JP2004093220A - 金属の種類判別装置および金属の種類判別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マグネシウム合金のようなある金属部材の種類を他の種類の金属部材とは簡単かつ確実に判別することができる金属の種類判別装置および金属の種類判別方法を提供すること。
【解決手段】金属部材70に当てることで金属部材の種類を判別するための金属の種類判別装置10であり、金属部材に対して直接接触させるための負極部材16と、金属部材に対して液を介して接触させるための正極部材18と、負極部材と正極部材を保持する本体14と、正極部材の周囲に液を有する液吸収体74を保持して覆うための液吸収保持部材20と、本体に設けられており、液により金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を判別する判別部23とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】金属部材70に当てることで金属部材の種類を判別するための金属の種類判別装置10であり、金属部材に対して直接接触させるための負極部材16と、金属部材に対して液を介して接触させるための正極部材18と、負極部材と正極部材を保持する本体14と、正極部材の周囲に液を有する液吸収体74を保持して覆うための液吸収保持部材20と、本体に設けられており、液により金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を判別する判別部23とを備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属に当てることで金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる金属の種類判別装置および金属の種類判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用済みの自動車や電子機器等の製品は、廃工業製品としてリサイクル時もしくは処分時に破砕を行う場合がある。電子機器を例に挙げると、電子機器が破砕機により破砕された場合には、破砕物には金属や非金属が混在している。
電子機器の筐体を構成する金属材料としては、近年マグネシウム合金が用いられている。このマグネシウム合金は、軽量で強度が高くリサイクル性が良好であることからその使用が増えている。
電子機器を破砕した破砕物の中のマグネシウム合金は、他の種類の金属、たとえばアルミニウム合金から判別して分別する必要がある。
このようなリサイクル作業を行う場合に、マグネシウムの粉塵爆発や粉塵火災を防ぐために、マグネシウム合金と上述したようなそれ以外の金属、たとえばアルミニウム合金を分けて処理する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
マグネシウム合金とアルミニウム合金を確実に判別する場合には、マグネシウム合金とアルミニウム合金の比重が似ているので、着火テストを行ってマグネシウム合金とアルミニウム合金を判別している。着火テストを行うことによりマグネシウム合金は着火するので、マグネシウム合金とアルミニウム合金は着火するかしないかで分けることができる。
マグネシウム合金の破砕物の裏面に識別記号が書いてあれば、作業者が識別記号でマグネシウム合金であることを判別することができる場合もあるが、細かく破砕されている場合には作業者は識別記号を確実に見ることはできない。
マグネシウム合金やアルミニウム合金には塗装が施されている場合がある。
このように、従来マグネシウム合金を他の種類の合金と区別する場合には、作業者がマグネシウム合金の表面を少量削って加熱燃焼させて燃えるかどうかの着火テストを行わなければならないという問題があり、リサイクル処理の効率が悪い。
そこで本発明は上記課題を解消し、マグネシウム合金のようなある金属部材の種類を他の種類の金属部材とは簡単かつ確実に判別することができる金属の種類判別装置および金属の種類判別方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、金属部材に当てることで前記金属部材の種類を判別するための金属の種類判別装置であり、前記金属部材に対して直接接触させるための負極部材と、前記金属部材に対して液を介して接触させるための正極部材と、前記負極部材と前記正極部材を保持する本体と、前記正極部材の周囲に前記液を有する液吸収体を保持して覆うための液吸収保持部材と、前記本体に設けられており、前記液により前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する判別部と、を備えることを特徴とする金属の種類判別装置である。
【0005】
請求項1では、負極部材は、金属部材に対して直接接触させるためのものである。正極部材は、金属部材に対して液を介して接触させる。
本体は負極部材と正極部材を保持する。
液吸収体保持部材は、正極部材の周囲に液を有する液吸収体を保持して覆っている。
判別部は、本体に設けられている。この判別部は、液により金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて、金属部材の種類を判別するものである。
これにより、負極部材を金属部材に対して直接接触させかつ正極部材を金属部材に対して液を介して接触させることにより、この液により金属部材と正極部材の間で起電力を発生させて、判別部はこの起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材には尖った先端部分を有し、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記正極部材には尖った先端部分を有している。
【0007】
請求項2では、負極部材の先端部分が、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。同様にして正極部材の尖った先端部分は、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。
