JP2004100136A - 防寒足袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来にない防寒性に優れた足袋を提供すること、特に厳寒の冬の季節着用したとき防風性、蓄熱・保温によって暖か衣衣料として貢献できる防寒足袋を提供すること。
【解決手段】甲部と底部からなる足袋であり、前記甲部は、外側層生地と通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒、目付が20〜150g/m2 である不織布からなる中層生地と、内側層生地の少なくとも3層の生地が重ね合わされた構造からなり、該3層の各生地は、甲部中央部において一体化縫製されてなっていることを特徴とする防寒足袋。
【選択図】図1

Description

 本発明は、和装用品の足袋に関し、特に防風性や保温性に優れる構造を有する足袋に関するものである。特に、本発明にかかる足袋は、従来にない保温性、防風性に優れる足袋であり、厳寒期に着用しても寒さから身を守ることができ、快適に着用できるものである。
 従来から和装装束においては、足袋を着用することが礼儀とされ、通常は必ず着用が行われてきている。
 従来、一般的には綿紡績糸を使用した綿キャラコやブロード生地、あるいはポリエステルの絹様マルチフィラメント糸の織物等が、足袋を構成する生地に使用されている。
 具体的には、足袋は、足の甲を包む部分の生地と足底部の生地から構成されているが、甲の部分は、絹織物や綿織物が素材として使用されていて、特に、近年は、綿織物が使用されるのが主となってきており、また、絹に代わって絹様ポリエステル繊維織物が使用されるようになってきている。
 綿織物は、通常、キャラコと呼ばれる金巾が一般的に使用され、ポリエステル織物は羽二重が使用されることが多い。
 織物は、外側層生地と内側層生地が二重に重ねられて縫製されるのが一般的である。足底は、通常、杉綾組織の比較的厚さのあるしっかりした綿織物が使用される。杉綾組織織物の足袋内側になる綿にネルなど他の織物を貼り付けたものが使用される場合もある。
 通常、きものを着用するシーンとして、最近は、お茶会、舞踊、能生や歌舞伎の鑑賞や自らの参加、あるいは七・五・三、出産、受験合格、お正月等の祈願のための神社・お寺参りなど日本古来の伝統行事への参加、神社・寺院などの業務に携わるときのユニホームなど種々にわたって使用される。いずれの場合の使用においても、足袋そのものの形態は大きく変わるものでなく、白の足袋がメインで、外観的にすっきりした上品な気品のあることが基本となっている。着用は、年間を通じて同一の商品が一般的であり、シーズンの変化に対応した足袋はほとんどないのが現状である。
 このような状況下、冬場に、特に厳寒期に着用するときに暖かい足袋が欲しいとの要請があったが、長年、この要求に対して満足する商品が実現されてきていない。すなわち、従来は、冬季用足袋としても、せいぜい春から秋にかけて着用するものと同様の生地であって、多少は厚手の生地やあるいは織密度を込ませた生地等を使用したものがある程度であった。
 本発明者らの知見によれば、特に、冬季に着用する足袋として要求が多いのは、防風性があり、暖かく保温性に優れているということであり、特に、神社やお寺で働く人々や料理店で働く人にこのような要望が多い。
 こうした要望に応えるべく、底布の足押圧部位に体温に加熱されて波長が7〜14μmの遠赤外線を放射するセラミック粉末がバインダーで塗布されているという足袋が提案されているが(特許文献1)、消費者の要望では足底の寒さを防ぐだけでなく、足の甲部が暖かいことが重要であり、防寒対策として十分なものではなかったのが実状である。
 また、保温効果に加えて加温効果のある素材で足袋を作成することが提案されており(特許文献2)、具体的には、導電効率を高めるととともに遠赤外線域の電磁波を放射する銅イオンを含有させた高分子繊維で足袋の本体材料を構成すること等が提案されているが、祭礼の際などにごく普通に使用できるという感覚のものではない。
