JP2004093583A - 波長変換回路及び波長変換方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光非線形媒質における入力された変調光と、第1の励起光との和周波発生、その和周波と第2の励起光との差周波発生によって得られる所望の中心光周波数fdの変調光のみを取り出す。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重(WDM)技術を基盤とする光ネットワークにおける光ノード等に用いられる波長変換回路及び波長変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
任意の波長の変調光を所望の波長の変調光に変換する従来の光波長変換方法には、大きく分けて次の4つがある。
【0003】
O/E/O型は、一旦、任意の波長の変調光を電気信号に変換し、電気信号により所望の波長を有する光に光変調する方法である。O/E/O型では、デジタル電子回路により識別再生効果を付加できる反面、デュオバイナリー変調符号、キャリア抑圧RZ符号、光周波数シフト符号、光位相シフト符号など光の位相を制御する変調方式などでは変復調回路構成が複雑になるという問題がある。
【0004】
XGM及びXPM型は、半導体の利得(損失)や屈折率が光強度に依存する材料に、所望の波長を有する連続光と強度変調された任意の波長の光を入射させ、相互利得変調(XGM)効果や相互位相変調(XPM)効果により波長変換する方法である。しかし、XGM及びXPM型もO/E/O型と同様に、光周波数シフト符号、光位相シフト符号など光の位相を信号変調する変復調方式によっては適用が不可能である。
【0005】
波長シフト型は、任意の波長の変調光を所望の波長との波長差に相当する周波数で駆動された音響光学材料や電気光学材料に入射させ、それぞれ音響光学効果や電気光学効果により波長変換を行う方法である。波長シフト型は、入力する変調光の変調方式に依存せず、光位相も含め同一の変調符号を有する変換光が得られるが、現状の光周波数シフトデバイスの波長シフト量が高々1nmと小さいという欠点があり、数十nm以上の波長シフト量という要請には応えられていない。
【0006】
光パラメトリック型は、励起光と任意の波長の変調光を光非線形材料に入射させ、2次または3次の光非線形効果を用いて入射された変調光の波長を変換する方法である。パラメトリック型は、入力される変調光の変調方式に依存せず、光位相も含め同一の変調符号を有する変調光が簡易に得られるという利点がある。ところが、パラメトリック波長変換では変換後の波長が光非線形材料の特性パラメータによって制限をうけるという問題がある。
【0007】
以下、従来のパラメトリック型波長変換について詳しく説明する。
【0008】
従来の構成では、光非線形材料パラメータで決定され零分散光周波数に相当する波長に励起光を一致させる必要があった。このことを波長分散性を有する3次の光非線形材料(例えば光ファイバ)の場合を例にとって図2を用いて説明する。
【0009】
励起光の光周波数をfp、変調光の光周波数をfsとする。この励起光と変調光を光非線形材料に入力すると、縮退四光波混合効果により、光周波数
【0010】
【数1】
【0011】
の新たな光(四光波混合光)が発生する。このとき、四光波混合光のパワーPFは、励起光のパワーPPの2乗と、入力された変調光のパワーPS、位相整合係数ηとの積に比例し、
【0012】
【数2】
【0013】
と表される。したがって、最大の四光波混合光のパワーPFを得るには、最大の位相整合係数ηを必要とする。
【0014】
位相整合係数ηは、媒質による光損失を無視できるとき、
【0015】
【数3】
【0016】
と表される。Lは媒質の長さ、Δβは位相不整合量で、光周波数fでの伝搬定数をβ(f)とすると、
【0017】
【数4】
【0018】
である。したがって、位相整合係数ηを最大にするには位相不整合量Δβを0に近づければよい。分散性光非線形媒質の伝搬定数の波長依存性をその3次微分(分散スロープ)まで近似すると位相不整合量は次式となる。
【0019】
【数5】
【0020】
ここで、f0は零分散波長に相当する光周波数である。上式により従来、位相不整合量を0にするために、励起光(光周波数fp)波長を媒質の零分散波長(光周波数f0)に設定することにより、任意の波長の入力された変調光をほぼ同一の変換効率で波長変換することが検討されてきた。
【0021】
以上の従来の考え方は、2次の光非線形材料、例えば、ニオブ酸リチウム等の強誘電性結晶やそれらの結晶の光学軸を周期的に反転させることで長いデバイス長にわたって2次光非線形効果の位相整合条件を擬似的に満足させた疑似位相整合光導波路材料などについても適用されてきた。この場合、上記の分散性光非線形材料における零分散光周波数f0を、第2次高調波発生の際の最高発生効率が得られる最適光周波数と読み替える。すなわち、励起光を最適光周波数に設定し、最適光周波数を対称軸にして、入力された任意の波長の変調光と反対側の光周波数の変換光を得ることが検討されてきた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、波長変換が適用される光伝送装置では、ネットワーク制御網から与えられる制御信号により変換して得られる波長をダイナミックに変更することが必要であるにもかかわらず、上記の構成では、変換後の波長は式(1)により規定され、また、励起光の周波数は3次の光非線形媒質の場合にはその零分散光周波数に、2次の光非線形媒質の場合には最高発生効率が得られる光周波数に設定する必要があるため、入力される変調光の光周波数と使用する光非線形媒質とが決定されると、入力される変調光の光周波数に対して変換後の光周波数が一意に決定されてしまい、1つの光非線形媒質を用いるだけでは、制御光により、入力された変調光の変換後の波長を切り替えることができなかった。よって、変換後の波長を任意とする波長変換を行うには、特性の異なる光非線形媒質を多数準備し、変換後の波長に応じて光スイッチなどを用いて、利用する光非線形媒質を切り替える構成の他はなかった。この場合、光損失、応答速度など技術的制約の他、装置規模が大きくなったり、コストがかかるなどの問題がある。
