JP2004077503A - 特定波長の光を透過させる光フィルター - Google Patents

特定波長の光を透過させる光フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】顔料劣化に起因する透過特性の変化を解消して、厳しい環境で使用して発光特性の変化を少なくする。極めて薄く、また極めて微細な領域で赤色光、青色光、緑色光等のように波長が異なる光を透過できる。
【解決手段】光フィルター1は、光を透過させる光の透過面4に多数の誘電体アンテナ2を配列している。各々の誘電体アンテナ2は、隣接して積層してなる層に対して誘電率が異なる複数の誘電体層3を積層してなる積層構造である。積層している2層以上の誘電体層3の厚さは、少なくとも1層が光フィルター1に透過させる透過光の誘電体内透過中心波長λの1/4としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定波長の光を透過させる光フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
特定波長の光を透過させる光フィルターとして、透明なガラスなどに特定波長の光を吸収させる顔料や染料を添加して屈折率の異なった層をコーティングした光フィルターが使用される。これ等の光フィルターは、透過する特定波長の光を吸収や反射させて特定波長の光のみを透過させる。この種の光フィルターは、種々の波長の光が含まれる光から特定波長の光のみを選別するためのフィルターとして使用される。たとえば、赤色フィルターは赤色光のみを透過させて他波長の光を吸収あるいは反射する。このような光フィルターは、電球の白色発光から、赤、黄、緑等の特定波長の光を透過させる信号機等のフィルターとして使用される。また、レンズで受光した光を、赤、青、緑に分解してカラーセンサーで受光するカラーカメラなどにも内蔵される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光フィルターは、添加している顔料や染料の劣化や変色が原因で、経時的に光の吸収特性が変化する弊害がある。とくに、厳しい環境で使用されると劣化しやすく、劣化すると光の透過特性が変化して、所望の波長選択度が劣下して光を効率よく透過できなくなる。また、ガラスやプラスチック等の透明材に粉末の顔料を添加する光フィルターは、全体を極めて薄くできない欠点がある。また、顔料や染料を添加して光の透過特性を調整するので、局部的に極めて小さい領域で透過光の特性を変化するのが難しい。たとえば、数μmの領域に、赤色光と青色光と緑色光のように波長が異なる光を透過させる光フィルターを隣接して高密度に設けることができない。
【0004】
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、従来の光フィルターのように顔料で吸収して発光特性を調整するのではなく、誘電体アンテナとその積層構造で特定波長を透過できるようにすることで、顔料劣化に起因する透過特性の変化を極減し、厳しい環境で使用されて発光特性の変化を少なくでき、さらに極めて薄くしかも極めて微細な領域に赤色光、青色光、緑色光等のように波長が異なる光を透過できる特定波長の光を透過させる光フィルターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載する特定波長の光を透過させる光フィルター1は、光を透過させる光の透過面4に複数の誘電体アンテナ2を配列している。各々の誘電体アンテナ2は、複数の誘電体層3の積層構造である。誘電体層3は、隣接して積層している層に対して誘電率が異なる。積層している2層以上の誘電体層3の厚さは、少なくとも1層が光フィルター1に透過させる透過中心波長λ0の誘電体アンテナ2の内部における波長である誘電体内透過中心波長λの1/4としている。ただ、本明細書において、誘電体内透過中心波長λの「1/4」の厚さとは、誤差を考慮しないで演算される誘電体内透過中心波長λから計算される正確な1/4値に対して、+−30%の範囲を含む意味に使用する。
【0006】
さらに、本発明の光フィルター1は、透過面4に導体層5を設け、この導体層5の表面に複数の誘電体アンテナ2を設け、さらに、導体層5を貫通して、誘電体アンテナ2を設けている部分に光透過孔6を設けることができる。この光フィルター1は、導体層5に積層している誘電体層3の厚さを、透過中心波長λ0の誘電体アンテナ2の内部における波長である誘電体内透過中心波長λの1/2としている。ただ、本明細書において、誘電体内透過中心波長λの「1/2」とは、誤差を考慮しないで演算される誘電体内透過中心波長λから計算される正確な1/2値に対して、+−30%の範囲を含む意味に使用する。
【0007】
光透過孔6は、誘電体アンテナ2の外形に等しく、あるいは誘電体アンテナ2の外形よりも小さくする。光透過孔6のカットオフ波長は、光透過孔6の透過波長よりも長波長とする。図示しないが、ひとつの誘電体アンテナには、複数の光透過孔を設けることができる。また、光透過孔はスリットとすることもできる。
【0008】
本発明の光フィルター1は、3層以上の誘電体層3からなる複数の誘電体アンテナ2を透過面4に設け、再下層の誘電体層3の厚さを、透過中心波長λ0の誘電体アンテナ2の内部における波長である誘電体内透過中心波長λの1/2とする。誘電体アンテナ2は、円柱、楕円柱、角柱、円錐台、角錐台等の柱状とすることができる。誘電体アンテナ2の先端面は、たとえば、平面、凸面、凹面のいずれかにできる。また、誘電体アンテナ2は、平面形状を細長い長方形とする角柱状、あるいは平面形状において両端を円弧状とする細長い形状の柱状とすることもできる。
【0009】
誘電体アンテナ2の最小幅(D)は、透過中心波長λ0の誘電体アンテナ2の内部における波長である透過中心波長λ0の10倍よりも小さくすることができる。誘電体アンテナ2を形成する誘電体層3は、誘電率を好ましくは1よりも大きく100未満とする。誘電体アンテナ2は着色することもできる。
