JP2004076838A - 油圧アクチュエータ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流量制御用のバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストン4と、同アクチュエータ・ピストン4への作動流体切換え用のセレクタ弁を構成する電気油圧サーボ弁12とを有している。電気油圧サーボ弁12は、入力電流が零となったときにアクチュエータ・ピストン4が所定方向に作動するよう所定流量の作動流体をアクチュエータ・ピストン4に流すようナルシフト12−1が付加されている。
この油圧アクチュエータ装置によれば、電気油圧サーボ弁12に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁12が中立位置になったときにアクチュエータ・ピストン4を燃料シャットオフ方向等、所定方向に作動させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロケットエンジンの燃料制御弁などの流量制御弁駆動用として用いて好適な油圧アクチュエータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来技術によるロケットエンジンの燃料制御装置である。この燃料制御装置は、LO2 、LH2 等の燃料が通過するバルブ部と、バルブを駆動しバルブ開度を制御するアクチュエータ部とからなっている。
【0003】
バルブ部は、バルブシャフト1を中心に回転し、ボールバルブ2を通過する燃料を制御する。つまり、ボールバルブ2は、バルブシャフト1に対して偏心した球形状をしており、0°→90°回転する事により長径部がシール3に接触し、通過燃料を遮断する。図5はバルブ全開位置を示しており、この位置からボールバルブ2が90°回転する事で全閉位置となる。
【0004】
アクチュエータ部ではアクチュエータ・ピストン4が左右に往復運動を行い、リンク5を介しバルブシャフト1を揺動回転させる。
電気油圧サーボ弁6へコントローラ7から入力信号(電流)が送られると、電気油圧サーボ弁6の出力流量が変動し、アクチュエータ・ピストン4は左右に往復運動を行う。
【0005】
バルブシャフト1の回転角度は、ポテンショメータ8によって検出され、バルブ位置信号としてコントローラ7へフィードバックされる。
このようにアクチュエータ部では、電気油圧サーボ弁6への入力信号に対するポテンショメータ8からのフィードバック信号で作られるサーボループが構成されている。
【0006】
図6にそのアクチュエータ部の回路構成図を示す。燃料制御弁では、ロケットエンジン燃焼時に停電、故障等によって電気回路が切断する不具合が発生した場合、速やかに燃料供給を遮断し、ロケットエンジンを自動的に停止する機能(シャットオフ機能)が必要である。
従来技術によるロケットエンジンのシャットオフ機能は、アクチュエータ部内にセレクタ弁9、ソレノイド弁10及びリストリクタ11を配して実施している。このリストリクタ11は、オリフィス、絞りであって、バルブを遮断するスピードを或る範囲に設定するために設けられている。
【0007】
図7に従来方式によるシャットオフ機能について示している。
図7は電気系統が正常に作動している状態を示す。電気系統が正常時には、ソレノイド弁10は印加電圧によって発生する磁力で左端へ押し付けられ、セレクタ弁9の右室と戻り油ラインが接続する位置で保持されている。セレクタ弁9のスプール9−2は内臓するスプリング9−1の力によって右端へ押し付けられている。
【0008】
図7の正常作動時は、電気油圧サーボ弁6が左の平行流路を形成されると、そのスプール9−2はスプリング9−1の力で右へ押されて、アクチュエータ・ピストン4は右へ移動され、バルブは閉方向へ動かされるが、電気油圧サーボ弁6が右の交差流路を形成されると、スプール9−2はスプリング9−1の力に抗して油圧で左へ押されてアクチュエータ・ピストン4は左へ移動されバルブは開方向へ動かされる。
【0009】
スプール9−2は、本位置では電気油圧サーボ弁6からの出力流量を、アクチュエータ・ピストン4に送り、また、アクチュエータ・ピストン4からの戻り油をリターンライン(R)へ戻している。このようにアクチュエータ・ピストン4は、往復運動を行う。
この状態では、電気油圧サーボ弁6がその位置を切り替える事によって、アクチュエータ・ピストン4は左右に往復運動を行う事が出来る。
【0010】
図8は電気系統に停電等の不具合が発生した場合のアクチュエータのシャットオフ作動を示す。
停電等不具合が発生すると、本制御弁への電力供給が断たれ、ソレノイド弁10は内臓スプリング10−1の力で右端へ切り替わる。ソレノイド弁10が本位置にあると、システム供給圧(P)がソレノイド弁10を通り、セレクタ弁9右室内に導かれ、セレクタ弁9のスプール9−2を左端に移動させる。
【0011】
スプール9−2が本位置に来ると、システム供給圧はセレクタ弁9を直接通過してアクチュエータ・ピストン4の左室に導かれ、アクチュエータ・ピストン4を強制的にバルブ閉方向へ移動させる。また、セレクタ弁9のスプール9−2が本位置では、電気油圧サーボ弁6からの出力流量は遮断され、下流側のアクチュエータ・ピストン4へは流れ込まない。
【0012】
一方、アクチュエータ・ピストン4のシャットオフによる移動速度は、リストリクタ11によって戻り油を絞り制限する事で設定している。
このように、従来方式によるシャットオフ作動は構成する部品点数が多く、複雑な作動をしており、高価で信頼性に不具合が発生する可能性が極めて高い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アクチュエータ・ピストンと、同アクチュエータ・ピストンへ作動流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁とを有する油圧アクチュエータ装置において、前記電気油圧サーボ弁への電気系統に不具合が発生したときに、前記アクチュエータ・ピストンを確実に所定方向へ移動させるようにした構造簡単な油圧アクチュエータ装置を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、アクチュエータ・ピストンと、同アクチュエータ・ピストンへの作動流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁とを有し、同電気油圧サーボ弁は、同サーボ弁に対する入力電流が零となったときに前記アクチュエータ・ピストンが所定方向に作動するよう所定流量を流すナルシフトが付加された電気油圧サーボ弁であることを特徴とする油圧アクチュエータ装置を提供する。
