JP2004083482A - Method for effectively utilizing lignocellulose - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリグノセルロースを分解して有用化学原料であるレブリン酸若しくはレブリン酸エステル及びポリオール化合物を製造するリグノセルロースの有効利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材、樹皮、古紙等の木質系物質や、稲わら、もみ、バガス等の農産物及びそれらの廃棄物等の主としてリグノセルロースで構成される植物系の資源(リグノセルロースと総称される)の有効利用法の開発が期待されている。近年特に廃棄物のリサイクル推進の観点から、建築廃材や古紙等のリグノセルロースの有効利用法の開発が急がれている。その一つとして、それらリグノセルロースを有機溶媒中で分解処理し、有効利用する試みがある。リグノセルロースを有機溶媒中で処理すると、使用した有機溶媒はリグノセルロースと結合しながらそれを分解してゆくので、この分解反応を加溶媒分解と称している。
【0003】
リグノセルロースの加溶媒分解は、主として木材のパルプ化技術に用いられている。パルプ化は木材等のリグノセルロースよりリグニンを分離し、製紙原料であるセルロースを得る技術である。この際、リグニンを分解及び溶出する工程に加溶媒分解反応が用いられる。これらのパルプ化技術は、オルガノソルブパルプ化、ソルベントパルプ化、もしくはソルボリシスパルプ化と呼ばれている。この種の加溶媒分解反応を用いたパルプ化の歴史は古く、1930年代にアルコール系のパルプ化が検討されていることを始め、種々の検討がなされてきた(米国特許3585104号明細書、米国特許4100016号明細書等)。佐野らは高沸点有機溶剤の水性溶媒を用いて処理し、パルプを得る技術を開発している(特開2001−89986号公報)。これらの既存の技術に見られるようなパルプ化におけるリグノセルロースの加溶媒分解は、リグニンを効率的に加溶媒分解して分離し、セルロースは分解せずにパルプとして取得する技術であり、セルロースまでも加溶媒分解し、最終的にレブリン酸を製造するものではない。
【0004】
レブリン酸はグルコース等の6単糖類を酸性下で分解することにより得られる有機化合物である。古くはTollensらが1875年に糖類が酸分解によりレブリン酸を生成することを報告している。レブリン酸はグルコース骨格の連なった高分子であるセルロースやスターチを酸加水分解し、グルコースを経て更に酸性下で加熱分解することにより製造可能である。これら糖類の酸加水分解に関するレブリン酸製造法は、昭和24年の清水らの蔗糖を原料としたレブリン酸の製造の報告にもみられる(清水ら、農芸化学誌、第23号)。最近では、Fitzpatrickがリグノセルロース等の糖類含有物質から高収率でレブリン酸を製造する装置を開発している(米国特許第5608105号明細書)。しかし、これらの酸加水分解処理を用いてレブリン酸を得る技術においては、木材等のリグノセルロースを原料として用いた場合に副産するリグニンは、化成品として利用し難い性状を有しており、利用が困難であるため焼却して熱源とする以外の利用報告はない。
【0005】
糖類以外を原料とするレブリン酸合成手法もあり、例えばファルンライトナーらはアセチルコハク酸エステルを水性鉱酸でけん化することにより貯蔵安定性のあるレブリン酸を製造している(日本特許第2844382号公報)。しかしながら産業的には生物資源としての量が多大なリグノセルロースを原料とした方が経済的に有利と考えられている。
【0006】
レブリン酸は様々な化合物へ変換可能な有用化学原料である。Leonardはレブリン酸が化学原料として、種々の化合物に変換できることを報告している(Industrial and Engineering Chemistry, Vol 48, No 8, 1330−1341, 1956)。最近では、米国エネルギー省の国立再生産可能エネルギー研究所のBozellらがリグノセルロース系資源の有効利用法の観点から取り組んだレブリン酸の有用化学原料としての利用報告がある。このように、レブリン酸利用の化学は注目されている(Resources, Conservation and Recycling, 28, 227−239, 2000)。レブリン酸を原料として誘導することができるアミノレブリン酸に関しては多くの報告なされている(日本特許第3124692号公報、日本特許第2994949号公報等)。5−アミノレブリン酸は生物活性のある薬剤として除草剤の成分に利用する報告がある(日本特許第2623312号公報)。以上、レブリン酸の利用法に関する報告はあるが、加溶媒分解反応を用いてレブリン酸を製造し、同時にリグニンを有用化学原料として利用する報告はみられない。
【0007】
環状カーボネート類を木質系物質に作用させる報告に、当発明者らの出願した公開特許がある(特開平11−80367号公報)。ここでは環状炭酸類(環状カーボネートに相当する)を用いてリグノセルロースを処理し、樹脂原料組成物を得る技術を記載している。また、日本特許3012296号公報にはリグノセルロースへ多価アルコール類を作用させることにより液状溶液とし、樹脂原料を調製する技術が記載されている。しかしながらこれらの技術はリグノセルロース全体を液状化することを目的とし、生成物を樹脂原料として成型物や接着剤等の樹脂原料として応用するものであり、レブリン酸のような有用化合物の単離法に関するものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リグノセルロースを加溶媒分解してレブリン酸エステル及びレブリン酸を製造するとともに、化成品原料として応用可能な性質を有するポリオール化合物を製造し、リグノセルロースを有効利用する技術を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リグノセルロースを分解試薬を用いて加溶媒分解し、分解物を水で処理した後、水可溶部と水不溶部に分画し、水可溶部からレブリン酸エステル又はレブリン酸を分離するとともに、水不溶部からポリオール化合物を分離することを特徴とするリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、リグノセルロースを酸と分解試薬を用いて加溶媒分解する前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、加溶媒分解に用いる分解試薬が環状カーボネート類及びアルコール類から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、分解試薬の融点以上沸点以下の温度範囲で加熱することにより加溶媒分解する前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、アルコール類が沸点100〜400℃の二価アルコールである前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、環状カーボネート類がエチレンカーボネートである前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、水可溶部からレブリン酸を分離する際、分解試薬とレブリン酸をイオン交換樹脂を用いて分離する前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
