JP2004097878A - ガス混合装置及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス混合装置1の小型化を実現する。
【解決手段】ガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入パイプ4、5が、ガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置されているので、ガス混合室2aに流入した第1のガスと第2のガスが、共に渦流を生じながら混ざり合うことで、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。また、ガス拡散室3aの内径が第1及び第2のガス導入口の内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室2aに流入する時のガス流速より、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入する時のガス流速の方が大きく低下する。この結果、ガス拡散室3aへ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入パイプ4、5が、ガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置されているので、ガス混合室2aに流入した第1のガスと第2のガスが、共に渦流を生じながら混ざり合うことで、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。また、ガス拡散室3aの内径が第1及び第2のガス導入口の内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室2aに流入する時のガス流速より、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入する時のガス流速の方が大きく低下する。この結果、ガス拡散室3aへ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のガスを混合するためのガス混合装置、及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、実開平5−40909 号公報に開示されたガス混合装置がある。
このガス混合装置は、ガス流路を形成する管の内部に複数枚の多孔仕切板と1枚の中央仕切板とを配置して構成される。中央仕切板は、例えば中央部に1個の小さな開口を有し、2枚の多孔仕切板の間に配置される。
この構成によれば、管内に流入した複数のガスが上流側の多孔仕切板を通過する際にある程度の混合と整流が行われた後、中央仕切板の開口を通る際に絞られることで充分に混合され、最後に下流側の多孔仕切板で拡散と整流がなされて均一な混合ガス流を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のガス混合装置では、複数のガスを積極的に混合させている訳ではないので、ガスの混合が不十分である。つまり、複数のガスが中央仕切板の開口を通る際に絞られるだけでは、混合状態に偏りが生じる可能性が高い。
また、1本の細長い管の内部に複数枚の仕切板(多孔仕切板と中央仕切板)を流路に沿って配置しているため、ガスの拡散によって混合させるためには、管を充分に長くする必要があり、装置が大型化するという問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、大型化することなく、第1のガスと第2のガスとが充分に混合された混合ガスを得ることのできるガス混合装置及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
本発明は、内周面に第1及び第2のガス導入口が開口し、その第1及び第2のガス導入口より導入された第1のガスと第2のガスとを混合させるガス混合室と、このガス混合室に連通して設けられ、ガス混合室より流入したガスを拡散させるガス拡散室と、このガス拡散室から均一に混合したガスを取り出すガス取出口とを有するガス混合装置であって、ガス拡散室は、ガス混合室と天地方向に連通して設けられ、且つガス混合室との連通口が、第1及び第2のガス導入口より充分に大きい内径を有していることを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、第1のガスと第2のガスがガス混合室にて混合され、更にガス拡散室で拡散される際に混合が促進される。特に、ガス拡散室は、ガス混合室に対し天地方向に連通しているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入するガスの流れ方向と、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れ方向とが大きく変化する。また、ガス拡散室の内径が第1及び第2のガス導入口の内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入する時のガス流速より、ガス混合室からガス拡散室へ流入する時のガス流速の方が大きく低下する。この結果、ガス混合室からガス拡散室へ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることが可能である。
【0006】
(請求項2の発明)
請求項1に記載したガス混合装置において、
第1及び第2のガス導入口は、ガス混合室の中心に対しオフセットした位置に開口していることを特徴とする。
この場合、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入した第1のガスと第2のガスが、それぞれ渦流を発生することにより、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
【0007】
(請求項3の発明)
請求項1に記載したガス混合装置において、
ガス混合室に流入した第1のガス及び第2のガスに渦流を生じさせる案内板をガス混合室内に設置したことを特徴とする。
この場合、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入した第1のガスと第2のガスが、それぞれ案内板によって渦流を発生することにより、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
【0008】
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス混合室とガス拡散室との間に、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れを整流する整流手段を設けたことを特徴とする。
この構成では、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れが整流手段によって整流されるので、濃度の偏りが少なく、より均一な混合ガスを得ることができる。
【0009】
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス取出口は、ガス混合室とガス拡散室との連通口から天地方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする。
この構成では、連通口を通ってガス拡散室に流入したガスがガス取出口に到達するまでの時間(拡散時間)を稼ぐことができるので、ガスの拡散が充分に行われる。その結果、拡散によるガスの混合が促進され、より均一に混合したガスを得ることができる。
【0010】
(請求項6の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス拡散室は、ガス混合室から流入したガスが天地方向に折り返しながら流れる折り返し流路を有し、この折り返し流路の下流端にガス取出口が設けられていることを特徴とする。
この構成では、ガス混合室からガス拡散室に流入したガスがガス取出口に到達するまでの流路長をより長く確保できるので、拡散によるガスの混合が促進され、より均一に混合したガスを得ることができる。
【0011】
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載した何れかのガス混合装置で濃度調整された混合ガスをエンジン吸気系の評価対象に導入して評価試験を行うエンジン吸気系の評価装置であって、
ガス混合装置は、第1のガスであるガソリン蒸気を第2のガスとの混合により必要なガソリン蒸気濃度に調整することを特徴とする。
