JP2004097433A - X線ct装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構の加減速力が低下することなく、スキャナ回転時の加速性能を安定化し、撮影の繰り返し時間の短縮を図る。
【解決手段】X線照射手段とX線検出手段を搭載して被検者の周りを回転させる回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段とによりダイレクトドライブ方式によるスキャナを構成する。前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線を有し、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、前記固定子巻線の結線を切り替える結線切替手段と、前記速度検出手段で検出した前記回転子の回転速度信号にもとづき、前記結線切替手段に前記固定子巻線の結線を切り替える切替制御信号を出力する第一の制御手段とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】X線照射手段とX線検出手段を搭載して被検者の周りを回転させる回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段とによりダイレクトドライブ方式によるスキャナを構成する。前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線を有し、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、前記固定子巻線の結線を切り替える結線切替手段と、前記速度検出手段で検出した前記回転子の回転速度信号にもとづき、前記結線切替手段に前記固定子巻線の結線を切り替える切替制御信号を出力する第一の制御手段とを具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線CT装置に係わり、特にダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構の加減速力を増大して撮影の繰り返し時間の短縮を可能とするX線CT装置に関する。
【0002】
【従来技術】
X線CT装置は、X線管から扇状のX線ビームを被検体に照射し、該被検体を透過したX線を前記X線管と対向する位置に配置したX線検出器で検出し、この検出したデータを画像処理して前記被検体の断層像を得るものである。
前記X線検出器は、円弧状に配列された数百にも及ぶ検出素子群で構成され、被検体を挟んでX線管に対向して配置されており、検出器素子の数に対応した数の放射状に分布するX線通路を形成し、X線管と検出器が一体となって被検体の周りを少なくとも180度以上回転させて一定の角度ごとに被検体の透過X線を検出する。
【0003】
このX線CT装置において、近年、“短時間で広い範囲のスキャンが可能”、“体軸方向に連続したデータが得られ、これによって三次元画像の生成が可能になる”などの特徴により、ヘリカルスキャンやスパイラルスキャンと呼ばれるら旋CTが急速に普及した。
【0004】
このら旋CTは、上記X線管とX線検出器を被検体の周りに連続して回転させると共に被検体を載置した天板を移動させることで広範囲に亘る多層の断層像データを計測して、このデータにより画像を再構成することによって三次元のCT画像と撮影にかかる時間を大幅に短縮することを可能としたものである。
【0005】
すなわち、X線CT装置は、通常は複数のユニットから構成され、X線管とX線検出器を被検体の周りに回転させて前記被検体を透過したX線データを計測するスキャナと、前記被検体を載置する天板を備えた被検体テーブルと、前記スキャナで計測したデータを画像処理して再構成画像を生成する画像処理装置と、この画像処理装置で再構成した画像を表示する画像表示装置と、各種の操作指令を入力する操作卓及びシステム全体を制御するシステムコントローラ等から構成されている。この中で、スキャナは、被検体にX線を照射するX線照射手段であるX線管と、このX線管から放射されたX線をファンビーム状にコリメートするコリメータと、X線管を冷却する冷却装置と、X線管に高電圧を印加するための高電圧発生装置と、被検体を透過したX線を検出する多チャンネルのX線検出器と、このX線検出器の微弱な電気的出力を増幅する増幅器と、これらを支持して中央に被検者を位置させるため円形の穴(開口部)を設けた回転部材と、この回転部材を回転自在に支持するフレームと、このフレームに固定され上記回転部材の回転動作をなさせる減速機とモータ、及び前記回転部材と減速機出力軸を連結するベルト(通常は歯付きベルトが用いられる)等から構成される。このような構成のスキャナにおいて、前記モータを回転させると、モータ出力軸の回転動力は減速機を介して減速され、ベルトを介して上記回転部材と連結され、X線管とX線検出器が被検者の周囲を回転して、所定角度毎のX線投影データを取得(撮影、またはスキャンと呼ぶ場合がある)するようになっている。X線管や高電圧発生ユニット等を搭載した回転部材は、カウンターウエイト搭載が可能であるため回転軸周りの質量バランスを得ることは容易であり、かつ高速始動の必要もなく、概ね一定の速度で回転すれば良いことから、モータはオープンループ制御による誘導モータを用いることが多い。このように、X線CT装置においては、ら旋CTの普及により診断技術は格段に進歩したが、さらに心臓等の動きのある臓器に対する撮影の要求も生じて来ている。
【0006】
この要求に応えるためには、X線管とX線検出器の回転速度を上げてスキャン時間を短縮する必要がある。すなわち、上記スキャナの回転部材の回転速度を上げなければならない。このスキャン時間は、心臓以外の臓器では1s/回転でも問題はないが、心臓等の動きのある臓器では、前記の1s/回転では不足であり、0.7s/回転から0.5s/回転へ、さらには0.3s/回転といった高速回転の短時間スキャンが求められる。
【0007】
しかし、上記のスキャナ回転駆動機構を用いて0.7s/回転以下の高い回転速度で回転させると、歯付きベルトによる風切り騒音が70dBを越える。X線CT装置は、静粛さが要求される病院内の検査室で使用されることから、上記騒音は被検者及び操作者にとっては耳障りなものとなり静粛な駆動方式が望まれる。この騒音問題を解決し、高速回転を図るには、減速機やベルトを介して回転部材を回転させるのではなく、前記回転部材そのものをモータの回転子とする、いわゆるダイレクトドライブ方式を利用する必要がある。
このようなダイレクトドライブ方式として、特許文献1に記載されたものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−159487号公報(第3−4頁)。
【0009】
これは、スキャナ回転部材を回転子とし、この回転子に回転子鉄心と複数の導体とを設けてこれらの導体を短絡環に接続し、該回転子を挟み対峙する位置に配置した少なくとも1組の固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子とを有し、前記固定子巻線に3相交流電流を流して回転磁界を発生させ、この回転磁界により前記回転子を回転させる構成である。この構成によれば、減速機を使用せず、直接、X線管球とX線検出器を搭載した回転部を回転することができるので、低騒音でかつ高速回転が可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のダイレクトドライブ方式は、コンパクトで低騒音という特徴があるが、次のような課題が残されている。すなわち、固定子と回転子の間で発生する電磁力は、回転子表面で発生し、最終的に力、熱となって回転子、固定子の温度を上げる。回転子表面で発生する電磁力は、固定子の巻線を流れる磁化電流によって変化し、回転子が所定の回転速度に到達するまでの加速時間を短縮するためには、固定子の巻線により多くの磁化電流を流す必要がある。この磁化電流は、固定子巻線に印加する電圧を大きくする方法の他、固定子巻線のインピーダンスを小さくすることにより大きくすることができる。しかし、その反面、無負荷時の電流が増大し、同時に回転子の定格回転速度での電流も増加するため、効率が非常に悪く、前記固定子巻線に印加する三相交流電圧を発生させるためのインバータ回路の電流容量も大きくする必要がある。また、固定子の巻線を流れる磁化電流は、そのジュール熱によって、巻線と鉄心の温度を上げるため、スキャナ回転の加速が終了して一定速度で回転する状態になっても、固定子及び固定子巻線の温度がさらに上昇する状態が続く。固定子巻線の温度が高い状態が続くと、熱による巻線の絶縁破壊や固定子の焼損を招く恐れがあり、長時間の連続回転が難しくなる。
【0011】
以上のようなことから、固定子巻線のインピーダンスを小さくすることで、固定子の巻線に多くの磁化電流を流して大きい電磁力を得ようとすると、加速時間が短縮する反面、定格回転の状態でも、固定子巻線の熱発生が大きく、また、電流容量の大きいインバータ回路が必要となる。さらに、X線CT装置の1スキャンは、加速時間、一定回転で回転する撮影時間、回転子を停止するための減速時間及び次の撮影開始までの休止時間とからなり、この休止時間により、回転中に発生した固定子巻線や回転子の熱を放熱し、スキャナ内の温度は下がる。しかし、このスキャナ内の温度は前記休止時間内では十分に下がらず、この状態でスキャンを繰り返すと、スキャナ内の温度が上昇し、異常に高くなる。
【0012】
このように、スキャナ内の温度が上昇すると、固定子巻線インピーダンスが大きくなって前記固定子巻線に流れる電流が小さくなり、これによって回転子で発生する推力が減少して、一定時間内にスキャン速度に到達できなかったり、回転子の回転速度がスキャン速度に到達しないなどにより所望の断層画像を得られないことが懸念される。
【0013】
以上のような問題に対し、回転子を停止させる休止時間を長くとって、回転子の温度が基準温度以下になるまで、回転動作をさせないで、回転子の温度を下げる方法がある。
【0014】
しかし、休止時間を長くとると、繰り返し撮影を行う時間間隔が長くなるために、1日の限られた検査時間内で撮影できる回数が少なくなり、不利であることから、長い休止時間を設定するには限度がある。また、X線CT装置では、回転中にX線を照射するために、X線管球やX線高電圧装置から多量の熱が発生し、装置内部の温度が上昇する。そのため、X線CT装置には、装置内部の熱を排気するための吸入口と排気口、及び空気の吸入、排気をするためのファンがあり、装置内部の熱と一緒に、回転子で発生した熱を外部へ排気させて、回転子の温度上昇を防ぐ方法も考えられる。また、回転子の温度を早くさげるには、排気口やファンのサイズを大きくしたり、ファンの設置台数を増やしたりして、装置の熱排気能力を大きくする必要がある。しかし、スキャナを構成する上で排気口やファンを大きくすることには限界があり、ファンの設置台数についても、ファンの回転騒音やコストの点などからも限度がある。また、スキャナ回転の加速時間を短縮するために、電流容量の大きいインバータ回路を設けることにも、前記と同様に、スキャナに搭載するスペースやコストの点などから限度がある。
【0015】
以上のことから、一連の撮影における休止時間を長くしないで、ファンによる冷却能力を大きくせずとも、特開2002−159487号公報に開示されているダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構によるスキャナ回転時の加速や減速時間が長くならい方法が求められていた。
【0016】
そこで、本発明の目的は、ダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構の加減速力が低下することなく、スキャナ回転時の加速性能を安定化し、撮影の繰り返し時間の短縮を可能とするX線CT装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の手段によって達成される。
(1)X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線を有し、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、前記固定子巻線の結線を切り替える結線切替手段と、前記速度検出手段で検出した前記回転子の回転速度信号にもとづき、前記結線切替手段に前記固定子巻線の結線を切り替える切替制御信号を出力する第一の制御手段とを具備する。
【0018】
このように構成することによって、速度検出手段により回転子がスキャン速度に到達したことを検出後、この速度検出信号を第一の制御手段にフィードバックし、スキャン速度を維持したまま前記第一の制御手段から結線切替手段へ切替制御信号を出力して固定子巻線の結線を変更する。例えば、二組のY結線の固定子巻線を備えた場合には、スキャナ回転の加速時と減速時は前記二組のY結線の固定子巻線を並列にして加速力(推力)と減速力を大きくして短時間で加速、減速させ、スキャン速度に到達した時は前記二組のY結線の固定子巻線を直列にして該固定子巻線に流れる電流を低減させる。これによって、スキャナ回転の加減速時の加減速力が大きくなって加減速時間が短縮され、またスキャン時の定格回転時の電流が低減して発熱が抑制される。
【0019】
