JP2004083743A - 顔料分散組成物およびインクジェット用水性インキ - Google Patents

顔料分散組成物およびインクジェット用水性インキ Download PDF

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Abstract

【課題】水性媒体に対する良好な分散安定性を示す顔料、および該顔料を使用した顔料分散組成物、ならびに、顔料の分散安定性に優れ、高濃度の画像が得られるインクジェット用水性インキを提供すること。
【解決手段】顔料粒子表面に化学結合によって糖残基を固定した顔料は、水性媒体に対して良好な分散性を示す。この顔料を使用した良好な分散安定性を示す顔料分散組成物、および浸透性の高い紙に印字した場合であっても、高い画像濃度が得られるインクジェット用水性インキを提供。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子表面に表面改質剤を化学結合させて、水性媒体への分散性を向上させた顔料、およびこれを使用したインクジェット用水性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット用水性インキにおいて、着色剤である顔料を記録媒体の表面に十分に定着させ、高い濃度を有する印字画像を得る目的で、インキ組成物中に、単糖類や多糖類を添加する試みがなされている。たとえば、特開平8−231910号公報には、インクジェット用水性顔料インクに多糖類、セルロース誘導体、および加工デンプンから選ばれた少なくとも一種を含有するインクジェット用水性顔料インキが開示されている。
【0003】
また、特開2001−49154号公報には、一分子中に糖残基とエチレン性二重結を有する単量体を重合して得られる樹脂を含有させたインクジェット用インキが高い画像濃度を有することが記載されている。
【0004】
しかしながら、特開平8−231910号公報に開示された、糖を添加したインクジェット用顔料インキでは、プリンターのインクジェットノズルの目詰まりは改善される反面、インキの粘度が増大してしまうためにインキの吐出不良を起こすという問題点や、印字される媒体が普通紙のような浸透性の高い紙である場合には、顔料が紙の繊維のうち、部に浸透してしまい、色調がくすんでしまうという問題点があった。
【0005】
従来、長期間にわたって安定した分散状態を示す顔料分散体を得るために、顔料粒子表面に、分散媒との親和性の高い樹脂や低分子量化合物などの顔料粒子表面処理剤を吸着させて顔料粒子同士の凝集を防ぐ方法がとられている。しかしながら、分散媒が水性媒体である場合、分散媒の極性が高いために顔料粒子表面に顔料粒子表面処理剤が吸着しにくく、十分な顔料分散効果が得られない。
【0006】
これと同じ理由により、上記の一分子中に糖残基とエチレン性二重結を有する単量体を重合して得られる樹脂を含有させたインクジェット用水性インキでは、普通紙に印字したときの画像濃度は格段に改善されるが、樹脂に側鎖として結合した糖残基の親水性が強いため、水性媒体中では該樹脂が顔料粒子表面に吸着しにくく、その結果、分散させた顔料が凝集しやすいという問題点があった。
ここで、水性媒体とは、水、または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を意味し、以下の説明においても同様とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、水性媒体に対する良好な分散安定性を示す顔料、および該顔料を使用した顔料分散組成物、ならびに、顔料の分散安定性に優れ、かつ浸透性の高い紙に印字した場合であっても高濃度の画像が得られるインクジェット用水性インキを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料粒子表面に、化学結合によって糖残基を固定することによって、水性媒体に対して良好な分散性を示す顔料を提供するとともに、この顔料を使用した良好な分散安定性を示す顔料分散組成物、および該顔料分散組成物を使用することによって、浸透性の高い紙に印字した場合であっても、高い画像濃度が得られるインクジェット用水性インキを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、顔料粒子表面に化学結合によって固定する糖は、たとえば、グルコース、ガラクトース、もしくはマンノースなどの単糖類、スクロース、ラクトース、もしくはマルトースなどのオリゴ糖類、またはデンプンもしくはセルロースなどの多糖類のいずれであってもよく、またはこれらの誘導体であってもよい。
【0010】
糖は、分子中に第一級炭素原子および第二級炭素原子に結合したヒドロキシ基を有しており、糖誘導体の多くは、該ヒドロキシ基の反応性を利用して糖を化学的に変成したものである。以下、特に断らない限り、糖およびその誘導体を総称して「糖」という。
【0011】
一方、顔料もまた分子中に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシラト基、スルホナト基、アミノ基、イミノ基、あるいはエステル結合などの官能基または反応活性点を有している。
