JP2004099334A - 合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】合わせガラスの製造時にオートクレーブを必要とすることがなく、例えば真空バッグによる真空プレス法のみで合わせガラスの製造を行うことが可能であり、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と合わせガラス用中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、および、この合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が製膜されてなるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在し、かつ、上記ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上である合わせガラス用中間膜、ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂である上記中間膜、ポリビニルアセタール系樹脂層が最表層に存在する上記中間膜、および、少なくとも一対のガラス板の間に上記合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる合わせガラス。
【選択図】 なし
【解決手段】可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が製膜されてなるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在し、かつ、上記ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上である合わせガラス用中間膜、ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂である上記中間膜、ポリビニルアセタール系樹脂層が最表層に存在する上記中間膜、および、少なくとも一対のガラス板の間に上記合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる合わせガラス。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせガラス用中間膜およびこの合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板の間に、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のような透明で柔軟性に富む熱可塑性樹脂を製膜してなる合わせガラス用中間膜を介在させ、接着により一体化させて得られる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れているため、例えば、自動車、車輌、建築物等の窓ガラス用として広く用いられている。
【0003】
上記合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜には、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と合わせガラス用中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうることが要求され、熱可塑性樹脂のなかでも、これらの諸性能のバランスに優れるポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられ、ポリビニルアセタール系樹脂のなかでも、これらの諸性能のバランスにより優れるポリビニルブチラール樹脂が特に好適に用いられている。
【0004】
このような合わせガラスは、通常、少なくとも一対(2枚)のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み、この合わせガラス構成体(合わせガラス積層体)を例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れて減圧吸引する方式(真空バッグ方式)や、図1に示すように、この合わせガラス構成体の周囲にスペーサーを入れて圧力が均一にかかるようにした状態でゴムバッグの中に入れて合わせガラス構成体の端部から減圧吸引する方式(スペーサー方式)等の真空脱気法、または、この合わせガラス構成体を例えばニップロール(押圧ロール)に通して扱く扱き脱気法により、ガラス板と合わせガラス用中間膜との間に残留する空気を脱気しながら予備接着し、次いで、オートクレーブ内で加熱加圧して本接着を行うことにより製造される。
【0005】
ところが、上記予備接着工程において合わせガラス用中間膜とガラス板との間に空気が残留し気泡が発生すると、得られる合わせガラスの透明性が損なわれるという問題点が発生するため、予備接着工程における空気の残留や気泡の発生を抑制するために種々の検討がなされている。
【0006】
例えば、特公平1−32776号公報では、合わせガラス製造時の予備接着工程において合わせガラスの中央部近傍に存在する空気をも脱気させるために、表面に微細な凹凸からなる多数のエンボスが形成されている熱可塑性樹脂製中間膜が開示されている。
【0007】
しかし、上記公報に開示されている熱可塑性樹脂製中間膜には、従来の例えばポリビニルブチラール樹脂からなる合わせガラス用中間膜と同様に、本接着をオートクレーブ内で行う必要があるため、オートクレーブを設置するために多額の設備投資費用を要するという問題点や、オートクレーブによる本接着はバッチ工程になるため、合わせガラスの生産性(生産効率)が悪くなるという問題点がある。
【0008】
一方、上記オートクレーブ使用に伴う問題点を解消するために、オートクレーブを使用しない合わせガラスの製造方法(非オートクレーブ法)が検討されている。
【0009】
一般に非オートクレーブ法とは、少なくとも一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み、この合わせガラス構成体を、前記真空バッグ方式やスペーサー方式により、真空バッグ(ゴムバッグ)の中に入れ、この真空バッグ(ゴムバッグ)を排気系に接続して、真空バッグ(ゴムバッグ)内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように吸引減圧しながら温度を上げ、温度100℃程度で脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより合わせガラスを得る方法、いわゆる真空プレス法である。
【0010】
非オートクレーブ法による合わせガラス用中間膜として、例えば、特開平8−104551号公報では、特定の含水量を有するポリビニルブチラール樹脂製中間膜を用いて、上記非オートクレーブ法における真空プレス時の真空プレス条件と湿度とを細かく設定した安全ガラスラミネートを形成する非オートクレーブ法が開示されている。
【0011】しかし、上記公報に開示されている非オートクレーブ法には、予備接着工程が煩雑であったり、合わせ加工の際に調湿条件を非常に厳密に管理しないと発泡が起こるという問題点がある。また、予備接着工程で発生したガラス周辺部の歪みが残存することにより、得られる合わせガラスに光学歪みが発生したり、ポリビニルブチラール樹脂製中間膜の流動温度におけるプレス圧の不足による気泡やエンボス模様の痕跡の残存や、昇温と同時に真空レベルを下げているため、気泡が消滅せず残留してしまうという問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、合わせガラスの製造時にオートクレーブを必要とすることがなく、例えば真空バッグによる真空プレス法のみで合わせガラスの製造を行うことが可能であり、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と合わせガラス用中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、および、この合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
一般に真空プレス法(非オートクレーブ法)においては、温度上昇途中の低温領域(45℃以下程度)で合わせガラス用中間膜が柔らかすぎると、ガラス板と合わせガラス用中間膜とからなる合わせガラス構成体の周辺部に位置する合わせガラス用中間膜のエンボスが潰れて周辺部が先に接着する現象、いわゆるシール先行現象が発生して、上記合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気の脱気ができなくなり、逆に高温領域(100℃程度)で合わせガラス用中間膜が硬すぎると、合わせガラス用中間膜のエンボスが潰れにくくなり、エンボス模様の痕跡が残存して、優れた外観を有する合わせガラスを得ることが困難となる。
【0014】
したがって、真空プレス法に適用される合わせガラス用中間膜には、温度上昇途中の低温領域では適度な硬さを有していて、シール先行現象を発生せず、上記合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気をも容易に脱気することが可能であり、逆に高温領域では速やかに柔らかくなって、エンボスが容易に潰れ、エンボス模様の痕跡が残存することがなく、優れた外観を有する合わせガラスを得ることが可能であることが要求される。これは換言すれば、真空プレス法に適用される合わせガラス用中間膜には、優れた感温性が要求されるということである。