これによって、負極部材と正極部材を金属部材に対して接触させるだけで、金属部材の表面の付着物を破って、金属部材の表面を直接負極部材に接触させることができる。しかも正極部材は金属部材の表面に対して液を介して確実に接触させることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の金属の種類判別装置において、前記液は食塩水であり、前記液吸収体保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている。
【0009】
請求項3では、液である食塩水が、金属部材と正極部材の間で反応して起電力を発生させる。液吸収体保持部材がフレキシブルな電気絶縁材料によるチューブ状のものであるので、正極部材を金属部材に対して一旦突き当てて金属部材の表面の付着物を破る際に、液吸収体保持部材はフレキシブルに変形することにより、正極部材の尖った先端部分を金属部材に対して確実に突き当てることができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、前記本体は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する判別完了信号発生部を有する。
【0012】
請求項5では、判別部が金属部材の種類を判別した場合には、判別完了信号発生部が判別完了信号を作業者に対して発生することにより、判別作業効率を上げることができる。
【0013】
請求項6の発明は、前記金属部材に当てることで金属部材の種類を判別するための金属の種類判別方法であり、前記金属部材に対して負極部材を直接接触させるとともに、前記金属部材に対して正極部材を液を介して接触させる接触ステップと、判別部が、前記正極部材の周囲に位置している前記液を介して前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する金属種類判別ステップと、を有することを特徴とする金属の種類判別方法である。
【0014】
請求項6では、接触ステップにおいては、金属部材に対して負極部材を直接接触させるとともに、金属部材に対して正極部材を液を介して接触させる。
金属種類判別ステップでは、判別部が正極部材の周囲に位置している液を介して金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて、金属部材の種類を判別する。
これにより、負極部材を金属部材に対して直接接触させかつ正極部材を金属部材に対して液を介して接触させることにより、この液により金属部材と正極部材の間で起電力を発生させて、判別部はこの起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させ、かつ前記正極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させる。
【0016】
請求項7では、負極部材の先端部分が、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。同様にして正極部材の尖った先端部分は、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。
これによって、負極部材と正極部材を金属部材に対して接触させるだけで、金属部材の表面の付着物を破って、金属部材の表面を直接負極部材に接触させることができる。しかも正極部材は金属部材の表面に対して液を介して確実に接触させることができる。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7に記載の金属の種類判別方法において、前記液は食塩水であり、前記液吸収対保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている。
【0018】
請求項8では、液である食塩水が、金属部材と正極部材の間で反応して起電力を発生させる。液吸収体保持部材がフレキシブルな電気絶縁材料によるチューブ状のものであるので、正極部材を金属部材に対して一旦突き当てて金属部材の表面の付着物を破る際に、液吸収体保持部材はフレキシブルに変形することにより、正極部材の尖った先端部分を金属部材に対して確実に突き当てることができる。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である。
【0020】
請求項10の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、判別完了信号発生部は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する。
【0021】
請求項10では、判別部が金属部材の種類を判別した場合には、判別完了信号発生部が判別完了信号を作業者に対して発生することにより、判別作業効率を上げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
図1と図2は、本発明の金属の種類判別装置の好ましい実施の形態を示している。
図1と図2に示す金属の種類判別装置10は、本体14、負極部材16、正極部材18、液吸収体保持部材20、判別部23、ブザー24、そして取っ手25を有している。
取っ手25はプラスチックまたは金属により作られており、取っ手25は本体14の上端部26に対して固定されている。この取っ手25は、作業者が手で握って金属の種類判別装置10の本体14を保持するための部分である。
【0024】
本体14は、たとえば金属により作られたケースであり、この本体14の中には判別部23とブザー24が収容されている。本体14は動作スイッチ27を備えている。この動作スイッチ27を作業者がT方向に操作することにより、金属の種類判別装置10の判別部23を作動させて判別作業が可能になる。
ブザー24は判別完了信号を作業者に対して発生する判別完了信号発生部である。図1と図2の実施例の場合には、ブザー24が判別完了信号である音で作業者に対して判別作業の完了を知らせるようになっている。
本体14の下端部30側には、負極部材16と正極部材18が並行に並んでT方向に突出している。
負極部材16の一端部と正極部材18の一端部が本体14側に固定されている。
【0025】
図3は、本体14と負極部材16および正極部材18などを示している。
本体14の中には、上述したように判別部23が収容されている。