(2)X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線とから成り、前記回転磁界発生用電源は前記固定子巻線の個々に対応して備え、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段で検出した回転子の回転速度信号と前記回転磁界発生用電源の動作周波数信号とにもとづいて、前記複数の回転磁界発生用電源間で該電源の動作周波数の同期同調をとって、前記複数の回転磁界発生用電源の動作を制御する第二の制御手段とを具備する。
【0020】
このように構成することによって、速度検出手段により回転子がスキャン速度に到達したことを検出後、この速度検出信号と前記回転磁界発生用電源の動作周波数信号とを第二の制御手段にフィードバックし、スキャン速度を維持したまま前記第二の制御手段から前記固定子巻線のうちの任意の巻線を選択する信号を前記回転磁界発生用電源におくり、この選択された回転磁界発生用電源から前記任意の固定子巻線に交流電流を供給してスキャナを回転駆動させる。例えば、四組のY結線の固定子巻線を備えた場合には、スキャナ回転の加速時と減速時は前記四組の固定子巻線に該固定子巻線に対応した回転磁界発生用電源から交流電流を供給して加速力(推力)と減速力を大きくして短時間で加速、減速させ、スキャン速度に到達した時は前記四組の固定子巻線のうちの一つの固定子巻線にこの固定子巻線に対応する回転磁界発生用電源から交流電流を供給して固定子巻線に流す電流を低減させる。これによって、スキャナ回転の加減速時の加減速力が大きくなって加減速時間が短縮され、またスキャン時の定格回転時の電流が低減して発熱が抑制される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図1〜図13を用いて詳細に説明する。
(1)一つの回転磁界発生用電源を用いる実施例
図1は一つの回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第一の実施例である。図に示すように、回転子1と、回転子を駆動する固定子2、3と、該固定子に三相交流電圧を印加する第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9の二組の固定子巻線を備え、これらの固定子巻線は回転磁界発生用電源装置としてのインバータ回路20が接続されて、このインバータ回路から前記固定子巻線へ任意周波数の三相交流電圧が印加される。切替回路10、11、12と、13、14と、15、16、17は制御回路19から出力する切替信号22、23、24により二組の固定子巻線間の接続や結線を変更する。回転子1に取り付けた速度センサ18は回転子の回転数を検出し、速度信号21として制御回路19に入力し、インバータ回路20から出力させる三相交流電圧の周波数と同期した信号が該インバータ回路の動作周波数信号25として制御回路19に入力する。制御回路19では、速度信号21、周波数信号25に基づき、固定子巻線の結線切替中の回転子の回転数が一定維持するように動作指令26と切替信号22、23、24をそれぞれ出力する。以上のような構成をもとに、図2、3、4、5、6を用いて、本発明の動作について説明する。図2はX線CT装置のスキャン時の運転パターンと固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。固定子巻線に電圧Vを印加すると(時間t1)、回転子が起動し、駆動電圧の増加と共に回転速度が増加する。
【0022】
そして、電圧Vが電圧Vmに到達後、電圧Vmを保ち、回転子はスキャン速度Pmに到達する(時間t2)。スキャン中はスキャン速度Pm を維持し、X線を患者に照射して撮影する。撮影終了後(時間t3)、電圧Vmを降下させて回転子の回転速度を落とし、停止する(時間t4)。この停止から一定の休止時間をおいた後(時間t1’)、再び固定子巻線に電圧を印加して、撮影を繰り返す。
【0023】
次に、図2で示した固定子巻線に印加する駆動電圧について、詳細に説明する。図3は制御回路19から出力される切替信号22、23、24により、固定子巻線の接続、結線を切替えて、回転子を駆動した時の固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。図3に示すように、スキャン開始時、制御回路19では、切替信号22はオフ(切断)、切替信号23、24はオン(接続)を出力し、Y結線の二組の固定子巻線4、5、6と7、8、9が並列に接続されて、この並列接続された固定子巻線にインバータ回路の出力電圧が印加されて回転磁界発生し、回転子は加速する。ここで、二組の固定子巻線を並列に接続するのは、並列接続したことによってインバータ回路の出力電圧Vが各巻線に等しく電圧Vとして印加されるため、巻線に流れる電流が最大となり、最大推力を発生することで、短時間で回転子を加速することができるからである。上記切替後、固定子に電圧Vが印加され、回転子が起動する(時間t1)。速度信号12がスキャン速度に到達すると(時間t2)、制御回路19により、インバータ回路20の周波数信号25により固定子巻線に印加中の電圧値Vを検出し、この電圧が零になった時、切替信号22、23、24を出力する。ここで、電圧Vを検出するのは、切替器に電流が流れた状態で切断すると、過渡的な逆起電力を発生して不適切な場合があるからである。これは、切替器の切替えるタイミングによって、一時的に回路が短絡した状態が生じるのを避けるためである。また、切替信号は、切替器10、11、12と、13、14と、15、16、17の全てが切断した状態を一時的に作った後、切替信号22をオン(接続)とし、切替信号23、24はオフ(切断)のままとする。これらの切替動作により、第一の固定子巻線4、5、6の中性点はなく、巻線4と7、巻線5と8、巻線6と9は接続され、第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9は直列接続された状態となる。第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9を直列に接続とすることで、インバータ回路の出力に接続される固定子巻線全体のインピーダンスが増加するため、前記固定子巻線に流れる電流が減少し、小さな電流で回転子を回転させることができる。次に、スキャン撮影の終了後(時間t3)、再び切替信号22をオンからオフ(接続)へ、切替信号23、24はオフからオン(接続)へ切り替える。この時の切替動作は、並列から直列接続に切替えた場合と同様に、インバータ回路20から出力される周波数信号25により固定子巻線に印加中の電圧値Vを検出して、この交流電圧Vが零になった時、切替信号22、23、24を出力する。そして、一時的に切替器10、11、12、13、14、15、16、17の全てが切断した状態を作った後、切替信号22をオフ(切断)、切替信号23、24をオン(接続)にする。この切替により、巻線4、5、6の中性点ができ、二組の固定子巻線4、5、6と7、8、9は並列に接続される。
【0024】
その後、固定子巻線に印加する電圧を下げて、回転子を停止させる(時間t4)。この減速時に、再び並列接続へ切替えたのは、回転子を短時間で減速するために、固定子巻線に流れる電流を最大にして、最大制動力を得るために行ったものである。このように、回転子を短時間で加速するために推力が必要な時は、二組の固定子巻線を並列接続とし、スキャン撮影中など、スキャン速度を維持する最小の推力で十分な場合は、直列接続として電流を低減する。そして、回転子を停止する時、もう一度、並列接続に切替え、最大制動力で短時間で停止させる。ここで、これまで述べてきた切替器の動作において、切替器10、11、12、13、14、15、16、17の全てが遮断した状態を一時的に作ることで、回路の短絡を防ぎ、確実に切替えができるが、インバータ回路20の出力電圧の印加を一時的に停止させ、電圧の印加を停止している間に切替器の切替を行うことも短絡を防ぐ有効な手段となる。いずれにしても、一時的に固定子巻線に電圧が印加されない状態ができるため、回転子が駆動されない場合が生じるが、X線CT装置では、回転子に搭載するX線管球、X線検出器、高電圧装置などの個々の重量が大きく、慣性モーメントが大きいため、巻線に電圧を印加する停止時間が短時間であれば、スキャン速度への影響は小さい。また、回転子を加速後、上記の切替を撮影開始するまでの期間に実施すれば、スキャン撮影中の問題はない。
【0025】
次に、これまでは固定子が2個の場合について説明してきたが、スキャン撮影中、スキャン速度が一定ではなく、可変にして即座にスキャン速度を変更して撮影するといった時、直列に接続した固定子巻線の構成では推力が小さく、短時間で速度を変えることが難しい場合、推力の大きい並列接続に切替える必要がある。このような場合、固定子を3個以上の構成とすることで、並列―直列接続の切替をスムーズにすることができる。以下、これについて説明する。図4は固定子が4個(固定子2、3、52、53)の場合の本発明の第二の実施例である。なお、固定子巻線については図示を省略したある。
【0026】
図4において、回転子1を起動する時、切替器54、57の結線は切断し、切替器57、59、55、56の結線を接続しておくことにで、4個の固定子2、3、52、53の巻線(図示省略の三相の固定子巻線で、以下、固定子巻線と呼ぶ)はインバータ回路20に並列に接続された状態となり、固定子巻線に電圧を印加すると、最も最大推力で加速し、短時間でスキャン速度に到達することができる。回転子がスキャン速度に到達後、固定子巻線を直列接続に切替えるが、ここでは、固定子2と3の巻線の結線を直列接続に切替え、また、固定子52と53の巻線の結線を直列接続に切替えるが、固定子2、3の巻線と固定子52、53の巻線の組み合わせ間では、並列のままとし、2並列2直列に変更した場合について説明する。回転子がスキャン速度に到達後、固定子2、3の巻線結線を直列接続とするために、制御回路20から切替信号22、23、24を一旦、オフとし、固定子2、3の巻線結線を切断する。切替器の切断によって、固定子2、3の巻線への電圧印加も停止するので、回転子全体で発生する電磁力が減少し、このまま放っておくと回転速度が低下する。しかし、固定子52、53の巻線は、並列接続したままで電圧が印加されているので、回転速度の低下に応じて、固定子52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを増加させてやれば、回転速度の低下を防ぐことができる。そこで、固定子2、3の巻線が並列接続から直列接続に切替える間、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、回転速度の低下量、すなわち、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf+Δfとすることで、回転速度の低下ΔVを補償して、回転速度を一定に保つことができる。これらのフィードバックをかけながら、切替信号22をオンに切替え、固定子2、3の巻線は直列接続となる。その後、固定子2、3の巻線に電圧を再度印加すると、一旦、減少した回転子全体の電磁力が増加する。このまま放っておくと回転速度が増加するため、今度は固定子2、3、52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを減少することで、回転速度の増加を防ぐことができる。したがって、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、回転速度の増加量、すなわち、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分−Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf−Δfとすることで、回転速度の増加ΔVを補償し、固定子2、3の巻線が直列接続後も、回転速度を一定に保つことができる。次に固定子52、53の巻線の結線を並列から直列の切替をする。切替は制御回路19から切替信号62、63、64を一旦、オフとし、固定子52、53の巻線の結線を切断する。切替器の切断により、固定子52、53の巻線への電圧印加が停止される、回転子全体で発生する電磁力が減少するが、固定子2、3の巻線は直列接続されてで電圧が印加されているので、固定子2、3の巻線に印加されている電圧の周波数fを増加させることで、回転速度の低下を防ぐことができる。したがって、固定子52、53の巻線が並列接続から直列接続に切替える間、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf+Δfとすることで、回転速度の低下ΔVを補償し、回転速度を一定に保つことができる。このフィードバックをかけながら、切替信号54をオンにすると、固定子52、53の巻線の結線は直列接続となる。そして、固定子52、53の巻線に電圧を再度印加すると、一旦、減少した回転子全体の電磁力が再び、増加する。このまま放っておくと回転速度が増加するので、固定子2、3、52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを減少させることで、回転速度の増加を防ぐ。速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分−Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf−Δfとすることで、回転速度の増加ΔVを補償し、固定子2、3の巻線が直列接続後も、回転速度を一定に保つ。以上のようにして、固定子2、3、52、53の巻線を4並列から2並列2直列に変更することができる。また、固定子巻線の結線切替は、同時に行うのではなく、個別に時間をずらして行うことで、回転速度を一定に保ったまま、確実に切替えることができる。
