JP2004083368A - 光学素子の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学素子をプレス成形によって製造する際、下型の上に置かれた成形素材がパージガスの流れによって位置ずれを起こすことを防止する。
【解決手段】上型4及び下型11を雰囲気調整可能な成形室17内に配置し、下型11の上にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を減圧し、成形室17内を不活性ガスで置換した後、上型4及び下型11及び成形素材1を所定の温度まで加熱し、次いで、上型4及び下型11の間で成形素材1をプレス成形する。上記プロセスにおいて、成形室17内を不活性ガスで置換する際、先ず、成形室17内を5Pa以下の圧力まで減圧し、次いで、成形室17内に、上型4及び下型11にガスの流れが直接当らない位置から、3m/sec以上30m/sec以下の流速で、不活性ガスを吹き込んで成形室内をパージする。
【選択図】 図1
【解決手段】上型4及び下型11を雰囲気調整可能な成形室17内に配置し、下型11の上にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を減圧し、成形室17内を不活性ガスで置換した後、上型4及び下型11及び成形素材1を所定の温度まで加熱し、次いで、上型4及び下型11の間で成形素材1をプレス成形する。上記プロセスにおいて、成形室17内を不活性ガスで置換する際、先ず、成形室17内を5Pa以下の圧力まで減圧し、次いで、成形室17内に、上型4及び下型11にガスの流れが直接当らない位置から、3m/sec以上30m/sec以下の流速で、不活性ガスを吹き込んで成形室内をパージする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光学レンズやプリズムなどのガラス製の光学素子をプレス成形により製造する方法に係り、特に、プレス成形に先立って成形室内の雰囲気を調整するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学レンズやプリズムなどの高い精度が要求されるガラス製の光学素子は、研磨法の他に、リヒートプレス法と呼ばれる方法によっても製造されている。リヒートプレス法では、先ず、原料のガラスを溶融し、型内で凝固させて所定の粗形状の成形素材(プリフォーム)を製作し、次いで、この成形素材を加熱し、プレス成形を行う。これによって、型面の形状がガラスに転写され、光学素子が得られる。
【0003】
図2に、ガラス製の光学素子を製造する際に使用される装置の一例として、特開平10−330121号公報に記載されている成形装置を示す。
【0004】
固定軸2はフレーム30の上部から下方に向かって伸びており、固定軸2の下端にはセラミック製の断熱筒3を介して上型4が取り付けられている。移動軸9はフレーム30の下部から固定軸2に対向して上方に伸び、移動軸9の上端にはセラミック製の断熱筒10を介して下型11が取り付けられている。移動軸9の下端にはロードセル41を介して軸駆動装置8が接続されている。移動軸9は、予め制御盤40に入力されているプログラムに従い、上下方向に駆動される。
【0005】
上フランジ35の下面には、上型4及び下型11の周囲を取り囲む様に透明石英管16が取り付けられ、透明石英管16の内部に上型4及び下型11の周囲を外界から遮断する成形室17が構成されている。透明石英管16の外側には赤外線ランプユニット19が配置されている。
【0006】
固定軸2及び移動軸9の内部には、成形室17内に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給するためのガス供給路22、23が形成されている。これに対応して、上型4にはガス供給路27が形成され、下型11にはガス供給路28が形成されている。不活性ガスは、固定軸2側から、ガス供給路22、断熱筒3の内部及びガス供給路27を経て成形室17内へ供給され、移動軸9側から、ガス供給路23、断熱筒10の内部及びガス供給路28を経て成形室17内へ供給される。不活性ガスは、成形室17内をパージする際に使用されるとともに、上型4及び下型11を冷却する際に使用される。成形室17内に供給された不活性ガスは、下フランジ36の内部に形成された排気口25を通って排気される。
【0007】
上記の成形装置では、上型4及び下型11の間にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を所定の圧力まで減圧した後、成形室17内を不活性ガスでパージして内部に残留している酸素を追い出す。次いで、上型4、下型11及び成形素材1をガラス転移点以上の所定の温度まで加熱し、再び、成形室17内を所定の圧力まで減圧した後、上型4及び下型11の間で成形素材1のプレス成形を行う。
【0008】
