JP2004093688A - 熱定着器の温度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却ファンの駆動調整を行い、より適切なロールの温度調整を行うことを可能とする画像形成装置の熱定着器の温度制御装置を提供する。
【解決手段】フューザーローラ15aの長手方向にサーミスタ26a〜26cが配設され、フューザーローラ15aの長手方向のローラ位置の温度をそれぞれ検出し、コントローラ34に供給する。コントローラ34はヒータ制御回路33a及び33bを制御して定着電源29から電力を供給し、フューザーローラ15aに配設されたヒータを加熱制御する。一方、冷却ファン34は吸気口30から外気を取り入れ冷却ファン31から排出するがフューザーローラ15aの吸気口30側のローラ部は冷却ファン31による冷却力が強く、例えば内部の巻線を多くし、温度を高く設定しているが、アイドリング時においては却って加熱するので、このような場合、冷却ファン31の冷却力を弱めローラの長手方向で温度が均一になるように制御する。
【選択図】 図5
【解決手段】フューザーローラ15aの長手方向にサーミスタ26a〜26cが配設され、フューザーローラ15aの長手方向のローラ位置の温度をそれぞれ検出し、コントローラ34に供給する。コントローラ34はヒータ制御回路33a及び33bを制御して定着電源29から電力を供給し、フューザーローラ15aに配設されたヒータを加熱制御する。一方、冷却ファン34は吸気口30から外気を取り入れ冷却ファン31から排出するがフューザーローラ15aの吸気口30側のローラ部は冷却ファン31による冷却力が強く、例えば内部の巻線を多くし、温度を高く設定しているが、アイドリング時においては却って加熱するので、このような場合、冷却ファン31の冷却力を弱めローラの長手方向で温度が均一になるように制御する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ装置等の画像形成装置に使用される熱定着器の温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、記録紙に転写したトナー像を熱定着処理する為、ヒータを内蔵したフューザーローラとバックアップローラを配設した熱定着器が使用されている。特に、高速のカラー画像形成装置では、バックアップローラにもヒータを内蔵し、温度制御が行われている。また、画像形成装置には機内の温度上昇を抑える為の冷却ファンも配設されている。
【0003】
図14は上記構成の従来の温度制御装置の構成を説明するシステム図である。同図において、フューザーローラ50aには内部に不図示のヒータが配設され、周面近傍にはフューザーローラ50aの温度を検出するサーミスタ51aが配設されている。尚、サーミスタ51aは不図示のブラケットによってフューザーローラ50aの長手方向(軸方向)の中央部に位置し、フューザーローラ50aの中央部の温度を検出している。
【0004】
同様に、バックアップローラ50bの内部にも不図示のヒータが配設され、周面近傍にはバックアップローラ50bの温度を検出するサーミスタ51bが配設され、サーミスタ51bは不図示のブラケットによってバックアップローラ50bの長手方向(軸方向)の中央部に位置し、バックアップローラ50bの中央位置の温度を検出している。
【0005】
また、上記フューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bの長手方向(軸方向)の一方には冷却ファン52が配設され、両ローラ50a、50bを冷却する。尚、この冷却ファン52は排気ファンであり、画像形成装置(例えば、プリンタ装置)の筐体に設けられた吸気部53から外気を吸入し、両ローラ50a、50bの周面に沿って外気を流し、両ローラ50a、50bを冷却し、冷却ファン52から機外に排出する。尚、同図には便宜上両ローラ50a、50bを長手方向に並べて示しでいるが、実際には並列に配設され、所定の圧力で両ローラ50a、50bは接した状態である。
【0006】
一方、冷却ファン52にはファン電源54から電力が供給され、後述するタイミングで冷却ファン52を駆動する。また、フューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bに配設されたヒータへの通電は、定着電源55によって行われる。また、定着電源55にはヒータ制御回路56a、56bから制御信号が出力され、上記ヒータへの通電制御が行われる。例えば、ヒータ制御回路56aはフューザーローラ50a側のヒータ制御を行い、ヒータ制御回路56bはバックアップローラ50b側のヒータ制御を行う。
【0007】
尚、コントローラ57はフューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bを所定温度に制御すべく、上記サーミスタ51a及び51bから供給される温度情報に基づいて制御信号をヒータ制御回路56a、56bに出力する構成である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱定着器の温度制御装置においては以下の問題がある。すなわち、フューザーローラ50a及びバックアップローラ50bの温度制御は、定着電源55によるヒータへの通電制御および上記冷却ファン52による駆動制御によって行われるが、用紙の通過頻度や用紙が通過しないアイドリング状態等によって影響を受ける。
【0009】
例えば、アイドリング状態では、ヒータオンオフ状態が印字モード時とは異なるため、冷却バランスが崩れ、その結果アイドリング直後の印字に問題が発生する。一般的に、冷却ファン52は画像形成装置の背面に設置され、外気は両ローラ50a、50bの前面から背面に流れる。この為、両ローラ50a、50bの手前側が冷えやすく、両ローラ50a、50bの奧側及び中央で温度が高くなる。また、用紙の通過によって両ローラ50a、50bの熱が奪われる。そこで、冷却ファンや用紙の通過による冷却を加味してヒータ配熱と制御温度を設定している。この為、アイドリング時では、手前側の温度が極端に低くなり、その結果、アイドリングモードから印字モードに変わる際、所謂低温オフセットが生じ、定着性が部分的に悪化する。
【0010】
また、記録紙のサイズが小さい場合、通紙による冷却効果が両ローラ50a、50bの両側に及ばず、両ローラ50a、50bの手前側と奧側は中央部に対して高温になる。このような状態はフューザーローラ等の寿命に悪影響を与える。本発明は、こうした実情に鑑みなされたものであり、フューザーローラの両側にも温度センサを設け、中央部の温度センサとの温度差が所定値を超えた場合、冷却ファンの駆動調整を行い、より適切なフューザーローラ等の温度調整を行うことを可能とする熱定着器の温度制御装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は請求項1記載の発明によれば、少なくとも一方にヒータを内蔵するフューザーローラとバックアップローラからなる一対のローラ間にトナー像が転写された用紙を挟持搬送してトナー像を前記用紙に熱定着する熱定着器の温度制御装置において、前記ヒータに電力を供給する電力供給手段と、少なくとも前記フューザーローラの複数箇所の温度を検出する複数の温度検出手段と、前記複数の温度検出手段の所定の温度検出手段の検出結果に基いて前記電力供給手段を制御する電力供給制御手段と、前記一対のローラの近傍に空気の流れを形成する冷却ファンと、前記用紙が前記ローラ間を継続的に通過中の印字モード時に前記冷却ファンによる冷却力を第1の冷却力に設定し、印字モード時でないアイドリング時であって前記複数の温度検出手段の個々の検出結果の差異が所定温度以上となった際に前記冷却ファンによる冷却力が前記第1の冷却力より弱い第2の冷却力となるように制御する冷却ファン制御手段とを具備する熱定着器の温度制御装置を提供することによって達成できる。
【0012】
このように構成することにより、用紙が通過しないアイドリング時において冷却ファンによる冷却力が弱くなり、フューザーローラの一端側(例えば、手前側)を過度に冷却することを防止できる。その結果、アイドリングモードから印字モードに変わる際、所謂低温オフセットを防止し、定着性を改善する。
【0013】
請求項2の記載は、請求項1記載の発明において、前記フューザーローラ内に設けられ、該フューザーローラを加熱する第1のヒータと、前記バックアップローラ内に設けられ、該バックアップローラを加熱する第2のヒータとを備え、前記電力供給手段は、前記第1、第2のヒータの何れか一方に電力を供給する構成である。
【0014】
このように構成することにより、例えばフューザーローラ側のヒータが駆動していない状態において、ローラの温度が設定値より下がった場合第2のヒータを駆動し、温度制御を行うことができる。
請求項3の記載は、請求項1又は2の記載において、前記一対のローラ間に通紙される用紙幅が、所定幅より小さい時、前記冷却ファンによる冷却力が前記所定幅以上の時の冷却力より強くなるように切り換え制御を行う構成である。
【0015】
このように構成することにより、例えば所定幅より小さいサイズの用紙が使用される際、フューザーローラの両側の温度は中央の温度より高くなるが、上記のように冷却力を強くするように冷却ファンを駆動することによって、上記課題を解消できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態の説明に使用するタンデム方式のプリンタ装置(画像形成装置)の外観図であり、本例の熱定着器はこのプリンタ装置内に配設されている。
