JP2004085829A - 静電像現像用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐オフセット性を有し、また、フィルミングが発生し難いうえ、廃トナーの発生量やブロッキングも抑制される静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】熱処理装置を用いてバインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなり、トナー母体粒子は、離型剤として、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含んでいる静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】熱処理装置を用いてバインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなり、トナー母体粒子は、離型剤として、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含んでいる静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において静電像を現像するために用いられる静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成方法においては、一般に、光導電物質を含む感光体上に静電像を形成し、次いでこの静電像をトナーで現像した後、このトナー像を紙等の被記録材に転写し、定着させる。トナーには、通常、熱可塑性樹脂系のバインダ樹脂中に、着色剤(顔料または染料)等を分散させた後、所望の粒度に粉砕したものが使用される。
【0003】
近年、このような画像形成技術においては、フルカラートナーを用いたフルカラー画像の形成技術が急速に進展している。
【0004】
このフルカラー画像形成方法においては、一般に、感光体ドラムを帯電し、原稿のイエロー画像信号で変調されたレーザ光により画像露光を行って、感光体ドラム上に静電像を形成した後、この静電像をイエロートナーで現像し、このイエロートナー像を紙等の被記録材に転写する。転写後の感光体ドラムに対し除電およびクリーニングを施した後、再び帯電し、イエロートナーの場合と同様にしてマゼンタトナー像を形成し、イエロートナー像を転写した被記録材に転写する。同様にして、シアントナー像、ブラックトナー像を順に形成し、被記録材に転写した後、これらの3色あるいは4色のトナー画像を定着させる。各色のトナー像を中間転写ベルトや中間転写ドラムのような中間転写体へ順次転写して一旦保持し、その後一括して被記録材に転写し、定着させる方法もよく知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時、このような電子写真方式を利用した画像形成装置は、業務用機器に留まらず、パーソナル機器としても使用されるようになり、それに伴い、機器の小型軽量化、高速化、高信頼性化等が強く求められるようになってきた。このため、トナーに要求される特性もますます厳しくなってきている。
【0006】
その一つにトナーの耐オフセット性の向上がある。
すなわち、上記の画像形成方法における最終工程は、トナー画像を被記録材に定着させる工程であるが、今日最も一般的に用いられている定着方法は、加熱ローラを用いる加熱ローラ定着方式である。この定着方式では、加熱ローラの表面と被記録材上のトナー画像とが加圧下で接触するため、熱効率がよく、迅速に定着を行うことができる。しかしながら、その反面、軟化溶融したトナー画像の一部が定着ローラの表面に付着し、次に定着させる被記録材を汚すというオフセット現象が生じやすい。
【0007】
このため、従来より、ローラ表面をトナーに対して離型性のよい材料、例えばフッ素樹脂やシリコーンゴム等で被覆するとともに、ローラ表面にシリコーンオイルのような離型性のよい液体を塗布する等の対策が採られている。しかしながら、このような方法では、離型性のよい液体を供給しかつ塗布する装置が必要であり、機器の小型軽量化に反する。このため、かかるオフセット防止用の液体を供給せずとも、オフセットを防止し得るトナーが要望されている。
【0008】
また、最近は、環境保護に対する意識が高まるなか、被記録材の消費量の低減を目的として、被記録材の両面に画像を形成する両面印刷に対するニーズが増大している。このような両面印刷においては、最初に印刷されたトナー画像は2度加熱加圧定着工程を経由することから、トナーには、片面印刷に使用するトナーに比べ、さらに優れた耐高温オフセット性が要求される。
【0009】
一方、従来より、オフセット対策として、トナー中にポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のワックス類を含有させる方法が提案されている。しかしながら、未だ満足すべき耐オフセット性を得るまでには至っていないうえ、フィルミングが発生しやすいという問題がある。さらに、次のような新たな問題も生じている。
【0010】
すなわち、近年、特に中間転写ベルトや中間転写ドラムのような中間転写体を用いるフルカラー画像形成装置において、転写工程が増えるために廃トナーの発生量が多くなるという問題が発生し、その対策として、トナー粒子調製後に、熱風による熱処理を施すことにより、粒子表面の形状や性状を改質する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、廃トナーの発生量の低減に効果があるものの、トナー中にワックス類が配合されていると、ワックス類が熱風処理の際に表面に移行し、オフセットが発生しやすくなるうえ、長期保存中にトナー粒子同士が融着するブロッキングが発生しやすくなるという問題があった。
【0011】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、両面画像形成にも十分適用可能な優れた耐オフセット性を有し、また、フィルミングが発生し難いうえ、廃トナーの発生量やブロッキングも抑制される静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなる静電像現像用トナーにおいて、前記トナー母体粒子は、離型剤として、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含んでいることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の静電潜像現像用トナーにおいて、球形度が0.65〜0.98であり、かつ、トナー母体粒子との体積平均粒径差が0.7μm以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナーである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の静電潜像現像用トナーにおいて、金属酸化物、チタン酸化合物および金属石鹸の群より選ばれる少なくとも1種の無機微粒子が表面に付着されていることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーにおいて、中間転写体を用いる画像形成方式に用いられるものであることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーにおいて、非磁性一成分現像方式に用いられるものであることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0017】
また、上記目的を達成するために、請求項6記載の発明は、トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなり、前記トナー母体粒子は、離型剤として、昇温時の吸熱ピークおよび降温時の発熱ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあるDSC曲線を有し、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含む静電像現像用トナーで、静電像担持体上に形成された静電像を現像する工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【0018】
上記構成の静電潜像現像用トナーおよび画像形成方法においては、離型剤として特定のポリエチレンワックスを含むトナー母体粒子に対し、熱風による特定の熱処理を施すようにしたことにより、耐オフセット性が向上するとともに、フィルミングの発生も抑制される。また、中間転写体を用いるシステムの採用により転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、また、ブロッキングの発生も抑制される。これにより、ライフエンドまで安定した画像形成が可能となる。
【0019】
なお、本願明細書中、ポリエチレンワックスの数平均分子量および重量平均分子量は、浸透圧法により求めた値であり、また、ポリエチレンワックスのDSC曲線は、セイコー電子工業社製の示差走査熱量計(DSC)により、常温常湿下、リファレンスはブランクとし、1回昇温させ前履歴を取った後、10℃/minの速度で昇温および降温させて測定したものである。さらに、トナーの球形度は、トナー粒子の最短径を最長径で除した値であって、ベックマンコールター社製マルチイメージアナライザにより測定した値である。マルチイメージアナライザは、電気抵抗法に基づき粒子数・粒度分布を測定すると同時に、粒子が細孔を通過する瞬間に生じる信号をタイミングとして利用して粒子像を撮影するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
本発明の静電像現像用トナーは、バインダ樹脂および着色剤を含有し、かつ、離型剤としてポリエチレンワックスを含有するトナー母体粒子を熱処理したものである。
【0022】
バインダ樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、ウレタン系樹脂等、トナー用バインダ樹脂として従来より使用されている各種の熱可塑性の合成樹脂および天然樹脂を用いることができる。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0023】
