JP2004080075A - Ad変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】逐次比較型AD変換器を低い電源電圧で動作できるようにする。
【解決手段】比較デジタルデータの上位Lビットの値に応じた電位を出力する容量型DA変換回路の出力端に対して結合容量により容量結合される複数の抵抗型DA変換回路の出力電位を加算した電位が、電源電圧を2個に分圧した電位の中の比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応した電位に等しくなるように抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御するようにして、比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応した電位がスイッチのON抵抗が大きい電位領域であるとき、ON抵抗が小さい電位領域の電位を複数の抵抗型DACから出力して、比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応した電位を得られることができるようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器(アナログ・デジタル変換器)に関し、特に、逐次比較型AD変換器に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、簡単な回路構成で実現可能であるとともに、比較的安価に製造できるCMOSプロセスとの整合性が高く、かつアナログ信号からデジタル信号への変換処理であるAD変換に要する時間が短く、製品用途が広いAD変換器として、逐次比較型AD変換器が知られている。上記逐次比較型AD変換器には、高分解能のAD変換器を小さなシリコン面積で実現するために、比較用デジタル信号から比較用アナログ信号に変換するダブルステージDAC(DA変換器:デジタル・アナログ変換器)を用いたものがある。ダブルステージDACを用いた逐次比較型AD変換器は、主DACと副DACとにより構成されるダブルステージDAC、コンパレータ回路、および「SAR(successive approximation register)」と呼ばれる制御回路(制御方法)により構成される。
【0003】
上記ダブルステージDACは、主DACおよび副DACをそれぞれ容量アレイで実現するか、抵抗ストリングで実現するかにより、以下に示す4通りの構成(主DAC+副DAC)に大別される。
▲1▼容量アレイ+容量アレイ型(C−C型)
▲2▼抵抗ストリング+容量アレイ型(R−C型)
▲3▼容量アレイ+抵抗ストリング型(C−R型)
▲4▼抵抗ストリング+抵抗ストリング型(R−R型)
上記C−R型ダブルステージDACを用いた逐次比較型AD変換器の構成例は、例えば、特開昭59−163913号公報や特開昭57−55614号公報に開示されている。
【0004】
以下に、C−R型ダブルステージDACを用いた従来の逐次比較型AD変換器について説明する。
図22は、従来の逐次比較型AD変換器の回路構成例を示す図である。
図22において、容量C1〜C5とスイッチ群21(スイッチSWC1〜SWC5)とが4ビット精度の容量型DAC(主DAC)を構成し、抵抗R0〜R15とセレクタ121とが4ビット精度の抵抗型DAC(副DAC)を構成する。
容量C1〜C5は、容量C1、C2の容量値をCxとすると、容量C3の容量値が2Cx、容量C4の容量値が4Cx(=2Cx)、容量C5の容量値が8Cx(=2Cx)と重み付けされている。一般的に容量C3、C4およびC5は、相対精度を確保するために、例えばそれぞれ単位容量Cxを2個、4個および8個並列に接続して構成される。また、抵抗R0〜R15の抵抗値は等しい。
【0005】
上記図22に示した逐次比較型AD変換器は、アナログ信号入力端子3より入力されるアナログ入力信号をデジタルデータに変換する際、まず入力されるアナログ入力信号の電位Vinのサンプリングを行い、当該電位Vinに応じて容量C1〜C5を充電する。このとき、逐次比較制御回路32は、制御信号S2、S3によりスイッチ群21、スイッチ22をそれぞれ制御し、ラインL1〜L5、スイッチ群21およびラインL7を介して容量C1〜C5の一端をアナログ信号入力端子3に対してそれぞれ接続する。
【0006】
また、逐次比較制御回路32は、制御信号SPL1によりスイッチNM1を制御する。このスイッチNM1の制御は、スイッチNM1がON(オン)状態になり、入力ノード4の電位Vxがコンパレータ31の論理しきい値電圧VTLに等しくなるように制御する。
以上のようにして、ノード4の電位Vxを論理しきい値電圧VTLにし、容量C1〜C5の一端にアナログ入力信号の電位Vinを供給することで、アナログ入力信号の電位Vinのサンプリングが行われ、電位Vinに応じた電荷が容量C1〜C5に蓄積される。
【0007】
上述したアナログ入力信号の電位Vinのサンプリングが終了した後、逐次比較型AD変換器は、最上位ビット(MSB)から下位側にデジタルデータを1ビット毎に順次決定していく比較動作を行う。
まず、逐次比較制御回路32は、上記サンプリングにて容量C1〜C5に蓄積した電荷を容量C1〜C5に再分配することにより入力ノード4の電位Vxが決定されるように、スイッチNM1をOFF状態にする。また、逐次比較制御回路32は、スイッチ群21、スイッチ22を制御し、容量C1〜C4の一端をスイッチ22を介してグランドに対して接続するとともに、容量C5の一端をリファレンス電位Verfを供給する電源端子1に接続する。これにより、サンプリングにて容量C1〜C5に蓄積された電荷が再分配され、入力ノード4の電位Vxは、(VTL+Vref/2−Vin)になる。
【0008】
コンパレータ31は、入力ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより低いか否か、すなわち電位Vinが電位Vref/2よりも高いか否かを判定する。上記判定の結果、電位Vinが電位Vref/2よりも高い場合には、コンパレータ31からの判定出力S1はハイレベル(“H”)になり、電位Vinが電位Vref/2よりも低い場合には、判定出力S1はロウレベル(“L”)になる。逐次比較制御回路32は、上記判定出力S1が“H”の場合にはMSBの値を‘1’に決定し、判定出力S1が“L”の場合にはMSBの値を‘0’に決定する。
【0009】
決定したMSBの値が‘1’のときには、逐次比較制御回路32は、スイッチ群21、スイッチ22を制御し、容量C4、C5の一端を電源端子1に接続するとともに、容量C1〜C3の一端をグランドに対して接続する。これにより、入力ノード4の電位Vxは、(VTL+3Vref/4−Vin)になる。
【0010】
一方、決定したMSBの値が‘0’のときには、逐次比較制御回路32は、スイッチ群21、22を制御し、容量C4の一端を電源端子1に対して接続するとともに、容量C1〜C3、C5の一端をグランドに対して接続する。これにより、入力ノード4の電位Vxは、(VTL+Vref/4−Vin)になる。
上述したのと同様にして、入力ノード4の電位Vxがコンパレータ31の論理しきい値電圧VTLより低いか否かをコンパレータ31にて判定することにより、逐次比較制御回路32は、MSBより1ビットだけ下位側のビットの値を決定する。
【0011】
以下同様にして、逐次比較制御回路32は、スイッチ群21、スイッチ22を制御し、決定したビットの値に応じて容量C1〜C5の一端を電源端子1あるいはグランドに対して接続する。そして、入力ノード4の電位Vxがコンパレータ31の論理しきい値電圧VTLより低いか否かをコンパレータ31にて比較判定することにより、上位側から順にデジタルデータを決定していく。
【0012】
ここで、例えばスイッチ群21、スイッチ22を制御して、容量C1、C3〜C5の一端をグランドに対して接続し、容量C2の一端を電源端子1に接続すると、入力ノード4の電位Vxは(VTL+Vref/16−Vin)になる。つまり、上記図22に示した逐次比較型AD変換器の容量型DAC(主DAC)は、容量C1〜C5の合計の容量値16Cxに対して1/16の容量値Cxを単位とし、スイッチ群21を制御することで容量C1〜C5の一端を電源端子1あるいはグランドに対して選択的に接続する。これにより、上記図22に示した逐次比較型AD変換器は、容量型DACによりVref/16刻みで入力ノード4の電位Vxを変化させることができ、上位4ビットのデジタルデータを決定することができる。
【0013】
上位4ビットのデジタルデータが決定した後、逐次比較制御回路32は、決定した上位4ビットの値に応じてスイッチ群21、スイッチ22を制御し、容量C2〜C5の一端を電源端子1あるいはスイッチ22を介してグランドに対して接続する。さらに、逐次比較制御回路32は、後述する図23に示す対応関係に従ってセレクタ121を制御し、抵抗型DACの出力ラインL71、スイッチSWC1およびラインL1を介して、デジタルコードに応じた電位を容量C1の一端に供給する。
【0014】
図23は、上記図22に示した抵抗型DACにおける入力デジタルコードと出力ラインL71を介して出力する電位との対応関係を示す図である。上記図22に示したように等しい抵抗値の抵抗R0〜R15を電源端子1とグランド端子2との間に直列に接続することで、図23に示すように抵抗型DACは、Vref/16刻みで電位を変化させて16通りの電位(Vref/16×n:nは0〜15の整数)を発生させることが可能になっている。
【0015】
下位4ビットの値を決定する際、まず、逐次比較制御回路32は、抵抗R7と抵抗R8との相互接続点に接続されたセレクタ121内のスイッチだけを閉じ、セレクタ121内の他のスイッチは開くように制御する(入力デジタルコード“1000”)。そして、容量C1の一端にVref/2(8Vref/16)の電位を供給した状態で、入力ノード4の電位Vxとコンパレータ31の論理しきい値電圧VTLとをコンパレータ31にて比較判定する。
【0016】
上記比較判定の結果、入力ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより低い場合には、抵抗R11と抵抗R12との相互接続点に接続されたセレクタ121内のスイッチを閉じ、セレクタ121内の他のスイッチは開くように制御する(入力デジタルコード“1100”)。一方、入力ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高い場合には、抵抗R3と抵抗R4との相互接続点に接続されたセレクタ121内のスイッチだけを閉じ、セレクタ121内の他のスイッチは開くように制御する(入力デジタルコード“0100”)。
そして、コンパレータ31にて入力ノード4の電位Vxと論理しきい値電圧VTLとを比較判定する。同様の動作を繰り返して行い、上位側から順に下位4ビットの値をビット毎に決定していく。
【0017】
このように、上記図22に示した抵抗型DACは、容量C1〜C5の合計の容量値16Cxに対して1/16の容量値Cxを有する容量C1の一端に供給する電位をVref/16刻みで変化させる。これにより、上記図22に示した逐次比較型AD変換器は、入力ノード4の電位VxをVref/256刻みで変化させることができ、合計8ビットのデジタルデータを決定することができる。
【0018】
上記図22に示した従来の逐次比較型AD変換器は、16個の単位容量Cxと16個の単位抵抗とを備えることにより8ビット精度のAD変換器を実現している。仮に、容量型DACあるいは抵抗型DACだけのシングルステージDACを用いて8ビット精度のAD変換器を構成する場合には、256個の単位容量あるいは単位抵抗を備える必要がある。したがって、同精度のAD変換器を構成する場合には、ダブルステージDACを用いることで部品数を大きく削減することができる。また、上記図22に示した逐次比較型AD変換器において、抵抗型DACの抵抗の精度は、4ビット精度程度で良く、小さな面積の抵抗型DACで構成できることも利点の1つになっている。
【0019】
つまり、従来の逐次比較型AD変換器は、ダブルステージDACを用いることにより容量の面積を削減し、さらに抵抗ストリングの抵抗型DACを副DACに用いることで抵抗型DACの面積をも削減していた。
このように、比較的安価に製造できるCMOSプロセスで製造され、小面積かつ高速な高分解能逐次比較型AD変換器が実用されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
近年の集積回路等の微細化の進展にともなって、集積回路等における電源電圧は低下してきており、AD変換器においても電源電圧の低電圧化が要求されている。上述したように小さな面積で回路を構成できる逐次比較型AD変換器においても、電源電圧の低電圧化が強く要求されている。
【0021】
例えば、上記図22に示したC−R型ダブルステージDACを用いた従来の逐次比較型AD変換器における電源電圧の低電圧化について考える。
上記図22に示した従来の逐次比較型AD変換器がCMOSプロセスで製造される場合には、セレクタ121およびスイッチ群21内の各スイッチは、一般に図24に示すようなトランスファゲートが用いられる。上記トランスファゲートは、1つのPチャネルトランジスタ(PMOSトランジスタ)PMTrと1つのNチャネルトランジスタ(NMOSトランジスタ)NMTrとで構成される。
【0022】
図25は、上記図24に示すようにPMOSトランジスタPMTrおよびNMOSトランジスタNMTrのゲート電極にそれぞれ0Vおよびリファレンス電位(比較のための電源電圧)Vref(+3Vあるいは+5V等)が印加されたとき(トランスファゲートがON状態のとき)の入力端子T1より入力される入力電位Viとトランスファゲートのオン抵抗Ron(ON抵抗)との関係を示す図である。図25に示すように、入力電位Viが十分低い(例えば、0V)ときには、NMOSトランジスタNMTrが十分にON状態に(ON抵抗が小さく)なり(領域(B))、一方入力電位Viが十分高い(例えば、VrefV)ときにはPMOSトランジスタPMTrが十分ON状態に(ON抵抗が小さく)なる(領域(A))。したがって、入力電位Viが出力電位として出力端子T2に伝達される。
【0023】
しかしながら、入力電位Viが十分低い値から高くなるにともない、ON抵抗が大きくなる。また、同様に入力電位Viが十分高い値から低くなるにともない、ON抵抗が大きくなる。例えば、リファレンス電位Vrefの1/2倍の電位のとき、PMOSトランジスタPMTrおよびNMOSトランジスタNMTrの双方ともON抵抗が大きい状態になり、トランスファゲートのON抵抗が最大になる。
【0024】
ここで、上述したように容量型DACを制御するスイッチ群21は、比較動作時にグランドGNDあるいはリファレンス電位Vrefを容量C2〜C5の一端に供給する。一方、抵抗型DACからの出力電位を制御するセレクタ121内のスイッチは、例えば図23に示した対応関係にてデジタルコードが“1000”のときのようにリファレンス電位Vrefの1/2倍程度の電位を出力するときがある。
【0025】
セレクタ121内のスイッチにてリファレンス電位Vrefの略1/2倍の電位を伝達する場合には、トランスファゲートを構成するMOSトランジスタPMTr、NMTrのゲート・ソース間電圧がVref/2程度になる。したがって、リファレンス電位Vrefの略1/2倍の電位を出力するときには、上記図25に示したようにトランスファゲートのON抵抗が大きくなってしまい、電源電圧を低電圧化する上での障害になる。
【0026】
