【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の車体と車軸間に介装して路面からの振動を減衰するフォークと緩衝器を兼ねたフロントフォークに関し、特に、前後方向の剛性を任意に調整できるフロントフォークに関する。
【０００２】
【従来技術とその課題】
この種フロントフォークとしては、例えば、図５に示すものが一般に知られている。
【０００３】
このフロントフォークは、車体側アウターチューブ１内に車輪側インナーチューブ２が摺動自在に挿入されて構成され、アウターチューブ１は、アッパーブラケット３とアンダーブラケット４とを介してステアリングシャフト５と車体側に結合されている。
【０００４】
このフロントフォークでは、フロントタイヤを介して路面から衝撃入力を車軸部に受けるが、その時のフロントフォークとその周辺の曲げに抗する剛性は操安性、乗心地に大きな影響を与える。
【０００５】
図５に示すフロントフオークとこれを取付ける構成の場合はその剛性を左右する要素としてはアウターチューブ１とインナーチューブ２とアンダーブラケット４であるが、いずれの部品も単独で構造を変更して剛性アップを図ることが出来ない場合が多い。
【０００６】
何故ならば、一つの部品の構造を変更すると必然的に他の部品の構造も変更せざるを得ず、車体への取り付け構造を含めて全体の構造がかわってしまうからである。
【０００７】
例えば、特許文献１に示すように、アウターチューブ１の前後の肉厚を多くしてアウターチューブ１の前後方向の曲げに対する剛性をアップさせる方法もあるが、このような場合にはアウターチューブの成形が困難であり、新たな加工設備が必要で、加工コストが嵩み、汎用性にも劣るものである。
【０００８】
更に、図５に示すように、剛性に最も影響が大きい構成は、図中アイ６の中心とアンダーブラケット４の下端との間の寸法Ｌの設定値であるが、この寸法は、車体姿勢に影響するから、剛性アップのみを考えて単純に短かくすることは出来ない。従って、図５に示す従来の構成では剛性を変更することが困難である。
【特許文献１】
特開２００２−１８１１０９号公報（特許請求の範囲、代表図面）
そこで、本発明の目的は、従来の構造を変更することなく、簡単に剛性アップを図れるフロントフォークを提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の一つの手段は、車体側チューブと車輪側チューブとを摺動自在に嵌合し、車体側チューブとアッパーブラケットとアンダーブラケットとを介して車体側に連結しているフロントフォークに於て、車体側チューブの外周にカラーを挿入し、当該カラーの上端面をアンダーブラケットの下端面に当接させたことを特徴とするものである。
【００１０】
同じく、他の手段は、車体側チューブと車輪側チューブとを摺動自在に嵌合し、車体側チューブをアッパーブラケットとアンダーブラケットとを介して車体側に連結しているフロントフォークに於て、アンダーブラケットの下部に車体側チューブの外周に対向する嵌合溝を形成し、車体側チューブの外周にカラーを上下スライド自在に挿入し、上記カラーを筒部本体と本体から起立する円筒部とで構成し、当該円筒部を上記嵌合溝内に任意の長さ嵌入させたことを特徴とするものである。
【００１１】
上記の各手段において、カラーが半径方向に割りを形成した耳片を有し、この耳片をボルトで締め付けて車体側チューブ外周に定着させているのが好ましい。
【００１２】
同じく、カラーが筒体からなり、筒体を車体側チューブの外周に圧入しても良い。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図にもとづいて説明するが、本発明のフロントフォークとその取付構造は、図５の従来例と同じである。
【００１４】
即ち、フロントフォーク自体は、図１に示すように、車体側チューブたるアウターチューブ１と車輪側チューブたるインナーチューブ２とは摺動自在に嵌合して構成し、車体側アウターチューブ１をアッパーブラケット３とアンダーブラケット４とを介して車体側に連結している。
【００１５】
本発明では、更にアウターチューブ１の外周に巾寸法Ｈのカラー７を挿入し、当該カラー７の上端面をアンダーブラケット４の下端面に当接させたことを特徴とする。
【００１６】
上記のように、カラー７をアンダーブラケット４の下面に当接することにより、アンダーブラケット４の下端面とアイ６の中心との間の寸法は、図５の寸法Ｌと同じであるが、カラー７の下端面とアイ６の中心との間の寸法はカラー７の巾寸法Ｈを差し引いた（Ｌ−Ｈ）のＬ１となり、剛性に影響する寸法は、このＬ１となって従来の寸法Ｌより短かくなり、車体姿勢に影響を与えることなく剛性アップが図れる。
【００１７】
更に、カラー７がアンダーブラケット４に当接していることから実質的にアンダーブラケット４の巾寸法を大きくした構造と同じとなり、アンダーブラケット４とカラー７とで軸方向に沿って巾広くアウターチューブ１の外周を支持し、アウターチューブ１の前後方向の曲げに抗する剛性アップを図っている。
【００１８】
カラー７は、筒体で構成してこれをアウターチューブ１の外周に圧入しても良いが、図１，図２に示すように、半円状の本体７ａと本体７ａから横方向に張出して中央に割り７ｃを形成した耳片７ｂとで構成している。