本発明においては、なかでも、ガラス転移点(Tg)が50〜75℃、軟化点が80〜160℃、数平均分子量(Mn)が1000〜30000で、かつ、重量平均分子量(Tw)/数平均分子量(Mn)が2〜100である樹脂を使用することが好ましい。特に、フルカラートナー(黒トナーを含む)を目的とするときは、ガラス転移点が50〜75℃、軟化点が80〜120℃、数平均分子量が2000〜30000で、かつ、重量平均分子量/数平均分子量が10〜40である樹脂を使用することが好ましい。ここで、数平均分子量および重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法を用いてスチレン換算により算出した値を示している。
【0024】
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られるポリエステル樹脂が使用可能である。
【0025】
多価アルコール成分のうち、2価アルコール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0026】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロース、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0027】
また、多価カルボン酸成分のうち、2価カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0028】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0029】
また、本発明においては、ポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマとビニル系樹脂の原料モノマと、これら両方の樹脂の原料モノマと反応するモノマとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびスチレン樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂も好適である。なお、両方の樹脂の原料モノマと反応するモノマとは、縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマである。つまり縮重合反応し得るカルボキシル基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0030】
着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、カーミン6B、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。この着色剤の含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。
【0031】
離型剤として配合されるポリエチレンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがいずれも60〜110℃、好ましくは65〜90℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800、好ましくは400〜600で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20、好ましくは1.05〜1.10のものである。このようなポリエチレンワックスを使用することにより、定着性および耐オフセット性を向上させることができ、また、フィルミングやトナー粒子同士のブロッキングを抑制することができる。すなわち、昇温時の吸熱最大ピークあるいは降温時の発熱最大ピークが60℃未満の温度領域にあると、ブロッキングが発生しやすくなり、保存性や現像性が低下する。昇温時の吸熱最大ピークあるいは降温時の発熱最大ピークが110℃を超える温度領域にあると、定着性が低下する。数平均分子量(Mn)が800を超えるか、あるいは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.20を超えると、耐オフセット性、特に低温定着性が低下する。数平均分子量(Mn)が300に満たない場合には、熱安定性が低下し、熱処理の際にトナー粒子表面に滲み出し、耐高温オフセット性が低下し、ブロッキングも生じやすくなる。
【0032】
このポリエチレンワックスの含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部、好ましくは0.7〜2.5重量部である。0.5重量部未満では、添加による効果十分得られず、また、5重量部を超えると、帯電特性が不安定になり、現像性が低下し、地かぶりを生ずるおそれがある。
【0033】
トナー母体粒子には、上記成分の他に電荷制御剤その他の添加剤を含有させてもよい。
【0034】
電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものとして、例えばモノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸、それらの金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルコルボン酸系化合物等が挙げられる。なかでも、帯電性、色味の面から、サリチル酸の金属化合物、ホウ素錯体化合物、カリックスアレーンが好ましい。これらの化合物の具体例としては、オリエント化学社製のボントロンE81、ボントロンE84、ボントロン、ボントロンE89、保土ヶ谷化学社製のTN105、日本カーリット社製のLR147(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。
【0035】
また、トナーを正帯電性に制御するものとして、例えばトリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、ニグロシン、脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、ホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化合物、フェロシアン化合物など)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズボレート類等が挙げられる。なかでも、ニグロシン系、4級アンモニウムが好ましい。
【0036】
この帯電制御剤の含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
【0037】
また、その他の添加剤としては、シリコーンオイル、アルコール類、脂肪酸、酸アミド、エステル類、ケトン類、硬化ヒマシ油、ペトロラクタム等が挙げられる。
【0038】
本発明のトナーは、上記したバインダ樹脂、着色剤、ポリエチレンワックスおよびその他の必要に応じて配合される帯電制御剤等の添加剤を、従来の方法で混合、混練、粉砕、分級して、所望の粒径を有するトナー母体粒子を得、これらの粒子に所定の熱処理を施すことにより得られる。
【0039】
以下、トナー母体粒子の熱処理方法について説明する。
本発明においては、トナー母体粒子に対し、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で瞬間的熱処理を行う。熱処理前のトナー母体粒子の体積平均粒径は、4.0〜10.0μmであることが好ましく、6.0〜9.0μmであるとより好ましい。
【0040】
この熱処理には、例えば図1に示すような装置を用いることができる。
すなわち、図1は、本発明に使用される熱処理装置の一例を示す概略構成図である。
図1において、熱風発生装置101で発生させた熱風は導入管102aを経て熱風噴射ノズル103より噴射される。熱風噴射ノズル103の先端部の周囲には試料噴射室104が設けられており、トナー母体粒子105は定量供給器106から加圧エアーにより導入管102bを経て試料噴射室104に送り込まれる。
【0041】
試料噴射室104は、図2に示すように、中空のドーナツ状をしており、その内側の壁には複数の試料噴射ノズル108が等間隔に配置されている。試料噴射室104内に送り込まれたトナー母体粒子105は、試料噴射室104内で拡散して均等に分散した状態となり、引き続いて送り込まれてくるエアーの圧力で複数の試料噴射ノズル108から熱風気流中へ噴射される。
【0042】
試料噴射ノズル108は、好ましくは3本以上、より好ましくは4本以上であり、これらは周方向に等間隔で配置することが好ましい。複数本の試料噴射ノズル108を使用することによって熱風気流中へのトナー母体粒子105の均一な分散が可能となり、トナー母体粒子1051つ1つの加熱処理を確実に行うことができる。また、トナー母体粒子105は、試料噴射室104の内側の壁に360度全周に亘って設けたスリット部から噴射するようにしてもよい。試料噴射ノズル108あるいはスリット部から噴射された状態としては、噴射時点で広く拡散し、他のトナー母体粒子と衝突することなく熱風気流全体へ分散されることが望ましい。
【0043】
このようにして噴射されたトナー母体粒子105は高温の熱風と瞬間的に接触して均質に加熱処理される。ここで瞬間的とは、処理温度およびトナー母体粒子105の熱風気流中での濃度により異なるが、必要な改質(加熱処理)が達成され、かつトナー母体粒子同士の凝集が起こらない時間であり、通常2秒以下、好ましくは1秒以下である。この瞬間的時間は、トナー母体粒子105が試料噴射ノズル108から噴射され、導入管102cに導入されるまでのトナー母体粒子105の滞留時間として表わされ、この滞留時間が2秒を超えるとカップリング粒子が発生しやすくなる。
【0044】
次いで、瞬間加熱されたトナー母体粒子105は、サイクロン109の冷風導入口110から導入される冷風によって直ちに冷却され、装置内壁へ付着したり粒子同士が凝集したりすることなく導入管102cを経てサイクロン111に捕集され、製品タンク112に貯留される。なお、図示は省略したが、サイクロン111には、トナー粒子を吸引するとともにトナー粒子が捕集された後の搬送エアーを外部へ放出するための排気装置が接続されており、また、粒子同士の凝集を防止するため、冷却水が流れている冷却ジャケットが設けられている。
【0045】
瞬間加熱処理を行うにあたり重要な条件は、熱風温度の他、熱風風量、分散風量、分散温度、冷風温度である。
【0046】
熱風風量とは、熱風発生装置101により供給される熱風の風量である。この熱風風量は、多くする方が熱処理の均一性、処理能力を向上させる意味で好ましく、通常10〜1500 l/minである。また、熱風は、すべての粒子に均一な熱エネルギーがかかるように、トナー母体粒子105が処理される領域での熱風の温度分布が生じないように制御され、かつ、熱風が層流状態に制御されていることが好ましい。
