JP2004090962A - 卵収容トレイ及びそれを用いる卵収容容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】多数個の卵を収容し、荷造りが容易で、剛性を有する、搬送に好適で、回収し洗浄再使用可能な卵収容トレイおよび収容容器を提供すること。
【解決手段】列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる多数個の卵収容凹部(4)を設けたトレイ状容器であり、該凹部を仕切る格子状の仕切り壁(5)が十文字に交差する位置(12)を交互に仕切り壁の高さ(d1)より高い高さ(d2)の低い突起状部(6)とトレイの周縁部(3)の高さ(d0)より高い高さ(d3)であり、d2+d3≒2d0である高さの高い突起状部(7)であることを特徴とする卵収容トレイおよびよび該トレイを裏返しに重ねる卵収容容器。
【選択図】図1
【解決手段】列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる多数個の卵収容凹部(4)を設けたトレイ状容器であり、該凹部を仕切る格子状の仕切り壁(5)が十文字に交差する位置(12)を交互に仕切り壁の高さ(d1)より高い高さ(d2)の低い突起状部(6)とトレイの周縁部(3)の高さ(d0)より高い高さ(d3)であり、d2+d3≒2d0である高さの高い突起状部(7)であることを特徴とする卵収容トレイおよびよび該トレイを裏返しに重ねる卵収容容器。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卵収容トレイ及びこのトレイを組み合わせてなる卵収容容器に関する。より詳しくは、卵の搬送および販売に用いる卵収容トレイ、又は多数個の卵を繰り返し搬送可能なシステムに好適に使用できる卵収容トレイ、及び該トレイを組み合わせて構成する卵収容容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏卵を始めとして、卵は人体に必要な栄養素を万遍なく含む、極めて優れた食品であり、一般家庭における食生活に広く採り入れられている。
また、ケーキ、クッキー等の菓子類やマヨネーズ等の製菓、製パン、乳製品、肉製品等の各種加工食品、さらに例えば卵黄を用いる健康食品、さらには医薬品原料として、大量かつ広く利用されている。
このような卵を、販売するため、または搬送するのに用いられる卵容器は、各種店舗で一般の消費者への販売に用いられている、合成樹脂シートを真空成形やブロー成形した卵容器や、パルプモールドの卵容器が広く知られている。
特に、多数個の卵の搬送にはパルプモールドのトレイや、ポリスチレン又はポリエチレン製の容器が利用されている。
これらの容器は、それぞれに特徴を有し、例えば、多数個の卵の重みで変形し難いように工夫された合成樹脂シートを成形して得られる卵容器が提案されている(特開2002−037369)。合成樹脂シートを成形し多数個を収容しようとする卵容器では、素材の性質に由来して剛性が低いため、上記の提案された容器では本体と蓋体のそれぞれの周縁部に補助接合部を設け、本体に蓋体が被せられたときに接合部が互いに接合するように特別の工夫を施して剛性を補おうとするものである。また、パルプモールドの鶏卵トレイは合成樹脂シートを成形した容器に比べ剛性に優れているが、製造コストが高い。
また、これらの容器では回収再利用に配慮された、ないしは適応した材料ではないので、その回収・廃棄処分には苦慮しているのが現状である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に多数個の鶏卵を販売、搬送するに好適な卵収容トレイおよび卵収容容器を提供することである。すなわち、トレイそれ自体が低コストで製造可能であり、また、卵を収容して持ち運ぶ時、さらには多数個を搬送するために一括して搬送箱に収納し搬送する時、取り扱いが極めて容易であり、さらには回収し、殺菌消毒・洗浄する回収・再利用処理が容易であり、さらには抗菌性を有し衛生上好ましく、また廃棄処分処理にも環境汚染のない卵収容容器を提供することである。
【0004】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討し、列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる卵収容凹部を有し、卵を収容して持ち運びが可能なトレイ、及びこれらのトレイを幾重にも積重ねた時には全体的に密着して重なり、2枚を互いに向かい合わせて重ねた時に卵収容容器を形成し、一体となってずれ動くことがなく、さらには容器を安定して積重ねが可能であり、荷造り及び搬送に好適な該トレイを用いる卵収容容器を見出し、本願発明を完成するに到った。
【0005】
すなわち、本発明は、次の通りである。
1.列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる多数個の卵収容凹部(4)を設けたトレイ状容器であり、該凹部を仕切る格子状の仕切り壁(5)が十文字に交差する位置(12)が、交互に仕切り壁の高さ(d1)より高い高さ(d2)の低い突起状部(6)と、トレイの周縁部(3)の高さ(d0)より高い高さ(d3)であり、かつ、d2+d3≒2d0である高さの高い突起状部(7)であることを特徴とする卵収容トレイ。
2.トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたことを特徴とする(1)項記載の卵収容トレイ。
3.トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたことを特徴とする1項または2項記載の卵収容トレイ。
【0006】
4.(1)項記載の卵収容トレイの1枚を底体とし、他の1枚を蓋体として、底体としてのトレイ(21)の上に、該トレイの奇数の列または行に対して直角方向に、蓋体としてのトレイ(22)を裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように一体とした卵収容容器。
5.トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対象の位置を切り欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたものであり、底体と蓋体の該把手用フランジ部分(2)が一致するように一体となした4項記載の卵収容容器。
すなわち、1項記載の卵収容トレイの1枚を底体(21)とし、これに該トレイの他の1枚を蓋体(22)として、トレイの奇数の列または行に対して直角方向に裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように、かつ、把手用フランジ部分(2)が一致するように一体としたことを特徴とする卵収容容器である。
6.トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたものであり、底体と蓋体を裏返しに重ねて、それぞれの凹凸部が嵌め込まれて一体となした4又は5項記載の卵収容容器。
すなわち、1項記載の卵収容トレイの1枚を底体(21)とし、これに該トレイの他の1を蓋体(22)として、トレイの奇数の列または行に対して直角方向に裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように、かつ、トレイ周縁部(3)の相対する2辺の少なくとも1対の辺の一方に設けられた、少なくとも1箇所の凸部(8)及び又は凹部(9)を、これと対称の他の一辺の、該凸部(8)及び又は凹部(9)と対応する位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)及び又は凸部(8)に嵌め込んで一体としたことを特徴とする卵収容容器、およびさらに、トレイ周縁部(3)の相対する凹凸部を嵌め込むとともにトレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切欠いて把手用フランジ部分(2)を一致させた卵収容容器である。
【0007】
【発明の実施の態様】
本発明の卵収容容器は、トレイ状の収容容器、及びこのトレイ状の収容容器の2枚を互いに向き合せに重ねて、あたかも底体と蓋体とからなるように構成した卵収容容器である。