つまり、C−R型ダブルステージDACを用いた従来の逐次比較型AD変換器においては、抵抗型DACからリファレンス電位Vrefの略1/2倍の電位を出力する際、MOSトランジスタPMTr、NMTrのゲート・ソース間電圧がVref/2程度になる。そのため、従来の逐次比較型AD変換器における電源電圧の低電圧化においては、Vref/2の電圧がMOSトランジスタPMTr、NMTrのしきい値電圧VTH程度になる電源電圧、すなわち2VTH程度の電源電圧までしか正常な動作を行うことができないという問題があった。
【0027】
また、C−R型ダブルステージDACを用いた従来の逐次比較型AD変換器において、抵抗型DACに流れる電流は、上述したサンプリングの期間および比較動作の期間を通して同じ値の電流が流れている。しかしながら、サンプリングの期間において抵抗型DACに要求される時定数は比較動作で要求される時定数よりも一般に大きい。したがって、上述したサンプリングの期間において、抵抗型DACは電力を浪費していることになる。
【0028】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、逐次比較型AD変換器を低い電源電圧で動作できるようにすることを目的とする。また、本発明は、逐次比較型AD変換器にて、AD変換の全処理に要する消費電力を削減することができるようにすることを第2の目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明のAD変換器は、入力される比較デジタルデータの上位Lビットに対応する電位を出力する容量型DA変換回路と、下位Mビットの値に応じて、供給される電源電圧を分圧して得られる電位を所定の組み合わせで出力する複数の抵抗型DA変換回路と、抵抗型DA変換回路の出力端と容量型DA変換回路の出力端との間に接続される複数の結合容量と制御回路と比較回路とを備え、上記複数の抵抗型DA変換回路の出力電位を上記結合容量に基づいて重み付けした和が、比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位に等しくなるように複数の抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御する。これにより、電源電圧の低電圧化にて不都合が生じる電位そのものを出力せずに、複数の抵抗型DA変換回路の出力電位を加算して出力できるようになる。
【0030】
さらに、入力アナログ信号のサンプリング中に上記複数の結合容量の1つに所定の電位を出力する初期電位供給回路をさらに備えた場合には、比較動作に用いる抵抗型DA変換回路より消費電力の少ない初期電位供給回路を抵抗DA変換回路とは別に設けることで、サンプリング中の消費電力を削減し、AD変換処理に要する消費電力を削減することができるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。
図1において、C1〜C6は容量であり、容量C1およびC2の容量値をCxとすると、容量C3、C4およびC5の容量値は、2Cx、4Cx(=2Cx)および8Cx(=2Cx)に重み付けされている。例えば、容量C3、C4、C5は、容量値の相対精度を確保するために、2個、4個、8個の単位容量Cxを並列に接続してそれぞれ構成される。容量C6の容量値はCxである。
【0033】
容量C1〜C5の一端は、ラインL1〜L5を介してスイッチ群21内の対応するスイッチSWC1〜SWC5の第1の端子に接続される。容量C6の一端は、出力ラインL6を介して第2のセレクタ12の出力端に接続される。また、容量C1〜C6の他端は、ノード4に接続される。
【0034】
ここで、上記スイッチSWC1〜SWC5は、第1の端子と第2の端子との間、および上記第1の端子と第3の端子との間の何れか一方を選択的に接続可能な3端子スイッチであり、制御信号S2により制御される。なお、スイッチ22も同様の構成の3端子スイッチであり、制御信号S3により制御される。
【0035】
スイッチSWC1の第2の端子は、出力ラインL8を介して第1のセレクタ11の出力端に接続され、スイッチSWC2〜SWC5の第2の端子は、リファレンスとなる電源電位(以下、「リファレンス電位」と称す。)Vrefを供給するための電源端子1に接続される。また、スイッチSWC1〜SWC5の第3の端子は、ラインL7を介してスイッチ22の第1の端子に接続される。スイッチ22の第2の端子は、アナログ信号入力端子3に接続され、第3の端子はグランド(GND)に対して接続されている。
【0036】
R0〜R15は等しい抵抗値を有する抵抗であり、電源端子1とグランド端子2との間に直列に接続される。以下の説明では、グランド端子2側から電源端子1側に抵抗R0、R1、R2、…、R15の順に接続されているものとする。
第1のセレクタ11は、複数のスイッチSWAnにより構成され、抵抗R0〜R15により抵抗分圧された電位を選択的に出力ラインL8に供給する。同様に、第2のセレクタ12は、複数のスイッチSWBnにより構成され、抵抗R0〜R15により抵抗分圧された電位を選択的に出力ラインL6に供給する。なお、スイッチSWAn、SWBnにおいて、nは添え字であり、整数である。
【0037】
スイッチSWAn、SWBnは、(Vref/16)×nの電位を選択するためのスイッチであり、制御信号S4により制御される。スイッチSWAn、SWBnの一端は、抵抗R(n−1)と抵抗Rnとの相互接続点に接続され、スイッチSWAnの他端は出力ラインL8に接続され、スイッチSWBnの他端は出力ラインL6に接続される。ただし、スイッチSWA0、SWB0の上記一端は、グランド端子と抵抗R0との相互接続点に接続される。
【0038】
スイッチSWAn、SWBnは、例えば上記図24に示した1つのPチャネルトランジスタ(PMOSトランジスタ)PMTrと1つのNチャネルトランジスタ(NMOSトランジスタ)NMTrとからなるトランスファゲートでそれぞれ構成される。当該トランスファゲートは、オン(ON)状態(導通状態)にするときにPチャネルトランジスタPMTrおよびNチャネルトランジスタNMTrのゲート電極に0Vおよびリファレンス電位Vrefがそれぞれ印加され、オフ(OFF)状態(非導通状態)にするときにPチャネルトランジスタPMTrおよびNチャネルトランジスタNMTrのゲート電極にリファレンス電位Vrefおよび0(V)がそれぞれ印加される。
【0039】
上記図1において、第1のセレクタ11は、スイッチSWA0、SWA4、SWA5、SWA11およびSWA12を備えている。したがって、第1のセレクタ11は、0(V)、4Vref/16、5Vref/16、11Vref/16、12Vref/16の電位を出力ラインL8に対して選択的に供給することができる。また、第2のセレクタ12は、スイッチSWB0〜SWB5を備えており、0(V)〜5Vref/16の電位を出力ラインL6に対して選択的に供給することができる。
【0040】
31はインバータ回路で構成されたコンパレータ(例えば、チョッパー型コンパレータ)であり、入力端子がノード4に接続され、出力端子が逐次比較制御回路32に接続される。また、NM1はNチャネルトランジスタにより構成されたスイッチであり、制御信号SPL1がゲート電極に供給され、ソース電極、ドレイン電極がコンパレータ31の入力端子、出力端子に接続される。
【0041】
逐次比較制御回路32は、図1に示した逐次比較型AD変換器を構成する各回路を制御する。例えば、逐次比較制御回路32は、コンパレータ31の出力S1に基づいてデジタルデータを生成したり、デジタルデータにて決定した値を保持したりする。また、逐次比較制御回路32は、生成したデジタルデータ等に応じた制御信号S2、S3、S4、SPL1を出力したり、すべてのビットの値が決定したデジタルデータをアナログ入力信号のAD変換出力として外部に出力したりする。
【0042】
上記図1に示した逐次比較型AD変換器は、C−R型ダブルステージDACを用いた逐次比較型AD変換器であり、上記図1においては、容量C1〜C5およびスイッチSWC1〜SWC5が、容量アレイを用いた4ビット精度の容量型DAC(主DAC)を構成する。また、抵抗R0〜R15と第1のセレクタ11とが抵抗ストリングを用いた1つの抵抗型DACを構成し、同様に抵抗R0〜R15と第2のセレクタ12とが1つの抵抗型DACを構成し、当該2つの抵抗型DACと容量C1、C6とで、4ビット精度の抵抗型DAC(副DAC)として機能する。
【0043】
次に、動作について説明する。
まず、上記図1に示した逐次比較型AD変換器の動作の概要を図2に基づいて説明する。
図2は、上記図1に示した逐次比較型AD変換器の概念図である。なお、この図2において、図1に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図1に示した構成要素等と同一ではないが対応する機能を有する構成要素等には、同じ符号に’を付している。
【0044】
図2において、41は局部DACであり、上記図1に示した容量C1〜C6、スイッチ群21、抵抗R0〜R15、第1のセレクタ11、および第2のセレクタ12により構成される容量型DACおよび抵抗型DACに相当する。また、上記図1において、コンパレータ31はインバータ回路により構成しているが、図2においては、概念的に示すためにコンパレータ31’は差動回路(差動アンプ)で示している。
【0045】
アナログ信号入力端子3より入力されるアナログ入力信号をAD変換するとき、まず、逐次比較制御回路32は、AD変換出力における最上位ビット(MSB)の値を決定するためのデジタルデータS11を局部DAC41に供給する。局部DAC41は、供給されるデジタルデータS11をDA変換してアナログ出力S12としてコンパレータ31’に供給する。
【0046】
コンパレータ31’は、アナログ入力信号の電位Vinとアナログ出力S12の電位との大小関係を比較判定し、判定結果に応じた判定出力S1を逐次比較制御回路32に供給する。逐次比較制御回路32は、コンパレータ31’から供給された判定出力S1に基づいてMSBの値を決定する。
【0047】
次に、逐次比較制御回路32は、決定した値を反映して、MSBより1ビットだけ下位のビットの値を決定するためのデジタルデータS11を局部DAC41に供給する。以降、MSB側から最下位ビット(LSB)側に向かって1ビット毎に順番に上述した動作を行うことにより、逐次比較型AD変換器はデジタルデータの値を順次決定する。
【0048】
逐次比較制御回路32は、すべてのビットの値が決定した後、すなわちアナログ入力信号の電位Vinとアナログ出力S12の電位との差が最小になるデジタルデータが決定した後、当該デジタルデータをAD変換出力として外部に出力する。このようにして逐次比較型AD変換器は、アナログ入力信号をAD変換し、アナログ入力信号の電位Vinに応じたデジタルデータを出力する。
【0049】
次に、上記図1に示した逐次比較型AD変換器の動作について詳細に説明する。
逐次比較型AD変換器のAD変換動作は、アナログ入力信号の電位Vinをサンプリングするサンプリング動作と、サンプリングした電位Vinに基づいてデジタルデータの値をビット毎に順次決定していく比較動作に分けられる。以下の説明では、まずサンプリング動作について説明し、次に比較動作について説明する。
【0050】
(サンプリング動作)
AD変換動作を開始すると、逐次比較制御回路32は、スイッチSWC1〜SWC5にて第1の端子(ラインL1〜L5)と第3の端子(ラインL7)とが接続されるように、制御信号S2によりスイッチ群21を制御する。また、逐次比較制御回路32は、スイッチ22にて第1の端子と第2の端子とが接続されるように制御信号S3により制御する。これにより、サンプリング容量としての機能を有する容量C1〜C5の一端とアナログ信号入力端子3とがそれぞれ接続され、アナログ入力信号の電位VinがラインL7およびL1〜L5等を介して容量C1〜C5の一端に供給される。
【0051】
また、このとき、逐次比較制御回路32は、スイッチSWB0だけが閉じて、スイッチSWB1〜SWB5が開くように、制御信号S4により第2のセレクタ12を制御する。これにより、容量C6の一端がグランドに対して接続される。
さらに、逐次比較制御回路32は、スイッチNM1をON状態にすることでノード4の電位Vxがコンパレータ31の論理しきい値電圧VTLに等しくなるようにスイッチNM1を制御信号SPL1により制御する。なお、上記論理しきい値電圧VTLは、コンパレータ31の入力における論理レベル(ハイレベル(“H”)とロウレベル(“L”))のしきい値である。
【0052】
以上のようにして、ノード4の電位Vxを論理しきい値電圧VTLにするとともに、容量C1〜C5の一端にアナログ入力信号の電位Vinを供給することによりアナログ入力信号の電位Vinのサンプリングが行われ、容量C1〜C5は、上記電位Vinに応じて充電される。
ここで、上述したサンプリング動作において、容量C1〜C6にて蓄積される電荷Qは、次式(1)で表される。
Q = −16Cx(Vin − VTL)+ CxVTL  …(1)
【0053】
(比較動作)
上述したサンプリング動作が終了した後、逐次比較型AD変換器は、比較動作を行い、デジタルデータのMSBから下位側の方向に1ビット毎に値を順次決定していく。
【0054】
まず、逐次比較制御回路32は、ノード4の電位Vxが上述したサンプリング動作により容量C1〜C5に蓄積した電荷を容量C1〜C5に再分配することにより決定されるように、制御信号SPL1によりスイッチNM1をOFF状態にする。なお、以下の説明では、容量C1〜C5に蓄積した電荷を容量C1〜C5に再分配することを「電荷の再分配」と称す。
【0055】
さらに、逐次比較制御回路32は、制御信号S2、S4によりスイッチSWC1および第1のセレクタ11をそれぞれ制御し、容量C1の一端をグランドに対して接続する。同様に、逐次比較制御回路32は、制御信号S4により第2のセレクタ12を制御し、容量C6の一端をグランドに対して接続する。具体的には、逐次比較制御回路32は、第1のセレクタ11ではスイッチSWA0のみが閉じて、その他のスイッチSWAn(n≠0)が開くように制御し、第2のセレクタ12ではスイッチSWB0のみが閉じて、その他のスイッチSWBn(n≠0)が開くように制御する。
【0056】
また、逐次比較制御回路32は、容量C2〜C5の一端が電源端子1あるいはグランドに対してそれぞれ選択的に接続されるように制御信号S2によりスイッチSWC2〜SWC5を適宜制御する。
ここで、容量C1〜C5にて一端が電源端子1に接続される(容量C1〜C5の一端にリファレンス電位Vrefが供給される)容量の合成容量値をmCx(電源端子1あるいはグランドに対して選択的に接続され得る容量は、容量C2〜C5であるので、mは0〜15の整数)と仮定する。このとき、容量C1〜C5にて一端がグランドに対して接続される容量の合成容量値は、(16−m)Cxになる。なお、コンパレータ31の入力容量や配線の寄生容量は、説明の簡単のために無視している。
【0057】
したがって、容量C6を考慮するとともに、上記式(1)で示される電荷Qが保存されるとすると、電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、
Vx = (16/17)[(m/16)Vref − Vin]+ VTL  …(2)
になる。
【0058】
