JP2004095681A - 太陽電池膜形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持板温度だけでなく、ヒータ表面温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ表面温度の調節を可能とする、太陽電池膜形成装置を提供する。
【解決手段】チャンバー10Cには、支持板と、支持板を加熱するヒータ12−iとが設置される。支持板温度24−iを検出する支持板温度検出部O1〜O5と、支持板温度24−iが設定支持板温度STとなるように、支持板温度検出部O1〜O5が検出した支持板温度24−iに基づいて、ヒータ12−iの温度を指定するヒータ温度指定部10Dと、ヒータ温度25−iを検出するヒータ温度検出部O6〜O0とを具備する。
【選択図】 図6
【解決手段】チャンバー10Cには、支持板と、支持板を加熱するヒータ12−iとが設置される。支持板温度24−iを検出する支持板温度検出部O1〜O5と、支持板温度24−iが設定支持板温度STとなるように、支持板温度検出部O1〜O5が検出した支持板温度24−iに基づいて、ヒータ12−iの温度を指定するヒータ温度指定部10Dと、ヒータ温度25−iを検出するヒータ温度検出部O6〜O0とを具備する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池膜の形成において用いられる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
添付図面を参照して、本発明の太陽電池膜形成装置に係る従来の技術について説明する。本発明の太陽電池膜形成装置を用いて形成される太陽電池は、特に、アモルファスシリコン型太陽電池である。アモルファスシリコン型太陽電池10aは、図13に示されるように、ガラス基板11a、透明電極膜12a、P膜PL、I膜IL、N膜NLの各々からなる構造を有している。
【0003】
アモルファスシリコン型太陽電池10aは、次の(a)〜(d)を経て形成される。(a)〜(d)には、(a)ガラス基板11a上に透明電極膜12aを形成することで透明電極膜基板13aを形成し、(b)透明電極膜基板13a上にP膜PLを形成することで中間生成物14aを形成し、(c)中間生成物14a上にI膜ILを形成することで中間生成物15aを形成し、(d)中間生成物15a上にN膜NLを形成することでアモルファスシリコン型太陽電池10aを形成する過程が含まれる。これらの過程のうち、(b)で形成されるP膜PL、(c)で形成されるI膜IL、(d)で形成されるN膜NLの各々は、プラズマCVD法を用いた蒸着により形成される。
【0004】
プラズマCVD法は、内部にカートリッジヒータ、金属板、及び電極の各々を有する容器を用いて、次の(1)、(2)の手順を経て行われる。(1)膜の形成の対象となる形成物(中間生成物13a、中間生成物14a、中間生成物15aのいずれか)を、高真空、及び一定温度(200〜300℃)の条件下に保たれたチャンバーに備えられる金属板上に載せた後、チャンバーを密閉する。(2)チャンバー内に、P膜PL、I膜IL、N膜NLのいずれかの原料である原料ガスを封入する。また、電極を用いてグロー放電を行ってプラズマを発生させることで、封入された原料ガスを分解させ、形成物上に蒸着させる。この蒸着の結果、膜が形成される。
【0005】
(2)においては、膜PL、IL、NLの形成の際、形成される膜PL、IL、NLと密着する金属板の温度が時間的に、又は局所的に異なると、最終的に形成されるアモルファスシリコン型太陽電池10aの品質(光電効率)に影響を与えることがある。これは、プラズマによって分解された原料ガスが金属板上で膜PL、IL、NLを形成する速度が、金属板の温度によって異なるためである。そのため、カートリッジヒータによって加熱される金属板の温度を熱電対等の温度センサを用いて計測し、計測された温度(以下、「金属板温度計測値」と記す)と、金属板の温度に対して予め設定された金属板温度計測値とに基づいて、カートリッジヒータによる加熱の程度を調節する処理が行われている。調節処理は、一般的に、金属板温度計測値と金属板温度設定値とを用いた、PID演算(他の演算形態であっても構わない。以下同)の結果に基づいて行われることが多い。
【0006】
金属板温度だけでなく、ヒータ表面温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ表面温度の調節を可能とする、太陽電池膜形成装置の提供が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、支持板(上記の金属板に相当する)温度だけでなく、ヒータ温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ表面温度の調節を可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、起動開始直後においては、定常運転時とは異なり、記憶される昇温パターンに基づいてヒータ表面温度を調節することを可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ヒータ表面温度を調節するための演算処理において用いられるパラメータの各々を、運転状況(起動開始直後、又は定常運転時)の違いによって切り替えることを可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付で用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)を具備している。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。また、本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出する支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)と、前記支持板温度(24−i)が設定支持板温度(ST)となるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)に基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を指定するヒータ温度指定部(10D)と、前記ヒータ(12−i)の温度であるヒータ温度(25−i)を検出するヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)とを具備する。更に、本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定する前記ヒータ温度(TS)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節するヒータ温度調節部(10E)を具備する。
【0012】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)は、前記加熱の開始後における設定時間経過後のヒータ温度(TS)である第1ヒータ温度(TSa)を含んでいる。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記設定時間(t2)経過後においては、前記第1ヒータ温度(TSa)を指定する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記指定される第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出した前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0013】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)は、前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記設定時間(t2)経過前のヒータ温度(TS)である第2ヒータ温度(TSb)のいずれかである。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記設定時間(t2)経過前においては、前記第2ヒータ温度(TSb)に基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節し、前記設定時間(t2)経過後においては、前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出した前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0014】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記支持板温度(24−i)を前記設定支持板温度(ST)にするために要求される、前記ヒータ(12−i)への第1制御量(ΔI2)を算出し、前記算出された第1制御量(ΔI2)に基づいて、前記第1ヒータ温度(TSa)と前記第2ヒータ温度(TSb)のいずれかを算出する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記ヒータ温度指定部(10D)が算出する前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて、前記ヒータ温度(25−i)を前記第1ヒータ温度(TSa)にするために要求される、前記ヒータ(14)への第2制御量(ΔI3)を算出し、前記算出された第2制御量(ΔI3)に基づいて前記第1ヒータ温度(TSa)を指定し、前記算出された第2制御量(ΔI3)に基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0015】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記第1制御量(ΔI2)は、複数の第1制御量算出パラメータ(Kp、TI、TD)のいずれかを用いて算出される。前記複数の第1制御量算出パラメータ(Kp、TI、TD)は、前記設定時間(t2)経過前の第1制御量(ΔI2)の算出に用いられる第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)と、前記設定時間経過後の第1制御量の算出に用いられる第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)とを含んでいる。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記設定時間(t2)経過前には、前記第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)を用いて前記第1制御量(ΔI2)を算出し、前記設定時間(t2)経過後には、前記第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)を用いて前記第1制御量(ΔI2)を算出する。尚、
【0015】において、「第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)」は「第1パラメータ(Kpc、TIc、TDc)」に読み替えることが可能であり、「第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)」は「第2パラメータ(Kpd、TId、TDd)」に読み替えることが可能である。
【0016】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ(12−i)は、複数であり、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)は、複数であり、前記複数のヒータ(12−i)のいずれかに対するヒータ温度(25−i)を検出する。前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々は、前記支持板(14)上における複数の箇所のいずれかの支持板温度(24−i)を検出する。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記複数の箇所の各々の支持板温度(24−i)が前記設定支持板温度(ST)になるように、前記各々の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した前記いずれかの支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記複数のヒータ(12−i)の各々のヒータ温度を指定する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板(14)上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定する、前記複数のヒータ(12−i)の各々の前記ヒータ温度(TS)と、前記複数のヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)の各々が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて、前記複数のヒータ(12−i)の各々の前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0017】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10A)を具備している。前記チャンバー(10A)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出する支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)と、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を調節するヒータ温度調節部(10E)とを具備する。
【0018】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)において、前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記支持板温度(24−i)を前記設定支持板温度(ST)にするために要求される、前記ヒータ(12−i)への第1制御量(ΔI1)を算出し、前記算出された第1制御量(ΔI1)に基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、前記支持板温度(24−i)を調節する。
【0019】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)において、前記ヒータ(12−i)は、複数であり、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々は、前記支持板(14)上における複数の箇所のいずれかの支持板温度(24−i)を検出する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板(14)上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて前記各々のヒータ(12−i)を制御することで、前記支持板温度(24−i)を調節する。
【0020】
本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)、支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)、ヒータ温度指定部(10D)、ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)、ヒータ温度調節部(10E)の各々を具備する太陽電池膜形成装置(200)により実行される。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出するステップ(S3b)と、前記ヒータ温度指定部(10D)が、前記支持板温度(24−i)が設定支持板温度(ST)となるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)に基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を指定するステップ(S4b)とを具備する。また、本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が、ヒータ(12−i)の温度であるヒータ温度(25−i)を検出するステップ(S6b)と、前記ヒータ温度調節部(10E)が、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、前記ヒータ温度(25−i)を調節するステップ(S8b)とを具備する。