上記のような成形装置では、成形室17内を不活性ガスでパージする際に、パージガスのいきおいが強いため、下型11の上に置かれた成形素材1が所定の位置から移動し、成形品が不良になることが問題になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような光学素子のプレス成形の際の問題点に鑑み成されたもので、本発明の目的は、プレス成形に先立って成形室内を不活性ガスでパージする際に、下型の上に置かれた成形素材がパージガスの流れによって位置ずれを起こすことを防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学素子の成形方法は、
上型及び下型を雰囲気調整可能な成形室内に配置し、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、次いで、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、成形室内に上型及び下型にガスの流れが直接当らない位置から3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする。
【0011】
本発明の光学素子の成形方法によれば、成形室内を不活性ガスを用いてパージする際、上型及び下型にパージガスの流れが直接当らない位置から、比較的低い流速で不活性ガスを吹き込むことによって、下型の上に置かれた成形素材に位置ずれが生ずることを防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記成形室内を減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間をかけて減圧する。
【0013】
また、成形素材のプレス成形を真空中で行う場合には、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱した後、再び成形室内を減圧する際に、大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間をかけて減圧する。
【0014】
例えば、使用される成形装置が、上型を断熱部材を介して背面側から支持する上軸、下型を断熱部材を介して背面側から支持する下軸、及び、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲みその内部に雰囲気調整可能な空間を形成する成形室などから構成されている場合には、成形室の下部、即ち下軸の上端面よりも下側から成形室内に不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージする。
【0015】
更に、前記成形室が、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲む透明石英管、透明石英管の上端側に取り付けられ上軸が貫通する上フランジ、透明石英管の下端側に取り付けられ下軸が貫通する下フランジなどから構成されている場合には、下フランジの内部に形成された供給経路を介して成形室内に不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明による光学素子の成形装置を示す。
【0017】
固定軸2は、フレーム30の上部プレート33から下方に向かって伸び、上フランジ35を貫通している。固定軸2の下端にはセラミック製の断熱筒3を介して上型4が取り付けられている。上型4は、金属製のダイプレート5、セラミック製のコア6及びキャビティダイ7から構成されている。コア6はキャビティダイ7の開口部の中に装着されている。キャビティダイ7はダイプレート5の下面に固定され、コア6はキャビティダイ7によってダイプレート12の下面に固定されている。
【0018】
移動軸9は、フレーム30の下部から固定軸2に対向して上方に伸び、フレーム1の中段に設けられた中間プレート32、及び中間プレート32の上面に固定された下フランジ36を貫通している。移動軸9の上端にはセラミック製の断熱筒10を介して下型11が取り付けられている。下型11は、上型4と同様に、金属製のダイプレート12、セラミック製のコア13及びキャビティダイ14から構成されている。コア13はキャビティダイ14の開口部の中に装着されている。キャビティダイ14はダイプレート12の上面に固定され、コア13はキャビティダイ14によってダイプレート12の上面に固定されている。
【0019】
移動軸9の下端にはロードセル41を介して軸駆動装置8が接続されている。軸駆動装置8はフレーム1のベース31の上に設置されている。移動軸9は、予め制御盤40に入力されているプログラムに従い、速度、位置及び軸荷重などが制御されて上下方向に駆動される。
【0020】
