JP2004093317A - ウェーハアライメント方法およびウェーハ検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】照明装置26は、ウェーハ5の裏面5bに照明光を照射する。この照明光は、ウェーハのデバイスパターンで反射され、カメラ127によって受光される。これにより、ウェーハの反射画像が取得される。制御・画像処理装置18は、低倍率および高倍率の対物レンズ126を用いてウェーハの2値化画像および多値化を取得する。基準ウェーハおよび被検査ウェーハの2値化画像をパターンマッチングして、被検査ウェーハの位置を粗調整する。この後、基準ウェーハおよび被検査ウェーハの多値化画像をパターンマッチングして、被検査ウェーハの位置を微調整する。2段階の位置調整により、精度の良いアライメントが行われる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウェーハに設けられたパターンの欠陥を検出するウェーハ検査装置、およびウェーハ検査装置で使用可能なウェーハアライメント方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造では、半導体ウェーハ上に複数のダイ(チップ)を形成した後、ウェーハ検査が行われる。ウェーハ検査は、各ダイのデバイスパターンの欠陥の有無を調べる。検査の際、ウェーハ検査装置は、被検査ウェーハの各々を特定の位置に位置合わせする。これが、ウェーハ検査におけるウェーハアライメントである。一般的なウェーハ検査装置は、ウェーハの裏面を吸着し、ウェーハの表面に設けられたデバイスパターンを表面側から観察してアライメントを行う。
【0003】
ウェーハ検査装置の一例として、SQUIDを利用した装置が知られている。SQUID検査装置は、試料の表面にレーザスポット光を照射し、それによって誘起された磁場の強度をSQUID磁束計(超伝導量子干渉磁束計)で検出する。磁場強度の分布は、SQUID磁束計の出力信号を用いて画像化される。この画像を観察することにより、ウェーハを検査できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、SQUIDを利用したウェーハ検査装置の改良を課題とする。より具体的には、SQUID型ウェーハ検査装置に適用可能な精度の良いウェーハアライメント方法およびウェーハを精度良く位置合わせできるSQUID型ウェーハ検査装置の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のウェーハアライメント方法は、第1〜第5のステップを備えている。第1のステップでは、表面にパターンを有する基準ウェーハを走査ステージ上に載せ、第1の対物レンズを介して基準ウェーハの裏面に照明光を照射し、基準ウェーハの裏面に対向する撮像装置を用いて基準ウェーハを撮像し、取得された画像を2値化して2値化リファレンス画像を生成する。また、第1のステップでは、第1対物レンズよりも高い倍率を有する第2の対物レンズを介して基準ウェーハの裏面に照明光を照射し、基準ウェーハの裏面に対向する撮像装置を用いて基準ウェーハを撮像し、取得された画像を多値化して多値化リファレンス画像を生成する。第2のステップは、表面にパターンを有する被検査ウェーハを走査ステージ上に載せ、第1対物レンズを介して基準ウェーハの裏面に照明光を照射し、被検査ウェーハの裏面に対向する撮像装置を用いて被検査ウェーハを撮像し、取得された画像を2値化し、この2値化された被検査ウェーハの画像と2値化リファレンス画像とをパターンマッチングして第1のマッチング度を算出する。第3のステップでは、走査ステージの駆動と第1マッチング度の算出とを交互に繰り返して、第1マッチング度が最も高くなるステージ位置を特定する。第4のステップでは、第3のステップで特定されたステージ位置において第2対物レンズを介して被検査ウェーハの裏面に照明光を照射し、被検査ウェーハの裏面に対向する撮像装置を用いて被検査ウェーハを撮像し、取得された画像を多値化し、この多値化された被検査ウェーハの画像と多値化リファレンス画像とをパターンマッチングして第2のマッチング度を算出する。第5のステップでは、走査ステージの駆動と第2マッチング度の算出とを交互に繰り返して、第2マッチング度が最も高くなるステージ位置を特定する。
【0006】
この発明のウェーハアライメント方法は、2値化画像および多値化画像のマッチングを用いて2段階の位置調整を行うので、精度良くウェーハを位置合わせできる。また、このウェーハアライメント方法は、ウェーハの裏面側からウェーハを撮像するので、ウェーハの表面側にSQUID磁束計を配置するウェーハ検査装置に容易に適用できる。
【0007】
この発明のウェーハ検査装置は、ウェーハの表面に設けられたパターンの欠陥を検出する。この装置は、(a)ウェーハが載置される走査ステージと、(b)ウェーハの裏面側に配置され、ウェーハの裏面にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、(c)ウェーハの裏面側に配置され、ウェーハの裏面全体に照明光を照射する照明手段と、(d)ウェーハの裏面側に配置され、ウェーハによって反射された照明光を受光してウェーハを撮像する撮像手段と、(e)ウェーハの表面側に設けられ、ウェーハの走査によって発生する磁場の強度を検出し、磁場分布データを取得する磁場検出手段と、(f)撮像手段によって撮像されたウェーハの画像と所定のリファレンス画像とをパターンマッチングし、最も高いマッチング度が得られるように走査ステージを駆動して前記ウェーハの位置を調整するアライメント手段と、を備えている。この装置は、磁場分布データに基づいて欠陥の有無を判定する。
【0008】
この発明のウェーハ検査装置は、上記のアライメント手段を備えるので、この発明のウェーハアライメント方法を実施できる。精度良くウェーハを位置合わせできるので、それに応じて欠陥の検出精度も高まる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0010】
図1は、この実施形態のウェーハ検査装置の構成を示す概略図である。装置1は、走査型レーザSQUID顕微鏡である。装置1は、試料として、シリコンウェーハ5を検査する。図2(a)は、ウェーハ5の概略平面図である。ウェーハ5は、その表面5aに複数のダイ52を有している。各ダイ52には、所定の半導体デバイスパターンが設けられている。これらのダイ52は、すべて同じデバイスパターンを有することを予定されている。ウェーハ検査装置1は、各ダイ52のデバイスパターンの欠陥の有無を検査する。
【0011】
ウェーハ検査装置1は、IRレーザ光源10、照射光学系12、XYθステージ14、SQUID磁束計16、および制御・画像処理装置18を有している。IRレーザ光源10は、照射光学系12に光学的に結合されている。IRレーザ光源10、XYθステージ14およびSQUID磁束計16は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。装置1は、フォトダイオード11、ステージコントローラ17、SQUIDコントローラ19、表示装置20、Z軸ステージ22、ステージコントローラ24、および近赤外線照明装置26をさらに有している。フォトダイオード11は、照射光学系12に光学的に結合されている。フォトダイオード11、ステージコントローラ17および24、SQUIDコントローラ19、表示装置20ならびに照明装置26は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。Z軸ステージ22は、照明光学系12に取り付けられている。
