JP2004091791A - インクジェットインク組成物および印刷方法 - Google Patents

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    • C09D11/328Inkjet printing inks characterised by colouring agents characterised by dyes

Abstract

【課題】 自己分散性粒子を利用するインクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】 水、湿潤剤および事前の物理的摩砕または表面改質なしに自発的にナノ粒子分散体を形成できる自己組み立て型着色剤を含んでなるインクジェットインク組成物であって、
前記着色剤が以下の式:
(A)m−Q−(Z)n
(式中、Qは発色団を表し;
Aはそれぞれ独立に、水素結合、または共有結合でない他の結合が可能な有機基または無機基を表し;
Zはそれぞれ独立に、静電結合が可能な有機基または無機基を表し;
mおよびnはそれぞれ独立に、0〜10の整数を表すが;
ただしn+mは少なくとも1である)
を有し、
さらに前記着色剤の少なくとも50質量%が粒子として前記組成物中に存在するインクジェット組成物。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、インクジェット画像のオゾン安定性および光安定性を向上させるためのインクジェットインク組成物および前記組成物を用いる印刷方法に関する。
 インクジェット印刷は、デジタル信号に応答して画像記録要素に画素ごとにインク滴を付着させることにより画像を形成する非衝撃的な方法である。画像記録要素へのインク滴の付着を制御して所望の画像を生成するために利用できる種々の方法がある。コンティニュアスインクジェットとして知られる方法では、小滴の連続流が帯電され画像記録要素の表面に像様に偏向されるが、画像化されていない小滴は集められインク溜めに返される。ドロップオンデマンドインクジェットとして知られる他の方法では、個々のインク滴が必要に応じて画像記録要素に発射され所望の画像を形成する。ドロップオンデマンド印刷においてインク滴の発射を制御する通常の方法には、圧電変換器および熱による泡形成がある。インクジェットプリンタには、工業的なラベル付けからデスクトップ文書の少量印刷および図形画像までさまざまな市場にわたって幅広い用途がある。
 種々のインクジェットプリンタに使用されるインクは、染料系または顔料系に分類できる。染料とは、キャリア媒体により分子として分散または溶媒和する着色剤である。キャリア媒体は、室温で液体または固体である。通常用いられるキャリア媒体は水または水と有機共溶媒との混合物である。個々の染料分子はそれぞれキャリア媒体の分子により取り囲まれている。染料系のインクでは、顕微鏡により粒子が観察されることはない。染料系インクジェットインクの分野で最近数多くの進歩があったが、そのようなインクには、普通紙上の低光学濃度および低耐光堅牢性という欠点が未だに存在する。キャリア媒体として水が使用される場合、一般的にそのようなインクには耐水堅牢性が低いという欠点もある。
 顔料とは、キャリア媒体に不溶であるが、小粒子の形態で分散または懸濁しており、しばしば凝集および沈澱しないように分散剤の使用により安定化されている着色剤である。そのような化合物は数多く知られており商業的に使用されている。Color Index International(Society of Dyers and Coloristsによる1997年の出版物)は、さまざまな種類の顔料を記載している。微細に分割された分散体の形態で顔料組成物を製造するのが慣例であるが、そのような分散体はボールミル摩砕のような公知の方法により生成できる。分散体の最適な特性を得るために、少なくとも1種の分散剤を用いるのが一般的であり、分散剤の選択は、許容できる顔料分散体特性を得るために重要である。分散剤の目的は、粒子を安定化し、集合および凝集による成長を防止することである。しかし、顔料表面に単に分散剤を吸着させるだけでは、そのような分散剤をめぐってインク配合体に用いられる溶媒および湿潤剤との競争が起こり、脱着につながりかねない。一般的にそのような系は、顔料の濃度、使用される湿潤剤の種類ならびに当顔料を含む配合体の温度およびpHなどへの依存性も有する。したがって、必要とされるインク安定性を提供し、インク配合体中の他の成分と適合性のある許容可能な分散剤を特定することは困難なことが多い。
 顔料系インクから得られる画像は、染料系インクから得られる画像に比べて、一般的に耐光堅牢性および耐オゾン堅牢性が高い。多孔質の画像受容層を含む記録要素とともに顔料系インクが用いられる場合に、特にこれが当てはまる。しかし、顔料系インクは、分散性、印刷特性、分散体安定性、レイテンシー、汚れおよび光沢など、組成物の調製、性能および信頼性に関する問題のため、インクジェットインクシステムにおいて幅広く受け入れられるにはいたっていない。
 顔料系インクが処方される場合、分散剤は通常微粉砕または物理的な粉砕工程とともに用いられる。別法としては、微粉砕の後、顔料表面を化学改質して、粒子が水性配合体に分散可能となるようにしてもよい。しかし、これらの技法にも、時間がかかり不経済であるという点で問題がある。顔料の画像耐久性を有するが微粉砕を必要としない代替着色剤を見つけられれば望ましい。
