JP2004100880A - グランドパッキン材料およびグランドパッキン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グランドパッキン材料1は、極細で長尺の多数本のシート状のガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設け、このようにした基材4をガラス繊維2が内向きになるように、端から長手方向に順次に撚りをかけて、帯状膨張黒鉛3でガラス繊維2を被覆し、この撚られた補強材20に備えられている多数の開口20Aに帯状膨張黒鉛3を臨ませるようにして、ガラス繊維2の全てと帯状膨張黒鉛3の幅方向の一端部5をのり巻き状にグランドパッキン材料1の内部に巻き込んで、帯状膨張黒鉛3の間にガラス繊維2を介在させた内補強構造にしてある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グランドパッキンの製造に用いられるグランドパッキン材料と、このグランドパッキン材料によって製造されたグランドパッキンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、グランドパッキンの製造に用いられるグランドパッキン材料として、図20または図21に示すものが知られている(例えば 特許文献1参照。)。図20のグランドパッキン材料50は、ガラス繊維51の表面に接着剤によって膨張黒鉛52を一体に接着して被覆した内補強構造のもので、図21のグランドパッキン材料50は、複数本のガラス繊維51の両面に接着剤によって膨張黒鉛52を一体に接着して被覆した内補強構造のものである。
グランドパッキン材料50には、前記ガラス繊維51によって引張り強さが付与されるので、編組またはひねり加工することができる。したがって、このグランドパッキン材料50を複数本集束して、編組またはひねり加工することによりグラントパッキンを製造することできる。たとえば、グランドパッキン材料50を8本集束して8打角編みすることで、図22(a),(b)に示すように編組したグラントパッキン53を製造することができ、また、グランドパッキン材料50を6本集束してひねり加工することで、図23(a),(b)に示すようにひねり加工したグラントパッキン53を製造することができる。
【0003】
図22および図23のグラントパッキン53には、膨張黒鉛52によってパッキンとして不可欠な圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので、高い封止性を有して流体機器の軸封部を封止することができるとされている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3101916号公報(図2 図8)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の内補強構造のグランドパッキン材料50では、ガラス繊維51の表面または両面を被覆している膨張黒鉛52に高い保形性を期待することができない。すなわち、従来の内補強構造のグランドパッキン材料50では、高い封止性が得られる反面、保形性に劣る欠点を有している。このように、保形性に劣るグランドパッキン材料50を複数本集束して、編組またはひねり加工によってグラントパッキン53を製造すると、編組時またはひねり加工時に膨張黒鉛52に脱落が生じることになる。このため、グラントパッキン53の弾力性が低下し、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が失われて、グラントパッキン53の封止性が低下することになる。
【0006】
また、多量の接着剤によって炭素繊維51と膨張黒鉛52とを接着しているので、接着剤硬化を生じて膨張黒鉛52の親和性や圧縮復元率などが低下し、シール性に悪影響をおよぼすとともに、このようなグランドパッキン材料50でグラントパッキン53が製造されると、高温条件下で使用した場合に、接着剤が焼失して浸透漏れが多くなり、シール性が低下することになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内補強された脆性繊維材料により高い引張り強さが付与されて、容易に編組またはひねり加工することができ、内補強構造本来の高い封止性が損なわれず、しかも高い保形性を得ることができるとともに、接着剤硬化や接着剤の焼失などを回避できるグランドパッキン材料およびこのグランドパッキン材料を用いて製造されたグランドパッキンを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係るグランドパッキン材料は、脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして撚られており、この撚られた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明に係るグランドパッキン材料は、脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして巻かれており、この巻かれた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明に係るグランドパッキン材料は、脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして巻かれて撚られており、この巻かれて撚られた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明のように、帯状膨張黒鉛の片面に脆性繊維材料よりなる補強材を設けることが好ましい。
【0012】
請求項5に記載の発明のように、脆性繊維材料よりなる補強材の両面に帯状膨張黒鉛を設けてもよい。
【0013】
