JP2004072690A - 光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】波長均一性が高く、安価な光通信システムを提供する。
【解決手段】互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数の光源1a〜1dから発信する光を合波する光波長合波器2と、光波長合波器2により合波した波長多重光を伝送する光伝送路13と、光伝送路13を伝送した波長多重光を分波する光波長分波器5と、光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dとを設ける。光源1a〜1dは発信波長の温度依存性を有する光源とし、光波長分波器5は少なくとも1つの光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成し、受光器4a〜4dはそれぞれ光波長分波器5により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数の光源1a〜1dから発信する光を合波する光波長合波器2と、光波長合波器2により合波した波長多重光を伝送する光伝送路13と、光伝送路13を伝送した波長多重光を分波する光波長分波器5と、光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dとを設ける。光源1a〜1dは発信波長の温度依存性を有する光源とし、光波長分波器5は少なくとも1つの光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成し、受光器4a〜4dはそれぞれ光波長分波器5により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分割多重伝送等の光通信に用いられる光通信システムに関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年のインターネットトラヒックの急増を背景に、通信ネットワーク容量の拡大が急務となっている。この要求に応えるべき1つのソリューションが波長分割多重伝送(Wavelength Division Multiplexing (WDM))技術である。波長分割多重伝送(波長分割多重通信)技術は、1本の光ファイバに異なる波長の光信号を複数多重して伝送するため、伝送容量を波長多重数倍だけ拡大できることで脚光を浴びている。
【0003】
現在、波長分割多重伝送技術の導入は、高速大容量通信が最も必要とされる基幹系(長距離系)に集中しており、基幹系に適用する波長分割多重伝送技術として、従来からDWDM(Dense WDM)の検討が行われている。
【0004】
また、最近では、波長分割多重伝送技術をメトロ・アクセス系に適用する検討も積極的に進められるようになり、中でもCWDM(Coarse WDM)やWWDM(WideWDM)と呼ばれている波長分割多重伝送技術の検討が行われている。CWDMやWWDMは、波長間隔を約10nm以上の広い間隔に設定し、4〜16波程度の多重化を行う波長分割多重伝送システムに適用される。
【0005】
図11には、CWDMシステムの構成例が示されている。この光通信システムは、波長間隔が20nmの4波長(例えばλ1,λ2,λ3,λ4)の光を多重化し、伝送するシステムである。この光通信システムは、伝送装置23と光伝送路13と受信装置26とを有している。
【0006】
伝送装置23は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数波長の光を合波する光波長合波器2を有しており、該光源1a〜1dから発信する光を合波して波長多重光とし、送信する。
【0007】
光伝送路13は光ファイバにより形成されており、上記波長多重光を伝送する。受信装置26は、光伝送路13を伝送した波長多重光をそれぞれの波長の光に分波する光波長分波器5と、該光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dを有している。
【0008】
前記光源1a〜1dは発信波長の温度調整機能がないアンクールド・レーザにより形成されている。アンクールド・レーザはその発信波長が環境温度の影響を受けて変動するため、変動による信号波長の近接・重なりを回避するため、互いの波長間隔を大きくとらなければならない。そこで、CWDMでは、波長多重化する波長の波長間隔が20nm程度となるようにシステムを構成している。
【0009】
なお、前記DWDMでは、光源として、温度調整機構付きの半導体レーザを光源として適用しているため、上記波長間隔を100GHz(0.8nm程度)以下まで高密度集積できる。DWDMに適用されている半導体レーザの温度調整機構は、一般にペルチェ素子を有している。
【0010】
CWDM、WWDMは、前記の如く、発信波長の温度調整機能がない(発信波長が温度依存性を有する)アンクールド・レーザを光源1a〜1dに適用し、ペルチェ素子を設けないことにより伝送装置23を安価に形成し、光通信システムの低コスト化を図っている。
【0011】
なお、CWDM、WWDMにおいて、ペルチェ素子より安価なヒータ素子を光源1a〜1dに設けることも検討され、実用化されている。ヒータ素子は、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を低減するものであるが、例えばヒータ素子は光源1a〜1dの発信波長の温度依存性(発信波長変動)を半分程度に低減するものであり、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を殆ど零になるように補償するペルチェ素子に比べて安価である。
【0012】
CWDMシステムやWWDMシステムにおいて、光波長合波器2と光波長分波器5は、例えば図12に示すように、誘電体多層膜フィルタ15(15a〜15d)をカスケード状に配置して形成している。
【0013】
誘電体多層膜フィルタ15a〜15dは、透過帯域が広く形成されており、光波長合波器2と光波長分波器5は、DWDMに適用される光波長合分波器に比べて安価に入手できる。そのため、CWDMやWWDMは、1波長当たりの伝送コストを低コストに抑えることができるといったメリットがあると考えられている。
【0014】
また、CWDMやWWDMは、EDFA(エルビウムドープ光ファイバ型アンプ)等の光増幅器等により構成される光中継器を必要としないメトロ・アクセス系のソリューションとして注目を集めており、CWDMに適用される光波長合波器2と光波長分波器5も低損失で透過帯域の広いものが望まれることになる。
【0015】
例えば波長間隔20nmのCWDMに適用する誘電体多層膜フィルタ15としては、挿入損失が0.4dB程度以下で、0.5dB透過帯域幅が約12nm以上のものが望まれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示したような、誘電体多層膜フィルタ15をカスケード状に配置した構成の光波長合波器2や光波長分波器5は、図13に示すように、空間結合系を用いたモジュール化が必要となるために、メトロ・アクセス系に熱望される低コストシステムの実現にとって必ずしも最適ではなかった。
【0017】
つまり、従来の光波長合波器2と光波長分波器5は、誘電体多層膜フィルタ15の透過特性と反射特性を利用しており、以下の光軸合わせが必要となる。第1に、光ファイバ21aからコリメートレンズ32aを介して、波長λ1,λ2,λ3,λ4の多重光を誘電体多層膜フィルタ15のフィルタチップ17に的確に入射できるように、光ファイバ21aとコリメートレンズ32aとフィルタチップ17の位置を調整しなければならない。
【0018】
第2に、誘電体多層膜フィルタ15の透過波長λ1がコリメートレンズ32bを介して光ファイバ21cに入射するように、フィルタチップ17とコリメートレンズ32bと光ファイバ21cの位置を調整しなければならない。第3に、誘電体多層膜フィルタ15の反射波長λ2,λ3,λ4がコリメートレンズ32aを介して光ファイバ21bに入射するように、光ファイバ21bとコリメートレンズ32aとフィルタチップ17の位置を調整しなければならない。
【0019】
誘電体多層膜フィルタ15を機能させるためには、上記調整を全て満足できるように構成部品の1つ1つのアセンブリに非常に精密な位置決めと調心が必要となり、手作業に依存することが多くなる。そのため、光波長合波器2と光波長分波器5は、モジュール化の量産性に乏しく、低コスト化を実現することが極めて困難であり、それに伴い光通信システムの低コスト化の実現が困難であった。
【0020】
また、図12に示した光波長合波器2と光波長分波器5は、それぞれの波長によって誘電体多層膜フィルタ15の透過回数が異なり、波長ごとに損失がばらついて損失均一性が劣化するといった問題もあった。したがって、波長ごとの損失均一性の良好な光通信システム形成が望まれていた。
【0021】
本発明は上記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、波長ごとの損失値のばらつきが小さく、簡単な構成で低コストに波長分割多重伝送を行うことができる光通信システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分波する光波長分波器と、該光波長分波器によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光波長分波器は少なくとも1つの光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光波長分波器により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0023】