 また、足袋甲部の表地と裏地の縫合構造に着目した足袋が提案されており、該公報では、更に甲部の表地と裏地の間に保温性のある素材を介装するということも提案されているが(特許文献3)、通常の足袋と同様に、祭礼の際などにも普通に着用できるという具体的な提案までには至っていなかった。
実開平1−106505号公報 実用新案登録第3051690号公報 特開2000−282305号公報
 本発明は、こうした状況のもと、防風性や保温性に優れ、良好な防寒機能性を有する足袋を提供することを目的とする。
 特に、本発明でねらいとする防寒足袋は、和装装束としての足袋の形状概念を基本的に変えることなく、伝統的な形、外観を保有したまま消費者の要求する機能性を付与することを基本とするものである。
 また、足袋の形、外観は従来のものからあまり変化しないですっきりした上品さを保つこと、すなわち、暖かいものの、分厚くもこもこしていない、いわゆる古来のものと厚さもあまり変えずに、良好な保温性を有している足袋を提供することを目的とするものである。
 上述した目的を達成する本発明の防寒足袋は、次の(1)または(2)の構成からなるものである。
すなわち、
(1)甲部と底部からなる足袋であり、前記甲部は、外側層生地と通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒、目付が20〜150g/m2 である不織布からなる中層生地と、内側層生地の少なくとも3層の生地が重ね合わされた構造からなり、該3層の各生地は、甲部中央部において一体化縫製されてなっていることを特徴とする防寒足袋。
(2)足袋の甲部が、外側層生地、不織布からなる中層生地、および内側層生地の少なくとも3層重ね生地からなり、該3層重ね生地は通気性4.5cc/cm2 /秒以下、かつCLO値0.8以上であることを特徴とする防寒足袋。
また、かかる(1) または(2) 記載の防寒足袋において、好ましくは、更に以下の構成を有するものである。
(3)不織布からなる中層生地が、発熱、吸熱や蓄熱による保温性を有する素材からなるものであることを特徴とする上記(1) または(2) 記載の防寒足袋。
(4)外側層生地が、タテ糸およびヨコ糸のトータル・カバーファクター値が1,800以上であり、かつ綿繊維および/またはポリエステル系繊維からなる織物で構成されてなることを特徴とする上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の防寒足袋。
(5)内側層生地が、綿ネルから構成されてなるものであることを特徴とする上記(1) 〜(4) のいずれかに記載の防寒足袋。
(6)足袋の甲部および/または底部が、ポリエステル繊維を使用しかつ撥水加工処理が施された織物が用いられて構成されてなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の防寒足袋。
(7)足袋の底部が3層構造であり、かつ、断熱性素材を使用したことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の防寒足袋。
(8)底部3層構造に使用される断熱性素材が、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニリン・サルファイド樹脂等の発泡材であることを特徴とする上記(7)に記載の防寒足袋。
 以上述べた通りの本発明の防寒足袋によれば、寒い冬季に着用しても体温を外に逃がさないため保温性に優れ、防風性があり、外で着用しても暖かい防寒足袋が提供されるものである。
 本発明の防寒足袋は、従来の足袋の形状、外観を変えず、日本古来の伝統文化のきもの着用行事において冬の厳寒期でも着用し快適性が得られる。
 特に、従来のものより暖かいために、お正月やお茶会、お宮参り等の和装着用行事に好適に着用できるものである。
 以下に、本発明の防寒足袋の構成について説明する。
