JP2004093350A - Ct装置で得られる3次元ビットマップデータ、密度解析方法、記録媒体およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】CT装置で得られる3次元ビットマップデータについて、階調変換で輝度変化を生じても、複数の画素についてみた場合に変換前の輝度と変換後の輝度で平均的な差を0とすることができるようにする。
【解決手段】物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータについて、輝度の離散化のための階調の数を奇数にしている。
【選択図】 なし
【解決手段】物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータについて、輝度の離散化のための階調の数を奇数にしている。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CT装置で得られる3次元ビットマップデータ、それを用いた密度解析方法、3次元ビットマップデータを記録した記録媒体、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばX線CT装置のようなCT装置で物品を多数の断層像にして撮像することにより、当該物品の3次元形状を記述するデータとして得られる3次元ビットマップデータは、等間隔の直交格子に沿って配列したボクセルと呼ばれる小体積の集合として表されるデータである。この3次元ビットマップデータにおける各ボクセルは撮像した物品の中実部分の密度に応じた輝度を有しており、通常は密度が大きいほど輝度も高くなる。この輝度は、本来連続的に分布しているものであるが、それではコンピュータなどによる処理が困難になる。そこで、一定の長さのデータとして記述できるようにする必要がある。そのためになされるのが輝度の離散化である。離散化では整数値に輝度を変換する。その整数値はセル値と呼ばれ、セル値の変域の大きさ、つまりセル値の最大値から最小値を引いて1を足したものが階調となる。従来ではこの階調の数TNはTN=2x(ただし、x=2nで、nは正の整数)という式に基づいて設定されており、したがって必ず偶数になっていた。
【0003】
仮に、輝度が0から最大1まで変化するものとする。例えば4階調の場合、セル値Cは0,1,2,3の何れかの値をとり、それぞれの輝度Mは順に1/4ずつ増大し、そのセル値Cと輝度Mの対応関係は図9に示すようになる。この場合に、ある画素(ボクセル)の離散化前の輝度Mがちょうど0.5であったとすると、セル値Cは1か2であるが、その何れになるかはデータを扱うシステムやプログラムによって変わる。四捨五入して2とするシステムもあれば、ランダムに1と2に振り分けるシステムもある。またセル値Cが偶数になるように振り分ける「Banker’s Rounding」と呼ばれる方法を使うシステムもある。図10は、6階調の場合のセル値Cと輝度Mの対応表である。このように階調数を変えると、それぞれのセル値Cに対応する輝度Mも変わる。つまりセル値Cは絶対的なものでなく、階調の設定に応じて変化する相対的なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
階調は、3次元ビットマップデータで表される画像についていえば、その鮮明度に影響し、大きいほど画像が鮮明になる。また階調は、3次元ビットマップデータを用いて密度解析を行なう場合であれば、その解析精度に影響し、大きいほど高精度な解析が可能となる。一方、階調の数を大きくするとそれだけデータサイズも大きくなる。このため、データの保存や転送などの際には階調を落とし、画像表示や密度解析にデータを用いる際には階調を上げるといったように、データの扱い状態に応じて階調の変換がなされている。
【0005】
例えば図9の4階調と図10の6階調の間で変換がなされる場合を考える。6階調から4階調に変換する場合、ある画素の6階調でのセル値Cが2であったとすると、その輝度Mは0.3333と0.5000の平均値0.4167であると推定される。そしてこの推定輝度Mは4階調におけるセル値C=1に対応するので、このことから6階調でのセル値C=2が4階調においてセル値C=1に変換できる。このように6階調から4階調に変換されたデータを6階調に戻す場合にも同様な処理がなされる。つまり、4階調におけるセル値C=1の画素の輝度Mは0.375と推定され、これに対応するセル値C=2が6階調において当該画素に与えられる。
【0006】
このような階調の変換において、上の例ではセル値Cが2→1→2と元に戻っている。しかし、離散化に際してのセル値の境界にある輝度の振り分け方に影響されて、元に戻らない場合も少なくない。またシステムやプログラムによって元に戻るか否かの結果が異なる場合もある。変換によりセル値Cが元に戻らないということは、変換により輝度が変化する画素を生じるということである。ただ、そうであっても各画素の輝度変化が平均として0になれば実質的な影響はないといえる。しかし、階調数を偶数に設定する従来の方式であると、変換前のセル値と変換後のセル値との平均的な差が0とならない。
【0007】
