JP2004081204A - RasGEFモチーフを有する新規ポリペプチド及びそれをコードするDNA - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の塩基配列から成るDNAと同一又は実質的に同一のアミノ酸配列の一部又は全部から成るポリペプチド、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、前記ポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、RasGEF(Guanine nucleotide Exchange Factor for Ras−like small GTPases)蛋白質に特徴的なモチーフを有し、かつ脳に強発現が認められる新規DNA及び該DNAを含む遺伝子、該DNAにコードされる新規ポリペプチド及び該ポリペプチドを含む組換え蛋白質、並びに、新規ポリペプチドに対する抗体等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のヒトゲノムプロジェクト及びヒトcDNAプロジェクトの成功により、多くのヒト疾患関連遺伝子が同定あるいは推定されるにいたった。しかしながらその一方で倫理上の問題からヒト遺伝子を用いた研究には制約があり、新たな研究の方向性が模索されている。このような観点からモデル生物における相同遺伝子を同定することは、研究を進展させる意味できわめて重要なステップと考えられる。特にマウスは最も研究が進んでいるモデル生物で、ゲノム情報や変異種の情報も比較的多く蓄積されているが、蓄積されたゲノム情報はまだ十分なものではない。一方、生体内で発現している遺伝子を解析する手段として、cDNAの配列をランダムに解析する研究がなされ、得られたcDNAの断片配列がExpressed Sequence Tag(EST)としてデータベースに登録、公開がなされた。しかし、多くのESTは100塩基長から500塩基長といった短い塩基配列情報のみであり、その機能を推定することは困難である。
【0003】
脳、神経系では、多くのホルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわれている。また、機能の調節には、機能を受け持つ特異的な細胞の増殖あるいは同細胞の活性化が関係している。従って、脳に強く発現している新規な遺伝子を取得して、それにコードされる脳、神経系における複雑な機能を調節する蛋白質を得ることは、医薬品開発に有用である。また、得られた蛋白質に対するアゴニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニングし、医薬品を開発するためには、生体内で発現している該蛋白質の遺伝子の機能をホモロジー検索から推定し、その情報を基にして該蛋白質を適当な発現系で発現させて組換え蛋白質を得、更にして該蛋白質に特異的に結合する抗体を得ることが必要であった。
【0004】
長鎖ヒトcDNAプロジェクトにて、ヒト脳由来のヒトKIAA1768遺伝子(DNA Research,2000,7:347−355)が報告されているが、その機能については不明であった。ヒトKIAA1768遺伝子は染色体10q26.3に存在し、更に、ヒトKIAA1768遺伝子のSNPsも複数箇所報告されており(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/snp_ref.cgi?locusId=85442)、ヒト疾患の大部分が単なる遺伝子の欠失によって引き起こされるのではなくて、アミノ酸置換によって蛋白質の機能や活性が一部分だけ変化することにより引き起こされることを鑑みると、ヒトKIAA1768遺伝子は癌やPrader−Willi−like syndrome(Genet Couns 2000;11(2):119−26)のような先天性疾患に関与している可能性が考えられる。しかしながら、ヒトKIAA1768遺伝子にコードされる蛋白質に特徴的なモチーフが認められず遺伝子情報としては不十分であり、ヒトKIAA1768遺伝子の機能を推定することが出来なかった。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
従来、ヒト長鎖cDNAプロジェクトでヒトKIAA1768遺伝子が取得されていたが、遺伝子情報が完全でなくその機能が不明であった。一方、脳・神経系で発現する新規遺伝子を取得し、該遺伝子、該遺伝子がコードする蛋白質あるいはその蛋白質に特異的に結合する抗体を得ることは、細胞内で該蛋白質が他の蛋白質との結合を阻害する化合物を、あるいはシグナル伝達等に影響及ぼす化合物をスクリーニングするのに重要である。
【0006】
従って、ヒトKIAA1768遺伝子に関連する新規遺伝子を取得し、新規モチーフを取得し、同遺伝子の組織特異的発現パターンを得て、該新規遺伝子がコードする蛋白質の機能に関する情報を得ることは、該蛋白質の特異的結合蛋白質や、アゴニスト、アンタゴニストを検索する際の非常に重要な手段となる。上記の蛋白質の特異的結合蛋白質が見出されなくても、該蛋白質の不活化実験(例えばノックアウト動物の作製)から該蛋白質の生理作用を解析することにより、該蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストを作製することが可能であり、該蛋白質に対する特異的結合蛋白質、アゴニストまたはアンタゴニストなどは、脳・神経系疾患の患者の機能不全に関連する疾患の予防あるいは治療薬や診断薬として活用することが可能となる。生体での該蛋白質の機能の低下または昂進が、脳・神経系の疾患の原因となっている場合が考えられる場合がある。この場合には、該蛋白質に対するアンタゴニストやアゴニストの投与だけでなく、該蛋白質の脳・神経系への投与や、該蛋白質をコードする遺伝子に対するアンチセンス核酸の投与、あるいは該遺伝子を用いた遺伝子治療に応用することもできる。この場合には該蛋白質の塩基配列は、脳・神経系疾患の患者の遺伝子欠失や変異の有無を調べるために必要な情報であり、該蛋白質をコードする遺伝子は、該蛋白質の機能不全に関与する疾患の予防あるいは治療薬や診断薬に応用することが出来る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、マウス脳由来のcDNAライブラリーから、ヒトKIAA1768遺伝子に高いホモロジーを示す遺伝子(DNA)をクローニングし、N−末端側及びC−末端側にヒトKIAA1768遺伝子になかった全く新しい配列が付加していること、またC−末端側にRasGEF(Guanine nucleotide exchange factor for Ras−like small GTPases)に特異的なモチーフを有することを発見し、新規ポリペプチドとそれに特異的な抗体を得て、本発明を完成するに至った。更に、ホモロジー検索により、本発明のマウス由来のポリペプチドと実質的に相同な遺伝子から由来するヒトポリペプチドのアミノ配列取得した。
【0008】
即ち、本発明は第一の態様として、以下の(a)のポリペプチドをコードする塩基配列から成るDNA:(a)配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列の一部(例えば、以下に示すRasGEFモチーフの少なくとも一つを有するもの)又は全部から成るポリペプチド;又は(b)配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの一部又は全部と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド、に係る。
本発明の第二の態様として、以下の(a)のDNA:(a)配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1で示されるアミノ酸配列(配列番号:2の塩基対第1〜5310番目)の一部(例えば、以下に示すRasGEFモチーフの少なくとも一つを有するもの)又は全部をコードするDNA;(b)(a)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA;又は(c)(a)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、(a)のポリペプチドの一部又は全部と実質的に同質の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNAに係る。以上の本発明の第一及び第二の態様であるDNAをまとめて、以下、「本発明のDNA」ともいう。本発明のDNAは、新規ポリペプチドをコードするものである。又、本発明はこれらDNAを含む哺乳動物由来遺伝子、哺乳動物が齧歯類又はヒトである該遺伝子、特に齧歯類がマウスであるマウス遺伝子にも係る。特に、マウス遺伝子は「マウスKIAA1768遺伝子」ともいう。
更に、本発明は本発明のDNA又は遺伝子にコードされるポリペプチド(以下、「本発明のポリペプチド」ともいう。)、例えば、本発明のDNA又は遺伝子を導入した宿主細胞で作製される組換え蛋白質であるポリペプチド(以下、「KIAA1768蛋白質」ともいう)に係る。
