JP2004085091A - ガスヒートポンプ装置およびガスヒートポンプ装置におけるガスエンジンの制御方法 - Google Patents

ガスヒートポンプ装置およびガスヒートポンプ装置におけるガスエンジンの制御方法 Download PDF

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藤田 賢二
Toru Nakahara
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Abstract

【課題】ガスヒートポンプを用いた空調においてガスエンジンの燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を提供する。
【解決手段】GHPエアコンに搭載されるガスエンジン112に過給機構160を設ける。この過給機構160は、オルタネータ162、電気ターボ165等を用いて構成される。実用域中の使用頻度の高い領域においてスロットルバルブ167がほぼ全開となるようにガスエンジン112の排気量が設定されている。制御部200は、室内温度と室内設定温度との温度差が所定の基準値を超えた場合に、スロットルバルブ167の全開状態以上の高負荷運転が必要であると判断して過給機構160を作動させる。これにより、ガスエンジンの低排気量化を行うことができる一方、高負荷運転でのトルク不足を過給機構160による過給によって補うことができる。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスヒートポンプを用いた空調技術に係り、詳しくはガスエンジンを空調負荷に応じて好適に制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の工場、学校、ビルおよび店舗等に好適な高品質の空調技術が各種提案されている。中でも、ガスヒートポンプ(GHP)を用いた空調装置は、空調コストを低減することができる有効な手段として注目されている。このガスヒートポンプは、都市ガス(メタンを主成分とした天然ガス)等を燃料としたガスエンジンによってヒートポンプサイクルを駆動し、これにより冷房および暖房を行うようになっている。ガスヒートポンプは、ガスエンジンから排出される排気ガスの排熱を回収して暖房運転時の熱源として用いる構成を備え、これにより電気式ヒートポンプ(EHP)に比して暖房効率が優れていることが知られている。
ところで、このようなGHPエアコンでは、冷房および暖房における室内温度や室内設定温度に応じてガスエンジンの運転が制御され空調負荷が可変とされる。従来、例えば、室内温度と室内設定温度との温度差に基づいてガスエンジンの回転数が制御される構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、外気温等に基づいてガスエンジンのスロットル開度が制御される構成のものもある(例えば、特許文献2参照。)。このGHPエアコンのガスエンジンとしては、スロットル全開時のWOT(Wide Open Throttle)性能がGHPシステムからの要求性能を満足するもの、更に言えば、経時劣化によるトルク低下が発生した場合にもGHPシステムからの要求トルクを満たせる排気量のエンジンを選択していた。具体的には、ガスエンジンの回転数およびスロットルバルブ開度によって定まるトルクカーブが、最大トルクを満足するような排気量を有するガスエンジンが用いられる。
【0003】
【特許文献1】
実開昭63−172840号公報(第6〜第8頁)
【特許文献2】
特開平06−288266号公報(第3頁、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来のような大排気量のエンジンは、実用域ではスロットルバルブの開度が絞られた運転となるため、いわゆるポンピングロスが増大して燃費が悪化するという問題を抱えている。そこで、その対策として燃費を向上させることを目的にエンジンの排気量を小さくすることが考えられる。しかしながら、小排気量のエンジンを用いるとスロットルバルブ開度が大きくなり燃費の向上が可能となる反面、室内温度と室内設定温度との差が大きいような高負荷時には、スロットルバルブ開度をほぼ全開にしても所望のトルクが得られないトルク不足の状態が発生する場合がある。
そこで本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ガスヒートポンプを用いた空調においてガスエンジンの燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のガスヒートポンプ装置は請求項1,2に記載の通りに構成される。また、本発明のガスヒートポンプ装置におけるガスエンジンの制御方法は請求項3,4に記載の通りである。なお、これら各請求項に係る発明は、ガスヒートポンプを用いた空調において、ガスエンジンへの吸気を過給可能な構成とし、この過給を空調負荷に対応して制御することでガスエンジンの燃費の向上を図り、ひいては空調全体の効率化を実現することができるようにした技術である。