図11に、16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を、また図12に、16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示してあり、図13と図14には8階調と16階調それぞれにおけるセル値・輝度対応関係を示してある。これらからわかるように、四捨五入法でもBanker’s Rounding法でも変換前のセル値Cと変換後のセル値C´の平均的な差が+0.5または−0.5となってしまう。
【0008】
ところで、3次元ビットマップデータの主要な利用形態の一つとして、密度解析がある。密度解析では、3次元ビットマップデータで表示した画像を用いて対象物品に関心領域を設定し、この関心領域の平均密度を求めることがなされるのが通常である。したがって、低階調に落として保存してあるデータを高階調に戻して密度解析を行なう場合に、上記のように階調変換の際の輝度変化が平均的に0とならないと、密度が輝度に相関していることから、それが密度解析に影響することになる。例えば上記のように±0.5の差を生じる場合であれば、0.5〜1%程度の影響を与える。この影響は、例えば密度差を0.02まで解析するような高精度な密度解析にとって、大きな障害となり、場合によって致命的な障害となることもある。また変換による輝度変化は変換の繰り返しで蓄積される場合もあり、そうなるとさらに密度解析の精度を低下させることになる。
【0009】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、3次元ビットマップデータについて、階調変換で輝度変化を生じても、複数の画素についてみた場合に変換前の輝度と変換後の輝度で平均的な差を必ず0とすることができるようにすることを目的としている。またこれに関連して、3次元ビットマップデータを用いた密度解析として、より高精度な解析を可能とする密度解析方法の提供を目的とし、また上記のような3次元ビットマップデータを記録した記録媒体の提供を目的とし、さらに上記のような3次元ビットマップデータを扱えるようにしたプログラムの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記階調変換に関する目的を達成するために、物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータにおいて、輝度の離散化のための階調の数を奇数にしたことを特徴としている。
【0011】
また本発明では、階調を奇数にするについて、下記の数2式で階調数TNを与えるようにしている。
【数2】
【0012】
また本発明では、上記密度解析に関する目的を達成するために、密度解析対象の物品をCT装置で撮像して3次元ビットマップデータを取得し、この3次元ビットマップデータに基づいて前記物品の密度解析をなす密度解析方法において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数とされた3次元ビットマップデータを用いることを特徴としている。
【0013】
また本発明では、上記記録媒体に関する目的を達成するために、物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータを記録した記録媒体において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数にされた3次元ビットマップデータが記録されていることを特徴としている。
【0014】
また本発明では、上記プログラムに関する目的を達成するために、上記のような奇数階調の3次元ビットマップデータを扱えるようにプログラムを作成するものとしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明では3次元ビットマップデータの階調を奇数にする。階調を奇数にするには、階調数TNを下記の数3式で与える。
【数3】
【0016】
奇数階調である3階調、7階調、15階調のそれぞれの例についてセル値Cと輝度Mの対応関係を図1〜図3に示す。また15階調→3階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を図4に示し、15階調→7階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を図5に示す。ただし、これらでも上で説明した図6の場合と同様に、輝度が仮に0から最大1まで変化するものとしてある。これらの例からわかるように、階調を奇数にすると、変換前のセル値Cと変換後のセル値C´との平均的な差が必ず0になる。その理由は、階調を奇数にすることで、階調に上下方向の対称性をもたらすことができることに求められる。その対称性は、変換後のセル値C´と変換前のセル値Cとの差である(C´−C)に見ることができる。すなわち、図4の例であると、(C´−C)が2・1・0・−1・−2・2・1・0・−1・−2・2・1・0・−1・−2となり、その中心にある0に対して、プラス・マイナスの関係が逆になって対称的に配列することになり、この結果、必ずその合計が0になり、したがって平均的な差が0になる。このことは図5の例でも同様で、(C´−C)が1・0・1・0・1・0・1・0・−1・0・−1・0・−1・0・−1となり、その中心にある0に対して、プラス・マイナスの関係が逆になって対称的に配列している。
【0017】