【0017】
同図において、プリンタ装置1の上部には、排紙ローラ20が配設され、排紙ローラ20によって用紙が機外に排出され、排紙スタッカ21に積載される。また、プリンタ装置1の前面にはフロントカバー22が配設され、プリンタ装置1の右側面にはMPFトレイの配設部16、及びサイドカバー23が位置し、上記フロントカバー22の下部には給紙トレイ25の引出口が位置し、給紙トレイ25は矢印方向に引き出し可能に構成されている。
【0018】
また、プリンタ装置1の上部には操作パネル24が配設され、この操作パネル24には複数のキーから成る操作部24a、及び操作メニュー等を表示する表示部24bが形成されている。
図2は上記外観構成のプリンタ装置1の内部構成を説明する図である。プリンタ装置1の内部は、画像形成部2、両面印刷用搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。ここで、画像形成部2は4個の画像形成ユニット5〜8を並設した構成であり、同図の紙面右側から左側に向かってマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に配設されている。また、この中のマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像形成ユニット5〜7は減法混色によりカラー印刷を行う構成であり、ブラック(K)の画像形成ユニット8はモノクロ印刷に使用する。
【0019】
ここで、上記各画像形成ユニット5〜8はそれぞれドラムセットC1とトナーセットC2で構成され、現像容器に収納された現像剤(の色)を除き同じ構成である。したがって、例えばイエロー(Y)用の画像形成ユニット7を例にして構成を説明する。ドラムセットC1には感光体ドラム、帯電器、印字ヘッド、クリーナが収納され、トナーセットC2には現像ロールやトナーが収納されている。感光体ドラム9は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成され、感光体ドラム9の周面近傍には、帯電器10a、印字ヘッド10b、現像ロール10c、転写器10d、クリーナ10eが順次配設されている。
【0020】
感光体ドラム9は矢印方向に回動可能であり、先ず帯電器10aからの電荷付与により、感光体ドラム9の周面を一様に帯電する。そして、印字ヘッド10bからの印字情報に基づく光書き込みにより、感光体ドラム9の周面に静電潜像を形成し、現像ロール10cによる現像処理によりトナー像を形成する。この時、感光体ドラム9の周面に形成されるトナー像は、現像容器に収納したイエロー(Y)色のトナーによる。このようにして感光体ドラム9の周面に形成されるトナー像は、感光体ドラム9の矢印方向の回動に伴って転写器10dの位置に達し、感光体ドラム9の直下を矢印方向に移動する用紙に転写される。
【0021】
一方、用紙の搬送は、前述の給紙部4を構成する給紙カセット25、待機ロール12、搬送ベルト13、駆動ロール14等で構成され、給紙コロ28の回動によって給紙カセット25から搬出された用紙は、待機ロール12まで送られ、更にトナー像に一致するタイミングで搬送ベルト13上に送られ、転写器10dに達する。そして、転写器10dにおいてトナー像が転写され、トナー像が転写された用紙は搬送ベルト13の移動に従って、搬送ベルト13上を矢印方向に移動し、熱定着器15において熱定着処理が施される。
【0022】
また、用紙の上面には、上記イエロー(Y)のトナー像のみならず、他の色のドラムセットC1及びトナーセットC2によって転写されたマゼンダ(M)や、シアン(C)のトナー像も転写され、前述の減法混色に従った色の印刷が行われる。
【0023】
尚、上述の用紙は給紙カセット25から搬出される用紙のみならず、不図示のMPFトレイから供給される用紙も含まれ、この場合には用紙は給紙コロ16によって搬入され、前述の経路によって印刷処理が行われる。
また、上記熱定着器15はフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及びオイル塗布ロール15cで構成され、用紙が上述のフューザーローラ15aとバックアップローラ15b間を挟持搬送される間、用紙に転写された複数色のトナー像は溶融して用紙に熱定着する。
【0024】
一方、両面印刷用搬送ユニット3は装置本体に対して着脱自在に構成され、本例のプリンタ装置1によって両面印刷を行う際装着するユニットであり、内部に複数の搬送ロール18a〜18eが配設されている。両面印刷の場合には、上記切換板17によって一旦上方に用紙が送られ、例えば用紙の後端が搬送ロール19に達した時、用紙の搬送を停止し、更に用紙を逆方向に搬送する。この制御によって、用紙は例えば点線で示す位置にある切換部17の左側を下方に搬送され、両面印刷用搬送ユニット3の用紙搬送路に搬入され、搬送ロール18a〜18eによって用紙が送られ、待機ロール12に達し、前述と同様トナー像と一致するタイミングで転写器15に送られ、トナー像が用紙の裏面に転写される。
【0025】
図3は上記熱定着器15を拡大して示す図である。前述のようにフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及びオイル塗布ロール15cで構成され、フューザーローラ15aとバックアップローラ15bは所定の押圧力で接している。用紙Pは、両ローラ15a、15b間を挟持搬送され、用紙Pに転写されたトナー像は熱と圧力によって用紙Pに熱定着(溶着)される。
【0026】
一方、図4は熱定着器15を構成するフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及び両ローラ15a、15bを冷却する冷却ファン31の配設構成を示す図である。同図において、紙面左側がプリンタ装置1の前面側であり、紙面右側がプリンタ装置1の背面側であり、冷却ファン31はプリンタ装置1の背面に配設されている。また、フューザーローラ15a及びバックアップローラ15bは、その長手方向(軸方向)をプリンタ装置1の前面側から背面側に並行に配設され、不図示のヒータはフューザーローラ15aの軸に沿って配設されている。
【0027】
ここで、プリンタ装置1の前面側を手前側a1とし、背面側を奥側c1とし、その間を中央部b1とすると、フューザーローラ15aに内蔵されたヒータの巻線比a1:b1:c1は、120:100:100に設定されている。また、同様にバックアップローラ15bについても、内蔵されたヒータの巻線比a2:b2:c2は、120:100:100に設定されている。
【0028】
図5はフューザーローラ15a及びバックアップローラ15bに配設されるヒータへの通電回路、及び冷却ファン31への通電回路を説明する図である。同図において、フューザーローラ15aには前述のように内部に巻線比の異なるヒータが配設され、周面近傍にはフューザーローラ15aの温度を検出する為のサーミスタ26a〜26cが位置する。尚、サーミスタ26aはフューザーローラ15aの吸気部30側に配設された温度センサであり、サーミスタ26bはフューザーローラ15aの中央部に配設された温度センサであり、サーミスタ26cはフューザーローラ15aの冷却ファン31側に配設された温度センサである。
【0029】
また、バックアップローラ15bの内部にも前述のようにヒータが配設され、中央部にはバックアップローラ15bの温度を検出する為のサーミスタ27が配設されている。
上記構成によれば、冷却ファン31を駆動することによって、吸気部30から機内に外気が吸引され、両ローラ15a、15bの周面を矢印方向(図4及び図5の紙面左側から右側)に流れ、冷却ファン31から機外に排出される。尚、図5においては、便宜上両ローラ15a、15bを長手方向(軸方向)に直列に並べて示しでいるが、実際には前述の図4に示すように並列に所定の圧力で接した状態で配設されている。すなわち、実際には図4に示すように、両ローラ15a、15bは所定の圧力を有して並設され、紙面右側に冷却ファン31が位置する構成である。
【0030】
冷却ファン31には冷却電源35から電力が供給され、後述するタイミングで冷却ファン31を駆動する。一方、フューザーローラ15a、及びバックアップローラ15bに配設されたヒータへの通電は、定着電源29によって行われる。定着電源29にはヒータ制御回路33a、又は33bから制御信号が出力され、上記ヒータへの通電制御が行われる。例えば、ヒータ制御回路33aはフューザーローラ15a側のヒータへの通電制御を行い、後述するタイミングで当該ヒータの加熱制御を行う。一方、ヒータ制御回路33bはバックアップローラ15b側のヒータへの通電制御を行い、同様に後述するタイミングで当該ヒータの加熱制御を行う。
以上の構成において、以下に本例の温度制御装置の処理動作について説明する。
【0031】
先ず、プリンタ装置1の電源を投入し通常印刷を開始すると、コントローラ34の制御に従ってヒータ制御回路33aは定着電源29からヒータに電力を供給し、フューザーローラ15aの加熱制御を開始する。サーミスタ26a〜26cは徐々に加熱されるフューザーローラ15aの温度を検出し、この検出結果はコントローラ34にフィードバックされる。
【0032】