以下、本発明の卵収容容器について、図面を用いて詳細に説明する。
【0008】
先ず、本発明の卵収容トレイは、例えば、図1の斜視図及び図2の上面図に示す形状である。
本発明のトレイは、図2に示すような正方形、又は長方形である。
この正方又は長方形の中に、卵を収容する多数個の凹部(4)が縦横にそれぞれ直列に並んでいる。本願発明では、これら多数個の凹部の縦のならびと横のならびを互いに区別するため、列及び行と言う。
列及び行の数は2以上であり、必ずいずれか一方は奇数であり、他方は奇数または偶数のいずれであっても良い。
卵収容凹部(4)は、正方又は長方形のトレイ中の列及び行数により決まる個数を設ける。例えば、図1及び図2に示す卵収容トレイでは5列6行で30個の凹部を有する。
上面図(図2)に示すように卵収容凹部(4)は、その一つ一つの周囲が仕切り側壁(5)に囲まれるもの、及び仕切り側壁(5)と周縁側壁(3)に囲まれるものがある。また、仕切り側壁(5)は上面図に示すようにトレイ周縁部(3)〔(3a)、(3b)、(3c)及び(3d)〕の内側にあって、複数個の卵収容凹部(4)を格子状に仕切っている。それぞれの仕切り側壁は、十文字状に交差する部分(12)及び周縁側壁(3)とT字状に交差する部分(11)を構成する。
【0009】
また、トレイは、正方形であるのが好ましく。上面図(図2)に示すように、周縁部(3)の面を含め正方形とするもの、例えば、5列6行のように、卵収容凹部の列を奇数とし、行を列の数より一つ多い偶数の行とし、奇数列に平行な1対の周縁部の面の幅を、それぞれ、卵収容凹部の幅の半分、合わせて同じ幅とすることにより、全体として正方形のトレイとすることができる。また、例えば、5列5行のように卵収容凹部の列と行の数をともに同じ数の奇数とし、周縁部の4辺の面の幅を同一にした正方形であっても良い。このような正方形であると、トレイの積重ねが揃って、嵩張らず容易であり、取り扱いが安定し、搬送および回収時に、搬送箱への詰め込み作業にも都合がよい。
卵収容凹部(4)は、卵を収納するに充分な径の円錐又は多角錐状の形状であり、径や深さはとくに限定されないが、卵の種類に応じ適宜決めることができる。通常、卵の径及び長さを多少越える径及び深さとする。例えば、鶏卵用のトレイの場合,40〜45mmの径及び、深さがトレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)で34〜42mm程度である。また、回りの側壁に卵の横方向の保持強度を高めるため、縦リブ(4a)を適宜入れる。縦リブの形状や数は特に限定されない。また、卵収容凹部の底に小さい点状のリブ(4b)を設け、卵を縦方向に柔軟に保持できるようにするのも好ましい。
【0010】
本発明のトレイでは、仕切り側壁(5)が十文字に交差する部分(12)を、次のように加工するところに一つの特徴がある。
すなわち、図4に示すように、この交差部分(12)を、交互に高い突起状と低い突起状に加工する。
高い突起状部(7)とは、その高さ(d3)が、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)より高い高さまで、仕切り側壁の交差部分を上方に伸ばすように突起させて構成する。その先端は、特に限定はないが、好ましくは先端に小突起(7a)を付けても良い小面積の平面とする。
また、低い突起状部(6)とは、その高さ(d2)が仕切り側壁(5)の高さ(d1)より多少高い高さであって、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)より低い高さに、仕切り側壁の交差部分が伸びたように突起させる。その先端はとくに限定はないが、高い突起状部分の先端と相対して接合した時、接合状態が密接に保たれるような形状と面積とし、また、好ましくは中央に窪み(6a)を設けて、この窪み(6a)が高い突起状部分の先端に設けた突起(7a)と嵌合するようにする。
しかし、好ましく設けられる高い突起状部分の先端の小突起(7a)及び低い突起状部の先端の窪み(6a)は、トレイを向い合せに重ねて卵収容容器としたとき、より安定性を高めるが、必ずしも設ける必要はなく、底体と蓋体のずれは、高い突起状部(7)と低い突起状部(6)や周縁部に設けられた凹凸部((8)及び(9))等により抑えることができる。
なお、これらの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)との合計の高さは、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)の2倍を越えない、ほぼ同じ高さである。
【0011】
また、仕切り壁(5)は、両種の突起状部を起伏して連なり、その谷部での仕切り壁の高さ(d1)は、低い突起状部(6)の高さ(d2)より低い。このように突起状部間が谷をなす形状であると収納された卵を掴み出すのに都合がよい。
すなわち、図4の側断面図に示すように、それぞれの高さは下記式を満足するように設定する。
d2>d1
d3>d0
d2+d3=2d0
トレイの高さ(d0):トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ。
仕切り側壁(5)の高さ(d1):トレイの底から、連なる仕切り側壁(5)における谷部までの高さ。
低い突起状部(6)の高さ(d2):トレイの底から低い突起状部(6)の頂部までの高さ。
高い突起状部(7)の高さ(d3):トレイの底から高い突起状部(7)の頂部までの高さ。
なお、これらのd0〜d3は、鶏卵用トレイの場合、通常、次の通りである。しかしながら、これらの値に限定されるものではない。
d0:34〜42mm程度
d1:26〜34mm程度
d2:30〜38mm程度
d3:40〜48mm程度
【0012】
なお、本発明において交互とは、隣同士がかわるがわる高い突起状部(7)と低い突起状部(6)となることを意味するだけではなく、奇数列の中心列に対して対称の交差位置が、互いに反対の高さの突起状であれば、2枚のトレイを奇数列の中心列に対して直角の方向に反転させて、向い合わせに重ねて後述の本発明の卵収容容器とした時、相対するトレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)とが相対して相互に接合し、かつ容器の強度が確保できれば、必ずしも隣同士が交互に高い突起状部(7)と低い突起状部(6)である必要はないので、一つ置きに交互である場合やランダムであっても良い。しかしながら、好ましくは、隣同士がかわるがわる高い突起状部(7)と低い突起状部(6)であるのが、本発明の卵収容容器に、より一段と高い強度をもたせることができる点からも好ましい。
【0013】
把手用フランジ部分(2)は、トレイ周縁部(3)(3a,3b、3c及び3d)の2対の相対する2辺のうち、少なくとも1対の2辺の周縁部に設ける。好ましくは、奇数列又は行に平行な周縁部の対向する2辺、より好ましくは、トレイを正方形にするための幅の広い周縁部(3aと3c)の対称位置に全く同形状の切欠き部分を設け把手用フランジ部分(2)とする。対称位置に設ける切欠き部分の形状、個所及び数等とくに限定はないが、これらは全く同じであるのが好ましい。しかし、辺の中央に近い位置にあると、トレイを積重ねる作業によっては、同一方向だけではなく水平方向に180度回転させて積重ねることが混在することになる。この場合、本発明のトレイが、卵収容凹部が奇数列で偶数行であるとトレイでは密着して積重ねることができなくなるので、辺の中央部から多少かたよった位置を、人の手が充分に入る長さと幅に切欠き、トレイの積重ね作業が、同一方向に揃えて重ねやすいように切欠くのが好ましい。卵収容凹部が奇数列及び行であると180度水平方向に回して重ねても密に積重ねることができるので把手用フランジ部は中央位置であっても良い。把手用の切欠きは、例えば、10〜15cmの長さで、10〜20mmの幅の切欠いて把手用フランジ部とするのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のトレイでは、トレイ周縁部(3)の対をなす2辺の少なくとも1対の辺の一方(例えば、3a)に、少なくとも1個の凸部(8)及び/又は凹部(9)を設け、これと対称の他の1辺(3c)にこれと同じ形状であるが、窪みまたは出っ張りが、逆の凹部(9)及び/又は凸部(8)を設ける。
