケース本体にねじまれて固定される。このため、筒状部材がケース本体に対し強固に固定され、ケース本体の段部と筒状部材の単面との間で挟持される軸ストッパの取付強度が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明に係るリニアアクチュエータは、請求項2記載のリニアアクチュエータにおいて、前記軸ストッパを、外径が前記段部の内径より大でかつ内径が前記段部の内径よりも小である環状に形成した、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3記載のリニアアクチュエータでは、軸ストッパが、外径がケース本体の段部の内径より大でかつ内径が段部の内径よりも小である環状(リング状)に形成されているため、換言すれば、軸ストッパが単体でケース本体内で段部から(段部よりも奥方へ)脱落しない形状に形成されているため、該軸ストッパを保持したりすることなく、単に軸ストッパをケース本体内に挿入した状態で該ケース本体に筒状部材をねじ込むことで、簡単に軸ストッパをケース本体(筒状部材)に対し固定できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10について、図1乃至図6に基づいて説明する。先ず、リニアアクチュエータ10の構成を説明し、次いでリニアアクチュエータ10を介護用ベッド110に適用した例を説明する。
【0028】
図1及び図2には、それぞれリニアアクチュエータ10の全体構成が断面図にて示されている。なお、図1はリニアアクチュエータ10短縮状態を、図2はリニアアクチュエータ10の伸長状態をそれぞれ示している。
【0029】
これらの図に示される如く、リニアアクチュエータ10は、装置外郭を構成するケーシング12と、ケーシング12内に収容されると共に「ねじ軸」としてのスクリューシャフト14を軸線廻りに回転させることで該スクリューシャフト14に螺合するナット16を軸線方向移動させる直動機構部18と、ナット16の軸線方向移動によってケーシング12に対し伸縮するアクチュエータロッド20と、ケーシング12内に収容されると共に作動してスクリューシャフト14を回転駆動する「電気モータ」としてのギヤードモータ22と、を主要構成要素として構成されている。以下、この順に各部の構成を説明する。
【0030】
ケーシング12は、ケース本体24と、ケース本体24の一端部に接続された状態でギヤードモータ22を収容するモータカバー部26と、ケース本体24の他端側に一部挿入されて固定された「筒状部材」としてのシャフトカバーパイプ28とを備えて構成されている。
【0031】
ケース本体24は、外径が一端側(矢印A側)から他端側(矢印B側)へ向けて連続的に縮径されて形成され、その内部には軸線方向に沿って貫通孔30が設けられている。貫通孔30の軸線方向中央部からは、リング状のスラスト受け部32が内方へ向けて突設されている。貫通孔30におけるスラスト受け部32よりも一端側がジョイント室34、他端側がパイプ保持部36とされている。
【0032】
また、図3にも示される如く、パイプ保持部36には、それぞれ矢印B側の開口端へ向けて内径を拡大するように軸線方向の2箇所の段部36A、36Bが設けられている。そして、段部36Aと段部36Bとの間におけるパイプ保持部36の内面には、段部36A側の一部を除いて所定長さに亘ってめねじ36Cが形成されている。
【0033】
一方、モータカバー部26は、外径がケース本体24の最大径に対応した略カップ状に形成され、その開口端がケース本体24のジョイント室34側端部に接続されることで、その内部がジョイント室34と連通している。このモータカバー部26の底部の外側には連結部26Aが突設されており、該連結部26Aは適用される装置(本実施の形態では、介護用ベッド110のベッドフレーム112)への固定用とされている。
【0034】
また、シャフトカバーパイプ28は、両端が開口すると共に外径がパイプ保持部36における最大径(段部36Bよりも開口端側の内径)に対応した円筒状に形成されている。このシャフトカバーパイプ28の軸線方向一端部には、めねじ36Cに対応したおねじ28Aが形成されている。おねじ28Aは、その最大径がシャフトカバーパイプ28の外径よりも小さくされている。
【0035】
このシャフトカバーパイプ28は、おねじ28Aをケース本体24のめねじ36Cに螺合することによって該ケース本体24に固定されている。そして、この状態で、ケース本体24の段部36Aとシャフトカバーパイプ28との間には、「軸ストッパ」としてのカラー38が挟持固定されている。このカラー38については後述する。
【0036】
以上説明したケーシング12のシャフトカバーパイプ28の軸心部には、直動機構部18を構成するスクリューシャフト14が配置されている。スクリューシャフト14は、その長手寸法の大部分を占める軸線方向の中間部が駆動ねじ部14Aとされており、駆動ねじ部14Aの外周には、おねじである送りねじが形成されている。
【0037】
また、スクリューシャフト14における駆動ねじ部14Aよりも軸線方向一端側は、該駆動ねじ部14Aに近いほうから順に、ブッシュ取付部14B、軸支持部14C、連結嵌合部14Dとされている。ブッシュ取付部14B及び軸支持部14Cは、それぞれ駆動ねじ部14Aよりも小径の円柱状に形成されて外周面が平滑である。また、ブッシュ取付部14Bと軸支持部14Cとの間は、さらに小径とされている。さらに、スクリューシャフト14の一端部に位置する連結嵌合部14Dは、軸線方向視で非円形状(例えば、断面視矩形状)に形成されており、後述するジョイント部材60との連結用とされている。
【0038】
一方、スクリューシャフト14の他端部は、駆動ねじ部14Aよりも小径の円柱状に形成されたカラー取付部14Eとされており、該カラー取付部14Eの外周面は平滑面とされている。カラー取付部14Eは、その一部がシャフトカバーパイプ28の矢印B側開口部から突出している。なお、スクリューシャフト14は、その駆動ねじ部14A、ブッシュ取付部14B、軸支持部14C、連結嵌合部14D、カラー取付部14Eが互いに同軸的に位置している。
【0039】
このスクリューシャフト14は、軸支持部14Cがケース本体24のジョイント室34内に配設されたラジアル軸受40に嵌合されており、該ラジアル軸受40を介してケース本体24に軸線廻りの回転自在に軸支されている。この状態でスクリューシャフト14は、その連結嵌合部14Dがジョイント室34内でラジアル軸受40よりも矢印A側に突出すると共に、そのブッシュ取付部14Bがパイプ保持部36内に位置している。
【0040】
そして、スクリューシャフト14のブッシュ取付部14Bには、「ナットストッパ」としてのブッシュ42が取り付けられている。ブッシュ42は、外径がパイプ保持部36の最小内径よりも小径で、その内径がブッシュ取付部14Bの外径に対応した環状に形成されており、ブッシュ取付部14Bを挿入させた状態でピン44によってスクリューシャフト14に固定されている。これにより、ブッシュ42は、スクリューシャフト14と一体に回転すると共に、該スクリューシャフト14と一体に軸線方向に移動する構成である。
【0041】
また、パイプ保持部36内おけるブッシュ42とスラスト受け部32との間には、スラスト軸受46が配設されている。これにより、ブッシュ44は、スラスト軸受46を介してスラスト受け部32(ケース本体24)によって矢印A側への移動を規制されると共に、スラスト軸受46によってスクリューシャフト14と一体のスムースな回転が許容されるようになっている。
【0042】
さらに、スクリューシャフト14のカラー取付部14Eには、ナットストッパとして機能するカラー48が取り付けられている。カラー48は、その内径がカラー取付部14Eの外径に対応した円筒状に形成され、矢印A側端部には径方向に延設された環状のフランジ部48Aが設けられている。このフランジ部の外径は、駆動ねじ部14Aの外径(ナット16の内径)よりも大で、アクチュエータロッド20の内径よりも小とされている。
【0043】
このカラー48は、カラー取付部14Eを挿入させた状態でピン50によってスクリューシャフト14に固定されている。これにより、カラー48は、スクリューシャフト14と一体に回転すると共に、該スクリューシャフト14と一体に軸線方向に移動する構成である。
【0044】
そして、スクリューシャフト14の駆動ねじ部14Aには、ナット16が螺合している。ナット16は、駆動ねじ部14Aに直接的に螺合しても良く、多数のボールを介して駆動ねじ部14Aに螺合してしても良い。そして、ナット16は、スクリューシャフト14の回転方向に応じて、該スクリューシャフト14の軸線方向に沿って矢印A方向、または矢印B方向に移動する構成である。
【0045】
このナット16は、その矢印A側移動限がブッシュ42で規定され、その矢印B側移動限がカラー48で規定されており、全移動行程がシャフトカバーパイプ28によって被覆されるようになっている。
【0046】
以上説明した直動機構部18では、ナット16がカラー48に突き当たる図2の状態では、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印A方向へ移動しようとするが、この移動は、スクリューシャフト14に固定されたブッシュ42がケース本体24のスラスト受け部32との間に位置するスラスト軸受46に当接配置されていることにより阻止されるようになっている。
【0047】
一方、ナット16がブッシュ42に突き当たる図1の状態では、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向へ移動しようとするが、この移動は、ブッシュ42がカラー38に係合することで阻止されるようになっている。すなわち、ケース本体24の段部36Aとシャフトカバーパイプ28の端面との間に挟持されたカラー38は、パイプ保持部36の径方向内側に突出してブッシュ42と係合可能とされている。また、カラー38は、初期状態ではブッシュ42と軸線方向に隙間Gを有するように離間して配置されており(図3参照)、ブッシュ42のスクリューシャフト14と一体のスムースな回転を妨げない構成である。