 米国特許第5,922,118号明細書、欧州特許公開公報第0904327号明細書および国際公開WO9747699号明細書は、表面改質された顔料を開示しており、そのような表面改質は、顔料の分散性を向上させるイオン性基またはイオン化可能な基を含んでなる。しかし、これらの顔料でも微粉砕工程を必要とする。
 欧州特許公開公報第1146094号明細書は、キナクリドンモノスルホン酸の塩とキナクリドン顔料の混合物からなる塗料およびインク用顔料組成物を記載している。この資料のキナクリドンモノスルホン酸誘導体は水溶性ではなく、顔料組成物は許容可能な分散体を得るために機械的な微粉砕を必要とする。
 米国特許第6,066,203号明細書および同第5,368,641号明細書は、上記の欧州特許公開公報第1146094号明細書に記載されたのと類似なキナクリドン顔料分散体の処方に使用するためのキナクリドンのモノおよびビススルファモイル(−SO2NRR')誘導体(それぞれ)を記載している。
米国特許第5,368,641号明細書 米国特許第5,922,118号明細書 米国特許第6,368,641号明細書 欧州特許公開公報第1146094号明細書 国際出願公開WO97/47699明細書
 本発明の目的は、微粉砕または摩砕を必要とせず、分散剤の使用を必要としない、自己分散性粒子を利用するインクジェットインク組成物を提供することである。
 本発明の他の目的は、前記組成物を使用するインクジェット印刷方法を提供することである。
 この目的および他の目的は、
水、湿潤剤および事前の物理的摩砕または表面改質なしに自発的にナノ粒子分散体を形成できる自己組み立て型着色剤を含んでなるインクジェットインク組成物であって、
前記着色剤が以下の式:
(A)m−Q−(Z)n
(式中、Qは発色団を表し;
Aはそれぞれ独立に、水素結合、または共有結合でない他の結合が可能な有機基または無機基を表し;
Zはそれぞれ独立に、静電結合が可能な有機基または無機基を表し;
mおよびnはそれぞれ独立に、0〜10の整数を表すが;
ただしn+mは少なくとも1である)
を有し、
さらに前記着色剤の少なくとも50質量%が粒子として前記組成物中に存在するインクジェット組成物を含んでなる本発明により達成される。
 本発明のもう一つの態様は、
A)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを用意する工程;
B)前記プリンタに、画像受容層を上に有する支持体を含んでなるインクジェット記録要素を装填する工程;
C)前記プリンタに、上述のインクジェットインク組成物を装填する工程;および
D)デジタルデータ信号に応答して、前記インクジェットインクを用いて前記画像受容層上に印刷する工程
を含んでなるインクジェット印刷方法に関する。
 大気汚染物質および光に対するインクジェット画像の安定性が、本明細書に記載した組成物を用いて改善されることが見出された。
 本発明の着色剤の発色団(Q)は、通常用いられる染料および顔料発色団の種類のいずれから選択してもよい。特に、静電結合、ファンデアワールス相互作用、水素結合、疎水性相互作用、双極子−双極子相互作用、双極子−誘起双極子相互作用、ロンドン分散力、カチオン−π相互作用などの非共有結合性の強力な分子間結合力により自己組み立てできる種類が特に好ましい。自己組み立ては、自己補足性および相互補足性成分から多分子凝集体を可逆的かつ自発的に形成する過程である。そのような種類の例には以下の発色団がある:金属および金属非含有フタロシアニン;アントラキノン;ナフトキノン;キナクリドン;キノフタロン;インディゴ;チオインディゴ;ペリレン;ジオキサジン;1,4−ジケトピロロピロール;アントラピリジン;アントラピリミジン;アントアントロン;フラバントロン;インダントロン;イソインドリン;イソインドリノン;ペリノン;ピラントロン;ポルフィリンおよびアゾ化合物。
 本発明の好ましい態様において、前記着色剤は、事前の摩砕または他の高エネルギー分散技法あるいは事前の表面改質なしに前記着色剤が水性キャリア液体中でナノ粒子分散体を自発的に形成するような比率の、有機または無機の水溶化基または静電結合可能な基(Z)および/または水素結合または非共有結合性の他の結合が可能な有機または無機の親水性非イオン性基(A)の混合物により置換されている。イオン性水溶化基(Z)は、スルホネート、スルフィネート、ホスホネートまたはカルボキシレートなどのアニオン性でもよく;アンモニウム、置換アンモニウム、ピリジニウム、アミジニウムまたはグアニジニウムなどのカチオン性でもよい。前記非イオン性親水性基(A)は、ヒドロキシ基、糖残基、ポリエチレンオキシドなどのポリオキシアルキレン基、スルファモイル基またはカルバモイル基およびそのモノおよびジ置換誘導体、テトラヒドロフラン、イミダゾールなどの複素環式部分あるいはアルキルスルホニル基となることができる。
 特に好ましい態様において、イオン性水溶化基(Z)はスルホネート基であり、非イオン性親水性基(A)はモノまたはジ置換スルファモイル基である。
 特に好ましい着色剤の種類は、以下の式を有するフタロシアニンおよびキナクリドンであり:
フタロシアニン
           MPc(SO3X)a(SO2NRR')b
上式において、
Mは金属を表し;
Pcはフタロシアニン核を表し;
Xは、水素あるいはNa、Liまたはアンモニウムなどのアルカリ金属または有機カチオンを表し;
aは0〜3であり;