これにより、ガス混合装置で濃度調整されたガソリン蒸気をエンジン吸気系の評価対象に導入して評価試験を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1はガス混合装置1の断面図(a)と整流格子7の平面図(b)である。
本実施例のガス混合装置1は、図1(a)に示す様に、ガス混合容器2とガス拡散容器3を備える。
ガス混合容器2は、円筒形状のガス混合室2aを形成すると共に、このガス混合室2aに第1のガスを導入する第1のガス導入パイプ4と、ガス混合室2aに第2のガスを導入する第2のガス導入パイプ5、及び後述するガス取出パイプ6が設けられている。
【0013】
第1及び第2のガス導入パイプ4、5は、ガス混合容器2の左右両側に分かれて設けられ、且つガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置され、それぞれのガス導入口4a、5aがガス混合室2aの円筒内周面に開口している(図2参照)。
ガス拡散容器3は、ガス混合容器2の上部に配置され、ガス混合室2aと整流格子7を介して天地方向に連通するガス拡散室3aを形成している。
このガス拡散室3aは、ガス混合室2aより内径が大きい円筒形状を有し、且つ天地方向の高さがガス混合室2aより大きく設定されている。
【0014】
整流格子7は、例えば図1(b)に示す様に、薄い金属板の全面に多数の小孔7aが均一に開口して設けられたもので、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口に配置されている。なお、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口は、ガス混合室2aの内径と同一に設けられている。
ガス取出パイプ6は、ガス拡散室3aからガスを取り出すためのパイプで、図1に示す様に、ガス混合容器2と整流格子7の中央部を挿通して設けられ、上端開口部(ガス取出口6a)がガス拡散室3aの上部に開口し、下端側がガス混合容器2の底面を貫通して外部に取り出されている。
【0015】
次に、ガス混合装置1の作用を説明する。
第1及び第2のガス導入パイプ4、5を通ってガス混合室2aに導入された第1のガスと第2のガスは、図2に示す様に、それぞれガス混合室2aの円筒内周面に沿って流れながら渦流を発生して互いに混ざり合い、その後、ガス混合室2aから整流格子7に設けられた多数の小孔7aを通過してガス拡散室3aへ流入する。
ガス拡散室3aに流入したガスは、拡散しながらガス拡散室3aの上方へ押し流され、ガス拡散室3aの上部に開口するガス取出口6aよりガス取出パイプ6に流入して外部に取り出される。
【0016】
(第1実施例の効果)
本実施例のガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入パイプ4、5が、ガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置されている。これにより、ガス混合室2aに流入した第1のガスと第2のガスが、共に渦流を生じながら混ざり合うことで、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
また、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口に整流格子7を配置しているので、ガス混合室2aからガス拡散室3aへガスが流入する際に、整流格子7に設けられた多数の小孔7aをガスが通過することでガスの流れが整流され、濃度の偏りを少なくできる。
【0017】
更に、ガス拡散室3aは、ガス混合室2aに対し天地方向に連通しているので、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス混合室2aに流入するガスの流れ方向と、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入するガスの流れ方向とが大きく変化する。また、ガス拡散室3aの内径が第1及び第2のガス導入口4a、5aの内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス混合室2aに流入する時のガス流速より、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入する時のガス流速の方が大きく低下する(例えば第1及び第2のガス導入口4a、5aから同じ流量が出ている場合に、第1及び第2のガス導入口4a、5aの内径に対してガス拡散室3aの内径が10倍であれば、ガス流速は略1/50まで低下する)。この結果、ガス拡散室3aへ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることができる。
【0018】
また、ガス取出口6aがガス拡散室3aの上部に開口しているので、ガス拡散室3aに流入したガスがガス取出口6aに到達するまでの時間が長くなる。その結果、ガスの拡散が充分に行われるため、拡散によるガスの混合が促進されて、より均一に混合したガスを取り出すことができる。
以上の様に、本実施例のガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス取出口6aまでの流路長を直線的に設ける必要がないので、装置全体を小型化することができ、且つ従来のガス混合装置と比較しても、濃度の偏りが極めて少なく、均一に混合したガスを得ることができる。
【0019】
なお、第1及び第2のガス導入パイプ4、5は、第1のガス及び第2のガスがガス混合室2aで渦流を発生しながら混ざり合うことができる様に配置されていれば良い。従って、図2に示した配置に限定される必要はなく、例えば図3に示す様に、ガス混合容器2の同一側面に第1及び第2のガス導入パイプ4、5を設けて、それぞれガス混合室2aの中心に対してオフセットした位置に配置することも可能である。
また、第1のガスと第2のガスが、例えば水素ガスと窒素ガスのように密度が離れている場合は、水素ガスが窒素ガスと充分混合する前に浮力によってガス取出口6aに到達することが考えられるため、図1に示すガス混合装置1を上下逆向きにして使用することが望ましい。
【0020】
(第2実施例)
図4はガス混合装置1の断面図(a)と整流格子7の平面図(b)である。
本実施例のガス混合装置1は、ガス拡散室3aに蛇行状の折り返し流路8を設けた場合の一例である。
ガス拡散室3aには、図4に示す様に、ガス混合室2aから流入した混合ガスが天地方向(図4の上下方向)に折り返しながら蛇行状に流れる折り返し流路8が設けられ、この折り返し流路8の下流端にガス取出口6aが開口している。
【0021】
この構成によれば、ガス拡散容器3の大きさを拡大することなく、第1実施例の場合と同じ大きさのまま、ガス拡散室3aに流入したガスがガス取出口6aに到達するまでの流路長を長く形成できる。その結果、ガスの拡散が更に進行して、拡散によるガスの混合が促進されるので、より均一に混合したガスを得ることができる。
なお、整流格子7は、折り返し流路8を流れるガスが整流格子7の小孔7aを通ってガス混合室2aに逆流しない様に、折り返し流路8の外側だけに多数の小孔7aが設けられている(図4(b)参照)。
【0022】
(第3実施例)
図5はエンジン吸気系の評価装置を示す全体構成図である。
このエンジン吸気系の評価装置は、成分調整されたガソリン蒸気を発生し、そのガソリン蒸気を評価対象9(例えばキャニスタ)に導入して性能を評価するものであり、図5に示す様に、ガス発生装置10、ガス供給装置11、ガス混合装置1、及び可燃ガス測定装置12より構成される。
【0023】
A)ガス発生装置10は、図6に示す様に、温度コントロールされたガソリンに対しバブリングを行うことで、C8以上の重質成分が含まれるガソリン蒸気を発生させる装置である。なお、バブリングとは、ガソリン中に気泡を発生させて、ガソリン蒸気の飽和状態を崩すことにより、ガソリンを蒸発させることを言う。このガス発生装置10は、ガソリンを貯留する燃料タンク13(半密閉容器)と、この燃料タンク13の内部に挿入される複数本の多孔管14、この多孔管14に接続されるガス導入管15、このガス導入管15に設けられる小流量計16と大流量計17、燃料タンク13内のガソリン温度を調整する温度調整手段(後述する)等を備える。
【0024】
燃料タンク13の上面には、タンク内で発生したガソリン蒸気を取り出す蒸気取出口13aが設けられ、この蒸気取出口13aとガス供給装置11に使用されるインジェクタ18とがガス供給管19によって連結されている。
多孔管14は、略L字状に屈曲成形されて、その屈曲部から先端までの直線部分に多数の小孔14aが管壁を貫通して設けられている。この多孔管14は、燃料タンク13の上面中央部に開口する開口部から燃料タンク13内に挿入されて、多数の小孔14aを有する直線部分がガソリン中に浸って配置され、燃料タンク13の開口部を閉塞するフランジ20に支持されている。