【0012】
装置1によるウェーハ5の検査の際、ウェーハ5は、XYθステージ14上に載置される。XYθステージ14の上面には、チャック15が設置されている。チャック15は、ウェーハ5の裏面5bのエッジ部分を吸着してウェーハ5を保持する。この実施形態では、チャック15は透明であり、IRレーザ光源10から発する赤外レーザ光および照明装置26から発する照明光を透過させる。
【0013】
なお、透明チャックの代わりに、環状のチャックを使用してもよい。環状チャックも、透明チャックと同様に、ウェーハ5の裏面5bのエッジ部分を吸着してウェーハ5を保持する。IRレーザ光源10からのレーザ光は、環状チャックの中央開口部を通過してウェーハ5に照射される。このため、環状チャックは、透明でなくてもよい。
【0014】
IRレーザ光源10は、赤外レーザ光を発する発光素子である。IRレーザ光源10には、光ファイバ40の一端が光学的に接続されている。光ファイバ40の他端は、照射光学系12に光学的に接続されている。IRレーザ光源10から発したレーザ光は、光ファイバ40に入射し、光ファイバ40によって伝搬され、照射光学系12に入射する。
【0015】
照明装置26は、照明光を発する。照明装置26と照射光学系12の間の光路上には、バンドパスフィルタ45が配置されている。バンドパスフィルタは、照明装置26から照明光を受け取り、近赤外線波長域(約1100nm)の光だけ透過させる。こうして近赤外線域の照明光が生成される。この照明光は、照射光学系12を介してウェーハ5の裏面5b全体に照射される。近赤外線域の照明光を使用するのは、この波長域の光がシリコンウェーハを透過するためである。ウェーハ5に対して透過性の照明光を用いれば、ウェーハ5の裏面5b側からデバイスパターンを観察できる。
【0016】
フォトダイオード11は、レーザ光源10からの光のうちウェーハ5で反射されて照射光学系12から出射する光を受光する光検出素子である。フォトダイオード11は、受光した赤外レーザ光の強度に応じた出力信号を生成する。この出力信号は、制御・画像処理装置18に送られる。フォトダイオード11と照射光学系12内の光スキャナ122との間には、図示しないコンデンサレンズが配置されている。このコンデンサレンズは、照射光学系12内に設置されている。光スキャナ122からのレーザ光は、このコンデンサレンズによって集光され、フォトダイオード11へ送られる。
【0017】
照射光学系12は、IRレーザ光源10から赤外レーザ光を受け取り、そのレーザ光からレーザビームを形成してウェーハ5へ照射する。また、照射光学系12は、照明装置26から近赤外照明光を受け取り、その照明光をウェーハ5へ照射する。照射光学系12は、XYθステージ14の下方に配置されている。照射光学系12から出射する赤外レーザビームおよび近赤外照明光は、XYθステージ14の開口部を通ってチャック15に入射する。レーザビームおよび照明光は、チャック15を透過して、ウェーハ5に到達する。こうして、ウェーハ5の裏面側からレーザビームおよび照明光が照射される。
【0018】
照射光学系12は、光スキャナ122、光路設定部124、電動レボルバ125、対物レンズ126、および近赤外線カメラ127を有している。光路設定部124は、ビームスプリッタおよび反射ミラーを含んでいる。
【0019】
光スキャナ122には、光ファイバ40の一端が光学的に接続されている。したがって、光スキャナ122は、光ファイバ40を介してIRレーザ光源10に光学的に接続されている。光スキャナ122と光ファイバ40との間には、図示しないコリメータレンズが配置されている。このコリメータレンズは、照射光学系12内に設置されている。光源10からのレーザ光は、光ファイバ40から出射すると、コリメータレンズによって集束され、レーザビームとなる。このレーザビームは、光スキャナ122に向かう。
【0020】
光スキャナ122は、このレーザビームを反射して、光路設定部124へ送る。この反射角度は可変である。反射角度を連続的に変化させると、レーザビームが掃引される。これが、レーザビームの走査である。光スキャナ122は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。制御・画像処理装置18は、光スキャナ122に駆動信号を送って光スキャナを作動させる。制御・画像処理装置18は、光スキャナ122によるレーザビームの反射角度を制御でき、したがってレーザビームの移動(走査)を制御できる。
【0021】
光路設定部124は、光スキャナ122から送られるレーザビームをレボルバ125に向かわせる。また、光路設定部124は、近赤外線照明装置26に光学的に接続されている。照明装置26からの近赤外線照明光は、光路設定部124に入射する。光路設定部124は、この照明光をレボルバ125へ送る。
【0022】
レボルバ125には、倍率の異なる複数の対物レンズ126が装着されている。レボルバ125は、これらの対物レンズ126の一つのみを、光路設定部124から送られる光の光路上に配置できる。レーザビームおよび照明光は、対物レンズ126を透過してウェーハ5に到達する。レーザビームは、対物レンズ126によってウェーハ上に縮小投影される。この結果、レーザビームは、ウェーハ5上でスポット光を成す。レボルバ125は、回転機構を有している。レボルバ125を回転させることにより、光路設定部124からの光の光路上に配置される対物レンズ126を切り換えられる。
【0023】
近赤外線カメラ127は、光路設定部124に光学的に結合されている。カメラ127は、ウェーハ5のデバイスパターンによって反射された近赤外照明光を受光する。これにより、ウェーハ5を撮像できる。得られる画像には、ウェーハ5のデバイスパターンが現れる。このパターンは、表面5a側から観察したデバイスパターンを左右反転したものに当たる。カメラ127は、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。カメラ127は、ウェーハ5を撮像すると、出力信号を制御・画像処理装置18に送る。制御・画像処理装置18は、この出力信号からウェーハ5の画像データを取得する。この画像データは、ウェーハ5のアライメントに利用される。
【0024】
Z軸ステージ22は、Z軸方向に沿って照射光学系12を平行移動させることができる。Z軸方向は、ウェーハ5の主表面(5aおよび5b)と実質的に垂直である。Z軸ステージ22の駆動によって、カメラ127とウェーハ5との距離(撮像距離)を調整できる。Z軸ステージ22は、カメラ127によってウェーハ5を撮像するときのオートフォーカスに使用される。
【0025】