 本発明の防寒足袋は、その基本構造として、甲部を、外側層生地、不織布からなる中層生地、および内側層生地の少なくとも3層の生地が重ね合わされた生地として構成することにより、従来の和装装束としての足袋の伝統的な形状概念や外観を変えることなく、従来よりも、生地と生地の層を増やしてデッドエアー効果による保温性を高め得たものである。
 図1は、本発明の防寒足袋の甲部における3層生地構造の1例構造例を示した概念図であり、1は甲部外側層生地、2は甲部中層生地、3は甲部内側層生地である。甲部中層生地2は、通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒、好ましくは1.5〜4.0cc/cm2 /秒、目付が20〜150g/m2 、好ましくは50〜120g/m2 である不織布からなるものであり、通気性が1.0cc/cm2 /秒未満であるときには、通気性が悪く蒸れ感による不快感を及ぼすので好ましくなく、また通気性が5.0cc/cm2 /秒を越えるときには、甲外層生地に防風性の良い高密度織物を使用しても外気温が低く風が強いときの防寒性能が低下するので好ましくない。また、目付が20g/m2 未満のときには、通気性が大きく、縫製での取り扱い性が悪いので好ましくなく、また、150g/m2 を越えるときには、かさ高性が大きいので足袋の厚さが大きくなり、外観が良くないので好ましくない。
 図2は、本発明に係る足袋の外観を示した概略モデル図であり、少なくとも足袋の甲部が、外側層生地1、中層(図示せず)および内側層生地3の3層からなる構造に縫製されてなるものである。4は足袋の底部である。
 該3層の各生地1、2、3は、甲部中央部5の箇所において一体化縫製されてなっているものである。
 すなわち、先端親指と人差指の根本境界部から、甲部の中央部最上端部5′までの線部分で3枚の生地が縫製されて一体化されている。この縫合の仕方自体は、従来の足袋でも2枚生地重ねとして従来から行われてきているものである。
 本発明の防寒足袋は、上記のような3層生地を重ね合わせて特に甲部に使用したことにより、足袋全体として良好な保温性と防風性効果を実現している。すなわち、本発明者らの知見によれば、冬季の足袋着用時における冷たさは、足底部から感じる冷えと甲部から感じる冷えがあるが、特に甲部で感じる冷えは足袋そのものの構造に関わるウェイトの高いものであって、また、着用者が防寒性に関連して足袋の改良を直接的に望むのも該甲部なのである。
 本発明においては、上述のように、通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒、目付が20〜150g/m2 である不織布からなる生地を、甲部の中層生地2として使用したことにより、該3層重ね生地は、通気性4.5cc/cm2 /秒以下、かつCLO値0.8以上を示すものである。
 なお、該3層重ね生地の通気性は、0.5cc/cm2 /秒未満である場合は、蒸れ感を生じるので望ましくなく、4.5cc/cm2 /秒を越えるものである場合には、外気温が低く、風のある屋外で着用した際保温効果が低下しやすくなる点で好ましくない。また、CLO値0.8未満を示すものである場合は、従来の足袋に比較して保温、防寒性の効果が少ない点で好ましくない。
 このように、3層重ね生地の通気性が4.5cc/cm2 /秒以下、かつCLO値が0.8以上である保温性を有するようにするには、足袋の甲部の表地と裏地の間に通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒の不織布を挿入し、三者一体に縫製するすることにより達成することができる。
 本発明において、外側層の生地としては、従来からの外観を変えたくないとの要望に対し、暖かさの点から、素材としては空気含有率の高いウール織物を使用できるが、着用耐久性、繰り返し洗濯の耐久性の点やあるいは比較的分厚くなることから、綿キャラコ、ブロード、ポプリン等の綿織物や絹様ポリエステル繊維を使用した羽二重、塩瀬織物等、ポリエステル仮撚り加工糸を使用した綿織物のブロード、ポプリンタイプあるいは綿糸とポリエステル繊維との交織織物を使用するのが良い。