すなわち、より具体的に言えば、一つの辺上に設ける凹部または凸部は、その数及び形状に限定はなく、例えば、1個の凹部または凸部、2個以上の凹部または凸部あるいは凹部または凸部であってもよい。しかしながら、この辺に対応する他の辺には、同一の個数と形状であって対称の位置にあるが、逆の凸部または凹部、あるいは凸部と凹部を設ける。
これらの凸部及び又は凹部は、2枚のトレイを裏返しに重ねて、本発明の卵収容容器とした時、底体となるトレイの凹部または凸部が、蓋体となるトレイのそれぞれ相対する凸部または凹部に嵌め込まれることになるので、底体と蓋体の2枚のトレイが縦横にずれ動くのを抑えることができる。
また、卵収容容器をトレイとして回収するような時、多数のトレイを同一方向に積重ねたとき、凸部及び/又は凹部は同じ位置、形状、同一方向の凹凸であるため、重なって嵌まり込み、安定で、嵩張らずに積重ねが可能である。
なお、多数のトレイを同一方向に積重ねる作業が、わずらわしい場合いには、先に述べた、列及び行数を共に奇数にして周縁部の幅を同一にして作成されたトレイは、同一方向のみならず、180度水平方向に回転させて積重ねても嵩張らずに積重ねが可能であり、作業性の上で好ましいトレイを得ることができる。
【0015】
以上述べた構成を有する卵収容トレイの代表的態様の具体例として、図1や2に示すトレイが挙げられる。このトレイは、卵収容凹部が、5列6行(奇数列と偶数行からなる例)であり、列に平行な周縁部の2辺の幅を広くし正方形にしたトレイであり、2辺の周縁部の中央位置に把手用フランジ部の切欠きを設け、又、2辺の周縁部にずれ抑止用の凹凸部を設けたものである。このトレイは、多数個を同一方向に密に嵩張らず積重ねることができる。
他の態様の一つとして、卵収容凹部が5列5行(奇数列と奇数行からなる例)であり、周縁部の4辺の幅を広くし正方形にしたトレイが挙げられるが、このトレイでは4辺の中対応する2辺の周縁部の中央位置に把手用フランジ部の切欠きを設け、又、2辺の周縁部にずれ抑止用の凹凸部を設けたものである。このトレイは、多数個を同一方向のみならず、トレイを水平方向に180度回転しても密に嵩張らず積重ねることができる点で作業性が楽になる。
また、これらのトレイは、卵を収納した後、数層に重ねて使用することができる。この際には、各層毎に90度水平に回転して積重ねて使用するのが好ましい。この使用態様においては、高い突起状部(7)に設けた凸部と上に重なるトレイの卵収容部(4)の凹部が合い接合して、トレイのずれを防止できる。なお、最上段のトレイには、本トレイを裏返しにして蓋として使用することができる。
【0016】
次に、本発明の卵収容容器について説明する。
収容容器は、図5の卵収容容器(20)の側面図に示すように、上記の卵収容トレイを2枚用いることにより構成するものである。
すなわち、一つのトレイを底体(21)として、他のトレイを蓋体(22)として用い、底体として用いるトレイ(21)の上に、該トレイの奇数の列又は奇数の行に対して直角方向に裏返しに蓋体としてのトレイ(22)を被せ一体となした卵収容容器である。
このようにしてなる卵収容容器(20)では、先ず、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)とが互いに相対して接合して一体となる。すなわち、底体(21)トレイの高い突起状部(7)は、裏返しに被せる蓋体(22)トレイの低い突起状部(6)と、また、底体の低い突起状部(6)は、蓋体の高い突起状部(7)と接合する位置関係となり、両トレイの高い突起状部は周縁部(3)の高さを越えて、相手の低い突起状部に接合し、全体として、互いに一方のトレイが他方のトレイへ嵌まり込んだ形となるので両トレイの縦横方向へのずれを抑止できる。
また、両トレイの周縁部(3)に設けられた把手用フランジ部分(2)は合致されて一体となる。また、把手用フランジ部分(2)は、好ましくはトレイの卵収納凹部の奇数列又は行に平行な周縁部の対応する2辺の対称位置に全く同形状の切欠き部分を設け把手用フランジ部(2)とすれば、トレイの積重ね作業、2枚のトレイを向い合せに組合せる卵収容容器の組立作業、及び卵をこの容器に収納する作業等がこの位置を目印にして容易に実施できる。
さらに、トレイの周縁部(3)の凸部(8)及びまたは凹部(9)は、2枚のトレイを裏返しに合わせると、互いに嵌め込まれる位置と形状であるので、2枚のトレイは、凸部(8)及びまたは凹部(9)を嵌合させて一体となる。
したがって、この卵収容容器(20)は、底体としてのトレイ(21)と蓋体としてのトレイ(22)を向い合わせに合体させた時、互いに嵌め込まれる両トレイのこれら凹凸部によって、さらに底体と蓋体が縦横のいずれ動くことを防ぎ、卵の運搬、搬送を安定して行うことができる。
また、トレイの周縁部(3)の対称の2辺に設ける凸部の(8)及びまたは凹部(9)は、好ましくは奇数の列又は行に平行な対称の2辺に設けられていると、2枚のトレイを裏返しして重ね合わせる作業が混乱なく容易に実施できる。
また、本発明の卵収容容器は、2個以上の卵収容容器を数層に積重ねるとき、把手用フランジ部が揃う方向または不揃いの方向のいずれに積重ねてもよい。
【0017】
本発明の卵収容トレイは、通常、真空成形などで成形され、トレイの厚さは全体的に均一であるので、トレイの裏面は、卵収容凹部(4)が対応する形状の凸部となり、また、高い突起上状部(7)および低い突起状部(6)が、それぞれ対応する凹部となる。
このようなトレイの裏面の形状は、本発明の卵収容容器がその好ましい実施態様として挙げた5列6行で正方形としたトレイを2枚重ね合わせて構成したものでは、卵収容容器を積重ねた時の安定性の点から極めて優れている。
すなわち、互いに90度水平に回転させて数層に積重ねると、積重ねたトレイは上方から見て正方形の四角柱となる。この四角柱において、個々の卵収容容器の蓋体と底体の卵収容凹部(4)の裏面が、突出した形となって、上下に重なる卵収容容器の底体と蓋体の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面である凹みに位置する。すなわち、卵収容容器の蓋体の裏面における卵収容凹部の突き出しは、上に重なる底体としての容器の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面の凹部に、また、底体の裏面における卵収容凹部の突き出しは、下に重なる蓋体としての容器の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面に位置する。このような位置関係において、トレイ裏面の低い突起状部(6)の凹部は、他の積み重なるトレイ裏面の卵収容凹部の突き出し部と接合し、互いに同一形状の結合となり、このような状態での卵収容容器の積重ねは、極めて強固で、かつ安定に可能である。
すなわち、本願発明の卵収容容器は、トレイを向い合せに重ねた時、まず、高い突起状部と低い突起状部とで接合し、両トレイが相互に入り込んだ状態となって容器としての底体と蓋体のずれを阻止する。
次いで、周縁部に設けられた凸部と凹部の嵌合により、さらにずれの抑止効果は向上し、その上、把手用フランジ部により蓋体と底体の組合せ作業や運搬が容易である。
また、5列6行のような、好ましい卵収容トレイを用いた卵収容容器では、卵を収納した卵収容容器を数層に積重ねるとき、各層毎に90度、水平に回転させて積重ねると、強固に積重ねることができ、積荷の容積効率も大きくなる。
【0018】
次に本願発明の卵収容容器の材料について説明する。
本発明の卵収容トレイ及び卵収容容器は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂を含有する樹脂組成物を、素材として成形し得ることができる。
また、抗菌性を有する衛生的に好ましく、又、廃棄処分処理に配慮した本発明の容器としては、非ハロゲン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂、竹粉、さらには必要によりコーンスターチとを含む樹脂組成物が用いられる。
すなわち、本発明で言う非ハロゲン系(ポリオレフィン系)熱可塑性樹脂とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、プロピレン−エチレン共重合体やこれらを無水マレイン酸などで変性したもの、プロピレンないしはエチレンを主体とし、これらと共重合可能な単量体との共重合体、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの上記樹脂の低分子量物、また、エチレン−プロピレンゴム状共重合体、ポリブテンなどのエラストマーなども挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂は2種以上からなる混合物であっても構わない。