【0015】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、合わせガラス用中間膜に用いられるポリビニルアセタール系樹脂中の水酸基の連鎖長と合わせガラス用中間膜の感温性ひいては脱気性や得られる合わせガラスの外観とに密接な相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明(本発明)による合わせガラス用中間膜は、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が製膜されてなるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在し、かつ、上記ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明による合わせガラス用中間膜は、上記請求項1に記載の合わせガラス用中間膜において、ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明による合わせガラス用中間膜は、上記請求項1または請求項2に記載の合わせガラス用中間膜において、ポリビニルアセタール系樹脂層が最表層に存在することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明(本発明)による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス板の間に上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と略記する)を構成するポリビニルアセタール系樹脂層を形成するために用いられる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂とは、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のことである。
【0021】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す)を温水もしくは熱水に溶解し、得られたPVA水溶液を所定の温度(例えば0〜95℃)に保持した状態で、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、攪拌しながらアセタール化反応を進行させ、次いで、反応温度を上げて熟成することにより反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥の諸工程を経て、粉末状のポリビニルアセタール系樹脂を得る方法が挙げられる。
【0022】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜3000のものが好ましく、より好ましくは500〜2000のものである。
【0023】
PVAの平均重合度が200未満であると、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなるポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の強度が弱くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがあり、逆にPVAの平均重合度が3000を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなるポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の製膜(成形)が困難となることがあり、さらに上記ポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の強度が強くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがある。これらのPVAは、単独で用いられても良いし、平均重合度が異なるものが2種類以上併用されても良い。
【0024】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造に用いられるアルデヒドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0025】
こうして得られる各種ポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良いが、なかでも、PVAとホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」と記す)等が好適に用いられ、とりわけ、PVBが特に好適に用いられる。ポリビニルアセタール系樹脂としてPVBを用いることにより、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(ポリビニルブチラール樹脂層)ひいては中間膜の透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板に対する適正な接着力等がより優れたものとなる。
【0026】
本発明の中間膜においては、ポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)の形成に用いられる上記ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であることが必要である。なお、上記水酸基とは、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の原料として用いられるPVA由来の水酸基のことである。
【0027】
本発明で言う「ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合」とは、以下の方法で測定される割合を意味する。〔ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合の測定方法〕
先ず、ポリビニルアセタール系樹脂を60℃で24時間以上真空乾燥した後、デシケーター中に保存する。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)を25g瓶中に秤取し、約0.5gのモレキュラーシーブを添加して保存する。次に、乾燥した内径5mmのサンプル管中に上記乾燥ポリビニルアセタール系樹脂約20gを秤取し、乾燥窒素でサンプル管内の空気を置換した後、上記DMSO1mlをPTFEミクロフィルターを通してサンプル管中に注入し、乾燥窒素を暫く吹き込み、素早く密栓する。この際、DMSOの瓶は乾燥窒素でバブリングしておく。次に、上記サンプル管を常温で一晩放置した後、60〜70℃のウォーターバス中で加温し、時々振蕩しながら1.5時間放置し、ポリビニルアセタール系樹脂のDMSO溶液を調製する。次いで、H−NMR(270MHz)を用いて、温度28℃、積算回数128回の測定条件で、上記ポリビニルアセタール系樹脂のDMSO溶液のH−NMR吸収スペクトルを測定し、この吸収スペクトルから連鎖長が2以下の水酸基量および連鎖長が2を超える水酸基量を読み取り、連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合を求める。
【0028】
ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合を全水酸基に対して90モル%以上とすることにより、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の感温性が著しく向上するので、真空プレス法(非オートクレーブ法)による合わせガラス製造時の低温領域においてシール先行現象を発生することがなく、したがって優れた脱気性を発現する中間膜を得ることができる。また、この中間膜を用いることにより、真空プレス法による合わせガラス製造時の高温領域においてエンボス模様の痕跡が残存することがなく、したがって優れた外観を有する合わせガラスを得ることができる。
【0029】
ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の感温性が不十分となるので、真空プレス法による合わせガラス製造時の低温領域において中間膜がシール先行現象を起こして脱気性が不十分となり、また、真空プレス法による合わせガラス製造時の高温領域においてもエンボス模様の痕跡が残存して合わせガラスの外観が損なわれる。
【0030】
上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、特に限定されるものではないが、アセタール化度(好ましくはブチラール化度)が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは60〜75モル%のものである。ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)のアセタール化度(好ましくはブチラール化度)が40モル%未満であると、後述する可塑剤との相溶性が不十分となることがあり、逆にアセタール化度(好ましくはブチラール化度)が85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)を合成するのは反応機構上困難となることがある。
【0031】
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、特に限定されるものではないが、残存アセチル基量が1モル%前後であるものが好ましい。
【0032】
ポリビニルアセタール系樹脂がPVBである場合、上記アセタール化度(ブチラール化度)および残存アセチル基量は、JIS K−6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定することができる。
【0033】