【0021】
本発明の太陽電池膜形成方法(100a)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)、支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)、ヒータ温度調節部(10E)の各々を具備する太陽電池膜形成装置(100)により実行される。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。本発明の太陽電池膜形成方法(100a)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出するステップ(S1a)と、前記ヒータ温度調節部(▲6▼〜◎)が、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、、前記ヒータ温度(25−i)を調節するステップ(S3a)とを具備する。
【0022】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明の太陽電池成膜装置に係る実施の形態1、2について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係る太陽電池膜形成装置100の構成を示す。太陽電池膜形成装置100は、アモルファスシリコン型太陽電池10aを構成するP膜PLを中間生成物13a上に形成する(I膜ILを中間生成物14a上に形成、及びN膜NLを中間生成物15a上に形成するときも含む)ためのチャンバー10A、及びチャンバー10Aと接続される制御装置10Bを具備している。チャンバー10Aには、ガスボンベ11が接続されている。ガスボンベ11には、栓11Aが備えられている。チャンバー10Aは、内部にカートリッジヒータ12−i(i=1,2,3,4,5)、水冷式反射板13、ヒータカバー14、電極15、防着板16、ガス流入口17−j(j=1,2)、弁18の各々を具備している。ヒータカバー14は、中間生成物13a、14a、15a(以下、「中間生成物13a〜15a」と記す)を支持し、また、複数の熱電対▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼(以下、「熱電対▲1▼〜▲5▼」と記す)が備えられる。制御装置10Bは、入力装置20、減算器20A、PID演算器21、サイクリスタ22の各々を具備している。
【0024】
ガスボンベ11−hには、P膜PL、I膜IL、N膜NLの原料となる複数種類の原料ガスのいずれかが充填されており、これらの原料ガスが所定の割合で混合される(各々の栓11A−hの開度が所定開度に調節される)ことで、P膜原料ガス23P、I膜ILの原料となるI膜原料ガス23I、N膜NLの原料となるN膜原料ガス23Nが生成される。生成された原料ガス23P、23I、23N(以下、「23P〜23N」と記す)は、ガス流入口17−jを通過し、その結果、チャンバー10Aの内部(但し、ヒータカバー14上の中間生成物13a〜15aから上方の領域。以下、「第1所定領域」と記す)は均一な濃度の原料ガス23P〜23Nで充填される。
【0025】
カートリッジヒータ12−i(i=1,2,3,4,5)は各々、筒型の放熱口(丸型の斜線部分)を有しており、制御装置10Bからの制御電流ΔI(図3を用いて後述)に応答してヒータカバー14を加熱する(又は、加熱の程度を調節する)ことで、ヒータカバー14全体が設定ヒータカバー温度になるように制御する。複数のカートリッジヒータ12−iが設置されていることから、ヒータカバー14上の複数の箇所(熱電対▲1▼〜▲5▼の設置される箇所に対応)におけるヒータカバー温度の違いに基づいた、ヒータカバー温度の制御が可能となっている。水冷式反射板13は、底部のチャンバー壁とカートリッジヒータ12−iとの隙間に設けられており、内部又は周辺部を流通する冷却水によって、各々のカートリッジヒータ12−iから放出される熱を吸収することで、冷却を行う。
【0026】
ヒータカバー14は、中間生成物13a〜15aを支持しており、この支持される中間生成物13a〜15a上に、原料ガス23P〜23Nが分解されて生成した電子とイオンを含む電離種(又は、分子ラジカル種)が蒸着することで、P膜PL(又はI膜IL、N膜NL)が形成される。
【0027】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー14の表面上の複数の箇所に設けられており、各々の箇所のヒータカバー表面温度24−i(i=1,2,3,4,5)、及びその変動を検出する。熱電対▲1▼は、カートリッジヒータ12−1による加熱の程度(図3を用いて後述する制御電流ΔI1に基づいた、カートリッジヒータ12−1へ流す電流の制御。他のカートリッジヒータ12−2〜5についても同様)に基づいた、ヒータカバー温度24−1、及びその変動を検出する。熱電対▲2▼は、カートリッジヒータ12−2による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−2、及びその変動を検出し、熱電対▲3▼は、カートリッジヒータ12−3による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−3、及びその変動を検出する。熱電対▲4▼は、カートリッジヒータ12−4による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−4、及びその変動を検出し、熱電対▲5▼は、カートリッジヒータ12−5による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−5、及びその変動を検出する。
【0028】
また、熱電対▲1▼〜▲5▼の各々は、検出されたヒータカバー温度24−iを示す情報(以下、単に「ヒータカバー温度24−i」と記す)を制御装置10Bに出力する。このとき、各々の熱電対▲1▼〜▲5▼を示す情報(以下、「第1熱電対指示情報」と記す)も共に制御装置10Bに出力される。例えば、熱電対▲3▼は、検出されたヒータカバー表面温度24−3と共に、その番号「▲3▼」を示す第1熱電対指示情報を制御装置10Bに出力する。
【0029】
電極15は、電圧を印加され、チャンバー10A内においてグロー放電を発生する。このグロー放電によって、チャンバー10A内に注入された原料ガス23P〜23Nは、電子とイオン(又は、分子ラジカル種同士)に電離して、最終的にヒータカバー14上の中間生成物13a〜15a上に蒸着する。防着板16は、分解された原料(以下、「分解原料」と記す)がチャンバー10Aの内壁に付着するのを可能な限り防止している。この防着板16を設置することで、チャンバー10Aの内壁へ分解原料が付着することによる、チャンバー10Aの腐食を可能な限り防止することが可能となる。
【0030】
弁18からは、原料ガス23Pをチャンバー10A内に注入して中間生成物14aを生成した後に、チャンバー10A内の第1所定領域に僅かに残留している原料ガス23Pが放出される。これにより、チャンバー10A内が再び高真空状態となるように制御される(この後に、原料ガス23Iがチャンバー10Aの第1所定領域内に注入される)。また、同様にして、原料ガス23Iをチャンバー10Aの第1所定領域内に注入して中間生成物15aを生成した後に、チャンバー10A内の第1所定領域内に僅かに残留している原料ガス23Iが弁18から放出される。これにより、チャンバー10Aの第1所定領域内が再び高真空状態となるように制御される(この後に、原料ガス23Nがチャンバー10Aの第1所定領域内に注入される)。
【0031】
入出力装置20は、ヒータカバー表面温度24−iに対して設定された設定ヒータカバー表面温度(ヒータカバー表面温度24−iの各々は、同一の温度になるように設定される)を、太陽電池膜形成装置100の操作者(以下、「操作者」と記す)の操作に基づいて、予め減算器20Aに出力する。入出力装置20は、表示部20Bを備えており、表示部20Bは、図2に示す表示画面SC1を表示する。表示画面SC1は、演算データ1D、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D、P膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3B、設定ボタン4Bの各々を示している。表示画面SC1に表示される演算データ1Dは、P膜演算データ、I膜演算データ、N膜演算データのいずれかである(図2の例では、P膜演算データが表示されている。P膜演算データ、I膜演算データ、N膜演算データの各々は、予め操作者によって入出力装置20に入力され、入出力装置20によって記憶される)。
【0032】
演算データ1Dは、設定ヒータカバー表面温度ST(STa、STb、STc、STd)、比例ゲイン:Kp(Kp1、Kp2、Kp3、Kp4)、積分時間:TI(TI1、TI2、TI3、TI4)、微分時間:TD(TD1、TD2、TD3、TD4)の各々を対応付けて示している。比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDは、PID演算器21がPID演算を行うときに用いられる(組み合わせは、(1)〜(4)のいずれかである)。
【0033】
表示画面SC1からは、タッチパネル式の操作が可能であり、操作者は、図2に示される演算データ1Dのうち、(1)〜(4)のいずれかをタッチ操作によって指定する。(1)〜(4)のいずれかが指定された上で設定ボタン4Bがタッチ操作されると、操作者によって指定された設定ヒータカバー表面温度STは入出力装置20から減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、入出力装置20からPID演算器21に出力される。例えば、(1)が指定されたときには、P膜演算データについて設定ヒータカバー表面温度STaが減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp1、積分時間:TI1、微分時間:TD1の各々がPID演算器21に出力される。
【0034】
図2における演算データ1D(P膜演算データ)は、P膜PLが形成されるときの演算処理(減算器20AとPID演算器21によって行われる)に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST1a〜ST1d、比例ゲイン:Kp1〜Kp4、積分時間:TI1〜TI4、微分時間:TD1〜TD4の各々を示している。しかしながら、I膜ILが形成されるときの演算処理に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を示した演算データ1D(I膜演算データ)についても、図2と同様の形式で表示画面SC1に示される。また、N膜NLが形成されるときの演算処理に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を示した演算データ1D(N膜演算データ)についても、図2と同様の形式で表示画面SC1に示される。図2の状態からI膜演算データ表示要求ボタン2Bが操作されると、P膜演算データはI膜演算データに切り替わり、N膜演算データ表示要求ボタン3Bが操作されると、P膜演算データはN膜演算データに切り替わる。I膜演算データ、N膜演算データの各々のときでも、P膜演算データのときと同様の形態で設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が指定され、PID演算器21、又は減算器20Aに出力される。
【0035】
被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dは、被腹膜PL〜NL(P膜PL、I膜IL、N膜NL)を形成するときの、ヒータカバー14に対する設定ヒータカバー表面温度ST(ST1a〜ST1d、ST2a〜ST2d、ST3a〜ST3d)を示している。操作者は、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dを参照した上で、ST1a〜ST1dのうちのいずれか、ST2a〜ST2dのうちのいずれか、ST3a〜ST3dのうちのいずれかを各々選定することが可能である。被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dに示されるように、設定ヒータカバー表面温度ST1a〜ST1d(ST1a、ST1b、ST1c、ST1d)はP膜PLが形成されるときの値、設定ヒータカバー表面温度ST2a〜ST2d(ST2a、ST2b、ST2c、ST2d)はI膜ILが形成されるときの値として選定される。設定ヒータカバー表面温度ST3a〜ST3d(ST3a、ST3b、ST3c、ST3d)はN膜NLが形成されるときの値として選定される。
【0036】
上記においては、P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときの各々において、異なる比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDが用いられ、また、設定ヒータカバー温度STも異なるものとして説明している。但し、必ずしもこの形態には限らず、いずれの膜が形成されるときであっても、設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、互いに同一であっても構わない。このときには、表示画面SC1においてP膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3Bは表示されない。また、このときには、(1)〜(4)のいずれかを指定した後に設定ボタン4Bが操作されることで、指定された設定ヒータカバー温度STが減算器20Aに出力され、指定された比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々がPID演算器21に出力される。P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときのいずれにおいても、制御電流ΔI1の算出にあたっては、常にこれらの出力された設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が用いられる。
【0037】
減算器20Aは、入出力装置20から入力した設定ヒータカバー表面温度STを記憶する。また、減算器20Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ1(図3に示す)を算出する。更に、減算器20Aは、算出された差Δ1と第1熱電対指示情報とをPID演算器21に出力する。
【0038】
PID演算器21は、減算器20Aから、第1熱電対指示情報と差Δ1とを入力し、入出力装置20から比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を入力する。PID演算器21は、入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ1を所定のPID演算式に代入することで、PID演算を行う。このPID演算の結果、ヒータカバー表面温度24−iの各々を設定ヒータカバー表面温度STにする(このとき、中間生成物14a、15a、アモルファスシリコン型太陽電池10aがヒータカバー14上において、設定ヒータカバー表面温度STで形成される)ための、各々のカートリッジヒータ12−iに対する制御電流ΔI1が算出される。制御電流ΔI1は、PID演算器21からカートリッジヒータ12−iに流す電流の増加分(ヒータカバー表面温度24−iは上昇)、又は減少分(ヒータカバー表面温度24−iは下降)を示している。即ち、制御電流ΔI1は、ヒータカバー表面温度24−iの各々を設定ヒータカバー表面温度STとするように制御するための値である。
【0039】
制御電流ΔI1(ΔI2又はΔI3に読み替えても同様であり、これらについては後述)の算出の方法を図3に示す。図3は、横軸に時間t、縦軸に温度T(設定ヒータカバー温度STとヒータカバー温度24−iとのいずれか)をプロットし、起動昇温後、設定時間が経過して定常運転が開始された(このときの時間をt2としている)後の時間tの経過に伴うヒーターカバー表面温度24−iと設定ヒータカバー温度STとの差Δ1(Δ2又はΔ3に読み替えても同様であり、これらについては後述)を示している。図3においては、時間Δt内において発生した、ヒーターカバー表面温度24−iの設定ヒーターカバー表面温度STからのずれ(差Δ1)を補正するための制御電流ΔI1/mAを算出した例を示している。