【0010】
さらに、本発明の請求項16の光フィルターは、複数の誘電体層3を積層している多層構造の誘電体アンテナ2を導体層5に積層している。この光フィルターは、導体層5に近い側に積層している誘電体層3のひとつであるベース誘電体層3Aの厚さを、誘電体内透過中心波長λの1/2としている。ベース誘電体層3Aに積層している誘電体層3の厚さは、誘電体内透過中心波長λの1/4としている。導体層5は、これを貫通して、カットオフ波長を透過中心波長λ0よりも大きくする光透過孔6を設けて、誘電体アンテナ2と導体層5とで特定波長の光を透過させる。
【0011】
この光フィルターは、導体層5に複数の光透過孔6を開口することができる。また、光透過孔6を、多角形、円形、楕円形、あるいはスリットとすることができる。ベース誘電体層3Aには、隣接して積層している層に対して誘電率が異なる複数の誘電体層3を積層することができる。
【0012】
さらにまた、本発明の請求項19の光フィルターは、複数の誘電体層3を積層している多層構造の誘電体アンテナ2を高誘電体層7に積層している。この光フィルターは、高誘電体層7に近い側に積層している誘電体層3のひとつであるベース誘電体層3Aの厚さを、誘電体内透過中心波長λの1/2としている。ベース誘電体層3Aに積層している誘電体層3の厚さは、誘電体内透過中心波長λの1/4としている。高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aの誘電率に比較して10倍以上の誘電率を有する。
【0013】
本発明の光フィルター1は、高誘電体層7の誘電体層3を、SiO2、Ta2O5、ZnTe、Al2O3等の無機質材とすることができ、またプラスチックとすることもできる。
【0014】
以上の光フィルターは、透過面4に、赤色光、青色光、緑色光を透過させる領域を設けることができる。この光フィルターは、赤色光の透過領域には赤色光を透過させる誘電体アンテナ2を配設して、青色光の透過領域には青色光を透過させる誘電体アンテナ2を配設し、緑色光の透過領域には緑色光を透過させる誘電体アンテナ2を配設する。
【0015】
さらに、本発明の光フィルターは、好ましくは、ベース誘電体層3Aに2層以上の誘電体層3を積層し、全体で3層以上の誘電体層3からなる誘電体アンテナ2とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための光フィルターを例示するものであって、本発明は光フィルターを下記のものに特定しない。
【0017】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】
図1に示す、特定波長の光を透過させる光フィルター1は、光を透過させる光の透過面4に多数の誘電体アンテナ2を配列している。各々の誘電体アンテナ2は、光の透過方向に、複数の誘電体層3を積層する積層構造である。誘電体層3は、隣接して積層している層に対して誘電率が異なる。誘電体アンテナ2は、誘電体層3の厚さで、透過させる光の波長、すなわち透過中心波長λ0を特定できる。透過中心波長λ0の光が誘電体層3を透過するとき、誘電体層3の内部では中心波長λ0が変化して、誘電体内透過中心波長λとなる。誘電体内透過中心波長λは、誘電体層3の位相定数βから特定される。位相定数βは以下の式で演算される。
【0019】
図2に示す誘電体の半径がaで比誘電率がεrの誘電体アンテナ2がありHE波が伝搬している場合のZ方向に伝搬する位相定数βは以下のように算出される。
εoは真空中の誘電率(空気中の誘電率にほぼおなじ)であり、εrは誘電体アンテナ(線路)の比誘電率であり、μoは真空中の透磁率である。
aは誘電体アンテナの半径であり、rは誘電体アンテナの中心からのラジアル方向の距離である。
誘電体アンテナで構成される誘電体線路内外におけるマクスウエルの波動方程式は
Figure 2004077503
である。このロッド・モードの特性方程式(分散方程式)は
Figure 2004077503
で示される。ko は自由空間の位相定数であり、
Figure 2004077503
である。また、関数 Jm ( x )はm次の第一種ベッセル関数、Km ( x )はm次の第二種変形(修正)ベッセル関数であり
Figure 2004077503
である。
この場合は基本モードHE11について考えればよく、したがってm=1として(1)式を解くと、γが求められる。このγを以下の(6)に代入するとβが計算される。
Figure 2004077503
と計算される。
【0020】
誘電体アンテナ2の誘電体層3は、以上の式から誘電体層3の位相定数βを演算でき、演算された位相定数βから、次の式で誘電体内透過中心波長λを演算できる。
λ=2π/β
誘電体アンテナ2は、誘電体層3の厚さ(t)を、以上の式から演算される誘電体内透過中心波長λの1/4とすると、透過中心波長λ0の光を透過させる。すなわち、透過中心波長λ0の光は、誘電体層3の内部で誘電体内透過中心波長λとなって透過する。したがって、誘電体アンテナ2は、誘電体層3の厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とすれば、透過中心波長λ0の光を透過させる光フィルターとなる。以上のことから、光フィルター1は、透過中心波長λ0が特定されると、誘電体アンテナ2を構成する誘電体層3の位相定数βが特定され、この位相定数βから誘電体内透過中心波長λが特定され、誘電体内透過中心波長λから誘電体層3の厚さ(t)が特定される。
【0021】