上記式(2)から明らかなように、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定することで、アナログ入力信号の電位Vinが、リファレンス電位Vrefを16分割した中の任意の電位(m/16)Vrefより高いか低いかを判定することができる。つまり、上記図1に示した逐次比較型AD変換器は、比較するデジタルデータの上位4ビットの値に基づいてスイッチSWC2〜SWC5を制御し、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かを判定する。これにより、逐次比較型AD変換器は、アナログ入力信号の電位Vinに応じたデジタルデータの上位4ビットの値を決定することができる。
【0059】
例えば、デジタルデータのMSBの値を決定するとき、比較に用いるデジタルデータは“1000 0000”であり、上位4ビットの値は“8”である。したがって、逐次比較制御回路32は、容量C2〜C4の一端がグランドに対して接続され、容量C5の一端が電源端子1に対して接続されるようにスイッチSWC2〜SWC5を制御する。そして、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定する。
【0060】
上記判定の結果、コンパレータ31からの判定出力S1が“H”の場合には、アナログ入力信号の電位Vinが電位8Vref/16(=Vref/2)より高いので、逐次比較制御回路32はMSBの値を“1”に決定する。一方、判定出力S1が“L”の場合には、アナログ入力信号の電位Vinが電位8Vref/16(=Vref/2)より低いので、逐次比較制御回路32はMSBの値を“0”に決定する。
【0061】
上述のようにしてMSBの値が決定すると、次に、比較するデジタルデータに決定したMSBの値を反映させ、MSBより1ビット下位のビットの値を決定するための動作を行う。
決定したMSBの値が“1”のときには、比較に用いるデジタルデータは“1100 0000”であり、上位4ビットの値は“12”である。したがって、逐次比較制御回路32は、容量C2、C3の一端がグランドに対して接続され、容量C4、C5の一端が電源端子1に対して接続されるようにスイッチSWC2〜SWC5を制御する。一方、決定したMSBの値が“0”のときには、比較に用いるデジタルデータは“0100 0000”であり、上位4ビットの値は“4”である。したがって、逐次比較制御回路32は、容量C2、C3およびC5の一端がグランドに対して接続され、容量C4の一端が電源端子1に対して接続されるようにスイッチSWC2〜SWC5を制御する。
【0062】
このように決定したMSBの値を反映させたスイッチSWC2〜SWC5の制御を行い、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定する。そして、上記判定結果に基づいて、逐次比較制御回路32はMSBより1ビット下位のビットの値を決定する。
【0063】
決定したデジタルデータを反映させて、上述した動作をデジタルデータの上位4ビットに対してそれぞれ順番に行い、アナログ入力信号の電位Vinに応じたデジタルデータの上位4ビットの値を上位側から順次決定する。
以上のように、容量C1、C6の一端の電位をグランドにするとともに、スイッチSWC2〜SWC5、22を制御して、容量C2〜C5の一端の電位をグランドあるいはリファレンス電位Vrefにすることにより、デジタルデータの上位4ビットの値が決定される。
【0064】
ここで、上記式(2)に示されるようにノード4の電位Vxは、コンパレータ31の論理しきい値電圧VTLを基準とすると、DACの出力電位(m/16)Vrefからアナログ入力信号の電位Vinを減算した値(正確には、16/17倍)である。したがって、上記図1に示した容量C1〜C5とスイッチ群21とは、局部DACおよび加減算回路として機能する。
【0065】
次に、下位4ビットの値の決定について説明する。
上述のようにしてデジタルデータの上位4ビットの値が決定した後、逐次比較型AD変換器は、下位4ビットの値を決定する。下位4ビットの値の決定は、サンプリング容量C1〜C5の合計の容量値16Cxに対して、1/16の大きさの容量値Cxを有する容量C1、C6の一端に供給する電位をそれぞれ変化させて行う。
【0066】
具体的には、逐次比較制御回路32は、第1および第2のセレクタ11、12を制御し、容量C1、C6の一端に供給する電位をそれぞれ変化させる。これにより、リファレンス電位Vrefの1/256刻みでノード4の電位Vxを変化させて、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かを判定する。なお、容量C1の一端には、出力ラインL8の電位がラインL1を介して供給される。
【0067】
上述したように上記図1においては、抵抗R0〜R15、第1のセレクタ11、第2のセレクタ12および容量C1、C6は、全体として4ビット精度の抵抗型DACとして機能する。当該4ビットの抵抗型DACの機能動作を図3に示す。
従来の逐次比較型AD変換器におけるセレクタ121は、上記図23に示したように、(入力されたデジタルコードを10進数で表した数)×Vref/16の電位そのものを出力する。一方、本実施形態における第1および第2のセレクタ11、12は、上記図3に示すように、6Vref/16〜10Vref/16の範囲の電位そのものは出力せずに、2つの出力ラインL6、L8を介してそれぞれ供給する電位の和が、(入力されたデジタルコードを10進数で表した数)×Vref/16の電位になるように制御される。
【0068】
上記図3に示したように、出力ラインL6、L8(ラインL1)の電位を制御した際に、電荷の再分配により決定されるノード4の電位Vxについて説明する。
デジタルデータの上位4ビットの値を決定する際と同様に、一端が電源端子1に接続される容量C2〜C5の合成容量値をmCx(mは0〜15の整数)とし、一端がグランドに対して接続される容量C2〜C5の合成容量値を(15−m)Cxとする。また、容量C1の一端に出力ラインL8(ラインL1)を介して供給される電位をpVref/16(pは0〜15の整数)で表し、容量C6の一端に出力ラインL6を介して供給される電位をqVref/16(qは0〜15の整数)で表す。
【0069】
このとき、上記式(1)で示される電荷Qが保存されるとすると、電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、
Vx = (16/17)[(m/16)Vref +((p+q)/256)Vref − Vin]+ VTL …(3)
になる。
ここでp+q=rとし、上記図3に示すように抵抗型DACに入力するデジタルコード(10進数)と値rとが等しくなるように値p、qを選択すると、上記式(3)は次式(4)で示される。
Vx = (16/17)[(m/16)Vref +(r/256)Vref − Vin]+ VTL …(4)
【0070】
上記図3において、出力ラインL6、L8の値(出力電圧値)は、値q、pにそれぞれ対応するので、上記図3における(出力ラインL8)+(出力ラインL6)の値は、値r(=p+q)に等しい。つまり、上記図1に示した抵抗型DACは、入力されるデジタルコードに対して値p、qおよびrが以下に示す関係を有するように構成されている。なお、入力されるデジタルコードは10進数で示している。
【0071】
デジタルコードが“0”のとき、p=0、q=0、r=0
デジタルコードが“1”のとき、p=0、q=1、r=1
デジタルコードが“2”のとき、p=0、q=2、r=2
デジタルコードが“3”のとき、p=0、q=3、r=3
デジタルコードが“4”のとき、p=4、q=0、r=4
デジタルコードが“5”のとき、p=4、q=1、r=5
デジタルコードが“6”のとき、p=4、q=2、r=6
デジタルコードが“7”のとき、p=4、q=3、r=7
デジタルコードが“8”のとき、p=4、q=4、r=8
デジタルコードが“9”のとき、p=4、q=5、r=9
デジタルコードが“10”のとき、p=5、q=5、r=10
デジタルコードが“11”のとき、p=11、q=0、r=11
デジタルコードが“12”のとき、p=12、q=0、r=12
デジタルコードが“13”のとき、p=12、q=1、r=13
デジタルコードが“14”のとき、p=12、q=2、r=14
デジタルコードが“15”のとき、p=12、q=3、r=15
【0072】
このように上記図1に示した2つの抵抗型DACは、2つの出力ラインL6、L8を介して供給される電位を容量C1、C6により加算し、値rが0から15までのすべての整数値をとり得るように構成することで4ビット相当の抵抗型DACになる。
【0073】
ここで、アナログ入力信号の電位Vinは、容量型DACにより上位4ビットの値を決定する際に、リファレンス電位Vrefを16分割したVref/16刻みの電位(m/16)Vrefより高いか低いかがコンパレータ31により判定されている。すなわち、アナログ入力信号の電位Vinは、デジタルデータの上位4ビットの値mに対応する電位に対してVref/16、すなわち16Vref/256の範囲内の電位であることがわかる。
【0074】
したがって、アナログ入力信号の電位Vinに応じたデジタルデータの上位4ビットの値mが決定された後、上記図3に示した特性を有する抵抗型DACにより、リファレンス電位Vrefを256分割したVref/256刻み(正確には16/17倍)の電位で0×Vref/256〜15×Vref/256の範囲でノード4の電位Vxを変化させる。そして、電位Vxが論理しきい値電位VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定することにより、下位4ビットの値rを決定することができる。
【0075】
例えば、下位4ビットの中の最上位ビットの値を決定する場合(デジタルコード“1000”)には、第1および第2のセレクタ11、12のスイッチSWA4およびSWB4だけを閉じる。これにより、出力ラインL6、L8を介して容量C1、C6の一端に4Vref/16の電位が供給され、その結果、ノード4の電位Vxは、上位4ビットの値mに対応する電位より8Vref/256だけ上がる。この状態で、電位Vxが論理しきい値電位VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定することにより、下位4ビットの中の最上位ビットの値を決定する。
以下同様に、下位4ビットの中で決定した上位側のビットの値をデジタルコードに反映させて、下位4ビットの値を上位側から下位側に向かって順次決定する。
【0076】
図4は、上記図1に示した逐次比較型AD変換器における上述した動作を説明するための概念図である。
図4において、S21は、上記式(4)における値mに対応するデジタルデータ(上位4ビットに対応するデジタルデータ)であり、S22、S23は、上記式(4)における値rに対応するデジタルデータ(下位4ビットに対応するデジタルデータ)である。
【0077】
51は、上位4ビットをDA変換するための容量型DACであり、上記図1に示した容量C1〜C5およびスイッチ群21に対応する。52、53は、下位4ビットをDA変換するための第1および第2の抵抗型DACであり、出力ラインL8’、L6を介してデジタルデータS22、S23に応じた電位を容量C1、C6の一端にそれぞれ供給する。第1の抵抗型DAC52は、上記図1に示した抵抗R0〜R15および第1のセレクタ11に対応し、第2の抵抗型DAC53は、上記図1に示した抵抗R0〜R15および第2のセレクタ12に対応する。
なお、容量C1は、上記図1に示すように容量型DAC51の一部ではあるが、図4においては、動作の説明を理解しやすくするために容量型DAC51とは別に図示している。
【0078】
上記図4に示すように構成し、上述したように2つの容量C1、C6(容量型DACを構成する容量および別に設けた当該容量とは異なる容量)の一端に抵抗型DAC52、53からの電位をそれぞれ供給することで、デジタルデータS22、S23に応じた出力を容量結合により得ることができる。すなわち、上記図4において、2つの抵抗型DAC52、53が出力ラインL8’、L6を介してそれぞれ供給する電位は、容量C1、C6によりラインS12にて加算することができる。
【0079】
なお、上記図1、図4等に示した例では、2つの抵抗型DACから供給される電位を2つの容量を用いて加算する例を一例として示したが、抵抗型DACの数が2つを超えたとしても、抵抗型DACにそれぞれ対応する容量を設けることで抵抗型DAC出力を加算できることはいうまでもない。
【0080】
以上説明したように、本実施形態による逐次比較型AD変換器では、逐次比較制御回路32は、抵抗ストリング(直列に接続された複数の抵抗R0〜R15)を用いた複数の抵抗型DACからVref/2付近の所定の電位を出力させずに、上記複数の抵抗型DACの出力電位の和が当該所定の電位になるように、上記複数の抵抗型DACを制御する。つまり、複数の抵抗型DACから供給される出力を容量を用いて加算し、1つの抵抗型DACと同様の機能を実現する。
【0081】
これにより、複数の抵抗型DACにて、出力する際にスイッチのON抵抗が大きくなるVref/2付近の電位そのものを上記抵抗型DACから出力しなくとも、従来の逐次比較型AD変換器と同様にAD変換を行うことができる。
【0082】
具体的には、上記図22に示した従来の逐次比較型AD変換器において、抵抗型DACは、Vref/2付近である6Vref/16から10Vref/16の電位を含んだすべての電位を出力ラインL71を介して供給する必要があった。しかしながら、本実施形態による逐次比較型AD変換器では、それぞれの抵抗型DACは、上記図1、図3から明らかなように、6Vref/16から10Vref/16の電位を出力ラインL6、L8を介して供給する必要がない。
【0083】
すなわち、本実施形態による逐次比較型AD変換器は、CMOSトランスファゲートにてON抵抗が大きくなるVref/2付近の電位を出力しないように複数の抵抗型DACを制御する。これにより、CMOSトランスファゲートにてON抵抗が小さい領域で、CMOSトランスファゲートを動作させることができる。したがって、本実施形態による逐次比較型AD変換器は、従来の逐次比較型AD変換器と同じON抵抗で比べれば、より低電圧で動作させることができる。
【0084】
以下に、本実施形態による抵抗型DACの設計および動作原理について詳細に説明する。
本実施形態による逐次比較型AD変換器の抵抗型DACは、従来の逐次比較型AD変換器における4ビットの抵抗型DACと同等の機能を実現しつつ、それぞれの抵抗型DACからはVref/2付近の電位は出力しないように、例えば抵抗ストリングにて電位がVref/2付近になる部分に出力タップ(端子、ノード)を有しないように構成する。
【0085】
本実施形態による逐次比較型AD変換器は、上記図22に示した従来の逐次比較型AD変換器と対比すると、抵抗型DACからの出力を加算するために容量C6を備えている。従来の逐次比較型AD変換器は、容量C1にだけ抵抗型DACからの電位を供給し、ノード4の電位Vxに加算していたが、本実施形態による逐次比較型AD変換器は、容量C1、C6に抵抗型DACからの電位を供給し、それぞれに供給された電位をノード4の電位Vxに加算する。すなわち、本実施形態による逐次比較型AD変換器は、従来の回路に対して結合容量(C1、C6)の容量値が2倍になるので、抵抗型DACの電位がノード4の電位Vxに与える影響は、例えば出力ラインL8、L6の電位が同じである場合にはほぼ2倍になる(正確には、係数16/17がかかる)。
【0086】