負極部材16と正極部材18は、DCアンプ(直流増幅部)40に対して電気的に接続されている。このDCアンプ40は、コンパレータ43に接続されていて、DCアンプ40からの出力信号S1がコンパレータ43に入力されるようになっている。
このDCアンプ40は、負極部材16と正極部材18側から得られる起電力を直流増幅して出力信号S1としてコンパレータ43に送る。
【0026】
コンパレータ43は、出力信号S1の大きさと、予めメモリされている比較用信号の大きさと比較する。本発明の実施の形態におけるコンパレータ43には、金属部材である金属部材70の材質としてマグネシウム合金である場合の起電力の比較用信号S2と、アルミニウム合金の場合の起電力の比較用信号S3が記憶されている。したがってコンパレータ43は出力信号S1の大きさとマグネシウム合金の場合の比較用信号S2の大きさを比較したり、出力信号S1の大きさとアルミニウム合金の場合の比較用信号S3の大きさとを比較する。
たとえば、コンパレータ43は、出力信号S1の大きさが、マグネシウム合金の場合の比較用信号S2の大きさである場合には、ブザー24に対して信号S4を送りブザー24を動作させて判別完了信号S5を音として発生させる。コンパレータ43は、出力信号S1の大きさがアルミニウム合金の比較用信号S3と同じである場合には、信号S4をブザー24には送らない。
バッテリ45は、DCアンプ40、コンパレータ43およびブザー24に対して電力を供給している。
【0027】
次に、図3の負極部材16と正極部材18について説明する。
負極部材16と正極部材18は、金属の種類の判別対象である金属部材70に対して接触させるための設定用の部材である。
本発明の実施の形態では、負極部材16と正極部材18は、好ましくはそれぞれ針状の部材であり、負極部材16と正極部材18は、導電性を有する金属、たとえばステンレスにより作られている。
負極部材16と正極部材18は、円柱状の部材であり、測定側の先端部分60は、ロート状に先細り形状になっている。同様にして正極部材18も円柱状の部材であり、その尖った先端部分61は、ロート状に先細り形状になっている。
このように負極部材の先端部分60と正極部材18の先端部分61が、好ましくはそれぞれロート状に尖っているのは、金属部材70の表面71に対してたとえば塗装部分72が施されている場合に、この塗装部分72を破って金属部材70の表面71を確実に露出させるためである。
つまり先端部分60,61が塗装部分72を突き破ることにより、金属部材70の表面71を確実に露出させて、金属部材70の表面71に対して負極部材16の先端部分60を確実に直接接触させ、表面に対して液であるたとえば食塩水を介して正極部材18を間接的に接触させるようになっている。
【0028】
図3と図4に示すように、正極部材18の周囲には、液吸収体保持部材20が配置されている。この液吸収体保持部材20は、円筒状の部材であり、液吸収体保持部材20の中には、液吸収体74が収容されている。この液吸収体74は、たとえば液の一例である食塩水を吸収して保持している。液吸収体74の材質としては、たとえば不織布やスポンジなどを採用することができる。
液吸収体74の軸方向中心には、正極部材18が配置されている。したがって正極部材18、液吸収体74および液吸収体保持部材20は、同心円上に配列されている。
【0029】
図3の状態では、負極部材16と正極部材18はそれぞれ金属部材70からは離れた位置にある。
しかし図4の状態では、負極部材16と正極部材18を用いて金属部材70の種類を判別している種類判別状態を示している。
【0030】
図5は、図3と図4に示す金属の種類判別装置10を使用した場合の、金属の種類判別原理について示している。
金属部材70は被測定対象の金属部材の一例としてマグネシウム合金である。塗装部分72は、金属部材70の表面71に形成されている。
負極部材16と正極部材18に対応する位置の塗装部分72A,72Bは、負極部材16の先端部分60と正極部材18の先端部分61を押し付けることで既に押しのけて除去されている。
【0031】
金属の種類判別を行う時には、負極部材16の先端部分60は、金属部材70の表面71に直接接触させる。これに対して、正極部材18の先端部分61と金属部材70の表面71の間には食塩水77が介在されている。この食塩水77は、金属部材70と正極部材18の間に位置する電解液の一種である。
負極部材16と正極部材18から得られる起電力は、判別部23により測定される。
【0032】
図5(B)は、金属のイオン化列の一部を示している。マグネシウムMgはアルミニウムAlよりイオン化傾向が強く、アルミニウムAlは鉄(ステンレス鋼)Feよりもイオン化傾向が強い。
したがって図4において判別部23で得られる出力信号S1の値は、マグネシウムの場合が一番大きく、次にアルミニウムの値が大きい。このことから、図3におけるコンパレータ43に記憶されているマグネシウム合金の場合の起電力の比較用信号S2の大きさは、アルミニウム合金の場合における起電力の比較用信号S3の大きさに比べて大きい。
【0033】
次に、上述した金属の種類判別装置を用いて、金属の種類判別方法について説明する。
図3と図5に示すように、正極部材18側の液吸収体74には、一例として食塩水77が含ませてある。
液吸収体保持部材20は、可撓性を有しかつ電気絶縁性を有する例えばプラスチック、一例としてビニールを採用している。
図1と図3に示すように、測定前の状態では、液吸収体保持部材20と液吸収体74が正極部材18を覆っている。
【0034】
図6(A)は、種類判別測定前の状態を示しており、図6(B)は種類判別測定中の状態を示している。
図6(A)において、負極部材16の先端部分60の先端位置は、正極部材18の先端部分61の先端位置に比べてややT方向に出ている。
図7の接触ステップST1においては、図6(A)に示すように、台100の上に種類判別しようとする金属部材70を載せる。この金属部材70の表面71には塗装部分72が形成されている。
このままでは、金属部材70の表面71に対して負極部材16と正極部材18を電気的に接続することができないので、図6(B)に示すように負極部材16と正極部材18をT方向に沿って金属部材70の表面71側に突き当てる。これによって負極部材16の先端部分60と正極部材18の先端部分61に対応する塗装部分72A,72Bが押しのけられて破られる。