Rは、炭素数1〜15の置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基あるいは置換または非置換複素環式基を表し;
R'はRまたは水素を表すが;
ただしa+bは平均で2〜4である。
 本発明の特に好ましい態様において、上式中のRは、ヒドロキシ基を含む炭素数1〜15の置換または非置換アルキル基、ヒドロキシ基を含む置換または非置換アリール基あるいはヒドロキシ基を含む置換または非置換複素環式基を表す。他の態様において、上式中のMは、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄またはコバルトを表す。他の別の好ましい態様において、上式中のRは、CH2CH2OHを表す。他の別の好ましい態様において、MはCuまたはNiであり、RはCH2CH2OHである。
Figure 2004091791
 上式において、
1はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;ハロゲン;シアノ;ニトロ;カルバモイル;炭素数1〜6のアルキルカルバモイル基;炭素数1〜6のジアルキルカルバモイル基を表し;
2およびR3は独立に、Hあるいはヒドロキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルコキシカルボニルおよびアシロキシから選択される1つまたは複数の基により任意に置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し;
2およびR3は結合して5員〜7員の複素環を形成していてもよく;
+は、アルカリ金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、ピリジニウムまたは置換ピリジニウムを表し;
xは0〜4の整数を表す。
 他の好ましい態様において、前記着色剤の少なくとも70質量%、より好ましくは80質量%が、粒子として前記組成物中に存在する。他の好ましい態様において、前記粒子はその大きさが0.3μm未満であり、より好ましくは0.1μm未満である。
 本発明の他の態様において、使用可能な金属化フタロシアニン着色剤には以下のものがある。
Figure 2004091791
Figure 2004091791
 フタロシアニン核の求電子置換または構築により、生成物の混合物が得られる。各芳香環において、以下の一般的な構造に示すとおり、置換は、等価である4位または4a位のいずれかで起きることができ、あるいは等価である3位または3a位のいずれかで起きることができる。
Figure 2004091791
 表Iaの「置換」欄は以下に示す意味である。「4,4',4'',4'''」:置換が起こって、各芳香環の4または4a位に1つの置換基を与えている;「ランダム」:置換が起こる場合、置換基は各芳香環の3、4、4aまたは3a位のいずれかに存在する。
 着色剤A組成物は、着色剤1〜4の混合物が主成分であり、着色剤1〜4の位置異性体を含む。
 着色剤B組成物は、着色剤5〜13の混合物が主成分であり、着色剤5〜13の位置異性体を含む。
 着色剤C組成物は、着色剤14〜17の混合物が主成分であり、着色剤14〜17の位置異性体を含む。
 本発明の他の態様において、使用できるキナクリドン着色剤には以下のものがある。
Figure 2004091791
 上述の着色剤は、所期の目的に有効であるどのような量でも使用できる。一般的に、着色剤が0.2〜10質量%の量で存在し、湿潤剤が5〜70質量%の量で存在し、残りが水である場合に良好な結果が得られた。所望の場合、染料をインクジェットインク組成物に加えてもよい。
 本発明に使用されるインクジェット記録要素の支持体は、インクジェット受容体のために通常使用されるもののいずれでもよく、紙、樹脂コート紙、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルタイプの樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル樹脂、セロハン、アセテートプラスティック、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルジアセテートなどのプラスティック、種々のガラス材料ならびに2000年8月29日に出願された係属中の米国特許出願番号09/656,129に記載の微細空孔ポリエステルなどの微孔材料、Teslin(商標)という商品名でペンシルバニア州ピッツバーグのPPG Industries,Inc.により販売されているポリエチレンポリマー含有材料、Tyvek(商標)合成紙(DuPont Corp.)およびOPPalyte(商標)フィルム(Mobil Chemical Co.)および米国特許第5,244,861号明細書に列記された他の複合フィルムがある。本発明に使用される支持体の厚さは、例えば12〜500μmであり、好ましくは75〜300μmである。
 所望の場合、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤および他の公知の添加剤を支持体に取り込んでもよい。好ましい態様では、紙が用いられる。