【0040】
PID演算器21は、図4に示す電流出力対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tを記憶している。電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tには、第1熱電対指示情報に示される熱電対19−iと、制御電流ΔI1に基づいた制御の対象となるカートリッジヒ−タ12−iとが対応付けて示されている。PID演算器21は、第1熱電対指示情報と電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tとを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して、上記の形態で算出された制御電流ΔI1に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI1の分だけ増加、又は減少)を行う。これにより、熱電対▲1▼〜▲5▼によって検出されるヒータカバー温度24−iが、設定ヒータカバー温度STになるように制御することが可能となる。サイクリスタ22は、PID演算器21から出力された制御電流ΔI1を、カートリッジヒータ12−iが使用可能な形態に変化させて出力する。
【0041】
次に、図5を用いて、本発明の太陽電池膜形成方法100aに係る処理の過程について説明する。太陽電池膜形成方法100aに係る処理が行われる前に、(Ba)、(Bb)に述べられる準備が行われる。
【0042】
(Ba)操作者によって、設定ヒータカバー温度STが入出力装置20から減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が入出力装置20からPID演算器21に出力される。減算器20Aは入出力装置20から入力した設定ヒータカバー温度STを記憶し、PID演算器21は入出力装置20から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Bb)チャンバー10A内のヒータカバー14上に中間生成物13aが設置される。弁18からチャンバー10Aの第1所定領域内に残存する空気を排気することで、第1所定領域内を高真空状態とする。また、電極15に電圧を印加してグロー放電を発生させた上で原料ガス23Pを第1所定領域内に流入させると共に、制御装置10Bから電流をカートリッジヒータ12−iに流すことで、カートリッジヒータ12−iによるヒータカバー14の加熱を開始する。
【0043】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー表面温度24−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータカバー温度24−iと、第1熱電対指示情報とを制御装置10Bに出力する(ステップS1a)。減算器20Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ1を算出し、算出された差Δ1と第1熱電対指示情報とをPID演算器21に出力する。PID演算器21は、減算器20Aから入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ1を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI1を算出する(ステップS2a)。PID演算器21は、第1熱電対指示情報と電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tとを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI1に基づいた制御を行う(ステップS3a)。ステップS3aの処理によって、ヒータカバー表面温度24−iの各々は、設定ヒータカバー温度STとなる。
【0044】
(実施の形態2)
図6に、本発明の実施の形態2に係る太陽電池膜形成装置200の構成を示す。太陽電池膜形成装置200は、アモルファスシリコン型太陽電池10aを構成するP膜PLを中間生成物13a上に形成する(I膜ILを中間生成物14a上に形成、及びN膜NLを中間生成物15a上に形成するときも含む)ためのチャンバー10C、チャンバー10Cと接続される制御装置10D、10Eの各々を具備している。チャンバー10Cには、ガスボンベ11−hが接続されている。ガスボンベ11−hには、栓11A−hが備えられている。チャンバー10Cは、内部にカートリッジヒータ12−i、水冷式反射板13、ヒータカバー14、電極15、防着板16、ガス流入口17−j、弁18の各々を具備している。カートリッジヒータ12−iの表面には、複数の熱電対▲6▼〜◎(▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼,◎)が備えられる。ヒータカバー14は、中間生成物13a〜15aを支持し、また、複数の熱電対▲1▼〜▲5▼が備えられる。制御装置10Dは、入力装置31、減算器31A、PID演算器32、加算(切替)器33、上下限リミッター34の各々を具備している。制御装置10Eは、入力装置41、減算器41A、PID演算器42、サイクリスタ43の各々を具備している。
【0045】
以下の説明において、ガスボンベ11−h、栓11A−h、カートリッジヒータ12−i、水冷式反射板13、ヒータカバー14の各々については実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。また、電極15、防着板16については
【0029】、弁18については
【0030】の各々の説明における「チャンバー10A」が「チャンバー10C」に読み替えられること以外は実施の形態1と同様であるので、それらの説明は省略する。更に、実施の形態1と同様に、供給された原料ガス23P〜23Nは、ガス流入口17−jを通過し、その結果、チャンバー10Cの内部(但し、ヒータカバー14上の中間生成物13a〜15aから上方の領域。以下、「第2所定領域」と記す)は均一な濃度の原料ガス23P〜23Nで充填される。
【0046】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、検出されたヒータカバー表面温度24−iと第1熱電対指示情報とを制御装置10Dの減算器31Aに出力する(ヒータカバー温度24−iの検出の形態については、
【0027】において説明したものと同様であるので、その説明は省略する)。熱電対▲6▼〜◎は、ヒータ表面温度25−iを検出し、検出されたヒータ表面温度25−iを示す情報(以下、単に「ヒータ表面温度25−i」と記す)と、第2熱電対指示情報とを減算器41Aに出力する。第2熱電対指示情報は、いずれかの熱電対▲6▼〜◎の番号(例えば「▲6▼」)を示す。
【0047】
入出力装置31は、表示部31Bを具備しており、表示部31Bは、操作者の操作に応答して図7に示す表示画面SC2を表示する。表示画面SC2には、演算データ1D´、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D´、P膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3B、設定ボタン4Bの各々が示されている。演算データ1D´において示される設定ヒータカバー温度ST、運転状況DC、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、操作者によって予め入出力装置31に入力され、入出力装置31が記憶したデータである。「起動昇温時」は、起動開始後の設定時間の経過前であり、「定常運転時」は起動開始後の設定時間の経過後である。設定ヒータカバー表面温度STは定常運転時に対してのみ設定されているが、これは後述のように、起動昇温時に対しては起動時昇温パターンが設定されているためである。また、図7においては、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、「起動昇温時」、又は「定常運転時」に区分して設定することが可能となっている。即ち、運転状況(起動昇温時、又は定常運転時)の違いに応じた、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々の設定が可能となっている。
【0048】
「起動昇温」とは、次の(Aa)〜(Ac)のいずれかを意味する。(Aa)P膜PLが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iの常温(室温=25℃程度)からP膜PLの形成時の温度(図7の例では、ST1b又はST1d)への昇温である。(Ab)I膜ILが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iのP膜PLの形成時の温度からI膜ILの形成時の温度(図7の例では、ST2b又はST2d)への昇温である。(Ac)N膜NLが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iのI膜ILの形成時の温度からN膜NLの形成時の温度(図7の例では、ST3b又はST3d)への昇温である。
【0049】
操作者は、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D´を参照して、(a)と(b)のいずれかを表示画面SC2へのタッチ操作により指定することが可能である。操作者が(a)と(b)のいずれかを指定後に設定ボタン4Bを操作することで、入出力装置31からPID演算器32に比例ゲイン:Kp(Kpb、Kpdのいずれか)、積分時間:TI(TIb、TIdのいずれか)、微分時間:TD(TDb、TDdのいずれか)の各々が出力され、入出力装置31から減算器31Aに設定ヒータカバー温度ST(STa、STbのいずれか)が出力される。
【0050】
尚、上記においては、P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときの各々において、異なる比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDが用いられ、また、設定ヒータカバー温度STも異なるものとして説明している。但し、必ずしもこの形態には限らず、いずれの膜が形成されるときであっても、設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、互いに同一であっても構わない点については、実施の形態1と同様である。
【0051】
減算器31Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から、検出されたヒータカバー表面温度24−iを入力する。また、減算器31Aは、入出力装置31から入力した設定ヒータカバー表面温度STと、熱電対▲1▼〜▲5▼から入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ2を算出してPID演算器32に出力する。PID演算器32は、入出力装置31から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を所定のPID演算式に代入することで、PID演算を行う(PID演算の方法については、実施の形態1において図3を用いて説明したものと同様であるので、その詳細な説明は省略する)。
【0052】
PID演算器32は、図8に示す制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dを記憶している。制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dは、PID演算器32によって算出された制御電流ΔI2と、その算出された制御電流ΔI2に対応して定められる設定ヒータ表面温度TSとの関係を示している。PID演算器32は、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dに基づいて設定ヒータ表面温度TSを決定し、決定された設定ヒータ表面温度TSの値を加算(切替)器33に出力する。例えば、PID演算器32が算出した制御電流ΔI2=ΔIaであるときには、設定ヒータ表面温度TS=TSbと決定され、制御電流ΔI2=ΔIbであるときには、設定ヒータ表面温度TS=TSaと決定され、決定された設定ヒータ表面温度TSa、TSbが加算(切替)器33に出力される。
【0053】
加算(切替)器33は、図9に示す起動時昇温パターンデータ4Dを予め入出力装置31から入力して記憶する(P膜PLの形成時、I膜ILの形成時、N膜NLの形成時の各々についての計3種類が入力され、記憶される)。起動時昇温パターンデータ4Dは、時間tと設定ヒータ表面温度TSの各々を示している。図9において、時間0≦t≦t2はヒータ表面温度25−iの昇温過程に相当し、t2≦tは、定常運転時に相当する(t2は、上述した起動開始後の設定時間に相当する)。設定ヒータ表面温度TSaは、時間0≦t≦t2における設定ヒータ表面温度TSであり、設定ヒータ表面温度TSbは、時間t2≦tにおける設定ヒータ表面温度TSである。時間ta≦t≦t2における設定ヒータ表面温度TSは、400℃≦TS≦650℃のように、定常運転時の設定ヒータ表面温度TSと比較して高めに設定されている。これにより、ヒータ表面温度25−iを可能な限り早くに定常運転時の設定ヒータ表面温度TS(図9の例では400℃)に到達させることが可能となる(但し、I膜ILの形成時、N膜NLの形成時に対する起動時昇温パターンデータ4Dにおいては、必ずしも高めに設定される必要は無い)。即ち、運転状況(起動昇温時、定常運転時のいずれか)の違いに基づいた設定ヒータ表面温度TSが設定されることで、結果的に起動昇温に要する時間の短縮も可能となる。
【0054】
加算(切替)器33は、入出力装置31から太陽電池膜形成装置200の起動開始信号200Aを入力したときに、記憶している起動時昇温パターンデータ4Dを上下限リミッター34、入出力装置41、減算器41Aの各々を介してPID演算器42に出力する。起動開始信号200Aは、P膜PLの形成開始時、I膜ILの形成開始時、N膜NLの形成開始時の各々において、自動的に入出力装置31から加算(切替)器33へ出力される信号である(各々の膜PL、IL、NLの形成に要する時間は、予め設定されている)。また、加算(切替)器33は、起動時昇温パターンデータ4Dを出力したときに、PID演算器32と加算(切替)器33との接続が、設定時間(図8の例ではt2=定常運転の開始時)の経過まで切断されるように制御する。更に、加算(切替)器33は、その設定時間の経過の後に、切断されていたPID演算器32と加算(切替)器33との接続を、再接続するように制御する。
【0055】
加算(切替)器33が上記の形態でPID演算器32と加算(切替)器33との接続を制御することで、PID演算器42は、設定時間経過前には起動時昇温パターンデータ4Dを基にして、カートリッジヒータ12−iに流す電流を制御するための制御電流ΔI2の値を算出することが可能となる。また、PID演算器42は、設定時間経過後には、PID演算器32が算出した制御電流ΔI2と制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dとに基づいて決定された設定ヒータ表面温度TSを基にして、カートリッジヒータ12−iに流す電流を制御するための制御電流ΔI3の値を算出することが可能となる。
【0056】
上下限リミッター34は、図10に示す上下限表示データ5Dを記憶している。上下限表示データ5Dは、時間tと設定ヒータ表面温度TSとの関係を示しており、時間0〜t2(起動昇温時に相当)おいては設定ヒータ表面温度25−iが0〜650℃(図10の斜線部分)であり、t2≦t(定常運転時に相当)においては設定ヒータ表面温度25−iが400℃であることが示されている。即ち、時間0〜t2においては、設定ヒータ表面温度25−iの上限値=650℃、設定ヒータ表面温度25−iの下限値=0℃である。上下限リミッター34は、加算(切替)器33から入力した設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値を超えるときには、設定ヒータカバー温度TSを上限値に等しいものとして入出力装置41に出力し、下限値に達しないときには、設定ヒータカバー温度TSを下限値に等しいものとして入出力装置41に出力する。
【0057】
入出力装置41は、操作者の操作に基づいて、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間TDの各々を含む演算データをPID演算器42に出力する。このとき出力される演算データの値は、各々、Kp=10%、TI=30秒、TD=10秒程度に設定される。また、入出力装置41は、上下限リミッター34から設定ヒータ表面温度TSを入力したときには、その入力した設定ヒータ表面温度TSを減算器41Aに出力する。