 不織布は、短繊維、長繊維のいずれを使用したものであってもよい。短繊維不織布は、特に使用素材に限定されるものではなく、乾式あるいは湿式などにより生産される不織布を用いることができる。長繊維不織布は、一般的に行われているメルトブローやフラッシュ紡糸の乾式や、再生繊維の湿式によるものいずれであっても構わない。
 また、不織布からなる中層生地は、断熱保温性のデッドエア素材を用いる方法あるいは積極保温性の吸湿発熱素材、太陽光吸収熱変換素材、触媒発熱素材あるいは相変換蓄熱変換素材等から選ばれる素材を用いることもできる。
 該防寒足袋に用いる素材としては、断熱保温型素材として、不織布にポリエステル系、ポリウレタン系等のフィルム、特に透湿・防水型のフィルムをラミネートしたものが透湿性が良く、かつ防風性を抑えることができるので好ましい。積極発熱型素材としては、例えば、ポリエチレングリコールなどの物質による繊維改質をおこなった吸湿発熱素材、あるいは炭化ジルコニウム等の可視光線・近赤外線・遠赤外線の吸収、反射による吸熱、発熱、蓄熱効果のある素材を使用することができる。
 また、防風性が良く熱が逃げにくくするためには、使用する織物のカバーファクターが重要である。2層構造の縫製による足袋の場合は、カバーファクターを大きくし、いわゆる高密度織物と言われる領域にすれば防風性効果があるが、デッドエアーが少ないので防寒効果は満足されるレベルのものが得られないのである。
 これに対して、足袋の構造を3層重ね合わせ生地を用いることによって使用する生地のカバーファクターは、従来から織物の目の詰まり具合いを示す指標として一般的に使用されているタテ・ヨコ密度の織物のトータル・カバーファクター値で言えば、好ましくは1,800以上のものであれば、一層優れた防風性、保温性を得ることができるものである。
 なお、上述のタテ・ヨコのトータル・カバーファクター値が1,800以上の織物を得るには、染色加工上がりの織物を構成する糸の繊度と織物の密度の関係、(TM×√TD)+(YM×√YD)において染色工程の挙動変化を計算に入れて、製織条件を決めることによって達成することができる。
 ただし、TM:タテ糸の繊度(dtex)
     TD:タテ糸の仕上げ生地の密度(本/2.54cm)
     YM:ヨコ糸の繊度(dtex)
     YD:ヨコ糸の仕上げ生地の密度(本/2.54cm)
 紡績糸の場合、番手をデシテックス換算して計算した数値を使用する。
 足袋の内側層に使用する生地としては、外側層に使用する生地と友布であっても構わないが、保温性の面から起毛された単繊維間のデッドエアーの多いネル(ファンネル)、ウールネルなども使用可能であるが、綿ネルが外側に使用する生地と同じ理由から好ましい。また、吸湿発熱繊維を使用した生地、さらには吸湿発熱加工した生地であってもよい。
 また、不織布に吸熱・蓄熱性を有する成分を含有する樹脂を塗布、コーティングあるいはフィルム等をラミネートやトリミングすることによって保温機能持たせる方法によるものが推奨される。また、樹脂剤を塗布、コーティングした不織布が透湿および/または防水性を有すること、あるいは透湿および/または防水性フィィルム等をラミネート、トリミングした不織布が透湿および/または防水性有することによってさらに防風性が優れるため防寒性が高まり、透湿性効果により蒸れ感がなく着用感が向上する。
 内層に使用する生地は、綿織物のネルが起毛による立毛の空気の層により防寒効果が高いので好適である。また、洗濯性、イージケア性からポリエステルが優れており、ポリエステル繊維と綿の交織織物を起毛した薄地のネルタイプやポリエステル長繊維を使用した経編みの環状起毛生地も使用できる。
 さらに、外側、内側の生地や中層に使用する素材は、いずれかに防汚加工、防臭・消臭加工、抗菌・制菌加工、吸水加工、制電加工したものであっても良い。
 防寒性効果は、外側に使用する生地に防風性能があるとさらに発揮できる。ただし、防風性能があるといっても、生地が厚くないことが必要な条件であり、綿織物の場合、高密度織物にすることにより防風性能を得ることは可能である。なお、あまりに高密度では生地が硬くなり、着用感に影響するので好ましくない。