【0006】
請求項1に記載のガスヒートポンプ装置には、ガスエンジン、圧縮機、空調回路、検出手段等が設けられている。ガスエンジンは、都市ガス(メタンを主成分とした天然ガス)等のガス燃料を受け入れて燃焼させることで駆動される。このガスエンジンの出力は、カップリング機構等を介して圧縮機に伝達される。この圧縮機は、冷媒を吸入して圧縮し、高圧化した圧縮冷媒を吐出することで、空調回路内に冷媒を循環させる。検出手段は、室内温度に関する室内温度情報を検出する。この室内温度情報は、室内温度自体であってもよいし、あるいは室内温度に変換可能な他の情報、例えば圧力、抵抗、起電力等であってもよい。これら室内温度情報から実際の室内温度を得ることができる。
本発明では、更に過給手段が設けられている。この過給手段は、ガスエンジンへの吸気の過給を行うものであり、ガスエンジンのスロットルバルブの上流側に配置される。この過給手段としては、例えば電気ターボ、スーパーチャージャー、排気ターボを各々用いた構成、またこれらのうちの複数を組み合わせて用いた構成などを好適に用いる。この過給手段は、検出手段によって検出された室内温度情報を用いて制御される。例えば、室内温度情報ないし室内温度と所定の基準値(しきい値)との関係において過給手段が制御されてもよいし、あるいは室内温度情報ないし室内温度を含む複数の情報と所定の基準値(しきい値)との関係において過給手段が制御されてもよい。例えば、スロットルバルブの全開状態以上の高負荷運転による空調制御が必要であるという情報を検出した場合に、過給手段を作動させてガスエンジンへの吸気が過給される。これにより、実用域中の使用頻度の高い領域においてスロットルバルブがほぼ全開となるようにガスエンジンの排気量を設定した場合であっても、このような過給手段を用いることで、それ以上のトルク確保を必要とする高負荷運転に対応することが可能となる。したがって、ガスエンジンの低排気量化が可能となり、例えばスロットルバルブによるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができる。
従って、請求項1に記載のガスヒートポンプ装置を用いれば、とりわけガスエンジンの実用域での燃費の向上を図るのに有効である。また、ガスエンジンの燃費の向上を図ることで、ガスヒートポンプ装置全体の効率化を実現することができる。
【0007】
ここで、請求項1に記載の過給手段は、請求項2に記載の通りの構成であるのが好ましい。すなわち、この過給手段は、室内温度情報に基づく室内温度と室内設定温度との温度差が所定の基準値を超えた場合に作動して吸気の過給を行うように制御される。すなわち、室内設定温度と実際の温度との温度差が大きい場合には、スロットルバルブの全開状態以上の高負荷運転による空調制御が必要であるとして過給手段を作動させる。反対に、室内設定温度と実際の温度との温度差が小さい場合には、過給手段を作動させずに、実用域中の使用頻度の高い領域においてガスエンジンの運転を行う。この所定の基準値(しきい値)は、各種運転情報に基づいてその都度設定されてもよいし、あるいは予め一定値として設定されてもよい。これにより、ガスヒートポンプを用いた空調に好適なガスエンジンの制御が可能となる。
【0008】
請求項3に記載のガスエンジンの制御方法では、第1のステップによって検出手段を介して室内温度情報を検出する。この室内温度情報は、室内温度自体であってもよいし、あるいは室内温度に変換可能な他の情報、例えば圧力、抵抗、起電力等であってもよい。これら室内温度情報から実際の室内温度を得ることができる。次に、第2のステップによって過給手段を制御する。この過給手段は、ガスエンジンへの吸気の過給を行うものであり、ガスエンジンのスロットルバルブの上流側に配置される。この過給手段としては、例えば電気ターボ、スーパーチャージャー、排気ターボを各々用いた構成、またこれらのうちの複数を組み合わせて用いた構成などを好適に用いる。第2のステップでは、第1のステップにおいて検出した室内温度情報を用いて過給手段の運転を制御する。例えば、室内温度情報ないし室内温度と所定の基準値(しきい値)との関係において過給手段を制御してもよいし、あるいは室内温度情報ないし室内温度を含む複数の情報と所定の基準値(しきい値)との関係において過給手段を制御してもよい。例えば、スロットルバルブの全開状態以上の高負荷運転による空調制御が必要な場合に、過給手段を作動させてガスエンジンへの吸気を過給する。これにより、実用域中の使用頻度の高い領域においてスロットルバルブがほぼ全開となるようにガスエンジンの排気量を設定した場合であっても、このような過給によってそれ以上に所定のトルク確保を必要とする高負荷運転に対応することが可能となる。したがって、ガスエンジンの低排気量化が可能となり、例えばスロットルバルブによるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができる。