したがって、顔料が有する官能基(以下、「官能基(A)」という。)と、糖が有する官能基(以下、「官能基(B)」という。)の反応性を利用して、顔料粒子表面に糖残基を化学結合によって固定することができる。この場合、必ずしも官能基(A)と官能基(B)とが直接反応して顔料粒子表面に糖が固定されている必要はない。一分子中に官能基(A)との反応活性を有する官能基と、官能基(B)との反応活性を有する官能基とを有する化合物を介して、顔料粒子表面と糖残基が連結されていてもよい。
【0012】
顔料粒子表面に糖残基を化学結合によって固定する方法としては、たとえば、以下の方法がある。
(1)官能基(A)に官能基(B)を直接反応させる方法。
(2)官能基(A)に、一分子中に官能基(A)との反応活性を有する官能基(以下、「官能基(a)」という。)と官能基(B)との反応活性を有する官能基(以下、「官能基(b)」という。)とを有する化合物(以下、「連結化合物」という。)の官能基(a)を反応させ、さらに該連結化合物の官能基(b)に官能基(B)を反応させる方法。
(3)官能基(B)に前記連結化合物の官能基(b)を反応させ、さらに該連結化合物の官能基(a)を官能基(A)に反応させる方法。
【0013】
ここで、官能基(A)、官能基(B)、官能基(a)、および官能基(b)それぞれについては特に限定はない。しかし、官能基(a)と官能基(b)は、該両官能基同士が反応せず、連結化合物が自己重縮合または自己重付加しないものでなければならない。また、官能基(A)が二種類以上の官能基からなる場合、たとえば、顔料が官能基としてヒドロキシ基とカルボキシ基を有する場合、官能基(a)は官能基(A)の少なくとも一種類の官能基との反応活性を有していればよい。
【0014】
一般に、顔料には化学的安定性が要求されるので、顔料自身が活性の高い官能基を有する例はまれであり、糖が有する官能基との反応活性はそれほど高くはない。また、糖が有する官能基(B)と直接反応する官能基(A)を有する顔料は、きわめて限定されたものとなってしまうことから、本発明においては、上記方法のうち(2)または(3)の方法によって顔料粒子表面に糖残基を固定するのが好ましい。(2)または(3)の方法であれば、連結化合物が有する官能基(a)または官能基(b)として、官能基(A)または官能基(B)との反応活性の高い官能基を任意に選択することができ、使用できる顔料の種類が多くなる。
【0015】
ただし、連結化合物の官能基(a)および官能基(b)がともに官能基(B)との反応活性を有する場合は、糖と連結化合物とが重縮合または重付加して高分子量化することがあるので、(2)の方法を採用するのが好ましい。
より具体的には、顔料が有する官能基(A)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、またはイミノ基など、活性水素を有する官能基である場合、連結化合物の官能基(a)としては、たとえば、ハロホルミル基、イソシアナト基、またはエポキシ基など、官能基(A)との反応活性の高い官能基を任意に選択することができる。
【0016】
一方、糖が有するヒドロキシ基やカルボキシ基などの官能基(B)に対して高い反応活性を有する、連結化合物の官能基(b)としては、上記官能基(a)の場合と同様に、たとえば、ハロホルミル基、イソシアナト基、またはエポキシ基などが挙げられる。
上記(2)または(3)の方法によって、顔料粒子表面に、糖残基を有する重合体分子鎖をグラフトすることもできる。この場合、糖残基は重合体の分子鎖に直接結合していても、側鎖に結合していてもよい。
以下、顔料粒子表面に重合体分子鎖がグラフトした顔料を「グラフト顔料」という。
【0017】
本発明においては、官能基(b)として重合性官能基を有する連結化合物の官能基(a)を、あらかじめ顔料粒子表面の官能基(A)と反応させて顔料粒子表面に重合性官能基を導入しておき、次いで該重合性官能基に、官能基(B)として重合性官能基を有する糖誘導体をグラフト重合させることによって、顔料粒子表面に、側鎖に糖残基を有する重合体分子鎖がグラフトしたグラフト顔料が得られる。
【0018】
また、あらかじめ官能基(b)として前記重合性官能基を有する連結化合物と、前記重合性官能基を有する糖誘導体とを共重合させて、糖残基と官能基(a)を有する共重合体を合成しておき、該官能基(a)を顔料粒子表面の官能基(A)と反応させることによっても、上記グラフト顔料が得られる。グラフト重合の重合方式には特に限定はなく、ビニル重合、開環重合、重縮合、あるいは重付加などいずれであってもよい。また、グラフトされた重合体分子鎖は、重合性官能基を有する糖誘導体の単量体単位のみからなるホモ重合体分子鎖であっても、他の単量体単位を含有するヘテロ重合体分子鎖であってもよい。
【0019】
顔料がカーボンブラックである場合には、必ずしも連結化合物を使用する必要はなく、カーボンブラック粒子表面の官能基を重合開始点として、糖残基を有するビニル単量体を直接グラフト重合するか、あるいは糖残基を有するラジカルを直接カーボンブラック表面に反応させることができる。カーボンブラック粒子表面へのビニル単量体のグラフト重合については、特開平5−230410号公報、特開平5−339516号公報、特開平6−25572号公報、または特開平11−279468号公報等に記載されている。
【0020】