透過中心波長をλ0とする光フィルターは、透過中心波長λ0よりも光の波長が長くなるにしたがって、あるいは反対に短くなるにしたがって、すなわち透過する光の波長が、透過中心波長λ0からずれるにしたがって透過率を低下させる。すなわち、光フィルターを透過する光の波長が、透過中心波長λ0からずれるにしたがって透過しなくなる。誘電体アンテナ2は、誘電率が異なる誘電体層3を積層する層数を多くして、透過中心波長λ0からずれる波長の光の透過率を低くして、光の透過特性を急峻な特性にできる。図3は、2層と3層の誘電体層3を積層している誘電体アンテナ2の光の透過特性を示している。この図において誘電体層3が2層である誘電体アンテナ2の特性を曲線A、誘電体層3が3層である誘電体アンテナ2の特性をBで示している。この図に示す特性の誘電体アンテナ2は、誘電体層3の厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4としている。この図は横軸を波長、縦軸を光の相対的な透過強度としている。この図に示すように、誘電体アンテナ2は、誘電体層3の積層数を多くして、透過中心波長λ0からずれた波長の光の透過率をより低くする特性、すなわち、透過特性を急峻な特性にできる。透過中心波長λ0の光を効率よく透過させながら、透過中心波長λ0からずれた波長の光を充分に減衰させる急峻な透過特性の光フィルターは、特定の波長の光のみを透過させて、必要でない波長の光を透過させないすぐれた透過特性となる。このような優れた透過特性の光フィルターは、種々の用途に使用される。
【0022】
さらに、複数の誘電体アンテナ2を配列する光フィルター1は、誘電体アンテナ2の配列で光フィルターとしての指向特性を調整できる。図4は複数の誘電体アンテナ2を透過面4に配列して設けて、誘電体アンテナ2の中心間隔(d)を透過中心波長λ0よりも大きくしている光フィルターの指向特性を示している。この図の指向特性の光フィルターは、全ての方向から入射する光を同じような割合では透過させない。光フィルターに直角に入射する光が最も効率良く透過する。そして、光の入射角度(θ)により光が透過する割合が変化する。この指向特性の光フィルターは、主ローブの両側にグレイティングローブがあるので、グレイティングローブの方向に入射する光も透過させる。したがって、この指向特性の光フィルターは、グレイティングローブの方向や大きさを調整して、光を透過させる方向と強度を調整できる。グレイティングローブの方向は、誘電体アンテナ2の中心間隔(d)で調整できる。誘電体アンテナ2の中心間隔(d)を透過中心波長λ0に等しくすると、グレイティングローブは主ローブに対して直角方向となる。誘電体アンテナ2の中心間隔(d)を広くするにしたがって、グレイティングローブは図の矢印で示すように、主ローブの方向に近付く。そして、誘電体アンテナ2の中心間隔(d)を透過中心波長λ0の2倍にする光フィルターは、その指向特性が図5に示すようになる。すなわち、この光フィルターは、主ローブに対して30度の方向にグレイティングローブができる。主ローブの幅は、誘電体アンテナ2に積層する誘電体層3の数で調整できる。誘電体層3の積層数が多い誘電体アンテナ2の光フィルターは、主ローブの幅が狭く長くなって、すなわち主ローブが細いビーム状となって、直角からずれた方向の光の透過率を低くする。
【0023】
したがって、複数の誘電体アンテナ2を透過面4に配列している光フィルターは、誘電体アンテナ2の中心間隔(d)でグレイティングローブの方向を調整できる。グレイティングローブは、誘電体アンテナ2の直径や大きさ等で調整することもできる。さらに、誘電体アンテナ2の光フィルターは、誘電体アンテナ2の積層数で、指向特性を調整することができる。誘電体アンテナ2の光フィルターは、誘電体層3の積層枚数を多くて、主ローブの幅を狭くできる。すなわち、特定の方向の光をより効率よく透過させるように設計できる。
【0024】
さらに、複数の誘電体アンテナ2を配列している光フィルター1は、図6に示すように、各々の誘電体アンテナ2で周囲の光(電磁波)を集めて透過できる。このため、誘電体アンテナ2は先端の面積よりも広い面積に入射する光を集光して透過させる。したがって、複数の誘電体アンテナ2を配列している光フィルターは、誘電体アンテナ2の間に入射する光を誘電体アンテナ2に集光して透過できる。誘電体アンテナ2は、周囲の光を集めて透過させるので、誘電体アンテナ2を設けていない部分の光を誘電体アンテナ2に集めて透過させる優れたる特性を実現する。したがって、透過面4は、誘電体アンテナ2を設けない部分を、光を透過させない導体層5とすることができ、また、光を透過させない光遮断層とすることもできる。
【0025】
図1の光フィルター1は、誘電体アンテナ2を、光の透過面4に多数に配列して、各々の誘電体アンテナ2を透過面4から垂直に突出させている。透過面4に複数の誘電体アンテナ2を配列している光フィルター1は、誘電体アンテナ2の最小幅(D)を透過中心波長λ0の10倍よりも小さくする。さらに好ましくは、最小幅(D)は、透過中心波長λ0の0.5〜3倍、好ましくは0.8〜1.5倍とする。誘電体アンテナ2の最小幅(D)を以上の寸法とするのは、誘電体アンテナ2に入射する光の透過率を高くするためである。さらに、光フィルター1は、図1と図7に示すように、隣接する誘電体アンテナ2間の間隔(L)を、誘電体アンテナ2の最小幅(D)の10倍以下、好ましくは5倍以下、さらに好ましくは2.5倍以下とする。この間隔が広いと、透過面4の全面積に対して誘電体アンテナ2が占める割合が少なくなって、光を有効に透過できなくなるからである。
【0026】
光フィルターの誘電体アンテナ2は、図1に示すように円柱状とし、あるいは図7に示すように角柱状とし、あるいは図8に示すように多角柱とし、あるいは図9に示すように、平面形状を両端が湾曲している柱状として、あるいはまた、図示しないが、楕円柱状とすることもできる。さらに、以上の図の誘電体アンテナ2は、先端を平面状としているが、図10の拡大断面図に示すように誘電体アンテナ2の先端を湾曲する凸面とすることもできる。図示しないが、誘電体アンテナの先端は、凹面とすることもできる。
【0027】