【0048】
本実施の形態では、カラー38は、外径がパイプ保持部36における段部36Aの矢印B側部分の内径に対応すると共に、内径がブッシュ42の外径よりも十分小さくかつナット16に干渉しないように決められたリング状に形成されている。
【0049】
また、カラー38の矢印A側の内縁部は矢印A側に向けて連続的に拡径するようなテーパ状に形成されたテーパ当接部38Aとされている。これに対し、ブッシュ42の矢印B側端部の外周部は、テーパ当接部38Aに対応したテーパ状に形成されたテーパ当接部42Aとされている。これにより、ブッシュ42は、カラー38内に一部入り込んだ状態で上記の通り通常離間しており、該ブッシュ42とカラー38とがパイプ保持部36内の空間を有効利用して配置されている。
【0050】
この直動機構部18を構成するナット16には、アクチュエータロッド20が固定されている。アクチュエータロッド20は、内径が駆動ねじ部14Aよりも大径で外径がシャフトカバーパイプ28よりも小径である両端開口の円筒状に形成され、その矢印A側で内径が拡大された嵌合部20A内にナット16が嵌合または圧入によって固定されている。
【0051】
また、アクチュエータロッド20の矢印B側端部には、負荷側システム(本実施の形態では、後述する介護用ベッド110の連結アーム120)への連結用の連結部材52がねじ込みによって固定されている。そして、この連結部材52が負荷側システムに連結されることによって、ナット16の軸線周りの回転が阻止され、該ナット16がスクリューシャフト14の回転よって確実に(ロスなく)軸線方向に移動するようになっている。
【0052】
さらに、アクチュエータロッド20の内周面とカラー48の外周面との間には、低摩擦材である樹脂材より成りリング状に形成された摺動リング54が配設されている。一方、アクチュエータロッド20の外周面とシャフトカバーパイプ28の内周面との間には、低摩擦材である樹脂材より成り円筒状に形成されたスリーブ56が配設されている。
【0053】
これにより、アクチュエータロッド20は、ナット16の軸線方向への移動に伴って、摺動リング54(スクリューシャフト14)とスリーブ56(シャフトカバーパイプ28)との間でガイドされつつ、ケーシング12に対し伸縮する構成である。換言すれば、スクリューシャフト14が、その矢印B側端部においてカラー48、摺動リング54、アクチュエータロッド20、スリーブ56を介してシャフトカバーパイプ28(ケーシング12)に軸支される構成である。
【0054】
また、直動機構部18を構成するスクリューシャフト14には、ギヤードモータ22が接続されている。ギヤードモータ22は、ケース本体24の矢印A側端部に固定された状態で、該ケース本体24に固定されたモータカバー部26に被覆されている。この状態でギヤードモータ22の出力軸58の一部がケース本体24のジョイント室34内に突出しており、該出力軸58とスクリューシャフト14の連結嵌合部14Dとが、ジョイント部材60を介して同軸的でかつ一端回転可能に連結されている。このジョイント部材60については後述する。
【0055】
図4に示される如く、ギヤードモータ22は、正逆回転可能なモータ部22Aと、このモータ部22Aに連結する減速装置としてのギヤ部22Bとによって構成されている。モータ部22Aはマグネット式モータであり、モータ部22Aのヨーク62内には、固定子としてのマグネット64が固定配置されると共にコンミテータ66と一体に形成されたアーマチャ68が収容されている。
【0056】
また、ヨーク62内では、アーマチャ68のアーマチャシャフト70の一端部が、ラジアル軸受72によって回転可能に軸支されると共に、スラストボール74及びスラスト受けプレート76によってスラスト荷重を支持されるようになっている。さらに、ヨーク62内ではブラシケーシング78が固定されており、該ブラシケーシング78にはブラシ80がコンミテータ66に接触するように保持されている。
【0057】
また、モータ部22Aは、アーマチャシャフト70の回転速度(単位時間あたりの回転数)を検出する速度センサ82が設けられている。速度センサ82は、ブラシケーシング78に一体に設けられたセンサ保持部78Aに固定されたホール素子82Aと、アーマチャシャフト70に一体回転するように取り付けられたマグネット82Bとで構成されている。
【0058】
さらに、アーマチャシャフト70の先端部は、ヨーク62に連結されたギヤ部22Bのギヤハウジング84内へ延出されており、該ギヤハウジング84内でラジアル軸受85によって軸支されている。このギヤ部22Bでは、ウォーム86がアーマチャシャフト70に連結されており、該ウォーム86の先端部86Aがラジアル軸受88によって回転可能に軸支されると共に、スラストボール90及びスラスト受けプレート92によってスラスト荷重を支持されるようになっている。
【0059】
図5にも示される如く、ギヤハウジング84は、ウォーム86を収容する略円筒状のウォーム収容部84Aと、ウォーム86に噛み合うウォームホイール94を収容する略カップ状に形成されたホイール収容部84Bとが、互いに軸線方向が食い違う(平行でなく、かつ交差しない)ように一体にかつ上記噛み合い部分が連通して形成されている。
【0060】
ホイール収容部84Bの底面中央部からは、略短円筒状の支持ボス部96が立設されており、該支持ボス部96の内部は出力軸孔96Aとされている。また、ホイール収容部84Bの底面には、ウォームホイール94との摺動抵抗を低減するための微小突起97が周方向に多数立設されている。
【0061】
一方、このホイール収容部84Bに収容されるウォームホイールは、略カップ状(有底短円筒状)に形成され、その外周部がウォーム86と噛合可能なホイールギヤ部94Aとされている。
【0062】
また、ウォームホイール94の底部軸心部には、内径が支持ボス部96の外径に対応した円筒状のハブ94Bが設けられており、該ハブ94Bに支持ボス部を挿入させることで、ウォームホイール94がホイール収容部84B(ギヤハウジング84)に対し回転可能に軸支される構成である。さらに、ウォームホイール94の底部における外周近傍には、複数(本実施の形態では3個)の係合突起94Cが等間隔に設けられている。
【0063】
このウォームホイール94の内部には、クッションラバー98が配置されている。クッションラバー98は、内径がウォームホイール94のハブ94Bよりも大径の略短円筒状に形成され、外周部に複数(本実施の形態では6箇所)のスリット98A、98B(本実施の形態では各3箇所)が等間隔で交互に設けられている。クッションラバー98は、このスリット98Aにウォームホイール94の係合突起94Cが挿入された状態でウォームホイール94の内に同軸的に挿入配置されている。
【0064】
さらに、ウォームホイール94の内におけるクッションラバー98上には、伝達プレート100が配設されている。伝達プレート100は、略円板状に形成されており、その外周部にはクッションラバー98のスリット98Bに対応した複数(本実施の形態では3個)の係合突部100Aが等間隔に突設されている。
【0065】
この伝達プレート100は、クッションラバー98のスリット98Bに係合突部100Aを挿入した状態でウォームホイール94内においてクッションラバー98上に配置され、ウォームホイール94の回転がクッションラバー98を介して伝達されるようになっている。
【0066】
また、伝達プレート100の軸心部には、軸嵌合孔100Bが設けられている。軸嵌合孔100Bは、軸線方向視で非円形状である略十字型状に形成され、伝達プレート100を貫通している。そして、この伝達プレート100には、出力軸58が取り付けられている。
【0067】
出力軸58は、軸嵌合孔100Bに対応して軸線方向視で略十字型状に形成され該軸嵌合孔100Bに嵌合する嵌合部58Aと、ギヤハウジング84の出力軸孔96Aに挿入されて回転自在に軸支される軸支持部58Bと、ギヤハウジング84外に位置しジョイント部材60と噛み合う出力ギヤ部58Cと、ジョイント部材60内に挿入されて心出しするための軸部58Dとが、この順で同軸的かつ一体に形成されて構成されている。
【0068】
この出力軸58は、ギヤハウジング84のホイール収容部84Bの外側から出力軸孔96Aに軸支持部58Bを挿入した状態で、その嵌合部58Aを伝達プレート100の軸嵌合孔100Bに嵌合(挿通)させて該伝達プレート100に取り付けられている。これにより、出力軸58が伝達プレート100と同軸的かつ一体に回転するようになっている。
【0069】
また、この状態で、伝達プレート100の反対側に突出した嵌合部58AにはEリング102が係合しており、伝達プレート100に対し出力軸58が抜け止めされている。また、出力軸孔96Aと軸支持部58Bとの間は、Oリング104にてシールされている。
【0070】
そして、ウォームホイール94、クッションラバー98、伝達プレート100、出力軸58の一部を収容したホイール収容部84Bの開口部は、該開口部に取り付けられたカバープレート106によって被覆されている。
【0071】
以上説明したギヤ部22Bでは、ウォームホイール94が回転すると、この回転がクッションラバー98、伝達プレート100を介して出力軸58に伝達される構成である。このクッションラバー98の存在により、例えばナット16がブッシュ42に当接した際に出力軸58を介して負荷側(直動機構部18)から伝達される衝撃が吸収されるようになっている。
【0072】
また、上記の通り、ギヤードモータ22の出力軸58とスクリューシャフト14の連結嵌合部14Dとは、ジョイント部材60によって連結されている。ジョイント部材60は、略筒状に形成されており、その内部には、軸線方向視で矩形状の連結嵌合部14Dに対応した嵌合孔60Aと、出力軸58の軸部58Dが嵌合する嵌合孔60Bと、出力軸58の出力ギヤ部58Cが噛み合う内歯ギヤ部60Cとが同軸的に形成されている。
【0073】
そして、ケース本体24のジョイント室34内に配置されたジョイント部材60の嵌合孔60Aに連結嵌合部14Dを嵌合すると共に、嵌合孔60Bに軸部58Dを嵌合して内歯ギヤ部60Cを出力ギヤ部58Cに噛み合わせることで、出力軸58とスクリューシャフト14とが同軸的かつ一体に回転するようになっている。