本発明で言う生分解性樹脂とは、微生物に因って水と二酸化炭素に分解される樹脂であって、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂の2種以上からなる混合物であっても構わない。
【0019】
本発明に用いられる微細化した竹は、孟宗竹、真竹などいずれの竹を微細化したものでも構わないが、該微細化した竹の平均粒度は5〜500μmの範囲であることが好ましい。5μmより細かい場合は嵩密度が小さいために飛散しやすく取り扱いが困難であり、また、非ハロゲン系熱可塑性樹脂との混合時に分級しやすいので好ましくない。また、500μmより大きい場合は成形品の表面状態が悪くなり、成形品の製造目的によっては不都合を生じるので好ましくない。
上記の微細化した竹の製造方法は特に限定されないが、竹林維持の為の間伐材や竹製品を製造する際に発生する竹の屑などを、石臼、ボールミル、ハンマーミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕して得られる。一度粗粉砕した後、再度粉砕して微細化しても構わない。
更に、粉砕した竹を篩や分級機にかけて分級して用いても構わない。
本発明における微細化した竹の含有量は、樹脂と微細化した竹との総重量の内、少なくとも20重量%以上80重量%以下、好ましくは30重量%以上70重量%以下である。20重量%より少ないと剛性や耐熱性の充分でなく、好ましくない。80重量%を超えると、成形性が劣るので好ましくない。
【0020】
さらに使用する樹脂組成物には、コーンスターチを含ませても良い。
コーンスターチは、とうもろこしから作られる澱粉であるが、本発明で用いられるコーンスターチには、コーンスターチを酸化剤で処理し、低粘度化した酸化デンプンや酸で処理したエステル化デンプン、イオンを導入したカチオンデンプンなどのいわゆる加工デンプンも含まれる。
コーンスターチを使用する場合、その使用量は、(イ)熱可塑性樹脂80重量%〜20重量%、(ロ)微細化した竹20重量%〜80重量%からなる組成物に対して、1重量%〜100重量%である。好ましくは、5〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%である。1重量%未満では、本発明が期待する効果を充分に発現することが難しく、100重量パーセントを超えて使用するときは、成形物の物性を損なうので好ましくない。
【0021】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂と微細化された竹、さらに必要に応じて含有させるコーンスターチとは、これらをヘンシルミキサーなどにより、必要に応じて酸化防止剤、着色剤などと一緒に攪拌混合し、これを押出機により加熱溶融押出してペレット状に成形したり、また、ヘンシルミキサーなどで混合時に溶融造粒しても構わない。更に、両者を加熱したロールにより溶融混練し、シート状にしたものを裁断して造粒しても構わない。ペレット形状にせずにそのまま押出機やカレンダーロールなどに供して製品を得ても構わない。
粉状のポリオレフィン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂を用いると、微細化した竹の分散性が向上するので好ましい。
なお、微細化した竹やコーンスターチは水分を含むので、予備乾燥するか、加熱したヘンシルミキサーでの攪拌や、押出機でのベント吸引などにより水分を除去しておくのが好ましい。
【0022】
本発明の卵トレイ及び卵収容容器の製造方法は特に限定はされないが、一般的には、非ハロゲン系熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂)を含有する樹脂組成物、あるいは、ポリオレフィン系樹脂または生分解性樹脂と微細化した竹および必要により加えるコーンスターチを含有する樹脂組成物を用い真空成形、押出成形やカレンダー加工が採用できる。カレンダー加工の場合、樹脂または樹脂と微細化した竹粉および必要により加えるコーンスターチを溶融ペレット化し造粒したものや、ペレット状ないしは粉状の樹脂または樹脂と微細化した竹および必要により加えるコーンスターチとの混合物を直接カレンダー設備のミキシングロールに投入しても良く、また、押出機により溶融させてミキシングロールやカレンダーロールに投入しても構わない。
本発明の卵収容容器は、好ましくは、竹粉と非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有するか樹脂組成物を用いカレンダー加工により得られたシートを真空成形して得られる。
その他、圧空成形、射出成形又は圧縮成形でも良い。
【0023】
本発明に用いる樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤のほか、着色染料、顔料などや、少量の他の樹脂や有機ないしは無機充填材、抗菌剤などを含んでも構わない。
本発明の卵トレイおよび卵収容容器は、剛性や耐熱性が高く、また、抗菌性を有するので、卵の運搬用容器として好適である。また、燃焼しても燃焼カロリーが低く、腐食性ガスを生じることも無い。特に、生分解性樹脂を使用した場合には、微細化した竹を含めてコンポスト処理できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の卵収容トレイは、2以上の行及び列からなり、1枚のトレイであっても、多数個の卵を収容でき、卵の重量を支えるに充分な剛性を有する。また、本発明の卵収容容器は、このトレイを重ねあわせて多数個の卵を収容し、運搬・搬送に使用するに適した容器である。
すなわち、本発明の卵収容トレイは密に積重ねて、効率的に回収可能であり、このトレイ2枚を組合せる収容容器は、簡単に容器とし、安全に搬送に用いることができる、また、使用後はトレイを積重ね小容量化して回収できる。また、本発明の容器は抗菌性を持たせることができるので、回収して、消毒、洗浄し再利用できる。
したがって、多数個の卵を小分けして容器に入れ、これらの容器を纏めて搬送用の箱に入れて、卵の需要家に搬送する、さらにこれらを回収して繰り返し使用することを特徴とする搬送システムに好適に使用できる卵収容トレイ及び卵収容容器である。また、容器の素材を本発明の好適な竹粉を含む非ハロゲン系樹脂組成物を選択することにより廃棄処分も環境汚染を低減することができるので、流通・産業経済上のみならず、環境対策上も優れた卵収容トレイ及び卵収容容器である。
本発明の卵収容容器は、本発明者等が先に提案した卵搬送システムに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】卵収容トレイの斜視図を示す。
【図2】卵収容トレイの上面図を示す。
【図3】卵収容トレイの側面図を示す。
【図4】卵収容トレイの切断断面図を示す。
【図5】卵収容容器の側面図を示す。
【図6】卵容器積重ね断面図を示す。
【符号の説明】
1:トレイ本体
2:把手フランジ部
3:トレイの周縁部
3a:トレイの幅の広い周縁部
3c:トレイの幅の広い周縁部
4:卵収容凹部
4a:卵収容凹部の縦リブ
4b:卵収容凹部の底の小さいリブ
5:卵収容凹部の仕切り壁
5c:仕切り壁の十文字に交差する位置
6:低い突起状部
7:高い突起状部
8:周縁部の凸部
9:周縁部の凹部
11:仕切りが周辺部(3)とT字状に交差する部分
12:仕切りが十字状に交差する部分
20:卵収容容器
21:底体
22:蓋体
【発明の属する技術分野】
本発明は、卵収容トレイ及びこのトレイを組み合わせてなる卵収容容器に関する。より詳しくは、卵の搬送および販売に用いる卵収容トレイ、又は多数個の卵を繰り返し搬送可能なシステムに好適に使用できる卵収容トレイ、及び該トレイを組み合わせて構成する卵収容容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏卵を始めとして、卵は人体に必要な栄養素を万遍なく含む、極めて優れた食品であり、一般家庭における食生活に広く採り入れられている。