最初、フューザーローラ15aは低温であり、定着電源29からヒータへの通電が継続する。その後フューザーローラ15aの温度が所定値に達すると、サーミスタ26a〜26cの温度検知の情報に基づいてヒータへの通電がオン、オフ制御され、フューザーローラ15aの温度は一定に保たれる。この間、用紙の通過、及び冷却ファン31の駆動によってフューザーローラ15aの表面温度は変化するが、上記温度制御によってフューザーローラ15aの温度を一定に保つ。
【0033】
但し、前述のようにフューザーローラ15a内のヒータの巻線比は、手前側、中央部、奧側で異なり、120:100:100に設定され、手前側(a1及びa2)が高温になるが、用紙の通過による放熱や、冷却ファン31の冷却によって、フューザーローラ15aの長手方向(軸方向)で均一な温度分布となる。
【0034】
一方、アイドリング時においては、用紙が通過せず、通紙による冷却効果はなく、冷却ファン31による冷却のみとなる。図6は、この時の温度分布を示す図であり、アイドリング時において手前側a1、b1の温度が低くなり、中央部a2、b2、及び奥側a3、b3の温度が低くなることが分かる。
【0035】
この場合、フューザーローラ15aの中央部に位置するサーミスタ26bの検知温度に基づいてヒータのオン、オフ駆動が行われるが、コントローラ34にはサーミスタ26a及び26cの検知温度情報も供給される。コントローラ34は上記サーミスタ26a〜26cの検知温度を常に監視し、例えばこれらの検知温度に10℃以上の差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力する。例えば、冷却ファン31の駆動によって両ローラ15a、15bの手前側(a1、a2)のローラ部分が冷えすぎ、中央部(b1、b2)のロール部分に対して10℃以上の温度差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力し、冷却ファン31の回転数を低下させる。
【0036】
この場合、例えば冷却ファン31の回転数を半減させるべく、ファン制御回路36は冷却電源35に信号を送り、冷却電源35から冷却ファン31に供給する電力を低下させる。
このように制御することにより、冷却ファン31による冷却力は低下し、両ローラ15a、15bの手前側のローラ部分の冷え過ぎが解消される。したがって、このように制御することによって、アイドリング直後の印刷処理においても、フューザーローラ15aの温度分布は均一に保持され、トナーの定着性も均一に保持され、印字品質の優れた画像を印刷することができる。
【0037】
尚、上記実施形態の説明では、サーミスタ26a〜26cの検知温度の差が10℃を超えた場合にコントローラ34から制御信号を出力したが、10℃に限るわけではなく、他の温度であってもよい。
また、ファン制御回路36は上記制御信号が出力された場合、冷却ファン31の回転数を半減させる制御を行ったが、オン、オフタイミングのデューティー比を変えて冷却能力を低下させる制御を行う構成としてもよい。さらに、他の手段によって実質的に冷却ファン31の冷却能力を低下させる制御を行ってもよい。
【0038】
また、冷却ファン31の設置箇所についても、プリンタ装置1の背面側に限るわけではなく、両ローラ15a、15bの中央上部に設けてもよく、この場合には両ローラ15a、15bの両端から中央に向かって空気の流れが生じる。したがって、この場合にはヒータの配線は、手前側、中央部、奧側で異ならせ、例えば120(手前側a):100(中央部b):120(奧側c)に設定する。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0039】
本例は幅の狭い用紙を使用した場合の熱定着器の温度制御に関するものであり、幅の狭い用紙を使用する場合、両ローラ15a、15bの両側のローラ部では用紙の通過による冷却効果がなく、ローラの軸方向に対して温度差が生じる。本実施形態ではこの課題を解決する構成である。以下、具体的に説明する。
【0040】
前述の実施形態と同様、先ずプリンタ装置1の電源を投入し、印刷処理を開始してコントローラ34の制御に従ってフューザーローラ15aの加熱制御を行う。この時、使用される用紙サイズが小さい場合、特に用紙の搬送方向に直交する方向の長さが短い場合、フューザーローラ15aの両側のローラ部分には用紙が接触しない。したがって、この部分には用紙の接触による放熱効果が発生せず、両ローラ15a、15bの中央部の温度に対して両側の温度が高くなる。
【0041】
この状態は、前述のサーミスタ26a〜26cから供給される温度情報によってコントローラ34に通知される。コントローラ34ではこれらの検知温度に基づいて温度差を計算し、所定温度以上の差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力する。ファン制御回路36は上記制御信号が入力すると、冷却ファン31の回転速度を増加させるべく、例えば冷却電源35に供給する電力を増加させる。
【0042】
したがって、冷却ファン31の回転速度が増し、より強い空気の流れが生じ、両ローラ15a、15bを冷却する。この制御によって両側のローラ部が冷却され、両ローラ15a、15bの軸方向の温度差を解消することができる。このように、両ローラ15a、15bの軸方向の温度を均一に保つことによって、両ローラ15a、15bの寿命を延ばすことができる。
【0043】
尚、上記冷却ファン31の回転速度の増加は、前述の温度差に対応するテーブルを設け、当該テーブルに予め登録したデータに基づいて行う構成としてもよい。この場合、コントローラ34は検出温度の温度差に対応した電力供給値をテーブルから読み出し、冷却電源35に通知する。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0044】
本例は低温環境のアイドリング時において過度の冷却によって低温オフセットが生じることに鑑み、アイドリング時のヒータのオン、オフ間隔が短くなった場合、設定温度の調整を行って上記問題を解決するものである。以下、具体的に説明する。尚、本例においても前述の図1及び図2で示すプリンタ装置1を使用し、また熱定着器としては図3及び図4に示す構成の熱定着器を使用する。
【0045】
先ず、上記第1、第2の実施形態で説明したように、冷却ファン31を駆動し、フューザーローラ15aの温度制御を行うと、サーミスタ26a〜26cの検知温度情報に基づいてコントローラ34はヒータの加熱制御を行い、フューザーローラ15aの温度を均一に制御し、良好な印字を行う。
【0046】
このような環境において、例えば上記熱定着器の温度制御装置を有するプリンタ装置1が低温環境に置かれた場合、本例の温度制御装置が働き、最初は図7(a)に示す温度制御が行われる。すなわち、ヒータはt1秒間隔で点灯し、フューザーローラ15aの表面温度を均一に保ち、良好な画像を形成する。
【0047】
その後、頻繁な印刷処理が行われることなく、低温環境下で長時間経過すると、冷却ファン31による定着周りのエアフローの影響によってフューザーローラ15aのロール温度が局所的に低下し、或いはロール全体の保持熱量が低下する。この場合、ヒータは加熱後温度低下が速まり、ヒータの点灯間隔も短くなる。図7(b)〜同図(d)はこの変化を5分経過毎に示す図である。例えば、同図(b)ではヒータの点灯間隔はt2秒になり、同図(c)ではヒータの点灯間隔がt3秒になり、更に同図(d)ではヒータの点灯間隔がt4秒になり、極めて短時間の点灯間隔になる。尚、上記の場合、定着性は同図(a)〜(c)は良好であるが、同図(d)では問題となる。
【0048】
したがって、本実施形態では、コントローラ34がヒータの点灯間隔を管理し、例えばヒータの点灯間隔が上記t4秒に達した時、フューザーローラ15aの設定温度を、例えば5℃〜10℃上昇させるべく制御を行う。このように制御することにより、所謂低温オフセットを防ぐことができる。
【0049】
尚、上記実施形態の説明では、フューザーローラ15aの設定温度を上げて対応したが、印刷時の搬送速度を落とす制御を行い、又は印刷時の用紙搬送間隔を広げることによって低温オフセットを防止する構成としてもよい。
また、ヒータの点灯時間が一定時間以上に達した時点で、冷却ファン31の駆動を停止し、又は回転速度を低下させる等の制御を合わせて行う構成としてもよい。このように構成することにより、より確実な定着処理を行うことが可能となる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0050】
本例は前述の熱定着器において、印字枚数が多くなった場合、オイル塗布量を所謂リニアに変化させ、熱定着器を最初と同じように制御するものである。以下、具体的に説明する。
図8は本例の熱定着器の横断面図であり、図9は縦断面図であり、フューザーローラ15a及びバックアップローラ15bの構成は前述の実施形態と同様である。両図において、オイル塗布ロール15cは軸受け40に支持され、軸受け40は圧接バネ41によって下方に付勢力を受けている。また、圧接バネ41の上部に台座42を介装してカム43が配設されている。カム43はオイル塗布ロール15cの両端に配設され、軸44によって固定されている。この軸44には、ギヤ45が取り付られ、本体駆動により低速で駆動するウォームギヤによって軸44が低速で回転する機構である。
【0051】
フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cは、圧接バネ41によってロールが従動する適度な荷重により圧接されているが、この圧力を変化させるとロール含侵オイルの摘出量が変化する。本例ではこの特徴を以下の環境において利用する。
【0052】
図10(a)〜(c)は上記熱定着器15に配設されたフューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの配設構成を説明する拡大図である。先ず、同図(a)は新品状態を示す図であり、カム43は同図(a)に示す位置にあり、この状態において圧接バネ41は取り付け長が最も長い状態であり、軸受け40が圧接バネ41より受ける荷重が最も小さい状態である。したがって、熱定着器15が新品時、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの圧接力は最小となり、オイル塗布ロール15cからフューザーローラ15aへのオイル塗布量は最小となる。
【0053】
その後、印刷処理を繰り返し、印刷枚数が増加すると、カム43は極めて低速で矢印方向に回転し、同図(b)の状態となる。この状態は、カム43が圧接バネ41を下方に圧縮し、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの圧接力が増加し、オイル塗布ロール15cからより多くのオイルがフューザーローラ15aに塗布される。
【0054】
さらに、印刷処理が繰り返され、印刷枚数が増加すると、圧接バネ41の付勢力が更に増加し、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cとの圧接力は最大になる(図10(c)の状態)。したがって、オイル塗布ロール15cから更に多くのオイルがフューザーローラ15aに塗布される。したがって、例えば熱定着器(定着ユニット)15が寿命時においても、オイルの供給が低下することがなく、オイルの供給を行うことができる。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0055】
本例は熱定着器(定着ユニット)15が取り外し可能な構成であることから、例えばユーザ、又はオペレータが熱定着器15を取り外す際、加熱した金具に触れ火傷等を防止する構成である。以下、具体的に説明する。
図11は本例の定着ユニット15の構成図である。同図において、フューザーローラ15a、バックアップローラ15b、オイル塗布ロール15cの構成は前述の実施形態の構成と同じであるが、更に同図にはロックアーム46、ロック解除ボタン47、位置決めピン48、定着ベース49が配設されている。
【0056】
上記位置決めピン48と定着ベース49は、熱膨張率が異なる金属であり、位置決めピン48の方が定着ベース49より熱膨張率が大きい。また、定着ベース49には位置決め穴48aが形成され、位置決め穴48aに位置決めピン48が嵌入する構成である。例えば、熱定着器15の温度が人に火傷を負わせない程度の温度の場合、定着ベース49の位置決め穴48aには、位置決めピン48が嵌入する構成である。尚、熱定着器15の温度が人に火傷を負わせる危険がある温度の場合、上記熱膨張率の違いにより位置決めピン48は位置決め穴48aにロックされ、位置決め穴48aから外れない構成である。
【0057】
したがって、熱定着器15の温度が高い時、前述のロック解除ボタン47を押してもロックアーム46は解除されるが、上記構造によって熱定着器15を本体装置から取り外すことは不可能である。一方、熱定着器15の温度が下がり、火傷等の危険が発生する温度ではない場合、ロック解除ボタン47を押し、ロックアーム46は解除して熱定着器15を装置本体から取り外すことができる。
【0058】
このように構成することにより、熱定着器15の温度が充分下がり火傷の危険がない場合でなければ熱定着器15を取り外すことができず、従って本例によれば安全に熱定着器15を取り外すことができる。
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0059】
本例はロックアームに取り付けたバイメタルによって熱定着器(定着ユニット)15の取り外しを不可能にする構成である。以下、具体的に説明する。
図12は本例を説明する図であり、特に前述のロックアーム46の先端部分の拡大図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は底面図である。ロックアーム46の先端は鍵形であり、側面にはバイメタル46aが取り付けられている。尚、バイメタル46aの取り付けは、ロックアーム46の下部の適切な位置にネジ46bによって取り付けられている。
【0060】
バイメタル46aは熱膨張率の異なる金属を張り合わせた構成であり、温度が高い時同図(b)に示すように外側に反っている。この為、熱定着器15の温度が高い状態では、ロック解除ボタン47を押してもバイメタル46aが引っかかりロックアーム46を解除できない。この為、熱定着器15を取り外すことができない。
【0061】
一方、温度が低くなると、図13に示すようにバイメタル46aはロックアーム46の側面に沿った位置に戻り、ロック解除ボタン47を押すとロックアーム46の先端は矢印方向に移動でき、ロックアーム46を解除することができる。したがって、本例によれば熱定着器15の温度が下がり、火傷の危険のない温度であれば、ロックアーム46を解除でき、熱定着器15を安全の取り外すことができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればアイドリング時において冷却ファンの冷却力を弱め、フューザーローラ及びバックアップローラを軸方向に均一に冷やすことができる。
【0063】
また、用紙幅の小さい用紙を使用する場合、冷却ファンによる冷却力を強くし、フューザーローラ及びバックアップローラを軸方向に均一に加熱し、ローラの寿命を延ばすことができる。
さらに、熱定着器を内蔵するプリンタ装置が低温環境下に長時間置かれた場合でも、冷却ファンの冷却力を調整し、安定した定着性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の説明に使用するタンデム方式のプリンタ装置(画像形成装置)の例であり、内部に熱定着器及びその温度制御装置が配設されたプリンタ装置である。
【図2】プリンタ装置の内部構成を説明する図である。
【図3】熱定着器を拡大して示す図である。
【図4】熱定着器を構成するフューザーローラ、バックアップローラ、及び両ローラを冷却する冷却ファンの配設構成を示す図である。
【図5】フューザーローラ及びバックアップローラに配設されるヒータへの通電回路、及び冷却ファンへの通電回路を説明する図である。
【図6】フューザーローラの軸方向のローラ位置の相違による温度差を示す図である。
【図7】(a)は電源投入時のヒータのオンタイミングを示す図であり、(b)〜(d)は電源投入後、ヒータのオンタイミングを5分毎に変化させることを説明する図である。
【図8】第4の実施形態を説明する熱定着器の横断面図である。
【図9】第4の実施形態を説明する熱定着器の縦断面図である。
【図10】第4の実施形態を説明する図であり、(a)は熱定着器の使用初期時の状態を示す図であり、(b)は熱定着器を長く使用した状態を示す図であり、(c)は熱定着器を更に長く使用した状態を示す図である。
【図11】第5の実施形態を説明する熱定着器の断面図である。
【図12】第6の実施形態を説明する図であり、同図はロックアームを解除できない場合を示し、(a)はロックアームの先端構成を説明する図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその底面図である。
【図13】第6の実施形態を説明する図であり、同図はロックアームを解除可能な場合を示し、(a)はロックアームの先端構成を説明する図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその底面図である。
【図14】従来例を説明する両ローラへの通電回路、及び冷却ファンへの通電回路を説明する図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 画像形成部
3 両面印刷用搬送ユニット
4 給紙部
5〜8 画像形成ユニット
9 感光体ドラム
10a 帯電器
10b 印字ヘッド
10c 現像ロール
10d 転写器
10e クリーナ
11 給紙カセット
12 待機ロール
13 搬送ベルト
14 駆動ロール
15 熱定着器
15a フューザーローラ
15b バックアップローラ
15c クリーナ
16 MPFトレイ配設部
17 切換部
18a〜18e 搬送ロール
20 排紙ローラ
21 排紙スタッカ
22 フロントカバー
23 サイドカバー
24 操作パネル
24a 操作部
24b 表示部
25 給紙トレイ
26a〜26c、27 サーミスタ
29 定着電源
30 吸気部
31 冷却ファン
33a、33b ヒータ制御回路
34 コントローラ
36 ファン制御回路
40 軸受け
41 圧接バネ
42 台座
43 カム
44 軸
46 ロックアーム
47 ロック解除ボタン
48 位置決めピン
48a 位置決め穴
49 定着ベース