【0023】
また、従来の光パラメトリック波長変換では、発生した変換先波長の信号光を光波長可変フィルタにより入力信号光と励起光から分離する必要がある。したがって、入力光、励起光、変換光の波長が接近している場合、有効に分離できないという問題があった。さらに、変換前の波長から変換後の波長への切り換え速度は、光波長可変フィルタの切り換え速度によって制限されるという問題もある。
【0024】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、単一の光非線形媒質を用いて簡易な構成で、任意の波長の変調光を変換し、任意の波長の変調光を出力するとともに、入力変調変調光、励起光、変換光の波長が接近している場合でも有効に分離でき、光波長可変フィルタの切り換え速度によって制限されない変換前の波長から変換後の波長への切り換えを行うことが可能な波長変換回路及び波長変換方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明では前記目的を達成するため、請求項1では、入力された中心光周波数fsの変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の中心周波数fdの変調光に変換して出力する波長変換回路において、2次の光非線形効果を有し、最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する光周波数がf0である2次光非線形媒質と、fp=2f0−fsの関係を満足する光周波数fpの第1の励起光を発生する第1の励起光発生部と、fc=2fo−fdの関係を満足する任意の光周波数fcの第2の励起光を発生する第2の励起光発生部とを有し、入力された変調光と第1の励起光と第2の励起光とを合波させて光非線形媒質に入力し、該光非線形媒質よりその光非線形効果によって出力される光から所望の中心光周波数fdの変調光のみを取り出すことを特徴とする波長変換回路。
【0026】
請求項2では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを合成する第1の合波手段と、2次の光非線形効果を有し、前記第1の合波手段からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を発生させる第1の2次光非線形媒質と、前記第1の2次光非線形媒質からの出力光を、透過信号光と前記和周波光に分離する光周波数分離手段と、前記光周波数分離手段から出力された和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光を合成する第2の合波手段と、2次の光非線形効果を有し、前記第2の合波手段からの出力光が入力される第2の2次光非線形媒質とを有することを特徴とする波長変換回路をもって解決手段とする。
【0027】
請求項3では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光を合成する合波手段と、前記合波手段からの出力光を第1ポートに入力し第2ポートから出力する光サーキュレータと、2次の光非線形効果を有し、前記光サーキュレータの第2ポートからの出力光が入力される2次光非線形媒質と、前記2次光非線形媒質からの出力光と、前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とが入力され、前記2次光非線形媒質からの出力光のうち入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を分離し、その和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とを合波して前記2次光非線形媒質に戻す光合分波手段とを有し、前記サーキュレータの第3ポートから所望の周波数の変調光を出力することを特徴とする波長変換回路をもって解決手段とする。
【0028】
請求項4では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、入力された変調光を直交する2つの直線偏波に分離し、それぞれ第1ポート、第2ポートに出力する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタの第2ポートからの出力光の偏波を90度回転させる偏光回転子と、前記偏光ビームスプリッタの第1ポートからの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質の一端に入射し、前記偏光回転子からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質の一端に入射する第1の光合分波手段と、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第2の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第1の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光及び第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光以外の光を分離し、前記第2の励起光発生部からの第2の励起光を前記第1の2次光非線形媒質の他端及び第2の2次光非線形媒質の他端に入射する第2の光合分波手段とを有し、前記偏光ビームスプリッタから所望の周波数の変調光を出力することを特徴とする波長変換回路をもって解決手段とする。
【0029】
請求項5では、前記2次光非線形媒質が最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する周波数f0、入力変調光の周波数fs、出力変調光の所望の周波数fdを、前記第1の励起光発生部から発せられる第1の励起光の周波数fpが、fp=2f0−fsを満たし、前記第2の励起光発生部から発せられる第2の励起光の周波数fcが、fc=2f0−fdを満たす値としたことを特徴とする請求項2乃至4何れか1項記載の波長変換回路をもって解決手段とする。