 足袋の甲部および/または底部は、ポリエステル繊維が使用されてかつ撥水加工処理が施された織物で構成されていると、防寒効果はより高い。特に、絹様ポリエステルやポリエステル加工糸織物に、染色加工工程で防水・撥水加工を施した織物や、あるいは、裏面に熱カレンダーで処理をし目つぶし加工をしたもの、さらに撥水処理をしたものなどが、さらに防寒効果が高い。
 防風性効果としては、外側の生地に不織布に樹脂コーティングやフィルムをラミネートしたものを使う方法もあるが、生地が厚くなり硬いことや、生地コストが高いこともありあまり好ましくない。防風効果としては、3層生地をJIS L1096「一般織物試験方法」の通気性評価方法のA法(フラジール形法)で測定した値が4.5cc/cm2 秒以下であることが好ましい。
 また、上記した甲部に3層の生地が重ね合わされ、底部に綿の杉綾組織の織物に綿ネル織物を接着した素材を使用した本発明の構造を有する防寒足袋と市販の冬用綿足袋を12月〜月にかけて実着用による防寒効果についてテストしたところ、明らかに本発明品の方が暖かいという結果が得られたが、厳寒の外で長時間使用において、底部にさらに改良することにより防寒足袋として申し分がないとの知見が得られ、更なる改良品の検討を行った。該改良品について、以下に説明をする。
 すなわち、鋭意検討を重ねた結果、足袋の底部の構造を外側の織物を1層、肌側の織物を1層とし、それらの間に断熱素材を貼り合わせた、全体では少なくとも3層の構造にすることによって最も効果があることを見出した。
 当該3層構造の好ましい態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、外側の1層部に綿織物(杉綾組織)を使用し、肌側の1層側に綿織物(起毛ネル)を使用し、さらに、それらの間に貼り合わせる断熱素材として、例えば、不織布にフィルムをラミネートしたもの、羊毛フエルト、断熱性ポリフェニリン・サルファイドのポリマーを紡糸して得られた原綿の紡績糸あるいはフィラメント糸を使用した織物やニット地や、あるいは、ポリポリフェニリン・サルファイド樹脂あるいはポリフェニリン・サルファイド樹脂の発泡シート材などのうちの一種あるいは複数種を使用して、接着あるいは縫い合わせなどによる方法で貼り合わせたもの等を好適に使用することができる。
このような3層構造からなるより好ましい本発明の防寒足袋は、いずれも従来の底部構造の足袋に比較して防寒効果は優れており、特に、ポリオレフィン樹脂あるいはポリフェニリン・サルファイド樹脂の発泡剤を使用したものが極めて防寒効果において優れている。
 特に、該発泡樹脂フォームの厚さを適宜に選択して使用することによって底部の厚みをあまり厚くせずに、所望の良好な断熱保温効果を得ることができることは非常にメリットがあるものである。
 以下に、保温性効果の指標となるCLO値の測定法について説明する。
1.保温性測定法:
 (株)加藤鉄工所製の精密迅速熱物性測定装置「サーモラボII型」(KES F−7)を使用して、下記の(1)〜(6)の手順で測定をする。
(1)3枚の生地を重合わせた構造の生地片11cm×11cmの試験片を、3枚採取する。
(2)KES保温性試験機(F−7)に試験試料に応じて、下記A.B.の試料取付け方法に従って試験片を熱板(BT−Box)上に取付ける。
 A.薄地のときは、試料取付け方法は表面上に接触とする。ただし、実使用の状態によって測定地の接触、非接触および表裏を変更してもよい。
 B.中厚地のときは、試料取付け方法は表面上に接触とする。ただし、実使用の状態によって測定地の接触、非接触および表裏を変更してもよい。
(3)次に、下記A.B.の所定の熱板温度で所定時間のウォーミングアップを行ない安定状態にする。安定状態とは、試験機付属の電力計の変動が最小となる状態である。
 A.薄地のときは、熱版温度40℃、ウォーミングアップ時間5分とする。
 B.中厚地のときは、熱版温度40℃、ウォーミングアップ時間10分とする。