また、第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、前記光波長分波回路は光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路の代わりに光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0024】
さらに、第3の発明は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力する光分岐器と、該光分岐器のそれぞれの光出力部から出力される分岐光を受光する受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光分岐器は少なくとも1つの光導波路型Y分岐回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光源からの発信光に対応させて設定された設定波長光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0025】
さらに、第4の発明は、上記第3の発明の構成に加え、前記光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光導波路型方向性結合回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0026】
さらに、第5の発明は、上記第3の発明の構成に加え、前記光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光ファイバ溶融型方向性結合回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0027】
さらに、第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれか一つの発明の構成に加え、前記波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上としたとした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0028】
さらに、第7の発明は、上記第1乃至第6のいずれか一つの発明の構成に加え、前記光源の発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を設けた構成をもって課題を解決する手段としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1には本発明に係る光通信システムの第1実施形態例の要部構成が示されている。
【0030】
図1に示すように、本実施形態例の光通信システムは、伝送装置23と、光ファイバにより形成された光伝送路13と、受信装置26とを有している。伝送装置23は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数波長の光を合波する光波長合波器2を有している。
【0031】
本実施形態例において、光源1a〜1dの構成は、図11に示した光通信システムにおける光源1a〜1dの構成と同様であり、発信波長の温度依存性を有するアンクールド・レーザにより形成されている。
【0032】
なお、本実施形態例において、光源1a〜1dは、波長間隔20nmの4波長(λ1=1510nm、λ2=1530nm、λ3=1550nm、λ4=1570nm)の光をそれぞれ発信し、光波長合波器2がこれらの波長の光を合波し、波長多重光とする。
【0033】
本実施形態例の光通信システムは、この波長多重光を、EDFA(エルビウムドープ光ファイバ型光増幅器)等の光中継器を用いずに、光伝送路13により数10Km伝送し、受信装置26により受信するシステムである。
【0034】
受信装置26は、光伝送路13を伝送した波長多重光をそれぞれの波長の光に分波する光波長分波器5と、該光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dを有している。
【0035】
本実施形態例の特徴は、光波長合波器2と光波長分波器5が、図2の(a)、(b)に示すように、それぞれ少なくとも1つ(ここでは2つ)の光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを有して形成されていることと、受光器4a〜4dが、図1に示すように、それぞれ光波長分波器5により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵して形成されていることである。
【0036】
光波長合波器2は、図2の(a)に示すように、2つのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを有し、これらのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bの光出力側に1つの光導波路型光フーリエフィルタ回路10を接続して形成されている。また、光波長分波器5は、図2の(b)に示すように、1つの光導波路型光フーリエフィルタ回路10の光出力側に2つのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを接続して形成されている。
【0037】
光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bと光導波路型光フーリエフィルタ回路10はそれぞれ、第1の光導波路6と第2の光導波路7を並設し、これら光導波路6,7の長手方向に間隔を介した位置において第1の光導波路6と第2の光導波路7を近接させて成る方向性結合部9を有している。マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bは2つの方向性結合部9を有し、光フーリエフィルタ回路10は3つ以上(ここでは3つ)の方向性結合部9を有している。
【0038】
また、光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bと光導波路型光フーリエフィルタ回路10は、それぞれ、隣り合う2つの方向性結合部9に挟まれた遅延回路11を有しており、遅延回路11の第1の光導波路6と第2の光導波路7を互いに異なる長さとして形成されている。
【0039】
光導波路型のマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bや光フーリエフィルタ回路10は、その構造パラメータ(方向性結合器9の結合率や遅延回路11の長さの差等)を最適化することにより、異なる波長の光を合分波することができる。
【0040】
また、光導波路型のマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bや光フーリエフィルタ回路10は、シリコン基板上に火炎堆積法と半導体加工技術であるフォトリソグラフィーとエッチングを用いて複数個一括して作製できるので、量産性に優れており、低コスト化が実現できる。
【0041】
なお、光波長合波器2と光波長分波器5の回路構成は互いに等しく、光の入力方向を逆にすることにより、光波長合波器2は複数波長の光を合波する機能を有し、光波長分波器5は波長多重光を波長ごとに分波する機能を有している。図4には、これらの光波長合波器2と光波長分波器5の光透過損失スペクトルが示されている。
【0042】
図3の(a)には、受光器4aの拡大図が示されており、この図に示すように、受光器4aは、光波長分波器5により分波されて入力する波長λ1の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3aと、フォトダイオード14aを内蔵している。波長選択透過フィルタ3aはチップ化されて配設されている。
【0043】
なお、光波長分波器5は、前記の如く、波長λ1,λ2,λ3,λ4を有する波長多重光を波長ごとに分波する機能を有しているが、図4に示したように、光波長分波器5の挿入損失は、クロストークが10dB程度しか確保できないために、例えば光波長分波器5から出力される波長λ1の光に、他の波長(ここではλ2,λ3,λ4)の光が多少混じる。
【0044】
そこで、本実施形態例では、例えば受光器4aを、波長λ1の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3aを内蔵して形成することにより、この波長選択透過フィルタ3aの優れた遮断特性によって、波長λ1の光のみをフォトダイオード14aに入力できるようにした。
【0045】
また、図1に示すように、受光器4b〜4dは、それぞれ、フォトダイオード14b〜14dと、光波長分波器5により分波されて入力する波長λ2,λ3,λ4の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3b〜3dを内蔵している。これらの波長選択透過フィルタ3b〜3dもチップ化されている。
