【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の開花調節剤及び開花調節方法、植物の種実形成調節剤及び種実形成調節方法に関するものであり、更に詳しくは、植物、特に果樹類、森林木類、農園芸作物類等の植物の開花時期を遅らせる作用及び開花の持続時間を延長する作用を有する植物の開花調節剤、及び開花調節方法、植物の種実を形成する作用及び種実収穫量を増加する作用を有する植物の種実形成調節剤、及び種実形成調節方法に関するものである。本発明は、例えば、メラトニン水溶液を植物に散布、施用して植物の開花時期を遅らせると共に、開花の持続期間を延長することを可能とする新規な開花調節剤及び開花調節方法等を提供するものとして有用である。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、植物の多くは、季節変化、特に日長時間の変化により所定の時期において花芽を形成し、開花し、所定の期間に亘って開花を持続する。植物の開花の時期の調節は、例えば、農園芸植物を栽培する上で、きわめて重要な問題である。そこで、例えば、施設園芸植物等においては、日長を人為的にコントロールすることによって花芽の分化する時期を促進又は抑制することが、それらの植物の一般的な栽培技術として実施されている。しかし、施設を利用することによる人為的な日長のコントロールには、施設の規模やその施設の経費等による制約があり、その利用範囲はかなり限定されたものとなることを否めない。また、植物ホルモン類を植物に施用することによって、植物の花芽の形成を調節することも種々試みられているが、いまだ、植物ホルモン類によって、植物の開花時期を確実に調節する技術は確立されていない状況にある。
【０００３】
また、植物の花芽の形成を抑制するための新しい薬剤の開発も種々進められており、これまでに、多数の化合物が報告されている。これらの化合物の例として、例えば、合成アブシジン酸異性体混合物のラセミ体を用いて、植物の開花抑制効果について試験した多くの報告例がある〔Ａｎｎ． Ｒｅｖ． Ｐｌａｎｔ Ｐｈｙｓｉｏｌ． ３９， １７５（１９８８） 〕。また、光学活性アブシジン酸による開花抑制作用についても知られている。しかし、これらの公知の合成ラセミ体等を用いた植物の開花調節方法は、いまだ、多くの植物種では確立されていないのが実情である。
【０００４】
更に、植物生長調節剤の有効成分として、例えば、β−インドール酢酸、核酸分解物、クロルフェノキシ酢酸、ヌクレオチド類、ヌクレオシド類、イノシン等を用いることが知られている。しかし、これらの化合物は、植物の開花促進作用や観葉植物の葉持ちを向上させる作用等を有するものが主であり、植物の開花時期を遅らせる作用や開花の持続を延長する作用を有するものではない。更に、その他にも、水溶性の炭水化物を主剤とする切り花の開花抑制剤（特開平１１−１３７０８３号公報）、開花遺伝子を利用する方法（特表２００２−５１１２７０号公報）等、多くの提案がなされている。
【０００５】
一方、メラトニンは、哺乳動物の松果体に存在する生理活性アミン誘導体であり、人や動物において多種の作用のあることが判明しており、例えば、１）免疫増強作用、２）メラニン色素の合成抑制作用、及び３）睡眠誘導作用、等が代表的な作用として知られている。従来、メラトニンは、これらの作用を利用して、例えば、免疫疫患治療剤、うつ病治療剤、皮膚化粧料、養毛料、紫外線老化の防御薬剤、代謝老化防止剤、睡眠障害治療剤、癌抑制剤、神経精神障害治療剤等の有効成分として広範な分野での使用が検討されている。しかし、従来、メラトニンを、植物の開花調節等に使用する例は全く見当たらないし、また、植物の開花に対する作用や開花の持続に対する作用等についても全く知られていない。
【０００６】
一般に、植物の花芽の形成を促進又は抑制できる新しい薬剤の開発は、植物の新しい栽培技術や植物の新しい利用方法を確立する上できわめて重要であり、その意義は大きいものがあるが、前述のように、これまでの薬剤及び方法については、実用化レベルに達しているものは、いまだ限られており、当該技術分野においては、植物の開花調節作用等を有する更なる新しい薬剤及び方法の開発が強く要請されていた。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、植物の花芽の形成を抑制し、開花時期を遅らせる作用を有する新しい開花調節剤等を開発することを目標として鋭意研究を進める過程で、メラトニン水溶液を植物に散布することによって植物の開花時期を遅らせる作用と開花の持続を延長する作用、及び植物の種実を形成する作用及び種実収穫量を増加する作用が得られることを発見し、かかる知見に基づいて、メラトニンを有効成分として用いることにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、メラトニンを有効成分として含有する植物の開花調節剤を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記開花調節剤を植物に施用して植物の開花時期及び開花の持続を調節する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、メラトニンを有効成分として含有する植物の種実形成調節剤を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、上記種実形成調節剤を植物に施用して植物の種実形成及び種実収穫量を増加する方法を提供することを目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