また、本発明は、本発明のDNA又は遺伝子を含む組換えベクター、及び、本発明のポリペプチド若しくはその部分ペプチド又は該ポリペプチドを含む組換え蛋白質を又はそれらの塩に特異的に結合する抗体に係る。
【0009】
また、本発明のDNA及び該DNAを含む遺伝子、該DNAにコードされる新規ポリペプチド及び該ポリペプチドを含む組換え蛋白質、該ポリペプチドに対する抗体を用いることによって、該蛋白質の発現量を変化させる化合物、該蛋白質に結合する蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)のスクリーニング方法、該スクリーニング用キット、該スクリーニング方法などを提供する。更に、本発明ポリペプチド若しくはその部分ペプチド又は該ポリペプチドを含む組換え蛋白質を又はそれらの塩を用いることを特徴とする、それら物質と特異的に結合する物質のスクリーニング方法、並びにスクリーニング用キット等も提供する。
【0010】
更に、本発明は、本発明のDNA、本発明のDNAを含有する組換えベクター又は発現ベクター、該ベクターを保持する形質転換体、該形質転換体を培養し、本発明のポリペプチドの一部あるいは全長のポリペプチドを含む組換え蛋白質を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする、本発明のポリペプチド若しくは該ポリペプチドを含む組換え蛋白質、又はその塩の製造方法、及び、こうして得られる本発明のポリペプチドの一部あるいは全長のポリペプチドを含む組換え蛋白質またはその塩を提供する。又、本発明は、本発明のDNAを含有してなる医薬、本発明のポリペプチド若しくはその部分ペプチド又は該ポリペプチドを含む組換え蛋白質をコードするDNAに実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンスヌクレオチド又はそれらを含有してなる医薬、本発明のポリペプチド若しくはその部分ペプチド又は該ポリペプチドを含む組換え蛋白質を含有してなる医薬を提供する。
更に、本発明は、本発明DNA、本発明ポリペプチド、その部分ポリペプチド若しくは該ポリペプチドを含む組換え蛋白質、又は、本発明のDNA又は遺伝子に対する抗体を網羅的に作成し、それらを集積させて得られる、所謂、DNAチップ(アレイ)、プロテインチップにも係る。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のDNAは、かずさDNA研究所で採取されたマウス脳由来のmRNAを出発材料として、本発明者が調製したcDNAライブラリーから、cDNA断片として単離した後に、塩基配列を決定し同定したものである。即ち、具体的には、小原他の方法(DNA Research,1997,4:53−59)に従って調製したマウス脳由来のcDNAライブラリーから、約45,000個の組換え体を選択した。次に、このクローンのうち約8,000個の3’末端DNA配列を決定し、その中から、ヒトKIAA1768遺伝子に高い相同性を有するクローンを選択し全塩基配列の決定を行なった。次に、こうして得られた全塩基配列に基づき、DNA解析プログラム(GCG, Fasta& Blast)を用いてホモロジー検索を行なった。その結果、ヒトKIAA1768遺伝子がコードするアミノ酸配列と配列番号:1で示されるアミノ酸配列の63番目から1,212番目の1,150アミノ酸について比較したところ、アミノ酸レベルで約68%という有意な相同性を有する、配列番号:2に示される塩基配列を有するクローンを取得した(クローン名:mbg99998)。
【0012】
取得したmbg99998にコードされるポリペプチド(本発明のポリペプチド)のアミノ酸配列は1,770アミノ酸であり、ヒトKIAA1768遺伝子にコードされている蛋白のアミノ酸配列の1,207(DNA Research,2000,7:347−355)に比較し長く伸びていた。得られた本発明のポリペプチドのアミノ酸配列について、以下の実施例に記載したようにホモロジー検索を行った結果、本発明のポリペプチドではヒトKIAA1768遺伝子にコードされているポリペプチドに比較し、N−末端側1−62番目の62個のアミノ酸配列、及びC−末端側の1,213−1,770番目の558個のアミノ酸配列が新規に付加されていることが判明した。新規に付加されていたN−末端側62個のアミノ酸配列、及びC−末端側558個のアミノ酸配列について公共のデーターベースを用いてホモロジー検索を行った結果、N−末端側62個のアミノ酸配列は新規、またC−末端側558個のアミノ酸配列についてはC−末端から165個のアミノ酸配列を除き新規であることが判明した。尚、C−末端から165個のアミノ酸配列は、GeneBankに登録されているAK057756の165個のアミノ酸配列と高いホモロジー(94%)を示した。 尚、配列番号:2に示される塩基配列を有する本発明のDNAを含むプラスミド(プラスミド表示名: mbg99998)は、茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年6月11日付けで寄託され、受託番号FERM P−18884が付されている。
【0013】
ヒトKIAA1768遺伝子の配列が3925bp(DNA Research,2000,7:347−355)から5514 bpに訂正されているが(http://www.kazusa.or.jp/huge/gfpage/KIAA1768/)、コードされているポリペプチドのアミノ酸配列の長さは1,207と変更されていない。ヒトKIAA1768遺伝子ホモログを詳細に研究することにより、N−末端側にはさらにポリペプチドがコードされている可能性について検証される可能性がある。本発明のDNAにコードされているポリペプチドのアミノ酸配列の長さは1,770であるが、本発明のDNAに対するホモログについて更に詳細に研究することにより、N−末端側に更に伸張してポリペプチドがコードされていることを見つける可能性がある。N−末端側に存在する可能性のある更なるドメインの解明は、本発明のペプチド、すなわちKIAA1768蛋白質の新たな機能を明らかにする上で極めて重要な課題と考えられる。尚、本明細書実施例において、実際に、マウス由来の配列番号:1で示されるアミノ酸配列と相同なヒト由来アミノ配列の1つを、公共のデーターベースから取得し、配列番号:16として示した。
【0014】
尚、当業者であれば、本明細書によって初めて開示された配列番号:2に示した塩基配列に基づいてクローンの5’側に適当なプライマー(例えば、配列番号:2の塩基対第61〜80番目5’− GCGCAGGCCCTGCTGAGCGC −3に対応させて合成した配列5’− GCGCTCAGCAGGGCCTGCGC −3’ )を調製し、該プライマーと市販されている哺乳動物脳由来のmRNAとハイブリダイゼーションを行なった後に逆転反応を行なうことにより本発明のDNAの上流側(遺伝子の5’側)の領域を含む新たなcDNA断片を特異的に合成することができる。合成した5’側の領域を含む新たなcDNA断片をプラスミドに挿入した後、配列番号2の一部分をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーションのような相同性クローニングによって、本発明のDNAを含む哺乳動物由来KIAA1768遺伝子の全領域を調製することが可能である。あるいは他の方法で、例えば次のような方法を用いても遺伝子の5’側が更に伸張した塩基配列を得ることが出来る。すなわち、本発明のDNAをプローブとして用いれば、コロニーハイブリダイゼーションのような相同性クローニングによって、ヒトを含めた各種哺乳動物由来KIAA1768遺伝子の5’末端領域を調製することができる。更に、本発明のDNA配列及び本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が開示されている以上、当業者であれば、これらの情報に基づき、ヒトを含めた各種哺乳動物由来KIAA1768遺伝子の5’末端領域を容易に取得することが出来る。又、短い断片や得られた配列に人工的な間違いが起こらないように十分な注意を払いながら、RACE等のPCR法を使用することによっても、ヒトを含めた各種哺乳動物由来KIAA1768遺伝子の全領域を調製することが可能である。
【0015】
本発明のDNAとしては、前述した本発明のポリペプチドをコードする塩基配列から成るものであればいかなるものであってもよい。また、脳、又は、それ以外の組織、例えば、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、精巣、等の細胞・組織に由来するcDNAライブラリー等から同定・単離されたcDNA、又は、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリー作成に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA画分またはmRNA画分を調製したものを用いて、直接ReverseTranscriptase Polymerase Chain Reaction(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって増幅することもできる。
【0016】