【0046】
上記のように、それぞれの受光器4b〜4dは、波長選択透過フィルタ3b〜3dを内蔵し、波長選択透過フィルタ3b〜3dの優れた遮断特性によって、波長λ2,λ3,λ4の光のみをフォトダイオード14b〜14dに入力できる。
【0047】
つまり、本実施形態例では、受光器4a〜4dを、上記波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵して形成していることにより、受信装置26の全体としてのクロストークが確保できる構成とした。
【0048】
また、受光器4a〜4dは、フォトダイオード14a〜14dの光入力側にそれぞれ対応する波長選択透過フィルタ3a〜3dを設けた簡単な構成であり、例えば図13に示した従来例の光波長分波器5におけるフィルタチップ17の配置のような精密な位置決めや調心が必要なく、容易に位置決めして安価に形成することができる。
【0049】
本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例の光通信システムは、低コストの光源1a〜1dと、低コストの光波長合波器2、光波長分波器5、受光器4a〜4dを組み合わせて構成されているので、低コストの波長分割多重伝送システムを実現することができる。
【0050】
また、本実施形態例の光通信システムは、受光器4a〜4dを、それぞれ対応する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する構成としたので、受信装置26の全体としてのクロストークが確保でき、波長ごとの損失均一性も良好な高品質の波長分割多重伝送を実現することができる。
【0051】
次に、本発明に係る光通信システムの第2実施形態例について説明する。第2実施形態例の光通信システムは、図5に示すように、上記第1実施形態例と同様に、伝送装置23と、光ファイバにより形成された光伝送路13と、受信装置26とを有している。
【0052】
第2実施形態例において、伝送装置23には第1実施形態例と同様の構成の光源1a〜1dが設けられており、第2実施形態例において、これらの光源1a〜1dの構成および光伝送路13の構成は上記第1実施形態例と同様であるのでその重複説明は省略する。
【0053】
第2実施形態例は、受信装置26を光分岐器25と複数の受光器4a〜4dを設けて構成しており、光分岐器25は、光伝送路13を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力する。受光器4a〜4dは、光分岐器25のそれぞれの光出力部に1つずつ接続されており、前記分岐光を受光する。
【0054】
光分岐器25は、図6に示すように、少なくとも1つ(ここでは3つ)の光導波路型Y分岐回路30を有し、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段(ここでは2段)配置した1×4スプリッタ回路により形成されている。この光導波路型Y分岐回路30は、その光入力部(図の左端側)から例えば波長λ1〜λ4の光が入力されると、これらの波長の光を等分配してそれぞれの光出力部から出力する。
【0055】
また、第2実施形態例において、光波長合波器2も図6に示す構成の1×4スプリッタ回路により形成されており、光の入力側を図6とは逆方向としている。光波長合波器2は、図6の右端側からそれぞれ、波長λ1,λ2,λ3,λ4の光を入力し、これらの光を合波して図6の左端側から波長λ1,λ2,λ3,λ4の波長多重光を出力する構成と成している。
【0056】
例えば図6に示すように、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段配置した回路は、非常に簡単な回路構成であるため、マッハツェンダ光干渉計回路よりも一層、多量に一括製造できる。例えば4インチウエハから100チップ以上の1×4スプリッタ回路を形成できるので、光波長合波器2と光分岐器25を安価にでき、伝送装置23と受信装置26をより一層安価に形成できる。
【0057】
なお、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段配置した回路は、例えば図7に示すような透過特性を有しており、マッハツェンダ光干渉計回路のように波長分波機能は有していないが、第2実施形態例において、受光器4a〜4dはそれぞれ前記光源1a〜1dからの発信光に対応させて設定された設定波長光(例えばλ1,λ2,λ3,λ4)を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵している。
【0058】
したがって、波長選択透過フィルタ3a〜3dにより、それぞれの受光器4a〜4d毎に設定されている設定波長光のみを透過して、フォトダイオード14a〜14dにより受光することができる。
【0059】
つまり、第2実施形態例において、光分岐器25は、光伝送路13を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力し、それぞれの光出力部からλ1,λ2,λ3,λ4の波長多重光を出力する。
【0060】
そして、受光器4aは、波長多重光のうち前記設定波長である波長λ1の光のみを誘電体多層膜フィルタ3aにより透過してフォトダイオード14aにより受光する。
【0061】
同様に、それぞれの受光器4b,4c,4dは、波長多重光のうち前記設定波長である波長λ2,λ3,λ4の光のみを誘電体多層膜フィルタ3b,3c,3d,により透過してフォトダイオード14aにより受光する。
【0062】
第2実施形態例は上記構成および動作により、第1実施形態例とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態例では、より安価に製造可能な光導波路型Y分岐回路30により光波長合波器2と光分岐器25を構成しているために、より安価な光通信システムを実現することができる。
【0063】
なお、第2実施形態例に適用している1×4スプリッタ回路の光波長合波器2と光分岐器25は、図7に示したように、挿入損失が6.5dB程度であるので、第2実施形態例の光通信システムは、図11に示した従来例のシステムに比べて全体で約7dBの損失増加になる。
【0064】
光伝送路13の光ファイバの伝送損失を0.25dB/Kmとすると、7dBの損失は28Kmに相当するので、第2実施形態例の光通信システムは、その分だけ伝送可能な距離が短くなるが、例えば50Km以下といった短い伝送距離の光通信システムに第2実施形態例の光通信システムを適用すれば、良好な波長分割多重伝送ができる、非常に安価な光通信システムを実現できる。
【0065】
次に、本発明に係る光通信システムの第3実施形態例について説明する。第3実施形態例は上記第2実施形態例とほぼ同様に構成されており、第3実施形態例が上記第2実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光分岐器25を、光導波路型Y分岐回路30の代わりに、図8の(a)に示すように、光導波路型方向性結合回路31を有する構成としたことである。
【0066】
図8の(a)に示す光導波路型方向性結合回路31は、第1、第2の光導波路6,7を直線状に近接配置することによりエネルギー移行を利用する方向性結合回路である。方向性結合回路の結合率が50%となるように、第1、第2の光導波路6,7の近接距離、直線導波路部27の長さにより決定される構成パラメータを決定し、多段配置することにより、Y分岐回路と同様の機能を有する回路となる。
【0067】
また、光導波路型方向性結合回路31は、図8の(b)に示すように、マルチモード干渉計(MMI)回路28により形成することもできる。この場合、マルチモード干渉計回路28の幅と長さにより決定される構成パラメータを決定し、多段配置することにより、Y分岐回路と同様の機能を有する回路となる。
【0068】
第3実施形態例は以上のように構成されており、第3実施形態例も上記第2実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【0069】
次に、本発明に係る光通信システムの第4実施形態例について説明する。第4実施形態例の光通信システムは、上記第1実施形態例とほぼ同様に構成されており、第4実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光波長分波器5を、図9に示すような、光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cを有して形成したことである。
【0070】
図9には、光波長分波器5の構成がその動作と共に示されており、光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cをツリー状に接続して形成されている。
【0071】
光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cは、光ファイバ12を並設配置し、その光ファイバ12を近接して溶融させた溶融型結合部33を互いに間隔を介して配置し、さらに、2つの溶融型結合部33に挟まれた光ファイバ12の長さを互いに異なる長さにして形成されている。
【0072】
なお、光波長合波器2は、光波長分波器5と同様の回路構成とし、光の入力方向を逆にする(例えば図9において、図の右端側から光を入力する)ことにより形成できる。
【0073】