上フランジ35は駆動装置(図示せず)によって上下方向に移動することができる。上フランジ35の下面には、上型4及び下型11の周囲を取り囲むように透明石英管16が取り付けられている。更に、上フランジ35の下側には、透明石英管16の外周を取り囲むように外筒18が取り付けられている。外筒18にはその内壁に沿って赤外線ランプユニット19が取り付けられている。赤外線ランプユニット19は透明石英管16の外側から上型4及び下型11を加熱する様に配置されている。
【0021】
透明石英管16の上端面と上フランジ35の接触面はO−リングによってシールされている。同様に、透明石英管16の下端面と下フランジ36の接触面もO−リングによってシールされている。上部プレート33と上フランジ35の間には、固定軸2の周囲を取り囲むようにベローズ37が取り付けられ、固定軸2の周囲を外界から遮断している。同様に、中間プレート32と移動軸9の中段部との間には、移動軸9の周囲を取り囲むようにベローズ38が取り付けられ、移動軸2の周囲を外界から遮断している。このようにして、透明石英管16の内部に、上型4及び下型11の周囲を外界から遮断する成形室17が構成されている。
【0022】
固定軸2及び移動軸9の内部には、成形室17内に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給するためのガス供給路22及び23がそれぞれ形成されている。これに対応して、上側のダイプレート5にはガス供給路27が形成され、下側のダイプレート12にはガス供給路28が形成されている。不活性ガスは、固定軸2側から、ガス供給路22、断熱筒3の内部及びガス供給路27を経て成形室17内へ供給され、移動軸9側から、ガス供給路23、断熱筒10の内部及びガス供給路28を経て成形室17内へ供給される。上記の二つの経路は、プレス成形の後、上型4及び下型11を冷却する際に使用される。
【0023】
これに加えて、下フランジ36の内部には、成形室17内に不活性ガスを供給するためのガス供給路24が形成されている。この経路は、プレス成形に先立って成形室17内を不活性ガスで置換する際に使用される。
【0024】
成形室17内に供給された不活性ガスは、下フランジ36の内部に形成された排気口25を通って排気される。排気口25には真空計45及びバルブ46、47が取り付けられ、バルブ47は真空ポンプ48に接続されている。また、下型11には熱電対42が取り付けられている。なお、成形室17の内部の真空排気を行う際にガス供給路22、23から成形室17内に前記不活性ガスが流入しない様に、ガス供給路22、23にはバルブ(図示せず)が取り付けられている。
【0025】
上記の成形装置では、上型4及び下型11の間にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を所定の圧力まで減圧し、成形室17内を不活性ガスで置換した後、成形室17内を加熱する。上型4、下型11及び成形素材1がガラス転移点以上の所定の温度に到達した後、再び成形室17内を所定の圧力まで減圧し、次いで、上型4及び下型11を用いて成形素材1のプレス成形を行う。ここで、成形室17内を不活性ガスで置換する際、ガス供給路24から成形室17内に低流速で不活性ガスを吹き込んで内部をパージすることにより、成形室17内に残留している酸素を追い出す。
【0026】
成形室17内を減圧及びパージする際の条件の一例を以下に示す。なお、この例では、上下の型4、11の外径は110mm、透明石英管16の内径は118mm、長さは310mm、である。
【0027】
先ず、成形室17内を5Paまで15secで減圧する。次いで、ガス供給路24から成形室17内に、窒素ガスを流速4m/sec(流量:50NL/min)で吹き込み、成形室17内をパージするとともに、大気圧まで昇圧する。
【0028】
その後、成形室17内の圧力を大気圧に保った状態で、上下の型4、11を加熱する。上下の型4、11が690℃に到達したところで、バルブ47を開き、その開度を調整ながら成形室17内を徐々に減圧し、5Paまで40secで減圧する。成形室17内の圧力が5Pa以下に下がったところで、移動軸9を駆動してプレス成形を行う。
【0029】
プレス成形の終了後、バルブ47を閉じ、ガス供給路22、23を介して窒素ガスを供給しながら、バルブ46を介して窒素ガスを排出し、上下の型4、11及び成形品を冷却する。
【0030】
【発明の効果】
本発明の光学素子の成形方法によれば、不活性ガスを用いて成形室内をパージする際の不活性ガスを吹き込む位置及び流速を制限することにより、下型の上に置かれた成形素材が位置ずれを起こすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の成形方法が使用される成形装置の概略構成図。
【図2】従来の光学素子の成形装置の概略構成図。
【符号の説明】
1・・・成形素材、
2・・・固定軸、
3・・・断熱筒、
4・・・上型、
5、12・・・ダイプレート、
6、13・・・コア、
7、14・・・キャビティダイ、
8・・・軸駆動装置、
9・・・移動軸、
10・・・断熱筒、
11・・・下型、
16・・・透明石英管、
17・・・成形室、