【0074】
このように、ギヤードモータ22は、そのギヤ部22Bが食い違い軸間で回転を伝達するウォーム86とウォームホイール94とを有して構成され、出力軸58に作用する負荷側(直動機構部18)からの衝撃がモータ部22Aに直接的には作用しないようになっている。そして、このことと、上記の通りクッションラバー98がウォームホイール94への衝撃を吸収(衝撃伝達を緩和する)ことにより、ウォームホイール94とウォーム86との噛み合い、ウォーム86を軸支するラジアル軸受88、アーマチャシャフト70を軸支するラジアル軸受85、72、互いに接触するコンミテータ66及びブラシ80、ホール素子82Aがマグネット82Bに近接して配置される回転センサ82等が、上記衝撃に対し保護されるようになっている。
【0075】
また、ギヤードモータ22には、制御回路108が電気的に接続されている。制御回路108は、各ブラシ80、図示しない交流電源、及び図示しない操作スイッチと電気的に接続されている。操作スイッチは、モータ部22Aの正転または逆転を択一的に選択操作可能とされている。そして、制御回路108は、操作スイッチの操作によって交流電流を直流に整流し、該直流電流を上記操作により選択された回転方向に応じてブラシ80に供給するようになっている。
【0076】
さらに、制御回路108には、回転センサ82を構成するホール素子82Aとも電気的に接続されており、回転センサ82が検出する回転速度が設定速度以下となると、ブラシ80への給電を停止するようになっている。
【0077】
すなわち、リニアアクチュエータ10では、ナット16がブッシュ42に突き当った後に該ブッシュ42がカラー38に係合するか、またはナット16がカラー48に突き当たるかして(例えばモータ部22Aが過負荷となり)、アーマチャシャフト70(アーマチャ68)回転速度が設定速度以下となると、作動が停止する構成である。
【0078】
次に、上記構成のリニアアクチュエータ10が適用される介護用ベッド110について説明する。図6に示される如く、介護用ベッド110は、水平部112A及び該水平部112Aの裏面前後にそれぞれ設けられた脚部112Bとから成るベッドフレーム112を備えている。
【0079】
また、介護用ベッド110は、ヒンジ114によってベッドフレーム112に対して回動可能に連結された背もたれ板116を備えている。背もたれ板116は、通常、ベッドフレーム112の水平部112Aに沿って水平に配置されている(水平位置に位置している)。
【0080】
さらに、ベッドフレーム112におけるヒンジ114を挟んで背もたれ板116と反対側の裏面からは、固定側取付部118が下向きに立設されている。一方、背もたれ板116の下端部付近の裏面からは、連結アーム120が垂下されている。
【0081】
そして、リニアアクチュエータ10は、ケーシング12の連結部26Aが固定側取付部118に固定されると共に、アクチュエータロッド20の先端に固定された連結部材52が連結アーム120の自由端部に連結されている。以上により、リニアアクチュエータ10は、ベッドフレーム112の水平部112Aの下方に配設されている。
【0082】
これにより、介護用ベッド110の背もたれ板116は、リニアアクチュエータ10のアクチュエータロッド20がケーシング12に対し伸長する(矢印B方向に移動する)と、矢印C方向に回動して水平位置から起こされ、リニアアクチュエータ10のアクチュエータロッド20がケーシング12に対し短縮する(矢印A方向に移動する)と、矢印Cとは反対方向に回動して水平位置に復帰するようになっている。そして、背もたれ板116の水平位置に対する角度は、アクチュエータロッド20の位同量に応じて任意に調節できるようになっており、該任意の調節位置から背もたれ板116をさらに起こしたり、水平位置の手前の任意の位置まで戻し(寝かせ)たりすることも可能である。
【0083】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0084】
上記構成の介護用ベッド110は、通常背もたれ板116が水平位置に位置している。このとき、リニアアクチュエータ10では、図1に示される如く、ナット16が矢印A側移動限に位置し、ブッシュ42に当接している。
【0085】
背もたれ板116を水平位置から起こす際には、操作スイッチを例えば正転側に操作する。すると、モータ部22Aが作動してアーマチャシャフト70が正転し、スクリューシャフト14がナット16を矢印B方向へ移動するように回転する。ナット16が矢印B方向へ移動すると、アクチュエータロッド20がケーシング12に対し伸長し、背もたれ板116が矢印C方向に回動して水平位置から起こされる。
【0086】
背もたれ板116を水平位置に対する最大傾斜角まで起こすと、図2に示される如く、ナット16が矢印B側移動限に達しカラー48に当接する。これにより、ナット16のそれ以上の矢印B側への移動が阻止される。
【0087】
また、このナット16の移動阻止に伴って、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印A方向に移動しようとするが、この移動はブッシュ42がケース本体24のスラスト受け部32に当接配置されているスラスト軸受46に押し付けられることで阻止される。
【0088】
以上により、モータ部22Aでは、アーマチャシャフト70の回転速度が制御回路108に設定された速度以下となる(過負荷により回転速度が低下する)。すなわち、回転センサ82の検出速度が制御回路108の設定速度以下となり、制御回路がモータ部22Aを停止する。
【0089】
一方、背もたれ板116を水平位置へ戻す際には、操作スイッチを例えば逆転側に操作する。すると、モータ部22Aが再度作動してアーマチャシャフト70が逆転し、スクリューシャフト14がナット16を矢印A方向へ移動するように回転する。ナット16が矢印A方向へ移動すると、アクチュエータロッド20がケーシング12に対し短縮し、背もたれ板116が矢印Cとは反対方向に回動する。
【0090】
背もたれ板116が水平位置に復帰すると、図1に示される如く、ナット16が矢印A側移動限に達しブッシュ42に当接する。これにより、ナット16のそれ以上の矢印A側への移動が阻止される。
【0091】
また、このナット16の移動阻止に伴って、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向に移動しようとするが、この移動はブッシュ42がケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟み込まれたカラー38に係合することで阻止される。
【0092】
以上により、モータ部22Aでは、アーマチャシャフト70の回転速度が制御回路108に設定された速度以下となる(過負荷により回転速度が低下する)。すなわち、回転センサ82の検出速度が制御回路108の設定速度以下となり、制御回路がモータ部22Aを停止する。
【0093】
そして、ナット16がカラー48に突き当てられたり、ナット16がブッシュ42に突き当てられ該ブッシュ42がカラー38に係合したりすることで、ギヤードモータ22には出力軸58に連結されたスクリューシャフト14を介して衝撃力が作用するが、モータ部22Aの回転軸線と出力軸58の回転軸線とが互いに食い違っているため、モータ部22Aには上記衝撃が直接的には作用しない。また、ギヤ部22Bではウォームホイール94と伝達プレート100との間にクッションラバー98が配設されているため、クッションラバーが変形することで上記衝撃が緩和される。
【0094】
これらにより、ウォームホイール94とウォーム86との噛み合い、ウォーム86を軸支するラジアル軸受88、アーマチャシャフト70を軸支するラジアル軸受85、72、互いに接触するコンミテータ66及びブラシ80が、上記衝撃に対し保護されるようになっている。また、ホール素子82Aがマグネット82Bに近接して配置される回転センサ82を、ギヤードモータ22のモータ部22Aにおけるアーマチャシャフト70廻りに配置したため、該回転センサ82も上記衝撃に対し保護される。
【0095】
このため、リニアアクチュエータ10では、ナット16がブッシュ42やカラー48に突き当たる前にギヤードモータ22を停止させるためのインターロック機構を備えない簡単な構造を採用している。すなわち、ナット16の移動限における位置を機械的、電気的(電磁的)、または光学的に検出する位置センサ(リミットスイッチ等)を不要として部品点数の削減を図り、リニアアクチュエータ10の小型化・軽量化を実現している。
【0096】
ここで、軸ストッパとしてのカラー38を、ケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持しているため、該カラー38は、単にケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に配置された状態で、該ケース本体24とシャフトカバーパイプ28とを固定する簡単な構造によって、ケーシング12に対し強固に固定される。
【0097】
特に、シャフトカバーパイプ28がケース本体24のパイプ保持部36にねじ込まれる(おねじ28Aをめねじ36Cに螺合させる)ことで、該シャフトカバーパイプ28がケース本体24に強固に固定されるため、該シャフトカバーパイプ28の端面とケース本体24の段部36Aとの間に挟持されるカラー38のケーシング12に対する取付強度が向上する(取付強度が高い)。
【0098】
また、カラー38は、環状(リング状)に形成されているため、ケース本体24に対するシャフトカバーパイプ28の取付前の状態でも、貫通孔30内で段部36Aよりも矢印A側に脱落することがない。このため、単にカラー38をパイプ保持部36内に挿入して(落とし込んで)、該パイプ保持部36にシャフトカバーパイプ28をねじ込む単純な動作によって上記の通りカラー38をケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持することができる。すなわち、カラー38が貫通孔30内で段部36Aから脱落しないように保持したり、保持する部品を設けたりすることなく、該カラー38をケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持してケーシング12に対し強固に固定することができる。