本発明は、また、水可溶部中の分解試薬を回収し、再びリグノセルロースの加溶媒分解に用いる前記のリグノセルロースの有効利用方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のリグノセルロースの有効利用方法の製造工程を示す説明図である。
本発明においては、リグノセルロースよりレブリン酸を製造する手法として、加溶媒分解反応を用いる。加溶媒分解反応を通じて、リグノセルロース中のセルロースを始めとする糖成分はすみやかにレブリン酸エステルに変換される。加溶媒分解反応では、使用した分解試薬はリグノセルロースと結合しながら同時にそれを分解してゆくので、加溶媒分解物は分解試薬により大きく変性される。この変性がリグニン利用にとって大きな利点となる。すなわち、従来法の酸加水分解処理では高度に縮合し、活性の低いリグニンが産出されるのに対し、本発明における加溶媒分解反応ではリグニン中に分解試薬に由来するアルコール性水酸基が多数導入されるため、低縮合度でかつ活性の高いリグニンの生成がレブリン酸又はレブリン酸エステル取得と同時に達成される。アルコール性水酸基の導入はリグニン自体が高次に酸縮合し、低活性の物質になることを防ぎ、化成品原料として有用なポリオール化合物が得られる。従って本発明では加水分解系の技術で産出していたような利用の難しいリグニン由来残渣は産出されず、リグノセルロースを有効に利用することができる。更に、レブリン酸の分離精製工程得られた分解試薬は回収されて加溶媒分解反応に再利用することができる。
【0011】
本発明ではリグノセルロースの加溶媒分解に環状カーボネート類及びアルコール類から得らばれる少なくとも1種の化合物を分解試薬として用いることが好ましい。好ましくは酸と分解試薬を混合して用い、好ましくは、分解試薬の融点以上、沸点以下の温度下で加熱し、リグノセルロースを加溶媒分解する。その際、リグノセルロース中のセルロース成分が十分に分解し、レブリン酸エステルとなるまで反応を継続させることが望ましい。この段階でのセルロースの分解の度合いは、少なくとも水可溶なグリコシド類に分解されるまで十分に行う必要がある。分解試薬として環状カーボネート類を使用するとセルロースの分解とレブリン酸エステルの生成が促進される。レブリン酸は生成したレブリン酸エステルより遊離可能であるが、レブリン酸エステルの状態でも化学原料として取得することが可能である。加溶媒分解反応中に環状カーボネートの一部は脱炭酸して分解し、アルコール系物質となる。
【0012】
本発明においては、加溶媒分解処理で得られた加溶媒分解物を水で処理した後、水可溶部と水不溶部に分画する。
【0013】
リグニン成分は主として水不溶部に分画される。また、フラン骨格を経て自己縮合もしくは分解試薬と反応した糖由来の分解物も水不溶部に分画される。水不溶部は、分解試薬に由来する活性な水酸基を多数有しており、それを反応点とした樹脂の製造に応用可能なポリオール化合物が得られる。水不溶部はメタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン等の汎用有機溶媒に溶解する性質をもっている。触媒として添加した酸成分は水可溶部として流出しているため、ポリオール化合物を原料として樹脂化を行うに際して中和処理は必要とされない。
【0014】
水可溶部は、レブリン酸エステルが含有されており、水の沸点以下の温度内で加熱すると、レブリン酸エステルよりレブリン酸が遊離する。水可溶部は加溶媒分解処理時に添加した酸を含んでいるため、新たに酸触媒の添加は必要とされない。加溶媒分解処理で生成したレブリン酸エステルは分解試薬とレブリン酸がエステル結合した化合物であり、このエステル結合を水中で分解することによりレブリン酸を遊離することが可能となる。レブリン酸エステルを目的物質として取得する場合は、この処理を省略することができる。レブリン酸遊離後の水溶液は、エーテルやクロロホルム等の水不溶性の有機溶剤を用いて抽出する。この際、有機層にレブリン酸と分解試薬の一部が分画される。一方、水層には、加溶媒分解に用いた分解試薬の大部分と触媒として用いた酸が分画される。これらは回収して再びリグノセルロースの加溶媒分解に用いることができる。
レブリン酸を含有する有機層に水を加え、有機溶剤を減圧して除去するとレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液が得られる。
【0015】
このレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液をイオン交換樹脂を用いて処理し、分解試薬を分離回収すると同時にレブリン酸を精製する。イオン交換樹脂は塩基性を有する陰イオン交換樹脂が用いられる。精製工程は次のような順序で行われる。最初にレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液を陰イオン交換樹脂に接触せしめ、レブリン酸を吸着させる。続いて、蒸留水で樹脂を洗浄し、分解試薬を完全に洗い流す。なお、洗い流した分解試薬は回収し、再びリグノセルロースの加溶媒分解に用いることができる。次に、1規定塩酸のような酸水溶液を用いてレブリン酸を樹脂より遊離させ、酸水溶液として溶出させる。この際、酸水溶液のかわりに水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ水溶液を用いることもできる。レブリン酸は、溶出した水溶液を蒸留することにより取得するか、もしくは酢酸エチル等の有機溶剤を用いて水溶液より抽出される。
【0016】
本発明の出発原料物質であるリグノセルロースは限定されるものではないが、木粉、おが屑、木材チップ、樹皮、古紙等の木質系物質や、稲わら、バガス等の農産系物質、また糖類、穀類、スターチ等の植物系物質が用いられる。
【0017】
本発明の加溶媒分解に用いる分解試薬は環状カーボネート類としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどがあり、アルコール類としては、ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの脂肪族、芳香族の一価のアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族、芳香族の二価のアルコール類、グリセリン等の脂肪族、芳香族の三価のアルコール類、ペンタエリスリトールなどの四価のアルコール類などが用いられる。上記の分解試薬は単独あるいは混合して用いることができる。