【0027】
以上これまでは、回転子が起動してスキャン撮影に入る時の固定子巻線の結線切替について説明してきたが、回転子の速度を加速する場合や減速する場合についても応用することができる。図5で示した固定子巻線の切替は、固定子2、3、52、53の巻線4個全てに電圧を印加し、最も短時間でスキャン回転数に到達できる最大推力で加速させた場合を示しているが、スキャン撮影のスキャン回転数が低く、回転数に到達するまでの加速時間が長い場合、必ずしも最大加速を発生する必要がない。このような場合は、例えば、4個の固定子巻線のうち、例えば、切替信号62、63、64をオフにして、固定子52、53の巻線には電圧を印加しないで、残りの固定子2個の巻線のみに電圧を印加することで、必要最小限の固定子数で駆動することができる。また、固定子1個で十分であれば、例えば、切替信号62、63、64の他、切替信号22、23もオフにして、切替信号24のみオンにし、固定子3のみで駆動することもでき、装置の使用状況に合わせて、省電力化を図ることができる。
【0028】
また、休止させる固定子を撮影ごとに交互に切替えて使えば、他方が稼動している間に、休止している固定子及びその巻線を冷却することができるので、固定子及びその巻線を冷却するための休止時間を短くすることができ、装置の高スループット化にもつながるメリットがある。
【0029】
以上のことは、図6に示すように、4個の固定子巻線を全て並列接続で運転した場合と、4個の固定子巻線を全て直列接続で運転した場合と、本発明の構成により固定子巻線の結線を変えて駆動した場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較することで説明できる。図6(a)に示すように、固定子巻線を並列接続で駆動した場合、直列接続で駆動した場合よりも8倍の推力を得ることから、直列接続の場合に比べ、約1/8以下の短時間の加速で、スキャン速度に到達することができる。また、回転子を減速する場合も同様に、直列接続の場合に比べ、約1/8前後の減速時間で停止させることができる。しかし、図6(b)、(c)に示すように、固定子巻線を並列接続で駆動したままスキャン撮影を行うと、撮影中に流れる電流は、直列接続の場合に比べ、約8倍以上の無効電流が流れ、非常に効率が悪い。また、固定子の発熱についても同様にスキャン撮影中も温度が著しく上昇し、回転子が減速した後も温度が高くなる。そのため、固定子を一定温度以下まで冷却するための休止時間を長くする必要がある。一方、直列接続で駆動した場合、図6(b)、(c)に示すように、スキャン撮影中の電流や発熱量は最も小さく、省電力であるが、図6(a)に示すようにスキャン速度に到達するまでの時間が長く、回転子が起動後、直ぐにスキャン撮影に入る迅速さが損なわれ、不都合である。そこで、本発明では、回転子を起動する時は、並列接続で駆動し、スキャン速度に到達した後、直列接続に切替えて駆動することができるため、スキャン速度に到達する加速時間は並列接続で加速した場合と同等で、スキャン撮影中の電流は、直列接続で駆動した時と同じ電流に低減することができ、電流や発熱量が大きくなる弊害がない。また、前述したように、並列接続から直列接続へ切替える時、回転子の速度フィードバックにより、固定子に印加する電圧の周波数が調整されるので、スキャン速度を維持したまま、切替えることができる。その他、回転子を加速させた後、休止した固定子は、スキャン撮影中の回転子の送風により冷却されるため、回転子を停止して自然放熱させた場合よりも、冷却が促進される。そのため、固定子を冷却するための休止時間を短くできるというメリットも生じる。
【0030】
以上、上記の実施例では、複数の固定子を有し、それらの巻線の結線を切替器で切替えることで、回転子の回転状態に応じて、並列から直列接続、直列から並列接続に切替えることにより、加速時間や減速時間を伸ばすことなく、定格回転時の電流や発熱を低減できることを説明してきたが、切替器について機械的なスイッチに限らず、半導体素子であるトライアック、サイリスタを利用して電気的に電流を遮断することも有効な方法である。
【0031】
(1)複数の回転磁界発生用電源を用いる実施例
図7は複数の回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第三の実施例である。図に示すように、回転子71と、回転子を駆動する4つの固定子72、73、74、75があり、各固定子の巻線(図示せず)は4つのインバータ回路77、78、79、80と接続し、該インバータ回路から上記固定子の各巻線へ任意周波数の交流電圧が印加される。また、インバータ回路77、78、79、80から出力されるインバータ動作周波数の周期(出力交流電圧周波数の周期)は、周波数信号83として制御回路81に入力する。回転子に取り付けた速度センサ76は、回転子の回転数を検出し、速度信号82として制御回路11に入力する。制御回路81は、上記の周波数信号83、速度信号82に基づいて、インバータ回路77、78、79、80に動作指令84を出力する。以上のような構成をもとに、図2、図8、9、10、11、12を用いて、本発明の第三の実施例の動作について説明する。図2は、図1の第一の実施例で説明したX線CT装置のスキャン時の運転パターンと固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。固定子巻線に電圧Vを印加すると(時間t1)、回転子が起動し、駆動電圧の増加と共に回転速度が増加する。そして、電圧Vが電圧Vmに到達後、電圧Vmを保ち、回転子はスキャン速度Pmに到達する(時間t2)。スキャン中はスキャン速度Pmを維持し、X線を患者に照射して撮影する。撮影終了後(時間t3)、電圧Vmを降下させて回転子の回転速度を落とし、停止する(時間t4)。そして、一定の休止時間をおいた後(時間t1’)、再び固定子巻線に電圧を印加して、撮影を繰り返す。次に、図2に示した固定子巻線に印加する駆動電圧について詳細に説明する。図8は、制御回路11から出力する動作指令によりインバータ回路77、78、79、80から固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。
【0032】
図9は速度フィードバックにより、固定子巻線に印加する電圧/周波数を変えながら回転子の回転を維持するためのフローチャートを示したものである。
【0033】
図8に示すように、スキャン開始する時(時間t1)、インバータ回路77、78、79、80から固定子72、73、74、75の巻線に電圧が印加される。速度信号82がスキャン速度Vmに到達すると(時間t2)、制御回路81からインバータ回路77、78、79へ電圧印加停止の動作指令を出力し、インバータ回路80から固定子72の巻線のみに電圧を印加して回転子の回転速度を維持する。この時、固定子75、74、73の巻線への電圧印加を一挙に停止させないのは、一挙に電圧印加を停止すると、回転子で発生する電磁力が変化して、スキャン撮影中の回転速度に変動が生じ、撮影に支障が生じるためである。したがって、固定子への電圧印加の停止は一挙に行うのではなく、順番に停止させる。また、回転子の回転速度が変動しないように補償するために速度信号82により速度フィードバックをかけて、回転速度を監視し、固定子巻線に印加する電圧/周波数を変えながらインバータの電圧印加を順に停止する。この動作について図9を用いて詳細に説明する。
【0034】
速度信号82より、回転子がスキャン速度に到達すると、最初にインバータ回路77が出力する電圧を徐々に下げてゆく。これにより、回転子全体で発生する電磁力は減少するので、これを放っておくと、回転速度が減少し、スキャン撮影に支障が生じる。そこで、速度信号82と目標スキャン速度との差分Δvを演算器90により算出する。そして、減少した回転子の回転速度は、固定子巻線に印加する電圧/周波数をあげることで、回転速度を増加させることができるので、この差分Δvを周波数に換算するために、ゲイン乗算器91で乗算し、固定子巻線に印加する電圧/周波数を一定としつつ周波数の増加分Δfを算出する。また、この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路78、79、80の3個で、これらは、インバータ回路への動作/停止切替器95、96、97に入力する電圧停止信号と信号加算器93によりN=3として算出され、除算器92によりインバータ回路の出力電圧の周波数の増加分Δfを3等分する。そして、加算器94により、スキャン速度で回転する(設定)周波数fと加算され、電圧/周波数を一定に保ったままインバータ回路の動作周波数f+Δf/3を算出する。この周波数は、インバータ回路の電圧を調整制御する電圧調整器95、96、97、98に入力され、動作指令としてインバータ回路78、79、80へ出力する。これにより、固定子72、73、74の巻線には電圧/周波数が一定でその周波数がf+Δf/3の交流電圧が印加されるので、この結果、回転子の速度が増加する。また、差分Δvは打ち消され、回転子はスキャン速度を維持する。さらに、引き続き、インバータ回路77の電圧を下げると、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じるが、この差分Δvに比例して、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数の増加分Δfが自動的に生じるので、インバータ回路77の電圧を徐々に減少させていっても、回転子の回転速度を維持することができる。この動作により、インバータ回路77の印加電圧がゼロになるまで繰り返し、インバータ回路77の電圧印加がゼロになると、電圧調整器98から電圧停止信号が出力され、電圧調整器97において、インバータ回路78の印加電圧が減少を開始する。
【0035】
この時、インバータ回路77の電圧印加が停止した時と同様に、インバータ回路78の電圧減少により、回転子全体で発生する電磁力が減少するため、速度信号82と目標スキャン速度の間に差分Δvが生じる。この差分Δvに応じ、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数の増加分Δfが自動的に生じるが、この時、固定子に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路79、80の2個であるから、前記流電圧の周波数の増加分Δfを2等分し、交流電圧の周波数f+Δf/2の動作指令を制御回路81からインバータ回路79、80へ出力することになる。これにより、固定子72、73の巻線には周波数f+Δf/2の交流電圧が印加されるので、この結果、回転子の速度が増加する。その後、インバータ回路78の出力電圧がゼロになると、次にインバータ回路79の出力電圧を下げる。この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路80による1個のみであるから、出力電圧の周波数の増加分Δfは、そのまま、出力電圧の周波数f+Δfを動作指令として、制御回路81からインバータ回路80へ出力する。このように、インバータ回路の出力電圧がゼロになっても、速度信号82からスキャン速度との差分を検出し、制御回路81からインバータ回路77、78、79、80に出力する該インバータ回路から出力される電圧の周波数を増加させることで、回転速度が補償される。次に、図2に示すように、スキャン撮影中は、固定子は一個のみ(固定子72)、回転子の回転速度をスキャン速度を維持するが、スキャン撮影が終了して、回転子を停止する時、一旦、電圧印加を停止した固定子73、74、75の巻線に再び、電圧を印加する。これは、回転子の回転速度を減速させる時、固定子1個よりも固定子4個を全て使って減速させた方が短時間で回転子を停止できるからである。また、固定子73、74、75の巻線に電圧を再印加する時は、一挙に電圧を印加するのではなく、スキャン撮影に入る時に、電圧印加を停止させた時と同じように、固定子73、74、75の巻線の順で、逆に固定子巻線に電圧を再印加する。また、電圧の再印加は、周波数信号83に基づき、印加中のインバータ回路と同じ周期で固定子巻線に電圧が印加されるように、インバータ回路間の出力交流電圧の周波数の同期をとって、動作指令を出力する。これについて、図10を用いて詳細に説明する。
【0036】
スキャン撮影中は、固定子72の巻線のみに電圧を印加したが、減速するために、固定子79、78、77の巻線にもう一度、電圧を印加する。最初に、インバータ回路79の出力電圧の再印加を開始するが、開始する時、周波数比較器99によりインバータ回路80の周波数信号83とインバータ回路79の周波数信号83が比較され、両者の周波数が同期した時、電圧調整器95、96へ同期検出信号を出力し、インバータ回路79へ動作指令を出力する。この動作指令によりインバータ回路79は電圧を徐々に上げてゆくが、これにともなって回転子全体で発生する電磁力が増加するため、回転子の速度がスキャン速度よりも高くなる。このため、演算器90で算出される速度信号82と目標スキャン速度の間に差分Δvが生じる。
【0037】