【0030】
請求項6では、前記2次光非線形媒質は、入力される変調光の周波数及び変換先の周波数が含まれる連続した変調光周波数帯域の片端付近に、最も効率よく第2次高調波を出力する光周波数f0を有し、前記第1及び第2の励起光発生部は、前記変調光周波数帯域と周波数スペクトル上のf0と反対側の励起光周波数帯域にその出力光周波数を有し、f0付近に透過周波数帯域のエッジを有する固定帯域フィルタを有することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の波長変換回路をもって解決手段とする。
【0031】
請求項7では、前記2次光非線形媒質は、周期的に光軸を反転させた疑似位相整合ニオブ酸リチウム結晶導波路及びタンタル酸リチウム結晶導波路であることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の波長変換回路をもって解決手段とする。
【0032】
請求項8では、入力された中心光周波数fsの変調光を光非線形媒質に入力させ、同一の変調情報を保持させたまま所望の中心周波数fdの変調光に変換して出力する波長変換方法において、入力された中心光周波数fsの変調光と、該変調光の中心光周波数fsと光非線形媒質の零分散波長に相当する光周波数f0とがfp=2f0−fsの関係を満足する光周波数fpの第1の励起光と、出力する変調光の中心光周波数fdの所望値に応じてfc=2f0−fdの関係を満足するように制御した光周波数fcの第2の励起光とを合波し、該合波光を、2次の光非線形効果を有し最も効率よく第2次高調波光を出力する波長に相当する光周波数がf0である2次光非線形媒質に入力し、該2次光非線形媒質よりその光非線形効果によって出力される光から所望の中心光周波数fdの変調光のみを取り出すことを特徴とする波長変換方法をもって解決手段とする。
【0033】
請求項9では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光と、入力された変調光とを第1の合波手段にて合波し、その合波を、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質に通して、前記第1の合波手段からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を発生させ、前記第1の2次光非線形媒質からの出力光を、光周波数分離手段によって透過信号光と前記和周波光とに分離し、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光と、前記光周波数分離手段から出力された和周波光とを第2の合波手段にて合波し、前記第2の合波手段からの出力光を、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質に通すことを特徴とする波長変換回方法をもって解決手段とする。
【0034】
請求項10では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光と、入力された変調光とを合波手段にて合波し、前記合波手段からの出力光を、光サーキュレータの第1ポートに入力し第2ポートから出力し、前記光サーキュレータの第2ポートからの出力光を、2次の光非線形効果を有する2次光非線形媒質に入力し、前記2次光非線形媒質からの出力光と、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光とを光合分波手段に入力し、前記2次光非線形媒質からの出力光のうち、入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を分離し、その和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とを合波して前記2次光非線形媒質に戻し、前記サーキュレータの第3ポートから所望の周波数の変調光を出力することを特徴とする波長変換方法をもって解決手段とする。
【0035】
請求項11では、入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、第1の光合分波手段に変調光を入力し、入力された変調光を、偏光ビームスプリッタにおいて、直交する2つの直線偏波に分離してそれぞれ第1ポート、第2ポートに出力し、前記偏光ビームスプリッタの第2ポートからの出力光の偏波を、偏光回転子によって90度回転させ、前記偏光ビームスプリッタの第1ポートからの出力光と、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質の一端に入射し、前記偏光回転子からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質の一端に入射し、第2の光合分波手段によって、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第2の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第1の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光及び第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光以外の光を分離し、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光を前記第1の2次光非線形媒質の他端及び第2の2次光非線形媒質の他端に入射し、前記偏光ビームスプリッタから所望の周波数の変調光を出力することを特徴とする波長変換方法をもって解決手段とする。
【0036】
請求項12では、入力された変調光を直交する2つの偏波に分離し、それぞれの信号光に対して請求項8乃至請求項10何れか1項記載の波長変換方法により変換光を発生させそれらを再び合波することを特徴とする波長変換方法をもって解決手段とする。