本発明において使用する顔料は、前述のように、化学構造中に官能基(A)を有する顔料である。官能基(A)がヒドロキシ基である顔料としては、たとえば、CIピグメントイエロー148、CIピグメントイエロー150、CIピグメントレッド90:1、CIピグメントレッド172、CIピグメントレッド174、CIピグメントバイオレット5、CIピグメントバイオレット5:1、などを挙げることができる。
【0021】
官能基(A)がカルボキシ基またはカルボキシラト基である顔料としては、たとえば、CIピグメントイエロー151、CIピグメントバイオレット1などを挙げることができる。
【0022】
官能基(A)がアミノ基またはイミノ基である顔料としては、たとえば、CIピグメントイエロー1、CIピグメントイエロー2、CIピグメントイエロー3、CIピグメントイエロー4、CIピグメントイエロー5、CIピグメントイエロー6、CIピグメントイエロー9、CIピグメントイエロー10、CIピグメントイエロー12、CIピグメントイエロー13、CIピグメントイエロー14、CIピグメントイエロー16、CIピグメントイエロー17、CIピグメントイエロー55、CIピグメントイエロー61、CIピグメントイエロー62、CIピグメントイエロー62:1、CIピグメントイエロー63、CIピグメントイエロー65、CIピグメントイエロー73、CIピグメントイエロー74、CIピグメントイエロー75、CIピグメントイエロー81、CIピグメントイエロー83、CIピグメントイエロー87、CIピグメントイエロー93、CIピグメントイエロー94、CIピグメントイエロー95、CIピグメントイエロー97、CIピグメントイエロー100、CIピグメントイエロー104、CIピグメントイエロー105、CIピグメントイエロー111、CIピグメントイエロー116、CIピグメントイエロー120、CIピグメントイエロー126、CIピグメントイエロー128、CIピグメントイエロー138、CIピグメントイエロー152、CIピグメントイエロー154、CIピグメントイエロー155、CIピグメントイエロー166、CIピグメントイエロー167、CIピグメントイエロー168、CIピグメントイエロー169、CIピグメントイエロー170、CIピグメントイエロー172、CIピグメントイエロー173、CIピグメントイエロー174、CIピグメントイエロー175、CIピグメントイエロー176、CIピグメントイエロー180、CIピグメントイエロー181、CIピグメントイエロー182、CIピグメントイエロー183、CIピグメントイエロー185、CIピグメントイエロー188、CIピグメントイエロー194、CIピグメントイエロー203、CIピグメントオレンジ1、CIピグメントオレンジ2、CIピグメントオレンジ5、CIピグメントオレンジ13、CIピグメントオレンジ16、CIピグメントオレンジ17、CIピグメントオレンジ19、CIピグメントオレンジ22、CIピグメントオレンジ48、CIピグメントオレンジ61、CIピグメントレッド81:1、CIピグメントレッド81:2、CIピグメントレッド81:3、CIピグメントレッド81:4、CIピグメントレッド122、CIピグメントレッド、CIピグメントレッド169、CIピグメントレッド177、CIピグメントレッド202、CIピグメントレッド206、CIピグメントレッド207、CIピグメントレッド209、CIピグメントレッド251、CIピグメントレッド257、CIピグメントレッド260、CIピグメントバイオレット19、CIピグメントブルー56、CIピグメントブルー60、CIピグメントブルー61、CIピグメントブルー62、CIピグメントブルー63、CIピグメントブルー66、CIピグメントブラウン22、CIピグメントブラック1などを挙げることができる。
【0023】
連結化合物が有する官能基(a)は、前記官能基(A)に対して反応活性を有する官能基であれば特に限定されない。具体的には、官能基(A)がヒドロキシ基である場合、これに対して反応活性を有する官能基としては、ハロホルミル基、酸無水物構造、またはイソシアナト基などが挙げられる。
【0024】
官能基(A)がカルボキシ基である場合、これに対して反応活性を有する官能基としては、エポキシ基、ヒドロキシ基、オキサゾリン構造、またはアミノ基などが挙げられる。
【0025】
官能基(A)がアミノ基またはイミノ基である場合、これに対して反応活性を有する官能基としては、ハロホルミル基、酸無水物構造、またはイソシアナト基などが挙げられる。
【0026】
連結化合物が有する官能基(b)についても、上記官能基(a)の場合と同様に、官能基(B)に対して反応活性を有する官能基を選択すればよい。たとえば、官能基(B)がヒドロキシ基である場合には、ハロホルミル基、酸無水物構造、またはイソシアナト基などが挙げられる。
前述したように、連結化合物の官能基(a)と官能基(b)は、該両官能基同士が反応せず、連結化合物が自己重縮合または自己重付加しない組み合わせとなるように適宜選択すればよい。
【0027】
上記のように、官能基(a)と官能基(b)の組み合わせは、顔料が有する官能基(A)と糖が有する官能基(B)の種類によって任意に選択し得るが、官能基(A)と官能基(B)がともに活性水素を有する官能基である場合の連結化合物の具体例としては、たとえば、多価カルボン酸、多価カルボン酸の低級アルコールエステル、多価カルボン酸の酸ハロゲン化物、多価カルボン酸無水物、ポリイソシアナト化合物、多価アルコール、あるいは多価エポキシ化合物などが挙げられる。これら連結化合物の骨格は、いずれもどのような構造であってもよい。官能基として一つの酸無水物構造のみを有するジカルボン酸無水物においては、官能基(a)と官能基(b)とを区別することはできないが、両者がともにカルボキシ基であるジカルボン酸と実質的に同一である。