また、ポリビニルアセタール系樹脂がPVB以外のポリビニルアセタール系樹脂である場合、そのアセタール化度は、JIS K−6729「ポリビニルホルマール試験方法」に準拠して、残存アセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、100から上記両成分量を差し引くことにより算出することができる。
【0034】
上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)を可塑化するために用いられる可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0035】
一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸などの一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
【0036】
多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの多塩基性有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
【0037】
リン酸系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0038】
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート(以下、「3GH」と記す)、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(以下、「3GO」と記す)、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート(以下、「3G7」と記す)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好適に用いられ、なかでも、3GH、3GO、3G7等が特に好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)に対する可塑剤の添加量は、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の平均重合度、アセタール化度(好ましくはブチラール化度)および残存アセチル基量等によっても異なり、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対し、可塑剤10〜50重量部であることが好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対する可塑剤の添加量が10重量部未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の可塑化が不十分となって、製膜(成形)が困難となることがあり、逆にポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対する可塑剤の添加量が50重量部を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の低温領域における硬さが不十分となって、合わせガラス作製時にシール先行現象が発生することがある。
【0040】
本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくは可塑化PVB)から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)のみからなる単層構成の中間膜であっても良いし、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)が少なくとも1層存在する2層以上の複層構成の中間膜であっても良いが、中間膜が複層構成の中間膜である場合、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は最表層に存在することが好ましい。
【0041】
中間膜が2層構成の中間膜である場合、一方の層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)および他方の層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は、ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、同一のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良いし、異なるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良い。
【0042】
中間膜が3層以上の複層構成の中間膜である場合、一方の最表層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)および他方の最表層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は、ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、同一のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良いし、異なるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良い。
【0043】
また、中間膜が3層以上の複層構成の中間膜である場合、両最表層以外の層(内層)を形成する材質としては、得られる中間膜ひいては合わせガラスの透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性等を阻害しないものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基の連鎖長や連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が特定されない通常のポリビニルアセタール系樹脂層、ポリビニルアセタール系樹脂層以外の熱可塑性樹脂層、透明なプラスチックフィルムもしくはシート、透明な織布、透明な不織布等が挙げられ、これらの1種類もしくは2種類以上が用いられても良い。
【0044】
本発明の中間膜には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0045】
本発明の中間膜の膜厚(総厚み)は、合わせガラスとして必要な耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性等を考慮して適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、従来の中間膜と同様に、一般的には0.2〜2mm程度であることが好ましい。
【0046】
本発明の中間膜は、その両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスが形成されていることが好ましい。中間膜の両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成することにより、合わせガラス作製時に少なくとも一対のガラス板と中間膜とからなる合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気まで十分に脱気されやすくなるので、得られる合わせガラスは気泡の発生による不良を来すことのない高品質のものとなる。
【0047】
中間膜の両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、異形押出法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、なかでも、定量的に一定の微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法を採ることが好ましい。
【0048】
エンボスの模様(凹凸模様)は、特に限定されるものではなく、例えば、刻線状、格子状、放射状、半球状等のいずれの模様であっても良い。
【0049】
また、エンボスの配置(分布)も、特に限定されるものではなく、整然と規則的に配置(分布)していても良いし、雑然と不規則的に配置(分布)していても良いが、一般的には、エンボス(凹凸)が規則的に配置(分布)している方が好ましい。
【0050】
エンボス凸部の高さは、同一の高さであっても良いし、異なる高さであっても良く、これらの凸部に対応するエンボス凹部の深さも、同一の深さであっても良いし、異なる深さであっても良い。
【0051】
また、エンボス凸部の形状とエンボス凹部の形状も、特に限定されるものではなく、三角錐、四角錐、円錐等の錐体、截頭三角錐、截頭四角錐、截頭円錐等の截頭錐体や、頭部が山型や半球状となった擬錐体等からなる多数の凸部と、これ等の凸部に対応する多数の凹部とから構成されるエンボス形状(凹凸形状)であっても良い。
【0052】
エンボス凸部とエンボス凹部の寸法は、特に限定されるものではないが、一般的には、凸部の配置間隔(ピッチ)は10〜2000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜1000μmの範囲である。また、凸部の高さは概ね5〜500μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲である。さらに、凸部の底辺の長さは概ね30〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0053】