（１）メラトニンを有効成分として含有することを特徴とする植物の開花・種実形成調節剤。
（２）メラトニンを有効成分として含有することを特徴とする植物の開花を遅らせる作用及び開花の持続を延長する作用を有する前記（１）に記載の植物の開花調節剤。
（３）植物が、サクラである前記（２）に記載の開花調節剤。
（４）前記（２）又は（３）に記載の開花調節剤を、開花前の対象植物に施用することを特徴とする植物の開花調節方法。
（５）メラトニンを有効成分として含有することを特徴とする植物の種実を形成する作用及び種実収穫量を増加する作用を有する前記（１）に記載の植物の種実形成調節剤。
（６）植物が、米である前記（５）に記載の種実形成調節剤。
（７）前記（５）又は（６）に記載の種実形成調節剤を、開花前の対象植物に施用することを特徴とする植物の種実形成調節方法。
【０００９】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で使用するメラトニン（ｍｅｌａｔｏｎｉｎ ）、即ち、Ｎ−アセチル−５−メトキシトリプタミン（Ｎ−ａｃｅｔｙｌ−５−ｍｅｔｈｏｘｙｔｒｙｐｔａｍｉｎｅ）は、公知物質であり、生体の松果体に存在する生理活性アミン誘導体であり、セロトニンを前駆物質としてアセチルセロトニンメチル転移酵素で生合成される。このメラトニンの製法としては、例えば、コーヒーワックスから得られるセロトニンをアセチル化してＮ，Ｏ−ジアセチルセロトニンとした後、そのＯ−アセチル基を水と低級アルコールのアルカリ混合液を用いて選択的に加水分解することにより得られるＮ−アセチルセロトニンを５位の位置でメチル化することにより製造する方法等により製造することができる（特公平０４−６６８６６号公報）。本発明において、メラトニンとは、上記メラトニンの他に、同効の開花調節作用を有するあらゆる種類のメラトニン誘導体を含むものであることを意味するものとして定義される。
【００１０】
本発明の開花・種実形成調節剤は、上記メラトニンを有効成分として含有することを特徴とするものであり、適宜の形態に製剤化して使用される。この場合、例えば、慣用される各種の担体、補助剤等を適量配合して、例えば、液剤、錠・粉・顆粒等の形態を有する水溶剤、塗布剤、注入剤等に常法により製剤化して使用することができる。本発明では、上記担体として、例えば、クレー、タルク、ベントナイト、カオリン、珪藻土、シリカなどに代表される固体担体、また、ベンゼン、キシレン、トルエン、チロシン、アルコール類、ケトン類、Ｎ−メチルピロリドン等に代表される液体担体を配合することができる。また、上記アルコール類として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ｎ−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が例示され、また、上記ケトン類として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が例示される。しかし、これらに制限されるものではない。
【００１１】
本発明では、これらの他に、必要に応じて、適宜の薬剤成分、例えば、界面活性剤、安定剤、展着剤、分散剤、固着剤、崩壊剤、湿展剤等の成分を適量配合して製剤化することができるが、これらに制限されるものではなく、これらと同効の機能を有するものであれば適宜のものを配合することができる。本発明においては、これらの製剤化した製品は、そのまま単独で使用することができるが、それ以外にも、他の薬剤、例えば、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調節剤、肥料、その他の農薬類等と適宜混合して使用することも可能であり、その使用形態は特に制限されるものではない。
【００１２】
本発明の開花・種実形成調節剤で有効成分として用いるメラトニンの配合割合は、水や有機溶媒で溶解又は分散させて使用する場合は、通常、１００ｐｇ／ｍｌ〜１０ｎｇ／ｍｌの範囲であることが好ましいが、これらに制限されるものではない。この場合、その使用濃度は、植物の種類及び成長の度合、施用する時期、及び施用方法等により適宜変更し、最適化することが好ましく、これらは、例えば、散布、根部への灌注、注入、塗布、水耕栽培等の処理手段に応じて、適宜、希釈ないし調整して使用される。本発明の方法では、上記開花・種実形成調節剤は、開花前の対象植物によって定まる適当な時期に適宜の方法で対象植物に施用される。
【００１３】