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ装置等の画像形成装置に使用される熱定着器の温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、記録紙に転写したトナー像を熱定着処理する為、ヒータを内蔵したフューザーローラとバックアップローラを配設した熱定着器が使用されている。特に、高速のカラー画像形成装置では、バックアップローラにもヒータを内蔵し、温度制御が行われている。また、画像形成装置には機内の温度上昇を抑える為の冷却ファンも配設されている。
【0003】
図14は上記構成の従来の温度制御装置の構成を説明するシステム図である。同図において、フューザーローラ50aには内部に不図示のヒータが配設され、周面近傍にはフューザーローラ50aの温度を検出するサーミスタ51aが配設されている。尚、サーミスタ51aは不図示のブラケットによってフューザーローラ50aの長手方向(軸方向)の中央部に位置し、フューザーローラ50aの中央部の温度を検出している。
【0004】
同様に、バックアップローラ50bの内部にも不図示のヒータが配設され、周面近傍にはバックアップローラ50bの温度を検出するサーミスタ51bが配設され、サーミスタ51bは不図示のブラケットによってバックアップローラ50bの長手方向(軸方向)の中央部に位置し、バックアップローラ50bの中央位置の温度を検出している。
【0005】
また、上記フューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bの長手方向(軸方向)の一方には冷却ファン52が配設され、両ローラ50a、50bを冷却する。尚、この冷却ファン52は排気ファンであり、画像形成装置(例えば、プリンタ装置)の筐体に設けられた吸気部53から外気を吸入し、両ローラ50a、50bの周面に沿って外気を流し、両ローラ50a、50bを冷却し、冷却ファン52から機外に排出する。尚、同図には便宜上両ローラ50a、50bを長手方向に並べて示しでいるが、実際には並列に配設され、所定の圧力で両ローラ50a、50bは接した状態である。
【0006】
一方、冷却ファン52にはファン電源54から電力が供給され、後述するタイミングで冷却ファン52を駆動する。また、フューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bに配設されたヒータへの通電は、定着電源55によって行われる。また、定着電源55にはヒータ制御回路56a、56bから制御信号が出力され、上記ヒータへの通電制御が行われる。例えば、ヒータ制御回路56aはフューザーローラ50a側のヒータ制御を行い、ヒータ制御回路56bはバックアップローラ50b側のヒータ制御を行う。
【0007】
尚、コントローラ57はフューザーローラ50a、及びバックアップローラ50bを所定温度に制御すべく、上記サーミスタ51a及び51bから供給される温度情報に基づいて制御信号をヒータ制御回路56a、56bに出力する構成である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱定着器の温度制御装置においては以下の問題がある。すなわち、フューザーローラ50a及びバックアップローラ50bの温度制御は、定着電源55によるヒータへの通電制御および上記冷却ファン52による駆動制御によって行われるが、用紙の通過頻度や用紙が通過しないアイドリング状態等によって影響を受ける。
【0009】
例えば、アイドリング状態では、ヒータオンオフ状態が印字モード時とは異なるため、冷却バランスが崩れ、その結果アイドリング直後の印字に問題が発生する。一般的に、冷却ファン52は画像形成装置の背面に設置され、外気は両ローラ50a、50bの前面から背面に流れる。この為、両ローラ50a、50bの手前側が冷えやすく、両ローラ50a、50bの奧側及び中央で温度が高くなる。また、用紙の通過によって両ローラ50a、50bの熱が奪われる。そこで、冷却ファンや用紙の通過による冷却を加味してヒータ配熱と制御温度を設定している。この為、アイドリング時では、手前側の温度が極端に低くなり、その結果、アイドリングモードから印字モードに変わる際、所謂低温オフセットが生じ、定着性が部分的に悪化する。
【0010】
また、記録紙のサイズが小さい場合、通紙による冷却効果が両ローラ50a、50bの両側に及ばず、両ローラ50a、50bの手前側と奧側は中央部に対して高温になる。このような状態はフューザーローラ等の寿命に悪影響を与える。本発明は、こうした実情に鑑みなされたものであり、フューザーローラの両側にも温度センサを設け、中央部の温度センサとの温度差が所定値を超えた場合、冷却ファンの駆動調整を行い、より適切なフューザーローラ等の温度調整を行うことを可能とする熱定着器の温度制御装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は請求項1記載の発明によれば、少なくとも一方にヒータを内蔵するフューザーローラとバックアップローラからなる一対のローラ間にトナー像が転写された用紙を挟持搬送してトナー像を前記用紙に熱定着する熱定着器の温度制御装置において、前記ヒータに電力を供給する電力供給手段と、少なくとも前記フューザーローラの複数箇所の温度を検出する複数の温度検出手段と、前記複数の温度検出手段の所定の温度検出手段の検出結果に基いて前記電力供給手段を制御する電力供給制御手段と、前記一対のローラの近傍に空気の流れを形成する冷却ファンと、前記用紙が前記ローラ間を継続的に通過中の印字モード時に前記冷却ファンによる冷却力を第1の冷却力に設定し、印字モード時でないアイドリング時であって前記複数の温度検出手段の個々の検出結果の差異が所定温度以上となった際に前記冷却ファンによる冷却力が前記第1の冷却力より弱い第2の冷却力となるように制御する冷却ファン制御手段とを具備する熱定着器の温度制御装置を提供することによって達成できる。
【0012】
このように構成することにより、用紙が通過しないアイドリング時において冷却ファンによる冷却力が弱くなり、フューザーローラの一端側(例えば、手前側)を過度に冷却することを防止できる。その結果、アイドリングモードから印字モードに変わる際、所謂低温オフセットを防止し、定着性を改善する。
【0013】
請求項2の記載は、請求項1記載の発明において、前記フューザーローラ内に設けられ、該フューザーローラを加熱する第1のヒータと、前記バックアップローラ内に設けられ、該バックアップローラを加熱する第2のヒータとを備え、前記電力供給手段は、前記第1、第2のヒータの何れか一方に電力を供給する構成である。
【0014】
このように構成することにより、例えばフューザーローラ側のヒータが駆動していない状態において、ローラの温度が設定値より下がった場合第2のヒータを駆動し、温度制御を行うことができる。
請求項3の記載は、請求項1又は2の記載において、前記一対のローラ間に通紙される用紙幅が、所定幅より小さい時、前記冷却ファンによる冷却力が前記所定幅以上の時の冷却力より強くなるように切り換え制御を行う構成である。
【0015】
このように構成することにより、例えば所定幅より小さいサイズの用紙が使用される際、フューザーローラの両側の温度は中央の温度より高くなるが、上記のように冷却力を強くするように冷却ファンを駆動することによって、上記課題を解消できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態の説明に使用するタンデム方式のプリンタ装置(画像形成装置)の外観図であり、本例の熱定着器はこのプリンタ装置内に配設されている。
【0017】
同図において、プリンタ装置1の上部には、排紙ローラ20が配設され、排紙ローラ20によって用紙が機外に排出され、排紙スタッカ21に積載される。また、プリンタ装置1の前面にはフロントカバー22が配設され、プリンタ装置1の右側面にはMPFトレイの配設部16、及びサイドカバー23が位置し、上記フロントカバー22の下部には給紙トレイ25の引出口が位置し、給紙トレイ25は矢印方向に引き出し可能に構成されている。
【0018】
また、プリンタ装置1の上部には操作パネル24が配設され、この操作パネル24には複数のキーから成る操作部24a、及び操作メニュー等を表示する表示部24bが形成されている。
図2は上記外観構成のプリンタ装置1の内部構成を説明する図である。プリンタ装置1の内部は、画像形成部2、両面印刷用搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。ここで、画像形成部2は4個の画像形成ユニット5〜8を並設した構成であり、同図の紙面右側から左側に向かってマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に配設されている。また、この中のマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像形成ユニット5〜7は減法混色によりカラー印刷を行う構成であり、ブラック(K)の画像形成ユニット8はモノクロ印刷に使用する。
【0019】
ここで、上記各画像形成ユニット5〜8はそれぞれドラムセットC1とトナーセットC2で構成され、現像容器に収納された現像剤(の色)を除き同じ構成である。したがって、例えばイエロー(Y)用の画像形成ユニット7を例にして構成を説明する。ドラムセットC1には感光体ドラム、帯電器、印字ヘッド、クリーナが収納され、トナーセットC2には現像ロールやトナーが収納されている。感光体ドラム9は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成され、感光体ドラム9の周面近傍には、帯電器10a、印字ヘッド10b、現像ロール10c、転写器10d、クリーナ10eが順次配設されている。