【0015】
本発明の油圧アクチュエータ装置においては、電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときに所定流量を流すようナルシフトが付加されていて、その所定流量によりアクチュエータ・ピストンを所定方向に作動させる。
従って、本発明の油圧アクチュエータ装置によれば、電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となったときにアクチュエータ・ピストンを所定方向に作動させるためのソレノイド弁やセレクタ弁を設ける必要がないものとすることができ、油圧アクチュエータ装置の構成を簡単化できる。
【0016】
本発明による油圧アクチュエータ装置において、前記アクチュエータ・ピストンがバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンを構成し、前記ナルシフトを付加した電気油圧サーボ弁が前記バルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンの作動油供給回収回路切換えセレクタ弁を構成した流量制御装置にすると、前記電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときにナルシフトが付加されている電気油圧サーボ弁はバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンに対して所定流量の作動流体を流し、バルブシャフトを駆動してバルブを閉じるなどバルブを所定位置にすることができるものとなる。
【0017】
また、このように構成した流量制御装置を液体ロケットエンジン用燃料制御弁の燃料制御装置に用いると、液体ロケットエンジン用燃料制御装置における電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときに、電気油圧サーボ弁はバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンに対して所定流量の作動流体を流し、その所定流量によりアクチュエータ・ピストンを所定方向に作動させ、液体ロケットエンジンへの燃料供給をシャットアウトすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施の一形態による流量制御用アクチュエータ装置の構成を示す。この実施形態は、ロケットエンジンの燃料制御弁における流量制御アクチュエータに本発明を適用した場合である。図1に示すように本実施形態による燃料流量制御アクチュエータでは、シャットオフ機能を行わせるために従来設置されていたセレクタ弁、ソレノイド弁等は全て廃し、ナルシフト機能を有する電気油圧サーボ弁12とアクチュエータ・ピストン4のみの構成で従来方式と同等のシャットオフ作動を実施するように構成している。
【0019】
以下、図1に従い本実施形態による流量制御用アクチュエータ装置の各構成を説明する。
電気油圧サーボ弁12にはシャットオフ作動を実施させる為、中立位置において意図的にある一定のナルシフト量12−1を付加させておく。燃料制御弁への電気入力が不具合等によって遮断されると、電気油圧サーボ弁12は図の如く中立位置状態に戻るが、ナルシフト量12−1によって、アクチュエータ・ピストン4には、所定の流量で作動流体(圧油)が流入し、アクチュエータ・ピストン4をバルブが閉方向に所定の速度(その速度はナルシフト量に依って制限される)で移動させる。
【0020】
図2にナルシフトを付加した電気油圧サーボ弁12のナルシフト構成、出力流量特性を示す。図2の(a)、(b)はナルシフト無しの場合を示し、電気油圧サーボ弁12が中立位置状態になると、電気油圧サーボ弁12の出力流量は零となるが、図2の(c)、(d)のナルシフト有りの場合は、電気油圧サーボ弁12が中立位置状態になっても電気油圧サーボ弁12の出力流量は零とならず、或る一定の流量が与えられる。
【0021】
すなわち、サーボ弁内のノズル位置を中心から少し所定量ずらす事等で、入力電流が零になった時に一定方向に所定流量を出力する電気油圧サーボ弁12とするのである。
本電気油圧サーボ弁12をアクチュエータ・ピストン4に組合せる事により、電気が遮断された時、電気油圧サーボ弁12が中立位置状態になってもアクチュエータ・ピストン4にはバルブ閉方向に動かす所定流量が出力され、シャットオフ機能を有する燃料制御弁を構成する。
【0022】
図3に本発明による流量制御装置を用いたロケットエンジン用燃料制御弁を示す。
バルブ部は従来方式と同一、アクチュエータ部が電気油圧サーボ弁12、アクチュエータ・ピストン4、ポテンショメータ8のみの構成となり、極めてシンプルで部品点数の大幅削減が可能となりコストダウン、信頼性向上が計られた。
また、図4に本構成のロケットエンジン用燃料制御弁を理解する為、回路構成図を示してある。
【0023】
以上、ロケットエンジン用燃料制御装置に対し本発明による油圧アクチュエータ装置を採用した場合について説明したが、これ以外、ナルシフトが付加された電気油圧サーボ弁を備えた油圧アクチュエータ装置として広く用いることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、アクチュエータ・ピストンと、同アクチュエータ・ピストンへの作動流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁とを有し、同電気油圧サーボ弁は、同サーボ弁に対する入力電流が零となったときに前記アクチュエータ・ピストンが所定方向に作動するよう所定流量を流すためのナルシフトが付加された電気油圧サーボ弁であることを特徴とする油圧アクチュエータ装置を提供する。
【0025】