第4実施形態例は以上のように構成されており、第4実施形態例も上記第1実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【0074】
また、第4実施形態例において、光波長合波器2と光波長分波器5を形成する光ファイバ型溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cは、1つ1つの溶融結合部33を手作りする必要があるものの、構成部品が光ファイバ12のみであり、光伝送路13を形成する光ファイバとの接続が容易であることから、低コスト化が実現できる。
【0075】
次に、本発明に係る光通信システムの第5実施形態例について説明する。第5実施形態例の光通信システムは、上記第3実施形態例とほぼ同様に構成されており、第5実施形態例が上記第3実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光分岐器25を、図10に示すような、光ファイバ溶融型方向性結合回路19a,19b,19cを有して形成したことである。
【0076】
図10には、光分岐器25の構成がその動作と共に示されており、光ファイバ溶融型方向性結合回路19a,19b,19cをツリー状に接続して形成されている。なお、光波長合波器2は、光分岐器25と同様の回路構成とし、光の入力方向を逆にする(例えば図10において、図の右端側から光を入力する)ように構成することにより形成できる。
【0077】
第5実施形態例は以上のように構成されており、第5実施形態例も上記第3実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができ、かつ、第4実施形態例のように、光波長合波器2と光分岐器25を光ファイバ溶融型の回路により形成しているので、光通信システムのより一層の低コスト化を実現できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記各実施形態例では、受光器4a〜4dは、図3の(a)に示したような構成としたが、受光器4a〜4dの構成は特に限定されるものでなく、波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する適宜の構成に設定されるものである。
【0079】
受光器4a〜4dは、例えば図3の(b)〜(d)に示す受光器4aのように形成することができる。つまり、受光器4a〜4dは、例えば光入力用の光ファイバ22とフォトダイオード14a〜14dの間にレンズ22を設け、さらに、その入射側と出射側の少なくとも一方に波長選択透過フィルタ3a〜3dを設けて形成できる。
【0080】
これらの場合も、受光器4a〜4dは、波長選択透過フィルタ3a〜3dの透過波長特性のみを利用するものであり、光ファイバ22と波長選択透過フィルタ3a〜3dとフォトダイオード14a〜14dの位置合わせは容易であり、上記各実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、上記各実施形態例では、光波長合波器2と光波長分波器5を互いに等しい回路構成により形成したり、光波長合波器2と光分岐器25を互いに等しい回路構成により形成したりしたが、光波長合波器2と光波長分波器5または、光波長合波器2と光分岐器25は必ずしも互いに同様の回路により形成するとは限らず、互いに異なる回路を有して形成してもよい。
【0082】
また、上記第1〜第3実施形態例では、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25は、シリコン基板上に石英系光導波路を形成したが、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25の形成材料、製造方法は特に限定されるものではなく適宜設定されるものであり、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25の回路を、半導体導波路等により形成してもよい。
【0083】
さらに、光波長合波器2と光波長分波器5、光分岐器25により合波、分波、分岐する光の波長帯域、波長間隔、波長数等は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、例えば上記波長間隔を10nm以上とし、波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上とすることにより、光受光側における波長分波化がより一層容易な光通信システムを実現できる。
【0084】
さらに、上記各実施形態例では、光源1a〜1dを、発信波長の温度依存性を有するアンクールド・レーザにより形成したが、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を、それぞれの光源1a〜1dに設けて光通信システムを構成することもできる。
【0085】
この場合は、ヒータ素子によって、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を例えば半分程度に低減することができ、かつ、ヒータ素子はペルチェ素子よりも安価であるため、ペルチェ素子を設けた光源を光通信システムに適用する場合に比べて安価な光通信システムを実現できる。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、光源は発信波長の温度依存性を有する光源とし、また、光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路や光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路を設けて光波長分波器を構成したり、光導波路型Y分岐回路や光導波路型方向性結合回路、光ファイバ溶融型方向性結合回路を設けて光分岐器を構成したりすることにより、これらの汎用性が高い回路を用いて安価な光通信システムを実現することができる。
【0087】
また、本発明によれば、上記回路と、波長選択透過フィルタを内蔵した受光器を組み合わせることにより、波長ごとの損失均一性の高い、高品質な波長分割多重伝送を簡単な構成で実現できる優れた光通信システムを実現できる。
【0088】
さらに、本発明において、波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上とすることにより、光受光側における波長分波化をより一層行いやすくでき、より安価な光通信システムを実現することができる。
【0089】
さらに、本発明において、光源の発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を設けた構成によれば、光源の発信波長の温度依存性を低減できるので、ヒータ素子を設けない構成に比べて多重伝送する波長間隔を狭くすることが可能となり、かつ、ペルチェ素子より安価に波長多重システムを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光通信システムの第1実施形態例を模式的に示す要部構成図である。
【図2】上記第1実施形態例に適用されている光波長合波器と光波長分波器の構成を平面図により示す説明図である。
【図3】本発明に係る光通信システムの各実施形態例に適用されている受光器の構成(a)と、その他の実施形態例に適用されている受光器の構成(b)〜(d)を示す説明図である。
【図4】上記第1実施形態例に適用されている光波長合波器と光波長分波器の挿入損失を示すグラフである。
【図5】本発明に係る光通信システムの第2実施形態例を模式的に示す要部構成図である。
【図6】上記第2実施形態例に適用されている光分岐器の構成を平面図により示す説明図である。
【図7】上記第2実施形態例に適用されている光分岐器の挿入損失を示すグラフである。
【図8】本発明に係る光通信システムの第3実施形態例に適用されている光分岐器の構成(a)とその他の実施形態例に適用される光分岐器の構成例(b)を平面図により示す説明図である。
【図9】本発明に係る光通信システムの第4実施形態例に適用されている光波長分波器の構成を平面図により示す説明図である。
【図10】本発明に係る光通信システムの第5実施形態例に適用されている光分岐器の構成を平面図により示す説明図である。
【図11】従来の光通信システム例を示す説明図である。
【図12】従来の光通信システムに適用されている光波長分波器の構成を示す説明図である。
【図13】従来の光通信システムに適用されている光波長分波器の光結合構成の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1a〜1d 光源
2 光波長合波器
3a〜3d 波長選択透過フィルタ
4a〜4d 受光器
5 光波長分波器
8a〜8c 光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路
10 光導波路型光フーリエフィルタ回路
18a〜18c 光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路
19a〜19c 光ファイバ溶融型方向性結合回路
25 光分岐器
30 光導波路型Y分岐回路