したがって、負極部材16の先端部分60は金属部材70の表面71に直接接触させた状態になる。正極部材18の先端部分61は金属部材70の表面71からはやや離して直接は接触させない。
このように図7の接触ステップST1では、測定針である負極部材16と正極部材18を金属部材70の表面71側に対して強く押し当てることにより、対応する塗装部分72A,72Bが破られて直接表面71を露出させることができる。
【0035】
図6(B)に示すように電解液チューブとも呼んでいる液吸収体保持部材20の先端部分81は、金属部材70の塗装部分72側に軽く当てて、しかも液吸収体74の電解液(食塩水)と表面71の接触を良くするためにU方向、すなわち左右方向に少し動かす。
正極部材18の先端部分61は、表面71よりはやや離してあるが、液吸収体74の電解液は表面71に接触している。このために、図5に示す原理図のように、正極部材18の先端部分61と金属部材70の表面71の間には、食塩水77が介在されることになる。
この状態で、正極部材18と負極部材16の間には金属部材70のマグネシウム合金に応じた起電力が発生する。
【0036】
そこで、図7の金属種類判別ステップST2に移る。
金属種類判別ステップST2では、図3に示すDCアンプ40が、この起電力を増幅して出力信号S1にする。この出力信号S1は、コンパレータ43に入る。
コンパレータ43は、出力信号S1と予めメモリされているマグネシウム合金の場合の起電力の大きさに対応する比較用信号S2とアルミニウム合金の場合の起電力の大きさに対応する比較用信号S3と比較する。
これにより、出力信号S1が、マグネシウム合金の場合における比較用信号S2に合致すると、コンパレータ43は信号S4をブザー24に送る。
したがって、ブザー24は、判別完了信号S5である音を発生して作業者に知らせる。
これによって作業者は金属部材70がマグネシウム合金であることが分かり、その判別が完了したことをブザー24の音で知ることができる。
このようにして、作業者は金属部材70の材質がマグネシウム合金であるかそうでないかを、ブザー24の音により簡単かつ確実に判別することができる。
【0037】
本発明の実施の形態において、使用している金属の種類判別装置10は、小型にできしかも軽量であるので、たとえば電子機器や自動車のリサイクル工場内のいずれの場所でも使用でき、しかも金属の種類の判別が短時間でできる。
金属部材70の表面71に塗装が施されていない場合はもちろんのこと、塗装部分72が形成されていた場合であっても、負極部材16と正極部材18は先端部分60,61を塗装部分72に押し付けることにより塗装部分72を破って金属部材70の表面71を確実に露出させることができる。このことから金属の種類判別が確実に行える。
【0038】
電解液として液吸収体74の中には食塩水を吸収させているので、使用に際して安全無害である。
従来のように着火試験を行ってマグネシウム合金かどうかを判別する必要が無いので、可燃物や爆発の危険がある粉塵などがある場所でも、本発明の金属の種類判別装置を安全に用いることができる。
金属の種類判別装置は、構造が簡単であり低コストで作成することができる。負極部材16と正極部材18はそれぞれ先細りの尖った先端部分60,61を有しているが、これに限らず先端部分60,61を設けずに、平坦にしたり丸くしたりしてもよい。
【0039】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上述した実施の形態では、判別しようとする金属部材の材質としてマグネシウム合金を例に挙げている。しかしこれに限らず起電力に差が出る複数の種類の金属における判別を行うことができる。たとえばマグネシウム合金と鉄との判別を行うことが可能である。
【0040】
判別完了信号発生部は、ブザーに限らずたとえば光の点滅であっても良いし、ブザーに代えて起電力の値を直接メーターで表示して、その数値で作業者が判別できるようにしてももちろん構わない。
液の種類としては上述した実施の形態では電解液の一例として食塩水を用いている。しかしこれに限らず液としては、酸性またはアルカリ性の容液で、金属と反応して起電力を発生するものであれば、たとえば希硫酸などを用いることができる。
負極部材16と正極部材18は、棒状体のものでなくても、先端が尖っているものであれば他の形状も採用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マグネシウム合金のようなある金属部材の種類を他の種類の金属部材とは簡単かつ確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属の種類判別装置の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の金属の種類判別装置の別の角度から見た斜視図。
【図3】本発明の金属の種類判別装置の構成例を示しており、金属の種類の判別測定の前の状態を示す図。
【図4】図3において金属の種類の判別中の状態を示す図。
【図5】本発明の金属の種類判別装置の原理的な例を示す図。
【図6】金属の種類の判別前の状態および金属の種類の判別中の状態をより詳しく示す図。
【図7】金属の種類判別方法を示す図。
【符号の説明】
10・・・金属の種類判別装置、14・・・本体、16・・・負極部材、18・・・正極部材、20・・・液吸収体保持部材、23・・・判別部、24・・・ブザー(判別完了信号発生部)、60・・・負極部材の先端部分、61・・・正極部材の先端部分、70・・・判別対象である金属部材、71・・・金属部材の表面、72・・・金属部材の塗装部分、74・・・液吸収体
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属に当てることで金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる金属の種類判別装置および金属の種類判別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用済みの自動車や電子機器等の製品は、廃工業製品としてリサイクル時もしくは処分時に破砕を行う場合がある。電子機器を例に挙げると、電子機器が破砕機により破砕された場合には、破砕物には金属や非金属が混在している。
電子機器の筐体を構成する金属材料としては、近年マグネシウム合金が用いられている。このマグネシウム合金は、軽量で強度が高くリサイクル性が良好であることからその使用が増えている。