【0058】
減算器41Aは、入出力装置41から入力した設定ヒータ表面温度TSを記憶する。減算器41Aは、熱電対▲6▼〜◎からヒータ表面温度25−iを入力したときには、入力したヒータ表面温度25−iと、記憶される設定ヒータ表面温度TSとの差Δ2を算出してPID演算器42に出力する。PID演算器42は、減算器41Aから入力した差Δ2に基づいてPID演算を行って制御電流ΔI3を算出する(PID演算の方法については、実施の形態1で図3を用いて説明したものと同様であるので、ここではその説明を省略する)。
【0059】
PID演算器21は、図11に示す電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを記憶している。電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tには、第1熱電対指示情報に示される熱電対▲1▼〜▲5▼と、第2熱電対指示情報に示される熱電対▲6▼〜◎と、制御電流ΔI3に基づいた制御の対象となるカートリッジヒ−タ12−iとが対応付けて示されている。図11においては、例えば、カートリッジヒ−タ12−1に流す電流の量を増大させることで、熱電対▲1▼によって検出されるヒータカバー表面温度24−i、熱電対▲6▼によって検出されるヒータ表面温度25−iの各々が増大することが示されている。PID演算器42は、第1熱電対指示情報、第2熱電対指示情報、及び電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI3の分だけ増加、又は減少)を行う。これにより、熱電対▲6▼〜◎によって検出されるヒータ表面温度25−iが、設定ヒータ表面温度TSになるように制御することが可能となる。サイクリスタ43は、PID演算器42から出力された制御電流ΔI3を、カートリッジヒータ12−iが使用可能な形態に変化させて出力する。
【0060】
上記の実施の形態2においては、ヒータ表面温度25−iとヒータカバー表面温度24−iとが検出され、検出されたヒータ表面温度25−iと、検出されたヒータカバー表面温度24−iに基づいて決定された設定ヒータカバー表面温度TSとに基づいて制御電流ΔI3の量が算出される。この算出された制御電流ΔI3がカートリッジヒータ12−iに流されることで、ヒータ表面温度25−iの調節が可能となる。
【0061】
次に、図12を用いて、本発明の太陽電池膜形成方法200aに係る処理の過程について説明する。太陽電池膜形成方法200aに係る処理が行われる前に、(Bc)〜(Be)に述べられる準備が行われる。
【0062】
(Bc)操作者によって、設定ヒータカバー表面温度STが入出力装置31から減算器31Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が入出力装置31からPID演算器32に出力される。減算器31Aは入出力装置31から入力した設定ヒータカバー温度STを記憶し、PID演算器21は入出力装置20から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Bd)操作者によって、設定ヒータ表面温度STが入出力装置41から減算器41Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI(=30秒程度)、微分時間:TD(=10秒程度)の各々が入出力装置41からPID演算器42に出力される。減算器41Aは入出力装置41から入力した設定ヒータ温度TSを記憶し、PID演算器42は入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Be)チャンバー10C内のヒータカバー14上に中間生成物13aが設置される。弁18からチャンバー10Cの第2所定領域内に残存する空気を排気することで、第2所定領域内を高真空状態とする。また、電極15に電圧を印加してグロー放電を発生させた上で原料ガス23Pを第2所定領域内に流入させると共に、制御装置10Eから電流をカートリッジヒータ12−iに流すことで、カートリッジヒータ12−iによるヒータカバー14の加熱を開始する。
【0063】
加算(切替)器33は、入出力装置31から入力した、各々の膜PL、IL、NLの形成時に対する起動時昇温パターンデータ3Dを、上下限リミッター34を介してPID演算器42に出力する。PID演算器42は、入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI(=30秒程度)、微分時間:TD(=10秒程度)、ヒータカバー温度25−i、差Δ3を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI3を算出する(ステップS2a)。PID演算器21は、カートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(制御電流ΔI3をカートリッジヒ−タ12−iに流す)を行う(ステップS2b)。ステップS2bの処理によって、ヒータ表面温度25−iの各々は、起動時昇温パターンデータ3Dに示されるように時間tの経過と共に上昇して、最終的に定常運転時の設定ヒータ表面温度TSとなる。
【0064】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー表面温度24−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータカバー温度24−iと、第1熱電対指示情報とを減算器31Aに出力する(ステップS3b)。減算器31Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ2を算出し、算出された差Δ2と第1熱電対指示情報とをPID演算器32に出力する。PID演算器32は、入出力装置31から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ2を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI2を算出する。PID演算器32は、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dを参照して、算出された制御電流ΔI2に対応する設定ヒータ表面温度TSを決定し、上下限リミッター34に出力する(ステップS4b)。上下限リミッター34は、加算(切替)器33から入力した設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値を超えるときには、設定ヒータカバー温度TSを上限値に等しいものとして入出力装置41に出力し、下限値に達しないときには、設定ヒータカバー温度TSを下限値に等しいものとして入出力装置41に出力する(ステップS5b)。
【0065】
尚、加算(切替)器33から出力された設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値と下限値の範囲内にあるときには、ステップS5bの処理は行われない。
【0066】
熱電対▲6▼〜◎は、ヒータ表面温度25−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータ温度25−iと、第2熱電対指示情報とを減算器41Aに出力する(ステップS6b)。減算器41Aは、熱電対▲6▼〜◎から第2熱電対指示情報とヒータ表面温度25−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータ表面温度TSと、入力したヒータ表面温度25−iとの差Δ3を算出し、算出された差Δ3と第2熱電対指示情報とをPID演算器42に出力する。PID演算器42は、入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ3を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI3を算出する(ステップS7b)。PID演算器42は、第1熱電対指示情報、第2熱電対指示情報、及び電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI3の分だけ増加、又は減少)を行う(ステップS8b)。
【0067】
【発明の効果】
本発明の太陽電池膜形成装置により、支持板温度だけでなく、ヒータ温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ温度の調節が可能となる。
【0068】
本発明の太陽電池膜形成装置により、起動開始直後においては、定常運転時とは異なり、記憶される昇温パターンに基づいてヒータ表面温度を調節することが可能となる。
【0069】
本発明の太陽電池膜形成装置により、ヒータ表面温度を調節するための演算処理において用いられるパラメータの各々を、運転状況(起動開始直後、又は定常運転時)の違いによって切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図2】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、表示画面を示す図である。
【図3】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1、2に係る、制御電流の算出の形態を示した図である。
【図4】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図5】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、処理の過程を示した図である。
【図6】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る構成を示す図である。
【図7】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、表示画面を示す図である。
【図8】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データを示す図である。
【図9】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、起動時昇温パターンデータを示す図である。
【図10】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図11】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図12】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、処理の過程を示した図である。
【図13】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1、2、及び従来の技術に係る、アモルファスシリコン型太陽電池を示した図である。
【符号の説明】
▲1▼〜▲5▼:熱電対
▲6▼〜◎:熱電対
10A、10C:チャンバー
10B、10D、10E:制御装置
11−1、11−2、11−3:ガスボンベ
11A−1、11A−2、11A−3:栓
12−1、12−2、12−3、12−4、12−5:カートリッジヒータ
13:水冷式反射板
14:ヒータカバー
15:電極
16:防着板
17−1、17−2:ガス流入口
18:弁
20:入出力装置
20A:減算器
20B:表示部
21:PID演算器
22:サイクリスタ
23P、23I、23N:原料ガス
24−1、24−2、24−3、24−4、24−5:ヒータカバー表面温度
25−1、25−2、25−3、25−4、25−5:ヒータ表面温度
31:入出力装置
31A:減算器
31B:表示部
32:PID演算器
33:加算(切替)器
34:上下限リミッター
41:入出力装置
41A:減算器
42:PID演算器
43:サイクリスタ
100、200:太陽電池膜形成装置
11a:ガラス基板
12a:透明電極膜
13a、14a、15a:中間生成物
100a、200a:太陽電池膜形成方法
ST:設定ヒータカバー表面温度
TS:設定ヒータ表面温度
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
1B:P膜演算データ表示要求ボタン
2B:I膜演算データ表示要求ボタン
3B:N膜演算データ表示要求ボタン
4B:設定ボタン
1D:演算データ
2D:被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ
3D:制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ
4D:起動時昇温パターンデータ
5D:上下限表示データ
ΔI(ΔI1、ΔI2、ΔI3):制御電流
Δ1、Δ2、Δ3:差
PL:P膜
IL:I膜
NL:N膜
ST:設定ヒータカバー表面温度
TS:設定ヒータ表面温度
1T、2T:電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池膜の形成において用いられる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
添付図面を参照して、本発明の太陽電池膜形成装置に係る従来の技術について説明する。本発明の太陽電池膜形成装置を用いて形成される太陽電池は、特に、アモルファスシリコン型太陽電池である。アモルファスシリコン型太陽電池10aは、図13に示されるように、ガラス基板11a、透明電極膜12a、P膜PL、I膜IL、N膜NLの各々からなる構造を有している。
【0003】
アモルファスシリコン型太陽電池10aは、次の(a)〜(d)を経て形成される。(a)〜(d)には、(a)ガラス基板11a上に透明電極膜12aを形成することで透明電極膜基板13aを形成し、(b)透明電極膜基板13a上にP膜PLを形成することで中間生成物14aを形成し、(c)中間生成物14a上にI膜ILを形成することで中間生成物15aを形成し、(d)中間生成物15a上にN膜NLを形成することでアモルファスシリコン型太陽電池10aを形成する過程が含まれる。これらの過程のうち、(b)で形成されるP膜PL、(c)で形成されるI膜IL、(d)で形成されるN膜NLの各々は、プラズマCVD法を用いた蒸着により形成される。
【0004】
プラズマCVD法は、内部にカートリッジヒータ、金属板、及び電極の各々を有する容器を用いて、次の(1)、(2)の手順を経て行われる。(1)膜の形成の対象となる形成物(中間生成物13a、中間生成物14a、中間生成物15aのいずれか)を、高真空、及び一定温度(200〜300℃)の条件下に保たれたチャンバーに備えられる金属板上に載せた後、チャンバーを密閉する。(2)チャンバー内に、P膜PL、I膜IL、N膜NLのいずれかの原料である原料ガスを封入する。また、電極を用いてグロー放電を行ってプラズマを発生させることで、封入された原料ガスを分解させ、形成物上に蒸着させる。この蒸着の結果、膜が形成される。
【0005】
(2)においては、膜PL、IL、NLの形成の際、形成される膜PL、IL、NLと密着する金属板の温度が時間的に、又は局所的に異なると、最終的に形成されるアモルファスシリコン型太陽電池10aの品質(光電効率)に影響を与えることがある。これは、プラズマによって分解された原料ガスが金属板上で膜PL、IL、NLを形成する速度が、金属板の温度によって異なるためである。そのため、カートリッジヒータによって加熱される金属板の温度を熱電対等の温度センサを用いて計測し、計測された温度(以下、「金属板温度計測値」と記す)と、金属板の温度に対して予め設定された金属板温度計測値とに基づいて、カートリッジヒータによる加熱の程度を調節する処理が行われている。調節処理は、一般的に、金属板温度計測値と金属板温度設定値とを用いた、PID演算(他の演算形態であっても構わない。以下同)の結果に基づいて行われることが多い。
【0006】