本発明の中間膜は、通常の合わせガラス用としてのみならず、例えば、遮音性合わせガラスや遮熱性合わせガラスなどのような特殊機能を有する合わせガラス用としても適用することができる。
【0054】
次に、本発明の合わせガラスは、少なくとも一対(2枚)のガラス板の間に上述した本発明の中間膜を介在させ、一体化させることにより製造される。
【0055】
上記ガラス板の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板であっても良いし、ポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板などの各種有機ガラス板であっても良い。これらのガラス板は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記ガラス板の厚みは、合わせガラスの用途や目的に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されるものではない。
【0056】
本発明の合わせガラスの構成は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板/中間膜/ガラス板からなる通常の三層構成であっても良いし、ガラス板/中間膜/ガラス板/中間膜/ガラス板からなるような多層構成であっても良い。
【0057】
本発明の合わせガラスの製造方法は、従来行われている真空脱気法または扱き脱気法による脱気および予備接着工程、および、オートクレーブによる本接着工程からなる通常の合わせガラスの製造方法の場合と異なり、オートクレーブを必要とすることがなく、例えば真空バッグによる真空プレス法のみで脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、所望の合わせガラスを製造することができる。
【0058】
真空プレス法のみで合わせガラスを製造する具体的手順としては、特に限定されるものではないが、例えば、2枚の透明な無機ガラス板の間に本発明の中間膜を挟み、この合わせガラス構成体を、前記真空バッグ方式やスペーサー方式により、真空バッグ(ゴムバッグ)の中に入れ、この真空バッグ(ゴムバッグ)を排気系に接続して、真空バッグ(ゴムバッグ)内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように吸引減圧しながら温度を上げ、温度100℃程度で脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、本発明の合わせガラスを得ることができる。
【0059】
すなわち、本発明の合わせガラスの製造方法は、多額の設備投資費用を要するオートクレーブが不要であり、かつ、製造工程も一段法の簡便なものであって、生産性に優れるものである。
【0060】
【作用】
本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在するので、優れた感温性を発現する。したがって、合わせガラス製造時にオートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみで、シール先行現象を発生せず、合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気をも容易に脱気することが可能であり、かつ、エンボス模様の痕跡の残存がなく、優れた外観を有する合わせガラスを得ることができる。
【0061】
また、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂としてPVBを用いることにより、本発明の中間膜の上記性能はより優れたものとなる。
【0062】
さらに、本発明の中間膜は、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)からなるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)を最表層に存在させることにより、オートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみにより、優れた生産性で容易に合わせガラスを得ることができる。
【0063】
本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて作製されるので、製造が容易であって生産性に優れ、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現する。
【0064】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0065】
(実施例1)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が100モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が74.6モル%であるPVB(a)100部に対して3GO(可塑剤)30部を添加したPVB組成物を製膜してPVB層を作製した後、このPVB層の両面にエンボス加工を施して、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0066】
(実施例2)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.1モル%であるPVB(b)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0067】
(比較例1)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が85モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.1モル%であるPVB(c)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0068】
(比較例2)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が75モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.0モル%であるPVB(d)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0069】
実施例1および実施例2、ならびに、比較例1および比較例2で得られた中間膜の性能(▲1▼感温性、▲2▼合わせ加工適性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0070】
▲1▼感温性
25℃−25%RHの雰囲気下に3時間放置して調温調湿した所定の断面積を有する中間膜を、その下端に所定の荷重を吊り下げた状態で、各測定温度下に30分間垂直に放置した後、中間膜の伸びを測定し、下式によりクリープ弾性率(Pa/%)を算出する。
クリープ弾性率(Pa/%)=荷重(g)/断面積(cm2 )/伸び(%)
次いで、下式により勾配(C)を求め、感温性の評価尺度とする。上記勾配(C)の絶対値が大きいほど感温性が優れていることになる。
LOG(A)=LOG(B)+t×C
ここで、A:各測定温度におけるクリープ弾性率(Pa/%)
B:定数
C:勾配
t:各測定温度
【0071】
▲2▼合わせ加工適性
20〜25℃−25〜30%RHの雰囲気下に2時間放置して調温調湿した中間膜を2枚の透明な無機ガラス板の間に挟み、図1に示すようなスペーサー方式により、この合わせガラス構成体をゴムバッグの中に入れ、ゴムバッグ内の圧力が−53.2kPa(絶対圧力47.8kPa)となるように合わせガラス構成体の端部から吸引減圧しながら温度を100℃まで昇温し、温度100℃で20分間保持して、脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、合わせガラスを作製した。各中間膜についてそれぞれ10枚の合わせガラスを作製し、得られた合わせガラスの外観を目視で観察して、各10枚の合わせガラス中におけるシール先行現象の有無またはエンボス刻線の痕跡の残存の有無を確認することにより、合わせ加工適性を評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から明らかなように、本発明による実施例1および実施例2の中間膜は、いずれも優れた感温性を有しており、オートクレーブを使用することなく、真空プレス法のみで優れた合わせ加工適性を発現した。
【0074】
これに対し、PVB中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%未満であったPVB(c)を用いた比較例1の中間膜、および、同じくPVB中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%未満であったPVB(d)を用いた比較例2の中間膜は、いずれも感温性が劣っており、真空プレス法のみで作製した合わせガラスにエンボス刻線の痕跡が残存しており、真空プレス法のみでの合わせ加工適性が悪かった。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在するので、優れた感温性を発現する。したがって、合わせガラス製造時に多額の設備投資費用を要するオートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみで合わせガラスの製造を行うことが可能であり、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうる合わせガラスを得ることができる。
【0076】