したがって、本実施形態による逐次比較型AD変換器では、抵抗型DACから出力ラインL8、L6を介して供給する電位をそれぞれVref/4にすることで、図22に示した従来の回路にて出力ラインL71を介してVref/2の電位を供給することと同じ効果が得られる。
【0087】
また、例えば、抵抗型DACから15Vref/16の電位を供給する際、単純に結合容量の容量値を2倍にして抵抗型DACから7.5Vref/16ずつの電位を供給して加えるだけでは、結局Vref/2付近の電位を供給しなければならず、逐次比較型AD変換器にて低電圧化を図ることができない。しかしながら、本実施形態においては、抵抗型DACから出力ラインL8、L6を介して供給する電位を12Vref/16、3Vref/16にすることで、図22に示した従来の回路にて出力ラインL71を介して15Vref/16の電位を供給することと同じ効果が得られる。
【0088】
ところで、出力ラインL8、L6を介して供給する電位を容量C1、C6によりノード4の電位Vxに加算するとき、上記式(4)から明らかなように出力ラインL8、L6を介して供給するそれぞれの電位値が重要なのではなく、電位値の和が同じであれば良い。つまり、出力ラインL8、L6を介して供給する電位がVref/2付近にならないように上記式(4)における所望の値rを値p、qに分配できれば、逐次比較型AD変換器にて電源電圧の低電圧化を図ることができるとともに、結合容量が1つ(容量値Cx)であった場合に当該容量に0〜Vrefの電位を供給することと等価な効果を得ることができる。
【0089】
上記値p、qの分配方法について説明する。
なお、説明の便宜上、まず、出力ラインL8、L6を介して連続な電位を供給できるものとして説明する。
例えば、0〜Vrefの電位の範囲を3分割したとする。結合容量が1つの従来回路にて0〜2Vref/3までの電位を当該容量に供給することと同じ効果は、上記図1に示した結合容量C1、C6(合成容量値2Cx)に0〜Vref/3の電位を印加することにより得られる。
【0090】
また、結合容量が1つの従来回路にて2Vref/3を超える電位を当該容量に供給することと同じ効果は、上記図1に示した容量C1およびC6の一方の容量に2Vref/3を超える電位を印加し、他方の容量に0(V)を印加することにより得られる。このようにした場合には、出力ラインL8、L6を介して供給する電位の範囲は、0〜Vref/3および2Vref/3〜Vrefであり、Vref/3〜2Vref/3までの電位は出力ラインL8、L6を介して供給しなくて良い。つまり、本実施形態では、それぞれの抵抗型DACは、0〜Vref/3、および2Vref/3〜Vrefの範囲の電位だけを出力し、それらの任意の組み合わせにより従来の抵抗型DACと同様の機能を実現できる。
【0091】
出力ラインL8、L6を介して供給する実際の電位の値は離散値であるので、上述した説明を離散値に適用すれば良い。例えば、0〜Vrefの電位の範囲を、0〜5Vref/16、6Vref/16〜10Vref/16、および11Vref/16〜15Vref/16の3つの範囲に分割したとする。従来回路において10Vref/16を印加することと同じ効果は、結合容量C1、C6に5Vref/16の電位をそれぞれ印加することにより得られる。また、従来回路において11Vref/16の電位を印加することと同じ効果は、結合容量C1、C6の一方の容量(例えば、容量C1)に11Vref/16の電位を印加し、他方の容量(例えば容量C6)に0を印加することにより得られる。
【0092】
すなわち、従来回路において、0〜10Vref/16の電位を出力ラインL71を介して供給する機能は、本実施形態では出力ラインL8、L6を介して0〜5Vref/16の範囲内の任意の電位を供給することで実現できる。従来回路において、11Vref/16〜15Vref/16の電位を出力ラインL71を介して供給する機能は、本実施形態では出力ラインL8、L6の一方を介して11Vref/16以上の電位を供給し、他方を介して3Vref/16以下の電位を供給して組み合わせることで実現できる。このようにして、出力ラインL8、L6を介して供給する電位がVref/2付近にならないように、所望の値rを値p、qに分配する。
【0093】
本実施形態においては、出力ラインL8、L6を介して供給する電位の一例として、上記図3に示したような組み合わせを示したが、上述したようにp+q=rの関係を満たすように値p、qを決定さえすれば良く、回路構成やスイッチSWAn、SWBnの制御方法等の各種の変形が可能である。なお、このとき上記図1に示した逐次比較型AD変換器と同様に電源電圧の低電圧化を図ることができることはいうまでもない。
【0094】
例えば、抵抗ストリングからの出力を得るためのCMOSトランスファゲートにおいて、Pチャネルトランジスタのしきい電圧VTHがNチャネルトランジスタのしきい値電圧VTHより高い場合には、11Vref/16の電位は使用せずに、6Vref/16の電位を使用するようにしても良い。
【0095】
このようにした場合には、入力されるデジタルコードの値が“12”以下では、例えば6Vref/16+6Vref/16=12Vref/16として、出力ラインL8、L6を介して6Vref/16以下の電位を容量C1、C6にそれぞれ供給する。また、デジタルコードの値が“13”以上では、容量C1、C6の一方の容量に13Vref/16以上の電位を少なくとも供給する。以上のように、11Vref/16の電位は使用せずに、6Vref/16の電位を使用することで、Pチャネルトランジスタのゲート・ソース間電圧を大きくすることできる。なお、7Vref/16〜12Vref/16の範囲の電位は使用しない。
【0096】
逆に、Nチャネルトランジスタのしきい値電圧VTHがPチャネルトランジスタのしきい値電圧VTHより高い場合には、入力されるデジタルコードの値が“8”以下では、例えば4Vref/16+4Vref/16=8Vref/16として、出力ラインL8、L6を介して4Vref/16以下の電位を容量C1、C6にそれぞれ供給する。また、デジタルコードの値が“9”以上では、容量C1、C6の一方の容量に9Vref/16以上の電位を少なくとも供給する。このように、5Vref/16の電位は使用せずに、9Vref/16の電位を使用することで、Nチャネルトランジスタのゲート・ソース間電圧を大きくすることができる。なお、5Vref/16〜8Vref/16の範囲の電位は使用しない。
【0097】
また、上述した説明では、サンプリング動作において容量C6の一端を0V(GND)にするものとして説明したが、サンプリング動作において容量C6の一端にある所定の電位を供給しても良く、上記式(4)に基づく比較結果に影響を与えないようにすることが可能である。すなわち、第2のセレクタ12(抵抗型DAC)から供給され容量C6により加算する電位は、ある所定の電位に対してVref/16の電位刻みで必要な値qの分だけ変化できればよく、絶対値は必ずしも上記図3に示した電位でなくてもよい。
【0098】
次に、上記図3に示したように出力ラインL8、L6を介して電位を供給するための抵抗型DACの制御回路について説明する。
上記抵抗型DACの制御回路は、上記図1に示した逐次比較制御回路32内に設けられる。例えば、図5および図6に示すように制御回路を構成することで、上記図3に示した機能を実現することができる。
【0099】
図5および図6は、抵抗型DACの制御回路の一例を示す図である。
図5および図6において、SAR3、SAR2、SAR1、およびSAR0は、入力されるデジタルコード(バイナリコード)の最上位ビットから最下位ビットまでの4ビット(AD変換出力では下位4ビットに相当)にそれぞれ対応する信号である。SAn、SBn(nは整数)は、第1および第2のセレクタ11、12に設けられたスイッチSWAn、SWBnを開閉制御する選択信号である。上記選択信号は、“H”で選択される(スイッチが閉じる)ものとする。
また、INV0〜INV9はインバータ回路であり、NOR1〜NOR13はNOR回路(否定論理和回路)であり、NAND1〜NAND20はNAND回路(否定論理積回路)である。
【0100】
上記図5および図6に示す抵抗型DACの制御回路は、抵抗型DACの機能(特性)を示した上記図3を真理値表と考えることで容易に設計することができる。
具体的には、第1のセレクタ11内のスイッチSWA0が選択される条件は、上記図3にて出力ラインL8の欄の値が“0”になる条件、すなわち、信号SAR3、SAR2の値が“00”のときである。したがって、選択信号SA0を出力する回路は、図5に示すように信号SAR3、SAR2が“00”(“LL”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV3、INV2およびNAND1と、論理回路NAND1の出力が入力され、信号を反転して信号SA0として出力する論理回路INV1とで構成することができる。
【0101】
同様に、スイッチSWA4が選択される条件は、信号SAR3、SAR2の値が“01”のときと、信号SAR3、SAR2、SAR1の値が“100”のときである。したがって、選択信号SA4を出力する回路は、信号SAR3、SAR2が“01”(“LH”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV3、NAND3と、信号SAR3、SAR2、SAR1が“100”(“HLL”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV2、INV1およびNAND4と、論理回路NAND3、NAND4の出力が入力され、演算結果を選択信号SA4として出力する論理回路NAND5とで構成することができる。
【0102】
スイッチSWA5が選択される条件は、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1010”のときである。選択信号SA5を出力する回路は、信号SAR3、SAR2が“10”(“HL”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV2、NAND6と、信号SAR1、SAR0が“10”(“HL”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV0、NAND7と、論理回路NAND6、NAND7の出力が入力され、演算結果を信号SA5として出力する論理回路NOR1とで構成することができる。
【0103】
スイッチSWA11が選択される条件は、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1011”のときである。選択信号SA11を出力する回路は、信号SAR3、SAR2が“10”(“HL”)のときに“L”を出力するように接続された論理回路INV2、NAND8と、信号SAR1、SAR0が“11”(“HH”)のときに“L”を出力する論理回路NAND9と、論理回路NAND8、NAND9の出力が入力され、演算結果を信号SA11として出力する論理回路NOR2とで構成することができる。
【0104】
スイッチSWA12が選択される条件は、信号SAR3、SAR2の値が“11”のときである。選択信号SA12を出力する回路は、信号SAR3、SAR2が“11”(“HH”)のときに“L”を出力する論理回路NAND2と、論理回路NAND2の出力が入力され、信号を反転して信号SA12として出力する論理回路INV5とで構成することができる。
【0105】
また、同様に、第2のセレクタ12内のスイッチSWB0が選択される条件は、信号SAR1、SAR0の値が“00”でかつ信号SAR3、SAR2の値が“10”でないときと、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1011”のときである。スイッチSWB1が選択される条件は、信号SAR1、SAR0の値が“01”でかつ信号SAR3、SAR2の値が“10”でないときである。
【0106】
スイッチSWB2が選択される条件は、信号SAR1、SAR0の値が“10”でかつ信号SAR3、SAR2の値が“10”でないときである。スイッチSWB3が選択される条件は、信号SAR1、SAR0の値が“11”でかつ信号SAR3、SAR2の値が“10”でないときである。スイッチSWB4が選択される条件は、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1000”のときである。スイッチSWB5が選択される条件は、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1001”のときと、信号SAR3、SAR2、SAR1、SAR0の値が“1010”のときである。
【0107】
上述した第1のセレクタ11内のスイッチSWAnを制御するための制御回路と同様にして、上記図6に示すような選択信号SB0〜SB5を出力するための制御回路が構成される。
以上説明したように、例えば上記図3に示したような抵抗型DACの機能(特性)を決定すれば、上述のように第1および第2のセレクタ11、12を制御するための制御回路を容易に設計することができる。
なお、後述する第2〜第5の実施形態における抵抗型DACの制御回路についても、上述した第1の実施形態における抵抗型DACの制御回路と同様にして構成すれば良い。
【0108】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態による逐次比較型AD変換器は、抵抗R0〜R15による抵抗分圧で得られる電位を第1および第2のセレクタ11、12にて選択し、同じ容量値Cxを有する容量C1、C6の一端にそれぞれ供給して加算することで、4ビット相当のDAC動作を実現している。
【0109】
以下に説明する第2の実施形態による逐次比較型AD変換器は、上記第1の実施形態における容量C6(容量値Cx)の替わりに、2倍の容量値2Cxを有する容量を用いるものである。
図7は、本発明の第2の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。なお、この図7において、図1に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0110】
図7において、C7は容量であり、容量C1の容量値をCxとすると、容量C7の容量値は2Cxである。例えば、容量C7は、容量値の相対精度を確保するために、2個の単位容量Cxを並列に接続して構成される。容量C7の一端は、出力ラインL11を介して第2のセレクタ62の出力端に接続され、他端はノード4に接続される。
【0111】
第1および第2のセレクタ61、62は、上記図1に示した第1および第2のセレクタ11、12にそれぞれ対応する。第1のセレクタ61は、スイッチSWA0〜SWA5を備えており、第2のセレクタ62は、スイッチSWB0、SWB2、SWB4およびSWB5を備えている。なお、出力ラインL12の一端は、第1のセレクタ61の出力端に接続され、他端はスイッチSWC1の第2の端子に接続されている。
【0112】
次に、動作について説明する。
サンプリング動作およびデジタルデータの上位4ビットの値を決定するための比較動作は、上述した第1の実施形態と同様である。
ただし、第2の実施形態では、容量C6(容量値Cx)の替わりに容量C7(容量値2Cx)を用いているので、サンプリング動作において、容量C1〜C5、C7にて蓄積される電荷Qは、次式(5)に示すようになる。
Q = −16Cx(Vin − VTL)+ 2CxVTL …(5)
【0113】
また、デジタルデータの上位4ビットの値を決定する比較動作時の電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、次式(6)に示すようになる。