また、ケーキ、クッキー等の菓子類やマヨネーズ等の製菓、製パン、乳製品、肉製品等の各種加工食品、さらに例えば卵黄を用いる健康食品、さらには医薬品原料として、大量かつ広く利用されている。
このような卵を、販売するため、または搬送するのに用いられる卵容器は、各種店舗で一般の消費者への販売に用いられている、合成樹脂シートを真空成形やブロー成形した卵容器や、パルプモールドの卵容器が広く知られている。
特に、多数個の卵の搬送にはパルプモールドのトレイや、ポリスチレン又はポリエチレン製の容器が利用されている。
これらの容器は、それぞれに特徴を有し、例えば、多数個の卵の重みで変形し難いように工夫された合成樹脂シートを成形して得られる卵容器が提案されている(特開2002−037369)。合成樹脂シートを成形し多数個を収容しようとする卵容器では、素材の性質に由来して剛性が低いため、上記の提案された容器では本体と蓋体のそれぞれの周縁部に補助接合部を設け、本体に蓋体が被せられたときに接合部が互いに接合するように特別の工夫を施して剛性を補おうとするものである。また、パルプモールドの鶏卵トレイは合成樹脂シートを成形した容器に比べ剛性に優れているが、製造コストが高い。
また、これらの容器では回収再利用に配慮された、ないしは適応した材料ではないので、その回収・廃棄処分には苦慮しているのが現状である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に多数個の鶏卵を販売、搬送するに好適な卵収容トレイおよび卵収容容器を提供することである。すなわち、トレイそれ自体が低コストで製造可能であり、また、卵を収容して持ち運ぶ時、さらには多数個を搬送するために一括して搬送箱に収納し搬送する時、取り扱いが極めて容易であり、さらには回収し、殺菌消毒・洗浄する回収・再利用処理が容易であり、さらには抗菌性を有し衛生上好ましく、また廃棄処分処理にも環境汚染のない卵収容容器を提供することである。
【0004】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討し、列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる卵収容凹部を有し、卵を収容して持ち運びが可能なトレイ、及びこれらのトレイを幾重にも積重ねた時には全体的に密着して重なり、2枚を互いに向かい合わせて重ねた時に卵収容容器を形成し、一体となってずれ動くことがなく、さらには容器を安定して積重ねが可能であり、荷造り及び搬送に好適な該トレイを用いる卵収容容器を見出し、本願発明を完成するに到った。
【0005】
すなわち、本発明は、次の通りである。
1.列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる多数個の卵収容凹部(4)を設けたトレイ状容器であり、該凹部を仕切る格子状の仕切り壁(5)が十文字に交差する位置(12)が、交互に仕切り壁の高さ(d1)より高い高さ(d2)の低い突起状部(6)と、トレイの周縁部(3)の高さ(d0)より高い高さ(d3)であり、かつ、d2+d3≒2d0である高さの高い突起状部(7)であることを特徴とする卵収容トレイ。
2.トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたことを特徴とする(1)項記載の卵収容トレイ。
3.トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたことを特徴とする1項または2項記載の卵収容トレイ。
【0006】
4.(1)項記載の卵収容トレイの1枚を底体とし、他の1枚を蓋体として、底体としてのトレイ(21)の上に、該トレイの奇数の列または行に対して直角方向に、蓋体としてのトレイ(22)を裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように一体とした卵収容容器。
5.トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対象の位置を切り欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたものであり、底体と蓋体の該把手用フランジ部分(2)が一致するように一体となした4項記載の卵収容容器。
すなわち、1項記載の卵収容トレイの1枚を底体(21)とし、これに該トレイの他の1枚を蓋体(22)として、トレイの奇数の列または行に対して直角方向に裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように、かつ、把手用フランジ部分(2)が一致するように一体としたことを特徴とする卵収容容器である。
6.トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたものであり、底体と蓋体を裏返しに重ねて、それぞれの凹凸部が嵌め込まれて一体となした4又は5項記載の卵収容容器。
すなわち、1項記載の卵収容トレイの1枚を底体(21)とし、これに該トレイの他の1を蓋体(22)として、トレイの奇数の列または行に対して直角方向に裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように、かつ、トレイ周縁部(3)の相対する2辺の少なくとも1対の辺の一方に設けられた、少なくとも1箇所の凸部(8)及び又は凹部(9)を、これと対称の他の一辺の、該凸部(8)及び又は凹部(9)と対応する位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)及び又は凸部(8)に嵌め込んで一体としたことを特徴とする卵収容容器、およびさらに、トレイ周縁部(3)の相対する凹凸部を嵌め込むとともにトレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切欠いて把手用フランジ部分(2)を一致させた卵収容容器である。
【0007】
【発明の実施の態様】
本発明の卵収容容器は、トレイ状の収容容器、及びこのトレイ状の収容容器の2枚を互いに向き合せに重ねて、あたかも底体と蓋体とからなるように構成した卵収容容器である。
以下、本発明の卵収容容器について、図面を用いて詳細に説明する。
【0008】
先ず、本発明の卵収容トレイは、例えば、図1の斜視図及び図2の上面図に示す形状である。
本発明のトレイは、図2に示すような正方形、又は長方形である。
この正方又は長方形の中に、卵を収容する多数個の凹部(4)が縦横にそれぞれ直列に並んでいる。本願発明では、これら多数個の凹部の縦のならびと横のならびを互いに区別するため、列及び行と言う。
列及び行の数は2以上であり、必ずいずれか一方は奇数であり、他方は奇数または偶数のいずれであっても良い。
卵収容凹部(4)は、正方又は長方形のトレイ中の列及び行数により決まる個数を設ける。例えば、図1及び図2に示す卵収容トレイでは5列6行で30個の凹部を有する。
上面図(図2)に示すように卵収容凹部(4)は、その一つ一つの周囲が仕切り側壁(5)に囲まれるもの、及び仕切り側壁(5)と周縁側壁(3)に囲まれるものがある。また、仕切り側壁(5)は上面図に示すようにトレイ周縁部(3)〔(3a)、(3b)、(3c)及び(3d)〕の内側にあって、複数個の卵収容凹部(4)を格子状に仕切っている。それぞれの仕切り側壁は、十文字状に交差する部分(12)及び周縁側壁(3)とT字状に交差する部分(11)を構成する。
【0009】
また、トレイは、正方形であるのが好ましく。上面図(図2)に示すように、周縁部(3)の面を含め正方形とするもの、例えば、5列6行のように、卵収容凹部の列を奇数とし、行を列の数より一つ多い偶数の行とし、奇数列に平行な1対の周縁部の面の幅を、それぞれ、卵収容凹部の幅の半分、合わせて同じ幅とすることにより、全体として正方形のトレイとすることができる。また、例えば、5列5行のように卵収容凹部の列と行の数をともに同じ数の奇数とし、周縁部の4辺の面の幅を同一にした正方形であっても良い。このような正方形であると、トレイの積重ねが揃って、嵩張らず容易であり、取り扱いが安定し、搬送および回収時に、搬送箱への詰め込み作業にも都合がよい。
