JP2004089214A - 空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ - Google Patents

空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ Download PDF

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Abstract

【課題】外乱に対して強固なリーフの移動制御を実現し、かつ、患者に対して十分な安全性を有する、小型かつ軽量な移動制御機構を備えた新しいマルチリーフコリメータを提供する。
【解決手段】放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのマルチリーフコリメータにおいて、放射線を遮断する複数のリーフブロック(1)と、これらのリーフブロック(1)を単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロック(1)に接続された複数の移動手段(2)と、これらの移動手段を制御する制御手段(3)とからなり、移動手段(2)が、エアシリンダー(4)とこのエアシリンダー(4)の空気供給口に接続された電磁バルブ(5)とからなり、制御手段(3)が、各移動手段(2)の備える電磁バルブ(5)を制御し、各エアシリンダー(4)への空気供給圧を調整し、各リーフブロック(1)の移動を制御する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、小型かつ軽量であることから病変部への接近しての設置が容易であり、また、従来の電気モータを用いた手法では対応不可能であった大きな外乱に対しても十分に対応可能である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
癌等の病変部に対し放射線を照射して治療を行う放射線治療は、病状の進行を抑える化学治療と異なり、病変部そのものを治療する根治性が高い療法であり、さらには、外科療法と比較して患部の機能と形態の欠損が少ないことから、近年、その重要性が高まりつつある。特に、早期肺癌や早期乳癌等では、放射線治療が非常に有効であると考えられている。
【0003】
このような放射線治療において、安全性の観点から特に重要であると考えられているのは、放射線を病変部の形状に合わせて照射し、他の正常組織には極力照射を極力避けることである。このため、放射線治療装置では、放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込む必要がある。
【0004】
照射野の絞り込みには、従来、真鍮金属ブロックを患者の腫瘍投影形状に適合するよう切削したものをコリメータとして放射線の進路中に置く方法が知られている。この方法においては、真鍮金属ブロックを切削するために手間と時間がかかることが問題となっている。腫瘍形状は、患者ひとりひとりにつき異なることや、治療の進捗によって変化することから、コリメータは患者一人あたりにつき平均で3個必要であるといわれている。コリメータ1個当たりの作製費用は約5万円であり、また、使用後は低レベル放射性廃棄物として取り扱わねばならないことから再利用も難しく、使用後の処理コストや保管コストが膨大なものとなっているのが現状である。
【0005】
このため、現在では、開口の形状を自動的に調節可能な絞り装置を放射線ビームライン中に設置して照射野を生成するために、多分割原体絞りを備えたマルチリーフコリメータが広く用いられている。
【0006】
マルチリーフコリメータにおいては、複数のリーフブロックを、電気モータなどにより一つずつ移動制御することから、装置として複雑かつ大掛かりなものにならざるを得ず、患者の体を挟み込んで傷つけてしまうなどの不慮の事故に対する安全性の観点から、病変部に十分に近づけることができなかった。そのため患部と一定の距離を置く必要があることから放射線が散乱してしまい、これが精度の高い治療の実現を妨げる原因となっていた。特に、IMRT(多門多方向放射線集光治療)においては、病変部に対してコリメータを、できるだけ近づけたいという要望が強く、コリメータ全体の小型化および軽量化が望まれていた。
【0007】
また、従来のマルチリーフコリメータの移動制御は、外乱に対して極めて弱い制御であり、モータの脱調によりリーフブロックが脱落することなどが問題となっていた。さらには、停電などによる急なシステムダウンに対応するために、大きな容量を持つ高価な無停電電源を必要としていた。
【0008】
マルチリーフコリメータの移動制御に油圧シリンダーを利用することも考えられるが、油圧シリンダーは軽量化が難しく、また、油漏れが発生する危険性がある。さらには、極めて大きな力でのリーフブロックの駆動が行われることとなるため患者を挟み込んだ場合のダメージを考慮するならば、医療用機器としての実用は不可能である。
【0009】