増加した回転子の回転速度は、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数を下げることで、回転速度を減少させることができる。そこで、この差分Δvを周波数に換算するために、ゲイン乗算器91で乗算し、固定子巻線に印加する電圧の周波数の増加分−Δfを算出する。また、この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路は、電圧調整器95、96、97、98に入力する電圧到達信号と信号加算器93により、インバータ回路は79、80の2個が選択されるから、N=2として算出され、除算器92により電圧周波数の増加分−Δfを2等分する。そして、加算器94により、スキャン速度で回転する設定周波数fと加算され、インバータ回路の出力交流電圧の周波数f−Δf/2を算出する。この周波数f−Δf/2は、インバータ回路の電圧を調整制御する電圧調整器95、96に入力され、インバータ回路79、80へ出力する。これにより、回転子の速度が減少して差分Δvが打ち消され、回転子はスキャン速度を維持する。さらにインバータ回路77の電圧が上がると、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じるが、この差分Δvに比例して、固定子巻線に印加する電圧周波数の増加分−Δfが自動的に演算されるので、インバータ回路77の出力電圧をさらに増加させても、回転子の回転速度を維持することができる。ここで、先程、インバータ回路79、80の間でそれらの出力電圧の周波数の同期をとった理由は、例えば、図7に示すように、固定子が回転子を挟んで向かい合わせに対となって配置している場合、固定子に印加する電圧が同じであっても、電圧周波数の位相の同期がとれていないと、固定子間の磁束や回転子の両面で発生する電磁力の不平衡が生じて、回転子に不要な振動や騒音を発生するからである。したがって、固定子に再度、電圧を印加する時、印加する電圧周波数の同期をとることで、不要な振動や騒音を発生させずに減速を開始させることができる。
【0038】
上記の動作はインバータ回路77の電圧が電圧Vmになるまで繰り返され、インバータ回路77の電圧が電圧Vmになると、電圧調整器96から電圧到達信号が出力され、次段である電圧調整器97においてインバータ回路78の電圧再印加を開始する。この時、インバータ回路77が電圧印加を開始した時と同様に、周波数比較器99において、インバータ回路80の周波数信号83、インバータ回路79の周波数信号83、インバータ回路78の周波数信号83が比較され、これらの周波数が同期した時、同期検出信号が電圧調整器95、96、97に出力され、インバータ回路78へ動作指令が出力する。これによってインバータ回路78の電圧印加が開始し、インバータ回路78の電圧が増加するが、回転子全体で発生する電磁力の増加により、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じる。また、この差分Δvに応じて、固定子巻線に印加する電圧の周波数の増加分−Δfが自動的に生じる。この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路78、79、80の3個であるから、出力電圧の周波数の増加分−Δfを3等分し、出力交流電圧の周波数f−Δf/3を動作指令として制御回路81からインバータ回路78、79、80へ出力する。その後、インバータ回路78の電圧が電圧Vmになると、次にインバータ回路77の電圧印加を開始する。この時、インバータ回路80の周波数信号83、インバータ回路79の周波数信号83、インバータ回路78の周波数信号83と、インバータ回路77の周波数信号83との同期をとって、制御回路81からインバータ回路80へ動作指令を出力する。また、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路は4個であるから、電圧周波数f−Δf/4を動作指令として、制御回路81からインバータ回路80へ出力する。最終的にインバータ回路77、78、79、80全てに電圧Vmが印加されると、減速を開始する。減速中は、4個のインバータ回路77、78、79、80の電圧が全て同時に下がり、回転子が停止する。
【0039】
以上これまでは、回転子が起動してスキャン撮影に入る時と減速する時の、固定子巻線に印加する電圧について説明してきたが、回転子の速度を加速する場合についても応用することができる。図8では、固定子72、73、74、75の4個の全ての巻線に電圧を印加し、最も短時間でスキャン回転数に到達できる最大推力で加速させた場合を示しているが、スキャン撮影のスキャン回転数が低く、回転数に到達するまでの加速時間が長い場合、必ずしも最大推力で加速させる必要がない。このような場合、例えば、4個の固定子の内、固定子2個をあらかじめ休止させおき、残りの固定子2個を用い、その巻線のみに電圧を印加することで、必要最小限の固定子数で駆動することができ、装置の省電力化につながる。
【0040】
また、休止させる固定子を撮影ごとに交互に切替えて使えば、他方が稼動している間に、休止している固定子を冷却することができるので、固定子を冷却する休止時間を短くすることができ、装置の高スループット化にもつながるメリットがある。
【0041】
以上のことは、図11に示すように、固定子1個で駆動した場合、4個で駆動した場合、本発明の構成により固定子数を変えて駆動した場合の、固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較することで説明することができる。図11(a)に示すように、固定子4個で駆動した場合、固定子1個で回転子を駆動した場合よりも4倍の推力4・Fmを得ることから、固定子1個の場合に比べ、約1/4以下の短時間の加速で、スキャン速度に到達することができる。また、回転子を減速する場合も同様に、固定子1個の場合に比べ、約1/4以下の減速時間で、停止させることができる。しかし、図11(b)、(c)に示すように、固定子4個で駆動したままスキャン撮影を行うと、撮影中に流れる電流は、固定子1個の場合に比べ、約4倍以上の無効電流が流れ、非常に効率が悪い。また、固定子の発熱についても同様にスキャン撮影中も温度が著しく上昇し、回転子が減速した後も温度が高くなる。そのため、固定子を一定温度以下まで冷却するための休止時間が長い。一方、固定子1個で駆動した場合、図11(b)、(c)に示すように、スキャン撮影中の電流や発熱量は最も小さく、省電力であるが、図11(a)に示すようにスキャン速度に到達するまでの時間が長く、回転子が起動後、直ぐにスキャン撮影に入る迅速さが損なわれ、不都合である。そこで、本発明による回路構成によれば、回転子を起動する時は、固定子4個で駆動し、スキャン速度に到達した後、固定子1個に切替えて駆動することができるため、スキャン速度に到達する加速時間は固定子4個で加速した場合と同等であり、一方、スキャン撮影中の電流は、固定子1個で駆動した時と同じ電流にすることができ、電流や発熱量が大きくなる弊害がない。また、前述したように、固定子4個から固定子1個へ切替える時、回転子の速度フィードバックにより、固定子に印加する電圧周波数が調整されるので、スキャン速度を維持したまま、切替えることができる。その他、回転子を加速させた後、休止した固定子は、スキャン撮影中の回転子の送風により冷却されるため、回転子を停止して自然放熱させた場合よりも、冷却が促進する。そのため、固定子を冷却するための休止時間が短くなるメリットも生じる。
【0042】
これまではインバータ数が4個の場合について述べてきたが、インバータのコストを考慮し、大型のインバータを2個を設置して、図12に示すようにインバータ回路7は固定子72、73と接続し、インバータ回路78は固定子74、75と接続とした場合も同様に適用することができる。この図12の構成の動作について図13を用いて説明する。図13に示すように、スキャン開始する時(時間t1)、インバータ回路77、78から固定子72、73、74、75の巻線に電圧が印加され、速度信号82がスキャン速度Vmに到達すると(時間t2)、制御回路81からインバータ回路78へ電圧印加停止の動作指令を出力し、インバータ回路77から固定子72、73の巻線のみに電圧を印加して回転子の回転速度を維持する。この時、インバータ回路78の電圧印加停止は一挙に行うのではなく、これまで説明してきたように回転子の回転速度が変動しないように速度信号82により速度フィードバックをかけて、回転速度を監視し、固定子巻線に印加する電圧の周波数を変えながらインバータ回路78の電圧印加を徐々に下げて電圧印加を停止する。その後、スキャン撮影中は、固定子72、73の2個のみでスキャン速度を維持するが、スキャン撮影が終了して、回転子を停止する時、一旦、電圧印加を停止した固定子74、75の巻線に再び、電圧を印加する。これは、回転子の回転速度を減速させる時、固定子2個よりも固定子4個、全て使って減速させた方が短時間で回転子を停止できるからである。固定子74、75の巻線に電圧を再印加する時は、これまでと同様に一挙に電圧を印加するのではなく、スキャン撮影に入る時に、電圧印加を停止させた時と同じように、周波数信号83に基づき、印加中のインバータ回路77と同じ周期で固定子巻線に電圧が印加されるように、インバータ回路間の出力電圧の周波数の同期をとって、動作指令を出力する。以上のようにすることで、固定子4個の場合と同じ加速時間を損なわずに、撮影中の電流や発熱を低減することができ、インバータ回路のコストも考慮したバランスのよい構成とすることもできる。
【0043】
その他、これまでの説明で、速度センサは回転子の回転速度を直接、検出するエンコーダパルスのような速度検出手段について説明してきたが、本発明の速度センサはこれ以外の速度検出手段によっても実現することができる。例えば、X線CT装置では、X線管球、X線検出器、X線高電圧装置など回転子に連結して搭載する重量物を全て設計段階でわかっており、製品化後、回転子に搭載する重量が変わることはない。また、スキャン撮影毎ごとに回転子に連結して搭載する重量が変化することはなく、常に一定条件であるため、起動後、常に同じ時間内でスキャン速度に到達する加速時間が一定している。また、スキャン撮影も同様に、スキャン撮影開始前に操作者が撮影条件として入力設定するため、撮影時間、及び、減速開始時間は自ずと知ることができ、撮影開始前に予測しておくことができる。したがって、速度センサにより回転状態を検出して固定子への電圧切替をする代わりに、起動開始後からの経過時間を計測し、所定の加速時間が終了した時点で固定子への電圧切替を自動的に行ったとしても問題はない。したがって、直接、回転子の速度を検出するような速度検出手段によらず、起動開始後からの経過時間を計測するといった簡便な方法によることも可能である。その他、予め加速時間がわかっているので、回転子を起動後、加速時間を経過する少し直前に固定子巻線に印加する電圧の切替を開始することで、固定子巻線への電圧切替動作による遅延時間を短縮するフィードフォワードの効果もある。
【0044】
以上のことから、本実施例によれば、固定子巻線に電圧を印加するインバータ回路の数を回転子の回転状態に応じて切替えることで、加速時間や減速時間を損なうことなく、スキャン撮影中の電流、発熱を低減することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、X線CT装置のスキャン時間を短縮するために、ダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構によりスキャン時間を短縮し、加速時間や減速時間を損なうことなく、スキャン撮影中の電流、発熱を低減し、撮影間の休止時間を短縮をすることができ、短時間で撮影が終了するX線CT装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一つの回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第一の実施例図。
【図2】X線CT装置のスキャナ駆動の運転パターン、回転速度、駆動電圧の説明図。
【図3】本発明の第一の実施例によるX線CT装置の固定子結線の切り替えを説明する図。
【図4】固定子が4個の場合の本発明の第二の実施例図。
【図5】固定子巻線を4並列から2並列2直列への切り替えを説明する図。
【図6】4個の固定子巻線を全て並列接続した場合と、全て直列接続した場合と、本発明による結線にした場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較する説明図。
【図7】複数の回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第三の実施例図。
【図8】制御回路からの動作指令によりインバータ回路から固定子巻線に印加する駆動電圧を示す図。
【図9】本発明の第三の実施例における固定子切替中のスキャナ回転速度を一定に制御するフローチャート図。
【図10】本発明の第三の実施例における固定子切替中のスキャナ回転速度を一定に制御する他の実施例のフローチャート図。
【図11】固定子1個で駆動した場合、4個で駆動した場合、本発明の構成により固定子数を変えて駆動した場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力の比較図。
【図12】固定子及びインバータ回路とも二組の場合の本発明の第四の実施例図。
【図13】図12の動作説明図。
【符号の説明】
1 回転子、2,3,52,53 固定子、4,5,6,7,8,9 固定子巻線、10,11,12,13,14,15,16,17,54,55,56,57,58,59 切替器、18 速度センサ、19 制御回路、20 インバータ回路、21 速度信号、22,23,24,62,63,64 切替信号、25 周波数信号、26 動作指令