卵収容凹部(4)は、卵を収納するに充分な径の円錐又は多角錐状の形状であり、径や深さはとくに限定されないが、卵の種類に応じ適宜決めることができる。通常、卵の径及び長さを多少越える径及び深さとする。例えば、鶏卵用のトレイの場合,40〜45mmの径及び、深さがトレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)で34〜42mm程度である。また、回りの側壁に卵の横方向の保持強度を高めるため、縦リブ(4a)を適宜入れる。縦リブの形状や数は特に限定されない。また、卵収容凹部の底に小さい点状のリブ(4b)を設け、卵を縦方向に柔軟に保持できるようにするのも好ましい。
【0010】
本発明のトレイでは、仕切り側壁(5)が十文字に交差する部分(12)を、次のように加工するところに一つの特徴がある。
すなわち、図4に示すように、この交差部分(12)を、交互に高い突起状と低い突起状に加工する。
高い突起状部(7)とは、その高さ(d3)が、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)より高い高さまで、仕切り側壁の交差部分を上方に伸ばすように突起させて構成する。その先端は、特に限定はないが、好ましくは先端に小突起(7a)を付けても良い小面積の平面とする。
また、低い突起状部(6)とは、その高さ(d2)が仕切り側壁(5)の高さ(d1)より多少高い高さであって、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)より低い高さに、仕切り側壁の交差部分が伸びたように突起させる。その先端はとくに限定はないが、高い突起状部分の先端と相対して接合した時、接合状態が密接に保たれるような形状と面積とし、また、好ましくは中央に窪み(6a)を設けて、この窪み(6a)が高い突起状部分の先端に設けた突起(7a)と嵌合するようにする。
しかし、好ましく設けられる高い突起状部分の先端の小突起(7a)及び低い突起状部の先端の窪み(6a)は、トレイを向い合せに重ねて卵収容容器としたとき、より安定性を高めるが、必ずしも設ける必要はなく、底体と蓋体のずれは、高い突起状部(7)と低い突起状部(6)や周縁部に設けられた凹凸部((8)及び(9))等により抑えることができる。
なお、これらの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)との合計の高さは、トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ(d0)の2倍を越えない、ほぼ同じ高さである。
【0011】
また、仕切り壁(5)は、両種の突起状部を起伏して連なり、その谷部での仕切り壁の高さ(d1)は、低い突起状部(6)の高さ(d2)より低い。このように突起状部間が谷をなす形状であると収納された卵を掴み出すのに都合がよい。
すなわち、図4の側断面図に示すように、それぞれの高さは下記式を満足するように設定する。
d2>d1
d3>d0
d2+d3=2d0
トレイの高さ(d0):トレイの底から周縁部(3)の上面までの高さ。
仕切り側壁(5)の高さ(d1):トレイの底から、連なる仕切り側壁(5)における谷部までの高さ。
低い突起状部(6)の高さ(d2):トレイの底から低い突起状部(6)の頂部までの高さ。
高い突起状部(7)の高さ(d3):トレイの底から高い突起状部(7)の頂部までの高さ。
なお、これらのd0〜d3は、鶏卵用トレイの場合、通常、次の通りである。しかしながら、これらの値に限定されるものではない。
d0:34〜42mm程度
d1:26〜34mm程度
d2:30〜38mm程度
d3:40〜48mm程度
【0012】
なお、本発明において交互とは、隣同士がかわるがわる高い突起状部(7)と低い突起状部(6)となることを意味するだけではなく、奇数列の中心列に対して対称の交差位置が、互いに反対の高さの突起状であれば、2枚のトレイを奇数列の中心列に対して直角の方向に反転させて、向い合わせに重ねて後述の本発明の卵収容容器とした時、相対するトレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)とが相対して相互に接合し、かつ容器の強度が確保できれば、必ずしも隣同士が交互に高い突起状部(7)と低い突起状部(6)である必要はないので、一つ置きに交互である場合やランダムであっても良い。しかしながら、好ましくは、隣同士がかわるがわる高い突起状部(7)と低い突起状部(6)であるのが、本発明の卵収容容器に、より一段と高い強度をもたせることができる点からも好ましい。
【0013】
把手用フランジ部分(2)は、トレイ周縁部(3)(3a,3b、3c及び3d)の2対の相対する2辺のうち、少なくとも1対の2辺の周縁部に設ける。好ましくは、奇数列又は行に平行な周縁部の対向する2辺、より好ましくは、トレイを正方形にするための幅の広い周縁部(3aと3c)の対称位置に全く同形状の切欠き部分を設け把手用フランジ部分(2)とする。対称位置に設ける切欠き部分の形状、個所及び数等とくに限定はないが、これらは全く同じであるのが好ましい。しかし、辺の中央に近い位置にあると、トレイを積重ねる作業によっては、同一方向だけではなく水平方向に180度回転させて積重ねることが混在することになる。この場合、本発明のトレイが、卵収容凹部が奇数列で偶数行であるとトレイでは密着して積重ねることができなくなるので、辺の中央部から多少かたよった位置を、人の手が充分に入る長さと幅に切欠き、トレイの積重ね作業が、同一方向に揃えて重ねやすいように切欠くのが好ましい。卵収容凹部が奇数列及び行であると180度水平方向に回して重ねても密に積重ねることができるので把手用フランジ部は中央位置であっても良い。把手用の切欠きは、例えば、10〜15cmの長さで、10〜20mmの幅の切欠いて把手用フランジ部とするのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のトレイでは、トレイ周縁部(3)の対をなす2辺の少なくとも1対の辺の一方(例えば、3a)に、少なくとも1個の凸部(8)及び/又は凹部(9)を設け、これと対称の他の1辺(3c)にこれと同じ形状であるが、窪みまたは出っ張りが、逆の凹部(9)及び/又は凸部(8)を設ける。
すなわち、より具体的に言えば、一つの辺上に設ける凹部または凸部は、その数及び形状に限定はなく、例えば、1個の凹部または凸部、2個以上の凹部または凸部あるいは凹部または凸部であってもよい。しかしながら、この辺に対応する他の辺には、同一の個数と形状であって対称の位置にあるが、逆の凸部または凹部、あるいは凸部と凹部を設ける。
これらの凸部及び又は凹部は、2枚のトレイを裏返しに重ねて、本発明の卵収容容器とした時、底体となるトレイの凹部または凸部が、蓋体となるトレイのそれぞれ相対する凸部または凹部に嵌め込まれることになるので、底体と蓋体の2枚のトレイが縦横にずれ動くのを抑えることができる。
また、卵収容容器をトレイとして回収するような時、多数のトレイを同一方向に積重ねたとき、凸部及び/又は凹部は同じ位置、形状、同一方向の凹凸であるため、重なって嵌まり込み、安定で、嵩張らずに積重ねが可能である。
なお、多数のトレイを同一方向に積重ねる作業が、わずらわしい場合いには、先に述べた、列及び行数を共に奇数にして周縁部の幅を同一にして作成されたトレイは、同一方向のみならず、180度水平方向に回転させて積重ねても嵩張らずに積重ねが可能であり、作業性の上で好ましいトレイを得ることができる。
【0015】
以上述べた構成を有する卵収容トレイの代表的態様の具体例として、図1や2に示すトレイが挙げられる。このトレイは、卵収容凹部が、5列6行(奇数列と偶数行からなる例)であり、列に平行な周縁部の2辺の幅を広くし正方形にしたトレイであり、2辺の周縁部の中央位置に把手用フランジ部の切欠きを設け、又、2辺の周縁部にずれ抑止用の凹凸部を設けたものである。このトレイは、多数個を同一方向に密に嵩張らず積重ねることができる。
他の態様の一つとして、卵収容凹部が5列5行(奇数列と奇数行からなる例)であり、周縁部の4辺の幅を広くし正方形にしたトレイが挙げられるが、このトレイでは4辺の中対応する2辺の周縁部の中央位置に把手用フランジ部の切欠きを設け、又、2辺の周縁部にずれ抑止用の凹凸部を設けたものである。このトレイは、多数個を同一方向のみならず、トレイを水平方向に180度回転しても密に嵩張らず積重ねることができる点で作業性が楽になる。