18・・・外筒、
19・・・赤外線ランプユニット、
22、23、24、27、28・・・ガス供給路、
25・・・排気口、
30・・・フレーム、
31・・・ベース、
32・・・中間プレート、
33・・・上部プレート、
35・・・上フランジ、
36・・・下フランジ、
37、38・・・ベローズ、
40・・・制御盤、
41・・・ロードセル、
42・・・熱電対、
45・・・真空計、
46、47・・・バルブ、
48・・・真空ポンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光学レンズやプリズムなどのガラス製の光学素子をプレス成形により製造する方法に係り、特に、プレス成形に先立って成形室内の雰囲気を調整するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学レンズやプリズムなどの高い精度が要求されるガラス製の光学素子は、研磨法の他に、リヒートプレス法と呼ばれる方法によっても製造されている。リヒートプレス法では、先ず、原料のガラスを溶融し、型内で凝固させて所定の粗形状の成形素材(プリフォーム)を製作し、次いで、この成形素材を加熱し、プレス成形を行う。これによって、型面の形状がガラスに転写され、光学素子が得られる。
【0003】
図2に、ガラス製の光学素子を製造する際に使用される装置の一例として、特開平10−330121号公報に記載されている成形装置を示す。
【0004】
固定軸2はフレーム30の上部から下方に向かって伸びており、固定軸2の下端にはセラミック製の断熱筒3を介して上型4が取り付けられている。移動軸9はフレーム30の下部から固定軸2に対向して上方に伸び、移動軸9の上端にはセラミック製の断熱筒10を介して下型11が取り付けられている。移動軸9の下端にはロードセル41を介して軸駆動装置8が接続されている。移動軸9は、予め制御盤40に入力されているプログラムに従い、上下方向に駆動される。
【0005】
上フランジ35の下面には、上型4及び下型11の周囲を取り囲む様に透明石英管16が取り付けられ、透明石英管16の内部に上型4及び下型11の周囲を外界から遮断する成形室17が構成されている。透明石英管16の外側には赤外線ランプユニット19が配置されている。
【0006】
固定軸2及び移動軸9の内部には、成形室17内に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給するためのガス供給路22、23が形成されている。これに対応して、上型4にはガス供給路27が形成され、下型11にはガス供給路28が形成されている。不活性ガスは、固定軸2側から、ガス供給路22、断熱筒3の内部及びガス供給路27を経て成形室17内へ供給され、移動軸9側から、ガス供給路23、断熱筒10の内部及びガス供給路28を経て成形室17内へ供給される。不活性ガスは、成形室17内をパージする際に使用されるとともに、上型4及び下型11を冷却する際に使用される。成形室17内に供給された不活性ガスは、下フランジ36の内部に形成された排気口25を通って排気される。
【0007】
上記の成形装置では、上型4及び下型11の間にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を所定の圧力まで減圧した後、成形室17内を不活性ガスでパージして内部に残留している酸素を追い出す。次いで、上型4、下型11及び成形素材1をガラス転移点以上の所定の温度まで加熱し、再び、成形室17内を所定の圧力まで減圧した後、上型4及び下型11の間で成形素材1のプレス成形を行う。
【0008】
上記のような成形装置では、成形室17内を不活性ガスでパージする際に、パージガスのいきおいが強いため、下型11の上に置かれた成形素材1が所定の位置から移動し、成形品が不良になることが問題になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような光学素子のプレス成形の際の問題点に鑑み成されたもので、本発明の目的は、プレス成形に先立って成形室内を不活性ガスでパージする際に、下型の上に置かれた成形素材がパージガスの流れによって位置ずれを起こすことを防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学素子の成形方法は、
上型及び下型を雰囲気調整可能な成形室内に配置し、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、次いで、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、成形室内に上型及び下型にガスの流れが直接当らない位置から3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする。
【0011】