この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、外乱に対して強固なリーフの移動制御を実現し、かつ、患者に対して十分な安全性を有する、小型かつ軽量な移動制御機構を備えた新しいマルチリーフコリメータを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのマルチリーフコリメータにおいて、放射線を遮断する複数のリーフブロックと、これらのリーフブロックを単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロックに接続された複数の移動手段と、これらの移動手段を制御する制御手段とからなり、移動手段が、エアシリンダーとこのエアシリンダーの空気供給口に接続された電磁バルブとからなり、制御手段が、各移動手段の備える電磁バルブを制御し、各エアシリンダーへの空気供給圧を調整し、各リーフブロックの移動を制御することを特徴とする空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータを提供する。
【0011】
さらに、この出願の発明においては、第2の発明の態様として、放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのマルチリーフコリメータにおいて、放射線を遮断する複数のリーフブロックと、これらのリーフブロックを単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロックに接続された複数の移動手段と、これらの移動手段を制御する制御手段とからなり、移動手段が、エアシリンダーとこのエアシリンダーの空気供給口に接続された電磁バルブとからなり、制御手段が、各移動手段の備える電磁バルブの開度を制御し、各エアシリンダーへの空気供給圧を調整し、各リーフブロックの移動を制御することを特徴とする空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータをも、提供するものである。
【0012】
また、この出願の発明は、第3の発明の態様として、リーフブロックの位置を計測する位置計測手段と電磁バルブの開度を決定し制御手段に出力する処理装置とを備え、処理装置においては、ロバスト制御により、位置計測手段により計測されたリーフブロックの位置情報からリーフブロックの移動する位置を予測し、外乱が発生した場合に自動的に補正し、適切な電磁バルブの開度を決定することを特徴とする空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータを、第4の発明の態様として、隣り合うリーフブロックどうしが咬合するように、各リーフブロックの表面および裏面に、移動方向に沿った凹凸が設けられていることを特徴とする空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0014】
この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータは、放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのものである。図1に、この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータの構成例について示す。
【0015】
この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータは、放射線を遮断するための複数のリーフブロック(1)と、これらのリーフブロック(1)を単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロックに接続された複数の移動手段(2)と、これらの移動手段を制御する制御手段(3)とから構成される。移動手段(2)は、エアシリンダー(4)とこのエアシリンダー(4)の空気供給口に接続された電磁バルブ(5)とからなるものである。エアシリンダー(4)には、コンプレッサーなどの空気供給手段(6)が接続されており、コンプレッサーなどの空気供給手段(6)から供給される圧縮空気の圧力を、制御手段(3)により電磁バルブ(5)の開度を制御することで調整し、各リーフブロック(1)の移動の制御が行われる。
【0016】
さらに、この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、外乱に対してロバストなリーフブロックの移動制御を実現するために、ロバスト制御を導入するものである。ロバスト制御とは、システムの動特性が正確に把握できていなかったり、また、環境や動作条件によって変化したりする場合において、システムの不確実性や動特性の変動に関わらず所望の性能が確保できるようなシステムを実現するようシステムを設計することをさし、具体的には、フィードフォワードをしながらフィードバックを同時に実施するような制御が挙げられる。この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいて適用可能なロバスト制御の具体的なブロック図および流れ図を、それぞれ図2および図3に示す。