配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号:1又は配列番号:16で示される全アミノ酸配列との相同性の程度が、全体の平均で約60%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上であるアミノ酸配列を意味する。従って、本発明の配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチドとしては、例えば、前記の配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列に対して上記の相同性を有し、配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチドを挙げることが出来る。ここで、実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。又、本発明のポリペプチドには、例えば、配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列中の一部(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列、或いはそれらを組み合わせたアミノ酸配列から成り、配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチドも含まれる。
【0017】
更に、本発明のDNAは、例えば、配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1で示されるアミノ酸配列をコードするDNA、又は、該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、好ましくは更に配列番号:1で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドと同質の生物学的活性を有するポリペプチド(蛋白質)をコードするDNAであればいずれのものでもよい。かかる条件下で、配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAとハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該DNAの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約60%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上である塩基配列を含有するDNA等を挙げることが出来る。ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、DIG DNA Labeling (ベーリンガー・マンハイム社製Cat No. 1175033)でプローブをラベルした場合に、32℃のDIG Easy Hyb溶液(ベーリンガー・マンハイム社製Cat No. 1603558)中でハイブリダイズさせ、40℃の0.1xSSC溶液(0.1%[w/v]SDSを含む)中でメンブレンを洗浄する条件(1xSSCは0.15MNaCl,0.015Mクエン酸ナトリウムである)でのサザンブロットハイブリダイゼーションで本発明ヒトDNAプローブにハイブリダイズする程度の条件である。
【0018】
本発明のDNAのクローニングの手段としては、本発明のポリペプチドの部分等の適当な塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、Molecular Cloning2nd(J. Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。DNAの塩基配列の変換は、公知のキット、例えば、SuperScript II逆転写酵素キット(ギブコBRL社)等を用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。クローン化されたポリペプチドをコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
【0019】
本発明のポリペプチドの発現ベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することが出来る。例えば、(1)本発明のDNA又は本発明のDNAを含む哺乳動物由来遺伝子を含有するDNA断片を切り出し、(2)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18,pUC118)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、あるいはSV40、CMVウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、ウシパピローマウイルスなどの動物ウイルス由来配列を使用した発現ベクター等を利用することが出来る。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーター、HSPプロモーター、メタロチオネインプロモーターなどが挙げられる。
【0020】
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ、ヒスチジンタグ、カルモデュリンバインディング蛋白質、及びプロテインA等)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、適当なプロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することが出来る。
【0021】
宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12由来のDH1(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,60巻,160(1968)),JM103(Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)),JA221(Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)),及びHB101(Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969))、あるいはエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)B株等が用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114(Gene,24巻,255(1983)),207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕等が用いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)AH22,AH22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)等が用いられる。動物細胞としては、例えば、サル腎臓細胞由来COS−1,COS−7,Vero細胞,チャイニーズハムスターCHO細胞(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr−)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3細胞,ヒトFL細胞、ヒトHela細胞あるいはヒトミエローマ細胞などが用いられる。
【0022】
これら宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことが出来る。例えば、以下に記載の文献を参照することが出来る。Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972); Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及びVirology,52巻,456(1973)。
【0023】
このようにして得られた、本発明のDNAを含む哺乳動物由来遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、当該技術分野で公知の方法に従って培養することが出来る。例えば、宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常、約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培養は通常、pH約5〜8に調整された培地を用いて約20〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、pHは約6〜8に調整された培地を用いて、通常約30〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加えることもできる。
【0024】