電子機器を破砕した破砕物の中のマグネシウム合金は、他の種類の金属、たとえばアルミニウム合金から判別して分別する必要がある。
このようなリサイクル作業を行う場合に、マグネシウムの粉塵爆発や粉塵火災を防ぐために、マグネシウム合金と上述したようなそれ以外の金属、たとえばアルミニウム合金を分けて処理する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
マグネシウム合金とアルミニウム合金を確実に判別する場合には、マグネシウム合金とアルミニウム合金の比重が似ているので、着火テストを行ってマグネシウム合金とアルミニウム合金を判別している。着火テストを行うことによりマグネシウム合金は着火するので、マグネシウム合金とアルミニウム合金は着火するかしないかで分けることができる。
マグネシウム合金の破砕物の裏面に識別記号が書いてあれば、作業者が識別記号でマグネシウム合金であることを判別することができる場合もあるが、細かく破砕されている場合には作業者は識別記号を確実に見ることはできない。
マグネシウム合金やアルミニウム合金には塗装が施されている場合がある。
このように、従来マグネシウム合金を他の種類の合金と区別する場合には、作業者がマグネシウム合金の表面を少量削って加熱燃焼させて燃えるかどうかの着火テストを行わなければならないという問題があり、リサイクル処理の効率が悪い。
そこで本発明は上記課題を解消し、マグネシウム合金のようなある金属部材の種類を他の種類の金属部材とは簡単かつ確実に判別することができる金属の種類判別装置および金属の種類判別方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、金属部材に当てることで前記金属部材の種類を判別するための金属の種類判別装置であり、前記金属部材に対して直接接触させるための負極部材と、前記金属部材に対して液を介して接触させるための正極部材と、前記負極部材と前記正極部材を保持する本体と、前記正極部材の周囲に前記液を有する液吸収体を保持して覆うための液吸収保持部材と、前記本体に設けられており、前記液により前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する判別部と、を備えることを特徴とする金属の種類判別装置である。
【0005】
請求項1では、負極部材は、金属部材に対して直接接触させるためのものである。正極部材は、金属部材に対して液を介して接触させる。
本体は負極部材と正極部材を保持する。
液吸収体保持部材は、正極部材の周囲に液を有する液吸収体を保持して覆っている。
判別部は、本体に設けられている。この判別部は、液により金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて、金属部材の種類を判別するものである。
これにより、負極部材を金属部材に対して直接接触させかつ正極部材を金属部材に対して液を介して接触させることにより、この液により金属部材と正極部材の間で起電力を発生させて、判別部はこの起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材には尖った先端部分を有し、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記正極部材には尖った先端部分を有している。
【0007】
請求項2では、負極部材の先端部分が、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。同様にして正極部材の尖った先端部分は、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。
これによって、負極部材と正極部材を金属部材に対して接触させるだけで、金属部材の表面の付着物を破って、金属部材の表面を直接負極部材に接触させることができる。しかも正極部材は金属部材の表面に対して液を介して確実に接触させることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の金属の種類判別装置において、前記液は食塩水であり、前記液吸収体保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている。
【0009】
請求項3では、液である食塩水が、金属部材と正極部材の間で反応して起電力を発生させる。液吸収体保持部材がフレキシブルな電気絶縁材料によるチューブ状のものであるので、正極部材を金属部材に対して一旦突き当てて金属部材の表面の付着物を破る際に、液吸収体保持部材はフレキシブルに変形することにより、正極部材の尖った先端部分を金属部材に対して確実に突き当てることができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の金属の種類判別装置において、前記本体は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する判別完了信号発生部を有する。
【0012】
請求項5では、判別部が金属部材の種類を判別した場合には、判別完了信号発生部が判別完了信号を作業者に対して発生することにより、判別作業効率を上げることができる。
【0013】
請求項6の発明は、前記金属部材に当てることで金属部材の種類を判別するための金属の種類判別方法であり、前記金属部材に対して負極部材を直接接触させるとともに、前記金属部材に対して正極部材を液を介して接触させる接触ステップと、判別部が、前記正極部材の周囲に位置している前記液を介して前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する金属種類判別ステップと、を有することを特徴とする金属の種類判別方法である。
【0014】
請求項6では、接触ステップにおいては、金属部材に対して負極部材を直接接触させるとともに、金属部材に対して正極部材を液を介して接触させる。
金属種類判別ステップでは、判別部が正極部材の周囲に位置している液を介して金属部材と正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて、金属部材の種類を判別する。