【0025】
ガス導入管15は、下流側が多孔管14の本数(図6では2本)に応じて分岐され、フランジ20を介してそれぞれ多孔管14に接続されている。一方、ガス導入管15の上流側は、大流量計17を有するガス導入ライン15aと、小流量計16を有するガス導入ライン15bとに分岐して設けられ、ガソリンと化学反応を生じない窒素ガス(N2 )が封入されたガスボンベ(図示しない)にそれぞれ接続されている。
【0026】
小流量計16と大流量計17は、それぞれガス流量を可変する弁部材(図示しない)を内蔵し、その弁開度がコンピュータ21にて制御される。
なお、小流量計16は、実際にエンジン吸気系の評価を行う段階で使用されるもので、ガソリン蒸気の発生によりガソリン成分自体に大きな変化を及ぼさない程度のガス流量を調整する。一方、大流量計17は、エンジン吸気系の評価を行う前に、ガソリン性状を調整する段階で使用されるもので、ガソリン性状に影響が出るほどの蒸発を誘引するガス流量を調整する。
【0027】
このガス発生装置10では、ガソリン蒸気の発生による気化熱で燃料タンク13内の温度が低下してガソリン性状の調整結果に影響を及ぼすことが考えられる。そこで、燃料タンク13内のガソリン温度を調整する温度調整手段が設けられている。
その温度調整手段は、燃料タンク13内のガソリン温度を検出する温度センサ22と、燃料タンク13内のガソリン中に配置されるヒータ23、このヒータ23を加熱して燃料タンク13内のガソリン温度を一定に保つ温調器24より構成され、この温調器24がコンピュータ21に接続されている。
【0028】
次に、バブリングの実施方法について説明する。
まず、バブリングに使用される窒素ガスの導入量を決定する。
この窒素ガス量は、ガソリン蒸気中に含まれるC8以上成分の濃度比(%)を選択し、この濃度比に対応するガソリン蒸発率から決定される。即ち、C8以上の重質成分は、図7に示す様に、ガソリン蒸発率が高くなる程、蒸気中に含まれる濃度比が大きくなる。また、ガソリン蒸発率は、図8に示す様に、バブリングに使用される窒素ガス量が増大する程、比例的に高くなる相関を有している。従って、図7に示す特性図より、C8以上の重質成分が蒸気中に含まれる濃度比からガソリン蒸発率を求め、更に、図8に示す特性図より、前のガソリン蒸発率から窒素ガス量を決定している。
【0029】
その後、大流量計17によりガス流量を調整して多孔管14に窒素ガスを導入し、多孔管14の小孔14aからガソリン中に気泡を放出させてガソリンを蒸発させる。ここでは、ガソリンの成分調整を短時間で行うために、先に決定された窒素ガス量の大部分(例えば80%)を大流量計17により導入する。
なお、この段階(ガソリン性状を調整する段階)で発生するガソリン蒸気は、ガソリン成分が大きく変化してエンジン吸気系の評価に使用できないので、排気処理することが望ましい。これに対し、本実施例では、図6に示す様に、ガス供給管19に三方弁25を介して排気設備26(例えばキャニスタ)を接続し、三方弁25を排気設備26側に開くことで、発生したガソリン蒸気を排気処理している。
【0030】
大流量計17により窒素ガス量の大部分を導入した後、大流量計17から小流量計16に切り換えて残りの窒素ガスを導入する。この時、燃料タンク13内で発生したガソリン蒸気がガス供給管19を通ってインジェクタ18へ送られる様に、三方弁25をインジェクタ18側に開く。
この小流量計16により多孔管14に導入されるガス流量は、大流量計17のガス流量より大幅に少なく(例えば1/10)、ガソリン蒸気の発生によってガソリン成分自体に大きな変化を及ぼさないため、エンジン吸気系の評価に悪影響を与えることはない。
【0031】
B)ガス供給装置11は、上記のガス発生装置10にて成分調整されたガソリン蒸気を必要量コントロールしてガス混合装置1に供給するもので、図9に示す様に、ガソリン蒸気を噴射するガス用インジェクタ18と、このインジェクタ18を駆動する駆動回路27とを備え、この駆動回路27をコンピュータ21により制御してインジェクタ18の噴射量(ガス濃度)をコントロールしている。
コンピュータ21は、インジェクタ18の開時間と駆動周波数および燃料タンク13の内圧(タンク内圧と呼ぶ)に基づいてガス供給量を制御する。
【0032】
以下に、インジェクタ18の駆動方法を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
Step100 …タンク内圧(設定圧Po と呼ぶ)を決定する。ここでは、予め算出されたインジェクタ噴射量から図11に示す変換テーブルを用いて設定圧Po が決定される。なお、図11に示す変換テーブルは、タンク内圧Pとインジェクタ噴射量Qs との関係を予め実測して作成したもので、コンピュータ21のメモリに記憶されている。
上記のインジェクタ噴射量Qs は、ガス混合装置1から評価対象9に供給される供給ガス流量Qと、その供給濃度Dとから算出される。
【0033】
Step110 …現在のタンク内圧Pを制御する。具体的には、ガス供給管19に接続された分岐管19aにバルブ28が設けられており、このバルブ28の開閉動作によって制御される。なお、バルブ28の下流側には絞り弁29が設けられており、バルブ28を開いた時にタンク内圧が急激に低下しない様に、絞り弁29の開度が調整されている。
Step120 …タンク内圧Pが(設定圧Po −ΔP)より大きいか否かを判定する。タンク内圧Pは、例えばガス供給管19に接続される圧力計30(図9参照)にて測定できる。なお、圧力計30の接続位置は、バルブ28を有する分岐管19aの接続位置より上流側(燃料タンク13側)であることは言うまでもない。
この判定結果がYES の時、つまりタンク内圧Pが設定圧Po より高い場合は、Step110 へ戻ってバルブ28を開弁する。
【0034】
Step130 …現在のタンク内圧Pが(設定圧Po +ΔP)より小さいか否かを判定する。この判定結果がYES の時、つまりタンク内圧Pが設定圧Po より低い場合は、Step110 へ戻ってバルブ28を閉弁する。
Step140 …タンク内圧Pが設定圧Po に維持された状態で、単位時間当たりのインジェクタ開時間をτ・fave にセットする。
このτ・fave について説明する。インジェクタ駆動周期での開時間τ(sec) 、駆動周波数f(Hz)とすると、単位時間当たりのインジェクタ開時間はτ・f(sec) となる。そこで、予めインジェクタ18のτ・fでダイナミックレンジの平均値を決めておき、この値をτ・fave とする(図11参照)。
【0035】
Step150 …Step140 でセットされたτ・fave でインジェクタ18を駆動する。
Step160 …τ・fave でインジェクタ18より噴射されるガソリン蒸気の濃度(実濃度Ds )が設定濃度より大きいか否かを判定する。なお、実濃度は、図示しない濃度センサにて検出され、コンピュータ21に出力される。
この判定結果がNOの時、つまり実濃度が設定濃度以下の場合はStep170 へ進み、判定結果がYES の時はStep180 へ進む。
【0036】
Step170 …実濃度が設定濃度より小さいか否かを判定する。この判定結果がNOの時、つまり実濃度が設定濃度と一致する場合は、本処理を終了して再度Step100 へ戻り、判定結果がYES の時はStep190 へ進む。
Step180 …τ・fを減少してStep200 へ進む。
Step190 …τ・fを加算してStep200 へ進む。なお、Step180 及びStep190 では、τのみ、あるいはfのみを変更しても良いし、両方を変更しても良い。
Step200 …Step180 またはStep190 でセットされたτ・fにてインジェクタ18を駆動する。
【0037】
上記の制御方法によれば、タンク内圧Pが設定圧Po にコントロールされた状態でインジェクタ開時間τ・fを調整しているので、噴射量の異なるインジェクタ18を複数本使用する必要がなく、1本のインジェクタ18で広いダイナミックレンジをカバーできる。その結果、インジェクタ18の駆動回路27や噴射量マップ等を最小限に抑えることができるので、制御に要する負担を軽減できる。
【0038】
C)ガス混合装置1は、第1実施例または第2実施例で説明した装置であり、インジェクタ18から噴射されるガソリン蒸気(第1のガス)と、流量計31(図5参照)にて流量調整された窒素ガス(第2のガス)とを均一に混合して所望のガソリン蒸気濃度に調整している。
このガス混合装置1の構成及び作動は、第1実施例及び第2実施例に記載した通りであり、ここでの説明は省略する。
【0039】