【0037】
請求項13では、前記2次光非線形媒質が最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する周波数f0、入力変調光の周波数fs、出力変調光の所望の周波数fdを、前記第1の励起光発生部から発せられる第1の励起光の周波数fpが、fp=2f0−fsを満たし、前記第2の励起光発生部から発せられる第2の励起光の周波数fcが、fc=2f0−fdを満たす値にしたことを特徴とする請求項9乃至12何れか1項記載の波長変換方法をもって解決手段とする。
【0038】
請求項14では、前記2次光非線形媒質において、最も効率よく第2次高調波を出力する光周波数f0を、入力される変調光の周波数及び変換先の周波数が含まれる連続した変調光周波数帯域の片端付近に設定し、前記第1及び第2の励起光発生部の出力光周波数を、前記変調光周波数帯域と周波数スペクトル上のf0と反対側の励起光周波数帯域に設定し、前記固定帯域フィルタが、f0付近に透過周波数帯域のエッジを有することを特徴とする請求項8乃至13何れか1項記載の波長変換方法をもって解決手段とする。
【0039】
請求項15では、前記2次光非線形媒質は、周期的に光軸を反転させた疑似位相整合ニオブ酸リチウム結晶導波路及びタンタル酸リチウム結晶導波路であることを特徴とする請求項8乃至14何れか1項記載の波長変換方法をもって解決手段とする。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0041】
図1は本発明の光周波数配置図である。本発明では、光非線形媒質として、2次の光非線形材料、例えば、ニオブ酸リチウム等の強誘電性結晶やそれらの結晶の光学軸を周期的に反転させることで長いデバイス長にわたって2次非線形効果の位相整合条件を擬似的に満足させた疑似位相整合光導波路材料を使用する。
【0042】
本発明では、波長変換回路に入力される変調光と、波長の異なる2つの励起光との3波長の光を合波させる。このとき、光非線形効果により新たに生じる光のうち、光周波数が、
【0043】
【数6】
【0044】
の新しく発生した光に着目する。ここでは、第1の励起光の光周波数をfp、第2の励起光の光周波数をfcとしている。第2の励起光を以後、制御光と呼ぶこととする。第2の励起光を制御光と呼ぶ理由は、この制御光を制御することにより、入力された変調光を変換して任意の波長の変調光を出力することができるからである。
【0045】
2次の光非線形媒質、特に疑似位相整合(ニオブ酸リチウム等)媒質を用いた光周波数fdの光の発生の場合の位相不整合量は、
【0046】
【数7】
【0047】
となる。Λは疑似位相整合の分極反転周期であり、β(2f0)−2β(f0)=2π/Λを満たす。第1の励起光の光周波数fpは、図1に示すとおり、第2次高調波発生の際の最高発生効率が得られる最適光周波数f0を対称軸に入力される変調光(光周波数fs)の反対側に選択する。すなわち、
【0048】
【数8】
【0049】
である。従って、β(fs+fp)−2β(f0)=β(2f0)−2β(f0)=2π/Λとなり、式(7)の第2項目以降が0となる。また、
【0050】
【数9】
【0051】
の関係を満足するため、式(7)の第1項目の中括弧の中が0となり、励起光の光周波数fpと光非線形媒質の第2次高調波発生の際の最高発生効率が得られる最適光周波数f0が一致しなくとも、fpとf0は、任意の光周波数の制御光に対して位相整合条件を満足する。したがって、制御光の光周波数fcは、式(6)を変形し式(8)を代入して、
【0052】
【数10】
【0053】
となる。式(10)が示すように、第2次高調波発生の際の最高発生効率が得られる最適光周波数f0を対称軸に、変換後の所望の光周波数fdの反対側に制御光の光周波数fcを調整することにより、変換後の任意の光周波数に対して同一でかつ高い変換効率を実現することができる。(8)式と(10)式の和をとると、
【0054】
【数11】
【0055】
を得、第1の励起光の光周波数fpと入力される変調光の光周波数fsを一定にして光非線形媒質に入射する場合、式(11)内のfp+fsは一定なので、出力される変調光の光周波数fdは制御光の光周波数fcに比例して変化することがわかる。したがって、制御光の光周波数fcを制御することで、出力される変調光の光周波数fdを決定できる。つまり、出力される変調光の波長を任意に決定することができる。
【0056】
すなわち、励起光を最適光周波数を対称軸にして入力される変調光と反対側の光周波数に設定し、制御光を最適光周波数を対称軸にして変換後の所望の光周波数と反対側の光周波数に設定することにより、入力される任意の光周波数の変調光に対して同一で高い波長変換効率が得られる。
【0057】
図3は、本発明における波長変換回路の第1の実形態を示すもので、変調光入力部1と、第1の励起光発生部2と、第2の励起光(制御光)発生部3と、合波手段4と、2次光非線形媒質5と、光帯域透過フィルタ6とを具備している。 変調光入力部1から入力した光ネットワーク上の変調光は、励起光及び制御光とともに合波手段4により合波されて2次光非線形媒質5に入射される。励起光及び制御光の光周波数fp、fcは、入力される変調光の光周波数fs、光非線形媒質の特性できまる光周波数f0及び、変換後の所望の光周波数fdから、それぞれ式(8)と式(10)により定める。2次光非線形媒質5から出力される変調光から、光周波数fdを有する所望の変調光のみを光帯域透過フィルタ6を用いて取り出す。合波手段4は、誘電体多層膜等を用いればよい。光帯域透過フィルタ6は、誘電体多層膜フィルタ、音響光学フィルタ、アレイ回折格子フィルタ等を用いることができる。
【0058】
2次光非線形媒質5として2次の光学非線形性を有する材料、例えば、分極反転を利用した疑似位相整合導波路を形成したニオブ酸リチウム結晶(PPLN)やタンタル酸リチウム結晶を利用すれば、高い変換効率が得られる。導波路5cmで2次の光非線形効果のカスケード効果により、光ファイバの場合と同様な励起光及び制御光パワーで変換効率−10dB以上が得られる。波長配置は式(8)及び式(10)におけるf0をPPLNにおける1.5ミクロン帯の基本光とする第2次高調波発生が最も効率よく生じる波長とする。このf0は、分極反転の周期を調整することにより変化させておくことが可能であり、1.5ミクロン帯にするためには、反転のピッチをおよそ19μmと調整すればよい。