また奇数階調の階調数を上記の式で与えるようにすることには、明るさの偏った画像に対して輝度の平均的な変化が生じにくくなるし、また輝度の平均的なバラツキが小さくなるなどして、より高精度なデータとすることができるという利点がある。
【0018】
このような本発明による奇数階調とした3次元ビットマップデータは、階調の変換を繰り返しても平均的な輝度に変化を生じないというその特徴により、特に密度解析に適している。すなわち本発明による奇数階調の3次元ビットマップデータを用いることで、より高精度な密度解析を可能にすることができる。
【0019】
3次元ビットマップデータを用いた密度解析は、一例として、解析サービス提供業者による密度解析サービスの提供としてなされる。それは、3次元ビットマップデータはそのデータサイズが膨大であるのが通常であり、それをパーソナルコンピュータなどの汎用的なコンピュータで扱うのは容易でないという事情があるからである。解析サービス提供業者による密度解析サービスは、解析サービス提供業者が物品の密度解析まで行ない、その結果を顧客に提供するのが一つの形態である。他の形態では、解析サービス提供業者が管理するデータ処理装置(計算サーバ:超高速な処理を行なえるスーパーコンピュータあるいは多数のパーソナルコンピュータを並列に接続して構成されるPCクラスタなど)に解析対象物品の3次元ビットマップデータを保持させておき、この計算サーバに通信ネットワークを介して顧客がアクセスすることで対話的に密度解析を行なってサービスの提供を受ける。
【0020】
解析サービス提供業者が物品の密度解析まで行なう形態における処理の流れを図6に示す。まず顧客から解析対象の物品を解析サービス提供業者が受け取る(ステップ1)。解析対象物品を受け取ったら解析サービス提供業者は、その物品についてCT装置で3次元ビットマップデータを取得する(ステップ2)。例えばCT装置にX線CT装置を用いる場合であれば、3次元ビットマップデータは、65535階調で取得され、255階調に変換して保存される。顧客からの要望に応じて密度解析を行なう(ステップ3)場合には、255階調で保存されている3次元ビットマップデータを65535階調に再変換して密度解析処理を進める。そしてその処理を終えたら、その結果を顧客に提供する(ステップ4)。解析結果の提供に際しては、取得した3次元ビットマップデータも併せて提供する。これら解析結果データと3次元ビットマップデータの提供は、それらを記録した記録媒体を用いて行なうか、あるいは通信ネットワークを通じて行なう。またこれにより解析サービスの提供が完了するので、請求書を顧客に送付する。
【0021】
密度解析操作を顧客が行なう形態における処理の全体的な流れを図7に示す。この形態の場合にも顧客から解析対象の物品を解析サービス提供業者が受け取ることで解析サービスの提供が始まる(ステップ11)。それから解析サービス提供業者がその物品をCT装置で撮像して3次元ビットマップデータを取得する(ステップ12)。この場合もX線CT装置を用いれば、65535階調で3次元ビットマップデータを取得し、これを255階調に落として、解析サービス提供業者が管理する計算サーバに保持させる(ステップ13)。この3次元ビットマップデータは、例えば顧客のID番号に関連させて管理されており、顧客は何時でも所定の手続を踏むことで解析操作のために計算サーバへアクセスすることができるようにされている。したがって顧客は密度解析が必要になった際にその端末装置により通信ネットワーク経由で計算サーバにアクセスして解析操作を行なうことができる。その解析操作を行なうには、まず顧客情報を端末で設定して計算サーバに送る(ステップ14)。この顧客情報には解析対象物品を指定する情報も含まれており、これを計算サーバが確認すると解析を行なえる状態になる。解析を行なえる状態になると、その一例をイメージ化して図8に示すように、端末のディスプレイDに解析対象の物品の画像Bが表示される。そしたら、この画像を基に、解析のための指令操作を行なう(ステップ15)。指令操作では、画像に対して関心領域Kを指定したり、またディスプレイ上に表示されるアイコンなどを通じて解析開始を指令したりする。指令操作がなされると、これを受けて計算サーバが密度解析を実行する(ステップ16)。一般に解析処理には超高速のデータ処理装置を用いても数時間単位の時間を要する。そのため計算サーバが解析処理に入ったら顧客は端末と計算サーバとの接続を一旦切っておき、適当な時間が過ぎてから再度接続して解析結果を計算サーバに要求することになるのが通常である。端末を計算サーバに対して再接続して解析結果を要求すると、端末画面上に解析結果が可視化されて表示される(ステップ17)。以上により解析が完了するので、最後に解析結果データと3次元ビットマップデータを顧客に提供し、また請求書を顧客に送付する(ステップ18)。
【0022】