【0047】
分散風量とは、加圧エアーによって、導入管102bに送り込まれる風量のことである。この分散風量は、トナー母体粒子105の分散状態の向上、安定化の点から、通常0.5〜100 l/minである。
【0048】
分散濃度とは、熱処理領域、具体的には試料噴射ノズル108の吐出領域でのトナー母体粒子105の分散濃度をいう。好適な分散濃度はトナー母体粒子105の比重によって異なり、分散濃度を各トナー母体粒子105の比重で割った値が50〜300g/m3、好ましくは50〜200g/m3で処理することが好ましい。
【0049】
冷風温度とは、冷風導入口110から導入される冷風の温度である。トナー母体粒子105は瞬間的加熱処理後、粒子同士の凝集あるいはカップリングが発生しない温度領域まで瞬時に冷却すべく、冷風によりガラス転移点以下の雰囲気下に戻すことが好ましい。このため、冷風の温度は25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは15℃以下とする。しかしながら、必要以上に温度を下げると、条件によっては結露が発生して、逆に副作用が生じるおそれがあるので注意する必要がある。この瞬間的加熱処理では、バインダ樹脂が溶融状態にある時間が非常に短いため、粒子相互および熱処理装置の器壁への粒子の付着が防止される。この結果、連続性生産時の安定性に優れ、製造装置の清掃頻度も極端に少なくすることができ、また、収率を高く安定的に制御することができる。
【0050】
本発明においては、このような熱処理により、冷却後のトナー母体粒子の球形度が0.65〜0.98で、かつ、熱処理前のトナー母体粒子との体積平均粒径差が0.7μm以下となるようにすることが好ましい。球形度が0.70〜0.92で、かつ、熱処理前のトナー母体粒子との体積平均粒径差が0.5μm以下となるようにするとさらに好ましい。このような処理条件は、例えば上記装置においては、熱風の温度の他、熱風発生装置101から供給される熱風の風量、導入管107に送り込まれる加圧エアーの風量(分散風量)、熱処理領域でのトナー母体粒子の分散濃度、冷風導入口110から導入する冷風の温度等を適宜制御することによって達成することができる。
【0051】
ここで、本発明におけるトナー母体粒子(あるいはトナー粒子)の体積平均粒径および球形度の測定方法について説明する。
【0052】
体積平均粒径は、コールターカウンター測定法により次のように行う。
例えばコールターカウンター社製マルチサイザーIIを用いて、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液には、コールターサイエンティフィックジャパン社製のISOTON R−IIを使用することができる。この電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml添加し、さらに測定試料粒子を2〜20mgを添加し懸濁液とする。この懸濁液を超音波分散器で約1分間分散処理した後、測定装置により100μmアパーチャーを用い、256チャンネルモードにて2.42μm以上の粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布を算出して求める。
【0053】
また、球形度は、上記測定装置に画像解析装置、例えばベックマンコールター社製のマルチイメージアナライザを接続し、粒子の形状を測定して求める。なお、マルチイメージアナライザは、電気抵抗法に基づき粒子数・粒度分布を測定すると同時に、粒子が細孔を通過する瞬間に生じる信号をタイミングとして利用して粒子像を撮影するものである。
【0054】
本発明においては、トナー母体粒子調製後、上記熱処理に先だって、公知の表面改質装置による処理を行うようにしてもよい。このような表面改質処理装置としては、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムのような高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムのような湿式コーティング法を応用した表面改質装置等が挙げられる。
【0055】
また、熱処理されたトナー母体粒子に対し、慣用の手段で外添剤による外添処理を施すようにしてもよい。外添剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化銅等の金属酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸化合物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸等の無機微粒子の1種または2種以上の使用が好ましい。本発明においては、特に、シリカ微粒子の単独またはシリカ微粒子と他の無機微粒子の併用が好ましい。これらの無機微粒子はシランカップリング剤、シリコーンオイル等の公知の疎水化剤で処理されていることがより好ましい。
【0056】
この外添剤は、通常、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部使用される。0.1重量部未満ではトナー粒子に十分な流動性を付与することができず、画像濃度が低下するおそれがある。また、5重量部を超えると、感光体との融着や低温低湿下での帯電量の増大を招き、やはり画像濃度が低下するおそれがある。
【0057】
本発明のトナーは、像担持体上に形成されたトナー像の中間転写体への押圧転写を各色毎に重ねて行った後、中間転写体上に転写されたトナー像を被記録材上に押圧転写することを含む画像形成方法に有効に使用される。
【0058】
また、本発明によるトナーは、現像装置がトナー規制ブレードと現像スリーブとの圧接部を通過させることによりトナーの帯電が行われる一成分現像方式に有効に使用される。現像の方法は接触現像、非接触現像のいずれの場合にも好適である。
【0059】
本発明の画像形成方法は、本発明の静電像現像用トナーで、静電像担持体上に形成された静電像を現像する工程を含むものである。本発明の画像形成方法においては、オフセット現象や静電像担持体へのフィルミングの発生が抑制されるとともに、転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、さらに、トナーのブロッキングも減少する。したがって、良好な画像を安定して形成することができる。
【0060】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、以下の記載において「部」は「重量部」を示すものとする。また、体積平均粒径および個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量は、コールターカウンター社製マルチサイザーIIを用い、また、球形度は、マルチサイザーIIにベックマンコールター社製のマルチイメージアナライザを接続して求めた。
【0061】
実施例1
ポリエステル樹脂(Mw=160,000、Mw/Mn=35、Tg=62℃)100部、顔料としてC.I.ピグメントレッド122 4.0部、帯電制御剤としてジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛 2.0部、離型剤としてポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点76.4℃、同降温時の最大ピーク点68.4℃、針入度15(25℃)、Mn=400、Mw/Mn=1.08、粘度4.2 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスAと表記) 1.5部をヘンシェルミキサで十分混合した後、2軸押出混練機で溶融混練した。得られた混練物を迅速に冷却した後、スピードミルで粗粉砕し、さらに、その粉砕物をジェット粉砕機で粉砕した後、ロータ型分級機により分級して、体積平均粒径が8.85μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.5個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0062】
上記トナー母体粒子を図1に示した熱処理装置により、以下に示す条件で熱処理した。
[熱処理条件]トナー供給部:テーブルフィーダ+振動フィーダ、試料噴射ノズル12本(周方向に30度の間隔で配置)、噴射角度30度、熱風風量7.0m3/min、分散風量0.7m3/min、排気風量25.0m3/min、熱風温度250℃、滞留時間0.5秒、冷風温度15℃、冷却水温度10℃
【0063】
熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.92μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.90であった。
【0064】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0065】
実施例2
離型剤として、ポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点82.7℃、同降温時の最大ピーク点73.5℃、針入度6.5(25℃)、Mn=500、Mw/Mn=1.08、粘度6.6 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスBと表記)を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.80μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が14.0個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0066】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.85μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が13.8個数%、平均球形度が0.88であった。
【0067】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0068】
実施例3