(4)安定状態を確認後、測定を開始し、前記A.B.の所定の時間測定する。測定時間中の消費電力(W)および試験機の外気温度(℃)を読取る(最小目盛で)。なお、測定時間中の消費電力(W)は、測定化の積分と平均化された値である。外気温度は、測定直後の外気温度を試験機付属のT−Boxで読み取るものである。
 A.薄地のときは、測定時間60秒とする。
 B.中厚地のときは、測定時間60秒とする。
(5)別に試験片を取り付けない状態で(3)、(4)項と同様な手順で消費電力(W0 を読み取る(最小目盛まで)。
(6)上記で求めた、試験片を取り付けないときの消費電力の値(W0 )、試験片を取り付けたときの消費電力(W)および外気温度から次式によって保温率(%)またはCLO値を求め、3枚の平均値で表わす。
 1CLO=1÷0.18(m2 ・hr・℃/kcal)÷4.186(m2 ・hr・℃/kJ)=1.33(m2 hr℃/kJ)
 なお、1.0kcal=4.186kJ
 なお、上記において、薄地とは目付150g/m2 以下のものを言い、中厚地とはそれよりも目付が大きいものを言う。
  保温率(%)={(W0 −W)/W0 }×100
   ここで、 W0 :試験片を取り付けないときの消費電力。
        W :試験片を取り付けたときの消費電力。
 CLO=1/0.155×(△T×A)/W
   ここで、 ΔT:熱板温度と外気温度の差(℃)
        W :試験片を取り付けたときの消費電力
        A :熱板の面積(0.01m2
 足袋の外側の生地として、タテ糸に異収縮混繊タイプのポリエステルマルチフィラメント糸84dtex、36フィラメントに追撚200T/mのZ撚を施し糊付けし、ヨコ糸としてPOY−DTY方式で仮撚加工した84dtex、36フィラメントを使用しウオータジェットで製織した平織物(パレス)を染色加工で晒、撥水・防汚加工したタテ密度、ヨコ密度がそれぞれ167本/2.5cm、92本/2.5cmからなる織物を使用した。織物のトータル・カバーファクターは、2,600であった。
 内側の生地は市販の綿ネルを使用した。
 中層の素材には、吸湿性樹脂に人体から出る赤外線を吸収し熱エネルギーを放出する赤外線吸収剤と空気中への熱の伝導を抑制することを目的とする中空カプセルの混合体を、ポリエステル短繊維(ステープル)の薄地タイプの不織布(通気性が0.3cc/cm2 /秒、目付が82g/m2 )にグラビア方式で貼り付けたものを使用した。
 上記の3層の各生地は、甲部中央部において一体化縫製して、さらに、足袋底には従来から使用している綿紡績糸を使用した杉綾組織と片パナマ組織による二重組織の厚地織物を使用して、足袋を完成させた。
 該甲部を形成する3層重ね生地は、通気性0.25cc/cm2 /秒、かつCLO値1.145であった。
 この足袋について、人工気象室において室温5℃の環境下で着用による実用テストを実施したところ、本実施例品は圧倒的に暖かいと実感できるという評価であり、防寒性に非常に優れたものであった。また、赤外線画像においても後述比較例1と優位な差が認められた。
 また、洗濯機による繰り返し洗濯を実施したが、10回洗濯後においても外観変化はなく、ウォッシュ・アンド・ウェア性を有するものであった。中層の素材の変化も見られなかった。
〔比較例1〕
 比較例として、足袋の構造として、外側の生地は実施例1の撥水・防汚加工の施されていない異収縮混繊タイプのポリエステルマルチフィラメント糸織物を使用し、内側の生地には実施例1と同様の市販の綿ネルを使用した。
 縫製手法を同様にして、甲部は二層構造のもので構成し、同一の足底を使用して足袋を縫製し完成させた。
 該足袋の防寒性として通気性、保温性の評価を実施したところ、該比較品は通気性が6.8cc/cm2 /秒、保温性CLO値が0.693であった。
 また、実施例1と同一着用者による人工気象室の同一条件での実用テストを実施したところ、明らかに実施例1品よりも防寒性能において劣るものであり、また、赤外線画像においても前述実施例1よりも、防寒性・保温性において完全に劣る結果であった。