Z軸ステージ22は、ステージコントローラ24を介して制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。ステージコントローラ24は、制御・画像処理装置18からステージ駆動命令を受け取る。このステージ駆動命令は、Z軸ステージ22の移動の向きおよび移動量をステージコントローラ24に指示する。ステージコントローラ24は、ステージ駆動命令に応答してステージ駆動信号を生成し、このステージ駆動信号をZ軸ステージ22に送る。Z軸ステージ22は、このステージ駆動信号に応答して駆動する。この結果、Z軸ステージ22は、制御・画像処理装置18が指示する向きおよび移動量だけ照射光学系12を移動させる。
【0026】
XYθステージ14は、ウェーハ5の主表面(5aおよび5b)と実質的に平行な平面内で、ウェーハ5およびチャック15を平行移動および回転させることができる。XYθステージ14は、ウェーハ5およびチャック15をXおよびY方向に沿って平行移動させることができる。さらに、XYθステージ14は、XY平面に垂直なZ軸の周りにウェーハ5およびチャック15を回転させることができる。XYθステージ14は、照射光学系12から出射するレーザビームに対して相対的にウェーハ5を移動させることができる。したがって、XYθステージ14の駆動により、ウェーハ5におけるレーザビームの照射位置を変えることができる。
【0027】
XYθステージ14は、ステージコントローラ17を介して制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。ステージコントローラ17は、制御・画像処理装置18からステージ駆動命令を受け取る。このステージ駆動命令は、ステージ14の移動方向、移動量、回転方向、および回転量をステージコントローラ17に指示する。ステージコントローラ17は、ステージ駆動命令に応答してステージ駆動信号を生成し、このステージ駆動信号をXYθステージ14に送る。XYθステージ14は、このステージ駆動信号に応答して駆動する。この結果、XYθステージ14は、制御・画像処理装置18が指示する移動方向および移動量でウェーハ5を移動させる。また、XYθステージ14は、制御・画像処理装置18が指示する回転方向および回転量でウェーハ5を回転させる。
【0028】
SQUID磁束計16は、ウェーハ5の上方においてウェーハ5の表面5aと対向するように設置されている。SQUID磁束計16は、ウェーハ5へのレーザ光照射によって発生する磁場を検出する。赤外レーザ光がウェーハ5に照射されると、熱起電力または光起電力が発生する。この熱起電力または光起電力は、ウェーハ5内に電流を生じさせる。この電流によって、磁場が誘起される。この磁場は、ウェーハ5のデバイスパターンを反映する。SQUID磁束計16は、この誘起磁場を検出する。SQUID磁束計16は、検出した磁場の強度に応じた出力電圧信号(計測磁場信号)を生成する。この信号は、SQUIDコントローラ19を介して制御・画像処理装置18へ送られる。
【0029】
SQUID磁束計16は、SQUIDコントローラ19を介して、制御・画像処理装置18に電気的に接続されている。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からの命令にしたがって、SQUID磁束計16を作動させ、またはSQUID磁束計16の動作を停止させる。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からSQUID作動命令を受け取ると、SQUID磁束計16に作動電力を供給する。これによりSQUID磁束計16が作動し、磁場が検出される。SQUIDコントローラ19は、制御・画像処理装置18からSQUID停止命令を受け取ると、SQUID磁束計16への作動電力の供給を停止する。これにより、SQUID磁束計16は、その動作を停止する。
【0030】
制御・画像処理装置18は、IRレーザ光源10、XYθステージ14、SQUID磁束計16、Z軸ステージ22、および照明装置26の動作を制御する。制御・画像処理装置18は、照射光学系12内に配置された光スキャナ122およびレボルバ125の動作も制御する。
【0031】
制御・画像処理装置18は、ウェーハ5へのレーザ光照射によって誘起された磁場の分布を画像化することができる。制御・画像処理装置18は、ウェーハ5上におけるレーザ光の照射位置(すなわち、走査位置)をピクセル位置に対応付ける。制御・画像処理装置18は、ウェーハ5上のある位置にレーザ光を照射したときの計測磁場信号レベルを、その照射位置に対応付けられたピクセルの輝度に変換する。これにより、ウェーハ5へのレーザ光照射によって誘起された磁場の画像データが得られる。以下では、この画像を「SQUID画像」と呼ぶことにする。SQUID画像データは、磁場の分布を示す磁場分布データでもある。SQUID画像データは、画像信号の形で処理されることがある。制御・画像処理装置18は、ダイ52の各々についてSQUID画像データを算出する。
【0032】
制御・画像処理装置18は、SQUID画像データを用いて各ダイ52内の欠陥の有無を判定する。制御・画像処理装置18は、ダイ52内に欠陥が存在すると判定すると、その欠陥の位置を示す画像データを生成する。制御・画像処理装置18は、フォトダイオード11の出力信号を受け取る。この出力信号は、ダイ52の反射画像を表す。制御・画像処理装置18は、必要に応じて、ダイ52の反射画像に欠陥位置を重ねた画像データを生成する。制御・画像処理装置18は、生成した画像データを表示装置20に送る。
【0033】
表示装置20は、制御・画像処理装置18から画像データを受け取る。表示装置20は、この画像データにしたがって画像を画面上に表示する。
【0034】
以下では、ウェーハ検査装置1による検査処理を説明する。装置1は、ウェーハアライメント、試料の走査、欠陥の有無の判定、および結果表示を実行する。この実施形態は、ウェーハアライメントに特徴を有する。
【0035】
ウェーハアライメントは、(1)基準点の指定、(2)リファレンス画像の登録、(3)ウェーハのプリアライメント、(4)ウェーハのロード、(5)粗調整、(6)微調整の各工程からなる。これらの工程を順番に説明する。
【0036】
「基準点の指定」は、カメラ127の撮像視野のなかからアライメントの基準となる位置を選択する作業である。この実施形態では、ウェーハ内に共通して存在する特徴的なパターンをマッチングすることにより、ウェーハを位置合わせする。特徴的なパターンの一例は、ダイ52を仕切るストリートの交差点の周辺部分である。図2(a)の符号A、Bは、ストリートの交差点を示している。図2(b)は、交差点Aの周辺部分の拡大図である。
【0037】
基準点の指定時は、一枚の基準ウェーハが、プリアライメントの後、ステージ14上にロードされる。基準ウェーハは、被検査ウェーハと同じ構成を有している。プリアライメントにより、ウェーハ5は、カメラ127の視野内に配置される。このプリアライメントは、例えば、プリアライナを用いて実行される。
【0038】