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線CT装置に係わり、特にダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構の加減速力を増大して撮影の繰り返し時間の短縮を可能とするX線CT装置に関する。
【0002】
【従来技術】
X線CT装置は、X線管から扇状のX線ビームを被検体に照射し、該被検体を透過したX線を前記X線管と対向する位置に配置したX線検出器で検出し、この検出したデータを画像処理して前記被検体の断層像を得るものである。
前記X線検出器は、円弧状に配列された数百にも及ぶ検出素子群で構成され、被検体を挟んでX線管に対向して配置されており、検出器素子の数に対応した数の放射状に分布するX線通路を形成し、X線管と検出器が一体となって被検体の周りを少なくとも180度以上回転させて一定の角度ごとに被検体の透過X線を検出する。
【0003】
このX線CT装置において、近年、“短時間で広い範囲のスキャンが可能”、“体軸方向に連続したデータが得られ、これによって三次元画像の生成が可能になる”などの特徴により、ヘリカルスキャンやスパイラルスキャンと呼ばれるら旋CTが急速に普及した。
【0004】
このら旋CTは、上記X線管とX線検出器を被検体の周りに連続して回転させると共に被検体を載置した天板を移動させることで広範囲に亘る多層の断層像データを計測して、このデータにより画像を再構成することによって三次元のCT画像と撮影にかかる時間を大幅に短縮することを可能としたものである。
【0005】
すなわち、X線CT装置は、通常は複数のユニットから構成され、X線管とX線検出器を被検体の周りに回転させて前記被検体を透過したX線データを計測するスキャナと、前記被検体を載置する天板を備えた被検体テーブルと、前記スキャナで計測したデータを画像処理して再構成画像を生成する画像処理装置と、この画像処理装置で再構成した画像を表示する画像表示装置と、各種の操作指令を入力する操作卓及びシステム全体を制御するシステムコントローラ等から構成されている。この中で、スキャナは、被検体にX線を照射するX線照射手段であるX線管と、このX線管から放射されたX線をファンビーム状にコリメートするコリメータと、X線管を冷却する冷却装置と、X線管に高電圧を印加するための高電圧発生装置と、被検体を透過したX線を検出する多チャンネルのX線検出器と、このX線検出器の微弱な電気的出力を増幅する増幅器と、これらを支持して中央に被検者を位置させるため円形の穴(開口部)を設けた回転部材と、この回転部材を回転自在に支持するフレームと、このフレームに固定され上記回転部材の回転動作をなさせる減速機とモータ、及び前記回転部材と減速機出力軸を連結するベルト(通常は歯付きベルトが用いられる)等から構成される。このような構成のスキャナにおいて、前記モータを回転させると、モータ出力軸の回転動力は減速機を介して減速され、ベルトを介して上記回転部材と連結され、X線管とX線検出器が被検者の周囲を回転して、所定角度毎のX線投影データを取得(撮影、またはスキャンと呼ぶ場合がある)するようになっている。X線管や高電圧発生ユニット等を搭載した回転部材は、カウンターウエイト搭載が可能であるため回転軸周りの質量バランスを得ることは容易であり、かつ高速始動の必要もなく、概ね一定の速度で回転すれば良いことから、モータはオープンループ制御による誘導モータを用いることが多い。このように、X線CT装置においては、ら旋CTの普及により診断技術は格段に進歩したが、さらに心臓等の動きのある臓器に対する撮影の要求も生じて来ている。
【0006】
この要求に応えるためには、X線管とX線検出器の回転速度を上げてスキャン時間を短縮する必要がある。すなわち、上記スキャナの回転部材の回転速度を上げなければならない。このスキャン時間は、心臓以外の臓器では1s/回転でも問題はないが、心臓等の動きのある臓器では、前記の1s/回転では不足であり、0.7s/回転から0.5s/回転へ、さらには0.3s/回転といった高速回転の短時間スキャンが求められる。
【0007】
しかし、上記のスキャナ回転駆動機構を用いて0.7s/回転以下の高い回転速度で回転させると、歯付きベルトによる風切り騒音が70dBを越える。X線CT装置は、静粛さが要求される病院内の検査室で使用されることから、上記騒音は被検者及び操作者にとっては耳障りなものとなり静粛な駆動方式が望まれる。この騒音問題を解決し、高速回転を図るには、減速機やベルトを介して回転部材を回転させるのではなく、前記回転部材そのものをモータの回転子とする、いわゆるダイレクトドライブ方式を利用する必要がある。
このようなダイレクトドライブ方式として、特許文献1に記載されたものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−159487号公報(第3−4頁)。
【0009】
これは、スキャナ回転部材を回転子とし、この回転子に回転子鉄心と複数の導体とを設けてこれらの導体を短絡環に接続し、該回転子を挟み対峙する位置に配置した少なくとも1組の固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子とを有し、前記固定子巻線に3相交流電流を流して回転磁界を発生させ、この回転磁界により前記回転子を回転させる構成である。この構成によれば、減速機を使用せず、直接、X線管球とX線検出器を搭載した回転部を回転することができるので、低騒音でかつ高速回転が可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のダイレクトドライブ方式は、コンパクトで低騒音という特徴があるが、次のような課題が残されている。すなわち、固定子と回転子の間で発生する電磁力は、回転子表面で発生し、最終的に力、熱となって回転子、固定子の温度を上げる。回転子表面で発生する電磁力は、固定子の巻線を流れる磁化電流によって変化し、回転子が所定の回転速度に到達するまでの加速時間を短縮するためには、固定子の巻線により多くの磁化電流を流す必要がある。この磁化電流は、固定子巻線に印加する電圧を大きくする方法の他、固定子巻線のインピーダンスを小さくすることにより大きくすることができる。しかし、その反面、無負荷時の電流が増大し、同時に回転子の定格回転速度での電流も増加するため、効率が非常に悪く、前記固定子巻線に印加する三相交流電圧を発生させるためのインバータ回路の電流容量も大きくする必要がある。また、固定子の巻線を流れる磁化電流は、そのジュール熱によって、巻線と鉄心の温度を上げるため、スキャナ回転の加速が終了して一定速度で回転する状態になっても、固定子及び固定子巻線の温度がさらに上昇する状態が続く。固定子巻線の温度が高い状態が続くと、熱による巻線の絶縁破壊や固定子の焼損を招く恐れがあり、長時間の連続回転が難しくなる。
【0011】
以上のようなことから、固定子巻線のインピーダンスを小さくすることで、固定子の巻線に多くの磁化電流を流して大きい電磁力を得ようとすると、加速時間が短縮する反面、定格回転の状態でも、固定子巻線の熱発生が大きく、また、電流容量の大きいインバータ回路が必要となる。さらに、X線CT装置の1スキャンは、加速時間、一定回転で回転する撮影時間、回転子を停止するための減速時間及び次の撮影開始までの休止時間とからなり、この休止時間により、回転中に発生した固定子巻線や回転子の熱を放熱し、スキャナ内の温度は下がる。しかし、このスキャナ内の温度は前記休止時間内では十分に下がらず、この状態でスキャンを繰り返すと、スキャナ内の温度が上昇し、異常に高くなる。
【0012】
このように、スキャナ内の温度が上昇すると、固定子巻線インピーダンスが大きくなって前記固定子巻線に流れる電流が小さくなり、これによって回転子で発生する推力が減少して、一定時間内にスキャン速度に到達できなかったり、回転子の回転速度がスキャン速度に到達しないなどにより所望の断層画像を得られないことが懸念される。
【0013】
以上のような問題に対し、回転子を停止させる休止時間を長くとって、回転子の温度が基準温度以下になるまで、回転動作をさせないで、回転子の温度を下げる方法がある。
【0014】
しかし、休止時間を長くとると、繰り返し撮影を行う時間間隔が長くなるために、1日の限られた検査時間内で撮影できる回数が少なくなり、不利であることから、長い休止時間を設定するには限度がある。また、X線CT装置では、回転中にX線を照射するために、X線管球やX線高電圧装置から多量の熱が発生し、装置内部の温度が上昇する。そのため、X線CT装置には、装置内部の熱を排気するための吸入口と排気口、及び空気の吸入、排気をするためのファンがあり、装置内部の熱と一緒に、回転子で発生した熱を外部へ排気させて、回転子の温度上昇を防ぐ方法も考えられる。また、回転子の温度を早くさげるには、排気口やファンのサイズを大きくしたり、ファンの設置台数を増やしたりして、装置の熱排気能力を大きくする必要がある。しかし、スキャナを構成する上で排気口やファンを大きくすることには限界があり、ファンの設置台数についても、ファンの回転騒音やコストの点などからも限度がある。また、スキャナ回転の加速時間を短縮するために、電流容量の大きいインバータ回路を設けることにも、前記と同様に、スキャナに搭載するスペースやコストの点などから限度がある。
【0015】
以上のことから、一連の撮影における休止時間を長くしないで、ファンによる冷却能力を大きくせずとも、特開2002−159487号公報に開示されているダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構によるスキャナ回転時の加速や減速時間が長くならい方法が求められていた。
【0016】
そこで、本発明の目的は、ダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構の加減速力が低下することなく、スキャナ回転時の加速性能を安定化し、撮影の繰り返し時間の短縮を可能とするX線CT装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の手段によって達成される。
(1)X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線を有し、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、前記固定子巻線の結線を切り替える結線切替手段と、前記速度検出手段で検出した前記回転子の回転速度信号にもとづき、前記結線切替手段に前記固定子巻線の結線を切り替える切替制御信号を出力する第一の制御手段とを具備する。
【0018】
このように構成することによって、速度検出手段により回転子がスキャン速度に到達したことを検出後、この速度検出信号を第一の制御手段にフィードバックし、スキャン速度を維持したまま前記第一の制御手段から結線切替手段へ切替制御信号を出力して固定子巻線の結線を変更する。例えば、二組のY結線の固定子巻線を備えた場合には、スキャナ回転の加速時と減速時は前記二組のY結線の固定子巻線を並列にして加速力(推力)と減速力を大きくして短時間で加速、減速させ、スキャン速度に到達した時は前記二組のY結線の固定子巻線を直列にして該固定子巻線に流れる電流を低減させる。これによって、スキャナ回転の加減速時の加減速力が大きくなって加減速時間が短縮され、またスキャン時の定格回転時の電流が低減して発熱が抑制される。
【0019】
(2)X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線とから成り、前記回転磁界発生用電源は前記固定子巻線の個々に対応して備え、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段で検出した回転子の回転速度信号と前記回転磁界発生用電源の動作周波数信号とにもとづいて、前記複数の回転磁界発生用電源間で該電源の動作周波数の同期同調をとって、前記複数の回転磁界発生用電源の動作を制御する第二の制御手段とを具備する。
【0020】
このように構成することによって、速度検出手段により回転子がスキャン速度に到達したことを検出後、この速度検出信号と前記回転磁界発生用電源の動作周波数信号とを第二の制御手段にフィードバックし、スキャン速度を維持したまま前記第二の制御手段から前記固定子巻線のうちの任意の巻線を選択する信号を前記回転磁界発生用電源におくり、この選択された回転磁界発生用電源から前記任意の固定子巻線に交流電流を供給してスキャナを回転駆動させる。例えば、四組のY結線の固定子巻線を備えた場合には、スキャナ回転の加速時と減速時は前記四組の固定子巻線に該固定子巻線に対応した回転磁界発生用電源から交流電流を供給して加速力(推力)と減速力を大きくして短時間で加速、減速させ、スキャン速度に到達した時は前記四組の固定子巻線のうちの一つの固定子巻線にこの固定子巻線に対応する回転磁界発生用電源から交流電流を供給して固定子巻線に流す電流を低減させる。これによって、スキャナ回転の加減速時の加減速力が大きくなって加減速時間が短縮され、またスキャン時の定格回転時の電流が低減して発熱が抑制される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図1〜図13を用いて詳細に説明する。
(1)一つの回転磁界発生用電源を用いる実施例