従って、請求項3に記載のガスエンジンの制御方法によれば、とりわけガスエンジンの実用域での燃費の向上を図るのに有効である。また、ガスエンジンの燃費の向上を図ることで、ガスヒートポンプ装置全体の効率化を実現することができる。
【0009】
ここで、請求項3に記載の第2のステップでは、請求項4に記載のような制御を行うのが好ましい。すなわち、第2のステップでは、第1のステップで検出した室内温度情報に基づく室内温度と室内設定温度との温度差を算出する。そして、算出したこの温度差が所定の基準値を超えた場合に過給手段を作動させて過給を行うように制御する。すなわち、室内設定温度と実際の温度との温度差が大きい場合には、スロットルバルブの全開状態以上の高負荷運転による空調制御が必要であるとして過給手段を作動させる。反対に、室内設定温度と実際の温度との温度差が小さい場合には、過給手段を作動させずに実用域中の使用頻度の高い領域においてガスエンジンの運転を行う。この所定の基準値(しきい値)は、各種運転情報に基づいてその都度設定されてもよいし、あるいは予め一定値として設定されてもよい。これにより、ガスヒートポンプを用いた空調に好適なガスエンジンの制御が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。ここで、図1は本実施の形態のGHPエアコン100の構成を示す模式図であって、暖房運転時の状態を示している。図2は本実施の形態のGHPエアコン100の構成を示す模式図であって、冷房運転時の状態を示している。
なお、本実施の形態は、都市ガス(メタンを主成分とした天然ガス)等を燃料としたガスエンジンによってヒートポンプサイクルを駆動し、これにより冷房および暖房を行う構成の空調装置、いわゆるGHPエアコンについて説明するものである。
【0011】
図1に示すように、本発明におけるガスヒートポンプ装置としてのGHPエアコン100は、室外ユニット110および室内ユニット150を備える。室内に設置される室内ユニット150は室内熱交換器152を備え、この室内熱交換器152の排気口から暖房運転時には温風が、冷房時には冷風が排気される構成になっている。また、例えば室内側に制御部200が設置されている。この制御部200は、入力信号処理回路、演算回路、メモリ、出力信号回路(駆動回路)、および電源回路等から構成されており、室外ユニット110および室内ユニット150との間で、検出信号や制御信号などの伝達を行う。例えば暖房スイッチないし冷房スイッチのON状態、また室内の室内設定温度Ta、室内温度(実際の温度)Tb等に関する情報がこの制御部200へ出力され、必要に応じて記憶される。例えば、室内設定温度Taは室内ユニット150に設置された検出センサ156によって検出される。この検出センサ156が本発明における検出手段に対応している。
【0012】
室外に設置される室外ユニット110は、ほぼ密閉状態に構成され、このユニット内に、ガスエンジン112、コンプレッサー(圧縮機)114、排熱回収器120、消音器130、冷却水ポンプ132、放熱器134、室外熱交換器140,142、排気ファン144、四方弁146、膨張弁148、またその他各種の電子機器類、配管類およびバルブ類等が収容されている。
【0013】
ガスエンジン112は、都市ガス等のガス燃料を受け入れて燃焼させることで駆動されるようになっている。このガスエンジン112の出力は、所定のカップリング機構を介してコンプレッサー114に伝達される構成になっている。コンプレッサー114は、冷媒を吸入して圧縮し、高圧化した圧縮冷媒を吐出する構成を有する。このコンプレッサー114としては、スクロール型や斜板型のものを好適に用いる。このコンプレッサー114が本発明における圧縮機に対応している。ガス燃料としては、地球温暖化の観点から二酸化酸素の排出量が少ない天然ガスを用いるのが好ましく、冷媒としては、オゾン層破壊防止の観点から塩素等を含まないものを用いるのが好ましい。なお、本実施の形態のガスエンジン112は、過給機付きの構成を有する。このガスエンジン112の過給機構については後述する。
【0014】
排熱回収器120は、ガスエンジン112から排出される排気ガスの排熱を、冷却水との間の熱交換によって回収する構成を有する。排熱回収器120の排気ガス入口は配管径路122によってガスエンジン112と接続され、排熱回収器120の排気ガス出口は配管径路123によって消音器130と接続されている。従って、ガスエンジン112から排出された排気ガスは、配管径路122を通じて排熱回収器120へ導入され熱交換されたのち、配管径路123を通じて消音器130へ送られる。消音器130で消音処理された排気ガスは、室外ユニット110内を上方へ向けて排気される。排熱回収器120の冷却水入口は配管径路135によって放熱器134と接続され、排熱回収器120の冷却水出口は配管径路136によって放熱器134と接続されている。配管径路135の途中には冷却水ポンプ132が設けられ、配管径路136の途中にはガスエンジン112内の熱回収を行うジャケット113が設けられている。従って、冷却水ポンプ132から吐出された冷却水は、配管径路136および配管径路135を通じて循環され、冷却水が配管径路136を移動する過程では、排熱回収器120およびジャケット113によって熱回収が行われる。そして、配管径路136を通過した冷却水は、例えば放熱フィンを備える放熱器134へ送られ、この放熱器134において回収した熱を放熱する。