また、本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて真空プレス法のみで作製されるので、製造が容易であって生産性に優れ、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を兼備する高品質のものであり、自動車、車輌、建築物等の窓ガラス用として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スペーサー方式による真空プレス法を示す断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせガラス用中間膜およびこの合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板の間に、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のような透明で柔軟性に富む熱可塑性樹脂を製膜してなる合わせガラス用中間膜を介在させ、接着により一体化させて得られる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れているため、例えば、自動車、車輌、建築物等の窓ガラス用として広く用いられている。
【0003】
上記合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜には、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と合わせガラス用中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうることが要求され、熱可塑性樹脂のなかでも、これらの諸性能のバランスに優れるポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられ、ポリビニルアセタール系樹脂のなかでも、これらの諸性能のバランスにより優れるポリビニルブチラール樹脂が特に好適に用いられている。
【0004】
このような合わせガラスは、通常、少なくとも一対(2枚)のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み、この合わせガラス構成体(合わせガラス積層体)を例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れて減圧吸引する方式(真空バッグ方式)や、図1に示すように、この合わせガラス構成体の周囲にスペーサーを入れて圧力が均一にかかるようにした状態でゴムバッグの中に入れて合わせガラス構成体の端部から減圧吸引する方式(スペーサー方式)等の真空脱気法、または、この合わせガラス構成体を例えばニップロール(押圧ロール)に通して扱く扱き脱気法により、ガラス板と合わせガラス用中間膜との間に残留する空気を脱気しながら予備接着し、次いで、オートクレーブ内で加熱加圧して本接着を行うことにより製造される。
【0005】
ところが、上記予備接着工程において合わせガラス用中間膜とガラス板との間に空気が残留し気泡が発生すると、得られる合わせガラスの透明性が損なわれるという問題点が発生するため、予備接着工程における空気の残留や気泡の発生を抑制するために種々の検討がなされている。
【0006】
例えば、特公平1−32776号公報では、合わせガラス製造時の予備接着工程において合わせガラスの中央部近傍に存在する空気をも脱気させるために、表面に微細な凹凸からなる多数のエンボスが形成されている熱可塑性樹脂製中間膜が開示されている。
【0007】
しかし、上記公報に開示されている熱可塑性樹脂製中間膜には、従来の例えばポリビニルブチラール樹脂からなる合わせガラス用中間膜と同様に、本接着をオートクレーブ内で行う必要があるため、オートクレーブを設置するために多額の設備投資費用を要するという問題点や、オートクレーブによる本接着はバッチ工程になるため、合わせガラスの生産性(生産効率)が悪くなるという問題点がある。
【0008】
一方、上記オートクレーブ使用に伴う問題点を解消するために、オートクレーブを使用しない合わせガラスの製造方法(非オートクレーブ法)が検討されている。
【0009】
一般に非オートクレーブ法とは、少なくとも一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み、この合わせガラス構成体を、前記真空バッグ方式やスペーサー方式により、真空バッグ(ゴムバッグ)の中に入れ、この真空バッグ(ゴムバッグ)を排気系に接続して、真空バッグ(ゴムバッグ)内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように吸引減圧しながら温度を上げ、温度100℃程度で脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより合わせガラスを得る方法、いわゆる真空プレス法である。
【0010】
非オートクレーブ法による合わせガラス用中間膜として、例えば、特開平8−104551号公報では、特定の含水量を有するポリビニルブチラール樹脂製中間膜を用いて、上記非オートクレーブ法における真空プレス時の真空プレス条件と湿度とを細かく設定した安全ガラスラミネートを形成する非オートクレーブ法が開示されている。
【0011】しかし、上記公報に開示されている非オートクレーブ法には、予備接着工程が煩雑であったり、合わせ加工の際に調湿条件を非常に厳密に管理しないと発泡が起こるという問題点がある。また、予備接着工程で発生したガラス周辺部の歪みが残存することにより、得られる合わせガラスに光学歪みが発生したり、ポリビニルブチラール樹脂製中間膜の流動温度におけるプレス圧の不足による気泡やエンボス模様の痕跡の残存や、昇温と同時に真空レベルを下げているため、気泡が消滅せず残留してしまうという問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、合わせガラスの製造時にオートクレーブを必要とすることがなく、例えば真空バッグによる真空プレス法のみで合わせガラスの製造を行うことが可能であり、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と合わせガラス用中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、および、この合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
一般に真空プレス法(非オートクレーブ法)においては、温度上昇途中の低温領域(45℃以下程度)で合わせガラス用中間膜が柔らかすぎると、ガラス板と合わせガラス用中間膜とからなる合わせガラス構成体の周辺部に位置する合わせガラス用中間膜のエンボスが潰れて周辺部が先に接着する現象、いわゆるシール先行現象が発生して、上記合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気の脱気ができなくなり、逆に高温領域(100℃程度)で合わせガラス用中間膜が硬すぎると、合わせガラス用中間膜のエンボスが潰れにくくなり、エンボス模様の痕跡が残存して、優れた外観を有する合わせガラスを得ることが困難となる。
【0014】
したがって、真空プレス法に適用される合わせガラス用中間膜には、温度上昇途中の低温領域では適度な硬さを有していて、シール先行現象を発生せず、上記合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気をも容易に脱気することが可能であり、逆に高温領域では速やかに柔らかくなって、エンボスが容易に潰れ、エンボス模様の痕跡が残存することがなく、優れた外観を有する合わせガラスを得ることが可能であることが要求される。これは換言すれば、真空プレス法に適用される合わせガラス用中間膜には、優れた感温性が要求されるということである。
【0015】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、合わせガラス用中間膜に用いられるポリビニルアセタール系樹脂中の水酸基の連鎖長と合わせガラス用中間膜の感温性ひいては脱気性や得られる合わせガラスの外観とに密接な相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明(本発明)による合わせガラス用中間膜は、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が製膜されてなるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在し、かつ、上記ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明による合わせガラス用中間膜は、上記請求項1に記載の合わせガラス用中間膜において、ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明による合わせガラス用中間膜は、上記請求項1または請求項2に記載の合わせガラス用中間膜において、ポリビニルアセタール系樹脂層が最表層に存在することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明(本発明)による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス板の間に上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と略記する)を構成するポリビニルアセタール系樹脂層を形成するために用いられる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂とは、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のことである。
