JP2004099440A - 光増幅用光ファイバ母材およびその製造方法 - Google Patents

光増幅用光ファイバ母材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 センターコアのアルミニウム濃度が5重量%以上であっても、センターコアとサイドコアの界面での結晶化の問題もなく、さらに、サイドコアの内周部界面付近の屈折率の落ち込みもない、光増幅用光ファイバ母材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の製造方法は、ゲルマニウムと希土類元素およびアルミニウムをドープした合成石英よりなり、アルミニウムのドープ量が5〜10重量%であるセンターコアを、ゲルマニウムをドープした合成石英よりなるサイドコア用石英管中に挿入し、約2000℃、特には2000℃以上に加熱してジャケッティングした後急冷することを特徴としている。
【選択図】  なし

Description

 本発明は、光増幅用光ファイバ母材およびその製造方法に関するものである。
 光増幅器が実用化され、幹線系や加入者系の実験にも使用されている。この光増幅器に求められる特性としては、高速伝送性、高効率性や低雑音性があげられる。高速伝送性のためには波長多重伝送が必要で、波長多重伝送系で使用される光増幅器としては、広帯域な増幅波長特性が求められ、光増幅器用の希土類元素添加の光ファイバも広帯域性が必要となる。また広帯域性とするためには、希土類元素添加したコアに更にアルミニウムを高濃度に添加することが必要である。
 一方、高出力で効率の良い光増幅器が求められており、光増幅器用光ファイバとしても同様の特性が必要となる。そのためには、コアの内周部のみに希土類元素を添加した二重コア光ファイバがよいとされている。
 従って高速伝送性と高効率性の両方の特性を兼ね備えた光増幅器用光ファイバとしては、アルミニウムを高濃度にドープし、コアの内周部のみに希土類元素を添加した二重コア光ファイバが必要とされる。
 この様な二重コア光ファイバ用の光増幅用光ファイバ母材としては、合成石英にゲルマニウム、エルビウムと3重量%程度のアルミニウムをドープしたセンターコアと合成石英にゲルマニウムをドープしたサイドコアよりなる二重コアが知られている。
 この光増幅用光ファイバ母材の製造には、2つの方法がある。第1の方法は合成石英にゲルマニウム、エルビウムとアルミニウムをドープしたセンターコアをターゲットとしてOVD法でゲルマニウムをドープしたシリカスートを堆積させたのち焼結して二重コアとするスート焼結法で、第2の方法はクラッドとなる石英管の内面にサイドコアとなるゲルマニウムをドープしたシリカスートを堆積させ、これを加熱してガラス化したのち、更にセンターコアとなるゲルマニウムと希土類元素およびアルミニウムをドープしたシリカスートを堆積し、加熱しガラス化して三層管とし、これをコラプスするMCVD法である。
 しかし、第1のスート焼結法の場合は、センターコアのアルミニウム濃度が3重量%程度になると、センターコアとサイドコアの界面でアルミニウムの結晶化が起こり、アルミニウムを高濃度にドープできないという不利がある。またターゲットへの初期堆積の際、ゲルマニウムを高濃度にすると界面でゲルマニウムが結晶化したり、界面が発泡する等の問題が起こる。これを避けるためサイドコア内周部界面付近のゲルマニウム濃度を低下させると、この部分で屈折率の落ち込みが見られ、光増幅用光ファイバ本来の特性が低下する問題が発生する。
 また第2のMCVD法の場合は、アルミニウムが高濃度でも界面でアルミニウムの結晶化は起きないけれども、コラプスするときセンターコアのドーパントが抜けてしまうために、図2に示す様に中心部に比屈折率差の落ち込みが発生して、十分な増幅性が得られない。したがってこれらの問題の解決が求められている。
 本発明は、このような不利、問題点を解決した光増幅用光ファイバ母材およびその製造方法に関するもので、この製造方法は、ゲルマニウムと希土類元素およびアルミニウムをドープした合成石英よりなり、アルミニウムのドープ量が5〜10重量%であるセンターコアを、ゲルマニウムをドープした合成石英よりなるサイドコア用石英管中に挿入し、2000℃、特には2000℃以上に加熱してジャケッティングした後急冷することを特徴としている。
 また、本発明の光増幅用光ファイバ母材は、上記製造方法によって製造された光増幅用光ファイバ母材であって、ゲルマニウムと希土類元素および5〜10重量%のアルミニウムをドープした合成石英よりなるセンターコアと、ゲルマニウムをドープした合成石英よりなるサイドコアからなることを特徴としている。なお、サイドコア内周部界面付近の屈折率は、それより外周のサイドコアの屈折率と同じにするとよい。
 本発明によれば、センターコアのアルミニウム濃度が5重量%以上であっても、センターコアとサイドコアの界面での結晶化の問題もなく、さらに、サイドコアの内周部界面付近の屈折率の落ち込みもない、光増幅用光ファイバ母材を容易に製造することができる。