 本発明の好ましい態様において、インク受容層は多孔質であり、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、粘土、炭酸カルシウム、硫酸バリウムまたは酸化亜鉛などの無機粒子を含む。他の好ましい態様において、多孔質インク受容層は、30質量%〜95質量%の無機粒子および5質量%〜70質量%のゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノンまたはポリビニルアセテートなどのポリマー性バインダーを含んでなる。多孔質インク受容層は、米国特許第5,374,475号明細書および同第4,954,395号明細書に示されるとおり、無機フィラー粒子なしで、有機ビーズまたはポリマー性微孔構造を含んでもよい。
 画像受容層に使用できるバインダーの例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチルオキサゾリン、脱イオンされたないまたは脱イオンされたIV型骨ゼラチン、酸処理オセインゼラチンまたは豚皮ゼラチンがある。0.4〜30g/m2、好ましくは1〜16g/m2の量で親水性ポリマーが存在してもよい。
 本発明の水性インク組成物のpHは、有機または無機の酸または塩基を加えることにより調整できる。有用なインクは、使用される染料の種類により、2〜9の好ましいpHを有する。典型的な無機酸には、塩酸、リン酸および硫酸がある。典型的な有機酸には、メタンスルホン酸、酢酸および乳酸がある。典型的な無機塩基には、アルカリ金属水酸化物および炭酸塩がある。典型的な有機塩基には、アンモニア、トリエタノールアミンおよびテトラメチルエチレンジアミンがある。
 1種または複数の湿潤剤を本発明のインクジェット組成物に使用して、インクの乾燥およびプリントヘッドのオリフィスへの固まりつきを防ぐことができる。使用できる湿潤剤の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールおよびチオグリコールなどの多価アルコール;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルまたはジエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、アルキレングリコールから誘導される低級アルキルモノエーテルまたはジエーテル;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの窒素含有環式化合物;ならびにジメチルスルホキシドおよびテトラメチレンスルホンなどの硫黄含有化合物がある。本発明の組成物に好ましい湿潤剤は、ジエチレングリコール、グリセロールおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
 支持体が高度にサイジング処理を施してある紙の場合は特に、水混和性有機溶媒を本発明の水性インクに加えてインクが受容支持体に浸透するのを助けてもよい。そのような溶媒の例には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、フルフリルアルコールおよびテトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトンおよびジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトアルコール;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル;ならびにエチルラクテート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどのエステルがある。
 界面活性剤を添加して、インクの表面張力を適切なレベルに調整してもよい。界面活性剤はアニオン性でも、カチオン性でも、両親媒性でも、非イオン性でもよい。本発明のインク組成物に好ましい界面活性剤は、最終濃度0.1%〜1.0%でのSurfynol(商標)465(Air Products製)である。
 殺生物剤を本発明の組成物に加えて、水性インク中の糸状菌、真菌などの微生物の繁殖を抑制することができる。本発明のインク組成物に好ましい殺生物剤は、最終濃度0.05〜0.5質量%でのProxel(商標)GXL(Zeneca Specialties Co.製)である。
 本発明の典型的なインク組成物は、例えば以下の構成要素を質量基準で含んでなる:着色剤(0.2〜5%)、水(20〜95%)、湿潤剤(5〜70%)、水混和性共溶媒(2〜20%)、界面活性剤(0.1〜10%)、殺生物剤(0.05〜5%)およびpH調整剤(0.1〜10%)。
 本発明のインクジェットインク組成物に任意に存在してもよい追加の添加剤には、増粘剤、導電性上昇剤、焦げ付き防止剤、乾燥剤および消泡剤がある。
 本発明の組成物を用いる方法に使用される画像記録層は、さまざまな公知の添加剤を含んでもよく、そのような添加剤には、非閉塞特性および耐汚れ性に寄与する目的の二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカおよび架橋ポリメチルメタクリレートなどのポリマー性ビーズまたはポリスチレンビーズなどの艶消し剤;非イオン性の炭化水素またはフッ化炭素界面活性剤あるいは四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤などの界面活性剤;蛍光染料;pH調整剤;消泡剤;滑剤;保存剤;粘度調整剤;色止め剤;防水剤;分散剤;紫外線吸収剤;防かび剤;媒染剤:帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤などがある。所望の場合、硬膜剤をインク受容層に加えてもよい。