請求項6に記載の発明のように、脆性繊維材料がEガラス,Tガラス,Cガラス,Sガラスなどのガラスもしくはシリカまたはアルミナ,アルミナシリカなどのセラミックのいずれかであることが好ましい。
【0014】
請求項7に記載の発明に係るグランドパッキンは、請求項1,2,3,4,5,6のいずれかに記載のグランドパッキン材料を複数本用いて編組していることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の発明にに係るグランドパッキンは、請求項1,2,3,4,5,6のいずれかに記載のグランドパッキン材料を複数本用いてひねり加工していることを特徴としている。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、脆性繊維材料は、撚りをかけても折損しない特性を有しているので、脆性繊維材料よりなる補強材は折損されることなく内補強材として該脆性繊維材料を帯状膨張黒鉛で被覆したグランドパッキン材料が得られる。
また、帯状膨張黒鉛が脆性繊維材料よりなる補強材に備えられた多数の開口に臨んで前記補強材に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛と補強材との結合力が高められるので、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限しても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材が帯状膨張黒鉛と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。
さらに、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限できることで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。
また、帯状膨張黒鉛によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛がサンドイッチ構造になって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、脆性繊維材料は、巻いても折損しない特性を有しているので、脆性繊維材料よりなる補強材は折損されることなく内補強材として該脆性繊維材料を帯状膨張黒鉛で被覆したグランドパッキン材料が得られる。
また、帯状膨張黒鉛が脆性繊維材料よりなる補強材に備えられた多数の開口に臨んで前記補強材に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛と補強材との結合力が高められるので、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限しても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材が帯状膨張黒鉛と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。
さらに、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限できることで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。
また、帯状膨張黒鉛によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛がサンドイッチ構造になって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、脆性繊維材料は、巻いて撚りをかけても折損しない特性を有しているので、脆性繊維材料よりなる補強材は折損されることなく内補強材として該脆性繊維材料を帯状膨張黒鉛で被覆したグランドパッキン材料が得られる。
また、帯状膨張黒鉛が脆性繊維材料よりなる補強材に備えられた多数の開口に臨んで前記補強材に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛と補強材との結合力が高められるので、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限しても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材が帯状膨張黒鉛と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。
さらに、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限できることで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。
また、帯状膨張黒鉛によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛がサンドイッチ構造になって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明のように、帯状膨張黒鉛の片面に脆性繊維材料よりなる補強材を設けても、脆性繊維材料をグランドパッキン材料の内部に巻き込んで内補強することができるので、帯状膨張黒鉛の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、脆性繊維材料よりなる補強材の両面に帯状膨張黒鉛を配した帯状膨張黒鉛の二重構造になるので、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性がさらに向上し、より一層高い封止性を得ることができる。また、補強材を内部に巻き込む巻き込み量が多くなって、内補強することができるので、グランドパッキン材料の引っ張り強度がより向上する。