これらの薬剤の施用時期としては、例えば、開花調節剤の場合、各植物の花芽の形成が開始される時期の約１ヶ月前のつぼみの時期から、開花の時期までの間が好適であるが、その施用時期は、対象植物によって適宜変更することができる。本発明の開花調節剤が適用される植物としては、代表的にはサクラが例示されるが、この他にも、好適には、例えば、リンゴ、ミカン等の果樹類や森林木類、キャベツ、ホウレンソウ、ダイコン、シソ等の野菜類、バラ、キク等の花卉類等が例示される。また、本発明の種実形成調節剤が適用される植物としては、好適には、米に代表される穀類が例示される。しかし、本発明の開花・種実形成調節剤が適用される植物は、これらに限定されるものではなく、本発明の開花調節剤及び開花調節方法は、花をつける広範な植物に適用することができる。また、本発明の種実形成調節剤及び種実形成調節方法は、種実をつける広範な植物に適用することができる。
【００１４】
【作用】
本発明は、メラトニンの有する植物の開花・種実形成調節作用を利用して、メラトニンを有効成分として含有する薬剤を植物に適宜の方法で施用することにより植物の開花時期を遅らせると共に、その開花の持続を延長すること、あるいは植物の種実形成を調節すること、を可能とするものであり、例えば、上記薬剤を開花前の適当な時期に桜の木等の植物に施用することにより、桜の木等の植物の開花を遅らせ、その開花の持続期間を人為的にコントロールすることが可能となる。また、本発明の方法は、桜の木のみに限らず、広く植物の開花の時期とその開花の持続を調節すること、あるいは植物の種実形成を調節すること、を可能とするものとして、例えば、果樹類、森林木類、観賞用植物、果実採取用植物等に好適に適用することができ、その応用範囲はきわめて広いものである。
【００１５】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。本実施例では、好適な一例として、本発明の開花調節剤を桜の木に適用した例及び本発明の種実形成調節剤を米に適用した例を説明するが、本発明の開花・種実形成調節剤は、他の多くの植物についても同様に適用することが可能であり、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例１
（植物の開花抑制作用）
（１）メラトニンを有効成分として含有する薬剤の調製
メラトニン水溶液を有効成分が１００ｐｇ／ｍｌ、１ｎｇ／ｍｌ、１０ｎｇ／ｍｌとなるように調合し、メラトニンを有効成分として含有する液剤を、それぞれ、１０００ｍｌづつ用意した。
【００１６】
（２）施用方法
植物として、桜の木を選び、桜のつぼみの時期に、毎朝、桜の幹の出ている土壌に上記メラトニン含有薬剤を１０００ｍｌづつ散布し、薬剤による植物の開花抑制効果について試験した。なお、各々の試験個体の数は８本づつとした。対照は、メラトニンを有効成分として含有する液剤を散布していないものを比較例として示したものである。
【００１７】
（３）結果
それらの試験結果を表１に示した。
表１．開花の抑制についての試験結果
試験区 開花に要した時間（時間）
対照 ７２．５±１１．２
１００ｐｇ／ｍｌ １４４．３±２２．５
１ｎｇ／ｍｌ １５２．５±２３．８
１０ｎｇ／ｍｌ １５８．６±２４．５
【００１８】
以上の結果に示されるように、メラトニン水溶液の散布群は、対照に比較して、有意に開花時期を遅らせる効果を有していたが、１００ｐｇ／ｍｌ、１ｎｇ／ｍｌ、１０ｎｇ／ｍｌでは有意差はないことが分かった。
【００１９】
実施例２
（植物の開花時期の持続作用）
上記実施例１の方法と同様にして桜に薬剤を散布して、薬剤による桜の開花時間の持続効果について試験した。本実施例では、満開から５分散るまでの時間を算定した。その結果を表２に示した。
表２．開花の持続時間についての試験結果
試験区 開花の持続時間（時間）
対照 １０７．０±９．８
１００ｐｇ／ｍｌ １６９．６±１２．６
１ｎｇ／ｍｌ １７６．８±１３．４
１０ｎｇ／ｍｌ １７８．０±１３．８
【００２０】
以上の結果に示されるように、メラトニン水溶液の散布群は、対照に比較して、有意に開花の持続時間を延長する効果を有していたが、１００ｐｇ／ｍｌ、１ｎｇ／ｍｌ、１０ｎｇ／ｍｌの間には有意差はないことが分かった。
【００２１】
実施例３
（１）メラトニンを有効成分として含有する液剤の調製
メラトニンを蒸留水で溶解し、１０ｐｇ／ｍｌ、１００ｐｇ／ｍｌ、１ｎｇ／ｍｌになるよう調合し、メラトニンを有効成分として含有する液剤を、それぞれ、１０リットルづつ用意した。
（２）稲作の方法
１００ｍ２ の水田を４区画使用し、通常の方法で稲苗を植え、同一条件で育成した。稲苗は、こしひかり（登録商標）を用いた。
（３）メラトニン液剤の散布の方法
上記水田に、メラトニン液剤を、それぞれ、１０リットルづつ散布し、１区画は、対照とした。散布時期は、稲苗を植えて１週間目と、開花直前の２回とした。
（４）結果
上記方法で育成した米の収穫（モミつき重量）を比較した。それらの結果を表３に示した。
以上の結果に示されるように、メラトニン液剤の散布群は、対照に比較して、有意に米の収穫量を増加する作用を有しており、メラトニン１００ｐｇ／ｍｌの液剤を２回散布する方法で、米の収穫を約４５（％）増加させることができた。