【0059】
図4は、本発明における波長変換回路の第2の実施形態を示すもので、変調光入力部41と、第1の励起光発生部42と、第1の合波手段43と、第1の2次光非線形媒質44と、光周波数分離手段45と、第2の励起光発生部46と、第2の合波手段47と、第2の2次光非線形媒質48とを具備している。
【0060】
変調光入力部41から入力した光ネットワーク上の変調光(光周波数fs)は、第1の励起光発生部42から発せられる第1の励起光(光周波数fp)とともに第1の合波手段43にて合波され、その合波は第1の2次光非線形媒質44(第2次高調波発生最適光周波数f0)に入力される。第1の2次光非線形媒質44は、2次の光非線形効果を有し、第1の合波手段からの出力光に含まれる第1の励起光と入力する変調光との和周波光を発生させる。第1の2次光非線形媒質44からの出力光を、光周波数分離手段45において透過信号光と和周波光に分離し、第2の合波手段に入力する。それと同時に、第2の励起光発生部46は第2の励起光(光周波数fc)を発し、第2の合波手段47にて光周波数分離手段45から出力された和周波光と合波する。その合波光は、第2の2次光非線形媒質(第2次高調波発生最適光周波数f0)に入力され、光周波数fdを有する所望の変調光を出力する。
【0061】
図5は、本発明における波長変換回路の第3の実施形態を示すもので、変調光入力部51と、第1の励起光発生部52と、合波手段53と、光サーキュレータ54と、2次光非線形媒質55と、第2の励起光発生部56と、光合分波手段57を具備している。
【0062】
変調光入力部51から入力された光ネットワーク上の変調光(光周波数fs)は、第1の励起光発生部52から発せられる第1の励起光(光周波数fp)とともに合波手段53にて合波され、その合波光は光サーキュレータ54の第1ポートに入力され、第2ポートから出力される。その出力光は、続いて2次の光非線形効果を有する2次光非線形媒質55(第2次高調波発生最適光周波数f0)に入力され、2次光非線形媒質55からの出力光と、第2の励起光発生部56からの第2の励起光(光周波数fc)とを光合分波手段57に入力し、2次光非線形媒質55からの出力光のうち、入力された変調光と前記第1の励起光発生部52からの第1の励起光との和周波光を分離し、その和周波光と第2の励起光とを合波して2次光非線形媒質55に戻し、光サーキュレータ54の第3ポートから所望の周波数fdの変調光を出力する。
【0063】
図6は、本発明における波長変換回路の第4の実施形態を示すもので、変調光入力部61と、第1の励起光発生部62と、PBS64(偏光ビームスプリッタ)と偏光回転子65とを含む第1の光合分波手段63と、第1の2次光非線形媒質66と、第2の2次光非線形媒質67と、第2の光合分波手段68と、第2の励起光発生部69とを具備する。
【0064】
変調光入力部61から第1の光合分波手段63に入力された光ネットワーク上の変調光(光周波数fs)は、PBS64によって直交する2つの直線偏光に分離され、それぞれ第1ポート、第2ポートから出力される。第1ポートからの出力光は、第1の励起光発生部62からの第1の励起光(光周波数fp)とともに、第1の2次光非線形媒質66(第2次高調波発生最適光周波数f0)の一端に入射される。一方、第2ポートからの出力光は、第1の励起光発生部62からの第1の励起光とともに、第1の2次光非線形媒質66の一端に入射される。続いて、それぞれの他端から出力された出力光は、第2の光合分波手段68に入射される。第2の光合分波手段68は、第1の2次光非線形媒質66の他端からの出力光のうち和周波光を第2の2次光非線形媒質67(第2次高調波発生最適光周波数f0)の他端に入射させるとともに、第2の2次光非線形媒質67の他端からの出力光のうち和周波光を第1の2次光非線形媒質66の他端に入射させる。さらに、第2の光合分波手段68は、第1の2次光非線形媒質66の他端からの出力光及び第2の2次光非線形媒質67の他端からの出力光のうち和周波光以外の光を分離し、第2の励起光発生部69(光周波数fc)からの第2の励起光を第1の2次光非線形媒質66の他端及び第2の2次光非線形媒質67の他端に入射する。波長変換後の変調光(光周波数fd)はPBS64から出力される。
【0065】
最後に第3の実施形態の具体的な装置構成を示した図7、和周波発生過程を示すスペクトル図である図8、及び差周波発生過程を示すスペクトル図である図9を参照しながら、第3の実施形態について詳述する。
【0066】
ここでは、1530nmから1565nm(Cバンド)の帯域に波長を有する入力変調光を想定し、Cバンド内にある変換される前の光周波数fsの変調光を、同じくCバンド内の任意の光周波数fdの変調光に変換することを考える。図7の装置構成では、Cバンド内の変調光を和周波発生により785nm領域に変換し、さらに差周波発生によりCバンド内に変換することで、Cバンド内における任意の波長への変換が実現される。
【0067】
波長1570nmの光に対するSHG(第2次高調波)発生においては、位相不整合量Δk0=k(2f0)−2k(f0)が存在し、そのためにバルクの2次光非線形媒質では高効率にSHGが実現されない。したがって、2次光非線形媒質として1570nmの励起光に対して第2次高調波が効率的に発生するように、疑似位相整合のための周期極性反転が施され、第2次高調波発生のための最適光周波数がf0であるニオブ酸リチウム78(PPLN)を用いる。この疑似位相整合により、擬似的に位相整合条件を満たすために高効率なSHGが可能となる。疑似位相整合のための極性反転周期は十数μm、材料長は5cm程度であり、十分に実現可能なものである。さらに、そのPPLN78の出力端には785nmを中心に数nm程度の反射波長帯域幅を有する誘電体多層膜ミラー(DMR)が蒸着されている。
【0068】