【0028】
以下に、顔料粒子表面に化学結合によって糖残基を固定する方法について、官能基(A)として活性水素を有する顔料およびカーボンブラックを例として説明する。
分子内に活性水素をもつ代表的な顔料の一つにキナクリドン系顔料がある。キナクリドン系顔料は、その構造中に二つのイミノ基を有する。この場合、イミノ基に対して高い反応活性を有する連結化合物としては、たとえば、マロン酸ハライド、コハク酸ハライド、グルタル酸ハライド、アジピン酸ハライド、セバシン酸ハライド、マレイン酸ハライド、フマル酸ハライド、あるいはフタル酸ハライドなどジカルボン酸の酸ハロゲン化物、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアナト化合物、ピロメリット酸無水物、ブタンテトラカルボン酸無水物など二つの酸無水物構造を有する酸無水物等を挙げることができる。
【0029】
キナクリドン系顔料が有するイミノ基と上記連結化合物との反応は、公知の方法に準じて行えばよい。一般的な方法としては、まず、顔料を連結化合物に対して不活性な溶媒に分散させた後、連結化合物を加えて加熱撹拌する。溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、ジオキサン、トルエン、ジメチルホルムアミドなど公知慣用の溶媒を使用することができる。連結化合物が酸ハロゲン化物であるときは、ピリジン、あるいはN,N−ジメチルアニリンなどのハロゲン化水素スカベンジャーを添加するのが好ましい。また、連結化合物がジイソシアナト化合物である場合は、必要に応じて公知慣用の有機スズ触媒を添加してもよい。
【0030】
顔料粒子表面への連結化合物の導入量は、上記反応における顔料と連結化合物の仕込み比を適宜調整することによって、最終的な用途に応じた最適の導入量となるようにすればよい。
反応終了後、顔料を分離することなく、反応混合物に糖を加えて加熱撹拌することによって、粒子表面に糖残基が化学結合によって固定された顔料が得られるが、顔料と連結化合物の反応終了後に一旦顔料を濾別し、反応に使用した溶媒と同じ溶媒で洗浄することによって未反応の連結化合物を除去した後に、糖との反応を行うこともできる。
【0031】
上記反応において、キナクリドン系顔料の官能基(A)に、官能基(a)としてハロホルミル基、イソシアナト基、または酸無水物構造を有し、官能基(b)として重合性官能基を有する連結化合物を反応させた後に、該重合性官能基に、官能基(B)として重合性官能基を導入した糖をグラフト重合させることができる。
【0032】
このような連結化合物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸の酸塩化物、(メタ)アクリル酸の酸臭化物、クロロホルミルペンタノイルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸無水物、ビニルイソシアネート、2−イソシアナトプロペン、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、ポリイソシアナト化合物が有するイソシアナト基の一部に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたものなどが挙げられる。
【0033】
一方、官能基Bとして重合性官能基を有する糖は、たとえば、糖が有するヒドロキシ基に、上記連結化合物を反応させることによって得られる。
同様のグラフト顔料は、上記グラフト重合のほかに、あらかじめ、上記重合性官能基を有する糖と、重合性官能基を有する連結化合物を共重合させた後に、該連結化合物残基が有する官能基(a)を、顔料粒子表面の官能基(A)に反応させても得られる。
【0034】
上記いずれの重合においても、重合性官能基を有する連結化合物および重合性官能基を有する糖に加えて、これらと共重合性可能な単量体を共重合させてもよい。このような単量体のうち、ラジカル重合性単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。必要に応じて、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能単量体を使用してもよい。
【0035】
上記重合性官能基は、必ずしもラジカル重合性の官能基である必要はない。たとえば、重合性官能基がエポキシ基である場合には、カチオン重合によってグラフト顔料が得られる。また、重合性官能基が酸ハライドやイソシアナト基の場合には、重縮合や重付加によってもグラフト顔料が得られる。
【0036】
顔料がカーボンブラックである場合には、必ずしも連結化合物を必要としない。カーボンブラックは、その粒子表面にキノン構造やヒドロキノン構造を有しており、各種のラジカルと反応する。この化学的性質を利用して、従来、カーボンブラック粒子表面に直接グラフトさせたグラフトカーボンブラックが塗料やインキに使用されている。
【0037】