図1は一つの回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第一の実施例である。図に示すように、回転子1と、回転子を駆動する固定子2、3と、該固定子に三相交流電圧を印加する第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9の二組の固定子巻線を備え、これらの固定子巻線は回転磁界発生用電源装置としてのインバータ回路20が接続されて、このインバータ回路から前記固定子巻線へ任意周波数の三相交流電圧が印加される。切替回路10、11、12と、13、14と、15、16、17は制御回路19から出力する切替信号22、23、24により二組の固定子巻線間の接続や結線を変更する。回転子1に取り付けた速度センサ18は回転子の回転数を検出し、速度信号21として制御回路19に入力し、インバータ回路20から出力させる三相交流電圧の周波数と同期した信号が該インバータ回路の動作周波数信号25として制御回路19に入力する。制御回路19では、速度信号21、周波数信号25に基づき、固定子巻線の結線切替中の回転子の回転数が一定維持するように動作指令26と切替信号22、23、24をそれぞれ出力する。以上のような構成をもとに、図2、3、4、5、6を用いて、本発明の動作について説明する。図2はX線CT装置のスキャン時の運転パターンと固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。固定子巻線に電圧Vを印加すると(時間t1)、回転子が起動し、駆動電圧の増加と共に回転速度が増加する。
【0022】
そして、電圧Vが電圧Vmに到達後、電圧Vmを保ち、回転子はスキャン速度Pmに到達する(時間t2)。スキャン中はスキャン速度Pm を維持し、X線を患者に照射して撮影する。撮影終了後(時間t3)、電圧Vmを降下させて回転子の回転速度を落とし、停止する(時間t4)。この停止から一定の休止時間をおいた後(時間t1’)、再び固定子巻線に電圧を印加して、撮影を繰り返す。
【0023】
次に、図2で示した固定子巻線に印加する駆動電圧について、詳細に説明する。図3は制御回路19から出力される切替信号22、23、24により、固定子巻線の接続、結線を切替えて、回転子を駆動した時の固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。図3に示すように、スキャン開始時、制御回路19では、切替信号22はオフ(切断)、切替信号23、24はオン(接続)を出力し、Y結線の二組の固定子巻線4、5、6と7、8、9が並列に接続されて、この並列接続された固定子巻線にインバータ回路の出力電圧が印加されて回転磁界発生し、回転子は加速する。ここで、二組の固定子巻線を並列に接続するのは、並列接続したことによってインバータ回路の出力電圧Vが各巻線に等しく電圧Vとして印加されるため、巻線に流れる電流が最大となり、最大推力を発生することで、短時間で回転子を加速することができるからである。上記切替後、固定子に電圧Vが印加され、回転子が起動する(時間t1)。速度信号12がスキャン速度に到達すると(時間t2)、制御回路19により、インバータ回路20の周波数信号25により固定子巻線に印加中の電圧値Vを検出し、この電圧が零になった時、切替信号22、23、24を出力する。ここで、電圧Vを検出するのは、切替器に電流が流れた状態で切断すると、過渡的な逆起電力を発生して不適切な場合があるからである。これは、切替器の切替えるタイミングによって、一時的に回路が短絡した状態が生じるのを避けるためである。また、切替信号は、切替器10、11、12と、13、14と、15、16、17の全てが切断した状態を一時的に作った後、切替信号22をオン(接続)とし、切替信号23、24はオフ(切断)のままとする。これらの切替動作により、第一の固定子巻線4、5、6の中性点はなく、巻線4と7、巻線5と8、巻線6と9は接続され、第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9は直列接続された状態となる。第一の固定子巻線4、5、6と第二の固定子巻線7、8、9を直列に接続とすることで、インバータ回路の出力に接続される固定子巻線全体のインピーダンスが増加するため、前記固定子巻線に流れる電流が減少し、小さな電流で回転子を回転させることができる。次に、スキャン撮影の終了後(時間t3)、再び切替信号22をオンからオフ(接続)へ、切替信号23、24はオフからオン(接続)へ切り替える。この時の切替動作は、並列から直列接続に切替えた場合と同様に、インバータ回路20から出力される周波数信号25により固定子巻線に印加中の電圧値Vを検出して、この交流電圧Vが零になった時、切替信号22、23、24を出力する。そして、一時的に切替器10、11、12、13、14、15、16、17の全てが切断した状態を作った後、切替信号22をオフ(切断)、切替信号23、24をオン(接続)にする。この切替により、巻線4、5、6の中性点ができ、二組の固定子巻線4、5、6と7、8、9は並列に接続される。
【0024】
その後、固定子巻線に印加する電圧を下げて、回転子を停止させる(時間t4)。この減速時に、再び並列接続へ切替えたのは、回転子を短時間で減速するために、固定子巻線に流れる電流を最大にして、最大制動力を得るために行ったものである。このように、回転子を短時間で加速するために推力が必要な時は、二組の固定子巻線を並列接続とし、スキャン撮影中など、スキャン速度を維持する最小の推力で十分な場合は、直列接続として電流を低減する。そして、回転子を停止する時、もう一度、並列接続に切替え、最大制動力で短時間で停止させる。ここで、これまで述べてきた切替器の動作において、切替器10、11、12、13、14、15、16、17の全てが遮断した状態を一時的に作ることで、回路の短絡を防ぎ、確実に切替えができるが、インバータ回路20の出力電圧の印加を一時的に停止させ、電圧の印加を停止している間に切替器の切替を行うことも短絡を防ぐ有効な手段となる。いずれにしても、一時的に固定子巻線に電圧が印加されない状態ができるため、回転子が駆動されない場合が生じるが、X線CT装置では、回転子に搭載するX線管球、X線検出器、高電圧装置などの個々の重量が大きく、慣性モーメントが大きいため、巻線に電圧を印加する停止時間が短時間であれば、スキャン速度への影響は小さい。また、回転子を加速後、上記の切替を撮影開始するまでの期間に実施すれば、スキャン撮影中の問題はない。
【0025】
次に、これまでは固定子が2個の場合について説明してきたが、スキャン撮影中、スキャン速度が一定ではなく、可変にして即座にスキャン速度を変更して撮影するといった時、直列に接続した固定子巻線の構成では推力が小さく、短時間で速度を変えることが難しい場合、推力の大きい並列接続に切替える必要がある。このような場合、固定子を3個以上の構成とすることで、並列―直列接続の切替をスムーズにすることができる。以下、これについて説明する。図4は固定子が4個(固定子2、3、52、53)の場合の本発明の第二の実施例である。なお、固定子巻線については図示を省略したある。
【0026】
図4において、回転子1を起動する時、切替器54、57の結線は切断し、切替器57、59、55、56の結線を接続しておくことにで、4個の固定子2、3、52、53の巻線(図示省略の三相の固定子巻線で、以下、固定子巻線と呼ぶ)はインバータ回路20に並列に接続された状態となり、固定子巻線に電圧を印加すると、最も最大推力で加速し、短時間でスキャン速度に到達することができる。回転子がスキャン速度に到達後、固定子巻線を直列接続に切替えるが、ここでは、固定子2と3の巻線の結線を直列接続に切替え、また、固定子52と53の巻線の結線を直列接続に切替えるが、固定子2、3の巻線と固定子52、53の巻線の組み合わせ間では、並列のままとし、2並列2直列に変更した場合について説明する。回転子がスキャン速度に到達後、固定子2、3の巻線結線を直列接続とするために、制御回路20から切替信号22、23、24を一旦、オフとし、固定子2、3の巻線結線を切断する。切替器の切断によって、固定子2、3の巻線への電圧印加も停止するので、回転子全体で発生する電磁力が減少し、このまま放っておくと回転速度が低下する。しかし、固定子52、53の巻線は、並列接続したままで電圧が印加されているので、回転速度の低下に応じて、固定子52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを増加させてやれば、回転速度の低下を防ぐことができる。そこで、固定子2、3の巻線が並列接続から直列接続に切替える間、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、回転速度の低下量、すなわち、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf+Δfとすることで、回転速度の低下ΔVを補償して、回転速度を一定に保つことができる。これらのフィードバックをかけながら、切替信号22をオンに切替え、固定子2、3の巻線は直列接続となる。その後、固定子2、3の巻線に電圧を再度印加すると、一旦、減少した回転子全体の電磁力が増加する。このまま放っておくと回転速度が増加するため、今度は固定子2、3、52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを減少することで、回転速度の増加を防ぐことができる。したがって、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、回転速度の増加量、すなわち、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分−Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf−Δfとすることで、回転速度の増加ΔVを補償し、固定子2、3の巻線が直列接続後も、回転速度を一定に保つことができる。次に固定子52、53の巻線の結線を並列から直列の切替をする。切替は制御回路19から切替信号62、63、64を一旦、オフとし、固定子52、53の巻線の結線を切断する。切替器の切断により、固定子52、53の巻線への電圧印加が停止される、回転子全体で発生する電磁力が減少するが、固定子2、3の巻線は直列接続されてで電圧が印加されているので、固定子2、3の巻線に印加されている電圧の周波数fを増加させることで、回転速度の低下を防ぐことができる。したがって、固定子52、53の巻線が並列接続から直列接続に切替える間、速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf+Δfとすることで、回転速度の低下ΔVを補償し、回転速度を一定に保つことができる。このフィードバックをかけながら、切替信号54をオンにすると、固定子52、53の巻線の結線は直列接続となる。そして、固定子52、53の巻線に電圧を再度印加すると、一旦、減少した回転子全体の電磁力が再び、増加する。このまま放っておくと回転速度が増加するので、固定子2、3、52、53の巻線に印加している電圧の周波数fを減少させることで、回転速度の増加を防ぐ。速度センサ18により検出した速度信号21をもとに、制御回路19において、スキャン速度との差分ΔVをもとめ、この差分ΔVに応じて周波数の増加分−Δfを算出し、固定子巻線に印加している電圧の周波数をf−Δfとすることで、回転速度の増加ΔVを補償し、固定子2、3の巻線が直列接続後も、回転速度を一定に保つ。以上のようにして、固定子2、3、52、53の巻線を4並列から2並列2直列に変更することができる。また、固定子巻線の結線切替は、同時に行うのではなく、個別に時間をずらして行うことで、回転速度を一定に保ったまま、確実に切替えることができる。
【0027】
以上これまでは、回転子が起動してスキャン撮影に入る時の固定子巻線の結線切替について説明してきたが、回転子の速度を加速する場合や減速する場合についても応用することができる。図5で示した固定子巻線の切替は、固定子2、3、52、53の巻線4個全てに電圧を印加し、最も短時間でスキャン回転数に到達できる最大推力で加速させた場合を示しているが、スキャン撮影のスキャン回転数が低く、回転数に到達するまでの加速時間が長い場合、必ずしも最大加速を発生する必要がない。このような場合は、例えば、4個の固定子巻線のうち、例えば、切替信号62、63、64をオフにして、固定子52、53の巻線には電圧を印加しないで、残りの固定子2個の巻線のみに電圧を印加することで、必要最小限の固定子数で駆動することができる。また、固定子1個で十分であれば、例えば、切替信号62、63、64の他、切替信号22、23もオフにして、切替信号24のみオンにし、固定子3のみで駆動することもでき、装置の使用状況に合わせて、省電力化を図ることができる。
【0028】
また、休止させる固定子を撮影ごとに交互に切替えて使えば、他方が稼動している間に、休止している固定子及びその巻線を冷却することができるので、固定子及びその巻線を冷却するための休止時間を短くすることができ、装置の高スループット化にもつながるメリットがある。
【0029】