これにより、負極部材を金属部材に対して直接接触させかつ正極部材を金属部材に対して液を介して接触させることにより、この液により金属部材と正極部材の間で起電力を発生させて、判別部はこの起電力の大きさに基づいて金属部材の種類を簡単かつ確実に判別することができる。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させ、かつ前記正極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させる。
【0016】
請求項7では、負極部材の先端部分が、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。同様にして正極部材の尖った先端部分は、金属部材の表面に形成されている付着物を破るようになっている。
これによって、負極部材と正極部材を金属部材に対して接触させるだけで、金属部材の表面の付着物を破って、金属部材の表面を直接負極部材に接触させることができる。しかも正極部材は金属部材の表面に対して液を介して確実に接触させることができる。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7に記載の金属の種類判別方法において、前記液は食塩水であり、前記液吸収対保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている。
【0018】
請求項8では、液である食塩水が、金属部材と正極部材の間で反応して起電力を発生させる。液吸収体保持部材がフレキシブルな電気絶縁材料によるチューブ状のものであるので、正極部材を金属部材に対して一旦突き当てて金属部材の表面の付着物を破る際に、液吸収体保持部材はフレキシブルに変形することにより、正極部材の尖った先端部分を金属部材に対して確実に突き当てることができる。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である。
【0020】
請求項10の発明は、請求項6に記載の金属の種類判別方法において、判別完了信号発生部は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する。
【0021】
請求項10では、判別部が金属部材の種類を判別した場合には、判別完了信号発生部が判別完了信号を作業者に対して発生することにより、判別作業効率を上げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
図1と図2は、本発明の金属の種類判別装置の好ましい実施の形態を示している。
図1と図2に示す金属の種類判別装置10は、本体14、負極部材16、正極部材18、液吸収体保持部材20、判別部23、ブザー24、そして取っ手25を有している。
取っ手25はプラスチックまたは金属により作られており、取っ手25は本体14の上端部26に対して固定されている。この取っ手25は、作業者が手で握って金属の種類判別装置10の本体14を保持するための部分である。
【0024】
本体14は、たとえば金属により作られたケースであり、この本体14の中には判別部23とブザー24が収容されている。本体14は動作スイッチ27を備えている。この動作スイッチ27を作業者がT方向に操作することにより、金属の種類判別装置10の判別部23を作動させて判別作業が可能になる。
ブザー24は判別完了信号を作業者に対して発生する判別完了信号発生部である。図1と図2の実施例の場合には、ブザー24が判別完了信号である音で作業者に対して判別作業の完了を知らせるようになっている。
本体14の下端部30側には、負極部材16と正極部材18が並行に並んでT方向に突出している。
負極部材16の一端部と正極部材18の一端部が本体14側に固定されている。
【0025】
図3は、本体14と負極部材16および正極部材18などを示している。
本体14の中には、上述したように判別部23が収容されている。
負極部材16と正極部材18は、DCアンプ(直流増幅部)40に対して電気的に接続されている。このDCアンプ40は、コンパレータ43に接続されていて、DCアンプ40からの出力信号S1がコンパレータ43に入力されるようになっている。
このDCアンプ40は、負極部材16と正極部材18側から得られる起電力を直流増幅して出力信号S1としてコンパレータ43に送る。
【0026】
コンパレータ43は、出力信号S1の大きさと、予めメモリされている比較用信号の大きさと比較する。本発明の実施の形態におけるコンパレータ43には、金属部材である金属部材70の材質としてマグネシウム合金である場合の起電力の比較用信号S2と、アルミニウム合金の場合の起電力の比較用信号S3が記憶されている。したがってコンパレータ43は出力信号S1の大きさとマグネシウム合金の場合の比較用信号S2の大きさを比較したり、出力信号S1の大きさとアルミニウム合金の場合の比較用信号S3の大きさとを比較する。
たとえば、コンパレータ43は、出力信号S1の大きさが、マグネシウム合金の場合の比較用信号S2の大きさである場合には、ブザー24に対して信号S4を送りブザー24を動作させて判別完了信号S5を音として発生させる。コンパレータ43は、出力信号S1の大きさがアルミニウム合金の比較用信号S3と同じである場合には、信号S4をブザー24には送らない。
バッテリ45は、DCアンプ40、コンパレータ43およびブザー24に対して電力を供給している。
【0027】
次に、図3の負極部材16と正極部材18について説明する。
負極部材16と正極部材18は、金属の種類の判別対象である金属部材70に対して接触させるための設定用の部材である。
本発明の実施の形態では、負極部材16と正極部材18は、好ましくはそれぞれ針状の部材であり、負極部材16と正極部材18は、導電性を有する金属、たとえばステンレスにより作られている。
負極部材16と正極部材18は、円柱状の部材であり、測定側の先端部分60は、ロート状に先細り形状になっている。同様にして正極部材18も円柱状の部材であり、その尖った先端部分61は、ロート状に先細り形状になっている。
このように負極部材の先端部分60と正極部材18の先端部分61が、好ましくはそれぞれロート状に尖っているのは、金属部材70の表面71に対してたとえば塗装部分72が施されている場合に、この塗装部分72を破って金属部材70の表面71を確実に露出させるためである。