本発明の光学素子の成形方法によれば、成形室内を不活性ガスを用いてパージする際、上型及び下型にパージガスの流れが直接当らない位置から、比較的低い流速で不活性ガスを吹き込むことによって、下型の上に置かれた成形素材に位置ずれが生ずることを防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記成形室内を減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間をかけて減圧する。
【0013】
また、成形素材のプレス成形を真空中で行う場合には、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱した後、再び成形室内を減圧する際に、大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間をかけて減圧する。
【0014】
例えば、使用される成形装置が、上型を断熱部材を介して背面側から支持する上軸、下型を断熱部材を介して背面側から支持する下軸、及び、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲みその内部に雰囲気調整可能な空間を形成する成形室などから構成されている場合には、成形室の下部、即ち下軸の上端面よりも下側から成形室内に不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージする。
【0015】
更に、前記成形室が、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲む透明石英管、透明石英管の上端側に取り付けられ上軸が貫通する上フランジ、透明石英管の下端側に取り付けられ下軸が貫通する下フランジなどから構成されている場合には、下フランジの内部に形成された供給経路を介して成形室内に不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明による光学素子の成形装置を示す。
【0017】
固定軸2は、フレーム30の上部プレート33から下方に向かって伸び、上フランジ35を貫通している。固定軸2の下端にはセラミック製の断熱筒3を介して上型4が取り付けられている。上型4は、金属製のダイプレート5、セラミック製のコア6及びキャビティダイ7から構成されている。コア6はキャビティダイ7の開口部の中に装着されている。キャビティダイ7はダイプレート5の下面に固定され、コア6はキャビティダイ7によってダイプレート12の下面に固定されている。
【0018】
移動軸9は、フレーム30の下部から固定軸2に対向して上方に伸び、フレーム1の中段に設けられた中間プレート32、及び中間プレート32の上面に固定された下フランジ36を貫通している。移動軸9の上端にはセラミック製の断熱筒10を介して下型11が取り付けられている。下型11は、上型4と同様に、金属製のダイプレート12、セラミック製のコア13及びキャビティダイ14から構成されている。コア13はキャビティダイ14の開口部の中に装着されている。キャビティダイ14はダイプレート12の上面に固定され、コア13はキャビティダイ14によってダイプレート12の上面に固定されている。
【0019】
移動軸9の下端にはロードセル41を介して軸駆動装置8が接続されている。軸駆動装置8はフレーム1のベース31の上に設置されている。移動軸9は、予め制御盤40に入力されているプログラムに従い、速度、位置及び軸荷重などが制御されて上下方向に駆動される。
【0020】
上フランジ35は駆動装置(図示せず)によって上下方向に移動することができる。上フランジ35の下面には、上型4及び下型11の周囲を取り囲むように透明石英管16が取り付けられている。更に、上フランジ35の下側には、透明石英管16の外周を取り囲むように外筒18が取り付けられている。外筒18にはその内壁に沿って赤外線ランプユニット19が取り付けられている。赤外線ランプユニット19は透明石英管16の外側から上型4及び下型11を加熱する様に配置されている。
【0021】
透明石英管16の上端面と上フランジ35の接触面はO−リングによってシールされている。同様に、透明石英管16の下端面と下フランジ36の接触面もO−リングによってシールされている。上部プレート33と上フランジ35の間には、固定軸2の周囲を取り囲むようにベローズ37が取り付けられ、固定軸2の周囲を外界から遮断している。同様に、中間プレート32と移動軸9の中段部との間には、移動軸9の周囲を取り囲むようにベローズ38が取り付けられ、移動軸2の周囲を外界から遮断している。このようにして、透明石英管16の内部に、上型4及び下型11の周囲を外界から遮断する成形室17が構成されている。
【0022】