第1の励起光発生部71、第2の励起光発生部81としては、1575nmから1610nmの帯域で発振波長を可変とする半導体波長可変レーザを利用する。第1の励起光発生部71から発せられた第1の励起光(光周波数fp)は、WDMカプラによって入力変調光(光周波数fs)と合波手段70にて合波された後に、増幅領域が長波長側にシフトされたEr添加ファイバ増幅器73(GS−EDFA)によって増幅され、PPLN78のDMR蒸着端の反対側より入射される。
【0069】
上述のPPLN78では、入力変調光の光周波数fsと周波数軸上でf0に関して対称な周波数fp=2f0−fsを満足する励起光と、変調光の高効率な和周波発生が期待できる。
【0070】
和周波発生における光パワー変換効率は、近似的に[sin{(Δk−Δk0)L}/(Δk−Δk0)]2に比例すると考えることができる。ここで、Δkは位相不整合量、LはPPLN78の長さである。周波数fsの光と周波数fp=2f0−fsを満たす光の和周波発生における位相不整合量は次式のように、一次近似の基ではΔk0に一致する。すなわち、
【0071】
【数12】
【0072】
従って、[sin{(Δk−Δk0)L}/(Δk−Δk0)]2=1となり、周波数がfp=2f0−fsの第1の励起光と、変換する前の周波数fsの変調光の高効率な和周波発生が期待されることが分かる。和周波発生により周波数fsの変調光は、周波数fs+2f0−fs=2f0の信号光に高効率に変換される。この様子を図8示す。発生した周波数2f0の和周波光はPPLN78の他端のDMRによって反射され、PPLN78を逆に伝播する。このとき、入力変調光及び第1の励起光はDMRを透過するため、PPLN78には入射されない。PPLN78の他端から入射された周波数fp=2f0−fdの第2の励起光発生部81から発せられた第2の励起光(光周波数fc)による差周波発生により、2f0−(2f0−fd)=fdの信号光が発生する。ここでも、和周波発生と同様に、疑似位相整合条件が満たされるため、高効率な差周波発生が期待される。PPLN78の一端に接続された光サーキュレータ74によりPPLN復路光を往路光から分離することで波長変換光(光周波数fd)が得られる。そのスペクトルを図9に示す。
【0073】
さらに、その反射帯域がCバンドをカバーするように作成されたチャープファイバーグレーティング76、77(Ch−FBG)を光サーキュレータ73を通じて透過させることで、不必要な励起光を除去し波長変換光のみを抽出する。PPLN往路光には、Cバンド内の変換光とCバンド外の第2の励起光のみであるから、Cバンドを反射帯域とする固定チャープFBGでよい。Ch−FBG76、77によって付加されるチャープが望ましくない場合には、再度Ch−FBGを逆端から挿入することでチャープ特性を相殺できる。以上により、Cバンド内の任意の波長の変調光をCバンド内の任意の波長の光に変換できる。
【0074】
なお、この波長変換回路の構成は、波長多重変調光を入力変調光とした場合には、波長多重変調光から任意の波長の変調光を抽出し、任意波長に変換して出力する機能を有する。それは、和周波発生は、第1の励起光と位相整合条件を満たす波長のみに対して発生するため、それ以外の変調光群はPPLN78を透過するからである。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第2の励起光を制御することで出力される変調光の波長を任意に決定することができるので、単一の光非線形媒質を用いて簡易な構成で任意の波長の変調光を出力することができ、小さな装置規模で、経済的な波長変換回路及び波長変換方法を構成することができる。また、入力変調光、励起光、変換光の波長が接近している場合でも、これらを有効に分離することができる。さらに、変換前の波長から変換後の波長への切り換え速度は、光波長可変フィルタの切り換え速度によって制限されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光周波数配置を示す図
【図2】従来の光変換装置における光周波数配置を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る回路の構成を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る回路の構成を示す図
【図5】本発明の第3の実施形態に係る回路の構成を示す図
【図6】本発明の第4の実施形態に係る回路の構成を示す図
【図7】本発明の第3に実施形態に係る回路構成の具体例を示す図
【図8】本発明の一実施形態における和周波発生過程を示すスペクトル図
【図9】本発明の一実施形態における差周波発生過程を示すスペクトル図
【符号の説明】
1、41、51、61、70…変調光入力部、2、42、52、62、71…第1の励起光発生部、3、48、56、69、81…第2の励起光発生部、4、53、72…合波手段、5、55…2次光非線形媒質、6…光帯域フィルタ、43…第1の合波手段、44、66…第1の2次光非線形媒質、45…光周波数分離手段、47…第2の合波手段、48、67…第2の2次光非線形媒質、54、74、75、79…光サーキュレータ、57…光合分波手段、63…第1の光合分波手段、64…偏光ビームスプリッタ(PBS)、65…偏光回転子、68…第2の光合分波手段、73、80…GS−EDFA、76、77…チャープFBG、78…PPLN。
Claims (15)
- 入力された中心光周波数fsの変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の中心周波数fdの変調光に変換して出力する波長変換回路において、
2次の光非線形効果を有し、最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する光周波数がf0である2次光非線形媒質と、
fp=2f0−fsの関係を満足する光周波数fpの第1の励起光を発生する第1の励起光発生部と、
fc=2fo−fdの関係を満足する任意の光周波数fcの第2の励起光を発生する第2の励起光発生部とを有し、
入力された変調光と第1の励起光と第2の励起光とを合波させて光非線形媒質に入力し、該光非線形媒質よりその光非線形効果によって出力される光から所望の中心光周波数fdの変調光のみを取り出す