Vx = (16/18)[(m/16)Vref − Vin]+ VTL  …(6)
ここで、容量C1〜C5にて一端が電源端子1に接続される容量の合成容量値はmCx(m=0〜15の整数)とし、一端がグランドに対して接続される容量の合成容量値は(16−m)Cxとしている。
したがって、第1の実施形態と同様にして、上記式(6)に基づきデジタルデータの上位4ビットの値を決定することができる。
【0114】
デジタルデータの上位4ビットの値が決定した後、逐次比較型AD変換器は下位4ビットの値を決定する。上述した第1の実施形態と同様に、逐次比較制御回路32は、第1および第2のセレクタ61、62を制御して、サンプリング容量C1〜C5の合計の容量値16Cxに対して、1/16の大きさの容量値Cxを有する容量C1の一端、および2/16の大きさの容量値2Cxを有する容量C7の一端にそれぞれ供給する電位を変化させる。これにより、リファレンス電位Vrefの1/256刻みでノード4の電位Vxを変化させて、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かを判定することにより下位4ビットの値を決定する。
【0115】
上記図7に示した逐次比較型AD変換器においては、抵抗R0〜R15と第1のセレクタ61とが1つの抵抗型DACを構成し、同様に抵抗R0〜R15と第2のセレクタ62とが1つの抵抗型DACを構成し、当該2つの抵抗型DACと容量C1、C7とで、全体として4ビット精度の抵抗型DACとして機能する。
当該4ビット精度の抵抗型DACの機能動作を図8に示す。上記図7に示した逐次比較型AD変換器の第1および第2のセレクタ61、62は、上記図8に示すように0〜5Vref/16の範囲の電位だけを、出力ラインL11、L12を介してそれぞれ出力する。したがって、上記図7に示した逐次比較型AD変換器においては、第1および第2のセレクタ61、62が備えるスイッチSWAn、SWBnは、1つのPチャネルトランジスタと1つのNチャネルトランジスタとからなるトランスファゲートに限らず、Nチャネルトランジスタだけで構成するようにしても良い。
【0116】
上記図8に示したように、出力ラインL11、L12(ラインL1)の電位を制御した際に、電荷の再分配により決定されるノード4の電位Vxについて説明する。
第1の実施形態と同様に、一端が電源端子1に接続される容量C2〜C5の合成容量値をmCx(m=0〜15)とし、一端がグランドに対して接続される容量C2〜C5の合成容量値を(15−m)Cxとする。また、容量C1の一端に出力ラインL12を介して供給される電位をqVref/16(qは0〜15の整数)で表し、容量C7の一端に出力ラインL11を介して供給される電位をsVref/16(sは0〜15の整数)で表す。
【0117】
このとき、上記式(5)で示される電荷Qが保存されるとすると、電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、
Vx = (16/18)[(m/16)Vref +((2s+q)/256)Vref − Vin]+ VTL  …(7)
になる。
ここで2s+q=rとし、上記図8に示すように、抵抗型DACに入力するデジタルコード(10進数)と値rとが等しくなるように値s、qを選択すると、上記式(7)は次式(8)で示される。
Vx = (16/18)[(m/16)Vref +(r/256)Vref − Vin]+ VTL …(8)
【0118】
上記図8において、出力ラインL11、L12の値(出力電圧値)は、値s、qにそれぞれ対応するので、上記図8に示した(出力ラインL11)×2+(出力ラインL12)は、値r(=2s+q)に等しい。つまり、上記図7に示した抵抗型DACは、入力されるデジタルコードに対して値s、qおよびrが以下に示す関係を有するように構成されている。なお、入力されるデジタルコードは10進数で示している。
【0119】
デジタルコードが“0”のとき、s=0、q=0、r=0
デジタルコードが“1”のとき、s=0、q=1、r=1
デジタルコードが“2”のとき、s=0、q=2、r=2
デジタルコードが“3”のとき、s=0、q=3、r=3
デジタルコードが“4”のとき、s=2、q=0、r=4
デジタルコードが“5”のとき、s=2、q=1、r=5
デジタルコードが“6”のとき、s=2、q=2、r=6
デジタルコードが“7”のとき、s=2、q=3、r=7
デジタルコードが“8”のとき、s=4、q=0、r=8
デジタルコードが“9”のとき、s=4、q=1、r=9
デジタルコードが“10”のとき、s=4、q=2、r=10
デジタルコードが“11”のとき、s=4、q=3、r=11
デジタルコードが“12”のとき、s=5、q=2、r=12
デジタルコードが“13”のとき、s=5、q=3、r=13
デジタルコードが“14”のとき、s=5、q=4、r=14
デジタルコードが“15”のとき、s=5、q=5、r=15
【0120】
このように、上記図7に示した抵抗型DACは、出力ラインL11、L12を介して供給される電位を容量C1、C7により加算し、値rが0から15までのすべての整数値をとり得るように構成することで4ビット相当のDACになる。
【0121】
ここで、第1の実施形態と同様に、アナログ入力信号の電位Vinは、容量型DACによりデジタルデータの上位4ビットの値mを決定する際に、値mに対応する電位に対して16Vref/256の範囲内の電位であることがわかる。
したがって、デジタルデータの上位4ビットの値mが決定された後、上記図8に示した特性を有する抵抗型DACにより、0×Vref/256〜15×Vref/256の範囲(Vref/256刻み(正確には16/18倍))でノード4の電位Vxの値を変化させる。そして、電位Vxが論理しきい値電位VTLより高いか否かをコンパレータ31にて判定し、下位4ビットの値rを決定する。
【0122】
上記図7においては、出力ラインL11、L12を介して供給する電位の一例として、上記図8に示したような組み合わせを示したが、上記式(7)(8)から明らかなように2s+q=rの関係を満たすように値s、qを決定さえすれば良く、回路構成やスイッチSWAn、SWBnの制御方法等の各種の変形が可能である。
【0123】
例えば、図9に示すように逐次比較型AD変換器を構成することができる。
図9は、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器の他の構成例を示す回路図である。図9に示す逐次比較型AD変換器は、第1および第2のセレクタ71、72を、上記図7に示した第1および第2のセレクタ61、62とはそれぞれ異なる構成にしたものである。なお、この図9において、図1、図7に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0124】
図9において、71、72は第1および第2のセレクタであり、上記図1に示した第1および第2のセレクタ11、12にそれぞれ対応する。第1のセレクタ71は、スイッチSWA0〜SWA4、SWA13〜SWA15を備えており、第2のセレクタ72は、スイッチSWB0、SWB2、SWB4を備えている。
なお、出力ラインL22の一端は、第1のセレクタ71の出力端に接続され、他端はスイッチSWC1の第2の端子に接続されている。また、出力ラインL21の一端は、第2のセレクタ72の出力端に接続され、他端は容量C7の一端に接続されている。
【0125】
上記図9に示した逐次比較型AD変換器の動作(サンプリング動作、比較動作)は、デジタルコードの下位4ビットを決定するためのスイッチSWAn、SWBnの制御(上記式(7)に示した値s、qの選択)が異なるだけで、上記図7に示した逐次比較型AD変換器の動作と同様である。
【0126】
上記図9に示した逐次比較型AD変換器において、抵抗R0〜R15、第1のセレクタ71、第2のセレクタ72および容量C1、C7は、図10に示す機能動作を実現し、全体として4ビット精度の抵抗型DACとして機能する。上記図9に示した第1および第2のセレクタ71、72は、上記図10に示すように5Vref/16〜12Vref/16の範囲の電位そのものは出力しないように構成されている。
【0127】
また、上記図9に示した抵抗型DACは、入力されるデジタルコードに対して上記式(7)(8)にて示した値s、qおよびrが以下に示す関係を有するように構成されている。なお、入力されるデジタルコードは10進数で示している。
【0128】
デジタルコードが“0”のとき、s=0、q=0、r=0
デジタルコードが“1”のとき、s=0、q=1、r=1
デジタルコードが“2”のとき、s=0、q=2、r=2
デジタルコードが“3”のとき、s=0、q=3、r=3
デジタルコードが“4”のとき、s=2、q=0、r=4
デジタルコードが“5”のとき、s=2、q=1、r=5
デジタルコードが“6”のとき、s=2、q=2、r=6
デジタルコードが“7”のとき、s=2、q=3、r=7
デジタルコードが“8”のとき、s=4、q=0、r=8
デジタルコードが“9”のとき、s=4、q=1、r=9
デジタルコードが“10”のとき、s=4、q=2、r=10
デジタルコードが“11”のとき、s=4、q=3、r=11
デジタルコードが“12”のとき、s=4、q=4、r=12
デジタルコードが“13”のとき、s=0、q=13、r=13
デジタルコードが“14”のとき、s=0、q=14、r=14
デジタルコードが“15”のとき、s=0、q=15、r=15
【0129】
第2の実施形態による逐次比較型AD変換器の抵抗型DACについて説明する。
第2の実施形態による逐次比較型AD変換器では、抵抗型DACの出力として第1および第2のセレクタからの2つの出力ラインを設け、当該出力ラインを介して供給されるそれぞれの電位を容量C1、C7により加算する。ここで、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器は、結合容量C1、C7の合計の容量値が従来回路に対して3倍である。したがって、出力ラインを介して供給される電位が同じである場合には、抵抗型DACから供給される電位がノード4の電位Vxに与える影響は3倍になる。
【0130】
すなわち、上記図22に示した逐次比較型AD変換器にて出力ラインL71を介してVrefの電位を容量C1の一端に供給することとほぼ同じ効果が、第1および第2のセレクタにより2つの出力ラインを介してVref/3の電位をそれぞれ供給することで得られる。この原理を具体的に実現した回路が、上述した図7に示した逐次比較型AD変換器である。
【0131】
また、上述した第1の実施形態と同様に、第1および第2のセレクタにより2つの出力ラインを介して供給する電位を容量C1、C7によりノード4の電位Vxに加算するとき、上記式(7)、(8)から明らかなように2つの出力ラインを介して供給するそれぞれの電位値が重要なのではなく、その重み付けされた和2s+q=rが同じであれば良い。つまり、逐次比較型AD変換器にて低電圧化を図るには、2つの出力ラインを介して供給する電位がVref/2付近にならないように、上記式(8)における所望の値rを値s、qに分配すれば良い。
【0132】
上記図9に示した逐次比較型AD変換器における値s、qの分配について説明する。
まず、0〜Vrefの電位の範囲を4分割する。結合容量が1つの従来回路にて0〜3Vref/4までの電位を当該容量に供給することと同じ効果は、結合容量C1、C7(合成容量値3Cx)に0〜Vref/4の電位を印加することにより得られる。また、結合容量が1つの従来回路にて3Vref/4を超える電位を当該容量に供給することと同じ効果は、容量C1(容量値Cx)に3Vref/4を超える電位を供給し、容量C7(容量値2Cx)に0(V)を印加することにより得られる。
【0133】
したがって、上記図9に示した逐次比較型AD変換器では、出力ラインL21、L22を介して供給する電位の範囲は、0〜Vref/4および3Vref/4〜Vrefであり、それらの任意の組み合わせにより従来の抵抗型DACと同様の機能を実現し、Vref/4〜3Vref/4の範囲の電位は出力ラインL21、L22を介して供給しなくて良い。このようにして、出力ラインL21、L22を介して供給する電位がVref/2付近にならないように、所望の値rを値s、qに分配することができる。
【0134】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、逐次比較制御回路32は、抵抗R0〜R15により構成された抵抗ストリングを用いた複数の抵抗型DACからVref/2付近の電位を出力しないように上記複数の抵抗型DACを制御し、複数の抵抗型DACから供給される電位を容量により加算する。
【0135】
これにより、出力する際にスイッチのON抵抗が大きくなるVref/2付近の電位そのものを抵抗型DACから出力しなくとも、複数の抵抗型DACから供給される電位を加算して1つの抵抗型DACと同様の機能を実現することができるので、従来の逐次比較型AD変換器と同様に例えば8ビットのAD変換を行うことができるとともに、電源電圧を低電圧化することができる。
【0136】
また、上記図9に示した逐次比較型AD変換器は、上記図7に示した逐次比較型AD変換器に対して、図から明らかなように使用しない(第1および第2のセレクタ71、72を介して供給しない)電位の範囲が広くなるので、上記図7に示した逐次比較型AD変換器に比べて、より低電圧での動作が可能である。例えば、リファレンス電位(電源電圧)Vrefが3V程度の場合には、上記図9に示した逐次比較型AD変換器は、上記図7に示した逐次比較型AD変換器に比べて電源電圧を約0.2V(Vref/16)低下させることができる。
【0137】
一方、上記図7に示した逐次比較型AD変換器は、上記図9に示した逐次比較型AD変換器と比較して出力ラインL12に接続されるスイッチSWAnの数が少なく接合による接合容量が小さいので、上記図9に示した逐次比較型AD変換器に比べて遅延時間等が短い。
したがって、接合容量の増加や使わない電圧範囲等を考慮し、逐次比較型AD変換器に要求される条件に応じて、各種の変形回路を選択するようにすればより適切な逐次比較型AD変換器を構成することができる。
【0138】
ここで、上述した第1および第2の実施形態による逐次比較型AD変換器を比較する。第1の実施形態による逐次比較型AD変換器は、容量値Cxを有する容量C6を用い、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器は、容量値2Cxを有する容量C7を用いている。したがって、第1の実施形態による逐次比較型AD変換器は、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器と比較して、回路面積の増加が少ないとともに、抵抗型DACを構成する抵抗と容量C6とによる遅延時間が短く(時定数が小さく)、AD変換を速やかに行うことができる。
【0139】
一方、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器は、2倍の容量値2Cxを有する容量C7を用いることで、容量C7に対して供給される電位を2倍し抵抗型DACの出力として加算する。これにより、第2の実施形態による逐次比較型AD変換器は、上記第1の実施形態と比較して使用しない電位の範囲が広くなり(最大で全範囲の1/2、それに対し第1の実施形態では最大で全範囲の1/3)、電源電圧をより低電圧化することができるとともに、全般に第1および第2のセレクタが備えるスイッチ数を少なくすることができる。