【００１９】
そして、カラー７は、本体７ａをアウターチューブ１の外周に挿入し、耳片７ｂに形成したボルト孔にボルト８を挿入して締結している。
【００２０】
このカラー７は、ボルト８を介してカラー７をアウターチューブ１の外周に着脱できるから、その着脱に応じて剛性を変更できる。又、カラー７の巾寸法Ｈの異なるものを複数用意しておくことにより巾寸法Ｈに応じた剛性の変更、調整が可能となる。カラー７は、軸方向に複数直列に重ねて設けても良い。
【００２１】
図４は、本発明の他の実施形態を示し、これは、図１の実施の形態に対して、カラー１７とアンダーブラケット１４を若干変更したものである。
【００２２】
即ち、アンダーブラケット１７の下部に車体側アウターチューブ１の外周に対向する嵌合溝１５を形成し、アウターチューブ１の外周にカラー１７を上下スライド自在に挿入し、上記カラー１７を筒部本体１７ａと本体１７ａから起立する円筒部１７ｂとで構成し、当該円筒部１７ｂを上記嵌合溝１５内に任意の長さ嵌入させたものである。
【００２３】
この場合、カラー１７が半径方向に割りを形成した耳片１７ｃを有し、この耳片１７ｃをボルト孔１７ｄに挿入したボルトで締め付けてアウターチューブ１外周に定着させても良く、あるいは、カラー１７の本体が筒体からなり、筒体をアウターチューブ１の外周に圧入しても良い。
【００２４】
この実施の形態では、カラー１７を嵌合溝１５内に任意の長さ嵌合させているので、カラー１７の上下位置を微調整でき、これによりカラー１７の下面とアイ６の中心との寸法Ｌ１（図１参照）を調整して剛性を変更すると共に剛性の大きさを微調整できる。
【００２５】
更に、円筒部１７ｂが嵌合していることによりアンダーブラケット１４とカラー１７との間には隙間が出来ず、アンダーブラケット１４とカラー１７との軸方向の巾全体でアウターチューブ１の外周を支持しているからアウターチューブ１の曲げに対する剛性もアップする。
【００２６】
尚、カラー１７は、フレーム１８を介して左右のフロントフォークに装着した二つのカラー１７同士を結合しても良い。
【００２７】
上記の各実施の形態は、倒立型フロントフォークにおいて説明しているが、アウターチューブを車輪側に設けた正立型のフロントフォークを適用できることはいうまでもない。
【００２８】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果がある。
【００２９】
１）請求項１の発明によれば、カラーをアウターチューブに挿入し、その上端面をアンダーブラケットの下端面に当接したために、剛性に影響するカラー下面と車輪側チューブの下端アイの中心との寸法が従来に比べてカラーの巾寸法分短かくでき、剛性アップを図れる。
【００３０】
２）同じく、カラーは巾寸法の異なるものを複数用意することにより、使用するカラーの巾寸法に応じた剛性に変更できる。
【００３１】
３）同じく、車体側チューブの外周はアンダーブラケットとカラーとで軸方向に抱持されているから、アンダーブラケットのみの支持に比べて曲げに対する剛性をアップすることができる。
【００３２】
４）同じく、車体側チューブと車輪側チューブと、アンダーブラケットとは従来から使用されているものをそのまま使用し、単にカラーを追加しただけであるから、汎用性があり、大巾なコストアップとはならない。
【００３３】
５）請求項２の発明によれば、上記の効果に加えてカラーを上下方向にスライドすることによりそのカラーの位置に応じた剛性を得ることができ、剛性の変更、微調整が可能である。
【００３４】
６）請求項３の発明によれば、カラーを任意に着脱でき、カラーの有無による剛性の変更を自由に行なえる。
【００３５】
７）請求項４の発明によれば、カラーが単純化されており、コストダウンを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態に係るフロンフォークの正面図である。
【図２】図１のＤ−Ｄ線横断面図である。
【図３】図１の側面図である。
【図４】他の実施の形態に係るフロントフォークのカラー部分の拡大縦断正面図である。
【図５】従来のフロントフォークの正面図である。
【符号の説明】
１ 車体側チューブたるアウターチューブ
２ 車輪側チューブたるインナーチューブ
３ アッパーブラケット
４ アンダーブラケット
７，１７ カラー
７ｂ，１７ｃ 耳片
７ｃ 割り
８ ボルト
１５ 嵌合溝
１７ａ 筒部本体
１７ｂ 円筒部[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a fork interposed between a vehicle body and an axle of a motorcycle to attenuate vibrations from a road surface and a front fork serving also as a shock absorber, and more particularly to a front fork capable of arbitrarily adjusting rigidity in a front-rear direction.