31 光導波路型方向性結合回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分割多重伝送等の光通信に用いられる光通信システムに関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年のインターネットトラヒックの急増を背景に、通信ネットワーク容量の拡大が急務となっている。この要求に応えるべき1つのソリューションが波長分割多重伝送(Wavelength Division Multiplexing (WDM))技術である。波長分割多重伝送(波長分割多重通信)技術は、1本の光ファイバに異なる波長の光信号を複数多重して伝送するため、伝送容量を波長多重数倍だけ拡大できることで脚光を浴びている。
【0003】
現在、波長分割多重伝送技術の導入は、高速大容量通信が最も必要とされる基幹系(長距離系)に集中しており、基幹系に適用する波長分割多重伝送技術として、従来からDWDM(Dense WDM)の検討が行われている。
【0004】
また、最近では、波長分割多重伝送技術をメトロ・アクセス系に適用する検討も積極的に進められるようになり、中でもCWDM(Coarse WDM)やWWDM(WideWDM)と呼ばれている波長分割多重伝送技術の検討が行われている。CWDMやWWDMは、波長間隔を約10nm以上の広い間隔に設定し、4〜16波程度の多重化を行う波長分割多重伝送システムに適用される。
【0005】
図11には、CWDMシステムの構成例が示されている。この光通信システムは、波長間隔が20nmの4波長(例えばλ1,λ2,λ3,λ4)の光を多重化し、伝送するシステムである。この光通信システムは、伝送装置23と光伝送路13と受信装置26とを有している。
【0006】
伝送装置23は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数波長の光を合波する光波長合波器2を有しており、該光源1a〜1dから発信する光を合波して波長多重光とし、送信する。
【0007】
光伝送路13は光ファイバにより形成されており、上記波長多重光を伝送する。受信装置26は、光伝送路13を伝送した波長多重光をそれぞれの波長の光に分波する光波長分波器5と、該光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dを有している。
【0008】
前記光源1a〜1dは発信波長の温度調整機能がないアンクールド・レーザにより形成されている。アンクールド・レーザはその発信波長が環境温度の影響を受けて変動するため、変動による信号波長の近接・重なりを回避するため、互いの波長間隔を大きくとらなければならない。そこで、CWDMでは、波長多重化する波長の波長間隔が20nm程度となるようにシステムを構成している。
【0009】
なお、前記DWDMでは、光源として、温度調整機構付きの半導体レーザを光源として適用しているため、上記波長間隔を100GHz(0.8nm程度)以下まで高密度集積できる。DWDMに適用されている半導体レーザの温度調整機構は、一般にペルチェ素子を有している。
【0010】
CWDM、WWDMは、前記の如く、発信波長の温度調整機能がない(発信波長が温度依存性を有する)アンクールド・レーザを光源1a〜1dに適用し、ペルチェ素子を設けないことにより伝送装置23を安価に形成し、光通信システムの低コスト化を図っている。
【0011】
なお、CWDM、WWDMにおいて、ペルチェ素子より安価なヒータ素子を光源1a〜1dに設けることも検討され、実用化されている。ヒータ素子は、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を低減するものであるが、例えばヒータ素子は光源1a〜1dの発信波長の温度依存性(発信波長変動)を半分程度に低減するものであり、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を殆ど零になるように補償するペルチェ素子に比べて安価である。
【0012】
CWDMシステムやWWDMシステムにおいて、光波長合波器2と光波長分波器5は、例えば図12に示すように、誘電体多層膜フィルタ15(15a〜15d)をカスケード状に配置して形成している。
【0013】
誘電体多層膜フィルタ15a〜15dは、透過帯域が広く形成されており、光波長合波器2と光波長分波器5は、DWDMに適用される光波長合分波器に比べて安価に入手できる。そのため、CWDMやWWDMは、1波長当たりの伝送コストを低コストに抑えることができるといったメリットがあると考えられている。
【0014】
また、CWDMやWWDMは、EDFA(エルビウムドープ光ファイバ型アンプ)等の光増幅器等により構成される光中継器を必要としないメトロ・アクセス系のソリューションとして注目を集めており、CWDMに適用される光波長合波器2と光波長分波器5も低損失で透過帯域の広いものが望まれることになる。
【0015】
例えば波長間隔20nmのCWDMに適用する誘電体多層膜フィルタ15としては、挿入損失が0.4dB程度以下で、0.5dB透過帯域幅が約12nm以上のものが望まれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示したような、誘電体多層膜フィルタ15をカスケード状に配置した構成の光波長合波器2や光波長分波器5は、図13に示すように、空間結合系を用いたモジュール化が必要となるために、メトロ・アクセス系に熱望される低コストシステムの実現にとって必ずしも最適ではなかった。
【0017】
つまり、従来の光波長合波器2と光波長分波器5は、誘電体多層膜フィルタ15の透過特性と反射特性を利用しており、以下の光軸合わせが必要となる。第1に、光ファイバ21aからコリメートレンズ32aを介して、波長λ1,λ2,λ3,λ4の多重光を誘電体多層膜フィルタ15のフィルタチップ17に的確に入射できるように、光ファイバ21aとコリメートレンズ32aとフィルタチップ17の位置を調整しなければならない。
【0018】
第2に、誘電体多層膜フィルタ15の透過波長λ1がコリメートレンズ32bを介して光ファイバ21cに入射するように、フィルタチップ17とコリメートレンズ32bと光ファイバ21cの位置を調整しなければならない。第3に、誘電体多層膜フィルタ15の反射波長λ2,λ3,λ4がコリメートレンズ32aを介して光ファイバ21bに入射するように、光ファイバ21bとコリメートレンズ32aとフィルタチップ17の位置を調整しなければならない。
【0019】
誘電体多層膜フィルタ15を機能させるためには、上記調整を全て満足できるように構成部品の1つ1つのアセンブリに非常に精密な位置決めと調心が必要となり、手作業に依存することが多くなる。そのため、光波長合波器2と光波長分波器5は、モジュール化の量産性に乏しく、低コスト化を実現することが極めて困難であり、それに伴い光通信システムの低コスト化の実現が困難であった。
【0020】
また、図12に示した光波長合波器2と光波長分波器5は、それぞれの波長によって誘電体多層膜フィルタ15の透過回数が異なり、波長ごとに損失がばらついて損失均一性が劣化するといった問題もあった。したがって、波長ごとの損失均一性の良好な光通信システム形成が望まれていた。
【0021】
本発明は上記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、波長ごとの損失値のばらつきが小さく、簡単な構成で低コストに波長分割多重伝送を行うことができる光通信システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分波する光波長分波器と、該光波長分波器によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光波長分波器は少なくとも1つの光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光波長分波器により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0023】
また、第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、前記光波長分波回路は光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路の代わりに光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0024】
さらに、第3の発明は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力する光分岐器と、該光分岐器のそれぞれの光出力部から出力される分岐光を受光する受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光分岐器は少なくとも1つの光導波路型Y分岐回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光源からの発信光に対応させて設定された設定波長光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0025】
さらに、第4の発明は、上記第3の発明の構成に加え、前記光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光導波路型方向性結合回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0026】
