JP2004090093A - 異種金属接合用インサート材 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム又はその合金と炭素鋼やステンレス鋼などの鉄基材料、チタン及びチタン合金、銅及び銅合金などの異種金属とを溶接などの方法で直接金属接合すると接合部に脆い金属間化合物が生成するため信頼性の高い接合継ぎ手が得られない。
【解決手段】アルミニウム又はその合金と炭素鋼やステンレス鋼などの鉄基材料、チタン及びチタン合金、銅及び銅合金などの異種金属とを金属接合する際に両材料の間にSiを必須元素として含有するアルミニウム合金をインサート材として挟んで溶接などの方法で接合する。
【選択図】図2

Description

 本発明はアルミニウム又はその合金(以下アルミニウム材と称す)と炭素鋼やステンレス鋼などの鉄基材料、チタン及びチタン合金(以下チタン材と称す)、銅及び銅合金(以下銅と称す)等の異種金属(以下異種金属と称す)とを溶接などの方法で金属接合する際にそれらの材料の間にインサート材として挟むSiを必須元素として含有するアルミニウム合金並びにそのインサート材を用いて接合する異種金属の接合方法及び接合構造に関するものである。
 アルミニウム材と鉄基材料、チタン材、銅材などの異種金属との金属接合、例えば抵抗スポット溶接やスタッド溶接を直接行うとアルミニウム材と異種金属の接合界面に脆い金属間化合物が厚く形成されるため高い溶接強度の継ぎ手が得られない。そのような問題を解決する方法として図1に示すように、予め異種金属とアルミニウム材を圧延法、爆発溶接などの方法でクラッドした材料をアルミニウム材同士、また異種金属同士が互いに接するようにアルミニウム材と異種金属との間にインサート材として挟みアルミニウム同士及び異種金属同士を抵抗スポット溶接する方法などがある(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。しかし、これらの方法ではインサート材のクラッド材が高価である、インサート材は色々な形状に加工する必要があるがクラッド材はその加工がしにくいため作業性が悪い、クラッド材は板厚があまり薄くできないため溶接部が部厚くなり外観的に好ましくない、また従来のインサート材として使用されるクラッド材のアルミニウム材は主としてクラッド性の点から純アルミニウムを使用しているため溶接熱でクラッド界面に脆い金属間化合物が厚く成長するため十分な溶接強度が得にくいことなどの問題がある。
特開平5−111778 特開平7−132380
 従って経済性、作業性、外観性、継ぎ手品質などを考えてアルミニウム材と異種金属の間に安価で、加工が容易で、かつ両材料の何れともなじみやすく、かつ脆い金属間化合物の生成し難い単体のインサート材を挟んで金属接合できれば最も望ましい。そこで、そのような要望に応える材料、接合方法並びに接合構造を開発した。
 本発明は上述の問題点を解決するために図2に示すようにアルミニウム材と異種金属の間にSiを含有するアルミニウム合金をインサート材として挿入して抵抗溶接等の金属接合を行うことを特徴とする。このSiを含有するインサート材は異種金属およびアルミニウム材の何れともなじみ性が良く、かつ異種金属と脆い金属間化合物を形成しにくいため良好な接合継ぎ手が得られる。すなわちSi含有の作用は溶融温度を低下させて低温でも異種金属となじみやすくする一方で、アルミニウムの異種金属中へ拡散を遅らせて脆い金属間化合物の生成を抑制することである。Si含有量は1%以下では作用効果が小さく、また20%以上でも後述するように却って作用効果が低下するので1%以上、20%以下とする。インサート材のSi以外の組成については、Cu,Zn、Mg,Geはインサート材の溶融温度を低下させて両金属とのなじみ性を向上させるが、異種金属の継ぎ手の強度、耐食性などの要求特性に応じて6%以下の範囲で適宜含有される。その他の元素は3%以下が望ましい。特に異種金属が鉄基材料の場合Fe、Ni、Cr、Mn、チタン材の場合はTi、銅材の場合はCuが多いほど異種金属中へのアルミニウムの拡散を抑制するため、継ぎ手品質は向上するが多すぎると返って接合継ぎ手が脆くなるため上限はおおよそ3%である。
 またインサート材はSiを必須元素として含有するためSiの晶出物が多く存在する。そのSi粒子の大きさは接合性に影響を及ぼす。そこでSi粒子のサイズ(三次元方向の最も小さい寸法)を70μm以下にする必要があり、微細化すると接合強度が向上すると共に安定する。これは抵抗溶接のような短時間入熱でインサートが溶融しやすくなるためである。