ガス混合装置1から評価対象9に送られるガソリン蒸気は、濃度センサ32により濃度が保証され、且つ流量計33(図5及び図9参照)にて流量計測される。なお、濃度センサ32は、ガソリン蒸気と酸素との酸化反応を検出する接触燃焼式センサであり、図9に示す様に、バッファ34に蓄えられたガソリン蒸気に絞り弁35によって流量調整された支燃ガス(例えばエア)を混合して酸素濃度を調整した後、ポンプ36にて濃度センサ32に導入される。
【0040】
この濃度センサ32で測定されるガソリン蒸気の濃度(検出濃度D′)は、以下の数式より算出される。
なお、インジェクタ18より噴射されるガソリン蒸気の実濃度Ds(ppm)、インジェクタ噴射量Qs(NmL/min)、ガス供給装置11に導入される窒素ガス流量QN(NmL/min)、絞り弁35を通じて供給される支燃ガスの供給流量Qa(NmL/min)、ポンプ36の吸引流量Qp(NmL/min)とする。
D′={Ds ・Qs /(Qs +QN )}×(Qp −Qa )/Qp
また、ガス混合装置1から評価対象9に送られる供給ガス流量Q、及び供給濃度Dは、それぞれ以下の式で求められる。
Q=Qs +QN −Qp +Qa
D=Ds ・Qs /(Qs +QN )
【0041】
D)可燃ガス測定装置12は、評価対象9を通過した極低流量の試験ガソリン蒸気の濃度を測定する装置であり、図12に示す様に、試験ガソリン蒸気をサンプリングするサンプリング通路37と、このサンプリング通路37に設けられるバッファ38、支燃ガス(例えばエア)を導入するエア通路39、このエア通路39に設けられるバッファ40、サンプリング通路37とエア通路39とを連通する第1の連通路41と第2の連通路42、この第2の連通路42に設けられる濃度センサ43とポンプ44等より構成される。
【0042】
サンプリング通路37には、評価対象9とバッファ38との間に三方弁45が設けられ、この三方弁45を介して排気通路46が分岐接続されている。また、バッファ38の下流側にはバルブ47が設けられ、このバルブ47より下流側が大気に開放されている。
バッファ38は、評価対象9を通過してサンプリング通路37を流れる試験ガソリン蒸気を所定量蓄えることのできる容器である。
エア通路39には、バッファ40の上流側と下流側とにバルブ48と流量調整用の絞り弁49及びバルブ50が設けられ、このバルブ50より下流側が大気に開放されている。
バッファ40は、エア通路39を流れる支燃ガスを所定量蓄えることのできる容器である。
【0043】
第1の連通路41は、一端がサンプリング通路37の三方弁45とバッファ38との間に接続され、他端がエア通路39の絞り弁49とバッファ40との間に接続されてサンプリング通路37とエア通路39とを連通している。この第1の連通路41には、バルブ51が設けられている。
第2の連通路42は、一端がサンプリング通路37のバッファ38とバルブ47との間に接続され、他端がエア通路39のバッファ40とバルブ50との間に接続されてサンプリング通路37とエア通路39とを連通している。この第2の連通路42には、バルブ52とバルブ53が設けられている。
【0044】
濃度センサ43は、接触燃焼式センサであり、第2の連通路42のバルブ52とバルブ53との間に配置され、第2の連通路42を流れるサンプルガス(試験ガソリン蒸気+支燃ガス)の濃度を測定してコンピュータ21に出力する。
ポンプ44は、例えば第2の連通路42のバルブ52と濃度センサ43との間に設けられ、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとを混合させて、そのサンプルガスを濃度センサ43に導入する働きを有する。
【0045】
次に、可燃ガス測定装置12の作動を説明する。
なお、この可燃ガス測定装置12は、試験ガソリン蒸気と支燃ガスとをそれぞれバッファ38及びバッファ40に蓄えるガスサンプルモードと、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとを混合して濃度センサ43にて濃度を測定する計測モードが設定され、三方弁45及びバルブ47、48、50〜53の切り換えによって何方か一方のモードを選択できる。
【0046】
a)ガスサンプルモード
三方弁45をCOM−NO側に開くと共に、バルブ47、48、50を開き、バルブ51、52、53を閉じて、エア通路39に支燃ガスを導入する。
これにより、評価対象9を通過した極低流量の試験ガソリン蒸気がサンプリング通路37に導入されてバッファ38に蓄えられ、エア通路39に導入された支燃ガスがバッファ40に蓄えられる。このガスサンプルモードでは、前回の計測モード時に残っているサンプルガスをパージする必要がある。そこで、ガスサンプル時間は、経験的に、試験ガソリン蒸気がバッファ38に充満する時間の3〜5倍で設定すると良い。
【0047】
b)計測モード
三方弁45をCOM−NC側に開き、バルブ47、48、50を閉じて、バルブ51、52、53を開く。また、支燃ガスの供給を停止して、ポンプ44をONする。
これにより、第1の連通路41と第2の連通路42とを介してバッファ38とバッファ40とを循環する閉流路が形成されるため、ポンプ44の働きによって、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとが混ざり合い、濃度センサ43で測定可能な酸素濃度(約5vol %以上)まで混合されると、濃度センサ43に出力が生じてコンピュータ21に送られる。
【0048】
なお、評価対象9を通過した試験ガソリン蒸気は、三方弁45から排気通路46に導入されて大気に放出されるので、計測モード中に試験ガソリン蒸気が停滞することはない。
コンピュータ21は、出力の変動が略停止した時点でサンプルガスの濃度が安定したものと判断してガスサンプルモードに移行する。また、評価対象9から計測可能レベルの試験ガソリン蒸気が出てこないことを考え、一定時間経過後、出力のない場合は、タイムアウトとしてガスサンプルモードへ移行する。
【0049】
この可燃ガス測定装置12では、ガスサンプルモードでサンプリングした一定量の試験ガソリン蒸気を支燃ガスと混ぜ合わせて濃度センサ43で測定可能な酸素濃度まで混合させることにより、濃度センサ43として、少量のサンプルガスを測定する目的に適した接触式燃焼センサを用いることができる。
上述したエンジン吸気系の評価装置によれば、評価試験に必要なガソリン蒸気をガス発生装置10にて発生し、更にガス供給装置11とガス混合装置1にて所望の濃度に調整することにより、任意の濃度及び流量のガソリン蒸気を得ることができる。その結果、例えばキャニスタ(評価対象9)に使用される活性炭の破過を実車に近い状態で検出できる。なお、評価対象9としては、キャニスタ以外に、例えばエアクリーナ、ガスセンサ(車両で言えば、例えばA/Fセンサ)等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス混合装置の断面図(a)と整流格子の平面図(b)である(第1実施例)。
【図2】ガス混合容器の断面図(A−A断面図)である。
【図3】ガス混合容器の断面図(変形例)である。
【図4】ガス混合装置の断面図(a)と整流格子の平面図(b)である(第2実施例)。
【図5】エンジン吸気系の評価装置の全体構成図である(第3実施例)。
【図6】ガス発生装置の構成図である。
【図7】ガソリンの蒸発率による成分比を示すグラフである。
【図8】バブリングによるガソリン蒸発率を示すグラフである。
【図9】ガス供給装置の構成図である。
【図10】インジェクタの制御フロチャートである。
【図11】タンク内圧とインジェクタ噴射量との関係を示す変換テーブルである。
【図12】可燃ガス測定装置の構成図である。
【符号の説明】
1 ガス混合装置
2a ガス混合室
3a ガス拡散室
4a 第1のガス導入口
5a 第2のガス導入口
6a ガス取出口
7 整流格子(整流手段)
8 折り返し流路
9 エンジン吸気系の評価対象
10 ガス発生装置
11 ガス供給装置
12 可燃ガス測定装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のガスを混合するためのガス混合装置、及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、実開平5−40909 号公報に開示されたガス混合装置がある。
このガス混合装置は、ガス流路を形成する管の内部に複数枚の多孔仕切板と1枚の中央仕切板とを配置して構成される。中央仕切板は、例えば中央部に1個の小さな開口を有し、2枚の多孔仕切板の間に配置される。