本発明においても、従来のグラフトカーボンブラックの製造方法に準じて、粒子表面に糖残基を化学的に固定したカーボンブラックを製造することができる。代表的な製造方法としては、下記の方法がある。
(1)カーボンブラックの存在下に、ラジカル重合性官能基を有する糖を単独で、あるいは他のラジカル重合可能な単量体とともにラジカル重合させ、末端にフリーラジカルを有する重合体分子鎖をカーボンブラック表面に反応させる方法。(2)カーボンブラックの存在下に、糖のグルコース環をセリウム(IV)イオンで酸化してラジカルを生成させ、カーボンブラック表面に反応させる方法。
(3)ラジカル重合性官能基を有する糖を単独で、あるいは他のラジカル重合可能な単量体とともにリビングラジカル重合させ、得られたリビングポリマーのラジカルをカーボンブラック表面に反応させる方法。
【0038】
上記(1)の方法においては、ラジカル重合の重合開始反応過程でカーボンブラックが存在すると、ラジカル重合開始剤が分解して生成したラジカルがカーボンブラック粒子表面のキノン構造やヒドロキノン構造に捕獲されて重合の開始が阻害される。それと同時に、カーボンブラック粒子表面のフリーラジカル捕獲活性点が消費されて、末端にフリーラジカルを有する重合体分子鎖の導入が阻害されるので、カーボンブラックは、重合における成長反応過程で反応系に投入するのが好ましい。
【0039】
上記(2)の方法においては、糖残基が直接カーボンブラック粒子表面に結合することとなる。
上記(3)の方法においては、クレイグ・J・ホウカー(Craig J. Hawker)、外2名,「ケミカル・レビュー(Chemical Review)」,2001年,第101巻,p.3661−3688に記載された、ニトロキシド化合物存在下、通常のラジカル重合開始剤を使用してビニル系単量体をラジカル重合させて得られる、重合体分子鎖末端のラジカルをニトロキシドラジカルでブロックしたリビングポリマーを使用することができる。
【0040】
また、安藤 剛、外2名,「高分子論文集」,2002年4月,第59巻,第4号,p.199−211に記載された開始剤である有機ハロゲン化合物を、遷移金属錯体触媒と組み合わせることによってビニル系単量体をリビングラジカル重合して得られるリビングポリマーを使用することもできる。
【0041】
上記リビングポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)で測定した質量平均分子量(以下、Mwと略す。)は、2000〜50000が望ましく、より好ましいのは3000〜20000である。Mwが2000未満の場合には、かさ高さが十分でないので、得られた顔料を溶媒中に分散させるときに十分な分散性が得られない。Mwが50000を超える場合には、系の粘度が高くなりすぎ、重合体分子鎖末端のラジカルのカーボンブラック粒子表面への拡散が妨げられる結果、グラフト化率が低下する。
【0042】
前記、連結化合物を使用して顔料粒子表面に糖残基を化学結合によって固定する方法、顔料粒子表面に直接糖を化学結合させる方法、または顔料粒子表面に糖残基を有する重合体差をグラフトさせる方法において、顔料粒子表面に導入する糖残基量の最適値は、使用する顔料の種類や粒子径、連結化合物や糖の化学構造や分子量、顔料粒子表面にグラフトさせる重合体分子鎖の組成と重合度、あるいは得られた顔料の用途などによってそれぞれ異なるので、一概に数値で限定するのは困難であるが、糖残基導入後の顔料の質量を、糖残基導入前の顔料の質量で除した値を、1.05〜2の範囲とするのが好ましく、さらに好ましくは1.1〜1.7の範囲である。この値が1.05未満の場合は、糖残基を導入した効果が十分ではなく、2を超えると顔料同士が凝集する傾向がみられ、顔料の色相が変化することがある。
【0043】
上記方法によって得られた、粒子表面に糖残基が化学結合によって固定された顔料は、反応終了後、水や有機溶媒で洗浄あるいはソックスレー抽出することによって、未反応の連結化合物、糖、または糖残基を有する重合体を除去することができる。
【0044】
本発明の、粒子表面に化学結合によって固定された糖残基を有する顔料を用いたインクジェット用インキは、たとえば、水や水溶性有機溶剤の存在下、酸性基を有する樹脂を中和して水溶性樹脂溶液を調製し、該顔料やその他の溶剤を添加、混練して顔料分散体とした後、水や有機溶剤を加えて希釈する方法、あるいは、該顔料と、酸性基を中和した樹脂とを、有機溶剤や水の存在下に混練した後、酸析して洗浄し、次いでアルカリ性水溶液に溶解または分散させ、各種添加剤を加えるる方法など、特開平11−152424号公報等に記載された公知の方法を用いて製造することが出来る。
【0045】
本発明の顔料は、粒子表面に糖残基が化学結合によって固定されているので、水性媒体に対して優れた分散性を示す。該顔料を使用した顔料分散組成物は顔料の分散安定性に優れており、水性塗料や水性インキに好適に使用することができる。特に該顔料組成物を使用したインクジェット用水性インキは、顔料の粒子表面に化学結合によって固定された糖残基が、紙のセルロース繊維に対してきわめて高い親和性を有することから、浸透性の高い紙に印字された場合であっても、顔料がセルロース繊維の間に沈み込むことがなく、高い画像濃度を示す。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明する。なお、特に断りがない限り、「部」および「%」は質量基準とする。