ここで、以上のような密度解析では、そのためのプログラムが用いられることになるが、そのプログラムは、階調数が奇数である3次元ビットマップデータを扱えるように構成されることになる。これは密度解析に関するプログラムの例であるが、本発明に関しては、その他のプログラムでも同様に階調数が奇数である3次元ビットマップデータを扱えるように構成されることになる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、3次元ビットマップデータについて、その階調変換により個々の画素に輝度の変化を生じても、その平均的な差を必ず0とすることができ、輝度変化が悪影響をもたらすことを避けることができる。このため、例えば3次元ビットマップデータを用いての密度解析をより高精度で行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図2】7階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図3】15階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図4】15階調→3階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図5】15階調→7階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図6】密度解析サービスにおける処理の流れを示す図である。
【図7】密度解析サービスにおける処理の流れの他の例を示す図である。
【図8】密度解析の操作をイメージ化して示す図である。
【図9】4階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図10】6階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図11】16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図12】16階調→8階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図13】8階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図14】16階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、CT装置で得られる3次元ビットマップデータ、それを用いた密度解析方法、3次元ビットマップデータを記録した記録媒体、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばX線CT装置のようなCT装置で物品を多数の断層像にして撮像することにより、当該物品の3次元形状を記述するデータとして得られる3次元ビットマップデータは、等間隔の直交格子に沿って配列したボクセルと呼ばれる小体積の集合として表されるデータである。この3次元ビットマップデータにおける各ボクセルは撮像した物品の中実部分の密度に応じた輝度を有しており、通常は密度が大きいほど輝度も高くなる。この輝度は、本来連続的に分布しているものであるが、それではコンピュータなどによる処理が困難になる。そこで、一定の長さのデータとして記述できるようにする必要がある。そのためになされるのが輝度の離散化である。離散化では整数値に輝度を変換する。その整数値はセル値と呼ばれ、セル値の変域の大きさ、つまりセル値の最大値から最小値を引いて1を足したものが階調となる。従来ではこの階調の数TNはTN=2x(ただし、x=2nで、nは正の整数)という式に基づいて設定されており、したがって必ず偶数になっていた。
【0003】
仮に、輝度が0から最大1まで変化するものとする。例えば4階調の場合、セル値Cは0,1,2,3の何れかの値をとり、それぞれの輝度Mは順に1/4ずつ増大し、そのセル値Cと輝度Mの対応関係は図9に示すようになる。この場合に、ある画素(ボクセル)の離散化前の輝度Mがちょうど0.5であったとすると、セル値Cは1か2であるが、その何れになるかはデータを扱うシステムやプログラムによって変わる。四捨五入して2とするシステムもあれば、ランダムに1と2に振り分けるシステムもある。またセル値Cが偶数になるように振り分ける「Banker’s Rounding」と呼ばれる方法を使うシステムもある。図10は、6階調の場合のセル値Cと輝度Mの対応表である。このように階調数を変えると、それぞれのセル値Cに対応する輝度Mも変わる。つまりセル値Cは絶対的なものでなく、階調の設定に応じて変化する相対的なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
階調は、3次元ビットマップデータで表される画像についていえば、その鮮明度に影響し、大きいほど画像が鮮明になる。また階調は、3次元ビットマップデータを用いて密度解析を行なう場合であれば、その解析精度に影響し、大きいほど高精度な解析が可能となる。一方、階調の数を大きくするとそれだけデータサイズも大きくなる。このため、データの保存や転送などの際には階調を落とし、画像表示や密度解析にデータを用いる際には階調を上げるといったように、データの扱い状態に応じて階調の変換がなされている。
【0005】
例えば図9の4階調と図10の6階調の間で変換がなされる場合を考える。6階調から4階調に変換する場合、ある画素の6階調でのセル値Cが2であったとすると、その輝度Mは0.3333と0.5000の平均値0.4167であると推定される。そしてこの推定輝度Mは4階調におけるセル値C=1に対応するので、このことから6階調でのセル値C=2が4階調においてセル値C=1に変換できる。このように6階調から4階調に変換されたデータを6階調に戻す場合にも同様な処理がなされる。つまり、4階調におけるセル値C=1の画素の輝度Mは0.375と推定され、これに対応するセル値C=2が6階調において当該画素に与えられる。