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、金属線と比較して安価に提供することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記のグランドパッキン材料を複数本用いて編組しているグランドパッキンであるので、編組時における膨張黒鉛の脱落を防止して保形性を向上させることができる。このため、グラントパッキンの弾力性が低下せず、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性を保持して、グラントパッキンの封止性を向上させることができる。さらに、高熱条件下で使用しても、接着剤の焼失によるシール性の低下が生じることはない。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、前記のグランドパッキン材料を複数本用いてひねり加工しているグランドパッキンであるので、編組時における膨張黒鉛の脱落を防止して保形性を向上させることができる。このため、グラントパッキンの弾力性が低下せず、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性を保持して、グラントパッキンの封止性を向上させることができる。さらに、高熱条件下で使用しても、接着剤の焼失によるシール性の低下が生じることはない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、請求項1に記載の発明に係るグランドパッキン材料の実施の形態を示す斜視図であり、この図において、グランドパッキン材料1は、極細で長尺の多数本のシート状のガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設け、このようにした基材4を前記シート状のガラス繊維2が内向きになるように、端から長手方向に順次に撚りをかけて、帯状膨張黒鉛3でシート状のガラス繊維2を被覆し、この撚られた補強材20に備えられている図2,図3に示す多数の開口20Aに帯状膨張黒鉛3を臨ませるようにして、ガラス繊維2の全てと帯状膨張黒鉛3の幅方向の一端部5をのり巻き状にグランドパッキン材料1の内部に巻き込んで、帯状膨張黒鉛3の間にシート状のガラス繊維2を介在させた内補強構造に構成されている。なお、前記多数の開口20Aは、極細で長尺の多数本のガラス繊維2よりなる補強材20が撚られる時に自然発生的に形成されることで備わる場合と、極細で長尺の多数本のガラス繊維2よりなる補強材20の多数の部位で隣接し合うガラス繊維2同士を離間させるように少し押し拡げて、撚る前に予め局部的な裂け目を形成することによって人為的に備える場合もある。極細で長尺の多数本のガラス繊維として、Eガラス,Tガラス,Cガラス,Sガラスなどのガラス繊維が適用される。これらのガラス繊維は、金属線と比較して安価に提供することができる。
【0025】
シート状のガラス繊維2は、撚りをかけても折損し難い特性を有しているので、折損されることなく帯状膨張黒鉛3によって被覆された内補強構造のグランドパッキン材料1を得ることができる。また、帯状膨張黒鉛3がガラス繊維2よりなる補強材20に備えられた多数の開口20Aに臨んで補強材20に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛3と補強材20との結合力が高められるので接着剤の使用を省略できる。つまり、接着剤を使用しなくても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材20が帯状膨張黒鉛3と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。さらに、接着剤の使用を省略することで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛3の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。また、シート状のガラス繊維2の全てと帯状膨張黒鉛3の幅方向の一端部5がのり巻き状にグランドパッキン材料1の内部に巻き込まれていることによっても、後述するグランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時にシート状のガラス繊維2が分離し難くなり、内補強効果を有効に発揮することができるとともに、帯状膨張黒鉛3によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛3がサンドイッチ構造なって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0026】
図4は、請求項2に記載の発明に係るグランドパッキン材料の実施の形態を示す斜視図であり、この図において、グランドパッキン材料1は、極細で長尺の多数本のシート状のガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設け、このようにした基材4を前記シート状のガラス繊維2が内向きになるように、帯状膨張黒鉛3でシート状のガラス繊維2を被覆し、かつシート状のガラス繊維2の全てと帯状膨張黒鉛3の一端部5をのり巻き状にグランドパッキン材料1の内部に巻き込んで、この巻かれた補強材20に備えられている図2,図3に示す多数の開口20Aに帯状膨張黒鉛3を臨ませるようにして、帯状膨張黒鉛3の間にシート状のガラス繊維2を介在させた内補強構造に構成されている。なお、前記多数の開口20Aは、極細で長尺の多数本のガラス繊維2よりなる補強材20が巻かれる時に自然発生的に形成されることで備わる場合と、極細で長尺の多数本のガラス繊維2よりなる補強材20の多数の部位で隣接し合うガラス繊維2同士を離間させるように少し押し拡げて、巻く前に予め局部的な裂け目を形成することによって人為的に備える場合もある。
【0027】