【0047】
<合成例1>
反応容器に、信越化学工業(株)製セルロース誘導体「メトローズSEB−04T」70部、パラメトキシフェノール0.7部、およびメチルエチルケトン(以下、MEKと略す。)100部を仕込み、80℃に加熱した。これに、窒素気流中、撹拌しながら、昭和電工(株)製メタクリロイルオキシエチルイソシアネート50部をMEK50部に溶解した溶液を滴下した。反応混合物を、同温度で10時間撹拌した。その後MEKの一部を減圧下で留去し、メタクリロイル基を有するセルロース誘導体(以下、単量体(1)と略す。)の50%MEK溶液を得た。
【0048】
<合成例2>
MEK100部を窒素気流中で還流させ、これに、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、スチレン57部、ブチルアクリレート10部、前記単量体(1)の50%MEK溶液20部、和光純薬工業(株)製ラジカル重合開始剤「V−59」(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))5部を混合して滴下した。その後、「V−59」0.5部を8時間ごとに5回添加し、反応終了後MEKを追加して、糖残基を有する重合体(以下、重合体(1)と略す。)の50%MEK溶液を得た。GPCで測定した重合体(1)のMwは12000であった。
【0049】
上記重合体(1)の合成方法に準じて、表1に記載した配合で、重合体(2)〜重合体(4)を得た。
【0050】
【表1】
Figure 2004083743
【0051】
表1中、数値の単位は、Mwを除いてすべて「部」である。略号は下記の単量体、重合開始剤、または添加剤を意味する。
AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、St:スチレン、BA:アクリル酸ブチル、tBA:アクリル酸−tert−ブチル、tBMA:メタクリル酸−tert−ブチル、単量体(1):<合成例1>で得られた単量体(1)の50%MEK溶液、V−59:<合成例2>に記載の通り、VA−61:和光純薬工業(株)製ラジカル重合開始剤「2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)」、TEMPO:アルドリッチ社製「2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ」。
【0052】
なお、ラジカル重合開始剤は全て、重合開始時に5部加えた後、0.5部ずつ5回に分けて加えた。重合体(2)における添加剤(TEMPO)は重合開始時に5部全量を加えた。
【0053】
重合体(2)は、重合体分子鎖末端のラジカルがTEMPOによってブロックされたリビングポリマーであり、加熱することによってブロックがはずれて活性なラジカルが生成する。ただし、重合体(2)すべてがリビングポリマーからなるわけではなく、重合反応過程における停止反応によって失活した重合体を含有している。
【0054】
重合体(3)は、少なくとも重合体分子鎖の片末端に、イミノ基を有する重合開始剤〔上記「VA−61」:2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)〕残基を有する。すなわち、重合体(3)はその重合体分子鎖の少なくとも片末端に、イソシアナト基に活性を示すイミノ基を有している。
【0055】
<調製例1>
重合体(1)の50%MEK溶液20部に、撹拌しながら1N水酸化カリウム水溶液24部を加えた後、MEKを減圧で留去し、蒸留水を加えて重合体(1)の20%水分散液を調製した。
【0056】
<調製例2>
重合体(4)の50%MEK溶液20部に、攪拌しながら1N水酸化ナトリウム水溶液26部をゆっくり加えて樹脂溶液を水系に転相させた。次いで減圧下にMEKを留去し、重合体(4)の水系分散液を得た。これに蒸留水を加えて、重合体(4)の20%水分散液を調製した。
<調製例1>と<調製例2>で調製した、重合体(1)の20%水分散液および重合体(4)の20%水分散液を、以下の実施例および比較例に使用した。
【0057】
<実施例1>
三菱化学(株)製カーボンブラック「#45L」10部、信越化学工業(株)製セルロース誘導体「メトローズSEB−04T」5部、および水30部を混合し、これに硝酸セリウム(IV)アンモニウムの0.4モル/リットル硝酸溶液を10部加え、25℃で8時間攪拌した。得られたグラフトカーボンブラックを濾別した後、水で5回洗浄し、乾燥させた。収量は12.5部であった。
【0058】
上記グラフトカーボンブラック10部、重合体(4)の20%水分散液15部、ジエチレングリコール20部、水20部、および東レ(株)社製0.5mmジルコニアビーズ「トレセラム」160部の混合物をペイントコンディショナーで3時間分散撹拌処理し、固形分含有率が20%の顔料分散組成物(1)を調製した。
【0059】
上記顔料分散組成物(1)10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「TGMBE」と略記する。)2.78部、グリセリン4.17部、エアプロダクツジャパン(株)製界面活性剤「SF465」0.28部、および水10.55部を混合してインクジェット用水性インキ(1)を調製した。
【0060】
<実施例2>