さらに誘電体アンテナ2は、図11と図12に示すように、円錐台や角錐台とすることもできる。また、図13の斜視図に示すように、誘電体アンテナ2の外周表面に縦方向に複数の溝のある形状とすることもできる。
【0028】
誘電体アンテナ2は、図14の断面図に示すように、誘電率が異なる無機質材あるいは有機質材からなる誘電体層3を積層して製作される。無機質材の誘電体層3は、たとえば、SiO2、Ta2O5、ZnTe、Al2O3、ガラス等が使用される。有機質材の誘電体層3はエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂等が等が使用される。誘電体層3は、誘電率が1よりも大きくて100未満のものが使用でき、好ましくは、1.5〜30とする材質が使用される。誘電率が低すぎると、急峻な透過特性を実現できなくなる。反対に高すぎると反射係数が高くなりすぎるので調整加工が難しくなる。
【0029】
図15に示す光フィルター1は、透過面4に導体層5を設けて、導体層5に誘電体アンテナ2を設けている。誘電体アンテナ2は、厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とする誘電体層3と、厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/2とするベース誘電体層3Aを積層している。図15の光フィルター1は、矢印で示すように、厚さ(t)をλ/4とするの誘電体層3からλ/2とする方向に光を透過させているが、本発明の光フィルターは光を矢印で示す方向とは反対の方向に透過させることもできる。本発明の光フィルターは、全ての実施例において双方向に光を通過できる。図15の光フィルターは、厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とする複数の誘電体層3をベース誘電体層3Aに積層している。ただ、本発明の光フィルターは、厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とするひとつの誘電体層3をベース誘電体層3Aに積層する構造とすることもできる。
【0030】
図16と図17は、面積に制限のない誘電体アンテナ2を備える光フィルター1を示す。この光フィルター1は、ひとつの誘電体アンテナ2で特定波長の光を透過できるフィルター特性にできる。図16の光フィルター1は、導体層5に誘電体アンテナ2を積層している。図17の光フィルター1は、高誘電体層7に誘電体アンテナ2を積層している。図16の光フィルター1は、図18に示すように、赤と青と緑の各々の光フィルター1を、ひとつの誘電体アンテナ2とすることができる。図17の光フィルター1も、図16の光フィルター1と同じように、赤と青と緑の各々の光フィルター1をひとつの誘電体アンテナ2とすることができる。これ等の光フィルター1は、誘電体アンテナ2を構成する誘電体層3の厚さで光の透過特性を調整できる。誘電体アンテナ2は、導体層5または高誘電体層7に積層しているベース誘電体層3Aの厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/2とする。ベース誘電体層3Aの上に積層している誘電体層3の厚さ(t)は、誘電体内透過中心波長λの1/4とする。ベース誘電体層3Aと誘電体層3は、隣の誘電体層3とに対して誘電率が異なるようにする。図17に示すように、誘電体アンテナ2を積層している高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aの誘電率に比較して10倍以上の誘電率とする。
【0031】
図15ないし図18に示す光フィルターは、誘電体アンテナ2にベース誘電体層3Aを設けている。このベース誘電体層3Aは、特定波長の光を内部反射を繰り返させることにより位相を揃える。このため、ベース誘電体層3Aのある誘電体アンテナ2は、透過面4に垂直な方向に入射する光をより効率よく受光して透過させる。ベース誘電体層3Aによって、誘電体アンテナ2の主ローブが細いビームに集束されるからである。ベース誘電体層3Aのある誘電体アンテナ2は、導体層5または高誘電体層7に積層して設けられる。導体層5は、光を透過させるために、光透過孔6を開口している。高誘電体層7は、一部の光を反射して一部の光を透過させるので、導体層5のように光透過孔6を設ける必要がない。導体層5の光透過孔6は、導体層5を貫通するように設けられる。図15に示すように、導体層5に複数の誘電体アンテナ2を設ける光フィルター1は、図19に示すように、誘電体アンテナ2を設けている領域に、すなわち誘電体アンテナ2に連結するように光透過孔6を設ける。光透過孔6は、誘電体アンテナ2と同じ大きさに開口され、あるいは、図15と図19に示すように、誘電体アンテナ2の外形よりも小さく開口される。光透過孔6は、その大きさで透過できる光の最大波長が特定される。すなわち、光透過孔6は、光を透過できなくするカットオフ波長があって、このカットオフ波長よりも長い光を透過させない。したがって、この光透過孔6の大きさは、透過中心波長λ0の光を透過できる大きさに設計される。透過中心波長λ0が光透過孔6を透過できないと、透過中心波長λ0の透過率が低下するからである。導体層5は、図15と図19に示すように、ひとつの誘電体アンテナ2にひとつの光透過孔6を設けている。ただ、図示しないが、光フィルターは、ひとつの誘電体アンテナに複数の光透過孔を設けることができる。さらに、光透過孔は、スリット状とすることにより偏波特性を持たせることもできる。スリット状の光透過孔は、長さでカットオフ波長が特定される。このため、スリットの長さを、透過中心波長λ0が通過できるようにする。
【0032】