【0017】
外乱および摩擦等のモデル化が困難である要素が皆無である対象を制御する場合には、入力電圧に対して線形なリーフブロックの変位が得られる。外乱や不確実さが存在しない系を線形の系と呼ぶが、このような線形の系に予期していない摩擦力や外乱が作用すると“発散”してしまう。“発散”とは、具体的には、指でリーフブロックを大きく動かしたときに、反対側の方向にリーフが動き、そのまま戻ってこなくなるような制御不可能な状態である。
【0018】
そこで、外乱が作用して、線形の振る舞い、あるいは、設定された振る舞いと異なるようなリーフブロックの動きが発生しつつある場合に、その外乱が次の瞬間にどれだけリーフブロックを動かすかを予想し、設定値に予想量の負の値を加算して動きの指令を出力する(フィードフォワード)。さらに、指令発信後の一定時間後に、リーフの動きが設定値とどれだけ異なっているかを確認し、設定値に近づくように指令を出力する(フィードバック)。これを予想移動量がゼロとなるまで繰り返す。
【0019】
この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、リーフブロック(1)の位置を計測するための位置計測手段(7)が設置されており、所定時間毎に、位置計測手段(7)により計測されたリーフブロック(1)の位置情報からリーフブロック(1)の移動する位置がロバスト制御により予測され、適切な電磁バルブ(5)の開度の決定がなされる。これらの処理は処理装置(8)によって行われ、決定された電磁バルブ(5)の開度に関する情報は制御装置(3)へ伝達され、電磁バルブ(5)の開度の調整が行われる。位置計測手段(7)としては、例えば、光学式あるいは磁気式の直線エンコーダが用いられる。
【0020】
以下に、この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータに適用されるロバスト制御に関して簡単に説明する。
【0021】
この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータに適用可能なロバスト制御としては、例えば、線形フィードバック制御が挙げられる。図4は、典型的な線形フィードバック制御について示したブロック図である。Gp(s)は、システムの伝達関数、Gc(s)は、補償要素の伝達関数、u(s)は設定入力、また、y(s)は出力を表す。
【0022】
パラメータの変動に対して閉ループ特性が変動しないときには、感度特性は良好であり、一般的には、可能な限り低感度のシステムとして設計することが好ましい。一方、動特性が変動しても、安定が持続できるときには、ロバスト安定な状態にあり、これに関して、次の設計仕様がよく利用される。
【0023】
1)感度特性:
S=1/(1+Gc(s)Gp(s))
2)ロバスト安定性:
T=Gc(s)Gp(s)/(1+Gc(s)Gp(s))
上記のSおよびTは、それぞれパラメータ変動に対する感度特性と動特性変動に対するロバスト安定性を与える尺度であり、和が1であるという関係を満足する。感度特性を高くするためにGc(s)をハイゲインに設計して、S→0とすれば、T→1となることから、ロバスト安定性は劣化し、僅かな動特性変動に対してシステムが不安定になりやすい。逆に、Gc(s)をローゲインに設定した場合には、S→1、T→0となり、ロバスト安定性は維持できるが、感度特性が劣化することとなる。したがって、システムの要求仕様に合わせたロバスト安定性および感度特性のトレードオフが行われる。
【0024】
この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、エアシリンダーへの供給空気圧の調整により、リーフブロックの移動速度を詳細に制御することが可能であり、最速では、従来の電気モータを用いた場合の数倍の移動速度を実現できる。また、病変部に空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータを接近させる場合には、供給空気圧を低く設定することで、リーフブロックの移動速度を低速にし、また、動作力も小さくすることでリーフブロックが患者の体を挟み込んでしまっても安全を確保することが可能である。従来の電気モータを用いたリーフブロックの移動制御においては、リーフブロックの移動変位と力の同時制御が困難であったが、この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、エアシリンダーへの供給空気圧の調整を行うだけで、両者の同時制御が容易である。
【0025】
一般の放射線治療室においては、麻酔ガスとともに圧縮空気ラインが設備されていることから、エアシリンダーへは、圧縮空気ラインを通じて空気供給することができる。この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、リーフブロックの移動そのものに関しては、電力を必要としないことから、停電が発生した場合であっても、大容量の無停電電源装置は不要である。