大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料CIピグメントレッド202「FASTGEN SUPER MAGENTA RTS」10部、トリレンジイソシアネート3部、およびMEK20部を混合し、7時間還流させた後、信越化学工業(株)製セルロース誘導体「メトローズSEB−04T」5部を加えて、さらに4時間還流させた。得られた、粒子表面に糖残基が化学結合によって固定された顔料を濾別した後、MEKで5回洗浄し、乾燥させた。収量は11.6部であった。
【0061】
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、上記粒子表面に糖残基が化学結合によって固定された顔料10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(2)を調製した。
【0062】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(2)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(2)を調製した。
【0063】
<実施例3>
三菱化学(株)製カーボンブラック「#45L」10部、重合体(2)の50%MEK溶液6部、およびMEK40部を混合し、加圧下120℃に加熱して10時間反応させた。これに、約1Nの塩酸を10部加え、室温で12時間攪拌することによって、重合体(2)のアクリル酸−tert−ブチル単位およびメタクリル酸−tert−ブチル単位を加水分解させて、それぞれアクリル酸単位およびメタクリル酸単位とした。次いで、水酸化ナトリウムの1N水溶液15部を加えた後、減圧下にMEKを留去し、得られたグラフトカーボンブラックを分散させ、濾別後水洗し、乾燥させた。得られたグラフトカーボンブラックの収量は12.7部であった。
【0064】
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、上記グラフトカーボンブラック10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(3)を調製した。
【0065】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(3)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(3)を調製した。
【0066】
<実施例4>
大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料CIピグメントレッド202「FASTGEN SUPER MAGENTA RTS」10部、トリレンジイソシアネート3部、およびMEK20部を混合し、7時間還流させた後、重合体(3)の50%MEK溶液5部を加えて、室温でさらに4時間撹拌し、重合体(3)の重合体分子鎖末端のイミノ基と、トリレンジイソシアネートの未反応のイソシアナト基とを反応させた。得られたグラフト顔料を濾別した後、MEKで5回洗浄し、乾燥させた。収量は11.6部であった。
【0067】
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、上記グラフト顔料10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(4)を調製した。
【0068】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(4)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(4)を調製した。
【0069】
<実施例5>
三菱化学(株)製カーボンブラック「#45L」10部、重合体(1)の20%水分散液10部、および水30部を混合し、これに硝酸セリウム(IV)アンモニウムの0.4mol/l硝酸溶液を5部加えた。25℃で8時間攪拌した後、得られたグラフトカーボンブラックを濾別後、水で5回洗浄し、乾燥させた。収量は12.5部であった。
【0070】
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、上記グラフトカーボンブラック10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(5)を調製した。
【0071】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(5)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(5)を調製した。
【0072】
<実施例6>
大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料CIピグメントレッド202「FASTGEN SUPER MAGENTA RTS」10部、トリレンジイソシアネート3部、およびMEK20部を混合し、7時間還流させた後、重合体(3)の50%MEK溶液5部を加えて、室温でさらに4時間反応させた。得られたグラフト顔料を濾過後、MEKで5回洗浄し、乾燥させた。収量は11.6部であった。
【0073】