【0006】
このような階調の変換において、上の例ではセル値Cが2→1→2と元に戻っている。しかし、離散化に際してのセル値の境界にある輝度の振り分け方に影響されて、元に戻らない場合も少なくない。またシステムやプログラムによって元に戻るか否かの結果が異なる場合もある。変換によりセル値Cが元に戻らないということは、変換により輝度が変化する画素を生じるということである。ただ、そうであっても各画素の輝度変化が平均として0になれば実質的な影響はないといえる。しかし、階調数を偶数に設定する従来の方式であると、変換前のセル値と変換後のセル値との平均的な差が0とならない。
【0007】
図11に、16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を、また図12に、16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示してあり、図13と図14には8階調と16階調それぞれにおけるセル値・輝度対応関係を示してある。これらからわかるように、四捨五入法でもBanker’s Rounding法でも変換前のセル値Cと変換後のセル値C´の平均的な差が+0.5または−0.5となってしまう。
【0008】
ところで、3次元ビットマップデータの主要な利用形態の一つとして、密度解析がある。密度解析では、3次元ビットマップデータで表示した画像を用いて対象物品に関心領域を設定し、この関心領域の平均密度を求めることがなされるのが通常である。したがって、低階調に落として保存してあるデータを高階調に戻して密度解析を行なう場合に、上記のように階調変換の際の輝度変化が平均的に0とならないと、密度が輝度に相関していることから、それが密度解析に影響することになる。例えば上記のように±0.5の差を生じる場合であれば、0.5〜1%程度の影響を与える。この影響は、例えば密度差を0.02まで解析するような高精度な密度解析にとって、大きな障害となり、場合によって致命的な障害となることもある。また変換による輝度変化は変換の繰り返しで蓄積される場合もあり、そうなるとさらに密度解析の精度を低下させることになる。
【0009】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、3次元ビットマップデータについて、階調変換で輝度変化を生じても、複数の画素についてみた場合に変換前の輝度と変換後の輝度で平均的な差を必ず0とすることができるようにすることを目的としている。またこれに関連して、3次元ビットマップデータを用いた密度解析として、より高精度な解析を可能とする密度解析方法の提供を目的とし、また上記のような3次元ビットマップデータを記録した記録媒体の提供を目的とし、さらに上記のような3次元ビットマップデータを扱えるようにしたプログラムの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記階調変換に関する目的を達成するために、物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータにおいて、輝度の離散化のための階調の数を奇数にしたことを特徴としている。
【0011】
また本発明では、階調を奇数にするについて、下記の数2式で階調数TNを与えるようにしている。
【数2】
【0012】
また本発明では、上記密度解析に関する目的を達成するために、密度解析対象の物品をCT装置で撮像して3次元ビットマップデータを取得し、この3次元ビットマップデータに基づいて前記物品の密度解析をなす密度解析方法において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数とされた3次元ビットマップデータを用いることを特徴としている。
【0013】
また本発明では、上記記録媒体に関する目的を達成するために、物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータを記録した記録媒体において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数にされた3次元ビットマップデータが記録されていることを特徴としている。
【0014】
また本発明では、上記プログラムに関する目的を達成するために、上記のような奇数階調の3次元ビットマップデータを扱えるようにプログラムを作成するものとしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明では3次元ビットマップデータの階調を奇数にする。階調を奇数にするには、階調数TNを下記の数3式で与える。
【数3】
【0016】