また、これらのトレイは、卵を収納した後、数層に重ねて使用することができる。この際には、各層毎に90度水平に回転して積重ねて使用するのが好ましい。この使用態様においては、高い突起状部(7)に設けた凸部と上に重なるトレイの卵収容部(4)の凹部が合い接合して、トレイのずれを防止できる。なお、最上段のトレイには、本トレイを裏返しにして蓋として使用することができる。
【0016】
次に、本発明の卵収容容器について説明する。
収容容器は、図5の卵収容容器(20)の側面図に示すように、上記の卵収容トレイを2枚用いることにより構成するものである。
すなわち、一つのトレイを底体(21)として、他のトレイを蓋体(22)として用い、底体として用いるトレイ(21)の上に、該トレイの奇数の列又は奇数の行に対して直角方向に裏返しに蓋体としてのトレイ(22)を被せ一体となした卵収容容器である。
このようにしてなる卵収容容器(20)では、先ず、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)とが互いに相対して接合して一体となる。すなわち、底体(21)トレイの高い突起状部(7)は、裏返しに被せる蓋体(22)トレイの低い突起状部(6)と、また、底体の低い突起状部(6)は、蓋体の高い突起状部(7)と接合する位置関係となり、両トレイの高い突起状部は周縁部(3)の高さを越えて、相手の低い突起状部に接合し、全体として、互いに一方のトレイが他方のトレイへ嵌まり込んだ形となるので両トレイの縦横方向へのずれを抑止できる。
また、両トレイの周縁部(3)に設けられた把手用フランジ部分(2)は合致されて一体となる。また、把手用フランジ部分(2)は、好ましくはトレイの卵収納凹部の奇数列又は行に平行な周縁部の対応する2辺の対称位置に全く同形状の切欠き部分を設け把手用フランジ部(2)とすれば、トレイの積重ね作業、2枚のトレイを向い合せに組合せる卵収容容器の組立作業、及び卵をこの容器に収納する作業等がこの位置を目印にして容易に実施できる。
さらに、トレイの周縁部(3)の凸部(8)及びまたは凹部(9)は、2枚のトレイを裏返しに合わせると、互いに嵌め込まれる位置と形状であるので、2枚のトレイは、凸部(8)及びまたは凹部(9)を嵌合させて一体となる。
したがって、この卵収容容器(20)は、底体としてのトレイ(21)と蓋体としてのトレイ(22)を向い合わせに合体させた時、互いに嵌め込まれる両トレイのこれら凹凸部によって、さらに底体と蓋体が縦横のいずれ動くことを防ぎ、卵の運搬、搬送を安定して行うことができる。
また、トレイの周縁部(3)の対称の2辺に設ける凸部の(8)及びまたは凹部(9)は、好ましくは奇数の列又は行に平行な対称の2辺に設けられていると、2枚のトレイを裏返しして重ね合わせる作業が混乱なく容易に実施できる。
また、本発明の卵収容容器は、2個以上の卵収容容器を数層に積重ねるとき、把手用フランジ部が揃う方向または不揃いの方向のいずれに積重ねてもよい。
【0017】
本発明の卵収容トレイは、通常、真空成形などで成形され、トレイの厚さは全体的に均一であるので、トレイの裏面は、卵収容凹部(4)が対応する形状の凸部となり、また、高い突起上状部(7)および低い突起状部(6)が、それぞれ対応する凹部となる。
このようなトレイの裏面の形状は、本発明の卵収容容器がその好ましい実施態様として挙げた5列6行で正方形としたトレイを2枚重ね合わせて構成したものでは、卵収容容器を積重ねた時の安定性の点から極めて優れている。
すなわち、互いに90度水平に回転させて数層に積重ねると、積重ねたトレイは上方から見て正方形の四角柱となる。この四角柱において、個々の卵収容容器の蓋体と底体の卵収容凹部(4)の裏面が、突出した形となって、上下に重なる卵収容容器の底体と蓋体の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面である凹みに位置する。すなわち、卵収容容器の蓋体の裏面における卵収容凹部の突き出しは、上に重なる底体としての容器の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面の凹部に、また、底体の裏面における卵収容凹部の突き出しは、下に重なる蓋体としての容器の低い突起状部(6)および高い突起状部(7)の裏面に位置する。このような位置関係において、トレイ裏面の低い突起状部(6)の凹部は、他の積み重なるトレイ裏面の卵収容凹部の突き出し部と接合し、互いに同一形状の結合となり、このような状態での卵収容容器の積重ねは、極めて強固で、かつ安定に可能である。
すなわち、本願発明の卵収容容器は、トレイを向い合せに重ねた時、まず、高い突起状部と低い突起状部とで接合し、両トレイが相互に入り込んだ状態となって容器としての底体と蓋体のずれを阻止する。
次いで、周縁部に設けられた凸部と凹部の嵌合により、さらにずれの抑止効果は向上し、その上、把手用フランジ部により蓋体と底体の組合せ作業や運搬が容易である。
また、5列6行のような、好ましい卵収容トレイを用いた卵収容容器では、卵を収納した卵収容容器を数層に積重ねるとき、各層毎に90度、水平に回転させて積重ねると、強固に積重ねることができ、積荷の容積効率も大きくなる。
【0018】
次に本願発明の卵収容容器の材料について説明する。
本発明の卵収容トレイ及び卵収容容器は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂を含有する樹脂組成物を、素材として成形し得ることができる。
また、抗菌性を有する衛生的に好ましく、又、廃棄処分処理に配慮した本発明の容器としては、非ハロゲン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂、竹粉、さらには必要によりコーンスターチとを含む樹脂組成物が用いられる。
すなわち、本発明で言う非ハロゲン系(ポリオレフィン系)熱可塑性樹脂とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、プロピレン−エチレン共重合体やこれらを無水マレイン酸などで変性したもの、プロピレンないしはエチレンを主体とし、これらと共重合可能な単量体との共重合体、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの上記樹脂の低分子量物、また、エチレン−プロピレンゴム状共重合体、ポリブテンなどのエラストマーなども挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂は2種以上からなる混合物であっても構わない。
本発明で言う生分解性樹脂とは、微生物に因って水と二酸化炭素に分解される樹脂であって、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂の2種以上からなる混合物であっても構わない。
【0019】
本発明に用いられる微細化した竹は、孟宗竹、真竹などいずれの竹を微細化したものでも構わないが、該微細化した竹の平均粒度は5〜500μmの範囲であることが好ましい。5μmより細かい場合は嵩密度が小さいために飛散しやすく取り扱いが困難であり、また、非ハロゲン系熱可塑性樹脂との混合時に分級しやすいので好ましくない。また、500μmより大きい場合は成形品の表面状態が悪くなり、成形品の製造目的によっては不都合を生じるので好ましくない。
上記の微細化した竹の製造方法は特に限定されないが、竹林維持の為の間伐材や竹製品を製造する際に発生する竹の屑などを、石臼、ボールミル、ハンマーミル、衝撃式粉砕機などにより粉砕して得られる。一度粗粉砕した後、再度粉砕して微細化しても構わない。
更に、粉砕した竹を篩や分級機にかけて分級して用いても構わない。
本発明における微細化した竹の含有量は、樹脂と微細化した竹との総重量の内、少なくとも20重量%以上80重量%以下、好ましくは30重量%以上70重量%以下である。20重量%より少ないと剛性や耐熱性の充分でなく、好ましくない。80重量%を超えると、成形性が劣るので好ましくない。
【0020】
さらに使用する樹脂組成物には、コーンスターチを含ませても良い。
コーンスターチは、とうもろこしから作られる澱粉であるが、本発明で用いられるコーンスターチには、コーンスターチを酸化剤で処理し、低粘度化した酸化デンプンや酸で処理したエステル化デンプン、イオンを導入したカチオンデンプンなどのいわゆる加工デンプンも含まれる。