本発明の油圧アクチュエータ装置では、電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときに所定流量を流すようナルシフトが付加されているので、ソレノイド弁やセレクタ弁を設けることなくその所定流量によりアクチュエータ・ピストンを所定方向に作動させることができる。
【0026】
本発明による油圧アクチュエータ装置において、前記アクチュエータ・ピストンがバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンを構成し、前記ナルシフトを付加した電気油圧サーボ弁が前記バルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンの作動油供給回収回路切換えセレクタ弁を構成した流量制御装置としたものでは、前記電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときにナルシフトが付加されている電気油圧サーボ弁はバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンに対して所定流量の作動流体を流し、バルブシャフトを駆動してバルブを閉じるようバルブに所定位置を取らせることができる流量制御装置となる。
【0027】
また、このように構成した流量制御装置を液体ロケットエンジン用燃料制御弁の燃料制御装置に用いたものでは、液体ロケットエンジン用燃料制御装置における電気油圧サーボ弁に対する入力電流が零となって、その電気油圧サーボ弁が中立位置になったときに、電気油圧サーボ弁はバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンに対して所定流量の作動流体を流し、その所定流量の作動流体によりアクチュエータ・ピストンを所定方向に作動させ、燃料供給をシャットアウトすることができる液体ロケットエンジン用燃料制御装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態によるシャットオフ機能をもつ燃料流量制御用アクチュエータ装置の構成を示す説明図。
【図2】ナルシフトを付加した電気油圧サーボ弁におけるサーボ弁の出力流量とナルシフト機構を示す図面で、(a)はナルシフト無しの場合のサーボの出力流量を示す線図、(b)はナルシフト無しの場合のサーボにおける入力零のときのノズル位置を示す説明図、(c)はナルシフト有りの場合のサーボの出力流量を示す線図、(d)はナルシフト有りの場合のサーボにおける入力零のときのノズル位置を示す説明図。
【図3】本発明による油圧アクチュエータ装置を用いたロケットエンジン用燃料制御装置の構造を示す断面図。
【図4】図3に示すロケットエンジン用燃料制御装置の回路構成図。
【図5】従来技術による油圧アクチュエータ装置を用いたロケットエンジン用燃料制御装置の構造を示す断面図。
【図6】図5に示すロケットエンジン用燃料制御装置の回路構成図。
【図7】従来技術によるシャットオフ機能をもつ燃料流量制御装置における油圧アクチュエータ装置の電気系統が正常作動時の状態を示す説明図。
【図8】従来技術によるシャットオフ機能をもつ燃料流量制御装置における油圧アクチュエータ装置の電気系統に不具合を発生した時の状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 バルブシャフト
2 ボールバルブ
3 シール
4 アクチュエータ・ピストン
5 リンク
6 電気油圧サーボ弁
7 コントローラ
8 ポテンショメータ
9 セレクタ弁
9−1 スプリング
9−2 スプール
10 ソレノイド弁
11 リストリクタ
12 電気油圧サーボ弁
Claims (3)
- アクチュエータ・ピストンと、同アクチュエータ・ピストンへの作動流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁とを有し、同電気油圧サーボ弁は、同サーボ弁に対する入力電流が零となったときに前記アクチュエータ・ピストンが所定方向に作動するよう所定流量を流すナルシフトが付加された電気油圧サーボ弁であることを特徴とする油圧アクチュエータ装置。
- 請求項1に記載の油圧アクチュエータ装置において、前記アクチュエータ・ピストンがバルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンを構成し、前記ナルシフトを付加した電気油圧サーボ弁が前記バルブシャフト駆動用アクチュエータ・ピストンの作動油供給回収回路切換えセレクタ弁を構成したことを特徴とする流量制御装置。
- 請求項2の流量制御装置を燃料制御に用いたことを特徴とする液体ロケットエンジン用燃料制御装置。
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JP2002236595A JP3962653B2 (ja) | 2002-08-14 | 2002-08-14 | 油圧アクチュエータ装置 |
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CN108644183A (zh) * | 2018-06-06 | 2018-10-12 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种泵控式电液执行器系统 |
CN109681347A (zh) * | 2018-12-13 | 2019-04-26 | 西安航天动力研究所 | 一种液体火箭发动机推力调节伺服系统故障保护方法 |
CN113922694A (zh) * | 2021-08-30 | 2022-01-11 | 北京精密机电控制设备研究所 | 一种传感自供电、结构紧凑型伺服机构 |
-
2002
- 2002-08-14 JP JP2002236595A patent/JP3962653B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN108644183B (zh) * | 2018-06-06 | 2023-12-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种泵控式电液执行器系统 |
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