〔比較例2〕
 実施例1の足袋外側生地と内側生地に中層の生地に目付180g/m2 、通気性10.2cc/cm2 /秒の市販ポリエステル長繊維不織布を使用し、3枚一体型縫製により足袋を作成した。該足袋の性能を測定した結果、通気性は6.3cc/cm2 /秒、かつCLO値0.695を示し、中層生地のない仕様の足袋とほぼ同様の性能であった。
〔比較例3〕
 市販されている足袋を購入した。外層および内層素材は綿キャラコを使用し、足底は綿の杉綾の二重織物を使用した縫製品であった。
 当該品の甲部の二重縫製部分の通気性、保温性を測定した結果、通気性が6.5cc/cm2 /秒、保温性CLO値が0.654であった。
 このものについても、上記実施例と同様に着用テストを実施したが、防寒性に劣るものであった。
 実施例1の防寒足袋の底部を3層構造品に変更して試作した。当該3層構造として杉綾組織の綿織物と綿ネル地の間に厚さ1.3mmのポリオレフィン樹脂発泡シート(商品名:東レ株式会社製「トーレペフ」(登録商標))を接着樹脂で貼り合わせて前述した(7)、(8)の防寒足袋を作成した。
 かかる3層構造底部の性能を測定した結果、通気性が0cc/cm2 /秒、保温性CLO値が1.45を示すものであった。また、当該足袋および実施例1、比較例1の足袋を厳寒の2月に実着用による体感テストを実施の結果、着用者5名のいずれもが、暖かい順位は、該本発明品(実施例2品)>実施例1品>比較例1品という評価順位であり、実施例2品の断熱効果による保温性が最も優れているという結果であり、実施例2品が最も優れていることを確認できた。
図1は、本発明の防寒足袋の構造の1例を示した概念図である。 図2は、足袋の外観を示した概略モデル図を示したものである。
符号の説明
1:甲部外側層
2:甲部中層
3:甲部内側層
4:底部
5:甲部中央部
5′:甲部中央部最上端部

Claims (8)

  1.  甲部と底部からなる足袋であり、前記甲部は、外側層生地と通気性が1.0〜5.0cc/cm2 /秒、目付が20〜150g/m2 である不織布からなる中層生地と、内側層生地の少なくとも3層の生地が重ね合わされた構造からなり、該3層の各生地は、甲部中央部において一体化縫製されてなっていることを特徴とする防寒足袋。
  2.  足袋の甲部が、外側層生地、不織布からなる中層生地、および内側層生地の少なくとも3層重ね生地からなり、該3層重ね生地は通気性4.5cc/cm2 /秒以下、かつCLO値0.8以上であることを特徴とする防寒足袋。
  3.  不織布からなる中層生地が、発熱、吸熱や蓄熱による保温性を有する素材からなるものであることを特徴とする請求項1または2記載の防寒足袋。
  4.  外側層生地が、タテ糸およびヨコ糸のトータル・カバーファクター値が1,800以上であり、かつ綿繊維および/またはポリエステル系繊維からなる織物で構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防寒足袋。
  5.  内側層生地が、綿ネルから構成されてなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防寒足袋。
  6.  足袋の甲部および/または底部が、ポリエステル繊維を使用しかつ撥水加工処理が施された織物が用いられて構成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防寒足袋。
  7.  足袋の底部が3層構造であり、かつ、断熱性素材を使用したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防寒足袋。
  8.  底部3層構造に使用される断熱性素材が、ポリオレフィン樹脂、あるいはポリフェニリン・サルファイド樹脂等の発泡材であることを特徴とする請求項7に記載の防寒足袋。
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