【0140】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
以下に説明する第3の実施形態による逐次比較型AD変換器は、上述した第1および第2の実施形態における抵抗型DAC(4ビット精度)を5ビット精度の抵抗型DACにし、AD変換器全体では9ビットのAD変換が実行可能な逐次比較型AD変換器である。
【0141】
図11は、本発明の第3の実施形態による逐次比較型AD変換器の抵抗型DACの一構成例を示す回路図である。なお、上記図11においては、抵抗ストリングおよび第1および第2のセレクタ81、82以外の回路については図示していないが、容量型DAC、コンパレータ31、逐次比較制御回路32等は上記図1に示した回路構成と同様である。
【0142】
図11において、R0〜R31は等しい抵抗値を有する抵抗であり、電源端子1とグランド端子2との間に、グランド端子2側から電源端子1側に抵抗R0、R1、R2、…、R31の順に直列に接続される。
【0143】
第1および第2のセレクタ81、82は、上記図1に示した第1および第2のセレクタ11、12に対応するものである。第1のセレクタ81は、スイッチSWA0’、SWA4’、SWA8’、SWA10’、SWA21’、SWA24’およびSWA28’を備えており、第2のセレクタ82は、スイッチSWB0’〜SWB10’を備えている。スイッチSWAn’、SWBn’は、(Vref/32)×nの電位を選択するためのスイッチであり、図示しない逐次比較制御回路からの制御信号により制御される。
【0144】
ここで、出力ラインL32、L31は、上記図1に示した出力ラインL8、L6にそれぞれ対応する。なお、図示していないが、出力ラインL32は、容量C1(容量値Cx)の一端に接続可能なようにスイッチSWC1の第2の端子に接続され、出力ラインL31は容量C6(容量値Cx)の一端に接続されている。
【0145】
つまり、上述した第1の実施形態と同様に、抵抗R0〜R31と第1のセレクタ81とが1つの抵抗型DACを構成し、同様に抵抗R0〜R31と第2のセレクタ82とが1つの抵抗型DACを構成し、当該2つの抵抗型DACが出力ラインL32、L31を介してそれぞれ供給する電位が図示しない容量C1、C6によりノード4の電位Vxに加算され、全体として5ビット精度の抵抗型DACとして機能する。
【0146】
図12は、上記図11に示した5ビット精度の抵抗型DACの機能動作を示す図である。上記図12に示されるように第1および第2のセレクタ81、82は、0〜10Vref/32の範囲の電位と、21Vref/32、24Vref/32、28Vref/32の電位だけを出力ラインL31、L32を介して出力する。
【0147】
次に、動作について説明する。
なお、サンプリング動作と、比較動作での容量型DACによる上位4ビットの変換とについては、上述した第1の実施形態での動作と同様であるので説明は省略する。
【0148】
デジタルデータの上位4ビットの値が決定した後、上述した第1の実施形態と同様にして、図示しない逐次比較制御回路は、第1および第2のセレクタ81、82を制御し、容量値Cxを有する容量C1、C6の一端に供給する電位をそれぞれ変化させる。これにより、リファレンス電位Vrefの1/512刻みでノード4の電位Vxを変化させて、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かを判定することにより下位5ビットの値を決定する。
【0149】
次に、上記図12に示したように、出力ラインL31、L32(ラインL1)の電位を制御した際に、電荷の再分配により決定されるノード4の電位Vxについて説明する。
第1の実施形態と同様に、一端が電源端子1に接続される容量C2〜C5の合成容量値をmCx(mは0〜15の整数)とし、一端がグランドに対して接続される容量C2〜C5の合成容量値を(15−m)Cxとする。また、容量C1の一端に出力ラインL32(ラインL1)を介して供給される電位をtVref/32(tは0〜31の整数)で表し、容量C6の一端に出力ラインL31を介して供給される電位をuVref/32(uは0〜31の整数)で表す。
【0150】
このとき、上記式(1)で示される電荷Qが保存されるとすると、電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、
Vx = (16/17)[(m/16)Vref +((t+u)/512)Vref − Vin]+ VTL …(9)
になる。
ここでt+u=vとし、上記図12に示すように、デジタルコード(10進数)と値vとが等しくなるように値t、uを選択すると、上記式(9)は次式(10)で示される。
Vx = (16/17)[(m/16)Vref +(v/512)Vref − Vin]+ VTL …(10)
【0151】
上記図12において出力ラインL31、L32の値(出力電圧値)は、値u、tにそれぞれ対応するので、上記図12に示した(出力ラインL31)+(出力ラインL32)の値は、値v(=t+u)に等しい。
したがって、第1の実施形態と同様に、上記図11に示した抵抗型DACは、2つの出力ラインL32、L31を介して供給される電位を容量C1、C6によりで加算し、値vが0から31までのすべての整数値をとり得るように構成することで5ビット相当の抵抗型DACが実現できる。これにより、逐次比較型AD変換器全体では9ビットのAD変換を実現することができる。
【0152】
上記値t、uの分配についても、上述した第1の実施形態と同様に0〜Vrefの電位の範囲を3分割し、結合容量が1つの従来回路にて当該容量に0〜2Vref/3までの電位を供給することと同じ効果は、結合容量C1、C6(合成容量値2Cx)に0〜Vref/3の電位を印加することにより得られる。また、結合容量が1つの従来回路にて当該容量に2Vref/3を超える電位を供給することと同じ効果は、容量C1およびC6の一方の容量に2Vref/3を超える電位を少なくとも供給することにより得られる。したがって、抵抗型DACを5ビット精度の抵抗型DACにしたとしても、上述した第1の実施形態と同様にして逐次比較型AD変換器を構成することができる。
【0153】
上記図11においては、出力ラインL32、L31を介して供給する電位、すなわち値t、uの分配方法の一例として、上記図12に示したような組み合わせを示したが、値t、uの組み合わせはこれに限らず、電位Vref/2付近の電位を使用しないように値t、uの組み合わせを決定すれば、上述した第1の実施形態による逐次比較型AD変換器と同様に、低電圧化を図ることができる。
【0154】
図13は、本発明の第3の実施形態における抵抗型DACの他の構成例を示す回路図である。この図13に示す抵抗型DACは、上記図11に示した抵抗型DACに対して出力ライン41の接合容量の削減、およびスイッチSWAn’、SWBn’の制御回路の簡素化を図ったものである。
なお、この図13において、図11に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図13においても、上記図11と同様に、抵抗ストリングおよび第1および第2のセレクタ91、92以外の回路については図示していないが、容量型DAC、コンパレータ31、逐次比較制御回路32等は上記図1に示した回路構成と同様である。
【0155】
図13において、91、92は第1および第2のセレクタであり、上記図11に示した第1および第2のセレクタ81、82にそれぞれ対応する。第1のセレクタ91は、スイッチSWA0’、SWA4’、SWA8’、SWA12’、SWA20’、SWA24’およびSWA28’を備えており、第2のセレクタ92は、スイッチSWB0’〜SWB3’およびSWB8’〜SWB11’を備えている。なお、出力ラインL41、L42は、上記図11に示した出力ラインL31、L32にそれぞれ対応する。
【0156】
したがって、上記図13に示した抵抗型DACと同様に、抵抗R0〜R31と第1のセレクタ91とが1つの抵抗型DACを構成し、同様に抵抗R0〜R31と第2のセレクタ92とが1つの抵抗型DACを構成し、当該2つの抵抗型DACが出力ラインL42、L41を介してそれぞれ供給する電位が図示しない容量C1、C6(ともに容量値Cx)によりノード4の電位Vxに加算され、全体として5ビット精度の抵抗型DACとして機能する。
なお、上記図13に示した抵抗型DACを有する逐次比較型AD変換器の動作は、上記図11に示した抵抗型DACを有する逐次比較型AD変換器の動作と同様であるので、説明は省略する。
【0157】
図14は、上記図13に示した5ビット精度の抵抗型DACの機能動作を示す図である。図14に示されるように、上記図11に示した抵抗型DACに比べて、上記図13に示した抵抗型DACは、出力ラインL41、L42を介してそれぞれ供給する電位が規則的に分配されている。したがって、上記図13に示した抵抗型DACのスイッチSWAn’、SWBn’を選択するための抵抗型DACの制御回路は、非常に簡単に構成することができる。
【0158】
また、上記図11に示した抵抗型DACでは、出力ラインL31を介して供給する電位として0〜10Vref/32までの電位だけを使用していたが、その結果、出力ラインL31に接続されるスイッチSWBn’の数は11個であった。一方、図13に示すように、例えば、11Vref/32までの電位を使用すると、出力ラインL41に接続されるスイッチSWBn’の数は8個に減少させることができ、出力ライン41での接合による接合容量を削減することができる。このように、スイッチの数、すなわち接合容量と、低電圧化により得られる効果とを考慮して、各種の変形が可能である。
【0159】
図15は、本発明の第3の実施形態における抵抗型DACのその他の構成例を示す回路図である。この図15に示す抵抗型DACは、上記図7に示したような結合容量の合成容量値が3Cxの逐次比較型AD変換器に適用するものである。
なお、この図15において、図11に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、上記図15においては、抵抗ストリングおよび第1および第2のセレクタ101、102以外の回路については図示していないが、容量型DAC、コンパレータ31、逐次比較制御回路32等は上記図7に示した回路構成と同様である。
【0160】
図15において、101、102は第1および第2のセレクタであり、上記図7に示した第1および第2のセレクタ61、62に対応する。第1のセレクタ101は、スイッチSWA0’〜SWA7’およびSWA24’〜SWA27’を備えており、第2のセレクタ102は、スイッチSWB0’、SWB2’、SWB4’、SWB6’、SWB8’を備えている。なお、出力ラインL51、L52は、上記図7に示した出力ラインL11、L12にそれぞれ対応する。
【0161】
図16は、上記図15に示した5ビット精度の抵抗型DACの機能動作を示す図である。上記図16に示されるように、当該抵抗型DACは、0〜8Vref/32の電位と、24Vref/32〜27Vref/32の電位だけを出力する。
【0162】
次に、動作について説明する。
なお、サンプリング動作と、比較動作での容量型DACによる上位4ビットの変換とについては、上述した第2の実施形態での動作と同様であるので説明は省略し、デジタルデータの下位5ビットの値を決定する動作についてのみ説明する。
【0163】
下位5ビットの値は、第1および第2のセレクタ101、102から容量C1(容量値Cx)、C7(容量値2Cx)の一端に供給する電位をそれぞれ変化させることにより、リファレンス電位Vrefの1/512刻みでノード4の電位Vxを変化させ、ノード4の電位Vxが論理しきい値電圧VTLより高いか否かを判定することにより決定する。
【0164】
上記図16に示したように、出力ラインL51、L52(ラインL1)の電位を制御した際に、電荷の再分配により決まるノード4の電位Vxについて説明する。
第2の実施形態と同様に、一端が電源端子1に接続される容量C2〜C5の合成容量値をmCx(mは0〜15)とし、一端がグランドに対して接続される容量C2〜C5の合成容量値を(15−m)Cxとする。また、容量C1の一端に出力ラインL52(ラインL1)を介して供給される電位をuVref/32(uは0〜31の整数)で表し、容量C7の一端に出力ラインL31を介して供給される電位をwVref/32(wは0〜31の整数)で表す。
【0165】
このとき、上記式(5)で示される電荷Qが保存されるとすると、電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、
Vx = (16/18)[(m/16)Vref +((2w+u)/512)Vref − Vin]+ VTL  …(11)
になる。
ここで2w+u=vとし、上記図16に示すように、デジタルコード(10進数)と値vとが等しくなるように値w、uを選択すると、上記式(11)は次式(12)で示される。
Vx = (16/18)[(m/16)Vref +(v/512)Vref − Vin]+ VTL …(12)
【0166】
上記図16において出力ラインL51、L52の値(出力電圧値)は、値w、uにそれぞれ対応するので、上記図16に示した(出力ラインL51)×2+(出力ラインL52)の値は、値v(=2w+u)に等しい。したがって、第2の実施形態と同様にして、上記図15に示した抵抗型DACは、抵抗ストリングの中央の電位Vref/2付近の電位を使用しないように構成した5ビット相当の抵抗型DACの機能を実現でき、第2の実施形態と同様に低電圧動作が可能になる。
【0167】
なお、上記図15においては、出力ラインL52、L51を介して供給する電位、すなわち値u、wの分配方法の一例として、上記図16に示したような組み合わせを示したが、2w+u=vの関係を満たすように値u、wを決定し、かつ抵抗ストリングの中央の電位Vref/2付近を使用しないようにすれば良く、上記図16に示した組み合わせに限らず、組み合わせを変えても同様に低電圧化を図ることができる。
【0168】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
上述した第1〜第3の実施形態に示した逐次比較型AD変換器においては、アナログ入力信号のデジタルコードへのAD変換動作における伝達特性は、図17に示すように0(V)から1LSB分に相当する(最下位ビットにて値が変化しない)電位毎にデジタルコードが遷移する伝達特性を示す。例えば、8ビットの逐次比較型AD変換器では、アナログ入力信号の電位Vinが、電位(Vref/2)×x〜(Vref/2)×(x+1)(xは0から254)のとき、デジタルコードxが出力される。
【0169】
しかしながら、AD変換器においては、図18に示すようにデジタルコードの遷移が値(x+1/2)(xは、0から254)に相当する電位で((x+1/2)LSB毎に)起きる、すなわち電位(Vref/2)×(x−1/2)〜(Vref/2)×(x+1/2)のとき、デジタルコードxを出力する伝達特性が望まれる場合がある。
【0170】
以下に説明する第4の実施形態による逐次比較型AD変換器は、上記図18に示したような伝達特性を示す逐次比較型AD変換器である。
図19は、本発明の第4の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。なお、この図19において、図1に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図1に示した構成要素等と同一ではないが対応する機能を有する構成要素等には、同じ符号に’を付している。