上記培養物から本発明のポリペプチドを分離精製するには、例えば、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中に蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。こうして得られた本発明のポリペプチド(蛋白質)は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、メチオニンアミノペプチダーゼを用いてN−末端メチオニンを除去したり、ミリストイル転移酵素を用いてN−末端アミノ酸のミリストイル化を行ったり、アセチルトランスフェラーゼを用いてN−末端アミノ酸のアセチル化を行ったり、或いはその他の修飾酵素を用いることにより任意にアミノ酸の修飾を行うことが出来る。又、C−末端を修飾するプロセシングカルボキシルペプチダーゼ、C−末端アミド化酵素等を作用させてC−末端アミノ酸を修飾することも出来る。更に、トリプシン、キモトリプシン、FactorXa、トロンビン、又は、KEX2プロテアーゼのような適当な蛋白限定分解酵素を作用させることにより、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。
融合蛋白質として産生させた場合には、適当な蛋白質限定分解酵素を用いて不必要なポリペプチド部分を除去することもできる。
本発明ポリペプチド(蛋白質)又はその塩の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
【0025】
本発明のポリペプチド(蛋白質)は、C−末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO−)であるが、C−末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルエステルなどが用いられる。
【0026】
本発明のポリペプチド(その存在状態は蛋白質である)がC−末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の蛋白質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC−末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明の蛋白質には、N−末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN−末端のグルタミン酸残基がピログルタミン化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上にある、例えばOH、COOH、NH2、SHなどが適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
【0027】
本発明のポリペプチドの一部からなるペプチドとしては、前記した本発明のポリペプチド(その存在状態は蛋白質である)の部分ペプチドであって、実質的に同質の活性を有するものであればいずれのものでもよい。例えば、本発明のポリペプチド(蛋白質)の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、さらに好ましくは70個以上、より好ましくは100個以上、最も好ましくは200個以上のアミノ酸配列を有し、例えば、本発明の組換え蛋白質と実質的に同質の生物学的活性を有するするペプチドなどが用いられる。このような部分ペプチドの具体例としては、配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列の中の、以下に記載するようなRasGEFモチーフ部分の少なくとも一つを有するものを挙げることが出来る。
又、本発明の部分ペプチドはC−末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO−)であるが、前記した本発明の蛋白質のごとく、C末端がアミド(−CONH2 )またはエステル(−COOR)であってもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本発明の蛋白質と同様に、N−末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N−末端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
【0028】
本発明のポリペプチド(その存在状態は蛋白質である)又はその一部からなるペプチドの塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0029】
本発明のポリペプチド(その存在状態は蛋白質である)、その一部からなるペプチドもしくはそれらの塩またはそれらのアミド体は、当該技術分野で公知の化学合成方法を用いて調製することも出来る。例えば、通常市販されている蛋白質合成用樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とする蛋白質の配列通りに、当業界において自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂から蛋白質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の蛋白質、その部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、例えば、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、及びN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドのようなカルボジイミド類に代表される蛋白質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対照とする酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0030】
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、酸アミド類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、スルオキシド類、及びエーテル類等、当業界において蛋白質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。原料の各アミノ基、カルボキシル基、及びセリン水酸基等の保護基としても、当該技術分野において、通常使用される基を使用することができる。原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
【0031】
一部からなるペプチドまたはそれらの塩は、当該技術分野において自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の蛋白質を適当な蛋白質限定分解酵素で切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(1)〜(3)に記載された方法が挙げられる。
(1)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(2)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座1、 蛋白質の化学IV、 205、(1977年)(3)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店。又は、一部からなるペプチドは、例えば、C−末端から十数残基の配列或いは配列番号:1で示されるアミノ酸配列の任意の場所の十数残基の部分を公知のペプチド合成装置等を用いて合成することが出来る。更に、このような部分ぺプチドは組換え蛋白質として前述の遺伝子組換え技術を用いて製造しても良い。
反応後の精製も自体公知の方法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0032】
本発明のポリペプチド(その存在状態は蛋白質である)、その一部からなるペプチドまたはそれらの塩と特異的に結合する抗体は、それらを特異的に認識し得るものであれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。本発明のポリペプチド(蛋白質)、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のポリペプチド(蛋白質)又はその部分ペプチドを抗原として用い、当業者に公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。このように免疫原として使用できる部分ペプチドのれいとして、配列番号1に示される本発明ポリペプチドのC末端における十数個〜100個程度の連続したアミノ酸から成るぺプチドを挙げることが出来る。
例えば、ポリクローナル抗体の場合には、上記抗原を単独、又は、セルロース、重合アミノ酸、アルブミン等の適当な担体に結合させて、アジュバントの存在又は非存在下で、例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどの適当な動物に対して免疫誘導することによって容易に得ることが出来る。ポリクローナル抗体は免疫された動物の血清から公知の様々な方法によって回収及び精製することが出来る。