つまり先端部分60,61が塗装部分72を突き破ることにより、金属部材70の表面71を確実に露出させて、金属部材70の表面71に対して負極部材16の先端部分60を確実に直接接触させ、表面に対して液であるたとえば食塩水を介して正極部材18を間接的に接触させるようになっている。
【0028】
図3と図4に示すように、正極部材18の周囲には、液吸収体保持部材20が配置されている。この液吸収体保持部材20は、円筒状の部材であり、液吸収体保持部材20の中には、液吸収体74が収容されている。この液吸収体74は、たとえば液の一例である食塩水を吸収して保持している。液吸収体74の材質としては、たとえば不織布やスポンジなどを採用することができる。
液吸収体74の軸方向中心には、正極部材18が配置されている。したがって正極部材18、液吸収体74および液吸収体保持部材20は、同心円上に配列されている。
【0029】
図3の状態では、負極部材16と正極部材18はそれぞれ金属部材70からは離れた位置にある。
しかし図4の状態では、負極部材16と正極部材18を用いて金属部材70の種類を判別している種類判別状態を示している。
【0030】
図5は、図3と図4に示す金属の種類判別装置10を使用した場合の、金属の種類判別原理について示している。
金属部材70は被測定対象の金属部材の一例としてマグネシウム合金である。塗装部分72は、金属部材70の表面71に形成されている。
負極部材16と正極部材18に対応する位置の塗装部分72A,72Bは、負極部材16の先端部分60と正極部材18の先端部分61を押し付けることで既に押しのけて除去されている。
【0031】
金属の種類判別を行う時には、負極部材16の先端部分60は、金属部材70の表面71に直接接触させる。これに対して、正極部材18の先端部分61と金属部材70の表面71の間には食塩水77が介在されている。この食塩水77は、金属部材70と正極部材18の間に位置する電解液の一種である。
負極部材16と正極部材18から得られる起電力は、判別部23により測定される。
【0032】
図5(B)は、金属のイオン化列の一部を示している。マグネシウムMgはアルミニウムAlよりイオン化傾向が強く、アルミニウムAlは鉄(ステンレス鋼)Feよりもイオン化傾向が強い。
したがって図4において判別部23で得られる出力信号S1の値は、マグネシウムの場合が一番大きく、次にアルミニウムの値が大きい。このことから、図3におけるコンパレータ43に記憶されているマグネシウム合金の場合の起電力の比較用信号S2の大きさは、アルミニウム合金の場合における起電力の比較用信号S3の大きさに比べて大きい。
【0033】
次に、上述した金属の種類判別装置を用いて、金属の種類判別方法について説明する。
図3と図5に示すように、正極部材18側の液吸収体74には、一例として食塩水77が含ませてある。
液吸収体保持部材20は、可撓性を有しかつ電気絶縁性を有する例えばプラスチック、一例としてビニールを採用している。
図1と図3に示すように、測定前の状態では、液吸収体保持部材20と液吸収体74が正極部材18を覆っている。
【0034】
図6(A)は、種類判別測定前の状態を示しており、図6(B)は種類判別測定中の状態を示している。
図6(A)において、負極部材16の先端部分60の先端位置は、正極部材18の先端部分61の先端位置に比べてややT方向に出ている。
図7の接触ステップST1においては、図6(A)に示すように、台100の上に種類判別しようとする金属部材70を載せる。この金属部材70の表面71には塗装部分72が形成されている。
このままでは、金属部材70の表面71に対して負極部材16と正極部材18を電気的に接続することができないので、図6(B)に示すように負極部材16と正極部材18をT方向に沿って金属部材70の表面71側に突き当てる。これによって負極部材16の先端部分60と正極部材18の先端部分61に対応する塗装部分72A,72Bが押しのけられて破られる。
したがって、負極部材16の先端部分60は金属部材70の表面71に直接接触させた状態になる。正極部材18の先端部分61は金属部材70の表面71からはやや離して直接は接触させない。
このように図7の接触ステップST1では、測定針である負極部材16と正極部材18を金属部材70の表面71側に対して強く押し当てることにより、対応する塗装部分72A,72Bが破られて直接表面71を露出させることができる。
【0035】
図6(B)に示すように電解液チューブとも呼んでいる液吸収体保持部材20の先端部分81は、金属部材70の塗装部分72側に軽く当てて、しかも液吸収体74の電解液(食塩水)と表面71の接触を良くするためにU方向、すなわち左右方向に少し動かす。
正極部材18の先端部分61は、表面71よりはやや離してあるが、液吸収体74の電解液は表面71に接触している。このために、図5に示す原理図のように、正極部材18の先端部分61と金属部材70の表面71の間には、食塩水77が介在されることになる。
この状態で、正極部材18と負極部材16の間には金属部材70のマグネシウム合金に応じた起電力が発生する。
【0036】
そこで、図7の金属種類判別ステップST2に移る。
金属種類判別ステップST2では、図3に示すDCアンプ40が、この起電力を増幅して出力信号S1にする。この出力信号S1は、コンパレータ43に入る。
コンパレータ43は、出力信号S1と予めメモリされているマグネシウム合金の場合の起電力の大きさに対応する比較用信号S2とアルミニウム合金の場合の起電力の大きさに対応する比較用信号S3と比較する。
これにより、出力信号S1が、マグネシウム合金の場合における比較用信号S2に合致すると、コンパレータ43は信号S4をブザー24に送る。
したがって、ブザー24は、判別完了信号S5である音を発生して作業者に知らせる。
これによって作業者は金属部材70がマグネシウム合金であることが分かり、その判別が完了したことをブザー24の音で知ることができる。
このようにして、作業者は金属部材70の材質がマグネシウム合金であるかそうでないかを、ブザー24の音により簡単かつ確実に判別することができる。
【0037】
本発明の実施の形態において、使用している金属の種類判別装置10は、小型にできしかも軽量であるので、たとえば電子機器や自動車のリサイクル工場内のいずれの場所でも使用でき、しかも金属の種類の判別が短時間でできる。