金属板温度だけでなく、ヒータ表面温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ表面温度の調節を可能とする、太陽電池膜形成装置の提供が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、支持板(上記の金属板に相当する)温度だけでなく、ヒータ温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ表面温度の調節を可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、起動開始直後においては、定常運転時とは異なり、記憶される昇温パターンに基づいてヒータ表面温度を調節することを可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ヒータ表面温度を調節するための演算処理において用いられるパラメータの各々を、運転状況(起動開始直後、又は定常運転時)の違いによって切り替えることを可能とする、太陽電池膜形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付で用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)を具備している。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。また、本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出する支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)と、前記支持板温度(24−i)が設定支持板温度(ST)となるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)に基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を指定するヒータ温度指定部(10D)と、前記ヒータ(12−i)の温度であるヒータ温度(25−i)を検出するヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)とを具備する。更に、本発明の太陽電池膜形成装置(200)は、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定する前記ヒータ温度(TS)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節するヒータ温度調節部(10E)を具備する。
【0012】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)は、前記加熱の開始後における設定時間経過後のヒータ温度(TS)である第1ヒータ温度(TSa)を含んでいる。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記設定時間(t2)経過後においては、前記第1ヒータ温度(TSa)を指定する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記指定される第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出した前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0013】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)は、前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記設定時間(t2)経過前のヒータ温度(TS)である第2ヒータ温度(TSb)のいずれかである。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記設定時間(t2)経過前においては、前記第2ヒータ温度(TSb)に基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節し、前記設定時間(t2)経過後においては、前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出した前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0014】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記支持板温度(24−i)を前記設定支持板温度(ST)にするために要求される、前記ヒータ(12−i)への第1制御量(ΔI2)を算出し、前記算出された第1制御量(ΔI2)に基づいて、前記第1ヒータ温度(TSa)と前記第2ヒータ温度(TSb)のいずれかを算出する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記ヒータ温度指定部(10D)が算出する前記第1ヒータ温度(TSa)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて、前記ヒータ温度(25−i)を前記第1ヒータ温度(TSa)にするために要求される、前記ヒータ(14)への第2制御量(ΔI3)を算出し、前記算出された第2制御量(ΔI3)に基づいて前記第1ヒータ温度(TSa)を指定し、前記算出された第2制御量(ΔI3)に基づいて前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0015】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記第1制御量(ΔI2)は、複数の第1制御量算出パラメータ(Kp、TI、TD)のいずれかを用いて算出される。前記複数の第1制御量算出パラメータ(Kp、TI、TD)は、前記設定時間(t2)経過前の第1制御量(ΔI2)の算出に用いられる第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)と、前記設定時間経過後の第1制御量の算出に用いられる第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)とを含んでいる。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記設定時間(t2)経過前には、前記第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)を用いて前記第1制御量(ΔI2)を算出し、前記設定時間(t2)経過後には、前記第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)を用いて前記第1制御量(ΔI2)を算出する。尚、
【0015】において、「第1パラメータ(Kpa、TIa、TDa)」は「第1パラメータ(Kpc、TIc、TDc)」に読み替えることが可能であり、「第2パラメータ(Kpb、TIb、TDb)」は「第2パラメータ(Kpd、TId、TDd)」に読み替えることが可能である。
【0016】
本発明の太陽電池膜形成装置(200)において、前記ヒータ(12−i)は、複数であり、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)は、複数であり、前記複数のヒータ(12−i)のいずれかに対するヒータ温度(25−i)を検出する。前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々は、前記支持板(14)上における複数の箇所のいずれかの支持板温度(24−i)を検出する。前記ヒータ温度指定部(10D)は、前記複数の箇所の各々の支持板温度(24−i)が前記設定支持板温度(ST)になるように、前記各々の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した前記いずれかの支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記複数のヒータ(12−i)の各々のヒータ温度を指定する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板(14)上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定する、前記複数のヒータ(12−i)の各々の前記ヒータ温度(TS)と、前記複数のヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)の各々が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて、前記複数のヒータ(12−i)の各々の前記ヒータ温度(25−i)を調節する。
【0017】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10A)を具備している。前記チャンバー(10A)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出する支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)と、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を調節するヒータ温度調節部(10E)とを具備する。
【0018】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)において、前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて、前記支持板温度(24−i)を前記設定支持板温度(ST)にするために要求される、前記ヒータ(12−i)への第1制御量(ΔI1)を算出し、前記算出された第1制御量(ΔI1)に基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、前記支持板温度(24−i)を調節する。
【0019】
本発明の太陽電池膜形成装置(100)において、前記ヒータ(12−i)は、複数であり、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々は、前記支持板(14)上における複数の箇所のいずれかの支持板温度(24−i)を検出する。前記ヒータ温度調節部(10E)は、前記支持板(14)上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)の各々が検出する前記支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて前記各々のヒータ(12−i)を制御することで、前記支持板温度(24−i)を調節する。
【0020】
本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)、支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)、ヒータ温度指定部(10D)、ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)、ヒータ温度調節部(10E)の各々を具備する太陽電池膜形成装置(200)により実行される。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出するステップ(S3b)と、前記ヒータ温度指定部(10D)が、前記支持板温度(24−i)が設定支持板温度(ST)となるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)に基づいて、前記ヒータ(12−i)の温度を指定するステップ(S4b)とを具備する。また、本発明の太陽電池膜形成方法(200a)は、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が、ヒータ(12−i)の温度であるヒータ温度(25−i)を検出するステップ(S6b)と、前記ヒータ温度調節部(10E)が、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が前記設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記ヒータ温度指定部(10D)が指定するヒータ温度(TS)と、前記ヒータ温度検出部(▲6▼〜◎)が検出する前記ヒータ温度(25−i)とに基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、前記ヒータ温度(25−i)を調節するステップ(S8b)とを具備する。
【0021】
本発明の太陽電池膜形成方法(100a)は、太陽電池膜(PL、IL、NL)を基板(13a〜15a)上に形成するためのチャンバー(10C)、支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)、ヒータ温度調節部(10E)の各々を具備する太陽電池膜形成装置(100)により実行される。前記チャンバー(10C)には、前記基板(13a〜15a)が支持される支持板(14)と、前記支持板(14)を加熱するヒータ(12−i)とが設置される。本発明の太陽電池膜形成方法(100a)は、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が、前記支持板(14)の温度である支持板温度(24−i)を検出するステップ(S1a)と、前記ヒータ温度調節部(▲6▼〜◎)が、前記支持板(14)上に前記太陽電池膜(PL、IL、NL)が設定支持板温度(ST)で形成されるように、前記支持板温度検出部(▲1▼〜▲5▼)が検出した支持板温度(24−i)と前記設定支持板温度(ST)とに基づいて前記ヒータ(12−i)を制御することで、、前記ヒータ温度(25−i)を調節するステップ(S3a)とを具備する。
【0022】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明の太陽電池成膜装置に係る実施の形態1、2について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係る太陽電池膜形成装置100の構成を示す。太陽電池膜形成装置100は、アモルファスシリコン型太陽電池10aを構成するP膜PLを中間生成物13a上に形成する(I膜ILを中間生成物14a上に形成、及びN膜NLを中間生成物15a上に形成するときも含む)ためのチャンバー10A、及びチャンバー10Aと接続される制御装置10Bを具備している。チャンバー10Aには、ガスボンベ11が接続されている。ガスボンベ11には、栓11Aが備えられている。チャンバー10Aは、内部にカートリッジヒータ12−i(i=1,2,3,4,5)、水冷式反射板13、ヒータカバー14、電極15、防着板16、ガス流入口17−j(j=1,2)、弁18の各々を具備している。ヒータカバー14は、中間生成物13a、14a、15a(以下、「中間生成物13a〜15a」と記す)を支持し、また、複数の熱電対▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼(以下、「熱電対▲1▼〜▲5▼」と記す)が備えられる。制御装置10Bは、入力装置20、減算器20A、PID演算器21、サイクリスタ22の各々を具備している。
【0024】
ガスボンベ11−hには、P膜PL、I膜IL、N膜NLの原料となる複数種類の原料ガスのいずれかが充填されており、これらの原料ガスが所定の割合で混合される(各々の栓11A−hの開度が所定開度に調節される)ことで、P膜原料ガス23P、I膜ILの原料となるI膜原料ガス23I、N膜NLの原料となるN膜原料ガス23Nが生成される。生成された原料ガス23P、23I、23N(以下、「23P〜23N」と記す)は、ガス流入口17−jを通過し、その結果、チャンバー10Aの内部(但し、ヒータカバー14上の中間生成物13a〜15aから上方の領域。以下、「第1所定領域」と記す)は均一な濃度の原料ガス23P〜23Nで充填される。
【0025】
カートリッジヒータ12−i(i=1,2,3,4,5)は各々、筒型の放熱口(丸型の斜線部分)を有しており、制御装置10Bからの制御電流ΔI(図3を用いて後述)に応答してヒータカバー14を加熱する(又は、加熱の程度を調節する)ことで、ヒータカバー14全体が設定ヒータカバー温度になるように制御する。複数のカートリッジヒータ12−iが設置されていることから、ヒータカバー14上の複数の箇所(熱電対▲1▼〜▲5▼の設置される箇所に対応)におけるヒータカバー温度の違いに基づいた、ヒータカバー温度の制御が可能となっている。水冷式反射板13は、底部のチャンバー壁とカートリッジヒータ12−iとの隙間に設けられており、内部又は周辺部を流通する冷却水によって、各々のカートリッジヒータ12−iから放出される熱を吸収することで、冷却を行う。
【0026】
ヒータカバー14は、中間生成物13a〜15aを支持しており、この支持される中間生成物13a〜15a上に、原料ガス23P〜23Nが分解されて生成した電子とイオンを含む電離種(又は、分子ラジカル種)が蒸着することで、P膜PL(又はI膜IL、N膜NL)が形成される。