【0015】
コンプレッサー114の冷媒入口は配管径路143によって室外熱交換器140,142と接続され、コンプレッサー114の冷媒出口は配管径路153によって室内熱交換器152と接続されている。また、室外熱交換器140,142と室内熱交換器152とは配管径路154によって接続されている。この配管径路154の途中に膨張弁148が設けられている。四方弁146は、配管径路143および配管径路153を移動する冷媒の流れ方向を切り換える構成を有する。すなわち、この四方弁146の切り換えによりコンプレッサー114は、図1に示す暖房運転時には室外熱交換器140,142からの冷媒を吸入して室内熱交換器152へ吐出し、図2に示す冷房運転時には室内熱交換器152からの冷媒を吸入して室外熱交換器140,142へ吐出する。また、排気ファン144は、室外ユニット110内の排気を強制的に行う構成を有する。
なお、配管径路143,153,154等によって本発明における空調回路が構成されている。
【0016】
ここで、上記の構成のGHPエアコン100につき、暖房運転時および暖房運転時おける冷媒の流れを図1および図2を参照しながら説明する。
図1に示す暖房運転時には、コンプレッサー114から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁146および配管径路153を介して室内熱交換器152に供給される。室内熱交換器152に供給された高温高圧のガス冷媒は、室内空気と熱交換されて凝縮し液化して高温高圧の液冷媒となる。このとき、室内熱交換器152が冷気を吸収する一方、温風を発生することで暖房が行われる。次に、室内熱交換器152から流出した高温高圧の液冷媒は、配管径路154を流通する過程において膨張弁148に供給される。この膨張弁148に供給された高温高圧の液冷媒は、その膨張によって低温低圧の液冷媒となって室外熱交換器140,142に供給される。これら室外熱交換器140,142に供給された低温低圧の液冷媒は、外気からの熱回収(蒸発)によって低温低圧のガス冷媒となり、その後配管径路143および四方弁146を介してコンプレッサー114へ吸入される。このようにして、暖房運転時における冷媒の循環が確立されることとなる。
【0017】
一方、図2に示す冷房運転時には、四方弁146の切り換えによって冷媒の流れが暖房運転時とは逆になる。すなわち、コンプレッサー114から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁146および配管径路143を介して室外熱交換器140,142に供給される。室外熱交換器140,142に供給された高温高圧のガス冷媒は、外気への熱放出(凝縮)によって液化して高温高圧の液冷媒となる。次に、室外熱交換器140,142から流出した高温高圧の液冷媒は、配管径路154を流通する過程において膨張弁148に供給される。この膨張弁148に供給された高温高圧の液冷媒は、その膨張によって低温低圧の液冷媒となって室内熱交換器152に供給される。この室内熱交換器152に供給された低温低圧の液冷媒は、室内空気と熱交換されて蒸発し気化して低温低圧のガス冷媒となる。このとき、室内熱交換器152が熱を吸収する一方、冷風を発生することで冷房が行われる。次に、室内熱交換器152から流出した低温低圧のガス冷媒は、配管径路153および四方弁146を介してコンプレッサー114へ吸入される。このようにして、冷房運転時における冷媒の循環が確立されることとなる。
【0018】
次に、本実施の形態の特徴部分であるガスエンジン112の過給機構について説明する。以下、電気ターボ、スーパーチャージャー、排気ターボの3種類をこの過給機構として用いる場合(第1〜第3実施の形態)について各々説明する。
【0019】
〔第1実施の形態〕
まず、電気ターボを用いた過給機構160が搭載された第1実施の形態を図3〜図5を参照しながら説明する。ここで、図3は過給機構160の構成を示す模式図である。図4は過給機構160による電気ターボ運転制御を示すフローチャートである。図5は過給機構160による過給時および無過給時におけるトルクカーブを示す図である。
【0020】
図3に示すように、本発明における過給手段としての過給機構160は、オルタネータ162、電気ターボ165等を用いて構成されている。オルタネータ162は、クラッチ付きの伝達機構161を介してガスエンジン112に連結されており、クラッチをつなぐことで必要に応じてオルタネータ162を作動させて発電を行うことができる構成になっている。このようにクラッチ付きの伝達機構161を用いたため、必要なときにのみオルタネータ162を作動させることができ、これにより熱効率を向上させることができる。