この構成によれば、管内に流入した複数のガスが上流側の多孔仕切板を通過する際にある程度の混合と整流が行われた後、中央仕切板の開口を通る際に絞られることで充分に混合され、最後に下流側の多孔仕切板で拡散と整流がなされて均一な混合ガス流を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のガス混合装置では、複数のガスを積極的に混合させている訳ではないので、ガスの混合が不十分である。つまり、複数のガスが中央仕切板の開口を通る際に絞られるだけでは、混合状態に偏りが生じる可能性が高い。
また、1本の細長い管の内部に複数枚の仕切板(多孔仕切板と中央仕切板)を流路に沿って配置しているため、ガスの拡散によって混合させるためには、管を充分に長くする必要があり、装置が大型化するという問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、大型化することなく、第1のガスと第2のガスとが充分に混合された混合ガスを得ることのできるガス混合装置及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
本発明は、内周面に第1及び第2のガス導入口が開口し、その第1及び第2のガス導入口より導入された第1のガスと第2のガスとを混合させるガス混合室と、このガス混合室に連通して設けられ、ガス混合室より流入したガスを拡散させるガス拡散室と、このガス拡散室から均一に混合したガスを取り出すガス取出口とを有するガス混合装置であって、ガス拡散室は、ガス混合室と天地方向に連通して設けられ、且つガス混合室との連通口が、第1及び第2のガス導入口より充分に大きい内径を有していることを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、第1のガスと第2のガスがガス混合室にて混合され、更にガス拡散室で拡散される際に混合が促進される。特に、ガス拡散室は、ガス混合室に対し天地方向に連通しているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入するガスの流れ方向と、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れ方向とが大きく変化する。また、ガス拡散室の内径が第1及び第2のガス導入口の内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入する時のガス流速より、ガス混合室からガス拡散室へ流入する時のガス流速の方が大きく低下する。この結果、ガス混合室からガス拡散室へ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることが可能である。
【0006】
(請求項2の発明)
請求項1に記載したガス混合装置において、
第1及び第2のガス導入口は、ガス混合室の中心に対しオフセットした位置に開口していることを特徴とする。
この場合、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入した第1のガスと第2のガスが、それぞれ渦流を発生することにより、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
【0007】
(請求項3の発明)
請求項1に記載したガス混合装置において、
ガス混合室に流入した第1のガス及び第2のガスに渦流を生じさせる案内板をガス混合室内に設置したことを特徴とする。
この場合、第1及び第2のガス導入口からガス混合室に流入した第1のガスと第2のガスが、それぞれ案内板によって渦流を発生することにより、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
【0008】
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス混合室とガス拡散室との間に、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れを整流する整流手段を設けたことを特徴とする。
この構成では、ガス混合室からガス拡散室へ流入するガスの流れが整流手段によって整流されるので、濃度の偏りが少なく、より均一な混合ガスを得ることができる。
【0009】
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス取出口は、ガス混合室とガス拡散室との連通口から天地方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする。
この構成では、連通口を通ってガス拡散室に流入したガスがガス取出口に到達するまでの時間(拡散時間)を稼ぐことができるので、ガスの拡散が充分に行われる。その結果、拡散によるガスの混合が促進され、より均一に混合したガスを得ることができる。
【0010】
(請求項6の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
ガス拡散室は、ガス混合室から流入したガスが天地方向に折り返しながら流れる折り返し流路を有し、この折り返し流路の下流端にガス取出口が設けられていることを特徴とする。
この構成では、ガス混合室からガス拡散室に流入したガスがガス取出口に到達するまでの流路長をより長く確保できるので、拡散によるガスの混合が促進され、より均一に混合したガスを得ることができる。
【0011】
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載した何れかのガス混合装置で濃度調整された混合ガスをエンジン吸気系の評価対象に導入して評価試験を行うエンジン吸気系の評価装置であって、
ガス混合装置は、第1のガスであるガソリン蒸気を第2のガスとの混合により必要なガソリン蒸気濃度に調整することを特徴とする。
これにより、ガス混合装置で濃度調整されたガソリン蒸気をエンジン吸気系の評価対象に導入して評価試験を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1はガス混合装置1の断面図(a)と整流格子7の平面図(b)である。
本実施例のガス混合装置1は、図1(a)に示す様に、ガス混合容器2とガス拡散容器3を備える。
ガス混合容器2は、円筒形状のガス混合室2aを形成すると共に、このガス混合室2aに第1のガスを導入する第1のガス導入パイプ4と、ガス混合室2aに第2のガスを導入する第2のガス導入パイプ5、及び後述するガス取出パイプ6が設けられている。
【0013】
第1及び第2のガス導入パイプ4、5は、ガス混合容器2の左右両側に分かれて設けられ、且つガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置され、それぞれのガス導入口4a、5aがガス混合室2aの円筒内周面に開口している(図2参照)。
ガス拡散容器3は、ガス混合容器2の上部に配置され、ガス混合室2aと整流格子7を介して天地方向に連通するガス拡散室3aを形成している。
このガス拡散室3aは、ガス混合室2aより内径が大きい円筒形状を有し、且つ天地方向の高さがガス混合室2aより大きく設定されている。
【0014】
整流格子7は、例えば図1(b)に示す様に、薄い金属板の全面に多数の小孔7aが均一に開口して設けられたもので、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口に配置されている。なお、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口は、ガス混合室2aの内径と同一に設けられている。
ガス取出パイプ6は、ガス拡散室3aからガスを取り出すためのパイプで、図1に示す様に、ガス混合容器2と整流格子7の中央部を挿通して設けられ、上端開口部(ガス取出口6a)がガス拡散室3aの上部に開口し、下端側がガス混合容器2の底面を貫通して外部に取り出されている。
【0015】
次に、ガス混合装置1の作用を説明する。
第1及び第2のガス導入パイプ4、5を通ってガス混合室2aに導入された第1のガスと第2のガスは、図2に示す様に、それぞれガス混合室2aの円筒内周面に沿って流れながら渦流を発生して互いに混ざり合い、その後、ガス混合室2aから整流格子7に設けられた多数の小孔7aを通過してガス拡散室3aへ流入する。
ガス拡散室3aに流入したガスは、拡散しながらガス拡散室3aの上方へ押し流され、ガス拡散室3aの上部に開口するガス取出口6aよりガス取出パイプ6に流入して外部に取り出される。
【0016】
(第1実施例の効果)
本実施例のガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入パイプ4、5が、ガス混合室2aの円筒中心からオフセットした位置に配置されている。これにより、ガス混合室2aに流入した第1のガスと第2のガスが、共に渦流を生じながら混ざり合うことで、第1のガスと第2のガスとの混合が促進される。