この後、ウェーハ検査装置1は、基準ウェーハの反射画像をカメラ127によって取得する。この画像は、表示装置20の画面に表示される。オペレータは、この反射画像を見ながら、図2(a)に示されるように、アライメントの基準となる位置を基準ウェーハ内において2点、指定する。図2(b)に示されるように、これらの指定された基準点を含む2個の方形領域がパターンマッチングに使用される。これらの方形領域を、以下では「サンプリング領域」と呼ぶ。サンプリング領域は、カメラ127の視野内の特定領域を示す。カメラ127に対するウェーハの位置が異なれば、サンプリング領域で撮像されるパターンも異なる。
【0039】
制御・画像処理装置18は、これらのサンプリング領域の輝度データを共通のしきい値を用いて2値化し、各サンプリング領域のコントラストを算出する。算出されたコントラストは、表示装置20の画面上に表示される。オペレータは、このコントラストを見て、基準点A、Bを再指定できる。オペレータは、各サンプリング領域が高いコントラストを有するように基準点を指定することが好ましい。
【0040】
基準点の指定が終わり、サンプリング領域が確定すると、ウェーハ検査装置1は、リファレンス画像を登録する。ウェーハ検査装置1は、上記の基準ウェーハを低倍率の対物レンズ126を用いて撮像し、各サンプリング領域の2値化画像を取得する。また、ウェーハ検査装置1は、同じ基準ウェーハを高倍率の対物レンズ126を用いて撮像し、各サンプリング領域の多値化画像を取得する。画像の2値化および多値化は、制御・画像処理装置18が実行する。制御・画像処理装置18は、レボルバ125に命令を出して対物レンズ126を切り替えさせる。その後、制御・画像処理装置18は、カメラ127に命令を出して基準ウェーハを撮像させる。これらの2値化画像および多値化画像がリファレンス画像である。制御・画像処理装置18は、内部の記憶装置にこれらのリファレンス画像を保存する。こうして、リファレンス画像の登録が完了する。
【0041】
リファレンス画像の登録が完了すると、ウェーハの検査が可能になる。被検査ウェーハ5は、プリアライメントされた後、ステージ14上にロードされる。プリアライメントにより、被検査ウェーハ5は、カメラ127の視野内に配置される。このプリアライメントは、例えば、プリアライナを用いて実行される。
【0042】
この後、装置1は、被検査ウェーハ5の位置を粗調整する。制御・画像処理装置18は、基準ウェーハの撮像と同様の方法により、低倍率の対物レンズ126を用いて被検査ウェーハ5を撮像する。制御・画像処理装置18は、上記のサンプリング領域で取得された画像を2値化する。制御・画像処理装置18は、記憶装置からリファレンス2値化画像を読み出し、被検査ウェーハ5について取得した2値化画像との間でパターンマッチングを実行して、マッチング度を算出する。装置1は、ステージ14の駆動による被検査ウェーハ5の移動と、被検査ウェーハ5の撮像およびマッチング度の算出とを交互に繰り返す。この後、制御・画像処理装置18は、マッチング度が最も高いステージ位置を求める。このステージ位置は、仮アライメント位置として扱われる。
【0043】
次に、装置1は、ウェーハ5の位置を微調整する。装置1は、粗調整により求められた仮アライメント位置にウェーハ5を配置する。次いで、制御・画像処理装置18は、基準ウェーハの撮像と同様の方法により、高倍率の対物レンズ126を用いて被検査ウェーハ5を撮像する。装置1は、上記のサンプリング領域で取得された画像を多値化する。制御・画像処理装置18は、記憶装置からリファレンス多値化画像を読み出し、被検査ウェーハ5について取得した多値化画像との間でパターンマッチングを実行して、マッチング度を算出する。装置1は、ステージ14の駆動による被検査ウェーハ5の移動と、被検査ウェーハ5の撮像およびマッチング度の算出とを交互に繰り返す。この後、制御・画像処理装置18は、マッチング度が最も高いステージ位置を求める。このステージ位置は、最終的なアライメント位置として扱われる。
【0044】
なお、上記の各撮像の際、制御・画像処理装置18は、必要に応じてZ軸ステージ22を駆動し、オートフォーカスを行う。また、制御・画像処理装置18は、撮像された画像の輝度を調べ、最適な輝度が得られるように照明装置26の発光量を制御する。
【0045】
装置1は、アライメントが完了すると、ウェーハ5を最終アライメント位置に配置してウェーハ5の走査を開始する。装置1は、ウェーハ5上におけるレーザビームの照射位置を移動させて、ウェーハ5上のすべてのダイ52を走査する。照射位置の移動は、例えば、ステージスキャンと呼ばれる方法によって実行できる。ステージスキャンでは、XYθステージ14の移動により、ウェーハ5をレーザビームに対して相対的に移動させる。ステージスキャンでは、レーザビームは固定される。
【0046】
ステージスキャンに代えて、レーザスキャンと呼ばれる方法によって照射位置を移動させることもできる。図3は、レーザスキャンによる照射位置の移動を示す概略図である。レーザスキャンでは、行列状に配列された複数の走査領域61に順次にレーザビームが照射される。これらの走査領域は、同一の形状を有している。走査領域61の形状および大きさは、ダイ52の形状および大きさに加え、SQUID磁束計16の感度領域、SQUID磁束計16とウェーハ5間の距離、および対物レンズ126の倍率に応じて決められる。レーザビームの照射位置は、XYθステージ14の駆動と光スキャナ122によるレーザビームの移動(走査)の双方を用いて移動させられる。矢印60で示されるように、レーザビームの走査は、単一の走査領域内で照射位置を移動させるために使用される。矢印62で示されるように、ステージ14の駆動は、一つの走査領域61から別の走査領域61へ照射位置を移動させるために使用される。
【0047】
ウェーハ5へのレーザビームの照射により、磁場が誘起される。レーザビームの照射中、SQUID磁束計16にはSQUIDコントローラ19から作動電力が供給される。したがって、誘起磁場は、SQUID磁束計16によって検出される。制御・画像処理装置18は、SQUID磁束計16からSQUIDコントローラ19を介して計測磁場信号を受け取る。制御・画像処理装置18は、この計測磁場信号を用いて、各ダイ52のSQUID画像データを生成する。
【0048】
レーザビームの一部は、ウェーハ5によって反射される。反射光は、対物レンズ126、レボルバ125、光路設定部124および光スキャナ122を通過して、フォトダイオード11に入射する。フォトダイオード11は、この反射光を検出し、反射光の強度に応じた出力信号を生成する。フォトダイオード11の出力信号は、制御・画像処理装置18に送られる。レーザビームの照射位置はウェーハ5の全体にわたって移動するから、フォトダイオード11の出力信号は、ウェーハ5の反射画像を示す。制御・画像処理装置18は、フォトダイオード11の出力信号に基づいて、ウェーハ5の反射画像データを生成する。
【0049】
ウェーハ検査装置1は、各ダイ52のSQUID画像に基づいて、各ダイ52内の欠陥の有無を判定する。SQUID磁束計16によって検出される磁場は、ダイ52に含まれるデバイスの構造に応じて変化する。また、検出される磁場には、レーザビームの照射によって誘起された磁場のほかに、外部磁場がバックグラウンドノイズとして含まれることがある。このため、ダイ52のSQUID画像を単独で観察しても、欠陥を精度良く検出することは難しい。そこで、制御・画像処理装置18は、各ダイ52のSQUID画像データを、あらかじめ用意された良品ダイのSQUID画像データと比較することにより、各ダイ52内の欠陥の有無を判定する。