さらに、第5の発明は、上記第3の発明の構成に加え、前記光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光ファイバ溶融型方向性結合回路を有して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0027】
さらに、第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれか一つの発明の構成に加え、前記波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上としたとした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0028】
さらに、第7の発明は、上記第1乃至第6のいずれか一つの発明の構成に加え、前記光源の発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を設けた構成をもって課題を解決する手段としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1には本発明に係る光通信システムの第1実施形態例の要部構成が示されている。
【0030】
図1に示すように、本実施形態例の光通信システムは、伝送装置23と、光ファイバにより形成された光伝送路13と、受信装置26とを有している。伝送装置23は、互いに異なる波長の光を発信する複数の光源1a〜1dと、これら複数波長の光を合波する光波長合波器2を有している。
【0031】
本実施形態例において、光源1a〜1dの構成は、図11に示した光通信システムにおける光源1a〜1dの構成と同様であり、発信波長の温度依存性を有するアンクールド・レーザにより形成されている。
【0032】
なお、本実施形態例において、光源1a〜1dは、波長間隔20nmの4波長(λ1=1510nm、λ2=1530nm、λ3=1550nm、λ4=1570nm)の光をそれぞれ発信し、光波長合波器2がこれらの波長の光を合波し、波長多重光とする。
【0033】
本実施形態例の光通信システムは、この波長多重光を、EDFA(エルビウムドープ光ファイバ型光増幅器)等の光中継器を用いずに、光伝送路13により数10Km伝送し、受信装置26により受信するシステムである。
【0034】
受信装置26は、光伝送路13を伝送した波長多重光をそれぞれの波長の光に分波する光波長分波器5と、該光波長分波器5によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器4a〜4dを有している。
【0035】
本実施形態例の特徴は、光波長合波器2と光波長分波器5が、図2の(a)、(b)に示すように、それぞれ少なくとも1つ(ここでは2つ)の光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを有して形成されていることと、受光器4a〜4dが、図1に示すように、それぞれ光波長分波器5により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵して形成されていることである。
【0036】
光波長合波器2は、図2の(a)に示すように、2つのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを有し、これらのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bの光出力側に1つの光導波路型光フーリエフィルタ回路10を接続して形成されている。また、光波長分波器5は、図2の(b)に示すように、1つの光導波路型光フーリエフィルタ回路10の光出力側に2つのマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bを接続して形成されている。
【0037】
光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bと光導波路型光フーリエフィルタ回路10はそれぞれ、第1の光導波路6と第2の光導波路7を並設し、これら光導波路6,7の長手方向に間隔を介した位置において第1の光導波路6と第2の光導波路7を近接させて成る方向性結合部9を有している。マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bは2つの方向性結合部9を有し、光フーリエフィルタ回路10は3つ以上(ここでは3つ)の方向性結合部9を有している。
【0038】
また、光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路8a,8bと光導波路型光フーリエフィルタ回路10は、それぞれ、隣り合う2つの方向性結合部9に挟まれた遅延回路11を有しており、遅延回路11の第1の光導波路6と第2の光導波路7を互いに異なる長さとして形成されている。
【0039】
光導波路型のマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bや光フーリエフィルタ回路10は、その構造パラメータ(方向性結合器9の結合率や遅延回路11の長さの差等)を最適化することにより、異なる波長の光を合分波することができる。
【0040】
また、光導波路型のマッハツェンダ光干渉計回路8a,8bや光フーリエフィルタ回路10は、シリコン基板上に火炎堆積法と半導体加工技術であるフォトリソグラフィーとエッチングを用いて複数個一括して作製できるので、量産性に優れており、低コスト化が実現できる。
【0041】
なお、光波長合波器2と光波長分波器5の回路構成は互いに等しく、光の入力方向を逆にすることにより、光波長合波器2は複数波長の光を合波する機能を有し、光波長分波器5は波長多重光を波長ごとに分波する機能を有している。図4には、これらの光波長合波器2と光波長分波器5の光透過損失スペクトルが示されている。
【0042】
図3の(a)には、受光器4aの拡大図が示されており、この図に示すように、受光器4aは、光波長分波器5により分波されて入力する波長λ1の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3aと、フォトダイオード14aを内蔵している。波長選択透過フィルタ3aはチップ化されて配設されている。
【0043】
なお、光波長分波器5は、前記の如く、波長λ1,λ2,λ3,λ4を有する波長多重光を波長ごとに分波する機能を有しているが、図4に示したように、光波長分波器5の挿入損失は、クロストークが10dB程度しか確保できないために、例えば光波長分波器5から出力される波長λ1の光に、他の波長(ここではλ2,λ3,λ4)の光が多少混じる。
【0044】
そこで、本実施形態例では、例えば受光器4aを、波長λ1の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3aを内蔵して形成することにより、この波長選択透過フィルタ3aの優れた遮断特性によって、波長λ1の光のみをフォトダイオード14aに入力できるようにした。
【0045】
また、図1に示すように、受光器4b〜4dは、それぞれ、フォトダイオード14b〜14dと、光波長分波器5により分波されて入力する波長λ2,λ3,λ4の光を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3b〜3dを内蔵している。これらの波長選択透過フィルタ3b〜3dもチップ化されている。
【0046】
上記のように、それぞれの受光器4b〜4dは、波長選択透過フィルタ3b〜3dを内蔵し、波長選択透過フィルタ3b〜3dの優れた遮断特性によって、波長λ2,λ3,λ4の光のみをフォトダイオード14b〜14dに入力できる。
【0047】
つまり、本実施形態例では、受光器4a〜4dを、上記波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵して形成していることにより、受信装置26の全体としてのクロストークが確保できる構成とした。
【0048】
また、受光器4a〜4dは、フォトダイオード14a〜14dの光入力側にそれぞれ対応する波長選択透過フィルタ3a〜3dを設けた簡単な構成であり、例えば図13に示した従来例の光波長分波器5におけるフィルタチップ17の配置のような精密な位置決めや調心が必要なく、容易に位置決めして安価に形成することができる。
【0049】
本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例の光通信システムは、低コストの光源1a〜1dと、低コストの光波長合波器2、光波長分波器5、受光器4a〜4dを組み合わせて構成されているので、低コストの波長分割多重伝送システムを実現することができる。
【0050】
また、本実施形態例の光通信システムは、受光器4a〜4dを、それぞれ対応する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する構成としたので、受信装置26の全体としてのクロストークが確保でき、波長ごとの損失均一性も良好な高品質の波長分割多重伝送を実現することができる。
【0051】
次に、本発明に係る光通信システムの第2実施形態例について説明する。第2実施形態例の光通信システムは、図5に示すように、上記第1実施形態例と同様に、伝送装置23と、光ファイバにより形成された光伝送路13と、受信装置26とを有している。