【0021】
オルタネータ162は、電気的接続手段によって電気ターボ165と接続されており、この電気ターボ165へ電力を供給可能な構成になっている。ガスエンジン112へ吸気を導入する吸気径路163はエアクリーナの下流に配置されており、この吸気径路163には電気ターボ165およびバイパスバルブ166が設けられている。バイパスバルブ166は、吸気を電気ターボ165が設けられた吸気通路163側とバイパス径路164側とに切り換える。また、吸気径路163にはスロットルバルブ167が設けられており、このスロットルバルブ167がガスエンジン112への吸気の通路面積を可変とする。なお、エンジン112をはじめ、これらオルタネータ162、電気ターボ165、バイパスバルブ166、スロットルバルブ167等は、例えば制御部200によって制御されるようになっている。
【0022】
なお、本実施の形態では、図5中の斜線で示すGHP使用域に対し、実用域中の使用頻度の高い領域では無過給時トルクカーブにしたがって運転され、それ以上に所定のトルクの確保が必要とされる高負荷運転では過給時トルクカーブにしたがって運転される。なお、熱効率などの代表的な値を性能として示す定格点Aも、このGHP使用域の中で定められている。
本実施の形態では、実用域中の使用頻度の高い領域においてスロットルバルブ167がほぼ全開となるようにガスエンジン112の排気量が設定されている。すなわち、本実施の形態のガスエンジン112は、その排気量が高負荷運転でのトルク確保を可能とする従来のガスエンジンの排気量よりも小さくなるように構成されている。これにより、とりわけスロットルバルブ167によるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができる。一方、スロットルバルブ167の全開状態以上の所望のトルクが必要となる高負荷運転(以下、「過負荷モード」という)においては、過給機構160を用い過給時トルクカーブにしたがって運転を行う。これにより、排気量が小さい場合であっても、過給機構160を用いることでGHPエアコン100に好適なガスエンジン112の制御が可能となる。
【0023】
図5中の過給時トルクカーブにしたがって過負荷モードで運転を行うとき、過給機構160は、例えば図4に示すようなフローチャートにしたがって制御される。
図4に示すように、ステップS10によって暖房運転時は暖房スイッチの、冷房運転時は冷房スイッチのON状態を検出する。次に、ステップS12によって室内の室内設定温度Ta、室内温度(実際の温度)Tbに関する情報を検出し、これらの情報に基づいてガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS14)。すなわち、ステップS14では、室内設定温度Taと室内温度Tbとの差の絶対値と基準値Tc(しきい値)との比較を行い、この絶対値が基準値Tcよりも大きい場合に(ステップS14のYES)、過負荷モードでの運転が必要であり過給機構160による過給が必要であると判断しステップS16へすすむ。一方、絶対値が基準値Tcよりも小さい場合には(ステップS14のNO)、過給機構160による過給は必要ないと判断しステップS12へ戻る。なお、基準値Tcは各種の運転情報に基づいてその都度設定されてもよいし、あるいは予め一定値に設定されてもよい。
【0024】
ステップS16によって、バイパスバルブ166を図3中の実線位置へ切り換える。また、ステップS18によって、伝達機構161のクラッチをつなぎオルタネータ162の発電を開始するとともに、このオルタネータ162から電気ターボ165への電力供給を開始する。これにより、ステップS20によって電気ターボ165による過給が開始される。その後、この電気ターボ165による過給は、ガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断し、ガスエンジン112の過給が必要でないと判断されるまで継続される。すなわち、ステップS22によって室内の室内設定温度Ta、室内温度Tbに関する情報を検出し、これらの情報に基づいてガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断する(ステップS24)。そして、ステップS24のNOの場合には、過負荷モードでの運転は必要でないと判断しステップS26へすすむ。一方、ステップS24のYESの場合には、過負荷モードでの運転は未だ必要であると判断しステップS22へ戻る。ステップS26の過給終了処理では、オルタネータ162の発電および電気ターボ165への電力供給の停止、バイパスバルブ166の切り換え、伝達機構161のクラッチの解除を行い、これにより電気ターボ運転制御を終了する。