【００２２】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、メラトニンを有効成分とする開花・種実形成調節剤及び開花・種実形成調節方法に係るものであり、本発明により、１）植物の花芽の形成を抑制し、開花時期を遅らせることができる、２）開花の持続期間を延長することができる、３）花の観賞期間を長くすることができる、４）花弁類にあっては、開花時期を調整することで出荷のタイミングを調整することができる、５）例えば、桜の開花時期及び開花の持続期間を延長することができる、６）例えば、米の収穫量を増加することができる、という格別の効果が奏される。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a plant flowering regulator and flowering regulating method, a plant seed formation regulating agent and a seed formation regulating method, and more particularly to plants, especially fruit trees, forest trees, agricultural and horticultural crops and the like. Plant flowering regulator having a function of delaying the flowering time of a plant and prolonging the duration of flowering, a method of regulating flowering, a seed formation of a plant having an effect of forming plant seeds and an effect of increasing seed yield The present invention relates to a regulator and a method for regulating seed formation. The present invention provides, for example, a novel flowering regulator and a method for regulating flowering, which makes it possible to delay the flowering time of a plant by spraying and applying an aqueous melatonin solution to a plant and to extend the duration of flowering. Useful as
[0002]
[Prior art]
In general, many plants form flower buds at a predetermined time due to seasonal changes, particularly changes in daylength, flower, and continue flowering for a predetermined period. Regulation of the flowering time of a plant is a very important problem, for example, in growing agricultural and horticultural plants. Thus, for example, in greenhouse horticultural plants, promotion or suppression of flower bud differentiation time by artificially controlling the photoperiod has been practiced as a general cultivation technique for such plants. However, artificial control of day length by using facilities is limited by the scale of the facilities, the costs of the facilities, and the like, and it is undeniable that the range of use is considerably limited. In addition, various attempts have been made to regulate the formation of flower buds by applying plant hormones to plants. However, techniques for reliably regulating the flowering time of plants with plant hormones have been established. Not in a situation.