環状カーボネート類としては、好ましくは、エチレンカーボネートが用いられ、アルコールとしては、好ましくは沸点100〜400℃の二価のアルコール、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が用いられる。
分解試薬はリグノセルロース100重量部に対して、好ましくは300〜3,000重量部使用する。
【0018】
本発明の加溶媒分解で触媒として用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などの鉱酸や、ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸のようなブレンステッド酸及び三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化第二スズのようなルイス酸あるいはそれらのエーテル、アルコール、フェノール錯体等が挙げられる。使用割合は分解試薬100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部使用する。
【0019】
本発明の加溶媒分解に用いる反応装置としては耐酸性の常圧用反応容器を用いることができる。加溶媒分解反応を均一にするため攪拌装置が付帯していることが望ましい。加溶媒分解はリグノセルロースがレブリン酸エステルに分解するまで好ましくは120〜180℃で、好ましくは10〜180分間行う。反応条件は分解試薬の組成に依存し、環状カーボネート類の使用量が多い場合、レブリン酸エステルの生成を促進するので反応条件は緩やかなものとすることができる。
【0020】
加溶媒分解後、水不溶部として分画されたポリオール化合物は、乾燥後、化成品原料として用いることができる。水不溶部にはアルコール性水酸基が多数導入されているため、イソシアネート類、エポキシ類との反応性を持ち、それらとの反応生成物は触媒または加熱により高分子樹脂物質となる性質を有しており、成型物、接着剤等の原料として利用することができる。このポリオール化合物の水酸基価は、好ましくは100〜1,000KOHmg/g、重量平均分子量は好ましくは1,000〜100,000である。
【0021】
レブリン酸遊離工程でのレブリン酸の遊離処理は耐酸性の常圧用反応容器を用いることができ、加溶媒分解に使用した反応容器をそのまま用いて差し支えない。レブリン酸の遊離処理は水の融点以上沸点以下の温度範囲内で行うが、反応容器の上部に冷却装置を取り付けて煮沸することが望ましい。温度は好ましくは80〜100℃、で好ましくは10〜120分間レブリン酸の遊離処理を行う。レブリン酸遊離後の水溶液は有機溶剤を用いて抽出する。抽出用の有機溶剤は、ジエチルエーテル、クロロホルム等の極性の低い水不溶性溶剤を用いることができる。
【0022】
分離精製工程で使用するイオン交換樹脂は塩基性を有する陰イオン交換樹脂であれば特に限定されないが、次のような製品があげられる。アンバーライト(ローム・アンド・ハース社製)のIRA−400、IRA−410、IRA−96SB等の陰イオン交換樹脂。ダイヤイオン(三菱化学株式会社製)のSAシリーズ、PAシリーズ、HPAシリーズ、WAシリーズ等のアニオン交換樹脂。デュオライト(ローム・アンド・ハース社製)の陰イオン交換樹脂シリーズ等が用いられる。
【0023】
遊離したレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液をイオン交換樹脂へ導入する方法は特に限定されるものではないが、イオン交換樹脂を充填したカラムにレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液を通過させる方法、また、レブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液にイオン交換樹脂を浸漬する方法等がとられる。レブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液をイオン交換樹脂へ導入することにより、遊離しているレブリン酸をイオン交換樹脂に吸着せしめる。イオン交換樹脂の汚れを予防するため、イオン交換樹脂に導入する前にレブリン酸と微量の分解試薬を含む水溶液を活性炭で処理し、極性の低い成分を除去することができる。
【0024】
吸着後のイオン交換樹脂は蒸留水を用いて洗浄する。洗浄液中には加溶媒分解に用いた分解試薬が流出しており、濃縮後、再びリグノセルロースの加溶媒分解試薬として利用することができる。次いでイオン交換樹脂を0.1〜5規定の塩酸等の酸溶液で洗浄し、イオン交換樹脂に吸着したレブリン酸を遊離する。この際に使用される酸は特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の鉱酸溶液が用いられる。
【0025】
イオン交換樹脂を洗浄した酸溶液から遊離したレブリン酸を抽出する際に用いる有機溶剤は酢酸エチル、クロロホルム、ジエチルエーテル等が用いられる。水層中に残った酸成分は回収し、イオン交換樹脂からレブリン酸を遊離する際に再び用いることができる。イオン交換樹脂は0.1〜1規定の水酸化ナトリウム溶液と接触させて再生し、再びレブリン酸精製工程に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
加溶媒分解反応装置として攪拌装置、冷却管、温度計の付いた300ml容量の3口フラスコを用いた。加溶媒分解試薬として炭酸エチレン40g、エチレングリコール10gを混合し、フラスコ中に充填した。触媒として濃硫酸1.5gをフラスコ中に導入し、攪拌して上記分解試薬と混合した。次に乾燥したスギ木粉10gを量り取り、定量的にフラスコ中に挿入した後、攪拌してよく混合した。加溶媒分解反応はフラスコをオイルバスに浸漬し、140℃で攪拌しながら30分間行った。反応後フラスコを水に浸漬することにより反応を停止した。
フラスコ中の生成物を蒸留水で洗い出し、定量的にグラスフィルター(アドバンテック社製、GA100)を備え付けたファンネル内に移し出し、水不溶部を濾過した。水不溶部は乾燥後秤量し、4.87gの水不溶部を得た。水不溶部は水酸基価310KOHmg/g、重量平均分子量21,000のポリオール化合物であり、ポリウレタン樹脂のような樹脂の合成原料に用いることができる。
【0028】