離型剤として、ポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点90.7℃、同降温時の最大ピーク点82.1℃、針入度2.0(25℃)、Mn=655、Mw/Mn=1.08、粘度5 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスCと表記)を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.90μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.2個数%、平均球形度が0.60のトナー母体粒子を調製した。
【0069】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.95μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.86であった。
【0070】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0071】
実施例4
顔料としてC.I.ピグメントレッド122 に代えて、C.I.ピグメントブルー15:3を3.0部混合するようにした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.70μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.3個数%、平均球形度が0.61のトナー母体粒子を調製した。
【0072】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が9.00μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.1個数%、平均球形度が0.88であった。
【0073】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0074】
実施例5
顔料としてC.I.ピグメントレッド122 に代えて、C.I.ピグメントイエロー17を3.0部混合するようにした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.77μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.6個数%、平均球形度が0.63のトナー母体粒子を調製した。
【0075】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.93μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.4個数%、平均球形度が0.88であった。
【0076】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0077】
比較例1
熱処理を行わない以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0078】
比較例2
離型剤として、ポリエチレンワックスに代えて、アーゲ法により合成された炭化水素系ワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点83.5℃、同降温時の最大ピーク点98.0℃、針入度1.5(25℃)、Mn=1000、Mw/Mn=1.54、粘度8 mPa・s(120℃))を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.71μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0079】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.98μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が14.8個数%、平均球形度が0.82であった。
【0080】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0081】
上記各実施例および各比較例で得られたトナーについて下記に示す方法で各種特性を評価した。
【0082】
[定着開始点]
定着装置を、図3に示すような、温度調節可能なヒータ1aが内蔵された芯金上2aに、シリコーンゴム層(厚さ2mm、硬度30)3aおよびPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂層(厚さ50μm)4aが順に設けられた外径約40mmの定着ローラ10と、温度調節可能なヒータ1bが内蔵された芯金2b上に、シリコーンゴム層(厚さ1mm、硬度30)3bおよびPFA樹脂層(厚さ50μm)4bが順に設けられた外径約40mmの加圧ローラ20とを対向配置し、これらの間にトナー画像5が形成された普通紙6を通過させて画像を定着させるように構成したものに変更した以外は、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタを使用し、普通紙上に形成した未定着のトナー画像(トナー転写量0.75 mg/cm2 )を、ローラ温度を110℃から230℃まで5℃間隔で昇温して定着させ、定着開始点(定着画像をシルボン紙で50 g/cm2の荷重をかけて10回擦り、画像濃度の低下率が10%未満になったときの温度)を調べた。なお、定着装置におけるニップ幅は7.0mm、定着速度は140 mm/secである。
【0083】
[耐オフセット性]
上記定着開始点の場合と同様にして、普通紙上に形成した未定着のトナー画像(トナー転写量0.75 mg/cm2 )を、110℃から230℃まで定着温度を変えて定着を試み、目視でオフセットが確認されなくなる温度(低温始点)および昇温してオフセットが生じない最高温度(高温終点)を調べた。測定は、片面定着と両面定着(片面定着後、その裏面に形成したトナー画像を定着させて測定)のそれぞれについて行った。
【0084】
[耐ブロッキング性]
トナー20gを容量100 mlのポリエチレン製容器に入れ、50℃の乾燥機中に3日間静置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)の振動篩機を用いてトナーの凝集度を測定する一方、同様にして静置前のトナーの凝集度を測定し、その変化率から耐ブロッキング性を評価した。
【0085】
なお、トナー凝集度は、まず振動篩機の振動台に400メッシュ、200メッシュ、100メッシュの各篩を目開きの狭い順に下から上に重ねてセットし、次いで、これらの最上位にある篩(100メッシュの篩)上にトナー5gを入れ、約15秒間の振動(振動台への入力電圧を15Vとし、振動台の振幅が0.5mm以下になるように調整)を加えた後、各篩上に残ったトナーの重量を測定し、下記式から求めた。測定環境は、23℃、55%RHである。
トナーの凝集度(%)=(100メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100+(200メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100×3/5+(200メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100×1/5
また、評価基準は以下の通りである。
○:凝集度上昇率30%未満
△:凝集度上昇率30%以上40%未満
×:凝集度上昇率40%以上
【0086】
[フィルミング]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、5000枚の連続プリントを行った後(耐久後)、感光体および中間転写体の各表面並びに画像を目視にて観察し、フィルミングの有無を調べた。評価基準は以下の通りである。
○:感光体および中間転写体の各表面にフィルミングが全く認められない
△:感光体および中間転写体のいずれか一方にフィルミングが認められるものの画像上には認められない(実用上問題なし)
×:感光体および中間転写体の少なくとも一方にフィルミングが認められ
かつ、画像上にも認められる
【0087】
[画像濃度]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、10枚プリント後(初期)および5000枚連続プリント後(耐久後)の印刷画像の画像濃度を反射計(マクベス社製)で測定した。
【0088】
[転写効率]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、5000枚の連続プリントを行った後、カートリッジから消費されたトナー重量および廃トナーボックスに回収されたトナー重量を測定し、下記式から求めた。
転写効率(%)=[(消費トナー重量(g)−回収トナー重量(g))/消費トナー重量(g)]×100
【0089】
これらの結果を表1に示す。
【表1】
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐オフセット性が良好で、フィルミングの発生が少なく、また、中間転写体を用いるシステムの採用により転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、さらに、ブロッキングの発生も抑制された静電像現像用トナーおよびこれを用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの製造に使用される熱処理装置の一例を概略的に示す図。
【図2】図1に示す装置における試料噴射室の水平断面構造を概略的に示す断面図。
【図3】本発明のトナーの特性評価に使用した定着装置の要部構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
101……熱風発生装置 103……熱風噴射ノズル
104……試料噴射室 105……トナー母体粒子
108……試料噴射ノズル 110……冷風導入口
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において静電像を現像するために用いられる静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成方法においては、一般に、光導電物質を含む感光体上に静電像を形成し、次いでこの静電像をトナーで現像した後、このトナー像を紙等の被記録材に転写し、定着させる。トナーには、通常、熱可塑性樹脂系のバインダ樹脂中に、着色剤(顔料または染料)等を分散させた後、所望の粒度に粉砕したものが使用される。
【0003】
近年、このような画像形成技術においては、フルカラートナーを用いたフルカラー画像の形成技術が急速に進展している。
【0004】