また、ガス混合室2aとガス拡散室3aとの連通口に整流格子7を配置しているので、ガス混合室2aからガス拡散室3aへガスが流入する際に、整流格子7に設けられた多数の小孔7aをガスが通過することでガスの流れが整流され、濃度の偏りを少なくできる。
【0017】
更に、ガス拡散室3aは、ガス混合室2aに対し天地方向に連通しているので、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス混合室2aに流入するガスの流れ方向と、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入するガスの流れ方向とが大きく変化する。また、ガス拡散室3aの内径が第1及び第2のガス導入口4a、5aの内径より充分に大きく設けられているので、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス混合室2aに流入する時のガス流速より、ガス混合室2aからガス拡散室3aへ流入する時のガス流速の方が大きく低下する(例えば第1及び第2のガス導入口4a、5aから同じ流量が出ている場合に、第1及び第2のガス導入口4a、5aの内径に対してガス拡散室3aの内径が10倍であれば、ガス流速は略1/50まで低下する)。この結果、ガス拡散室3aへ流入したガスが拡散されて混ざり合う時間を稼ぐことができるので、拡散が進行して濃度のばらつきを低減でき、均一に混合したガスを得ることができる。
【0018】
また、ガス取出口6aがガス拡散室3aの上部に開口しているので、ガス拡散室3aに流入したガスがガス取出口6aに到達するまでの時間が長くなる。その結果、ガスの拡散が充分に行われるため、拡散によるガスの混合が促進されて、より均一に混合したガスを取り出すことができる。
以上の様に、本実施例のガス混合装置1は、第1及び第2のガス導入口4a、5aからガス取出口6aまでの流路長を直線的に設ける必要がないので、装置全体を小型化することができ、且つ従来のガス混合装置と比較しても、濃度の偏りが極めて少なく、均一に混合したガスを得ることができる。
【0019】
なお、第1及び第2のガス導入パイプ4、5は、第1のガス及び第2のガスがガス混合室2aで渦流を発生しながら混ざり合うことができる様に配置されていれば良い。従って、図2に示した配置に限定される必要はなく、例えば図3に示す様に、ガス混合容器2の同一側面に第1及び第2のガス導入パイプ4、5を設けて、それぞれガス混合室2aの中心に対してオフセットした位置に配置することも可能である。
また、第1のガスと第2のガスが、例えば水素ガスと窒素ガスのように密度が離れている場合は、水素ガスが窒素ガスと充分混合する前に浮力によってガス取出口6aに到達することが考えられるため、図1に示すガス混合装置1を上下逆向きにして使用することが望ましい。
【0020】
(第2実施例)
図4はガス混合装置1の断面図(a)と整流格子7の平面図(b)である。
本実施例のガス混合装置1は、ガス拡散室3aに蛇行状の折り返し流路8を設けた場合の一例である。
ガス拡散室3aには、図4に示す様に、ガス混合室2aから流入した混合ガスが天地方向(図4の上下方向)に折り返しながら蛇行状に流れる折り返し流路8が設けられ、この折り返し流路8の下流端にガス取出口6aが開口している。
【0021】
この構成によれば、ガス拡散容器3の大きさを拡大することなく、第1実施例の場合と同じ大きさのまま、ガス拡散室3aに流入したガスがガス取出口6aに到達するまでの流路長を長く形成できる。その結果、ガスの拡散が更に進行して、拡散によるガスの混合が促進されるので、より均一に混合したガスを得ることができる。
なお、整流格子7は、折り返し流路8を流れるガスが整流格子7の小孔7aを通ってガス混合室2aに逆流しない様に、折り返し流路8の外側だけに多数の小孔7aが設けられている(図4(b)参照)。
【0022】
(第3実施例)
図5はエンジン吸気系の評価装置を示す全体構成図である。
このエンジン吸気系の評価装置は、成分調整されたガソリン蒸気を発生し、そのガソリン蒸気を評価対象9(例えばキャニスタ)に導入して性能を評価するものであり、図5に示す様に、ガス発生装置10、ガス供給装置11、ガス混合装置1、及び可燃ガス測定装置12より構成される。
【0023】
A)ガス発生装置10は、図6に示す様に、温度コントロールされたガソリンに対しバブリングを行うことで、C8以上の重質成分が含まれるガソリン蒸気を発生させる装置である。なお、バブリングとは、ガソリン中に気泡を発生させて、ガソリン蒸気の飽和状態を崩すことにより、ガソリンを蒸発させることを言う。このガス発生装置10は、ガソリンを貯留する燃料タンク13(半密閉容器)と、この燃料タンク13の内部に挿入される複数本の多孔管14、この多孔管14に接続されるガス導入管15、このガス導入管15に設けられる小流量計16と大流量計17、燃料タンク13内のガソリン温度を調整する温度調整手段(後述する)等を備える。
【0024】
燃料タンク13の上面には、タンク内で発生したガソリン蒸気を取り出す蒸気取出口13aが設けられ、この蒸気取出口13aとガス供給装置11に使用されるインジェクタ18とがガス供給管19によって連結されている。
多孔管14は、略L字状に屈曲成形されて、その屈曲部から先端までの直線部分に多数の小孔14aが管壁を貫通して設けられている。この多孔管14は、燃料タンク13の上面中央部に開口する開口部から燃料タンク13内に挿入されて、多数の小孔14aを有する直線部分がガソリン中に浸って配置され、燃料タンク13の開口部を閉塞するフランジ20に支持されている。
【0025】
ガス導入管15は、下流側が多孔管14の本数(図6では2本)に応じて分岐され、フランジ20を介してそれぞれ多孔管14に接続されている。一方、ガス導入管15の上流側は、大流量計17を有するガス導入ライン15aと、小流量計16を有するガス導入ライン15bとに分岐して設けられ、ガソリンと化学反応を生じない窒素ガス(N2 )が封入されたガスボンベ(図示しない)にそれぞれ接続されている。
【0026】
小流量計16と大流量計17は、それぞれガス流量を可変する弁部材(図示しない)を内蔵し、その弁開度がコンピュータ21にて制御される。
なお、小流量計16は、実際にエンジン吸気系の評価を行う段階で使用されるもので、ガソリン蒸気の発生によりガソリン成分自体に大きな変化を及ぼさない程度のガス流量を調整する。一方、大流量計17は、エンジン吸気系の評価を行う前に、ガソリン性状を調整する段階で使用されるもので、ガソリン性状に影響が出るほどの蒸発を誘引するガス流量を調整する。
【0027】
このガス発生装置10では、ガソリン蒸気の発生による気化熱で燃料タンク13内の温度が低下してガソリン性状の調整結果に影響を及ぼすことが考えられる。そこで、燃料タンク13内のガソリン温度を調整する温度調整手段が設けられている。
その温度調整手段は、燃料タンク13内のガソリン温度を検出する温度センサ22と、燃料タンク13内のガソリン中に配置されるヒータ23、このヒータ23を加熱して燃料タンク13内のガソリン温度を一定に保つ温調器24より構成され、この温調器24がコンピュータ21に接続されている。
【0028】
次に、バブリングの実施方法について説明する。
まず、バブリングに使用される窒素ガスの導入量を決定する。
この窒素ガス量は、ガソリン蒸気中に含まれるC8以上成分の濃度比(%)を選択し、この濃度比に対応するガソリン蒸発率から決定される。即ち、C8以上の重質成分は、図7に示す様に、ガソリン蒸発率が高くなる程、蒸気中に含まれる濃度比が大きくなる。また、ガソリン蒸発率は、図8に示す様に、バブリングに使用される窒素ガス量が増大する程、比例的に高くなる相関を有している。従って、図7に示す特性図より、C8以上の重質成分が蒸気中に含まれる濃度比からガソリン蒸発率を求め、更に、図8に示す特性図より、前のガソリン蒸発率から窒素ガス量を決定している。
【0029】
その後、大流量計17によりガス流量を調整して多孔管14に窒素ガスを導入し、多孔管14の小孔14aからガソリン中に気泡を放出させてガソリンを蒸発させる。ここでは、ガソリンの成分調整を短時間で行うために、先に決定された窒素ガス量の大部分(例えば80%)を大流量計17により導入する。
なお、この段階(ガソリン性状を調整する段階)で発生するガソリン蒸気は、ガソリン成分が大きく変化してエンジン吸気系の評価に使用できないので、排気処理することが望ましい。これに対し、本実施例では、図6に示す様に、ガス供給管19に三方弁25を介して排気設備26(例えばキャニスタ)を接続し、三方弁25を排気設備26側に開くことで、発生したガソリン蒸気を排気処理している。
【0030】
大流量計17により窒素ガス量の大部分を導入した後、大流量計17から小流量計16に切り換えて残りの窒素ガスを導入する。この時、燃料タンク13内で発生したガソリン蒸気がガス供給管19を通ってインジェクタ18へ送られる様に、三方弁25をインジェクタ18側に開く。