一方、モノクローナル抗体を製造するためには、例えば、上記の免疫された動物から抗体産生細胞(例えば、脾臓又はリンパ節由来)を回収し、公知の不死化増殖細胞(例えば、P3X63Ag8株等の骨髄腫細胞株)との細胞融合により、ハイブリドーマを作成する。これを更にクローニングし、本発明のポリペプチド等に特異的に認識する抗体を生産しているハイブリドーマのクローンを選別し、該ハイブリドーマの培養液からモノクローナル抗体を回収し精製することによって容易に得ることが出来る。
尚、合成ペプチドに対する抗体の作成と精製に関する参考文献として、例えば、新細胞工学実験プロトコル、東大医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年、2−2−2、「合成ペプチドに対する抗体の作成」、p.210−217 を挙げることが出来る。
更に、当業者には公知である様々な遺伝子工学的手法により、こうして得られた抗体の抗原決定基等を含む、ヒト化抗体等の各種キメラ抗体も容易に製造することが出来る。
本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のポリペプチド(蛋白質)等を検出するために使用することができる。また、これらを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のポリペプチド(蛋白質)の検出、被検細胞内における本発明のポリペプチド(蛋白質)の挙動の分析などのために使用することができる。
【0033】
更に、本発明の抗体は、公知の方法による被検液中の本発明のポリペプチド(蛋白質)等の定量、特に、モノクローナル抗体を使用したサンドイッチ免疫測定法による定量、及び組織染色等による検出などに使用することができる。それによって、例えば、本発明のポリペプチド(蛋白質)等が関与する疾病の診断を行なうことができる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab’)2 、Fab’、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明の蛋白質等の定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、蛋白質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、当該技術分野で公知の、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などを用いることが出来る。
【0034】
これらの測定・検出方法に関する一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書Vol. 73(Immunochemical Techniques(PartB))、同書Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:HybridomaTechnology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
【0035】
本発明のポリペプチド(蛋白質)又はその一部分からなるペプチドをコードするDNAに実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンスDNAとしては、当該DNAの塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列の全塩基配列または部分塩基配列と約95%以上、最も好ましくは100%の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。又、これらアンチセンスDNAと同様の作用を有する核酸配列(RNAまたはDNAの修飾体)も本発明でいうアンチセンスDNAに含まれる。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
【0036】
更に、本発明のポリペプチド(蛋白質)等は、これら物質の活性を阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有用である。すなわち、本発明は、本発明のポリペプチド(蛋白質)、その一部からなるペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする、該物質又はそれらの塩の活性を阻害する化合物(以下、「阻害剤」ともいう)のスクリーニング方法、及びその為のスクリーニング用キットを提供する。本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のポリペプチド(蛋白質)等の生物学的活性を阻害する化合物である。該化合物またはその塩は、本発明の蛋白質等の活性を直接阻害するものであってもよいし、本発明のポリペプチド(蛋白質)等の発現を阻害することによって間接的に本発明のポリペプチド(蛋白質)等の活性を阻害するものであってもよい。該化合物の塩としては、例えば、薬学的に許容可能な塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。本発明のポリペプチド(蛋白質)等の生物学的活性を阻害する化合物も上記各種疾病に対する治療・予防剤などの医薬として使用できる可能性がある。
【0037】
本発明のDNA及び該DNAを含む哺乳動物由来遺伝子をプローブとして使用することにより、ヒトにおける本発明のポリペプチド又はその一部分からなるペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(Genomics,第5巻,874〜879頁(1989年)、Proceedings of the National Academy of Sciences of the UnitedStates of America,第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。更に、KIAA1768遺伝子に異常があったり、欠損している場合あるいは発現量が減少している場合、生体内において正常な機能を発揮できない患者に対しては、公知手段に従って(1)レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターをベヒクルとして使用する遺伝子治療によって、本発明のDNA又は哺乳動物由来遺伝子を該患者体内に導入し、発現させるか、又は(2)本発明のポリペプチド(蛋白質)等を該患者に注入すること等によって、該患者において本発明の蛋白質等の機能を発揮させることができるものと考えられる。前者の場合、本発明のDNA又は哺乳動物由来遺伝子を適当なベクターをベヒクルとして使用し、ベクターにのせた形の該DNAを単独、又は、摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することも可能である。
【0038】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUBCommision on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0039】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕本発明のマウス由来のポリペプチドのアミノ酸配列(アミノ酸数:1,770)を示す。
〔配列番号:2〕配列番号:1で示されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードするDNAの塩基配列を含む、クローンmbg99998の全塩基配列(6,892塩基対)を示す。
〔配列番号:16〕本発明のヒト由来のポリペプチドのアミノ酸配列(アミノ酸数:1,737)を示す。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、実施例における各種遺伝子操作は、Molecular cloning third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001)に記載されている方法に従った。
【0041】
(1)マウス脳由来cDNAライブラリーの構築