【0026】
また、この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいては、ビームの漏洩を減ずるために、隣り合うリーフブロックどうしが咬合するように、各リーフブロックの表面および裏面に、移動方向に沿った凹凸が設けられていることが好ましい。
【0027】
以上は、この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおける態様の一例であり、例えば、上記のリーフブロックと垂直方向に移動するリーフブロックとの2層構造を持つ構成などもこの出願の発明の実施形態として考慮される。すなわち、この出願の発明が以上で示した形態は、最も基本的な構成であって、構成の細部について、様々な形態をとりうることが考慮されるべきであることはいうまでもない。
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明する。
【0028】
【実施例】
この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータの有効性を検討するために、図5に示すようなモックアップリーフブロックを作製した。このモックアップリーフブロックは図6に示すように、エアシリンダーに接続される。エアシリンダーと並列して磁歪式リニアエンコーダーが設置されており、これによりシリンダーの位置の変位を測定する。磁歪式リニアエンコーダーは、原子炉燃料棒位置測定に使われるものと同等のものを用いた。
【0029】
本実施例ではモックアップリーフブロックとして10枚の厚さ2.5mmのリーフブロックからなる実験用多葉コリメータを模擬した装置を作製した。中央部分3枚のリーフブロックに対して、エアシリンダーと磁歪式リニアエンコーダーを接続し、まず、リーフブロック一枚で制御が行えるか否かを確認した。次いで、複数リーフの場合であってもリーフ駆動が可能であるか否かを確認した。さらには、リーフブロック間の摩擦干渉等による制御の不安定が起こるか否かを確認した。
A)1枚のリーフブロックの動作試験
1枚のリーフブロックに対して1kgのダミーロードを搭載し、動作試験を行った。図7は、入力信号とリーフブロック停止位置の関係について示したグラフである。横軸は制御側の入力信号で、縦軸はシリンダー付け根からのリーフブロックの末端までの距離を示している。入力信号に対しての静的変位はほぼ線形であり、良好な制御が行われていることがわかる。
B)1枚のリーフブロックの応答周波数
上記A)と同じ条件で入力の周波数を上げていき、制御可能な周波数の範囲について確認した。図8〜10に正弦波、三角波および矩形波の各波形で駆動した入力信号と変位信号を示す。図中において、下側の波形が入力信号であり、また、上側の波形が変位信号である。
【0030】
正弦波および三角波においては、作動周期が0.5〜1Hz程度の場合では、入力信号に忠実に変位し、3Hzまでは若干のひずみが発生するものの、問題なく作動する。
【0031】
矩形波においては、3Hzを越える成分が出てくるため、波形に乱れが認められるが、100〜120msで収束している。図11に示した拡大波形により、立ち上がり周波数は8〜10Hzの範囲であることがわかる。これは、慣性の影響が大きく出てくるためであるが、その際のリーフ移動速度は500mm/sであるので、現状の100mm/sよりも十分早く、波形が乱れてもその後は指示値を保持していることから、実用上の問題とはならないと考えられる。
【0032】
一方、正弦波および三角波においてピーク近辺に見られる作動周期が、0.3Hz以下になると変位波形に乱れが生じる。これは軸受けおよび近傍リーフブロック間における摩擦が、静摩擦が支配的な領域と動摩擦が支配的な領域との過渡範囲にあるためであると考えられ、遅速度において限界速度域が存在することがわかった。これについては、リーフブロック間の潤滑、あるいは、コーティングによる摩擦の低減により解決することが可能である。
C)1枚のリーフブロックの一定位置保持
一定入力信号を与えた場合、すなわちリーフブロックに対して一定変位を与えこれを保持する状況を設定したところ、図12に示したようにリーフブロックが若干震える傾向にある。この震えは、0.1mm程度の振幅であり、また、1乃至2Hz程度の周波数であった。これはフィードバックをかける時定数が適切でないか、あるいは、圧力源として用いられている小型の圧縮機が常時動作し圧力が変動していたことが原因と考えられる。
【0033】
図12中に大きな変位が認められるが、これは実験者が手でリーフブロックを6mm程度動かしてもとに戻るか否かを確認した際の変位である。リーフブロックは、反対方向に若干オーバーシュートするが、200ms程度で復帰している。
【0034】
指でリーフブロックを押し下げた場合には、制御による補正が働き、リーフブロックが指の動きをキャンセルするような動きをするように、電磁バルブが開放されるため、この変位の補正はシリンダーの空気バネ効果によるものではない。電磁バルブの安全弁の設定圧を下げて実験を行った場合、安全弁からの空気放出後に変位補正を行うためのバルブの開放が認められる。