ことを特徴とする波長変換回路。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、
第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、
第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、
入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを合成する第1の合波手段と、
2次の光非線形効果を有し、前記第1の合波手段からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を発生させる第1の2次光非線形媒質と、
前記第1の2次光非線形媒質からの出力光を、透過信号光と前記和周波光に分離する光周波数分離手段と、
前記光周波数分離手段から出力された和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光を合成する第2の合波手段と、
2次の光非線形効果を有し、前記第2の合波手段からの出力光が入力される第2の2次光非線形媒質とを有する
ことを特徴とする波長変換回路。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、
第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、
第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、
入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光を合成する合波手段と、
前記合波手段からの出力光を第1ポートに入力し第2ポートから出力する光サーキュレータと、
2次の光非線形効果を有し、前記光サーキュレータの第2ポートからの出力光が入力される2次光非線形媒質と、
前記2次光非線形媒質からの出力光と、前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とが入力され、前記2次光非線形媒質からの出力光のうち入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を分離し、その和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とを合波して前記2次光非線形媒質に戻す光合分波手段とを有し、
前記サーキュレータの第3ポートから所望の周波数の変調光を出力する
ことを特徴とする波長変換回路。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換回路において、
第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部と、
第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部と、
入力された変調光を直交する2つの直線偏波に分離し、それぞれ第1ポート、第2ポートに出力する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタの第2ポートからの出力光の偏波を90度回転させる偏光回転子と、前記偏光ビームスプリッタの第1ポートからの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質の一端に入射し、前記偏光回転子からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質の一端に入射する第1の光合分波手段と、
前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第2の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第1の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光及び第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光以外の光を分離し、前記第2の励起光発生部からの第2の励起光を前記第1の2次光非線形媒質の他端及び第2の2次光非線形媒質の他端に入射する第2の光合分波手段とを有し、
前記偏光ビームスプリッタから所望の周波数の変調光を出力する
ことを特徴とする波長変換回路。 - 前記2次光非線形媒質が最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する周波数f0、入力変調光の周波数fs、出力変調光の所望の周波数fdを、
前記第1の励起光発生部から発せられる第1の励起光の周波数fpが、fp=2f0−fsを満たし、
前記第2の励起光発生部から発せられる第2の励起光の周波数fcが、fc=2f0−fdを満たす値としたこと
を特徴とする請求項2乃至4何れか1項記載の波長変換回路。 - 前記2次光非線形媒質は、入力される変調光の周波数及び変換先の周波数が含まれる連続した変調光周波数帯域の片端付近に、最も効率よく第2次高調波を出力する光周波数f0を有し、
前記第1及び第2の励起光発生部は、前記変調光周波数帯域と周波数スペクトル上のf0と反対側の励起光周波数帯域にその出力光周波数を有し、
f0付近に透過周波数帯域のエッジを有する固定帯域フィルタを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の波長変換回路。 - 前記2次光非線形媒質は、周期的に光軸を反転させた疑似位相整合ニオブ酸リチウム結晶導波路及びタンタル酸リチウム結晶導波路である
ことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の波長変換回路。 - 入力された中心光周波数fsの変調光を光非線形媒質に入力させ、同一の変調情報を保持させたまま所望の中心周波数fdの変調光に変換して出力する波長変換方法において、