AtttB2部位を有するオリゴヌクレオチド:5’−FgcGCACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGCGGCCGC(T)18−3’(F、gおよびcは、フルオレッセイン基、フォスフォロチオエイト修飾G、C残基を表す)をプライマーとして、マウスの成体(8週令雄のBALB/cマウス)脳由来mRNAを鋳型にSuperScriptII逆転写酵素キット(インビトロジェン社製)で2本鎖cDNAを合成した。これにattB1部位を有するアダプターをcDNAにライゲーションした。その後、アガロースゲルで1kb−2kb、2kb−3kb、3kb−5kb、5kb−7kb、7kb−11kbと11kb−13kbにcDNAをサイズ分画した。これらを、サイズを小さくしたattP pSPORT−1エントリーベクター(インビトロジェン社製)にBP反応により移し換えた後、大腸菌ElectoroMax DH10B株(インビトロジェン社製)にエレクトロポーレーション法により導入した。プレートに出現した106個以上の形質転換体を集め、液体培地中で、37℃で2−3時間培養した後プラスミドを調製した。スーパーコイルドプラスミドの形でサイズ分画した後、LR反応によりattRpBCデスティネーションベクター(インビトロジェン社製)にcDNAを移し換えた。このプラスミドを精製後、DH10B株にエレクトロポーレーション法により導入し、各分画が期待されるサイズになるまで、上記の分画操作を2−3回繰り返した。最後に各分画ごとにDH10B株にプラスミドを導入した。なお、ここで用いた試験管内での相同組み換え反応を利用したクローニングシステムは小原等の方法 (Nucreic Acids Res., 29, e22 (2001)およびDNA Research Vol.9, 47−57(2002)) に従った。
次に、5kb−7kb画分に含まれる約8,000個のクローンの末端DNA配列を決定した。この中から、ヒトKIAA1768に相同性が高いクローンのcDNAに関して全塩基配列の決定を行なった。配列決定には、アプライドバイオシステム社製のDNAシークエンサー(ABI PRISM3700)と同社製反応キットを使用した。大部分の配列はショットガンクローンをダイターミネーター法を用いて決定した。一部の塩基配列については、決定した塩基配列を元にしてオリゴヌクレオチドを合成し、プライマーウォーキング法で決定した。
【0042】
(2)ホモロジー検索による本発明DNAを含むクローンの決定
次に、こうして得られた全塩基配列に基づき、DNA解析プログラム(Fasta & Blast)を用いたホモロジー検索を実施したところ、公開されているデータベースの中のヒトKIAA1768遺伝子と高いホモロジーを示す候補クローンmbg99998が見出された。更に、別のDNA解析プログラム(BESTFIT)を用いて、このクローンmbg99998とヒトKIAA1768のアミノ酸配列と塩基配列について比較したところ、ヒトKIAA1768遺伝子がコードするアミノ酸配列と配列番号:1で示されるアミノ酸配列の63番目から1,212番目の1,150アミノ酸について、アミノ酸レベルで約68%のホモロジーを示し、DNAレベルでは配列番号:2で示される塩基配列の193番目から799番目の607塩基、及び1,451番目から1,991番目の541塩基についてともに約83%のホモロジーを有していることが判明した。
【0043】
(3)モチーフ検索
更に,本発明のDNAに関して、PROSITE databaseを検索するための蛋白質解析プログラムであるpftools (Bairoch A, Bucher P, Hofmann K, Nucleic AcidsRes. 1997 Jan 1;25(1):217−21)、及びPfam databaseを検索するための蛋白質解析プログラムhmmer 2.1(Sonnhammer, E. L. L., Eddy, S. R., Birney, E., Bateman, A., and Durbin, R., Nucleic Acids Res 1998; 26, 320−322)を用いてモチーフ検索を行なった (Suyama et. al. 1999 Nucleic Acids Res. 27: 338−339)。本発明のDNAは、6,892塩基対あり、1、770個のアミノ酸からなる蛋白質をコードしている。現在、取得している本発明のDNAがコードするポリペプチドのアミノ酸配列から、C末端側に1個のRasGEF(Guanine nucleotide exchange factor for Ras−like small GTPases)蛋白質に特徴的なモチーフ(Nature,1998,394:337−343, Proc., Natl. Acad. Sci. USA,1998 95, 5857−5864)(アミノ酸配列番号1,254−1,762)を有することが判明した(図1)。
詳しくは、HMMPfam検索法によると、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のうち1,486番目から1,695番目までに、また、HMMSmart検索法によると、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のうち1,485番目から1,762番目までに、更にProfileScan検索法によると、配列番号:1に示されるアミノ酸配列のうち1,254番目から1,318番目及び1,488番目から1,712番目の2カ所に、RasGEF(Guanine Nucleotide Exchange Factor for Ras−like Small GTPases、あるいはGuanine−Nucleotide Dissociation Stimulators CDC25 Familyともいう)に特徴的なモチーフが見出され、クローンmbg99998に含まれるマウスKIAA1768遺伝子には、RasGEFの構造的特徴が保存されていることが確認された。
【0044】
本発明のマウスKIAA1768遺伝子において見出されたRasGEF(Guanine nucleotide exchange factor for Ras−like small GTPases)蛋白質に特徴的なモチーフが関わる機能については、様々な基本的細胞機能の調節に重要な働きを有するRasスーパーファミリー蛋白質を活性化することにある(Mol. Cell. Biol.,1993, 13:7718−7724, TIBS, 1999, 306−311, Reviews )。 RasGEF(Guanine nucleotide exchange factor for Ras−like small GTPases)は、Ras蛋白質の場合では受容体型チロシンキナーゼから核へのシグナルを中継し、細胞の増殖や分化に関わっている。また、Rasスーパーファミリーの一員であるRho蛋白質は、細胞接着や細胞運動に関与している(Guanine nucleotide exchange factors: activators of Ras superfamily proteins. Mol Reprod Dev. 1995 Dec;42(4):468−76.)。これら細胞機能に極めて重要なRasスーパーファミリー蛋白質を制御しているRasGEFモチーフを有する蛋白質をコードする遺伝子は、それ自身も直接疾患原因遺伝子となりうる。たとえばCdc42のGEFであるFGD1遺伝子はAarskog−Scott症候群の原因遺伝子としてすでに同定されている(Pasteris, N. G., Cadle, A., Logie, L. J., Porteous, M. E. Pasteris, N. G., Cadle, A., Logie, L. J., Porteous, M. E. M., Schwar, C. E., Stevenson, R. E., Glover, T. W., Wilroy, R. S., and Gorski, J. L. (1994) Cell 79, 669−678)。
【0045】
RasGEFはRasスーパーファミリーのグアニンヌクレオチド交換促進因子として作用し、Rasスーパーファミリー蛋白質をGTP型に還元することで活性型の濃度を細胞内で上昇させる作用がある。その結果、各々のRasスーパーファミリー蛋白質が本来有している細胞増殖活性などが正に加速させることになる(GEFs: structural basis for their activation of small GTP−binding proteins. Trends Biochem Sci. 1999 Aug;24(8):306−11. Review.)。これと拮抗する働きをするものとしてGAP (GTPase activating protein)が知られているが、それらはRasスーパーファミリーをモチーフを有する分子を負に制御することから癌抑制遺伝子として機能するものもあることが知られている(Neurofibromin, a tumor suppressor in the nervous system. Exp Cell Res. 2001 Mar 10;264(1):19−28. Review.)。
これらの証拠から、RasGEFモチーフを有する蛋白質と、細胞の増殖性疾患あるいは分化の異常との関連は明らかである。
これらの知見から、RasGEF蛋白質に特徴的なモチーフを有する本発明のDNA及び該DNAを含む遺伝子、該DNAにコードされるポリペプチド及び該ポリペプチドを含む組換え蛋白質については、それらが細胞の増殖あるいは分化の調節などに関わることが強く示唆される。
【0046】
(4)mRNAレベルでの発現頻度