【0099】
このように、本実施の形態に係るリニアアクチュエータ10では、スクリューシャフト14の軸線方向移動を規制するカラー38を、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシング12に取り付けることができる。
【0100】
なお、上記の実施の形態では、シャフトカバーパイプ28がケース本体24にねじ込まれて固定される好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、それぞれ外面におねじが形成されたケース本体24とシャフトカバーパイプ28とがそれぞれめねじを有する結合部材にねじ込まれることで、該シャフトカバーパイプ28とケース本体24とが互いの端面間にカラー38を挟持しつつ固定されても良い。また、ケース本体24のめねじ36Cが矢印B側開口端近傍に設けられると共に、シャフトカバーパイプ28のおねじ28Aが軸線方向中間部に外面よりも突出して設けられても良い。さらに、本発明は、ケース本体24のパイプ保持部36とシャフトカバーパイプ28とがそれぞれ軸線方向視で円形状となる好ましい構成に限定されることはない。
【0101】
また、上記の実施の形態では、矢印A方向への軸ストッパとなるスラスト受け部32がケース本体24に一体に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、別部材である軸ストッパをケース本体24に固定したりケース本体24とモータカバー部26との間に挟持しても良い。また、本発明は、この軸ストッパやカラー38が環状に形成された好ましい構成に限定されないことは言うまでもない。
【0102】
さらに、上記の実施の形態では、ギヤードモータ22が回転センサ82の検出値に基づいて停止される構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、制御回路108がモータ部22Aへ給電される電流の電流値を検出し、該電流値が所定値以上の場合にギヤードモータ22を停止する構成としても良い。この場合、回転センサ82を設けなくても良いことは言うまでもない。
【0103】
さらにまた、上記の実施の形態では、ギヤードモータ22が食い違い軸環で回転を伝達するウォーム86及びウォームホイール94を有する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、ギヤ部22Bは、例えば、交差軸間、平行軸間または同軸間で回転を伝達する各種の歯車対(例えば、かさ歯車、平歯車、遊星ギヤ列等)を備えて構成することができる。
【0104】
また、上記の実施の形態では、リニアアクチュエータ10が介護用ベッド110に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、リニアアクチュエータ10は、負荷を直線的に移動させる如何なる用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の短縮状態の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の伸長状態の側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の要部を拡大して示す側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10を構成するギヤードモータを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10を構成するギヤードモータの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10が適用された介護用ベッドの要部を概略的に示した側面図である。
【図7】(A)は従来のリニアアクチュエータにおける軸ストッパの取付構造を示す断面図、(B)は従来のリニアアクチュエータにおける軸ストッパの別の取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10…リニアアクチュエータ、14…スクリューシャフト(ねじ軸)、16…ナット、22…ギヤードモータ(電気モータ)、24…ケース本体、28…シャフトカバーパイプ(筒状部材)、36A…段部、38…カラー(軸ストッパ)、42…ブッシュ(ナットストッパ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの回転を直線運動に変換し負荷側システムに伝達するリニアアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、福祉の拡充を背景にして需要が高まってきている電動式の介護用ベッド等には、水平なベッドフレームに対してヒンジ結合された背もたれ板を電動で所定角度起こすために、リニアアクチュエータが用いられている。
【0003】
このようなリニアアクチュエータとしては、ねじ軸と該ねじ軸に螺合するナットとを有しねじ軸の回転によってナットを直動させる送りねじ機構と、該送りねじ機構を収容すると共に負荷側システム(介護用ベッドのベッドフレーム等)に固定されるケーシングと、ねじ軸の一端部に減速機構等を介して接続されると共にケーシングに収容または固定された電気モータと、ナットと負荷(介護用ベッドの背もたれ板等)を連結し該ナットの移動によってケーシングに対し伸縮するロッドと、を主要構成要素としたものが知られている。
【0004】
ケーシングとしては、電気モータ等を固定すると共に軸受を介してねじ軸の一端部を回転自在に軸支するケース本体と、該ケース本体に一端部が挿入されて固定されナットの略全移動範囲に亘りねじ軸及びナットの外側を被覆するカバーパイプ(筒状部材)とを有する構成が一般的に用いられる。
【0005】
このリニアアクチュエータでは、ねじ軸の両端部がナットの移動限となっており、ナットのねじ軸からの脱落を阻止するためにねじ軸の両端にはナットストッパが設けられている。また、このリニアアクチュエータでは、ナットがナットストッパに当接して移動が規制されると、ねじ軸が自らの回転によって軸線方向へ移動しようとするため、該ねじ軸の軸線方向の移動を規制する軸ストッパが設けられている。
【0006】
この軸ストッパの1つとして、ケース本体またはパイプに形成した溝に止め輪を嵌入した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成について図7(A)に基づいて説明する。
【0007】
図7(A)に示す構成では、ケース本体200の内側にリング状のスラスト受け部202が突設されており、該スラスト受け部202は、ねじ軸204を挿通させて固定されたリング状のナットストッパ206との間にスラスト軸受208を介在させてねじ軸204の矢印D側の移動を阻止(規制)するようになっている。すなわち、ねじ軸204の矢印D側への移動を規制する軸ストッパは、ケース本体200に一体に形成されたスラスト受け部202である。
【0008】
一方、ナットストッパ206を挟んでスラスト受け部202と反対側には、軸ストッパ210が配置されている。軸ストッパ210は、周方向の一部が切り欠かれたCリング等であり、ケース本体200に固定されたカバーパイプ212の内周に形成された環状溝212Aに嵌入されて軸線方向移動が不能とされている。
【0009】
この状態で軸ストッパ210は、内径側部分がカバーパイプ212内に突出してナットストッパ206と係合可能で、かつねじ軸204に螺合されるナット(図示省略)に干渉しないようになっている。この軸ストッパ210が、ナットがナットストッパ206に当接したときに、ねじ軸204が矢印Dとは反対の矢印E方向への移動を阻止(規制)するようになっている。
【0010】
また、軸ストッパの別の構成を図7(B)に基づいて説明する。なお、図7(A)と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。この構成では、リング状の軸ストッパ214がビス止めによってケース本体200の端面に固定されている。この軸ストッパ214が、ナットがナットストッパ206に当接したときに、ねじ軸204が矢印Dとは反対の矢印E方向への移動を阻止(規制)するようになっている。
【0011】
軸ストッパのさらに別の構成として、ねじ軸の一端側に設けられたワンウェイクラッチの軸線方向移動を規制するものであるが、上記軸ストッパ210、214に対応する軸ストッパを、スラスト受け部202に対応する軸ストッパと共にケース本体に一体に形成した構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。この構成では、図示は省略するが、ケース本体を左右一対のハーフシェルを最中合わせに接合して構成することで、ねじ軸の軸線方向一方側の移動を規制する軸ストッパと、他方側の移動を規制する軸ストッパとを共にケース本体に一体に形成している。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−332454号公報
【特許文献2】
特開平11−247960号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7(A)に示す軸ストッパを有する従来のリニアアクチュエータでは、Cリング等である軸ストッパ210を変形させつつカバーパイプ212の環状溝212Aに嵌入させる必要があり、軸ストッパ210の組み付け作業が煩雑で組付性が悪いという問題があった。
【0014】