 支持体へ画像記録層をよく付着させるために、画像記録層を適用する前に、支持体の表面にコロナ放電処理などの処理を施してもよい。
 さらに、ハロゲン化フェノールまたは部分加水分解塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーから形成された層などの下塗り層を支持体の表面に塗布して、画像記録層の付着を向上させてもよい。下塗り層が使用される場合、その厚さ(すなわち乾燥塗膜の厚さ)が約2μm未満であるのがよい。
 画像記録層は、所期の目的に有効ないかなる量でも存在することができる。一般的に、画像記録層が2〜46g/m2、好ましくは6〜16g/m2の量で存在する場合に良好な結果が得られ、これは乾燥厚さで2〜42μm、好ましくは6〜15μmに相当する。
 以下の例は本発明を説明するために提供されている。
 着色剤A組成物の合成
 着色剤A組成物は、特許公開2000−303009公報に従い作成した銅(II)フタロシアニン4,4',4'',4'''−テトラスルホン酸またはその塩から調製した。
 銅(II)フタロシアニン4,4',4'',4'''−テトラスルホン酸(5g)をスルホラン(100ml)に懸濁させ、塩化チオニル(100ml)を一度に加え、その後ジメチルホルムアミド(0.5g)を加えた。混合物を48時間還流し、不溶分を濾過して除き廃棄し、ロータリーエバポレーターを用いて余分な塩化チオニルを蒸発させた。次いで、攪拌し反応温度を45℃と55℃の間に保ちながら、ジエタノールアミン(19g)を加えた。55℃で2時間攪拌した後、得られた反応混合物にジイソプロピルエーテル(250ml)を加え、室温で2時間攪拌した。無色の層を静かに注ぎだし、イソプロピルアルコール(250ml)を加えた。混合物を室温で6時間攪拌した。沈澱を濾過し、70℃のエタノール(200ml)で洗浄し、減圧乾燥すると、着色剤A組成物(4.3g)が得られた。
 着色剤B組成物の合成
 着色剤B組成物は、Tricon Inc.から市販の水溶液を凍結乾燥して得られたスルホン化銅フタロシアニン染料、Direct Blue 199を出発物質として使用した点以外、着色剤A組成物と同様に製造した。
 着色剤C組成物の合成
 着色剤C組成物は、ニッケル(II)フタロシアニン4,4',4'',4'''−テトラスルホン酸を出発物質として使用した点以外、着色剤A組成物と同様に製造した。
 着色剤D組成物の合成
 10gのキナクリドン(Clariant Corporationから市販のPV Fast Red ESB)を、窒素雰囲気下で、15℃より低温で数回に分けて100gのクロロスルホン酸に加えた。得られた紫色溶液を80℃の油浴で3時間加熱し、5mLの塩化チオイルを加え、さらに2時間80℃に加熱した。反応混合物をロータリーエバポレーターに移し、揮発成分を50℃で除去した。残渣を室温まで冷まし、よく攪拌しながら400gの氷をゆっくりと加えた。得られた赤燈色の固体を濾過により回収し、冷水ですすいだ。固体の塊を終夜風乾し、乳鉢と乳棒で粉砕して、アセトンに懸濁させ、濾過すると粗キナクリドンビススルホニルクロライドが得られた。
 上記の粗スルホニルクロライド10gを、数回に分けて15℃より低温で、9.2gのジエタノールアミンを100mLのDMFに溶かした溶液に加えた。得られた懸濁液を室温で3時間攪拌し、攪拌しながら400mLのメタノールに加えた。固形生成物を濾過により回収し、メタノールですすいだ。メタノール−DMF可溶分は、主にキナクリドンビススルホネートである。粗生成物を、50mLの温DMFへの再懸濁、100mLのメタノールによる希釈、室温までの放冷および濾過により、さらに精製した。固形分を乳鉢と乳棒で粉砕し、アセトニトリルに懸濁させると、10.2gの赤燈色の固体が得られた。質量分析およびHPLC分析により、生成物の主成分は着色剤37であり、ビススルホネートおよびビス(ジエタノールスルホンアミド)生成物が痕跡量あることが示された。
 受容要素
 多孔質画像受容層を備えている以下の市販の受容要素を使用した。
 受容要素1
 Kodak Professional Inkjet Products,Instant−Dry Photographic Glossy Paper,カタログ番号8987752。
 受容要素2
 Konica Photo Quality Ink Jet Paper QP,番号:KJP−LT−GH−15−QPPI。
 インク調製
 サーマルヘッドプリンタ、Lexmark Z51(商標)を用いて上記の受容要素に印刷したとき、約1.2〜1.4の最大濃度を得られるようにインクを配合した。配合物中の着色剤濃度は、他の濃度の被覆量が得られるようにも調整可能であった。Mutoh 4100(商標)ワイドフォーマットプリンタを用いてピエゾヘッドにより印刷するためのインクについては以下に記載する。
 サーマルシアンインク配合物
 1)着色剤C組成物から調製するインク
 着色剤C組成物(0.338g)を、水(2g)ならびにグリセロール(37質量%)、ジエチレングリコール(12.5%)およびブトキシトリグリコール(14%)を水(100%まで)に溶かした溶液(5g)とともに終夜攪拌した。固形物がなくなったら、さらに水(2.66g)を加えて10gのインクとした。このインクを0.45μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタパッドに通して濾過し、Lexmarkカートリッジに装填して、Lexmark Z51(商標)プリンタを用いて印刷した。