【0171】
上記図19に示した逐次比較型AD変換器と、上記図1に示した逐次比較型AD変換器との回路構成の相違点は、上記図1における抵抗R0に代えて、2つの抵抗R00、R01を設けるとともに、抵抗R00と抵抗R01との相互接続点における電位を選択するためのスイッチSWBSPLを、第2のセレクタ12’内に新たに設けたことである。なお、抵抗R00、R01の抵抗値は、抵抗R0の抵抗値のそれぞれ1/2にする。したがって、抵抗R00と抵抗R01との間の電位はVref/32になる。
【0172】
次に、動作について説明する。
サンプリング動作および比較動作については、サンプリング動作時に、第2のセレクタ12’内でスイッチSWBSPLのみを閉じるように制御して、容量C6の一端に電位Vref/32を供給することが異なるだけで、上述した第1の実施形態と同様である。
【0173】
したがって、サンプリング動作により、容量C1〜C6にて蓄積される電荷Qは、次式(13)で表される。
Q = −16Cx(Vin − VTL)+ Cx(VTL − Verf/32)  …(13)
また、デジタルデータの上位4ビットの値を決定する比較動作時の電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、次式(14)に示すようになる。
Vx = (16/17)[(m/16)Vref − Vref/512 − Vin]+ VTL …(14)
【0174】
また、デジタルデータの下位4ビットの値を決定する比較動作時の電荷の再分配によるノード4の電位Vxは、次式(15)に示すようになる。
Vx = (16/17)[(m/16)Vref+((p+q)/256)Vref−Vref/512−Vin]+VTL  …(15)
さらに、p+q=rとし、上記図3に示したように、抵抗型DACに入力するデジタルコード(10進数)と値rとが等しくなるように値p、qを選択すると、上記式(15)は次式(16)に示すようになる。
Vx = (16/17)[(m/16)Vref+((r)/256)Vref−Vref/512−Vin]+VTL  …(16)
【0175】
ここで、容量C1〜C5にて一端が電源端子1に接続される容量の合成容量値はmCx(mは0〜15の整数)としている。また、容量C1の一端に出力ラインL8(ラインL1)を介して供給される電位をpVref/16(pは0〜15の整数)で表し、容量C6の一端に出力ラインL6を介して供給される電位をqVref/16(qは0〜15の整数)で表している。
【0176】
したがって、上述した第1の実施形態と同様にして、上記式(14)に基づいてデジタルデータの上位4ビットの値を決定することができるとともに、上記式(16)に基づいてデジタルデータの下位4ビットの値を決定することができる。また、上記式(14)〜(16)の(−Vref/512)の項からわかるように、上記図1に示した逐次比較型AD変換器と比較して、同じデジタルコードに対応するノード4の電位Vxを(1/2)LSB分の電位だけ低くすることができる。
【0177】
以上説明したように、上記図19に示したように逐次比較型AD変換器の回路構成を一部変更することで、上記図18に示すようにデジタルコードの遷移が起きる伝達特性を有する逐次比較型AD変換器を構成することができる。上記図19においては、上記図1に示した4ビットの抵抗型DACを用いた逐次比較型AD変換器に適用した場合を一例として示したが、これに限らず、例えば上述した第2および第3の実施形態による逐次比較型AD変換器に対しても適用することができる。
【0178】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
図20は、本発明の第5の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。なお、この図20において、図1に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0179】
上記図20に示す逐次比較型AD変換器は、上述した第4の実施形態による逐次比較型AD変換器と同様の機能を有しながらも、消費電力を削減することができるように上記図19に示した逐次比較型AD変換器の回路構成を変更したものである。具体的には、上記図20に示した逐次比較型AD変換器は、比較動作時に使用する抵抗型DACにおいて、抵抗R15と電源端子1との間にスイッチPM1(Pチャネルトランジスタ)を設けている。このスイッチPM1により、サンプリング期間中には、比較動作時において使用する抵抗型DACにて電流を流さないように制御し、別に設けた電流が少ない抵抗型DAC(比較動作時において使用する抵抗型DACを構成する抵抗より大きい抵抗値を有する抵抗を用いた抵抗型DAC)で必要な電位を供給するようにする。
【0180】
上記図20に示した逐次比較型AD変換器と、上記図19に示した逐次比較型AD変換器とは、サンプリング動作を行っている際に、スイッチSWBSPLにより容量C6の一端に供給する電位Vref/32を、比較動作時に用いる抵抗型DACとは別に設けた抵抗R100、R101により生成していることが異なる。
【0181】
上述したように上記図18に示すような伝達特性を有する逐次比較型AD変換器を構成するには、サンプリング動作中に、容量C6の一端に電位Vref/32を供給すれば良い。したがって、上記図20に示した逐次比較型AD変換器において、抵抗R100の抵抗値を抵抗R101の抵抗値の31倍にすれば、上記図18に示すような伝達特性を有する逐次比較型AD変換器を構成することができる。
【0182】
ここで、逐次比較型AD変換器におけるAD変換に要する変換処理時間を、サンプリング動作に要するサンプリング時間と、比較動作に要する比較時間(1ビットあたりの比較に要する時間×ビット数)とする。例えば、上記図20に示すような8ビットの逐次比較型AD変換器では、変換処理時間は、(変換処理時間)=(サンプリング時間)+(1ビットあたりの比較に要する時間)×8になる。
【0183】
したがって、所望の時間内でのAD変換処理を実現するために、サンプリング時間と比較時間との割合を(1:1)とすると、サンプリング時間と1ビットあたりの比較に要する時間との比は8:1になる。つまり、サンプリング動作および比較動作における時定数は、8倍異なっていてもよい。このようにサンプリング動作の期間と比較動作の期間では、一般に要求される時定数が異なり、サンプリング動作は比較動作に比べて高速な処理を要求されない。
【0184】
上述した説明からわかるように、上記図19に示した逐次比較型AD変換器において高速なAD変換処理を実現するには、抵抗R00、R01、R1〜R15の抵抗値は、時定数を小さくするためにあまり大きくすることができない。同様に、上記図20に示す逐次比較型AD変換器においても、高速なAD変換処理を実現するには、抵抗R0〜R15の抵抗値はある値より大きくすることができない。
【0185】
しかしながら、上述したようにサンプリング期間の時定数は大きくても良い場合がある。したがって、上記図20に示したようにサンプリング動作において容量C6の一端に供給する電位を抵抗R0〜R15とは異なる抵抗R100、R101により生成するようにすれば、抵抗R100、R101の合計の抵抗値を抵抗R0〜R15の合計の抵抗値より大きくすることができる。したがって、サンプリング動作中に、抵抗R100、R101に流れる電流を上記図19に示した逐次比較型AD変換器において抵抗R00、R01、R1〜R15に流れる電流よりも小さくすることができ、消費電力を削減することができる。例えば、抵抗R100、R101の合計の抵抗値を、抵抗R0〜R15の合計の抵抗値の8倍にすれば、サンプリング期間に抵抗R100、R101に流れる電流は、比較動作時に抵抗R0〜R15に流れる電流の1/8にすることができる。
【0186】
そこで、上記図20に示した逐次比較型AD変換器では、スイッチPM1を設け、サンプリング動作の期間においては、スイッチPM1のゲート信号35を“H”にしてスイッチPM1をOFF(開)状態にし、スイッチPM2(Pチャネルトランジスタ)のゲート信号36を“L”にしてスイッチPM2をON(閉)状態にする。これにより、サンプリング動作においては、抵抗R0〜R15に電流を流さないようにするとともに、抵抗R100、R101により生成した電位を容量C6の一端に供給する。
【0187】
したがって、上記図20に示した逐次比較型AD変換器は、上記図19に示した逐次比較型AD変換器と同様の特性を得ることができる。そして、比較動作を開始する直前に、スイッチPM1をON状態にすれば、上記図19に示した逐次比較型AD変換器と同様に動作させることができる。
以上のように構成することで、サンプリング動作時に、抵抗による消費電力を削減し、全変換期間の平均電流を減少させることができる。
【0188】
図21は、本発明の第5の実施形態による逐次比較型AD変換器の他の構成例を示す回路図である。なお、この図21において、図1、図20に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0189】
上記図21に示す逐次比較型AD変換器は、上述した第4の実施形態による逐次比較型AD変換器と同様の機能を有するとともに、消費電力を削減することができるように上記図22に示した逐次比較型AD変換器の回路構成を変更したものである。上記図21に示した逐次比較型AD変換器は、上記図20に示した逐次比較型AD変換器と同様に、比較動作時に使用する抵抗型DACにスイッチPM1を設けている。これにより、サンプリング動作の期間においては、比較動作時に使用する抵抗型DACに電流を流さないように制御するとともに、別に設けた電流が少ない抵抗型DACで必要な電位を供給する。
【0190】
上記図21に示した逐次比較型AD変換器は、上記図20に示した逐次比較型AD変換器と同様に、抵抗R100の抵抗値を抵抗R101の抵抗値の31倍にし、サンプリング動作を行っている際にスイッチSWBSPLにより容量C6の一端に電位Vref/32を供給する。また、抵抗R100、R101の合計の抵抗値を抵抗R0〜R15の合計の抵抗値より大きく(例えば8倍に)することは、上記図20に示した逐次比較型AD変換器と同様である。
【0191】
上記図21に示した逐次比較型AD変換器は、サンプリング動作の期間においては、スイッチPM1をOFF(開)状態にするとともにスイッチPM2をON(閉)状態にする。これにより、サンプリング動作では、抵抗R0〜R15に電流を流さないようにするとともに、抵抗R100、R101により生成した電位を容量C6の一端に供給する。そして、比較動作を開始する直前に、スイッチPM1をON状態にする。
【0192】
以上のように構成することで、上記図18に示したような伝達特性を有する逐次比較型AD変換器を構成することができる。さらに、サンプリング動作時における抵抗での消費電力を削減し、変換動作全体としての平均電流を減少させることができ、低消費電力化を図ることができる。
【0193】
なお、上述した第1〜第5の実施形態においては、4ビット精度の抵抗DACを備えた8ビットの逐次比較型AD変換器、および5ビット精度の抵抗DACを備えた9ビット逐次比較型AD変換器について説明したが、本発明はこれに限らず、任意のビット精度を有する抵抗DACを備えた逐次比較型AD変換器に適用することができる。
また、上述した第1〜第5の実施形態においては、相互接続点の電位が出力として用いない電位の抵抗間には、抵抗ストリングからの出力ノード、スイッチ等を有していないが、出力ノードやスイッチ等を設け、使用しないようにしても良い。
【0194】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の諸態様を付記として以下に示す。
【0195】
(付記1)入力される比較デジタルデータの上位Lビット(Lは整数)の値に応じて、第1の比較電位を出力する容量型DA変換回路と、
上記比較デジタルデータの下位Mビット(Mは整数)の値に応じて、供給される電源電圧を分圧して得られる電位をそれぞれ所定の組み合わせで出力する複数の抵抗型DA変換回路と、
上記複数の抵抗型DA変換回路にそれぞれ対応して設けられ、一端が対応する上記抵抗型DA変換回路の出力端に接続され、他端が上記容量型DA変換回路の出力端に共通接続された複数の結合容量と、
上記複数の抵抗型DA変換回路の出力電位を対応する上記結合容量の容量値に基づいて重み付け加算した第2の比較電位と上記第1の比較電位との和と、外部から入力される入力アナログ信号の電位とを比較する比較回路と、
上記比較回路による比較結果に基づいて、上記入力アナログ信号の電位に応じた出力デジタルデータの値を1ビット毎に決定するとともに新たな上記比較デジタルデータを生成し、順次生成した比較デジタルデータに基づいて上記容量型DA変換回路および上記複数の抵抗型DA変換回路の制御を繰り返し行い、上記入力アナログ信号を(L+M)ビットの出力デジタルデータに変換し出力する制御回路とを備え、
上記制御回路は、上記電源電圧を2個に分圧した電位の中の上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位と、上記第2の比較電位とが等しくなるように上記複数の抵抗型DA変換回路を制御することを特徴とするAD変換器。
(付記2)少なくとも上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位が上記電源電圧の1/2の電位のときには、
上記制御回路は、上記電源電圧の1/2の電位とは異なる電位を上記複数の抵抗型DA変換回路からそれぞれ出力するように上記複数の抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御することを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記3)上記複数の結合容量の容量値は、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値の整数倍の容量値であることを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記4)上記複数の抵抗型DA変換回路として、第1の抵抗型DA変換回路と、第2の抵抗型DA変換回路とを備え、
上記複数の結合容量として、上記第1の抵抗型DA変換回路に対応する第1の結合容量と、上記第2の抵抗型DA変換回路に対応する第2の結合容量とを備え、
上記第1および第2の結合容量の容量値は、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値に等しいことを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記5)少なくとも上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位が上記電源電圧の1/2の電位のときには、
上記制御回路は、上記電源電圧の1/2の電位とは異なる電位を上記複数の抵抗型DA変換回路からそれぞれ出力するように上記複数の抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御することを特徴とする付記4に記載のAD変換器。
(付記6)上記複数の抵抗型DA変換回路は、0以上かつ上記電源電圧の1/3倍以下の範囲、および上記電源電圧の2/3倍以上かつ上記電源電圧以下の範囲の電位をそれぞれ出力することを特徴とする付記4に記載のAD変換器。