また、図7(B)に示す軸ストッパを有する従来のリニアアクチュエータでは、軸ストッパ214がビス止めによってケース本体に固定されているため、該軸ストッパ214の取付強度が弱いという問題があった。特に、介護用ベッドに適用されるリニアアクチュエータは、その推力が大きいため、上記強度不足の問題が一層顕著となる。
【0015】
さらに、ねじ軸の軸線方向両側への移動を規制する軸ストッパをそれぞれケース本体に一体に形成した従来のリニアアクチュエータでは、一対のハーフシェルを最中合わせに接合してケース本体を構成するため、該ケース本体の強度が不足するという問題があった。
【0016】
本発明は、上記事実を考慮して、ねじ軸の軸線方向移動を規制する軸ストッパを、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシングに取り付けることができるリニアアクチュエータを得ることが目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るリニアアクチュエータは、電気モータに接続され、該電気モータの作動によって軸線廻りに回転するねじ軸と、前記ねじ軸に螺合し、該ねじ軸の回転によって該ねじ軸の軸線方向に移動するナットと、前記ねじ軸の軸線方向一端部を収容し、該ねじ軸を該一端側への移動を阻止しつつ回転自在に軸支するケース本体と、前記ケース本体に固定され、前記ねじ軸及び前記ナットを該ナットの外側を被覆する筒状部材と、前記ねじ軸における前記ケース本体内に位置する部分の径方向外側に設けられ、該ねじ軸の前記一端側への前記ナットの移動を規制するナットストッパと、前記ケース本体と前記筒状部材との間に挟持されて前記ナットストッパに係合可能に配置され、該ナットストッパに前記ナットが当接したときに該ナットストッパに係合して前記ねじ軸の軸線方向他端側への移動を阻止する軸ストッパと、を備えている。
【0018】
請求項1記載のリニアアクチュエータでは、電気モータが作動してねじ軸が軸線廻りに回転すると、ねじ軸に螺合しているナットが該ねじ軸の軸線方向に移動する。すなわち、このナットを負荷に連結しておけば、負荷を直線移動させることができる。
【0019】
ねじ軸におけるケース本体内に位置する部分に設けられたナットストッパにナットが当接すると、ナットのそれ以上のねじ軸一端側への移動が規制される。このとき、ナットの移動が規制されることでねじ軸が他端側へ移動しようとするが、この移動は、ナットストッパが軸ストッパに係合することで阻止される。すなわち、軸ストッパは、ナットストッパのナットが当接する側に設けられている。
【0020】
一方、ナットがねじ軸の他端側の移動限に達して該ねじ軸が一端側に移動しようとする場合には、この移動は、ねじ軸を一端側への移動を阻止しつつ回転自在に軸支するケース本体によって阻止される。
【0021】
ここで、軸ストッパがケース本体と筒状部材との間に挟持されているため、該軸ストッパは、単にケース本体と筒状部材との間に位置した状態で該ケース本体と筒状部材とを固定する簡単な構造で、ケース本体(筒状部材)に対し強固に固定される。
【0022】
このように、請求項1記載のリニアアクチュエータでは、ねじ軸の軸線方向移動を規制する軸ストッパを、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシングに取り付けることができる。
【0023】
請求項2記載の発明に係るリニアアクチュエータは、請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、前記筒状部材を前記ケース本体にねじ込んで固定すると共に、該筒状部材の軸線方向端面と該ケース本体内に形成された段部との間に前記軸ストッパを挟持する、ことを特徴としている。
【0024】
請求項2記載のリニアアクチュエータでは、筒状部材の外周とケース本体の内周とが互いに対応する円形とされており、筒状部材がケース本体にねじまれて固定される。このため、筒状部材がケース本体に対し強固に固定され、ケース本体の段部と筒状部材の単面との間で挟持される軸ストッパの取付強度が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明に係るリニアアクチュエータは、請求項2記載のリニアアクチュエータにおいて、前記軸ストッパを、外径が前記段部の内径より大でかつ内径が前記段部の内径よりも小である環状に形成した、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3記載のリニアアクチュエータでは、軸ストッパが、外径がケース本体の段部の内径より大でかつ内径が段部の内径よりも小である環状(リング状)に形成されているため、換言すれば、軸ストッパが単体でケース本体内で段部から(段部よりも奥方へ)脱落しない形状に形成されているため、該軸ストッパを保持したりすることなく、単に軸ストッパをケース本体内に挿入した状態で該ケース本体に筒状部材をねじ込むことで、簡単に軸ストッパをケース本体(筒状部材)に対し固定できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10について、図1乃至図6に基づいて説明する。先ず、リニアアクチュエータ10の構成を説明し、次いでリニアアクチュエータ10を介護用ベッド110に適用した例を説明する。
【0028】
図1及び図2には、それぞれリニアアクチュエータ10の全体構成が断面図にて示されている。なお、図1はリニアアクチュエータ10短縮状態を、図2はリニアアクチュエータ10の伸長状態をそれぞれ示している。
【0029】
これらの図に示される如く、リニアアクチュエータ10は、装置外郭を構成するケーシング12と、ケーシング12内に収容されると共に「ねじ軸」としてのスクリューシャフト14を軸線廻りに回転させることで該スクリューシャフト14に螺合するナット16を軸線方向移動させる直動機構部18と、ナット16の軸線方向移動によってケーシング12に対し伸縮するアクチュエータロッド20と、ケーシング12内に収容されると共に作動してスクリューシャフト14を回転駆動する「電気モータ」としてのギヤードモータ22と、を主要構成要素として構成されている。以下、この順に各部の構成を説明する。
【0030】
ケーシング12は、ケース本体24と、ケース本体24の一端部に接続された状態でギヤードモータ22を収容するモータカバー部26と、ケース本体24の他端側に一部挿入されて固定された「筒状部材」としてのシャフトカバーパイプ28とを備えて構成されている。
【0031】
ケース本体24は、外径が一端側(矢印A側)から他端側(矢印B側)へ向けて連続的に縮径されて形成され、その内部には軸線方向に沿って貫通孔30が設けられている。貫通孔30の軸線方向中央部からは、リング状のスラスト受け部32が内方へ向けて突設されている。貫通孔30におけるスラスト受け部32よりも一端側がジョイント室34、他端側がパイプ保持部36とされている。
【0032】
また、図3にも示される如く、パイプ保持部36には、それぞれ矢印B側の開口端へ向けて内径を拡大するように軸線方向の2箇所の段部36A、36Bが設けられている。そして、段部36Aと段部36Bとの間におけるパイプ保持部36の内面には、段部36A側の一部を除いて所定長さに亘ってめねじ36Cが形成されている。
【0033】
一方、モータカバー部26は、外径がケース本体24の最大径に対応した略カップ状に形成され、その開口端がケース本体24のジョイント室34側端部に接続されることで、その内部がジョイント室34と連通している。このモータカバー部26の底部の外側には連結部26Aが突設されており、該連結部26Aは適用される装置(本実施の形態では、介護用ベッド110のベッドフレーム112)への固定用とされている。
【0034】
また、シャフトカバーパイプ28は、両端が開口すると共に外径がパイプ保持部36における最大径(段部36Bよりも開口端側の内径)に対応した円筒状に形成されている。このシャフトカバーパイプ28の軸線方向一端部には、めねじ36Cに対応したおねじ28Aが形成されている。おねじ28Aは、その最大径がシャフトカバーパイプ28の外径よりも小さくされている。
【0035】
このシャフトカバーパイプ28は、おねじ28Aをケース本体24のめねじ36Cに螺合することによって該ケース本体24に固定されている。そして、この状態で、ケース本体24の段部36Aとシャフトカバーパイプ28との間には、「軸ストッパ」としてのカラー38が挟持固定されている。このカラー38については後述する。
【0036】
以上説明したケーシング12のシャフトカバーパイプ28の軸心部には、直動機構部18を構成するスクリューシャフト14が配置されている。スクリューシャフト14は、その長手寸法の大部分を占める軸線方向の中間部が駆動ねじ部14Aとされており、駆動ねじ部14Aの外周には、おねじである送りねじが形成されている。
【0037】
また、スクリューシャフト14における駆動ねじ部14Aよりも軸線方向一端側は、該駆動ねじ部14Aに近いほうから順に、ブッシュ取付部14B、軸支持部14C、連結嵌合部14Dとされている。ブッシュ取付部14B及び軸支持部14Cは、それぞれ駆動ねじ部14Aよりも小径の円柱状に形成されて外周面が平滑である。また、ブッシュ取付部14Bと軸支持部14Cとの間は、さらに小径とされている。さらに、スクリューシャフト14の一端部に位置する連結嵌合部14Dは、軸線方向視で非円形状(例えば、断面視矩形状)に形成されており、後述するジョイント部材60との連結用とされている。
【0038】
一方、スクリューシャフト14の他端部は、駆動ねじ部14Aよりも小径の円柱状に形成されたカラー取付部14Eとされており、該カラー取付部14Eの外周面は平滑面とされている。カラー取付部14Eは、その一部がシャフトカバーパイプ28の矢印B側開口部から突出している。なお、スクリューシャフト14は、その駆動ねじ部14A、ブッシュ取付部14B、軸支持部14C、連結嵌合部14D、カラー取付部14Eが互いに同軸的に位置している。
【0039】