【0052】
第2実施形態例において、伝送装置23には第1実施形態例と同様の構成の光源1a〜1dが設けられており、第2実施形態例において、これらの光源1a〜1dの構成および光伝送路13の構成は上記第1実施形態例と同様であるのでその重複説明は省略する。
【0053】
第2実施形態例は、受信装置26を光分岐器25と複数の受光器4a〜4dを設けて構成しており、光分岐器25は、光伝送路13を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力する。受光器4a〜4dは、光分岐器25のそれぞれの光出力部に1つずつ接続されており、前記分岐光を受光する。
【0054】
光分岐器25は、図6に示すように、少なくとも1つ(ここでは3つ)の光導波路型Y分岐回路30を有し、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段(ここでは2段)配置した1×4スプリッタ回路により形成されている。この光導波路型Y分岐回路30は、その光入力部(図の左端側)から例えば波長λ1〜λ4の光が入力されると、これらの波長の光を等分配してそれぞれの光出力部から出力する。
【0055】
また、第2実施形態例において、光波長合波器2も図6に示す構成の1×4スプリッタ回路により形成されており、光の入力側を図6とは逆方向としている。光波長合波器2は、図6の右端側からそれぞれ、波長λ1,λ2,λ3,λ4の光を入力し、これらの光を合波して図6の左端側から波長λ1,λ2,λ3,λ4の波長多重光を出力する構成と成している。
【0056】
例えば図6に示すように、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段配置した回路は、非常に簡単な回路構成であるため、マッハツェンダ光干渉計回路よりも一層、多量に一括製造できる。例えば4インチウエハから100チップ以上の1×4スプリッタ回路を形成できるので、光波長合波器2と光分岐器25を安価にでき、伝送装置23と受信装置26をより一層安価に形成できる。
【0057】
なお、光導波路型Y分岐回路30をツリー状に多段配置した回路は、例えば図7に示すような透過特性を有しており、マッハツェンダ光干渉計回路のように波長分波機能は有していないが、第2実施形態例において、受光器4a〜4dはそれぞれ前記光源1a〜1dからの発信光に対応させて設定された設定波長光(例えばλ1,λ2,λ3,λ4)を選択的に透過する波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵している。
【0058】
したがって、波長選択透過フィルタ3a〜3dにより、それぞれの受光器4a〜4d毎に設定されている設定波長光のみを透過して、フォトダイオード14a〜14dにより受光することができる。
【0059】
つまり、第2実施形態例において、光分岐器25は、光伝送路13を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力し、それぞれの光出力部からλ1,λ2,λ3,λ4の波長多重光を出力する。
【0060】
そして、受光器4aは、波長多重光のうち前記設定波長である波長λ1の光のみを誘電体多層膜フィルタ3aにより透過してフォトダイオード14aにより受光する。
【0061】
同様に、それぞれの受光器4b,4c,4dは、波長多重光のうち前記設定波長である波長λ2,λ3,λ4の光のみを誘電体多層膜フィルタ3b,3c,3d,により透過してフォトダイオード14aにより受光する。
【0062】
第2実施形態例は上記構成および動作により、第1実施形態例とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態例では、より安価に製造可能な光導波路型Y分岐回路30により光波長合波器2と光分岐器25を構成しているために、より安価な光通信システムを実現することができる。
【0063】
なお、第2実施形態例に適用している1×4スプリッタ回路の光波長合波器2と光分岐器25は、図7に示したように、挿入損失が6.5dB程度であるので、第2実施形態例の光通信システムは、図11に示した従来例のシステムに比べて全体で約7dBの損失増加になる。
【0064】
光伝送路13の光ファイバの伝送損失を0.25dB/Kmとすると、7dBの損失は28Kmに相当するので、第2実施形態例の光通信システムは、その分だけ伝送可能な距離が短くなるが、例えば50Km以下といった短い伝送距離の光通信システムに第2実施形態例の光通信システムを適用すれば、良好な波長分割多重伝送ができる、非常に安価な光通信システムを実現できる。
【0065】
次に、本発明に係る光通信システムの第3実施形態例について説明する。第3実施形態例は上記第2実施形態例とほぼ同様に構成されており、第3実施形態例が上記第2実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光分岐器25を、光導波路型Y分岐回路30の代わりに、図8の(a)に示すように、光導波路型方向性結合回路31を有する構成としたことである。
【0066】
図8の(a)に示す光導波路型方向性結合回路31は、第1、第2の光導波路6,7を直線状に近接配置することによりエネルギー移行を利用する方向性結合回路である。方向性結合回路の結合率が50%となるように、第1、第2の光導波路6,7の近接距離、直線導波路部27の長さにより決定される構成パラメータを決定し、多段配置することにより、Y分岐回路と同様の機能を有する回路となる。
【0067】
また、光導波路型方向性結合回路31は、図8の(b)に示すように、マルチモード干渉計(MMI)回路28により形成することもできる。この場合、マルチモード干渉計回路28の幅と長さにより決定される構成パラメータを決定し、多段配置することにより、Y分岐回路と同様の機能を有する回路となる。
【0068】
第3実施形態例は以上のように構成されており、第3実施形態例も上記第2実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【0069】
次に、本発明に係る光通信システムの第4実施形態例について説明する。第4実施形態例の光通信システムは、上記第1実施形態例とほぼ同様に構成されており、第4実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光波長分波器5を、図9に示すような、光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cを有して形成したことである。
【0070】
図9には、光波長分波器5の構成がその動作と共に示されており、光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cをツリー状に接続して形成されている。
【0071】
光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cは、光ファイバ12を並設配置し、その光ファイバ12を近接して溶融させた溶融型結合部33を互いに間隔を介して配置し、さらに、2つの溶融型結合部33に挟まれた光ファイバ12の長さを互いに異なる長さにして形成されている。
【0072】
なお、光波長合波器2は、光波長分波器5と同様の回路構成とし、光の入力方向を逆にする(例えば図9において、図の右端側から光を入力する)ことにより形成できる。
【0073】
第4実施形態例は以上のように構成されており、第4実施形態例も上記第1実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【0074】
また、第4実施形態例において、光波長合波器2と光波長分波器5を形成する光ファイバ型溶融型マッハツェンダ光干渉計回路18a,18b,18cは、1つ1つの溶融結合部33を手作りする必要があるものの、構成部品が光ファイバ12のみであり、光伝送路13を形成する光ファイバとの接続が容易であることから、低コスト化が実現できる。
【0075】
次に、本発明に係る光通信システムの第5実施形態例について説明する。第5実施形態例の光通信システムは、上記第3実施形態例とほぼ同様に構成されており、第5実施形態例が上記第3実施形態例と異なる特徴的なことは、光波長合波器2と光分岐器25を、図10に示すような、光ファイバ溶融型方向性結合回路19a,19b,19cを有して形成したことである。
【0076】
図10には、光分岐器25の構成がその動作と共に示されており、光ファイバ溶融型方向性結合回路19a,19b,19cをツリー状に接続して形成されている。なお、光波長合波器2は、光分岐器25と同様の回路構成とし、光の入力方向を逆にする(例えば図10において、図の右端側から光を入力する)ように構成することにより形成できる。
【0077】
第5実施形態例は以上のように構成されており、第5実施形態例も上記第3実施形態例と同様の動作により同様の効果を奏することができ、かつ、第4実施形態例のように、光波長合波器2と光分岐器25を光ファイバ溶融型の回路により形成しているので、光通信システムのより一層の低コスト化を実現できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記各実施形態例では、受光器4a〜4dは、図3の(a)に示したような構成としたが、受光器4a〜4dの構成は特に限定されるものでなく、波長選択透過フィルタ3a〜3dを内蔵する適宜の構成に設定されるものである。