【0020】
感光体ドラム9は矢印方向に回動可能であり、先ず帯電器10aからの電荷付与により、感光体ドラム9の周面を一様に帯電する。そして、印字ヘッド10bからの印字情報に基づく光書き込みにより、感光体ドラム9の周面に静電潜像を形成し、現像ロール10cによる現像処理によりトナー像を形成する。この時、感光体ドラム9の周面に形成されるトナー像は、現像容器に収納したイエロー(Y)色のトナーによる。このようにして感光体ドラム9の周面に形成されるトナー像は、感光体ドラム9の矢印方向の回動に伴って転写器10dの位置に達し、感光体ドラム9の直下を矢印方向に移動する用紙に転写される。
【0021】
一方、用紙の搬送は、前述の給紙部4を構成する給紙カセット25、待機ロール12、搬送ベルト13、駆動ロール14等で構成され、給紙コロ28の回動によって給紙カセット25から搬出された用紙は、待機ロール12まで送られ、更にトナー像に一致するタイミングで搬送ベルト13上に送られ、転写器10dに達する。そして、転写器10dにおいてトナー像が転写され、トナー像が転写された用紙は搬送ベルト13の移動に従って、搬送ベルト13上を矢印方向に移動し、熱定着器15において熱定着処理が施される。
【0022】
また、用紙の上面には、上記イエロー(Y)のトナー像のみならず、他の色のドラムセットC1及びトナーセットC2によって転写されたマゼンダ(M)や、シアン(C)のトナー像も転写され、前述の減法混色に従った色の印刷が行われる。
【0023】
尚、上述の用紙は給紙カセット25から搬出される用紙のみならず、不図示のMPFトレイから供給される用紙も含まれ、この場合には用紙は給紙コロ16によって搬入され、前述の経路によって印刷処理が行われる。
また、上記熱定着器15はフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及びオイル塗布ロール15cで構成され、用紙が上述のフューザーローラ15aとバックアップローラ15b間を挟持搬送される間、用紙に転写された複数色のトナー像は溶融して用紙に熱定着する。
【0024】
一方、両面印刷用搬送ユニット3は装置本体に対して着脱自在に構成され、本例のプリンタ装置1によって両面印刷を行う際装着するユニットであり、内部に複数の搬送ロール18a〜18eが配設されている。両面印刷の場合には、上記切換板17によって一旦上方に用紙が送られ、例えば用紙の後端が搬送ロール19に達した時、用紙の搬送を停止し、更に用紙を逆方向に搬送する。この制御によって、用紙は例えば点線で示す位置にある切換部17の左側を下方に搬送され、両面印刷用搬送ユニット3の用紙搬送路に搬入され、搬送ロール18a〜18eによって用紙が送られ、待機ロール12に達し、前述と同様トナー像と一致するタイミングで転写器15に送られ、トナー像が用紙の裏面に転写される。
【0025】
図3は上記熱定着器15を拡大して示す図である。前述のようにフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及びオイル塗布ロール15cで構成され、フューザーローラ15aとバックアップローラ15bは所定の押圧力で接している。用紙Pは、両ローラ15a、15b間を挟持搬送され、用紙Pに転写されたトナー像は熱と圧力によって用紙Pに熱定着(溶着)される。
【0026】
一方、図4は熱定着器15を構成するフューザーローラ15a、バックアップローラ15b、及び両ローラ15a、15bを冷却する冷却ファン31の配設構成を示す図である。同図において、紙面左側がプリンタ装置1の前面側であり、紙面右側がプリンタ装置1の背面側であり、冷却ファン31はプリンタ装置1の背面に配設されている。また、フューザーローラ15a及びバックアップローラ15bは、その長手方向(軸方向)をプリンタ装置1の前面側から背面側に並行に配設され、不図示のヒータはフューザーローラ15aの軸に沿って配設されている。
【0027】
ここで、プリンタ装置1の前面側を手前側a1とし、背面側を奥側c1とし、その間を中央部b1とすると、フューザーローラ15aに内蔵されたヒータの巻線比a1:b1:c1は、120:100:100に設定されている。また、同様にバックアップローラ15bについても、内蔵されたヒータの巻線比a2:b2:c2は、120:100:100に設定されている。
【0028】
図5はフューザーローラ15a及びバックアップローラ15bに配設されるヒータへの通電回路、及び冷却ファン31への通電回路を説明する図である。同図において、フューザーローラ15aには前述のように内部に巻線比の異なるヒータが配設され、周面近傍にはフューザーローラ15aの温度を検出する為のサーミスタ26a〜26cが位置する。尚、サーミスタ26aはフューザーローラ15aの吸気部30側に配設された温度センサであり、サーミスタ26bはフューザーローラ15aの中央部に配設された温度センサであり、サーミスタ26cはフューザーローラ15aの冷却ファン31側に配設された温度センサである。
【0029】
また、バックアップローラ15bの内部にも前述のようにヒータが配設され、中央部にはバックアップローラ15bの温度を検出する為のサーミスタ27が配設されている。
上記構成によれば、冷却ファン31を駆動することによって、吸気部30から機内に外気が吸引され、両ローラ15a、15bの周面を矢印方向(図4及び図5の紙面左側から右側)に流れ、冷却ファン31から機外に排出される。尚、図5においては、便宜上両ローラ15a、15bを長手方向(軸方向)に直列に並べて示しでいるが、実際には前述の図4に示すように並列に所定の圧力で接した状態で配設されている。すなわち、実際には図4に示すように、両ローラ15a、15bは所定の圧力を有して並設され、紙面右側に冷却ファン31が位置する構成である。
【0030】
冷却ファン31には冷却電源35から電力が供給され、後述するタイミングで冷却ファン31を駆動する。一方、フューザーローラ15a、及びバックアップローラ15bに配設されたヒータへの通電は、定着電源29によって行われる。定着電源29にはヒータ制御回路33a、又は33bから制御信号が出力され、上記ヒータへの通電制御が行われる。例えば、ヒータ制御回路33aはフューザーローラ15a側のヒータへの通電制御を行い、後述するタイミングで当該ヒータの加熱制御を行う。一方、ヒータ制御回路33bはバックアップローラ15b側のヒータへの通電制御を行い、同様に後述するタイミングで当該ヒータの加熱制御を行う。
以上の構成において、以下に本例の温度制御装置の処理動作について説明する。
【0031】
先ず、プリンタ装置1の電源を投入し通常印刷を開始すると、コントローラ34の制御に従ってヒータ制御回路33aは定着電源29からヒータに電力を供給し、フューザーローラ15aの加熱制御を開始する。サーミスタ26a〜26cは徐々に加熱されるフューザーローラ15aの温度を検出し、この検出結果はコントローラ34にフィードバックされる。
【0032】
最初、フューザーローラ15aは低温であり、定着電源29からヒータへの通電が継続する。その後フューザーローラ15aの温度が所定値に達すると、サーミスタ26a〜26cの温度検知の情報に基づいてヒータへの通電がオン、オフ制御され、フューザーローラ15aの温度は一定に保たれる。この間、用紙の通過、及び冷却ファン31の駆動によってフューザーローラ15aの表面温度は変化するが、上記温度制御によってフューザーローラ15aの温度を一定に保つ。
【0033】
但し、前述のようにフューザーローラ15a内のヒータの巻線比は、手前側、中央部、奧側で異なり、120:100:100に設定され、手前側(a1及びa2)が高温になるが、用紙の通過による放熱や、冷却ファン31の冷却によって、フューザーローラ15aの長手方向(軸方向)で均一な温度分布となる。
【0034】
一方、アイドリング時においては、用紙が通過せず、通紙による冷却効果はなく、冷却ファン31による冷却のみとなる。図6は、この時の温度分布を示す図であり、アイドリング時において手前側a1、b1の温度が低くなり、中央部a2、b2、及び奥側a3、b3の温度が低くなることが分かる。
【0035】
この場合、フューザーローラ15aの中央部に位置するサーミスタ26bの検知温度に基づいてヒータのオン、オフ駆動が行われるが、コントローラ34にはサーミスタ26a及び26cの検知温度情報も供給される。コントローラ34は上記サーミスタ26a〜26cの検知温度を常に監視し、例えばこれらの検知温度に10℃以上の差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力する。例えば、冷却ファン31の駆動によって両ローラ15a、15bの手前側(a1、a2)のローラ部分が冷えすぎ、中央部(b1、b2)のロール部分に対して10℃以上の温度差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力し、冷却ファン31の回転数を低下させる。
【0036】
この場合、例えば冷却ファン31の回転数を半減させるべく、ファン制御回路36は冷却電源35に信号を送り、冷却電源35から冷却ファン31に供給する電力を低下させる。