以上のことは、図6に示すように、4個の固定子巻線を全て並列接続で運転した場合と、4個の固定子巻線を全て直列接続で運転した場合と、本発明の構成により固定子巻線の結線を変えて駆動した場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較することで説明できる。図6(a)に示すように、固定子巻線を並列接続で駆動した場合、直列接続で駆動した場合よりも8倍の推力を得ることから、直列接続の場合に比べ、約1/8以下の短時間の加速で、スキャン速度に到達することができる。また、回転子を減速する場合も同様に、直列接続の場合に比べ、約1/8前後の減速時間で停止させることができる。しかし、図6(b)、(c)に示すように、固定子巻線を並列接続で駆動したままスキャン撮影を行うと、撮影中に流れる電流は、直列接続の場合に比べ、約8倍以上の無効電流が流れ、非常に効率が悪い。また、固定子の発熱についても同様にスキャン撮影中も温度が著しく上昇し、回転子が減速した後も温度が高くなる。そのため、固定子を一定温度以下まで冷却するための休止時間を長くする必要がある。一方、直列接続で駆動した場合、図6(b)、(c)に示すように、スキャン撮影中の電流や発熱量は最も小さく、省電力であるが、図6(a)に示すようにスキャン速度に到達するまでの時間が長く、回転子が起動後、直ぐにスキャン撮影に入る迅速さが損なわれ、不都合である。そこで、本発明では、回転子を起動する時は、並列接続で駆動し、スキャン速度に到達した後、直列接続に切替えて駆動することができるため、スキャン速度に到達する加速時間は並列接続で加速した場合と同等で、スキャン撮影中の電流は、直列接続で駆動した時と同じ電流に低減することができ、電流や発熱量が大きくなる弊害がない。また、前述したように、並列接続から直列接続へ切替える時、回転子の速度フィードバックにより、固定子に印加する電圧の周波数が調整されるので、スキャン速度を維持したまま、切替えることができる。その他、回転子を加速させた後、休止した固定子は、スキャン撮影中の回転子の送風により冷却されるため、回転子を停止して自然放熱させた場合よりも、冷却が促進される。そのため、固定子を冷却するための休止時間を短くできるというメリットも生じる。
【0030】
以上、上記の実施例では、複数の固定子を有し、それらの巻線の結線を切替器で切替えることで、回転子の回転状態に応じて、並列から直列接続、直列から並列接続に切替えることにより、加速時間や減速時間を伸ばすことなく、定格回転時の電流や発熱を低減できることを説明してきたが、切替器について機械的なスイッチに限らず、半導体素子であるトライアック、サイリスタを利用して電気的に電流を遮断することも有効な方法である。
【0031】
(1)複数の回転磁界発生用電源を用いる実施例
図7は複数の回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第三の実施例である。図に示すように、回転子71と、回転子を駆動する4つの固定子72、73、74、75があり、各固定子の巻線(図示せず)は4つのインバータ回路77、78、79、80と接続し、該インバータ回路から上記固定子の各巻線へ任意周波数の交流電圧が印加される。また、インバータ回路77、78、79、80から出力されるインバータ動作周波数の周期(出力交流電圧周波数の周期)は、周波数信号83として制御回路81に入力する。回転子に取り付けた速度センサ76は、回転子の回転数を検出し、速度信号82として制御回路11に入力する。制御回路81は、上記の周波数信号83、速度信号82に基づいて、インバータ回路77、78、79、80に動作指令84を出力する。以上のような構成をもとに、図2、図8、9、10、11、12を用いて、本発明の第三の実施例の動作について説明する。図2は、図1の第一の実施例で説明したX線CT装置のスキャン時の運転パターンと固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。固定子巻線に電圧Vを印加すると(時間t1)、回転子が起動し、駆動電圧の増加と共に回転速度が増加する。そして、電圧Vが電圧Vmに到達後、電圧Vmを保ち、回転子はスキャン速度Pmに到達する(時間t2)。スキャン中はスキャン速度Pmを維持し、X線を患者に照射して撮影する。撮影終了後(時間t3)、電圧Vmを降下させて回転子の回転速度を落とし、停止する(時間t4)。そして、一定の休止時間をおいた後(時間t1’)、再び固定子巻線に電圧を印加して、撮影を繰り返す。次に、図2に示した固定子巻線に印加する駆動電圧について詳細に説明する。図8は、制御回路11から出力する動作指令によりインバータ回路77、78、79、80から固定子巻線に印加する駆動電圧を示したものである。
【0032】
図9は速度フィードバックにより、固定子巻線に印加する電圧/周波数を変えながら回転子の回転を維持するためのフローチャートを示したものである。
【0033】
図8に示すように、スキャン開始する時(時間t1)、インバータ回路77、78、79、80から固定子72、73、74、75の巻線に電圧が印加される。速度信号82がスキャン速度Vmに到達すると(時間t2)、制御回路81からインバータ回路77、78、79へ電圧印加停止の動作指令を出力し、インバータ回路80から固定子72の巻線のみに電圧を印加して回転子の回転速度を維持する。この時、固定子75、74、73の巻線への電圧印加を一挙に停止させないのは、一挙に電圧印加を停止すると、回転子で発生する電磁力が変化して、スキャン撮影中の回転速度に変動が生じ、撮影に支障が生じるためである。したがって、固定子への電圧印加の停止は一挙に行うのではなく、順番に停止させる。また、回転子の回転速度が変動しないように補償するために速度信号82により速度フィードバックをかけて、回転速度を監視し、固定子巻線に印加する電圧/周波数を変えながらインバータの電圧印加を順に停止する。この動作について図9を用いて詳細に説明する。
【0034】
速度信号82より、回転子がスキャン速度に到達すると、最初にインバータ回路77が出力する電圧を徐々に下げてゆく。これにより、回転子全体で発生する電磁力は減少するので、これを放っておくと、回転速度が減少し、スキャン撮影に支障が生じる。そこで、速度信号82と目標スキャン速度との差分Δvを演算器90により算出する。そして、減少した回転子の回転速度は、固定子巻線に印加する電圧/周波数をあげることで、回転速度を増加させることができるので、この差分Δvを周波数に換算するために、ゲイン乗算器91で乗算し、固定子巻線に印加する電圧/周波数を一定としつつ周波数の増加分Δfを算出する。また、この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路78、79、80の3個で、これらは、インバータ回路への動作/停止切替器95、96、97に入力する電圧停止信号と信号加算器93によりN=3として算出され、除算器92によりインバータ回路の出力電圧の周波数の増加分Δfを3等分する。そして、加算器94により、スキャン速度で回転する(設定)周波数fと加算され、電圧/周波数を一定に保ったままインバータ回路の動作周波数f+Δf/3を算出する。この周波数は、インバータ回路の電圧を調整制御する電圧調整器95、96、97、98に入力され、動作指令としてインバータ回路78、79、80へ出力する。これにより、固定子72、73、74の巻線には電圧/周波数が一定でその周波数がf+Δf/3の交流電圧が印加されるので、この結果、回転子の速度が増加する。また、差分Δvは打ち消され、回転子はスキャン速度を維持する。さらに、引き続き、インバータ回路77の電圧を下げると、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じるが、この差分Δvに比例して、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数の増加分Δfが自動的に生じるので、インバータ回路77の電圧を徐々に減少させていっても、回転子の回転速度を維持することができる。この動作により、インバータ回路77の印加電圧がゼロになるまで繰り返し、インバータ回路77の電圧印加がゼロになると、電圧調整器98から電圧停止信号が出力され、電圧調整器97において、インバータ回路78の印加電圧が減少を開始する。
【0035】
この時、インバータ回路77の電圧印加が停止した時と同様に、インバータ回路78の電圧減少により、回転子全体で発生する電磁力が減少するため、速度信号82と目標スキャン速度の間に差分Δvが生じる。この差分Δvに応じ、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数の増加分Δfが自動的に生じるが、この時、固定子に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路79、80の2個であるから、前記流電圧の周波数の増加分Δfを2等分し、交流電圧の周波数f+Δf/2の動作指令を制御回路81からインバータ回路79、80へ出力することになる。これにより、固定子72、73の巻線には周波数f+Δf/2の交流電圧が印加されるので、この結果、回転子の速度が増加する。その後、インバータ回路78の出力電圧がゼロになると、次にインバータ回路79の出力電圧を下げる。この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路80による1個のみであるから、出力電圧の周波数の増加分Δfは、そのまま、出力電圧の周波数f+Δfを動作指令として、制御回路81からインバータ回路80へ出力する。このように、インバータ回路の出力電圧がゼロになっても、速度信号82からスキャン速度との差分を検出し、制御回路81からインバータ回路77、78、79、80に出力する該インバータ回路から出力される電圧の周波数を増加させることで、回転速度が補償される。次に、図2に示すように、スキャン撮影中は、固定子は一個のみ(固定子72)、回転子の回転速度をスキャン速度を維持するが、スキャン撮影が終了して、回転子を停止する時、一旦、電圧印加を停止した固定子73、74、75の巻線に再び、電圧を印加する。これは、回転子の回転速度を減速させる時、固定子1個よりも固定子4個を全て使って減速させた方が短時間で回転子を停止できるからである。また、固定子73、74、75の巻線に電圧を再印加する時は、一挙に電圧を印加するのではなく、スキャン撮影に入る時に、電圧印加を停止させた時と同じように、固定子73、74、75の巻線の順で、逆に固定子巻線に電圧を再印加する。また、電圧の再印加は、周波数信号83に基づき、印加中のインバータ回路と同じ周期で固定子巻線に電圧が印加されるように、インバータ回路間の出力交流電圧の周波数の同期をとって、動作指令を出力する。これについて、図10を用いて詳細に説明する。
【0036】
スキャン撮影中は、固定子72の巻線のみに電圧を印加したが、減速するために、固定子79、78、77の巻線にもう一度、電圧を印加する。最初に、インバータ回路79の出力電圧の再印加を開始するが、開始する時、周波数比較器99によりインバータ回路80の周波数信号83とインバータ回路79の周波数信号83が比較され、両者の周波数が同期した時、電圧調整器95、96へ同期検出信号を出力し、インバータ回路79へ動作指令を出力する。この動作指令によりインバータ回路79は電圧を徐々に上げてゆくが、これにともなって回転子全体で発生する電磁力が増加するため、回転子の速度がスキャン速度よりも高くなる。このため、演算器90で算出される速度信号82と目標スキャン速度の間に差分Δvが生じる。
【0037】
増加した回転子の回転速度は、固定子巻線に印加する交流電圧の周波数を下げることで、回転速度を減少させることができる。そこで、この差分Δvを周波数に換算するために、ゲイン乗算器91で乗算し、固定子巻線に印加する電圧の周波数の増加分−Δfを算出する。また、この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路は、電圧調整器95、96、97、98に入力する電圧到達信号と信号加算器93により、インバータ回路は79、80の2個が選択されるから、N=2として算出され、除算器92により電圧周波数の増加分−Δfを2等分する。そして、加算器94により、スキャン速度で回転する設定周波数fと加算され、インバータ回路の出力交流電圧の周波数f−Δf/2を算出する。この周波数f−Δf/2は、インバータ回路の電圧を調整制御する電圧調整器95、96に入力され、インバータ回路79、80へ出力する。これにより、回転子の速度が減少して差分Δvが打ち消され、回転子はスキャン速度を維持する。さらにインバータ回路77の電圧が上がると、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じるが、この差分Δvに比例して、固定子巻線に印加する電圧周波数の増加分−Δfが自動的に演算されるので、インバータ回路77の出力電圧をさらに増加させても、回転子の回転速度を維持することができる。ここで、先程、インバータ回路79、80の間でそれらの出力電圧の周波数の同期をとった理由は、例えば、図7に示すように、固定子が回転子を挟んで向かい合わせに対となって配置している場合、固定子に印加する電圧が同じであっても、電圧周波数の位相の同期がとれていないと、固定子間の磁束や回転子の両面で発生する電磁力の不平衡が生じて、回転子に不要な振動や騒音を発生するからである。したがって、固定子に再度、電圧を印加する時、印加する電圧周波数の同期をとることで、不要な振動や騒音を発生させずに減速を開始させることができる。
【0038】