【0050】
以下では、図4を参照しながら、欠陥判定処理を詳しく説明する。図4は、欠陥判定処理の説明図である。図4の「計測SQUID画像」は、一つのダイ52の走査によって生成されるSQUID画像の一例である。符号71、72は、ダイ52中の欠陥を示している。計測SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。これらの欠陥71および72は、同じ走査経路上に位置するものとする。計測SQUID画像の下に示されている電圧信号は、その計測SQUID画像の画像信号の一部である。この信号部分は、計測SQUID画像中の破線に沿った走査によって生成される。したがって、この信号部分の横軸座標(時間情報)は、その破線によって示される走査経路上のレーザビームの照射位置に対応し、また、計測SQUID画像においてその破線上のピクセル位置に対応する。
【0051】
図5の「良品SQUID画像」は、良品ダイに関する計測磁場信号から生成されるSQUID画像である。良品SQUID画像は、ウェーハ検査装置1を用いて良品ダイを事前に検査することにより取得される。良品SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。この走査経路は、計測SQUID画像中の破線が示す走査経路と同一である。つまり、これらの走査経路は、それぞれ良品ダイおよび被検査ダイの同一座標を通過する。良品SQUID画像の下に示されている電圧信号は、その良品SQUID画像の画像信号の一部である。この信号部分は、良品SQUID画像中の破線に沿った走査によって生成される。したがって、この信号部分の横軸座標(時間情報)は、その破線によって示される走査経路上のレーザビームの照射位置に対応し、また、良品SQUID画像においてその破線上のピクセル位置に対応する。
【0052】
計測SQUID画像中の欠陥71は、良品ダイの同一箇所に比べて高い輝度を有する。つまり、欠陥71は、プラスの輝度方向を有している。これは、欠陥71の走査により検出される磁場強度が、良品ダイの同一箇所の走査により検出される磁場強度より高いことに起因する。このような欠陥をプラス欠陥と呼ぶことにする。一方、欠陥72は、良品ダイの同一箇所に比べて低い輝度を有する。つまり、欠陥72は、マイナスの輝度方向を有している。これは、欠陥72の走査により検出される磁場強度が、良品ダイの同一箇所の走査により検出される磁場強度より低いことに起因する。このような欠陥をマイナス欠陥と呼ぶことにする。このように、欠陥には、SQUID磁束計16によって検出される磁場強度を高くするものと低くするものとがある。
【0053】
制御・画像処理装置18は、各ダイ52の欠陥の有無を検査するために、各ダイ52の計測SQUID画像を良品SQUID画像と比較する。具体的には、制御・画像処理装置18は、計測SQUID画像データから良品SQUID画像データを減算して、差画像データを生成する。生成された差画像は、図4の右側に「減算SQUID画像」として示されている。理想的な差画像では、欠陥のみが表示される。
【0054】
図4において、差画像の下に示されている電圧信号は、その差画像の画像信号の一部である。この信号部分は、差画像中の破線に沿った走査によって得られる。差画像信号では、欠陥71が信号の山71a、すなわち信号レベルの上昇として現れる。また、差画像信号では、欠陥72が信号の谷72b、すなわち信号レベルの降下として現れる。このように、差画像信号の山は、被検査ダイ52のプラス欠陥を示す。また、差画像信号の谷は、被検査ダイ52のマイナス欠陥を示す。
【0055】
制御・画像処理装置18は、この差画像信号のレベルを所定のしきい値と比較する。制御・画像処理装置18は、二つの異なるしきい値を有している。以下では、高い方のしきい値を第1しきい値、低い方のしきい値を第2しきい値と呼ぶことにする。図4では、第1しきい値が破線81で、第2しきい値が破線82でそれぞれ示されている。この実施形態では、第1しきい値は正値であり、第2しきい値は負値である。制御・画像処理装置18は、差画像信号のレベルが第1しきい値以上または第2しきい値以下の場合に、欠陥が検出されたと判定する。第1しきい値以上の一連の信号部分および第2しきい値以下の一連の信号部分が、それぞれ一つの欠陥と認識される。二つのしきい値を用いるのは、プラス欠陥とマイナス欠陥を判別するためである。
【0056】
図5は、二つのしきい値の算出方法を説明するための図である。第1および第2しきい値は、装置1を用いて、二つの良品ダイのそれぞれについてSQUID画像データを取得することにより算出される。この算出は、制御・画像処理装置18が実行する。制御・画像処理装置18は、これらのSQUID画像データの一方から他方を減算して差画像データを生成し、その差画像の輝度ヒストグラムを算出する。制御・画像処理装置18は、輝度ヒストグラムの標準偏差も算出する。第1しきい値は、(輝度ヒストグラムのピーク値)+(標準偏差のk倍)によって算出される。第2しきい値は、(輝度ヒストグラムのピーク値)−(標準偏差のk倍)によって算出される。ここで、kは所定の定数である。kの値は、ウェーハ検査装置1のオペレータが任意に設定できる。
【0057】
また、このしきい値の算出は、ダイの中の同一位置をウェーハ全体でサンプリングして、ダイを構成するピクセル単位で設定する手法でも対応が可能である。
【0058】
制御・画像処理装置18は、より適切な第1および第2しきい値を得るために、マージ機能を有している。マージ機能は、しきい値を設定するためのサンプル数を増やす機能である。マージ機能は、新たに一つ以上のダイについてSQUID画像を取得し、既存のSQUID画像との間で減算処理を行い、輝度ヒストグラムのサンプル数を増やす。マージ機能を達成するため、輝度ヒストグラムの算出に用いられたSQUID画像は、制御・画像処理装置18内の記憶装置に保存される。
【0059】
制御・画像処理装置18は、第1しきい値以上の差画像信号レベルを与えるピクセル位置にプラス欠陥が存在すると判定する。図4の例では、制御・画像処理装置18は、山71aのうち第1しきい値81以上の部分をプラス欠陥と判定する。また、制御・画像処理装置18は、第2しきい値以下の差画像信号レベルを与えるピクセル位置にマイナス欠陥が存在すると判定する。図4の例では、制御・画像処理装置18は、谷72bのうち第2しきい値82以下の部分をマイナス欠陥と判定する。差画像信号の横軸座標は、SQUID画像のピクセル位置およびダイ52におけるレーザビームの照射位置に対応している。制御・画像処理装置18は、欠陥と判定された信号部分の横軸座標から、その欠陥の位置を算出できる。