コーンスターチを使用する場合、その使用量は、(イ)熱可塑性樹脂80重量%〜20重量%、(ロ)微細化した竹20重量%〜80重量%からなる組成物に対して、1重量%〜100重量%である。好ましくは、5〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%である。1重量%未満では、本発明が期待する効果を充分に発現することが難しく、100重量パーセントを超えて使用するときは、成形物の物性を損なうので好ましくない。
【0021】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂と微細化された竹、さらに必要に応じて含有させるコーンスターチとは、これらをヘンシルミキサーなどにより、必要に応じて酸化防止剤、着色剤などと一緒に攪拌混合し、これを押出機により加熱溶融押出してペレット状に成形したり、また、ヘンシルミキサーなどで混合時に溶融造粒しても構わない。更に、両者を加熱したロールにより溶融混練し、シート状にしたものを裁断して造粒しても構わない。ペレット形状にせずにそのまま押出機やカレンダーロールなどに供して製品を得ても構わない。
粉状のポリオレフィン系熱可塑性樹脂または生分解性樹脂を用いると、微細化した竹の分散性が向上するので好ましい。
なお、微細化した竹やコーンスターチは水分を含むので、予備乾燥するか、加熱したヘンシルミキサーでの攪拌や、押出機でのベント吸引などにより水分を除去しておくのが好ましい。
【0022】
本発明の卵トレイ及び卵収容容器の製造方法は特に限定はされないが、一般的には、非ハロゲン系熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂)を含有する樹脂組成物、あるいは、ポリオレフィン系樹脂または生分解性樹脂と微細化した竹および必要により加えるコーンスターチを含有する樹脂組成物を用い真空成形、押出成形やカレンダー加工が採用できる。カレンダー加工の場合、樹脂または樹脂と微細化した竹粉および必要により加えるコーンスターチを溶融ペレット化し造粒したものや、ペレット状ないしは粉状の樹脂または樹脂と微細化した竹および必要により加えるコーンスターチとの混合物を直接カレンダー設備のミキシングロールに投入しても良く、また、押出機により溶融させてミキシングロールやカレンダーロールに投入しても構わない。
本発明の卵収容容器は、好ましくは、竹粉と非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有するか樹脂組成物を用いカレンダー加工により得られたシートを真空成形して得られる。
その他、圧空成形、射出成形又は圧縮成形でも良い。
【0023】
本発明に用いる樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤のほか、着色染料、顔料などや、少量の他の樹脂や有機ないしは無機充填材、抗菌剤などを含んでも構わない。
本発明の卵トレイおよび卵収容容器は、剛性や耐熱性が高く、また、抗菌性を有するので、卵の運搬用容器として好適である。また、燃焼しても燃焼カロリーが低く、腐食性ガスを生じることも無い。特に、生分解性樹脂を使用した場合には、微細化した竹を含めてコンポスト処理できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の卵収容トレイは、2以上の行及び列からなり、1枚のトレイであっても、多数個の卵を収容でき、卵の重量を支えるに充分な剛性を有する。また、本発明の卵収容容器は、このトレイを重ねあわせて多数個の卵を収容し、運搬・搬送に使用するに適した容器である。
すなわち、本発明の卵収容トレイは密に積重ねて、効率的に回収可能であり、このトレイ2枚を組合せる収容容器は、簡単に容器とし、安全に搬送に用いることができる、また、使用後はトレイを積重ね小容量化して回収できる。また、本発明の容器は抗菌性を持たせることができるので、回収して、消毒、洗浄し再利用できる。
したがって、多数個の卵を小分けして容器に入れ、これらの容器を纏めて搬送用の箱に入れて、卵の需要家に搬送する、さらにこれらを回収して繰り返し使用することを特徴とする搬送システムに好適に使用できる卵収容トレイ及び卵収容容器である。また、容器の素材を本発明の好適な竹粉を含む非ハロゲン系樹脂組成物を選択することにより廃棄処分も環境汚染を低減することができるので、流通・産業経済上のみならず、環境対策上も優れた卵収容トレイ及び卵収容容器である。
本発明の卵収容容器は、本発明者等が先に提案した卵搬送システムに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】卵収容トレイの斜視図を示す。
【図2】卵収容トレイの上面図を示す。
【図3】卵収容トレイの側面図を示す。
【図4】卵収容トレイの切断断面図を示す。
【図5】卵収容容器の側面図を示す。
【図6】卵容器積重ね断面図を示す。
【符号の説明】
1:トレイ本体
2:把手フランジ部
3:トレイの周縁部
3a:トレイの幅の広い周縁部
3c:トレイの幅の広い周縁部
4:卵収容凹部
4a:卵収容凹部の縦リブ
4b:卵収容凹部の底の小さいリブ
5:卵収容凹部の仕切り壁
5c:仕切り壁の十文字に交差する位置
6:低い突起状部
7:高い突起状部
8:周縁部の凸部
9:周縁部の凹部
11:仕切りが周辺部(3)とT字状に交差する部分
12:仕切りが十字状に交差する部分
20:卵収容容器
21:底体
22:蓋体
Claims (6)
- 列数及び行数が2以上であり、いずれか一方が奇数、他方が奇数又は偶数である列と行からなる多数個の卵収容凹部(4)を設けたトレイ状容器であり、該凹部を仕切る格子状の仕切り壁(5)が十文字に交差する位置(12)が、交互に仕切り壁の高さ(d1)より高い高さ(d2)の低い突起状部(6)と、トレイの周縁部(3)の高さ(d0)より高い高さ(d3)であり、かつ、d2+d3≒2d0である高さの高い突起状部(7)であることを特徴とする卵収容トレイ。
- トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたことを特徴とする請求項1記載の卵収容トレイ。
- トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の卵収容トレイ。
- 請求項1記載の卵収容トレイの1枚を底体とし、他の1枚を蓋体として、底体としてのトレイ(21)の上に、該トレイの奇数の列または行に対して直角方向に、蓋体としてのトレイ(22)を裏返しに重ね合わせて、両トレイの高い突起状部(7)と低い突起状部(6)が相対して相互に接合するように一体とした卵収容容器。
- トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の対称の位置を切り欠いて把手用フランジ部分(2)を設けたものであり、底体と蓋体の該把手用フランジ部分(2)が一致するように一体となした請求項4記載の卵収容容器。
- トレイが、トレイ周縁部(3)の少なくとも1対の相対する2辺の一方に、少なくとも1箇所の凸部(8)又は凹部(9)あるいは凸部(8)と凹部(9)を設け、これに対称の他の一辺に、該凸凹部と対称の位置にあって、かつ同一の形状であるが、逆の凹部(9)又は凸部(8)あるいは凹部(9)と凸部(8)を設けたものであり、底体と蓋体を裏返しに重ねて、それぞれの凹凸部が嵌め込まれて一体となした請求項4又は5記載の卵収容容器。
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JP2002252994A JP2004090962A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 卵収容トレイ及びそれを用いる卵収容容器 |
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JP2019535604A (ja) * | 2016-10-31 | 2019-12-12 | カルドーソ,エリカ セザリーニ | 卵を収納するための生分解性容器 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002252994A patent/JP2004090962A/ja active Pending
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