上記の動作はインバータ回路77の電圧が電圧Vmになるまで繰り返され、インバータ回路77の電圧が電圧Vmになると、電圧調整器96から電圧到達信号が出力され、次段である電圧調整器97においてインバータ回路78の電圧再印加を開始する。この時、インバータ回路77が電圧印加を開始した時と同様に、周波数比較器99において、インバータ回路80の周波数信号83、インバータ回路79の周波数信号83、インバータ回路78の周波数信号83が比較され、これらの周波数が同期した時、同期検出信号が電圧調整器95、96、97に出力され、インバータ回路78へ動作指令が出力する。これによってインバータ回路78の電圧印加が開始し、インバータ回路78の電圧が増加するが、回転子全体で発生する電磁力の増加により、速度信号82と目標スキャン速度の間に再び差分Δvが生じる。また、この差分Δvに応じて、固定子巻線に印加する電圧の周波数の増加分−Δfが自動的に生じる。この時、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路はインバータ回路78、79、80の3個であるから、出力電圧の周波数の増加分−Δfを3等分し、出力交流電圧の周波数f−Δf/3を動作指令として制御回路81からインバータ回路78、79、80へ出力する。その後、インバータ回路78の電圧が電圧Vmになると、次にインバータ回路77の電圧印加を開始する。この時、インバータ回路80の周波数信号83、インバータ回路79の周波数信号83、インバータ回路78の周波数信号83と、インバータ回路77の周波数信号83との同期をとって、制御回路81からインバータ回路80へ動作指令を出力する。また、固定子巻線に電圧を印加しているインバータ回路は4個であるから、電圧周波数f−Δf/4を動作指令として、制御回路81からインバータ回路80へ出力する。最終的にインバータ回路77、78、79、80全てに電圧Vmが印加されると、減速を開始する。減速中は、4個のインバータ回路77、78、79、80の電圧が全て同時に下がり、回転子が停止する。
【0039】
以上これまでは、回転子が起動してスキャン撮影に入る時と減速する時の、固定子巻線に印加する電圧について説明してきたが、回転子の速度を加速する場合についても応用することができる。図8では、固定子72、73、74、75の4個の全ての巻線に電圧を印加し、最も短時間でスキャン回転数に到達できる最大推力で加速させた場合を示しているが、スキャン撮影のスキャン回転数が低く、回転数に到達するまでの加速時間が長い場合、必ずしも最大推力で加速させる必要がない。このような場合、例えば、4個の固定子の内、固定子2個をあらかじめ休止させおき、残りの固定子2個を用い、その巻線のみに電圧を印加することで、必要最小限の固定子数で駆動することができ、装置の省電力化につながる。
【0040】
また、休止させる固定子を撮影ごとに交互に切替えて使えば、他方が稼動している間に、休止している固定子を冷却することができるので、固定子を冷却する休止時間を短くすることができ、装置の高スループット化にもつながるメリットがある。
【0041】
以上のことは、図11に示すように、固定子1個で駆動した場合、4個で駆動した場合、本発明の構成により固定子数を変えて駆動した場合の、固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較することで説明することができる。図11(a)に示すように、固定子4個で駆動した場合、固定子1個で回転子を駆動した場合よりも4倍の推力4・Fmを得ることから、固定子1個の場合に比べ、約1/4以下の短時間の加速で、スキャン速度に到達することができる。また、回転子を減速する場合も同様に、固定子1個の場合に比べ、約1/4以下の減速時間で、停止させることができる。しかし、図11(b)、(c)に示すように、固定子4個で駆動したままスキャン撮影を行うと、撮影中に流れる電流は、固定子1個の場合に比べ、約4倍以上の無効電流が流れ、非常に効率が悪い。また、固定子の発熱についても同様にスキャン撮影中も温度が著しく上昇し、回転子が減速した後も温度が高くなる。そのため、固定子を一定温度以下まで冷却するための休止時間が長い。一方、固定子1個で駆動した場合、図11(b)、(c)に示すように、スキャン撮影中の電流や発熱量は最も小さく、省電力であるが、図11(a)に示すようにスキャン速度に到達するまでの時間が長く、回転子が起動後、直ぐにスキャン撮影に入る迅速さが損なわれ、不都合である。そこで、本発明による回路構成によれば、回転子を起動する時は、固定子4個で駆動し、スキャン速度に到達した後、固定子1個に切替えて駆動することができるため、スキャン速度に到達する加速時間は固定子4個で加速した場合と同等であり、一方、スキャン撮影中の電流は、固定子1個で駆動した時と同じ電流にすることができ、電流や発熱量が大きくなる弊害がない。また、前述したように、固定子4個から固定子1個へ切替える時、回転子の速度フィードバックにより、固定子に印加する電圧周波数が調整されるので、スキャン速度を維持したまま、切替えることができる。その他、回転子を加速させた後、休止した固定子は、スキャン撮影中の回転子の送風により冷却されるため、回転子を停止して自然放熱させた場合よりも、冷却が促進する。そのため、固定子を冷却するための休止時間が短くなるメリットも生じる。
【0042】
これまではインバータ数が4個の場合について述べてきたが、インバータのコストを考慮し、大型のインバータを2個を設置して、図12に示すようにインバータ回路7は固定子72、73と接続し、インバータ回路78は固定子74、75と接続とした場合も同様に適用することができる。この図12の構成の動作について図13を用いて説明する。図13に示すように、スキャン開始する時(時間t1)、インバータ回路77、78から固定子72、73、74、75の巻線に電圧が印加され、速度信号82がスキャン速度Vmに到達すると(時間t2)、制御回路81からインバータ回路78へ電圧印加停止の動作指令を出力し、インバータ回路77から固定子72、73の巻線のみに電圧を印加して回転子の回転速度を維持する。この時、インバータ回路78の電圧印加停止は一挙に行うのではなく、これまで説明してきたように回転子の回転速度が変動しないように速度信号82により速度フィードバックをかけて、回転速度を監視し、固定子巻線に印加する電圧の周波数を変えながらインバータ回路78の電圧印加を徐々に下げて電圧印加を停止する。その後、スキャン撮影中は、固定子72、73の2個のみでスキャン速度を維持するが、スキャン撮影が終了して、回転子を停止する時、一旦、電圧印加を停止した固定子74、75の巻線に再び、電圧を印加する。これは、回転子の回転速度を減速させる時、固定子2個よりも固定子4個、全て使って減速させた方が短時間で回転子を停止できるからである。固定子74、75の巻線に電圧を再印加する時は、これまでと同様に一挙に電圧を印加するのではなく、スキャン撮影に入る時に、電圧印加を停止させた時と同じように、周波数信号83に基づき、印加中のインバータ回路77と同じ周期で固定子巻線に電圧が印加されるように、インバータ回路間の出力電圧の周波数の同期をとって、動作指令を出力する。以上のようにすることで、固定子4個の場合と同じ加速時間を損なわずに、撮影中の電流や発熱を低減することができ、インバータ回路のコストも考慮したバランスのよい構成とすることもできる。
【0043】
その他、これまでの説明で、速度センサは回転子の回転速度を直接、検出するエンコーダパルスのような速度検出手段について説明してきたが、本発明の速度センサはこれ以外の速度検出手段によっても実現することができる。例えば、X線CT装置では、X線管球、X線検出器、X線高電圧装置など回転子に連結して搭載する重量物を全て設計段階でわかっており、製品化後、回転子に搭載する重量が変わることはない。また、スキャン撮影毎ごとに回転子に連結して搭載する重量が変化することはなく、常に一定条件であるため、起動後、常に同じ時間内でスキャン速度に到達する加速時間が一定している。また、スキャン撮影も同様に、スキャン撮影開始前に操作者が撮影条件として入力設定するため、撮影時間、及び、減速開始時間は自ずと知ることができ、撮影開始前に予測しておくことができる。したがって、速度センサにより回転状態を検出して固定子への電圧切替をする代わりに、起動開始後からの経過時間を計測し、所定の加速時間が終了した時点で固定子への電圧切替を自動的に行ったとしても問題はない。したがって、直接、回転子の速度を検出するような速度検出手段によらず、起動開始後からの経過時間を計測するといった簡便な方法によることも可能である。その他、予め加速時間がわかっているので、回転子を起動後、加速時間を経過する少し直前に固定子巻線に印加する電圧の切替を開始することで、固定子巻線への電圧切替動作による遅延時間を短縮するフィードフォワードの効果もある。
【0044】
以上のことから、本実施例によれば、固定子巻線に電圧を印加するインバータ回路の数を回転子の回転状態に応じて切替えることで、加速時間や減速時間を損なうことなく、スキャン撮影中の電流、発熱を低減することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、X線CT装置のスキャン時間を短縮するために、ダイレクトドライブ方式のスキャナ回転機構によりスキャン時間を短縮し、加速時間や減速時間を損なうことなく、スキャン撮影中の電流、発熱を低減し、撮影間の休止時間を短縮をすることができ、短時間で撮影が終了するX線CT装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一つの回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第一の実施例図。
【図2】X線CT装置のスキャナ駆動の運転パターン、回転速度、駆動電圧の説明図。
【図3】本発明の第一の実施例によるX線CT装置の固定子結線の切り替えを説明する図。
【図4】固定子が4個の場合の本発明の第二の実施例図。
【図5】固定子巻線を4並列から2並列2直列への切り替えを説明する図。
【図6】4個の固定子巻線を全て並列接続した場合と、全て直列接続した場合と、本発明による結線にした場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力を比較する説明図。
【図7】複数の回転磁界発生用電源を用いたスキャナ回転駆動機構の本発明の第三の実施例図。
【図8】制御回路からの動作指令によりインバータ回路から固定子巻線に印加する駆動電圧を示す図。
【図9】本発明の第三の実施例における固定子切替中のスキャナ回転速度を一定に制御するフローチャート図。
【図10】本発明の第三の実施例における固定子切替中のスキャナ回転速度を一定に制御する他の実施例のフローチャート図。
【図11】固定子1個で駆動した場合、4個で駆動した場合、本発明の構成により固定子数を変えて駆動した場合の固定子巻線に流れる電流、発生する推力の比較図。
【図12】固定子及びインバータ回路とも二組の場合の本発明の第四の実施例図。
【図13】図12の動作説明図。
【符号の説明】
1 回転子、2,3,52,53 固定子、4,5,6,7,8,9 固定子巻線、10,11,12,13,14,15,16,17,54,55,56,57,58,59 切替器、18 速度センサ、19 制御回路、20 インバータ回路、21 速度信号、22,23,24,62,63,64 切替信号、25 周波数信号、26 動作指令
Claims (2)
- X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線を有し、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、前記固定子巻線の結線を切り替える結線切替手段と、前記速度検出手段で検出した前記回転子の回転速度信号にもとづき、前記結線切替手段に前記固定子巻線の結線を切り替える切替制御信号を出力する第一の制御手段とを具備して成るX線CT装置。
- X線を被検者に照射するX線照射手段と、前記被検者を挟み前記X線照射手段と対向配置したX線検出手段と、前記被検者を配置する開口部を設け、少なくとも前記X線照射手段とX線検出手段を搭載して前記被検者の周りを回転させる回転部材と、この回転部材を回転子とし、該回転子に複数の導体を設けてこれらの導体を接続し、前記回転子を挟み対峙する位置に配置した固定子鉄心と固定子巻線とから成る固定子と、前記固定子巻線に回転磁界を発生させるための交流電流を供給する回転磁界発生用電源と、前記発生した回転磁界により前記回転子を回転させて前記回転部材を回転させる回転駆動手段と、前記回転部材及び回転駆動手段を支持するフレームとを有し、前記X線検出手段で検出した被検者の透過X線情報を処理して該被検者の断層画像を得るX線CT装置であって、前記固定子は少なくとも二組以上の固定子鉄心と固定子巻線とから成り、前記回転磁界発生用電源は前記固定子巻線の個々に対応して備え、前記回転子の回転速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段で検出した回転子の回転速度信号と前記回転磁界発生用電源の動作周波数信号とにもとづいて、前記複数の回転磁界発生用電源間で該電源の動作周波数の同期同調をとって、前記複数の回転磁界発生用電源の動作を制御する第二の制御手段とを具備して成るX線CT装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-09-09 JP JP2002262350A patent/JP2004097433A/ja active Pending
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