このように制御することにより、冷却ファン31による冷却力は低下し、両ローラ15a、15bの手前側のローラ部分の冷え過ぎが解消される。したがって、このように制御することによって、アイドリング直後の印刷処理においても、フューザーローラ15aの温度分布は均一に保持され、トナーの定着性も均一に保持され、印字品質の優れた画像を印刷することができる。
【0037】
尚、上記実施形態の説明では、サーミスタ26a〜26cの検知温度の差が10℃を超えた場合にコントローラ34から制御信号を出力したが、10℃に限るわけではなく、他の温度であってもよい。
また、ファン制御回路36は上記制御信号が出力された場合、冷却ファン31の回転数を半減させる制御を行ったが、オン、オフタイミングのデューティー比を変えて冷却能力を低下させる制御を行う構成としてもよい。さらに、他の手段によって実質的に冷却ファン31の冷却能力を低下させる制御を行ってもよい。
【0038】
また、冷却ファン31の設置箇所についても、プリンタ装置1の背面側に限るわけではなく、両ローラ15a、15bの中央上部に設けてもよく、この場合には両ローラ15a、15bの両端から中央に向かって空気の流れが生じる。したがって、この場合にはヒータの配線は、手前側、中央部、奧側で異ならせ、例えば120(手前側a):100(中央部b):120(奧側c)に設定する。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0039】
本例は幅の狭い用紙を使用した場合の熱定着器の温度制御に関するものであり、幅の狭い用紙を使用する場合、両ローラ15a、15bの両側のローラ部では用紙の通過による冷却効果がなく、ローラの軸方向に対して温度差が生じる。本実施形態ではこの課題を解決する構成である。以下、具体的に説明する。
【0040】
前述の実施形態と同様、先ずプリンタ装置1の電源を投入し、印刷処理を開始してコントローラ34の制御に従ってフューザーローラ15aの加熱制御を行う。この時、使用される用紙サイズが小さい場合、特に用紙の搬送方向に直交する方向の長さが短い場合、フューザーローラ15aの両側のローラ部分には用紙が接触しない。したがって、この部分には用紙の接触による放熱効果が発生せず、両ローラ15a、15bの中央部の温度に対して両側の温度が高くなる。
【0041】
この状態は、前述のサーミスタ26a〜26cから供給される温度情報によってコントローラ34に通知される。コントローラ34ではこれらの検知温度に基づいて温度差を計算し、所定温度以上の差が生じた場合、ファン制御回路36に制御信号を出力する。ファン制御回路36は上記制御信号が入力すると、冷却ファン31の回転速度を増加させるべく、例えば冷却電源35に供給する電力を増加させる。
【0042】
したがって、冷却ファン31の回転速度が増し、より強い空気の流れが生じ、両ローラ15a、15bを冷却する。この制御によって両側のローラ部が冷却され、両ローラ15a、15bの軸方向の温度差を解消することができる。このように、両ローラ15a、15bの軸方向の温度を均一に保つことによって、両ローラ15a、15bの寿命を延ばすことができる。
【0043】
尚、上記冷却ファン31の回転速度の増加は、前述の温度差に対応するテーブルを設け、当該テーブルに予め登録したデータに基づいて行う構成としてもよい。この場合、コントローラ34は検出温度の温度差に対応した電力供給値をテーブルから読み出し、冷却電源35に通知する。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0044】
本例は低温環境のアイドリング時において過度の冷却によって低温オフセットが生じることに鑑み、アイドリング時のヒータのオン、オフ間隔が短くなった場合、設定温度の調整を行って上記問題を解決するものである。以下、具体的に説明する。尚、本例においても前述の図1及び図2で示すプリンタ装置1を使用し、また熱定着器としては図3及び図4に示す構成の熱定着器を使用する。
【0045】
先ず、上記第1、第2の実施形態で説明したように、冷却ファン31を駆動し、フューザーローラ15aの温度制御を行うと、サーミスタ26a〜26cの検知温度情報に基づいてコントローラ34はヒータの加熱制御を行い、フューザーローラ15aの温度を均一に制御し、良好な印字を行う。
【0046】
このような環境において、例えば上記熱定着器の温度制御装置を有するプリンタ装置1が低温環境に置かれた場合、本例の温度制御装置が働き、最初は図7(a)に示す温度制御が行われる。すなわち、ヒータはt1秒間隔で点灯し、フューザーローラ15aの表面温度を均一に保ち、良好な画像を形成する。
【0047】
その後、頻繁な印刷処理が行われることなく、低温環境下で長時間経過すると、冷却ファン31による定着周りのエアフローの影響によってフューザーローラ15aのロール温度が局所的に低下し、或いはロール全体の保持熱量が低下する。この場合、ヒータは加熱後温度低下が速まり、ヒータの点灯間隔も短くなる。図7(b)〜同図(d)はこの変化を5分経過毎に示す図である。例えば、同図(b)ではヒータの点灯間隔はt2秒になり、同図(c)ではヒータの点灯間隔がt3秒になり、更に同図(d)ではヒータの点灯間隔がt4秒になり、極めて短時間の点灯間隔になる。尚、上記の場合、定着性は同図(a)〜(c)は良好であるが、同図(d)では問題となる。
【0048】
したがって、本実施形態では、コントローラ34がヒータの点灯間隔を管理し、例えばヒータの点灯間隔が上記t4秒に達した時、フューザーローラ15aの設定温度を、例えば5℃〜10℃上昇させるべく制御を行う。このように制御することにより、所謂低温オフセットを防ぐことができる。
【0049】
尚、上記実施形態の説明では、フューザーローラ15aの設定温度を上げて対応したが、印刷時の搬送速度を落とす制御を行い、又は印刷時の用紙搬送間隔を広げることによって低温オフセットを防止する構成としてもよい。
また、ヒータの点灯時間が一定時間以上に達した時点で、冷却ファン31の駆動を停止し、又は回転速度を低下させる等の制御を合わせて行う構成としてもよい。このように構成することにより、より確実な定着処理を行うことが可能となる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0050】
本例は前述の熱定着器において、印字枚数が多くなった場合、オイル塗布量を所謂リニアに変化させ、熱定着器を最初と同じように制御するものである。以下、具体的に説明する。
図8は本例の熱定着器の横断面図であり、図9は縦断面図であり、フューザーローラ15a及びバックアップローラ15bの構成は前述の実施形態と同様である。両図において、オイル塗布ロール15cは軸受け40に支持され、軸受け40は圧接バネ41によって下方に付勢力を受けている。また、圧接バネ41の上部に台座42を介装してカム43が配設されている。カム43はオイル塗布ロール15cの両端に配設され、軸44によって固定されている。この軸44には、ギヤ45が取り付られ、本体駆動により低速で駆動するウォームギヤによって軸44が低速で回転する機構である。
【0051】
フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cは、圧接バネ41によってロールが従動する適度な荷重により圧接されているが、この圧力を変化させるとロール含侵オイルの摘出量が変化する。本例ではこの特徴を以下の環境において利用する。
【0052】
図10(a)〜(c)は上記熱定着器15に配設されたフューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの配設構成を説明する拡大図である。先ず、同図(a)は新品状態を示す図であり、カム43は同図(a)に示す位置にあり、この状態において圧接バネ41は取り付け長が最も長い状態であり、軸受け40が圧接バネ41より受ける荷重が最も小さい状態である。したがって、熱定着器15が新品時、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの圧接力は最小となり、オイル塗布ロール15cからフューザーローラ15aへのオイル塗布量は最小となる。
【0053】
その後、印刷処理を繰り返し、印刷枚数が増加すると、カム43は極めて低速で矢印方向に回転し、同図(b)の状態となる。この状態は、カム43が圧接バネ41を下方に圧縮し、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cの圧接力が増加し、オイル塗布ロール15cからより多くのオイルがフューザーローラ15aに塗布される。
【0054】
さらに、印刷処理が繰り返され、印刷枚数が増加すると、圧接バネ41の付勢力が更に増加し、フューザーローラ15aとオイル塗布ロール15cとの圧接力は最大になる(図10(c)の状態)。したがって、オイル塗布ロール15cから更に多くのオイルがフューザーローラ15aに塗布される。したがって、例えば熱定着器(定着ユニット)15が寿命時においても、オイルの供給が低下することがなく、オイルの供給を行うことができる。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0055】
本例は熱定着器(定着ユニット)15が取り外し可能な構成であることから、例えばユーザ、又はオペレータが熱定着器15を取り外す際、加熱した金具に触れ火傷等を防止する構成である。以下、具体的に説明する。