シート状のガラス繊維2は、巻いても折損しないので、折損されることなく帯状膨張黒鉛3によって被覆された内補強構造のグランドパッキン材料1を得ることができる。また、帯状膨張黒鉛3がガラス繊維2よりなる補強材20に備えられた多数の開口20Aに臨んで補強材20に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛3と補強材20との結合力が高められるので接着剤の使用を省略できる。つまり、接着剤を使用しなくても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材20が帯状膨張黒鉛3と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。さらに、接着剤の使用を省略することで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛3の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。また、シート状のガラス繊維2の全てと帯状膨張黒鉛3の幅方向の一端部5がのり巻き状にグランドパッキン材料1の内部に巻き込まれていることによっても、後述するグランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時にシート状のガラス繊維2が分離し難くなり、内補強効果を有効に発揮することができるとともに、帯状膨張黒鉛3によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛3がサンドイッチ構造なって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明に係るグランドパッキン材料のように、シート状のガラス繊維2を帯状膨張黒鉛3の片面に設け、このようにした基材4を前記シート状のガラス繊維2が内向きになるように、巻かれて撚られている内補強構造であっても、図1の請求項1または図4請求項2の発明に係るグランドパッキン材料1と同様の作用・効果を奏することができる。このように構成されたグランドパッキン材料1の外観は図1と略同じであるので図示は省略する。
【0029】
グランドパッキン材料1は、たとえば以下の手順によって構成することができる。
まず、図5に示すように、1本の直径が5μmのガラス繊維2Aを24,00本集束したマルチフィラメント糸を使用して、幅W=4.00mm、厚さT=0.20mmの偏平状にしたガラス繊維束2Aを設け、このガラス繊維束2Aを幅方向に拡展して、図6に示す幅W1=25.00mm、厚さT1=0.03mmのシート状のガラス繊維2を形成する。
【0030】
つぎに、図7に示すように、幅W2=25.00mm、厚さT2=0.38mmの帯状膨張黒鉛3の上面に前記シート状のガラス繊維2を重ねて、ガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設けた基材4を形成し、この基材4をシート状のガラス繊維2が内向きになるように撚りをかけるかあるいは巻いて撚りをかけることで、図1のグランドパッキン材料1が構成され、前記基材4をシート状のガラス繊維2が内向きになるようにのり巻き状に巻き込むことで、図4のグランドパッキン材料1が構成される。つまり、帯状膨張黒鉛3がガラス繊維2よりなる補強材20に備えられた多数の開口20Aに臨んで補強材20に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛3と補強材20との結合力が高められ、したがって、接着剤を使用しなくても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材20が帯状膨張黒鉛3と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができ、接着剤の使用を省略することで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛3の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制した図1または図4のグランドパッキン材料1を構成できる。
【0031】
一方、図8に示すように、幅W2=25.00mm、厚さT2=0.25mmの帯状膨張黒鉛3の上面にエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系またはフェノール樹脂系の接着剤6をスポット状に設けた状態で、図7のようにシート状のガラス繊維2を重ねて、ガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設けた基材4を形成することにより、接着剤6の使用量を極少量に制限して、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛3の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制した図1または図4のグランドパッキン材料1を構成することもできる。
【0032】
図9に示す幅W1=25.00mm、厚さT1=0.03mmのシート状のガラス繊維2に膨張黒鉛粉末3Aを重ねて、これを圧縮成形することで、図10に示すように、幅W2=25.00mm、厚さT2=0.25mmに圧縮された帯状膨張黒鉛3の片面にシート状のガラス繊維2を設けて基材4を形成してもよい。
【0033】
なお、図11に示すように、帯状膨張黒鉛3の上面に帯状膨張黒鉛3よりも幅狭のシート状のガラス繊維2を重ねて基材4を形成してもよい。
【0034】
また、図12に示すように、帯状膨張黒鉛3の上面に帯状膨張黒鉛3よりも幅広のシート状のガラス繊維2を重ねて基材4を形成してもよい。
【0035】