水可溶部は冷却管を備え付けた500ml容量の三角フラスコに移しとり、マグネチックスターラー付きのホットプレートを用い、100℃で90分間攪拌しながら加熱した。次に、三角フラスコ中の水溶液を分液ロートに移し、300mlのクロロホルムを加えて水層と有機層に分離する作業を数回繰り返した。水層には分解試薬の大部分と酸が分画されており、再び加溶媒分解に用いるため濃縮後保存した。クロロホルム層に200mlの蒸留水を加えた後、ロータリーエヴァポレーターでクロロホルムを回収し、遊離レブリン酸を含む水溶液を得た。
イオン交換樹脂としてローム・アンド・ハース社製の陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA96SBAGを用いた。イオン交換樹脂を1規定の塩酸で逆再生した後1規定の水酸化ナトリウム水溶液でOH形に再生した。この操作は樹脂の初回使用の時のみ行われる。OH形としたイオン交換樹脂を円筒形のカラムに充填した後、上記の遊離レブリン酸を含む水溶液をカラムに導入し、2時間静置した。その後、蒸留水でカラムを洗浄した後、洗浄液を濃縮し、分解試薬を回収した。これも再び加溶媒分解に使用するため上記の水層と混合して保存した。次にカラムに1規定の塩酸を導入し、イオン交換樹脂に吸着していたレブリン酸を遊離した。カラムは1規定の水酸化ナトリウム溶液で処理して再生し、次の使用に備えた。溶出したレブリン酸の塩酸溶液は分液ロートに移しとり、酢酸エチルを加えて水層と酢酸エチル層に分画した。水層は回収し、1規定塩酸として再びイオン交換樹脂用溶媒とした。酢酸エチル層は、酢酸エチルを除去後、減圧蒸留して1.09gのレブリン酸を得た。
【0029】
実施例2
実施例1において回収した分解試薬を利用して再びスギ木粉の加溶媒分解を行った。実施例1の場合と同様の3口フラスコに、実施例1より得られた回収分解試薬のうち30gと、20gの炭酸エチレンを混合分解試薬として用い、さらに0.6gの濃硫酸を加えて攪拌混合した。次に乾燥したスギ木粉10gを量り取り、定量的にフラスコ中に挿入した後、攪拌してよく混合した。加溶媒分解反応は140℃で30分間行った。加溶媒分解物を実施例1の場合と同様な処理で分画し、5.31gの樹脂原料として応用可能な水不溶部と1.31gのレブリン酸を得た。
【0030】
回収分解試薬にはレブリン酸に分解する前駆体としての糖成分や水溶性のリグニン成分が混合しているため、回収分解試薬を用いた場合の方が高い収率を示した。
【0031】
実施例3
実施例1の工程において、スギ木粉のかわりに短冊状に裁断した新聞古紙を用いて、同様の方法で加溶媒分解を行った。加溶媒分解物を実施例1と同様の方法で分画し、4.68gの水不溶部と1.04gのレブリン酸を得た。
【0032】
実施例4
実施例1の工程において、スギ木粉のかわりにセルロースパウダー(シグマ社製、アルファーセルロース)を用いて、同様の方法で加溶媒分解を行った。加溶媒分解物を実施例1と同様の方法で分画し、2.36gの水不溶部と1.84gのレブリン酸を得た。
【0033】
実施例5
実施例1の工程において、分解試薬に平均分子量400のポリエチレングリコール40gとエチレングリコール10gの混合物を用い、同様の方法でスギ木粉の加溶媒分解を行った。加溶媒分解反応温度は160℃とし、反応時間は60分とした。加溶媒分解物を実施例1と同様の方法で分画し、4.53gの水不溶部と1.01gのレブリン酸を得た。
【0034】
実施例6
実施例5において回収した分解試薬を利用して再びスギ木粉の加溶媒分解を行った。実施例1の場合と同様の3口フラスコに、実施例5より得られた回収分解試薬のうち30gと、16gの平均分子量400のポリエチレングリコール、4gのエチレングリコールとの混合物を分解試薬として用い、さらに0.6gの濃硫酸を加えて攪拌混合した。次に乾燥したスギ木粉10gを量り取り、定量的にフラスコ中に挿入した後、攪拌してよく混合した。加溶媒分解反応は160℃で60分間行った。加溶媒分解物を実施例1の場合と同様な処理で分画し、5.26gの樹脂原料として応用可能な水不溶部と1.22gのレブリン酸を得た。
【0035】
【発明の効果】
本発明では、有用化学原料であるレブリン酸又はレブリン酸エステルをリグノセルロースの加溶媒分解により製造し、同時に既存法では利用の困難であったリグニン由来物も樹脂原料として有用な高活性なポリオール化合物として供給できるので、リグノセルロースを有効に利用することができる。また、加溶媒分解に使用した分解試薬も回収使用が可能であるため、経済的にも有利なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リグノセルロースの有効利用方法の製造工程を示す説明図。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for effectively utilizing lignocellulose for decomposing lignocellulose to produce levulinic acid or a levulinic acid ester and a polyol compound which are useful chemical raw materials.
[0002]
[Prior art]
Effective use of wood-based substances such as wood, bark, waste paper, and plant-based resources (collectively referred to as lignocellulose) mainly composed of lignocellulose such as agricultural products such as rice straw, firs, bagasse, and their wastes. The development of the law is expected. In recent years, in particular, from the viewpoint of promoting the recycling of waste, development of an effective use method of lignocellulose such as construction waste material and waste paper is urgent. As one of them, there is an attempt to decompose these lignocelluloses in an organic solvent and use them effectively. When lignocellulose is treated in an organic solvent, the used organic solvent decomposes while binding to the lignocellulose, so this decomposition reaction is called solvolysis.