【0027】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー14の表面上の複数の箇所に設けられており、各々の箇所のヒータカバー表面温度24−i(i=1,2,3,4,5)、及びその変動を検出する。熱電対▲1▼は、カートリッジヒータ12−1による加熱の程度(図3を用いて後述する制御電流ΔI1に基づいた、カートリッジヒータ12−1へ流す電流の制御。他のカートリッジヒータ12−2〜5についても同様)に基づいた、ヒータカバー温度24−1、及びその変動を検出する。熱電対▲2▼は、カートリッジヒータ12−2による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−2、及びその変動を検出し、熱電対▲3▼は、カートリッジヒータ12−3による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−3、及びその変動を検出する。熱電対▲4▼は、カートリッジヒータ12−4による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−4、及びその変動を検出し、熱電対▲5▼は、カートリッジヒータ12−5による加熱の程度に基づいた、ヒータカバー温度24−5、及びその変動を検出する。
【0028】
また、熱電対▲1▼〜▲5▼の各々は、検出されたヒータカバー温度24−iを示す情報(以下、単に「ヒータカバー温度24−i」と記す)を制御装置10Bに出力する。このとき、各々の熱電対▲1▼〜▲5▼を示す情報(以下、「第1熱電対指示情報」と記す)も共に制御装置10Bに出力される。例えば、熱電対▲3▼は、検出されたヒータカバー表面温度24−3と共に、その番号「▲3▼」を示す第1熱電対指示情報を制御装置10Bに出力する。
【0029】
電極15は、電圧を印加され、チャンバー10A内においてグロー放電を発生する。このグロー放電によって、チャンバー10A内に注入された原料ガス23P〜23Nは、電子とイオン(又は、分子ラジカル種同士)に電離して、最終的にヒータカバー14上の中間生成物13a〜15a上に蒸着する。防着板16は、分解された原料(以下、「分解原料」と記す)がチャンバー10Aの内壁に付着するのを可能な限り防止している。この防着板16を設置することで、チャンバー10Aの内壁へ分解原料が付着することによる、チャンバー10Aの腐食を可能な限り防止することが可能となる。
【0030】
弁18からは、原料ガス23Pをチャンバー10A内に注入して中間生成物14aを生成した後に、チャンバー10A内の第1所定領域に僅かに残留している原料ガス23Pが放出される。これにより、チャンバー10A内が再び高真空状態となるように制御される(この後に、原料ガス23Iがチャンバー10Aの第1所定領域内に注入される)。また、同様にして、原料ガス23Iをチャンバー10Aの第1所定領域内に注入して中間生成物15aを生成した後に、チャンバー10A内の第1所定領域内に僅かに残留している原料ガス23Iが弁18から放出される。これにより、チャンバー10Aの第1所定領域内が再び高真空状態となるように制御される(この後に、原料ガス23Nがチャンバー10Aの第1所定領域内に注入される)。
【0031】
入出力装置20は、ヒータカバー表面温度24−iに対して設定された設定ヒータカバー表面温度(ヒータカバー表面温度24−iの各々は、同一の温度になるように設定される)を、太陽電池膜形成装置100の操作者(以下、「操作者」と記す)の操作に基づいて、予め減算器20Aに出力する。入出力装置20は、表示部20Bを備えており、表示部20Bは、図2に示す表示画面SC1を表示する。表示画面SC1は、演算データ1D、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D、P膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3B、設定ボタン4Bの各々を示している。表示画面SC1に表示される演算データ1Dは、P膜演算データ、I膜演算データ、N膜演算データのいずれかである(図2の例では、P膜演算データが表示されている。P膜演算データ、I膜演算データ、N膜演算データの各々は、予め操作者によって入出力装置20に入力され、入出力装置20によって記憶される)。
【0032】
演算データ1Dは、設定ヒータカバー表面温度ST(STa、STb、STc、STd)、比例ゲイン:Kp(Kp1、Kp2、Kp3、Kp4)、積分時間:TI(TI1、TI2、TI3、TI4)、微分時間:TD(TD1、TD2、TD3、TD4)の各々を対応付けて示している。比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDは、PID演算器21がPID演算を行うときに用いられる(組み合わせは、(1)〜(4)のいずれかである)。
【0033】
表示画面SC1からは、タッチパネル式の操作が可能であり、操作者は、図2に示される演算データ1Dのうち、(1)〜(4)のいずれかをタッチ操作によって指定する。(1)〜(4)のいずれかが指定された上で設定ボタン4Bがタッチ操作されると、操作者によって指定された設定ヒータカバー表面温度STは入出力装置20から減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、入出力装置20からPID演算器21に出力される。例えば、(1)が指定されたときには、P膜演算データについて設定ヒータカバー表面温度STaが減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp1、積分時間:TI1、微分時間:TD1の各々がPID演算器21に出力される。
【0034】
図2における演算データ1D(P膜演算データ)は、P膜PLが形成されるときの演算処理(減算器20AとPID演算器21によって行われる)に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST1a〜ST1d、比例ゲイン:Kp1〜Kp4、積分時間:TI1〜TI4、微分時間:TD1〜TD4の各々を示している。しかしながら、I膜ILが形成されるときの演算処理に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を示した演算データ1D(I膜演算データ)についても、図2と同様の形式で表示画面SC1に示される。また、N膜NLが形成されるときの演算処理に用いられる、設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を示した演算データ1D(N膜演算データ)についても、図2と同様の形式で表示画面SC1に示される。図2の状態からI膜演算データ表示要求ボタン2Bが操作されると、P膜演算データはI膜演算データに切り替わり、N膜演算データ表示要求ボタン3Bが操作されると、P膜演算データはN膜演算データに切り替わる。I膜演算データ、N膜演算データの各々のときでも、P膜演算データのときと同様の形態で設定ヒータカバー表面温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が指定され、PID演算器21、又は減算器20Aに出力される。
【0035】
被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dは、被腹膜PL〜NL(P膜PL、I膜IL、N膜NL)を形成するときの、ヒータカバー14に対する設定ヒータカバー表面温度ST(ST1a〜ST1d、ST2a〜ST2d、ST3a〜ST3d)を示している。操作者は、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dを参照した上で、ST1a〜ST1dのうちのいずれか、ST2a〜ST2dのうちのいずれか、ST3a〜ST3dのうちのいずれかを各々選定することが可能である。被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2Dに示されるように、設定ヒータカバー表面温度ST1a〜ST1d(ST1a、ST1b、ST1c、ST1d)はP膜PLが形成されるときの値、設定ヒータカバー表面温度ST2a〜ST2d(ST2a、ST2b、ST2c、ST2d)はI膜ILが形成されるときの値として選定される。設定ヒータカバー表面温度ST3a〜ST3d(ST3a、ST3b、ST3c、ST3d)はN膜NLが形成されるときの値として選定される。
【0036】
上記においては、P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときの各々において、異なる比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDが用いられ、また、設定ヒータカバー温度STも異なるものとして説明している。但し、必ずしもこの形態には限らず、いずれの膜が形成されるときであっても、設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、互いに同一であっても構わない。このときには、表示画面SC1においてP膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3Bは表示されない。また、このときには、(1)〜(4)のいずれかを指定した後に設定ボタン4Bが操作されることで、指定された設定ヒータカバー温度STが減算器20Aに出力され、指定された比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々がPID演算器21に出力される。P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときのいずれにおいても、制御電流ΔI1の算出にあたっては、常にこれらの出力された設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が用いられる。
【0037】
減算器20Aは、入出力装置20から入力した設定ヒータカバー表面温度STを記憶する。また、減算器20Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ1(図3に示す)を算出する。更に、減算器20Aは、算出された差Δ1と第1熱電対指示情報とをPID演算器21に出力する。
【0038】
PID演算器21は、減算器20Aから、第1熱電対指示情報と差Δ1とを入力し、入出力装置20から比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を入力する。PID演算器21は、入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ1を所定のPID演算式に代入することで、PID演算を行う。このPID演算の結果、ヒータカバー表面温度24−iの各々を設定ヒータカバー表面温度STにする(このとき、中間生成物14a、15a、アモルファスシリコン型太陽電池10aがヒータカバー14上において、設定ヒータカバー表面温度STで形成される)ための、各々のカートリッジヒータ12−iに対する制御電流ΔI1が算出される。制御電流ΔI1は、PID演算器21からカートリッジヒータ12−iに流す電流の増加分(ヒータカバー表面温度24−iは上昇)、又は減少分(ヒータカバー表面温度24−iは下降)を示している。即ち、制御電流ΔI1は、ヒータカバー表面温度24−iの各々を設定ヒータカバー表面温度STとするように制御するための値である。
【0039】
制御電流ΔI1(ΔI2又はΔI3に読み替えても同様であり、これらについては後述)の算出の方法を図3に示す。図3は、横軸に時間t、縦軸に温度T(設定ヒータカバー温度STとヒータカバー温度24−iとのいずれか)をプロットし、起動昇温後、設定時間が経過して定常運転が開始された(このときの時間をt2としている)後の時間tの経過に伴うヒーターカバー表面温度24−iと設定ヒータカバー温度STとの差Δ1(Δ2又はΔ3に読み替えても同様であり、これらについては後述)を示している。図3においては、時間Δt内において発生した、ヒーターカバー表面温度24−iの設定ヒーターカバー表面温度STからのずれ(差Δ1)を補正するための制御電流ΔI1/mAを算出した例を示している。
【0040】
PID演算器21は、図4に示す電流出力対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tを記憶している。電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tには、第1熱電対指示情報に示される熱電対19−iと、制御電流ΔI1に基づいた制御の対象となるカートリッジヒ−タ12−iとが対応付けて示されている。PID演算器21は、第1熱電対指示情報と電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tとを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して、上記の形態で算出された制御電流ΔI1に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI1の分だけ増加、又は減少)を行う。これにより、熱電対▲1▼〜▲5▼によって検出されるヒータカバー温度24−iが、設定ヒータカバー温度STになるように制御することが可能となる。サイクリスタ22は、PID演算器21から出力された制御電流ΔI1を、カートリッジヒータ12−iが使用可能な形態に変化させて出力する。
【0041】
次に、図5を用いて、本発明の太陽電池膜形成方法100aに係る処理の過程について説明する。太陽電池膜形成方法100aに係る処理が行われる前に、(Ba)、(Bb)に述べられる準備が行われる。
【0042】
(Ba)操作者によって、設定ヒータカバー温度STが入出力装置20から減算器20Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が入出力装置20からPID演算器21に出力される。減算器20Aは入出力装置20から入力した設定ヒータカバー温度STを記憶し、PID演算器21は入出力装置20から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Bb)チャンバー10A内のヒータカバー14上に中間生成物13aが設置される。弁18からチャンバー10Aの第1所定領域内に残存する空気を排気することで、第1所定領域内を高真空状態とする。また、電極15に電圧を印加してグロー放電を発生させた上で原料ガス23Pを第1所定領域内に流入させると共に、制御装置10Bから電流をカートリッジヒータ12−iに流すことで、カートリッジヒータ12−iによるヒータカバー14の加熱を開始する。
【0043】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー表面温度24−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータカバー温度24−iと、第1熱電対指示情報とを制御装置10Bに出力する(ステップS1a)。減算器20Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ1を算出し、算出された差Δ1と第1熱電対指示情報とをPID演算器21に出力する。PID演算器21は、減算器20Aから入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ1を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI1を算出する(ステップS2a)。PID演算器21は、第1熱電対指示情報と電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル1Tとを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI1に基づいた制御を行う(ステップS3a)。ステップS3aの処理によって、ヒータカバー表面温度24−iの各々は、設定ヒータカバー温度STとなる。
【0044】
(実施の形態2)