入力された中心光周波数fsの変調光と、該変調光の中心光周波数fsと光非線形媒質の零分散波長に相当する光周波数f0とがfp=2f0−fsの関係を満足する光周波数fpの第1の励起光と、出力する変調光の中心光周波数fdの所望値に応じてfc=2f0−fdの関係を満足するように制御した光周波数fcの第2の励起光とを合波し、
該合波光を、2次の光非線形効果を有し最も効率よく第2次高調波光を出力する波長に相当する光周波数がf0である2次光非線形媒質に入力し、該2次光非線形媒質よりその光非線形効果によって出力される光から所望の中心光周波数fdの変調光のみを取り出す
ことを特徴とする波長変換方法。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、
第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光と、入力された変調光とを第1の合波手段にて合波し、
その合波を、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質に通して、前記第1の合波手段からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を発生させ、
前記第1の2次光非線形媒質からの出力光を、光周波数分離手段によって透過信号光と前記和周波光とに分離し、
第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光と、前記光周波数分離手段から出力された和周波光とを第2の合波手段にて合波し、
前記第2の合波手段からの出力光を、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質に通す
ことを特徴とする波長変換回方法。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、
第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光と、入力された変調光とを合波手段にて合波し、
前記合波手段からの出力光を、光サーキュレータの第1ポートに入力し第2ポートから出力し、
前記光サーキュレータの第2ポートからの出力光を、2次の光非線形効果を有する2次光非線形媒質に入力し、
前記2次光非線形媒質からの出力光と、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光とを光合分波手段に入力し、前記2次光非線形媒質からの出力光のうち、入力された変調光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光との和周波光を分離し、その和周波光と前記第2の励起光発生部からの第2の励起光とを合波して前記2次光非線形媒質に戻し、
前記サーキュレータの第3ポートから所望の周波数の変調光を出力する
ことを特徴とする波長変換方法。 - 入力された変調光を、同一の変調情報を保持させたまま所望の周波数の変調光に変換して出力する波長変換方法において、
第1の光合分波手段に変調光を入力し、入力された変調光を、偏光ビームスプリッタにおいて、直交する2つの直線偏波に分離してそれぞれ第1ポート、第2ポートに出力し、
前記偏光ビームスプリッタの第2ポートからの出力光の偏波を、偏光回転子によって90度回転させ、
前記偏光ビームスプリッタの第1ポートからの出力光と、第1の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第1の2次光非線形媒質の一端に入射し、
前記偏光回転子からの出力光と前記第1の励起光発生部からの第1の励起光とを、2次の光非線形効果を有する第2の2次光非線形媒質の一端に入射し、
第2の光合分波手段によって、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第2の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光を前記第1の2次光非線形媒質の他端に入射させ、前記第1の2次光非線形媒質の他端からの出力光及び第2の2次光非線形媒質の他端からの出力光のうち和周波光以外の光を分離し、第2の励起光を発生させるとともにその周波数を変えることができる第2の励起光発生部からの第2の励起光を前記第1の2次光非線形媒質の他端及び第2の2次光非線形媒質の他端に入射し、
前記偏光ビームスプリッタから所望の周波数の変調光を出力する
ことを特徴とする波長変換方法。 - 入力された変調光を直交する2つの偏波に分離し、それぞれの信号光に対して請求項8乃至請求項10何れか1項記載の波長変換方法により変換光を発生させそれらを再び合波する
ことを特徴とする波長変換方法。 - 前記2次光非線形媒質が最も効率よく第2次高調波を出力する波長に相当する周波数f0、入力変調光の周波数fs、出力変調光の所望の周波数fdを、
前記第1の励起光発生部から発せられる第1の励起光の周波数fpが、fp=2f0−fsを満たし、
前記第2の励起光発生部から発せられる第2の励起光の周波数fcが、fc=2f0−fdを満たす値にしたこと
を特徴とする請求項9乃至12何れか1項記載の波長変換方法。 - 前記2次光非線形媒質において、最も効率よく第2次高調波を出力する光周波数f0を、入力される変調光の周波数及び変換先の周波数が含まれる連続した変調光周波数帯域の片端付近に設定し、
前記第1及び第2の励起光発生部の出力光周波数を、前記変調光周波数帯域と周波数スペクトル上のf0と反対側の励起光周波数帯域に設定し、
前記固定帯域フィルタが、f0付近に透過周波数帯域のエッジを有する
ことを特徴とする請求項8乃至13何れか1項記載の波長変換方法。 - 前記2次光非線形媒質は、周期的に光軸を反転させた疑似位相整合ニオブ酸リチウム結晶導波路及びタンタル酸リチウム結晶導波路である
ことを特徴とする請求項8乃至14何れか1項記載の波長変換方法。
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