mRNAレベルでのヒトKIAA1768遺伝子の発現は脳において、特に海馬領域や胎生期の脳で高いこと(DNA Research,2000,7:347−355)が判っている。そこで、本発明の遺伝子の一つであるマウスKIAA1768遺伝子について、RT−PCR法によりマウスにおける同遺伝子の組織特異的及び発生段階特異的発現を解析した。マウスKIAA1768遺伝子の転写産物をPCR法で増幅して検出するために必要なフォアワードプライマーとリバースプライマーを市販のDNA自動合成機を用いて合成した。フォアワードプライマーの配列を5’−CCTATGCCAAAGCCAGTGAGA−3’(配列番号:3)、リバースプライマーの配列を5’− GGCGATGTTTCTCAGTTTGCT−3’(配列番号:4)とし、それらのプライマーを用いてマウスKIAA1768遺伝子の転写産物をRT−PCR法で増幅すると、約675bpDNA断片が得られる設計にした。マウス各組織から調製されたmRNAを材料とし、リバーストランスクリプターゼ(RT)により1stストランドcDNA まで調製が終了しているClontech社製のMultiple Tissue cDNA Panels (Clontech社Cat. No. #K1423−1, #K1430−1)を用い、Clontech社が示す方法により以下のようにして解析を行った。すなわち、各マウス組織1stストランドcDNAと上記プライマーをそれぞれ混合し、各々についてPCRを行い、マウスKIAA1768遺伝子の転写産物のうち675bpDNA長のDNA断片の増幅を図った。PCRは、TaqポリメラーゼとしてTaKaRa Ex Taq(宝酒造, #RP001A)を用い、上述のDNA混合液を95°C(2.5分)で加熱した後、95°C(30秒)/60°C(30秒)/72°C(30秒)のサイクルを30回繰り返して行った。コントロールとしてClontech社が提供するG3PDHプライマー(#5406−1)を使用したG3PDH転写産物由来約938bpDNA断片の増幅も同様にして行った。増幅を終えたPCR産物を、サイズマーカーとともに2% agarose gel(Rockland社製、#50070)を用いて電気泳動で分画し、分画したPCR産物の量を半定量的に比較した。その結果、調べた組織別あるいは発生過程のcDNAパネルの内、脳ではマウスKIAA1768遺伝子に由来する約675bpDNA断片が特異的に増幅され、濃いバンドとして検出された。また、肺・精巣・眼・胸腺で約675bpDNA断片が特異的に増幅され、弱いバンドとして検出された。その他の臓器由来のcDNAではバンドは検出されなかった(図2)。また、発生の各段階については、受精15日目の胚で強く、受精17日目の胚で弱くバンドが検出され、受精7日目と受精11日目の胚ではバンドは検出されなかった(図2)。
尚、同図において、下段のG3PDHはコントロールとして用いたハウスキーピング遺伝子(G3PDH)の発現パターンを示す。従って、この蛋白質子が脳の発生・分化や記憶のメカニズムに関わっている可能性が高いといえる。尚、人の発現パターン(DNA Research,2000,7:347−355)と比較すると肺・精巣・眼・胸腺でも若干の発現が認められた。更に、発生段階においては、発生初期では認めず、胎生15日ころに最も強い発現が認められた。
【0047】
(5)合成ペプチドを抗原としたウサギポリクローナル抗体の作製
マウスKIAA1768遺伝子がコードするポリペプチドの一部からなるアミノ酸配列をもとに、ペプチド合成して作製した合成ペプチドを免疫原(抗原)として、常法に従い、ウサギポリクローナル抗体を作製した。抗原としてはカルボキシル末端の15個のアミノ酸から成るペプチド(RKIQDKLRRMKATFQ)を、そのN末で担体とするキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にキャリアーカップリングさせ、担体と結合した合成ペプチドを80%から90%の純度にまで精製したものを抗原として用いた。日本白色種家兎(メス)に初回は抗原量0.15mgにて皮内免疫を、その後は約1週間ごとに抗原量0.3mgにて5回の感作を実施して合計6回の皮内免疫を行った。3回目、4回目及び5回目の各皮内免疫の後に試験採血を行い、HRPO(ホースラディッシュパーオキシダーゼ)結合ヤギIgG抗ウサギ抗体(CAPPEL社製)を用いたELISA法にて抗原に対する抗体値を測定した。上記で示した全部で3回の試験採血のうち2回目と3回目において、夫々、2,000倍希釈、4,000倍希釈にて吸光度(492nm)が3となり、3回目の皮内免疫の後に抗体価の十分な上昇を確認された。そこで、この3回目の試験採血の後の6回目の皮内免疫を終了した後に、抗体精製用の全採血を行った。全採血で採取した検体において、8,000倍希釈にて吸光度(492nm)が3となり抗体価のは更に上昇したことが確認された。採血した血液から血清を遠心にて分離し、ついで、得られた血清を抗原に用いた合成ペプチドをカップリングしたアフイニティビーズを用いたカラムにかけ、精製ウサギポリクローナル抗体(anti−mKIAA1768 ab)を得た。
【0048】
(6)精製ウサギポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法による各種マウス臓器でのマウスKIAA1768蛋白質の検出
上記で得られた精製ウサギポリクローナル抗体を用い、ウエスタンブロット法にて各種マウス臓器でのマウスKIAA1768蛋白質の検出を試みた。各種マウス臓器由来の可溶性蛋白質については、ICRマウスから採取した臓器を蛋白分解阻害剤の存在下で物理的に破砕して遠心して得た上清を用いた。各種マウス臓器としては、心臓、脳、肺、肝臓、筋肉、腎臓、精巣、膵臓、前立腺、胸腺、胃を使用した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、ポリアクリルアミドゲルの各レーンに約20マイクログラムの各種マウス臓器由来可溶性蛋白質をアプライして電気泳動で分画し、次に分画した蛋白質をメンブレンにブロットし、ブロットしたメンブレンに対し500倍希釈した抗体を用いて免疫染色反応を行った。すなわち、ポリアクリルアミドゲル電気泳動はBio−Rad社製のレディ−ゲルJ(#No. 161−J361)を用いて行い、GeneSystems社製のMulti−Replica Blotting Kit (#No. GS1001)を用いて転写し蛋白質をメンブレンにブロットした。二次抗体にはAmersham社製Anti−Rabbit Ig, HRP−Linked Whole Ab (#No. NA934)を用い、検出には同社のECL Plus Western blotting Detection Reagents (#No. RPN2133)を用いた。分子量を知る目的でインビトロジェン社製のMagicMark Western Protein Standard (#No.
LC5600)を各種臓器サンプルとともに電気泳動した。
RT−PCRで解析したマウスKIAA1768遺伝子のmRNAレベルの発現では、脳に於いて発現量が特に高いこと、また、肺・精巣・眼・胸腺で弱いが発現していることを確認できたことを上述したが、本精製ウサギポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法ではいずれの組織においてもマウスKIAA1768ポリペプチドの存在を検出できなかった。この原因としては、この抗体がウエスタンブロット法に適さない可能性、あるいはマウスKIAA1768が不溶性の蛋白質として凝集し、マウス各種臓器由来の可溶性蛋白質標品調製の際不溶性画分に移行し、遠心後の上清すなわち可溶性蛋白質を含む標品中に存在しなかった可能性が考えられた。
【0049】
(7)精製ウサギポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色法による組織特異的発現の検出
ウエスタンブロット法によりマウスKIAA1768蛋白質は、マウス各種臓器由来の可溶性蛋白質標品について試験したところいずれに組織においてもマウスKIAA1768ポリペプチドの存在を検出できなかった。そこで、上記で得られた精製ウサギポリクローナル抗体を用い、免疫組織化学染色法による組織特異的発現の検出を試みた。免疫組織化学染色は定法に基づきABC法(Antibodies: a laboratory manuals. Ed Harlow & David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988, p359−420)で行ったが、一次抗体としてはウエスタンブロット法と同じく精製ウサギポリクローナル抗体を500倍に希釈して用いた。ビオチン化二次抗体及びABC試薬はVector Laboratories社製Elite ABC kit (#No. PK−6101)を使用し、呈色反応にはKirkegaard Perry Laboratories社製のDAB (3,3’−diaminobenzidine) Reagent Set (#No. 54−10−00)を使用した。染色された蛋白質は茶色から褐色にて検出された。その結果、対照(control)に比較し精製ウサギポリクローナル抗体(anti−mKIAA1768 ab)処理にて顕微鏡下で観察すると明らかに茶色から褐色に染色され、白黒写真では濃染として認められ、脳及び腎臓の組織切片にて陽性所見を得た(図3)。