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、上記グラフト顔料10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(6)を調製した。
【0074】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(6)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(6)を調製した。
【0075】
<比較例1>
三菱化学(株)製カーボンブラック「#45L」10部、重合体(4)の20%水溶液15部、ジエチレングリコール20部、水20部、および東レ(株)社製0.5mmジルコニアビーズ「トレセラム」160部の混合物をペイントコンディショナーで3時間分散撹拌処理し、固形分含有率が20%の顔料分散組成物(H1)を調製した。
【0076】
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(H1)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(H1)を調製した。
【0077】
<比較例2>
実施例1におけるグラフトカーボンブラック10部の代わりに、大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料CIピグメントレッド202「FASTGEN SUPER MAGENTA RTS」10部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分含有率が20%の顔料分散組成物(H2)を調製した。
実施例1における顔料分散組成物(1)10部の代わりに、顔料分散組成物(H2)10部を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用水性インキ(H2)を調製した。
【0078】
<顔料分散安定性試験>
実施例1〜6および比較例1〜2で得られた、顔料分散組成物およびインクジェット用水性インキのそれぞれについて、下記の方法で顔料の分散安定性を試験した。
【0079】
顔料分散組成物またはインクジェット用水性インキの試料25mlを半径25.5mm、深さ94.3mmの島津製作所(株)製ポリプロピレン共重合体製遠心沈降管「ナルゲン梨型捻蓋付沈殿管3119」に入れ、使用している顔料がカーボンブラックである場合には波長500nmにおける吸光度を、CIピグメントレッド202「FASTGEN SUPER MAGENTA RTS」である場合には波長560nmにおける吸光度をそれぞれ測定した後、15000rpmで20分間遠心分離処理し、上澄みについて前記と同様に吸光度を測定した。各試料の遠心分離処理前後の吸光度の変化率が20%未満のものを○、20%以上50%未満のものを△、50%以上のものを×と評価し、結果を表2に示した。
なお、吸光度の測定には、島津製作所(株)製紫外可視分光光度計「UV−3150」を使用した。
【0080】
【表2】
Figure 2004083743
【0081】
表2中、「組成物」は「顔料分散組成物」を示し、「インキ」は「インクジェット用水性インキ」を示す。
【0082】
<インクジェット用水性インキの印字試験>
実施例1〜6および比較例1〜2で得られたそれぞれのインクジェット用水性インキを、エンキャド(ENCAD)社製インクジェットプリンター「NOVAJET700」を使用して上質紙にベタ画像を印字し、画像濃度(光学濃度)をマクベス社製反射濃度計「RD918」を使用して測定した。画像濃度が1.7以上を5、1.4以上1.7未満を4、1.1以上1.4未満を3、0.9以上1.1未満を2、0.9未満を1と評価し、表3に示した。
【0083】
【表3】
Figure 2004083743
【0084】
表2および表3の結果から、本発明の顔料を使用した顔料分散組成物およびインクジェット用水性インキは、いずれも優れた顔料分散安定性を有し、本発明の顔料分散組成物を使用したインクジェット用水性インキは、浸透性の高い上質紙に印字した場合であっても、高い画像濃度を示すことがわかる。
【0085】
【発明の効果】
本発明の顔料は、粒子表面に化学結合によって固定された糖残基を有するので、
顔料粒子表面の親水性が向上し、水性媒体に対して高い分散性を有する。該顔料を使用した顔料分散組成物およびインクジェット用水性インキは、優れた顔料分散安定性を示す。
また、本発明のインクジェット用水性インキは、上質紙などの浸透性の高い媒体に印字した場合であっても、顔料表面にセルロースに対して親和性の高い糖残基が結合しているため、顔料が紙の繊維の間に沈み込むことがなく、その結果高い画像濃度が得られる。

Claims (4)

  1. 顔料粒子表面に化学結合によって固定された糖残基を有することを特徴とする顔料。
  2. 前記糖残基が、顔料粒子表面にグラフトした重合体分子鎖またはその側鎖に化学結合している請求項1に記載の顔料。
  3. 請求項1に記載の顔料を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
  4. 請求項3に記載の顔料組成物を含有することを特徴とするインクジェット用水性インキ。
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