【0021】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す)を温水もしくは熱水に溶解し、得られたPVA水溶液を所定の温度(例えば0〜95℃)に保持した状態で、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、攪拌しながらアセタール化反応を進行させ、次いで、反応温度を上げて熟成することにより反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥の諸工程を経て、粉末状のポリビニルアセタール系樹脂を得る方法が挙げられる。
【0022】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜3000のものが好ましく、より好ましくは500〜2000のものである。
【0023】
PVAの平均重合度が200未満であると、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなるポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の強度が弱くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがあり、逆にPVAの平均重合度が3000を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなるポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の製膜(成形)が困難となることがあり、さらに上記ポリビニルアセタール系樹脂層ひいては中間膜の強度が強くなりすぎて、合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがある。これらのPVAは、単独で用いられても良いし、平均重合度が異なるものが2種類以上併用されても良い。
【0024】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の製造に用いられるアルデヒドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0025】
こうして得られる各種ポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良いが、なかでも、PVAとホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」と記す)等が好適に用いられ、とりわけ、PVBが特に好適に用いられる。ポリビニルアセタール系樹脂としてPVBを用いることにより、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(ポリビニルブチラール樹脂層)ひいては中間膜の透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板に対する適正な接着力等がより優れたものとなる。
【0026】
本発明の中間膜においては、ポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)の形成に用いられる上記ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であることが必要である。なお、上記水酸基とは、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の原料として用いられるPVA由来の水酸基のことである。
【0027】
本発明で言う「ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合」とは、以下の方法で測定される割合を意味する。〔ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合の測定方法〕
先ず、ポリビニルアセタール系樹脂を60℃で24時間以上真空乾燥した後、デシケーター中に保存する。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)を25g瓶中に秤取し、約0.5gのモレキュラーシーブを添加して保存する。次に、乾燥した内径5mmのサンプル管中に上記乾燥ポリビニルアセタール系樹脂約20gを秤取し、乾燥窒素でサンプル管内の空気を置換した後、上記DMSO1mlをPTFEミクロフィルターを通してサンプル管中に注入し、乾燥窒素を暫く吹き込み、素早く密栓する。この際、DMSOの瓶は乾燥窒素でバブリングしておく。次に、上記サンプル管を常温で一晩放置した後、60〜70℃のウォーターバス中で加温し、時々振蕩しながら1.5時間放置し、ポリビニルアセタール系樹脂のDMSO溶液を調製する。次いで、H−NMR(270MHz)を用いて、温度28℃、積算回数128回の測定条件で、上記ポリビニルアセタール系樹脂のDMSO溶液のH−NMR吸収スペクトルを測定し、この吸収スペクトルから連鎖長が2以下の水酸基量および連鎖長が2を超える水酸基量を読み取り、連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合を求める。
【0028】
ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合を全水酸基に対して90モル%以上とすることにより、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の感温性が著しく向上するので、真空プレス法(非オートクレーブ法)による合わせガラス製造時の低温領域においてシール先行現象を発生することがなく、したがって優れた脱気性を発現する中間膜を得ることができる。また、この中間膜を用いることにより、真空プレス法による合わせガラス製造時の高温領域においてエンボス模様の痕跡が残存することがなく、したがって優れた外観を有する合わせガラスを得ることができる。
【0029】
ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の感温性が不十分となるので、真空プレス法による合わせガラス製造時の低温領域において中間膜がシール先行現象を起こして脱気性が不十分となり、また、真空プレス法による合わせガラス製造時の高温領域においてもエンボス模様の痕跡が残存して合わせガラスの外観が損なわれる。
【0030】
上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、特に限定されるものではないが、アセタール化度(好ましくはブチラール化度)が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは60〜75モル%のものである。ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)のアセタール化度(好ましくはブチラール化度)が40モル%未満であると、後述する可塑剤との相溶性が不十分となることがあり、逆にアセタール化度(好ましくはブチラール化度)が85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)を合成するのは反応機構上困難となることがある。
【0031】
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、特に限定されるものではないが、残存アセチル基量が1モル%前後であるものが好ましい。
【0032】
ポリビニルアセタール系樹脂がPVBである場合、上記アセタール化度(ブチラール化度)および残存アセチル基量は、JIS K−6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定することができる。
【0033】
また、ポリビニルアセタール系樹脂がPVB以外のポリビニルアセタール系樹脂である場合、そのアセタール化度は、JIS K−6729「ポリビニルホルマール試験方法」に準拠して、残存アセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、100から上記両成分量を差し引くことにより算出することができる。
【0034】
上記ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)を可塑化するために用いられる可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0035】
一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸などの一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
【0036】
多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの多塩基性有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
【0037】
リン酸系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0038】