なお、ステップS12等が本発明における第1のステップに対応しており、ステップS14〜S26等が本発明における第2のステップに対応している。
【0025】
以上のように、第1実施の形態によれば、GHPエアコン100においてガスエンジン112の燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を実現することができる。すなわち、ガスエンジン112の排気量を小さくすることで、とりわけスロットルバルブ167によるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができ、過負荷モードにおいては、過給機構160を用いてGHPエアコン100に好適な所望のトルクを得ることができる。これにより、ガスエンジン112の低排気量化を行うことができる一方、過負荷モードでのトルク不足を過給機構160による過給によって補うことができる。本実施の形態では、室内設定温度Taと実際の室内温度Tbとの温度差が大きい時を過負荷モードとしているので、室内温度Tbを早期に室内設定温度Taに近づけることが可能となる。この過給機構160は、もちろんエンジン112の経時劣化によるトルク低下を補うのにも有効である。また、このような電気ターボ165を用いた過給機構160は、他の過給機構に比して設備面での低コスト化を図るのに特に有効である。
【0026】
〔第2実施の形態〕
次に、スーパーチャージャーを用いた過給機構170が搭載された第2実施の形態を図6および図7を参照しながら説明する。ここで、図6は過給機構170の構成を示す模式図である。図7は過給機構170によるスーパーチャージャー運転制御を示すフローチャートである。
【0027】
図6に示すように、本発明における過給手段としての過給機構170は、スーパーチャージャー175等を用いて構成されている。このスーパーチャージャー175は、クラッチ付きの伝達機構171を介してガスエンジン112に連結されており、クラッチをつなぐことで必要に応じてスーパーチャージャー175を作動させることができる構成になっている。このようにクラッチ付きの伝達機構171を用いたため、必要なときにのみスーパーチャージャー175を作動させることができ、これにより熱効率を向上させることができる。
ガスエンジン112へ吸気を導入する吸気径路173はエアクリーナの下流に配置されており、この吸気径路173にはスーパーチャージャー175およびバイパスバルブ176が設けられている。バイパスバルブ176は、吸気をスーパーチャージャー175が設けられた吸気通路173側とバイパス径路174側とに切り換える。また、吸気径路173にはスロットルバルブ177が設けられており、このスロットルバルブ177がガスエンジン112への吸気の通路面積を可変とする。なお、エンジン112をはじめ、これらスーパーチャージャー175、バイパスバルブ176、スロットルバルブ177等は、例えば制御部200によって制御されるようになっている。
【0028】
この第2実施の形態では、第1実施の形態と同様に図5中の過給時トルクカーブにしたがって過負荷モードで運転を行うとき、過給機構170は、例えば図7に示すようなフローチャートにしたがって制御される。
図7に示すように、ステップS30によって暖房運転時は暖房スイッチの、冷房運転時は冷房スイッチのON状態を検出する。次に、ステップS32によって室内の室内設定温度Ta、室内温度Tbに関する情報を検出し、室内設定温度Taと室内温度Tbとの差の絶対値と基準値Tcとの比較を行うことでガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS34)。ステップS34のYESの場合には、過給機構170による過給が必要であると判断しステップS36へすすむ。一方、ステップS34のNOの場合には、過給機構170による過給は必要ないと判断しステップS32へ戻る。
【0029】
ステップS36によって、バイパスバルブ176を図6中の実線位置へ切り換える。また、ステップS38によって、伝達機構171のクラッチをつなぎスーパーチャージャー175を作動させて過給を開始する。このスーパーチャージャー175による過給は、ガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断し、ガスエンジン112の過給が必要でないと判断されるまで継続される。すなわち、ステップS42によって室内の室内設定温度Ta、室内温度Tbに関する情報を検出し、これらの情報に基づいてガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断する(ステップS44)。そして、ステップS44のNOの場合には、過負荷モードでの運転は必要でないと判断しステップS46へすすむ。一方、ステップS44のYESの場合には、過負荷モードでの運転は未だ必要であると判断しステップS42へ戻る。ステップS46の過給終了処理では、伝達機構171のクラッチの解除や、バイパスバルブ176の切り換えを行い、これによりスーパーチャージャー運転制御を終了する。