この小流量計16により多孔管14に導入されるガス流量は、大流量計17のガス流量より大幅に少なく(例えば1/10)、ガソリン蒸気の発生によってガソリン成分自体に大きな変化を及ぼさないため、エンジン吸気系の評価に悪影響を与えることはない。
【0031】
B)ガス供給装置11は、上記のガス発生装置10にて成分調整されたガソリン蒸気を必要量コントロールしてガス混合装置1に供給するもので、図9に示す様に、ガソリン蒸気を噴射するガス用インジェクタ18と、このインジェクタ18を駆動する駆動回路27とを備え、この駆動回路27をコンピュータ21により制御してインジェクタ18の噴射量(ガス濃度)をコントロールしている。
コンピュータ21は、インジェクタ18の開時間と駆動周波数および燃料タンク13の内圧(タンク内圧と呼ぶ)に基づいてガス供給量を制御する。
【0032】
以下に、インジェクタ18の駆動方法を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
Step100 …タンク内圧(設定圧Po と呼ぶ)を決定する。ここでは、予め算出されたインジェクタ噴射量から図11に示す変換テーブルを用いて設定圧Po が決定される。なお、図11に示す変換テーブルは、タンク内圧Pとインジェクタ噴射量Qs との関係を予め実測して作成したもので、コンピュータ21のメモリに記憶されている。
上記のインジェクタ噴射量Qs は、ガス混合装置1から評価対象9に供給される供給ガス流量Qと、その供給濃度Dとから算出される。
【0033】
Step110 …現在のタンク内圧Pを制御する。具体的には、ガス供給管19に接続された分岐管19aにバルブ28が設けられており、このバルブ28の開閉動作によって制御される。なお、バルブ28の下流側には絞り弁29が設けられており、バルブ28を開いた時にタンク内圧が急激に低下しない様に、絞り弁29の開度が調整されている。
Step120 …タンク内圧Pが(設定圧Po −ΔP)より大きいか否かを判定する。タンク内圧Pは、例えばガス供給管19に接続される圧力計30(図9参照)にて測定できる。なお、圧力計30の接続位置は、バルブ28を有する分岐管19aの接続位置より上流側(燃料タンク13側)であることは言うまでもない。
この判定結果がYES の時、つまりタンク内圧Pが設定圧Po より高い場合は、Step110 へ戻ってバルブ28を開弁する。
【0034】
Step130 …現在のタンク内圧Pが(設定圧Po +ΔP)より小さいか否かを判定する。この判定結果がYES の時、つまりタンク内圧Pが設定圧Po より低い場合は、Step110 へ戻ってバルブ28を閉弁する。
Step140 …タンク内圧Pが設定圧Po に維持された状態で、単位時間当たりのインジェクタ開時間をτ・fave にセットする。
このτ・fave について説明する。インジェクタ駆動周期での開時間τ(sec) 、駆動周波数f(Hz)とすると、単位時間当たりのインジェクタ開時間はτ・f(sec) となる。そこで、予めインジェクタ18のτ・fでダイナミックレンジの平均値を決めておき、この値をτ・fave とする(図11参照)。
【0035】
Step150 …Step140 でセットされたτ・fave でインジェクタ18を駆動する。
Step160 …τ・fave でインジェクタ18より噴射されるガソリン蒸気の濃度(実濃度Ds )が設定濃度より大きいか否かを判定する。なお、実濃度は、図示しない濃度センサにて検出され、コンピュータ21に出力される。
この判定結果がNOの時、つまり実濃度が設定濃度以下の場合はStep170 へ進み、判定結果がYES の時はStep180 へ進む。
【0036】
Step170 …実濃度が設定濃度より小さいか否かを判定する。この判定結果がNOの時、つまり実濃度が設定濃度と一致する場合は、本処理を終了して再度Step100 へ戻り、判定結果がYES の時はStep190 へ進む。
Step180 …τ・fを減少してStep200 へ進む。
Step190 …τ・fを加算してStep200 へ進む。なお、Step180 及びStep190 では、τのみ、あるいはfのみを変更しても良いし、両方を変更しても良い。
Step200 …Step180 またはStep190 でセットされたτ・fにてインジェクタ18を駆動する。
【0037】
上記の制御方法によれば、タンク内圧Pが設定圧Po にコントロールされた状態でインジェクタ開時間τ・fを調整しているので、噴射量の異なるインジェクタ18を複数本使用する必要がなく、1本のインジェクタ18で広いダイナミックレンジをカバーできる。その結果、インジェクタ18の駆動回路27や噴射量マップ等を最小限に抑えることができるので、制御に要する負担を軽減できる。
【0038】
C)ガス混合装置1は、第1実施例または第2実施例で説明した装置であり、インジェクタ18から噴射されるガソリン蒸気(第1のガス)と、流量計31(図5参照)にて流量調整された窒素ガス(第2のガス)とを均一に混合して所望のガソリン蒸気濃度に調整している。
このガス混合装置1の構成及び作動は、第1実施例及び第2実施例に記載した通りであり、ここでの説明は省略する。
【0039】
ガス混合装置1から評価対象9に送られるガソリン蒸気は、濃度センサ32により濃度が保証され、且つ流量計33(図5及び図9参照)にて流量計測される。なお、濃度センサ32は、ガソリン蒸気と酸素との酸化反応を検出する接触燃焼式センサであり、図9に示す様に、バッファ34に蓄えられたガソリン蒸気に絞り弁35によって流量調整された支燃ガス(例えばエア)を混合して酸素濃度を調整した後、ポンプ36にて濃度センサ32に導入される。
【0040】
この濃度センサ32で測定されるガソリン蒸気の濃度(検出濃度D′)は、以下の数式より算出される。
なお、インジェクタ18より噴射されるガソリン蒸気の実濃度Ds(ppm)、インジェクタ噴射量Qs(NmL/min)、ガス供給装置11に導入される窒素ガス流量QN(NmL/min)、絞り弁35を通じて供給される支燃ガスの供給流量Qa(NmL/min)、ポンプ36の吸引流量Qp(NmL/min)とする。
D′={Ds ・Qs /(Qs +QN )}×(Qp −Qa )/Qp
また、ガス混合装置1から評価対象9に送られる供給ガス流量Q、及び供給濃度Dは、それぞれ以下の式で求められる。
Q=Qs +QN −Qp +Qa
D=Ds ・Qs /(Qs +QN )
【0041】
D)可燃ガス測定装置12は、評価対象9を通過した極低流量の試験ガソリン蒸気の濃度を測定する装置であり、図12に示す様に、試験ガソリン蒸気をサンプリングするサンプリング通路37と、このサンプリング通路37に設けられるバッファ38、支燃ガス(例えばエア)を導入するエア通路39、このエア通路39に設けられるバッファ40、サンプリング通路37とエア通路39とを連通する第1の連通路41と第2の連通路42、この第2の連通路42に設けられる濃度センサ43とポンプ44等より構成される。
【0042】
サンプリング通路37には、評価対象9とバッファ38との間に三方弁45が設けられ、この三方弁45を介して排気通路46が分岐接続されている。また、バッファ38の下流側にはバルブ47が設けられ、このバルブ47より下流側が大気に開放されている。
バッファ38は、評価対象9を通過してサンプリング通路37を流れる試験ガソリン蒸気を所定量蓄えることのできる容器である。
エア通路39には、バッファ40の上流側と下流側とにバルブ48と流量調整用の絞り弁49及びバルブ50が設けられ、このバルブ50より下流側が大気に開放されている。
バッファ40は、エア通路39を流れる支燃ガスを所定量蓄えることのできる容器である。
【0043】
第1の連通路41は、一端がサンプリング通路37の三方弁45とバッファ38との間に接続され、他端がエア通路39の絞り弁49とバッファ40との間に接続されてサンプリング通路37とエア通路39とを連通している。この第1の連通路41には、バルブ51が設けられている。
第2の連通路42は、一端がサンプリング通路37のバッファ38とバルブ47との間に接続され、他端がエア通路39のバッファ40とバルブ50との間に接続されてサンプリング通路37とエア通路39とを連通している。この第2の連通路42には、バルブ52とバルブ53が設けられている。
【0044】
濃度センサ43は、接触燃焼式センサであり、第2の連通路42のバルブ52とバルブ53との間に配置され、第2の連通路42を流れるサンプルガス(試験ガソリン蒸気+支燃ガス)の濃度を測定してコンピュータ21に出力する。