このスクリューシャフト14は、軸支持部14Cがケース本体24のジョイント室34内に配設されたラジアル軸受40に嵌合されており、該ラジアル軸受40を介してケース本体24に軸線廻りの回転自在に軸支されている。この状態でスクリューシャフト14は、その連結嵌合部14Dがジョイント室34内でラジアル軸受40よりも矢印A側に突出すると共に、そのブッシュ取付部14Bがパイプ保持部36内に位置している。
【0040】
そして、スクリューシャフト14のブッシュ取付部14Bには、「ナットストッパ」としてのブッシュ42が取り付けられている。ブッシュ42は、外径がパイプ保持部36の最小内径よりも小径で、その内径がブッシュ取付部14Bの外径に対応した環状に形成されており、ブッシュ取付部14Bを挿入させた状態でピン44によってスクリューシャフト14に固定されている。これにより、ブッシュ42は、スクリューシャフト14と一体に回転すると共に、該スクリューシャフト14と一体に軸線方向に移動する構成である。
【0041】
また、パイプ保持部36内おけるブッシュ42とスラスト受け部32との間には、スラスト軸受46が配設されている。これにより、ブッシュ44は、スラスト軸受46を介してスラスト受け部32(ケース本体24)によって矢印A側への移動を規制されると共に、スラスト軸受46によってスクリューシャフト14と一体のスムースな回転が許容されるようになっている。
【0042】
さらに、スクリューシャフト14のカラー取付部14Eには、ナットストッパとして機能するカラー48が取り付けられている。カラー48は、その内径がカラー取付部14Eの外径に対応した円筒状に形成され、矢印A側端部には径方向に延設された環状のフランジ部48Aが設けられている。このフランジ部の外径は、駆動ねじ部14Aの外径(ナット16の内径)よりも大で、アクチュエータロッド20の内径よりも小とされている。
【0043】
このカラー48は、カラー取付部14Eを挿入させた状態でピン50によってスクリューシャフト14に固定されている。これにより、カラー48は、スクリューシャフト14と一体に回転すると共に、該スクリューシャフト14と一体に軸線方向に移動する構成である。
【0044】
そして、スクリューシャフト14の駆動ねじ部14Aには、ナット16が螺合している。ナット16は、駆動ねじ部14Aに直接的に螺合しても良く、多数のボールを介して駆動ねじ部14Aに螺合してしても良い。そして、ナット16は、スクリューシャフト14の回転方向に応じて、該スクリューシャフト14の軸線方向に沿って矢印A方向、または矢印B方向に移動する構成である。
【0045】
このナット16は、その矢印A側移動限がブッシュ42で規定され、その矢印B側移動限がカラー48で規定されており、全移動行程がシャフトカバーパイプ28によって被覆されるようになっている。
【0046】
以上説明した直動機構部18では、ナット16がカラー48に突き当たる図2の状態では、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印A方向へ移動しようとするが、この移動は、スクリューシャフト14に固定されたブッシュ42がケース本体24のスラスト受け部32との間に位置するスラスト軸受46に当接配置されていることにより阻止されるようになっている。
【0047】
一方、ナット16がブッシュ42に突き当たる図1の状態では、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向へ移動しようとするが、この移動は、ブッシュ42がカラー38に係合することで阻止されるようになっている。すなわち、ケース本体24の段部36Aとシャフトカバーパイプ28の端面との間に挟持されたカラー38は、パイプ保持部36の径方向内側に突出してブッシュ42と係合可能とされている。また、カラー38は、初期状態ではブッシュ42と軸線方向に隙間Gを有するように離間して配置されており(図3参照)、ブッシュ42のスクリューシャフト14と一体のスムースな回転を妨げない構成である。
【0048】
本実施の形態では、カラー38は、外径がパイプ保持部36における段部36Aの矢印B側部分の内径に対応すると共に、内径がブッシュ42の外径よりも十分小さくかつナット16に干渉しないように決められたリング状に形成されている。
【0049】
また、カラー38の矢印A側の内縁部は矢印A側に向けて連続的に拡径するようなテーパ状に形成されたテーパ当接部38Aとされている。これに対し、ブッシュ42の矢印B側端部の外周部は、テーパ当接部38Aに対応したテーパ状に形成されたテーパ当接部42Aとされている。これにより、ブッシュ42は、カラー38内に一部入り込んだ状態で上記の通り通常離間しており、該ブッシュ42とカラー38とがパイプ保持部36内の空間を有効利用して配置されている。
【0050】
この直動機構部18を構成するナット16には、アクチュエータロッド20が固定されている。アクチュエータロッド20は、内径が駆動ねじ部14Aよりも大径で外径がシャフトカバーパイプ28よりも小径である両端開口の円筒状に形成され、その矢印A側で内径が拡大された嵌合部20A内にナット16が嵌合または圧入によって固定されている。
【0051】
また、アクチュエータロッド20の矢印B側端部には、負荷側システム(本実施の形態では、後述する介護用ベッド110の連結アーム120)への連結用の連結部材52がねじ込みによって固定されている。そして、この連結部材52が負荷側システムに連結されることによって、ナット16の軸線周りの回転が阻止され、該ナット16がスクリューシャフト14の回転よって確実に(ロスなく)軸線方向に移動するようになっている。
【0052】
さらに、アクチュエータロッド20の内周面とカラー48の外周面との間には、低摩擦材である樹脂材より成りリング状に形成された摺動リング54が配設されている。一方、アクチュエータロッド20の外周面とシャフトカバーパイプ28の内周面との間には、低摩擦材である樹脂材より成り円筒状に形成されたスリーブ56が配設されている。
【0053】
これにより、アクチュエータロッド20は、ナット16の軸線方向への移動に伴って、摺動リング54(スクリューシャフト14)とスリーブ56(シャフトカバーパイプ28)との間でガイドされつつ、ケーシング12に対し伸縮する構成である。換言すれば、スクリューシャフト14が、その矢印B側端部においてカラー48、摺動リング54、アクチュエータロッド20、スリーブ56を介してシャフトカバーパイプ28(ケーシング12)に軸支される構成である。
【0054】
また、直動機構部18を構成するスクリューシャフト14には、ギヤードモータ22が接続されている。ギヤードモータ22は、ケース本体24の矢印A側端部に固定された状態で、該ケース本体24に固定されたモータカバー部26に被覆されている。この状態でギヤードモータ22の出力軸58の一部がケース本体24のジョイント室34内に突出しており、該出力軸58とスクリューシャフト14の連結嵌合部14Dとが、ジョイント部材60を介して同軸的でかつ一端回転可能に連結されている。このジョイント部材60については後述する。
【0055】
図4に示される如く、ギヤードモータ22は、正逆回転可能なモータ部22Aと、このモータ部22Aに連結する減速装置としてのギヤ部22Bとによって構成されている。モータ部22Aはマグネット式モータであり、モータ部22Aのヨーク62内には、固定子としてのマグネット64が固定配置されると共にコンミテータ66と一体に形成されたアーマチャ68が収容されている。
【0056】
また、ヨーク62内では、アーマチャ68のアーマチャシャフト70の一端部が、ラジアル軸受72によって回転可能に軸支されると共に、スラストボール74及びスラスト受けプレート76によってスラスト荷重を支持されるようになっている。さらに、ヨーク62内ではブラシケーシング78が固定されており、該ブラシケーシング78にはブラシ80がコンミテータ66に接触するように保持されている。
【0057】
また、モータ部22Aは、アーマチャシャフト70の回転速度(単位時間あたりの回転数)を検出する速度センサ82が設けられている。速度センサ82は、ブラシケーシング78に一体に設けられたセンサ保持部78Aに固定されたホール素子82Aと、アーマチャシャフト70に一体回転するように取り付けられたマグネット82Bとで構成されている。
【0058】
さらに、アーマチャシャフト70の先端部は、ヨーク62に連結されたギヤ部22Bのギヤハウジング84内へ延出されており、該ギヤハウジング84内でラジアル軸受85によって軸支されている。このギヤ部22Bでは、ウォーム86がアーマチャシャフト70に連結されており、該ウォーム86の先端部86Aがラジアル軸受88によって回転可能に軸支されると共に、スラストボール90及びスラスト受けプレート92によってスラスト荷重を支持されるようになっている。
【0059】
図5にも示される如く、ギヤハウジング84は、ウォーム86を収容する略円筒状のウォーム収容部84Aと、ウォーム86に噛み合うウォームホイール94を収容する略カップ状に形成されたホイール収容部84Bとが、互いに軸線方向が食い違う(平行でなく、かつ交差しない)ように一体にかつ上記噛み合い部分が連通して形成されている。
【0060】
ホイール収容部84Bの底面中央部からは、略短円筒状の支持ボス部96が立設されており、該支持ボス部96の内部は出力軸孔96Aとされている。また、ホイール収容部84Bの底面には、ウォームホイール94との摺動抵抗を低減するための微小突起97が周方向に多数立設されている。
【0061】
一方、このホイール収容部84Bに収容されるウォームホイールは、略カップ状(有底短円筒状)に形成され、その外周部がウォーム86と噛合可能なホイールギヤ部94Aとされている。
【0062】
また、ウォームホイール94の底部軸心部には、内径が支持ボス部96の外径に対応した円筒状のハブ94Bが設けられており、該ハブ94Bに支持ボス部を挿入させることで、ウォームホイール94がホイール収容部84B(ギヤハウジング84)に対し回転可能に軸支される構成である。さらに、ウォームホイール94の底部における外周近傍には、複数(本実施の形態では3個)の係合突起94Cが等間隔に設けられている。
【0063】