図16に示す光フィルターは、導体層5に複数の光透過孔6を設けて、光を透過させる。この光フィルターは、導体層5に設ける光透過孔6の数が少ないと、導体層5に効率よく光を透過できなくなる。したがって、導体層5には光を充分に透過できる個数の光透過孔6を設ける。ただ、光透過孔6の個数が多すぎると、導体層5とベース誘電体層3Aの光の反射効率が低下して、フィルターとしての光の透過特性に悪い影響を与える。このため、導体層5の光透過孔6の個数と大きさは、フィルターとしての光の透過特性と、光の透過率とを考慮して最適値に設定する。光透過孔6で一部を開口している導体層5の最適な開口率は、誘電体層3の積層枚数等により必ずしも一定ではないが、たとえば5〜60%に設定される。
【0033】
透過面4に複数の誘電体アンテナ2を設けている光フィルターも、図20に示すように、導体層5を高誘電体層7とすることができる。図20の光フィルターは、高誘電体層7に誘電体アンテナ2を積層している。図17と図20の光フィルターの高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aの誘電率に比較して10倍以上の誘電率を有する。高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aに対する誘電率の比率を大きくすると、ベース誘電体層3Aとの境界で光の反射率が大きくなる。光フィルターは、高誘電体層7とベース誘電体層3Aとの境界で光を反射させて、光の透過特性を調整する。したがって、高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aに対する誘電率を10倍以上と充分に高くして、光を反射させる。誘電率の高い高誘電体層7は、ベース誘電体層3Aとの境界で光を反射させるが、全ての光を反射せず、一部の光を透過させる。このため、高誘電体層7は導体層5のように必ずしも光透過孔6を設ける必要はない。高誘電体層7は、誘電率の高い誘電体であるゲルマニウム、シリコン、テルル等で製作される。ただ、これ等の誘電体に特定することなく、光の領域で誘電率の高い他の誘電体も使用できるのは言うまでもない。
【0034】
複数の誘電体層3を積層している誘電体アンテナ2を光の透過面4に設けている光フィルター1は、誘電体層3の厚さ(t)と積層枚数でフィルター特性が調整される。図21は図22に示すように、ベース誘電体層3Aに、厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とする誘電体層3を積層する誘電体アンテナ2の特性を示している。ただし、この図は、光透過孔6のある導体層5に誘電体アンテナ2を積層する構造の特性を示している。光透過孔6は誘電体アンテナ2に透過させる透過中心波長λ0の光を透過できる大きさとしている。厚さ(t)を誘電体内波長の1/2とするベース誘電体層3Aは、誘電率を1.54とするSiO2で製作し、厚さ(t)を1/4とする誘電体層3は誘電率を2.25とするTa2O5で製作する。誘電体アンテナ2を構成している誘電体層3の厚さ(t)を調整して、透過中心波長λ0が500nm、750nm、1000nmとなるようにする。厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/2とする誘電体層3は、500nm、750nm、1000nmの透過中心波長λ0から誘電体内透過中心波長λを演算し、演算された誘電体内透過中心波長λの1/2の厚さとする。厚さ(t)を誘電体内透過中心波長λの1/4とする誘電体層3は、500nm、750nm、1000nmの透過中心波長λ0から誘電体内透過中心波長λを演算し、演算された誘電体内透過中心波長λの1/4の厚さとする。
【0035】
図21は、曲線A、B、Cが、順番に透過中心波長λ0を500nm、750nm、1000nmとする誘電体アンテナ2の特性を示している。この誘電体アンテナ2は、透過中心波長λ0で反射率が約0となって、光を反射させることなく透過させる。透過中心波長λ0から離れるにしたがって、光を反射率が大きくなって透過させない。したがって、このフィルター特性の誘電体アンテナ2を多数に設けている光フィルター1は、透過中心波長λ0の光を効率よく透過させて、それ以外の光の透過を制限する。
【0036】
図18は、カラーセンサーに使用する光フィルター1を示している。この光フィルター1は、赤色光を透過させる誘電体アンテナ2と、青色光を透過させる誘電体アンテナ2と、緑色光を透過させる誘電体アンテナ2を透過面4に並べている。この図は1組の赤色光と、青色光と、緑色光の誘電体アンテナ2を示しているが、赤色光、青色光、緑色光の誘電体アンテナ2で1ドットのカラー画素を検出するカラー画素センサー21とすることができる。カラー画素センサー21は、赤色光、青色光、緑色光の誘電体アンテナ2の透過光を光センサーで検出するために、誘電体アンテナ2の光放出側に光センサー8を設けている。カラー画素センサー21を縦横に多数に並べて、多数の画素を検出するカラーカメラの画像センサーとして使用できる。たとえば、横方向に100〜10000個のカラー画素センサー21を並べ、縦方向に50〜8000個のカラー画素センサー21を並べて、画像センサーとすることができる。この画像センサー9は、図23に示すように、レンズ10で像を結像する位置に配設される。画像センサー9は、デジタルカメラやビデオカメラに使用される。
【0037】
図18のカラー画素センサー21は、ひとつの光センサー8にひとつの誘電体アンテナ2を設けている。この構造は、ひとつのカラー画素センサー21を小さくできるので、高解像度の画像センサーに適している。また、焦点距離の短い広角レンズを使用して画像の周囲における輝度低下を少なくできる特長もある。誘電体アンテナ2の指向特性を広くできるからである。ただ図示しないが、ひとつの光センサーに複数の誘電体アンテナを設けて、複数の誘電体アンテナを透過した光を光センサーで受光させることもできる。この画像センサーは、複数の誘電体アンテナで指向特性を最適設計して、誘電体アンテナの実質的な利得、いいかえると誘電体アンテナの突出方向に入射する光を効率よく集光できる。
【0038】