なお、ステップS32等が本発明における第1のステップに対応しており、ステップS34〜S46等が本発明における第2のステップに対応している。
【0030】
以上のように、第2実施の形態によれば、第1実施の形態と同様にGHPエアコン100においてガスエンジン112の燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を実現することができる。すなわち、ガスエンジン112の排気量を小さくすることで、とりわけスロットルバルブ177によるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができ、過負荷モードにおいては、過給機構170を用いてGHPエアコン100に好適な所望のトルクを得ることができる。また、このようなスーパーチャージャー175を用いた過給機構170は、他の過給機構に比して低速での運転制御に特に有効である。
【0031】
〔第3実施の形態〕
次に、排気ターボを用いた過給機構180が搭載された第3実施の形態を図8および図9を参照しながら説明する。ここで、図8は過給機構180の構成を示す模式図である。図9は過給機構180による排気ターボ運転制御を示すフローチャートである。
【0032】
図8に示すように、本発明における過給手段としての過給機構180は、排気ターボ185等を用いて構成されている。この排気ターボ185は、ガスエンジン112の排気エネルギで駆動するタービンTと、このタービンTと同軸で回転するコンプレッサーCとによって構成されている。ガスエンジン112の排気側には、タービンTが設置された排気径路188、この排気径路188をバイパスするバイパス径路189、排気ガスを排気径路188とバイパス径路189とに切り換えるバイパスバルブ190が設けられている。一方、ガスエンジン112の吸気側には、エアクリーナの下流にガスエンジン112へ吸気を導入する吸気径路183が設けられており、この吸気径路183にはコンプレッサーCおよびバイパスバルブ186が設けられている。バイパスバルブ186は、吸気をコンプレッサーCが設けられた吸気通路183側とバイパス径路184側とに切り換える。このバイパス径路184に必要に応じて熱交換器を設けてもよい。また、吸気径路183にはスロットルバルブ187が設けられており、このスロットルバルブ187がガスエンジン112への吸気の通路面積を可変とする。なお、エンジン112をはじめ、これら排気ターボ185、バイパスバルブ176,190、スロットルバルブ187等は、例えば制御部200によって制御されるようになっている。
【0033】
この第3実施の形態では、第1実施の形態と同様に図5中の過給時トルクカーブにしたがって過負荷モードで運転を行うとき、過給機構180は、例えば図9に示すようなフローチャートにしたがって制御される。
図9に示すように、ステップS50によって暖房運転時は暖房スイッチの、冷房運転時は冷房スイッチのON状態を検出する。次に、ステップS52によって室内の室内設定温度Ta、室内温度Tbに関する情報を検出し、室内設定温度Taと室内温度Tbとの差の絶対値と基準値Tcとの比較を行うことでガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS54)。ステップS54のYESの場合には、過給機構180による過給が必要であると判断しステップS56へすすむ。一方、ステップS54のNOの場合には、過給機構180による過給は必要ないと判断しステップS52へ戻る。
【0034】
ステップS56によって、バイパスバルブ186を図8中の実線位置へ切り換える。また、ステップS57によって、バイパスバルブ190を図8中の実線位置へ切り換える。これにより、ステップS58によって排気ターボ185を作動させて過給を開始する。この排気ターボ185による過給は、ガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断し、ガスエンジン112の過給が必要でないと判断されるまで継続される。すなわち、ステップS62によって室内の室内設定温度Ta、室内温度Tbに関する情報を検出し、これらの情報に基づいてガスエンジン112の過給が必要な状態であるか否かを再度判断する(ステップS64)。そして、ステップS64のNOの場合には、過負荷モードでの運転は必要でないと判断しステップS66へすすむ。一方、ステップS64のYESの場合には、過負荷モードでの運転は未だ必要であると判断しステップS62へ戻る。ステップS66の過給終了処理では、バイパスバルブ186,190の切り換えを行い、これにより排気ターボ運転制御を終了する。
なお、ステップS52等が本発明における第1のステップに対応しており、ステップS54〜S66等が本発明における第2のステップに対応している。
【0035】