このフルカラー画像形成方法においては、一般に、感光体ドラムを帯電し、原稿のイエロー画像信号で変調されたレーザ光により画像露光を行って、感光体ドラム上に静電像を形成した後、この静電像をイエロートナーで現像し、このイエロートナー像を紙等の被記録材に転写する。転写後の感光体ドラムに対し除電およびクリーニングを施した後、再び帯電し、イエロートナーの場合と同様にしてマゼンタトナー像を形成し、イエロートナー像を転写した被記録材に転写する。同様にして、シアントナー像、ブラックトナー像を順に形成し、被記録材に転写した後、これらの3色あるいは4色のトナー画像を定着させる。各色のトナー像を中間転写ベルトや中間転写ドラムのような中間転写体へ順次転写して一旦保持し、その後一括して被記録材に転写し、定着させる方法もよく知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時、このような電子写真方式を利用した画像形成装置は、業務用機器に留まらず、パーソナル機器としても使用されるようになり、それに伴い、機器の小型軽量化、高速化、高信頼性化等が強く求められるようになってきた。このため、トナーに要求される特性もますます厳しくなってきている。
【0006】
その一つにトナーの耐オフセット性の向上がある。
すなわち、上記の画像形成方法における最終工程は、トナー画像を被記録材に定着させる工程であるが、今日最も一般的に用いられている定着方法は、加熱ローラを用いる加熱ローラ定着方式である。この定着方式では、加熱ローラの表面と被記録材上のトナー画像とが加圧下で接触するため、熱効率がよく、迅速に定着を行うことができる。しかしながら、その反面、軟化溶融したトナー画像の一部が定着ローラの表面に付着し、次に定着させる被記録材を汚すというオフセット現象が生じやすい。
【0007】
このため、従来より、ローラ表面をトナーに対して離型性のよい材料、例えばフッ素樹脂やシリコーンゴム等で被覆するとともに、ローラ表面にシリコーンオイルのような離型性のよい液体を塗布する等の対策が採られている。しかしながら、このような方法では、離型性のよい液体を供給しかつ塗布する装置が必要であり、機器の小型軽量化に反する。このため、かかるオフセット防止用の液体を供給せずとも、オフセットを防止し得るトナーが要望されている。
【0008】
また、最近は、環境保護に対する意識が高まるなか、被記録材の消費量の低減を目的として、被記録材の両面に画像を形成する両面印刷に対するニーズが増大している。このような両面印刷においては、最初に印刷されたトナー画像は2度加熱加圧定着工程を経由することから、トナーには、片面印刷に使用するトナーに比べ、さらに優れた耐高温オフセット性が要求される。
【0009】
一方、従来より、オフセット対策として、トナー中にポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のワックス類を含有させる方法が提案されている。しかしながら、未だ満足すべき耐オフセット性を得るまでには至っていないうえ、フィルミングが発生しやすいという問題がある。さらに、次のような新たな問題も生じている。
【0010】
すなわち、近年、特に中間転写ベルトや中間転写ドラムのような中間転写体を用いるフルカラー画像形成装置において、転写工程が増えるために廃トナーの発生量が多くなるという問題が発生し、その対策として、トナー粒子調製後に、熱風による熱処理を施すことにより、粒子表面の形状や性状を改質する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、廃トナーの発生量の低減に効果があるものの、トナー中にワックス類が配合されていると、ワックス類が熱風処理の際に表面に移行し、オフセットが発生しやすくなるうえ、長期保存中にトナー粒子同士が融着するブロッキングが発生しやすくなるという問題があった。
【0011】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、両面画像形成にも十分適用可能な優れた耐オフセット性を有し、また、フィルミングが発生し難いうえ、廃トナーの発生量やブロッキングも抑制される静電像現像用トナーおよびそれを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなる静電像現像用トナーにおいて、前記トナー母体粒子は、離型剤として、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含んでいることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の静電潜像現像用トナーにおいて、球形度が0.65〜0.98であり、かつ、トナー母体粒子との体積平均粒径差が0.7μm以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナーである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の静電潜像現像用トナーにおいて、金属酸化物、チタン酸化合物および金属石鹸の群より選ばれる少なくとも1種の無機微粒子が表面に付着されていることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーにおいて、中間転写体を用いる画像形成方式に用いられるものであることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーにおいて、非磁性一成分現像方式に用いられるものであることを特徴とする静電像現像用トナーである。
【0017】
また、上記目的を達成するために、請求項6記載の発明は、トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなり、前記トナー母体粒子は、離型剤として、昇温時の吸熱ピークおよび降温時の発熱ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあるDSC曲線を有し、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含む静電像現像用トナーで、静電像担持体上に形成された静電像を現像する工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【0018】
上記構成の静電潜像現像用トナーおよび画像形成方法においては、離型剤として特定のポリエチレンワックスを含むトナー母体粒子に対し、熱風による特定の熱処理を施すようにしたことにより、耐オフセット性が向上するとともに、フィルミングの発生も抑制される。また、中間転写体を用いるシステムの採用により転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、また、ブロッキングの発生も抑制される。これにより、ライフエンドまで安定した画像形成が可能となる。
【0019】
なお、本願明細書中、ポリエチレンワックスの数平均分子量および重量平均分子量は、浸透圧法により求めた値であり、また、ポリエチレンワックスのDSC曲線は、セイコー電子工業社製の示差走査熱量計(DSC)により、常温常湿下、リファレンスはブランクとし、1回昇温させ前履歴を取った後、10℃/minの速度で昇温および降温させて測定したものである。さらに、トナーの球形度は、トナー粒子の最短径を最長径で除した値であって、ベックマンコールター社製マルチイメージアナライザにより測定した値である。マルチイメージアナライザは、電気抵抗法に基づき粒子数・粒度分布を測定すると同時に、粒子が細孔を通過する瞬間に生じる信号をタイミングとして利用して粒子像を撮影するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
本発明の静電像現像用トナーは、バインダ樹脂および着色剤を含有し、かつ、離型剤としてポリエチレンワックスを含有するトナー母体粒子を熱処理したものである。
【0022】
バインダ樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、ウレタン系樹脂等、トナー用バインダ樹脂として従来より使用されている各種の熱可塑性の合成樹脂および天然樹脂を用いることができる。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0023】
本発明においては、なかでも、ガラス転移点(Tg)が50〜75℃、軟化点が80〜160℃、数平均分子量(Mn)が1000〜30000で、かつ、重量平均分子量(Tw)/数平均分子量(Mn)が2〜100である樹脂を使用することが好ましい。特に、フルカラートナー(黒トナーを含む)を目的とするときは、ガラス転移点が50〜75℃、軟化点が80〜120℃、数平均分子量が2000〜30000で、かつ、重量平均分子量/数平均分子量が10〜40である樹脂を使用することが好ましい。ここで、数平均分子量および重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法を用いてスチレン換算により算出した値を示している。
【0024】
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られるポリエステル樹脂が使用可能である。
【0025】
多価アルコール成分のうち、2価アルコール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0026】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロース、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0027】
また、多価カルボン酸成分のうち、2価カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0028】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0029】
また、本発明においては、ポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマとビニル系樹脂の原料モノマと、これら両方の樹脂の原料モノマと反応するモノマとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびスチレン樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂も好適である。なお、両方の樹脂の原料モノマと反応するモノマとは、縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマである。つまり縮重合反応し得るカルボキシル基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0030】