【0035】
このような外乱をステッピングモータで駆動されている系に与えると脱調を起こし、その後、正確な制御が行われなくなり、最悪の場合にあっては、モータに電力が供給されなくなることが知られている。この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおける制御系では6mmと言う大きな外乱があっても、問題なく指示値に復帰可能であることが確認できた
D)3枚のリーフブロックでの動作試験
3枚のリーフブロックのうち、中央のリーフブロックと両脇の2枚のリーフブロックに対して別の入力信号を与えた場合の波形を図13に示す。上方2段の波形が、それぞれ、中央のリーフブロックの入力信号と変位信号である。下方2段の波形が、それぞれ、両脇2枚のリーフブロックの入力信号と変位信号である。入力信号は共に1Hzとした。図13より、3枚のリーフブロックの間に大きな干渉は認められなかった。
【0036】
図14は、本実施例で用いたリーフブロックの断面形状である。リーフブロックの表面および裏面に、リーフブロックの移動方向に沿って凹凸を設け、隣接するリーフブロックどうしが咬合うようにした。このようにすることで、リーフブロック間でのビームの漏洩を減ずることができる。リーフブロックどうしの咬合部のクリアランスは、板厚方向に20μmであり、また、板幅方向に50μmに設定し、ビームの漏洩を最小とするとともに、がたつきが生じないようにした。
【0037】
図15に、中央のリーフブロックを一定位置に保持し、両脇2枚のリーフブロックに対して0.6Hzの正弦波を入力した場合の結果について示す。中央のリーフブロックは、両脇2枚のリーフブロックの動きの影響を受け、0.2〜0.5mm程度引きずられている。これはリーフブロックが1枚である場合同様に、これは軸受けおよび近傍リーフブロック間における摩擦が、静摩擦が支配的な領域と動摩擦が支配的な領域との過渡範囲にあるためであると考えられる。これは、リーフブロック間の潤滑、コーティング、および、供給空気圧の増加により解決可能である。
【0038】
本実施例で作製した空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにより、外乱に強い制御が実現され、また、従来の電気モータを移動手段として用いたものと比して、約5倍の最高速度で移動できることがわかった。ダイナミックアーク照射のように、連続的にマルチリーフの形状を変化させながら照射を行うような場合であっても、十分に実用可能な応答特性を持っていることも明らかとなった。
【0039】
エアシリンダーは、従来、決められたストロークの範囲で供給空気圧に応じた荷重を加えるために用いられてきた。空気圧シリンダーには、単動型と復動型があり、単動型は内部に組み込まれたバネが空気圧に拮抗して往復運動を行っており、そもそも複雑な制御を行うのに適さない。一方、復動型は伸縮両方の動きに対して空気圧を供給して行っている。空気圧調整部のオリフィスにより、若干の速度調整が可能であるが、排気側における空気の圧縮性の問題、温度による圧縮空気挙動の変化、および、シリンダーの摩擦が一定でなく使用状態などによりばらつきが発生することなどから、精密な位置制御には向かないと考えられてきた。この出願の発明の実施例では、実験により、近年安価になりつつあるリニアエンコーダーを用い、また、ロバスト制御を適用することにより、空気の圧縮性の問題やモデルとして構築不可能である摩擦のばらつきに関する問題を解決した。
【0040】
さらに、製造した際に機構そのものが極めて単純化かつ軽量化できることもわかった。電気モータで同様の装置を作製する場合には、各リーフブロックを移動するモータ、エンコーダ、モータを保持するスペース、配線等が必ず必要であることから、全体の容積、重量を減らすことは不可能である。エアシリンダーを用いた本実施例の機構においては、シリンダー、サーボバルブ、配管のみの構成であり、サーボバルブは外付けにすることも可能であることから、極めて小型かつ軽量な空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータが実現する。
【0041】
【発明の効果】
この出願の発明によって、以上詳しく説明したとおり、外乱に対して強固なリーフの移動制御を実現し、かつ、患者に対して十分な安全性を有する、小型かつ軽量な移動制御機構を備えた新しいマルチリーフコリメータが提供される。
【0042】
この出願の発明においては、従来の電気モータによるリーフブロックの移動制御において困難であった変位と力の同時制御が可能であることから、フレキシブルなリーフブロックの移動制御が実現し、従来技術で問題となっていた安全性の問題が改善される。また、構成の簡略化による小型化および軽量化が実現を実現し、放射線機器そのもののアライメント精度の向上に貢献する。この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータを構成するエアシリンダーは、電気モータに比較して、極めて安価であり、また、一般病院の放射線治療室には、麻酔ガスとともに圧縮空気ラインが備えられていることから、これを利用することで、リーフブロックの移動に関して、ほとんど電力を必要としないといった利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明である空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータの構成について示した概要図である。