図11は本例の定着ユニット15の構成図である。同図において、フューザーローラ15a、バックアップローラ15b、オイル塗布ロール15cの構成は前述の実施形態の構成と同じであるが、更に同図にはロックアーム46、ロック解除ボタン47、位置決めピン48、定着ベース49が配設されている。
【0056】
上記位置決めピン48と定着ベース49は、熱膨張率が異なる金属であり、位置決めピン48の方が定着ベース49より熱膨張率が大きい。また、定着ベース49には位置決め穴48aが形成され、位置決め穴48aに位置決めピン48が嵌入する構成である。例えば、熱定着器15の温度が人に火傷を負わせない程度の温度の場合、定着ベース49の位置決め穴48aには、位置決めピン48が嵌入する構成である。尚、熱定着器15の温度が人に火傷を負わせる危険がある温度の場合、上記熱膨張率の違いにより位置決めピン48は位置決め穴48aにロックされ、位置決め穴48aから外れない構成である。
【0057】
したがって、熱定着器15の温度が高い時、前述のロック解除ボタン47を押してもロックアーム46は解除されるが、上記構造によって熱定着器15を本体装置から取り外すことは不可能である。一方、熱定着器15の温度が下がり、火傷等の危険が発生する温度ではない場合、ロック解除ボタン47を押し、ロックアーム46は解除して熱定着器15を装置本体から取り外すことができる。
【0058】
このように構成することにより、熱定着器15の温度が充分下がり火傷の危険がない場合でなければ熱定着器15を取り外すことができず、従って本例によれば安全に熱定着器15を取り外すことができる。
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0059】
本例はロックアームに取り付けたバイメタルによって熱定着器(定着ユニット)15の取り外しを不可能にする構成である。以下、具体的に説明する。
図12は本例を説明する図であり、特に前述のロックアーム46の先端部分の拡大図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は底面図である。ロックアーム46の先端は鍵形であり、側面にはバイメタル46aが取り付けられている。尚、バイメタル46aの取り付けは、ロックアーム46の下部の適切な位置にネジ46bによって取り付けられている。
【0060】
バイメタル46aは熱膨張率の異なる金属を張り合わせた構成であり、温度が高い時同図(b)に示すように外側に反っている。この為、熱定着器15の温度が高い状態では、ロック解除ボタン47を押してもバイメタル46aが引っかかりロックアーム46を解除できない。この為、熱定着器15を取り外すことができない。
【0061】
一方、温度が低くなると、図13に示すようにバイメタル46aはロックアーム46の側面に沿った位置に戻り、ロック解除ボタン47を押すとロックアーム46の先端は矢印方向に移動でき、ロックアーム46を解除することができる。したがって、本例によれば熱定着器15の温度が下がり、火傷の危険のない温度であれば、ロックアーム46を解除でき、熱定着器15を安全の取り外すことができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればアイドリング時において冷却ファンの冷却力を弱め、フューザーローラ及びバックアップローラを軸方向に均一に冷やすことができる。
【0063】
また、用紙幅の小さい用紙を使用する場合、冷却ファンによる冷却力を強くし、フューザーローラ及びバックアップローラを軸方向に均一に加熱し、ローラの寿命を延ばすことができる。
さらに、熱定着器を内蔵するプリンタ装置が低温環境下に長時間置かれた場合でも、冷却ファンの冷却力を調整し、安定した定着性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の説明に使用するタンデム方式のプリンタ装置(画像形成装置)の例であり、内部に熱定着器及びその温度制御装置が配設されたプリンタ装置である。
【図2】プリンタ装置の内部構成を説明する図である。
【図3】熱定着器を拡大して示す図である。
【図4】熱定着器を構成するフューザーローラ、バックアップローラ、及び両ローラを冷却する冷却ファンの配設構成を示す図である。
【図5】フューザーローラ及びバックアップローラに配設されるヒータへの通電回路、及び冷却ファンへの通電回路を説明する図である。
【図6】フューザーローラの軸方向のローラ位置の相違による温度差を示す図である。
【図7】(a)は電源投入時のヒータのオンタイミングを示す図であり、(b)〜(d)は電源投入後、ヒータのオンタイミングを5分毎に変化させることを説明する図である。
【図8】第4の実施形態を説明する熱定着器の横断面図である。
【図9】第4の実施形態を説明する熱定着器の縦断面図である。
【図10】第4の実施形態を説明する図であり、(a)は熱定着器の使用初期時の状態を示す図であり、(b)は熱定着器を長く使用した状態を示す図であり、(c)は熱定着器を更に長く使用した状態を示す図である。
【図11】第5の実施形態を説明する熱定着器の断面図である。
【図12】第6の実施形態を説明する図であり、同図はロックアームを解除できない場合を示し、(a)はロックアームの先端構成を説明する図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその底面図である。
【図13】第6の実施形態を説明する図であり、同図はロックアームを解除可能な場合を示し、(a)はロックアームの先端構成を説明する図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその底面図である。
【図14】従来例を説明する両ローラへの通電回路、及び冷却ファンへの通電回路を説明する図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 画像形成部
3 両面印刷用搬送ユニット
4 給紙部
5〜8 画像形成ユニット
9 感光体ドラム
10a 帯電器
10b 印字ヘッド
10c 現像ロール
10d 転写器
10e クリーナ
11 給紙カセット
12 待機ロール
13 搬送ベルト
14 駆動ロール
15 熱定着器
15a フューザーローラ
15b バックアップローラ
15c クリーナ
16 MPFトレイ配設部
17 切換部
18a〜18e 搬送ロール
20 排紙ローラ
21 排紙スタッカ
22 フロントカバー
23 サイドカバー
24 操作パネル
24a 操作部
24b 表示部
25 給紙トレイ
26a〜26c、27 サーミスタ
29 定着電源
30 吸気部
31 冷却ファン
33a、33b ヒータ制御回路
34 コントローラ
36 ファン制御回路
40 軸受け
41 圧接バネ
42 台座
43 カム
44 軸
46 ロックアーム
47 ロック解除ボタン
48 位置決めピン
48a 位置決め穴
49 定着ベース
Claims (3)
- 少なくとも一方にヒータを内蔵するフューザーローラとバックアップローラからなる一対のローラ間にトナー像が転写された用紙を挟持搬送してトナー像を前記用紙に熱定着する熱定着器の温度制御装置において、
前記ヒータに電力を供給する電力供給手段と、
少なくとも前記フューザーローラの複数箇所の温度を検出する複数の温度検出手段と、
前記複数の温度検出手段の所定の温度検出手段の検出結果に基いて前記電力供給手段を制御する電力供給制御手段と、
前記一対のローラの近傍に空気の流れを形成する冷却ファンと、
前記用紙が前記ローラ間を継続的に通過中の印字モード時に前記冷却ファンによる冷却力を第1の冷却力に設定し、前記印字モード時ではないアイドリング時であって前記複数の温度検出手段の個々の検出結果の差異が所定温度以上となった際に前記冷却ファンによる冷却力が前記第1の冷却力より弱い第2の冷却力となるように制御する冷却ファン制御手段と、
を具備することを特徴とする熱定着器の温度制御装置。 - 前記フューザーローラ内に設けられ、該フューザーローラを加熱する第1のヒータと、前記バックアップローラ内に設けられ、該バックアップローラを加熱する第2のヒータとを備え、前記電力供給手段は、前記第1、第2のヒータの何れか一方に電力を供給する請求項1記載の熱定着器の温度制御装置。
- 前記一対のローラ間に通紙される用紙幅が、所定幅より小さい時、前記冷却ファンによる冷却力が前記所定幅以上の時の冷却力より強くなるように切り換え制御される請求項1、又は2記載の熱定着器の温度制御装置。
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JP2010156944A (ja) * | 2008-12-31 | 2010-07-15 | Toshiba Corp | 画像形成装置および定着装置 |
JP2016206296A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置、画像形成システムおよび加熱制御方法 |
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2002
- 2002-08-29 JP JP2002251860A patent/JP2004093688A/ja not_active Withdrawn
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