着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、カーミン6B、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。この着色剤の含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。
【0031】
離型剤として配合されるポリエチレンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがいずれも60〜110℃、好ましくは65〜90℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800、好ましくは400〜600で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20、好ましくは1.05〜1.10のものである。このようなポリエチレンワックスを使用することにより、定着性および耐オフセット性を向上させることができ、また、フィルミングやトナー粒子同士のブロッキングを抑制することができる。すなわち、昇温時の吸熱最大ピークあるいは降温時の発熱最大ピークが60℃未満の温度領域にあると、ブロッキングが発生しやすくなり、保存性や現像性が低下する。昇温時の吸熱最大ピークあるいは降温時の発熱最大ピークが110℃を超える温度領域にあると、定着性が低下する。数平均分子量(Mn)が800を超えるか、あるいは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.20を超えると、耐オフセット性、特に低温定着性が低下する。数平均分子量(Mn)が300に満たない場合には、熱安定性が低下し、熱処理の際にトナー粒子表面に滲み出し、耐高温オフセット性が低下し、ブロッキングも生じやすくなる。
【0032】
このポリエチレンワックスの含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部、好ましくは0.7〜2.5重量部である。0.5重量部未満では、添加による効果十分得られず、また、5重量部を超えると、帯電特性が不安定になり、現像性が低下し、地かぶりを生ずるおそれがある。
【0033】
トナー母体粒子には、上記成分の他に電荷制御剤その他の添加剤を含有させてもよい。
【0034】
電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものとして、例えばモノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸、それらの金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルコルボン酸系化合物等が挙げられる。なかでも、帯電性、色味の面から、サリチル酸の金属化合物、ホウ素錯体化合物、カリックスアレーンが好ましい。これらの化合物の具体例としては、オリエント化学社製のボントロンE81、ボントロンE84、ボントロン、ボントロンE89、保土ヶ谷化学社製のTN105、日本カーリット社製のLR147(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。
【0035】
また、トナーを正帯電性に制御するものとして、例えばトリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、ニグロシン、脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、ホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化合物、フェロシアン化合物など)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズボレート類等が挙げられる。なかでも、ニグロシン系、4級アンモニウムが好ましい。
【0036】
この帯電制御剤の含有量は、通常、バインダ樹脂100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
【0037】
また、その他の添加剤としては、シリコーンオイル、アルコール類、脂肪酸、酸アミド、エステル類、ケトン類、硬化ヒマシ油、ペトロラクタム等が挙げられる。
【0038】
本発明のトナーは、上記したバインダ樹脂、着色剤、ポリエチレンワックスおよびその他の必要に応じて配合される帯電制御剤等の添加剤を、従来の方法で混合、混練、粉砕、分級して、所望の粒径を有するトナー母体粒子を得、これらの粒子に所定の熱処理を施すことにより得られる。
【0039】
以下、トナー母体粒子の熱処理方法について説明する。
本発明においては、トナー母体粒子に対し、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で瞬間的熱処理を行う。熱処理前のトナー母体粒子の体積平均粒径は、4.0〜10.0μmであることが好ましく、6.0〜9.0μmであるとより好ましい。
【0040】
この熱処理には、例えば図1に示すような装置を用いることができる。
すなわち、図1は、本発明に使用される熱処理装置の一例を示す概略構成図である。
図1において、熱風発生装置101で発生させた熱風は導入管102aを経て熱風噴射ノズル103より噴射される。熱風噴射ノズル103の先端部の周囲には試料噴射室104が設けられており、トナー母体粒子105は定量供給器106から加圧エアーにより導入管102bを経て試料噴射室104に送り込まれる。
【0041】
試料噴射室104は、図2に示すように、中空のドーナツ状をしており、その内側の壁には複数の試料噴射ノズル108が等間隔に配置されている。試料噴射室104内に送り込まれたトナー母体粒子105は、試料噴射室104内で拡散して均等に分散した状態となり、引き続いて送り込まれてくるエアーの圧力で複数の試料噴射ノズル108から熱風気流中へ噴射される。
【0042】
試料噴射ノズル108は、好ましくは3本以上、より好ましくは4本以上であり、これらは周方向に等間隔で配置することが好ましい。複数本の試料噴射ノズル108を使用することによって熱風気流中へのトナー母体粒子105の均一な分散が可能となり、トナー母体粒子1051つ1つの加熱処理を確実に行うことができる。また、トナー母体粒子105は、試料噴射室104の内側の壁に360度全周に亘って設けたスリット部から噴射するようにしてもよい。試料噴射ノズル108あるいはスリット部から噴射された状態としては、噴射時点で広く拡散し、他のトナー母体粒子と衝突することなく熱風気流全体へ分散されることが望ましい。
【0043】
このようにして噴射されたトナー母体粒子105は高温の熱風と瞬間的に接触して均質に加熱処理される。ここで瞬間的とは、処理温度およびトナー母体粒子105の熱風気流中での濃度により異なるが、必要な改質(加熱処理)が達成され、かつトナー母体粒子同士の凝集が起こらない時間であり、通常2秒以下、好ましくは1秒以下である。この瞬間的時間は、トナー母体粒子105が試料噴射ノズル108から噴射され、導入管102cに導入されるまでのトナー母体粒子105の滞留時間として表わされ、この滞留時間が2秒を超えるとカップリング粒子が発生しやすくなる。
【0044】
次いで、瞬間加熱されたトナー母体粒子105は、サイクロン109の冷風導入口110から導入される冷風によって直ちに冷却され、装置内壁へ付着したり粒子同士が凝集したりすることなく導入管102cを経てサイクロン111に捕集され、製品タンク112に貯留される。なお、図示は省略したが、サイクロン111には、トナー粒子を吸引するとともにトナー粒子が捕集された後の搬送エアーを外部へ放出するための排気装置が接続されており、また、粒子同士の凝集を防止するため、冷却水が流れている冷却ジャケットが設けられている。
【0045】
瞬間加熱処理を行うにあたり重要な条件は、熱風温度の他、熱風風量、分散風量、分散温度、冷風温度である。
【0046】
熱風風量とは、熱風発生装置101により供給される熱風の風量である。この熱風風量は、多くする方が熱処理の均一性、処理能力を向上させる意味で好ましく、通常10〜1500 l/minである。また、熱風は、すべての粒子に均一な熱エネルギーがかかるように、トナー母体粒子105が処理される領域での熱風の温度分布が生じないように制御され、かつ、熱風が層流状態に制御されていることが好ましい。
【0047】
分散風量とは、加圧エアーによって、導入管102bに送り込まれる風量のことである。この分散風量は、トナー母体粒子105の分散状態の向上、安定化の点から、通常0.5〜100 l/minである。
【0048】
分散濃度とは、熱処理領域、具体的には試料噴射ノズル108の吐出領域でのトナー母体粒子105の分散濃度をいう。好適な分散濃度はトナー母体粒子105の比重によって異なり、分散濃度を各トナー母体粒子105の比重で割った値が50〜300g/m3、好ましくは50〜200g/m3で処理することが好ましい。
【0049】
冷風温度とは、冷風導入口110から導入される冷風の温度である。トナー母体粒子105は瞬間的加熱処理後、粒子同士の凝集あるいはカップリングが発生しない温度領域まで瞬時に冷却すべく、冷風によりガラス転移点以下の雰囲気下に戻すことが好ましい。このため、冷風の温度は25℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは15℃以下とする。しかしながら、必要以上に温度を下げると、条件によっては結露が発生して、逆に副作用が生じるおそれがあるので注意する必要がある。この瞬間的加熱処理では、バインダ樹脂が溶融状態にある時間が非常に短いため、粒子相互および熱処理装置の器壁への粒子の付着が防止される。この結果、連続性生産時の安定性に優れ、製造装置の清掃頻度も極端に少なくすることができ、また、収率を高く安定的に制御することができる。
【0050】
本発明においては、このような熱処理により、冷却後のトナー母体粒子の球形度が0.65〜0.98で、かつ、熱処理前のトナー母体粒子との体積平均粒径差が0.7μm以下となるようにすることが好ましい。球形度が0.70〜0.92で、かつ、熱処理前のトナー母体粒子との体積平均粒径差が0.5μm以下となるようにするとさらに好ましい。このような処理条件は、例えば上記装置においては、熱風の温度の他、熱風発生装置101から供給される熱風の風量、導入管107に送り込まれる加圧エアーの風量(分散風量)、熱処理領域でのトナー母体粒子の分散濃度、冷風導入口110から導入する冷風の温度等を適宜制御することによって達成することができる。