固定軸2及び移動軸9の内部には、成形室17内に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給するためのガス供給路22及び23がそれぞれ形成されている。これに対応して、上側のダイプレート5にはガス供給路27が形成され、下側のダイプレート12にはガス供給路28が形成されている。不活性ガスは、固定軸2側から、ガス供給路22、断熱筒3の内部及びガス供給路27を経て成形室17内へ供給され、移動軸9側から、ガス供給路23、断熱筒10の内部及びガス供給路28を経て成形室17内へ供給される。上記の二つの経路は、プレス成形の後、上型4及び下型11を冷却する際に使用される。
【0023】
これに加えて、下フランジ36の内部には、成形室17内に不活性ガスを供給するためのガス供給路24が形成されている。この経路は、プレス成形に先立って成形室17内を不活性ガスで置換する際に使用される。
【0024】
成形室17内に供給された不活性ガスは、下フランジ36の内部に形成された排気口25を通って排気される。排気口25には真空計45及びバルブ46、47が取り付けられ、バルブ47は真空ポンプ48に接続されている。また、下型11には熱電対42が取り付けられている。なお、成形室17の内部の真空排気を行う際にガス供給路22、23から成形室17内に前記不活性ガスが流入しない様に、ガス供給路22、23にはバルブ(図示せず)が取り付けられている。
【0025】
上記の成形装置では、上型4及び下型11の間にガラス製の成形素材1をセットし、成形室17内を所定の圧力まで減圧し、成形室17内を不活性ガスで置換した後、成形室17内を加熱する。上型4、下型11及び成形素材1がガラス転移点以上の所定の温度に到達した後、再び成形室17内を所定の圧力まで減圧し、次いで、上型4及び下型11を用いて成形素材1のプレス成形を行う。ここで、成形室17内を不活性ガスで置換する際、ガス供給路24から成形室17内に低流速で不活性ガスを吹き込んで内部をパージすることにより、成形室17内に残留している酸素を追い出す。
【0026】
成形室17内を減圧及びパージする際の条件の一例を以下に示す。なお、この例では、上下の型4、11の外径は110mm、透明石英管16の内径は118mm、長さは310mm、である。
【0027】
先ず、成形室17内を5Paまで15secで減圧する。次いで、ガス供給路24から成形室17内に、窒素ガスを流速4m/sec(流量:50NL/min)で吹き込み、成形室17内をパージするとともに、大気圧まで昇圧する。
【0028】
その後、成形室17内の圧力を大気圧に保った状態で、上下の型4、11を加熱する。上下の型4、11が690℃に到達したところで、バルブ47を開き、その開度を調整ながら成形室17内を徐々に減圧し、5Paまで40secで減圧する。成形室17内の圧力が5Pa以下に下がったところで、移動軸9を駆動してプレス成形を行う。
【0029】
プレス成形の終了後、バルブ47を閉じ、ガス供給路22、23を介して窒素ガスを供給しながら、バルブ46を介して窒素ガスを排出し、上下の型4、11及び成形品を冷却する。
【0030】
【発明の効果】
本発明の光学素子の成形方法によれば、不活性ガスを用いて成形室内をパージする際の不活性ガスを吹き込む位置及び流速を制限することにより、下型の上に置かれた成形素材が位置ずれを起こすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の成形方法が使用される成形装置の概略構成図。
【図2】従来の光学素子の成形装置の概略構成図。
【符号の説明】
1・・・成形素材、
2・・・固定軸、
3・・・断熱筒、
4・・・上型、
5、12・・・ダイプレート、
6、13・・・コア、
7、14・・・キャビティダイ、
8・・・軸駆動装置、
9・・・移動軸、
10・・・断熱筒、
11・・・下型、
16・・・透明石英管、
17・・・成形室、
18・・・外筒、
19・・・赤外線ランプユニット、
22、23、24、27、28・・・ガス供給路、
25・・・排気口、
30・・・フレーム、
31・・・ベース、
32・・・中間プレート、
33・・・上部プレート、
35・・・上フランジ、
36・・・下フランジ、
37、38・・・ベローズ、
40・・・制御盤、
41・・・ロードセル、
42・・・熱電対、
45・・・真空計、
46、47・・・バルブ、
48・・・真空ポンプ。
Claims (10)
- 上型及び下型を雰囲気調整可能な成形室内に配置し、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、次いで、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、成形室内に上型及び下型にガスの流れが直接当らない位置から3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 前記成形室内を減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間で減圧することを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形方法。