[0003]
Solvolysis of lignocellulose is mainly used in wood pulping technology. Pulping is a technique for separating lignin from lignocellulose such as wood to obtain cellulose as a raw material for papermaking. At this time, a solvolysis reaction is used in the step of decomposing and eluting lignin. These pulping techniques are called organosolve pulping, solvent pulping, or solvolysis pulping. The history of pulping using this kind of solvolysis reaction is old, and various studies have been made, including the study of alcohol-based pulping in the 1930s (US Pat. No. 3,585,104, US Pat. Japanese Patent No. 4100016). Sano et al. Have developed a technique for obtaining pulp by treating with an aqueous solvent of a high-boiling organic solvent (JP-A-2001-89986). The solvolysis of lignocellulose in pulping as seen in these existing technologies is a technology that efficiently solvolyzes and separates lignin and obtains cellulose as pulp without decomposition. Does not solvolyze and eventually produce levulinic acid.
[0004]
Levulinic acid is an organic compound obtained by decomposing a hexasaccharide such as glucose under acidic conditions. As early as Tollens et al. Reported in 1875 that saccharides produce levulinic acid by acid degradation. Levulinic acid can be produced by acid-hydrolyzing cellulose or starch, which is a polymer having a continuous glucose skeleton, and then subjecting it to glucose and then heat-decomposing it under acidic conditions. The method for producing levulinic acid relating to acid hydrolysis of these saccharides is also reported in Shimizu et al.'S report on the production of levulinic acid from sucrose in 1949 (Shimizu et al., Agricultural Chemistry, No. 23). Recently, Fitzpatrick has developed an apparatus for producing levulinic acid in high yield from saccharide-containing substances such as lignocellulose (US Pat. No. 5,608,105). However, in the technology of obtaining levulinic acid using these acid hydrolysis treatments, lignin by-produced when lignocellulose such as wood is used as a raw material has properties that are difficult to use as chemical products. There are no reports of use other than incineration and use as a heat source because the use is difficult.
[0005]
There is also a method for synthesizing levulinic acid using raw materials other than sugars. For example, Farnleitner et al. Produce levulinic acid having storage stability by saponifying acetylsuccinate with an aqueous mineral acid (Japanese Patent No. 2844382). Gazette). However, industrially, it is considered economically advantageous to use lignocellulose, which has a large amount as a biological resource, as a raw material.
[0006]
Levulinic acid is a useful chemical raw material that can be converted into various compounds. Leonard reports that levulinic acid can be converted into various compounds as a chemical raw material (Industrial and Engineering Chemistry, Vol 48, No 8, 1330-1341, 1956). Recently, Bozell et al. Of the National Institute of Renewable Energy of the US Department of Energy have reported on the use of levulinic acid as a useful chemical raw material from the viewpoint of effective use of lignocellulosic resources. Thus, the chemistry of utilizing levulinic acid has received attention (Resources, Conservation and Recycling, 28, 227-239, 2000). There have been many reports on aminolevulinic acid that can be derived from levulinic acid as a raw material (Japanese Patent No. 3124692, Japanese Patent No. 2994949, etc.). It has been reported that 5-aminolevulinic acid is used as a bioactive agent in herbicide components (Japanese Patent No. 2623312). As mentioned above, there are reports on the use of levulinic acid, but there is no report of producing levulinic acid using a solvolysis reaction and simultaneously using lignin as a useful chemical raw material.
[0007]
There is a report on the application of cyclic carbonates to woody substances by the present inventors (JP-A-11-80367). Here, a technique is described in which lignocellulose is treated with a cyclic carbonate (corresponding to a cyclic carbonate) to obtain a resin raw material composition. Japanese Patent No. 301,296 describes a technique for preparing a resin raw material by making a polyhydric alcohol act on lignocellulose to form a liquid solution. However, these technologies aim to liquefy the entire lignocellulose and apply the product as a resin raw material to resin raw materials such as moldings and adhesives, and to isolate useful compounds such as levulinic acid. It is not about.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a technique for producing levulinic acid ester and levulinic acid by solvolysis of lignocellulose to produce a polyol compound having properties applicable as a raw material for chemical products, and to effectively utilize lignocellulose. Is what you do.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present invention provides a method for solvolyzing lignocellulose using a decomposing reagent, treating the decomposed product with water, fractionating the degraded product into a water-soluble part and a water-insoluble part, and levulinic acid ester or levulinic acid from the water-soluble part. And a method for effectively utilizing lignocellulose, comprising separating a polyol compound from a water-insoluble portion.
The present invention also relates to the above-mentioned method for effectively utilizing lignocellulose, which comprises subjecting lignocellulose to solvolysis using an acid and a decomposition reagent.
In the present invention, the decomposition reagent used for the solvolysis is at least one compound selected from cyclic carbonates and alcohols, and the compound is solvolyzed by heating in a temperature range from the melting point to the boiling point of the decomposition reagent. The present invention relates to a method for effectively utilizing the lignocellulose.
The present invention also relates to the above-mentioned method for effectively utilizing lignocellulose, wherein the alcohol is a dihydric alcohol having a boiling point of 100 to 400 ° C.
The present invention also relates to the above-mentioned method for effectively utilizing lignocellulose, wherein the cyclic carbonate is ethylene carbonate.
The present invention also relates to the above-mentioned method for effectively utilizing lignocellulose for separating levulinic acid from a water-soluble portion by using an ion-exchange resin to separate a decomposition reagent and levulinic acid.