 2)着色剤C組成物/Direct Blue 199(Tricon,Inc. Green Shade 1837−P)混合物から調製したインク
 着色剤C組成物(0.169g)およびDB−199コンセントレート(1.171g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製した。
 3)着色剤A組成物から調製したインク
 着色剤A組成物(0.21g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製し、最大濃度約1.0に印刷した。
 4)着色剤B組成物から調製したインク
 着色剤B組成物(0.21g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製し、最大濃度約1.0に印刷した。
 Direct Blue 199(Tricon,Inc.Green Shade 1837−P)から調製した比較インクC−1
 DB−199染料水性コンセントレート(2.342g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製した。
 Avecia Pro−Jet TM Fast Cyan 2(液体)から調製した比較インクC−2
 染料水性コンセントレート(1.523g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製した。
 Bayer Bayscript Cyan BA TM から調製したインクC−3
 染料水性コンセントレート(0.9g)から、1)と同様に10gのインク試料を調製した。
 ピエゾライトシアンインク組成物
 これらは、粘度が2.8〜3.0cpの範囲になるように調製し、pHが約8.1になるように調整した。
 5)着色剤A組成物から調製したインク
 80gのインクを得るために、着色剤A組成物(1.6g)を、グリセロール(3.44g)、ジエチレングリコール(6.8g)、ブトキシトリグリコール(6.4g)、2−ピロリジノン(3.44g)および水(58.32g)の混合物とともに終夜攪拌した。混合物のpHを測定し、トリエタノールアミンの希溶液を注意深く添加してpHを8.18に調整した。混合物を0.45μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタパッドに通して濾過し、Mutoh 4100(商標)ワイドフォーマットプリンタを用いて印刷するために装填した。
 6)着色剤B組成物から調製するインク
 このインクは、染料(1.6g)、グリセロール(8.0g)、ジエチレングリコール(8.0g)、ブトキシトリグリコール(6.4g)および水(56.0g)を使用した以外、上記の5)と同様に調製した。
 Avecia Pro−Jet TM Fast Cyan 2(液体)から調製した比較インクC−4
 このインクは、染料コンセントレート(6%染料、16g)、グリセロール(9.4g)、ジエチレングリコール(10.8g)、ブトキシトリグリコール(5.6g)および水(38.2g)を使用した以外、上記の5)と同様に調製した。
 サーマルマゼンタインク配合物
 7)着色剤D組成物から調製したインク
 着色剤D組成物(0.817g)を、水(2g)ならびにテトラエチレングリコール(30質量%)、2−ピロリジノン(16%)および1,2−ヘキサンジオール(14%)を水(100%まで)に溶かした溶液(5g)とともに終夜攪拌した。さらに、水(1.68g)およびトリエタノールアミン(0.5g)を加えて、10gのインクとした。このインクを0.45μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタパッドに通して濾過し、Lexmarkカートリッジに装填しLexmark Z51(商標)プリンタを用いて印刷した。
 米国特許第6,152,968号明細書の実施例2(構造を以下に示す)から調製した比較インクC−5
Figure 2004091791
 この着色剤(0.937g)、水(2g+1.56g)、トリエタノールアミン(0.5g)ならびにテトラエチレングリコール(30質量%)、2−ピロリジノン(16%)および1,2−ヘキサンジオール(14%)を水(100%まで)に溶かした溶液(5g)から、7)と同様に10gのインク試料を調製した。
 評価
 2種のインクジェット受容要素を用いて種々のテスト指標を印刷し、100%ドット付着量から25%ドット付着量未満までのさまざまな濃度レベルのパッチ(約10mm平方)の観察を行った。次いで、印刷した試料に、種々の条件下で画像安定性試験を行った。これらの試験を次に述べる。典型的には、新しい試料上の100%および75%ドット付着量(または他の)のステータスAレッド(シアン用)またはグリーン(マゼンダ用)反射濃度を、X−Rite 820(商標)デンシトメータを用いて測定し、レシーバの色に対して校正し、記録した。その試料に、以下で述べる試験を行い再読み取りした。新しい試料に対する、残存する染料濃度のパーセンテージを計算し、特定のレシーバでの着色剤の堅牢性の尺度とした。これらのデータを以下の表に示す。
 大気汚染物質試験