このように、帯状膨張黒鉛3の上面にシート状のガラス繊維2を重ね、ガラス繊維2よりなる補強材20を帯状膨張黒鉛3の片面に設けた基材4を形成し、この時に、補強材20の多数の部位で隣接し合うガラス繊維2同士を離間させるように少し押し拡げて、予め局部的な裂け目を形成することによって人為的に多数の開口20Aを備わせて、ここに帯状膨張黒鉛3を臨ませる手法、あるいは基材4に撚りをかけるかまたはのり巻き状に巻くかあるいは巻いて撚りをかける時に、自然発生的に備わる多数の開口20Aに帯状膨張黒鉛3が臨むことによって、アンカー作用が生じることになる。
【0036】
ガラス繊維2としては、1本の直径が3μm〜15μmのものが好ましい。直径が3μm未満であると撚りをかける時に折損するおそれがあり、直径が15μmを超えると撚りをかけ難くなる。ただし、ガラス繊維2Aの直径が小さいほどシール性がよくなるので、3μm〜10μmの範囲が最適である。
【0037】
また、シート状のガラス繊維2の厚さT1は、10μm〜200μmの範囲が好ましい。厚さT1が10μm未満であると、内補強効果が低下し、しかも均一なシート製作が難しい、また、厚さT1が200μmを超えると、内補強効果を高めることができる反面撚りをかけ難くなり、しかも、補強部分から漏れが発生する。
【0038】
図13に示すように、シート状のガラス繊維2の両面に該シート状のガラス繊維2と同じ幅寸法の帯状膨張黒鉛3を設けて基材4を形成し、この基材4に撚りをかけるかあるいは巻いて撚りをかけることで、図14(a)のグランドパッキン材料1が構成され、図13の基材4をのり巻き状に巻き込むことで、図14(b)のグランドパッキン材料1が構成される。このようなランドパッキン材料1では、シート状のガラス繊維2の両面に帯状膨張黒鉛3を配した帯状膨張黒鉛3の二重構造になるので、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性がさらに向上し、より一層高い封止性を得ることができる。なお、図15に示すような、シート状のガラス繊維2の両面に該シート状のガラス繊維2よりも幅寸法の大きい帯状膨張黒鉛3を設けた基材4であってもよい。
【0039】
以上説明した実施の形態のグランドパッキン材料1を複数本用意し、これら複数本を編組機により集束して編組することで、たとえば、図18のような紐状のグランドパッキン8を製造することができる。なお、図18では、8本のグランドパッキン材料1を集束して、8打角編みしたグランドパッキン8を示している。
【0040】
前記のグランドパッキン材料1を複数本用いて編組しているグランドパッキン8であるので、編組時における膨張黒鉛の脱落を防止して保形性を向上させることができる。このため、グラントパッキン8の弾力性が低下せず、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性を保持して、グラントパッキン8の封止性を向上させることができる。さらに、高熱条件下で使用しても、接着剤の焼失によるシール性の低下が生じることはない。このことによっても、優れたシール性を得ることができる。
【0041】
一方、前記のグランドパッキン材料1を複数本用意し、これら複数本を集束してひねり加工することで、たとえば、図19のような紐状のグランドパッキン8を製造することができる。なお、図19では、6本のグランドパッキン材料1を集束してひねり加工を施しながらロール成形を行なったものである。このように、ひねり加工されたグランドパッキン8であっても、ひねり加工時における膨張黒鉛の脱落を防止して保形性を向上させることができる。このため、グラントパッキン8の弾力性が低下せず、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性を保持して、グラントパッキン8の封止性を向上させることができる。さらに、高熱条件下で使用しても、接着剤の焼失によるシール性の低下が生じることはない。このことによっても、優れたシール性を得ることができる。
【0042】
なお、前記各実施の形態では、極細で長尺の多数本の脆性繊維材料2としてガラス繊維2を適用しているが、ガラス繊維2に代えて、シリカ、アルミナ、アルミナシリカなどのセラミックのいずれかの極細で長尺の多数本の繊維によって脆性繊維材料2を構成して補強材20としても、前記ガラス繊維2と同様の作用・効果を奏することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、グランドパッキン材料およびグランドパッキンは構成されているので、以下のような格別の効果を奏する。
【0044】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の発明によれば、脆性繊維材料を内補強材として該脆性繊維材料を帯状膨張黒鉛で被覆したグランドパッキン材料を得ることができる。また、帯状膨張黒鉛が脆性繊維材料よりなる補強材に備えられた多数の開口に臨んで前記補強材に係合するアンカー作用によって、帯状膨張黒鉛と補強材との結合力が高められるので、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限しても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に補強材が帯状膨張黒鉛と分離し難くなり内補強効果を有効に発揮することができる。さらに、接着剤の使用量を零もしくは極少量に制限できることで、接着剤硬化による帯状膨張黒鉛の特性(親和性、圧縮復元性など)の低下を抑制することができる。また、脆性繊維材料の全てと帯状膨張黒鉛の一部が内部に巻き込まれていることによっても、グランドパッキンを製造するための編組時またはひねり加工時に脆性繊維材料が帯状膨張黒鉛と分離し難くなり、内補強効果を有効に発揮することができるとともに、帯状膨張黒鉛によって圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性が付与されるので高い封止性を得ることができる。さらに、圧縮または圧力がかかった場合に、帯状膨張黒鉛がサンドイッチ構造になって、膨張黒鉛粒子の移動が抑制されるので保形性を向上させることができる。