The present invention also relates to the above-mentioned method for effectively utilizing lignocellulose, which recovers the decomposition reagent in the water-soluble portion and uses the same again for solvolysis of lignocellulose.
[0010]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 is an explanatory view showing the production steps of the method for effectively utilizing lignocellulose of the present invention.
In the present invention, a solvolysis reaction is used as a method for producing levulinic acid from lignocellulose. Through the solvolysis reaction, sugar components such as cellulose in lignocellulose are promptly converted into levulinic acid esters. In the solvolysis reaction, the used decomposition reagent binds to lignocellulose and decomposes it at the same time, so that the solvolysis product is greatly denatured by the decomposition reagent. This modification is a great advantage for lignin utilization. That is, while the conventional acid hydrolysis treatment highly condenses and produces lignin with low activity, the solvolysis reaction of the present invention introduces a large number of alcoholic hydroxyl groups derived from a decomposition reagent into lignin. Therefore, the production of lignin with a low degree of condensation and high activity is achieved simultaneously with the acquisition of levulinic acid or levulinic acid ester. Introduction of the alcoholic hydroxyl group prevents lignin itself from undergoing high-order acid condensation and becoming a substance having low activity, and a polyol compound useful as a raw material for chemical products can be obtained. Therefore, in the present invention, a lignin-derived residue that is difficult to use as produced by a hydrolysis-based technique is not produced, and lignocellulose can be used effectively. Further, the decomposition reagent obtained in the step of separating and purifying levulinic acid can be recovered and reused in the solvolysis reaction.
[0011]
In the present invention, it is preferable to use at least one compound obtained from cyclic carbonates and alcohols as a decomposition reagent for solvolysis of lignocellulose. Preferably, an acid and a decomposition reagent are used as a mixture, and the mixture is heated preferably at a temperature not lower than the melting point of the decomposition reagent and lower than the boiling point to solvolyze the lignocellulose. At that time, it is desirable that the reaction is continued until the cellulose component in the lignocellulose is sufficiently decomposed into levulinic acid ester. The degree of decomposition of cellulose at this stage needs to be sufficient at least until it is decomposed into water-soluble glycosides. When a cyclic carbonate is used as a decomposition reagent, decomposition of cellulose and generation of levulinic acid ester are promoted. Levulinic acid can be released from the produced levulinic acid ester, but can also be obtained as a chemical raw material in the form of levulinic acid ester. During the solvolysis reaction, a part of the cyclic carbonate is decarbonated and decomposed to an alcohol-based substance.
[0012]
In the present invention, after the solvolysate obtained by the solvolysis treatment is treated with water, it is fractionated into a water-soluble part and a water-insoluble part.
[0013]
The lignin component is mainly fractionated in the water-insoluble portion. In addition, a decomposed product derived from a sugar that has reacted with a self-condensation or decomposition reagent via a furan skeleton is also fractionated into a water-insoluble portion. The water-insoluble portion has a large number of active hydroxyl groups derived from the decomposition reagent, and a polyol compound which can be applied to the production of a resin using the active hydroxyl group as a reaction point is obtained. The water-insoluble portion has the property of being soluble in general-purpose organic solvents such as methanol, ethanol, dimethyl sulfoxide, N, N-dimethylformamide, and 1,4-dioxane. Since the acid component added as a catalyst flows out as a water-soluble portion, a neutralization treatment is not required when resinification is performed using a polyol compound as a raw material.
[0014]
The water-soluble portion contains a levulinic acid ester, and when heated at a temperature not higher than the boiling point of water, levulinic acid is released from the levulinic acid ester. Since the water-soluble portion contains the acid added during the solvolysis treatment, it is not necessary to newly add an acid catalyst. The levulinic acid ester generated by the solvolysis treatment is a compound in which a decomposing reagent and levulinic acid are ester-bonded, and it is possible to release levulinic acid by decomposing this ester bond in water. This process can be omitted when levulinic acid ester is obtained as the target substance. The aqueous solution after liberation of levulinic acid is extracted using a water-insoluble organic solvent such as ether or chloroform. At this time, levulinic acid and a part of the decomposition reagent are fractionated in the organic layer. On the other hand, most of the decomposition reagent used for the solvolysis and the acid used as the catalyst are fractionated in the aqueous layer. These can be recovered and used again for solvolysis of lignocellulose.
When water is added to the organic layer containing levulinic acid and the organic solvent is removed under reduced pressure, an aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent is obtained.
[0015]
The aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent is treated using an ion exchange resin, and the decomposition reagent is separated and recovered, and at the same time, levulinic acid is purified. As the ion exchange resin, a basic anion exchange resin is used. The purification steps are performed in the following order. First, an aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent is brought into contact with an anion exchange resin to adsorb levulinic acid. Subsequently, the resin is washed with distilled water to completely wash away the decomposition reagent. The decomposed reagent that has been washed away can be collected and used again for solvolysis of lignocellulose. Next, levulinic acid is released from the resin using an aqueous acid such as 1N hydrochloric acid, and eluted as an aqueous acid. At this time, an alkaline aqueous solution such as a sodium hydroxide aqueous solution can be used instead of the acid aqueous solution. Levulinic acid is obtained by distilling the eluted aqueous solution or extracted from the aqueous solution using an organic solvent such as ethyl acetate.
[0016]
The lignocellulose as a starting material of the present invention is not limited, but wood flour, sawdust, wood chips, bark, woody substances such as waste paper, rice straws, agricultural substances such as bagasse, sugars, Plant-based substances such as cereals and starch are used.