[0003]
In addition, development of new drugs for suppressing the formation of flower buds in plants has been progressed in various ways, and a large number of compounds have been reported so far. As examples of these compounds, there are many reported examples in which the racemic form of a mixture of isomers of synthetic abscisic acid was tested for the flowering inhibitory effect of plants [Ann. Rev .. Plant Physiol. 39, 175 (1988)]. In addition, the flowering inhibitory effect of optically active abscisic acid is also known. However, the method of regulating flowering of plants using these known synthetic racemates has not yet been established in many plant species.
[0004]
Further, it is known to use, for example, β-indoleacetic acid, a nucleic acid degradation product, chlorphenoxyacetic acid, nucleotides, nucleosides, inosine and the like as an active ingredient of the plant growth regulator. However, these compounds are mainly those having an effect of promoting flowering of plants and an effect of improving leaf retention of houseplants, and those having an effect of delaying the flowering time of plants and an effect of extending the duration of flowering. Absent. Further, many other proposals have been made, such as a flowering inhibitor for cut flowers containing a water-soluble carbohydrate as a main agent (Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-137083) and a method using a flowering gene (Japanese Patent Application Laid-Open No. 2002-511270). Has been done.
[0005]
On the other hand, melatonin is a physiologically active amine derivative present in the pineal gland of mammals, and has been found to have various actions in humans and animals. For example, 1) immunopotentiating action, 2) melanin pigment Synthetic inhibitory action, and 3) sleep inducing action are known as typical actions. Conventionally, melatonin has been used by utilizing these actions, for example, therapeutic agents for immuno-epidemic disease, therapeutic agents for depression, skin cosmetics, hair restoration, ultraviolet aging protective agents, metabolic aging preventive agents, sleep disorder therapeutic agents, cancer agents Use in a wide range of fields as an active ingredient such as an inhibitor and a therapeutic agent for neuropsychiatric disorders has been studied. However, hitherto, no examples have been found in which melatonin is used for controlling flowering of plants and the like, and there is no known effect on flowering or sustaining flowering of plants.
[0006]
In general, the development of new drugs that can promote or suppress the formation of flower buds in plants is extremely important in establishing new cultivation techniques for plants and new methods of using plants, and their significance is significant. As described above, the drugs and methods that have reached the practical application level are still limited, and in the art, the development of further new drugs and methods having a plant flowering regulating action and the like has been developed. Was strongly requested.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
Under such circumstances, the present inventor has conducted intensive studies in view of the above-mentioned prior art with the aim of developing a new flowering regulator or the like having an action of suppressing the formation of flower buds and delaying the flowering time. In the process of spraying melatonin aqueous solution, the effect of delaying the flowering time of the plant and extending the duration of flowering, and the effect of forming the seeds of the plant and increasing the yield of the seeds are obtained by spraying the melatonin aqueous solution on the plants. The present inventors have found that the intended purpose can be achieved by using melatonin as an active ingredient based on such findings, and have completed the present invention.
That is, an object of the present invention is to provide a plant flowering regulator containing melatonin as an active ingredient. Another object of the present invention is to provide a method for controlling the flowering time and duration of flowering of a plant by applying the flowering regulator to the plant. Another object of the present invention is to provide a plant seed formation regulator containing melatonin as an active ingredient. It is a further object of the present invention to provide a method for increasing the seed formation and seed yield of a plant by applying the seed formation regulator to a plant.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for solving the above-mentioned problems includes the following technical means.
(1) A plant flowering / seed formation regulator comprising melatonin as an active ingredient.
(2) The plant flowering regulator according to the above (1), which comprises a melatonin as an active ingredient and has an effect of delaying flowering of a plant and an effect of prolonging the duration of flowering.
(3) The flowering regulator according to (2), wherein the plant is cherry.
(4) A method for regulating flowering of a plant, comprising applying the flowering regulator according to (2) or (3) to a target plant before flowering.
(5) The plant seed formation regulator according to the above (1), which has an effect of forming a seed of a plant and an effect of increasing the yield of the seed, characterized by containing melatonin as an active ingredient.
(6) The seed formation regulator according to (5), wherein the plant is rice.
(7) A method for controlling seed formation of a plant, comprising applying the seed formation regulator according to (5) or (6) to a target plant before flowering.
[0009]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail.