図6に、本発明の実施の形態2に係る太陽電池膜形成装置200の構成を示す。太陽電池膜形成装置200は、アモルファスシリコン型太陽電池10aを構成するP膜PLを中間生成物13a上に形成する(I膜ILを中間生成物14a上に形成、及びN膜NLを中間生成物15a上に形成するときも含む)ためのチャンバー10C、チャンバー10Cと接続される制御装置10D、10Eの各々を具備している。チャンバー10Cには、ガスボンベ11−hが接続されている。ガスボンベ11−hには、栓11A−hが備えられている。チャンバー10Cは、内部にカートリッジヒータ12−i、水冷式反射板13、ヒータカバー14、電極15、防着板16、ガス流入口17−j、弁18の各々を具備している。カートリッジヒータ12−iの表面には、複数の熱電対▲6▼〜◎(▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼,◎)が備えられる。ヒータカバー14は、中間生成物13a〜15aを支持し、また、複数の熱電対▲1▼〜▲5▼が備えられる。制御装置10Dは、入力装置31、減算器31A、PID演算器32、加算(切替)器33、上下限リミッター34の各々を具備している。制御装置10Eは、入力装置41、減算器41A、PID演算器42、サイクリスタ43の各々を具備している。
【0045】
以下の説明において、ガスボンベ11−h、栓11A−h、カートリッジヒータ12−i、水冷式反射板13、ヒータカバー14の各々については実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。また、電極15、防着板16については
【0029】、弁18については
【0030】の各々の説明における「チャンバー10A」が「チャンバー10C」に読み替えられること以外は実施の形態1と同様であるので、それらの説明は省略する。更に、実施の形態1と同様に、供給された原料ガス23P〜23Nは、ガス流入口17−jを通過し、その結果、チャンバー10Cの内部(但し、ヒータカバー14上の中間生成物13a〜15aから上方の領域。以下、「第2所定領域」と記す)は均一な濃度の原料ガス23P〜23Nで充填される。
【0046】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、検出されたヒータカバー表面温度24−iと第1熱電対指示情報とを制御装置10Dの減算器31Aに出力する(ヒータカバー温度24−iの検出の形態については、
【0027】において説明したものと同様であるので、その説明は省略する)。熱電対▲6▼〜◎は、ヒータ表面温度25−iを検出し、検出されたヒータ表面温度25−iを示す情報(以下、単に「ヒータ表面温度25−i」と記す)と、第2熱電対指示情報とを減算器41Aに出力する。第2熱電対指示情報は、いずれかの熱電対▲6▼〜◎の番号(例えば「▲6▼」)を示す。
【0047】
入出力装置31は、表示部31Bを具備しており、表示部31Bは、操作者の操作に応答して図7に示す表示画面SC2を表示する。表示画面SC2には、演算データ1D´、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D´、P膜演算データ表示要求ボタン1B、I膜演算データ表示要求ボタン2B、N膜演算データ表示要求ボタン3B、設定ボタン4Bの各々が示されている。演算データ1D´において示される設定ヒータカバー温度ST、運転状況DC、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、操作者によって予め入出力装置31に入力され、入出力装置31が記憶したデータである。「起動昇温時」は、起動開始後の設定時間の経過前であり、「定常運転時」は起動開始後の設定時間の経過後である。設定ヒータカバー表面温度STは定常運転時に対してのみ設定されているが、これは後述のように、起動昇温時に対しては起動時昇温パターンが設定されているためである。また、図7においては、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、「起動昇温時」、又は「定常運転時」に区分して設定することが可能となっている。即ち、運転状況(起動昇温時、又は定常運転時)の違いに応じた、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々の設定が可能となっている。
【0048】
「起動昇温」とは、次の(Aa)〜(Ac)のいずれかを意味する。(Aa)P膜PLが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iの常温(室温=25℃程度)からP膜PLの形成時の温度(図7の例では、ST1b又はST1d)への昇温である。(Ab)I膜ILが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iのP膜PLの形成時の温度からI膜ILの形成時の温度(図7の例では、ST2b又はST2d)への昇温である。(Ac)N膜NLが形成されるときには、ヒータカバー温度24−iのI膜ILの形成時の温度からN膜NLの形成時の温度(図7の例では、ST3b又はST3d)への昇温である。
【0049】
操作者は、被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ2D´を参照して、(a)と(b)のいずれかを表示画面SC2へのタッチ操作により指定することが可能である。操作者が(a)と(b)のいずれかを指定後に設定ボタン4Bを操作することで、入出力装置31からPID演算器32に比例ゲイン:Kp(Kpb、Kpdのいずれか)、積分時間:TI(TIb、TIdのいずれか)、微分時間:TD(TDb、TDdのいずれか)の各々が出力され、入出力装置31から減算器31Aに設定ヒータカバー温度ST(STa、STbのいずれか)が出力される。
【0050】
尚、上記においては、P膜PL、I膜IL、N膜NLが形成されるときの各々において、異なる比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDが用いられ、また、設定ヒータカバー温度STも異なるものとして説明している。但し、必ずしもこの形態には限らず、いずれの膜が形成されるときであっても、設定ヒータカバー温度ST、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々は、互いに同一であっても構わない点については、実施の形態1と同様である。
【0051】
減算器31Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から、検出されたヒータカバー表面温度24−iを入力する。また、減算器31Aは、入出力装置31から入力した設定ヒータカバー表面温度STと、熱電対▲1▼〜▲5▼から入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ2を算出してPID演算器32に出力する。PID演算器32は、入出力装置31から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を所定のPID演算式に代入することで、PID演算を行う(PID演算の方法については、実施の形態1において図3を用いて説明したものと同様であるので、その詳細な説明は省略する)。
【0052】
PID演算器32は、図8に示す制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dを記憶している。制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dは、PID演算器32によって算出された制御電流ΔI2と、その算出された制御電流ΔI2に対応して定められる設定ヒータ表面温度TSとの関係を示している。PID演算器32は、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dに基づいて設定ヒータ表面温度TSを決定し、決定された設定ヒータ表面温度TSの値を加算(切替)器33に出力する。例えば、PID演算器32が算出した制御電流ΔI2=ΔIaであるときには、設定ヒータ表面温度TS=TSbと決定され、制御電流ΔI2=ΔIbであるときには、設定ヒータ表面温度TS=TSaと決定され、決定された設定ヒータ表面温度TSa、TSbが加算(切替)器33に出力される。
【0053】
加算(切替)器33は、図9に示す起動時昇温パターンデータ4Dを予め入出力装置31から入力して記憶する(P膜PLの形成時、I膜ILの形成時、N膜NLの形成時の各々についての計3種類が入力され、記憶される)。起動時昇温パターンデータ4Dは、時間tと設定ヒータ表面温度TSの各々を示している。図9において、時間0≦t≦t2はヒータ表面温度25−iの昇温過程に相当し、t2≦tは、定常運転時に相当する(t2は、上述した起動開始後の設定時間に相当する)。設定ヒータ表面温度TSaは、時間0≦t≦t2における設定ヒータ表面温度TSであり、設定ヒータ表面温度TSbは、時間t2≦tにおける設定ヒータ表面温度TSである。時間ta≦t≦t2における設定ヒータ表面温度TSは、400℃≦TS≦650℃のように、定常運転時の設定ヒータ表面温度TSと比較して高めに設定されている。これにより、ヒータ表面温度25−iを可能な限り早くに定常運転時の設定ヒータ表面温度TS(図9の例では400℃)に到達させることが可能となる(但し、I膜ILの形成時、N膜NLの形成時に対する起動時昇温パターンデータ4Dにおいては、必ずしも高めに設定される必要は無い)。即ち、運転状況(起動昇温時、定常運転時のいずれか)の違いに基づいた設定ヒータ表面温度TSが設定されることで、結果的に起動昇温に要する時間の短縮も可能となる。
【0054】
加算(切替)器33は、入出力装置31から太陽電池膜形成装置200の起動開始信号200Aを入力したときに、記憶している起動時昇温パターンデータ4Dを上下限リミッター34、入出力装置41、減算器41Aの各々を介してPID演算器42に出力する。起動開始信号200Aは、P膜PLの形成開始時、I膜ILの形成開始時、N膜NLの形成開始時の各々において、自動的に入出力装置31から加算(切替)器33へ出力される信号である(各々の膜PL、IL、NLの形成に要する時間は、予め設定されている)。また、加算(切替)器33は、起動時昇温パターンデータ4Dを出力したときに、PID演算器32と加算(切替)器33との接続が、設定時間(図8の例ではt2=定常運転の開始時)の経過まで切断されるように制御する。更に、加算(切替)器33は、その設定時間の経過の後に、切断されていたPID演算器32と加算(切替)器33との接続を、再接続するように制御する。
【0055】
加算(切替)器33が上記の形態でPID演算器32と加算(切替)器33との接続を制御することで、PID演算器42は、設定時間経過前には起動時昇温パターンデータ4Dを基にして、カートリッジヒータ12−iに流す電流を制御するための制御電流ΔI2の値を算出することが可能となる。また、PID演算器42は、設定時間経過後には、PID演算器32が算出した制御電流ΔI2と制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dとに基づいて決定された設定ヒータ表面温度TSを基にして、カートリッジヒータ12−iに流す電流を制御するための制御電流ΔI3の値を算出することが可能となる。
【0056】
上下限リミッター34は、図10に示す上下限表示データ5Dを記憶している。上下限表示データ5Dは、時間tと設定ヒータ表面温度TSとの関係を示しており、時間0〜t2(起動昇温時に相当)おいては設定ヒータ表面温度25−iが0〜650℃(図10の斜線部分)であり、t2≦t(定常運転時に相当)においては設定ヒータ表面温度25−iが400℃であることが示されている。即ち、時間0〜t2においては、設定ヒータ表面温度25−iの上限値=650℃、設定ヒータ表面温度25−iの下限値=0℃である。上下限リミッター34は、加算(切替)器33から入力した設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値を超えるときには、設定ヒータカバー温度TSを上限値に等しいものとして入出力装置41に出力し、下限値に達しないときには、設定ヒータカバー温度TSを下限値に等しいものとして入出力装置41に出力する。
【0057】
入出力装置41は、操作者の操作に基づいて、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間TDの各々を含む演算データをPID演算器42に出力する。このとき出力される演算データの値は、各々、Kp=10%、TI=30秒、TD=10秒程度に設定される。また、入出力装置41は、上下限リミッター34から設定ヒータ表面温度TSを入力したときには、その入力した設定ヒータ表面温度TSを減算器41Aに出力する。
【0058】
減算器41Aは、入出力装置41から入力した設定ヒータ表面温度TSを記憶する。減算器41Aは、熱電対▲6▼〜◎からヒータ表面温度25−iを入力したときには、入力したヒータ表面温度25−iと、記憶される設定ヒータ表面温度TSとの差Δ2を算出してPID演算器42に出力する。PID演算器42は、減算器41Aから入力した差Δ2に基づいてPID演算を行って制御電流ΔI3を算出する(PID演算の方法については、実施の形態1で図3を用いて説明したものと同様であるので、ここではその説明を省略する)。
【0059】
PID演算器21は、図11に示す電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを記憶している。電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tには、第1熱電対指示情報に示される熱電対▲1▼〜▲5▼と、第2熱電対指示情報に示される熱電対▲6▼〜◎と、制御電流ΔI3に基づいた制御の対象となるカートリッジヒ−タ12−iとが対応付けて示されている。図11においては、例えば、カートリッジヒ−タ12−1に流す電流の量を増大させることで、熱電対▲1▼によって検出されるヒータカバー表面温度24−i、熱電対▲6▼によって検出されるヒータ表面温度25−iの各々が増大することが示されている。PID演算器42は、第1熱電対指示情報、第2熱電対指示情報、及び電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI3の分だけ増加、又は減少)を行う。これにより、熱電対▲6▼〜◎によって検出されるヒータ表面温度25−iが、設定ヒータ表面温度TSになるように制御することが可能となる。サイクリスタ43は、PID演算器42から出力された制御電流ΔI3を、カートリッジヒータ12−iが使用可能な形態に変化させて出力する。
【0060】
上記の実施の形態2においては、ヒータ表面温度25−iとヒータカバー表面温度24−iとが検出され、検出されたヒータ表面温度25−iと、検出されたヒータカバー表面温度24−iに基づいて決定された設定ヒータカバー表面温度TSとに基づいて制御電流ΔI3の量が算出される。この算出された制御電流ΔI3がカートリッジヒータ12−iに流されることで、ヒータ表面温度25−iの調節が可能となる。
【0061】
次に、図12を用いて、本発明の太陽電池膜形成方法200aに係る処理の過程について説明する。太陽電池膜形成方法200aに係る処理が行われる前に、(Bc)〜(Be)に述べられる準備が行われる。
【0062】
(Bc)操作者によって、設定ヒータカバー表面温度STが入出力装置31から減算器31Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々が入出力装置31からPID演算器32に出力される。減算器31Aは入出力装置31から入力した設定ヒータカバー温度STを記憶し、PID演算器21は入出力装置20から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Bd)操作者によって、設定ヒータ表面温度STが入出力装置41から減算器41Aに出力され、比例ゲイン:Kp、積分時間:TI(=30秒程度)、微分時間:TD(=10秒程度)の各々が入出力装置41からPID演算器42に出力される。減算器41Aは入出力装置41から入力した設定ヒータ温度TSを記憶し、PID演算器42は入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TDの各々を記憶する。(Be)チャンバー10C内のヒータカバー14上に中間生成物13aが設置される。弁18からチャンバー10Cの第2所定領域内に残存する空気を排気することで、第2所定領域内を高真空状態とする。また、電極15に電圧を印加してグロー放電を発生させた上で原料ガス23Pを第2所定領域内に流入させると共に、制御装置10Eから電流をカートリッジヒータ12−iに流すことで、カートリッジヒータ12−iによるヒータカバー14の加熱を開始する。
【0063】