[0017]
Decomposition reagents used in the solvolysis of the present invention include cyclic carbonates such as ethylene carbonate and propylene carbonate, and alcohols such as butyl alcohol and aliphatic and aromatic monohydric alcohols such as benzyl alcohol. Aliphatic and aromatic dihydric alcohols such as ethylene glycol, polyethylene glycol, 1,3-butanediol and 1,4-butanediol, aliphatic and aromatic trihydric alcohols such as glycerin, and pentaerythritol And other tetravalent alcohols. The above decomposition reagents can be used alone or as a mixture.
As the cyclic carbonate, ethylene carbonate is preferably used, and as the alcohol, a dihydric alcohol having a boiling point of preferably 100 to 400 ° C., for example, ethylene glycol, polyethylene glycol or the like is used.
The decomposition reagent is preferably used in an amount of 300 to 3,000 parts by weight based on 100 parts by weight of lignocellulose.
[0018]
Examples of the acid used as a catalyst in the solvolysis of the present invention include mineral acids such as hydrochloric acid, sulfuric acid, nitric acid, and phosphoric acid; Bronsted acids such as organic acids such as formic acid, acetic acid, and p-toluenesulfonic acid; Examples thereof include Lewis acids such as boron, aluminum chloride, and stannic chloride, and ethers, alcohols, and phenol complexes thereof. The use ratio is preferably 0.1 to 10 parts by weight based on 100 parts by weight of the decomposition reagent.
[0019]
As the reaction apparatus used for the solvolysis of the present invention, an acid-resistant normal-pressure reaction vessel can be used. It is desirable that a stirrer is provided to make the solvolysis reaction uniform. The solvolysis is preferably performed at 120 to 180 ° C., preferably 10 to 180 minutes, until the lignocellulose is decomposed into levulinic acid ester. The reaction conditions depend on the composition of the decomposition reagent. When the amount of the cyclic carbonate used is large, the formation of the levulinic acid ester is promoted, so that the reaction conditions can be moderate.
[0020]
After the solvolysis, the polyol compound fractionated as a water-insoluble portion can be used as a raw material for chemical products after drying. Since a large number of alcoholic hydroxyl groups are introduced into the water-insoluble portion, it has reactivity with isocyanates and epoxies, and the reaction product with them has the property of becoming a polymer resin substance by catalyst or heating. And can be used as a raw material for molded articles, adhesives and the like. The hydroxyl value of this polyol compound is preferably 100 to 1,000 KOH mg / g, and the weight average molecular weight is preferably 1,000 to 100,000.
[0021]
The release treatment of levulinic acid in the levulinic acid releasing step can use an acid-resistant reaction vessel for normal pressure, and the reaction vessel used for solvolysis may be used as it is. The release treatment of levulinic acid is performed within the temperature range from the melting point to the boiling point of water, but it is desirable to boil the water by attaching a cooling device to the upper part of the reaction vessel. The release treatment of levulinic acid is carried out at a temperature of preferably 80 to 100 ° C., preferably for 10 to 120 minutes. The aqueous solution after liberation of levulinic acid is extracted using an organic solvent. A low-polarity water-insoluble solvent such as diethyl ether or chloroform can be used as the organic solvent for extraction.
[0022]
The ion exchange resin used in the separation / purification step is not particularly limited as long as it is a basic anion exchange resin, and examples thereof include the following products. Anion exchange resins such as IRA-400, IRA-410, IRA-96SB of Amberlite (manufactured by Rohm and Haas). Anion exchange resin such as SAION, PA series, HPA series, WA series of Diaion (manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation). An anion exchange resin series of Duolite (manufactured by Rohm and Haas) and the like are used.
[0023]
The method for introducing the aqueous solution containing the released levulinic acid and a trace amount of the decomposition reagent into the ion exchange resin is not particularly limited, but the aqueous solution containing the levulinic acid and the trace amount of the decomposition reagent is passed through a column filled with the ion exchange resin. And a method of immersing the ion exchange resin in an aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent. By introducing an aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent into the ion exchange resin, free levulinic acid is adsorbed on the ion exchange resin. In order to prevent contamination of the ion exchange resin, an aqueous solution containing levulinic acid and a trace amount of a decomposition reagent can be treated with activated carbon before being introduced into the ion exchange resin to remove components having low polarity.
[0024]
The ion exchange resin after the adsorption is washed with distilled water. The decomposition reagent used for solvolysis flows out into the washing solution, and after concentration, can be used again as a solvolysis reagent for lignocellulose. Next, the ion-exchange resin is washed with an acid solution such as 0.1-5 N hydrochloric acid to release levulinic acid adsorbed on the ion-exchange resin. The acid used at this time is not particularly limited, but a mineral acid solution such as hydrochloric acid, sulfuric acid, nitric acid and phosphoric acid is used.
[0025]
As an organic solvent used for extracting levulinic acid released from the acid solution obtained by washing the ion exchange resin, ethyl acetate, chloroform, diethyl ether and the like are used. The acid component remaining in the aqueous layer can be recovered and reused when liberating levulinic acid from the ion exchange resin. The ion-exchange resin can be regenerated by bringing it into contact with a 0.1 to 1 N sodium hydroxide solution and used again in the levulinic acid purification step.
[0026]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to Examples of the present invention, but the present invention is not limited to these Examples.
[0027]
Example 1
As a solvolysis reactor, a 300 ml three-necked flask equipped with a stirrer, a condenser, and a thermometer was used. As a solvolysis reagent, 40 g of ethylene carbonate and 10 g of ethylene glycol were mixed and filled in a flask. 1.5 g of concentrated sulfuric acid was introduced into the flask as a catalyst, and the mixture was stirred and mixed with the decomposition reagent. Next, 10 g of the dried cedar wood flour was weighed out, quantitatively inserted into the flask, and mixed well by stirring. The solvolysis reaction was performed by immersing the flask in an oil bath and stirring at 140 ° C. for 30 minutes. After the reaction, the reaction was stopped by immersing the flask in water.