 印刷した試料を、5ppmのオゾンを含む一定の空気を含み相対湿度が約50%である、室温に保たれた暗いチャンバーに据えた。24時間後試料を取り除いた。結果を以下の表に示す。
 高照度模擬昼光退色(HID)試験
 試料を、温度および湿度が調整されているチャンバーに取り付け、それを昼光の分光特性に合うように設計された、フィルター付きのキセノン光源から照射される50Kluxの光に2週間暴露させた。結果を以下の表に示す。
 サーマルヘッドを用いる試験画像の印刷
 サーマルヘッドを用いて印刷するために、上記で調製したインク1〜4、7およびC−1〜C−3、C−5を空のLexmarkインクカートリッジ、番号15MO120に入れ、Lexmark Z51(商標)プリンタのインクステーションに取り付けた。これらのインクを受容要素1および2の上に印刷した。その結果を表2〜4に示す。
Figure 2004091791
 上記の結果は、いずれの受容要素においても、本発明のインク組成物1および2が、比較インク組成物に比べ、耐光堅牢性および耐オゾン堅牢性において著しく向上していることを表している。
Figure 2004091791
 上記の結果は、いずれの受容要素においても、本発明のインク組成物3および4が、比較インク組成物C−1、C−2およびC−3に比べ、耐光堅牢性および耐オゾン堅牢性において著しく向上していることを表している。
Figure 2004091791
 上記の結果は、いずれの受容要素においても、トリエタノールアミンを使用してもしなくても本発明のインク組成物7が、比較インク組成物C−5に比べ、光による退色およびオゾンなどの大気汚染物質による退色の両方に対する安定性において著しく向上していることを表している。
 ピエゾヘッドを用いる試験画像の印刷
 ピエゾヘッドを用いて印刷するために、インクC−4、5および6を空のインク袋に入れ、残っている空気をガス抜きにより除去し、前記袋をMutoh 4100(商標)プリンタの区画に取り付けた。以下の結果が得られた。
Figure 2004091791
 上記の結果は、本発明のインクが耐光堅牢性および耐オゾン堅牢性に関して比較インクより良いことを示している。
 顕微鏡法によるインク中の本発明の着色剤の物理的性状
 4種のサーマルインク試料(1〜3およびC−1)を、加速電圧200または100kVで運転しているJEM−2000FX(商標)を用いて透過型電子顕微鏡法により、そしてOlympus BX30(商標)顕微鏡を用いて最高1000倍の倍率で光学顕微鏡法により分析した。インク組成物の直接顕微鏡観察には、200メッシュアルミニウムTEMグリッド(SPI Inc.,West Chester,PA 19381)に支持された炭素膜上にインクの小滴を広げることにより好適な試料を調製した。Reichert FCS(商標)低温アタッチメントおよびダイヤモンドナイフを備えたReichert Ultracut S(商標)ミクロトームを用いた低温切片標本製作法により調製した好適な切片試料を用いて、本発明で示した受容要素上に書かれたインクの補足観察を行った。小面積組成分析は、直径で約20nmの合焦電子ビームを用いるエネルギー分散分光法(EDS)により実施した。利用した方法は、発行されている成書に概説されている標準的な分析技法にしたがった(例えば、「Principles of Analytical Electron Microscopy」、第4章および5章、D.C.Joy,A.D.RomigおよびJ.I.Goldstein編、Plenum Press,New York、1989を参照されたい)。
 インク1の場合、TEM分析により、前記インクが、ほとんどが球形の島であるが、所々に不規則な形状の小面を持つ粒子からなる不均一な微細構造を含んでいることが明らかになった。前者は、TEMで均一なコントラストを示すが、これは非晶質の固体であることを表しており、約10nm〜20nmであることが見出された。さらにこれらの島は、非晶質の着色剤固体の凝集体を含んでなることが分かり、それゆえ個々の着色剤粒子より大きい。小面のある粒子は、結晶性を表す白黒のコントラストを示し、約40〜100nmであった。島と粒子の両方は、EDSによりNiおよびSを含むことが分かったが、これは着色剤組成と一致している。受容要素1に書かれたインクに関しては、TEM観察により、表面に付着した着色剤のはっきりとした層が示された。Lexmark Z51(商標)プリンタを使用した100%ドット付着量では、この層の厚さは約0.1μm±0.05μmであった。補足的方法では、光学顕微鏡観察により、着色剤が受容要素に著しく浸透してはおらず、表面に薄層として閉じこめられていることが分かった。顕微鏡データおよび組成データを合わせると、インクは非晶質および結晶性着色剤のナノ粒子分散体を含んでいることを示している。これらの特性は、比較インクC−1に見られる特性とは明らかに異なっている。