【0051】
ここで、本発明におけるトナー母体粒子(あるいはトナー粒子)の体積平均粒径および球形度の測定方法について説明する。
【0052】
体積平均粒径は、コールターカウンター測定法により次のように行う。
例えばコールターカウンター社製マルチサイザーIIを用いて、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液には、コールターサイエンティフィックジャパン社製のISOTON R−IIを使用することができる。この電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml添加し、さらに測定試料粒子を2〜20mgを添加し懸濁液とする。この懸濁液を超音波分散器で約1分間分散処理した後、測定装置により100μmアパーチャーを用い、256チャンネルモードにて2.42μm以上の粒子の体積、個数を測定し、体積分布と個数分布を算出して求める。
【0053】
また、球形度は、上記測定装置に画像解析装置、例えばベックマンコールター社製のマルチイメージアナライザを接続し、粒子の形状を測定して求める。なお、マルチイメージアナライザは、電気抵抗法に基づき粒子数・粒度分布を測定すると同時に、粒子が細孔を通過する瞬間に生じる信号をタイミングとして利用して粒子像を撮影するものである。
【0054】
本発明においては、トナー母体粒子調製後、上記熱処理に先だって、公知の表面改質装置による処理を行うようにしてもよい。このような表面改質処理装置としては、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムのような高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムのような湿式コーティング法を応用した表面改質装置等が挙げられる。
【0055】
また、熱処理されたトナー母体粒子に対し、慣用の手段で外添剤による外添処理を施すようにしてもよい。外添剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化銅等の金属酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸化合物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸等の無機微粒子の1種または2種以上の使用が好ましい。本発明においては、特に、シリカ微粒子の単独またはシリカ微粒子と他の無機微粒子の併用が好ましい。これらの無機微粒子はシランカップリング剤、シリコーンオイル等の公知の疎水化剤で処理されていることがより好ましい。
【0056】
この外添剤は、通常、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部使用される。0.1重量部未満ではトナー粒子に十分な流動性を付与することができず、画像濃度が低下するおそれがある。また、5重量部を超えると、感光体との融着や低温低湿下での帯電量の増大を招き、やはり画像濃度が低下するおそれがある。
【0057】
本発明のトナーは、像担持体上に形成されたトナー像の中間転写体への押圧転写を各色毎に重ねて行った後、中間転写体上に転写されたトナー像を被記録材上に押圧転写することを含む画像形成方法に有効に使用される。
【0058】
また、本発明によるトナーは、現像装置がトナー規制ブレードと現像スリーブとの圧接部を通過させることによりトナーの帯電が行われる一成分現像方式に有効に使用される。現像の方法は接触現像、非接触現像のいずれの場合にも好適である。
【0059】
本発明の画像形成方法は、本発明の静電像現像用トナーで、静電像担持体上に形成された静電像を現像する工程を含むものである。本発明の画像形成方法においては、オフセット現象や静電像担持体へのフィルミングの発生が抑制されるとともに、転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、さらに、トナーのブロッキングも減少する。したがって、良好な画像を安定して形成することができる。
【0060】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、以下の記載において「部」は「重量部」を示すものとする。また、体積平均粒径および個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量は、コールターカウンター社製マルチサイザーIIを用い、また、球形度は、マルチサイザーIIにベックマンコールター社製のマルチイメージアナライザを接続して求めた。
【0061】
実施例1
ポリエステル樹脂(Mw=160,000、Mw/Mn=35、Tg=62℃)100部、顔料としてC.I.ピグメントレッド122 4.0部、帯電制御剤としてジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛 2.0部、離型剤としてポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点76.4℃、同降温時の最大ピーク点68.4℃、針入度15(25℃)、Mn=400、Mw/Mn=1.08、粘度4.2 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスAと表記) 1.5部をヘンシェルミキサで十分混合した後、2軸押出混練機で溶融混練した。得られた混練物を迅速に冷却した後、スピードミルで粗粉砕し、さらに、その粉砕物をジェット粉砕機で粉砕した後、ロータ型分級機により分級して、体積平均粒径が8.85μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.5個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0062】
上記トナー母体粒子を図1に示した熱処理装置により、以下に示す条件で熱処理した。
[熱処理条件]トナー供給部:テーブルフィーダ+振動フィーダ、試料噴射ノズル12本(周方向に30度の間隔で配置)、噴射角度30度、熱風風量7.0m3/min、分散風量0.7m3/min、排気風量25.0m3/min、熱風温度250℃、滞留時間0.5秒、冷風温度15℃、冷却水温度10℃
【0063】
熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.92μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.90であった。
【0064】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0065】
実施例2
離型剤として、ポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点82.7℃、同降温時の最大ピーク点73.5℃、針入度6.5(25℃)、Mn=500、Mw/Mn=1.08、粘度6.6 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスBと表記)を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.80μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が14.0個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0066】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.85μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が13.8個数%、平均球形度が0.88であった。
【0067】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0068】
実施例3
離型剤として、ポリエチレンワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点90.7℃、同降温時の最大ピーク点82.1℃、針入度2.0(25℃)、Mn=655、Mw/Mn=1.08、粘度5 mPa・s(120℃);以下、ポリエチレンワックスCと表記)を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.90μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.2個数%、平均球形度が0.60のトナー母体粒子を調製した。
【0069】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.95μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.86であった。
【0070】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0071】
実施例4
顔料としてC.I.ピグメントレッド122 に代えて、C.I.ピグメントブルー15:3を3.0部混合するようにした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.70μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.3個数%、平均球形度が0.61のトナー母体粒子を調製した。
【0072】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が9.00μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.1個数%、平均球形度が0.88であった。
【0073】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0074】
実施例5
顔料としてC.I.ピグメントレッド122 に代えて、C.I.ピグメントイエロー17を3.0部混合するようにした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.77μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.6個数%、平均球形度が0.63のトナー母体粒子を調製した。