奇数階調である3階調、7階調、15階調のそれぞれの例についてセル値Cと輝度Mの対応関係を図1〜図3に示す。また15階調→3階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を図4に示し、15階調→7階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を図5に示す。ただし、これらでも上で説明した図6の場合と同様に、輝度が仮に0から最大1まで変化するものとしてある。これらの例からわかるように、階調を奇数にすると、変換前のセル値Cと変換後のセル値C´との平均的な差が必ず0になる。その理由は、階調を奇数にすることで、階調に上下方向の対称性をもたらすことができることに求められる。その対称性は、変換後のセル値C´と変換前のセル値Cとの差である(C´−C)に見ることができる。すなわち、図4の例であると、(C´−C)が2・1・0・−1・−2・2・1・0・−1・−2・2・1・0・−1・−2となり、その中心にある0に対して、プラス・マイナスの関係が逆になって対称的に配列することになり、この結果、必ずその合計が0になり、したがって平均的な差が0になる。このことは図5の例でも同様で、(C´−C)が1・0・1・0・1・0・1・0・−1・0・−1・0・−1・0・−1となり、その中心にある0に対して、プラス・マイナスの関係が逆になって対称的に配列している。
【0017】
また奇数階調の階調数を上記の式で与えるようにすることには、明るさの偏った画像に対して輝度の平均的な変化が生じにくくなるし、また輝度の平均的なバラツキが小さくなるなどして、より高精度なデータとすることができるという利点がある。
【0018】
このような本発明による奇数階調とした3次元ビットマップデータは、階調の変換を繰り返しても平均的な輝度に変化を生じないというその特徴により、特に密度解析に適している。すなわち本発明による奇数階調の3次元ビットマップデータを用いることで、より高精度な密度解析を可能にすることができる。
【0019】
3次元ビットマップデータを用いた密度解析は、一例として、解析サービス提供業者による密度解析サービスの提供としてなされる。それは、3次元ビットマップデータはそのデータサイズが膨大であるのが通常であり、それをパーソナルコンピュータなどの汎用的なコンピュータで扱うのは容易でないという事情があるからである。解析サービス提供業者による密度解析サービスは、解析サービス提供業者が物品の密度解析まで行ない、その結果を顧客に提供するのが一つの形態である。他の形態では、解析サービス提供業者が管理するデータ処理装置(計算サーバ:超高速な処理を行なえるスーパーコンピュータあるいは多数のパーソナルコンピュータを並列に接続して構成されるPCクラスタなど)に解析対象物品の3次元ビットマップデータを保持させておき、この計算サーバに通信ネットワークを介して顧客がアクセスすることで対話的に密度解析を行なってサービスの提供を受ける。
【0020】
解析サービス提供業者が物品の密度解析まで行なう形態における処理の流れを図6に示す。まず顧客から解析対象の物品を解析サービス提供業者が受け取る(ステップ1)。解析対象物品を受け取ったら解析サービス提供業者は、その物品についてCT装置で3次元ビットマップデータを取得する(ステップ2)。例えばCT装置にX線CT装置を用いる場合であれば、3次元ビットマップデータは、65535階調で取得され、255階調に変換して保存される。顧客からの要望に応じて密度解析を行なう(ステップ3)場合には、255階調で保存されている3次元ビットマップデータを65535階調に再変換して密度解析処理を進める。そしてその処理を終えたら、その結果を顧客に提供する(ステップ4)。解析結果の提供に際しては、取得した3次元ビットマップデータも併せて提供する。これら解析結果データと3次元ビットマップデータの提供は、それらを記録した記録媒体を用いて行なうか、あるいは通信ネットワークを通じて行なう。またこれにより解析サービスの提供が完了するので、請求書を顧客に送付する。
【0021】
密度解析操作を顧客が行なう形態における処理の全体的な流れを図7に示す。この形態の場合にも顧客から解析対象の物品を解析サービス提供業者が受け取ることで解析サービスの提供が始まる(ステップ11)。それから解析サービス提供業者がその物品をCT装置で撮像して3次元ビットマップデータを取得する(ステップ12)。この場合もX線CT装置を用いれば、65535階調で3次元ビットマップデータを取得し、これを255階調に落として、解析サービス提供業者が管理する計算サーバに保持させる(ステップ13)。この3次元ビットマップデータは、例えば顧客のID番号に関連させて管理されており、顧客は何時でも所定の手続を踏むことで解析操作のために計算サーバへアクセスすることができるようにされている。したがって顧客は密度解析が必要になった際にその端末装置により通信ネットワーク経由で計算サーバにアクセスして解析操作を行なうことができる。その解析操作を行なうには、まず顧客情報を端末で設定して計算サーバに送る(ステップ14)。この顧客情報には解析対象物品を指定する情報も含まれており、これを計算サーバが確認すると解析を行なえる状態になる。解析を行なえる状態になると、その一例をイメージ化して図8に示すように、端末のディスプレイDに解析対象の物品の画像Bが表示される。そしたら、この画像を基に、解析のための指令操作を行なう(ステップ15)。指令操作では、画像に対して関心領域Kを指定したり、またディスプレイ上に表示されるアイコンなどを通じて解析開始を指令したりする。指令操作がなされると、これを受けて計算サーバが密度解析を実行する(ステップ16)。一般に解析処理には超高速のデータ処理装置を用いても数時間単位の時間を要する。そのため計算サーバが解析処理に入ったら顧客は端末と計算サーバとの接続を一旦切っておき、適当な時間が過ぎてから再度接続して解析結果を計算サーバに要求することになるのが通常である。端末を計算サーバに対して再接続して解析結果を要求すると、端末画面上に解析結果が可視化されて表示される(ステップ17)。以上により解析が完了するので、最後に解析結果データと3次元ビットマップデータを顧客に提供し、また請求書を顧客に送付する(ステップ18)。