加算(切替)器33は、入出力装置31から入力した、各々の膜PL、IL、NLの形成時に対する起動時昇温パターンデータ3Dを、上下限リミッター34を介してPID演算器42に出力する。PID演算器42は、入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI(=30秒程度)、微分時間:TD(=10秒程度)、ヒータカバー温度25−i、差Δ3を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI3を算出する(ステップS2a)。PID演算器21は、カートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(制御電流ΔI3をカートリッジヒ−タ12−iに流す)を行う(ステップS2b)。ステップS2bの処理によって、ヒータ表面温度25−iの各々は、起動時昇温パターンデータ3Dに示されるように時間tの経過と共に上昇して、最終的に定常運転時の設定ヒータ表面温度TSとなる。
【0064】
熱電対▲1▼〜▲5▼は、ヒータカバー表面温度24−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータカバー温度24−iと、第1熱電対指示情報とを減算器31Aに出力する(ステップS3b)。減算器31Aは、熱電対▲1▼〜▲5▼から第1熱電対指示情報とヒータカバー表面温度24−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータカバー表面温度STと、入力したヒータカバー表面温度24−iとの差Δ2を算出し、算出された差Δ2と第1熱電対指示情報とをPID演算器32に出力する。PID演算器32は、入出力装置31から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ2を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI2を算出する。PID演算器32は、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ3Dを参照して、算出された制御電流ΔI2に対応する設定ヒータ表面温度TSを決定し、上下限リミッター34に出力する(ステップS4b)。上下限リミッター34は、加算(切替)器33から入力した設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値を超えるときには、設定ヒータカバー温度TSを上限値に等しいものとして入出力装置41に出力し、下限値に達しないときには、設定ヒータカバー温度TSを下限値に等しいものとして入出力装置41に出力する(ステップS5b)。
【0065】
尚、加算(切替)器33から出力された設定ヒータカバー温度TSが図10に示される上限値と下限値の範囲内にあるときには、ステップS5bの処理は行われない。
【0066】
熱電対▲6▼〜◎は、ヒータ表面温度25−i(及びその変動)を検出し、検出されたヒータ温度25−iと、第2熱電対指示情報とを減算器41Aに出力する(ステップS6b)。減算器41Aは、熱電対▲6▼〜◎から第2熱電対指示情報とヒータ表面温度25−iとを入力したときに、記憶される設定ヒータ表面温度TSと、入力したヒータ表面温度25−iとの差Δ3を算出し、算出された差Δ3と第2熱電対指示情報とをPID演算器42に出力する。PID演算器42は、入出力装置41から入力した比例ゲイン:Kp、積分時間:TI、微分時間:TD、ヒータカバー表面温度24−i、差Δ3を所定のPID演算式に代入することでPID演算を行い、制御電流ΔI3を算出する(ステップS7b)。PID演算器42は、第1熱電対指示情報、第2熱電対指示情報、及び電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル2Tを参照して、いずれかのカートリッジヒ−タ12−iに対して制御電流ΔI3に基づいた制御(流す電流を制御電流ΔI3の分だけ増加、又は減少)を行う(ステップS8b)。
【0067】
【発明の効果】
本発明の太陽電池膜形成装置により、支持板温度だけでなく、ヒータ温度の検出、及びその検出結果に基づいたヒータ温度の調節が可能となる。
【0068】
本発明の太陽電池膜形成装置により、起動開始直後においては、定常運転時とは異なり、記憶される昇温パターンに基づいてヒータ表面温度を調節することが可能となる。
【0069】
本発明の太陽電池膜形成装置により、ヒータ表面温度を調節するための演算処理において用いられるパラメータの各々を、運転状況(起動開始直後、又は定常運転時)の違いによって切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図2】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、表示画面を示す図である。
【図3】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1、2に係る、制御電流の算出の形態を示した図である。
【図4】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図5】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1に係る、処理の過程を示した図である。
【図6】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る構成を示す図である。
【図7】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、表示画面を示す図である。
【図8】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データを示す図である。
【図9】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、起動時昇温パターンデータを示す図である。
【図10】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図11】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブルに格納される情報を示した図である。
【図12】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態2に係る、処理の過程を示した図である。
【図13】本発明の太陽電池膜形成装置の実施の形態1、2、及び従来の技術に係る、アモルファスシリコン型太陽電池を示した図である。
【符号の説明】
▲1▼〜▲5▼:熱電対
▲6▼〜◎:熱電対
10A、10C:チャンバー
10B、10D、10E:制御装置
11−1、11−2、11−3:ガスボンベ
11A−1、11A−2、11A−3:栓
12−1、12−2、12−3、12−4、12−5:カートリッジヒータ
13:水冷式反射板
14:ヒータカバー
15:電極
16:防着板
17−1、17−2:ガス流入口
18:弁
20:入出力装置
20A:減算器
20B:表示部
21:PID演算器
22:サイクリスタ
23P、23I、23N:原料ガス
24−1、24−2、24−3、24−4、24−5:ヒータカバー表面温度
25−1、25−2、25−3、25−4、25−5:ヒータ表面温度
31:入出力装置
31A:減算器
31B:表示部
32:PID演算器
33:加算(切替)器
34:上下限リミッター
41:入出力装置
41A:減算器
42:PID演算器
43:サイクリスタ
100、200:太陽電池膜形成装置
11a:ガラス基板
12a:透明電極膜
13a、14a、15a:中間生成物
100a、200a:太陽電池膜形成方法
ST:設定ヒータカバー表面温度
TS:設定ヒータ表面温度
Kp:比例ゲイン
TI:積分時間
TD:微分時間
1B:P膜演算データ表示要求ボタン
2B:I膜演算データ表示要求ボタン
3B:N膜演算データ表示要求ボタン
4B:設定ボタン
1D:演算データ
2D:被腹膜別設定ヒータカバー温度表示データ
3D:制御電流−設定ヒータ表面温度対応表示データ
4D:起動時昇温パターンデータ
5D:上下限表示データ
ΔI(ΔI1、ΔI2、ΔI3):制御電流
Δ1、Δ2、Δ3:差
PL:P膜
IL:I膜
NL:N膜
ST:設定ヒータカバー表面温度
TS:設定ヒータ表面温度
1T、2T:電流制御対象カートリッジヒータ表示テーブル
Claims (11)
- 太陽電池膜を基板上に形成するためのチャンバーと、前記チャンバーには、前記基板が支持される支持板と、前記支持板を加熱するヒータとが設置され、
前記支持板の温度である支持板温度を検出する支持板温度検出部と、
前記支持板温度が設定支持板温度となるように、前記支持板温度検出部が検出した支持板温度に基づいて、前記ヒータの温度を指定するヒータ温度指定部と、
前記ヒータの温度であるヒータ温度を検出するヒータ温度検出部と、
前記支持板上に前記太陽電池膜が前記設定支持板温度で形成されるように、前記ヒータ温度指定部が指定する前記ヒータ温度と、前記ヒータ温度検出部が検出する前記ヒータ温度とに基づいて前記ヒータ温度を調節するヒータ温度調節部とを具備する太陽電池膜形成装置。 - 請求項1において、
前記ヒータ温度指定部が指定するヒータ温度は、前記加熱の開始後における設定時間経過後のヒータ温度である第1ヒータ温度であり、
前記ヒータ温度指定部は、前記設定時間経過後においては、前記第1ヒータ温度を指定し、
前記ヒータ温度調節部は、前記第1ヒータ温度と、前記ヒータ温度検出部が検出したヒータ温度とに基づいて前記ヒータ温度を調節する
太陽電池膜形成装置。 - 請求項2において、
前記ヒータ温度指定部が指定するヒータ温度は、前記第1ヒータ温度と、前記設定時間経過前のヒータ温度である第2ヒータ温度とのいずれかであり、
前記ヒータ温度調節部は、前記設定時間経過前においては、前記第2ヒータ温度に基づいて前記ヒータ温度を調節し、前記設定時間経過後においては、前記第1ヒータ温度と、前記ヒータ温度検出部が検出する前記ヒータ温度とに基づいて前記ヒータ温度を調節する
太陽電池膜形成装置。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記ヒータ温度指定部は、前記支持板温度検出部が検出する前記支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて、前記支持板温度を前記設定支持板温度にするために要求される、前記ヒータへの第1制御量を算出し、前記算出された第1制御量に基づいて前記第1ヒータ温度を算出し、
前記ヒータ温度調節部は、前記ヒータ温度指定部が算出する前記第1ヒータ温度と、前記ヒータ温度検出部が検出する前記ヒータ温度とに基づいて、前記ヒータ温度を前記第1ヒータ温度にするために要求される、前記ヒータへの第2制御量を算出し、前記算出された第2制御量に基づいて前記第1ヒータ温度を指定し、前記指定された第2制御量に基づいて前記ヒータ温度を調節する
太陽電池膜形成装置。 - 請求項4において、
前記第1制御量は、複数の第1制御量算出パラメータのいずれかを用いて算出され、前記複数の第1制御量算出パラメータは、前記設定時間経過前の第1制御量の算出に用いられる第1パラメータと、前記設定時間経過後の第1制御量の算出に用いられる第2パラメータとを含み、
前記ヒータ温度指定部は、前記設定時間経過前には、前記第1パラメータを用いて前記第1制御量を算出し、前記設定時間経過後には、前記第2パラメータを用いて前記第1制御量を算出する
太陽電池膜形成装置。 - 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記ヒータは、複数であり、前記ヒータ温度検出部は、複数であり、前記複数のヒータのいずれかに対するヒータ温度を検出し、前記支持板温度検出部は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部の各々は、前記支持板上における複数の箇所のいずれかの支持板温度を検出し、
前記ヒータ温度指定部は、前記複数の箇所の各々の支持板温度が前記設定支持板温度になるように、前記各々の支持板温度検出部が検出した前記いずれかの支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて、前記複数のヒータの各々のヒータ温度を指定し、
前記ヒータ温度調節部は、前記支持板上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜が前記設定支持板温度で形成されるように、前記ヒータ温度指定部が指定する、前記複数のヒータの各々の前記ヒータ温度と、前記複数のヒータ温度検出部の各々が検出する前記ヒータ温度とに基づいて、前記複数のヒータの各々の前記ヒータ温度を調節する
太陽電池膜形成装置。 - 太陽電池膜を基板上に形成するためのチャンバーと、前記チャンバーには、前記基板が支持される支持板と、前記支持板を加熱するヒータとが設置され、
前記支持板の温度である支持板温度を検出する支持板温度検出部と、
前記支持板上に前記太陽電池膜が設定支持板温度で形成されるように、前記支持板温度検出部が検出した支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて前記ヒータを制御することで、前記ヒータの温度を調節するヒータ温度調節部と
を具備する太陽電池膜形成装置。 - 請求項7において、
前記ヒータ温度調節部は、前記支持板温度検出部が検出する前記支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて、前記支持板温度を前記設定支持板温度にするために要求される、前記ヒータへの第1制御量を算出し、前記算出された第1制御量に基づいて前記ヒータを制御することで、前記ヒータ温度を調節する太陽電池膜形成装置。 - 請求項7又は8において、
前記ヒータは、複数であり、前記支持板温度検出部は、複数であり、前記複数の支持板温度検出部の各々は、前記支持板上における複数の箇所のいずれかの支持板温度を検出し、
前記ヒータ温度調節部は、前記支持板上の前記複数の箇所の各々において、前記太陽電池膜が前記設定支持板温度で形成されるように、前記支持板温度検出部の各々が検出する前記支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて前記各々のヒータを制御することで、前記支持板温度を調節する
太陽電池膜形成装置。 - 太陽電池膜を基板上に形成するためのチャンバー、支持板温度検出部、ヒータ温度指定部、ヒータ温度検出部、ヒータ温度調節部の各々を具備する太陽電池膜形成装置により実行される太陽電池膜形成方法において、前記チャンバーには、前記基板が支持される支持板と、前記支持板を加熱するヒータとが設置され、
前記支持板温度検出部が、前記支持板の温度である支持板温度を検出するステップと、
前記ヒータ温度指定部が、前記支持板温度が設定支持板温度となるように、前記支持板温度検出部が検出した前記支持板温度に基づいて、前記ヒータの温度を指定するステップと、
前記ヒータ温度検出部が、前記ヒータの温度であるヒータ温度を検出するステップと、
前記ヒータ温度調節部が、前記支持板上に前記太陽電池膜が前記設定支持板温度で形成されるように、前記ヒータ温度指定部が指定する前記ヒータ温度と、前記ヒータ温度検出部が検出する前記ヒータ温度とに基づいて前記ヒータ温度を調節するステップと
を具備する太陽電池膜形成方法。 - 太陽電池膜を基板上に形成するためのチャンバー、支持板温度検出部、ヒータ温度調節部の各々を具備する太陽電池膜形成装置により実行される太陽電池膜形成方法において、
前記チャンバーには、前記基板が支持される支持板と、前記支持板を加熱するヒータとが設置され、
前記支持板温度検出部が、前記支持板の温度である支持板温度を検出するステップと、
前記ヒータ温度調節部が、前記支持板上に前記太陽電池膜が設定支持板温度で形成されるように、前記支持板温度検出部が検出した前記支持板温度と前記設定支持板温度とに基づいて前記ヒータを制御することで、前記ヒータ温度を調節するステップと
を具備する太陽電池膜形成方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010077538A (ja) * | 2009-12-21 | 2010-04-08 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 基盤加熱ヒータ |
CN111886672A (zh) * | 2018-03-19 | 2020-11-03 | 日新电机株式会社 | 基板加热系统以及基板处理装置 |
-
2002
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KR102435174B1 (ko) * | 2018-03-19 | 2022-08-23 | 닛신덴키 가부시키 가이샤 | 기판 가열 시스템 및 기판 처리 장치 |
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