Melatonin used in the present invention, that is, N-acetyl-5-methoxytryptamine is a known substance and is a physiologically active amine derivative present in the pineal gland of a living body. It is biosynthesized with acetylserotonin methyltransferase using serotonin as a precursor. As a method for producing melatonin, for example, after serotonin obtained from coffee wax is acetylated into N, O-diacetyl serotonin, the O-acetyl group is selectively hydrolyzed using an alkali mixture of water and a lower alcohol. N-acetylserotonin obtained by decomposition can be produced by methylation at the 5-position (eg, Japanese Patent Publication No. 04-66686). In the present invention, melatonin is defined as meaning that it includes all kinds of melatonin derivatives having the same effect of controlling flowering, in addition to melatonin.
[0010]
The flowering / seed formation regulator of the present invention is characterized by containing the above-mentioned melatonin as an active ingredient, and is used by being formulated into an appropriate form. In this case, for example, an appropriate amount of various commonly used carriers, auxiliaries, and the like are blended, and, for example, formulated into a liquid formulation, a water solvent having the form of tablets, powders, granules, and the like, a coating agent, an injection, and the like by a conventional method. Can be used. In the present invention, as the carrier, for example, a solid carrier represented by clay, talc, bentonite, kaolin, diatomaceous earth, silica, etc., benzene, xylene, toluene, tyrosine, alcohols, ketones, N-methylpyrrolidone, etc. And a liquid carrier represented by the formula (1). Examples of the alcohols include methanol, ethanol, isopropanol, n-butanol, ethylene glycol, and propylene glycol. Examples of the ketones include acetone, methyl ethyl ketone, and cyclohexanone. However, it is not limited to these.
[0011]
In the present invention, in addition to these, if necessary, appropriate drug components, for example, components such as a surfactant, a stabilizer, a spreading agent, a dispersant, a fixing agent, a disintegrant, and a wetting agent are added in an appropriate amount. However, the present invention is not limited to these, and any suitable compound may be added as long as it has the same function as these. In the present invention, these formulated products can be used alone as they are, but in addition, other drugs such as insecticides, fungicides, plant growth regulators, fertilizers, and other pesticides It is also possible to mix and use them appropriately, and the form of use is not particularly limited.
[0012]
The mixing ratio of melatonin used as an active ingredient in the flowering / seed formation regulator of the present invention may be generally in the range of 100 pg / ml to 10 ng / ml when used by dissolving or dispersing in water or an organic solvent. Preferred, but not limited to. In this case, the use concentration is suitably changed and optimized according to the type of plant and the degree of growth, the time of application, the method of application, and the like, and these are preferably optimized, for example, spraying, irrigation to the root, injection, It is used after being appropriately diluted or adjusted according to processing means such as application and hydroponics. In the method of the present invention, the regulator for flowering / seed formation is applied to the target plant by an appropriate method at an appropriate time determined by the target plant before flowering.
[0013]
For example, in the case of a flowering regulator, the application time of these agents is preferably from the time of bud about one month before the time when flower bud formation of each plant starts to the time of flowering. The application time can be appropriately changed depending on the target plant. Sakura is typically exemplified as a plant to which the flowering regulator of the present invention is applied. In addition, preferably, for example, apples, fruit trees such as oranges, forest trees, cabbage, Examples include vegetables such as spinach, radish and perilla, and flowers such as roses and chrysanthemums. As the plant to which the seed formation regulator of the present invention is applied, cereals such as rice are preferably exemplified. However, the plant to which the flowering / seed formation regulator of the present invention is applied is not limited thereto, and the flowering regulator and the flowering regulation method of the present invention can be applied to a wide range of plants that produce flowers. it can. Further, the seed formation regulator and the seed formation controlling method of the present invention can be applied to a wide variety of plants having seeds.
[0014]
[Action]
The present invention delays the flowering time of a plant by applying an agent containing melatonin as an active ingredient to the plant in an appropriate manner by utilizing the effect of melatonin on regulating flowering and seed formation of the plant, and delaying the flowering time of the plant. It is possible to prolong the duration or regulate the formation of seeds of plants, for example, by applying the above-mentioned chemicals to plants such as cherry trees at an appropriate time before flowering, so that cherry trees and the like can be obtained. Of the plant can be delayed and the duration of the flowering can be artificially controlled. In addition, the method of the present invention is not limited to cherry trees, but it is possible to regulate the time of flowering of plants and the duration of flowering thereof, or to regulate seed formation of plants, for example, It can be suitably applied to fruit trees, forest trees, ornamental plants, fruit collecting plants, and the like, and its application range is extremely wide.