 発明者らは、従来のスート焼結法において発生したアルミニウムやゲルマニウムの結晶化の問題を解決するためには、焼結の際、従来の焼結炉の温度である1600℃よりも高温に加熱し、しかも冷却速度が速い方が効果的であると考え、またサイドコア内周部界面付近の屈折率の低下については、スート焼結法では避けられない問題であるので、この二つの問題を解決する方法として、屈折率分布のほぼ平坦なサイドコア管にセンターコアを挿入して加熱し、ジャケッティングすることにより、サイドコア内周部界面付近の屈折率の低下もなく、またアルミニウムを高濃度にドープしても、ジャケッティング法で2000℃以上に加熱し、その後急冷すれば、界面での結晶化が抑制できることを見いだした。
 センターコアロッドは、公知の方法で製造され、例えばVAD法によりゲルマニウムとアルミニウムを所定量ドープしたシリカよりなる多孔質ガラス母材を作製し、これを加熱して高密度化した後、エルビウムなどの希土類元素化合物の溶液に浸漬して希土類元素をドープした後乾燥し、次いで高温で脱水、焼結することにより得られる。
 アルミニウムのドープ量は、5%未満だと増幅波長の広帯域性に問題があり、10%を超えると結晶化の問題があるので5〜10%がよい。
 サイドコア用石英管は、公知の方法で製造され、例えば、OVD法によりターゲットの耐熱性中心棒のまわりにゲルマニウムをドープしたシリカよりなる多孔質ガラス層を形成した後、中心棒を抜きとり、高温で脱水、焼結することにより得られる。
 ジャケッティング法は、焼結炉で上記センターコアを上記サイドコアに挿入し、これを回転させながら酸水素炎バーナーで 2000 ℃以上に加熱し、バーナーを左右に移動させながら一体化し、ジャケッティング終了後は直ちに室温まで放冷する。
 スート焼結法では、焼結炉での処理温度が約 1,500℃であり、処理後、処理温度と室温との間の温度で一定時間保持された後に室温まで放冷される。しかし、本発明のジャケッティング法では、スート焼結法よりも速い冷却速度が得られるので、センターコアにアルミニウムが高濃度にドープされた場合においてもスート焼結法で問題となったセンターコアとサイドコアの界面でのアルミニウムの結晶化がなくなる。したがって、アルミニウムを従来法に比べて高濃度の5重量%以上にドープしたセンターコアを使用してもセンターコアとサイドコアの界面でアルミニウムの結晶化が起きない。
 つぎに本発明の実施例をあげる。
実施例
 VAD法により合成石英にゲルマニウムをドープした多孔質母材を製造し、次いで、これに溶液含浸法でエルビウム800ppmとアルミニウムを5重量%をドープした後焼結して、比屈折率差△n1=+ 1.3%、外径10mm、長さ 200mmのセンターコアを作製した。別にOVD法により合成石英にゲルマニウムをドープした多孔質母材を製造し、焼結して、比屈折率差△n2=+ 1.3%、内径12mm、外径20mm、長さ 300mmのサイドコア用石英管を作製した。
 ついで焼結炉でセンターコアをサイドコア用石英管内に挿入し、回転させながら酸水素炎バーナーで 2,000℃で1時間加熱してバーナーを左右に移動させながらジャケッティングしたのち、焼結炉より取り出し、1時間常温まで放冷して、センターコアとサイドコアの二重コアよりなる光増幅用光ファイバ母材を得た。
 この光増幅用光ファイバ母材は、センターコアにアルミニウムを5重量%添加したにもかかわらず、センターコアとサイドコアの界面にアルミニウム結晶の析出がなく、次いでこれをフッ素をドープした比屈折率差△n3=− 0.7%の外径40mm、内径22mm、長さ 400mmの合成石英管を用いてジャケッティングして常法により外径38mm、長さ 400mmの光ファイバプリフォームとした。このプリフォームのセンターコアとサイドコアよりなる二重コアの比屈折率差分布は、図1に示すようにフラットであった。ついでこれを線引きして125μmφの光ファイバとし、このファイバについて光増幅用光ファイバとして評価したところ、十分な増幅効果が得られ、また広帯域の波長特性がフラットなものであった。
本発明による光増幅用光ファイバプリフォームの径方向の比屈折率差分布を示した図である。 従来法による光増幅用光ファイバプリフォームの径方向の比屈折率差分布を示した図である。

Claims (3)

  1. ゲルマニウムと希土類元素およびアルミニウムをドープした合成石英よりなり、アルミニウムのドープ量が5〜10重量%であるセンターコアを、ゲルマニウムをドープした合成石英よりなるサイドコア用石英管中に挿入し、2000℃以上に加熱してジャケッティングした後急冷することを特徴とする光増幅用光ファイバ母材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造された光増幅用光ファイバ母材であって、ゲルマニウムと希土類元素および5〜10重量%のアルミニウムをドープした合成石英よりなるセンターコアと、ゲルマニウムをドープした合成石英よりなるサイドコアとからなることを特徴とする光増幅用光ファイバ母材。
  3. サイドコア内周部界面付近の屈折率がそれより外周のサイドコアの屈折率と同じである請求項2に記載の光増幅用光ファイバ母材。
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