【0060】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52について欠陥の有無を判定すると、判定結果を示す画像のデータを生成する。この画像データは、表示装置20に送られる。これにより、表示装置20の画面上では、検出された欠陥がウェーハマップ上に表示される。また、装置1のオペレータによってダイ52が指定されると、制御・画像処理装置18は、より詳細な結果表示用の画像データを生成する。この画像データも、表示装置20に送られ、画面に表示される。これにより、指定されたダイ52内の欠陥位置情報がそのダイ52の反射画像に重ねて表示される。なお、欠陥は、その種類に応じて異なる表示態様で表示される。例えば、プラス欠陥とマイナス欠陥を違う色で表示してもよい。
【0061】
以下では、ウェーハ検査装置1の利点を説明する。装置1は、主に、三つの利点を有している。
【0062】
第1に、装置1は、精度良くウェーハを位置合わせできる。装置1は、2値化画像を用いた粗調整と多値化画像を用いた微調整という2段階の位置合わせを実行するので、精度の高い位置合わせが可能である。これに応じて、SQUID画像の比較による欠陥の検出精度も高まる。
【0063】
第2に、装置1は、欠陥の種類を判別できる。これは、計測SQUID画像信号と良品SQUID画像信号から得られる差画像信号のレベルを、正負の二つのしきい値と比較するからである。正のしきい値によってプラス欠陥の有無を判定し、負のしきい値によってマイナス欠陥を判定するので、これらの欠陥を判別できる。これら2種類の欠陥の位置は、異なる表示態様で表示される。したがって、装置1のオペレータは、欠陥の種類をその表示態様から確認できる。
【0064】
第3に、装置1は、ウェーハ5の欠陥の有無を精度良く検査することができる。これは、ウェーハを精度良く位置合わせできることに加えて、計測SQUID画像信号から良品SQUID画像信号を減算するからである。差画像信号には、ウェーハ5の構造にかかわらず、欠陥のみが山または谷として現れる。バックグラウンドノイズである外部磁場は、その減算によって相殺される。したがって、精度良く欠陥を検出できる。
【0065】
以下では、装置1と公知例とを比較しながら装置1の利点をさらに説明する。公知のウェーハアライメント方法の一例は、特公平6−79326号公報に記載されている。この方法では、ステージを移動させながらウェーハの画像を取得するので、画像の情報精度はあまり高くない。このため、この画像を利用しても、あまり精度の高いアライメントは期待できない。これに対し、この実施形態では、サンプリング領域の画像を取得するときは、ステージは静止している。このため、高い精度の画像を取得できる。これに応じて、アライメントの精度も高くなる。本実施形態はSQUID画像の比較によって欠陥を検出するので、正確なアライメントが重要である。
【0066】
また、特公平6−79326号の方法では、プリアライメントによりウェーハのストリートラインをステージのXY方向に一致させる必要がある。これは、ストリートラインの方向に沿ってウェーハを移動させながら、ウェーハ上の複数の区画を順次に撮像するためである。これに対して、この実施形態では、ストリートラインをステージのXY方向に一致させる必要はない。これにより、プリアライメントが簡略化されるので、ウェーハを迅速に位置合わせできる。なお、ウェーハの角度ずれは、XYθステージ14の回転駆動によって修正できる。
【0067】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0068】
上記実施形態では、欠陥の有無を判定するために、ダイ52の計測SQUID画像を、あらかじめ取得した良品ダイのSQUID画像と比較する。しかし、この代わりに、複数のダイ52の計測SQUID画像同士を比較してもよい。
【0069】
以下では、図6および図7を参照しながら、異なるダイ52間のSQUID画像比較による欠陥検査処理を説明する。図6は、この欠陥検査処理の概略説明図である。図7は、この欠陥検査処理の詳細説明図である。
【0070】
図6の左側には、(n−1)番目のダイ52とn番目のダイ52の計測SQUID画像が示されている。ここで、nは2以上の整数である。以下では、(n−1)番目のダイ52をダイ(n−1)と呼び、n番目のダイ52をダイ(n)と呼ぶことにする。これらは、例えば、走査経路に沿って隣接して配置されたダイ52である。符号73、74は、ダイ(n−1)中の欠陥を示している。符号75、76は、ダイ(n)中の欠陥を示している。欠陥73および75は、上述したマイナス欠陥であり、欠陥74および76は、上述したプラス欠陥である。各計測SQUID画像中の破線は、走査経路の一つである。各破線によって示される走査経路は、ダイ(n−1)およびダイ(n)の共通の位置座標を通過する。欠陥73〜76は、いずれも破線の走査経路上に位置するものとする。
【0071】
図6において計測SQUID画像の右側に示される電圧信号は、その計測SQUID画像中の破線に沿った走査により得られる画像信号である。ダイ(n−1)の画像信号には、欠陥73が谷73bとして現れ、欠陥74が山74aとして現れる。同様に、ダイ(n)の画像信号には、欠陥75が谷75bとして現れ、欠陥76が山76aとして現れる。
【0072】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52に関して、ダイ(n−1)の計測SQUID画像とダイ(n)の計測SQUID画像を比較する。つまり、ダイ(1)とダイ(2)、ダイ(2)とダイ(3)、…ダイ(N−1)とダイ(N)間で、それぞれ計測SQUID画像が比較される。ここで、Nはダイの総数である。具体的には、制御・画像処理装置18は、ダイ(n−1)の計測SQUID画像からダイ(n)の計測SQUID画像を減算して、差画像信号を生成する。差画像信号の一部は、図6の右側に示されている。差画像信号では、欠陥74および75が山74aおよび75aとして現れ、欠陥73および76が谷73bおよび76bとして現れる。このように、この差画像信号の山は、ダイ(n−1)のプラス欠陥またはダイ(n)のマイナス欠陥を示す。また、この差画像信号の谷は、ダイ(n−1)のマイナス欠陥またはダイ(n)のプラス欠陥を示す。差画像信号の横軸座標は、ダイの位置座標に対応する。
【0073】
制御・画像処理装置18は、この差画像信号のレベルを第1および第2のしきい値と比較する。上記実施形態と同様に、第1しきい値は正値であり、第2しきい値は負値である。これらのしきい値の算出方法は、図6を参照して上述した通りである。制御・画像処理装置18は、差画像信号のレベルが第1しきい値以上または第2しきい値以下の場合に、欠陥が検出されたと判定する。第1しきい値以上の一連の信号部分および第2しきい値以下の一連の信号部分が、それぞれ一つの欠陥と認識される。この信号部分の横軸座標は、ダイ(n−1)およびダイ(n)の共通の位置座標に対応する。
【0074】
差画像信号のうち第1しきい値以上の部分は、ダイ(n−1)のプラス欠陥である可能性とダイ(n)のマイナス欠陥である可能性を有する。同様に、第2しきい値以下の部分は、ダイ(n−1)のマイナス欠陥である可能性とダイ(n)のプラス欠陥である可能性を有する。欠陥がどちらのダイに含まれるのかを特定するため、制御・画像処理装置18は、ダイ(n)とダイ(n+1)間の計測SQUID画像の比較結果を利用する。以下では、図7を参照しながら、欠陥検査処理をさらに詳しく説明する。