- 上型及び下型を雰囲気調整可能な成形室内に配置し、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、再び成形室内を減圧した後、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、成形室内に上型及び下型にガスの流れが直接当らない位置から3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 前記成形室内を減圧する際及び前記成形室内を再び減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間で減圧することを特徴とする請求項3に記載の光学素子の成形方法。
- 上型を断熱部材を介して背面側から支持する上軸、下型を断熱部材を介して背面側から支持する下軸、及び、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲みその内部に雰囲気調整可能な空間を形成する成形室を備えた成形装置を用いて、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、次いで、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、下軸の上端面よりも下側から成形室内に3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 前記成形室は、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲む透明石英管と、透明石英管の上端側に取り付けられ上軸が貫通する上フランジと、透明石英管の下端側に取り付けられ下軸が貫通する下フランジとを備え、
前記不活性ガスは、下フランジの内部に形成された供給経路を通って前記成形室内に吹き込まれることを特徴とする請求項5に記載の光学素子の成形方法。 - 前記成形室内を減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間で減圧することを特徴とする請求項5に記載の光学素子の成形方法。
- 上型を断熱部材を介して背面側から支持する上軸、下型を断熱部材を介して背面側から支持する下軸、及び、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲みその内部に雰囲気調整可能な空間を形成する成形室を備えた成形装置を用いて、下型の上にガラス製の成形素材をセットし、成形室内を減圧し、成形室内を不活性ガスで置換した後、上型及び下型及び成形素材を所定の温度まで加熱し、再び成形室内を減圧した後、上型及び下型の間で成形素材のプレス成形を行う光学素子の成形方法において、
前記成形室内を不活性ガスで置換する際、下軸の上端面よりも下側から成形室内に3m/sec以上30m/sec以下の流速で不活性ガスを吹き込んで、成形室内をパージすることを特徴とする光学素子の成形方法。 - 前記成形室は、上軸の下端部分から下軸の上端部分までの範囲を周囲から取り囲む透明石英管と、透明石英管の上端側に取り付けられ上軸が貫通する上フランジと、透明石英管の下端側に取り付けられ下軸が貫通する下フランジとを備え、
前記不活性ガスは、下フランジの内部に形成された供給経路を通って前記成形室内に吹き込まれることを特徴とする請求項8に記載の光学素子の成形方法。 - 前記成形室内を減圧する際及び前記成形室内を再び減圧する際、成形室内を大気圧から5.0Pa以下の圧力まで5sec以上40sec以下の時間で減圧することを特徴とする請求項8に記載の光学素子の成形方法。
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JP2002249275A JP2004083368A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 光学素子の成形方法 |
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WO2007083719A1 (ja) * | 2006-01-19 | 2007-07-26 | Asahi Glass Co., Ltd. | プレス成型装置 |
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2002
- 2002-08-28 JP JP2002249275A patent/JP2004083368A/ja active Pending
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WO2007083719A1 (ja) * | 2006-01-19 | 2007-07-26 | Asahi Glass Co., Ltd. | プレス成型装置 |
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