ポンプ44は、例えば第2の連通路42のバルブ52と濃度センサ43との間に設けられ、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとを混合させて、そのサンプルガスを濃度センサ43に導入する働きを有する。
【0045】
次に、可燃ガス測定装置12の作動を説明する。
なお、この可燃ガス測定装置12は、試験ガソリン蒸気と支燃ガスとをそれぞれバッファ38及びバッファ40に蓄えるガスサンプルモードと、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとを混合して濃度センサ43にて濃度を測定する計測モードが設定され、三方弁45及びバルブ47、48、50〜53の切り換えによって何方か一方のモードを選択できる。
【0046】
a)ガスサンプルモード
三方弁45をCOM−NO側に開くと共に、バルブ47、48、50を開き、バルブ51、52、53を閉じて、エア通路39に支燃ガスを導入する。
これにより、評価対象9を通過した極低流量の試験ガソリン蒸気がサンプリング通路37に導入されてバッファ38に蓄えられ、エア通路39に導入された支燃ガスがバッファ40に蓄えられる。このガスサンプルモードでは、前回の計測モード時に残っているサンプルガスをパージする必要がある。そこで、ガスサンプル時間は、経験的に、試験ガソリン蒸気がバッファ38に充満する時間の3〜5倍で設定すると良い。
【0047】
b)計測モード
三方弁45をCOM−NC側に開き、バルブ47、48、50を閉じて、バルブ51、52、53を開く。また、支燃ガスの供給を停止して、ポンプ44をONする。
これにより、第1の連通路41と第2の連通路42とを介してバッファ38とバッファ40とを循環する閉流路が形成されるため、ポンプ44の働きによって、バッファ38に蓄えられた試験ガソリン蒸気とバッファ40に蓄えられた支燃ガスとが混ざり合い、濃度センサ43で測定可能な酸素濃度(約5vol %以上)まで混合されると、濃度センサ43に出力が生じてコンピュータ21に送られる。
【0048】
なお、評価対象9を通過した試験ガソリン蒸気は、三方弁45から排気通路46に導入されて大気に放出されるので、計測モード中に試験ガソリン蒸気が停滞することはない。
コンピュータ21は、出力の変動が略停止した時点でサンプルガスの濃度が安定したものと判断してガスサンプルモードに移行する。また、評価対象9から計測可能レベルの試験ガソリン蒸気が出てこないことを考え、一定時間経過後、出力のない場合は、タイムアウトとしてガスサンプルモードへ移行する。
【0049】
この可燃ガス測定装置12では、ガスサンプルモードでサンプリングした一定量の試験ガソリン蒸気を支燃ガスと混ぜ合わせて濃度センサ43で測定可能な酸素濃度まで混合させることにより、濃度センサ43として、少量のサンプルガスを測定する目的に適した接触式燃焼センサを用いることができる。
上述したエンジン吸気系の評価装置によれば、評価試験に必要なガソリン蒸気をガス発生装置10にて発生し、更にガス供給装置11とガス混合装置1にて所望の濃度に調整することにより、任意の濃度及び流量のガソリン蒸気を得ることができる。その結果、例えばキャニスタ(評価対象9)に使用される活性炭の破過を実車に近い状態で検出できる。なお、評価対象9としては、キャニスタ以外に、例えばエアクリーナ、ガスセンサ(車両で言えば、例えばA/Fセンサ)等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス混合装置の断面図(a)と整流格子の平面図(b)である(第1実施例)。
【図2】ガス混合容器の断面図(A−A断面図)である。
【図3】ガス混合容器の断面図(変形例)である。
【図4】ガス混合装置の断面図(a)と整流格子の平面図(b)である(第2実施例)。
【図5】エンジン吸気系の評価装置の全体構成図である(第3実施例)。
【図6】ガス発生装置の構成図である。
【図7】ガソリンの蒸発率による成分比を示すグラフである。
【図8】バブリングによるガソリン蒸発率を示すグラフである。
【図9】ガス供給装置の構成図である。
【図10】インジェクタの制御フロチャートである。
【図11】タンク内圧とインジェクタ噴射量との関係を示す変換テーブルである。
【図12】可燃ガス測定装置の構成図である。
【符号の説明】
1 ガス混合装置
2a ガス混合室
3a ガス拡散室
4a 第1のガス導入口
5a 第2のガス導入口
6a ガス取出口
7 整流格子(整流手段)
8 折り返し流路
9 エンジン吸気系の評価対象
10 ガス発生装置
11 ガス供給装置
12 可燃ガス測定装置
Claims (7)
- 内周面に第1及び第2のガス導入口が開口し、その第1及び第2のガス導入口より導入された第1のガスと第2のガスとを混合させるガス混合室と、
このガス混合室に連通して設けられ、前記ガス混合室より流入したガスを拡散させるガス拡散室と、
このガス拡散室から均一に混合したガスを取り出すガス取出口とを有するガス混合装置であって、
前記ガス拡散室は、前記ガス混合室と天地方向に連通して設けられ、且つ前記ガス混合室との連通口が、前記第1及び第2のガス導入口より充分に大きい内径を有していることを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1に記載したガス混合装置において、
前記第1及び第2のガス導入口は、前記ガス混合室の中心に対しオフセットした位置に開口していることを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1に記載したガス混合装置において、
前記ガス混合室に流入した前記第1のガス及び第2のガスに渦流を生じさせる案内板を前記ガス混合室内に設置したことを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1〜3に記載した何れかのガス混合装置において、
前記ガス混合室と前記ガス拡散室との間に、前記ガス混合室から前記ガス拡散室へ流入するガスの流れを整流する整流手段を設けたことを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
前記ガス取出口は、前記ガス混合室と前記ガス拡散室との連通口から天地方向に離れた位置に設けられていることを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1〜4に記載した何れかのガス混合装置において、
前記ガス拡散室は、前記ガス混合室から流入したガスが天地方向に折り返しながら流れる折り返し流路を有し、この折り返し流路の下流端に前記ガス取出口が設けられていることを特徴とするガス混合装置。 - 請求項1〜6に記載した何れかのガス混合装置で濃度調整された混合ガスをエンジン吸気系の評価対象に導入して評価試験を行うエンジン吸気系の評価装置であって、
前記ガス混合装置は、前記第1のガスであるガソリン蒸気を前記第2のガスとの混合により必要なガソリン蒸気濃度に調整することを特徴とするエンジン吸気系の評価装置。
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---|---|---|---|
JP2002260202A JP2004097878A (ja) | 2002-09-05 | 2002-09-05 | ガス混合装置及びこのガス混合装置を用いたエンジン吸気系の評価装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010110663A (ja) * | 2008-11-04 | 2010-05-20 | Koike Sanso Kogyo Co Ltd | ガス混合装置 |
JP4563496B1 (ja) * | 2009-10-22 | 2010-10-13 | 株式会社H&S | 微細気泡発生装置 |
JP2020156379A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 株式会社丸昇農材 | 液肥混合器 |
-
2002
- 2002-09-05 JP JP2002260202A patent/JP2004097878A/ja not_active Withdrawn
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JP4563496B1 (ja) * | 2009-10-22 | 2010-10-13 | 株式会社H&S | 微細気泡発生装置 |
JP2011088079A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-05-06 | H&S Co Ltd | 微細気泡発生装置 |
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