【0075】
図7の左側には、ダイ(1)〜(6)の計測SQUID画像が示されている。ダイ(1)、(2)、(5)および(6)は、欠陥を有さない。ダイ(3)は、マイナス欠陥77を有している。ダイ(4)は、プラス欠陥78を有している。図7の中央には、相隣る番号のダイ間の差画像信号が示されている。図7において「減算(m−1)−m」(mは、2以上N以下の整数。ここで、Nはダイの総数。)は、ダイ(m−1)の計測SQUID画像信号からダイ(m)の計測SQUID画像信号を減算することを意味する。
【0076】
図7に示されるように、制御・画像処理装置18は、すべてのm値について順次に減算(m−1)−mを実行する。その後、すべての差画像信号について、その信号レベルを第1および第2しきい値と比較する。減算2−3による差画像信号には、第1しきい値81を上回るピーク値を有する山77aが現れている。制御・画像処理装置18は、山77aのうち第1しきい値81以上の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ2のプラス欠陥である可能性と、ダイ3のマイナス欠陥である可能性がある。
【0077】
減算3−4による差画像信号には、減算2−3による差画像信号の山77aと同じ位置に、第2しきい値82を下回るピーク値を有する谷77bが現れている。制御・画像処理装置18は、谷77bのうち第2しきい値82以下の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(3)のマイナス欠陥である可能性と、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性がある。
【0078】
減算2−3および減算3−4によって共通に予想されるのは、ダイ(3)のマイナス欠陥だけである。したがって、制御・画像処理装置18は、ダイ(3)にマイナス欠陥が存在すると判定する。このように、制御・画像処理装置18は、減算2−3による差画像信号と減算3−4による差画像信号の双方において同一の横軸座標に欠陥が検出されると、ダイ(3)中において、その横軸座標に対応する位置座標に欠陥が存在すると判定する。
【0079】
減算3−4による差画像信号には、第2しきい値82を下回るピーク値を有する谷78bも現れている。制御・画像処理装置18は、谷78bのうち第2しきい値82以下の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(3)のマイナス欠陥である可能性と、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性がある。減算4−5による差画像信号には、減算3−4信号における谷78bと同じ位置に、第1しきい値81を上回るピーク値を有する山78aが現れている。制御・画像処理装置18は、山78aのうち第1しきい値81以上の部分を欠陥と判定する。この欠陥は、ダイ(4)のプラス欠陥である可能性と、ダイ(5)のマイナス欠陥である可能性がある。減算3−4および減算4−5によって共通に予想されるのは、ダイ(4)のプラス欠陥だけである。したがって、制御・画像処理装置18は、ダイ(4)中にプラス欠陥が存在すると判定する。ダイ(4)における欠陥の位置座標は、差画像信号における欠陥の横軸座標から特定される。
【0080】
このように、欠陥制御・画像処理装置18は、減算(n−1)−nによる差画像信号と減算n−(n+1)による差画像信号の双方において同一の横軸座標に欠陥が検出されると、ダイ(n)において、その横軸座標に対応する位置座標に欠陥が存在すると判定する。また、欠陥制御・画像処理装置18は、減算(n−1)−nによる差画像信号で欠陥が検出され、減算n−(n+1)による差画像信号において同一の横軸座標に欠陥が検出されない場合は、ダイ(n−1)に欠陥が存在すると判定する。さらに、欠陥制御・画像処理装置18は、減算n−(n+1)による差画像信号で欠陥が検出され、減算(n−1)−nによる差画像信号において同一の横軸座標に欠陥が検出されない場合は、ダイ(n+1)に欠陥が存在すると判定する。どのダイに欠陥が存在するかが特定されれば、その欠陥が差画像信号において山であるか谷であるかに応じて、その欠陥の種類も特定される。
【0081】
なお、「二つの差画像信号の同一の横軸座標に欠陥が検出される」とは、横軸座標が完全に一致する場合のほか、所定の許容値だけ横軸座標がずれている場合を含んでいてもよい。この場合、二つの差画像の同一画素にそれぞれ欠陥が検出される場合のほか、二つの差画像の欠陥の位置が数ピクセルずれている場合も、同一の画素に欠陥が存在するとみなされる。所定値以内のずれを許容するのは、欠陥の検出位置の誤差を考慮したものである。
【0082】
制御・画像処理装置18は、すべてのダイ52について欠陥の有無を判定すると、判定結果を示す画像を生成する。表示装置20は、その生成された画像を画面上に表示する。この画像の生成および表示は、上記実施形態に関して説明した通りである。
【0083】
ダイ52のSQUID画像同士の比較により欠陥を検出する場合も、ウェーハ5の正確なアライメントが重要である。特に、隣接して配置されたダイ52間でSQUID画像を比較する場合には、精度の良いアライメントが必要となる。
【0084】
【発明の効果】
この発明のウェーハアライメント方法は、2値化画像を用いた粗調整と多値化画像を用いた微調整という2段階の位置合わせを実行するので、精度良くウェーハを位置合わせできる。この発明のウェーハアライメント方法は、SQUID磁束計を利用したウェーハ検査装置に好適に適用できる。この発明のウェーハ検査装置は、このウェーハアライメント方法を実施できるアライメント手段を有している。このため、この発明のウェーハ検査装置は、精度良くウェーハを位置合わせして、精度良くウェーハの欠陥を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るウェーハ検査装置の構成を示す概略図である。
【図2】(a)は、アライメントのための基準点を示す概略平面図であり、(b)は、基準点Aを含むサンプリング領域を示す概略平面図である。
【図3】ウェーハの走査方法の一例を示す概略平面図である。
【図4】被検査ダイと良品ダイとのSQUID画像の比較による欠陥検査処理の説明図である。
【図5】第1および第2しきい値の算出方法の説明図である
【図6】異なるダイ間のSQUID画像比較による欠陥検査処理の概略説明図である。
【図7】図6の欠陥検査処理の詳細説明図である。
【符号の説明】
1…非破壊検査装置、5…ウェーハ、10…赤外レーザ光光源、11…フォトダイオード、12…照射光学系、14…XYθステージ、16…SQUID磁束計、18…減算手段、比較手段、判定手段、画像生成手段およびアライメント手段としての制御・画像処理装置、20…表示装置、45…フィルタ、52…ダイ、120…光スキャナ。
Claims (7)