【図2】この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいて適用可能なロバスト制御について示したブロック図である。
【図3】この出願の発明の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータにおいて適用可能なロバスト制御について示した流れ図である。
【図4】ロバスト制御の原理について示した概要図である。
【図5】この出願の発明の実施例において作製したモックアップを構成するリーフブロック移動機構を示した写真である。
【図6】この出願の発明の実施例において作製したモックアップを構成するリーフブロックを示した写真である。
【図7】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図8】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図9】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図10】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図11】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図12】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図13】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【図14】この出願の発明の実施例で使用したリーフブロックの断面形状について示した概要図である。
【図15】この出願の発明の実施例における実験結果について示した図である。
【符号の説明】
1 リーフブロック
2 移動手段
3 制御手段
4 エアシリンダー
5 電磁バルブ
6 空気供給手段
7 位置計測手段
8 処理装置

Claims (4)

  1. 放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのマルチリーフコリメータにおいて、放射線を遮断する複数のリーフブロックと、これらのリーフブロックを単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロックに接続された複数の移動手段と、これらの移動手段を制御する制御手段とからなり、移動手段が、エアシリンダーとこのエアシリンダーの空気供給口に接続された電磁バルブとからなり、制御手段が、各移動手段の備える電磁バルブを制御し、各エアシリンダーへの空気供給圧を調整し、各リーフブロックの移動を制御することを特徴とする空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ。
  2. 放射線治療において放射線の体表上での照射野を病変部の形状に合わせて絞り込むためのマルチリーフコリメータにおいて、放射線を遮断する複数のリーフブロックと、これらのリーフブロックを単方向に移動するようにそれぞれのリーフブロックに接続された複数の移動手段と、これらの移動手段を制御する制御手段とからなり、移動手段が、エアシリンダーとこのエアシリンダーの空気供給口に接続された電磁バルブとからなり、制御手段が、各移動手段の備える電磁バルブの開度を制御し、各エアシリンダーへの空気供給圧を調整し、各リーフブロックの移動を制御することを特徴とする請求項1記載の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ。
  3. リーフブロックの位置を計測する位置計測手段と電磁バルブの開度を決定し制御手段に出力する処理装置とを備え、処理装置においては、ロバスト制御により、位置計測手段により計測されたリーフブロックの位置情報からリーフブロックの移動する位置を予測し、外乱が発生した場合に自動的に補正し、適切な電磁バルブの開度を決定することを特徴とする請求項1または2の空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ。
  4. 隣り合うリーフブロックどうしが咬合するように、各リーフブロックの表面および裏面に、移動方向に沿った凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの空気シリンダー駆動マルチリーフコリメータ。
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