【0022】
ここで、以上のような密度解析では、そのためのプログラムが用いられることになるが、そのプログラムは、階調数が奇数である3次元ビットマップデータを扱えるように構成されることになる。これは密度解析に関するプログラムの例であるが、本発明に関しては、その他のプログラムでも同様に階調数が奇数である3次元ビットマップデータを扱えるように構成されることになる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、3次元ビットマップデータについて、その階調変換により個々の画素に輝度の変化を生じても、その平均的な差を必ず0とすることができ、輝度変化が悪影響をもたらすことを避けることができる。このため、例えば3次元ビットマップデータを用いての密度解析をより高精度で行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図2】7階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図3】15階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図4】15階調→3階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図5】15階調→7階調→15階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図6】密度解析サービスにおける処理の流れを示す図である。
【図7】密度解析サービスにおける処理の流れの他の例を示す図である。
【図8】密度解析の操作をイメージ化して示す図である。
【図9】4階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図10】6階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図11】16階調→4階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図12】16階調→8階調→16階調の変換におけるセル値・輝度対応とセル値変動関係を示す図である。
【図13】8階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
【図14】16階調の場合のセル値と輝度の対応関係を示す図である。
Claims (5)
- 物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータにおいて、輝度の離散化のための階調の数を奇数にしたことを特徴とする3次元ビットマップデータ。
- 密度解析対象の物品をCT装置で撮像して3次元ビットマップデータを取得し、この3次元ビットマップデータに基づいて前記物品の密度解析をなす密度解析方法において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数とされた3次元ビットマップデータを用いることを特徴とする密度解析方法。
- 物品をCT装置で撮像して得られる3次元ビットマップデータを記録した記録媒体において、前記3次元ビットマップデータとして、輝度の離散化のための階調の数が奇数にされた3次元ビットマップデータが記録されていることを特徴とする記録媒体。
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の3次元ビットマップデータを扱えるようにされたプログラム。
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JP2002254812A JP2004093350A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | Ct装置で得られる3次元ビットマップデータ、密度解析方法、記録媒体およびプログラム |
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-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002254812A patent/JP2004093350A/ja active Pending
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JP2007017314A (ja) * | 2005-07-08 | 2007-01-25 | Hitachi Ltd | 密度分析方法、コンピュータプログラムおよび密度分析システム |
JP4532364B2 (ja) * | 2005-07-08 | 2010-08-25 | 株式会社日立製作所 | 密度分析方法、コンピュータプログラムおよび密度分析システム |
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