【0079】
受光器4a〜4dは、例えば図3の(b)〜(d)に示す受光器4aのように形成することができる。つまり、受光器4a〜4dは、例えば光入力用の光ファイバ22とフォトダイオード14a〜14dの間にレンズ22を設け、さらに、その入射側と出射側の少なくとも一方に波長選択透過フィルタ3a〜3dを設けて形成できる。
【0080】
これらの場合も、受光器4a〜4dは、波長選択透過フィルタ3a〜3dの透過波長特性のみを利用するものであり、光ファイバ22と波長選択透過フィルタ3a〜3dとフォトダイオード14a〜14dの位置合わせは容易であり、上記各実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、上記各実施形態例では、光波長合波器2と光波長分波器5を互いに等しい回路構成により形成したり、光波長合波器2と光分岐器25を互いに等しい回路構成により形成したりしたが、光波長合波器2と光波長分波器5または、光波長合波器2と光分岐器25は必ずしも互いに同様の回路により形成するとは限らず、互いに異なる回路を有して形成してもよい。
【0082】
また、上記第1〜第3実施形態例では、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25は、シリコン基板上に石英系光導波路を形成したが、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25の形成材料、製造方法は特に限定されるものではなく適宜設定されるものであり、光波長合波器2、光波長分波器5、光分岐器25の回路を、半導体導波路等により形成してもよい。
【0083】
さらに、光波長合波器2と光波長分波器5、光分岐器25により合波、分波、分岐する光の波長帯域、波長間隔、波長数等は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、例えば上記波長間隔を10nm以上とし、波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上とすることにより、光受光側における波長分波化がより一層容易な光通信システムを実現できる。
【0084】
さらに、上記各実施形態例では、光源1a〜1dを、発信波長の温度依存性を有するアンクールド・レーザにより形成したが、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を、それぞれの光源1a〜1dに設けて光通信システムを構成することもできる。
【0085】
この場合は、ヒータ素子によって、光源1a〜1dの発信波長の温度依存性を例えば半分程度に低減することができ、かつ、ヒータ素子はペルチェ素子よりも安価であるため、ペルチェ素子を設けた光源を光通信システムに適用する場合に比べて安価な光通信システムを実現できる。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、光源は発信波長の温度依存性を有する光源とし、また、光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路や光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路を設けて光波長分波器を構成したり、光導波路型Y分岐回路や光導波路型方向性結合回路、光ファイバ溶融型方向性結合回路を設けて光分岐器を構成したりすることにより、これらの汎用性が高い回路を用いて安価な光通信システムを実現することができる。
【0087】
また、本発明によれば、上記回路と、波長選択透過フィルタを内蔵した受光器を組み合わせることにより、波長ごとの損失均一性の高い、高品質な波長分割多重伝送を簡単な構成で実現できる優れた光通信システムを実現できる。
【0088】
さらに、本発明において、波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上とすることにより、光受光側における波長分波化をより一層行いやすくでき、より安価な光通信システムを実現することができる。
【0089】
さらに、本発明において、光源の発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を設けた構成によれば、光源の発信波長の温度依存性を低減できるので、ヒータ素子を設けない構成に比べて多重伝送する波長間隔を狭くすることが可能となり、かつ、ペルチェ素子より安価に波長多重システムを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光通信システムの第1実施形態例を模式的に示す要部構成図である。
【図2】上記第1実施形態例に適用されている光波長合波器と光波長分波器の構成を平面図により示す説明図である。
【図3】本発明に係る光通信システムの各実施形態例に適用されている受光器の構成(a)と、その他の実施形態例に適用されている受光器の構成(b)〜(d)を示す説明図である。
【図4】上記第1実施形態例に適用されている光波長合波器と光波長分波器の挿入損失を示すグラフである。
【図5】本発明に係る光通信システムの第2実施形態例を模式的に示す要部構成図である。
【図6】上記第2実施形態例に適用されている光分岐器の構成を平面図により示す説明図である。
【図7】上記第2実施形態例に適用されている光分岐器の挿入損失を示すグラフである。
【図8】本発明に係る光通信システムの第3実施形態例に適用されている光分岐器の構成(a)とその他の実施形態例に適用される光分岐器の構成例(b)を平面図により示す説明図である。
【図9】本発明に係る光通信システムの第4実施形態例に適用されている光波長分波器の構成を平面図により示す説明図である。
【図10】本発明に係る光通信システムの第5実施形態例に適用されている光分岐器の構成を平面図により示す説明図である。
【図11】従来の光通信システム例を示す説明図である。
【図12】従来の光通信システムに適用されている光波長分波器の構成を示す説明図である。
【図13】従来の光通信システムに適用されている光波長分波器の光結合構成の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1a〜1d 光源
2 光波長合波器
3a〜3d 波長選択透過フィルタ
4a〜4d 受光器
5 光波長分波器
8a〜8c 光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路
10 光導波路型光フーリエフィルタ回路
18a〜18c 光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路
19a〜19c 光ファイバ溶融型方向性結合回路
25 光分岐器
30 光導波路型Y分岐回路
31 光導波路型方向性結合回路
Claims (7)
- 互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分波する光波長分波器と、該光波長分波器によって分波したそれぞれの波長の光を波長ごとに互いに独立して受光する複数の受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光波長分波器は少なくとも1つの光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光波長分波器により分波されて入力する波長のみの光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵していることを特徴とする光通信システム。
- 光波長分波回路は光導波路型マッハツェンダ光干渉計回路の代わりに光ファイバ溶融型マッハツェンダ光干渉計回路を有して形成されていることを特徴とする請求項1記載の光通信システム。
- 互いに異なる波長の光を発信する複数の光源と、これら複数の光源から発信する光を合波する光波長合波器と、該光波長合波器により合波した波長多重光を伝送する光伝送路と、該光伝送路を伝送した波長多重光を分岐して分岐光を複数の光出力部からそれぞれ出力する光分岐器と、該光分岐器のそれぞれの光出力部から出力される分岐光を受光する受光器とを有し、前記光源は発信波長の温度依存性を有しており、前記光分岐器は少なくとも1つの光導波路型Y分岐回路を有して形成され、前記受光器はそれぞれ前記光源からの発信光に対応させて設定された設定波長光を選択的に透過する波長選択透過フィルタを内蔵していることを特徴とする光通信システム。
- 光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光導波路型方向性結合回路を有して形成されていることを特徴とする請求項3記載の光通信システム。
- 光分岐器は光導波路型Y分岐回路の代わりに光ファイバ溶融型方向性結合回路を有して形成されていることを特徴とする請求項3記載の光通信システム。
- 波長選択透過フィルタ同士の隣り合う波長間隔を約10nm以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の光通信システム。
- 光源の発信波長の温度依存性を低減するヒータ素子を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の光通信システム。
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