このウォームホイール94の内部には、クッションラバー98が配置されている。クッションラバー98は、内径がウォームホイール94のハブ94Bよりも大径の略短円筒状に形成され、外周部に複数(本実施の形態では6箇所)のスリット98A、98B(本実施の形態では各3箇所)が等間隔で交互に設けられている。クッションラバー98は、このスリット98Aにウォームホイール94の係合突起94Cが挿入された状態でウォームホイール94の内に同軸的に挿入配置されている。
【0064】
さらに、ウォームホイール94の内におけるクッションラバー98上には、伝達プレート100が配設されている。伝達プレート100は、略円板状に形成されており、その外周部にはクッションラバー98のスリット98Bに対応した複数(本実施の形態では3個)の係合突部100Aが等間隔に突設されている。
【0065】
この伝達プレート100は、クッションラバー98のスリット98Bに係合突部100Aを挿入した状態でウォームホイール94内においてクッションラバー98上に配置され、ウォームホイール94の回転がクッションラバー98を介して伝達されるようになっている。
【0066】
また、伝達プレート100の軸心部には、軸嵌合孔100Bが設けられている。軸嵌合孔100Bは、軸線方向視で非円形状である略十字型状に形成され、伝達プレート100を貫通している。そして、この伝達プレート100には、出力軸58が取り付けられている。
【0067】
出力軸58は、軸嵌合孔100Bに対応して軸線方向視で略十字型状に形成され該軸嵌合孔100Bに嵌合する嵌合部58Aと、ギヤハウジング84の出力軸孔96Aに挿入されて回転自在に軸支される軸支持部58Bと、ギヤハウジング84外に位置しジョイント部材60と噛み合う出力ギヤ部58Cと、ジョイント部材60内に挿入されて心出しするための軸部58Dとが、この順で同軸的かつ一体に形成されて構成されている。
【0068】
この出力軸58は、ギヤハウジング84のホイール収容部84Bの外側から出力軸孔96Aに軸支持部58Bを挿入した状態で、その嵌合部58Aを伝達プレート100の軸嵌合孔100Bに嵌合(挿通)させて該伝達プレート100に取り付けられている。これにより、出力軸58が伝達プレート100と同軸的かつ一体に回転するようになっている。
【0069】
また、この状態で、伝達プレート100の反対側に突出した嵌合部58AにはEリング102が係合しており、伝達プレート100に対し出力軸58が抜け止めされている。また、出力軸孔96Aと軸支持部58Bとの間は、Oリング104にてシールされている。
【0070】
そして、ウォームホイール94、クッションラバー98、伝達プレート100、出力軸58の一部を収容したホイール収容部84Bの開口部は、該開口部に取り付けられたカバープレート106によって被覆されている。
【0071】
以上説明したギヤ部22Bでは、ウォームホイール94が回転すると、この回転がクッションラバー98、伝達プレート100を介して出力軸58に伝達される構成である。このクッションラバー98の存在により、例えばナット16がブッシュ42に当接した際に出力軸58を介して負荷側(直動機構部18)から伝達される衝撃が吸収されるようになっている。
【0072】
また、上記の通り、ギヤードモータ22の出力軸58とスクリューシャフト14の連結嵌合部14Dとは、ジョイント部材60によって連結されている。ジョイント部材60は、略筒状に形成されており、その内部には、軸線方向視で矩形状の連結嵌合部14Dに対応した嵌合孔60Aと、出力軸58の軸部58Dが嵌合する嵌合孔60Bと、出力軸58の出力ギヤ部58Cが噛み合う内歯ギヤ部60Cとが同軸的に形成されている。
【0073】
そして、ケース本体24のジョイント室34内に配置されたジョイント部材60の嵌合孔60Aに連結嵌合部14Dを嵌合すると共に、嵌合孔60Bに軸部58Dを嵌合して内歯ギヤ部60Cを出力ギヤ部58Cに噛み合わせることで、出力軸58とスクリューシャフト14とが同軸的かつ一体に回転するようになっている。
【0074】
このように、ギヤードモータ22は、そのギヤ部22Bが食い違い軸間で回転を伝達するウォーム86とウォームホイール94とを有して構成され、出力軸58に作用する負荷側(直動機構部18)からの衝撃がモータ部22Aに直接的には作用しないようになっている。そして、このことと、上記の通りクッションラバー98がウォームホイール94への衝撃を吸収(衝撃伝達を緩和する)ことにより、ウォームホイール94とウォーム86との噛み合い、ウォーム86を軸支するラジアル軸受88、アーマチャシャフト70を軸支するラジアル軸受85、72、互いに接触するコンミテータ66及びブラシ80、ホール素子82Aがマグネット82Bに近接して配置される回転センサ82等が、上記衝撃に対し保護されるようになっている。
【0075】
また、ギヤードモータ22には、制御回路108が電気的に接続されている。制御回路108は、各ブラシ80、図示しない交流電源、及び図示しない操作スイッチと電気的に接続されている。操作スイッチは、モータ部22Aの正転または逆転を択一的に選択操作可能とされている。そして、制御回路108は、操作スイッチの操作によって交流電流を直流に整流し、該直流電流を上記操作により選択された回転方向に応じてブラシ80に供給するようになっている。
【0076】
さらに、制御回路108には、回転センサ82を構成するホール素子82Aとも電気的に接続されており、回転センサ82が検出する回転速度が設定速度以下となると、ブラシ80への給電を停止するようになっている。
【0077】
すなわち、リニアアクチュエータ10では、ナット16がブッシュ42に突き当った後に該ブッシュ42がカラー38に係合するか、またはナット16がカラー48に突き当たるかして(例えばモータ部22Aが過負荷となり)、アーマチャシャフト70(アーマチャ68)回転速度が設定速度以下となると、作動が停止する構成である。
【0078】
次に、上記構成のリニアアクチュエータ10が適用される介護用ベッド110について説明する。図6に示される如く、介護用ベッド110は、水平部112A及び該水平部112Aの裏面前後にそれぞれ設けられた脚部112Bとから成るベッドフレーム112を備えている。
【0079】
また、介護用ベッド110は、ヒンジ114によってベッドフレーム112に対して回動可能に連結された背もたれ板116を備えている。背もたれ板116は、通常、ベッドフレーム112の水平部112Aに沿って水平に配置されている(水平位置に位置している)。
【0080】
さらに、ベッドフレーム112におけるヒンジ114を挟んで背もたれ板116と反対側の裏面からは、固定側取付部118が下向きに立設されている。一方、背もたれ板116の下端部付近の裏面からは、連結アーム120が垂下されている。
【0081】
そして、リニアアクチュエータ10は、ケーシング12の連結部26Aが固定側取付部118に固定されると共に、アクチュエータロッド20の先端に固定された連結部材52が連結アーム120の自由端部に連結されている。以上により、リニアアクチュエータ10は、ベッドフレーム112の水平部112Aの下方に配設されている。
【0082】
これにより、介護用ベッド110の背もたれ板116は、リニアアクチュエータ10のアクチュエータロッド20がケーシング12に対し伸長する(矢印B方向に移動する)と、矢印C方向に回動して水平位置から起こされ、リニアアクチュエータ10のアクチュエータロッド20がケーシング12に対し短縮する(矢印A方向に移動する)と、矢印Cとは反対方向に回動して水平位置に復帰するようになっている。そして、背もたれ板116の水平位置に対する角度は、アクチュエータロッド20の位同量に応じて任意に調節できるようになっており、該任意の調節位置から背もたれ板116をさらに起こしたり、水平位置の手前の任意の位置まで戻し(寝かせ)たりすることも可能である。
【0083】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0084】
上記構成の介護用ベッド110は、通常背もたれ板116が水平位置に位置している。このとき、リニアアクチュエータ10では、図1に示される如く、ナット16が矢印A側移動限に位置し、ブッシュ42に当接している。
【0085】
背もたれ板116を水平位置から起こす際には、操作スイッチを例えば正転側に操作する。すると、モータ部22Aが作動してアーマチャシャフト70が正転し、スクリューシャフト14がナット16を矢印B方向へ移動するように回転する。ナット16が矢印B方向へ移動すると、アクチュエータロッド20がケーシング12に対し伸長し、背もたれ板116が矢印C方向に回動して水平位置から起こされる。
【0086】
背もたれ板116を水平位置に対する最大傾斜角まで起こすと、図2に示される如く、ナット16が矢印B側移動限に達しカラー48に当接する。これにより、ナット16のそれ以上の矢印B側への移動が阻止される。
【0087】
また、このナット16の移動阻止に伴って、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印A方向に移動しようとするが、この移動はブッシュ42がケース本体24のスラスト受け部32に当接配置されているスラスト軸受46に押し付けられることで阻止される。
【0088】
以上により、モータ部22Aでは、アーマチャシャフト70の回転速度が制御回路108に設定された速度以下となる(過負荷により回転速度が低下する)。すなわち、回転センサ82の検出速度が制御回路108の設定速度以下となり、制御回路がモータ部22Aを停止する。
【0089】
一方、背もたれ板116を水平位置へ戻す際には、操作スイッチを例えば逆転側に操作する。すると、モータ部22Aが再度作動してアーマチャシャフト70が逆転し、スクリューシャフト14がナット16を矢印A方向へ移動するように回転する。ナット16が矢印A方向へ移動すると、アクチュエータロッド20がケーシング12に対し短縮し、背もたれ板116が矢印Cとは反対方向に回動する。
【0090】
背もたれ板116が水平位置に復帰すると、図1に示される如く、ナット16が矢印A側移動限に達しブッシュ42に当接する。これにより、ナット16のそれ以上の矢印A側への移動が阻止される。