以上の構造の光センサーは、ひとつの面に赤色光、青色光、緑色光のカラー画素センサーを配列できるので、簡単な構造でレンズで結合した画像をカラー画像の電気信号に変換できる。とくに、極めて小さい誘電体アンテナ2で効率よく光を集光して光センサーに伝送できるので、微小なカラー画素センサーで高感度なカラー画像が得られる。また、カラー画素センサーは、図18に示すように、隣接する画素との間に、光を検出できない不感領域11ができるが、この不感領域11に入射する光を誘電体アンテナ2で集光して、効率よく光センサーに伝送できる特長もある。誘電体アンテナ2がその周囲の光を集束して透過させるからである。
【0039】
カラーカメラは、図24に示すように、レンズ10を透過した光を3つに分離して、赤色光、青色光、緑色光を専用の画像センサー9で検出することもできる。この構造のカメラに使用される光フィルター1は、赤色光の画像センサー9Rと、青色光の画像センサー9Bと、緑色光の画像センサー9Gを備えている。赤色光の画像センサー9Rは、赤色光を透過させる誘電体アンテナ2を縦横に並べて設けており、この誘電体アンテナ2の光放出側に光センサー8を配置している。青色光の画像センサー9Bは、青色光を透過させる誘電体アンテナ2を縦横に並べて設けており、この誘電体アンテナ2の光放出側に光センサー8を配置している。緑色光の画像センサー9Gは、緑色光を透過させる誘電体アンテナ2を縦横に並べて設けており、この誘電体アンテナ2の光放出側に光センサー8を配置している。この構造のカメラに使用される光フィルターは、青色光専用、緑色光専用、青色光専用となるので、各々の光フィルター1には同じ構造の誘電体アンテナ2を設けることができ、光フィルターを簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる。
【0040】
さらに、図25は、光フィルター1をプロジェクタに使用する例を示す。この図のプロジェクタは、光源12の光を3つに分離し、分離された光の通路に赤色光、青色光、緑色光の透過を制御してカラー画像を結像させるカラー画像プレート13を配置している。カラー画像プレート13を透過した光は光混合器14で一緒にされてレンズ15でスクリーン(図示せず)に投影される。カラー画像プレート13は、光フィルター1に液晶シャッタ16を積層したものである。液晶シャッタ16は、光の透過率を制御する。光フィルター1は、赤色光、青色光、緑色光を透過させる誘電体アンテナ2を設けている。このプロジェクタは、赤色光のカラー画像プレート13Rと、青色光のカラー画像プレート13Bと、緑色光のカラー画像プレート13Gを備える。赤色光のカラー画像プレート13Rは、赤色光を透過させる光フィルター1に液晶シャッタ16を積層している。青色光のカラー画像プレート13Bは、青色光を透過させる光フィルター1に液晶シャッタ16を積層している。緑色光のカラー画像プレート13Gは、緑色光を透過させる光フィルター1に液晶シャッタ16を積層している。このプロジェクタは、光フィルター1の誘電体アンテナ2が光を集光して液晶シャッタに伝送する。カラー画像プレート13は、液晶シャッタ16で光の透過率を制御して、赤色光、青色光、緑色光の画像を結像させ、これを集合してスクリーン(図示せず)に表示する。液晶シャッタ16は、光センサーと同じように、隣接するドットとの境界に光を透過できない光遮断領域がある。このプロジェクタは、誘電体アンテナ2で光遮断領域を透過する光を誘電体アンテナ2で集光して、効率よく透過させる。このため、光フィルター1は、実質的な光の透過率を高くでき、スクリーンに明るい像を結像できる。
【0041】
図26は、1枚のカラー画像プレート13でスクリーン17に結像するプロジェクタを示す。このプロジェクタのカラー画像プレート13は、赤色光を透過させる誘電体アンテナ2Rと、青色光を透過させる誘電体アンテナ2Bと、緑色光を透過させる誘電体アンテナ2Gを隣接して並べて1組のカラー画素液晶18を構成している。カラー画素液晶18は、赤色光の誘電体アンテナ2と、青色光の誘電体アンテナ2と、緑色光の誘電体アンテナ2の光放出側に光の透過率を制御できるひとつの液晶画素を配置している。図のカラー画素液晶18は、ひとつの液晶画素にひとつの誘電体アンテナ2を設けているが、ひとつの液晶画素に複数の誘電体アンテナを設けることもできる。このプロジェクタは、各々の液晶画素が光の透過率を制御して、カラー画像プレート13にカラーの画像を結像し、これをレンズ19でスクリーン17に投影する。このプロジェクタは、液晶画素の間にできる光遮断領域に入射する光を誘電体アンテナ2で集光して効率よく液晶画素に伝送する。このため、光フィルター1の実質的な光透過率を高くして、スクリーン17に明るい像を投影できる。
【0042】
以上のカメラとプロジェクタに使用される光フィルター1は、導体層5に誘電体アンテナ2を設けている。ただ、これ等の光フィルターは、必ずしも導体層に誘電体アンテナを設ける必要はなく、光センサーや液晶画素に誘電体アンテナのみを設けることでできる。また、透明板に誘電体アンテナを設けて、光センサーや液晶画素に積層する構造とすることもできる。
【0043】
さらに、光フィルター1は、図27に示すように、光源20の表面に接近して、特定の光を透過する状態でも使用できる。この光フィルター1は、たとえば道路や鉄道の信号機に使用できる。信号機の光フィルターは、赤色光、黄色光、緑色光等が透過できるように透過中心波長λ0を設定する。
【0044】
さらに、光フィルター1は、誘電体アンテナ2に顔料や染料を添加して着色することができる。この光フィルター1は、誘電体アンテナ2と着色の両方でフィルター特性を調整できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1と請求項16の光フィルターは、誘電体アンテナの積層構造で特定波長の光を透過させる。光の透過特性は、複数の誘電体層を積層している誘電体アンテナの誘電体層の誘電率や膜厚、さらに、誘電体アンテナの形状で特定される。とくに、本発明の光フィルターは、誘電体層を積層している積層構造で、光の透過特性を調整できる。誘電体層の積層枚数を多くすると共に、誘電体アンテナの形状により、透過光の減衰を少なくして透過させない光の吸収率、すなわち減衰を大きくできる光フィルターとして極めて大切な特長が実現される。