 インサート材の形状としては板材が最も望ましいが、箔、粉末やフレークなどの微粒子としても使用できる。さらに材料は高価となるが作業性の観点から予めアルミニウム材又は異種金属のいずれか一方または両方にメッキ、溶射、蒸着、圧延、圧接などの方法でインサート材を結合させた状態でも使用される。
 アルミニウム材および異種金属の内特にチタン材、マグネシウム材等は酸化し易いため接合雰囲気として真空雰囲気中やアルゴン、ヘリウム,窒素、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気中で、又はフッ化物系などの非腐食性のフラックスを接合部に塗布して接合すると接合強度が向上すると共に安定する。
 なお、接合方法としては主としてスポット溶接、シーム溶接、スタッド溶接、プロジェクション溶接、パーカッション溶接などの抵抗溶接に適用されるがレーザー溶接、アーク溶接、固相溶接、ろう付など何れの接合法にも適用可能である。
 この方法によればアルミニウム材と異種金属との接合におい極めて経済的で、かつ品質、性能の優れた金属接合が得られる。
次に本発明の実施の形態について実験結果を例に挙げて説明する。
 板厚0.6mmのアルミニウム合金(5052合金)と板厚0.4mmのステンレス鋼(SUS430)、純チタン,純銅とを重ねて抵抗スポット溶接をした。板の寸法は幅20mm、長さ50mmで重ね代は20mmである。電極先端径は2mm、溶接電流は10KA(アルミニウム材と純銅及びアルミニウム材同士の場合17KA)である。インサート材としては板厚0.15mmの純アルミニウム板、Siを含有するアルミニウム合金板を用いた。またSi11%、Fe1%を含有するアルミニウム合金を予め上記ステンレス鋼に10μmの厚さで溶融メッキしてメッキ部をインサート材(メッキ・インサート)として用いた。溶接継ぎ手の評価は溶接強度(せん断引張強度)で行った。ナゲット径は何れもおおよそ2mmであった。結果を表1に示す。いずれの組み合わせの場合も純アルミニウムを含めSi含有量1%以下のインサート材では継ぎ手強度が低い。Si含有量が多くなると溶接強度は高くなり、アルミニウム材同士の溶接強度より高くなるものある。またSi含有量は20%を超すと圧延などの加工が著しく困難になるとともにSi粒子が大きくなり後述するように溶接強度が低下するのでSi含有量上限を20%とした。このようにSiを含有するアルミニウム合金のインサート材の効果が顕著であった。
Figure 2004090093
 インサート材のSi含有アルミニウム合金のSi粒子の大きさの異なった場合の結果を表2に示す。インサート材のSi含有量は13%でリン処理しない粗大Si粒子のものと、リン添加によってSi粒子を微細化したものである。溶接条件は実施例1と同じである。Si粒子が大きいと溶接強度が低下する。
Figure 2004090093
 板厚0.4mmのステンレス鋼板(SUS430)と直径5mmのアルミニウム合金(2011合金)ピンをスタッド溶接した。ステンレス鋼にはSi11%、Fe1%を含有するアルミニウム合金を予め10μmの厚さで溶融メッキしてメッキ部をインサート材(メッキ・インサート)として用いた。溶接強度は板面と垂直にピンを引っ張る引張強度で示した。結果を表3に示した。Si含有アルミニウム合金のインサート材の効果が顕著であった。
Figure 2004090093
  自動車、航空宇宙機など輸送機分野では性能向上のための軽量化、またパソコンなどの情報機器では軽量化の他に、電気特性、放熱特性の向上などの点から、その構造及び部品の材料ハイブリッド化が求められている。その場合異種材料の接合、特に金属材料ではアルミニウム材と異種金属の金属接合が不可欠となり、経済的で、かつ品質的に優れた異種金属の接合法の開発が強く求められている。本発明はそのような要望に対応した技術に関するものである。
 従来のクラッド材をインサート材とする異種金属の溶接方法の例  本発明の単体インサート材を使用する異種金属の溶接方法の例
符号の説明
 1 アルミニウム材
 2 異種金属
 3 Si含有アルミニウム合金インサート材
 4 インサート材(クラッド材)のうちのアルミニウム材
 5 インサート材(クラッド材)のうちの異種金属
 6 溶接電極

Claims (3)

  1.  Si1〜20%を必須元素として含有し、Si粒子の大きさが70ミクロン以下のアルミニウム合金よりなるアルミニウム又はその合金と異種金属との金属接合用インサート材。
  2.  請求項1記載のインサート材を用いてアルミニウム又はその合金と異種金属とを金属接合することを特徴とする異種金属の接合方法。
  3.  請求項1記載のインサート材を用いてアルミニウム又はその合金と異種金属とを金属接合した接合構造。
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