【0075】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.93μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.4個数%、平均球形度が0.88であった。
【0076】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0077】
比較例1
熱処理を行わない以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0078】
比較例2
離型剤として、ポリエチレンワックスに代えて、アーゲ法により合成された炭化水素系ワックス(DSC曲線での昇温時の最大ピーク点83.5℃、同降温時の最大ピーク点98.0℃、針入度1.5(25℃)、Mn=1000、Mw/Mn=1.54、粘度8 mPa・s(120℃))を用いた以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.71μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が15.0個数%、平均球形度が0.62のトナー母体粒子を調製した。
【0079】
上記トナー母体粒子を実施例1と同様にして熱処理した。熱処理後のトナー母体粒子は、体積平均粒径が8.98μm、個数分布において粒径が5.0μm以下の粒子含有量が14.8個数%、平均球形度が0.82であった。
【0080】
この熱処理したトナー母体粒子100部に、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粒子1.0部を加え、ヘンシェルミキサで混合した後、超音波振動篩にかけてトナーを得た。
【0081】
上記各実施例および各比較例で得られたトナーについて下記に示す方法で各種特性を評価した。
【0082】
[定着開始点]
定着装置を、図3に示すような、温度調節可能なヒータ1aが内蔵された芯金上2aに、シリコーンゴム層(厚さ2mm、硬度30)3aおよびPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂層(厚さ50μm)4aが順に設けられた外径約40mmの定着ローラ10と、温度調節可能なヒータ1bが内蔵された芯金2b上に、シリコーンゴム層(厚さ1mm、硬度30)3bおよびPFA樹脂層(厚さ50μm)4bが順に設けられた外径約40mmの加圧ローラ20とを対向配置し、これらの間にトナー画像5が形成された普通紙6を通過させて画像を定着させるように構成したものに変更した以外は、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタを使用し、普通紙上に形成した未定着のトナー画像(トナー転写量0.75 mg/cm2 )を、ローラ温度を110℃から230℃まで5℃間隔で昇温して定着させ、定着開始点(定着画像をシルボン紙で50 g/cm2の荷重をかけて10回擦り、画像濃度の低下率が10%未満になったときの温度)を調べた。なお、定着装置におけるニップ幅は7.0mm、定着速度は140 mm/secである。
【0083】
[耐オフセット性]
上記定着開始点の場合と同様にして、普通紙上に形成した未定着のトナー画像(トナー転写量0.75 mg/cm2 )を、110℃から230℃まで定着温度を変えて定着を試み、目視でオフセットが確認されなくなる温度(低温始点)および昇温してオフセットが生じない最高温度(高温終点)を調べた。測定は、片面定着と両面定着(片面定着後、その裏面に形成したトナー画像を定着させて測定)のそれぞれについて行った。
【0084】
[耐ブロッキング性]
トナー20gを容量100 mlのポリエチレン製容器に入れ、50℃の乾燥機中に3日間静置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)の振動篩機を用いてトナーの凝集度を測定する一方、同様にして静置前のトナーの凝集度を測定し、その変化率から耐ブロッキング性を評価した。
【0085】
なお、トナー凝集度は、まず振動篩機の振動台に400メッシュ、200メッシュ、100メッシュの各篩を目開きの狭い順に下から上に重ねてセットし、次いで、これらの最上位にある篩(100メッシュの篩)上にトナー5gを入れ、約15秒間の振動(振動台への入力電圧を15Vとし、振動台の振幅が0.5mm以下になるように調整)を加えた後、各篩上に残ったトナーの重量を測定し、下記式から求めた。測定環境は、23℃、55%RHである。
トナーの凝集度(%)=(100メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100+(200メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100×3/5+(200メッシュの篩上のトナー重量(g)/5)×100×1/5
また、評価基準は以下の通りである。
○:凝集度上昇率30%未満
△:凝集度上昇率30%以上40%未満
×:凝集度上昇率40%以上
【0086】
[フィルミング]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、5000枚の連続プリントを行った後(耐久後)、感光体および中間転写体の各表面並びに画像を目視にて観察し、フィルミングの有無を調べた。評価基準は以下の通りである。
○:感光体および中間転写体の各表面にフィルミングが全く認められない
△:感光体および中間転写体のいずれか一方にフィルミングが認められるものの画像上には認められない(実用上問題なし)
×:感光体および中間転写体の少なくとも一方にフィルミングが認められ
かつ、画像上にも認められる
【0087】
[画像濃度]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、10枚プリント後(初期)および5000枚連続プリント後(耐久後)の印刷画像の画像濃度を反射計(マクベス社製)で測定した。
【0088】
[転写効率]
トナーを、東芝テック社製の普通紙ファクシミリTF6500と実質的に同一構成のプリンタに適用し、常温常湿環境下、5000枚の連続プリントを行った後、カートリッジから消費されたトナー重量および廃トナーボックスに回収されたトナー重量を測定し、下記式から求めた。
転写効率(%)=[(消費トナー重量(g)−回収トナー重量(g))/消費トナー重量(g)]×100
【0089】
これらの結果を表1に示す。
【表1】
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐オフセット性が良好で、フィルミングの発生が少なく、また、中間転写体を用いるシステムの採用により転写工程が増えても廃トナーの発生量が増大することはなく、さらに、ブロッキングの発生も抑制された静電像現像用トナーおよびこれを用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの製造に使用される熱処理装置の一例を概略的に示す図。
【図2】図1に示す装置における試料噴射室の水平断面構造を概略的に示す断面図。
【図3】本発明のトナーの特性評価に使用した定着装置の要部構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
101……熱風発生装置 103……熱風噴射ノズル
104……試料噴射室 105……トナー母体粒子
108……試料噴射ノズル 110……冷風導入口
Claims (6)
- トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなる静電像現像用トナーにおいて、
前記トナー母体粒子は、離型剤として、示差走査熱量計(DSC)で測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱最大ピークおよび降温時の発熱最大ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあり、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含んでいることを特徴とする静電像現像用トナー。 - 球形度が0.65〜0.98であり、かつ、トナー母体粒子との体積平均粒径差が0.7μm以下であることを特徴とする請求項1記載の静電像現像用トナー。
- 金属酸化物、チタン酸化合物および金属石鹸の群より選ばれる少なくとも1種の無機微粒子が表面に付着されていることを特徴とする請求項1または2記載の静電像現像用トナー。
- 中間転写体を用いる画像形成方式に用いられるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電像現像用トナー。
- 非磁性一成分現像方式に用いられるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の静電像現像用トナー。
- トナー母体粒子が熱処理される熱処理空間と、熱風を前記熱処理空間に流す熱風供給口と、前記トナー母体粒子を前記熱風中に分散するように前記熱処理空間に供給するトナー母体粒子供給口とを備える熱処理装置を用いて、バインダ樹脂および着色剤を含有するトナー母体粒子を、このトナー母体粒子のガラス転移点より80〜350℃高い温度の熱風で熱処理してなり、前記トナー母体粒子は、離型剤として、昇温時の吸熱ピークおよび降温時の発熱ピークがそれぞれ60〜110℃の温度領域にあるDSC曲線を有し、かつ、数平均分子量(Mn)が350〜800で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05〜1.20であるポリエチレンワックスを含む静電像現像用トナーで、静電像担持体上に形成された静電像を現像する工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
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JP2009015035A (ja) * | 2007-07-05 | 2009-01-22 | Canon Inc | トナーの表面改質装置 |
JP2009237007A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Canon Inc | トナー |
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