[0015]
【Example】
Next, the present invention will be specifically described based on examples. In the present embodiment, as a preferred example, an example in which the flowering control agent of the present invention is applied to cherry trees and an example in which the seed formation controlling agent of the present invention is applied to rice will be described. The agent can be similarly applied to many other plants, and the present invention is not limited to only the following examples.
Example 1
(Suppressing flowering of plants)
(1) Preparation of a drug containing melatonin as an active ingredient A melatonin aqueous solution is prepared so that the active ingredient becomes 100 pg / ml, 1 ng / ml, and 10 ng / ml. Prepared one by one.
[0016]
(2) Method of application Cherry trees were selected as plants, and at the time of buds of the cherry blossoms, 1000 ml of the above melatonin-containing drug was sprayed on the soil from which the stem of the cherry blossoms appeared every morning, and the effect of the drug on plant flowering inhibition was tested. In addition, the number of each test individual was set to eight. The control is a comparative example in which a liquid preparation containing melatonin as an active ingredient was not sprayed.
[0017]
(3) Results The test results are shown in Table 1.
Table 1. Test results on suppression of flowering
Time required for flowering in test area (hours)
Control 72.5 ± 11.2
100 pg / ml 144.3 ± 22.5
1 ng / ml 152.5 ± 23.8
10 ng / ml 158.6 ± 24.5
[0018]
As shown in the above results, the group sprayed with the melatonin aqueous solution had an effect of significantly delaying the flowering time as compared with the control, but a significant difference was observed at 100 pg / ml, 1 ng / ml, and 10 ng / ml. Turned out not to be.
[0019]
Example 2
(Continuous action during flowering time of plant)
In the same manner as in Example 1, the medicine was sprayed on the cherry tree, and the effect of the medicine on the flowering time of the cherry tree was tested. In this example, the time from full bloom to 5 dispersions was calculated. The results are shown in Table 2.
Table 2. Test results for flowering duration
Duration of test section flowering (hours)
Control 107.0 ± 9.8
100 pg / ml 169.6 ± 12.6
1 ng / ml 176.8 ± 13.4
10 ng / ml 178.0 ± 13.8
[0020]
As shown in the above results, the group sprayed with the melatonin aqueous solution had an effect of significantly prolonging the duration of flowering as compared with the control, but it was 100 pg / ml, 1 ng / ml, and 10 ng / ml. It was found that there was no significant difference between
[0021]
Example 3
(1) Preparation of a liquid preparation containing melatonin as an active ingredient Melatonin is dissolved in distilled water, and prepared to be 10 pg / ml, 100 pg / ml, and 1 ng / ml. Each 10 liters were prepared.
(2) Rice cultivation method Four 100 m 2 paddy fields were used, and rice seedlings were planted by a usual method and grown under the same conditions. The rice seedling used was Koshihikari (registered trademark).
(3) Method of spraying melatonin solution The melatonin solution was sprayed on the paddy field in an amount of 10 liters each, and one section was used as a control. The spraying was performed one week after planting the rice seedlings and twice immediately before flowering.
(4) Results The yield (weight with fir) of the rice grown by the above method was compared. Table 3 shows the results.
As shown in the above results, the melatonin solution application group has an effect of significantly increasing the yield of rice as compared with the control, and the method of applying the melatonin 100 pg / ml solution twice. Thus, the rice yield could be increased by about 45%.
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【The invention's effect】
As described in detail above, the present invention relates to a flowering / seed formation regulator and a flowering / seed formation control method containing melatonin as an active ingredient. According to the present invention, 1) suppression of flower bud formation of a plant The flowering time can be delayed. 2) The duration of flowering can be extended. 3) The flower viewing period can be lengthened. 4) For petals, the flowering time can be adjusted. 5) For example, it is possible to extend the flowering time and duration of flowering of cherry blossoms, and 6) For example, it is possible to increase the yield of rice. Is played.