- 表面にパターンを有する基準ウェーハを走査ステージ上に載せ、第1の対物レンズを介して前記基準ウェーハの裏面に照明光を照射し、前記基準ウェーハの裏面に対向する撮像装置を用いて前記基準ウェーハを撮像し、取得された画像を2値化して2値化リファレンス画像を生成するとともに、前記第1対物レンズよりも高い倍率を有する第2の対物レンズを介して前記基準ウェーハの裏面に前記照明光を照射し、前記基準ウェーハの裏面に対向する前記撮像装置を用いて前記基準ウェーハを撮像し、取得された画像を多値化して多値化リファレンス画像を生成する第1ステップと、
表面にパターンを有する被検査ウェーハを走査ステージ上に載せ、前記第1対物レンズを介して前記基準ウェーハの裏面に前記照明光を照射し、前記被検査ウェーハの裏面に対向する前記撮像装置を用いて前記被検査ウェーハを撮像し、取得された画像を2値化し、この2値化された被検査ウェーハの画像と前記2値化リファレンス画像とをパターンマッチングして第1のマッチング度を算出する第2ステップと、
前記走査ステージの駆動と前記第1マッチング度の算出とを交互に繰り返して、前記第1マッチング度が最も高くなるステージ位置を特定する第3ステップと、
この特定されたステージ位置において前記第2対物レンズを介して前記被検査ウェーハの裏面に前記照明光を照射し、前記被検査ウェーハの裏面に対向する前記撮像装置を用いて前記被検査ウェーハを撮像し、取得された画像を多値化し、この多値化された被検査ウェーハの画像と前記多値化リファレンス画像とをパターンマッチングして第2のマッチング度を算出する第4ステップと、
前記走査ステージの駆動と前記第2マッチング度の算出とを交互に繰り返して、前記第2マッチング度が最も高くなるステージ位置を特定する第5ステップと、
を備えるウェーハアライメント方法。 - 前記第1ステップは、前記撮像装置の視野内の特定領域で取得された画像の2値化により前記2値化リファレンス画像を生成するとともに、前記特定領域で取得された画像の多値化により前記多値化リファレンス画像を生成し、
前記第2ステップは、前記特定領域で取得された画像を2値化し、この2値化された画像と前記2値化リファレンス画像とをパターンマッチングし、
前記第4ステップは、前記特定領域で取得された画像を多値化し、この多値化された画像と前記多値化リファレンス画像とをパターンマッチングする
請求項1記載のウェーハアライメント方法。 - ウェーハの表面に設けられたパターンの欠陥を検出するウェーハ検査装置であって、
前記ウェーハが載置される走査ステージと、
前記ウェーハの裏面側に配置され、前記ウェーハの裏面にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、
前記ウェーハの裏面側に配置され、前記ウェーハの裏面全体に照明光を照射する照明手段と、
前記ウェーハの裏面側に配置され、前記ウェーハによって反射された前記照明光を受光して前記ウェーハを撮像する撮像手段と、
前記ウェーハの表面側に設けられ、前記ウェーハの走査によって発生する磁場の強度を検出し、磁場分布データを取得する磁場検出手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記ウェーハの画像と所定のリファレンス画像とをパターンマッチングし、最も高いマッチング度が得られるように前記走査ステージを駆動して前記ウェーハの位置を調整するアライメント手段と、
を備え、
前記磁場分布データに基づいて前記欠陥の有無を判定するウェーハ検査装置。 - 前記レーザ光および前記照明光を透過させる第1および第2の対物レンズと、
前記第1および第2対物レンズが取り付けられたレボルバと、
をさらに備える請求項3記載のウェーハ検査装置であって、
前記第1対物レンズは、前記第2対物レンズよりも低い倍率を有しており、
前記レボルバは、前記第1および第2対物レンズを移動させることにより、前記第1および第2対物レンズのいずれか一方のみを前記レーザ光および照明光の光路上に配置し、
前記リファレンス画像は、2値化リファレンス画像および多値化リファレンス画像を含んでおり、
前記アライメント手段は、前記第1対物レンズが前記照明光の光路上に配置されているときに前記撮像装置によって撮像された画像を2値化し、その2値化画像と前記2値化リファレンス画像とをパターンマッチングし、最も高いマッチング度が得られるように前記走査ステージを駆動して前記ウェーハの位置を調整し、その後、前記第2対物レンズが前記照明光の光路上に配置されているときに前記撮像装置によって撮像された画像を多値化し、その多値化画像と前記多値化リファレンス画像とをパターンマッチングし、最も高いマッチング度が得られるように前記走査ステージを駆動して前記ウェーハの位置を調整する
請求項3記載のウェーハ検査装置。 - 前記磁場分布データおよび所定の標準分布データの一方から他方を減算して差分データを生成する減算手段と、
前記差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較する比較手段と、
前記レーザ光の一つの照射位置に対応する前記差分データが前記第1しきい値以上のとき、当該照射位置に第1の種類の欠陥が存在すると判定し、前記レーザ光の一つの照射位置に対応する前記差分データが前記第2しきい値以下のとき、当該照射位置に第2の種類の欠陥が存在すると判定する判定手段と、
をさらに備える請求項3記載のウェーハ検査装置。 - 前記試料において同一の形状を有する複数の領域の各々について、その領域に設けられた所定の構造の欠陥を検出する請求項3記載のウェーハ検査装置であって、
第1の前記領域の磁場分布データから第2の前記領域の磁場分布データを減算して第1の差分データを生成するとともに、前記第2領域の磁場分布データから第3の前記領域の磁場分布データを減算して第2の差分データを生成する減算手段と、
前記第1差分データを正の第1しきい値および負の第2しきい値と比較するとともに、前記第2差分データを前記第1および第2しきい値と比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果に応じて、前記第2領域における欠陥の有無を判定する判定手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、
前記第1、第2および第3領域の共通の座標において前記第1差分データが前記第2しきい値以下かつ前記第2差分データが前記第1しきい値以上のとき、前記第2領域中の当該座標に第1の種類の欠陥が存在すると判定し、
前記第1、第2および第3領域の共通の座標において前記第1差分データが前記第1しきい値以上かつ前記第2差分データが前記第2しきい値以下のとき、前記第2領域中の当該座標に第2の種類の欠陥が存在すると判定する
請求項3記載のウェーハ検査装置。 - 前記判定手段によって判定された欠陥の位置を示す画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像を画面上に表示する表示装置と、
をさらに備える請求項5または6記載のウェーハ検査装置であって、
前記画像において前記第1の種類の欠陥は、第1の表示態様で表示され、
前記画像において前記第2の種類の欠陥は、前記第1表示態様と異なる第2の表示態様で表示される
請求項5または6記載のウェーハ検査装置。
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