[0002]
[Prior art and its problems]
As this kind of front fork, for example, the one shown in FIG. 5 is generally known.
[0003]
The front fork is configured such that a wheel-side inner tube 2 is slidably inserted into a vehicle-body-side outer tube 1, and the outer tube 1 is connected to a steering shaft 5 and a vehicle-body-side via an upper bracket 3 and an under bracket 4. Is bound to
[0004]
In this front fork, the axle receives an impact input from the road surface via a front tire, and the rigidity of the front fork and its surroundings against bending bends greatly affects the maneuverability and riding comfort.
[0005]
In the case of the front fork shown in FIG. 5 and the structure for mounting the same, the outer tube 1, the inner tube 2, and the under bracket 4 are factors that influence the rigidity. In many cases cannot be achieved.
[0006]
This is because, if the structure of one part is changed, the structure of another part must be changed, and the entire structure including the structure for attaching to the vehicle body is changed.
[0007]
For example, as shown in Patent Literature 1, there is a method of increasing the thickness of the outer tube 1 before and after to increase the rigidity of the outer tube 1 against bending in the front-rear direction. However, new processing equipment is required, processing costs are increased, and versatility is poor.
[0008]
Further, as shown in FIG. 5, the configuration that has the greatest effect on the rigidity is the set value of the dimension L between the center of the eye 6 and the lower end of the under bracket 4 in the figure. Because of the influence, it is not possible to simply shorten the length only in consideration of the increase in rigidity. Therefore, it is difficult to change the rigidity in the conventional configuration shown in FIG.
[Patent Document 1]
JP-A-2002-181109 (claims, representative drawings)
Accordingly, an object of the present invention is to provide a front fork that can easily increase rigidity without changing the conventional structure.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, one means of the present invention is to slidably fit a vehicle body side tube and a wheel side tube, and connect the vehicle body side tube, the upper bracket, and the under bracket to the vehicle body side. In the front fork, a collar is inserted into the outer periphery of the vehicle body side tube, and an upper end surface of the collar is brought into contact with a lower end surface of the under bracket.
[0010]
Similarly, another means is a front fork in which a vehicle body side tube and a wheel side tube are slidably fitted and the vehicle body side tube is connected to the vehicle body side via an upper bracket and an under bracket. A fitting groove facing the outer periphery of the vehicle body side tube is formed in the lower part of the under bracket, a collar is slidably inserted up and down on the outer periphery of the vehicle body side tube, and the collar is inserted into the cylindrical body and the cylindrical portion rising from the main body. The cylindrical portion is fitted into the fitting groove at an arbitrary length.
[0011]
In each of the above-mentioned means, it is preferable that the collar has a lug formed in the radial direction, and the lug is fixed to the outer periphery of the tube on the vehicle body side by fastening with a bolt.
[0012]
Similarly, the collar may be formed of a tubular body, and the tubular body may be press-fitted to the outer periphery of the vehicle body side tube.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. The front fork of the present invention and its mounting structure are the same as the conventional example of FIG.
[0014]
That is, as shown in FIG. 1, an outer tube 1 serving as a vehicle body side tube and an inner tube 2 serving as a wheel side tube are slidably fitted on the front fork itself, and the body side outer tube 1 is connected to an upper bracket. It is connected to the vehicle body side via 3 and the under bracket 4.
[0015]
The present invention is further characterized in that a collar 7 having a width H is inserted into the outer periphery of the outer tube 1, and the upper end surface of the collar 7 is in contact with the lower end surface of the under bracket 4.
[0016]
As described above, by bringing the collar 7 into contact with the lower surface of the under bracket 4, the dimension between the lower end surface of the under bracket 4 and the center of the eye 6 is the same as the dimension L in FIG. The dimension between the lower end face of the eye 6 and the center of the eye 6 is L1 of (L−H) minus the width dimension H of the collar 7, and the dimension affecting the rigidity is L1 shorter than the conventional dimension L. Thus, rigidity can be increased without affecting the vehicle body posture.