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、帯状膨張黒鉛と脆性繊維材料の両者を分離させることなく撚りをかけるかまたはのり巻き状に巻くかあるいは巻いて撚りをかけて、脆性繊維材料を内部に巻き込んだ内補強構造のグランドパッキン材料を容易に得ることができる。
【0046】
請求項5に記載の発明によれば、脆性繊維材料よりなる補強材の両面に帯状膨張黒鉛を配した帯状膨張黒鉛の二重構造になるので、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性がさらに向上し、より一層高い封止性を得ることができる。
【0047】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1、請求項2または請求項3に記載の発明と同じ効果に併せて、金属線による内補強構造のグランドパッキン材料と比較して安価な内補強構造のグランドパッキン材料を提供することができる。
【0048】
請求項7または請求項8に記載の発明によれば、前記のグランドパッキン材料を複数本用いて編組またはひねり加工しているので、編組時における膨張黒鉛の脱落を防止して保形性を向上させることができる。このため、グラントパッキンの弾力性が低下せず、圧縮性、復元性などの封止上好ましい特性を保持して、グラントパッキンの封止性を向上させることができる。さらに、高熱条件下で使用しても、接着剤の焼失によるシール性の低下が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明に係るグランドパッキン材料の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】脆性繊維材料よりなる補強材の多数の開口に帯状膨張黒煙が臨んでいる状態の一例を拡大して部分的に示す平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】請求項2に記載の発明に係るグランドパッキン材料の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】ガラス繊維束の一例を示す斜視図である。
【図6】シート状のガラス繊維の一例を示す斜視図である。
【図7】基材の一実施の形態を示す斜視図である。
【図8】少量接着剤の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図9】シート状のガラス繊維に膨張黒鉛粉末を重ねた状態を示す断面図である。
【図10】基材の他の例を示す断面図である。
【図11】図7、図10に示す基材の変形例を示す断面図である。
【図12】図7、図10に示す基材の他の変形例を示す断面図である。
【図13】基材の他の実施の形態を示す断面図である。
【図14】請求項5に記載の発明に係るグランドパッキン材料の実施の形態を示す斜視図である。
【図15】図13に示す基材の変形例を示す断面図である。
【図16】図13に示す基材の他の変形例を示す断面図である。
【図17】基材のさらに異なる変形例を示す断面図である。
【図18】請求項7に記載の発明に係るグランドパッキンの実施の形態を示す斜視図である。
【図19】請求項8に記載の発明に係るグランドパッキンの実施の形態を示す斜視図である。
【図20】従来のグランドパッキン材料の一例を示す斜視図である。
【図21】従来のグランドパッキン材料の他の例を示す斜視図である。
【図22】従来のグランドパッキンの一例を示す斜視図である。
【図23】従来のグランドパッキンの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 グランドパッキン材料
2 シート状のガラス繊維(脆性繊維材料)
3 帯状膨張黒鉛
4 基材
8 グランドパッキン
20 脆性繊維材料よりなる補強材
20A 多数の開口
Claims (8)
- 脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして撚られており、この撚られた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴とするグランドパッキン材料。
- 脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして巻かれており、この巻かれた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴とするグランドパッキン材料。
- 脆性繊維材料よりなる補強材を帯状膨張黒鉛の少なくとも片面に設けた基材が、前記脆性繊維材料よりなる補強材を内側にして巻かれて撚られており、この巻かれて撚られた補強材には多数の開口が備えられていて、これら開口に帯状膨張黒鉛を臨ませるようにしたことを特徴とするグランドパッキン材料。
- 帯状膨張黒鉛の片面に脆性繊維材料よりなる補強材を設けた請求項1,請求項2または請求項3のいずれかに記載のグランドパッキン材料。
- 脆性繊維材料よりなる補強材の両面に帯状膨張黒鉛を設けた請求項1,請求項2,請求項3のいずれかに記載のグランドパッキン材料。
- 脆性繊維材料がガラスもしくはシリカまたはセラミックのいずれかよりなる請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5のいずれかに記載のグランドパッキン材料。
- 請求項1,2,3,4,5,6のいずれかに記載のグランドパッキン材料を複数本用いて編組していることを特徴とするグランドパッキン。
- 請求項1,2,3,4,5,6のいずれかに記載のグランドパッキン材料を複数本用いてひねり加工していることを特徴とするグランドパッキン。
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