すなわち、脳についてはRT−PCRによるマウスKIAA1768遺伝子のmRNAレベル強い発現が認められていたが、免疫組織化学染色法ではRT−PCRによる脳特異的発現を強く支持する結果を得た。より詳しくには、図3に示すごとく脳のグリア細胞の細胞質で強い陽性所見を得た。陽性所見はグリア繊維に沿って細かい線状の染色像として認められたが、ニューロンにおいては陽性所見を呈さなかった。したがってマウスKIAA1768蛋白質は脳内グリアで特異的な分子であることが明らかとなった。
更に興味深いことに、図3の腎臓切片の染色像では尿細管の特定の部位のみが陽性所見を呈した。腎臓切片の染色像では、ごく一部の細胞しか陽性でなかったことを考慮すると必ずしも腎臓でRT−PCRの結果が陰性であったことと矛盾しない。
【0050】
(8)ホモロジー検索による本発明のマウス由来のポリペプチドと実質的に相同な遺伝子から由来するヒトポリペプチドのアミノ配列取得
配列番号:1で示されるアミノ酸配列と相同なヒト由来アミノ配列の1つを、以下の方法により公共のデーターベースから取得した。すなわち、配列番号:2で示される塩基配列(mbg99998の塩基配列)に部分的に相同なヒトKIAA1768遺伝子の配列をもとに、ヒトゲノム配列に対してBlast検索を実施し、KIAA1768遺伝子が位置するゲノムコンティグのgi22050858領域を見出した。さらに、SIM4プログラムを使用して、ヒトKIAA1768遺伝子のエキソン/イントロン構造をゲノム配列上に予測するとともに、遺伝子予想プログラムを使用して、そのゲノム領域に予想される遺伝子構造とそこにコードされるタンパク質配列を特定した。それらの情報を総合することにより、配列番号:1で示される配列に関連したヒト由来である本発明のポリペプチド全配列を見出した。より詳しくには、gi22050858領域で予測されるポリペプチドのアミノ酸配列のうち9番(>gi|GENSCAN_predicted_peptide_9|445_aa)から下記に示す配列番号:5及び配列番号6のアミノ酸配列断片、また、10番(>gi|GENSCAN_predicted_peptide_10|2770_aa) から下記に示す配列番号:7から配列番号:15までのアミノ酸配列断片を得て、それらを順番につなぎ合わせることにより、配列番号:1で示すアミノ酸配列に対応するヒト由来配列の1つの例である配列番号:16で示されるアミノ酸配列(1,737アミノ酸長)を取得するに至った。GENSCAN及びSIM4プログラムを使用したcDNA配列からゲノム構造を予測する方法は、長瀬等の方法(Nagase, T. et al., 2001, DNA Research, 8:179−187)に従った。
尚、ヒトKIAA1768蛋白質のアミノ配列情報中に存在し、更にマウスmbg99998ポリペプチドのアミノ酸配列情報にも相同性を示す21アミノ酸長の配列(ホモロジー:71.43%)が存在するが、配列番号:16には存在しないGSYDSFFLAPELAEERLVTEKという21アミノ酸長のヒト由来アミノ酸配列について、上記に示した配列番号:16を構成するアミノ酸配列断片のうち配列番号:8と配列番号:9の間にその21アミノ酸長が挿入された配列も、ヒト由来の本発明のポリペプチドのアミノ酸配列といえる。
また、AK057756(FLJ2502) 遺伝子配列に示される165アミノ酸長配列のC−末端配列(−RKIQDKLRRMKATFQ)情報とmbg99998のC−末端配列(−RKIQDKLRRMKATFQ)情報の両者でC−末端に、配列番号:16のC−末端配列(−RKIQDKLRRMKATF)に対しQ(Gln)が付加していることから、配列番号:16のC−末端に1つのアミノ酸(Q)が付加した配列もヒト由来の本発明のポリペプチドといえる。
更に、配列番号:1で示すアミノ酸配列のN−末端付近の最初のメチオニン(M)は、29番目に出現するが、上記のヒト由来ポリペプチド配列の解析結果から、この29番目のメチオニンが、mbg99998がコードするポリペプチドのN−末端である可能性が高いと考えられた。
【0051】
【発明の効果】
ヒトKIAA1768遺伝子にはその機能を類推するドメイン構造が無く、その機能は全く未知であった。今回、本発明者はマウス脳由来のcDNAライブラリーから、ヒトKIAA1768遺伝子に高いホモロジーを示す遺伝子(DNA)をクローニングし、N−末端側及びC−末端側に新たにDNA配列が付加されている新規DNA配列、すなわちマウスKIAA1768遺伝子を取得することに成功した。更に、この遺伝子がコードするポリペプチドに実質的に相同な遺伝子から由来するヒトポリペプチドのアミノ配列を取得することができた。
【0052】
これまでに記載したことから、本発明のDNAあるいは本発明の遺伝子は、癌などの増殖性疾患や先天奇形など分化異常を含めたヒト疾患の機序解明及び診断・治療上で必要不可欠な役割を果たすと考えられる。また、RT−PCRによる各組織及び発生段階での発現のパターン情報は、脳での発現が高いこと及び発生後期での発現が高いことを明らかとし、本発明の遺伝子が特に中枢神経系構築において重要性であること明らかにした。
従って、本発明のDNA及び該DNAを含む哺乳動物由来遺伝子、それらがコードするポリペプチドの一部又は全長、該ポリペプチドの一部又は全長に対する抗体、アンチセンスDNA等は、癌や先天奇形を含めたヒト疾患を治療する為のモデル動物であるマウスを用いた各種治療・予防方法開発において、医薬として使用することが可能である。
【0053】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリペプチドに保存されるRasGEF(Guanine Nucleotide Exchange Factor for Ras−like Small GTPases)モチーフ(aa: アミノ酸配列で数字はアミノ酸数、ボックス:上から、HMMPfam検索法、HMMSmart検索法、またProfileScan検索法によるそれぞれ異なった検索法で同定したRasGEF(Guanine Nucleotide Exchange Factor for Ras−like Small GTPases)モチーフ)を示す。
【図2】RT−PCR法によるマウスKIAA1768遺伝子のマウス各組織における発現強度の比較。上段はKIAA1768の発現強度、下段はコントロールとして用いたハウスキーピング遺伝子(G3PDH)の発現強度を、アガロース電気泳動で分画した後のエチジウムブロミド染色パターンについての写真で示す。
【図3】精製ウサギポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色法による組織特異的発現の検出の結果示す写真である。
Claims (9)
- 以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードする塩基配列から成るDNA:(a)配列番号:1又は配列番号16で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列の一部又は全部から成るポリペプチド;又は(b)配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
- 以下の(a)、(b)又は(c)のDNA:(a)配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1で示されるアミノ酸配列の一部又は全部をコードするDNA;(b)(a)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA;又は(c)(a)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、(a)のDNAがコードするポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNA。
- 請求項1又は2記載のDNAを含む哺乳動物由来遺伝子。
- 哺乳動物が齧歯類又はヒトである請求項3記載の遺伝子。
- 齧歯類がマウスである請求項4記載の遺伝子。
- 以下の(a)又は(b)のポリペプチド:(a)配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列の一部または全部から成るポリペプチド;又は(b)配列番号:1又は配列番号:16で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列の一部または全部から成り、(a)のポリペプチドと実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
- 請求項1若しくは2記載のDNA、又は請求項3ないし5のいずれか一項に記載の遺伝子を導入した宿主細胞で作製される組換え蛋白質である、請求項6記載のポリペプチド。
- 請求項1若しくは2記載のDNA、又は請求項3ないし5のいずれか一項に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
- 請求項6又は7記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
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