[0017]
Further, since the collar 7 is in contact with the under bracket 4, the structure is substantially the same as the structure in which the width dimension of the under bracket 4 is increased, and the outer tube 1 is broadly extended in the axial direction between the under bracket 4 and the collar 7. The outer circumference of the outer tube 1 is supported to increase rigidity against bending of the outer tube 1 in the front-rear direction.
[0018]
The collar 7 may be constituted by a cylindrical body and press-fitted into the outer periphery of the outer tube 1, but as shown in FIGS. 1 and 2, a semicircular main body 7a and a laterally extending main body 7a are provided. The ear piece 7b has a split 7c at the center.
[0019]
The collar 7 is fastened by inserting the main body 7a around the outer tube 1 and inserting the bolt 8 into a bolt hole formed in the lug 7b.
[0020]
Since the collar 7 can be attached to and detached from the outer periphery of the outer tube 1 via the bolt 8, the rigidity can be changed according to the attachment and detachment. By preparing a plurality of collars 7 having different widths H, the rigidity can be changed and adjusted according to the width H. A plurality of collars 7 may be provided in series in the axial direction.
[0021]
FIG. 4 shows another embodiment of the present invention, in which the collar 17 and the under bracket 14 are slightly modified from the embodiment of FIG.
[0022]
That is, a fitting groove 15 is formed in the lower portion of the under bracket 17 so as to face the outer periphery of the outer tube 1 on the vehicle body side, and the collar 17 is inserted into the outer periphery of the outer tube 1 so as to be freely slidable up and down. And a cylindrical portion 17b standing upright from the main body 17a. The cylindrical portion 17b is fitted into the fitting groove 15 at an arbitrary length.
[0023]
In this case, the collar 17 has an ear piece 17c formed in the radial direction, and the ear piece 17c may be fixed to the outer tube 1 outer periphery by tightening the ear piece 17c with a bolt inserted into the bolt hole 17d. May be formed of a cylinder, and the cylinder may be pressed into the outer periphery of the outer tube 1.
[0024]
In this embodiment, since the collar 17 is fitted into the fitting groove 15 at an arbitrary length, the vertical position of the collar 17 can be finely adjusted, whereby the dimension between the lower surface of the collar 17 and the center of the eye 6 can be adjusted. The rigidity can be changed by adjusting L1 (see FIG. 1) and the rigidity can be finely adjusted.
[0025]
Further, since the cylindrical portion 17b is fitted, there is no gap between the under bracket 14 and the collar 17, and the outer circumference of the outer tube 1 is supported by the entire axial width of the under bracket 14 and the collar 17. Therefore, the rigidity of the outer tube 1 against bending is also increased.
[0026]
In addition, the collar 17 may couple the two collars 17 attached to the left and right front forks via the frame 18.
[0027]
In each of the above embodiments, the inverted front fork has been described, but it goes without saying that an upright type front fork having an outer tube provided on the wheel side can be applied.
[0028]
【The invention's effect】
According to the present invention, the following effects can be obtained.
[0029]
1) According to the first aspect of the present invention, since the collar is inserted into the outer tube and the upper end surface thereof is in contact with the lower end surface of the under bracket, the lower surface of the collar and the center of the lower end eye of the wheel side tube are affected. Can be shortened by the width of the collar as compared with the prior art, and the rigidity can be increased.
[0030]
2) Similarly, by preparing a plurality of collars having different widths, the rigidity can be changed according to the width of the collar to be used.
[0031]
3) Similarly, since the outer periphery of the body-side tube is held in the axial direction by the under bracket and the collar, the rigidity against bending can be increased as compared with the case where only the under bracket is supported.
[0032]
4) Similarly, the body side tube, the wheel side tube, and the under bracket are the same as those conventionally used, and are simply added with a color, so that they are versatile and have a large cost increase. Not be.
[0033]
5) According to the second aspect of the invention, in addition to the above-described effects, by sliding the collar up and down, rigidity according to the position of the collar can be obtained, and the rigidity can be changed and finely adjusted. .
[0034]
6) According to the third aspect of the present invention, the collar can be arbitrarily attached and detached, and the rigidity can be freely changed depending on the presence or absence of the collar.
[0035]
7) According to the fourth aspect of the invention, the color is simplified, and the cost can be reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a front view of a freon fork according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view taken along line DD of FIG.
FIG. 3 is a side view of FIG. 1;
FIG. 4 is an enlarged vertical sectional front view of a collar portion of a front fork according to another embodiment.
FIG. 5 is a front view of a conventional front fork.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Outer tube which is a body side tube 2 Inner tube which is a wheel side tube 3 Upper bracket 4 Under bracket 7, 17 Collar 7b, 17c Ear piece 7c Split 8 Bolt 15 Fitting groove 17a Cylindrical body 17b Cylindrical part