金属部材70の表面71に塗装が施されていない場合はもちろんのこと、塗装部分72が形成されていた場合であっても、負極部材16と正極部材18は先端部分60,61を塗装部分72に押し付けることにより塗装部分72を破って金属部材70の表面71を確実に露出させることができる。このことから金属の種類判別が確実に行える。
【0038】
電解液として液吸収体74の中には食塩水を吸収させているので、使用に際して安全無害である。
従来のように着火試験を行ってマグネシウム合金かどうかを判別する必要が無いので、可燃物や爆発の危険がある粉塵などがある場所でも、本発明の金属の種類判別装置を安全に用いることができる。
金属の種類判別装置は、構造が簡単であり低コストで作成することができる。負極部材16と正極部材18はそれぞれ先細りの尖った先端部分60,61を有しているが、これに限らず先端部分60,61を設けずに、平坦にしたり丸くしたりしてもよい。
【0039】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上述した実施の形態では、判別しようとする金属部材の材質としてマグネシウム合金を例に挙げている。しかしこれに限らず起電力に差が出る複数の種類の金属における判別を行うことができる。たとえばマグネシウム合金と鉄との判別を行うことが可能である。
【0040】
判別完了信号発生部は、ブザーに限らずたとえば光の点滅であっても良いし、ブザーに代えて起電力の値を直接メーターで表示して、その数値で作業者が判別できるようにしてももちろん構わない。
液の種類としては上述した実施の形態では電解液の一例として食塩水を用いている。しかしこれに限らず液としては、酸性またはアルカリ性の容液で、金属と反応して起電力を発生するものであれば、たとえば希硫酸などを用いることができる。
負極部材16と正極部材18は、棒状体のものでなくても、先端が尖っているものであれば他の形状も採用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マグネシウム合金のようなある金属部材の種類を他の種類の金属部材とは簡単かつ確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属の種類判別装置の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の金属の種類判別装置の別の角度から見た斜視図。
【図3】本発明の金属の種類判別装置の構成例を示しており、金属の種類の判別測定の前の状態を示す図。
【図4】図3において金属の種類の判別中の状態を示す図。
【図5】本発明の金属の種類判別装置の原理的な例を示す図。
【図6】金属の種類の判別前の状態および金属の種類の判別中の状態をより詳しく示す図。
【図7】金属の種類判別方法を示す図。
【符号の説明】
10・・・金属の種類判別装置、14・・・本体、16・・・負極部材、18・・・正極部材、20・・・液吸収体保持部材、23・・・判別部、24・・・ブザー(判別完了信号発生部)、60・・・負極部材の先端部分、61・・・正極部材の先端部分、70・・・判別対象である金属部材、71・・・金属部材の表面、72・・・金属部材の塗装部分、74・・・液吸収体
Claims (10)
- 金属部材に当てることで前記金属部材の種類を判別するための金属の種類判別装置であり、
前記金属部材に対して直接接触させるための負極部材と、
前記金属部材に対して液を介して接触させるための正極部材と、
前記負極部材と前記正極部材を保持する本体と、
前記正極部材の周囲に前記液を有する液吸収体を保持して覆うための液吸収保持部材と、
前記本体に設けられており、前記液により前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する判別部と、を備えることを特徴とする金属の種類判別装置。 - 前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材には尖った先端部分を有し、前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記正極部材には尖った先端部分を有している請求項1に記載の金属の種類判別装置。
- 前記液は食塩水であり、前記液吸収体保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている請求項2に記載の金属の種類判別装置。
- 判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である請求項1に記載の金属の種類判別装置。
- 前記本体は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する判別完了信号発生部を有する請求項1に記載の金属の種類判別装置。
- 前記金属部材に当てることで金属部材の種類を判別するための金属の種類判別方法であり、
前記金属部材に対して負極部材を直接接触させるとともに、前記金属部材に対して正極部材を液を介して接触させる接触ステップと、
判別部が、前記正極部材の周囲に位置している前記液を介して前記金属部材と前記正極部材の間で反応して発生する起電力の大きさに基づいて前記金属部材の種類を判別する金属種類判別ステップと、を有することを特徴とする金属の種類判別方法。 - 前記金属部材の表面に形成されている付着物を破るために前記負極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させ、かつ前記正極部材の尖った先端部分が前記金属部材の表面に形成されている付着物を破って前記金属部材の表面を露出させる請求項6に記載の金属の種類判別方法。
- 前記液は食塩水であり、前記液吸収対保持部材はフレキシブルな電気絶縁材料によりチューブ状に作られている請求項7に記載の金属の種類判別方法。
- 判別しようとする前記金属部材は、マグネシウム合金である請求項6に記載の金属の種類判別方法。
- 判別完了信号発生部は、前記判別部が前記金属部材の種類を判別した場合に判別完了信号を発生する請求項6に記載の金属の種類判別方法。
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2002
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