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート(以下、「3GH」と記す)、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(以下、「3GO」と記す)、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート(以下、「3G7」と記す)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好適に用いられ、なかでも、3GH、3GO、3G7等が特に好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)に対する可塑剤の添加量は、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の平均重合度、アセタール化度(好ましくはブチラール化度)および残存アセチル基量等によっても異なり、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対し、可塑剤10〜50重量部であることが好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対する可塑剤の添加量が10重量部未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)の可塑化が不十分となって、製膜(成形)が困難となることがあり、逆にポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)100重量部に対する可塑剤の添加量が50重量部を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)ひいては中間膜の低温領域における硬さが不十分となって、合わせガラス作製時にシール先行現象が発生することがある。
【0040】
本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂(好ましくは可塑化PVB)から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)のみからなる単層構成の中間膜であっても良いし、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)が少なくとも1層存在する2層以上の複層構成の中間膜であっても良いが、中間膜が複層構成の中間膜である場合、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は最表層に存在することが好ましい。
【0041】
中間膜が2層構成の中間膜である場合、一方の層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)および他方の層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は、ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、同一のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良いし、異なるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良い。
【0042】
中間膜が3層以上の複層構成の中間膜である場合、一方の最表層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)および他方の最表層を構成するポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)は、ポリビニルアセタール系樹脂中(好ましくはPVB中)に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるかぎり、同一のポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良いし、異なるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)であっても良い。
【0043】
また、中間膜が3層以上の複層構成の中間膜である場合、両最表層以外の層(内層)を形成する材質としては、得られる中間膜ひいては合わせガラスの透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性等を阻害しないものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基の連鎖長や連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が特定されない通常のポリビニルアセタール系樹脂層、ポリビニルアセタール系樹脂層以外の熱可塑性樹脂層、透明なプラスチックフィルムもしくはシート、透明な織布、透明な不織布等が挙げられ、これらの1種類もしくは2種類以上が用いられても良い。
【0044】
本発明の中間膜には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0045】
本発明の中間膜の膜厚(総厚み)は、合わせガラスとして必要な耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性等を考慮して適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、従来の中間膜と同様に、一般的には0.2〜2mm程度であることが好ましい。
【0046】
本発明の中間膜は、その両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスが形成されていることが好ましい。中間膜の両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成することにより、合わせガラス作製時に少なくとも一対のガラス板と中間膜とからなる合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気まで十分に脱気されやすくなるので、得られる合わせガラスは気泡の発生による不良を来すことのない高品質のものとなる。
【0047】
中間膜の両面に微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、異形押出法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、なかでも、定量的に一定の微細な凹凸からなる多数のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法を採ることが好ましい。
【0048】
エンボスの模様(凹凸模様)は、特に限定されるものではなく、例えば、刻線状、格子状、放射状、半球状等のいずれの模様であっても良い。
【0049】
また、エンボスの配置(分布)も、特に限定されるものではなく、整然と規則的に配置(分布)していても良いし、雑然と不規則的に配置(分布)していても良いが、一般的には、エンボス(凹凸)が規則的に配置(分布)している方が好ましい。
【0050】
エンボス凸部の高さは、同一の高さであっても良いし、異なる高さであっても良く、これらの凸部に対応するエンボス凹部の深さも、同一の深さであっても良いし、異なる深さであっても良い。
【0051】
また、エンボス凸部の形状とエンボス凹部の形状も、特に限定されるものではなく、三角錐、四角錐、円錐等の錐体、截頭三角錐、截頭四角錐、截頭円錐等の截頭錐体や、頭部が山型や半球状となった擬錐体等からなる多数の凸部と、これ等の凸部に対応する多数の凹部とから構成されるエンボス形状(凹凸形状)であっても良い。
【0052】
エンボス凸部とエンボス凹部の寸法は、特に限定されるものではないが、一般的には、凸部の配置間隔(ピッチ)は10〜2000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜1000μmの範囲である。また、凸部の高さは概ね5〜500μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲である。さらに、凸部の底辺の長さは概ね30〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0053】
本発明の中間膜は、通常の合わせガラス用としてのみならず、例えば、遮音性合わせガラスや遮熱性合わせガラスなどのような特殊機能を有する合わせガラス用としても適用することができる。
【0054】
次に、本発明の合わせガラスは、少なくとも一対(2枚)のガラス板の間に上述した本発明の中間膜を介在させ、一体化させることにより製造される。
【0055】
上記ガラス板の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板であっても良いし、ポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板などの各種有機ガラス板であっても良い。これらのガラス板は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記ガラス板の厚みは、合わせガラスの用途や目的に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されるものではない。
【0056】
本発明の合わせガラスの構成は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板/中間膜/ガラス板からなる通常の三層構成であっても良いし、ガラス板/中間膜/ガラス板/中間膜/ガラス板からなるような多層構成であっても良い。
【0057】
本発明の合わせガラスの製造方法は、従来行われている真空脱気法または扱き脱気法による脱気および予備接着工程、および、オートクレーブによる本接着工程からなる通常の合わせガラスの製造方法の場合と異なり、オートクレーブを必要とすることがなく、例えば真空バッグによる真空プレス法のみで脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、所望の合わせガラスを製造することができる。