 インク2の場合、インク1と同様なTEM結果が見出された。インク分散体は、ほとんどが球形の島であるが、所々に不規則な形状の小面を持つ粒子からなっていた。前者は、TEMで均一なコントラストを示し、その非晶質性を表しており、大きさは約10〜20nmであることが分かった。さらに、これらの島は非晶質の着色剤固体の凝集体を含んでなっていることが分かり、それゆえ個々の着色剤粒子より大きい。後者は、白黒のコントラストを示し、その結晶性マトリックスを表しており、その大きさは約40〜100nmであった。島と粒子の両方は、EDSで分析するとNi、CuおよびSを含むことが分かり、着色剤組成と一致している。受容要素1に書かれたインクに関しては、TEM観察により、表面に付着した着色剤のはっきりとした層が示された。Lexmark Z51(商標)プリンタを使用した100%ドット付着量では、この層の厚さは約0.1μm±0.05μmであった。補足的方法では、光学顕微鏡観察により、着色剤が受容要素に著しく浸透してはおらず、表面に薄層として閉じこめられていることが分かった。顕微鏡データおよび組成データを合わせると、インクは非晶質および結晶性着色剤のナノ粒子分散体を含んでいることを示している。これらの特性は、比較インクC−1に見られる特性とは明らかに異なっている。
 インク3の場合、TEM分析により、インク1および2の特性に類似した微細構造特性を示すことが明らかになった。前記インクは、球形固形物の島および不規則な形状の小面を有する粒子からなっていた。前者は、TEMで均一なコントラストを示し、その非晶質マトリックスを表しており、その大きさは10〜20nmであると分かった。さらにこれらの島は、非晶質の着色剤固形物の凝集体を含んでなっていることが分かり、それゆえ個々の着色剤粒子より大きい。後者は白黒のコントラストを示しており、その結晶マトリックスを表しており、約40〜100nmであった。島と粒子の両方は、EDSの分析によりCuおよびSを含むことが分かり、その着色剤組成と一致している。受容要素1に書かれたインクに関しては、TEM観察により、表面に付着した着色剤のはっきりとした層が示された。Lexmark Z51(商標)プリンタを使用した100%ドット付着量では、この層の厚さは約0.1μm±0.05μmであった。補足的方法では、光学顕微鏡観察により、着色剤が受容要素に著しく浸透してはおらず、表面に薄層として閉じこめられていることが分かった。顕微鏡データおよび組成データを合わせると、インクは非晶質および結晶性着色剤のナノ粒子分散体を含んでいることを示している。これらの特性は、比較インクC−1に見られる特性とは明らかに異なっている。
 インクC−1の場合、炭素膜上に広げ乾燥すると、インクがその形態において均一であり認識できるほどの微細構造の特徴がないことをTEMデータが示した。光学顕微鏡の観察では、この乾燥したインクはシアン色を示し、均一な膜を形成した。受容要素1および2に印刷された場合、切片TEMデータにより、表面に固形の付着物がないことが明らかになった。切片OM観察により、この着色剤が受容要素内に著しく浸透したことが示された。これらの観察は、インク付着プロセスの後受容要素内に浸透できる可溶性染料系インクの特性と一致している。
 インク中の本発明の着色剤の遠心分離による物理的性質
 インク試料3、4、C−1およびC−3を遠心分離管に入れ、Beckman Ultra Centrifuge(商標)を用い、20℃で60,000rpmの条件で24時間遠心分離にかけた。遠心分離の前後に、遠心分離管の上部5mmから、100μLの試料を採取した。これらの試料を同じ希釈率で脱イオン水により希釈したが、その希釈率は、遠心分離前に採った試料の可視スペクトルを測定するとき見られる吸光度の範囲が分光計の範囲にはいるようにした。各試料について、遠心分離前に400nmと700nmの間の最大スペクトル吸光度(D1)を記録し、遠心分離後のその波長での吸光度(D2)と比較した。パーセンテージで表したこれらの値の比D2/D1は、溶解状態で存在するインク中の着色剤の質量分率を示す指標である。したがって、100−(D2/D1)%という値は、粒子の形態である着色剤の質量分率を示す指標である。これらの結果を以下の表6に示す。
Figure 2004091791
 同様な実験を、本発明の着色剤組成物7(着色剤Dからトリエタノールアミンなしで製造)および比較のC−5を用いて行った。結果を以下の表7に示す。
Figure 2004091791
 以上の結果は、本発明のインク組成物において、着色剤が、遠心分離されると沈澱できる粒子として主に存在することを示しており、比較インク組成物とは異なっている。

Claims (2)

  1.  水、湿潤剤および事前の物理的摩砕または表面改質なしに自発的にナノ粒子分散体を形成できる自己組み立て型着色剤を含んでなるインクジェットインク組成物であって、
    前記着色剤が以下の式:
    (A)m−Q−(Z)n
    (式中、Qは発色団を表し;
    Aはそれぞれ独立に、水素結合、または共有結合でない他の結合が可能な有機基または無機基を表し;
    Zはそれぞれ独立に、静電結合が可能な有機基または無機基を表し;
    mおよびnはそれぞれ独立に、0〜10の整数を表すが;
    ただしn+mは少なくとも1である)
    を有し、
    さらに前記着色剤の少なくとも50質量%が粒子として前記組成物中に存在するインクジェット組成物。
  2.  A)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを用意する工程;
    B)前記プリンタに、画像受容層を上に有する支持体を含んでなるインクジェット記録要素を装填する工程;
    C)前記プリンタに、上述のインクジェットインク組成物を装填する工程;および
    D)デジタルデータ信号に応答して、前記インクジェットインクを用いて前記画像受容層上に印刷する工程
    を含んでなるインクジェット印刷方法。
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