The product in the flask was washed out with distilled water, quantitatively transferred into a funnel equipped with a glass filter (manufactured by Advantech, GA100), and the water-insoluble portion was filtered. The water-insoluble portion was weighed after drying to obtain 4.87 g of a water-insoluble portion. The water-insoluble portion is a polyol compound having a hydroxyl value of 310 KOH mg / g and a weight average molecular weight of 21,000, and can be used as a raw material for synthesizing a resin such as a polyurethane resin.
[0028]
The water-soluble part was transferred to a 500 ml Erlenmeyer flask equipped with a cooling tube and heated with stirring at 100 ° C. for 90 minutes using a hot plate with a magnetic stirrer. Next, the operation of transferring the aqueous solution in the Erlenmeyer flask to a separating funnel and adding 300 ml of chloroform to separate an aqueous layer and an organic layer was repeated several times. Most of the decomposition reagent and the acid were fractionated in the aqueous layer, and were concentrated and stored for use in solvolysis again. After adding 200 ml of distilled water to the chloroform layer, chloroform was recovered with a rotary evaporator to obtain an aqueous solution containing free levulinic acid.
An anion exchange resin Amberlite IRA96SBAG manufactured by Rohm and Haas was used as the ion exchange resin. The ion exchange resin was reversely regenerated with 1N hydrochloric acid and then regenerated to the OH form with a 1N aqueous sodium hydroxide solution. This operation is performed only when the resin is used for the first time. After packing the ion exchange resin in the OH form into a cylindrical column, the above aqueous solution containing free levulinic acid was introduced into the column and allowed to stand for 2 hours. Then, after washing the column with distilled water, the washing solution was concentrated, and the decomposition reagent was recovered. This was also mixed with the above aqueous layer and stored for use in solvolysis again. Next, 1N hydrochloric acid was introduced into the column to release levulinic acid adsorbed on the ion exchange resin. The column was regenerated by treatment with 1N sodium hydroxide solution and prepared for the next use. The eluted hydrochloric acid solution of levulinic acid was transferred to a separating funnel, and ethyl acetate was added thereto to separate into an aqueous layer and an ethyl acetate layer. The aqueous layer was recovered and converted into 1 N hydrochloric acid to be used again as the solvent for the ion exchange resin. The ethyl acetate layer was distilled under reduced pressure after removing ethyl acetate to obtain 1.09 g of levulinic acid.
[0029]
Example 2
Using the decomposition reagent recovered in Example 1, solvolysis of cedar wood powder was performed again. In the same three-necked flask as in Example 1, 30 g of the recovered decomposition reagent obtained in Example 1 and 20 g of ethylene carbonate were used as a mixed decomposition reagent, and 0.6 g of concentrated sulfuric acid was further added and stirred. Mixed. Next, 10 g of the dried cedar wood flour was weighed out, quantitatively inserted into the flask, and mixed well by stirring. The solvolysis reaction was performed at 140 ° C. for 30 minutes. The solvolysate was fractionated in the same manner as in Example 1 to obtain 5.31 g of a water-insoluble portion applicable as a resin raw material and 1.31 g of levulinic acid.
[0030]
Since the recovered decomposition reagent contains a saccharide component and a water-soluble lignin component as a precursor that decomposes into levulinic acid, higher yields were obtained when the recovered decomposition reagent was used.
[0031]
Example 3
In the process of Example 1, solvolysis was carried out by a similar method using used newspaper paper cut into strips instead of cedar wood flour. The solvolysate was fractionated in the same manner as in Example 1 to obtain 4.68 g of a water-insoluble portion and 1.04 g of levulinic acid.
[0032]
Example 4
In the process of Example 1, solvolysis was carried out in the same manner using cellulose powder (alpha-cellulose, manufactured by Sigma) instead of cedar wood powder. The solvolysate was fractionated in the same manner as in Example 1 to obtain 2.36 g of a water-insoluble portion and 1.84 g of levulinic acid.
[0033]
Example 5
In the process of Example 1, a mixture of 40 g of polyethylene glycol having an average molecular weight of 400 and 10 g of ethylene glycol was used as a decomposition reagent, and cedar wood powder was subjected to solvolysis in the same manner. The solvolysis reaction temperature was 160 ° C., and the reaction time was 60 minutes. The solvolysate was fractionated in the same manner as in Example 1 to obtain 4.53 g of a water-insoluble portion and 1.01 g of levulinic acid.
[0034]
Example 6
Using the decomposition reagent recovered in Example 5, solvolysis of cedar wood powder was performed again. In the same three-necked flask as in Example 1, a mixture of 30 g of the recovered decomposition reagent obtained in Example 5, 16 g of polyethylene glycol having an average molecular weight of 400, and 4 g of ethylene glycol was used as a decomposition reagent. Further, 0.6 g of concentrated sulfuric acid was added and mixed with stirring. Next, 10 g of the dried cedar wood flour was weighed out, quantitatively inserted into the flask, and mixed well by stirring. The solvolysis reaction was performed at 160 ° C. for 60 minutes. The solvolysate was fractionated by the same treatment as in Example 1 to obtain 5.26 g of a water-insoluble portion applicable as a resin raw material and 1.22 g of levulinic acid.
[0035]
【The invention's effect】
In the present invention, levulinic acid or a levulinic acid ester, which is a useful chemical raw material, is produced by solvolysis of lignocellulose, and at the same time, lignin-derived products that were difficult to use in existing methods are also highly active polyol compounds useful as resin raw materials Lignocellulose can be used effectively. In addition, the decomposition reagent used for solvolysis can be recovered and used, which is economically advantageous.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory view showing a production process of a method for effectively utilizing lignocellulose.
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