【0091】
また、このナット16の移動阻止に伴って、スクリューシャフト14が自らの回転によって矢印B方向に移動しようとするが、この移動はブッシュ42がケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟み込まれたカラー38に係合することで阻止される。
【0092】
以上により、モータ部22Aでは、アーマチャシャフト70の回転速度が制御回路108に設定された速度以下となる(過負荷により回転速度が低下する)。すなわち、回転センサ82の検出速度が制御回路108の設定速度以下となり、制御回路がモータ部22Aを停止する。
【0093】
そして、ナット16がカラー48に突き当てられたり、ナット16がブッシュ42に突き当てられ該ブッシュ42がカラー38に係合したりすることで、ギヤードモータ22には出力軸58に連結されたスクリューシャフト14を介して衝撃力が作用するが、モータ部22Aの回転軸線と出力軸58の回転軸線とが互いに食い違っているため、モータ部22Aには上記衝撃が直接的には作用しない。また、ギヤ部22Bではウォームホイール94と伝達プレート100との間にクッションラバー98が配設されているため、クッションラバーが変形することで上記衝撃が緩和される。
【0094】
これらにより、ウォームホイール94とウォーム86との噛み合い、ウォーム86を軸支するラジアル軸受88、アーマチャシャフト70を軸支するラジアル軸受85、72、互いに接触するコンミテータ66及びブラシ80が、上記衝撃に対し保護されるようになっている。また、ホール素子82Aがマグネット82Bに近接して配置される回転センサ82を、ギヤードモータ22のモータ部22Aにおけるアーマチャシャフト70廻りに配置したため、該回転センサ82も上記衝撃に対し保護される。
【0095】
このため、リニアアクチュエータ10では、ナット16がブッシュ42やカラー48に突き当たる前にギヤードモータ22を停止させるためのインターロック機構を備えない簡単な構造を採用している。すなわち、ナット16の移動限における位置を機械的、電気的(電磁的)、または光学的に検出する位置センサ(リミットスイッチ等)を不要として部品点数の削減を図り、リニアアクチュエータ10の小型化・軽量化を実現している。
【0096】
ここで、軸ストッパとしてのカラー38を、ケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持しているため、該カラー38は、単にケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に配置された状態で、該ケース本体24とシャフトカバーパイプ28とを固定する簡単な構造によって、ケーシング12に対し強固に固定される。
【0097】
特に、シャフトカバーパイプ28がケース本体24のパイプ保持部36にねじ込まれる(おねじ28Aをめねじ36Cに螺合させる)ことで、該シャフトカバーパイプ28がケース本体24に強固に固定されるため、該シャフトカバーパイプ28の端面とケース本体24の段部36Aとの間に挟持されるカラー38のケーシング12に対する取付強度が向上する(取付強度が高い)。
【0098】
また、カラー38は、環状(リング状)に形成されているため、ケース本体24に対するシャフトカバーパイプ28の取付前の状態でも、貫通孔30内で段部36Aよりも矢印A側に脱落することがない。このため、単にカラー38をパイプ保持部36内に挿入して(落とし込んで)、該パイプ保持部36にシャフトカバーパイプ28をねじ込む単純な動作によって上記の通りカラー38をケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持することができる。すなわち、カラー38が貫通孔30内で段部36Aから脱落しないように保持したり、保持する部品を設けたりすることなく、該カラー38をケース本体24とシャフトカバーパイプ28との間に挟持してケーシング12に対し強固に固定することができる。
【0099】
このように、本実施の形態に係るリニアアクチュエータ10では、スクリューシャフト14の軸線方向移動を規制するカラー38を、簡単な構造でかつ十分な強度でケーシング12に取り付けることができる。
【0100】
なお、上記の実施の形態では、シャフトカバーパイプ28がケース本体24にねじ込まれて固定される好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、それぞれ外面におねじが形成されたケース本体24とシャフトカバーパイプ28とがそれぞれめねじを有する結合部材にねじ込まれることで、該シャフトカバーパイプ28とケース本体24とが互いの端面間にカラー38を挟持しつつ固定されても良い。また、ケース本体24のめねじ36Cが矢印B側開口端近傍に設けられると共に、シャフトカバーパイプ28のおねじ28Aが軸線方向中間部に外面よりも突出して設けられても良い。さらに、本発明は、ケース本体24のパイプ保持部36とシャフトカバーパイプ28とがそれぞれ軸線方向視で円形状となる好ましい構成に限定されることはない。
【0101】
また、上記の実施の形態では、矢印A方向への軸ストッパとなるスラスト受け部32がケース本体24に一体に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、別部材である軸ストッパをケース本体24に固定したりケース本体24とモータカバー部26との間に挟持しても良い。また、本発明は、この軸ストッパやカラー38が環状に形成された好ましい構成に限定されないことは言うまでもない。
【0102】
さらに、上記の実施の形態では、ギヤードモータ22が回転センサ82の検出値に基づいて停止される構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、制御回路108がモータ部22Aへ給電される電流の電流値を検出し、該電流値が所定値以上の場合にギヤードモータ22を停止する構成としても良い。この場合、回転センサ82を設けなくても良いことは言うまでもない。
【0103】
さらにまた、上記の実施の形態では、ギヤードモータ22が食い違い軸環で回転を伝達するウォーム86及びウォームホイール94を有する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、ギヤ部22Bは、例えば、交差軸間、平行軸間または同軸間で回転を伝達する各種の歯車対(例えば、かさ歯車、平歯車、遊星ギヤ列等)を備えて構成することができる。
【0104】
また、上記の実施の形態では、リニアアクチュエータ10が介護用ベッド110に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、リニアアクチュエータ10は、負荷を直線的に移動させる如何なる用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の短縮状態の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の伸長状態の側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10の要部を拡大して示す側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10を構成するギヤードモータを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10を構成するギヤードモータの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10が適用された介護用ベッドの要部を概略的に示した側面図である。
【図7】(A)は従来のリニアアクチュエータにおける軸ストッパの取付構造を示す断面図、(B)は従来のリニアアクチュエータにおける軸ストッパの別の取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10…リニアアクチュエータ、14…スクリューシャフト(ねじ軸)、16…ナット、22…ギヤードモータ(電気モータ)、24…ケース本体、28…シャフトカバーパイプ(筒状部材)、36A…段部、38…カラー(軸ストッパ)、42…ブッシュ(ナットストッパ)
Claims (3)
- 電気モータに接続され、該電気モータの作動によって軸線廻りに回転するねじ軸と、
前記ねじ軸に螺合し、該ねじ軸の回転によって該ねじ軸の軸線方向に移動するナットと、
前記ねじ軸の軸線方向一端部を収容し、該ねじ軸を該一端側への移動を阻止しつつ回転自在に軸支するケース本体と、
前記ケース本体に固定され、前記ねじ軸及び前記ナットを該ナットの外側を被覆する筒状部材と、
前記ねじ軸における前記ケース本体内に位置する部分の径方向外側に設けられ、該ねじ軸の前記一端側への前記ナットの移動を規制するナットストッパと、
前記ケース本体と前記筒状部材との間に挟持されて前記ナットストッパに係合可能に配置され、該ナットストッパに前記ナットが当接したときに該ナットストッパに係合して前記ねじ軸の軸線方向他端側への移動を阻止する軸ストッパと、
を備えたリニアアクチュエータ。 - 前記筒状部材を前記ケース本体にねじ込んで固定すると共に、該筒状部材の軸線方向端面と該ケース本体内に形成された段部との間に前記軸ストッパを挟持する、ことを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
- 前記軸ストッパを、外径が前記段部の内径より大でかつ内径が前記段部の内径よりも小である環状に形成した、ことを特徴とする請求項2記載のリニアアクチュエータ。
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- 2002-09-13 JP JP2002267655A patent/JP2004100931A/ja active Pending
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