【0046】
また、本発明の請求項1と請求項16の光フィルターは、従来の光フィルターのように、透明材に特定波長の光を吸収する顔料や染料を混合することなく、誘電体を積層して製作される。このため、本発明の光フィルターは、顔料や染料が劣化して起こる光透過特性の変化を極減できる特長がある。とくに、太陽光線に晒されるような極めて厳しい環境で使用されて、発光特性の変化を少なくできる特徴がある。
【0047】
さらに本発明の請求項1と16と19の光フィルターは、全体を極めて薄く、しかも極めて微細な領域に赤色光、青色光、緑色光等のように波長が異なる光を透過できる光透過特性にできる特長がある。光フィルターを薄くできるのは、誘電体アンテナを構成している誘電体層の膜厚を、誘電体内透過中心波長λの1/4と極めて薄くできるからである。従来の顔料粉末を添加する光フィルターは、顔料の粒子よりも薄くできず、顔料粒子の粒径もμmオーダであるから、薄くするのが極めて難しい。また、透明材に染料を添加している光フィルターは染料で特定波長光を吸収するので、薄いと光の吸収が悪く、透過させない波長の光を充分に吸収して減衰できなくなる。
【0048】
さらに、本発明の請求項16と19の光フィルターは、厚さが誘電体内透過中心波長λの1/2の誘電体層を誘電体アンテナに積層して、この誘電体アンテナを導体層や高誘電体層に積層しているので、光が透過する指向性を制御して効率よく光を集光して透過できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる光フィルターの斜視図
【図2】位相定数βを演算する誘電体アンテナを示す斜視図
【図3】2層と3層の誘電体層を積層する誘電体アンテナの透過特性を示すグラフ
【図4】誘電体アンテナの断面図とこの誘電体アンテナの指向特性を示すグラフ
【図5】誘電体アンテナの断面図とこの誘電体アンテナの指向特性を示すグラフ
【図6】誘電体アンテナが周囲の光を集めて透過させる状態を示す側面図
【図7】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図8】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図9】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図10】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す断面図
【図11】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図12】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図13】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの誘電体アンテナを示す斜視図
【図14】本発明の実施例にかかる光フィルターの断面図
【図15】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの断面図
【図16】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの断面図
【図17】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの断面図
【図18】本発明の光フィルターの使用状態を示す断面図
【図19】図15に示す光フィルターの一部を示す斜視図
【図20】本発明の他の実施例にかかる光フィルターの断面図
【図21】本発明の実施例にかかる光フィルターの波長に対する反射率を示すグラフ
【図22】図21に示す反射特性の光フィルターの断面図
【図23】本発明の実施例にかかる光フィルターを備えるカラーセンサーを示す概略側面図
【図24】本発明の実施例にかかる光フィルターを備える画像センサーを示す概略側面図
【図25】本発明の実施例にかかる光フィルターを備えるプロジェクタの概略側面図
【図26】本発明の実施例にかかる光フィルターを備えるプロジェクタの概略側面図
【図27】本発明の光フィルターの使用状態を示す断面図
【符号の説明】
1…光フィルター
2…誘電体アンテナ
3…誘電体層       3A…ベース誘電体層
4…透過面
5…導体層
6…光透過孔
7…高誘電体層
8…光センサー
9…画像センサー     9R…赤色光の画像センサー
9B…青色光の画像センサー
9G…緑色光の画像センサー
10…レンズ
11…不感領域
12…光源
13…カラー画像プレート 13R…赤色光のカラー画像プレート
13B…青色光のカラー画像プレート
13G…緑色光のカラー画像プレート
14…混合器
15…レンズ
16…液晶シャッタ
17…スクリーン
18…カラー画素液晶
19…レンズ
20…光源
21…カラー画素センサー

Claims (21)

  1. 光を透過させる光の透過面(4)に複数の誘電体アンテナ(2)を配列しており、各々の誘電体アンテナ(2)は、隣接して積層してなる層に対して誘電率が異なる複数の誘電体層(3)を積層してなる積層構造であり、積層している2層以上の誘電体層(3)の厚さは、少なくとも1層が、光フィルターに透過させる透過中心波長λ0の誘電体アンテナ(2)の内部における波長である誘電体内透過中心波長λの1/4としてなる特定波長の光を透過させる光フィルター。