【0058】
真空プレス法のみで合わせガラスを製造する具体的手順としては、特に限定されるものではないが、例えば、2枚の透明な無機ガラス板の間に本発明の中間膜を挟み、この合わせガラス構成体を、前記真空バッグ方式やスペーサー方式により、真空バッグ(ゴムバッグ)の中に入れ、この真空バッグ(ゴムバッグ)を排気系に接続して、真空バッグ(ゴムバッグ)内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように吸引減圧しながら温度を上げ、温度100℃程度で脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、本発明の合わせガラスを得ることができる。
【0059】
すなわち、本発明の合わせガラスの製造方法は、多額の設備投資費用を要するオートクレーブが不要であり、かつ、製造工程も一段法の簡便なものであって、生産性に優れるものである。
【0060】
【作用】
本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在するので、優れた感温性を発現する。したがって、合わせガラス製造時にオートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみで、シール先行現象を発生せず、合わせガラス構成体の中央部近傍に存在する空気をも容易に脱気することが可能であり、かつ、エンボス模様の痕跡の残存がなく、優れた外観を有する合わせガラスを得ることができる。
【0061】
また、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂としてPVBを用いることにより、本発明の中間膜の上記性能はより優れたものとなる。
【0062】
さらに、本発明の中間膜は、上記特定のポリビニルアセタール系樹脂(好ましくはPVB)からなるポリビニルアセタール系樹脂層(好ましくはPVB層)を最表層に存在させることにより、オートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみにより、優れた生産性で容易に合わせガラスを得ることができる。
【0063】
本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて作製されるので、製造が容易であって生産性に優れ、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現する。
【0064】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0065】
(実施例1)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が100モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が74.6モル%であるPVB(a)100部に対して3GO(可塑剤)30部を添加したPVB組成物を製膜してPVB層を作製した後、このPVB層の両面にエンボス加工を施して、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0066】
(実施例2)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.1モル%であるPVB(b)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0067】
(比較例1)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が85モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.1モル%であるPVB(c)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0068】
(比較例2)
前記方法で測定した連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が75モル%であり、平均重合度が1700であり、ブチラール化度が73.0モル%であるPVB(d)100部に対して3GO(可塑剤)40部を添加したPVB組成物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状のエンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0069】
実施例1および実施例2、ならびに、比較例1および比較例2で得られた中間膜の性能(▲1▼感温性、▲2▼合わせ加工適性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0070】
▲1▼感温性
25℃−25%RHの雰囲気下に3時間放置して調温調湿した所定の断面積を有する中間膜を、その下端に所定の荷重を吊り下げた状態で、各測定温度下に30分間垂直に放置した後、中間膜の伸びを測定し、下式によりクリープ弾性率(Pa/%)を算出する。
クリープ弾性率(Pa/%)=荷重(g)/断面積(cm2 )/伸び(%)
次いで、下式により勾配(C)を求め、感温性の評価尺度とする。上記勾配(C)の絶対値が大きいほど感温性が優れていることになる。
LOG(A)=LOG(B)+t×C
ここで、A:各測定温度におけるクリープ弾性率(Pa/%)
B:定数
C:勾配
t:各測定温度
【0071】
▲2▼合わせ加工適性
20〜25℃−25〜30%RHの雰囲気下に2時間放置して調温調湿した中間膜を2枚の透明な無機ガラス板の間に挟み、図1に示すようなスペーサー方式により、この合わせガラス構成体をゴムバッグの中に入れ、ゴムバッグ内の圧力が−53.2kPa(絶対圧力47.8kPa)となるように合わせガラス構成体の端部から吸引減圧しながら温度を100℃まで昇温し、温度100℃で20分間保持して、脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、合わせガラスを作製した。各中間膜についてそれぞれ10枚の合わせガラスを作製し、得られた合わせガラスの外観を目視で観察して、各10枚の合わせガラス中におけるシール先行現象の有無またはエンボス刻線の痕跡の残存の有無を確認することにより、合わせ加工適性を評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から明らかなように、本発明による実施例1および実施例2の中間膜は、いずれも優れた感温性を有しており、オートクレーブを使用することなく、真空プレス法のみで優れた合わせ加工適性を発現した。
【0074】
これに対し、PVB中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%未満であったPVB(c)を用いた比較例1の中間膜、および、同じくPVB中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の全水酸基に対する割合が90モル%未満であったPVB(d)を用いた比較例2の中間膜は、いずれも感温性が劣っており、真空プレス法のみで作製した合わせガラスにエンボス刻線の痕跡が残存しており、真空プレス法のみでの合わせ加工適性が悪かった。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の中間膜は、連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂に可塑剤が添加されてなる可塑化ポリビニルアセタール系樹脂から形成されるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在するので、優れた感温性を発現する。したがって、合わせガラス製造時に多額の設備投資費用を要するオートクレーブを必要とすることがなく、真空プレス法のみで合わせガラスの製造を行うことが可能であり、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を発現しうる合わせガラスを得ることができる。
【0076】
また、本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて真空プレス法のみで作製されるので、製造が容易であって生産性に優れ、かつ、優れた透明性、耐候性、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板と中間膜との適正な接着力等の合わせガラスとして必要な諸性能を兼備する高品質のものであり、自動車、車輌、建築物等の窓ガラス用として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スペーサー方式による真空プレス法を示す断面図である。
Claims (4)
- 可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が製膜されてなるポリビニルアセタール系樹脂層が少なくとも1層存在し、かつ、上記ポリビニルアセタール系樹脂中に存在する連鎖長が2以下の水酸基の割合が全水酸基に対して90モル%以上であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール系樹脂層が最表層に存在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも一対のガラス板の間に請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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