(付記7)上記複数の抵抗型DA変換回路として、第1の抵抗型DA変換回路と、第2の抵抗型DA変換回路とを備え、
上記複数の結合容量として、上記第1の抵抗型DA変換回路に対応し、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値に等しい容量値を有する第1の結合容量と、上記第2の抵抗型DA変換回路に対応し、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値の2倍の容量値を有する第2の結合容量とを備えることを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記8)少なくとも上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位が上記電源電圧の1/2の電位のときには、
上記制御回路は、上記電源電圧の1/2の電位とは異なる電位を上記複数の抵抗型DA変換回路からそれぞれ出力するように上記複数の抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御することを特徴とする付記7に記載のAD変換器。
(付記9)上記抵抗型DA変換回路は、0以上かつ上記電源電圧の1/4倍以下の範囲、および上記電源電圧の3/4倍以上かつ上記電源電圧以下の範囲の電位だけを出力するようにしたことを特徴とする付記7に記載のAD変換器。
(付記10)上記複数の抵抗型DA変換回路により、4ビット精度のDA変換回路を構成することを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記11)上記複数の抵抗型DA変換回路により、5ビット精度のDA変換回路を構成することを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記12)上記抵抗型DA変換回路は、少なくとも上記電源電圧の1/2の電位は出力しないことを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記13)上記抵抗型DA変換回路は、上記電源電圧を供給する電源端子と接地端子との間に直列に接続された複数の抵抗と、
上記複数の抵抗で分圧して得られる電位を、上記制御回路からの制御に応じて選択的に出力するための複数のスイッチ回路とを備え、
上記スイッチ回路は、1つのPチャネルトランジスタと1つのNチャネルトランジスタとで構成されたトランスファゲートであることを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記14)上記スイッチ回路は、1つのNチャネルトランジスタであることを特徴とする付記13に記載のAD変換器。
(付記15)上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記複数の抵抗型DA変換器の1つは、上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を上記結合容量に出力することを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記16)上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記複数の結合容量の1つに、上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を出力する初期電位供給回路をさらに備えることを特徴とする付記1に記載のAD変換器。
(付記17)上記初期電位供給回路は、上記電源電圧を供給する電源端子と接地端子との間に直列に接続された複数の抵抗を有し、
上記初期電位供給回路が備える抵抗の抵抗値の和は、上記抵抗型DA変換回路が備える抵抗値の和より大きいことを特徴とする付記16に記載のAD変換器。
(付記18)入力される比較デジタルデータの上位Lビット(Lは整数)の値に応じて、第1の比較電位を出力する容量型DA変換回路と、
上記比較デジタルデータの下位Mビット(Mは整数)の値に応じて、第2の比較電位を出力する抵抗型DA変換回路と、
上記抵抗型DA変換回路の出力端に一端が接続され、上記容量型DA変換回路の出力端に他端が接続された結合容量と、
上記第1の比較電位と上記第2の比較電位との和と、外部から入力される入力アナログ信号の電位とを比較する比較回路と、
上記比較回路による比較結果に基づいて、上記入力アナログ信号の電位に応じた出力デジタルデータの値を1ビット毎に決定するとともに新たな上記比較デジタルデータを生成し、順次生成した比較デジタルデータに基づいて上記容量型DA変換回路および上記抵抗型DA変換回路の制御を繰り返し行い、上記入力アナログ信号を(L+M)ビットの出力デジタルデータに変換し出力する制御回路と、
上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記結合容量に上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を出力する初期電位供給回路とを備えることを特徴とするAD変換器。
【0196】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、抵抗型DA変換回路の出力電位を対応して設けられた結合容量により加算した電位が、電源電圧を2個に分圧した電位の中の比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位に等しくなるように複数の抵抗型DA変換回路がそれぞれ制御される。これにより、複数の抵抗型DA変換回路の出力電位が、出力する際にON抵抗が大きい電位領域を避けるように複数の抵抗型DA変換回路を制御し、ON抵抗が小さい電位領域の出力電位を加算して、比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位を得ることができる。したがって、従来の逐次比較型AD変換器と同じON抵抗で比べれば、より低い電源電圧で逐次比較型AD変換器を動作させることができる。
【0197】
また、入力アナログ信号のサンプリング中に、複数の結合容量の1つに所定の電位を出力する初期電位供給回路を比較動作にて使用する抵抗型DA変換回路とは別に備え、サンプリング動作では、消費電流の小さい初期電位供給回路を使用することで、AD変換の全変換期間の平均で考えれば消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。
【図2】第1の実施形態による逐次比較型AD変換器の概念図である。
【図3】図1に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図4】局部DACの動作を説明するための概念図である。
【図5】抵抗型DACが備える第1のセレクタを制御するための制御回路の構成例を示す図である。
【図6】抵抗型DACが備える第2のセレクタを制御するための制御回路の構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態による逐次比較型AD変換器の一構成例を示す回路図である。
【図8】図7に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図9】第2の実施形態による逐次比較型AD変換器の他の構成例を示す回路図である。
【図10】図9に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図11】第3の実施形態による逐次比較型AD変換器の抵抗DACの構成例を示す回路図である。
【図12】図11に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図13】第3の実施形態における抵抗DACの他の構成例を示す回路図である。
【図14】図13に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態における抵抗DACのその他の構成例を示す回路図である。
【図16】図15に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図17】AD変換動作による伝達特性の一例を示す図である。
【図18】AD変換動作による伝達特性の他の例を示す図である。
【図19】第4の実施形態による逐次比較型AD変換器の構成例を示す回路図である。
【図20】第5の実施形態による逐次比較型AD変換器の構成例を示す回路図である。
【図21】第5の実施形態による逐次比較型AD変換器の他の構成例を示す回路図である。
【図22】従来の逐次比較型AD変換器の構成例を示す回路図である。
【図23】図22に示した抵抗型DACの機能を説明するための図である。
【図24】抵抗型DAC内のスイッチの構成を示す図である。
【図25】抵抗型DAC内のスイッチにおける電気抵抗特性を示す図である。
【符号の説明】
1 電源端子
3 アナログ信号入力端子
11、12 セレクタ
21 スイッチ群
22 スイッチ
31 コンパレータ
32 逐次比較制御回路
C1〜C7 容量素子
R0〜R31 抵抗素子
SWAn、SWBn スイッチ
SWA’n、SWB’n スイッチ
SWC1〜SWC5 スイッチ

Claims (10)

  1. 入力される比較デジタルデータの上位Lビット(Lは整数)の値に応じて、第1の比較電位を出力する容量型DA変換回路と、
    上記比較デジタルデータの下位Mビット(Mは整数)の値に応じて、供給される電源電圧を分圧して得られる電位をそれぞれ所定の組み合わせで出力する複数の抵抗型DA変換回路と、
    上記複数の抵抗型DA変換回路にそれぞれ対応して設けられ、一端が対応する上記抵抗型DA変換回路の出力端に接続され、他端が上記容量型DA変換回路の出力端に共通接続された複数の結合容量と、
    上記複数の抵抗型DA変換回路の出力電位を対応する上記結合容量の容量値に基づいて重み付け加算した第2の比較電位と上記第1の比較電位との和と、外部から入力される入力アナログ信号の電位とを比較する比較回路と、
    上記比較回路による比較結果に基づいて、上記入力アナログ信号の電位に応じた出力デジタルデータの値を1ビット毎に決定するとともに新たな上記比較デジタルデータを生成し、順次生成した比較デジタルデータに基づいて上記容量型DA変換回路および上記複数の抵抗型DA変換回路の制御を繰り返し行い、上記入力アナログ信号を(L+M)ビットの出力デジタルデータに変換し出力する制御回路とを備え、
    上記制御回路は、上記電源電圧を2個に分圧した電位の中の上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位と、上記第2の比較電位とが等しくなるように上記複数の抵抗型DA変換回路を制御することを特徴とするAD変換器。
  2. 少なくとも上記比較デジタルデータの下位Mビットの値に対応する電位が上記電源電圧の1/2の電位のときには、
    上記制御回路は、上記電源電圧の1/2の電位とは異なる電位を上記複数の抵抗型DA変換回路からそれぞれ出力するように上記複数の抵抗型DA変換回路をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  3. 上記複数の結合容量の容量値は、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値の整数倍の容量値であることを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  4. 上記複数の抵抗型DA変換回路として、第1の抵抗型DA変換回路と、第2の抵抗型DA変換回路とを備え、
    上記複数の結合容量として、上記第1の抵抗型DA変換回路に対応する第1の結合容量と、上記第2の抵抗型DA変換回路に対応する第2の結合容量とを備え、
    上記第1および第2の結合容量の容量値は、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値に等しいことを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  5. 上記複数の抵抗型DA変換回路として、第1の抵抗型DA変換回路と、第2の抵抗型DA変換回路とを備え、
    上記複数の結合容量として、上記第1の抵抗型DA変換回路に対応し、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値に等しい容量値を有する第1の結合容量と、上記第2の抵抗型DA変換回路に対応し、上記容量型DA変換回路を構成する容量における最小の容量値の2倍の容量値を有する第2の結合容量とを備えることを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  6. 上記複数の抵抗型DA変換回路により、4ビット精度のDA変換回路を構成することを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  7. 上記複数の抵抗型DA変換回路により、5ビット精度のDA変換回路を構成することを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  8. 上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記複数の抵抗型DA変換器の1つは、上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を上記結合容量に出力することを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  9. 上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記複数の結合容量の1つに、上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を出力する初期電位供給回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のAD変換器。
  10. 入力される比較デジタルデータの上位Lビット(Lは整数)の値に応じて、第1の比較電位を出力する容量型DA変換回路と、
    上記比較デジタルデータの下位Mビット(Mは整数)の値に応じて、第2の比較電位を出力する抵抗型DA変換回路と、
    上記抵抗型DA変換回路の出力端に一端が接続され、上記容量型DA変換回路の出力端に他端が接続された結合容量と、
    上記第1の比較電位と上記第2の比較電位との和と、外部から入力される入力アナログ信号の電位とを比較する比較回路と、
    上記比較回路による比較結果に基づいて、上記入力アナログ信号の電位に応じた出力デジタルデータの値を1ビット毎に決定するとともに新たな上記比較デジタルデータを生成し、順次生成した比較デジタルデータに基づいて上記容量型DA変換回路および上記抵抗型DA変換回路の制御を繰り返し行い、上記入力アナログ信号を(L+M)ビットの出力デジタルデータに変換し出力する制御回路と、
    上記入力アナログ信号をサンプリングする際、上記結合容量に上記比較デジタルデータの最下位ビットに相当する電位の1/2の電位を出力する初期電位供給回路とを備えることを特徴とするAD変換器。
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