  2. 透過面(4)に、赤色光、青色光、緑色光を透過させる領域を設けており、赤色光の透過領域には赤色光を透過させる複数の誘電体アンテナ(2)を配設しており、青色光の透過領域には青色光を透過させる複数の誘電体アンテナ(2)を配設しており、緑色光の透過領域には緑色光を透過させる複数の誘電体アンテナ(2)を配設している請求項1に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
  3. 透過面(4)に導体層(5)を設けており、この導体層(5)の表面に複数の誘電体アンテナ(2)を設けると共に、導体層(5)を貫通して、誘電体アンテナ(2)を設けている部分に光透過孔(6)を設けており、導体層(5)に積層しているベース誘電体層(3A)の厚さを誘電体内透過中心波長λの1/2としている請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  4. 光透過孔(6)が誘電体アンテナ(2)の外形に等しく、あるいは誘電体アンテナ(2)の外形よりも小さい請求項3に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  5. 光透過孔(6)のカットオフ波長が、誘電体アンテナ(2)の透過中心波長λ0よりも長波長である請求項3に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  6. 各々の誘電体アンテナ(2)に複数の光透過孔(6)を設けている請求項3に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  7. 光透過孔(6)がスリットである請求項3に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  8. 3層以上の誘電体層(3)からなる複数の誘電体アンテナ(2)を透過面(4)に設けており、ベース誘電体層(3A)の厚さが誘電体内透過中心波長λの1/2である請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  9. 誘電体アンテナ(2)が、円柱、楕円柱、角柱、円錐台、角錐台等の柱状である請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  10. 誘電体アンテナ(2)の先端面が、平面、凸面、凹面のいずれかである請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  11. 誘電体アンテナ(2)が、平面形状を細長い長方形とする角柱状、あるいは平面形状において両端を円弧状とする細長い形状の柱状である請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  12. 誘電体アンテナ(2)の表面に縦方向に複数の溝がある請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  13. 誘電体アンテナ(2)の最小幅(D)が透過中心波長λ0の10倍よりも小さい請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  14. 誘電体アンテナ(2)を構成する誘電体層(3)の誘電率が、1より大きく100未満である請求項1に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
  15. 誘電体アンテナ(2)に着色している請求項1に記載される特定波長を透過させる光フィルター。
  16. 複数の誘電体層(3)を積層している多層構造の誘電体アンテナ(2)を導体層(5)に積層しており、
    導体層(5)に近い側に積層している誘電体層(3)のひとつであるベース誘電体層(3A)の厚さは誘電体内透過中心波長λの1/2としており、このベース誘電体層(3A)に積層している誘電体層(3)の厚さは、誘電体内透過中心波長λの1/4としており、
    導体層(5)は、これを貫通して、カットオフ波長を誘電体内透過中心波長λよりも大きくする光透過孔(6)を設けており、誘電体アンテナ(2)と導体層(5)とで特定波長の光を透過させる光フィルター。
  17. 導体層(5)に複数の光透過孔(6)を開口している請求項16に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
  18. 光透過孔(6)がスリットである請求項16または17に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
  19. 複数の誘電体層(3)を積層している多層構造の誘電体アンテナ(2)を高誘電体層(7)に積層しており、
    高誘電体層(7)に近い側に積層している誘電体層(3)のひとつであるベース誘電体層(3A)の厚さは誘電体内透過中心波長λの1/2としており、このベース誘電体層(3A)に積層している誘電体層(3)の厚さは、誘電体内透過中心波長λの1/4としており、
    高誘電体層(7)は、ベース誘電体層(3A)の誘電率に比較して10倍以上の誘電率を有し、誘電体アンテナ(2)と高誘電体層(7)とで特定波長の光を透過させる光フィルター。
  20. ベース誘電体層(3A)に、隣接して積層している層に対して誘電率が異なる複数の誘電体層(3)を積層している請求項16または19に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
  21. 透過面(4)に、赤色光、青色光、緑色光を透過させる領域を設けており、赤色光の透過領域には赤色光を透過させる誘電体アンテナ(2)を配設しており、青色光の透過領域には青色光を透過させる誘電体アンテナ(2)を配設しており、緑色光の透過領域には緑色光を透過させる誘電体アンテナ(2)を配設している請求項16または19に記載される特定波長の光を透過させる光フィルター。
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