以上のように、第3実施の形態によれば、第1および第2実施の形態と同様にGHPエアコン100においてガスエンジン112の燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を実現することができる。すなわち、ガスエンジン112の排気量を小さくすることで、とりわけスロットルバルブ187によるいわゆるポンピングロスを低減させて燃費を向上させることができ、過負荷モードにおいては、過給機構180を用いてGHPエアコン100に好適な所望のトルクを得ることができる。また、このような排気ターボ185を用いた過給機構180は、他の過給機構に比して高速での運転制御に特に有効である。
この第3実施の形態では、ガスエンジン112の排気側にバイパス径路189およびバイパスバルブ190を設ける構成について記載したが、排気ターボ185のハウジング内にウエストゲートバルブを設けることでバイパス径路189を省略することもできる。
【0036】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0037】
(A)上記実施の形態では、ガスエンジン112への吸気を過給する過給手段として、電気ターボ165や、スーパーチャージャー175や、排気ターボ185を用いる場合について記載したが、これらのうちの複数を必要に応じて適宜組み合わせて用いることもできる。
【0038】
(B)また、上記実施の形態では、室内設定温度Taと室内温度Tbとの温度差と基準値Tcとの関係において過給手段の制御を行う場合について記載したが、室内温度Tbと、その室内温度Tbに対応した基準値(しきい値)との関係において過給を制御することもできる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ガスヒートポンプを用いた空調においてガスエンジンの燃費の向上を図るのに有効なガスエンジン制御技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のGHPエアコン100の構成を示す模式図であって、暖房運転時の状態を示している。
【図2】本実施の形態のGHPエアコン100の構成を示す模式図であって、冷房運転時の状態を示している。
【図3】過給機構160の構成を示す模式図である。
【図4】過給機構160による電気ターボ運転制御を示すフローチャートである。
【図5】過給機構160による過給時および無過給時におけるトルクカーブを示す図である。
【図6】過給機構170の構成を示す模式図である。
【図7】過給機構170によるスーパーチャージャー運転制御を示すフローチャートである。
【図8】過給機構180の構成を示す模式図である。
【図9】過給機構180による排気ターボ運転制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100…GHPエアコン(空調装置)
110…室外ユニット
112…ガスエンジン
150…室内ユニット
156…検出センサ
160,170,180…過給機構
162…オルタネータ
165…電気ターボ
167,177,187…スロットルバルブ
175…スーパーチャージャー
185…排気ターボ
200…制御部
Ta…室内設定温度
Tb…室内温度
Tc…基準値

Claims (4)

  1. ガスエンジンと、このガスエンジンによって駆動される圧縮機と、この圧縮機によって高圧化された冷媒が室内と室外との間で循環する空調回路と、室内温度に関する室内温度情報を検出する検出手段とを備えたガスヒートポンプ装置であって、
    更に、前記ガスエンジンへの吸気の過給を行う過給手段を備え、この過給手段は、前記室内温度情報を用いて制御されるように構成されていることを特徴とするガスヒートポンプ装置。
  2. 請求項1に記載したガスヒートポンプ装置であって、
    前記過給手段は、前記室内温度情報に基づく室内温度と室内設定温度との温度差が所定の基準値を超えた場合に作動して過給を行うように制御されることを特徴とするガスヒートポンプ装置。
  3. ガスエンジンと、このガスエンジンによって駆動される圧縮機と、この圧縮機によって高圧化された冷媒が室内と室外との間で循環する空調回路と、室内温度に関する室内温度情報を検出する検出手段と、前記ガスエンジンへの吸気の過給を行う過給手段とを備えたガスヒートポンプ装置において、前記ガスエンジンを制御するガスエンジンの制御方法であって、
    前記検出手段を介して室内温度情報を検出する第1のステップと、前記室内温度情報を用いて前記過給手段を制御する第2のステップとを有することを特徴とするガスエンジンの制御方法。
  4. 請求項3に記載したガスエンジンの制御方法であって、
    前記第2のステップでは、前記第1のステップで検出した室内温度情報に基づく室内温度と室内設定温度との温度差を算出し、この温度差が所定の基準値を超えた場合に前記過給手段を作動させ過給を行うことを特徴とするガスエンジンの制御方法。
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